(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】インクジェット印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/17 20060101AFI20230217BHJP
【FI】
B41J2/17 207
(21)【出願番号】P 2019059914
(22)【出願日】2019-03-27
【審査請求日】2022-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128451
【氏名又は名称】安田 隆一
(72)【発明者】
【氏名】片田 和宏
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-167400(JP,A)
【文献】特開2018-176664(JP,A)
【文献】特開2003-211702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体に対してインクを吐出するインクジェットヘッドと、
前記印刷媒体に対する印刷処理以外の期間に前記インクジェットヘッドから吐出されたインクの廃インクを受けて貯留する廃インク受け部と、
前記廃インク受け部に貯留された廃インクを前記廃インク受け部の上方に吸引する吸引口を有し、前記廃インクの液面上に浮かべられることにより、前記廃インクの量に応じて鉛直方向に移動する吸引ノズル部と、
前記鉛直方向に移動する前記吸引ノズル部を検出する検出部とを備え、
前記廃インク受け部は、前記印刷処理時の位置である第1の位置と、前記印刷処理時以外の期間に前記インクジェットヘッドからインクを吐出する時の位置である第2の位置との間を移動し、
前記吸引ノズル部は、前記廃インク受け部が前記第1の位置と前記第2の位置とでオーバーラップする範囲に設けられているインクジェット印刷装置。
【請求項2】
前記吸引ノズル部が、前記廃インクに浮かべられている状態において、前記廃インクの液中に常に前記インク吸引口が存在するように構成されている請求項1記載のインクジェット印刷装置。
【請求項3】
前記検出部による検出結果に基づいて、前記吸引ノズル部の吸引動作を制御する制御部を有し、
前記制御部は、
前記廃インク受け部内の廃インクが増加して前記吸引ノズル部が上昇することにより、前記検出部によって前記吸引ノズル部が検出された時点から前記吸引ノズル部の吸引動作を開始し、該吸引動作によって前記廃インク受け部内の廃インクが減少して前記吸引ノズル部が下降することにより、前記検出部によって前記吸引ノズル部が検出されなくなった時点から所定時間だけ前記吸引ノズル部の吸引動作を行うよう制御し、かつ環境温度に応じて、前記所定時間を変更する請求項1または2記載のインクジェット印刷装置。
【請求項4】
前記制御部が
、前回の前記吸引ノズル部の吸引動作からの経過時間に応じて、前記所定時間を変更する請求項3記載のインクジェット印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッドから印刷媒体に対してインクを吐出して印刷処理を施すインクジェット印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、紙およびフィルムなどの印刷媒体に対して、インクジェットヘッドからインクを吐出して印刷処理を施すインクジェット印刷装置が提案されている。
【0003】
このようなインクジェット印刷装置においては、ノズルのインク吐出口にインクが固着したり、用紙から発生した紙粉などのゴミが付着したりすることがある。ノズルのインク吐出口にインクが固着したり紙粉が堆積したりした場合、ノズルからのインクの吐出方向の乱れや不吐出などの吐出不良が発生することがある。
【0004】
このような吐出不良を低減するため、インクジェットヘッドのノズルからインクを強制的に吐出させる、いわゆるパージを行った後、ワイプブレードによってノズルのインク吐出口上を払拭する一連の動作が知られている。これによりノズルのインク吐出口に固着したインクとともに、ノズルのインク吐出口上のゴミがワイプブレードにより除去される。
【0005】
そして、パージの際に吐出されたインクおよびワイプによってインクジェットヘッドから落下したインクは、廃インクとして廃インク受け部で受けられる。
【0006】
たとえば特許文献1においては、上述したメンテナンス動作(パージおよびワイプ)の際には、廃インク受け部をインクジェットヘッドの直下に配置し、印刷処理の際には、廃インク受け部をインクジェットヘッドの直下から退避位置へ水平移動させるインクジェット印刷装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-17400号公報
【文献】特開2014-24259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、廃インク受け部内の廃インクは、廃液タンクへ送液されて貯留されるが、廃インク受け部内の廃インクが、予め設定された量を超える前に廃液タンクへ送液する必要がある。そこで、特許文献2に記載のように、たとえば廃インク量を機械式(フロート、重量など)、電気式(静電容量など)、光学式などの手段を用いて検知する方法が考えられる。
【0009】
