(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】間仕切りにおける縦支柱の補強構造および補強方法
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20230217BHJP
【FI】
E04B2/74 531S
E04B2/74 531R
(21)【出願番号】P 2019063933
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2021-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(74)【代理人】
【識別番号】100206106
【氏名又は名称】廣瀬 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 正史
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-005921(JP,U)
【文献】実開昭61-152613(JP,U)
【文献】特開2001-098692(JP,A)
【文献】特開平08-284289(JP,A)
【文献】実開昭53-034110(JP,U)
【文献】特開2007-092460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側が開口し、底片部が床面側に固定される床レールと、
該床レールに支持される状態で左右方向に間隔を存して立設する縦支柱と、
隣接する縦支柱間を連結する横連結材と、
縦支柱の高さ調整手段とを備えて構成される間仕切りにおいて、
前記高さ調整手段は、床レールに内嵌する調整基材と、縦支柱の上下位置調整をするため調整基材に対して上下位置調整自在に支持され、かつ縦支柱の下端縁部が螺子固定される支柱支持材とを備えて構成され、
床レールには、床面側に固定される下部補強材が内嵌され、
該下部補強材は、上下位置調整された支柱支持材に螺子固定され
、
縦支柱の下端縁部は、左右見込み片部に対して前後見付け片部が下方に延出していて調整基材に外嵌する延出部を備え、該延出部は、外嵌する調整基材に螺子固定されていることを特徴とする間仕切りにおける縦支柱の補強構造。
【請求項2】
支柱支持材は、調整基材に上下位置調整自在に設けられたアジャスタボルトに当接するボルト当接片部と、該ボルト当接片部から上方に延出していて縦支柱下端縁部が螺子固定される支柱固定片部と、ボルト当接片部から下方に延出していて下部補強材が螺子固定される補強材固定片部とを備えていることを特徴とする請求項1記載の間仕切りにおける縦支柱の補強構造。
【請求項3】
支柱固定片部は、ボルト当接片部の前後方向端縁部から上方に延出し、補強材固定片部は、調整基材に外嵌する状態でボルト当接片部の左右方向端縁部から下方に延出しており、支柱支持材は、補強材固定片部が調整基材の左右端縁部に摺接することで上下方向の移動案内がなされることを特徴とする請求項2記載の間仕切りにおける縦支柱の補強構造。
【請求項4】
上側が開口し、底片部が床面側に固定される床レールと、
該床レールに支持される状態で左右方向に間隔を存して立設する縦支柱と、
隣接する縦支柱間を連結する横連結材と、
縦支柱の高さ調整手段とを備えて構成される間仕切りにおいて、
前記高さ調整手段は、床レールに内嵌する調整基材と、該調整基材に対して上下位置調整自在に支持され、かつ縦支柱の下端縁部が螺子固定される支柱支持材とを備えて構成され、
床レールには、床面側に固定される下部補強材が内嵌され、
縦支柱の下端縁部は、左右見込み片部に対して前後見付け片部が下方に延出していて調整基材に外嵌する延出部を備え、
前記縦支柱は、支柱支持材の調整基材に対する上下位置調整をした後、あいだに床レールを挟む状態で延出部と調整基材とを螺子固定することで上下位置調整がなされ、
前記下部補強材は、支柱支持材の調整基材に対する上下位置調整をすることで縦支柱の上下位置調整がなされた後、該上下位置調整された支柱支持材に螺子固定されることを特徴とする間仕切りにおける縦支柱の補強方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の室内空間を仕切るため建て付けられる間仕切りにおける縦支柱の補強構造および補強方法の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、建造物の室内空間を仕切るため、間仕切りを建て付けることが試みられるが、このような間仕切りを、床面から天井面にまで至る構成にした場合、該間仕切りは、上下両持ち状になって床面側だけでなく天井面側からの支持も受ける構造になって強度的に強いものにすることができるが、天井面にまでは至らない所謂自立型のものにした場合、床面側からだけの片持ち状の支持構造となり、この結果、どうしても強度的に弱いものになる。
