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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】光学分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20230217BHJP
   G01N 21/3577 20140101ALI20230217BHJP
【FI】
G01N21/27 Z
G01N21/3577
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019079958
(22)【出願日】2019-04-19
(65)【公開番号】P2020176940
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】592187534
【氏名又は名称】株式会社 堀場アドバンスドテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(72)【発明者】
【氏名】斧田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】横山 一成
(72)【発明者】
【氏名】世古 朋子
【審査官】谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0162651(US,A1)
【文献】特開2014-202658(JP,A)
【文献】特開2002-107294(JP,A)
【文献】特開2002-082018(JP,A)
【文献】特開平03-102244(JP,A)
【文献】特開2015-132610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する配管を流れる試料を分析する光学分析装置であって、
光源及び集光レンズを有する光源ユニットと、
前記光源ユニットの光を検出する光検出ユニットと、
前記光源ユニット及び前記光検出ユニットを移動可能に支持する支持機構とを備え、
前記支持機構は、前記光源ユニット及び前記光検出ユニットを、前記光源ユニットの光を前記配管を介して前記光検出ユニットに検出させるサンプル測定位置と、前記光源ユニットの光を前記配管を介さずに前記光検出ユニットに検出させるリファレンス測定位置との間で移動させるものであり、
前記光学分析装置は、前記リファレンス測定位置にある前記光源ユニット及び前記光検出ユニットの間に位置するリファレンス光学部材をさらに備え、
前記前記支持機構は、
固定して設けられたベース部材と、
前記光源ユニット及び前記光検出ユニットを連結する連結部材と、
前記ベース部材に設けられ、前記連結部材により連結された前記光源ユニット及び前記光検出ユニットを、前記ベース部材に対してスライド移動させるスライド駆動部とを備え、
前記連結部材には、前記光源ユニット及び前記光検出ユニットが前記サンプル測定位置に移動した際に、前記リファレンス光学部材と干渉しないように光学部材避け部が形成されている、光学分析装置。
【請求項2】
前記光源ユニットの集光レンズは、前記サンプル測定位置において、前記光源の光を前記配管の内部で集光させるものである、請求項1記載の光学分析装置。
【請求項3】
前記支持機構は、前記光源ユニット及び前記光検出ユニットの相対位置を変化させることなく、前記サンプル測定位置と前記リファレンス測定位置との間で移動させるものである、請求項1又は2記載の光学分析装置。
【請求項4】
前記スライド駆動部は、前記ベース部材及び前記光検出ユニットの間に介在して設けられたリニアガイドを有しており、
前記光源ユニット及び前記光検出ユニットは、前記リニアガイドにより前記ベース部材に対して移動可能に支持される、請求項1乃至3の何れか一項に記載の光学分析装置。
【請求項5】
前記サンプル測定位置にある前記光源ユニットの光軸上に前記配管の中心が位置するように位置決めする位置決め部をさらに備える、請求項1乃至の何れか一項に記載の光学分析装置。
【請求項6】
前記位置決め部は、前記配管の径に応じて交換可能に構成されている、請求項記載の光学分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体製造プロセス等に用いられる薬液等の成分濃度を測定する光学分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、光学系を移動させることによって、リファレンス光強度信号を取得するリファレンス測定とサンプル光強度信号を取得するサンプル測定とを切り替えるものが考えられている。
【0003】