しかしながら、たとえば特許文献1に記載のインクジェット印刷装置のように、廃インク量を検知する検知手段を廃インク受け部に設けた場合、廃インク受け部を移動可能な構成とした場合、廃インク量を検知する検知手段も一緒に移動させる必要がある。
【0010】
この検知手段の移動によって、検知手段に接続されている検知手段用の配線も廃インク受け部と一緒に連れまわることで、破損に至るおそれがある。それに伴う配線保護用の部品追加が必要となったり、検知手段に応じて廃インク受け部を特殊素材で形成する必要が生じたりしてコストアップとなる問題がある。また、検知手段用の配線などにより装置が大型化する問題がある。
【0011】
このような課題を解決するため、検知手段を設けない構成も考えられるが、その場合、定期的に廃インクの回収を行う必要があり、ダウンタイムが増加する。また、廃インク受け部内に廃インクが上限量溜まっている時に廃インク受け部が移動した場合、廃インク受け部から廃インクがこぼれるおそれがある。また、廃インクの回収に吸引方式を採用した場合、廃インク受け部内の廃インクの量に関係なく吸引動作が行われるため、インクとエアの両方を吸引する場合があり、その場合、廃液を回収するタンク内でミストが発生し、そのミストが装置内で拡散し、汚染してしまう場合がある。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑み、検知手段用の配線の破損などを招くことなく、適切なタイミングで廃インク受け部内の廃インクを回収することができるインクジェット印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のインクジェット印刷装置は、印刷媒体に対してインクを吐出するインクジェットヘッドと、印刷媒体に対する印刷処理以外の期間にインクジェットヘッドから吐出されたインクの廃インクを受けて貯留する廃インク受け部と、廃インク受け部に貯留された廃インクを廃インク受け部の上方に吸引する吸引口を有し、廃インクの液面上に浮かべられることにより、廃インクの量に応じて鉛直方向に移動する吸引ノズル部と、鉛直方向に移動する吸引ノズル部を検出する検出部とを備え、廃インク受け部は、印刷処理時の位置である第1の位置と、印刷処理時以外の期間にインクジェットヘッドからインクを吐出する時の位置である第2の位置との間を移動し、吸引ノズル部は、廃インク受け部が第1の位置と第2の位置とでオーバーラップする範囲に設けられている。
【発明の効果】
【0014】
本発明のインクジェット印刷装置によれば、廃インク受け部に貯留された廃インクを吸引する吸引口を有し、廃インクの液面上に浮かべられることにより、廃インクの量に応じて鉛直方向に移動する吸引ノズル部を備え、その吸引ノズル部の鉛直方向への移動を検出することによって廃インクの量を検出し、その検出タイミングに基づいて吸引ノズル部によって廃インクを上方に吸引する。そして、廃インク受け部が第1の位置と第2の位置とでオーバーラップする範囲に吸引ノズル部を設けるようにしたので、廃インク受け部の移動に伴って検知手段用の配線の破損などを招くことなく、適切なタイミングで廃インク受け部内の廃インクを回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のインクジェット印刷装置の一実施形態の概略構成を示す図
【
図2】インクジェットヘッドの斜視図およびメンテナンス部の要部を示す図
【
図3】廃インク受け部の廃インク受け位置と退避位置とを説明するための図
【
図5】ノズル本体とフロート部とを別々に構成した吸引ノズル部を示す図
【
図6】
図1に示すインクジェット印刷装置の制御系を示すブロック図
【
図7】
図1に示すインクジェット印刷装置のメンテナンス動作を説明するためのフローチャート
【
図8】ワイプユニットにおける廃インクの吸引動作を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明のインクジェット印刷装置の一実施形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態のインクジェット印刷装置1の概略構成図である。なお、
図1に矢印で示す上下左右が、本実施形態のインクジェット印刷装置1における上下左右方向であり、
図1の紙面に直交する方向が前後方向であり、紙面表方向が前方向である。
【0017】
本実施形態のインクジェット印刷装置1は、
図1に示すように、印刷部2と、メンテナンス部3と、制御部4と、温度センサ5とを備える。
【0018】
印刷部2は、印刷媒体(図示省略)に対して印刷処理を施す。印刷部2は、インクジェットヘッド11A~11Dを備える。なお、インクジェットヘッド11A~11D等の符号におけるアルファベットの添え字を省略して総括的に表記することがある。
【0019】
インクジェットヘッド11は、左右方向(副走査方向)に沿って搬送される印刷媒体に対してインクを吐出して印刷処理を施す。インクジェットヘッド11A~11Dは、それぞれ異なる色(例えば、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)のインクを吐出する。インクジェットヘッド11は、昇降モータ12A~12D(
図6参照)によって鉛直方向に昇降可能に構成されている。
【0020】
図2は、
図1に示すインクジェット印刷装置のインクジェットヘッドの斜視図およびメンテナンス部3の要部を示す図である。
