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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】エレベータシステムのためのベルト
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/06 20060101AFI20230217BHJP
   D07B 1/16 20060101ALI20230217BHJP
   D07B 1/04 20060101ALI20230217BHJP
【FI】
B66B7/06 A
D07B1/16
D07B1/04
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018081040
(22)【出願日】2018-04-20
(65)【公開番号】P2018177538
(43)【公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-04-07
(31)【優先権主張番号】62/487,883
(32)【優先日】2017-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591020353
【氏名又は名称】オーチス エレベータ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Otis Elevator Company
【住所又は居所原語表記】One Carrier Place,Farmington,Connecticut,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ウェンピン ジャオ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル エー.モッシャー
(72)【発明者】
【氏名】チェン チァン ジャオ
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-074871(JP,A)
【文献】特表2014-514993(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02860141(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第104555658(CN,A)
【文献】特開2015-74871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/06
D07B 1/16
D07B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータシステムのためのベルトであって、ベルトの幅に沿って配置され、かつ前記ベルトの長さに沿って縦方向に延びる複数の引張部材を含み、各引張部材は、複数の第1繊維と、前記第1繊維とは異なり、前記第1繊維へと分散された複数の第2繊維と、前記複数の引張部材を少なくとも部分的に封入するジャケット素材と、を含み、
前記引張部材が、コア部分及び外側リング部分を含み、
前記外側リング部分が、前記外側リング部分に配置された前記第2繊維を溶解し、続いて硬化させることで形成された、前記ベルト。
【請求項2】
前記第1繊維が、1つ以上の液晶ポリマー、炭素、ガラス、アラミド、ナイロン、及びポリマー繊維である、請求項1に記載のベルト。
【請求項3】
前記第1繊維が、マトリックス素材に配置される、請求項1に記載のベルト。
【請求項4】
前記第2繊維が、高密度ポリエチレンまたはポリプロピレン繊維である、請求項1に記載のベルト。
【請求項5】
前記引張部材の前記コア部分と前記外側リング部分間に配置された1つ以上のバリア層をさらに備える、請求項に記載のベルト。
【請求項6】
前記外側リング部分をマトリックス素材で含浸することで前記外側リング部分を形成することをさらに含む、請求項に記載のベルト。
【請求項7】
前記第2繊維が、前記第1繊維を潤滑化及び/または保護するよう1つ以上のテフロン、グラファイト、酸化チタン、窒化ホウ素を含む、請求項1に記載のベルト。
【請求項8】
複数の引張部材が、複数のコード、前記ベルトに配置された複数のコードへと捻れるかまたは編み込まれる、請求項1に記載のベルト。
【請求項9】