そこでこのような間仕切りの強度アップを図るため、間仕切りの左右方向中間部に袖パネル部を見込み方向(前後方向)に突出するようにして設けることが試みられている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが前記従来のものは、袖パネル部を設けることで強度アップを図ることはできるものの、該袖パネル部が邪魔になって室内の有効空間が狭くなるだけでなく、袖パネル部に人がぶつかったりする等の問題があるうえ、このような袖パネル部を用いないものの建付けが要求された場合に、間仕切りの実質的な強度アップを図ることが難しいという問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、上側が開口し、底片部が床面側に固定される床レールと、該床レールに支持される状態で左右方向に間隔を存して立設する縦支柱と、隣接する縦支柱間を連結する横連結材と、縦支柱の高さ調整手段とを備えて構成される間仕切りにおいて、前記高さ調整手段は、床レールに内嵌する調整基材と、縦支柱の上下位置調整をするため調整基材に対して上下位置調整自在に支持され、かつ縦支柱の下端縁部が螺子固定される支柱支持材とを備えて構成され、床レールには、床面側に固定される下部補強材が内嵌され、該下部補強材は、上下位置調整された支柱支持材に螺子固定され、縦支柱の下端縁部は、左右見込み片部に対して前後見付け片部が下方に延出していて調整基材に外嵌する延出部を備え、該延出部は、外嵌する調整基材に螺子固定されていることを特徴とする間仕切りにおける縦支柱の補強構造である。
請求項2の発明は、支柱支持材は、調整基材に上下位置調整自在に設けられたアジャスタボルトに当接するボルト当接片部と、該ボルト当接片部から上方に延出していて縦支柱下端縁部が螺子固定される支柱固定片部と、ボルト当接片部から下方に延出していて下部補強材が螺子固定される補強材固定片部とを備えていることを特徴とする請求項1記載の間仕切りにおける縦支柱の補強構造である。
請求項3の発明は、支柱固定片部は、ボルト当接片部の前後方向端縁部から上方に延出し、補強材固定片部は、調整基材に外嵌する状態でボルト当接片部の左右方向端縁部から下方に延出しており、支柱支持材は、補強材固定片部が調整基材の左右端縁部に摺接することで上下方向の移動案内がなされることを特徴とする請求項2記載の間仕切りにおける縦支柱の補強構造である。
請求項4の発明は、上側が開口し、底片部が床面側に固定される床レールと、該床レールに支持される状態で左右方向に間隔を存して立設する縦支柱と、隣接する縦支柱間を連結する横連結材と、縦支柱の高さ調整手段とを備えて構成される間仕切りにおいて、前記高さ調整手段は、床レールに内嵌する調整基材と、該調整基材に対して上下位置調整自在に支持され、かつ縦支柱の下端縁部が螺子固定される支柱支持材とを備えて構成され、床レールには、床面側に固定される下部補強材が内嵌され、縦支柱の下端縁部は、左右見込み片部に対して前後見付け片部が下方に延出していて調整基材に外嵌する延出部を備え、前記縦支柱は、支柱支持材の調整基材に対する上下位置調整をした後、あいだに床レールを挟む状態で延出部と調整基材とを螺子固定することで上下位置調整がなされ、前記下部補強材は、支柱支持材の調整基材に対する上下位置調整をすることで縦支柱の上下位置調整がなされた後、該上下位置調整された支柱支持材に螺子固定されることを特徴とする間仕切りにおける縦支柱の補強方法である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1または4の発明とすることにより、床レールに内嵌する状態で床面側に固定される下部補強材に、高さ調整手段の構成部材であって縦支柱の下端縁部が固定される支柱支持材が上下位置調整された状態で螺子固定されることになって、縦支柱下端縁部の補強ができることになるが、この縦支柱の補強を、縦支柱の高さ調整手段を構成する支柱支持材を介することでできる結果、支柱支持材を縦支柱補強のための構成部材として有効に利用できることになって構造の簡略化だけでなく、現場での組付け作業の簡略化にも寄与できることになる。
