(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】車両に搭載された荷箱
(51)【国際特許分類】
B62D 33/037 20060101AFI20230217BHJP
【FI】
B62D33/037 M
(21)【出願番号】P 2019057545
(22)【出願日】2019-03-26
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山本 幸雄
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-078666(JP,A)
【文献】実開平03-031660(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 33/037
E05B 83/08
F16B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面部に対して立設されるとともに水平方向又は鉛直方向を軸方向として回動可能な側
部ゲートと、
水平方向を軸中心として前記側部ゲートに軸支されて回転可能な回転レバーと、
前記回転レバーの回転によって当該回転レバーの先端部が係脱可能な被係止部と、
前記側部ゲートに設けられるとともに前記回転レバーが回転した際に当該回転レバーの回
転を規制可能なストッパと、
を備えており、
前記ストッパは
、回転規制部が前記回転レバーの回転領域に含まれる規制位置と、当
該回転領域から外れる非規制位置とに移動可能に設けられ
るとともに、前記規制位置のときに前記側部ゲートが固縛状態となるように前記被係止部に係止された前記回転レバーに対して隣接状態とされる
ことを特徴とする車両に搭載される荷箱。
【請求項2】
前記ストッパは、一方向を長手方向とする本体部を有し、
前記本体部の端部には、前記規制位置に位置する際に前記回転レバーの回転領域に入って
回転する前記回転レバーと干渉可能な回転規制部が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の車両に搭載される荷箱。
【請求項3】
前記側部ゲートには、前記ストッパの規制位置又は非規制位置の少なくとも一方におい
て、前記ストッパの移動を規制する移動規制部が設けられている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両に搭載される荷箱。
【請求項4】
前記側部ゲートは、車両後部に設けられるとともに鉛直方向を軸方向として回動可能な
テールゲートである
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車両に搭載される荷箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両前後方向を長手方向とする車両枠の上に搭載される荷箱、特に床面部に対して立設される側部ゲートに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される荷箱には、その後方側及び左右側のそれぞれに側部ゲートが設けられており、これらの側部ゲートを開くことで、その開口部を通じて荷物の積み下ろしを行うことができる。また、開閉可能な側部ゲートには、閉じた状態を保持するための固縛装置が設けられており、この固縛装置には確実な固縛力が求められている。
【0003】
例えば、
図6(a)のような荷箱90には、車両後方から見て2枚の側部ゲート91,92水平方向に開閉可能に設けられている。側部ゲート91,92の軸部911,921は、車両外側端部に設けられており、鉛直方向を長手方向としている。こうした側部ゲート91,92の下部には、側部ゲート91,92が開くことを規制するための回転レバー912,922も設けられている(例えば、特許文献1)。
【0004】
回転レバー912,922は、車両前後方向となる水平軸を軸中心とする軸支部912a,922aに軸支されており、
