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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】二次電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/536 20210101AFI20230217BHJP
   H01M 50/533 20210101ALI20230217BHJP
   H01M 50/534 20210101ALI20230217BHJP
   H01M 50/54 20210101ALI20230217BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20230217BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20230217BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20230217BHJP
【FI】
H01M50/536
H01M50/533
H01M50/534
H01M50/54
H01M50/586
H01M50/591
H01M4/66 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019012632
(22)【出願日】2019-01-29
(65)【公開番号】P2020119874
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高林 洋志
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真一朗
【審査官】福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-049311(JP,A)
【文献】国際公開第2013/031937(WO,A1)
【文献】特開2017-117739(JP,A)
【文献】国際公開第2017/149949(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/208238(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 4/64- 4/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極板と、
前記第1電極板と極性の異なる第2電極板と、
前記第1電極板と前記第2電極板を含む電極体と、
前記第1電極板に電気的に接続された第1電極集電体と、を備えた二次電池であって、
前記第1電極板は、第1電極芯体と、前記第1電極芯体上に形成された第1電極活物質層を有し、
前記電極体は、前記第1電極芯体が積層された第1電極芯体積層部を有し、
前記第1電極集電体の一方の面に前記第1電極芯体積層部が接合されて接合部が形成され、
前記第1電極集電体において前記接合部が形成された部分において、前記一方の面と反対側に位置する他方の面には凹凸形成部が形成され、
前記第1電極集電体の前記他方の面には凹部が形成されており、
前記凹部を構成する底面に前記凹凸形成部が形成され、
前記他方の面には、前記凹凸形成部を覆うようにカバー部材が配置され
前記カバー部材は、前記凹部の周囲に接続された二次電池。
【請求項2】
前記カバー部材は、接着層により前記第1電極集電体に接着された請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
第1電極板と、
前記第1電極板と極性の異なる第2電極板と、
前記第1電極板と前記第2電極板を含む電極体と、
前記第1電極板に電気的に接続された第1電極集電体と、を備えた二次電池であって、
前記第1電極板は、第1電極芯体と、前記第1電極芯体上に形成された第1電極活物質層を有し、
前記電極体は、前記第1電極芯体が積層された第1電極芯体積層部を有し、
前記第1電極集電体の一方の面に前記第1電極芯体積層部が接合されて接合部が形成され、
前記第1電極集電体において前記接合部が形成された部分において、前記一方の面と反対側に位置する他方の面には凹凸形成部が形成され、
前記他方の面には、前記凹凸形成部を覆うようにカバー部材が配置され、
前記カバー部材は、接着層により前記第1電極集電体に接着され、
前記接着層は、前記凹凸形成部を囲むように環状に配置された二次電池。
【請求項4】
前記第1電極集電体の厚み方向において、前記カバー部材と前記凹凸形成部は離間して配置された請求項1~3のいずれかに記載の二次電池。
【請求項5】
前記第1電極芯体は銅又は銅合金製であり、
前記第1電極集電体は銅又は銅合金製である請求項1~のいずれかに記載の二次電池。
【請求項6】
第1電極板と、
