(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】配線経路検出システム、配線経路検出装置、配線経路案内装置および配線経路検出方法
(51)【国際特許分類】
H02G 1/06 20060101AFI20230217BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20230217BHJP
【FI】
H02G1/06
G06K7/10 244
(21)【出願番号】P 2019106704
(22)【出願日】2019-06-07
【審査請求日】2022-04-22
(31)【優先権主張番号】P 2018109324
(32)【優先日】2018-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390014568
【氏名又は名称】東芝プラントシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】弁理士法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川副 英次
(72)【発明者】
【氏名】山田 穣
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 盛久
(72)【発明者】
【氏名】西村 達仁
(72)【発明者】
【氏名】細矢 敏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 善美
(72)【発明者】
【氏名】安松 洋
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-268540(JP,A)
【文献】特開平09-203761(JP,A)
【文献】特開平08-184628(JP,A)
【文献】特開2007-215398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/06
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属部分を含む1つ以上の配線がそれぞれ敷設される複数の配線系統を含む配線設備における前記配線それぞれの配線経路を検出する配線経路検出システムであって、
複数の前記配線経路それぞれに沿って設けられ、前記複数の配線系統それぞれに固有な無線の起動信号の受信に応じて、前記配線設備において固有な識別子を含む応答信号をそれぞれ送信する複数の無線識別装置と、
前記複数の配線系統それぞれに固有な前記無線識別装置への前記起動信号を、前記配線の金属部分に供給して前記複数の無線識別装置それぞれに無線で送信し、送信された前記起動信号の受信に応じて前記複数の無線識別装置それぞれから送信された前記応答信号に含まれる前記識別子を受信して収集する識別信号収集装置と、
前記複数の無線識別装置それぞれの前記配線設備における位置と前記識別子とを対応付けて記憶する位置記憶装置と、
収集された前記応答信号に含まれる前記複数の無線識別装置の前記識別子と、対応付けられて記憶された前記無線識別装置それぞれの前記配線設備における位置と前記識別子とに基づいて、配線経路の検出の対象とされた前記配線の前記配線設備における配線経路を検出する経路検出装置と、
を備える配線経路検出システム。
【請求項2】
金属部分を含む1つ以上の配線がそれぞれ敷設される複数の配線系統を含む配線設備における前記配線それぞれの配線経路を検出する経路検出装置であって、前記複数の配線系統それぞれに沿って、前記複数の配線系統それぞれに固有な無線の起動信号の受信に応じて、前記配線設備において固有な識別子を含む応答信号をそれぞれ送信する複数の無線識別装置が設けられ、
前記複数の配線系統それぞれに固有な前記無線識別装置への前記起動信号を、前記配線の金属部分に供給して前記複数の無線識別装置それぞれに無線で送信し、送信された前記起動信号の受信に応じて前記複数の無線識別装置それぞれから送信された前記応答信号に含まれる前記識別子を受信して収集する識別信号収集装置と、
前記複数の無線識別装置それぞれの前記配線設備における位置と前記識別子とを対応付けて記憶する位置記憶装置と、
収集された前記応答信号に含まれる前記複数の無線識別装置の前記識別子と、対応付けられて記憶された前記無線識別装置それぞれの前記配線設備における位置と前記識別子とに基づいて、配線経路の検出の対象とされた前記配線の前記配線設備における配線経路を検出する経路検出装置と、
を備える配線経路検出装置。
【請求項3】
前記経路検出装置は、検出された前記配線の前記配線設備における配線経路と、配線経路の検出の対象とされた前記配線が敷設される前記複数の配線系統のいずれかと、が適合するか否かをさらに検出する
請求項2に記載の配線経路検出装置。
【請求項4】
前記位置記憶装置は、前記複数の配線系統それぞれを固有に識別する前記起動信号を、前記配線の金属部分を介して前記複数の無線識別装置それぞれに無線で送信する
請求項2または3に記載の配線経路検出装置。
【請求項5】
前記識別信号収集装置は、前記複数の配線系統それぞれに固有な周波数の前記起動信号を、前記配線の金属部分を介して前記複数の無線識別装置それぞれに送信する
請求項4に記載の配線経路検出装置。
【請求項6】
前記複数の無線識別装置それぞれは、前記複数の配線系統のいずれかに固有な周波数の前記応答信号を前記識別信号収集装置に送信する
請求項5に記載の配線経路検出装置。
【請求項7】
前記応答信号は、前記複数の無線識別装置から前記経路検出装置に、無線通信回線または有線通信回線を介して送信される
請求項6に記載の配線経路検出装置。
【請求項8】
複数の配線のいずれかの識別子を含む起動信号を送信する起動信号送信装置と、
それぞれ、光および音声の少なくとも一方を出力する案内装置が取り付けられ、送信された前記起動信号に含まれる複数の前記配線のいずれかの前記識別子が示す前記配線が近傍を敷設されるときに、前記案内装置を起動する複数の無線識別装置と、
を備える配線経路案内装置。
【請求項9】
複数の前記無線識別装置は、前記起動信号を受信し、受信した前記起動信号に含まれる前記識別子が示す前記配線が近傍に敷設されるときに、受信した前記起動信号に含まれる前記識別子を含む前記起動信号を送信する、
請求項8に記載の配線経路案内装置。
【請求項10】
コンピュータにより、
配線設備に含まれる複数の配線系統それぞれに沿って敷設された複数の配線のいずれかの金属部分に、前記複数の配線系統それぞれに固有な起動信号を送信し、
前記配線設備における位置と、前記配線設備において固有な識別子とを対応付けて記憶し、
前記起動信号の送信に応じて送信され、前記識別子を含む複数の応答信号を受信し、
受信された前記複数の応答信号に含まれる前記識別子に対応付けられて記憶された位置に基づいて、前記配線設備における前記複数の配線それぞれの配線経路を検出する
配線経路検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、配線経路検出システム、配線経路検出装置、配線経路案内装置および配線経路検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石油化学プラント、発電プラントなどを建設したり、改修したりするときには、数十~数百mもの長さの配線用の線材を、多数、計画に従って正確に敷設する必要がある。この目的のために、複数の配線それぞれに識別情報を表示したカードを用いる方法が知られている。しかしながら、この方法によると、配線用の線材の敷設後に、目視以外の手段によって配線が計画通りに敷設されているか否かを確認することはできない。
【0003】
