(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】画像表示パネル、画像表示装置および粘着剤層付き光学フィルム
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1335 20060101AFI20230217BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20230217BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20230217BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20230217BHJP
C09J 133/00 20060101ALI20230217BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20230217BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20230217BHJP
【FI】
G02F1/1335 510
G02B5/30
C09J7/38
C09J201/00
C09J133/00
C09J11/06
G09F9/00 313
(21)【出願番号】P 2018235456
(22)【出願日】2018-12-17
【審査請求日】2021-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】木村 智之
(72)【発明者】
【氏名】外山 雄祐
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/110332(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/207701(WO,A1)
【文献】特開2009-215355(JP,A)
【文献】特開平06-095131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1335
G02F 1/1339
G02B 5/30
C09J 1/00 - 5/10
C09J 9/00 - 201/10
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示パネルの外側に、外部ベゼルが設けられている外部ベゼル付き画像表示パネルであって、
前記画像表示パネルは、画像表示部および前記画像表示部の視認側に粘着剤層を介して配置された偏光フィルムを含む光学フィルムを有
し、
前記粘着剤層は、前記粘着剤層をオレイン酸中に60℃、湿度90%の条件下にて24時間浸漬した後のオレイン酸膨潤度が130%を超え190%以下であり、
前記画像表示パネルの端面が面一になって
おり
前記画像表示パネルの端面の外側の少なくとも一部に、前記画像表示パネルの視認側の最表面よりも突出している弾性中間層を介して、前記外部ベゼルを、前記弾性中間層を覆うことなく設けられていることを特徴とする
外部ベゼル付き画像表示パネル。
【請求項2】
前記偏光フィルムは、偏光子の片面または両面に透明保護フィルムを有し、前記偏光子は厚み3~30μmであることを特徴とする請求項1記載の
外部ベゼル付き画像表示パネル。
【請求項3】
前記光学フィルムは、視認側の最表面に表面処理層を有することを特徴とする請求項1または2記載の
外部ベゼル付き画像表示パネル。
【請求項4】
前記画像表示パネルの視認側の最表面と前記粘着剤層までの距離が75μm以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の
外部ベゼル付き画像表示パネル。
【請求項5】
前記画像表示パネルの視認側の最表面と前記粘着剤層までの距離が、300μm以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の
外部ベゼル付き画像表示パネル。
【請求項6】
前記粘着剤層の厚みが10~30μmであることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の
外部ベゼル付き画像表示パネル。
【請求項7】
前記粘着剤層は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)をベースポリマーとして含有する粘着剤組成物から形成されていることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の
外部ベゼル付き画像表示パネル。
【請求項8】
前記粘着剤組成物は、シランカップリング剤(B)を含有することを特徴とする
外部ベゼル付き請求項7に記載の画像表示パネル。
【請求項9】
前記画像表示パネルの端面と、前記弾性中間層とが接触していることを特徴とする請求項
1~8のいずれかに記載の
外部ベゼル付き画像表示パネル。
【請求項10】
前記画像表示パネルの端面部において、前記弾性中間層よりも内側の最表面に内部ベゼルを有し、前記弾性中間層は、前記内部ベゼルよりも突出していることを特徴とする請求項
1~9のいずれかに記載の
外部ベゼル付き画像表示パネル。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれかに記載の
外部ベゼル付き画像表示パネルを有する画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示パネルに関する。前記画像表示パネルは、液晶表示装置(LCD)、有機EL表示装置などの画像表示装置を形成しうる。また本発明は、画像表示装置に適用される粘着剤層付き光学フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネル等の画像表示パネルは、その画像形成方式から液晶セル等の画像表示部に偏光フィルムが配置されている。一般的には画像表示パネルでは、画像表示部に少なくとも偏光フィルムが粘着剤層を介して貼り合わされている。
【0003】
前記粘着剤層の形成には、通常、ベースポリマーおよび架橋剤を含有する粘着剤が用いられる。前記ベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーを用いたアクリル系粘着剤が用いられている。このような粘着剤には、偏光フィルムを画像表示部に貼り合わせる際、貼り合わせ位置を誤ったり、貼合せ面に異物が噛み込んだりしたような場合にも容易に剥がすことができる再剥離性(リワーク性)が求められる。また、前記粘着剤層には、リワーク性の他に、白ヌケ(周辺ムラ)を改善や、耐久性向上等が求められており、前記特性を向上できる粘着剤組成物として、アクリル系ポリマーに、反応性シリル基を有するポリエーテル化合物を配合することが提案されている(特許文献1)。
【0004】
また前記画像表示パネルの外側には、通常、取扱性等の観点からベゼル(外枠)が備えられている。近年では、デザイン性が重視されて、ベゼルを狭額縁化する傾向がある(特許文献2、3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-275522号公報
【文献】特開2012-014000号公報
【文献】特開2016-004214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記また、ベゼルを狭額縁化した画像表示パネルをモバイルフォン等の画像表示装置に適用する場合で用いる場合には、当該画像表示パネルの再表面にはカバーガラス等が配置されているが、ノートパソコン等の開閉式の画像表示装置に適用する場合には、当該画像表示パネルの再表面にはカバーガラス等は通常配置されていないため、画像表示パネルの視認側表面の強度が十分とは言えない。その対策として、ノートパソコン等を使用するに際して、閉時の状態で画像表示パネルが、画像表示装置の本体と直接接触することを防止する目的で、例えば、ベゼルの上部に弾性体が設けられている。しかし、ベゼルを狭額縁化した場合には、ベゼル上部に前記弾性体を設けることが困難な場合がある。そのため、狭額縁化したベゼルを用いる場合には、前記画像表示パネルの端面とベゼルの間に、画像表示パネルの視認側の最表面よりも突出している弾性中間層を設ける態様も検討されている。
【0007】
一般的に、ノートパソコン等における画像表示パネルを開閉する際には、画像表示パネルの外縁部を素手で接触することが多い。素手には、皮脂に基づく油脂成分(オレイン酸等)があり、また保湿クリーム、日焼け止めクリーム等を用いた後では、これらクリームの成分が素手に残っている場合がある。このような場合に、前記弾性中間層を設けたベゼル付き画像表示パネルを用いたノートパソコン等を素手で開閉すると、前記油脂やクリーム成分が、前記弾性中間層を伝って直接的または間接的に、偏光フィルム等を画像表示部に貼り合わせている粘着剤層にまで到達するおそれがあり、前記粘着剤層が前記成分を吸収して膨張することが分かった。特に、加湿環境下において、前記成分を吸収した粘着剤層は膨張し易くなっており、前記粘着剤層の画像表示部からの剥がれが問題となっている。しかし、上記特許文献1に記載の粘着剤組成物から形成した粘着剤層では、前記剥がれの問題を解決できていない。
【0008】
本発明は、画像表示部および前記画像表示部の視認側に粘着剤層を介して配置された偏光フィルムを有する画像表示パネルであって、当該画像表示パネルを、弾性中間層を介して、外部ベゼルを設けたベゼル付き画像表示パネルとして適用し、油脂やクリーム成分が前記弾性中間層に接触している加湿環境下におかれた場合にも、前記粘着剤層の剥がれを抑えることができる画像表示パネルを提供することを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は前記画像表示パネルを用いた画像表示装置を提供することを目的とする。さらに本発明は、画像表示装置に適用される粘着剤層付き光学フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記画像表示パネル等により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち本発明は、画像表示部および前記画像表示部の視認側に粘着剤層を介して配置された偏光フィルムを含む光学フィルムを有する画像表示パネルであって、