図6(b)のとおり、先端部912b,922bが側部ゲート91,92の下側に設けられた鞘状の被係止部913,923に係止された状態(点線部分)のときに、側部ゲート91,92が水平方向に開く動作が規制される。なお、一点鎖線で示すように、回転レバー912を反時計回りに回転させると規制された係止状態が解除されて、側部ゲート91の固縛解除状態となって側部ゲート91を開くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した回転レバー912,922によって簡易に側部ゲート91,92の開き動作を規制できるが、「車両に搭載される」荷箱である点において、側部ゲート91,92の固縛に関しては未だ改善の余地があることに着目した。
【0007】
荷箱90が搭載された車両は、平坦な道路ばかりではなく、凹凸ある道路を走行することも多い。そのため、車両だけでなく荷箱90も大きく上下動し、水平方向を軸中心方向とする回転レバー912,922が少しずつ上に回転する恐れも考えられる。
また、図示のとおり、回転レバー912のうち、露出される部分は作業者が把持する部分ばかりで、残りの部分、例えば先端部912bなどは側部ゲート91や被係止部913の内方に位置していて視認できない。このため、先端部912bと被係止部913との係止状態が不十分な状態、例えば回転レバー912を十分に時計回りに回していない状態のまま、車両が走行する際に、上述したような回転レバー912が上に回転する恐れも考えられる。
【0008】
一方で、上述した側部ゲート91、92は、作業者が手動で開閉させるものであり、その閉操作した後に回転レバー912,913を作業者が片手で操作することで閉状態の側部ゲート91,92を簡易に固縛できる点で有用である。そのため、回転レバー912,913の係止力を向上させるために構造を変更したりすると、構造の複雑化や操作の煩雑化を招くため好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
床面部に対して立設されるとともに水平方向又は鉛直方向を軸方向として回動可能な側部ゲートと、水平方向を軸中心として前記側部ゲートに軸支されて回転可能な回転レバーと、 前記回転レバーの回転によって当該回転レバーの先端部が係脱可能な被係止部とを備えた荷箱であるとともに、車両に搭載される荷箱を対象としている。側部ゲートは、車両後方側にあるテールゲート又は車両側方側にあるサイドゲートである。なお、上記の「水平方向」及び「鉛直方向」とは、側部ゲートが起立した状態に基づいた方向となっている。
【0010】
こうした車両に搭載される荷箱は、さらに側部ゲートに設けられるとともに前記回転レバーが回転した際に当該回転レバーの回転を規制可能なストッパを備えており、前記ストッパは、前記回転規制部が前記回転レバーの回転領域に含まれる規制位置と、当該回転領域から外れる非規制位置とに移動可能に設けられていることが特徴である。
【0011】
上記様態によれば、回転レバーが被係止部に係止されて側部ゲートが起立状態で固縛されている際、ストッパが規制位置にあることで回転レバーが解除方向に回転することを規制し、固縛状態を維持することができる。このため、車両の振動等により回転レバーに解除方向の力が作用したとしても、回転レバーの係止状態を維持できる。
【0012】
前記ストッパは、一方向を長手方向とする本体部を有し、前記本体部の端部には、前記規制位置に位置する際に前記回転レバーの回転領域に入って回転する前記回転レバーと干渉可能な回転規制部が設けられている。この回転規制部は本体部を折り曲げ加工して形成することもできる。例えば本体部をプレート材とすると、折り曲げることでストッパの強度が向上し、回転レバーの回転を規制する力も向上する。
【0013】
また、前記側部ゲートには、前記ストッパの規制位置又は非規制位置の少なくとも一方において、前記ストッパの移動を規制する移動規制部が設けられている。移動規制部が設けられていることで、作業者が的確に規制位置と非規制位置とを区別して使用することができるので、回転レバーによって側部ゲートが固縛されている際に確実に固縛力を確保できる。
【0014】
また、ストッパの取り付けに関して、一方向を長手方向とする本体部において、一端部で側部ゲートに軸支される構成とすると、ストッパをそれ自体の自重で規制位置又は非規制位置の一方に位置付けることが簡易にできる。簡易操作が好まれる側部ゲートの固縛操作において、上記構成は作業者の作業を簡易化する点で好ましい。