また、引用文献1などには、配線内に電気信号を発信するとともに、配線の敷設経路に電気信号を検知して電気信号検知有無情報と識別データとを送信する受信器を複数個設け、これら受信器からの電気信号検知有無情報と識別データとを、通信回線を介してあるいは無線で送信して配線の経路を検出することが提案されている。しかしながら、この方法は、通信回線および無線通信設備の設置が必要であり、これらの設備の設置が困難な箇所には適用できない。また、この方法によると、ある配線系統から他の配線系統に電気信号が漏洩し、各配線系統に敷設された配線の経路が正確に検出されない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施の形態は上述した背景からなされ、多くの配線を長い距離にわたって敷設するときに、実際に敷設された配線の経路を容易に知ること、または、これらの配線が計画通りの経路を通って敷設されていることを容易に確認することを課題とする。また、本発明の実施の形態は、複数の配線系統それぞれに敷設された配線の経路を正確に検出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、実施形態にかかる配線経路検出システムは、金属部分を含む1つ以上の配線がそれぞれ敷設される複数の配線系統を含む配線設備における配線それぞれの配線経路を検出する配線経路検出システムであって、複数の無線識別装置と、識別信号収集装置と、位置記憶装置と、経路検出装置と、を備える。複数の無線識別装置は、複数の配線経路それぞれに沿って設けられ、複数の配線系統それぞれに固有な無線の起動信号の受信に応じて、配線設備において固有な識別子を含む応答信号をそれぞれ送信する。識別信号収集装置は、複数の配線系統それぞれに固有な無線識別装置への起動信号を、配線の金属部分に供給して複数の無線識別装置それぞれに無線で送信し、送信された起動信号の受信に応じて複数の無線識別装置それぞれから送信された応答信号に含まれる識別子を受信して収集する。位置記憶装置は、複数の無線識別装置それぞれの配線設備における位置と識別子とを対応付けて記憶する。経路検出装置は、収集された応答信号に含まれる複数の無線識別装置の識別子と、対応付けられて記憶された無線識別装置それぞれの配線設備における位置と識別子とに基づいて、配線経路の検出の対象とされた配線の配線設備における配線経路を検出する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態にかかる配線経路検出システムが適応されるプラントシステムを例示する図。
【
図2】配線設備が備えるトレイ群のなかにおける第1のトレイの構成を例示する図。
【
図3】配線設備が備えるトレイ群の第1の構成を例示する図。
【
図5】経路検出装置の構成要素をソフトウェア的に実現するコンピュータの構成を例示する図。
【
図6】プラントシステムにおける配線系統を例示する第1の図。
【
図7】配線設備が備えるトレイ群の第2の構成を例示する図。
【
図8】プラントシステムにおける配線系統を例示する第2の図。
【
図9】プラントシステムにおける配線系統を例示する第3の図。
【
図13】RFIDがトレイに設けられた給電線から電力を受けて動作する構成を例示する図。
【
図14】RFIDがトレイに設けられた電源装置から給電線を介して電力を受けて動作する構成を示す図。
【
図16】第5の経路検出装置の第1の構成を示す図。
【
図17】第5の経路検出装置の第2の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1の実施形態]
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。まず、第1の実施形態を説明する。なお、以下の記載および各図において、実質的に同じ構成要素には同じ符号が付される。また、以下の記載および各図において、複数あり得る構成要素の符号に付された添字は、適宜、省略される(例えば、「トレイ20-i-1~20-i―j~20-i-n(
図3参照)」のうちの1つ以上が、特定されずに示されるときには、適宜、「トレイ20」と記される)。
【0009】
図1に例示されるプラントシステム1は、実施例にかかる配線経路検出が適応される製造用のプラントである。プラントシステム1においては、データセンタ、制御棟、製造棟および発電棟の各階に配置されたコンピュータなどの装置(不図示)同士が、棟内の配線用ダクト、棟外の配線用トラフおよび配線用溝のなかに設けられた配線設備2を介して配線用の線材により相互に接続される。なお、以下、「配線用の線材」は「ケーブル」と記される。
【0010】
配線設備2は、ケーブルトレイ(以下、単に「トレイ」と記す)、電線管、電線管分岐箱、ケーブル載置棚、電線吊り具など、ケーブルを収容する設備、載置する設備、吊下げる設備およびこれらの組み合わせなど、ケーブルを敷設するための設備全てを含む。
【0011】
以下、配線設備2を構成するトレイ群24-iを説明する。
図2,
図3に示されるように、配線設備2は、互いに接続されたm(2≦m)個のトレイ群24-i(1≦i≦m)を備える。トレイ群24それぞれは、配線設備2の経路の形状に適合するように適宜、直線、T字、L字または十字に形成される。
【0012】
トレイ群24-1,24-2,・・・,24-i,・・・24-nは相互に結合されて配線設備2を構成する。トレイ群24-iは、必要とされる段数(n;1≦n)の第1のトレイ20-i-1~20-i-nを備える。トレイ群24-iにおいて、トレイ20-i-1~20-i-nは、ケーブル3の延伸方向と垂直に積み重ねられる。トレイ20-i-1~20-i-nそれぞれは、1本以上のケーブル3を保持する。
【0013】
なお、
図2,
図3に示されるように、トレイ20-i-jの形状は、このトレイ20-i-jを含むトレイ群24-iの形状と同じである。また、ケーブル3は、トレイ群24の両端または途中に適宜、設けられる開口部(不図示)から引き出され、プラントシステム1に含まれる各棟の各装置に接続される。
【0014】
トレイ20の材料は、金属、電波吸収塗料が塗布された合成樹脂などであり、トレイ20は電波信号を遮蔽する。つまり、トレイ群24が複数のトレイ20が積み重ねられた構成を採るときには、異なるトレイ20それぞれに保持されるケーブル3同士の間では、電波信号は遮蔽される。
【0015】
他の形態の配線設備の場合も、配線設備が重合または隣接する場合、後述するRFID22の配置位置との関係を考慮して、各配線設備間には必要に応じて電波遮蔽手段が設けられる。ケーブル3を保持するトレイ20の底面のケーブル3の延伸方向と直角な幅は例えば30~60cm程度であり、底面から垂直方向に設けられる側面の高さは例えば10cm程度である。
【0016】
トレイ20それぞれにおいて、配線経路検出のために有効な位置には、無線識別装置として、例えば第1のRFID(Radio Frequency IDentifier)22-i-j-1~22-i-k~22-i-j-p(例えば、
図2においてp=7)が取り付けられる。RFID22それぞれには、
図1に示されたプラントシステム1において固有な識別子(IDentifier)が付される。RFID22それぞれは、外部からの起動信号の電力を受けて動作し、起動信号を受信すると、この識別子を含む応答信号を電波信号として送信する。
【0017】
この応答信号の到達距離は、トレイ20の幅長程度である。各RFID22からの応答信号の周波数および送信のタイミングは、予め決められた範囲内で、送信のたびにランダムに決められる。このように応答信号の周波数などが決められる理由は、起動信号の送信側において、1回以上の起動信号の送信により、全てのRFID22から返された応答信号に含まれる識別子を確実に識別可能とするためである。
【0018】
図4は、
図2,
図3に示されたプラントシステム1におけるケーブル3の経路を検出する第1の経路検出装置4の構成を示す図である。
図4に示されるように、経路検出装置4は、配線設備2を構成するトレイ群24-iに含まれるトレイ20-i-j(1≦j≦n)それぞれに取り付けられたRFID22を起動信号により付勢し、RFID22それぞれから返される応答信号を受信して識別するために必要な構成要素を含む。