前記粘着剤層は、オレイン酸膨潤度が130%を超え190%以下であり、
前記画像表示パネルの端面が面一になっていることを特徴とする画像表示パネル、に関する。
【0012】
前記画像表示パネルにおいて、前記偏光フィルムは、偏光子の片面または両面に透明保護フィルムを有し、前記偏光子は厚み3~30μmであることが好ましい。
【0013】
前記画像表示パネルにおいて、前記光学フィルムは、視認側の最表面に表面処理層を有するものが好適である。
【0014】
前記画像表示パネルにおいて、前記画像表示パネルの視認側の最表面と前記粘着剤層までの距離が、75μm以上であることが好ましい。また、前記距離が、300μm以下であることが好ましい。
【0015】
前記画像表示パネルにおいて、前記粘着剤層の厚みが10~30μmであることが好ましい。
【0016】
前記画像表示パネルにおいて、前記粘着剤層は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)をベースポリマーとして含有する粘着剤組成物から形成されていることが好ましい。前記粘着剤組成物は、シランカップリング剤(B)を含有することが好ましい。
【0017】
前記画像表示パネルは、当該画像表示パネルの端面の外側に、外部ベゼルが設けられているベゼル付き画像表示パネルとして用いることができる。
【0018】
また、ベゼル付き画像表示パネルは、前記画像表示パネルの端面の外側の少なくとも一部に、前記画像表示パネルの視認側の最表面よりも突出している弾性中間層を介して、前記外部ベゼルを、前記弾性中間層を覆うことなく設ける態様で用いることができる。
【0019】
前記ベゼル付き画像表示パネルは、前記画像表示パネルの端面と、前記弾性中間層とが接触している態様で用いることができる。
【0020】
前記ベゼル付き画像表示パネルは、前記画像表示パネルの端面部において、前記弾性中間層よりも内側の最表面に内部ベゼルを有し、前記弾性中間層は、前記内部ベゼルよりも突出している態様で用いることができる。
【0021】
前記ベゼル付き画像表示パネルは、前記画像表示パネルの端面と、前記弾性中間層とが接触している態様で用いることができる。
【0022】
前記ベゼル付き画像表示パネルは、前記画像表示パネルの端面部において、前記弾性中間層よりも内側の最表面に内部ベゼルを有し、前記弾性中間層は、前記内部ベゼルよりも突出している態様で用いることができる。
【0023】
また本発明は、前記画像表示パネル(またはベゼル付き画像表示パネル)を有する液晶表示装置、に関する。
【0024】
また本発明は、画像表示部の視認側に配置される、偏光フィルムを含む光学フィルおよび粘着剤層を有する有する粘着剤層付き光学フィルムであって、
前記粘着剤層は、オレイン酸膨潤度が130%を超え190%以下であることを特徴とする粘着剤層付き光学フィルム、に関する。
【発明の効果】
【0025】
画像表示パネルとしては、画像表示部および前記画像表示部の視認側に粘着剤層を介して配置された偏光フィルムを含む光学フィルムを有するものが一般的に用いられている。このように画像表示パネルは複数の異なる部材の積層体であるため、その製造の容易さ、加工性、取り扱い性の観点から、画像表示パネルにおける画像表示部は、粘着剤層、光学フィルムに比べて大きいものであった(
図2A参照)。そのため、画像表示パネルの端面に、油脂やクリーム成分が入り込んだ場合には、前記油脂やクリーム成分が画像表示パネル上に溜りとして残存して、粘着剤層への常時接触するようになり、それが原因として、前記粘着剤層が画像表示部から剥離していたと考えられる(
図2B参照)。
【0026】
一方、本発明の画像表示パネルは、上記同様に、複数の異なる部材の積層体であるが、端面が面一になっているため、各部材の間に段差が無くフラットである(
図1A参照)。かかる本発明の画像表示パネルでは、画像表示パネルの端面に、油脂やクリーム成分が入り込んだ場合にも、前記油脂やクリーム成分は、画像表示パネルの端面を一様に通過または分散される(
図1B参照)。そのため、本発明の画像表示パネルによれば、端面が面一ではない従来の端面に比べて、粘着剤層への接触頻度を小さくすることができ、加湿環境下においても、前記粘着剤層が画像表示部から剥離することを抑制することができる。
【0027】
また本発明の画像表示パネルが、外部ベゼルを設けたベゼル付き画像表示パネルとして適用することができるが、特に、本発明のベゼル付き画像表示パネルは、画像表示パネルに、弾性中間層を介して、外部ベゼルを設けられた構造を有する場合に好適である。さらには、本発明のベゼル付き画像表示パネルは、前記画像表示パネルの視認側の最表面と画像表示部の視認側に貼り合わせた粘着剤層までの距離を所定範囲以上に設定することによって、油脂やクリーム成分が前記弾性中間層に接触した場合においても、前記成分の前記粘着剤層への到達、接触をある程度防ぐことができる。また、本発明のベゼル付き画像表示パネルは、前記粘着剤層を所定のモノマーを所定割合以上用いたアクリル系ポリマーをベースポリマーとして含有し、かつ所定のシランカップリン剤を含有する粘着剤組成物により形成しているため、油脂やクリーム成分が前記弾性中間層に接触している加湿環境下においても、粘着剤層の剥がれを抑えることができる。
【0028】
また本発明の画像表示パネルでは、前記粘着剤層のオレイン酸膨潤度が130%を超え190%以下に制御されているため、前記粘着剤層が油脂やクリーム成分を吸収して他の光学部材(パネル下側のフィルムや基板、配線等)への影響を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1A】本発明の画像表示パネルの一例を示す断面図の一部である。
【
図1B】本発明の画像表示パネルの端面に油脂等が入り込んだ状態の一例を示す断面図の一部である。
【
図2A】従来の画像表示パネルの一例を示す断面図の一部である。
【
図2B】本発明の画像表示パネルの端面に油脂等が入り込んだ状態の一例を示す断面図の一部である。
【
図3A】本発明のベゼル付き画像表示パネルの一例を示す断面図の一部である。
【
図3B】
図3Aに係る本発明のベゼル付き画像表示パネルの一例を示す上面図である。
【
図4A】本発明のベゼル付き画像表示パネルの一例を示す断面図の一部である。
【
図4B】
図4Aに係る本発明のベゼル付き画像表示パネルの一例を示す上面図である。
【
図5】比較例に係るベゼル付き画像表示パネルの一例を示す断面図の一部である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に本発明を、図面を参酌しながら説明する。
本発明の画像表示パネルAは、
図1Aの断面図に示すように、画像表示部1および当該画像表示部1の視認側に粘着剤層3を介して配置された、光学フィルム2を有する。画像表示パネルAの端面b(それぞれb1、b2、b3)は面一になっている。
図1Bは、前記端面bに油脂やクリーム成分sが入り込んだ状態を示す。
【0031】
なお、従来の画像表示パネルA´は、
図2Aの断面図に示すように、画像表示部1および当該画像表示部1の視認側に粘着剤層3を介して配置された、光学フィルム2を有するが、画像表示部1が、粘着剤層3、光学フィルム2に比べて大きく、画像表示パネルA´の端面b(それぞれb1、b2、b3)は面一になっていない。
図1Bは、前記端面bに油脂やクリーム成分sが入り込んだ状態を示す。
【0032】
また本発明の画像表示パネルは、前記画像表示パネルA(光学フィルム2)の視認側の最表面aと前記粘着剤層3までの距離tが75μm以上に設定されていることが好ましい。前記距離tを75μm以上とすることは、油脂やクリーム成分による粘着剤層3の剥がれを抑えるうえで好ましい。前記距離tは、粘着剤層3の剥がれを抑えるうえでは100μm以上が好ましく、さらには120μm以上が好ましい。一方、前記距離tが長くなると(即ち光学フィルムの厚みが厚くなると)、加湿環境下での光学フィルムの寸法収縮が大きくなり反りが生じやすくなる傾向があるため、前記距離tは300μm以下であるのが好ましく、さらには250μm以下であるのが好ましい。
【0033】
本発明の画像表示パネルは、外部ベゼルを有するベゼル付き画像表示パネルとして適用できる。ベゼル付き画像表示パネルは、例えば、
図3Aの断面図に示すように、前記画像表示パネルAの端面の外側に、外部ベゼル5を有する。
図3Aは、ベゼル付き画像表示パネルの一例を示す断面図の一部であり、片側の端辺部が示されている。
図3Bは、本発明のベゼル付き画像表示パネルの上面図である。外部ベゼル5は、弾性中間層4を介して、設けられている。弾性中間層4は、前記画像表示パネルA(光学フィルム2)の視認側の最表面aよりも突出するように設けられており、かつ、外部ベゼル
5は、弾性中間層4を覆うことなく設けられている。前記画像表示パネルAの端面と、前記弾性中間層4とは、狭額縁化、表示面積の拡大化の観点、また水分、油脂やクリーム成分の浸入を防止する観点、さらには画像表示装置全体の厚みを薄くした場合の画像表示パネル端部から入るヒビ割れを防止する観点等から接触している態様で用いることが好ましい。前記外部ベゼル5は接着剤により前記弾性中間層4に固定することができる。
【0034】
また、本発明のベゼル付き画像表示パネルは、
図4Aの断面図に示すように、上記
図3Aに示す態様に、さらに、前記画像表示パネルAの端面部において、前記弾性中間層4よりも内側の最表面aに内部ベゼル6を有することができる。この態様においても、前記弾性中間層4は、前記内部ベゼル6よりも突出している態様で用いられる。
図4Aに示す態様では、前記画像表示パネルAの端面と、前記弾性中間層4と間に、空室7が設けられている場合が例示されているが、
図4Aに示す態様においても前記画像表示パネルAの端面と、前記弾性中間層4とは接触している態様で用いることができる。
