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特許7229106画像形成装置、画像形成システム、制御プログラムおよび制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成システム、制御プログラムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/387 20060101AFI20230217BHJP
   G06T 11/60 20060101ALI20230217BHJP
   B41J 3/62 20060101ALI20230217BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20230217BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20230217BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20230217BHJP
【FI】
H04N1/387 200
G06T11/60 100D
H04N1/387 110
B41J3/62
B41J21/00 Z
B41J29/42 F
G06F3/12 305
G06F3/12 308
G06F3/12 342
G06F3/12 356
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019110552
(22)【出願日】2019-06-13
(65)【公開番号】P2020202538
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】南 雅範
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-135724(JP,A)
【文献】特開2003-150951(JP,A)
【文献】特開平08-171380(JP,A)
【文献】特開2018-160898(JP,A)
【文献】特開2019-070939(JP,A)
【文献】特開2009-234157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/38 - 1/393
G06T 1/00
11/60 -13/80
17/05
19/00 -19/20
B41J 3/01 - 3/54
3/62
B41J 5/00 - 5/52
21/00 -21/18
B41J 29/00 -29/70
G06F 3/09 - 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔写真を貼り付ける貼付領域を含む台紙画像と、人の顔の画像を含む顔写真画像とを併せて印刷する印刷モードを有する画像形成装置であって、
前記台紙画像から、前記貼付領域を抽出する抽出手段、
前記顔写真画像に含まれる前記人の顔の画像の位置に応じて、前記貼付領域に対応する切取領域を設定する領域設定手段、
前記切取領域が視認できるように前記顔写真画像を加工した加工画像を生成する生成手段、
前記台紙画像を印刷する第1画像形成手段、および
前記加工画像を印刷する第2画像形成手段を備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記顔写真画像から、人の顔の輪郭を検出する輪郭検出手段をさらに備え、
前記領域設定手段は、前記人の顔の輪郭の位置に応じて、前記切取領域を設定する、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記生成手段は、前記顔写真画像に前記切取領域に対応する切り取り線を付加する、請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記生成手段は、前記顔写真画像における前記切取領域の外側の領域の画像を消去する、請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記生成手段は、前記顔写真画像における前記切取領域の外側の領域を所定のパターン画像に変更する、請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記台紙画像に前記顔写真画像が含まれている場合に、前記台紙画像から前記顔写真画像を抽出する写真抽出手段をさらに備える、請求項1から5までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2画像形成手段で前記加工画像が印刷される前に、当該加工画像をユーザに提示する提示手段、および
ユーザ操作に応じて前記加工画像における前記切取領域を調整する調整手段をさらに備え、
前記第2画像形成手段は、前記調整手段によって調整された前記加工画像を印刷する、請求項1から6までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
顔写真を貼り付ける貼付領域を含む台紙画像と、人の顔の画像を含む顔写真画像とを併せて印刷する印刷モードを有する画像形成装置の制御プログラムであって、
前記画像形成装置のプロセッサに、
前記台紙画像から、前記貼付領域を抽出する抽出ステップと、
前記顔写真画像に含まれる前記人の顔の画像の位置に応じて、前記貼付領域に対応する切取領域を設定する領域設定ステップと、
前記切取領域が視認できるように前記顔写真画像を加工した加工画像を生成する生成ステップと、
前記台紙画像を印刷する第1画像形成ステップと、
前記加工画像を印刷する第2画像形成ステップとを実行させる、制御プログラム。
【請求項9】
顔写真を貼り付ける貼付領域を含む台紙画像と、人の顔の画像を含む顔写真画像とを併せて印刷する印刷モードを有する画像形成装置の制御方法であって、
(a)前記台紙画像から、前記貼付領域を抽出するステップと、
(b)前記顔写真画像に含まれる前記人の顔の画像の位置に応じて、前記貼付領域に対応する切取領域を設定するステップと、
(c)前記切取領域が視認できるように前記顔写真画像を加工した加工画像を生成する処理実行ステップと、
(d)前記台紙画像を印刷するステップと、
(e)前記加工画像を印刷するステップとを含む、制御方法。
【請求項10】
顔写真を貼り付ける貼付領域を含む台紙画像と、人の顔の画像を含む顔写真画像とを併せて印刷する印刷モードを有する画像形成システムであって、
前記台紙画像から、前記貼付領域を抽出する抽出手段、
前記顔写真画像に含まれる前記人の顔の画像の位置に応じて、前記貼付領域に対応する切取領域を設定する領域設定手段、
前記切取領域が視認できるように前記顔写真画像を加工した加工画像を生成する生成手段、
前記台紙画像を印刷する第1画像形成装置、および
前記加工画像を印刷する第2画像形成装置を備える、画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置、画像形成システム、制御プログラムおよび制御方法に関し、特にたとえば、印刷される画像に、所定の切取領域が視認できるように加工を施す、画像形成装置、画像形成システム、制御プログラムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の背景技術の一例が特許文献1に開示される。背景技術のデータ編集装置では、切取領域の形状を示す図形が列挙されている形状選択エリアおよび印刷オブジェクトの画像イメージを表示する表示エリアを含む範囲指定画面がディスプレイに表示される。形状選択エリアから切取領域の形状が選択されると、当該切取領域の形状に応じた切り取り範囲を示す図形が画像イメージ上に表示される。切り取り範囲は、位置、形状およびピッチ等を変更することができる。印刷時には、切り取り範囲に応じた切取線が印刷画像に付与される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-260384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、背景技術のデータ編集装置では、切り取り範囲の形状、位置およびピッチの設定を、ユーザが全て手動で行う必要があり、作業が面倒であるという問題がある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、画像形成装置、画像形成システム、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、簡単な操作で、所定の切取領域を設定し、切取領域が視認できるように加工された写真を印刷することができる、画像形成装置、画像形成システム、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、顔写真を貼り付ける貼付領域を含む台紙画像と、人の顔の画像を含む顔写真画像とを併せて印刷する印刷モードを有する画像形成装置であって、抽出手段、領域設定手段、生成手段、第1画像形成手段および第2画像形成手段を備える。抽出手段は、台紙画像から貼付領域を抽出する。領域設定手段は、顔写真画像に含まれる人の顔の画像の位置に応じて、貼付領域に対応する切取領域を設定する。生成手段は、切取領域が視認できるように顔写真画像を加工した加工画像を生成する。第1画像形成手段は、台紙画像を印刷する。第2画像形成手段は、加工画像を印刷する。