【0019】
つまり、経路検出装置4は、検出制御装置400、RFID読取装置402、ID検出装置404、経路検出装置406、位置データベース(Data Base;DB)408、経路表示装置410および配線計画DB412を含む。
【0020】
図4に示された経路検出装置4の各構成要素は、RFID読取装置402の起動信号の送信のための増幅器(不図示)など、その性質上、ハードウェアによらなければ実現できない部分を除いて、適宜、ハードウェア的にもソフトウェア的にも実現され得る。
【0021】
図5は、
図4に示された経路検出装置4の構成要素をソフトウェア的に実現するコンピュータ14の構成を例示する図である。
図5に示されるように、コンピュータ14は、バス140を介して相互にデータを入出力可能に接続され、情報処理、情報入力、情報出力およびハードウェアとの間のデータの入出力を行うために必要とされる構成要素を備える。
【0022】
つまり、コンピュータ14は、演算処理回路142と、ROM144と、RAM146と、入力インターフェース(IF)148と、入力装置150と、出力IF152と、出力装置154と、入出力回路(I/O)156と、記録装置158とを備える。
【0023】
演算処理回路142は、CPUおよびその周辺回路を有する。ROM144およびRAM146は、プログラムの実行および演算処理に必要とされるデータを記憶する。入力装置150は、キーボード、マウスおよびタッチパネルなど(不図示)を有する。入力IF148は、入力装置150へのユーザの操作を受け入れる。
【0024】
出力装置154は、ディスプレイ装置、プリンタ装置およびUSB-IFなど(不図示)を有する。出力IF152は、出力装置154への情報の表示およびデータの出力を行う。I/O156は、経路検出装置4のハードウェア的な部分との間のデータの入出力を行う。
【0025】
記録装置158は、HD(Hard Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、フラッシュメモリなどの不揮発性の記録媒体160との間でデータの記録および再生を行う。
【0026】
図4に示された経路検出装置4の構成要素の内、検出制御装置400は、RFID読取装置402およびID検出装置404を制御して、プラントシステム1におけるケーブル3それぞれについて全てのRFID22の識別子を検出するために必要な処理を行わせる。なお、検出制御装置400は、このRFID読取装置402およびID検出装置404への制御を、
図5に示された入力装置150へのユーザの操作に応じて、例えば、1本のケーブル3ごとに、または複数本のケーブル3について同時に行う。
【0027】
このような制御は、配線設備2のなかへの新規または追加的な敷設のたびに行われる。また、この制御を、既設であって敷設経路が未確認のケーブル3についても行うことができる。RFID読取装置402は、ケーブル3からRFID22に起動信号を送信し、この起動信号の送信に応じてRFID22それぞれから返された応答信号を、ケーブル3を介して受信して、ID検出装置404に出力する。
【0028】
なお、ケーブル3が、シールドなしのメタリック(金属製)ケーブルであるときには、RFID読取装置402は、ケーブル3自体を介して起動信号を送信し、応答信号を受信する。ケーブル3が、外皮シールド付きメタリックケーブルまたは同軸ケーブルであるときには、RFID読取装置402は、ケーブル3に含まれるシールド部分を介して起動信号を送信し、応答信号を受信する。また、ケーブル3が、光ケーブルであるときには、RFID読取装置402は、敷設のために光ケーブルに付された金属製のテンションケーブルを介して起動信号を送信し、応答信号を受信する。
【0029】
ID検出装置404は、RFID読取装置402から入力された応答信号から、RFID22それぞれの識別子を検出し、検出制御装置400および経路検出装置406に出力する。なお、検出制御装置400は、1本のケーブル3について全てのRFID22からの識別子を検出するために、新たなRFID22の識別子が検出されなくなるまで、識別子の検出のための制御を、予め決められた時間間隔をおいて繰り返し行う。検出制御装置400は、1本のケーブル3について、新たなRFID22の識別子が検出されなくなったと判断すると、ID検出装置404を制御して、検出されたRFID22の識別子の全てを経路検出装置406に出力させる。
【0030】
位置DB408は、RFID22それぞれの識別子と、トレイ20-i-jの配線設備2における位置を示す位置情報と、
図2,
図3に示されたトレイ20-i-jのプラントシステム1および配線設備2における位置を示す位置情報とを対応づけて記憶する。これらの情報は、ケーブル3の経路検出に先立って、位置DB408に記憶される。位置DB408に記憶されたこれらの情報は、ケーブル3の配線経路検出が行われるたびに、経路検出装置406に出力される。
【0031】
経路検出装置406は、ID検出装置404から入力された1本のケーブル3についての全てのRFID22の識別子に対応する位置情報に基づいて、このケーブル3のプラントシステム1および配線設備2における経路を検出し、経路表示装置410に出力する。つまり、経路検出装置406は、ID検出装置404から入力された1本のケーブル3についての全ての識別子に対応するトレイ20-i-jの位置情報を、その添字iが連続するようにソートする。経路検出装置406は、このソートの結果として得られ、連続した位置を示す位置情報の集合を、このケーブル3のプラントシステム1および配線設備2における配線経路情報として検出する。
【0032】
配線計画DB412は、経路検出装置4によるケーブル3の経路検出処理が行われる以前にプラントシステム1の施工者により決められたケーブル3のプラントシステム1および配線設備2における配線経路を示す計画配線経路情報を記憶する。この計画配線経路情報には、ケーブル3それぞれを示す識別子と、このケーブル3が配置されるトレイ20-i-jの全ておよびそのプラントシステム1および配線設備2における位置情報とが対応づけられて含まれる。配線計画DB412は、記憶された計画配線経路情報を、経路表示装置410に出力する。
【0033】
図6は、
図1に示されたプラントシステム1において検出されたある1本のケーブル3の配線経路を示す画像を例示する図である。なお、
図6には、ケーブル3がデータセンタの3階から制御棟の5階まで敷設される場合が示される。経路表示装置410は、経路検出装置406から入力されたケーブル3の配線経路情報を、
図6において太い線で示されるように、経路検出装置4のユーザにとって把握しやすい画像にして出力装置154に表示する。
【0034】
また、経路表示装置410は、経路検出装置406から入力されたケーブル3の配線経路情報と、配線計画DB412から入力された計画配線経路情報とを比較し、これらの配線経路情報に不一致が生じている位置を、
図6に示されるようにX印を付して出力装置154に重ねて表示する。なお、
図6において、不一致が生じている位置Xには、「不一致」という用語が付されている。
【0035】
さらに、経路表示装置410は、経路検出装置4のユーザによる入力装置150への不一致の位置を指定する操作に応じて、指定された不一致の位置を示す不一致情報(不図示)を出力装置154に表示する。この不一致情報には、不一致が生じているトレイ20-i-jの識別情報およびそのプラントシステム1および配線設備2における位置を示す情報が含まれる。
【0036】
以下、
図1に示されたプラントシステム1における
図2,
図3に示されたRFID22が取り付けられたトレイ20と、
図4,
図5に示された経路検出装置4とを用いた配線経路検出の全体的な処理を説明する。まず、プラントシステム1の施工者は、配線設備2に含まれる複数のトレイ20の底面を用いて1本または複数本のケーブル3を新規または追加で敷設する。さらに、経路検出装置4のユーザは、新規または追加のケーブル3が敷設されるたびに、ケーブル3またはその金属部分に経路検出装置4のRFID読取装置402を接続し、コンピュータ14の入力装置150に配線経路の検出のための操作を行う。また、必要に応じて、敷設済で経路未確認のケーブル3についても配線経路の検出のための操作を行う。