前記第1電極板と極性の異なる第2電極板と、
前記第1電極板と前記第2電極板を含む電極体と、
前記第1電極板に電気的に接続された第1電極集電体と、を備え、
前記第1電極板は、第1電極芯体と、前記第1電極芯体上に形成された第1電極活物質層を有する二次電池の製造方法であって、
前記第1電極芯体が積層された第1電極芯体積層部を有する前記電極体を作製する電極体作製工程と、
前記第1電極芯体積層部と前記第1電極集電体をアンビルとホーンで挟み込み超音波接合する超音波接合工程と、を有し、
前記超音波接合工程において、前記第1電極集電体において前記アンビルが接する部分に凹凸形成部が形成され、
前記第1電極集電体の前記凹凸形成部が形成された面には凹部が形成されており、
前記凹部を構成する底面に前記凹凸形成部が形成され、
前記超音波接合工程の後、カバー部材が前記凹凸形成部を覆うように前記カバー部材を前記第1電極集電体に接続するカバー部材接続工程を有し、
前記カバー部材は、前記凹部を覆うように配置され、
前記カバー部材は、前記凹部の周囲に接続された二次電池の製造方法。
【請求項7】
前記カバー部材は、接着層により前記第1電極集電体に接着された請求項6に記載の二次電池の製造方法。
【請求項8】
第1電極板と、
前記第1電極板と極性の異なる第2電極板と、
前記第1電極板と前記第2電極板を含む電極体と、
前記第1電極板に電気的に接続された第1電極集電体と、を備え、
前記第1電極板は、第1電極芯体と、前記第1電極芯体上に形成された第1電極活物質層を有する二次電池の製造方法であって、
前記第1電極芯体が積層された第1電極芯体積層部を有する前記電極体を作製する電極体作製工程と、
前記第1電極芯体積層部と前記第1電極集電体をアンビルとホーンで挟み込み超音波接合する超音波接合工程と、を有し、
前記超音波接合工程において、前記第1電極集電体において前記アンビルが接する部分に凹凸形成部が形成され、
前記超音波接合工程の後、カバー部材が前記凹凸形成部を覆うように前記カバー部材を前記第1電極集電体に接続するカバー部材接続工程を有し、
前記カバー部材は、接着層により前記第1電極集電体に接着され、
前記接着層は、前記凹凸形成部を囲むように環状に配置された二次電池の製造方法。
【請求項9】
前記カバー部材接続工程において、前記第1電極集電体の厚み方向において、前記カバー部材と前記凹凸形成部の間に隙間が形成されるように前記カバー部材を前記第1電極集電体に接続する請求項6~8のいずれかに記載の二次電池の製造方法。
【請求項10】
前記第1電極芯体は銅又は銅合金製であり、
前記第1電極集電体は銅又は銅合金製である請求項6~9のいずれかに記載の二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二次電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の二次電池は、正極板及び負極板を含む電極体を電解質とともに電池ケース内に収容した構造を有している。電極体を構成する正極板及び負極板は、それぞれ金属製の芯体の表面に活物質層が形成されている。そして、正極板及び負極板のそれぞれに設けられた芯体露出部は、集電体を介して、電池ケースに取り付けられた端子と電気的に接続されている。
【0003】
芯体と集電体とを接合する方法として、超音波接合により接合する方法が知られている。超音波接合は、積層された芯体と集電体とをホーンとアンビルとで挟み込みながら、超音波による振動エネルギーを接合面に加えることによって行われる。なお、積層された芯体と集電体とを確実に挟み込むために、ホーン及びアンビルの表面には、それぞれ複数の突起部が設けられている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ホーンの表面に設けられた突起部の形状を円弧状にしたり、ホーンの周辺に、突起部が形成されていないマージン領域を設ける方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-125801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の一つの目的は、正極板と負極板の短絡が抑制された二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一形態の二次電池は、
第1電極板と、
前記第1電極板と極性の異なる第2電極板と、
前記第1電極板と前記第2電極板を含む電極体と、
前記第1電極板に電気的に接続された第1電極集電体と、を備えた二次電池であって、
前記第1電極板は、第1電極芯体と、前記第1電極芯体上に形成された第1電極活物質層を有し、
前記電極体は、前記第1電極芯体が積層された第1電極芯体積層部を有し、
前記第1電極集電体の一方の面に前記第1電極芯体積層部が接合されて接合部が形成され、
