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特許7229046リニアアクチュエータを備える自動車用開制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】リニアアクチュエータを備える自動車用開制御装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 85/16 20140101AFI20230217BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20230217BHJP
【FI】
E05B85/16 D
B60J5/04 H
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019039437
(22)【出願日】2019-03-05
(65)【公開番号】P2019157613
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】1870301
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】1873533
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516216265
【氏名又は名称】アクウェル ビーゴ スペイン ソシエダー リミターダ
【住所又は居所原語表記】Camino Del Caramuxo 37-39,Vigo,PONTEVEDRA,SPAIN
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コート マキエラ デルミロ ハビエル
(72)【発明者】
【氏名】ディエス エステベス アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】カサル ゴメス ハビエル
(72)【発明者】
【氏名】バスケス カルバージョ ホセ オスカー
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア ロドリゲス フィリオ
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0000167(US,A1)
【文献】特表2015-533964(JP,A)
【文献】特表2014-522926(JP,A)
【文献】実公昭41-15997(JP,Y1)
【文献】独国特許出願公開第102016217647(DE,A1)
【文献】特開2018-168689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 5/02
E05B 85/16-85/18
B60J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のドア用開制御装置(10)であって、
ドアに取り付けられるよう構成されたケース(12)と、
少なくとも、静止位置と、少なくとも部分的に前記ケース(12)から突出している突出位置との間で、前記ケース(12)に対して回動軸(A1)を中心として傾斜するように取り付けられたドアハンドル(16)と、
前記ドアハンドル(16)を回動させて前記静止位置又は前記突出位置に回動させるための回動レバー(30)と、
気作動要素(60)と、を備え、
前記回動レバー(30)は前記ドアハンドル(16)に対して前記回動軸(A1)周りに回動するよう構成されるとともに、前記回動レバーを弾性的に戻り位置に戻戻し部材(38)であって、前記戻り位置において前記ドアハンドル(16)をその静止位置に保持するよう構成された戻し部材(38)を備え、
前記電気作動要素(60)が、前記戻し部材(38)の戻し力に抗して前記回動レバー(30)を回動させ、前記回動レバー(30)の回動によって前記ドアハンドル(16)をその静止位置からその突出位置へと回転駆動するよう構成されている
ことを特徴とする開制御装置(10)。
【請求項2】
前記ドアハンドル(16)の下面(16I)は、横方向の支持壁(42)を画定する肩部を備え、前記支持壁(42)からは前記ドアハンドル(16)の内側枝状部(16.2)が前記ドアハンドル(16)の長手方向に延び、前記回動レバー(30)が前記支持壁(42)の肩部と当接して前記ドアハンドル(16)を回動させる
ことを特徴とする、請求項1に記載の開制御装置(10)。
【請求項3】
前記回動レバー(30)の形状は、前記ドアハンドル(16)の前記内側枝状部(16.2)を係合させるブラケット状であり、
前記回動レバー(30)は、前記内側枝状部(16.2)と協働するよう構成された少なくとも1つの下側接続クロスバー(36)を備える
ことを特徴とする、請求項に記載の開制御装置(10)。
【請求項4】