【0008】
第2の発明は、第1の発明に従属する画像形成装置であって、顔写真画像から、人の顔の輪郭を検出する輪郭検出手段をさらに備え、領域設定手段は、人の顔の輪郭の位置に応じて、切取領域を設定する。
【0009】
第3の発明は、第1または第2の発明に従属する画像形成装置であって、生成手段は、顔写真画像に切取領域に対応する切り取り線を付加する。
【0010】
第4の発明は、第1または第2の発明に従属する画像形成装置であって、生成手段は、顔写真画像における切取領域の外側の領域の画像を消去する。
【0011】
第5の発明は、第1または第2の発明に従属する画像形成装置であって、生成手段は、顔写真画像における切取領域の外側の領域を所定のパターン画像に変更する。
【0012】
第6の発明は、第1の発明から第5の発明までのいずれかに従属する画像形成装置であって、台紙画像に顔写真画像が含まれている場合に、台紙画像から顔写真画像を抽出する写真抽出手段をさらに備える。
【0013】
第7の発明は、第1の発明から第6の発明までのいずれかに従属する画像形成装置であって、第2画像形成手段で加工画像が印刷される前に、当該加工画像をユーザに提示する提示手段、およびユーザ操作に応じて加工画像における切取領域を調整する調整手段をさらに備え、第2画像形成手段は、調整手段によって調整された加工画像を印刷する。
【0015】
第8の発明は、顔写真を貼り付ける貼付領域を含む台紙画像と、人の顔の画像を含む顔写真画像とを併せて印刷する印刷モードを有する画像形成装置の制御プログラムであって、画像形成装置のプロセッサに、台紙画像から、貼付領域を抽出する抽出ステップと、顔写真画像に含まれる人の顔の画像の位置に応じて、貼付領域に対応する切取領域を設定する領域設定ステップと、切取領域が視認できるように顔写真画像を加工した加工画像を生成する生成ステップと、台紙画像を印刷する第1画像形成ステップと、加工画像を印刷する第2画像形成ステップとを実行させる。
【0016】
第9の発明は、顔写真を貼り付ける貼付領域を含む台紙画像と、人の顔の画像を含む顔写真画像とを併せて印刷する印刷モードを有する画像形成装置の制御方法であって、(a)台紙画像から、貼付領域を抽出するステップと、(b)顔写真画像に含まれる人の顔の画像の位置に応じて、貼付領域に対応する切取領域を設定するステップと、(c)切取領域が視認できるように顔写真画像を加工した加工画像を生成する処理実行ステップと、(d)台紙画像を印刷するステップと、(e)加工画像を印刷するステップとを含む制御方法である。
【0017】
第10の発明は、顔写真を貼り付ける貼付領域を含む台紙画像と、人の顔の画像を含む顔写真画像とを併せて印刷する印刷モードを有する画像形成システムであって、台紙画像から、貼付領域を抽出する抽出手段、顔写真画像に含まれる人の顔の画像の位置に応じて、貼付領域に対応する切取領域を設定する領域設定手段、切取領域が視認できるように顔写真画像を加工した加工画像を生成する生成手段、台紙画像を印刷する第1画像形成装置、および加工画像を印刷する第2画像形成装置を備える。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、簡単な操作で、所定の切取領域を設定し、切取領域が視認できるように加工された写真を印刷することができる。
【0019】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1はこの発明の一実施例である画像形成システムの外観構成を示す正面図である。
図2図2図1に示す情報処理装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図3図3図1に示す画像形成装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図4図4はホーム画面の一例を示す図解図である。
図5図5は印刷モード設定画面の一例を示す図解図である。
図6図6は印刷データ指定画面の一例を示す図解図である。
図7図7は印刷データ指定画面の他の例を示す図解図である。
図8図8は顔写真画像および加工画像の一例を示す図解図である。
図9図9は顔位置の検出方法の一例を示す図解図である。
図10図10図2に示す情報処理装置のRAMのメモリマップの一例を示す図解図である。
図11図11図3に示す画像形成装置のRAMのメモリマップの一例を示す図解図である。
図12図12図2に示すCPUの印刷処理の一例の一部を示すフロー図である。
図13図13は印刷処理の一部であって、図12に後続するフロー図である。
図14図14は第2実施例における台紙画像の一例を示す図解図である。
図15図15は第2実施例における印刷データ指定画面の一例を示す図解図である。
図16図16は第2実施例の印刷処理の一例の一部を示すフロー図である。
図17図17は第3実施例における切取領域調整画面の一例を示す図解図である。
図18図19は第3実施例における切取領域が拡大・縮小される場合の加工画像の一例を示す図解図である。
図19図19は第3実施例における切取領域が移動される場合の加工画像の一例を示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施例]
図1はこの発明の画像形成システム100の構成の一例を示す図である。この図1を参照して、この発明の第1実施例である画像形成システム100は、情報処理装置10および画像形成装置70を含む。
【0022】
情報処理装置10は、スーパーマーケット、レストランまたはコンビニエンスストアなどの店舗、並びに駅、バスターミナル、空港、役所または図書館などの公共施設に配置されるマルチメディアキオスク(MMK)端末である。この情報処理装置10は、配置される場所に応じて各種情報または所定の商品若しくはサービスを利用者(ユーザ)に提供する。たとえば、情報処理装置10は、写真を印刷(プリント)するサービスをユーザに提供することができる。また、詳細は後述するが、情報処理装置10は、画像形成装置70と協働して、コピー、ファクス(FAX)、スキャンおよび印刷などの所定のサービスをユーザに提供することもできる。
【0023】
なお、この明細書では、ユーザの立ち位置に対向する面、つまり後述するディスプレイ14が設けられる側の面を前面(正面)として情報処理装置10およびその構成部材の前後方向(奥行方向)を規定し、情報処理装置10およびその構成部材の左右方向(横方向)は、ユーザから情報処理装置10を見た状態を基準として規定する。これらのことは、画像形成装置70についても同様である。
【0024】
情報処理装置(第2画像形成装置に相当)10は、タッチパネル12付きのディスプレイ14、記録媒体接続部16、紙片用プリンタ18、符号読取部20、近距離通信部22、貨幣処理部24、および写真用プリンタ(第2画像形成手段に相当)26を含む装置本体28を備える。
【0025】
タッチパネル12付きのディスプレイ14は、情報処理装置10(装置本体28)の上端部に配置される。タッチパネル12は、汎用のタッチパネルであり、静電容量方式、電磁誘導方式、抵抗膜方式、赤外線方式など、任意の方式のものを用いることができる。この第1実施例では、タッチパネル12としては、静電容量方式のタッチパネルが用いられ、ディスプレイ14の表示面上にタッチパネル12が設けられる。ただし、タッチパネル12とディスプレイ14とが一体的に形成されたタッチパネルディスプレイが用いられてもよい。ディスプレイ14としては、たとえばLCDまたはEL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどを用いることができる。