前記第1電極集電体において前記接合部が形成された部分において、前記一方の面と反対側に位置する他方の面には凹凸形成部が形成され、
前記他方の面には、前記凹凸形成部を覆うようにカバー部材が配置されている。
【0008】
発明者等が、積層された複数の芯体と集電体とを超音波接合により接合した後に、接合部で発生した金属小片(発塵)を調べていたところ、芯体の厚みよりも大きい金属小片が含まれていることに気がついた。その後の詳細な分析から、このような大きさの金属小片
は、芯体から剥がれてできたものではなく、集電体から削り取られてできたものであることが分かった。
【0009】
上述の一形態の二次電池の構成によると、集電体の凹凸形成部の近傍に存在する金属小片が凹凸形成部の近傍から移動し電極体内に侵入することが効果的に抑制される。よって、正極板と負極板の短絡が抑制された信頼性の高い二次電池となる。なお、第1電極板は正極板であってもよいし、負極板であってもよい。
【0010】
本開示の一形態の二次電池の製造方法は、
第1電極板と、
前記第1電極板と極性の異なる第2電極板と、
前記第1電極板と前記第2電極板を含む電極体と、
前記第1電極板に電気的に接続された第1電極集電体と、を備え、
前記第1電極板は、第1電極芯体と、前記第1電極芯体上に形成された第1電極活物質層を有する二次電池の製造方法であって、
前記第1電極芯体が積層された第1電極芯体積層部を有する前記電極体を作製する電極体作製工程と、
前記第1電極芯体積層部と前記第1電極集電体をアンビルとホーンで挟み込み超音波接合する超音波接合工程と、を有し、
前記超音波接合工程において、前記第1電極集電体において前記アンビルが接する部分に凹凸形成部が形成され、
前記超音波接合工程の後、カバー部材が前記凹凸形成部を覆うように前記カバー部材を前記第1電極集電体に接続するカバー部材接続工程を有する。
【0011】
上述の一形態の二次電池の製造方法によると、集電体の凹凸形成部の近傍に存在する金属小片が凹凸形成部の近傍から移動し電極体内に侵入することが効果的に抑制された二次電池を製造できる。よって、正極板と負極板の短絡が抑制された信頼性の高い二次電池を製造できる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、正極板と負極板の短絡が抑制された二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る角形二次電池の角形外装体の正面部分と絶縁シート正面部分とを取り除いた電池内部を示す模式的な正面図である。
図2】実施形態に係る角形二次電池の上面図である。
図3】(a)は実施形態に係る正極板の平面図である。(b)は実施形態に係る負極板の平面図である。
図4】実施形態に係る負極集電体と負極芯体積層部の断面図であり、負極集電体と負極芯体積層部をホーンとアンビルで挟み込む前の状態を示す図である。
図5】実施形態に係る負極集電体と負極芯体積層部の断面図であり、負極集電体と負極芯体積層部をホーンとアンビルで挟み込んだ後の状態を示す図である。
図6】実施形態に係る負極集電体と負極芯体積層部の断面図であり、負極集電体と負極芯体積層部を超音波接合した後の状態を示す図である。
図7】実施形態に係る超音波接合した後の負極集電体と負極芯体積層部の平面図である。
図8】シート部材を配置した後の負極集電体と負極芯体積層部の平面図である。
図9図8におけるIX-IXの断面図である。
図10】凹凸形成部の拡大断面図である。
図11】変形例1に係る負極集電体と負極芯体積層部の断面図であり、負極集電体と負極芯体積層部をホーンとアンビルで挟み込む前の状態を示す図である。
図12】変形例1に係る負極集電体と負極芯体積層部の断面図であり、負極集電体と負極芯体積層部をホーンとアンビルで挟み込んだ後の状態を示す図である。
図13】変形例1に係る負極集電体と負極芯体積層部の断面図であり、負極集電体と負極芯体積層部を超音波接合した後の状態を示す図である。
図14】変形例1に係る超音波接合した後の負極集電体と負極芯体積層部の平面図である。
図15】シート部材を配置した後の負極集電体と負極芯体積層部の平面図である。
図16図15におけるXVI-XVIの断面図である。
図17】変形例2に係る負極集電体と負極芯体積層部の接合部近傍の断面図である。
図18】変形例3に係る負極集電体と負極芯体積層部の接合部近傍の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施形態に係る二次電池としての角形二次電池100について、図面を参照しながら説明する。なお、本開示の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0015】