図4Aに示す態様において空室7を設ける場合には、当該空室7の箇所に付属品(カメラレンズ、取り回し配線、調光センサー、顔認識センサー等)を配置して、その上面の内部ベゼル6を介して機能させることができる。内部ベゼル6は接着剤により前記画像表示パネルAの最表面a、前記弾性中間層4に固定することができる。
【0035】
また、ベゼル付き画像表示パネルの狭額縁化の観点から、外部ベゼル5、弾性中間層4の幅はいずれも小さいことが好ましい。外部ベゼル5、弾性中間層4の幅は、画像表示パネルAのサイズに応じて適宜に設定されるが、通常は、外部ベゼル5の幅は5mm以下であり、0.5~5mmであるのが好ましく、さらには0.5~3mmであるのが好ましい。また、弾性中間層4の幅は5mm以下であり、0.5~5mmであるのが好ましく、さらには0.5~3mmであるのが好ましい。また、内部ベゼル6についても狭額縁化の観点から小さいことが好ましい。通常、内部ベゼル6の幅は1~20mmであるのが好ましく、さらには1~15mmであるのが好ましい。また、空室7を設ける場合には、その幅は1~20mmであるのが好ましく、さらには1~15mmであるのが好ましい。
【0036】
また、前記弾性中間層4は、上記
図3Aに示す態様では、前記画像表示パネルA(光学フィルム2)の視認側の最表面aよりも突出し、上記
図4Aに示す態様では、前記内部ベゼル6よりも突出している態様で用いられる。当該突出によって画像表示パネルが、画像表示装置の本体と、直接接触することが避けられる。前記突出部の高さは、通常、0.5~5mmであるのが好ましく、さらには0.5~3mmであるのが好ましい。また、前記弾性中間層4は、上記
図3Bに示す上面図、上記
図4Bに示す上面図では、前記画像表示パネルAの端面の外側の全部に設けられているが、前記弾性中間層4は少なくとも一部に用いられている場合にも、本発明は有効である。
【0037】
<光学フィルム>
以下に、本発明の光学フィルムを説明する。上記のように、本発明の光学フィルムは、偏光フィルムを含有するものである。本発明の光学フィルムは、偏光フィルム単独で形成することもでき、偏光フィルムと他のフィルムを組み合わせた積層光学フィルムとして形成することもできる。前記光学フィルム(積層光学フィルムの場合にも)の厚みは、本発明のベゼル付き画像表示パネルにおいて、前記距離tが75μm以上を満足するように設計するのが好ましい。
【0038】
≪偏光フィルム≫
前記光学フィルムが含有する偏光フィルムは、偏光子の片面または両面に透明保護フィルムを有するものが一般に用いられる。偏光子は、特に限定されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素等の二色性物質からなる偏光子が好適である。これらの偏光子の厚みは特に制限されないが、一般的に30μm程度以下である。
【0039】
また偏光子としては厚みが3~30μmの薄型の偏光子を用いることが好ましい。偏光子の厚みは3μm以上であるのが、油脂やクリーム成分が前記弾性中間層に接触するおそれのある加湿環境下においても、粘着剤の剥がれを抑えるうえで好ましい。また、加湿環境下での寸法収縮を抑える観点からは、偏光子の厚みは10μm以下であるのが好ましい。厚み3~10μmの薄型の偏光子は、厚みムラが少なく、視認性が優れており、また寸法変化が少ないため耐久性に優れ、さらには偏光フィルムとしての厚みも薄型化が図れる点が好ましい。
【0040】
透明保護フィルムを構成する材料としては、例えば透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性等に優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、およびこれらの混合物が挙げられる。なお、偏光子の片側には、透明保護フィルムが接着剤層により貼り合わされるが、他の片側には、透明保護フィルムとして、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂を用いることができる。
【0041】
前記透明保護フィルムの材料としては、セルロース樹脂、(メタ)アクリル樹脂が好ましい。(メタ)アクリル樹脂としては、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂を用いることが好ましい。ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、特開2000-230016号公報、特開2001-151814号公報、特開2002-120326号公報、特開2002-254544号公報、特開2005-146084号公報などに記載の、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂があげられる。。特に、セルロース樹脂は、(メタ)アクリル樹脂に比べて、偏光子の片面にのみ透明保護フィルムを有する片保護偏光フィルムで課題となる偏光子クラックの抑制に効果的な点で好ましい。前記透明保護フィルムの厚みは、通常、10~100μmであるのが好ましく、さらには20~50μmであるのが好ましい。特に、透明保護フィルムの材料としてセルロース樹脂を用いる場合には、厚みを100μm以下に制御するのが、加湿環境下における寸法収縮を抑えるうえで好ましい。
【0042】
前記偏光子と透明保護フィルムの貼り合わせに用いる接着剤は光学的に透明であれば、特に制限されず水系、溶剤系、ホットメルト系、ラジカル硬化型、カチオン硬化型の各種形態のものが用いられるが、水系接着剤またはラジカル硬化型接着剤が好適である。
【0043】
≪表面処理層≫
前記光学フィルムの最表面には、表面処理層を設けることができる。表面処理層としては、ハードコート層、反射防止層、スティッキング防止層、拡散層ないしアンチグレア層などの機能層が挙げられる。表面処理層は、偏光フィルムに用いられる透明保護フィルムに設けることができるほか、別途、前記透明保護フィルムとは別体の基材に設けることもできる。別体の基材は前記透明保護フィルムと同様のものを用いることができる。表面処理層を別体として設けた場合には、従来知られている粘着剤層等によって、前記偏光フィルムに貼り合わせることができる。
【0044】
前記表面処理層として設けられるハードコート層の形成材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱または放射線により硬化する材料を用いることができる。前記材料としては、熱硬化型樹脂や紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂等の放射線硬化性樹脂があげられる。これらのなかでも、紫外線照射による硬化処理にて、簡単な加工操作にて効率よく硬化樹脂層を形成することができる紫外線硬化型樹脂が好適である。これら硬化型樹脂としては、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、アミド系、シリコーン系、エポキシ系、メラミン系等の各種のものがあげられ、これらのモノマー、オリゴマー、ポリマー等が含まれる。加工速度の早さ、基材への熱のダメージの少なさから、特に放射線硬化型樹脂、特に紫外線硬化型樹脂が好ましい。好ましく用いられる紫外線硬化型樹脂は、例えば紫外線重合性の官能基を有するもの、なかでも当該官能基を2個以上、特に3~6個有するアクリル系のモノマーやオリゴマー成分を含むものがあげられる。また、紫外線硬化型樹脂には、光重合開始剤が配合されている。
【0045】
また、前記表面処理層としては、視認性の向上を目的とした防眩処理層や反射防止層を設けることができる。また前記ハードコート層上に、防眩処理層や反射防止層を設けることができる。防眩処理層の構成材料としては特に限定されず、例えば放射線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂等を用いることができる。反射防止層としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、フッ化マグネシウム等が用いられる。反射防止層は複数層を設けることができる。その他、表面処理層としては、スティッキング防止層等が挙げられる。
【0046】
≪その他の層≫
前記光学フィルム(積層光学フィルム)には、前記の各層の他に、位相差フィルム(1/2や1/4等の波長板を含む)、視覚補償フィルム、等を積層することができる。また、前記偏光フィルムや他の光学層には、アンカー層、易接着層を設けたり、コロナ処理、プラズマ処理等の各種易接着処理を施したりすることができる。
【0047】
<粘着剤層>
以下は、前記光学フィルムを画像表示部に貼り合わせる粘着剤層について説明する。
【0048】
前記粘着剤組成物は、光学用途に使用可能な粘着性を有する透明な材料が好適に用いられる。前記粘着剤組成物としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、及びポリエーテル系粘着剤から適宜選択して使用することができる。透明性、加工性及び耐久性などの観点から、アクリル系粘着剤を用いることが好ましい。前記粘着剤組成物の種類に応じたベースポリマーが用いられる。本発明においては、(メタ)アクリル系ポリマー(A)をベースポリマーとして含有するアクリル系粘着剤であることが好ましい。
【0049】
前記アクリル系粘着剤は、例えば、アルキル(メタ)アクリレートを含有するモノマー成分の部分重合物及び/又は前記モノマー成分から得られる(メタ)アクリル系ポリマー(A)を含むことができる。なお、(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートをいい、本発明の(メタ)とは同様の意味である。
【0050】
本発明の粘着剤層は、ベースポリマーとして、炭素数1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a)をモノマー単位として、80重量%以上含有する(メタ)アクリル系ポリマー(A)を含有する粘着剤組成物から形成されたものであることが好ましい。
【0051】