【0021】
インクジェットヘッド11は、
図2に示すように、10個のヘッドモジュール16を有する。インクジェットヘッド11において、10個のヘッドモジュール16は、千鳥配置されている。すなわち、前後方向(主走査方向)に5つのヘッドモジュール16が配列された第1のヘッド列と、同様に、前後方向に5つのヘッドモジュール16が配列された第2のヘッド列とが、左右方向(副走査方向)に並べて設けられている。そして、第1のヘッド列および第2のヘッド列は、前後方向に隣接するヘッドモジュール16間で一部重複する部分が存在するように配置されている。各ヘッドモジュール16は、主走査方向に沿って配置された複数のノズル(図示省略)を有し、ノズルからインクを吐出する。
【0022】
メンテナンス部3は、インクジェットヘッド11のメンテナンスを行う。メンテナンス部3は、ワイプユニット21A~21Dと、吸引部23と、廃液回収部24とを備える。
【0023】
ワイプユニット21A~21Dは、インクジェットヘッド11A~11Dのそれぞれに対して設けられている。ワイプユニット21A~21Dは、それぞれインクジェットヘッド11A~11Dの各ヘッドモジュール16のノズル面をワイプする。なお、ノズル面とは、ヘッドモジュール16のノズルのインク吐出口が配列された面である。
【0024】
また、ワイプユニット21は、
図2に示すように、廃インク受け部26と、ワイパ取付台27と、2枚のワイパ28と、検出部29とを備える。
【0025】
廃インク受け部26は、メンテナンス時にパージによりインクジェットヘッド11から吐出されたインクや、インクジェットヘッド11をワイプした際に下方に落ちたインクを廃インクとして受けるものである。
【0026】
本実施形態の廃インク受け部26は、上側が開口したトレイ形状を有する。具体的には、廃インク受け部26は、矩形状の底板31と、底板の周囲に立設された周壁32とを備え、周壁32の上端が開口部26aを形成している。
【0027】
廃インク受け部26は、移動機構30(
図6参照)によって、廃インク受け位置と退避位置との間で水平移動可能に構成されている。廃インク受け部26の廃インク受け位置は、
図3Aに示すように、インクジェットヘッド11の直下の位置である。廃インク受け部26の退避位置は、
図3Bに示すように、インクジェットヘッド11の直下から後方に退避した位置である。退避位置は、廃インク受け位置と同じ高さにある。廃インク受け部26は、メンテナンスの際には、廃インク受け位置に移動し、印刷処理の際には、退避位置に移動する。
【0028】
ワイパ28は、ヘッドモジュール16のノズル面をワイプする部材である。ワイパ28は、弾性変形可能なゴム等の材料からなり、板状に形成されている。ワイパ28の上端は、廃インク受け部26の周壁32の上端よりも高い位置にある。2枚のワイパ28は、左右に並列して配置されている。左側のワイパ28は、千鳥配置された10個のヘッドモジュール16のうちの左側の5つのヘッドモジュール16のノズル面16aをワイプする。右側のワイパ28は、右側の5つのヘッドモジュール16のノズル面16aをワイプする。
【0029】
ワイパ取付台27は、ワイパ28が取り付けられる部材である。ワイパ取付台27は、廃インク受け部26の周壁32のうち、底板31の前側の辺に沿った部分である前壁32aに固定されている。
【0030】
各ワイプユニット21A~21Dは、それぞれ移動モータ22A~22D(
図6参照)によって、上述した廃インク受け位置と退避位置との間で前後方向に水平移動する。ここで、ワイプユニット21を廃インク受け位置と退避位置との間で水平移動させることは、上述したように廃インク受け部26を廃インク受け位置と退避位置との間で水平移動させることと同じである。この廃インク受け部26の移動によって、廃インク受け部26に設けられたワイパ28の上端が、ヘッドモジュール16のノズル面16aを摺動し、これによりノズル面16aがワイプされる。
【0031】
吸引部23は、ワイプユニット21A~21Dの廃インク受け部26内のインクを、廃インク受け部26の開口部26aから吸引する。吸引部23は、吸引ノズル部41A~41Dと、負圧タンク42と、圧力センサ43と、インク吸引経路44と、吸引ノズル弁45A~45Dと、エアポンプ46と、エアポンプ用配管47と、大気開放弁48と、大気開放管49とを備える。
【0032】
吸引ノズル部41A~41Dは、ワイプユニット21A~21Dの廃インク受け部26に対してそれぞれ設けられている。吸引ノズル部41A~41Dは、廃インク受け部26内のインクを開口部26aから吸引する。
【0033】
吸引ノズル部41は、廃インク受け部26に貯留された廃インクを廃インク受け部26の上方に吸引する吸引口を有し、廃インクの液面上に浮かべられることにより、廃インクの量に応じて鉛直方向に移動する。
【0034】
図4Aは、吸引ノズル部41の上面図であり、
図4Bは、吸引ノズル部41の側面図である。
図4Aおよび
図4Bに示すように、吸引ノズル部41は、ノズル本体50と、センサ光遮蔽部55と、廃インク接触部56とを備えている。
【0035】
ノズル本体50は、円筒形の部材から形成されており、廃インクを吸引する吸引口50aを有する。ノズル本体50の吸引口50aとは反対側の端部は、インク吸引経路44に接続され、ノズル本体50の吸引口50aから吸引された廃インクは、インク吸引経路44に流入する。