まず、一実施形態に係る角形二次電池100の構成を説明する。図1及び図2に示すように、角形二次電池100は、上方に開口を有する角形外装体1と、当該開口を封口する封口板2を備える。角形外装体1及び封口板2により電池ケース200が構成される。角形外装体1及び封口板2はそれぞれ金属製であり、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金製であることが好ましい。角形外装体1内には、帯状の正極板と帯状の負極板とが帯状のセパレータを挟んで巻回された偏平状の巻回型の電極体3が非水電解質(図示省略)と共に収容される。角形外装体1と電極体3の間には樹脂製の絶縁シート14が配置されている。封口板2には電池ケース200内の圧力が所定値以上となると破断し、電池ケース200内のガスを電池ケース200外に排出するガス排出弁15が設けられている。また、封口板2に設けられた電解質注液孔16が、封止部材17により封止されている。
【0016】
図3(a)に示すように、正極板4は、金属製の正極芯体4aと、正極芯体4aの両面に形成された正極活物質層4bを有する。正極板4は、幅方向の端部に、長手方向に沿って、正極芯体4aの両面に正極活物質層4bが形成されていない正極芯体露出部を有する。正極芯体4aは、アルミニウム又はアルミニウム合金製であることが好ましい。正極活物質層4bは、正極活物質を含む。正極活物質としては、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物等を用いることができる。また、正極活物質層4bは、バインダー及び導電材を含むことが好ましい。バインダーとしては樹脂製のバインダーが好ましく、例えばポリフッ化ビニリデン等を用いることができる。導電部材としてはカーボンブラック等の炭素材料が好ましい。
【0017】
図3(b)に示すように、負極板5は、金属製の負極芯体5aと、負極芯体5aの両面に形成された負極活物質層5bを有する。負極板5は、幅方向の端部に、長手方向に沿って、負極芯体5aの両面に負極活物質層5bが形成されていない負極芯体露出部が形成されている。負極芯体5aは、銅又は銅合金製であることが好ましい。負極活物質層5bは、負極活物質を含む。負極活物質としては、例えば、黒鉛や非晶質炭素等の炭素材料、シリコンや酸化シリコン等のシリコン材料等を用いることができる。負極活物質層5bは、バインダーを含むことが好ましい。バインダーとしては樹脂製のバインダーが好ましく、例えばスチレンブタジエンゴム(SBR)及びカルボキシメシルセルロース(CMC)を含むことが好ましい。負極活物質層5bは必要に応じて導電材を含んでもよい。
【0018】
巻回型の電極体3は、一方の端部に巻回された正極芯体露出部を有し、他方の端部に巻
回された負極芯体露出部を有する。巻回された正極芯体露出部は、正極芯体4aが積層された正極芯体積層部40を構成する。巻回された負極芯体露出部は、負極芯体5aが積層された負極芯体積層部50を構成する。
【0019】
正極芯体積層部40には正極集電体6が接続されている。正極集電体6は封口板2に取り付けられた正極端子7と接続されている。封口板2と正極集電体6の間には樹脂製の内部側絶縁部材10が配置されている。封口板2と正極端子7の間には樹脂製の外部側絶縁部材11が配置されている。内部側絶縁部材10及び外部側絶縁部材11により、正極集電体6及び正極端子7は封口板2と電気的に絶縁されている。正極集電体6及び正極端子7は、金属製であり、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金製であることが好ましい。
【0020】
負極芯体積層部50には負極集電体8が接続されている。負極集電体8は封口板2に取り付けられた負極端子9と接続されている。封口板2と負極集電体8の間には樹脂製の内部側絶縁部材12が配置されている。封口板2と負極端子9の間には樹脂製の外部側絶縁部材13が配置されている。内部側絶縁部材12及び外部側絶縁部材13により、負極集電体8及び負極端子9は封口板2と電気的に絶縁されている。負極集電体8及び負極端子9は、金属製であり、例えば、銅又は銅合金製であることが好ましい。また、負極端子9は、銅又は銅合金からなる部分と、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる部分を有することが好ましい。そして、銅又は銅合金からなる部分を銅又は銅合金からなる負極集電体8と接続し、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる部分が封口板2よりも外部側に露出するようにすることが好ましい。
【0021】
正極端子7は、封口板2よりも電池外部側に配置される鍔部7aと、鍔部7aの一方の面に形成された挿入部(図示省略)を有する。挿入部が封口板2に設けられた正極端子取り付け孔(図示省略)を貫通し、正極集電体6に接続される。
負極端子9は、封口板2よりも電池外部側に配置される鍔部9aと、鍔部9aの一方の面に形成された挿入部(図示省略)を有する。挿入部が封口板2に設けられた負極端子取り付け孔(図示省略)を貫通し、負極集電体8に接続される。