【0015】
さらに、本発明では「回転レバーが回転すると、側部ゲートの固縛力が低下する」点に基づいているので、作業者がストッパを規制位置に位置付けると、側部ゲートが的確に固縛状態となっていれば、ストッパと回転レバーは干渉しない。つまり、作業者がストッパを規制位置に位置付け、ストッパと回転レバーが干渉しないことで、回転レバーは適切な位置まで回転されていて被係止部に十分に係止されていることを確認できる。
【0016】
前記側部ゲートは、車両後部に設けられるとともに鉛直方向を軸方向として回動可能なテールゲートである。特に観音式のテールゲートに用いられる。
【0017】
上述したストッパは回転レバーの近傍に設けられており、回転レバーを操作する作業者の視野にも入る。また、回転レバーの回転及びストッパの位置切替はいずれも簡易に行うことができる構成となっているため、作業者は側部ゲートを閉状態にした後、即座にかつ簡易に操作できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る車両に搭載される荷箱によれば、回転レバーによって側部ゲートを閉状態に保持する固縛力の低下を防止できる。また、固縛に要する作業者の操作が煩雑化することもない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る荷箱が搭載された車両の側面図である。
【
図2】(a)は本発明の実施形態に係るテールゲートを車両後方側から見た後面図、(b)は同図における回転レバー部分の拡大図、(c)は同図におけるストッパを車両外側から見た側面図である。
【
図3】(a)は本発明の実施形態に係る回転レバーとストッパのレイアウトに関する拡大図、(b)は別の実施形態に係る回転レバーとストッパのレイアウトに関する拡大図である。
【
図4】(a)は異なる回転レバーが設けられたテールゲートを車両後方側から見た後面図、(b)はさらに別の回転レバーが設けられたテールゲートの後面図、(c)はサイドゲートにストッパを設けた状態の車両側面図である。
【
図5】スライド機構を介したストッパを備えたテールゲートを車両後方側から見た後面図である。
【
図6】従来の実施形態に係るテールゲートを車両後方側から見た後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態の一例について、図面を用いて説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る荷箱Bを備えたダンプトラックDTを示し、このダンプトラックDTは、エンジン等を駆動することにより走行可能なシャシフレームCFと、運転室CAとを備えている。上方が開放された直方体状の荷箱Bは、シャシフレームCF上のサブフレームSFにおける後端の支持軸SFaを中心に傾動可能に支持している(傾動状態を図中の一点鎖線部で示す)。
【0022】
荷箱Bは、実線で示すように水平状態で支持されており、この状態でダンプトラックDTが走行可能である。荷箱Bは、床面部とその四方に立設する側部ゲートとを有する。側部ゲートは、車両後方側に設けられたテールゲート1と、車両左右のそれぞれに設けられたサイドゲート2と、車両前方側に固定された前壁部3とを有する。
【0023】
テールゲート1は、
図2(a)のとおり、左右2枚で観音開きする矩形状のゲート部1a,1bを有し、ゲート部1a,1bの下部にはゲート部1a,1bの固縛状態又は解除状態に切り替えるための回転レバー4a,4bが設けられている。さらに回転レバー4a,4bの近接した状態で回転レバー4a,4bの回転を規制可能なストッパ5a,5bも設けられている。さらに、上側には両ゲート部1a,1bの上部を覆う断面コ字状のカバーUCも設けられている。右側の回転レバー4aには長尺状のロッドRDの一端部が連結されており、ロッドRDの他端部はカバーUCを支持する状態で設けられている。カバーUCは、左右方向を長手方向とし、右側端部UCaを軸支部として上下回動可能に設けられており、回転レバー4a,4bの回転操作に連動してカバーUCも水平状態又は傾斜状態に姿勢変更可能となっている。そして、両ゲート部1a,1bの上部が覆われた状態となることで、テールゲート1が閉姿勢で固縛状態とされる。