【0026】
記録媒体接続部16は、各種の記録媒体を装着するための装着部(たとえばドライブおよびメモリスロット)を含む。各種の記録媒体は、光ディスク(たとえばCD-R、DVD-RおよびBD-Rなど)およびフラッシュメモリ(たとえばUSBメモリ、SDメモリカードおよびメモリースティックなど)などである。ただし、光ディスクは、ドライブに装着される。また、フラッシュメモリは、メモリスロットに装着される。
【0027】
紙片用プリンタ18は、たとえばサーマルプリンタ(感熱式プリンタ)またはドットインパクトプリンタであり、レシート、ジャーナルまたはクーポン券などの画像が印刷された紙片を発行する。具体的には、紙片用プリンタ18は、ロール紙上に各種の文字列、画像、コードパターン(バーコードなど)などを印刷し、印刷済の紙片を排紙部18aから排出する。
【0028】
符号読取部20は、たとえばレーザスキャナまたはカメラなどを含み、商品、カード、レシートなどに付された符号またはユーザ端末(携帯端末)の画面に表示された符号などを読み取ることができる。符号読取部20で読み取ることができる符号には、バーコード(1次元バーコード)または2次元コード(たとえばQRコード(登録商標)、マイクロQRコード、DataMATRIX、MaxiCODEおよびVeriCODEなど)などがある。
【0029】
近距離通信部22は、たとえば、ISO/IEC18092等の通信規格(いわゆるNFC(Near Field Communication))に従って、通信対象との間で無線による非接触のデータ通信を行うものである。たとえば、近距離通信部22は、Felica(登録商標)等の通信規格に従って、ICカード、携帯端末(フィーチャーフォン、スマートフォンおよびタブレットPC等)、身分証、会員証または社員証などの通信対象との間で無線による非接触のデータ通信を行う。近距離通信部22の通信可能距離は、数cm~数m程度である。たとえば、近距離通信部22は、通信対象に対して、通信対象に記憶されたデータの読み出しを指示する信号(読出し命令)を送信する。通信対象は、読出し命令に対する応答としてデータを近距離通信部22に送信する。また、近距離通信部22は、通信対象に書き込むデータ(書き込みデータ)とともに書き込みを指示する信号(書き込み命令)を送信する。通信対象は、書き込み命令に従って、受信した書き込みデータを記憶部に書き込む(記憶する)。
【0030】
また、近距離通信部22がデータ通信を行う通信対象には、所謂電子マネー媒体が含まれる。電子マネー媒体とは、ICカードおよび携帯端末であって、少なくとも電子マネーの残高(電子マネー残高)についてのデータを含む電子マネーによる決済(電子決済)に係るデータ(電子マネーデータ)を記憶する記憶部を備える媒体のことである。この場合、近距離通信部22は、電子マネー媒体に対して、電子マネー媒体に記憶された電子マネーデータの読み出しを指示する読出し命令を送信する。電子マネー媒体は、読出し命令に対する応答として電子マネーデータを近距離通信部22に送信する。また、近距離通信部22は、電子マネー媒体に書き込む書き込みデータとともに書き込みを指示する書き込み命令を送信する。電子マネー媒体は、書き込み命令に従って、受信した書き込みデータを記憶部に記憶する。このように、近距離通信部22は、電子マネー読取部としても機能する。
【0031】
貨幣処理部24は、貨幣投入部24aおよび硬貨返却口24bを含む。貨幣投入部24aは、硬貨投入口、紙幣投入口および釣銭返却レバー等を含み、近距離通信部22の下方に配置される。硬貨投入口から投入された硬貨および紙幣投入口から投入された紙幣は、それぞれ種類毎に分類されて所定の貨幣格納部(不図示)に収容される。貨幣格納部は、硬貨用の格納部および紙幣用の格納部を含む。硬貨または紙幣が投入されると、硬貨用の格納部に収容された硬貨の種類および枚数と、紙幣用の格納部に収容された紙幣の種類および枚数とに応じて、投入金額が算出される。情報処理装置10において所定のサービス等が実行されると、そのサービス等の内容に応じた費用(サービス等の提供に係る料金)が投入金額から減算され、投入金額から料金を差し引いて残った金額(残額)が算出される。また、釣銭返却レバーが操作されると、残額に応じて、硬貨または紙幣が返却される。ただし、硬貨は、貨幣投入部24aの下方に設けられる硬貨返却口24bから返却され、紙幣は、紙幣投入口から返却される。
【0032】
ただし、貨幣処理部24における貨幣での決済に代えて、またはこれに加えて、電子決済が行われることがある。たとえば、情報処理装置10のディスプレイ14に複数の電子マネーのブランド(種類)を表示して、ユーザに決済用の電子マネーを選択させることがある。この場合、サービス等が選択された後に、決済用の電子マネーを利用して決済を行い、決済が完了されることでサービス等が提供される。
【0033】
また、電子決済では、情報処理装置10において利用可能な電子マネーに対応する電子マネー媒体が近距離通信部22にかざされると、近距離通信部22によって電子マネー媒体に含まれる電子マネーデータが読み取られる。このとき、電子マネーデータに含まれる電子マネー残高が読み取られる。そして、提供されるサービス等の内容に応じた費用が電子マネー残高から減算される。
【0034】
写真用プリンタ26は、たとえば昇華型プリンタまたはインクジェットプリンタ(特に染料インクを用いるインクジェットプリンタ)であり、写真用の用紙(写真用紙、たとえば光沢紙)上に画像を印刷する。写真用プリンタ26で印刷された写真は、排出部26aに排出される。ただし、写真用紙上に画像を形成するための画像データとしては、記録媒体接続部16に接続された記録媒体に記憶された画像データ、またはサーバ等の外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。また、写真用プリンタ26で印刷される写真のサイズは、はがきサイズ、L判サイズまたは2L判サイズなどである。
【0035】
なお、この写真用プリンタ26は、後述する画像形成部74よりも階調の再現性が高い方式の画像形成手段である。
【0036】
図2図1に示す情報処理装置10の電気的な構成を示すブロック図である。図2を参照して、情報処理装置10はCPU32を含む。CPU32には、バス60を介してRAM34、ROM36、タッチパネル制御回路38、表示制御回路40、記録媒体接続部16、紙片用プリンタ18、符号読取部20、近距離通信部22、貨幣処理部24、写真用プリンタ26および通信回路44が接続される。また、タッチパネル制御回路38にはタッチパネル12が接続され、表示制御回路40にはディスプレイ14が接続される。
【0037】
CPU32は、情報処理装置10の全体的な制御を司る。RAM34は、CPU32のワーク領域およびバッファ領域として用いられる。ROM36は、情報処理装置10の起動プログラムや各種情報についてのデフォルト値を記憶する。
【0038】
なお、本実施例では、CPU32、RAM34およびROM36は、画像形成システム100の主制御部として機能する。すなわち、主制御部を備える情報処理装置10が画像形成システム100の主制御装置として機能する。
【0039】
タッチパネル制御回路38は、タッチパネル12に必要な電圧などを付与するとともに、タッチパネル12のタッチ有効範囲内でのタッチ操作(タッチ入力)を検出して、そのタッチ入力の位置を示すタッチ座標データをCPU32に出力する。
【0040】
表示制御回路40は、GPUおよびVRAMなどを含んでおり、CPU32の指示の下、GPUは、RAM34に記憶された画像生成データを用いてディスプレイ14に種々の画面を表示するための表示画像データをVRAMに生成し、生成した表示画像データをディスプレイ14に出力する。
【0041】
通信回路44は、インターネットなどのネットワークに接続するための通信回路である。この通信回路44は、有線通信回路または無線通信回路であり、CPU32からの指示に従って、ネットワークを介して、画像形成装置70およびサーバ等の外部コンピュータ(外部端末)と通信する。ただし、通信回路44は、ネットワークを介さずに、有線または無線(たとえば赤外線方式、WiFi(登録商標)方式またはブルートゥース(Bluetooth;登録商標)方式)で、画像形成装置70および外部端末などと直接通信することも可能である。