【0036】
廃インク接触部56は、円形の板部材から形成されている。円形の廃インク接触部56の中心に、ノズル本体50の円筒中心軸が位置するように構成され、廃インク接触部56の下面側にノズル本体50の下部が、予め設定された長さだけ突出するように構成されている。
【0037】
廃インク接触部56は、廃インク受け部26内の廃インクの液面に浮かぶ材料で構成され、廃インク接触部56の下面が、廃インク受け部26内の廃インクに接触し、廃インク接触部56の上面が、廃インクの液面から露出した状態で、ノズル本体50を支持する。すなわち、吸引ノズル部41は、廃インクに浮かべられている状態において、廃インクの液中に常に吸引口50aが存在するように構成されている。これにより、廃インク受け部26内の廃インクを任意のタイミングで吸引することができる。
【0038】
センサ光遮蔽部55は、矩形の板部材から形成されている。センサ光遮蔽部55は、廃インク接触部56よりも上側のノズル本体50の側面に立設されている。そして、センサ光遮蔽部55は、
図2に示す検出部29の発光部29aと受光部29bとの間に挿入可能に配置されている。
【0039】
また、吸引ノズル部41は、上述したように廃インク受け部26内の廃インクの液面上に浮かべられ、廃インクの量に応じて鉛直方向に上下移動する。廃インクの量が予め設定された量よりも増え、吸引ノズル部41が上昇した場合には、センサ光遮蔽部55が、発光部29aと受光部29bとの間に挿入され、発光部29aから発せられたセンサ光Lがセンサ光遮蔽部55によって遮られる。これにより廃インクの量が予め設定された量を超えたことが検出部29によって検出される。
【0040】
なお、吸引ノズル部41の上端が接続されるインク吸引経路44は、吸引ノズル部41が鉛直方向に自由に移動可能なように、十分な長さを有し、かつ柔軟な部材から形成されている。
【0041】
また、吸引ノズル部41は、
図3Aおよび
図3Bに示すように、前後方向において、廃インク受け位置にある廃インク受け部26の後端部に位置し、かつ退避位置にある廃インク受け部26の前端部に位置するように設置されている。また、吸引ノズル部41は、廃インク受け部26が、
図3Aに示す廃インク受け位置(第1の位置)と
図3Bに示す退避位置(第2の位置)とでオーバーラップする範囲Rに設けられている。これにより、吸引ノズル部41および吸引ノズル部41を検出する検出部29の位置は固定でよく、移動させる必要がない。また、吸引ノズル部41は、左右方向については、廃インク受け部26の中央部に設置されている。
【0042】
なお、本実施形態の吸引ノズル部41は、上述したノズル本体50、廃インク接触部56およびセンサ光遮蔽部55が一体的に構成されたものであるが、これに限らず、ノズル本体と、フロート部に相当する廃インク接触部およびセンサ光遮蔽部とを別々に構成するようにしてもよい。
図5は、ノズル本体とフロート部とを別々に構成した吸引ノズル部41を示す図であり、
図5Aは、
図5Aは、吸引ノズル部41の上面図であり、
図5Bは、吸引ノズル部41の側面図である。
【0043】
図5に示す吸引ノズル部41は、ノズル本体70と、フロート部71とを備えている。ノズル本体70とフロート部71とは別々に構成されるものであり、ノズル本体70に対してフロート部71が取り付け可能に構成されている。なお、
図5においてグレーで示す部分が、ノズル本体70である。
【0044】
ノズル本体70は、筒状の部材から構成され、廃インクを吸引する吸引孔70aを備えている。また、
図5Bに示すように、ノズル本体70の直径は、上部よりも下部の方が太くなるように形成されている。そして、フロート部71の中心孔にノズル本体70の上部を貫通させることによって、ノズル本体70にフロート部71が取り付けられ、フロート部71の廃インク接触部71cの下面が、ノズル本体70の下部によって形成された段差に当接することによって、ノズル本体70に対してフロート部71が固定されるように構成されている。これにより、廃インク接触部71cの下面側にノズル本体70の下部が、予め設定された長さだけ突出するように構成されている。
【0045】
フロート部71は、筒状の部材から構成される筒部71aと、センサ光遮蔽部71bと、廃インク接触部71cとから構成されている。
【0046】
筒部71aの内径は、ノズル本体70の外形とほぼ同じ大きさで形成されている。センサ光遮蔽部71bは、吸引ノズル部41と同様に、矩形の板部材から形成され、廃インク接触部71cよりも上側の筒部71aの側面に立設されている。
【0047】
廃インク接触部71cは、筒部71aの下端に設けられ、円形の板部材から形成されている。そして、廃インク接触部71cの中心には、ノズル本体70が貫通する中心孔が形成されている。この中心孔の直径は、筒部71aの内径とほぼ同じ大きさである。
【0048】
そして、フロート部71は、吸引ノズル部41と同様に、廃インク受け部26内の廃インクの液面に浮かぶ材料で構成され、廃インク接触部71cの下面が、廃インク受け部26内の廃インクに接触し、廃インク接触部71cの上面が、廃インクの液面から露出した状態で、ノズル本体70を支持する。
【0049】
図1に戻り、検出部29は、透過型の光学センサであって、