【0024】
ゲート部1a,1bは、それぞれの左右両端に上下方向を長手方向とするスチフナ101,102と、左右方向を長手方向とするスチフナ103,104,105とを有し、左右方向において車両外側となる位置には、鉛直方向を長手方向とする回動軸6a,6bが隣接する左右一対の固定柱Ba(
図1参照)に設けられている。ゲート部1a,1bは、当該回動軸6a,6bを中心に水平方向に回動可能となっている。回動軸6a,6bは、固定柱Baとゲート部1a,1bとで形成される隅部から車両後方側にオフセットして設けられており、ゲート1a,1bは回動軸6a,6bを中心に固定柱Baに干渉されることなくそれぞれ約270度回動可能となっている。
【0025】
次に、回転レバー4a,4b及びその近接領域に設けられたストッパ5a,5bについて、
図2(b)及び
図2(c)を用いて説明する。いずれも左右対称に設けられており、右側に設けられた回転レバー4a及びストッパ5aを代表例として説明する。
【0026】
回転レバー4aは金属製で、スチフナ105の内方でゲート部101に対して略水平方向を軸方向とする軸部41aに軸支されてなる。回転レバー4aは、略上半分の部分が露出した状態で、当該部分は作業者が把持する把持部42aとなっており、略下半分の部分はスチフナ105の上面に設けられた長孔105aを介してスチフナ105の内方に収容されている。荷箱Bの床面部の後端縁から垂設されたテールパネルには、鞘状の被係止部44が設けられており、回転レバー4a,4bの略下半分の部分のうち、フック形状の先端部43aはこの被係止部44に差し込まれて嵌合されている(点線部分)。回転レバー4a,4bは回転操作することで、被係止部44に対して先端部43aを係脱可能となっており、先端部43aが被係止部44に対して差し込まれて係止状態となることで、その摩擦力によって把持部42aも実線部で示したように略水平状態に近い状態を保持できる。したがって、ゲート部1aが水平方向に回動する(図示された閉姿勢から回動して開姿勢となる)ことが規制された状態、つまり固縛状態を維持できる。
【0027】
ストッパ5aは、略L字状の金属プレート材であって、鉛直方向を長手方向とする本体部51aと、本体部51aから延在されて略垂直に折り曲げられてなるとともに回転レバー4aの把持部42aに隣接されて把持部42aの矢印A1の回転(反時計回り)を規制する回転規制部52aとを有する。回転規制部52aは把持部42aの端部と僅かに離れた状態で設けられているが、回転レバー4aの先端部43aが十分に被係止部44aに差し込まれて十分な固縛力を備えた状態であれば、その状態に対する回転規制部52aの位置は、把持部42aに対して離間距離が多少大きくなっても又は当接(離間距離がゼロ)していても構わない。ただし、図示するように、把持部42aの回転軌跡(矢印A1)上には回転規制部52aが位置した状態となる。
【0028】
ストッパ5aは、座部510aを介した状態でゲート部1aに設けられ、同じくゲート部1aに固定された移動規制部520aによってその移動範囲が規制されている。座部510aは、L字状に折り曲げられてなる金属プレート材であって、ゲート部1aにおいて車両方向側を向いた主面に対して垂直姿勢で溶着された立設部511aと、立設部511aに対して折り曲げられてなる水平面状の当接面部512aとを有する。当接面部512aに対して、ストッパ5aの本体部51aがボルトP1及びナットP2を介した状態で当該ボルトP1を回転中心軸として回転可能に設けられている。また、移動規制部520aは、ゲート部1aの主面に対して垂直に溶着された略くの字状の金属プレート材で、当接面部512a上に設けられた本体部51aを僅かに超える程度の高さを有している。プレートの略下半分の部位は、図示するストッパ5aから反時計回りに回転することを規制し、略上半分の部位は、矢印A2のように時計回りに回動されたストッパ5aの回動移動を規制する。また、当該略上半分の部位によって、回動移動されたストッパ5aは鉛直方向に対して傾斜した姿勢で保持される。なお、移動規制部520aに関しては、ストッパ5aの回動移動を規制するとともに一点鎖線で示す状態に姿勢変更されたストッパ5aを支持できれば、本体部51aの長手方向に沿って所定の長さを有するプレート材ではなく、ピンやボルト等がそれぞれの規制位置に凸設されたものでも良い。