前記回動レバー(30)は、
前記ドアハンドル(16)の上面(16E)の上方に延びるブラケット頭部(34)と、
前記ドアハンドル(16)の下面(16I)に当接する前記下側接続クロスバー(36)によって形成されるブラケット底部(36)と、を備える
ことを特徴とする、請求項3に記載の開制御装置(10)。
【請求項5】
前記回動レバー(30)、前記ブラケット頭部(34)と前記ブラケット底部(36)とを連結する2つの弓状の側方アーム部(32)を備える
ことを特徴とする、請求項4に記載の開制御装置(10)。
【請求項6】
前記ブラケット頭部(34)及び前記ブラケット底部(36)は、前記回動レバー(30)がヒンジ留めされた頂部(33)に設けられた2つの側方屈曲枝部(31)によって互いに連結されている
ことを特徴とする、請求項4又は5に記載の開制御装置(10)。
【請求項7】
前記回動レバー(30)は、前記回動レバー(30)を前記回動軸(A1)周りに回動させるように案内する2つの軸受が設けられたヒンジ支持部(35)を備える
ことを特徴とする、請求項1~6のうちいずれか1項に記載の開制御装置(10)。
【請求項8】
前記電気作動要素(60)は、前記ドアハンドル(16)を横切る方向に延びることにより前記回動レバー(30)に当接して戻し力に抗して前記回動レバー(30)を回動する突出用アーム(70)を備える
ことを特徴とする、請求項1~7のうちいずれか1項に記載の開制御装置(10)。
【請求項9】
前記突出用アーム(70)は、端部のうちの一方において、記ケース(12)の2つのフランジ(76)の間に回動可能に取り付けられている
ことを特徴とする、請求項8に記載の開制御装置(10)。
【請求項10】
前記電気作動要素(60)は、前記突出用アーム(70)に連結されたリニア電気アクチュエータ(60)を備え、
前記リニア電気アクチュエータ(60)は、前記突出用アーム(70)の端部(72)と協働することにより前記突出用アーム(70)を垂直軸周りに回動させる端部(64)を有する直線状シリンダ(62)を備える
ことを特徴とする、請求項9に記載の開制御装置(10)。
【請求項11】
前記ドアハンドル(16)は、前記回動レバー(30)が動かない状態のとき、前記回動レバー(30)内における所定の角度変位範囲内で前記ドアハンドル(16)の戻しバネ(28)に抗して、前記回動レバー(30)内で自由に回動するよう構成されている
ことを特徴とする、請求項1~10のうちいずれか1項に記載の開制御装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の開制御装置の技術分野に関する。具体的には、本発明は、機械的ロック解除要素を含む外部開制御装置に関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
一般的に、外部開制御装置は、ドアに取り付けられるよう構成された固定支持体と、この支持体上に可動に取り付けられたドアハンドル(例えば、軸周りに回転可能にヒンジ留めされることにより支持体に回動可能に取り付けられたドアハンドル)と、を備える。
【0003】
開制御装置は、ドアハンドルが引っ張られて操作されるとき、ラッチのロック解除を可能にして、ドアの開放を可能にするロック解除機構をさらに備える。従来、ラッチは、ドアに固定されたボルトを備え、このボルトは車体に固定されたストライカと協働するよう構成されている。ドアを車両外部から開放すると、外部開制御装置の作動により、ボルトはストライカから解放される。
【0004】
より具体的には、本発明は、「面一(フラッシュ)」タイプのドアハンドルを備える開制御装置に関する。即ち、ドアハンドルが可動に取り付けられた支持体は、ドアハンドルを後退状態で収容するよう構成されたキャビティを形成する。この後退状態では、ドアハンドルの外側表面はドアの外側壁部の外側表面と面一である。突出状態、即ち、展開状態では、ドアハンドルは、支持体のキャビティから少なくとも部分的に突出して、車両のユーザがドアを開放するためにドアハンドルを把持できるようになる。この目的のために、ユーザは、ドアハンドルをさらに外側に変位させることによりドアのラッチを制御できる。
【0005】
一般に、開制御装置は、ドアハンドルを電気的に突出させるための機構を備え、ユーザによるドアハンドルの把持及びドアの開放を可能にする。このような電気的突出機構は、例えば、自動車のバッテリによって供給される電力により作動し、キー、携帯電話、又は遠隔通信を可能にするその他の任意の装置によって遠隔的且つ電子的に制御できる。
【0006】