前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)の主骨格を構成する、炭素数1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a)におけるアルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を例示でき、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等が挙げられる。かかる炭素数1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a)の重量比率は、モノマー単位として、(メタ)アクリル系ポリマー(A)を構成する全構成モノマー(100重量%)の重量比率において、80重量%以上であり、かかる割合の(メタ)アクリル系ポリマー(A)を用いることによって、油脂やクリーム成分が前記弾性中間層に接触するおそれのある加湿環境下においても、前記粘着剤層の剥がれを抑えるうえで好ましい。
【0052】
前記炭素数1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a)としては、炭素数4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、特に、ブチルアクリレートが好ましい。
【0053】
また、炭素数1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a)は、炭素数4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートと、炭素数1~3のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを併用することが好ましい。炭素数1~3のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレートが好ましい。前記併用系の場合には、炭素数4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの前記重量比率を好ましくは30~96重量%、さらには好ましくは40~85重量%として、一方、炭素数1~3のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの前記重量比率を好ましくは4~50重量%、さらには好ましくは5~20重量%として、合計で80重量%以上に調整することが好ましい。
【0054】
なお、(メタ)アクリル系ポリマー(A)には、前記炭素数1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a)のモノマーユニットの他に、接着性や耐熱性の改善を目的に、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有する、1種類以上の共重合モノマーを共重合により導入することができる。前記共重合モノマー重量比率は20重量%以下であるのが好ましい。
【0055】
但し、炭素数5以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの重合比率が多くなると、前述の粘着剤の剥がれを抑え観点からは好ましくないため、炭素数5以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートは重合比率が20重量%以下であり、さらには15重量%以下が好ましく、さらには10重量%以下が好ましく、さらには5重量%以下が好ましく、さらには3重量%以下が好ましく、さらには1重量%以下であるのが好ましく、使用しないことが最も好ましい。
【0056】
前記共重合モノマーとしては、例えば、芳香環含有(メタ)アクリレートを用いることができる。芳香環含有(メタ)アクリレートは、その構造中に芳香環構造を含み、かつ(メタ)アクリロイル基を含む化合物である。芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、またはビフェニル環が挙げられる。
【0057】
芳香環含有(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノール(メタ)アクリレートフェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性クレゾール(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシベンジル(メタ)アクリレート、クロロベンジル(メタ)アクリレート、クレジル(メタ)アクリレート、ポリスチリル(メタ)アクリレート等のベンゼン環を有するもの;ヒドロキシエチル化β-ナフトールアクリレート、2-ナフトエチル(メタ)アクリレート、2-ナフトキシエチルアクリレート、2-(4-メトキシ-1-ナフトキシ)エチル(メタ)アクリレート等のナフタレン環を有するもの;ビフェニル(メタ)アクリレート等のビフェニル環を有するもの挙げられる。
【0058】
前記芳香環含有(メタ)アクリレートとしては、粘着特性や耐久性の点から、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましく、特にフェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0059】
芳香環含有(メタ)アクリレートの前記重量比率は、20重量%以下であるのが好ましく、3~18重量%が好ましく、さらには5~16重量%が好ましく、さらには10~14重量%が好ましい。芳香環含有(メタ)アクリレートの重量比率が3重量%以上である場合には、表示ムラを抑制するうえで好ましい。
【0060】
また前記共重合モノマーとしては、例えば、ヒドロキシル基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、アミド基含有モノマー等の官能基含有モノマーを例示できる。
【0061】
ヒドロキシル基含有モノマーは、その構造中にヒドロキシル基を含み、かつ(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の重合性不飽和二重結合を含む化合物である。ヒドロキシル基含有モノマーの具体例としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等の、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートや(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)-メチルアクリレート等が挙げられる。前記ヒドロキシル基含有モノマーのなかでも、耐久性の点から、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましく、特に4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0062】
カルボキシル基含有モノマーは、その構造中にカルボキシル基を含み、かつ(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の重合性不飽和二重結合を含む化合物である。カルボキシル基含有モノマーの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸等が挙げられる。前記カルボキシル基含有モノマーのなかでも、共重合性、価格、および粘着特性の観点からアクリル酸が好ましい。
【0063】
ヒドロキシル基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーは、粘着剤組成物が架橋剤を含有する場合に、架橋剤との反応点になる。ヒドロキシル基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーは分子間架橋剤との反応性に富むため、得られる粘着剤層の凝集性や耐熱性の向上のために好ましく用いられる。
【0064】
ヒドロキシル基含有モノマーの前記重量比率は、3重量%以下であるのが好ましく、さらには0.01~3重量%が好ましく、さらには0.1~2重量%が好ましく、さらには0.2~2重量%が好ましい。ヒドロキシル基含有モノマーの重量比率が0.01重量%以上とすることは、粘着剤層を架橋する観点、耐久性や粘着特性の点で好ましい。一方、3重量%を超える場合には、耐久性の点から好ましくない。
【0065】
カルボキシル基含有モノマーの前記重量比率は、10重量%以下であるのが好ましく、さらには0.01~8重量%が好ましく、さらには0.05~6重量%が好ましく、さらには0.1~5重量%が好ましい。カルボキシル基含有モノマーの重量比率を0.01重量%以上とすることは耐久性の点で好ましい。
【0066】
アミド基含有モノマーは、その構造中にアミド基を含み、かつ(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の重合性不飽和二重結合を含む化合物である。アミド基含有モノマーの具体例としては、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロール-N-プロパン(メタ)アクリルアミド、アミノメチル(メタ)アクリルアミド、アミノエチル(メタ)アクリルアミド、メルカプトメチル(メタ)アクリルアミド、メルカプトエチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド系モノマー;N-(メタ)アクリロイルモルホリン、N-(メタ)アクリロイルピペリジン、N-(メタ)アクリロイルピロリジン等のN-アクリロイル複素環モノマー;N-ビニルピロリドン、N-ビニル-ε-カプロラクタム等のN-ビニル基含有ラクタム系モノマー等が挙げられる。アミド基含有モノマーは、経時的な(特に加湿環境下での)表面抵抗値の上昇を抑制したり、耐久性を満足させたりするうえで好ましい。特に、アミド基含有モノマーのなかでも、特に、N-ビニル基含有ラクタム系モノマーが好ましい。