この光学分析装置では、光源からの光を反射する一対の反射ミラーを有しており、光源及び光検出器を固定した状態で、一対の反射ミラーを、測定セルに光を当てるサンプル測定位置と、測定セルに光を当てないリファレンス測定位置とで移動可能に構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-137983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の光学分析装置のように一対の反射ミラーを移動させて光路を切り替える構成では、サンプル測定での光路長(光源から光検出器までの光学的距離)と、リファレンス測定での光路長とが異なってしまう。また、一対の反射ミラーの位置再現性により、サンプル測定位置又はリファレンス測定位置がずれてしまうと、サンプル測定毎に光路長が変化してしまい、また、リファレンス測定毎に光路長が変化してしまう。このように光路長が変化してしまうと、測定誤差を生じてしまい、薬液の所定成分の濃度を精度良く管理することが難しくなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は上記の問題点を解決すべくなされたものであり、サンプル測定とリファレンス測定とで光路長を同一に保つことを可能にして測定精度を向上することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明に係る光学分析装置は、透光性を有する配管を流れる試料を分析する光学分析装置であって、光源及び集光レンズを有する光源ユニットと、前記光源ユニットの光を検出する光検出ユニットと、前記光源ユニット及び前記光検出ユニットを移動可能に支持する支持機構とを備え、前記支持機構は、前記光源ユニット及び前記光検出ユニットを、前記光源ユニットの光を前記配管を介して前記光検出ユニットに検出させるサンプル測定位置と、前記光源ユニットの光を前記配管を介さずに前記光検出ユニットに検出させるリファレンス測定位置との間で移動させるものであることを特徴とする。
【0008】
この光学分析装置であれば、光源及び集光レンズを有する光源ユニットと光源ユニットの光を検出する光検出ユニットとをサンプル測定位置及びリファレンス測定位置の間で移動させるように構成しているので、従来のように一対の反射ミラーを移動させる構成に比べて、光路長の変化を低減することができる。その結果、サンプル測定とリファレンス測定とで光路長を同一に保つことを可能にして、測定精度を向上することができる。
【0009】
近年では、薬液モニター等のように薬液が流れる配管に光学分析装置を取り付けて、薬液の所定成分の濃度を測定するインライン型のものが考えられている。ここで、薬液が流れる配管は円筒状であることが多く、角形セルのように平行光又はそれに近い光を照射すると、薬液等の液体試料の温度や濃度に応じて生じる屈折率の変化によって、光検出器により検出される光量が変化し易い。その結果、測定誤差を生じてしまい、薬液の所定成分の濃度を精度良く管理することが難しくなってしまう。
そこで、前記光源ユニットの集光レンズは、前記サンプル測定位置において、前記光源の光を前記配管の内部で集光させるものであることが望ましい。
この構成であれば、光源ユニットの集光レンズにより、サンプル測定位置において、光源の光を配管の内部で集光させているので、試料の温度変化や濃度変化により試料の屈折率が変化しても、配管及び試料を通過する際に生じる屈折の変化を小さくすることができる。その結果、試料の屈折率の変化の影響を受けにくくして、測定精度を向上させることができる。
【0010】
サンプル測定及びリファレンス測定の光路長の変化を可及的に小さくするためには、前記支持機構は、前記光源ユニット及び前記光検出ユニットの相対位置を変化させることなく、前記サンプル測定位置と前記リファレンス測定位置との間で移動させるものであることが望ましい。
【0011】
光源ユニット及び光検出ユニットの相対位置を一定にするための実施の態様としては、前記支持機構は、固定して設けられたベース部材と、前記光源ユニット及び前記光検出ユニットを連結する連結部材と、前記ベース部材に設けられ、前記連結部材により連結された前記光源ユニット及び前記光検出ユニットを、前記ベース部材に対してスライド移動させるスライド駆動部とを備えることが考えられる。
この構成であれば、光源ユニットと光検出ユニットとを連結部材により一体にしているので、1つのスライド駆動部により一挙に光源ユニット及び光検出ユニットをスライド移動させることができる。その結果、光学分析装置を小型化することが可能となる。
【0012】
ここで、光検出ユニットは、分光器を有するものであることが考えられる。この場合、光検出ユニットは、光源ユニットよりも重くなる。
このとき、連結部材により一体とされた光源ユニット及び光検出ユニットを安定してスライド移動させるためには、前記スライド駆動部は、前記ベース部材及び前記光検出ユニットの間に介在して設けられたリニアガイドを有し、前記光源ユニット及び前記光検出ユニットは、前記リニアガイドにより前記ベース部材に対して移動可能に支持されることが望ましい。
【0013】
試料の吸光度を正確に測定するためには、前記サンプル測定位置にある前記光源ユニットの光軸上に前記配管の中心が位置するように位置決めする位置決め部をさらに備えることが望ましい。