【0037】
ユーザがこの操作を行うと、検出制御装置400は、RFID読取装置402を制御し、トレイ20に設けられたRFID22への起動信号を送信させる。RFID22は、RFID読取装置402からケーブル3を介して起動信号を受信すると、応答信号を送信する。つまり、実際にケーブル3が敷設された経路に取り付けられたRFID22のみが起動し、応答信号を送信する。
【0038】
RFID読取装置402は、ケーブル3を介してRFID22からの応答信号を受信し、ID検出装置404に出力する。ID検出装置404は、RFID読取装置402から入力された受信信号からRFID22それぞれの識別子を検出し、コンピュータ14のRAM146に記憶し、さらに、検出制御装置400に出力する。
【0039】
検出制御装置400は、ID検出装置404により新たなRFID22の識別子が検出されなくなるまで、RFID読取装置402およびID検出装置404を制御してRFID22の識別子を検出させる。検出制御装置400は、ID検出装置404により新たなRFID22の識別子が検出されなくなると、ID検出装置404を制御して、検出された全てのRFID22の識別子を経路検出装置406に出力させる。
【0040】
経路検出装置406は、位置DB408から入力された識別子の全てに対応するトレイ20の配線設備2における位置を示す位置情報を処理して、ケーブル3のプラントシステム1および配線設備2における配線経路情報を生成し、経路表示装置410に出力する。
【0041】
経路表示装置410は、位置DB408から入力された位置情報と経路検出装置406から入力された配線経路情報とを処理し、
図6に示されたように、敷設されたケーブル3の配線経路を示す画像を出力装置154に表示してユーザに示す。また、経路表示装置410は、配線計画DB412から入力されたケーブル3の計画配線経路情報と、経路検出装置406から入力された配線経路情報とを比較し、配線設備2において、これらの配線経路情報に不一致が生じる位置を検出する。さらに、経路表示装置410は、配線経路情報に不一致が生じる位置を、配線経路を示す画像に重ねて示す。
【0042】
ユーザが出力装置154に表示された不一致の位置を指定する操作を、入力装置150に行うと、経路表示装置410は、指定された不一致の位置に対応するケーブル3の識別子と、ケーブル3がいずれのトレイ20に設置されたかとを示す不一致情報を生成する。さらに、経路表示装置410は、生成された不一致情報を、配線経路を示す画像において、指定された不一致の位置に対応づけて表示する。
【0043】
ここで説明された配線経路検出方法が、ケーブル3が1本ずつ新規または追加で配線設備2のなかに加えられるたびに実施されると、プラントシステム1における全てのケーブル3それぞれの配線経路およびその敷設前の計画との不一致の位置とその不一致情報とが得られる。ケーブル3の配線経路の検出が終了するたびに、あるいは、全てのケーブル3の配線経路の検出が終了した後で、配線経路およびその敷設前の計画に不一致が生じたケーブル3は、施工者により計画通りの配線経路をたどるように改修される。
【0044】
以上説明した配線経路検出方法によれば、ケーブル3の実際の敷設経路を、また、ケーブル3が敷設前の計画通りの正しい配線経路を通って敷設されたか否かを、施工者の目視によらず、正確に、しかも信頼性高く確認できる。従って、ケーブル3の計画に従わない誤った経路を通った敷設の放置が防止される。同様に、ケーブル3が計画通りに敷設されていないときには、施工者は、このケーブル3を、計画に従った正しい経路を通るように、確実に敷設しなおせる。
【0045】
[第2の実施形態]
以下、第2の実施形態を説明する。
図7は、配線設備2が備えるトレイ群24-iの第2の構成を例示する図である。
図8,
図9は、プラントシステムにおける配線系統Rj,Rnを例示する第2および第3の図である。
図10は、第2の経路検出装置4aの構成を示す図である。
【0046】
図7に示されるように、配線設備2のトレイ群24-iにおいて、トレイ21-i-1~21-i-j~21-i-nは、トレイ20-i-jと同様に、n段に積み重ねられる(第2の実施形態においては、例えば1<j<n)。トレイ21-i-jは、トレイ20-i-jの第1のRFID22-i-j-kが、第2のRFID23-i-j-kに置換された構成をとる。
【0047】
プラントシステム1(
図1)には、
図6,
図8,
図9に例示されるように、例えば、トレイ群24-iにおいて積み重ねられるトレイ21-i-1~21-i-j~21-i-nそれぞれは、配線系統R(Route)1~Rj~Rnそれぞれに含まれる。例えば、配線系統R1に含まれるトレイ21-i-1には、データセンタの3階と制御棟の5階とを結ぶためにグルーピングされた複数のケーブル3-1が敷設される。また例えば、配線系統Rjに含まれるトレイ21-i-jには、データセンタの3階と制御棟の3階とを結ぶためにグルーピングされた複数のケーブル3-jが敷設される。また例えば、配線系統Rnに含まれるトレイ21-i-nには、データセンタの3階と製造棟の2階とを結ぶためにグルーピングされたケーブル3-nが敷設される。
【0048】
つまり、
図10に示されるケーブル3-1~3-j~3-nそれぞれは、トレイ21-i-1~21-i-j~21-i-nそれぞれに敷設され、トレイ21-i-1~21-i-j~21-i-nそれぞれは、n種類の配線系統R1~Rnそれぞれに含まれる。なお、配線系統Rjに含まれるトレイ21-i-jに取り付けられたRFID23-i-j-kの識別子の全ては、配線設備2の計画段階において既知である。配線系統Rjに含まれるRFID23-i-j-kの識別子は、ケーブル3-1~3-j~3-nの経路の検出などの処理の開始以前に、配線計画DB412に予め記憶される。
【0049】
トレイ21-i-jに取り付けられたRFID23-i-j-kは全て、固有の周波数Fjの周波数の起動信号のみを受信し、同じ周波数Fjの応答信号のみを返す。一方、トレイ21-i-jに取り付けられたRFID23-i-j-kは、配線系統Rj’に含まれるトレイ21-i-j’(j≠j’)に固有の周波数Fj’の起動信号を受信せず、何らの応答信号も返さない。このように、プラントシステム1における配線系統R1~Rnそれぞれに固有の周波数F1~Fnそれぞれが割り当てられる。
【0050】
図10に示された経路検出装置4aは、経路検出装置4(
図4)のRFID読取装置402が、n個のRFID読取装置402a-1~402a-j~402a-nに置換された構成をとる。RFID読取装置402a-1~402a-j~402a-nそれぞれは、配線系統R1~Rj~Rnそれぞれに対応する。RFID読取装置402a-1~402a-j~402a-nそれぞれは、ケーブル3-1~3-j~3-nそれぞれに含まれるいずれか1本に接続される。なお、以下、記載の煩雑化の回避のために、「ケーブル3-1~3-j~3-nそれぞれに含まれるいずれか1本」は、単に「「ケーブル3-1~3-j~3-n」とも記載される。
【0051】
経路検出装置4aは、配線設備2のトレイ群24-iを構成するトレイ21-i-1~21-i-nに敷設されたケーブル3-1~3-nそれぞれの経路を検出する。さらに、経路検出装置4aは、検出されたケーブル3-1~3-nそれぞれの経路と配線系統R1~Rnそれぞれとが一致するか一致しないか、つまり、検出されたケーブル3-1~3-nそれぞれの経路とケーブル3-1~3-nそれぞれが敷設されるべき配線系統R1~Rnのいずれかとが適合するか否かをさらに検出する。
【0052】