【0042】
なお、図2に示す情報処理装置10の電気的な構成は単なる一例であり、これに限定される必要はない。たとえば、情報処理装置10には、他の入力手段として、操作パネルのようなハードウェアの操作ボタンが設けられたり、ハードウェアのキーボードが接続されたりすることがある。
【0043】
図1に戻って、画像形成装置(第1画像形成装置に相当)70は、印刷(プリント)機能、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)である。
【0044】
画像形成装置70は、画像読取部72、画像形成部(第1画像形成手段に相当)74、給紙部76および排紙トレイ78を含む装置本体80を備える。ただし、画像形成装置70は、情報処理装置10の近傍に設置される。本実施例では、画像形成装置70は、情報処理装置10の右側に隣接して設けられる。
【0045】
画像読取部72は、透明材によって形成される原稿載置台を備え、装置本体80に内蔵される。原稿載置台の上方には、ヒンジ等を介して原稿押えカバー72aが開閉自在に取り付けられる。
【0046】
また、画像読取部72は、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等を備える。この画像読取部72は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度または色度が検出され、原稿表面の画像に基づく読取画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)またはCIS(Contact Image Sensor)等が用いられる。
【0047】
画像形成部74は、装置本体80に内蔵され、画像読取部72の下方に設けられる。この画像形成部74は、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置および定着装置などを備える電子写真方式の画像形成部である。また、画像形成部74は、カラーのプリント機能を備えており、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色について、感光体ドラム、帯電装置および現像装置等を含む画像形成ステーションが構成される。たとえば、画像形成部74は、給紙部76等から搬送される所定の用紙(たとえば普通紙)上に電子写真方式によって画像を形成し、画像形成済みの用紙を画像読取部72および画像形成部74の間に設けられる排紙トレイ78に排出する。
【0048】
ただし、用紙上に画像を形成するための画像データとしては、画像読取部72で読み取った画像データ、情報処理装置10から送信された画像データ、または外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。
【0049】
なお、画像形成部74は、電子写真方式の画像形成部に限定されない。画像形成部74は、写真用プリンタ26よりも文字および線の再現性が高い方式の画像形成部であれば良く、たとえばインクジェット式(特に顔料インクを用いるインクジェット式)の画像形成部であっても良い。
【0050】
図3図1に示す画像形成装置70の電気的な構成を示すブロック図である。図3を参照して、画像形成装置70はCPU82を含む。CPU82には、バス90を介してRAM84、記憶部86、画像読取部72、画像形成部74および通信回路92が接続される。
【0051】
CPU82は、画像形成装置70の全体的な制御を司る。RAM84は、CPU82のワーク領域およびバッファ領域として用いられる。
【0052】
記憶部86は、HDD等の画像形成装置70の主記憶装置であって、CPU82が画像形成装置70の各部位の動作を制御するための制御プログラムおよび各種の画面についての表示画像データ等を適宜記憶する。ただし、HDDに代えて、またはHDDとともに、SSD、フラッシュメモリ、EEPROMなどの他の不揮発性メモリが用いられてもよい。
【0053】
なお、本実施例では、CPU82、RAM84および記憶部86は、画像形成システム100の副制御部として機能する。
【0054】
通信回路92は、インターネットなどのネットワークに接続するための通信回路である。この通信回路92は、有線通信回路または無線通信回路であり、CPU82からの指示に従って、ネットワークを介して、サーバ等の外部コンピュータと通信する。ただし、通信回路92は、ネットワークを介さずに、有線または無線で、情報処理装置10と直接通信することも可能である。
【0055】
なお、図3に示す画像形成装置70の電気的な構成は単なる一例であり、これに限定される必要はない。
【0056】
以下、図4図9等を参照して画像形成システム100の動作例を説明する。図4はホーム画面102の一例を示す図解図である。図5は印刷モード設定画面120の一例を示す図解図である。図6は印刷データ指定画面140の一例を示す図解図である。図7は印刷データ指定画面140の他の例を示す図解図である。図8は顔写真画像および加工画像の一例を示す図解図である。図9は顔位置の検出方法の一例を示す図解図である。
【0057】
上述したように、画像形成システム100は、種々の機能を有する複合機であり、コピージョブ、スキャンジョブ、FAXジョブおよび写真印刷(写真プリント)ジョブ等を実行することができる。画像形成システム100が各機能を実行可能な待機状態にある場合、図4に示すようなホーム画面102がディスプレイ14に表示される。このホーム画面102には、コピー、FAX、スキャンおよび写真プリントなどの各ジョブを選択して各ジョブにおける動作条件(動作モード)等を設定する操作画面(設定画面)を表示するためのジョブ選択キー(アイコン)104の画像が表示される。
【0058】
たとえば、ユーザは、ジョブ選択キー104を操作(タッチ)して、所望のジョブを選択することができる。ジョブが選択されると、選択されたジョブに関する種々の設定画面がディスプレイ14に順次表示される。ユーザは、タッチパネル12を操作して、そのジョブの設定条件を設定する。その後、タッチパネル12に設けられたスタートキー等が押下されると、ユーザが設定したジョブの設定条件に従って、ジョブが開始される。
【0059】
次に、写真プリントジョブが選択される場合について説明する。なお、写真プリントジョブ以外のジョブが選択される場合の画像形成システム100の動作は、従来の画像形成システムと同様であるので、説明を省略する。
【0060】
ディスプレイ14にホーム画面102が表示されている状態で、写真プリントジョブが選択されると、図5に示すような印刷モード設定画面120がディスプレイ14に表示される。
【0061】
印刷モード設定画面120は、写真プリントジョブの種類(印刷モード)を設定するための画面である。本実施例の画像形成システム100は、第1種類の印刷モードおよび第2種類の印刷モードを有する。第1種類の印刷モードは、人物、風景、アニメ画像、キャラクタ画像およびイラスト等の写真を写真用プリンタ26で写真用紙に印刷するモード(通常の写真印刷モード)である。第2種類の印刷モードは、顔写真と、顔写真を貼り付ける台紙とを併せて印刷するモード(写真・台紙印刷モード)である。第2種類の印刷モードでは、顔写真は、写真用プリンタ26で写真用紙に印刷され、台紙は、画像形成部74で普通紙(台紙用紙)に印刷される。
【0062】
ただし、顔写真とは、人物(人)の肩から上の部分を含み、少なくとも人の顔の画像(顔画像)を含む写真のことを意味する。すなわち、顔写真とは、主に人の顔の部分を撮った写真のことである。
【0063】
また、台紙とは、顔写真を貼り付ける顔写真貼付領域(以下、単に「貼付領域」ということがある。)を含む書類のことを意味する。たとえば、台紙としては、履歴書、資格試験若しくは入学試験の願書および行政機関に対する申請書等が該当する。
【0064】
印刷モード設定画面120には、第1種類の印刷モードを設定するためのモード選択キー122および第2種類の印刷モードを設定するためのモード選択キー124の画像が表示される。
【0065】
次に、第2種類の印刷モードが設定される場合について説明する。なお、第1種類の印刷モード(通常の写真印刷モード)が選択される場合の画像形成システム100の動作は、従来の画像形成システムと同様であるので、説明を省略する。
【0066】
