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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】計測システム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/26 20060101AFI20230217BHJP
【FI】
G01B11/26 H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019017452
(22)【出願日】2019-02-01
(65)【公開番号】P2020125935
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000145806
【氏名又は名称】株式会社小野測器
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】楠美 貴大
(72)【発明者】
【氏名】平田 秀徳
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-241928(JP,A)
【文献】特開2017-198563(JP,A)
【文献】特開2003-254716(JP,A)
【文献】特開2010-122777(JP,A)
【文献】特開2010-217093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01H 1/00-17/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測装置に接続したセンサを用いて計測を行う計測システムであって、
カメラを備え、
前記センサは、相互に直交する3面を外面として有すると共に、当該直交する3面にそれぞれ配置された相互に異なる色で発光する発光部を有し、
前記計測装置は、当該計測装置に接続したセンサの前記直交する3面にそれぞれ配置された発光部の全てを点灯し、前記カメラで撮影した画像中に現れる3色の発光部の配置パターンから、前記センサの傾きを算定するセンサ姿勢算定手段を有することを特徴とする計測システム。
【請求項2】
請求項1記載の計測システムであって、
前記センサ姿勢算定手段は、前記3色の発光部の配置パターンとして、前記カメラで撮影した画像中の3色の発光部それぞれの領域の中心の配置パターンを用いることを特徴とする計測システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の計測システムであって、
前記センサは直方体の外形を有し、前記直方体の6つの外面のうちの相互に直交する3面を少なくとも含む3以上の面にそれぞれ相互に異なる色で発光する発光部が配置されていることを特徴とする計測システム。
【請求項4】
計測装置に接続したセンサを用いて計測を行う計測システムであって、
カメラを備え、
前記センサは直方体の外形を有し、前記直方体の6つの面のうち、少なくとも5面に、相互に異なる色で発光する発光部が配置されており、
前記計測装置は、当該計測装置に接続したセンサの発光部を点灯し、前記カメラで撮影した画像中に現れる3以上の各色の発光部の配置パターンから、前記センサの傾きを算定するセンサ姿勢算定手段を有することを特徴とする計測システム。
【請求項5】
請求項4記載の計測システムであって、
前記センサ姿勢算定手段は、当該計測装置に接続したセンサの発光部を点灯し、前記カメラで撮影した画像中に2つの発光部のみが現れており、当該2つの発光部の領域の中心が水平方向にも垂直方向にも並んでいない場合にセンサのエラーを検出することを特徴とする計測システム。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5記載の計測システムであって、
前記センサは、当該センサに対して固定された座標系であるセンサ座標系で表される測定値を検出し、
前記計測装置は、前記センサが検出した測定値を、前記センサ姿勢算定手段が算定した前記センサの傾きを用いて、前記センサ座標系と異なる座標系で表した測定値に変換する座標系変換手段を有することを特徴とする計測システム。
【請求項7】
計測装置に接続したセンサを用いて計測を行う計測システムであって、
カメラを備えると共に、
前記センサを複数備え、
前記センサは、相互に異なる色で発光する同一平面上にない3以上の発光部を有し、
前記計測装置は、当該計測装置に接続したセンサの発光部を点灯し、前記カメラで撮影した画像中に現れる3以上の各色の発光部の配置パターンから、前記センサの傾きを算定するセンサ姿勢算定手段を有し、
前記計測装置は、前記複数のセンサが各々接続される複数のチャンネルを備え、
前記計測装置は、順次、前記各チャンネルについて、当該チャンネルに接続したセンサの発光部を所定の点灯パターンで点灯し、前記カメラで撮影した画像中に現れる前記点灯パターンを認識し、当該点灯パターンを認識した前記画像中の位置を、当該チャンネルに接続されたセンサに対応する前記画像中の位置として算定するセンサ位置算定手段を有することを特徴とする計測システム。
【請求項8】
計測装置に接続したセンサを用いて計測を行う計測システムであって、