RFID読取装置402a-1~402a-j~402a-nは、検出制御装置400の制御に従って動作する。RFID読取装置402a-1~402a-j~402a-nそれぞれは、周波数F1~Fnそれぞれの起動信号のみをケーブル3-1~3-j~3-nそれぞれに送信する。さらに、RFID読取装置402a-1~402a-j~402a-nそれぞれは、送信した起動信号と同じ周波数F1~Fnそれぞれの応答信号のみをケーブル3-1~3-j~3-nそれぞれから受信したときには、受信した応答信号をID検出装置404に出力する。
【0053】
経路検出装置4aの検出制御装置400の動作は、RFID読取装置402のRFID読取装置402a-1~402a-j~402a-nへの置換に応じて、以下のように変更される。検出制御装置400は、ケーブル3-1~3-j~3-nの全ての経路の検出のための制御を、1セットを単位として行い、経路検出装置4aの構成要素を1セットあたりn回ずつ制御する。検出制御装置400は、1セットの制御を、ケーブル3-1~3-j~3-nが新設、追加および改修があったときに行い、また、経路検出装置4aのユーザの操作に応じて任意のタイミングで行う。
【0054】
検出制御装置400は、1セットに含まれるj回目の制御において、検出制御装置400は、RFID読取装置402a-jを制御し、これに接続されたケーブル3-jに、周波数Fjの起動信号を送信させる。ケーブル3-jに送信された周波数Fjの起動信号は、RFID23-i-j-kにより受信される。
【0055】
起動信号を受信したRFID23-i-j-kの全ては、周波数Fjの応答信号を送信する。RFID読取装置402a-jは、RFID23-i-j-kが送信した応答信号の全てをケーブル3-jを介して受信する。RFID読取装置402a-jは、周波数Fjの応答信号のみを受信する。RFID読取装置402a-jは、応答信号を受信すると、受信した応答信号をID検出装置404に出力する。以上説明された検出制御装置400によるj回目の制御は、ID検出装置404により新たなRFID23-i-j-kの識別子が検出されなくなるまで繰り返して行われる。
【0056】
検出制御装置400は、この繰り返しが終了すると、ID検出装置404を制御して、ケーブル3-jについて検出された全てのRFID23-i-j-kの識別子を経路検出装置406に出力させる。経路検出装置406は、ケーブル3-jについて得られた全てのRFID23-i-j-kの識別子を、経路検出装置4においてと同様に処理し、ケーブル3-jの配線経路情報を得る。以上説明された処理が、1セットにつきケーブル3-1~3-nそれぞれについて順番にn回行われ、ケーブル3-1~3-nの全ての配線経路情報が得られる。
【0057】
ケーブル3-jが、配線系統Rjに含まれるトレイ21-i-jの全てを介して配線系統Rjに正しく敷設されたときには、RFID読取装置402a-jは、トレイ21-i-jの全に取り付けられたRFID23-i-j-kの識別子を受信することになる。
【0058】
一方、ケーブル3-jが、配線系統Rjに正しく敷設されず、配線系統Rj以外の配線系統Rj’に含まれるトレイ21-i-j’に敷設されることがある。また、トレイ21-i-j’に取り付けられたRFID23-i-j’-kは、ケーブル3-j’からの周波数Fj’の起動信号のみにより起動され、ケーブル3-jからの周波数Fjの起動信号により起動されない。
【0059】
従って、ケーブル3-jが誤って敷設されたトレイ21-i-j’に取り付けられたRFID23-i-j’-kは応答信号を送信しない。さらに、ケーブル3-jがトレイ21-i-j’に敷設されたために、ケーブル3-jが敷設されなかったトレイ21-i-jに取り付けられたRFID23-i-j-kは、起動信号を受信せず、応答信号を送信しない。
【0060】
従って、ケーブル3-jが、配線系統Rjに含まれないトレイ21-i-j’に誤って敷設されると、得られたケーブル3-jの配線経路情報には、計画配線経路情報との不一致などの異常が検出されることとなる。経路検出装置406は、計画配線経路情報と配線経路情報とを比較することにより、配線系統Rjへのケーブル3-jの敷設に異常が生じているか否かを判断できる。経路表示装置410は、
図6,
図8,
図9に例示されるように、ケーブル3-1~3-j~3-nそれぞれの配線経路情報とその不一致情報とを表示する。
【0061】
また、経路検出装置4aおよびトレイ21-i-jが用いられると、上述のように、ケーブル3-jの配線経路情報を得るために配線系統Rjに送信された起動信号は、他の配線系統Rj’に含まれるトレイ21-i-j’に取り付けられたRFID23-i-j’-kを起動しない。従って、起動信号のトレイ21-i-jからトレイ21-i-j’への漏洩に起因するケーブル3-jの経路の誤検出が防止される。
【0062】
なお、以上、経路検出装置4aが、ケーブル3-1~3-nそれぞれに固有の周波数F1~Fnのいずかの起動信号を送信する場合が例示された。しかしながら、経路検出装置4aがケーブル3-1~3-nそれぞれに送信する起動信号、および、RFID23-i-j-kが送信する応答信号は、必ずしも周波数により識別されなくてもよく、例えば、配線系統Rjに固有の識別子または符号化により識別されてもよい。
【0063】
また、経路検出装置4aは、n個のRFID読取装置402a-1~402a-nを備える必要は必ずしもない。例えば、経路検出装置4aにおいて、1個のRFID読取装置402aのみが用いられてもよい。このときには、RFID読取装置402aが、検出制御装置400の制御に従ってケーブル3-1~3-nのいずれかと接続され、接続されたケーブル3-1~3-nのいずれかに固有の周波数で起動信号および応答信号を送受信するように構成されればよい。
【0064】
また、以上、配線系統R1~Rnが、これらに敷設されるケーブル3-1~3-nの両端の位置により定義される場合が例示されたが、配線系統R1~Rnは、ケーブ3-1~3-nの用途(信号用および電力用など)およびこれらの周囲の環境(屋内、屋外および放射線の有無など)により定義されてもよい。また、トレイ群24-iにおいて積み重ねられるトレイ21の段数が、配線設備2の様々な位置で異なることがあり、このときには、計画配線経路情報に従って、収集されたRFID23の識別子が処理され、ケーブル3-1~3-nの経路が検出される。
【0065】
[第3の実施形態]
以下、第3の実施形態を説明する。
図11は、
図7に示された第2の構成のトレイ群24-iにおいて、第2のRFID23-i-j-kの代わりに用いられる第3のRFID25-i-j-kの構成を示す図である。
図12は、第3の経路検出装置4bの構成を示す図である。
【0066】
図11に示されるように、RFID25-i-j-kは、RFID23-i-j-k(
図7)に接続され、トレイ21-i-jの内側から外側に引き出されたアンテナ250-i-j-kが接続された構成をとる。RFID25-i-j-kは、点線の矢印で示されるように、トレイ21-i-jに敷設されたケーブル3-jから周波数Fjの起動信号を受けると、周波数Fjの応答信号をアンテナ250-i-j-kを介してトレイ-i-jの外側に無線信号として送信する。
【0067】
図12に示されるように、経路検出装置4bは、経路検出装置4a(
図10)のRFID読取装置402a-1~402a-j~402a-nが、RFID読取装置402b-1~402b-j~402b-nに置換された構成をとる。また、RFID読取装置402b-1~402j~402b-nそれぞれには、アンテナ402c-1~402c-j~402-nそれぞれが接続される。
【0068】
RFID読取装置402b-jは、配線系統Rjに含まれるトレイ21-i-jに敷設されたケーブル3-jを介して、トレイ21-i-jに取り付けられたRFID25-i-j-kに、固有の周波数Fjの起動信号を送信する。アンテナ250-i-j-kとアンテナ402c-jとの間には無線通信回線が形成される。
【0069】