ディスプレイ14に印刷モード設定画面120が表示されている状態で、第2種類の印刷モードを設定するためのモード選択キー124が選択されると、つまり、第2種類の印刷モードが選択されると、図6および図7に示すような印刷データ指定画面140がディスプレイ14に表示される。
【0067】
印刷データ指定画面140は、第2種類の印刷モードにおいて、台紙を印刷するための第1の印刷データと、顔写真を印刷するための第2の印刷データとを指定するための画面である。第1の印刷データは、画像形成部74で台紙用紙上に形成される台紙の画像(台紙画像)についての画像データまたは文書データを含み、第2の印刷データは、顔写真についての画像(顔写真画像)、すなわち写真用プリンタ26で写真用紙上に形成される画像についての画像データを含む。以下、第1の印刷データおよび第2の印刷データを特に区別しない場合には単に「印刷データ」と言うことがある。
【0068】
印刷データ指定画面140には、第1の印刷データを指定するための第1データ指定部142および第2の印刷データを指定するための第2データ指定部144の画像が表示される。
【0069】
第1データ指定部142および第2データ指定部144のいずれかが選択されると、印刷データを指定するためのウインドウが表示されるなどして、印刷データを指定することができる状態となる。なお、印刷データを指定する方法については特に限定されず、種々の方法を用いることができる。たとえば、記録媒体接続部16に装着された記録媒体に記録された画像データ等が印刷データとして指定されても良いし、サーバ等の外部端末に記録された画像データ等が印刷データとして指定されても良い。外部端末に記録された画像データ等が印刷データとして指定される場合には、ユーザがタッチパネル12を操作して手動で画像データ等の記憶先にアクセスすることによって印刷データが指定されても良いし、画像データ等の記憶先についての情報を近距離通信部22で受信した場合に自動的に印刷データが指定されても良いし、画像データ等の記憶先についての情報が埋め込まれた符号が符号読取部20で読み取られた場合に自動的に印刷データが指定されても良い。
【0070】
また、図6に示すように、第1の印刷データおよび第2の印刷データの少なくとも1つが指定されていない状態では、印刷データ指定画面140に戻るキー146の画像が表示される。一方、図7に示すように、第1の印刷データおよび第2の印刷データが指定されている状態では、印刷データ指定画面140に戻るキー146および印刷キー148の画像が表示される。
【0071】
戻るキー146には、印刷データ指定画面140を閉じて、ホーム画面102または印刷モード設定画面120に戻る機能が割り当てられる。たとえば、印刷データ指定画面140において戻るキー146が選択されると、ホーム画面102または印刷モード設定画面120がディスプレイ14に表示される。このとき、第1の印刷データまたは第2の印刷データが既に指定されている場合には、指定された印刷データがリセット(印刷データの指定が解除)される。これらのことは、後述する戻るキー214も同様である。
【0072】
印刷キー148は、指定された第1の印刷データまたは第2の印刷データに従って、顔写真の印刷を実行する機能および台紙の印刷を実行する機能が割り当てられる。印刷キー148が選択されると、第1の印刷データとして指定された画像データ等に応じて台紙画像が台紙用紙に印刷される(台紙が印刷される)。また、印刷キー148が選択されると、第2の印刷データとして指定された画像データに応じて顔写真画像が写真用紙に印刷される(顔写真が印刷される)。これらのことは、後述する印刷キー212も同様である。
【0073】
以上のように、本実施例では、第2種類の印刷モードにおいて、第1の印刷データおよび第2の印刷データがそれぞれ指定されると、印刷キー148が表示され、印刷可能な状態に遷移される。すなわち、第2種類の印刷モードにおいて、第1の印刷データおよび第2の印刷データがそれぞれ指定されなければ、印刷可能な状態に遷移されない。
【0074】
ただし、本実施例では、顔写真が印刷される際に、顔写真画像に含まれる人の顔の画像の位置に応じて、台紙画像に含まれる貼付領域に対応する領域(以下、「切取領域」という。)が視認できるように加工された画像(加工画像)が写真用紙に印刷される。すなわち、切取領域とは、印刷された顔写真のうち、台紙に貼り付けられる領域と、切り取られる領域(台紙に貼り付けられない領域)との境界(切取線)を示す領域のことを意味する。
【0075】
たとえば、図8(A)に示すように、加工される前の顔写真画像(元画像)150に対して、切取領域に対応する切り取り線152が付加された加工画像154が生成され、この加工画像154が写真用紙上に印刷される。
【0076】
また、図8(B)に示すように、元画像150に対して、切取領域の外側の領域が所定のパターン画像156に変更された加工画像158が生成され、この加工画像158が写真用紙上に印刷されるようにしても良い。さらに、図示は省略するが、元画像150に対して、切取領域の外側の領域の画像が消去された(切取領域の外側の領域が白色の単色画像に変更された)加工画像が生成され、この加工画像が写真用紙上に印刷されるようにしても良い。
【0077】
ただし、切取領域の形状および大きさは、台紙画像に含まれる貼付領域の形状および大きさに対応する。具体的には、切取領域の形状および大きさは、印刷された台紙における貼付領域の形状および大きさと略同じになるように設定される。貼付領域の形状および大きさは、台紙の種類に応じて多数の種類がある。たとえば、貼付領域の形状および大きさは、縦3.0cm、横2.4cmの矩形状、縦4.0cm、横3.0cmの矩形状、縦4.5cm、横3.5cmの矩形状および縦5.0cm、横4.0cmの矩形状などである。
【0078】
本実施例では、台紙画像から、貼付領域が抽出され、抽出された貼付領域の形状および大きさに応じて切取領域の形状および大きさが設定される。なお、台紙画像から貼付領域を抽出する方法については、特に限定されず、種々の方法を用いることができる。
【0079】
たとえば、台紙画像に含まれる貼付領域に記載されることが多い特有の文字または数字等(以下、「貼付領域に関連する文字等」ということがある。)を台紙画像から検出して、貼付領域を抽出することができる。台紙画像に含まれる貼付領域には、「写真を貼る位置」または「顔写真貼付欄」などの貼付領域を示す文字列が記載されており、これらの文字列の一部または全部を貼付領域に関連する文字等として検出することができる。
【0080】
貼付領域に関連する文字等を利用して台紙画像から貼付領域を抽出する方法の一例を説明する。まず、第1の方法を説明する。第1の方法では、第1のステップとして、光学文字認識技術(OCR:Optical Character Recognition)を利用して、台紙画像に含まれる文字の認識を行い、台紙画像に含まれる文字の種類と位置を認識する。第2のステップとして、第1のステップで認識した文字の中から、貼付領域に関連する文字等として“写真”の文字を検索し、その位置を記憶する。
【0081】
第3のステップとして、ノイズ除去処理、グレースケール変換処理、二値化処理、膨張収縮処理を行う。ノイズ除去処理は、スキャン時のノイズを減少させるための処理であり、グレースケール変換処理、二値化処理におけるエッジ検出の精度を高めるための処理である。膨張収縮処理は、貼付領域の輪郭線が破線の場合があるため、膨張処理を行って輪郭線を破線から連続した直線へ変換する(収縮は、線の長さを維持しながら、線の太さを元に戻すために行う)。
【0082】
第4のステップとして、第3のステップにおける各処理後の台紙画像から矩形領域を認識する。矩形領域の認識方法としては、先ず、台紙画像からエッジを検出し、エッジ検出で求めたエッジ点から、ハフ変換と最小二乗近似で直線を検出する。このとき、矩形領域が存在する場合には、複数の直線が検出されるので、複数の直線から、直交する直線を検出する。次に、一辺の直線と直交する直線の二本のみが検出された場合には、この二本の直線から対向する位置の残り二本の直線を検出しても良いし、輪郭を構成する四本の直線がすべて検出された場合にはそれらを使用しても良い。また、複数の直線が求まる場合には、第2のステップで検出した“写真”の文字を取り囲む最小の直線という条件を満たす直線を検出する。
【0083】