図2に示すようにセンサ光Lを発する発光部29aと、発光部29aから発せられたセンサ光Lを受光する受光部29bとから構成されている。なお、本実施形態においては、検出部29として透過型の光学センサを用いるようにしたが、これに限らず、たとえば反射型の光学センサを用いるようにしてもよい。この場合、センサ光遮蔽部55を、センサ光を反射する部材から構成し、その反射光を検出部29が受光することによって、吸引ノズル部41の上下移動を検出するようにすればよい。
【0050】
また、検出部29は、光学センサに限らず、吸引ノズル部41の上下移動を検出可能なものであればその他のセンサを用いるようにしてもよい。
【0051】
負圧タンク42は、吸引ノズル部41により廃インク受け部26の廃インクを吸引するための負圧が生成されるとともに、吸引ノズル部41により吸引された廃インクを貯留するものである。
【0052】
圧力センサ43は、負圧タンク42内に貯留された廃インクの液面を検出する圧力式のレベルセンサである。
【0053】
インク吸引経路44は、吸引ノズル部41A~41Dと負圧タンク42とを接続する経路である。インク吸引経路44は、主吸引管51と、分岐吸引管52~54とを備える。
【0054】
主吸引管51は、吸引ノズル部41Dから負圧タンク42までの廃インクの流路を形成する。また、主吸引管51は、吸引ノズル部41A~41Cから負圧タンク42までの廃インクの流路の一部を形成する。主吸引管51の一端は吸引ノズル部41Dに接続され、他端は負圧タンク42に接続されている。
【0055】
分岐吸引管52~54は、それぞれ吸引ノズル部41A~41Cから主吸引管51までの廃インクの流路を形成する。分岐吸引管52の一端は吸引ノズル部41Aに接続され、他端は主吸引管51に接続されている。分岐吸引管53の一端は吸引ノズル部41Bに接続され、他端は主吸引管51に接続されている。分岐吸引管54の一端は吸引ノズル部41Cに接続され、他端は主吸引管51に接続されている。
【0056】
吸引ノズル弁45A~45Dは、それぞれ吸引ノズル部41A~41Dに対応してインク吸引経路44に設けられ、それぞれに対応する吸引ノズル部41と負圧タンク42との連通、遮断を切り替える。
【0057】
具体的には、吸引ノズル弁45Aは、分岐吸引管52に配置され、分岐吸引管52内の廃インクの流路の開放、閉鎖を切り替える。吸引ノズル弁45Bは、分岐吸引管53に配置され、分岐吸引管53内の廃インクの流路の開放、閉鎖を切り替える。吸引ノズル弁45Cは、分岐吸引管54に配置され、分岐吸引管54内の廃インクの流路の開放、閉鎖を切り替える。吸引ノズル弁45Dは、主吸引管51の分岐吸引管54が接続された地点と吸引ノズル部41Aとの間に配置され、主吸引管51内の廃インクの流路の開放、閉鎖を切り替える。
【0058】
エアポンプ46は、負圧タンク42から空気を吸引することで負圧タンク42に負圧を生成する。エアポンプ46は、エアポンプ用配管47に配置されている。
【0059】
エアポンプ用配管47は、エアポンプ46により負圧タンク42から吸引される空気の流路を形成する。エアポンプ用配管47の一端は負圧タンク42に接続され、他端(大気連通端)は大気に通じている。
【0060】
大気開放弁48は、負圧タンク42を密閉状態と大気開放状態との間で切り替えるために、大気開放管49内の空気の流路を開閉する。
【0061】
大気開放管49は、負圧タンク42を大気開放するための空気の流路を形成する。大気開放管49の一端は負圧タンク42に接続され、他端はエアポンプ用配管47のエアポンプ46と大気連通端との間に接続されている。
【0062】
廃液回収部24は、負圧タンク42から廃インクを回収して廃液タンク61に貯留する。廃液回収部24は、廃液タンク61と、インクポンプ62と、廃液回収管63と、廃液回収弁64とを備える。
【0063】
廃液タンク61は、負圧タンク42から送液された廃インクを貯留する。
【0064】
インクポンプ62は、負圧タンク42から廃液タンク61へ廃インクを送液する。インクポンプ62は、廃液回収管63に配置されている。
【0065】
廃液回収管63は、負圧タンク42から廃液タンク61へ送液される廃インクの流路を形成する。廃液回収管63の一端は負圧タンク42に接続され、他端は廃液タンク61に接続されている。
【0066】
廃液回収弁64は、廃液回収管63内の廃インクの流路の開放、閉鎖を切り替える。
【0067】
制御部4は、インクジェット印刷装置1全体の動作を制御するものである。
図6は、本実施形態のインクジェット印刷装置1の制御系を示すブロック図である。制御部4は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random access memory)およびROM(Read Only Memory)などの半導体メモリ、並びにハードディスクなどを備えている。制御部4は、半導体メモリまたはハードディスクなどの記憶媒体に予め記憶されたプログラムを実行し、かつ電気回路を動作させることによって
図6に示す各部を制御するものである。
【0068】
具体的には、制御部4は、印刷処理を行う際には、搬送機構13(
図6参照)により印刷媒体を搬送させつつ、各インクジェットヘッド11A~11Dを制御して印刷媒体に対してインクを吐出させ、これにより印刷処理を施す。
【0069】
また、制御部4は、インクジェット印刷装置1におけるインクジェットヘッド11のメンテナンス動作を制御する。