しかも縦支柱に設けた延出部が調整基材に螺子固定されることとなって、縦支柱の調整基材との一体化が図れ、更なる強度アップに寄与できることになる。
請求項2の発明とすることにより、縦支柱の高さ調整をするため設けられるアジャスタボルトに当接するボルト当接片部に、縦支柱に螺子固定される支柱固定片部と下部補強材に螺子固定される補強材固定片部とを設けただけの構造の簡単なもので、下部補強材を介して縦支柱の補強ができることになる。
請求項3の発明とすることにより、支柱支持材に設けた補強材固定片部が、該支柱支持材の上下方向の移動案内をするための案内部材に兼用されることとなって、縦支柱の補強を、支柱支持材の精度の高い上下移動と併せてできることになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】縦支柱の下端縁部部位の正面縦断面図である。
【
図4】縦支柱の下端縁部部位の側面縦断面図である。
【
図6】縦支柱の下端縁部部位の平面横断面図である。
【
図10】縦支柱下端縁部部位の調整基材を組込んだ状態の分解斜視図である。
【
図11】縦支柱下端縁部部位の縦支柱を組込んだ状態の分解斜視図である。
【
図12】縦支柱上端縁部部位の横枠材を省略した状態の平面図である。
【
図13】縦支柱上端縁部部位の正面縦断面図である。
【
図14】縦支柱上端縁部部位の側面縦断面図である。
【
図17】(A)(B)は遊端部における縦支柱の上端縁部部位、下端縁部部位の斜視図である。
【
図18】(A)(B)は板材としてガラス板を組込んだ状態を示すコーナー部上端縁部部位の斜視図、横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1はビル等の建造物の室内空間を仕切るため建て付けられる間仕切りであって、該間仕切り1は、床面Fに設けられる床レール2に対して左右方向(見付け方向)に間隙を存する状態で複数の縦支柱(縦方向の骨材)3が立設され、そして隣接する縦支柱3同士を連結する横連結材4と、これらによって枠組み形成される間仕切り空間に設けられるパネル板等の板材(ガラス板等の板材であってもよい。)6とを備えたものとして構成されるが、本実施の形態の間仕切り1は、上端縁部については天井面Hには至らない(天井面Hよりも低くなった)自立型のものとして構成されている。そして本実施の形態の間仕切り1は、左右両端縁部に、見込み方向(前後方向)互いに逆側に向けて延出した袖間仕切り部1aが設けられたものになっているが、本発明は、前記縦支柱3の下端縁部の補強に関するものであって、間仕切り1が自立型であるか否か、袖間仕切り部1aの有無に拘わらず実施することができる。
【0009】
前記床レール2は、底片部2aと前後両側片部2bとを備え、上側が開口した断面凵字形のもの(型材)で構成され、底片部2aがビス(螺子材であって、アンカーボルトのような螺子固定するものであればよい。)2cを介して床面F側に固定(螺子固定)されている。
一方、前記縦支柱3は、左右の見込み片部3aと前後の見付け片部3bとを有した四角筒形をしているが、本実施の形態では、一方の見込み片部3aの前後方向中央部位が縦割り状に開口した縦割り開口部3cを有していることでC型の型材(縦支柱3は、縦割り開口部3cのないものであっても勿論よい。)で構成されている。さらに縦支柱3の下端縁部は、左右両見込み片部3aの下端縁部が切り欠かれており、これによって、該左右見込み片部3aの下端縁3eに対し、前後見付け片部3bは下方に延出した延出部3dが設けられた構成、換言すると、縦支柱3の下端縁部は、見込み片部3aの下端縁3eが溝上辺となり、見付け片部延出部3dの左右端縁3fが溝側辺になった冂形の溝状部3gが形成されたものになっている。
そして縦支柱延出部3dは、後述するように縦支柱3を高さ調整手段7にセットした場合に、床レール2の前後側片部2bに外嵌する設定になっている。
【0010】
7は縦支柱3の上下高さ位置を調整をするための高さ調整手段であって、該高さ調整手段7は、床レール2に内嵌する調整基材8と、該調整基材8に対して上下位置調整される支柱支持材9とを備えて構成されるが、調整基材8は、アジャスタボルト(調整ボルト)10が上下方向移動自在に螺入する上片部8aと、該上片部8aの前後方向両端縁部から下方に垂下する前後脚片部8bとを備えた側面視で冂字形をし、前後脚片部8bを床レール2の前後側片部2bに内嵌せしめることで調整基材8の床レール2に対する組込みがなされるようになっており、これによって縦支柱3の下端縁部位では、外側に縦支柱延出部3d、中間に床レール前後片部2b、内側に調整基材前後脚片部8bが前後方向に積層した配設構造になっている。