【0067】
アミド基含有モノマーの前記重量比率が大きくなると、光学フィルムに対する投錨性が低下する傾向があるため、前記重量比率は、10重量%以下であるのが好ましく、さらには5重量%以下であるのが特に好ましい。経時的(特に加湿環境下)な表面抵抗値の上昇を抑制する観点から、0.1重量%以上であるのが好ましい。前記重量比率は、0.3重量%以上が好ましく、さらには0.5重量%以上であるのが好ましい。
【0068】
上記以外の他の共重合モノマーの具体例としては、;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有モノマー;アクリル酸のカプロラクトン付加物;アリルスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、等のスルホン酸基含有モノマー;2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等の燐酸基含有モノマー等が挙げられる。
【0069】
また、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;N-(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミドやN-(メタ)アクリロイル-6-オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-8-オキシオクタメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド系モノマー;N-シクロヘキシルマレイミドやN-イソプロピルマレイミド、N-ラウリルマレイミドやN-フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー;N-メチルイタコンイミド、N-エチルイタコンイミド、N-ブチルイタコンイミド、N-オクチルイタコンイミド、N-2-エチルヘキシルイタコンイミド、N-シクロヘキシルイタコンイミド、N-ラウリルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー、等も改質目的のモノマー例として挙げられる。
【0070】
さらに改質モノマーとして、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノアクリレート系モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のグリコール系(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートや2-メトキシエチルアクリレート等の(メタ)アクリレートモノマー等も使用することができる。さらには、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン、ビニルエーテル等が挙げられる。
【0071】
さらに、上記以外の共重合可能なモノマーとして、ケイ素原子を含有するシラン系モノマー等が挙げられる。シラン系モノマーとしては、例えば、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4-ビニルブチルトリメトキシシラン、4-ビニルブチルトリエトキシシラン、8-ビニルオクチルトリメトキシシラン、8-ビニルオクチルトリエトキシシラン、10-メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10-アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10-メタクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、10-アクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0072】
(メタ)アクリル系ポリマー(A)における前記他の共重合モノマーの割合は、前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)の全構成モノマー(100重量%)の重量比率において、0~10%程度、さらには0~7%程度、さらには0~5%程度であるのが好ましい。
【0073】
また、共重合モノマーとしては、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物等の(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合を2個以上有する多官能性モノマーや、ポリエステル、エポキシ、ウレタン等の骨格にモノマー成分と同様の官能基として(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合を2個以上付加したポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等を用いることもできる。
【0074】
前記共重合モノマーとして、上記多官能性モノマー等を用いる場合には多官能モノマーは架橋成分として機能する。上記多官能性モノマーの使用量は、その分子量や官能基数等により異なるが、単官能性モノマーの合計100重量部に対して、1重量部以下で用いることが好ましく、0.5重量部以下がより好ましい。また、下限値としては特に限定されないが、0重量部以上であることが好ましく、0.01重量部以上であることがより好ましい。多官能性モノマーの使用量が前記範囲内であることにより、接着力を向上することができる。
【0075】
本発明の(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、通常、重量平均分子量が100万~250万であることが好ましい。耐久性、特に耐熱性を考慮すれば、重量平均分子量は120万~200万であるのが好ましい。重量平均分子量が100万以上であると、耐熱性の点で好ましい。また、重量平均分子量が250万よりも大きくなると粘着剤が硬くなりやすい傾向があり、剥がれが発生しやすくなる。また、分子量分布を示す、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は、1.8以上10以下であるのが好ましく、さらには1.8~7であり、さらには1.8~5であるのが好ましい。分子量分布(Mw/Mn)が10を超える場合には耐久性の点で好ましくない。なお、重量平均分子量、分子量分布(Mw/Mn)は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値から求められる。
【0076】
このような(メタ)アクリル系ポリマー(A)の製造は、溶液重合、塊状重合、乳化重合、放射線(UV)重合等の各種ラジカル重合等の公知の製造方法を適宜選択できる。また、得られる(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等いずれでもよい。
【0077】
なお、溶液重合においては、重合溶媒として、例えば、酢酸エチル、トルエン等が用いられる。具体的な溶液重合例としては、反応は窒素等の不活性ガス気流下で、重合開始剤を加え、通常、50~70℃程度で、5~30時間程度の反応条件で行われる。
【0078】
ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤等は特に限定されず適宜選択して使用することができる。なお、(メタ)アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量は、重合開始剤、連鎖移動剤の使用量、反応条件により制御可能であり、これらの種類に応じて適宜のその使用量が調整される。
【0079】
また本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、添加剤として、シランカップリング剤(B)を含有することが好ましい。シランカップリング剤(B)のなかでも、低分子型(非オリゴマー型)のエポキシ基含有シランカップリング剤(b1)およびオリゴマー型のメルカプト基含有シランカップリング剤(b2)から選ばれる少なくとも1種を含有するのが好ましい。前記シランカップリング剤(B)を、上記の炭素数1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a)をモノマー単位として、80重量%以上含有する(メタ)アクリル系ポリマー(A)と組み合わせて用いることによって、油脂やクリーム成分が前記弾性中間層に接触するおそれのある加湿環境下においても、粘着剤層の剥がれを抑えることできる。
【0080】
低分子型のエポキシ基含有シランカップリング剤(b1)としては、例えば、、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。また、オリゴマー型のメルカプト基含有シランカップリング剤(b2)としては、例えば、信越化学社製の、X-41-1805、X-41-1810などが挙げられる。これらの分子内に複数のアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤は、揮発しにくく、アルコキシシリル基を複数有することから耐久性向上に効果的であり好ましい。特に、粘着剤付き光学フィルムの被着体が、ガラスに比べてアルコキシシリル基が反応しにくい透明導電層(例えば、ITO等)の場合にも耐久性が好適である。
【0081】
前記シランカップリング剤(B)は、低分子型(非オリゴマー型)のエポキシ基含有シランカップリング剤(b1)、オリゴマー型のメルカプト基含有シランカップリング剤(b2)をそれぞれ単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対し、0.01~5重量部が好ましく、さらには0.02~3重量部が好ましく、さらには0.05~1重量部がより好ましく、さらには0.1~0.8重量部が好ましい。
【0082】