【0070】
制御部4は、たとえばインクジェット印刷装置1が印刷開始指示を受け付けた場合において、その印刷開始前にメンテナンス動作を行う。
図7は、インクジェットヘッド11のメンテナンス動作を説明するためのフローチャートである。
【0071】
まず、インクジェット印刷装置1における印刷開始前の待機状態では、
図3Aに示すように、ワイプユニット21(廃インク受け部26)は、廃インク受け位置に配置されている。このとき、インクジェットヘッド11は待機位置(メンテナンス位置)に配置されている。インクジェットヘッド11の待機位置は、印刷時における高さ位置である印刷位置よりも高い位置にある。インクジェットヘッド11が待機位置に配置され、ワイプユニット21が、廃インク受け位置に配置されている状態では、ワイパ28の上端が、インクジェットヘッド11のノズル面16aよりも高い位置にある。また、インクジェット印刷装置1の印刷開始前の待機状態では、吸引ノズル弁45A~45Dおよび廃液回収弁64は閉鎖され、大気開放弁48は開放されている。
【0072】
まず、制御部4は、インクジェットヘッド11のメンテナンスの順番を示す変数nに「1」を設定する(S10)。なお、ここではインクジェットヘッド11のメンテナンス動作を、インクジェットヘッド11A~11Dの順に行うものとする。
【0073】
次いで、制御部4は、n番目のインクジェットヘッド11のノズルからインクを吐出させることによってパージを行う(S12)。これにより、インクジェットヘッド11のノズルから吐出されたインクがノズル面16aに付着した状態となる。また、ノズル面16aに付着しなかったインクがノズル面16aから落下し、廃インク受け部26によって受け付けられる。
【0074】
続いて、制御部4は、n番目のインクジェットヘッド11に対応するワイプユニット21を廃インク受け位置から退避位置へ移動させる(S14)。
【0075】
ここで、インクジェットヘッド11が待機位置にあるため、上述したようにワイパ28の上端は、ノズル面16aより高い位置にある。このため、ワイプユニット21が廃インク受け位置から退避位置へ移動する際、ワイパ28は、ヘッドモジュール16に接触する。ワイパ28は、ヘッドモジュール16に接触すると、ヘッドモジュール16に押圧されて弾性変形する。そして、ワイプユニット21の移動とともに、ワイパ28の上端部がノズル面16aを摺動(ワイプ)する。
【0076】
これにより、ノズル面16a上に付着したインクが除去され、それとともにノズル面16a上のゴミ等が除去されることで、ノズル面16aがクリーニングされる。ワイパ28によりノズル面16aから除去されたインクは、廃インク受け部26へ流れる。
【0077】
次いで、制御部4は、変数nが、メンテナンスの最後の順番である「4」であるか否かを判断する(S16)。制御部4は、n=4ではないと判断した場合(S16,NO)、変数nに「1」を加算した後(S18)、ステップS12に戻り、n+1番目のインクジェットヘッド11のパージを行い、その後、そのインクジェットヘッド11に対応するワイプユニット21を廃インク受け位置から退避位置へ移動させる(S14)。
【0078】
一方、制御部4は、ステップS16において、n=4であると判断した場合(S16,YES)、各インクジェットヘッド11A~11Dを待機位置から印刷位置へ下降させる。そして、制御部4は、インクジェットヘッド11A~11Dによる印刷処理を行う(S20)。
【0079】
次に、インクジェット印刷装置1のワイプユニット21における廃インクの吸引動作について説明する。
図8は、ワイプユニット21における廃インクの吸引動作を説明するためのフローチャートである。
【0080】
本実施形態では、上述したように印刷開始前において、メンテナンス動作が行われるが、このメンテナンス動作の結果、廃インク受け部26内の廃インクの量が予め設定された量を超えた場合に、廃インクの吸引動作が行われる。すなわち、メンテナンス動作の結果、ワイプユニット21A~21Dの少なくとも1つにおいて、廃インク量の増加による吸引ノズル部41の上昇によって、検出部29により吸引ノズル部41(センサ光遮蔽部55)が検出された場合に、吸引ノズル部41による廃インクの吸引動作が開始される。
【0081】
具体的には、制御部4は、ワイプユニット21の検出部29によって、吸引ノズル部41が検出されたか否かを確認する(S22)。
【0082】
制御部4は、検出部29によって吸引ノズル部41が検出されている場合には(S22,YES)、すなわち廃インク受け部26内に予め設定された量を超えた廃インクが貯留され、これにより吸引ノズル部41が上昇して検出部29によって検出されている場合には、その廃インク受け部26内に貯留された廃インクの吸引動作を開始する。このように、検出部29による吸引ノズル部41の検出信号に基づいて吸引動作を制御することによって、簡易な構成で、かつ適切なタイミングで吸引動作を開始することができる。
【0083】
具体的には、制御部4は、まず、吸引動作を行う時間を決定するため、環境温度の情報を取得する(S24)。環境温度の情報は、たとえば廃インク受け部26の近傍に設けられた温度センサ5によって検出される。ただし、これに限らず、インクジェット印刷装置1外に設けられた温度センサによって検出された環境温度の情報を、ユーザがインクジェット印刷装置1に対して設定入力し、これを制御部4が取得するようにしてもよい。