従来技術(具体的には、欧州特許出願公開第3,255,231号明細書)からは、自動車のドアハンドルが知られている。このドアハンドルは、ロック機構と協働するよう構成され、面一の位置と、突出位置と、開位置との間で可動である。開位置では、把持要素がロック機構と協働することにより、ロック機構を作動させたり、ドアのロックを解除したりする。電気的に突出動作をさせるために、駆動機構は、回転駆動軸を中心として回転変位され、ドアハンドルと協働するアクチュエータレバーを駆動する。駆動機構は、突出位置から面一の位置までドアハンドルを変位できるように、クラッチシステムをさらに備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ドアハンドルのこのような駆動機構の欠点は、突出位置から面一の位置までドアハンドルを変位させるために、クラッチシステムに頼らなければならないことである。
【0008】
具体的には、バックアップ機構を用いる場合には、電気駆動機構の故障に備えて、クラッチ解除要素を設ける必要があるが、このクラッチ解除要素によって、開制御装置が複雑且つより高コストになる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明は、自動車のドア用開制御装置を対象とし、この開制御装置は、
ドアに取り付けられるよう構成されたケースと、
少なくとも、静止位置と少なくとも部分的にケースから突出している突出位置との間で、ケースに対して軸を中心として傾斜するように取り付けられたドアハンドルと、
ドアハンドルを回動させて突出及び/又は後退させるためのレバーと、
この回動レバーの電気作動要素と、を備え、
レバーはドアハンドルと共通の軸周りに回動するよう構成されるとともに、弾性的に戻り位置に戻る部材であって、この戻り位置においてドアハンドルをその静止位置に保持するよう構成された部材を備え、作動要素は、戻し部材の戻し力に抗してレバーを回動させて、ドアハンドルをその静止位置からその突出位置へと回転駆動するよう構成されている。
【0010】
本発明によれば、電気アクチュエータは、弾性的に付勢された突出用レバーと協働する。電気的故障に備えて、ドアハンドルをレバーから独立して動かすことを可能にして、バックアップ機構を作動できるように、レバーはその静止位置で動かない状態のままであることができる。
【0011】
本発明による開制御装置は、以下の特徴のうち1つ以上をさらに含んでいてもよい。
【0012】
本発明の他の実施形態では、ドアハンドルの下面は、横方向の支持壁を画定する肩部を備え、支持壁からは内側枝状部が軸方向に延び、レバーが支持壁と当接してドアハンドルを回動させる。
【0013】
本発明の別の実施形態では、レバーの形状は、ドアハンドルの内側枝状部を係合させるブラケット状であり、レバーは、内側枝状部と協働するよう構成された少なくとも1つの下側接続クロスバーを備える。
【0014】
本発明の別の実施形態では、ブラケットは、ドアハンドルの上面の上方に延びるブラケット頭部と、ドアハンドルの下面に当接する下側バーによって形成されるブラケット底部と、を備える。
【0015】
本発明の別の実施形態では、ブラケットの前部の概略的形状は、ブラケット頭部とブラケット底部とを2つの弓状の側方アーム部によって連結するアーチ状である。
【0016】
本発明の別の実施形態では、ブラケット頭部及びブラケット底部は、好ましくは、ブラケットがヒンジ留めされた頂部に設けられた2つの側方屈曲枝部によって互いに連結されている。
【0017】
本発明の別の実施形態では、レバーは、レバーを回動軸A1周りに回動させるように案内するための2つの軸受が設けられたヒンジ支持部を備える。
【0018】
本発明の別の実施形態では、電気作動要素は、ドアハンドルを横切る方向に延びることによりレバーに当接して戻し力に抗してレバーを回動する突出用アームを備える。
【0019】
本発明の別の実施形態では、突出用アームは、端部のうちの一方において、開制御装置のケースの2つのフランジの間に回動可能に取り付けられている。
【0020】
本発明の別の実施形態では、電気作動要素は、突出用アームに連結されたリニアアクチュエータを備え、電気アクチュエータは、突出用アームの端部と協働することにより突出用アームを垂直軸周りに回動させる端部を有する直線状シリンダを備える。
【0021】
本発明の別の実施形態では、ドアハンドルは、レバーが動かない状態のとき、レバー内における所定の角度変位範囲内でドアハンドルの戻しバネに抗して、レバー内で自由に回動するよう構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1の実施形態に係る開制御装置の斜視図である。
図2図1の制御装置の分解斜視図である。
図3図2の制御装置のドアハンドル回動レバーの斜視図である。
図4図1の開制御装置の電気リニアアクチュエータの斜視図である。
図5図1又は図2のドアハンドルの斜視図であって、(A)が電気アクチュエータ機構が静止位置にある状態を示し、(B)が作動位置にある状態を示す。
図6図5のドアハンドルの上面図であって、(A)が電気アクチュエータ機構が静止位置にある状態を示し、(B)が作動位置にある状態を示す。