【0022】
なお、正極集電体6と正極端子7を、他の導電部材を介して電気的に接続してもよい。また、負極集電体8と負極端子9を、他の導電部材を介して電気的に接続してもよい。
【0023】
正極集電体6は、封口板2と電極体3の間に配置されるベース部6aと、ベース部6aの端部から電極体3側に延びるリード部6bを有する。ベース部6aに正極端子7が接続されている。リード部6bが正極芯体積層部40に接合されている。リード部6bの幅方向の端部にはリブ6cが設けられる。なお、リブ6cを省略することもできる。
負極集電体8は、封口板2と電極体3の間に配置されるベース部8aと、ベース部8aの端部から電極体3側に延びるリード部8bを有する。ベース部8aに負極端子9が接続されている。リード部8bが負極芯体積層部50に接合されている。リード部8bの幅方向の端部にはリブ8cが設けられている。なお、リブ8cを省略することもできる。
【0024】
正極集電体6のリード部6bにおいて、正極芯体積層部40と接合された部分の正極芯体積層部40と接合された面とは反対側の面には、凹凸形成部6xが形成されている。この凹凸形成部6xは、正極集電体6と正極芯体積層部40を超音波接合する際に、正極集電体6にアンビルに設けられたアンビル突起が食い込むことにより形成される。即ち、凹凸形成部6xは、アンビルによる押圧痕である。
【0025】
負極集電体8のリード部8bにおいて、負極芯体積層部50と接合された部分の負極芯体積層部50と接合された面とは反対側の面には、凹凸形成部8xが形成されている。こ
の凹凸形成部8xは、負極集電体8と負極芯体積層部50を超音波接合する際に、負極集電体8にアンビルに設けられたアンビル突起が食い込むことにより形成される。即ち、凹凸形成部8xは、アンビルによる押圧痕である。
【0026】
[封口板への各部品取り付け]
以下に、正極集電体6、正極端子7、負極集電体8及び負極端子9の封口板2への取り付け方法を説明する。
まず、封口板2に設けられた正極端子取り付け孔(図示省略)の周囲において、封口板2の電池外部側に外部側絶縁部材11を配置し、封口板2の内面側に内部側絶縁部材10及び正極集電体6のベース部6aを配置する。次に、正極端子7の挿入部を電池外部側から、外部側絶縁部材11の貫通孔、封口板2の正極端子取り付け孔、内部側絶縁部材10の貫通孔及びベース部6aの貫通孔に挿入し、正極端子7の挿入部の先端側をベース部6a上にカシメる。これにより、正極端子7、外部側絶縁部材11、封口板2、内部側絶縁部材10及び正極集電体6が一体的に固定される。なお、正極端子7の挿入部の先端のカシメられた部分をベース部6aに溶接してもよい。
【0027】
同様に、封口板2に設けられた負極端子取り付け孔(図示省略)の周囲において、封口板2の電池外部側に外部側絶縁部材13を配置し、封口板2の電池内部側に内部側絶縁部材12及び負極集電体8のベース部8aを配置する。次に、負極端子9の挿入部を電池外部側から、外部側絶縁部材13の貫通孔、封口板2の負極端子取り付け孔、内部側絶縁部材12の貫通孔及びベース部8aの貫通孔に挿入し、負極端子9の挿入部の先端側をベース部8a上にカシメる。これにより、負極端子9、外部側絶縁部材13、封口板2、内部側絶縁部材12及び負極集電体8が一体的に固定される。なお、負極端子9の挿入部の先端のカシメられた部分をベース部8aに溶接してもよい。
【0028】
[角形二次電池100の組立て]
封口板2に取り付けられた正極集電体6と正極芯体積層部40を接合し、封口板2に取り付けられた負極集電体8と負極芯体積層部50を接合する。そして、電極体3を絶縁シート14で覆い、絶縁シート14で覆われた電極体3を角形外装体1に挿入する。そして、封口板2を角形外装体1にレーザー溶接により溶接し、角形外装体1の開口を封口板2で封口する。封口板2の電解質注液孔16から非水電解質を電池ケース200内に注入した後、電解質注液孔16を封止部材17で封止する。これにより角形二次電池100となる。
【0029】
以下、負極集電体8と負極芯体積層部50の接合方法を例に、集電体と芯体積層部の接合方法を説明する。なお、正極集電体6と正極芯体積層部40の接合も同様の方法で行うことができる。
【0030】
[集電体と芯体積層部の接合]
図4図6は、リード部8bの幅方向(図1における左右方向)に沿った、リード部8b、負極芯体積層部50、ホーン90、及びアンビル91の断面図である。
【0031】
図4に示すように、リード部8bの一方の面側に負極芯体積層部50を配置する。そして、ホーン90とアンビル91で、負極芯体積層部50とリード部8bを挟み込む。ホーン90は先端に複数のホーン突起90aを有する。そして、ホーン突起90aが負極芯体積層部50と接するようにする。アンビル91は先端に複数のアンビル突起91aを有する。そして、アンビル突起91aがリード部8bと接するようにする。