第5のステップとして、第2のステップで検出した“写真”の文字を囲む最小の矩形領域を検出し、第6のステップとして、第5のステップで求めた矩形領域のサイズを貼付領域のサイズとする。すなわち、第5のステップで検出された矩形領域が貼付領域として抽出される。
【0084】
次に、貼付領域に関連する文字等を利用して台紙画像から貼付領域を抽出する第2の方法を説明する。第1のステップおよび第2のステップの処理は、上述した第1の方法と同じである。第2の方法では、第3のステップとして、第2のステップで検出した“写真”の文字の近傍から、“縦(タテ)”、“横(ヨコ)”の文字を検索する。第4のステップとして、第3のステップで“縦”、“横”という文字が見つかった場合は、その近傍(たとえば右横)にある数字と、数字に続く文字を、縦方向または横方向の貼付領域の大きさを規定する長さ(寸法)として認識する。たとえば“3.0cm”という文字が見つかった場合は、貼付領域の縦または横の寸法を3.0cmとする。
【0085】
以上のように、台紙画像から貼付領域を抽出する。また、本実施例では、台紙画像から、貼付領域が抽出され、切取領域の形状および大きさが設定されると、顔写真画像(元画像)に含まれる人の顔画像の位置および大きさに応じて、切取領域の位置が設定される。
【0086】
以下、元画像に含まれる顔画像の位置および大きさに応じて、切取領域の位置を設定する方法の一例を説明する。まず、第1のステップとして、図9(A)に示すように、所定のアルゴリズムを用いて、元画像における、目、鼻、口、眉、顎等の顔画像に含まれる顔パーツの位置を認識する。なお、顔パーツの認識方法としては、周知の方法を用いることができる。たとえば、「Vahid Kazemi and Josephine Sullivan, CVPR 2014, One Millisecond Face Alignment with an Ensemble of Regression Trees.」に記載された方法を用いることができる。
【0087】
第2のステップとして、図9(B)に示すように、目の下部位置から目と顎の位置の差の分だけ上の位置を頭頂部として設定する。このようにするのは、人の顔の高さの中で、目の位置はほぼ中央に位置するからである。
【0088】
そして、第3のステップとして、図9(C)に示すように、鼻の位置が切取領域の中心に位置するように、切取領域の位置を設定する。また、第3のステップでは、顔の頭頂部から顎の切取領域の高さの所定の割合(例えば、75%)になるように、必要に応じて、元画像を拡大または縮小する。
【0089】
このようにすれば、図8(A)および図8(B)にも示すように、切取領域には、少なくとも人物写真に含まれる人の顔画像の全体が含まれる。また、切取領域には、人物写真に含まれる人の首から肩の一部までの画像が含まれる。
【0090】
画像形成システム100の上記のような動作は、情報処理装置10のCPU32がRAM34に記憶された情報処理装置10用の情報処理プログラムを実行し、画像形成装置70のCPU82がRAM84に記憶された画像形成装置70用の情報処理プログラムを実行することによって実現される。具体的な処理については、後でフロー図を用いて説明する。
【0091】
図10図2に示す情報処理装置10のRAM34のメモリマップ300の一例を示す図解図である。図10に示すように、RAM34は、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304を含む。RAM34のプログラム記憶領域302には、上述したように、情報処理装置10用の情報処理プログラムが記憶される。この情報処理装置10用の情報処理プログラムは、通信プログラム302a、操作検出プログラム302b、表示プログラム302c、貼付領域抽出プログラム302d、顔画像検出プログラム302e、領域設定プログラム302f、画像加工プログラム302gおよび第1画像形成プログラム302hを含む。
【0092】
通信プログラム302aは、画像形成装置70およびサーバ等の他のコンピュータないし他の機器とネットワークを介して、種々のデータを通信(送受信)するためのプログラムである。
【0093】
操作検出プログラム302bは、タッチ入力を検出するためのプログラムであり、CPU32は、この操作検出プログラム302bに従って、タッチパネル12から出力されたタッチ座標データを取得し、取得したタッチ座標データを時系列に従ってRAM34に記憶する。
【0094】
表示プログラム302cは、後述する画像生成データ304bを用いて、表示画像データ、すなわち、上述した各種の操作画面などの画面データを生成し、ディスプレイ14に出力するためのプログラムである。
【0095】
貼付領域抽出プログラム302dは、上述した方法などで、台紙画像から貼付領域を抽出するためのプログラムである。
【0096】
顔画像検出プログラム302eは、元画像に含まれる顔画像の位置および大きさを検出するためのプログラムである。詳しくは、元画像に含まれる人の顔の輪郭の位置および大きさを検出するためのプログラムである。
【0097】
領域設定プログラム302fは、元画像に含まれる顔画像の位置および大きさに応じて、切取領域の位置を設定するためのプログラムである。また、領域設定プログラム302fは、元画像に含まれる顔画像の位置および大きさに応じて、元画像を拡大または縮小するためのプログラムでもある。
【0098】
画像加工プログラム302gは、設定された切取領域に応じて、切取領域が視認できるように元画像を加工して加工画像を生成するためのプログラムである。
【0099】
第1画像形成プログラム302hは、写真用プリンタ26を制御して、写真用紙上に画像を形成(印刷)するためのプログラムである。
【0100】
なお、図示は省略するが、プログラム記憶領域302には、記録媒体接続部16に装着された各種の記録媒体へのデータの書込みおよび各種の記録媒体からのデータの読み出しを制御するための記録媒体接続プログラム、紙片用プリンタ18を制御して、ロール紙上に文字列、画像、バーコードなどを印刷するための紙片印刷プログラム、符号読取部20を制御して、レーザスキャナまたはカメラによって撮影された撮影画像から符号画像を抽出し、抽出した符号画像を復号するための符号読取プログラム、近距離通信部22を制御して、電子マネー媒体等の通信対象との間でのデータ通信を実現するための近距離通信プログラム、画像形成システム100におけるサービス等の提供に係る料金を設定するための料金設定プログラム、貨幣処理部24を制御して、硬貨用の格納部に収容された硬貨の種類および枚数と、紙幣用の格納部に収容された紙幣の種類および枚数とに応じて、投入金額を算出し、投入金額から所定のサービス等の料金を差し引いて残った残額に応じて、硬貨を硬貨返却口24bから返却したり、紙幣を紙幣投入口から返却したりするための貨幣処理プログラム、および情報処理装置10が備える各種の機能を選択および実行するためのその他のプログラムなども記憶される。
【0101】
また、RAM34のデータ記憶領域304には、操作入力データ304a、画像生成データ304b、第1の印刷データ304c、第2の印刷データ304d、貼付領域データ304e、顔画像データ304f、切取領域データ304gおよび加工画像データ304hなどが記憶される。
【0102】
操作入力データ304aは、操作検出プログラム302bに従って検出されたタッチ座標データを時系列に従って記憶したデータである。
【0103】
画像生成データ304bは、ディスプレイ14に表示する各種の画面に対応する表示画像データを生成するためのポリゴンデータまたはテクスチャデータ等のデータである。
【0104】
第1の印刷データ304cは、画像形成部74で台紙用紙上に形成される台紙画像についての画像データまたは文書データである。なお、第1の印刷データ304cは、情報処理装置10で生成された後、画像形成装置70に送信される。第2の印刷データ304dは、加工される前の顔写真についての顔写真画像についての画像データである。
【0105】
貼付領域データ304eは、台紙画像から抽出される貼付領域の形状及び大きさについてのデータである。
【0106】
顔画像データ304fは、元画像に含まれる顔画像の位置および大きさについてのデータである。
【0107】
切取領域データ304gは、貼付領域に対応する切取領域を示す座標データの集合である。
【0108】
加工画像データ304hは、切取領域に応じて、切取領域が視認できるように加工された加工画像についてのデータである。