前記ジャケット素材が、ポリウレタン、ポリエステル、エチレンプロピレンジエンエラストマー、クロロプレン、クロロスルホニルポリエチレン、エチレン酢酸ビニル、ポリアミド、ポリプロピレン、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリル系エラストマー、フルオロエラストマー、シリコンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、スチレンブロック及びジエンエラストマー、天然ゴム、またはそれらの組み合わせから構成される群から選択される、請求項1に記載のベルト。
【請求項10】
エレベータシステムであって、昇降路と、前記昇降路内に配置され、かつその中で移動可能なエレベータかごと、前記昇降路に沿って前記エレベータかごを吊り下げ及び/または駆動するよう前記エレベータかごに動作可能に連結されたベルトと、を備え、前記ベルトは、ベルトの幅に沿って配置され、かつ前記ベルトの長さに沿って縦方向に延びる複数の引張部材を含み、各引張部材は、複数の第1繊維と、前記第1繊維とは異なり、前記第1繊維へと分散された複数の第2繊維と、前記複数の引張部材を少なくとも部分的に封入するジャケット素材と、を含んでおり、
前記引張部材が、コア部分及び外側リング部分を含み、
前記外側リング部分が、前記外側リング部分に配置された前記第2繊維を溶解し、続いて硬化させることで形成された、前記エレベータシステム。
【請求項11】
前記第1繊維が、1つ以上の液晶ポリマー、炭素、ガラス、アラミド、ナイロン、及びポリマー繊維である、請求項10に記載のエレベータシステム。
【請求項12】
前記第1繊維が、マトリックス素材に配置される、請求項10に記載のエレベータシステム。
【請求項13】
前記第2繊維が、高密度ポリエチレンまたはポリプロピレン繊維である、請求項10に記載のエレベータシステム。
【請求項14】
前記引張部材のコア部分と外側リング部分間に配置された1つ以上のバリア層をさらに備える、請求項10に記載のエレベータシステム。
【請求項15】
前記第2繊維が、前記第1繊維を潤滑化及び/または保護するよう1つ以上のテフロン、グラファイト、酸化チタン、窒化ホウ素を含む、請求項10に記載のエレベータシステム。
【請求項16】
複数の引張部材が、複数のコード、前記ベルトに配置された複数のコードへと捻れるかまたは編み込まれる、請求項10に記載のエレベータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の実施形態は、エレベータシステムに関し、より詳細には、エレベータシステムのエレベータかごを吊り下げる及び/または駆動するための荷重受け部材に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータシステムは、乗客、貨物、またはその両方を建物内の様々な階層間で搬送するために有用である。エレベータには、牽引ベースであって、エレベータかごを支持し、かつエレベータかごの所望の移動及び配置を達するためのベルトといった荷重受け部材を利用するものがある。
【0003】
ベルトが荷重受け部材として用いられる場合、複数の引張部材は通常のジャケット内に組み込まれる。ジャケットは、引張部材を所望の配置に保持し、摩擦荷重経路を提供する。例示的牽引エレベータシステムでは、機械は牽引滑車を駆動し、それによりベルトが昇降路に沿ってエレベータかごを駆動するよう作用する。ベルトは一般的に鋼鉄要素から形成された引張部材を利用するが、炭素繊維複合材といった合成繊維または他の素材から形成された引張部材を代替的に利用してもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの実施形態では、エレベータシステムのためのベルトは、ベルトの幅に沿って配置され、かつベルトの長さに沿って縦方向に延びる複数の引張部材を含む。各引張部材は、複数の第1繊維と、第1繊維に分散する第1繊維とは異なる複数の第2繊維とを含む。ジャケット素材は、複数の引張部材を少なくとも部分的に封入する。
【0005】
さらに、または代替的に、この実施形態または他の実施形態では、第1繊維は、1つ以上の炭素、ガラス、アラミド、ナイロン、及び高分子繊維である。
【0006】
さらに、または代替的に、この実施形態または他の実施形態では、第繊維はマトリックス素材に配置される。
【0007】
さらに、または代替的に、この実施形態または他の実施形態では、第2繊維は高密度ポリエチレン繊維である。
【0008】
さらに、または代替的に、この実施形態または他の実施形態では、シェルは、外面で第1繊維へと含浸された溶解第2繊維から形成された引張部材の外面に配置される。
【0009】