図7】本発明の第2の実施形態に係る開制御装置の斜視図である。
図8図7の開制御装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面を参照してなされる以下の説明により明らかになるであろう。
【0024】
図1及び図2には、本発明の第1の実施形態に係る自動車のドア用の開制御装置が概略的に示されている。この開制御装置は、概括的参照符号10で示される。
【0025】
開制御装置10は、例えば車両のサイドドアであるドアの車体外側パネル(図示せず)に搭載されるよう構成されている。
【0026】
例えば、開制御装置10は、主に、ドアハンドルを収容するためのキャビティ14を有する固定支持体、即ち、ケース12と、キャビティ14の内部に可動に取り付けられたドアハンドル16と、を備える。支持体12は、使用時には、ドアに固定されるよう構成されている。記載される例では、ドアハンドル16は、支持体12上に、幾何学的な回動軸A1を中心としてパネルに対してヒンジ式に取り付けられている。使用位置において、回動軸A1は略鉛直であり、外側パネルの概略的平面に対して平行に延びる。
【0027】
図示の例では、支持体12の概略的形状は平行六面体である。この支持体12は、その外側表面がドアの外側パネルの面と面一になるように、ドアの外側パネルの切欠き又は凹部内に収容されるよう構成されている。さらに、支持体12は、この例では、外側表面に開口部を有し、ドアハンドル16を収容するよう構成されたキャビティ14を画定する。
【0028】
ドアハンドル16は、図2に詳細に示されている。記載された例において、ドアハンドル16は、ユーザが把持できる外側部分16.1を有し、外側部分16.1とは反対側に、ケース12のハウジング14内に延びるよう構成された内側部分16.2を有する。従来の非限定的な方法では、ドアハンドル16の外側部分16.1には、通常平坦で細長い形状を有するグリップフラップ18が設けられている。
【0029】
記載された例では、ドアハンドル16は「面一(フラッシュ)」タイプのものである。即ち、支持体12のキャビティ14は、ドアハンドル16を後退状態で収容するサイズになっている。この後退状態では、ドアハンドル16の外側表面16Eが、ドアの外側壁部の外側表面と面一である。突出状態、即ち、展開状態では、ドアハンドル16は、支持体12のキャビティ14から少なくとも部分的に突出し、車両のユーザはドアハンドル16を把持してドアを開けることができる。この目的のために、ユーザは、引っ張った状態のドアハンドル16をさらに外側に変位させて、ドアのラッチを制御できる。面一の位置では、開制御装置10の外側表面はドアの外側表面と一致している。自動車産業では公知のこの「面一」配置により、車両のスタイルに付加価値が与えられ、空力抵抗が小さくなる。
【0030】
しかしながら、例えば、別の位置にある軸を中心として回動させること、又は、ドアの概略的平面に実質的に垂直な方向に沿って並進させることにより、他の可動式取付けも想定され得ることを理解されたい。なお、支持体に対してドアハンドルを可動に取り付けること自体は、当業者に公知である。
【0031】
この例では、開制御装置10は、ロック状態及びロック解除状態をとることができる自動車のドアのラッチ(図示せず)と協働するよう構成されている。従来、ドアハンドル16をヒンジ軸(回動軸)A1周りに回動させることにより、駆動運動連鎖機構(図示せず)を介して、ラッチを作動させて、ラッチの2つの状態であるロック状態又はロック解除状態のいずれか一方の状態にする。
【0032】
この目的のために、図1及び図2に示すように、開制御装置10は、好ましくは、伝動レバー20を備える。この伝動レバー20は、ここに記載の例では、ロータリーケージ22と、伝動軸24と、ロータリーケージ22内に収容されるよう構成された伝動戻しバネ26と、を備える。ロータリーケージ22は、例えば、ボーデンケーブル(図示せず)の端部を保持するための要素を備える。これら伝動装置一式(伝動レバー20)は、図1に示すように、支持体12に取り付けられるよう構成されている。
【0033】
図2に示す例では、開制御装置10は、ドアハンドル16の突出及び/又は後退の電気的操作を可能にする電気作動部50を備える。
【0034】
次に、電気作動部50を詳細に説明する。図2に示すように、開制御装置10は、電気作動部50の電気的動作のために、好ましくは、ドアハンドル16を回動させて突出及び/又は後退させるための回動レバー30をさらに備える。
【0035】
図2に示すように、回動レバー30は、好ましくは、ドアハンドル16の回動軸A1を中心として傾斜するように取り付けられている。したがって、記載された例では、回動レバー30は、ケース12に対して固定された少なくとも1つの共通の回動軸A1によってドアハンドル16に連結されている。
