(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】負荷状況描画装置、負荷状況描画方法、および負荷状況描画プログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20230217BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2019169211
(22)【出願日】2019-09-18
【審査請求日】2022-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000191076
【氏名又は名称】日鉄ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100187702
【氏名又は名称】福地 律生
(74)【代理人】
【識別番号】100162204
【氏名又は名称】齋藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100122116
【氏名又は名称】井上 浩二
(72)【発明者】
【氏名】小林 敬和
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 邦春
(72)【発明者】
【氏名】宮地 誠
(72)【発明者】
【氏名】横山 甲
(72)【発明者】
【氏名】三淵 喬
(72)【発明者】
【氏名】木谷 有生誠
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-275187(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/260499(US,A1)
【文献】特開2009-25851(JP,A)
【文献】実開昭63-97443(JP,U)
【文献】特開平8-6997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を処理する複数の単位工程のそれぞれについて、前記対象物の処理を開始した開始時刻と、前記対象物の処理を終了した終了時刻と、前記対象物の処理に要する負荷に対応する前記対象物の属性値とを含む工程通過情報を取得する工程通過情報取得部と、
前記工程通過情報に含まれる前記開始時刻および前記終了時刻に基づいて、各単位工程の前工程および後工程を示す接続関係情報を作成する接続関係作成部と、
各単位工程において単位時間に処理可能な前記対象物の属性値の基準となる基準属性値を取得し、前記基準属性値と前記工程通過情報に含まれる前記属性値とに基づいて、各単位工程の負荷状況を算出する負荷状況算出部と、
前記接続関係情報に基づいて生成される、各単位工程の接続関係を示すネットワーク図に、時間の経過に伴う各単位工程における前記負荷状況の変動を描画する描画部と、
を備える負荷状況描画装置。
【請求項2】
前記描画部は、所定の時刻における前記負荷状況の変動を、前記終了時刻が前記所定の時刻以前である前記工程通過情報に基づいて作成された前記接続関係情報に基づいて前記ネットワーク図に描画する、請求項1に記載の負荷状況描画装置。
【請求項3】
前記描画部は、所定の時刻を中心とした所定範囲の前記負荷状況の変動を描画する、請求項1または2に記載の負荷状況描画装置。
【請求項4】
前記描画部は、指定された時間範囲における前記負荷状況の変動を描画する、請求項1または2に記載の負荷状況描画装置。
【請求項5】
前記描画部は、各単位工程における前記属性値をあわせて描画する、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の負荷状況描画装置。
【請求項6】
前記描画部は、前記ネットワーク図における各単位工程を、前記負荷状況に応じた態様で表示する、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の負荷状況描画装置。
【請求項7】
前記描画部は、前記ネットワーク図における各単位工程を、前記時間の経過に伴う前記負荷状況の変動に応じた態様で表示する、請求項6に記載の負荷状況描画装置。
【請求項8】
前記描画部は、前記時間の経過に伴う各単位工程における前記負荷状況を、対応する時刻ごとに異なるネットワーク図に描画し、前記異なるネットワーク図を順次出力する、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の負荷状況描画装置。
【請求項9】
対象物を処理する複数の単位工程のそれぞれについて、前記対象物の処理を開始した開始時刻と、前記対象物の処理を終了した終了時刻と、前記対象物の処理に要する負荷に対応する前記対象物の属性値とを含む工程通過情報を取得し、
前記工程通過情報に含まれる前記開始時刻および前記終了時刻に基づいて、各単位工程の前工程および後工程を示す接続関係情報を作成し、
各単位工程において単位時間に処理可能な前記対象物の属性値の基準となる基準属性値を取得し、前記基準属性値と前記工程通過情報に含まれる前記属性値とに基づいて、各単位工程の負荷状況を算出し、