つまり、RFID読取装置402b-jは、RFID25-i-j-kから、周波数Fjの応答信号のみを、ケーブル3-jを介してではなく、無線通信回線を介して受信するように構成されている。RFID読取装置402b-jは、RFID25-i-jが、アンテナ250-i-j-kからこの無線通信回線に送信した応答信号を、アンテナ402c-jを介して受信する。
【0070】
RFID読取装置402b-jの検出制御装置400は、RFID読取装置402b-jの構成要素を、RFID読取装置402a-j(
図10)においてと同様に制御し、トレイ21-i-1~21-i-nに敷設されたケーブル3-1~3-nそれぞれの経路を検出させる。さらに、検出制御装置400は、経路検出装置406に、検出された経路と配線系統R1~Rnそれぞれとの一致または不一致を検出させる。経路表示装置410は、ケーブル3-1~3-j~3-nそれぞれの配線経路情報とその不一致情報(
図6,
図8,
図9)とを表示する。
【0071】
なお、RFID読取装置402b-jに対しては、RFID読取装置402a-jに対してと同様な変形が可能である。また、RFID25-i-j-kとRFID読取装置402b-jとの間で、無線通信回線ではなく、有線通信回線を介した応答信号の伝送が行われてもよい。また、RFID25-i-j-kとRFID読取装置402b-jとの間の通信回線は、RFID25-i-j-kからRFID読取装置402b-jへの一方向の通信回線でなくてもよく、経路検出装置4bの構成あるいは検出処理の必要に応じて双方向の通信回線とされ得る。また、アンテナ402c-1~402c-nそれぞれがRFID読取装置402b-1~402b-nそれぞれに接続される必要は必ずしもなく、アンテナ402c-1~402c-nの一部または全てが1つ以上のアンテナを共有してもよい。
【0072】
[第4の実施形態]
以下、第4の実施形態を説明する。
図13は、RFID22(
図2など)が、トレイ28-i-jに設けられた給電線26から電力を受けて動作する構成を示す図である。配線設備2を構成するトレイ群24-i(
図3)において、トレイ28-i-jは、トレイ20-i-jと置換され得る。
【0073】
図13に示されるように、トレイ28-i-jは、トレイ20-i-jに、RFID22-i-j-kと電源装置(不図示)とを接続する給電線26を加えた構成をとる。トレイ28-i-jにおいて、RFID22-i-j-kは、ケーブル3を介してRFID読取装置402から受信された起動信号自体の電力の代わりに、トレイ20に設けられた給電線26を介して電源装置から供給された電力により動作する。
【0074】
従って、トレイ28-i-jによれば、経路検出装置4がケーブル3に出力する起動信号の電力は、トレイ20-i-jが配線設備2において用いられるときに比べて大幅に少なくされ得る。なお、トレイ21-i-jのRFID23,25(
図7,
図11)にも、トレイ28-i-jのRFID22へと同様に、給電線26を介して電力が供給され得る。
【0075】
[第5の実施形態]
以下、第5の実施形態を説明する。
図14は、RFID22(
図2など)が、トレイ30-i-jに設けられた電源装置32から給電線26を介して電力を受けて動作する構成を示す図である。配線設備2を構成するトレイ群24-i(
図3)において、トレイ30-i-jは、トレイ20-i-jと置換され得る。
【0076】
図14に示されるように、トレイ30-i-jは、トレイ20-i-jに、RFID22-i-j-kそれぞれに対応付けて電源装置32を追加し、RFID22-i-j-kそれぞれと電源装置32それぞれとが、給電線26を介して接続された構成をとる。
【0077】
電源装置32は、一次電池、二次電池、および、光、放射線、化学物質、震動または空気流など、トレイ30-i-jの周囲の環境から得られるエネルギーから発電する発電装置のいずれかである。トレイ30-i-jにおいて、RFID22-i-j-kの動作のために必要とされる電力は、電源装置32から給電線26を介して供給される。
【0078】
従って、トレイ30-i-jによれば、トレイ28-i-j(
図13)によってと同様に、経路検出装置4がケーブル3に出力する起動信号の電力は、トレイ20-i-jが配線設備2において用いられるときに比べて大幅に少なくされ得る。
【0079】
また、配線設備2のトレイ群24-iがトレイ28-i-jにより構成されるときには、複数のトレイ28-i-j,28-i’-j’(例えば、i≠i’)の間で給電線26を引き回す必要がない。従って、トレイ30-i-jを含むトレイ群24-iの配線設備2への設置は、トレイ28-i-jを含むトレイ群24-iの配線設備2への設置よりも容易である。
【0080】
なお、トレイ30-i-jにおいて、電源装置32は、RFID22-i-j-kそれぞれに対応付けられて設けられる必要はなく、例えば、RFID22-i-j-kが、1つの電源装置32を共有してもよい。また、トレイ21-i-jのRFID23,25(
図7,
図11)にも、トレイ30-i-jのRFID22へと同様に、電源装置32から給電線26を介して電力が供給され得る。
【0081】
[第6の実施形態]
以下、第6の実施形態を説明する。
図15は、第4の経路検出装置5の構成を示す図である。経路検出装置5は、
図4に示された経路検出装置4のRFID読取装置402に、クランプインターフェース(クランプIF)500、クランプ502および結合ケーブル504が接続された構成をとる。経路検出装置5は、例えば、トレイ30-i-jを含むトレイ群24-iから構成される配線設備2においてケーブル3の経路を検出するために用いられる。
【0082】
クランプIF500は、結合ケーブル504を介してクランプ502に、RFID読取装置402からの起動信号を出力する。また、クランプIF500は、結合ケーブル504を介してクランプ502から応答信号を受信する。クランプ502は、例えば、クランプメータのセンサとして用いられるクランプと同様な構成をとり、複数のケーブル3の任意のいずれかと起動信号および応答信号を伝送可能に結合される。結合ケーブル504は、クランプIF500とクランプ502との間で、起動信号および応答信号を伝送可能に接続する。
【0083】
クランプ502は、プラントシステム1(
図1)の改修のための作業現場などにおいて、既存の配線設備2を構成するトレイ30-i-jに敷設済みのケーブル3のうち、経路検出装置5のユーザにより任意に選択されるいずれかと、起動信号の送信および応答信号の受信が可能なように、任意のタイミングで結合される。
【0084】
経路検出装置5のRFID読取装置402(
図4)は、クランプIF500、クランプ502および結合ケーブル504を介してケーブル3に起動信号を送信する。また、RFID読取装置402は、この起動信号の送信に応じてRFID22それぞれから返された応答信号を、ケーブル3からクランプIF500、クランプ502および結合ケーブル504を介して受信して、ID検出装置404に出力する。
【0085】
以上説明した経路検出装置5におけるように、RFID読取装置402が、クランプIF500、クランプ502および結合ケーブル504を介して任意のケーブル3に結合されると、このケーブル3のプラントシステム1および配線設備2における経路が検出され得る。
【0086】
なお、経路検出装置5は、トレイ20-i-j,21-i-j,28-i-j(
図2,
図7,
図13)から構成される配線設備2におけるケーブル3の経路を検出することもできる。クランプ502および結合ケーブル504を介してクランプIF500からの起動信号がケーブル3に送信されるときには、起動信号の電力の全てがケーブル3に伝送されるとは限らない。
【0087】
従って、経路検出装置5がトレイ20-i-jから構成される配線設備2に対して用いられるときには、トレイ28-i-j,30-i-jから構成される配線設備2に対して用いられるときよりも、クランプIF500から送信される起動信号の電力は大きくされる必要がある。なお、クランプ502および結合ケーブル504は、トレイ21(