カメラを備えると共に、
前記センサを複数備え、
前記センサは、相互に異なる色で発光する同一平面上にない3以上の発光部を有し、
前記計測装置は、当該計測装置に接続したセンサの発光部を点灯し、前記カメラで撮影した画像中に現れる3以上の各色の発光部の配置パターンから、前記センサの傾きを算定するセンサ姿勢算定手段を有し、
前記計測装置は、前記複数のセンサが各々接続される複数のチャンネルを備え、
前記計測装置は、前記各チャンネルに接続したセンサの発光部を、当該チャンネルの識別を表す前記チャンネル毎に異なる点灯パターンで点灯し、前記カメラで撮影した画像中に現れる前記各点灯パターンを認識し、点灯パターンを認識した前記画像中の位置を、当該点灯パターンが識別を表すチャンネルに接続されたセンサに対応する前記画像中の位置として算定するセンサ位置算定手段を有することを特徴とする計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、姿勢が既知でないセンサを用いてセンサ外部の座標系と関連づけた計測を行う技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
姿勢が既知でないセンサを用いてセンサ外部の座標系と関連づけた計測を行う技術としては、加速度センサに対して地磁気センサを固定し、地磁気センサを用いて実空間の鉛直方向/水平方向を検出して鉛直方向/水平方向と加速度センサの座標系とを対応づけることにより、加速度センサの姿勢に関わらずに、鉛直方向の加速度と水平方向の加速度の計測を行えるようにした技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-130107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した技術によれば、センサを用いてセンサ外部の座標系と関連づけた計測を行うために、センサ毎に当該センサとは別種のセンサが必要となり、センサの構成の複雑化や大型化や高コスト化を招く。
【0005】
そこで、本発明は、より簡易な構成において、姿勢が既知でないセンサを用いてセンサ外部の座標系と関連づけた計測を行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題達成のために、本発明は、計測装置に接続したセンサを用いて計測を行う計測システムにカメラを備え、前記センサに、相互に異なる色で発光する同一平面上にない3以上の発光部を設け、前記計測装置は、当該計測装置に接続したセンサの発光部を点灯させ、前記カメラで撮影した画像中に現れる3以上の各色発光部の配置パターンから、前記センサの傾きを算定するセンサ姿勢算定手段を備えたものである。
【0007】
このような計測システムは、前記センサ姿勢算定手段において、前記3以上の各色の発光部の配置パターンとして、前記カメラで撮影した画像中にある3以上の各色発光部の領域の中心を配置パターンとして用いてもよい。
【0008】
また、前記センサを異なる方向を向いた3以上の面を備えた外形を有するものとし、前記3以上の発光部を、前記3以上の面の各々に配置してもよい。
また、前記センサを、直方体の外形を有するものとし、前記直方体の6つの面のうち、少なくとも5面に、相互に異なる色で発光する発光部を配置してもよい。
この場合には、前記センサ姿勢算定手段において、当該計測装置に接続したセンサの発光部を点灯し、前記カメラで撮影した画像中に2つの発光部のみが現れており、当該2つの発光部の領域の中心が水平方向にも垂直方向にも並んでいない場合にセンサのエラーを検出するようにしてもよい。
【0009】
また、以上の計測システムは、前記センサを、当該センサに対して固定された座標系であるセンサ座標系で表される測定値を検出するものとし、前記計測装置に、前記センサが検出した測定値を、前記センサ姿勢算定手段が算定した前記センサの傾きを用いて、前記センサ座標系と異なる座標系で表した測定値に変換する座標系変換手段を備えるようにしてもよい。
【0010】
また、以上の計測システムに、前記センサを複数備え、前記複数のセンサが各々接続される複数のチャンネルを備え、前記計測装置に、順次、前記各チャンネルについて、当該チャンネルに接続したセンサの発光部を所定の点灯パターンで点灯し、前記カメラで撮影した画像中に現れる前記点灯パターンを認識し、当該点灯パターンを認識した前記画像中の位置を、当該チャンネルに接続されたセンサに対応する前記画像中の位置として算定するセンサ位置算定手段を設けてよい。
【0011】
または、以上の計測システムに、前記センサを複数備え、前記複数のセンサが各々接続される複数のチャンネルを備え、前記計測装置に、前記各チャンネルに接続したセンサの発光部を、当該チャンネルの識別を表す前記チャンネル毎に異なる点灯パターンで点灯し、前記カメラで撮影した画像中に現れる前記各点灯パターンを認識し、点灯パターンを認識した前記画像中の位置を、当該点灯パターンが識別を表すチャンネルに接続されたセンサに対応する前記画像中の位置として算定するセンサ位置算定手段を設けてよい。
【0012】