【0032】
図5に示すように、ホーン90とアンビル91で、負極芯体積層部50とリード部8bを挟み込むことにより、ホーン突起90aが負極芯体積層部50に食い込み、アンビル突
起91aがリード部8bに食い込んだ状態とする。そして、ホーン90に超音波振動を与えることにより、図6に示すように負極芯体積層部50における負極芯体5a同士、及び負極芯体積層部50とリード部8bが接合される。これにより、負極芯体積層部50に接合部51が形成される。
【0033】
接合部51の表面には、芯体側凹凸形成部51xが形成される。また、リード部8bには、アンビル91による押圧痕である凹凸形成部8xが形成される。
【0034】
図7は、負極芯体積層部50とリード部8bが超音波接合された後の、リード部8bにおいて負極芯体積層部50が接合される面とは反対側の面の平面図である。リード部8bにおいて接合部51が形成された部分の反対側にはアンビル91による押圧痕である凹凸形成部8xが形成される。なお、図6は、図7におけるVI-VIの断面図である。
【0035】
次に、図8及び図9に示すように、凹凸形成部8xを覆うようにカバー部材としてのシート部材60をリード部8bに接続する。これにより、凹凸形成部8xの近傍に金属小片が存在した場合でも、この金属小片が凹凸形成部8xから電極体3内に移動することを抑制できる。なお、図9図8におけるIX-IXの断面図である。
【0036】
なお、凹凸形成部8xの近傍に存在する金属小片としては次のようなものが想定される。図10(a)に示すように、超音波接合の際にアンビル91がリード部8bの一部を削りとり、削り取られた金属小片70が凹凸形成部8xに付着している場合がある。また、図10(b)に示すように、超音波接合の際にアンビル91がリード部8bの一部を削り、バリ71が形成される場合がある。そして、このバリ71がリード部8bから脱離して金属小片となる場合がある。
【0037】
ここで、実施形態に係るシート部材60は、接着層61によりリード部8bに接続される。ここで、接着層61は、平面視が環状形状であり、凹凸形成部8xを囲むように配置される。このため、リード部8bの厚み方向(シート部材60の厚み方向)において、シート部材60と凹凸形成部8xの間には隙間が形成される。図9に示すように、シート部材60と凹凸形成部8xは接触していない。
【0038】
凹凸形成部8xは、超音波接合の際にアンビル91がリード部8bに食い込むことにより形成されるものである。凹凸形成部8xはその表面が平坦ではない。場合によっては、凹凸形成部8xの一部が、リード部8bにおける凹凸形成部8xの周囲の面よりも突出する(図9においては、凹凸形成部8xの一部がリード部8bの上面よりも上方に突出する)場合がある。したがって、凹凸形成部8xの表面にシート部材60を配置する場合、リード部8b上に安定的にシート部材60を配置できない虞がある。例えば、シート部材60に大きな皺が生じ、シート部材60とリード部8bにおける凹凸形成部8xの周囲との間に意図しない大きな隙間が生じる可能性がある。
【0039】
上述の実施形態の構成であると、シート部材60が凹凸形成部8xと接しないようにシート部材60をリード部8bに接続できる。よって、安定的にシート部材60をリード部8bに接続できる。
【0040】
シート部材60において凹凸形成部8xと対向する領域には接着層61が形成されていない。このような構成であると、接着層61の量を低減できるため、接着層61に吸収される非水電解液の量を低減できる。よって、電池反応に関与しない無駄な非水電解液を低減できる。なお、図8及び図9に示すようにシート部材60の外周縁近傍にも接着層61が形成されていない領域を有することがより好ましい。
【0041】
[変形例1]
図11~16に、変形例1に係る負極集電体と負極芯体積層部の接合形態を示す。変形例1では、上述の実施形態とは負極集電体のリード部の形状が異なる。変形例1に係る負極集電体108では、リード部108bにおいて負極芯体積層部50と対向する面とは反対側の面に凹部108dが設けられている。これにより、リード部108bに薄肉部108eが形成されている。負極集電体108は、リード部108bの幅方向の端部にリブ108cを有する。なお、図11及び図12は、リード部108bの幅方向(図1における左右方向)に沿った、リード部108b、負極芯体積層部50、ホーン90、及びアンビル91の断面図である。
【0042】
図11に示すように、リード部108bにおいて凹部108dが形成された面とは反対側の面に負極芯体積層部50を配置する。そして、ホーン90及びアンビル91で、負極芯体積層部50とリード部108bを挟み込む。
【0043】
図12に示すように、アンビル91がリード部108bに形成された凹部108dの底面に接するようにする。なお、アンビル91のアンビル突起91aが凹部108dの底面に食い込むようにする。