【0011】
一方、支柱支持材9は、前記アジャスタボルト10のボルト頭が下側から当接する水平板状のボルト当接片部9aと、該ボルト当接片部9aの前後方向両端縁部から上方に延出した支柱固定片部9bと、ボルト当接片部9aの左右方向両端縁部から下方に延出した補強材固定片部9cとを備えて構成されるが、支柱固定片部9bには、前記縦支柱見付け片部3bが延出部3dも含めて外嵌する状態で組み付けられる一方、補強材固定片部9cは、前後方向両端縁部が調整基材前後脚片部8bの左右方向両端縁部に当接(摺接)する状態で該調整基材前後脚片部8bに外嵌組み付けされるようになっている。
そして支柱支持材9は、前記補強材固定片部9cの前後方向両端縁部が調整基材前後脚片部8bの左右方向両端縁部に当接(摺接)することで、左右方向に位置ズレのない上下方向の移動案内がなされるようになっている。
【0012】
この場合に、前記支柱固定片部9bに外嵌した縦支柱延出部3dは、下端縁部がボルト当接片部9a位置よりもさらに下方に延出(垂下)して前記床レール2の前後側片部2bに外嵌し、縦支柱延出部3dと、後述するように縦支柱3の高さ調整された状態の支柱固定片部9bとがビス3hにより螺子固定され、縦支柱延出部3dと調整基材前後脚片部8bとが、あいだに床レール前後片部2bを挟む状態でビス3iにより螺子固定されるようになっている。
前記縦支柱延出部3dと支柱固定片部9bとをビス3hを介して螺子固定する際に、縦支柱延出部3dと支柱固定片部9bとの位置決め(仮保持状の位置決め)が必要になるが、この位置決めは、縦支柱3の見込み片部下端縁3eを、支柱支持材9のボルト当接片部9aと補強材固定片部9cとのコーナー部9eの上側片部(ボルト当接片部9aの左右方向端縁部)に当接するようセットすることでできるようになっている。
【0013】
次に縦支柱3の高さ調整の手順を説明するが、前述したように縦支柱延出部3dを支柱固定片部9bにビス3hを介して螺子固定して縦支柱3と支柱支持材9とを一体化した状態でボルト当接片部9aをアジャスタボルト10のボルト頭に当接せしめ、この状態でアジャスタボルト10を上下方向に移動調整することでできることになる。この場合に、ボルト当接片部9aには、アジャスタボルト10のボルト頭よりも小径であるが、ドライバー等の工具の先端部をボルト頭に形成される操作溝(一般に「+」「-」の溝形状をしている)に挿入係止できる操作孔9dが穿設されており、縦割り開口部3cおよび溝状部3gから縦支柱3内に挿入した前記工具を用いてアジャスタボルト10を上下移動調整することで、支柱支持材9と共に縦支柱3の高さ調整ができるようになっており、該縦支柱3の高さ調整をした後、前述したように縦支柱延出部3dと調整基材前後脚片部8bとの床レール2をあいだに挟む状態でビス3iによる螺子固定がなされるようになっている。
【0014】
また11は下部補強材であって、該下部補強材11に設けられる底片部11aは、床レール2の底片部2aに上側から当接する状態で、前記ビス2cによって床レール底片部2aと共に床面F側に螺子固定されるようになっている。このように床面F側に固定される下部補強材11には、前記底片部11aの前後方向端縁部から床レール2の前後側片部2bに内嵌する状態で上方に延出する前後の見付け起立片部11bと、底片部11aの左右方向縦支柱3側の端縁部から調整基材8の前後脚片部8bのうちの一方に当接する状態で上方に延出する見込み起立片部11cとを備えることで、見込み起立片部11cが設けられるとは逆側方と上方とが開口された箱型形状で構成されるが、見付け起立片部11bの上端縁は、床レール前後側片部2bと略同高さとなった第一上端縁11dと、該第一上端縁11dよりも見込み起立片部11c側に位置していて該第一上端縁11dよりも高くなった(床レール2の上端縁よりも高くなった)第二上端縁11eとが形成されることで段差状に構成されている。
そして下部補強材11は、前述したように底片部11aがビス2cにより床レール底片部2aと共に床面F側に螺子固定された状態で、見込み起立片部11cがビス11fにより前記高さ調整された支柱支持材9の補強材固定片部9cにネジ固定されるようになっており、このようにして縦支柱3の下端縁部の下部補強材11による補強ができるようになっている。