【0036】
さらに、好ましくは、ドアハンドル16の下面16Iは、実質的に横方向の支持壁42(図2参照)を画定する肩部を備える。この支持壁42からは内側枝状部(内側部分)16.2が軸方向に延び、また、回動レバー30が支持壁42に当接してドアハンドル16を回動させる。
【0037】
図3には、回動レバー30の実施形態が詳細に示されている。例えば、この回動レバー30の概略的形状は、ドアハンドルの内側部分16.2を係合させる(図2参照)ことができるブラケット状である。したがって、図3に図示されて詳細に説明される例では、ブラケット(回動レバー)30は、好ましくは、ドアハンドル16の内側枝状部16.2を導入可能なフレーム部を画定する本体を含む。
【0038】
好ましくは、ブラケット30は、ドアハンドル16の上方に延びるブラケット頭部34を備える。好ましくは、ブラケット30は、ドアハンドル16の下方に(具体的にはドアハンドル16の支持壁42に)当接するブラケット底部36を含む。ブラケット頭部34及びブラケット底部36は、好ましくは、ブラケット30がヒンジ留めされた頂部33に設けられた2つの側方屈曲枝部31によって互いに連結されている。例えば、側方屈曲枝部31は、「L」字状の概略的形状を有し、頂部33は「L」の角度に形成されている。ブラケットブラケット頭部34は、好ましくは、上側接続クロスバー34からなり、ブラケット底部36は、下側接続クロスバー36によって構成されている。
【0039】
図2に示すように、横方向の支持壁42はわずかに傾斜している。この例では、ブラケット30の下側バー36は、この支持壁42に当接する。さらに、ブラケット30の上側バー34は、好ましくは、内側枝状部16.2の高さで、ドアハンドル16の上面16Eの上方に延びる。ドアハンドル16の上面16Eは、この例では、レリーフ形状40を有し、上側バー34は、このレリーフ形状40に当接して延びる。回動レバー30の下側バー36を設けることにより、梃子の効果を生じさせることができ、具体的には、ドアハンドル16をその突出位置まで傾斜させることが容易になる。
【0040】
記載された例では、このブラケット30は、ケース12に固定されてドアハンドル16と共通の回動軸A1周りに回動可能である。この目的のために、記載した例では、ブラケット30は、頂部33の位置に配置されたヒンジ支持部35を備える。ヒンジ支持部35の両側部には、ブラケット30を回動軸A1周りに回転させるように案内する2つの軸受が設けられている。
【0041】
この例では、ブラケット30の前方部分の形状は、概して、略アーチ形である。内側枝状部16.2は、このアーチ形状の内側に、このアーチを含む平面に対して実質的に垂直な又はわずかに傾斜した導入方向に導入される。このアーチは、好ましくは、2つの弓状の側方アーム部32によってブラケット頭部34とブラケット底部36とを連結する。例えば、突出用ブラケット30は、互いに平行で且つ共通の回動軸A1に対しては垂直な第1及び第2の中実側部37を有する。
【0042】
開制御装置10は、ブラケット30に連結された戻し部材38をさらに備えている。この戻し部材38は、ブラケット30をドアハンドル16の面一の状態に対応する静止位置に戻すよう構成されている。この戻し部材38は、好ましくは、2つの外側脚部と中央部分とを備えたブラケットバネからなる。図2では、ブラケットバネ(戻し部材)38の2つの脚部の各々がケース12の内壁に固定されていることが示されている。
【0043】
記載された例では、ドアハンドル16にも、ドアハンドル16の戻し部材28が設けられている。この戻し部材28は、ブラケット30とドアハンドル16の内側部分16.2との間に配置され、回動軸A1を共通軸として有する。
【0044】
ドアハンドル戻しバネ(戻し部材)28は、ブラケット30に固定されるよう構成された2つの脚部と、内側部分16.2と係合する(特にこの例ではレリーフ形状40と係合する)中央部分と、を有する。この例では、ドアハンドル戻しバネ28の機能は、戻し力によって内側部分16.2とブラケット30との間のクリアランスを補償することである。
【0045】
好ましくは、ドアハンドル16は、回動レバー30が動かない状態のとき、ブラケット30内における所定の角度変位範囲内でドアハンドル戻しバネ28に抗して、レバー30内で自由に回動するよう構成されている。
【0046】
さらに、電気作動部50は、この例では、電気アクチュエータ60を備える。図2に示すように、電気アクチュエータ60は、ケース12内で横断する方向に回動可能に延びるよう構成された突出用アーム70に連結されている。
【0047】
電気アクチュエータ60は、図4に詳細に図示されている。図4に示すように、電気アクチュエータ60は、好ましくは、端部64を有する直線状シリンダ62を備える。この端部64は、突出用アーム70の端部72と協働することにより突出用アーム70を垂直軸周りに回動させる。例えば、端部64は凹部を有し、端部72は突起部を有する。