【0109】
なお、図示は省略するが、データ記憶領域304には、情報処理装置10用の情報処理プログラムの実行に必要な他のデータが記憶されたり、情報処理装置10用の情報処理プログラムの実行に必要なタイマ(カウンタ)やレジスタが設けられたりする。
【0110】
図11図3に示す画像形成装置70のRAM84のメモリマップ400の一例を示す図解図である。図11に示すように、RAM84は、プログラム記憶領域402およびデータ記憶領域404を含む。RAM84のプログラム記憶領域402には、上述したように、画像形成装置70用の情報処理プログラムが記憶される。この画像形成装置70用の情報処理プログラムは、通信プログラム402a、画像読取プログラム402bおよび第2画像形成プログラム402cを含む。
【0111】
通信プログラム402aは、情報処理装置10およびサーバなどの他のコンピュータまたは他の機器とネットワークを介して通信するためのプログラムである。
【0112】
画像読取プログラム402bは、画像読取部72を制御して、原稿載置台に載置された原稿の画像を読み取り(スキャンし)、読み取った画像に対応する画像信号(スキャン画像データ)を出力するためのプログラムである。
【0113】
第2画像形成プログラム402cは、画像形成部74を制御して、スキャン画像データまたは入力画像データなどの印刷画像データに応じて多色または単色の画像を用紙に形成するためのプログラムである。また、第2画像形成プログラム402cは、第1の印刷データ404aに応じて多色または単色の台紙画像を台紙用紙に形成するためのプログラムである。
【0114】
なお、図示は省略するが、プログラム記憶領域402には、画像形成装置70が備える各種の機能を選択および実行するためのプログラムなども記憶される。
【0115】
また、RAM84のデータ記憶領域404には、第1の印刷データ404aなどが記憶される。第1の印刷データ404aは、情報処理装置10で生成され、情報処理装置10から送信される第1の印刷データ304cに対応するデータである。
【0116】
なお、図示は省略するが、データ記憶領域404には、画像読取部72で読み取った画像データ若しくはサーバ等の外部のコンピュータから入力される画像データ、および画像形成装置70用の情報処理プログラムの実行に必要な他のデータが記憶されたり、画像形成装置70用の情報処理プログラムの実行に必要なタイマ(カウンタ)やレジスタが設けられたりする。
【0117】
図12図2に示す情報処理装置10のCPU32で実行される印刷処理の一例の一部を示すフロー図である。図13は印刷処理の一部であって、図12に後続するフロー図である。この印刷処理は、第2種類の印刷モードが設定された場合に開始される。
【0118】
図12に示すように、情報処理装置10のCPU32は、印刷処理を開始すると、ステップS1で、印刷データ指定画面140をディスプレイ14に表示して、ステップS3で、台紙画像が指定されたかどうかを判断する。ここでは、第1の印刷データが指定されたかどうかを判断する。
【0119】
ステップS3で“NO”であれば、つまり、台紙画像が指定されないと判断した場合は、ステップS3に戻る。一方、ステップS3で“YES”であれば、つまり、台紙画像が指定されたと判断した場合は、ステップS5で、顔写真画像が指定されたかどうかを判断する。ここでは、第2の印刷データが指定されたかどうかを判断する。
【0120】
ステップS5で“NO”であれば、つまり、顔写真画像が指定されないと判断した場合は、ステップS5に戻る。一方、ステップS5で“YES”であれば、つまり、顔写真画像が指定されたと判断した場合は、ステップS7で、印刷可能な状態に遷移する。たとえば、印刷キー148をディスプレイ14に表示する。
【0121】
続いて、ステップS9で、印刷を実行するかどうかを判断する。ここでは、印刷キー148が選択されたかどうかを判断する。ステップS9で“NO”であれば、つまり、印刷を実行しないと判断した場合は、ステップS3に戻る。
【0122】
一方、ステップS9で“YES”であれば、つまり、印刷を実行すると判断した場合は、図13に示すステップS11で、台紙画像を読み出して、ステップS13で、顔写真画像を読み出して、ステップS15で、台紙画像から貼付領域を抽出して、ステップS17で、顔写真画像から顔画像を検出して、ステップS19で、顔写真画像に対して切取領域を設定して、ステップS21で、切取領域が視認できるように顔写真画像を加工した加工画像を生成する。ここでは、加工される前の顔写真画像(元画像)に対して切取領域に対応する切り取り線を付加したり、切取領域の外側の領域を所定のパターン画像に変更したり、切取領域の外側の領域の画像を消去したりして、加工画像を生成する。
【0123】
続いて、ステップS23で、台紙画像を台紙用紙に印刷して、すなわち、台紙を印刷して、ステップS25で、加工画像を写真用紙に印刷して、すなわち、顔写真を印刷して、印刷処理を終了する。なお、ステップS23では、情報処理装置10のCPU32は、第1の印刷データ304cを画像形成装置70に送信するとともに、第1の印刷データ304cを台紙用紙に印刷する指示コマンドを画像形成装置70に送信する。図示は省略するが、画像形成装置70は、第1の印刷データ304cおよび第1の印刷データ304cを台紙用紙に印刷する指示コマンドを受信すると、第1の印刷データ304cに対応する第1の印刷データ404aに応じて台紙画像を台紙用紙に形成する。
【0124】
この第1実施例によれば、顔写真画像に含まれる人の顔の画像の位置に応じて、貼付領域に対応する切取領域が視認できるように加工された加工画像が印刷されるようにしたので、簡単な操作で、切取領域が視認できるように加工された写真を印刷することができる。
【0125】
また、第1実施例によれば、加工される前の顔写真画像(元画像)から、顔画像の位置を検出して、検出した顔画像の位置に応じて切取領域の位置を設定するので、適切な位置に切取領域の位置を設定することができる。
【0126】
さらに、第1実施例によれば、切取領域に対応する切り取り線152が付加された加工画像154または切取領域の外側の領域が所定のパターン画像156に変更された加工画像158が生成されるので、印刷後に切取領域が視認し易い。
【0127】
さらにまた、第1実施例によれば、切取領域の外側の領域の画像が消去された加工画像が生成されるので、印刷後に切取領域が視認し易くなるとともに、消費されるインクの量および消費電力を低減することができる。
[第2実施例]
第2実施例の画像形成システム100は、台紙画像に顔写真画像が含まれている場合に、台紙画像から顔写真画像を抽出するようにした以外は第1実施例と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
【0128】
図14は第2実施例における台紙画像180の一例を示す図解図である。図15は第2実施例における印刷データ指定画面140の一例を示す図解図である。図14に示すように、台紙画像180に顔写真画像182が含まれる(貼り付けられているまたは埋め込まれている)ことがある。
【0129】
また、本実施例では、台紙画像についての画像データが第1の印刷データとして指定されたときに、台紙画像に顔写真画像が含まれるかどうかが判定される。
【0130】
そして、台紙画像に顔写真画像が含まれる場合には、台紙画像から顔写真画像が抽出される。抽出された顔写真画像についての画像データは、第2の印刷データとして取り扱われる。
【0131】
また、図14に示す例では、台紙画像180における貼付領域184に、顔写真画像182が貼り付けられているまたは埋め込まれている。この場合、台紙画像180の貼付領域184に顔写真画像182が貼り付けられているまたは埋め込まれている状態を再現するように、切取領域が設定される。
【0132】
具体的には、顔写真画像182の一部が台紙画像180の一部(貼付領域184)に現れるように設定されている場合、すなわち貼付領域184よりも顔写真画像182が大きい画像である場合には、顔写真画像182のうち、貼付領域184に含まれる領域と貼付領域184に含まれない領域との境界が切取領域として設定される。一方、顔写真画像182の全体が貼付領域184に現れるように設定されている場合、すなわち貼付領域184と顔写真画像182との大きさが対応する(同じである)場合には、切取領域が設定されなくても良い。この場合、顔写真画像182の端縁が、切取領域に相当することとなり、顔写真画像182が印刷されたときに、顔写真画像182が印刷される部分と、顔写真画像182が印刷されない部分(余白部分)との境界が生じるので、切取領域が視認できる状態となるからである。