【0015】
一方、縦支柱3の上端縁部の補強は、上部補強材12と補強受け材13とを用いてなされている。前記上部補強材12は、本実施の形態では、上端縁部が上片部12aによって塞がれ、前後側片部12bと左右側片部12cとを備えて構成された四角筒形状(有天四角筒形状)をしており、これによって、上部補強材12自体、強度的に強いものになっているが、さらに上部補強材12は、前後左右の側片部12b、12cを縦支柱3の上端縁部に内嵌することで縦支柱3に組込まれることになるが、その場合に、縦支柱3の縦割り開口部3cから作業者の指やドライバ等の工具や作業者の指等を差込むことで、該嵌入した上部補助材12が落下しないよう仮保持できるようになっている。
【0016】
また前記補強受け材13は、本実施の形態ではL字形をしていて、縦支柱見込み片部3aの見込み面(左右方向外面)Aに突き当てられる縦片部13aと、該縦片部13aの上端縁部から左右方向に延出する横片部13bとを備えて構成されている。そして補強受け材13は、縦支柱3の見込み片部3aをあいだに挟む状態で縦片部13aと前記縦支柱3に嵌入した上部補強材12の左右側片部12cとをビス13cを介して螺子固定することで、縦支柱3および上部補強材12と一体化できるようになっている。この場合、補強受け材13は、前後幅が縦支柱3の前後幅よりも幅狭になっていて、前記縦支柱3に突き当てる状態で螺子固定したとき、縦支柱3のコーナー部3jの見込み側片部(見込み片部3aの前後端縁部)には縦片部13aの左右端縁が至らない、つまり縦片部13aのない露出した状態のままになるよう設定されている。
尚、縦支柱3の見付け片部3bと上部補強材12の前後側片部12bとは、ビス3oを介してさらに螺子固定されている。
【0017】
前記横連結材4は、本実施の形態では縦支柱3の上端縁部同士を連結するものとして用いられているが、縦支柱3の上下方向中間部同士を連結するものとしても同様にして用いることができる。
ところで横連結材4は、上片部4aと前後側片部4bとを備えていることで、下方が開口した断面冂字形に構成されており、そして前後側片部4bを補強受け材13の横片部13bに外嵌し、上片部4aを横片部13bに当接した状態で、上片部4aからビス4cを横片部13bに螺入することで、横連結材4と補強受け材13とが螺子固定されるようになっている。
この場合に、横連結材前後側片部4bの左右端縁部は、前記縦支柱3の露出した状態のコーナー部3jの見込み側片部に当接するようになっており、これによって横連結材4が組込まれた場合に、該横連結材4の前後側片部4bと縦支柱3の見付け片部3bとの見付け面同士が面一状になるよう設定されている。
【0018】
また横枠材5は、横連結材4に外嵌取付けされるものであって、前後両側に逆L字形をした中空状(フォロー状)の前後側枠部5aと、該前後側枠部5a同士を前後方向中央部位で連結する連結片部5bとを備えて構成されているが、該連結片部5bは、前後側枠部5aのあいだに形成される凹溝部5cの溝底片を構成している。そして横枠材5は、横連結材4に外嵌する状態で、連結片部5bをビス5dにより横連結材4、並びに上部補強材12の上片部12aにそれぞれ螺子固定される構成になっており、このようにして縦支柱3の上端部の補強をする構成になっている。尚、5eは横枠材5の凹溝部5cの上部開口を覆蓋するための蓋材である。
【0019】
さらに前記板材6は、横連結材4の前後に配される状態で一対が設けられるものであるが、断面L字形をした支持部14aを備えた支持金具14を縦支柱見込み片部3aの下端縁部に形成した係止孔3kに係止する一方、縦支柱見付け片部3bに形成した係止孔3lに係止金具15を係止した状態で、板材6の下端縁を支持部14aに上側から載置して支持させると共に、板材6の裏面(内面)を係止金具15に係止することにより取付けられる構成になっている。そして本実施の形態では、このようにして取付けられた板材6の上端縁には、前記横枠材前後側片部5aの下端面が当接(または近接対向)する構成になっている。
尚、この場合に、床レール2の上端が開口したままの状態になるため、冂形状の塞ぎ材20により塞いだものとしている。
【0020】
また本実施の形態では、前述したように間仕切り1の左右両端縁部に袖間仕切り部1aが設けられたものとなっているが、