【0044】
超音波接合を行うことにより、図13に示すように、リード部108bの薄肉部108eにおいて、リード部108bと負極芯体積層部50が接合される。これにより、接合部51が形成される。リード部108bに形成されるアンビル91の押圧痕である凹凸形成部108xは、凹部108dの底面に形成される。
【0045】
図14は、負極芯体積層部50とリード部108bが超音波接合された後の、リード部108bにおいて負極芯体積層部50が接合される面とは反対側の面の平面図である。リード部108bにおいて接合部51が形成された部分の反対側にはアンビル91による押圧痕である凹凸形成部108xが形成される。なお、図13は、図14におけるXIII-XIIIの断面図である。
【0046】
次に、図15及び図16に示すように、凹凸形成部108xを覆うようにカバー部材としてのシート部材160をリード部108bに接続する。これにより、凹凸形成部108xの近傍に金属小片が存在した場合でも、この金属小片が凹凸形成部108xから電極体3内に移動することを抑制できる。なお、図16は、図15におけるXVI-XVIの断面図である。
【0047】
ここで、変形例1に係るシート部材160は、接着層161によりリード部108bに接続される。シート部材160は、接着層161により、リード部108bの凹部108dの周囲に接続されている。よって、リード部108bの厚み方向(シート部材160の厚み方向)において、接着層161と凹凸形成部108xの間に隙間が形成される。即ち、接着層161が凹凸形成部108xに接しないように、シート部材160をリード部108bに接続できる。
【0048】
凹凸形成部108xは、超音波接合の際にアンビル91がリード部108bに食い込むことにより形成されるものである。凹凸形成部108xはその表面が平坦ではない。したがって、凹凸形成部108xの表面にシート部材160を配置する場合、リード部108b上に安定的にシート部材160を配置できない虞がある。例えば、シート部材160に大きな皺が生じ、シート部材160とリード部108bにおける凹凸形成部108xの周囲との間に意図しない大きな隙間が生じる可能性がある。
【0049】
変形例1の構成であると、シート部材160が凹凸形成部108xと接しないようにシ
ート部材160をリード部108bに接続できる。よって、安定的にシート部材160をリード部108bに接続できる。
【0050】
[シート部材]
カバー部材としてのシート部材は、樹脂製であることが好ましい。例えば、シート部材は、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレン、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート、等から選択される部材あるいはそれらの混合物であることが好ましい。なお、シート部材は金属箔やガラスシートであってもよい。
シート部材の厚みは特に限定されないが、例えば、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であること更に好ましい。シート部材の厚みは1mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。
なお、基材層と接着層により構成されるテープの基材層を、シート部材としてもよい。
【0051】
シート部材に形成される接着層は、常温(25°)で接着性を有することが好ましい。また、接着層は、熱溶着可能なものであってもよい。接着層は、ゴム系の接着剤、アクリル系、ポリエチレン系等から選択される部材あるいはそれらの混合物であることが好ましい。特に接着層は、ゴム系の接着剤であることが好ましい。
【0052】
[変形例2]
図17は、変形例2に係る負極集電体のリード部と負極芯体積層部の接合部近傍の断面図であり、カバー部を取り付けた後の断面図である。なお、図17は、上述の実施形態に係る図9に対応する断面図である。
変形例2は、カバー部材の構成のみ上述の実施形態と異なる。変形例2において、カバー部材としての板状部材260は、凹凸形成部8xと対向する面に板状部材凹部260aを有する。そして、板状部材260において板状部材凹部260aの周囲に位置する周辺部260bが、接着層261により負極集電体8のリード部8bに接続されている。なお、周辺部260bは凹凸形成部8xを囲むように環状に形成されている。周辺部260bは凹凸形成部8xの周囲に接続されている。リード部8bの厚み方向において板状部材260と凹凸形成部8xが離間している。なお、板状部材260は樹脂製であることが好ましい。
【0053】
[変形例3]
図18は、変形例3に係る負極集電体のリード部と負極芯体積層部の接合部近傍の断面図であり、カバー部を取り付けた後の断面図である。なお、図18は、上述の変形例1に係る図16に対応する断面図である。