【0014】
異なるサイズの配管であっても確実に位置決めできるようにするためには、前記位置決め部は、前記配管の径に応じて交換可能に構成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
以上に述べた本発明によれば、サンプル測定とリファレンス測定とで光路長を同一に保つことを可能にするだけでなく、試料の屈折率の変化の影響を受けにくくして、測定精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る光学分析装置のサンプル測定の状態を示す全体模式図である。
図2】同実施形態に係る光学分析装置のリファレンス測定の状態を示す全体模式図である。
図3】同実施形態の支持機構の詳細を示す断面図である。
図4】同実施形態の焦点位置を示す断面図である。
図5】同実施形態の位置決め部の詳細を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る光学分析装置について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
<1.装置構成>
本実施形態の光学分析装置100は、例えば半導体製造プロセス等に用いられる薬液等の成分濃度を測定するものである。ここで、薬液としては、SC-1(アンモニア過酸化水素水溶液)、SC-2(塩酸過酸化水素水溶液)、SPM(硫酸過酸化水素水溶液)、FPM(フッ酸過酸化水素水溶液)、BHF(バッファードフッ酸溶液)等を挙げることができる。なお、光学分析装置100により得られた濃度を用いて薬液の濃度等が制御される。
【0019】
具体的に光学分析装置100は、透光性を有する例えば円筒状の配管Hに着脱可能に取り付けられて、当該配管Hを流れる液体試料の成分濃度を分光分析法を用いて測定するものである。なお、配管Hは、耐薬品性に優れたフッ素系樹脂(PFA)から形成されている。
【0020】
そして、光学分析装置100は、図1図3に示すように、光源ユニット2と、光源ユニット2の光を検出する光検出ユニット3と、光源ユニット2及び光検出ユニット3を移動可能に支持する支持機構4とを備えている。
【0021】
光源ユニット2は、光源21及び集光レンズ22を備えている。また、光源21及び集光レンズ22の間には、光源21の光を遮断するシャッタ機構23が設けられている。
【0022】
光源21は、LEDである。このLEDとしては、例えば近赤外領域の波長の光を発する近赤外LED、又は可視領域の波長の光を発する可視LEDであり、測定対象である液体試料の種類に応じて適宜選択されるものである。また、集光レンズ22は、光源21の光を集光して配管Hに照射するものである。
【0023】
光検出ユニット3は、集光レンズ31及び分光器32を有している。
【0024】
集光レンズ31は、光源ユニット2の光を集光して分光器32の入射スリット321Sに集光するものである。
【0025】
分光器32は、入射スリット32Sから入射した光を分光して、その分光スペクトル(波長毎の光量)を検出するものである。この分光器32により得られた分光スペクトルデータ(光強度信号)は、情報処理装置COMの演算部に出力される。そして、情報処理装置COMの演算部は、分光器32により得られた分光スペクトルから、液体試料の吸光度スペクトルを算出し、この吸光度スペクトルを用いて液体試料に含まれる成分の濃度を算出する。
【0026】
支持機構4は、光源ユニット2及び光検出ユニット3を、サンプル測定位置Sとリファレンス測定位置Rとの間で移動させるものである。
【0027】
ここで、サンプル測定位置Sは、光源ユニット2及び光検出ユニット3の間に配管Hが位置しており、光源ユニット2の光を配管Hを介して光検出ユニット3に検出させる位置である。また、リファレンス測定位置Rは、光源ユニット2及び光検出ユニット3の間に配管Hが位置しておらず、光源ユニット2の光を配管Hを介さずに光検出ユニット3に検出させる位置である。本実施形態では、サンプル測定位置Sにおける光路長と、リファレンス測定位置Rにおける光路長とは同一である。
【0028】
具体的に支持機構4は、光源ユニット2及び光検出ユニット3の相対位置を変化させることなく、サンプル測定位置Sとリファレンス測定位置Rとの間で移動させるものである。
【0029】
本実施形態では、サンプル測定位置Sでの光源ユニット2及び光検出ユニット3の相対位置及びリファレンス測定位置Rでの光源ユニット2及び光検出ユニット3の相対位置を同じにするだけでなく、それらの位置を移動する間(S→R、R→S)においても、光源ユニット2及び光検出ユニット3の相対位置が同じとなるように構成されている。
【0030】
そして、支持機構4は、装置本体側に固定して設けられたベース部材41と、光源ユニット2及び光検出ユニット3を連結する連結部材42と、ベース部材41に設けられ、連結部材42により連結された光源ユニット2及び光検出ユニット3を、ベース部材41に対してスライド移動させるスライド駆動部43とを備えている。