前記シランカップリング剤(B)としては、上記以外の他のシランカップリング剤を使用することもできる。他の低分子型のシランカップリング剤としては、例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤;3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基含有シランカップリング剤等が挙げられる。他のオリゴマー型のシランカップリング剤としては、例えば、信越化学社製X-41-1053、X-41-1059A、X-41-1056、X-41-1818、X-40-2651などが挙げられる。これらの他のシランカップリング剤は、前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対し、3重量部以下で、かつ、前記シランカップリング剤(b1)(b2)と同量以下で使用するのが好ましい。
【0083】
本発明の粘着剤組成物は、架橋剤(C)を含有することができる。架橋剤(C)としては、有機系架橋剤や多官能性金属キレートを用いることができる。有機系架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、過酸化物系架橋剤、エポキシ系架橋剤、イミン系架橋剤等が挙げられる。多官能性金属キレートは、多価金属が有機化合物と共有結合または配位結合しているものである。多価金属原子としては、Al、Cr、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Ti等が挙げられる。共有結合または配位結合する有機化合物中の原子としては酸素原子等が挙げられ、有機化合物としてはアルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物等が挙げられる。
【0084】
前記架橋剤(C)としては、イソシアネート系架橋剤が好ましい。イソシアネート系架橋剤としては、イソシアネート基を少なくとも2つ有する化合物を用いることができる。たとえば、一般にウレタン化反応に用いられる公知の脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート等が用いられる。
【0085】
前記架橋剤(C)の使用量は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、3重量部以下が好ましく、さらには0.01~3重量部が好ましく、さらには0.02~2重量部が好ましく、さらには0.03~1重量部が好ましい。なお、架橋剤(C)が0.01重量部未満では、粘着剤が架橋不足になり、耐久性や粘着特性を満足できないおそれがあり、一方、3重量部より多いと、粘着剤が硬くなりすぎて耐久性が低下する傾向が見られる。
【0086】
さらに本発明の粘着剤組成物には、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、帯電防止剤、着色剤、顔料等の粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、粘着性付与剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物等を使用する用途に応じて適宜添加することができる。また、制御できる範囲内で、還元剤を加えてのレドックス系を採用してもよい。これら添加剤は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して5重量部以下、さらには3重量部以下、さらには1重量部以下の範囲で用いるのが好ましい。
【0087】
一方、本発明の粘着剤組成物には、ポリエーテル骨格を有し、かつ少なくとも1つの末端に、反応性シリル基を有するポリエーテル化合物を含有しないことが好ましい。前記反応性シリル基を有するポリエーテル化合物は、例えば、特開2010-275522号公報に開示されているものを例示できる。前記反応性シリル基を有するポリエーテル化合物は、リワーク性を向上させることができる点で好ましいが、油脂やクリーム成分が前記弾性中間層に接触するおそれのある加湿環境下における粘着剤の剥がれを抑える観点からは好ましくない。
【0088】
本発明の粘着剤層は、光学フィルム(少なくとも1枚の偏光フィルムを含有)に貼り合わせた粘着剤層付き光学フィルムとして用いることができる。当該粘着剤層付き光学フィルムは、光学フィルムの少なくとも片面に、前記粘着剤組成物により粘着剤層を形成することにより得ることができる。
【0089】
粘着剤層を形成する方法としては、例えば、前記粘着剤組成物を剥離処理したセパレータ等に塗布し、重合溶剤等を乾燥除去して粘着剤層を形成した後に光学フィルム(偏光フィルム)に転写する方法、または光学フィルム(偏光フィルム)に前記粘着剤組成物を塗布し、重合溶剤等を乾燥除去して粘着剤層を光学フィルムに形成する方法等により作製される。なお、粘着剤の塗布にあたっては、適宜に、重合溶剤以外の一種以上の溶剤を新たに加えてもよい。
【0090】
前記粘着剤層の厚みは、特に制限されないが、薄くなると、画像表示部との密着性が低下したり、加熱収縮時に剥がれが生じやすくなく傾向があること、一方、厚くなると、油脂やクリーム成分が前記弾性中間層に接触するおそれのある加湿環境下において粘着剤に吸収されやすくなって、剥がれが生じすやくなることから、例えば、10~30μm程度であるのが好ましく、さらには15~20μmであるのが好ましい。
【0091】
前記粘着剤層は、オレイン酸膨潤度が130%を超え190%以下である。本発明の画像表示パネルによれば、粘着剤層のオレイン酸膨潤度が130%を超える場合、さらには140%以上の場合、さらには150%以上の場合にも、粘着剤層への油脂やクリーム成分の影響を小さく抑えることができる。また、粘着剤層のオレイン酸膨潤度が130%を超える場合には、粘着剤層が油脂やクリーム成分を吸収して他の光学部材(パネル下側のフィルムや基板、配線等)への影響を小さくすることができる。一方、粘着剤層のオレイン酸膨潤度が大きくなると、粘着剤層への油脂やクリーム成分の影響も大きくなるため、オレイン酸膨潤度は190%以下であり、180%以下であるのが好ましい。
【0092】
<画像表示部>
画像表示部は、上記光学フィルム(少なくとも1枚の偏光フィルムを含有)とともに、画像表示装置の一部を形成するものであり、画像表示装置としては、液晶表示装置、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)、電子ペーパー等あげられる。
【0093】
前記画像表示部としては、液晶表示装置に用いられる液晶セルを例示できる。液晶セルは、例えばTN型やSTN型、π型、VA型、IPS型などの任意なタイプのものを用いうる。
【0094】
<画像表示パネル>
画像表示パネルの形成には、前記光学フィルムの他に、それぞれの配置箇所の適性に応じて、他の光学フィルムを積層して用いることができる。例えば、液晶表示パネルでは、液晶セルの視認側に対して反対側に、少なくとも偏光フィルムが配置されるが、当該偏光フィルムに特に制限はない。また、前記他の光学フィルムとしては、例えば反射板や反透過板、位相差フィルム(1/2や1/4等の波長板を含む)、視覚補償フィルム、輝度向上フィルム等の液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層となるものが挙げられる。これらは1層または2層以上用いることができる。
【0095】
本発明の画像表示パネルは、端面が面一になっているものである。前記端面の全面が面一になっていることが好ましい。前記端面を面一する方法としては、得られた画像表示パネルの端部をレーザーカットに切断する方法、トムソン加工方法、スリット加工方法、端部研磨加工方法等があげられる。
【0096】
<外部ベゼル、内部ベゼル>
外部ベゼルは、画像表示パネルの端面の外側で外枠を形成して保護するものであり、通常、画像表示パネルに適用されているものと特に制限なく使用することができる。また、内部ベゼルは、前記画像表示パネルの端面部において、最表面を保護するものであり、通常、画像表示パネルに適用されているものと特に制限なく使用することができる。
【0097】
<弾性中間層>
弾性中間層は上記のように、画像表示パネルと画像表示装置の本体とが直接接触することが避けられるために用いられ、ノートパソコン等を閉じた場合に前記の接触による衝撃を緩和できる材料であれば特に制限はない。弾性中間層を形成する材料としては、例えば、ゴムパッキン等に用いられている、ニトリルゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、水素化ニトリルゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、クロロスルフォン化ポリエチレン、エピクロルヒドリンゴム、天然ゴム等のゴム材料を用いることができる。その他、弾性中間層の材料としては、例えば、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂等の弾性プラスチック、クッションフォーム発泡体等が挙げられる。
【0098】
<画像表示装置>
本発明の液晶表示装置等の各種画像表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組み立てて駆動回路を組み込むこと等により形成される。液晶表示装置は一般に、液晶セル(ガラス基板/液晶層/ガラス基板の構成)とその両側に配置した偏光フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組み立てて駆動回路を組み込むことなどにより形成される。視認側には、前記光学フィルムが配置され、他方には、他の偏光フィルムが配置される。また、液晶表示装置には、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
【実施例】
【0099】
以下に、製造例、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各例中の部および%はいずれも重量基準である。以下に特に規定のない室温放置条件は全て23℃65%RHである。