変形例3は、カバー部材の構成のみ上述の変形例1と異なる。変形例3において、板状部材360は、接着層361によりリード部108bに設けられた凹部108dの周囲に接続されている。なお、接着層361を環状に形成し、凹凸形成部108xと対向する部分に接着層361が配置されないようにしてもよい。リード部108bの厚み方向において板状部材360と凹凸形成部108xが離間している。なお、板状部材360は樹脂製であることが好ましい。
【0054】
[カバー部材]
カバー部材の材質や形状は特に限定されない。カバー部材は、例えば、樹脂製、セラミック製、又は金属製とすることができる。カバー部材は、シート状、板状、ブロック状等とすることができる。カバー部材と集電体の接続は、接着、溶着、嵌合等により行うことができる。
【0055】
[超音波接合]
集電体と芯体積層部を超音波接合する際の条件は、特に限定されないが、例えば、ホー
ン荷重を1000N~2500N(100kgf~250kgf)、周波数を19kHz~30kHz、接合時間を200ms~500msに設定して超音波接合を行ってもよい。また、周波数が20kHzの場合、ホーン振幅を最大振幅(例えば50μm)の50%~90%としてもよい。芯体積層部に超音波振動が加えられることにより、芯体積層部を構成する芯体の各表面、集電体の表面の酸化膜が摩擦によって取り除かれ、芯体同士が固相接合されると共に、芯体と集電体が固相接合されることが好ましい。
【0056】
<その他>
上述の実施形態及び変形例1~3においては、負極集電体の構成、負極集電体と負極芯体積層部の接合方法等について詳細を説明したが、正極集電体の構成、正極集電体と正極芯体積層部の接合方法等についても同様の構成とすることができる。
【0057】
本開示の内容は、正極側及び負極側の少なくとも一方に適用される。
【0058】
上述の実施形態及び変形例1~3においては、偏平状の巻回電極体を有する角形二次電池を例示したが、これに限定されない。電極体は、セパレータを挟んで正極板と負極板とが交互に複数枚積層された積層型の電極体であってもよい。積層型の電極体の場合、矩形状の芯体露出部が複数積層された芯体積層部とすることができる。なお、巻回電極体の場合でも、矩形状の芯体露出部が複数積層された芯体積層部とすることもできる。また、巻回電極体を、その巻回軸が封口板に対して垂直となる向きで電池ケース内に配置してもよい。また、電極体における封口板側の端部に正極芯体積層部と負極芯体積層部が配置される構成であってもよい。
【0059】
正極芯体がアルミニウム又はアルミニウム合金製である場合、正極芯体の厚みは5~30μmであることが好ましく、10~20μmであることがより好ましい。また、正極芯体積層部における正極芯体の積層数は10~100層であることが好ましく、30~100層がより好ましい。正極活物質層の厚みは、特に限定されないが、例えば、10~500μmであることが好ましい。
【0060】
負極芯体が銅又は銅合金製である場合、負極芯体の厚みは5~30μmであることが好ましく、6~15μmであることがより好ましい。また、負極芯体積層部における負極芯体の積層数は10~100層であることが好ましく、30~100層がより好ましい。負極活物質層の厚みは、特に限定されないが、例えば、10~500μmであることが好ましい。
【0061】
正極板、負極板、セパレータ、電解質等に関しては、公知の材料を用いることができる。
【符号の説明】
【0062】
100・・・角形二次電池
200・・・電池ケース
1・・・角形外装体
2・・・封口板
3・・・電極体
4・・・正極板
4a・・・正極芯体
4b・・・正極活物質層
5・・・負極板
5a・・・負極芯体
5b・・・負極活物質層
6・・・正極集電体
6a・・・ベース部
6b・・・リード部
6c・・・リブ
6x・・・凹凸形成部
7・・・正極端子
7a・・・鍔部
8・・・負極集電体
8a・・・ベース部
8b・・・リード部
8c・・・リブ
8x・・・凹凸形成部

9・・・負極端子
9a・・・鍔部
10・・・内部側絶縁部材
11・・・外部側絶縁部材
12・・・内部側絶縁部材
13・・・外部側絶縁部材
14・・・絶縁シート
15・・・ガス排出弁
16・・・電解質注液孔
17・・・封止部材

50・・・負極芯体積層部
51・・・接合部
51x・・・芯体側凹凸形成部

60、160・・・シート部材
61、161・・・接着層

90・・・ホーン
90a・・・ホーン突起
91・・・アンビル
91a・・・アンビル突起

108・・・負極集電体
108b・・・リード部
108c・・・リブ
108d・・・凹部
108e・・・薄肉部
108x・・・凹凸形成部

260、360・・・板状部材
260a・・・板状部材凹部
260b・・・周辺部
261、361・・・接着層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18