【0031】
ベース部材41は、平板状をなすものであり、配管Hが位置決めされるものであり、その端縁部に配管Hを取り囲むための切り欠き部41Kが形成されている。
【0032】
また、ベース部材41には、リファレンス測定位置Rにある光源ユニット2及び光検出ユニット3の間に位置するリファレンス光学部材5が設けられている。このリファレンス光学部材5は、配管Hを通過した光が光検出ユニットの集光レンズ31に集光された際の焦点位置と略同一となるように、光源ユニット2の光の焦点位置を変化させるものである。また、リファレンス光学部材5は、リファレンス測定において光検出ユニット3での検出光量を調整するものであってもよい。なお、リファレンス光学部材5を設けない構成としてもよい。
【0033】
連結部材42は、光源ユニット2の集光レンズ22と光検出ユニット3の集光レンズ31とが所定間隔を空けて対向するように、光源ユニット2及び光検出ユニット3を連結するものである。
【0034】
本実施形態では、例えば平板状をなすものであり、連結部材42の一端部が光源ユニット2における光源21及び集光レンズ22を保持する保持体24に接続されている。また、連結部材42の他端部が光検出ユニット3の分光器32の筐体に接続されている。これにより、光源ユニット2から光検出ユニット3までの光路は直線となる。具体的に連結部材42は、保持体24及び分光器32のリファレンス測定位置R側で接続されており、各ユニット2、3がサンプル測定位置Sに移動した際に、リファレンス光学素子5と干渉しないように例えば貫通孔等の光学部材避け部421が形成されている。これにより、支持機構4の移動方向における寸法を小型化することができる。
【0035】
スライド駆動部43は、ベース部材41及び光検出ユニット3の間に介在して設けられたリニアガイド431と、当該リニアガイド431に沿って光検出ユニット3をスライド移動させるアクチュエータ432とを備えている。
【0036】
リニアガイド431は、光源ユニット2及び光検出ユニット3を、それらがサンプル測定位置S及びリファレンス測定位置Rの間で直線移動するように支持する。リニアガイド431のスライダは、光検出ユニット3の分光器32の筐体に接続されている。これにより、光源ユニット2及び光検出ユニット3は、リニアガイド431によりベース部材41に対して移動可能に支持される。
【0037】
アクチュエータ432は、例えばエアシリンダを用いて構成されている。その他、モータとモータの回転を直線移動に変換する例えばボールねじ機構等の回転-直線変換機構とを用いたものであってもよい。
【0038】
サンプル測定位置Sにおいて光学ユニット2の集光レンズ22は、図4に示すように、配管H内で光を集光している。つまり、円筒状をなす配管Hの外側面に入射する光の入射角度は、配管Hに平行光を照射する場合に比べて、その入射位置における外側面の接線とのなす角度が小さくなるようになる。
【0039】
そして、本実施形態の光学分析装置100は、特に図5に示すように、サンプル測定位置Sにある光源ユニット2の光軸上に配管Hの中心が位置するように位置決めする位置決め部6をさらに備えている。
【0040】
この位置決め部6は、ベース部材41に設けられている。具体的には、上述したベース部材41の切り欠き部41Kに接続されている。具体的に位置決め部6は、配管Hを収容する収容部61と、当該収容部61に収容された配管Hを固定する固定部62とを有している。
【0041】
収容部61は、ここでは断面が概略U字形状をなすのであり、配管Hにおけるその軸方向に沿った一部を収容するものである。この収容部61の内面における曲面部分61aは、配管Hの外側面に対応した曲率を有している。
【0042】
本実施形態の収容部61は、サンプル測定位置Sにある光源ユニット2及び光検出ユニット3の間に設けられており、収容部61には、光源ユニット2からの光を配管Hに導くための光通過窓W1と、配管Hを通過した光を光検出ユニット3に導くための光通過窓W2とが形成されている。これら2つの光通過窓W1及びW2は、収容部61の互いに対向する側壁に形成されている。この収容部61は、配管Hの外側面が収容部61の曲面部分61aに接触することによって、配管Hの中心軸が光路上に位置するように構成されている。
【0043】
また、収容部61は、ベース部材41に対して例えばねじにより着脱可能に構成されている。これにより、配管Hの径に応じた収容部61に交換することで、配管Hの径に関わらず、当該配管Hの中心軸を光路上に位置させるようにすることができる。
【0044】
固定部62は、収容部61に取り付けられた状態で、配管Hを収容部61に押圧するものである。固定部62は、配管Hの外側面の一部に接触して、配管Hを収容部61の曲面部分61aに押圧する。本実施形態の固定部62は、収容部61に着脱可能に取り付けられる構成としているが、収容部61以外の部材に着脱可能に取り付けられることによって、配管Hを収容部61に押圧するものであっても良い。