【0133】
一方、図示は省略するが、台紙画像における貼付領域とは異なる位置に、顔写真画像が貼り付けられているまたは埋め込まれている場合がある。この場合には、第1実施例と同様に、台紙画像から貼付領域が抽出され、貼付領域に対応する切取領域が設定される。
【0134】
また、図15に示すように、台紙画像に顔写真画像が含まれる場合には、第1の印刷データが指定された段階で、印刷データ指定画面140に戻るキー146および印刷キー148の画像が表示される。印刷の実行に必要な第1の印刷データおよび第2の印刷データのそれぞれが揃うからである。
【0135】
なお、台紙画像に顔写真画像が含まれない場合には、第1実施例と同様であるので、詳しい説明を省略する。
【0136】
また、第2実施例では、上述したような動作を実現するために、情報処理装置10のRAM34に記憶される制御プログラムには、台紙画像についての画像データが第1の印刷データとして指定されたときに、指定された画像データについての台紙画像に顔写真画像が含まれるかどうかを判定する判定プログラム、および、台紙画像に顔写真画像が含まれる場合には、台紙画像から顔写真画像を抽出する抽出プログラム等が含まれる。
【0137】
以下、フロー図を用いて、第2実施例における印刷処理について説明するが、第1実施例で説明した印刷処理と同じ処理については同じ参照符号を付し、重複した内容については、説明を省略するまたは簡単に説明することにする。
【0138】
図16は第2実施例の印刷処理の一例の一部を示すフロー図である。図16に示すように、情報処理装置10のCPU32は、印刷処理を開始すると、ステップS3で“YES”であれば、ステップS31で、台紙画像に顔写真画像が含まれるかどうかを判断する。
【0139】
ステップS31で“NO”であれば、つまり、台紙画像に顔写真画像が含まれないと判断した場合は、ステップS5に進む。一方、ステップS31で“YES”であれば、つまり、台紙画像に顔写真画像が含まれると判断した場合は、ステップS33で、台紙画像から顔写真画像を抽出して、ステップS7に進む。
【0140】
なお、ステップS3までの処理、ステップS5の処理、ステップS7以降の処理の内容については、第1実施例と同じであるので説明を省略する。
【0141】
この第2実施例によれば、台紙画像に顔写真画像が含まれている場合に、台紙画像から顔写真画像を抽出するようにしたので、顔写真画像用の印刷データを指定する必要が無くなり、ユーザの手数を減らすことができる。つまり、操作が簡単になる。
[第3実施例]
第3実施例の画像形成システム100では、加工画像が生成された後、顔写真の印刷が実行される前に、切取領域を調整できるようにした以外は第1実施例と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
【0142】
図17は第3実施例における切取領域調整画面200の一例を示す図解図である。第3実施例の画像形成システム100では、印刷データ指定画面140で印刷キー148が選択され、切取領域が設定され、加工画像が生成されると、顔写真が印刷される前に、図17に示すような切取領域調整画面200がディスプレイ14に表示される。
【0143】
切取領域調整画面200は、切取領域を調整するための画面である。切取領域調整画面200には、プレビュー画像202、切取領域表示画像204、拡大キー206、縮小キー208、移動部210、印刷キー212および戻るキー214の画像が表示される。
【0144】
プレビュー画像202は、加工される前の元画像に対応する画像であり、切取領域表示画像204は、切取領域に対応する画像であり、プレビュー画像202の前面に重ねて表示される。図17に示す例では、切取領域表示画像204は、切取領域に対応する点線(破線)の画像である。
【0145】
拡大キー206には、切取領域を元画像に対して拡大する機能が割り当てられる。上述したように、切取領域の大きさは、台紙画像の貼付領域に対応するように設定される。したがって、切取領域の大きさを変更するのは適切でない。このため、拡大キー206が選択されると、切取領域(切取領域表示画像204)は変更されずに、元画像(プレビュー画像202)が縮小される(切取領域に対して元画像が縮小される)。すなわち、元画像に対して切取領域が相対的に拡大される。
【0146】
縮小キー208には、切取領域を元画像に対して縮小する機能が割り当てられる。縮小キー208が選択されると、切取領域(切取領域表示画像204)は変更されずに、元画像(プレビュー画像202)が拡大される(切取領域に対して元画像が縮小される)。すなわち、元画像に対して切取領域が相対的に縮小される。
【0147】
移動部210は、上下左右のそれぞれの方向を示す4つの矢印画像を含む。いずれかの矢印画像が選択されると、選択された矢印画像が示す方向に、元画像に対する切取領域の位置が所定距離(0.5mm~1mm)だけ移動される。
【0148】
拡大キー206または縮小キー208が選択されたり、移動部210の矢印画像が選択されたりして、元画像と切取領域との位置関係が変更される度に、加工画像データ304hが更新される。そして、印刷キー212が選択されると、印刷キー212が選択された時点の加工画像、すなわち最新の加工画像が写真用紙上に印刷される。
【0149】
次に、拡大キー206または縮小キー208により切取領域を元画像に対して拡大または縮小する場合について説明する。図18(A)および図19(A)は、切取領域を調整される前の画像である。たとえば、図18(A)に示す切取領域を調整される前の画像に対して、図18(B)のように切取領域の大きさを固定したまま、元画像を拡大・縮小しても良いし、図18(C)のように元画像を固定したまま、切取領域を拡大・縮小(切取領域の境界の位置を移動)しても良い。また、図19(A)に示す切取領域を調整される前の画像に対して、移動部210により元画像に対する切取領域の位置を移動させる場合は、図19(B)のように切取領域の位置を固定したまま、元画像を移動させて表示しても良いし、図19(C)のように元画像を固定したまま、切取領域の位置を移動させて表示しても良い。
【0150】
この第3実施例によれば、加工画像が生成された後、写真の印刷が実行される前に、切取領域を調整できるようにしたので、ユーザが自身の好みに合った写真を印刷することができる。
【0151】
なお、上述の実施例で挙げた具体的な構成等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。また、上述の実施例で示したフロー図の各ステップは、同じ結果が得られるのであれば、処理される順番は適宜変更することが可能である。さらに、図に示すソフトウェアキーに含まれる文字等は一例であり、適宜変更することが可能である。
【0152】
また、上述の実施例では、情報処理装置10が備える、CPU32、RAM34およびROM36が画像形成システム100の主制御部として機能し、画像形成装置70が備える、CPU82、RAM84および記憶部86が、画像形成システム100の副制御部として機能するようにしたが、これに限定される必要は無い。たとえば、CPU82、RAM84および記憶部86が、画像形成システム100の主制御部として機能し、CPU32、RAM34およびROM36が画像形成システム100の副制御部として機能するようにしても良い。
【0153】
さらに、上述の実施例では、写真用プリンタ26を備える情報処理装置10と、画像形成部74を備える画像形成装置70とが別の装置である場合を例に挙げて説明したが、情報処理装置10と画像形成装置70とが一体化されても良い。すなわち、画像形成システム100は、情報処理装置10のコンポーネントおよび画像形成装置70のコンポーネントのそれぞれを備える(少なくとも写真用プリンタ26および画像形成部74を備える)装置を含むようにしても良い。
【符号の説明】
【0154】
100…画像形成システム
10 …情報処理装置
12 …タッチパネル
14 …ディスプレイ
32 …CPU
34 …RAM
36 …ROM
70 …画像形成装置
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