【0100】
<(メタ)アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量の測定>
(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定した。Mw/Mnについても、同様に測定した。
・分析装置:東ソー社製、HLC-8120GPC
・カラム:東ソー社製、G7000HXL+GMHXL+GMHXL
・カラムサイズ:各7.8mmφ×30cm 計90cm
・カラム温度:40℃
・流量:0.8mL/min
・注入量:100μL
・溶離液:テトラヒドロフラン
・検出器:示差屈折計(RI)
・標準試料:ポリスチレン
【0101】
<光学フィルムの調製>
実施例、比較例および参考例で用いた光学フィルムA乃至Cを下記のようにして調製した。
【0102】
(薄型偏光子の作製)
吸水率0.75%、Tg75℃の非晶質のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(IPA共重合PET)フィルム(厚み:100μm)基材の片面に、コロナ処理を施し、このコロナ処理面に、ポリビニルアルコール(重合度4200、ケン化度99.2モル%)およびアセトアセチル変性PVA(重合度1200、アセトアセチル変性度4.6%、ケン化度99.0モル%以上、日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマーZ200」)を9:1の比で含む水溶液を25℃で塗布および乾燥して、厚み11μmのPVA系樹脂層を形成し、積層体を作製した。
得られた積層体を、120℃のオーブン内で周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に2.0倍に自由端一軸延伸した(空中補助延伸処理)。
次いで、積層体を、液温30℃の不溶化浴(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(不溶化処理)。
次いで、液温30℃の染色浴に、偏光板が所定の透過率となるようにヨウ素濃度、浸漬時間を調整しながら浸漬させた。本実施例では、水100重量部に対して、ヨウ素を0.2重量部配合し、ヨウ化カリウムを1.0重量部配合して得られたヨウ素水溶液に60秒間浸漬させた(染色処理)。
次いで、液温30℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合し、ホウ酸を3重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(架橋処理)。
その後、積層体を、液温70℃のホウ酸水溶液(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合し、ヨウ化カリウムを5重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させながら、周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に総延伸倍率が5.5倍となるように一軸延伸を行った(水中延伸処理)。
その後、積層体を液温30℃の洗浄浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを4重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させた(洗浄処理)。
以上により、厚み5μmの偏光子を含む光学フィルム積層体を得た。
【0103】
(透明保護フィルム)
アクリル:厚み40μmのラクトン環構造を有する(メタ)アクリル樹脂フィルムの易接着処理面にコロナ処理を施して用いた。
【0104】
(透明保護フィルムに適用する接着剤の作製)
N-ヒドロキシエチルアクリルアミド10重量部、アクリロイルモルホリン30重量部、1,9-ノナンジオールジアクリレート45部、(メタ)アクリルモノマーを重合してなるアクリル系オリゴマー(ARUFONUP1190,東亞合成社製)10部、光重合開始剤(IRGACURE 907,BASF社製)3部、重合開始剤(KAYACURE DETX-S,日本化薬社製)2部を混合し、紫外線硬化型接着剤を調製した。
【0105】
(位相差フィルム)
第1位相差フィルム:厚み18μmの環状オレフィン系フィルム(屈折率特性:nx>ny>nz、面内位相差:116nm)を用いた。
【0106】
第2位相差フィルム:厚み6μmの変性ポリエチレンフィルム(屈折率特性:nz>nx>ny、面内位相差:35nm)を用いた。
【0107】
<偏光フィルム>
上記光学フィルム積層体の偏光子の表面に、上記紫外線硬化型接着剤aを硬化後の接着剤層の厚みが1μmとなるように塗布しながら、上記透明保護フィルム(厚み40μm:アクリル)を貼合せたのち、活性エネルギー線として、紫外線を照射し、接着剤を硬化させた。紫外線照射は、ガリウム封入メタルハライドランプ、照射装置:Fusion UV Systems,Inc社製のLight HAMMER10、バルブ:Vバルブ、ピーク照度:1600mW/cm2、積算照射量1000/mJ/cm2(波長380~440nm)を使用し、紫外線の照度は、Solatell社製のSola-Checkシステムを使用して測定した。次いで、非晶性PET基材を剥離し、薄型偏光子を用いた片保護偏光フィルムを作製した。
【0108】
一方、前記非晶性PET基材を剥離した、薄型偏光子の側には、第1位相差フィルム、第2位相差フィルムを順次貼り合わせて厚み72μmの偏光フィルムを得た。貼り合わせには上記と同じ紫外線硬化型接着剤aを用いて厚さ1μmの接着剤層を形成した。なお、第1位相差フィルムの遅相軸が偏光子の吸収軸に対して0°、第2位相差フィルムの遅相軸が偏光子の吸収軸に対して90°の角度をなすようにして貼り合わせた。
【0109】
<表面処理層付きフィルムの作製:ARTAC:厚み44μm)>
厚み40μmのトリアセチルセルロースフィルムに、スパッタにより、膜厚4μmの反射防止層を形成した。
【0110】
<表面処理層付きフィルムの作製:ARTAC:厚み84μm>
厚み80μmのトリアセチルセルロースフィルムに、スパッタにより、膜厚4μmの反射防止層を形成した。
【0111】
<表面処理層付きフィルムの作製:LCTAC(厚み42μm)>
厚み40μmのトリアセチルセルロースフィルムに、コーティングにより、膜厚2μmの液晶位相差層を形成した。
【0112】
<粘着剤層Aの調製>
(アクリル系ポリマーの調製)
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート100部、アクリル酸5部、を含有するモノマー混合物を仕込んだ。さらに、前記モノマー混合物(固形分)100部に対して、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部を酢酸エチル100部と共に仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って8時間重合反応を行って、重量平均分子量(Mw)160万のアクリル系ポリマーの溶液を調製した。
【0113】
(粘着剤組成物の調製)
上記で得られたアクリル系ポリマーの溶液の固形分100部に対して、イソシアネート系架橋剤(東ソー社製のコロネートL,トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート)0.45部を配合して、アクリル系粘着剤組成物の溶液を調製した。
【0114】
(粘着剤層の形成)
次いで、上記アクリル系粘着剤組成物の溶液を、シリコーン系剥離剤で処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータフィルム:三菱化学ポリエステルフィルム(株)製,MRF38)の片面に、乾燥後の粘着剤層の厚みが23μmまたは12μmになるように塗布し、155℃で1分間乾燥を行い、セパレータフィルムの表面に粘着剤層Aを形成した。
【0115】
上記偏光フィルム、表面処理層付きフィルムを、下記構成で積層して、光学フィルムA乃至Cを調製した。前記積層は、表面処理層付きフィルムのトリアセチルセルロースフィルム側に粘着剤層Aを介して貼り合わせることにより行った。前記偏光フィルムの積層は、HTX側に粘着剤層Aを貼り合わた。
光学フィルムA(合計厚み128μm):ARTAC(厚み44μm)/粘着剤層A(厚み12μm)/偏光フィルム(厚み72μm)
光学フィルムB(合計厚み179μm):ARTAC(厚み84μm)/粘着剤層A(厚み23μm)/偏光フィルム(厚み72μm)
光学フィルムC(合計厚み244μm):ARTAC(厚み84μm)/粘着剤層A(厚み23μm)/LCTAC(厚み42μm)/粘着剤層A(厚み23μm)/偏光フィルム(厚み72μm)
【0116】
実施例1
(アクリル系ポリマーの調製)
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート81.9部、ベンジルアクリレート13.2部、4-ヒドロキシブチルアクリレート0.1部、アクリル酸4.8部、を含有するモノマー混合物を仕込んだ。さらに、前記モノマー混合物(固形分)100部に対して、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部を酢酸エチル100部と共に仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って8時間重合反応を行って、重量平均分子量(Mw)160万のアクリル系ポリマーの溶液を調製した。
【0117】
(粘着剤組成物の調製)
上記で得られたアクリル系ポリマーの溶液の固形分100部に対して、
オリゴマー型のメルカプト基含有シランカップリング剤(信越化学工業社製のX-41-1810)0.2部、イソシアネート系架橋剤(東ソー社製のコロネートL,トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート)0.45部を配合して、アクリル系粘着剤組成物の溶液を調製した。