以上のような計測システムによれば、各センサに発光部を設けて、各センサをカメラで撮影するだけの簡易な構成でセンサの傾きを検出して、センサの外部の座標系と関連づけた計測を行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、より簡易な構成において、姿勢が既知でないセンサを用いてセンサ外部の座標系と関連づけた計測を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る計測システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係るセンサを示す図である。
図3】本発明の実施形態に係るセンサとカメラの配置例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係るセンサ姿勢算出処理を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態に係るセンサ姿勢算出の原理を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る計測装置の表示例を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係るセンサの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る計測システムの実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る計測システムの構成を示す。
図示するように、計測システムは、複数のセンサ1、カメラ2、各々センサを接続することができる複数のチャンネルを備えた計測装置3を備えている。
センサ1は、加速度センサや振動センサや磁気センサや指向性マイクなどの、測定量の1または複数の方向毎の大きさを測定値として検出するセンサであり、検出する測定量の方向は、センサ1に対して固定された座標系で検出する。
【0016】
図2に、本実施形態に係るセンサ1の外観を示す。
ここで、図2aはセンサ1の前面を表し、図2bはセンサ1の上面を表し、図2cはセンサ1の右側面を表し、図2dはセンサ1の左側面を表し、図2eはセンサ1の下面を表し、図2fはセンサ1の斜視図を表している。
【0017】
図示するように、センサ1は直方体形状を有し、測定値を検出するセンサ素子を収容している。またセンサ1の後部には、センサ1を計測装置3に接続するためのケーブル4が連結されている。
【0018】
また、センサ1の前面、上面、下面、左側面、右側面には、矩形の発光部11が設けられており、各発光部11は人間やカメラ2によって互いに異なる色と認識される波長または波長の組み合わせで発光する。例えば、センサ1の前面、上面、下面、左側面、右側面の発光部11は、それぞれ、赤、青、緑、黄、シアンと人間やカメラ2によって認識される色で発光する。
【0019】
このような発光部11は、たとえば、長波長の光源、多波長の光源、異なる波長の複数の光源をセンサ1に収容し、センサ1の前面、上面、下面、左側面、右側面に、透過する波長が異なる、または、各波長の透過率の組み合わせが異なるカラーフィルタを、光源からの光が通過するように設けること等により構成することができる。また、このような発光部11の光源としては、LED等を用いることができる。
【0020】
また、発光部11は、ケーブル4を介して計測装置3から点灯/消灯を行うことができる。
次に、計測時のセンサ1とカメラ2の配置例を図3に示す。
図示するように、試験者は、計測開始に先立って、複数のセンサ1を、計測対象物300の表面または表面近くの異なる位置に配置する。また、カメラ2を、計測対象物300と、撮影範囲内に配置した全てのセンサ1が含まれるように撮影する位置と向きに設置する。
【0021】
試験者は、複数のセンサ1とカメラ2を配置し、各センサ1を計測装置3のチャンネルの各々に接続したならば、計測装置3にセンサ姿勢算出処理を行わせ、各センサ1の傾きを算出させる。
【0022】
図4に、この計測装置3が行うセンサ姿勢算出処理の手順を示す。ここでチャンネル番号をiとする。
図示するように、計測装置3は、センサ1を接続したチャンネルの数をnとして、1からnまでの各iについて、以下の処理を行う。
i番目のチャンネルに接続されているセンサ1の発光部11を点灯し(ステップ404)、カメラ2で撮影した画像中に高輝度領域として現れる発光部11を認識し(ステップ406)、発光部11を認識したならば、i番目のチャンネルに接続されているセンサ1の発光部11を消灯する(ステップ408)。
【0023】
そして、認識した発光部11の配置パターンから、i番目のチャンネルに接続されているセンサ1の傾きを算出する(ステップ410)。
ここで、センサ1の傾きの算出は以下のように行う。
まず、認識した発光部11の数が3未満であり、カメラ2が撮影した画像中に3つの発光部11が現れていない場合にはセンサ1の傾きの算出を失敗とする。
また、認識した発光部11の数が3であり、カメラ2が撮影した画像中に3つの発光部11が現れている場合には、認識した3つの発光部11の画像中の領域の色から、3つの発光部11がセンサ1のどの面の発光部11であるかを識別する。また、選定した3つの発光部11の画像中の領域の中心を求め、3つの発光部11について求めた3つの中心の配置パターンと、3つの発光部11が位置するセンサ1の面から、センサ1の傾きを算出する。