さらに、または代替的に、この実施形態または他の実施形態では、引張部材は、コア部分及び外側リング部分を含む。
【0010】
さらに、または代替的に、この実施形態または他の実施形態では、1つ以上のバリア層は、引張部材のコア部分と外側リング部分間に配置される。
【0011】
さらに、または代替的に、この実施形態または他の実施形態では、外側リング部分は、外側リング部分に配置された第2繊維を溶解し、続いて硬化させることで形成される。
【0012】
さらに、または代替的に、この実施形態または他の実施形態では、外側リング部分は、外側リング部分をマトリックス素材で含浸することで形成される。
【0013】
さらに、または代替的に、この実施形態または他の実施形態では、第2繊維は、第1繊維を潤滑化及び/または保護するよう1つ以上のテフロン、グラファイト、酸化チタン、窒化ホウ素を含む。
【0014】
さらに、または代替的に、この実施形態または他の実施形態では、複数の引張部材は、複数のコード、ベルトに配置された複数のコードへと捻れるかまたは編み込まれている。
【0015】
別の実施形態では、エレベータシステムは、昇降路と、昇降路に配置されその中で移動可能なエレベータかごと、及び昇降路に沿ってエレベータかごを吊り下げ及び/または駆動するようエレベータかごに動作可能に連結されたベルトとを含む。ベルトは、ベルトの幅に沿って配置され、かつベルトの長さに沿って縦方向に延びる複数の引張部材を含む。各引張部材は、複数の第1繊維と、第1繊維に分散する第1繊維とは異なる複数の第2繊維とを含む。ジャケット素材は、複数の引張部材を少なくとも部分的に封入する。
【0016】
さらに、または代替的に、この実施形態または他の実施形態では、第1繊維は、1つ以上の炭素、ガラス、アラミド、ナイロン、及び高分子繊維である。
【0017】
さらに、または代替的に、この実施形態または他の実施形態では、第1繊維はマトリックス素材に配置される。
【0018】
さらに、または代替的に、この実施形態または他の実施形態では、第2繊維は高密度ポリエチレン繊維である。
【0019】
さらに、または代替的に、この実施形態または他の実施形態では、シェルは、外面で第1繊維へと含浸された溶解第2繊維から形成された引張部材の外面に配置される。
【0020】
さらに、または代替的に、この実施形態または他の実施形態では、1つ以上のバリア層は、引張部材のコア部分と外側リング部分間に配置される。
【0021】
さらに、または代替的に、この実施形態または他の実施形態では、第2繊維は、第1繊維を潤滑化及び/または保護するよう1つ以上のテフロン、グラファイト、酸化チタン、窒化ホウ素を含む。
【0022】
さらに、または代替的に、この実施形態または他の実施形態では、複数の引張部材は、複数のコード、ベルトに配置された複数のコードへと捻れるかまたは編み込まれている。
【0023】
以下の記述は、いかなる場合でも制限を意図するものではない。添付図面を参照すると、同様の要素は同様の番号が付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】エレベータシステムの実施形態における概略図である。
図2】エレベータシステムベルトの実施形態における概略断面図である。
図3】エレベータシステムベルトの引張部材における実施形態の概略断面図である。
図4】エレベータシステムベルトの引張部材における実施形態の別の概略断面図である。
図5】エレベータシステムベルトのためのコードの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
開示された装置及び方法における1つ以上の実施形態の詳細な説明は、例示として、かつ制限なく図面を参照して本明細書に表される。
【0026】
図1に示されるのは、例示的牽引エレベータシステム10の概略図である。本発明の理解において必要でないエレベータシステム10の機能(ガイドレール、安全装置等)は、本明細書には記述されない。エレベータシステム10は、1本以上のベルト16で昇降路12内に動作可能に吊り下げられたかまたは支持されたエレベータかご14を含む。1本以上のベルト16は、エレベータシステム10の様々な構成要素の周囲に巡らされた滑車18及び52と相互作用する。滑車18はダイバータ、偏向器または遊動輪滑車として構成され、滑車52は機械50によって駆動される牽引滑車52として構成される。機械50による牽引滑車52の移動は、牽引滑車52の周囲に巡らされた1本以上のベルト16を駆動、移動及び/または推進(牽引を通じて)する。ダイバータ、偏向器または遊動輪滑車18は、機械50によって駆動されないが、エレベータシステム10の様々な構成要素の周囲に1本以上のベルト16を誘導するのを補助する。1本以上のベルト16は、エレベータシステム10のバランスを取るのを補助し、かつ動作中に牽引滑車の両側におけるベルト張力の差を減らすよう用いられる釣り合いおもり22に同様に連結され得た。滑車18及び52はそれぞれ、互いと同じかまたは異なり得る直径を有する。