前記接続関係情報に基づいて生成される、各単位工程の接続関係を示すネットワーク図に、時間の経過に伴う各単位工程における前記負荷状況の変動を描画する、
ことを含む、負荷状況描画方法。
【請求項10】
コンピュータに、
対象物を処理する複数の単位工程のそれぞれについて、前記対象物の処理を開始した開始時刻と、前記対象物の処理を終了した終了時刻と、前記対象物の処理に要する負荷に対応する前記対象物の属性値とを含む工程通過情報を取得し、
前記工程通過情報に含まれる前記開始時刻および前記終了時刻に基づいて、各単位工程の前工程および後工程を示す接続関係情報を作成し、
各単位工程において単位時間に処理可能な前記対象物の属性の基準となる基準属性値を取得し、前記基準属性値と前記工程通過情報に含まれる前記属性値とに基づいて、各単位工程の負荷状況を算出し、
前記接続関係情報に基づいて生成される、各単位工程の接続関係を示すネットワーク図に、時間の経過に伴う各単位工程における前記負荷状況の変動を描画する、
処理を実行させる、負荷状況描画プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷状況描画装置、負荷状況描画方法、および負荷状況描画プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば製造業・流通業において、所定の順序で配列された複数の単位工程により、一連の工程が構成されることがある。各単位工程では、例えば設備、機械および置場が使用される。また、1つの設備、機械または置場が、1つの単位工程を構成する場合も存在する。複数の単位工程から構成される生産工程や搬送工程では、各単位工程の負荷状況は、他の単位工程の負荷状況の影響を受ける。例えば、前の単位工程での処理完了を条件として処理を開始する後の単位工程では、前の単位工程の処理完了が前の単位工程での過負荷等のため遅延した場合、処理の開始が遅延することになる。
【0003】
複数の単位工程により構成された一連の工程を円滑に進めるためには、処理を所定時間内に完了することができずに前後の単位工程に対して待ちを生じさせる単位工程、いわゆるボトルネックを極力発生させないようにすることが重要である。
【0004】
複数の単位工程が複雑に配列された一連の工程では、各単位工程の負荷状況は他の単位工程の負荷状況に影響し合う場合がある。また、各単位工程の負荷状況は時間とともに変化し、ある時点でボトルネックとなっている単位工程が、他の時点でもボトルネックとなっているとは限らない。
【0005】
また、一連の工程における各単位工程の繋がりが文書化されていない場合、ボトルネックの原因となる単位工程を特定することは特に困難である。さらに、近年、多品種少量生産や柔軟な生産変更が求められることが増えており、単位工程の増設や廃止、入替が随時発生する。そのため、製造や搬送の際に使用する設備、機械および置場の流れ自体が随時変更されることとなる。このように随時変更される工程の文書化は、負荷が高い。
【0006】
一方、各単位工程において、処理を開始した開始時刻や処理を終了した終了時刻といった実績データを取得する場合がある。このような実績データは通常膨大な量となり、かつ、これらの実績データは各単位工程での情報に主眼が置かれているため、各単位工程間の繋がりについては別途読み取る必要がある。そのため、このような実績データに基づいてボトルネックの原因を特定することは容易ではない。
【0007】
このように、ボトルネックとなる単位工程の抽出は、容易ではなかった。
【0008】
特許文献1には、ボトルネック装置の抽出方法およびボトルネック装置抽出支援装置が開示されている。特許文献1に記載のボトルネック装置抽出支援方法では、横軸に製造ラインの各単位工程を製造経路に沿って並べ、縦軸の時間軸を所定の時間区間に等分に区切り、その時間区間に生産指標の変動係数を格納する。そして、ボトルネック装置抽出支援装置は、変動係数がしきい値以上の時間区間により構成される2次元パターンの輪郭を抽出し、一連の接続関係にある2次元パターンデータの最上流単位工程から最下流単位工程までの工程数を探索して出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載のボトルネック装置の抽出方法によると、横軸に各単位工程、縦軸に時間軸とした2次元座標平面にメッシュが構成され、各メッシュにおける生産指標(例えば処理量)が可視化される。しかし、特許文献1の抽出方法では、各単位工程間の接続関係が複雑な(各単位工程の配列が1次元的でない)工程のボトルネックを適切に表現することができない。
【0011】
例えば、単位工程A→単位工程B→単位工程C→単位工程Aといった配列で構成される一連の工程に特許文献1の方法を適用することを考える。単位工程Aは1つの設備に対応しているので、単位工程Bの前の単位工程としての単位工程Aと単位工程Cの後の単位工程としての単位工程Aとは連動する。
【0012】