【0084】
次に、制御部4は、吸引ノズル部41が検出部29によって検出されているワイプユニット21における前回の吸引動作からの経過時間を取得する(S26)。前回の吸引動作からの経過時間は、たとえば制御部4に内蔵されたタイマによって計測された時間を取得する。
【0085】
そして、制御部4は、環境温度と経過時間に基づいて、吸引動作の時間を決定する(S28)。具体的には、制御部4には、
図9に示すような吸引動作時間テーブルが予め設定されており、制御部4は、取得した環境温度と経過時間に基づいて、
図9に示す吸引動作時間テーブルを参照し、吸引動作時間を決定する。ここで、
図9に示す吸引動作時間とは、吸引動作によって廃インク受け部26内の廃インクの量が減少し、吸引ノズル部41が検出部29によって検出されなくなった時点から吸引動作を停止するまでの時間である。
【0086】
ここで、本実施形態においては、環境温度が高いほどインクの粘度が低下して吸引し易くなるので、環境温度が高いほど吸引動作時間を短くする。また、前回の吸引動作からの経過時間が長いほど廃インクの溶媒が揮発して廃インクの粘度が高くなるので、経過時間が長いほど吸引時間を長くする。したがって、
図9に示すテーブルのT1~T6の吸引動作時間の長さ関係は、たとえばT1<T2<T3<T4<T5<T6となる。なお、本実施形態においては、環境温度の範囲を3つに区分し、経過時間の範囲を2つに区分するようにしたが、環境温度および経過時間ともに、さらに細かく区分するようにしてもよい。
【0087】
上述したように、環境温度および前回の吸引動作からの経過時間に基づいて、吸引動作時間を制御することによって、より適切な時間だけ吸引動作を行うことができるので、ダウンタイムを減らすことができ、かつ廃インク受け部26内の廃インクを必要な量だけ吸引することができる。なお、本実施形態では、環境温度と経過時間との両方を考慮するようにしたが、いずれか一方のみに基づいて吸引動作時間を決定するようにしてもよい。
【0088】
次に、制御部4は、上述したように吸引動作時間を決定した後、大気開放弁48を閉鎖する(S30)。これにより、負圧タンク42が密閉状態となる。
【0089】
次いで、制御部4は、負圧タンク42に負圧を生成させる(S32)。具体的には、制御部4は、エアポンプ46の駆動を開始させる。これにより、負圧タンク42から空気が吸引され、負圧タンク42内が減圧され始める。そして、図示しない圧力センサにより負圧タンク42内の圧力が負圧である所定の設定圧になったことが検出されると、制御部4は、エアポンプ46を停止させる。
【0090】
次に、制御部4は、吸引ノズル部41が検出部29によって検出されたワイプユニット21に対応する吸引ノズル弁45を開放する(S34)。これにより、吸引ノズル部41が、負圧タンク42の負圧によって廃インク受け部26内の廃インクの吸引を開始する。
【0091】
そして、制御部4は、ワイプユニット21の検出部29によって、吸引ノズル部41が検出されなくなったか否かを確認する(S36)。制御部4は、検出部29によって吸引ノズル部41が検出されなくなった場合には(S36,YES)、その時点からの時間を計測する。そして、制御部4は、計測時間が、S28で決定した吸引動作時間になった場合には(S38,YES)、エアポンプ46の駆動を停止させる(S40)。続いて、制御部4は、吸引ノズル部41が検出部29によって検出されたワイプユニット21に対応する吸引ノズル弁45を閉鎖する(S42)。
【0092】
次いで、制御部4は、大気開放弁48を開放する(S44)。これにより、負圧タンク42が大気開放状態となる。
【0093】
なお、上述した廃インクの吸引動作については、ワイプユニット21が、廃インク受け位置に配置されているときに行ってもよいし、退避位置に移動した後に行うようにしてもよいし、廃インク受け位置から退避位置に移動中に行うようにしてもよい。
上記実施形態のインクジェット印刷装置1によれば、吸引ノズル部41にフロート機能を付与し、吸引ノズル部41の鉛直方向への移動を検出することによって廃インクの量を検出し、この検出タイミングに基づいて吸引ノズル部41によって廃インクを吸引するようにしたので、検知手段用の配線の破損などを招くことなく、適切なタイミングで廃インク受け部内の廃インクを回収することができる。また、束線保護用の追加部品がなくなるため、コストの削減を図ることができる。
【0094】
また、上記インクジェット印刷装置1によれば、吸引ノズル部41の検出によって廃インク受け部26内の廃インク量を把握できるため、一定間隔での廃液回収動作がなくなるため、ダウンタイムの削減を図ることができる。また、廃インク受け部26内の廃インク量を把握できるため、廃インク受け部26からのインクこぼれによる装置内汚染を防止することができるとともに、廃液回収動作による吸引ノズル部41からのエア吸引による負圧タンク42内のミスト発生を防止することができ、エアポンプ46からの装置内ミスト拡散を防止することができる。
【0095】