【0024】
例えば、図5aに示すように、カメラ2が撮影した画像中にセンサ1の像が現れている場合には、まず、図5bに示すように、画像中の発光部11の領域を抽出する。
また、発光部11の発光色と発光部11が位置するセンサ1の面との対応に従って、3つの発光部11の領域の色より、画像中に現れた3つの発光部11がセンサ1のどの面の発光部11であるかを識別する。
【0025】
また、図5cに示すように、3つの発光部11について、画像中の発光部11の領域のエッジを抽出して発光部11の領域の頂点を求め、エッジ以外の頂点を結ぶ線である2つの対角線の交点を、発光部11の領域の中心として算定する。または、画像中の発光部11の領域の中心を、発光部11の領域の中心として算定することもできる。
【0026】
そして、図5dのように得られる発光部11の各色の領域の中心の配置パターンは、センサ1の異なる3面上の既知の3点をカメラ2に投影した配置パターンとなり、この配置パターンが得られる、センサ1のピッチ、ロール、ヨーの角度は一義的に定まるので、この発光部11の領域の中心の配置パターンより、センサ1の傾きのピッチ、ロール、ヨーの角度をセンサ1の傾きとして算出する。
【0027】
具体的には、このセンサ1の傾きの算出は、次のように行う。
まず、画像中の3つの発光部11の領域の色より、抽出した3つの発光部11の領域に対応する現実の3つの発光部11を特定する。そして、画像中の3つの発光部11の中心の座標より、カメラ2に対する、特定した3つの発光部11の中心の方向を算定する。すなわち、カメラ2で撮影した画像の各座標と、その座標に映り込む被写体のカメラ2に対する方向との関係は一義的に定まるので、当該関係に従って、3つの発光部11の中心の画像中の座標から、現実の3つの発光部11の中心のカメラ2に対する方向を求めることができる。
【0028】
また、カメラ2に対して算定した方向にある3点であって、3点間の距離が、特定した現実の3つの発光部11の中心間の距離と一致する3点の座標の組み合わせを算定する。そして、算定した3点の座標の各組み合わせが表すセンサ1の傾きのうち、特定した3つの発光部11が配置された面がカメラ2の方向を向き、特定した3つの発光部11の上下左右関係が画像中の上下左右関係と一致する傾きをセンサ1の傾きとして算定する。
【0029】
ただし、センサ1の傾きの算出は、予め、発光部11の各色の領域の中心の配置パターンと、センサの傾きとの対応を登録したテーブルを用意しておき、このテーブルに従って、図5dのように得られた発光部11の各色の領域の中心の配置パターンからセンサの傾きを算出してもよい。
【0030】
図4に戻り、以上のようにしてi番目のチャンネルに接続されているセンサ1の傾きの算出に成功したら(ステップ412)、算出したセンサ1の傾きをi番目のチャンネルに接続されているセンサ1の傾きとして登録する(ステップ414)。
【0031】
一方、i番目のチャンネルに接続されているセンサ1の傾きの算出に失敗した場合には、「不明」または「エラー」をi番目のチャンネルに接続されているセンサ1に対して登録する(ステップ416)。
【0032】
ステップ416では、まず、カメラで撮影した画像中に2つの発光部11が現れているかどうかを調べ、1つの発光部11のみが現れている場合や発光部11が現れていない場合には、「不明」をi番目のチャンネルに接続されているセンサ1に対して登録する。
【0033】
一方、2つの発光部11が現れている場合には、画像中において、2つの発光部11の領域の中心が水平方向と垂直方向といずれか方向に並んでいるかどうかを調べ、並んでいる場合には、「不明」をi番目のチャンネルに接続されているセンサ1に対して登録する。2つの発光部11の領域の中心が水平方向と垂直方向とのいずれの方向にも並んでいない場合には、センサ1に故障かセンサ1の発光部を遮蔽する物体があることを表す「エラー」をi番目のチャンネルに接続されているセンサ1に対して登録する。
【0034】
ここで、2つの発光部11の領域の中心が水平方向と垂直方向とのいずれの方向にも並んでいない場合に「エラー」を登録するのは、この場合、センサ1は、いずれかの面がカメラ2と正対している姿勢から2軸または3軸回りに回転しており、センサ1の3つの面がカメラ2方向を向いて、3以上の発光部11がカメラ2によって撮影されなけらばならいからである。
【0035】
そして、1からnまでの各iについて、ステップ404からステップ416の処理が終了したら、センサ姿勢算出処理を終了する。
試験者は、以上のように計測装置3が行うセンサ姿勢算出処理を行わせたら、「不明」や「エラー」が登録されているチャンネルに接続されているセンサ1が存在する場合には、そのセンサ1の傾きを3以上の発光部11がカメラ2に撮影されるように調整したり、「エラー」となった原因を取り除いた上で、再度、計測装置3にセンサ姿勢算出処理を実行させる。
【0036】
「不明」や「エラー」が登録されているチャンネルに接続されているセンサ1が存在しなくなったら、計測対象物300や環境の状態を計測用の状態に設定し計測装置3に計測の開始を指示する。
【0037】