【0118】
(粘着剤層の形成)
次いで、上記アクリル系粘着剤組成物の溶液を、シリコーン系剥離剤で処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータフィルム:三菱化学ポリエステルフィルム(株)製,MRF38)の片面に、乾燥後の粘着剤層の厚みが20μmになるように塗布し、155℃で1分間乾燥を行い、セパレータフィルムの表面に粘着剤層Bを形成した。
【0119】
(画像表示パネルの作製)
画像表示部(対角15インチサイズを含む液晶セル:厚み300μm)を準備した。
前記で調製した光学フィルムAの偏光フィルム側に、上記で調製した粘着剤層Bを貼り合わせて、粘着剤層付き光学フィルム(前記液晶セルより短辺、長辺がいずれも4mm短い偏光フィルム)を調製した。当該粘着剤層付き光学フィルムから、セパレータフィルムを剥離した後、前記画像表示部の視認側に、当該粘着剤層Bを介して、前記光学フィルムA(第2位相差フィルム側)を、ラミネーターを用いて貼り合わせて画像表示パネル(液晶表示パネル)を作製した。次いで、50℃、0.5MPaで15分間オートクレーブ処理して、上記光学フィルムAを完全に画像表示部に密着させた。得られた画像表示パネルの端部の全部が面一になるようにレーザーカットにより切断して15インチサイズに成形した。
【0120】
(ベゼル付き画像表示パネルの作製)
弾性中間層として、前記画像表示パネル(15インチサイズ)の外縁に合わせて加工した、幅1mm、高さ5mmのゴム成形物を準備した。
また、外側ベゼルとして、上記画像表示パネル(15インチサイズ)に合わせて成形した、幅1mm、高さ3mmの金属調のスパッタが施された樹脂板(枠)を準備した(パネルを嵌め込むことができる凹型の筐体フレームに一体化したもの)。
前記外部ベゼルが一体化された筐体に前記弾性中間層を取り付け、次いで、前記画像表示パネルを組み込んで、前記画像表示装置の端面の外側の全部に、前記弾性中間層、外側ベゼルを順次に取り付けられた、
図3(
図3A、
図3B)に示す構造のベゼル付き画像表示パネルを作製した。得られたベゼル付き画像表示パネルでは、前記画像表示パネル(光学フィルムA)の視認側の最表面よりも、弾性中間層が1mm突出しているように設けた。前記弾性中間層は、前記画像表示パネルの端面に接触した構造であった。前記外側ベゼルは接着剤により前記弾性中間層に固定した。
【0121】
実施例2~11および比較例1~17
実施例1において、アクリル系ポリマーの調製に用いたモノマー混合物の組成もしくは割合、粘着剤組成物の調製に用いたシランカップリング剤の種類もしくは配合量、架橋剤の種類もしくは配合量、または形成した粘着剤層の厚みを表1に示すように変えたこと以外は実施例1と同様にして、粘着剤層Bを形成した。また、上記で得られた粘着剤層Bを用いて、表1に示す光学フィルムA乃至Cを用いて、実施例1と同様にして、画像表示パネルを作製した。また、実施例1と同様にして、ベゼル付き画像表示パネルを作製した。
【0122】
なお、比較例1~3、7~17では、(画像表示パネルの作製)において、得られた画像表示パネルの端部の全部が面一になるように施したレーザーカットを行うことなく(
図2の構成)、ベゼル付き画像表示パネルの作製を行った。
【0123】
但し、実施例11では、
図4(
図4A、
図4B)に示す構造のベゼル付き画像表示パネルを作製した。当該ベゼル付き画像表示パネルでは、内側ベゼルとして、上記画像表示パネル(15インチサイズ)に合わせて成形した、幅20mm、高さ2mmの金属調のスパッタが施された樹脂板(枠)を準備して組み合立てた。弾性中間層は、前記画像表示パネルの端面と15mmの隙間を設けた。外側ベゼル、前記弾性中間層は、前記隙間を確保できる大きさのものを用いた。前記外側ベゼルは接着剤により前記弾性中間層に固定した。前記内部ベゼルは接着剤により前記画像表示パネルの最表面の端部、前記弾性中間層に固定した。
【0124】
なお、比較例13の粘着剤層の形成に用いた粘着剤組成物は下記方法で調製した。
アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)67重量部、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA)15重量部およびN-ビニル-2-ピロリドン(NVP)18重量部から構成されるモノマー混合物に、光重合開始剤として、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184,BASF社製)0.050重量部、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(商品名:イルガキュア651,BASF社製)0.050重量部を配合した後、粘度(計測条件:BH粘度計No.5ローター,10rpm,測定温度30℃)が約20Pa・sになるまで紫外線を照射して、上記モノマー成分の一部が重合したプレポリマー組成物(重合率:9%)を得た。次に、該プレポリマー組成物に、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)0.09重量部を添加して混合し、粘着剤組成物を得た。上記粘着剤組成物を、剥離フィルム(商品名「MRF#38」、三菱樹脂(株)製)の剥離処理された面上に、厚みが20μmとなるように塗布して、粘着剤組成物層を形成した。次いで、もう一方の粘着剤組成物層の表面と、剥離フィルム(「MRN#38」、三菱樹脂(株)製)の剥離処理された面とを貼り合わせ、照度:4mW/cm2、光量:1200mJ/cm2の条件にて紫外線照射を行い、光硬化させて粘着剤層を形成し、粘着シートを作製した。
【0125】
参考例1(カバーガラス・画像表示パネルの作製)
実施例1で調製した画像表示パネルと同様の画像表示パネルを用いて、
図5に示す構造のベゼル付き画像表示パネルを作製した。
外側ベゼルとして、実施例1で用いたものと同様のものを準備した。
カバーガラスとして前記画像表示パネル(15インチサイズ)に合わせて成形した、厚み1500μmの強化ガラスを準備した。
前記画像表示パネルの端面の外側の全部に、前記外側ベゼルを取り付けて組み立てた。前記外側ベゼルは接着剤により前記画像表示パネルに固定した。前記カバーガラスは粘着剤層(日東電工社製のLUCIACS CS9864)により貼り合わせた。
【0126】
上記実施例、比較例および参考例で得られた、ベゼル付き画像表示パネルについて以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0127】
<加湿時の薬品試験>
得られたベゼル付き画像表示パネルの弾性中間層(参考例では外図ベゼル)の内側(全部)に、下記薬品10mLを、2mLスポイトを使用して滴下した。
オレイン酸:和光純薬社製のオレイン酸(1級,65重量%含有)。
バセリン保湿クリーム:ユニリーバ社製のUJボディミルクCOAB(水63重量%,グリセリン26重量%含有)。
日焼け止めクリーム:EDGEWELL PERSONAL CARE バナナボートサンスクリーンローション SPF30。
薬品が滴下されて、ベゼル付き画像表示パネルを65℃90%RHの条件にて72時間保存した後、常温(23℃)に放置した後、外観を目視にて観察して、粘着剤層Bの剥がれを下記基準で評価した。
(評価基準)
OK:剥がれなし。
NG:剥がれあり。
【0128】
<オレイン酸膨潤度の測定>
各例で用いた、セパレータフィルムの表面に形成した粘着剤層Bを、20mm×40mmに裁断してサンプルを作製してその重量(W1)を測定した。次いで、前記サンプルをオレイン酸中に60℃、湿度90%の条件下にて24時間浸漬した後、サンプルをオレイン酸から取り出して、サンプルの表面をエタノールで洗浄した後、110℃にて3時間乾燥させた。乾燥後のサンプルの重量(W3)を測定し、下記式(2)を用いてアクリル粘着剤のオレイン酸膨潤率を算出した。サンプルのセパレータフィルムの重量(W2)は別途測定した。
膨潤率(重量%)={(W3-W2)/(W1-W2)}×100
【0129】
<他部材への影響>
評価したベゼル付き画像表示パネルに関して、フィルムの劣化、配線(変色、断線)の不具合を目視にて観察して、動作の不良を下記基準で評価した。
(評価基準)
OK:不具合なし。
NG:不具合あり。
【0130】
【0131】
表1中、
MA:メチルアクリレート、
EA:エチルアクリレート、
BA:ブチルアクリレート、
MMA:メチルメタクリレート、
2EHA:2-エチルヘキシルアクリレート、
BzA:ベンジルアクリレート、
4HBA:4-ヒドロキシブチルアクリレート、
HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート、
NVP:N-ビニルピロリドン、
AA:アクリル酸、
SAT:カネカ社製のサイリルSAT10、
KBM403:信越化学工業社製のKBM-403
KBM573:信越化学工業社製のKBM-573
A100:綜研化学社製のA100(アセトアセチル基含有シランカップリング剤)
X-41-1810:信越化学工業社製のオリゴマー型のメルカプト基含有シランカップリング剤、
X-41-1056:信越化学工業社製のオリゴマー型のエポキシ基含有シランカップリング剤、
C/HX:イソシアネート系架橋剤(東ソー社製のコロネートHX,ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体)、
C/L:イソシアネート系架橋剤(東ソー社製のコロネートL,トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート)、
D160N:イソシアネート架橋剤(三井化学社製のタケネートD160N,トリメチロールプロパンヘキサメチレンジイソシアネート)
HDDA:ヘキサンジオールジアクリレート、を示す。
【符号の説明】
【0132】
A 画像表示パネル
1 画像表示部
2 光学フィルム(偏光フィルムを含む)
3 粘着剤層(画像表示部側)
4 弾性中間層
5 外部ベゼル
6 内部ベゼル
7 空室
8 粘着剤層(カバーガラス側)
9 カバーガラス