【0029】
ストッパ5aによる回転レバー4aの回転規制の機能は、
図3(a)に示すように把持部42aが幅Wの回転規制部52aに干渉する位置で、把持部42aを作業者が上に回転させようとする際に、ストッパ5aが突っ張った状態で反時計回りに回動しない状態で発揮される。小さな力で把持部42aが反時計回りに回転しても回転直後に干渉されるストッパ5aの自重によって回転レバー4aの回転が規制されるが、仮に大きな力で把持部42aが同様に回転しても、把持部42aは軸部41aを中心軸として半径L1の大きさで回転され、回転直後に干渉されるストッパ5aは、ボルトP1を回動中心として回動半径L2の大きさとなる。これに対して、軸部41aとボルトP1との距離は、これらの半径L1,L2の合計の大きさより小さいため、上述したストッパ5aが突っ張った状態となって、ストッパ5aによって回転レバー4aの回転が規制される。このため、ストッパ5aが回転レバー4aの回転を規制できる位置にあるときは、ダンプトラックDTが走行中に道路の凹凸などで大きく上下に揺れた場合であっても、回転レバー4aが回転してゲート部1aの固縛が解除されることを防止できる。ゲート部1aの固縛を解除するには、作業者が手でボルトP1を中心にストッパ5aを時計回りに回動させることで、ストッパ5aを回転レバー4aの回転領域から外して移動規制部520aに支持される状態(非規制位置)に姿勢変更する(
図2(b)の一点鎖線部)。なお、本実施形態では、十分にゲート部1aを固縛した状態(回転レバー4aを下まで回転した状態)で、当該状態で把持部42aに隣接するような真上の位置にストッパ5aが設けられているが、回転規制部52aが回転レバー4aの回転領域に位置していて、上述のとおり把持部42aが回転規制部52aに干渉(接触)したときにストッパ5aが突っ張った状態になるレイアウトであれば、例えば
図3(b)のような位置にストッパ5aが設けられていても構わない。
【0030】
本実施形態に係るストッパ5aにおいて、
図3(a)のように把持部42aに隣接するような位置に設けられた構成であれば、作業者が視認できない回転レバー4aの係止状態を把握できる効果も奏する。具体的には、移動規制部520aに接した状態で本体部51aが略鉛直方向に沿った状態とするときに回転レバー4aが所望する係止状態となっていなければ(把持部42aが下まで十分に回転されていなければ)、上側に傾いた状態の把持部42aに回転規制部52aが接触する。所望する状態であれば接触しない形態であるため、回転規制部52aが把持部42aに接触することで、回転レバー4aの回転操作が不十分であることを作業者は視覚で確認することができる。
【0031】
上述した実施形態の他にも、例えば
図4に示す側部ゲート1c,1d,2aにもストッパ5c,5d,5eを設けることで同様の効果を得ることができる。
図4(a)に示すゲート部1cは、上述した実施形態と同じ観音扉式のテールゲートを構成しており、既知の構成を有する回転レバー4cは鉛直方向に沿って上下に移動するピン43cが被係止部44cに係合されることでゲート部1cが固縛される。この回転レバー4cの把持部42cに隣接する状態で上述した構成と同様の構成を有するストッパ5cが設けられている。当該回転レバー4cに対しても同等の効果を奏する。
【0032】
次に、
図4(b)のように左右に回転させる構成の回転レバー5dにもストッパ5dを適用することができる。回転レバー4dは、略L字状の形状を有し、軸部41dを軸中心として把持部42dを持って時計回りに回転されると、アーム部43dも時計回りに回転される。このとき、アーム部43dに連結されて鉛直方向を長手方向とする長尺状のシャフト44dが上側にスライドするので、被係止部45dに差し込まれているシャフト44dの下端部が被係止部45dから外れる(抜ける)。シャフト44が被係止部45dから抜けることで、ゲート部1dの水平方向の回動(開き動作)が可能となる。この回転レバー4dに隣接する位置にストッパ5dも設けられており、アーム部43dの回転を規制可能となっている。当該ストッパ5dも上述したストッパ5a,5b,5c同様に作業者が手で回動させることで、図示する規制位置から非規制位置に姿勢変更させることができる。