【0045】
そして、本実施形態では、上記の各構成2~10は、図1等に示すように、ケーシング11に収容されている。ケーシング11は、配管Hを収容部61に収容できるように収容部61の開口部分を除いて上記の各構成2~6を収容している。また、当該ケーシング11に前記支持機構4のベース部材41が固定される。このケーシング11は、図示しないブラケットを介して配管Hの周辺部材に固定される。なお、ケーシング11は、信号ケーブルにより情報処理部COMと接続されている。
【0046】
<2.光学分析装置100を用いた分析方法>
次に、本実施形態の光学分析装置100を用いた分析方法について説明する。
【0047】
まず光学分析装置100を配管Hの近傍に設置する。そして、光学分析装置100の収容部61に配管Hを収容して固定部62を取り付ける。これにより、配管Hが光学分析装置100に位置決めされる。
【0048】
この状態において光学分析装置100は、リファレンス測定(図2参照)及びサンプル測定(図1参照)を行う。リファレンス測定では、情報処理装置COMの制御部により光学ユニット2及び光検出ユニット3がリファレンス測定位置Rとなるように支持機構4のスライド駆動部43が制御され、光源ユニット2の光はリファレンス光学素子5を通り光検出ユニット3に検出される(図2参照)。一方、サンプル測定では、情報処理装置COMの制御部により光学ユニット2及び光検出ユニット3がリファレンス測定位置Rとなるように支持機構4のスライド駆動部43が制御され、光源ユニット2の光は配管Hを通り光検出ユニット3に検出される(図1参照)。
【0049】
その他、光源ユニット2に設けられたシャッタ機構23が情報処理装置COMの制御部により制御されることにより、光源ユニット2の光源21の光が遮断されて、無光状態での光検出ユニット3の検出信号を取得するダーク測定が行われる。ダーク測定により得られた検出信号は、リファレンス測定及びサンプル測定により得られた光検出ユニット3の検出信号を補正するのに用いられる。
【0050】
<3.本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態の光学分析装置100によれば、光源21及び集光レンズ22を有する光源ユニット2と光源ユニット2の光を検出する光検出ユニット3とをサンプル測定位置S及びリファレンス測定位置Rの間で移動させるように構成しているので、従来のように一対の反射ミラーを移動させる構成に比べて、光路長の変化を低減することができる。また、光源ユニット2の集光レンズ22により、サンプル測定位置Sにおいて、光源21の光を配管Hの内部で集光させているので、液体試料の温度変化や濃度変化により液体試料の屈折率が変化しても、配管H及び液体試料を通過する際に生じる屈折の変化を小さくすることができる。その結果、サンプル測定とリファレンス測定とで光路長を同一に保つことを可能にするだけでなく、液体試料の屈折率の変化の影響を受けにくくして、測定精度を向上することができる。
【0051】
<4.その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0052】
例えば、前記実施形態では、支持機構4のリニアガイド43が光検出ユニット3側のみに設けられていたが、光検出ユニット3及び光源ユニット2の両方に設けても良い。また、支持機構4のリニアガイド43を光源ユニット2側のみに設けても良い。
【0053】
また、前記実施形態の支持機構4では、光源ユニット3及び光検出ユニット4を連結部材42により連結してそれらが同じスライド駆動部43により移動する構成であったが、光源ユニット2及び光検出ユニット3それぞれにスライド駆動部43を設けて、光源ユニット2及び光検出ユニット3が独立して移動するように構成しても良い。
【0054】
さらに、前記実施形態の支持機構4は、サンプル測定位置S及びリファレンス測定位置Rだけでなく、その移動途中においても、光源ユニット2及び光検出ユニット3の相対位置を変化させることなく移動させるものであったが、サンプル測定位置S及びリファレンス測定位置Rにおけるそれらの相対位置が同じであれば、移動途中においてはそれらの相対位置が変化するものであっても良い。
【0055】
前記実施形態では、薬液等の液体試料を分析するものについて説明したが、ガス試料を分析するものであっても良い。
【0056】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の変形や組み合わせを行っても構わない。
【符号の説明】
【0057】
100・・・光学分析装置
H ・・・配管
2 ・・・光源ユニット
21 ・・・光源
22 ・・・集光レンズ
3 ・・・光検出ユニット
4 ・・・支持機構
S ・・・サンプル測定位置
R ・・・リファレンス測定位置
41 ・・・ベース部材
42 ・・・連結部材
43 ・・・スライド駆動部
431・・・リニアガイド
6 ・・・位置決め部
図1
図2
図3
図4
図5