【0048】
記載された例では、例えば図2に示すように、突出用アーム70は、ケース12の2つの平行なフランジ76の間に回動可能に取り付けられる端部74を有する。
【0049】
図7及び図8に示す第2の実施形態では、開制御装置10は、必要に応じて、電気的動作ができない場合にドアハンドル16の動作の機械的操作を可能にする機械的バックアップ機構100をさらに備える。この第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の要素は、同一の参照番号を付して図示されている。
【0050】
この第2の実施形態では、開制御装置10は、ドアハンドル16の突出及び後退動作の機械的操作を可能にする機構100をさらに備える。本発明のこの第2の実施形態によれば、電気的な故障のせいで電気的動作ができないことが判明した場合に備えて、開制御装置10は、好ましくは弾性エネルギー蓄積部を備えたバックアップ機構100を含んでもよい。弾性エネルギー蓄積部を再充填するためには、ドアハンドル16を車体の内部に向かって押し込まなければならない。この操作により、ドアハンドル16がその戻しバネ28に抗してその回動軸A1周りに回動する。この機械的動作において、回動レバー30は、動かないままであることが好ましい。実際、この手動の機械的動作では、回動レバー30はその静止位置に留まる。なぜなら、回動レバー30とドアハンドル16との間にクリアランスがあるので、回動レバー30を動かすことなくドアハンドル16を動かすことができるからである。
【0051】
具体的には、本発明の第2の実施形態では、機構100は、ケース12内へのドアハンドル16の押し込み動作に反応して機械的に始動されるよう構成され、押し込み動作の完了又は押し込みの停止により、機構100が始動するよう構成されている。したがって、機構100は、運動連鎖機構を備える。運動連鎖機構は、ドアハンドル16を動作させることにより、ドアハンドル16の押し込み位置から突出位置を経由して面一の位置までの行程の全てにわたって又は一部においてドアハンドル16を自動的に動かす。好ましくは、機構100は、この行程全体にわたってドアハンドル16を動作させるよう構成されている。
【0052】
次に、図5及び図6を参照して、本発明の第1の実施形態に係る開制御装置の動作の主要な態様を説明する。
【0053】
最初に、ドアハンドル16は面一の位置にあり、回動レバー30は静止位置にある(図5(A)及び図6(A)参照)。
【0054】
次に、ユーザは、例えば、自動車の車載コンピュータに対して開指示を与え、この車載コンピュータが電子信号を電気アクチュエータ60に送信する。この指示により、電気アクチュエータ60の直線状シリンダ62が変位する。
【0055】
ドアハンドル16を突出させる段階では、電気アクチュエータ60は、直線状シリンダ62を介して突出用アーム70へ動きを伝達する。突出用アーム70は、例えば回動レバー30のクロスバー36を押圧することによって、突出用レバーのバネ38の戻し力に抗して回動レバー30を駆動するよう構成されている。
【0056】
戻しバネ38によって静止位置に保持されていた回動レバー30は、ドアハンドル16が突出位置に到達するまで変位させられる。この突出位置では、ユーザはドアハンドル16をドアハンドル16のバネ28に抗して引っ張り、伝動レバー20を介してラッチのケーブルを作動させることができる。また、好ましくは、ドアハンドル16と回動レバー30との間のバネ28がレバー30を変位させることにより、ユーザの操作が完了したときにドアハンドル16を突出位置に戻すことができる。
【0057】
電気アクチュエータは、次に、図5(B)及び図6(B)に示す状態のようにドアハンドル16が位置するまでレバー30を回動させる。
【0058】
最後に、ドアハンドル16を後退させる段階では、電気アクチュエータ60は、例えば、反対の極性で電力供給され、突出用アーム70を逆方向に変位させる。すると、突出用アーム70は、好ましくは、静止位置に戻ろうとする戻しバネ38を有するブラケット30の動作に追随して動作する。ドアハンドル16は、その戻しバネ28の作用によってレバー30に追随して動作する。この例では、電気アクチュエータ60は双安定である。ドアハンドル16は、再度、図5(A)及び図6(A)に示す状態になる。
【0059】
もちろん、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではない。当業者の範囲内の他の実施形態もまた、以下の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱することなく、なお考慮され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8