【0033】
さらに、別の実施形態としてテールゲートだけでなく他の側部ゲートにも適用できる。
図4(c)のように、サイドゲート2aに対しては、回転レバー4eに隣接する位置にストッパ5eが設けられた構成とすることもできる。既知の構成の回転レバー4eは、固定柱Beの内方側に軸部及びフックを有し、当該軸部を軸中心として反時計回りに回転させることでフックが固定柱Beから外れてサイドゲート2aを固縛状態から解除状態とし、時計回りに回転レバー4eを回転させることでフックが固定柱Beに差し込まれてサイドゲート2aが解除状態から固縛状態となる。このとき、ストッパ5eは、移動規制部520eによって回転レバー5eの回転を規制する水平姿勢の規制位置と、反時計回りに回動されて回転レバー4eの回転領域から外れて斜めの姿勢となる非規制位置とに切替可能となっている。図示のとおり、ストッパ5dが規制位置にあるときは、回転レバー4dが反時計回りに回転しても、回転直後に把持部42eがストッパ5eに接触し、ストッパ5eが突っ張った状態となる。作業者がストッパ5eの姿勢を非規制位置に切替える(回動させる)と、作業者は把持部42eを持って反時計回りに回転レバー4eを回転させることができる。
【0034】
以上の実施形態では、ストッパ5a~5eをいずれも回動させて規制位置と非規制位置とに切替可能な構成としたが、
図5のようなスライド機構を介して左右水平方向に移動可能にストッパ5f,5gが設けられた構成としても良い。例えば、
図5(a)に示すストッパ5fは、
図2(c)同様にL字状に折り曲げられてなる金属プレート材の座部を介して設けられており、当該座部における当接面部512fは左右方向を長手方向とする平坦状の部位となる。当接面部512fには同様に左右方向を長手方向とする長孔513fが設けられており、ストッパ5fはその本体部51fの端部で支持されてなる。長孔513fの左端部において、回転規制部52fが回転レバー4fの把持部42fに隣接した位置であれば、同様に回転レバー4fの回転を規制できる。作業者は本体部51fを右側にスライド操作してストッパを回転レバー4fの回転領域から外すだけで非規制位置に切り替えることができる。このようにスライド機構を介したストッパであっても簡易に同等の効果を奏する。他にも、
図5(b)のように、当接面部512gがさらにL字状に折り曲げ加工されて折曲部514gを有する構成としても良い。当図に示すストッパ5gであれば、当該ストッパ5gが折曲部514gに支持された構成とすることができるので、長孔513gを介して回転レバー4gの把持部42gに隣接する規制位置、及び回転レバー4gの回転領域から外れる非規制位置のいずれであっても図示のとおり左右を長手方向とする姿勢のまま切替可能となるので、作業者の作業負担が軽減される。
【0035】
各実施形態に係る荷箱Bは、ダンプトラックDTに搭載されるものとして説明したが、荷箱Bが搭載される車両はダンプトラックDTに限定されるものではなく脱着車や塵芥収集車、さらには他の車両であっても構わない。また、テールゲート1では観音式の2枚のゲート部1a,1bから構成されるものとしたが、1枚のみのゲート部からなるものでも構わない。また、ストッパ5a~5gに関しても回動式やスライド式について説明したが、例えば当接面部に対して左右方向の端部が鉛直方向を軸中心とする軸部に軸支されたストッパとして、規制位置と非規制位置とに反転させることで切替可能な構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、前後に延びた車体枠の上に搭載される全ての荷箱に対して有用である。
【符号の説明】
【0037】
DT ダンプトラック
B 荷箱
1 テールゲート(側部ゲート)
2 サイドゲート(側部ゲート)
1a,1b ゲート部
4a,4b 回転レバー
5a,5b ストッパ
51a 本体部
52a 回転規制部