【0027】
いくつかの実施形態では、エレベータシステム10は、エレベータかご14を吊り下げる及び/または駆動するために2本以上のベルト16を用い得た。さらに、エレベータシステム10は、1本以上のベルト16の両側が滑車18、52を係合するかまたは1本以上のベルト16の片側のみが滑車18、52を係合するかのいずれかになるように様々な構成を有し得た。図1の実施形態が、1本以上のベルト16がかご14及び釣り合いおもり22で終結する1:1のローピング配置を示す一方で、他の実施形態は他のローピング配置を用いてもよい。
【0028】
ベルト16は、ベルト寿命必須要件を満たし、かつ円滑な動作を備えるよう構築される一方で、エレベータかご14及び釣り合いおもり22を吊り下げ及び/または駆動するための強度必須要件を満たすことが可能であるよう十分な強度を持つ。
【0029】
図2は、例示的ベルト16構成または設計における断面図を提供する。ベルト16は、ベルト16に沿って縦方向に延び、かつベルト幅26にわたって配置された複数の引張部材24を含む。引張部材24は、ベルト16における引張部材24の移動を制限し、かつ引張部材24を保護するためにジャケット素材28に少なくとも部分的に包含される。ジャケット素材28は、牽引滑車52の対応面と相互作用するよう構成された牽引側30を定義する。ジャケット素材28の例示的素材は、例えば、熱可塑性及び熱硬化性ポリウレタンのエラストマー、ポリアミド、熱可塑性ポリエステルエラストマー、及びゴムを含む。他の素材は、ベルト16の必要な機能を満たすのに適している場合にはジャケット素材28を形成するのに用いられてもよい。例えば、ジャケット素材28の主要な機能は、ベルト16と牽引滑車52間の十分な摩擦係数を提供し、その間に所望の牽引量を生み出すことである。ジャケット素材28はさらに、引張部材24に牽引負荷を伝えるべきである。さらに、ジャケット素材28は耐摩耗性があり、かつ、衝撃ダメージと、例えば化学薬品といった環境的要因への露出から引張部材24を保護するべきである。
【0030】
いくつかの実施形態では、ジャケット素材28は、ポリウレタン、ポリエステル、エチレンプロピレンジエンエラストマー、クロロプレン、クロロスルホニルポリエチレン、エチレン酢酸ビニル、ポリアミド、ポリプロピレン、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリル系エラストマー、フルオロエラストマー、シリコンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、スチレンブロック及びジエンエラストマー、天然ゴム、またはそれらの組み合わせといった素材から形成される。
【0031】
ベルト16はベルト幅26及びベルト厚32を有し、1より大きいベルト幅26からベルト厚32のアスペクト比を持つ。ベルト16はさらに、牽引側30に対向する後側34及び牽引側30と後側34の間に延びるベルト縁36を含む。図2の実施形態では8つの引張部材24が説明される一方で、他の実施形態は、例えば、6、10または12の引張部材24といった他の数の引張部材24を含んでもよい。さらに、図2の実施形態における引張部材24が実質的に同一である一方で、他の実施形態では、引張部材24は互いとは異なっていてもよい。
【0032】
ここで図3を参照すると、いくつかの実施形態では、引張部材24はそれぞれ、液晶ポリマー、炭素繊維、ガラス繊維またはアラミド繊維といった複数の第1繊維42を含み、かつさらに第1繊維42間に分散する複数の第2繊維46を含む。第2繊維46は、高密度ポリエチレン(HDPE)またはポリプロピレンといった、第1繊維42に対して高い靱性を有する繊維である。第2繊維46は、第1繊維42間の直接的接触を削減し、それにより第1繊維42が擦り切れるのを低減する。
【0033】
いくつかの実施形態では、引張部材24はさらに、第1繊維42及び第2繊維46が晒されるマトリックス素材44を含んでもよい。ポリウレタン、ビニルエステル、またはエポキシといった素材は、マトリックス素材として利用されてもよい。他の実施形態では、引張部材24は、いわゆる「ドライ繊維」構造でマトリックス素材44を使用せずに形成される。