また、本実施形態のインクジェット印刷装置1においては、上述したようにワイプユニット21が廃インク受け位置に配置された状態でパージを行い、その後、ワイプユニット21を自動的に退避位置に移動させるようにしたが、制御部4が、検出部29による検出信号に基づいて、ワイプユニット21(廃インク受け部26)の移動の可否を決定するようにしてもよい。すなわち、パージを行った後、検出部29によって吸引ノズル部41が検出されていない場合には、制御部4は、上記実施形態と同様に、即座にワイプユニット21を退避位置に移動させるが、検出部29によって吸引ノズル部41が検出されている場合には、制御部4が、即座にワイプユニット21を移動させず、上述した廃インクの吸引動作を行った後に、ワイプユニット21を移動させるようにしてもよい。これにより、たとえばワイプユニット21の移動によって、廃インク受け部26から廃インクがこぼれてしまうのを防止することができる。
【0096】
以上が、インクジェット印刷装置1のワイプユニット21における廃インクの吸引動作の説明である。
【0097】
そして、上述したような廃インクの吸引動作にともない、負圧タンク42内に貯留された廃インクが増加する。そして、本実施形態においては、負圧タンク42に貯留された廃インクが、予め設定された量を超えた場合には、負圧タンク42から廃液タンク61へインクを送液し、廃液タンク61に廃インクを貯留する。
【0098】
具体的には、制御部4は、圧力センサ43がオンであるか否かを確認することによって、負圧タンク42内の廃インクの液面が、予め設定された高さを超えたか否かを判断する。そして、制御部4は、圧力センサ43がオンであることを確認した場合、廃液回収弁64を開放する。次いで、制御部4は、インクポンプ62を駆動させることによって、負圧タンク42から廃液タンク61へインクを送液する。
【0099】
インクポンプ62の駆動時間については、圧力センサ43がオフになるまでの時間としてもよいし、圧力センサ43がオフしてから予め設定された時間だけ経過するまでの時間としてもよい。
【0100】
また、上記実施形態においては、インク吸引経路44に吸引ノズル弁45A~45Dを設け、吸引ノズル弁45A~45Dの開閉により、各廃インク受け部26から順次インクを吸引するようにしたが、吸引ノズル弁45A~45Dを省略し、各ワイプユニット21によるワイプ、および各廃インク受け部26からの廃インクの吸引を並行して行うようにしてもよい。
【0101】
また、上記実施形態においては、エアポンプ46により負圧タンク42に生成した負圧により各吸引ノズル部41に吸引力を発生させたが、吸引ノズル部41に吸引力を発生させる構成はこれに限らない。例えば、各吸引ノズル部41に対応するインクポンプを設け、そのインクポンプにより吸引ノズル部41に吸引力を発生させてもよい。
【0102】
また、上記実施形態においては、インクジェットヘッド11およびワイプユニット21をそれぞれ4つ備えるインクジェット印刷装置について説明したが、インクジェットヘッドおよびワイプユニットの数はこれに限らない。
【0103】
本発明のインクジェット印刷装置に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記)
【0104】
本発明のインクジェット印刷装置において、吸引ノズル部は、廃インクに浮かべられている状態において、廃インクの液中に常にインク吸引口が存在するように構成されることが好ましい。
【0105】
また、本発明のインクジェット印刷装置においては、検出部による吸引ノズル部の検出信号に基づいて、吸引ノズル部の吸引動作を制御する制御部を備えることができる。
【0106】
また、本発明のインクジェット印刷装置において、制御部は、検出部によって吸引ノズル部が検出されなくなった時点から所定時間だけ吸引ノズル部の吸引動作を行うよう制御し、かつ環境温度に応じて、所定時間を変更することができる。
【0107】
また、本発明のインクジェット印刷装置において、制御部は、検出部によって吸引ノズル部が検出されなくなった時点から所定時間だけ吸引ノズル部の吸引動作を行うよう制御し、かつ前回の吸引ノズル部の吸引動作からの経過時間に応じて、所定時間を変更することができる。
【0108】
また、本発明のインクジェット印刷装置において、制御部は、検出部による吸引ノズル部の検出信号に基づいて、廃インク受け部の移動動作を制御することができる。
【符号の説明】
【0109】
1 インクジェット印刷装置
2 印刷部
3 メンテナンス部
4 制御部
5 温度センサ
11 インクジェットヘッド
11A~11D インクジェットヘッド
12A~12 昇降モータ
13 搬送機構
16 ヘッドモジュール
16a ノズル面
21 ワイプユニット
21A~21D ワイプユニット
22A~22 移動モータ
23 吸引部
24 廃液回収部
26 廃インク受け部
26a 開口部
27 ワイパ取付台
28 ワイパ
29 検出部
29a 発光部
29b 受光部
30 移動機構
31 底板
32 周壁
32a 前壁
41 吸引ノズル部
41A~41D 吸引ノズル部
42 負圧タンク
43 圧力センサ
44 インク吸引経路
45 吸引ノズル弁
45A~45D 吸引ノズル弁
46 エアポンプ
47 エアポンプ用配管
48 大気開放弁
49 大気開放管
50 ノズル本体
50a 吸引口
51 主吸引管
52~54 分岐吸引管
55 センサ光遮蔽部
56 廃インク接触部
61 廃液タンク
62 インクポンプ
63 廃液回収管
64 廃液回収弁
70 ノズル本体
70a 吸引孔
71 フロート部
71a 筒部
71b センサ光遮蔽部
71c 廃インク接触部
L センサ光