図7など)に敷設されたケーブル3と経路検出装置4a(
図10)との結合にも利用されうる。
【0088】
[第7の実施形態]
以下、第7の実施形態を説明する。
図16は、第5の経路検出装置6の第1の構成を示す図である。
図16に示された経路検出装置6は、
図4に示された経路検出装置4のRFID読取装置402に、クランプ502、結合ケーブル504,604、第1の起動信号送信装置600、結合部材602-i-jおよび応答信号受信装置606が接続された構成をとる。経路検出装置6は、例えば、トレイ30-i-jを含むトレイ群24-iから構成される配線設備2におけるケーブル3の経路の検出のために用いられる。
【0089】
起動信号送信装置600は、経路検出装置5(
図15)のクランプIF500の機能のうち、起動信号の送信を、クランプ502および結合ケーブル504を介してケーブル3に送信する機能を実現する。応答信号受信装置606は、経路検出装置5のクランプIF500の機能のうち、ケーブル3から応答信号を結合部材602-i-jおよび結合ケーブル604を介して受信する機能を実現する。
【0090】
経路検出装置6のクランプ502および結合ケーブル504は、起動信号のケーブル3への送信のみに用いられ、起動信号送信装置600からの起動信号をケーブル3に送信する。結合部材602-i-jは、例えば、クランプ502と同様なクランプ、応答信号を受信するためのアンテナまたはコイルである。
【0091】
結合部材602-i-jがアンテナまたはコイルのときには、結合部材602-i-jは、トレイ30-i-jにおいて、ケーブル3からの応答信号が届く位置に取り付けられ、応答信号を受信可能なようにケーブル3に結合される。結合部材602-i-jは、ケーブル3から受信した応答信号を、結合ケーブル604を介して応答信号受信装置606に出力する。
【0092】
経路検出装置6のRFID読取装置402(
図4)は、起動信号送信装置600、クランプ502および結合ケーブル504を介してケーブル3に起動信号を送信する。また、RFID読取装置402は、この起動信号の送信に応じてRFID22それぞれから返された応答信号を、ケーブル3から結合部材602、結合ケーブル604および応答信号受信装置606を介して受信して、ID検出装置404に出力する。
【0093】
以上説明した経路検出装置6におけるように、経路検出装置4を、クランプ502、結合ケーブル504,604、起動信号送信装置600、結合部材602および応答信号受信装置606を介して任意のケーブル3に結合しても、このケーブル3のプラントシステム1および配線設備2における経路が検出され得る。
【0094】
なお、経路検出装置6も、経路検出装置5と同様に、トレイ20-i-j,21-i-j,28-i-j(
図2,
図7,
図13)から構成される配線設備2におけるケーブル3の経路を検出できる。また、結合部材602および結合ケーブル604は、トレイ21-i-jに敷設されたケーブル3と経路検出装置4a(
図10)との結合にも利用されうる。このように、クランプ502および結合ケーブル504を介してケーブル3に起動信号を送信し、結合部材602および結合ケーブル504を介してケーブル3から応答信号を受信するようにすると、経路検出装置6は、様々な作業現場におけるケーブル3の経路の検出に、柔軟に対応できる。
【0095】
[第8の実施形態]
以下、第8の実施形態を説明する。
図17は、第5の経路検出装置6の第2の構成を示す図である。
図17に示された経路検出装置6は、応答信号受信装置606に、複数の結合部材602-i-j,602-i’-j’(例えば、i≠i’)それぞれが、結合ケーブル604それぞれを介して接続された構成をとる。
【0096】
経路検出装置6のRFID読取装置402は、例えば、一定の周期で繰り返し、起動信号を起動信号送信装置600に出力する。起動信号送信装置600は、RFID読取装置402からの起動信号を、クランプ502および結合ケーブル504を介してケーブル3に送信する。
【0097】
応答信号受信装置606は、RFID読取装置402が、起動信号を起動信号送信装置600に出力するたびに、結合部材602-i-j,602-i’-j’および結合ケーブル604を介して交互に受信し、RFID読取装置402に出力する。
【0098】
なお、応答信号受信装置606の動作を適切に変更することにより、3組以上の結合部材602および結合ケーブル604が応答信号受信装置606に接続され得る。これにより、経路検出装置6は、様々な作業現場におけるケーブル3の経路の検出に、さらに柔軟に対応できる。
【0099】
[第9の実施形態]
以下、第9の実施形態を説明する。
図18は、経路探査装置7の構成を示す図である。経路探査装置7は、例えば、トレイ30-i-jを含むトレイ群24-iから構成される配線設備2におけるケーブル3の経路の探査のために用いられる。
【0100】
図18に示されるように、経路探査装置7は、クランプ502、結合ケーブル504、複数の結合部材602、複数の結合ケーブル604(
図15~
図17)、探査信号送信装置70、探査信号受信装置72および表示装置74から構成される。
【0101】
クランプ502は結合ケーブル504を介して探査信号送信装置70に接続され、複数の結合部材602それぞれは、複数の結合ケーブル604それぞれを介して探査信号受信装置72に接続される。表示装置74は探査信号受信装置72に接続される。なお、
図18において、複数のケーブル3を示す点線に重ねられた実線の部分は、クランプ502と結合されたケーブル3の経路を示す。
【0102】
探査信号送信装置70は、探査が始められると、予め決められた周波数の探査信号を、クランプ502および結合ケーブル504を介してケーブル3に、連続して送信する。
【0103】
探査信号受信装置72には、複数の結合部材602それぞれの配線設備2における位置と、複数の結合部材602それぞれを介したケーブル3からの探査信号の受信のタイミングとを対応付ける情報が、探査が始められる前に記憶される。探査が始められると、探査信号受信装置72は、予め決められた時間間隔ごとに複数の結合部材602について予め決められた順番で、ケーブル3から結合部材602および結合ケーブル604を介して、探査信号を繰り返し受信する。
【0104】
探査信号受信装置72は、探査信号を受信した結合部材602が取り付けられたトレイ30に敷設された複数のケーブル3のいずれかが、クランプ502と結合されていると判断する。探査信号受信装置72は、探査が始められる前に記憶された情報に基づいて、探査信号を受信した結合部材602が取り付けられたトレイ30の配線設備2における位置を連結する。これにより、探査信号受信装置72は、
図6に例示されたように、クランプ502と結合されたケーブル3の配線経路(R1)を得る。
【0105】
探査信号受信装置72は、このように得られたケーブル3の配線経路を示す情報を、表示装置74に出力する。表示装置74は、探査信号受信装置72から入力された情報を表示し、ケーブル3の配線経路を、経路探査装置7のユーザに示す。
【0106】
経路探査装置7により、ユーザは、経路検出装置4,4a,4b,5,6(
図4,
図10,
図12,
図15~
図17)によってと同様に、ケーブル3の配線経路の知ることができる。経路検出装置4,4a,4b,5,6のいずれかと経路探査装置7とを併用することにより、ユーザは、経路検出装置4,4a,4b,5,6のいずれかのみを用いてケーブル3の配線経路を検出する場合と比べて、より信頼性高くケーブル3の配線経路を把握できる。
【0107】
なお、経路探査装置7は、トレイ20,21,28,30(
図2,
図7,
図13,
図14)から構成される配線設備2におけるケーブル3の経路も探査できる。また、経路探査装置7は、RFID22が取り付けられていないトレイから構成される配線設備におけるケーブルの探査にも用いられ得る。
【0108】
[第10の実施形態]
以下、第10の実施形態を説明する。