【0034】
引張部材24は、いくつかの実施形態では、引き抜き成形法によって薄層として形成されてもよい。一般的な引き抜き成形法では、第1繊維42は、マトリックス素材44で含浸され、マトリックス素材44が架橋を受けるところで加熱された金型及び追加の硬化加熱器を通じて引き出される。例示的実施形態では、引張部材24は、約0.5mmから約5mmの断面厚を有する。さらに、いくつかの実施形態では、図3に示されるように、引張部材24が円形断面を有し、一方で他の実施形態では引張部材24は、長方形、長円形または楕円形といった他の断面形状を有していてもよい。例えば、円形、長円形または楕円形断面の構成では、引張部材24の外径及び/または内径は、0.5mmと5mmの間であってもよい。
【0035】
ここで図4を参照すると、引張部材は、コア部分62及び外側リング部分60を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のバリア層64は、コア部分62から外側リング部分60を分離する。バリア層64は、例えば熱可塑性または熱硬化性ポリマーから形成される。
【0036】
いくつかの実施形態では、外側リング部分60は、第1繊維42を、いくつかの実施形態においては第1繊維42と第2繊維46を含んで編み込むかまたは集め、かつ外側リング部分60をマトリックス素材44で含浸することで形成される。一方でコア部分62は、ドライ繊維構造として形成される。そういった実施形態では、第2繊維46は、第1繊維42に潤滑化及び/または保護を供給するよう、例えば、テフロン(登録商標)、グラファイト、酸化チタン、窒化ホウ素または類似の素材といった素材を含んでもよい。別の実施形態では、一度形成されると、引張部材24の外面48は、外側リング部分60における第2繊維46が外側リング部分60で第1繊維42を含浸して溶解し得るように、表面加熱プロセスを受ける。一度冷却されると、このプロセスは引張部材24のコア部分62を保護し、繊維42がその中で擦り切れるのを防ぐよう、引張要素24の硬質外側リング部分60に外面48からの選択された深さを生じさせる。あるいは、引張部材24の全体にわたって第2繊維46が第1繊維42を溶解し、かつ含浸するよう、引張部材24は完全に加熱され、可撓制の引張部材24をもたらす。いくつかの実施形態では、引張部材24は、図5に示されるようなロープまたはコード66を形成するよう他の引張部材24と捻れるかまたは編み込まれてもよい。コード66自体は、ベルト16において引張部材24として用いられてもよい。
【0037】
ハイブリッドファイバ引張部材24の使用は、引張部材24及びベルト16の剛性、強度及び耐久特性の調整においてより良い柔軟性を可能にし、かつ繊維の選択及びその使用割合が特定の適用または使用における選択された必須要件を満たすことを可能にする。
【0038】
「約」という用語は、出願時に利用可能である装置に基づいて特定分量の計測に関する誤差を含む意図がある。例えば、「約」は、指定された値の±8%または5%、または2%の範囲を含むことができる。
【0039】
本明細書に用いられる用語は、特定の実施形態を記述する目的のためであり、本開示の限定を意図するものではない。本明細書に用いられるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他のものを指し示していない限り、複数形をも同様に含むことを意図する。「comprise(含む)」及び/または「comprising(含んでいる)」の用語が、本明細書に用いられる時、表明された特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/または構成要素の存在を記述するが、他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素及び/またはそれらのグループの1つ以上の存在及び/または付加を除外するものではないことは、さらに理解されるであろう。
【0040】
本開示が例示的実施形態または複数の実施形態を参照して記述されてきた一方で、様々な変更が行われ、かつ本開示の範囲から逸脱することなく均等物がその要素と置き換えられてもよいことが当業者に明らかとなろう。さらに、多くの修正が特定の状況または素材に適合するよう本開示の教示にその重要な範囲から逸脱することなく行われてもよい。よって、本開示は本開示の実行に考慮された最適なモードとして開示された特定の実施形態に制限しないことが意図されているが、本開示は特許請求の範囲内にある全ての実施形態を含む。
図1
図2
図3
図4
図5