計測において、計測装置3は、各チャンネルから入力する、センサ1がセンサ1に対して固定された座標系で検出した測定値を、そのチャンネルに接続されているセンサ1の傾きとして登録されている傾きを用いて、測定量の所定の1または複数の方向毎の大きさを表す測定値に補正(座標変換)する。ここで、所定の1または複数の方向とは、実空間または計測対象物300に対して固定された座標系の座標軸方向であり、例えば、実空間の鉛直方向や水平方向や、計測対象物300の面と垂直な方向や平行な方向などを、この所定の1または複数の方向として設定することができる。
【0038】
そして、計測装置3は、補正後の測定値の解析を行う。
図6は、計測装置3の解析結果の例を示しており、センサ1として加速度センサを用い、カメラ2で撮影した計測対象物300の画像のレイヤ上に、振動の画像上の分布を表す輝度マップまたはカラーマップの画像のレイヤを重畳し表示している。輝度マップまたはカラーマップは、各センサ1で検出した加速度を補正して求めた計測対象物300の面と垂直な方向の振動の大きさを、当該センサ1に対応する画像上の位置の振動の大きさとして、画像上の各位置の振動の大きさを、その位置の輝度またはカラーで表したものである。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明した。
このように本実施形態によれば、各センサ1に発光部11を設けて、各センサ1をカメラ2で撮影するだけの、簡易な構成でセンサ1の傾きを検出し、外部の座標系と関連づけた計測を行うことができる。
【0040】
ところで、図4に示したセンサ姿勢算出処理では、ステップ410で、認識した発光部11の数が3未満である場合にはセンサ1の傾きの算出を失敗としたが、これは、認識した発光部11の数が2であり、画像中において、2つの発光部11の領域の中心が水平方向と垂直方向といずれかの方向に並んでいる場合には、傾きの算出を失敗とせずに、画像中の2つの発光部11の色と画像中の2つの発光部11の領域の面積の比とからセンサ1の傾きを算出するようにしてもよい。すなわち、この場合には、センサ1は、カメラ2の上下方向または左右方向の1軸回りにのみ傾いており、傾きの方向は、2つの発光部11の色より求まる。また、傾きの角度と、2つの発光部11の領域の面積の比の関係は一義的に定まるので、当該関係に従って傾きの角度を求めることができる
また、実施形態では、図2に示したようにセンサ1の前面、上面、下面、左側面、右側面に矩形の発光部11を設けたが、発光部11の形状は矩形以外であってもよく、たとえば、図7に示すように、発光部11として点状の発光部11などを用いるようにしてよい。また、この場合、各発光部11は、共通の光源を用いて発光するものとしてもよいし、それぞれ個別の光源を用いて発光するものとしてもよいし、LEDなどの光源を、そのまま発光部11として用いるようにしてもよい。
【0041】
また、実施形態では、図2に示したようにセンサ1の前面、上面、下面、左側面、右側面に発光部11を設けたが、これは、上面、下面、左側面、右側面のうちの方向が相互に異なる3面を含む3面以上の任意の面に発光部11を設けるようにしてもよい。
【0042】
また、実施形態では、センサ1の形状が直方体である場合について示したが、センサ1の形状は任意であってよい。この場合には、センサ1上の、同一平面上にない3つの位置を含む複数の位置に、相互に異なる色で発光する発光部11を設けるようにする。
【0043】
また、実施形態において、計測装置3は、順次、各チャンネルに接続されたセンサ1の発光部11を点灯し、前記カメラ2で撮影した画像中に現れる点灯位置を認識し、認識した前記画像中の点灯位置を、当該チャンネルに接続されたセンサ1に対応する前記画像中の位置として算定してもよい。また、計測装置3は、各チャンネルに接続されたセンサ1の発光部11を相互に異なる点滅パターンで点灯し、前記カメラ2で撮影した画像中の各位置に現れる点滅パターンを認識し、点滅パターンを認識した前記画像中の位置を、当該点滅パターンで点灯したチャンネルに接続されたセンサ1に対応する前記画像中の位置として算定する処理を行ってもよい。
【0044】
このようにすることにより、各センサ1の発光部11を用いて、センサ1の姿勢に加え、センサ1に対応する画像中の位置も検出できる。また、各センサ1毎に発光部11を点灯することで、画像上のセンサ1の検出領域が容易に判断できる。
【0045】
なお、この場合、解析装置は、算出した各チャンネルのセンサ1の画像中の位置を、当該チャンネルの測定値の発生位置に対応する画像中の位置としたり、算出した各チャンネルのセンサ1の画像中の位置に映り込む実空間上の位置を当該チャンネルの測定値の発生位置として測定値の解析を行う。
【0046】
また、実施形態において、計測装置3は、無入力や過大入力等の異常値が検出されたチャンネルのセンサ1の発光部11をエラーを示す所定の点灯パターンで点灯する処理も行ってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…センサ、2…カメラ、3…計測装置、4…ケーブル、11…発光部、300…計測対象物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7