図19は、経路探査装置7の最も簡単な構成を示す図である。経路探査装置7は、1つの結合部材602、1つの結合部材602および1つの結合ケーブル604のみを備える。
図19に示された構成において、探査信号受信装置72は、表示装置74に、ケーブル3から結合部材602および結合ケーブル604を介して探査信号が受信されたか否かのみを表示させる。
【0109】
図19に示された構成の経路探査装置7のユーザは、改修作業などの作業現場において、経路探査の対象としたいケーブル3に、クランプ502を結合させ、このクランプ502を、結合ケーブル504を介して探査信号送信装置70に接続する。さらに、ユーザは、クランプ502に結合されたケーブル3が敷設されたトレイ30以外のトレイ30に、結合部材602を取り付け、結合ケーブル604を介して探査信号受信装置72に接続する。
【0110】
以上の作業を行うと、クランプ502と結合されたケーブル3が、結合部材602が取り付けられたトレイ30を通っているときには、表示装置74に探査信号が受信されたことが表示される。一方、クランプ502と結合されたケーブル3が、結合部材602が取り付けられたトレイ30を通っていないときには、表示装置74に探査信号が受信されたことは表示さない。
【0111】
図19に示された構成の経路探査装置7は、改修作業などの作業現場における簡易なケーブル3の経路探査に適している。つまり、
図19に示された構成の経路探査装置7は、例えば、ケーブル3と結合されたクランプ502が存在するトレイ30の近傍のトレイ30に、クランプ502と結合されたケーブル3が通っているか否かを判断する作業に適している。このような作業において、結合部材602を所望のトレイ30の間で移動させて取り付け、結合ケーブル604を介して探査信号受信装置72に接続することにより、ユーザは、クランプ502と結合されたケーブル3が、いずれのトレイ30を通っているか否かを追うことができる。
【0112】
以下、以上説明した実施形態の具体例および変形例を説明する。プラントシステム1は、複数の配線設備2を含み得る。また、トレイ20,28,30の底面に配置されるケーブル3の数は、例えば、10程度から200~300程度である。
図2においてはトレイ20がそれぞれ7個のRFID22を有し、
図4などにおいてはトレイ20,28,30それぞれが6個のRFID22を有する場合が例示されているが、1個のトレイ20,28,30におけるRFID22の数は任意である。
【0113】
さらに、トレイ20,28,30それぞれに、起動信号および応答信号、または、探査信号の他のトレイ20,28,30への漏洩を防止可能な蓋がかぶせられてもよい。実施形態に示された応答信号の到達距離、周波数および送信のタイミングなどの具体的な数値は例示であって、プラントシステム1および経路検出装置4の構成に応じて適宜、変更され得る。
【0114】
また、無線識別装置としてRFID22が用いられる実施形態が説明されたが、実施形態において用いられる無線識別装置はRFID22に限定されない。例えば、無線識別装置が送信および受信する信号、および、探査信号として、RFID22に関して規格化された周波数帯以外の周波数(例えば20kHz以下の可聴周波数帯域)の信号を送信および受信する装置を用いることも可能である。
【0115】
また、RFID22は、配線(ケーブル)との間で信号の送信および受信に好適な場所に取付けられればよく、配線設備2自体に取付けられても、配線設備2以外に取付けられてもよい。
【0116】
また、本発明において、金属部分を含む配線とは、ケーブルが芯線として金属部分を有するケーブル、外皮シールド付きメタリックケーブル、同軸ケーブルおよび金属製のテンションケーブル付光ケーブルの他、配線の長さ方向に連続的に金属部分を有するケーブルの全てを含む。また、以上説明された実施形態に含まれる構成要素は、動作および構成に矛盾が生じない範囲において、適宜、組み合わされ得る。
【0117】
[第11の実施形態]
以下、第11の実施形態を説明する。
図20は、配線経路案内装置8の構成を示す図である。
図20に示されるように、配線経路案内装置8は、
図16に示された経路検出装置6からクランプ502および応答信号受信装置606が除かれ、第1の経路検出装置4が第6の経路検出装置90に置換され、第1の起動信号送信装置600が第2の起動信号送信装置92に置換された構成をとる。
【0118】
配線経路案内装置8が適用される配線設備2においては、第1のRFID22が第2のRFID80に置換され、RFID80それぞれには案内装置82が取り付けられる。経路検出装置90は、プラントシステム1の施工者により指定されたケーブル3の識別子を含む信号を起動信号送信装置800に出力し、起動信号をRFID80に送信させる。
【0119】
起動信号送信装置92は、複数のRFID80の少なくとも1つに、
図2などに示されたケーブル3を介さずに、直接、起動信号を送信する。起動信号送信装置800が送信する起動信号には、施工者により指定されたケーブル3の識別子が含まれる。
【0120】
RFID80は、複数のケーブル3それぞれの識別子と、複数のケーブル3それぞれが、近傍に敷設されるか否かを示す情報とを記憶する。RFID80は、起動信号送信装置800から、複数のケーブル3のいずれかの識別子を含む起動信号を受信すると、この識別子が示すケーブル3が近傍に敷設されるか否かを判断する。
【0121】
RFID80は、この識別子が示すケーブル3が近傍に敷設されるときには、案内装置82を駆動して作動させ、さらに、他のRFID80に対して、このケーブル3の識別子を含む起動信号を送信する。案内装置82は、RFID80により駆動されると、施工者にケーブル3の敷設経路を示す光および音声またはこれらの一方を周囲に出力する。
【0122】
つまり、RFID80のいずれか1つが、その近傍に敷設されるケーブル3の識別子を含む起動信号により起動されると、隣接したRFID80に、このケーブル3の識別子を含む起動信号を、順次、送信することになる。従って、プラントシステム1の施工者が、ケーブル3の識別子を経路検出装置90に指定すると、指定されたケーブル3の経路に沿ったRFID80により駆動された案内装置82から光などが出力される。この結果、施工者には、配線設備2において、指定されたケーブル3が敷設されるべき経路が光などにより示されることとなる。
【0123】
以上説明した第1~第10の実施形態によれば、敷設施工済みのケーブル3の敷設経路が検出されるが、第11の実施形態にかかる配線経路案内装置8によれば、ケーブル3の敷設の際に、計画に沿った敷設経路が施工者に表示される。従って、配線経路案内装置8によれば、施工者は、ケーブル3を配線設備2に容易かつ確実する敷設できる。
【0124】
以上、いくつかの本発明の実施形態が説明されたが、これらの実施形態は、例として提示され、発明の範囲の限定を意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が行われ得る。これらの実施形態およびその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0125】
1 プラントシステム、2 配線設備、3 ケーブル、14 コンピュータ、150 入力装置、154 出力装置、20,21,28,30 トレイ、22,23,25,80 RFID、24 トレイ群、250,402c アンテナ、26 給電線、32 電源装置、4,5,6 経路検出装置、7 経路探査装置、8 配線経路案内装置、400 検出制御装置、402,402a,402b RFID読取装置、404 ID検出装置、406 経路検出装置、408 位置DB、410 経路表示装置、412 配線計画DB、500 クランプIF、502 クランプ、504,604 結合ケーブル、600,800 起動信号送信装置、602 結合部材、606 応答信号受信装置、70 探査信号送信装置、72 探査信号受信装置、74 表示装置、82 案内装置