図18に示す実施の形態のものは、板材6として前記実施の形態のように前後一対のパネル板ではなく一枚のガラス板6aを組込んだものを例示している。そしてこの場合には、これらのコーナー部において、一方の縦支柱は、前記縦支柱3と同じものが用いられているのに対し、他方の縦支柱は、前記縦支柱3に対して幅狭の縦支柱3mが設けられたものとなっているが、該縦支柱3mはビス3nを介して縦支柱3に螺子固定されていると共に、上端縁部がL字形をした連結金具17によって連結されることで補強されたものになっている。尚、ガラス板6aを組込むにあたり、ガラス板6a用の組込み溝18aが設けられた縦横の枠材18を縦支柱3、3mに取付けている(図示しないが、横連結材4、床レール2にも同様にして取付けている)。さらにこの場合、遊端となる縦支柱3には、ガラス板6a用の組込み溝18aのない枠材19が設けられたものとなっている。
またこの場合に、前記コーナー部についても補強する必要があり、そこで
図17に示すように、上端縁部については、前記縦支柱3mの上端縁部に上部補強材20が設けられたものにする一方、下端縁部については、縦支柱3mの延出部3pを下部補強材11の第二上端縁11eが形成される部位の見付け起立片部11bにネジ固定する構成になっている。
【0021】
叙述の如く構成された本実施の形態において、間仕切り1が自立型である場合のように縦支柱3の強度が要求されることがあり、このような場合に、該縦支柱3は、該縦支柱3の高さ調整手段の構成部材である支柱支持材9を介して床面F側に固定される下部補強材11に支持されることになって、縦支柱3の下部補強材11による補強が、支柱支持材9を有効に利用できることになって構造の簡略化だけでなく、現場での組付け作業の簡略化にも寄与できることになる。
【0022】
しかもこの場合に、支柱支持材9は、縦支柱3の高さ調整をするため設けられるアジャスタボルト10に当接するボルト当接片部9aに、縦支柱3に螺子固定される支柱固定片部9bと下部補強材11に螺子固定される補強材固定片部9cとを設けただけの構造の簡単なものとしただけで、前記下部補強材11を介して縦支柱3の補強ができることになって、構造が複雑化することがない。
【0023】
またこのものでは、前記支柱固定片部9bがボルト当接片部9aの前後方向端縁部から上方に延出したものとして構成され、補強材固定片部9cが調整基材8に外嵌する状態でボルト当接片部9aの左右方向端縁部から下方に延出したものとして構成され、そしてこれらが設けられた支柱支持材9は、補強材固定片部9cが調整基材8の左右端縁部に摺接することで縦支柱3の高さ調整をするための上下方向の移動案内がなされることになり、この結果、支柱支持材9に設けた補強材固定片部9cが、縦支柱3の上下調整をするための案内部材に兼用されることとなって、縦支柱3の補強を、支柱支持材9の精度の高い上下移動と併せてできることになる。
【0024】
また縦支柱3の下端縁部には、前後見付け片部3bの下端縁部が縦支柱3の左右見込み片部3aよりも下方に延出していて調整基材8に外嵌する延出部3dが設けられたものとなっており、そして該延出部3dが、調整基材8に螺子固定されることで、縦支柱3は、下部補強材11だけでなく、調整基材8との一体化が図れることになって更なる強度アップに寄与できることになる。
【0025】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されるものでないことは勿論であって、例えば下部補強材11については、前記実施の形態では縦支柱3に対して左右方向一方側に設けたものとしたが、左右両側に設けて更なる補強を図るように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、建物の室内空間を仕切る間仕切りの縦支柱を補強するものとして利用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 間仕切り
2 床レール
2a 底片部
3 縦支柱
3a 見込み片部
3b 見付け片部
3c 縦割り開口部
3d 延出部
4 横連結材
4b 前後側片部
5 横枠材
7 高さ調整手段
8 調整基材
8a 上片部
8b 前後脚片部
9 支柱支持材
9a ボルト当接片部
9b 支柱固定片部
9c 補強材固定片部
10 アジャスタボルト
11 下部補強材
11a 底片部
11c 見込み起立片部
12 上部補強材
12a 上片部
12b 前後側片部
12c 左右側片部
13 補強受け材
13a 縦片部
13b 横片部
A 縦支柱見込み片部の見込み面
F 床面
H 天井面