しかし、特許文献1に記載のボトルネック装置の抽出方法では、単位工程Aは、単位工程Bの前の単位工程、および、単位工程Cの後の単位工程として、2カ所に配置される。そのため、特許文献1に記載のボトルネック装置の抽出方法によって、このように複雑な工程におけるボトルネックがどのように発生しているかを確認することは困難である。
【0013】
そこで、本発明では、各単位工程間の接続関係が複雑な場合であっても、ボトルネックとなる単位工程を容易に見つけ出すことができるよう負荷状況を描画する、負荷状況描画装置、負荷状況描画方法、および負荷状況描画プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明にかかる負荷状況描画装置は、対象物を処理する複数の単位工程のそれぞれについて、対象物の処理を開始した開始時刻と、対象物の処理を終了した終了時刻と、対象物の処理に要する負荷に対応する対象物の属性値とを含む工程通過情報を取得する工程通過情報取得部と、工程通過情報に含まれる開始時刻および終了時刻に基づいて、各単位工程の前工程および後工程を示す接続関係情報を作成する接続関係作成部と、各単位工程において単位時間に処理可能な対象物の属性値の基準となる基準属性値を取得し、基準属性値と工程通過情報に含まれる属性値とに基づいて、各単位工程の負荷状況を算出する負荷状況算出部と、接続関係情報に基づいて生成される、各単位工程の接続関係を示すネットワーク図に、時間の経過に伴う各単位工程における負荷状況の変動を描画する描画部と、を備える。
【0015】
また、本発明にかかる負荷状況描画装置では、描画部は、所定の時刻における負荷状況の変動を、終了時刻が前記所定の時刻以前である工程通過情報に基づいて作成された接続関係情報に基づいてネットワーク図に描画することが好ましい。
【0016】
また、本発明にかかる負荷状況描画装置では、描画部は、所定の時刻を中心とした所定範囲の負荷状況の変動を描画することが好ましい。
【0017】
また、本発明にかかる負荷状況描画装置では、描画部は、指定された時間範囲における負荷状況の変動を描画することが好ましい。
【0018】
また、本発明にかかる負荷状況描画装置では、描画部は、各単位工程における属性値をあわせて描画することが好ましい。
【0019】
また、本発明にかかる負荷状況描画装置では、描画部は、ネットワーク図における各単位工程を、負荷状況に応じた態様で表示することが好ましい。
【0020】
また、本発明にかかる負荷状況描画装置では、描画部は、ネットワーク図における各単位工程を、時間の経過に伴う負荷状況の変動に応じた態様で表示することが好ましい。
【0021】
また、本発明にかかる負荷状況描画装置では、描画部は、時間の経過に伴う各単位工程における負荷状況を、対応する時刻ごとに異なるネットワーク図に描画し、異なるネットワーク図を順次出力することが好ましい。
【0022】
本発明にかかる負荷状況描画方法は、対象物を処理する複数の単位工程のそれぞれについて、対象物の処理を開始した開始時刻と、対象物の処理を終了した終了時刻と、対象物の処理に要する負荷に対応する対象物の属性値とを含む工程通過情報を取得し、工程通過情報に含まれる開始時刻および終了時刻に基づいて、各単位工程の前工程および後工程を示す接続関係情報を作成し、各単位工程において単位時間に処理可能な対象物の属性値の基準となる基準属性値を取得し、基準属性値と工程通過情報に含まれる属性値とに基づいて、各単位工程の負荷状況を算出し、接続関係情報に基づいて生成される、各単位工程の接続関係を示すネットワーク図に、時間の経過に伴う各単位工程における負荷状況の変動を描画する、ことを含む。
【0023】
本発明にかかる負荷状況描画プログラムは、コンピュータに、対象物を処理する複数の単位工程のそれぞれについて、対象物の処理を開始した開始時刻と、対象物の処理を終了した終了時刻と、対象物の処理に要する負荷に対応する対象物の属性値とを含む工程通過情報を取得し、工程通過情報に含まれる開始時刻および終了時刻に基づいて、各単位工程の前工程および後工程を示す接続関係情報を作成し、各単位工程において単位時間に処理可能な対象物の属性の基準となる基準属性値を取得し、基準属性値と工程通過情報に含まれる属性値とに基づいて、各単位工程の負荷状況を算出し、接続関係情報に基づいて生成される、各単位工程の接続関係を示すネットワーク図に、時間の経過に伴う各単位工程における負荷状況の変動を描画する、処理を実行させる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、各単位工程間の接続関係が複雑な場合であっても、ボトルネックとなる単位工程を容易に見つけ出すことができるよう負荷状況を描画することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】負荷状況描画システムの動作概要を示す模式図である。
【
図2】負荷状況描画装置の概略構成を示す模式図である。
【
図8】処理された対象物の属性値の算出を説明する図である。
【
図10】負荷状況の変動を描画したネットワーク図の第1の例を示す図である。
【
図11】負荷状況の変動を描画したネットワーク図の第2の例を示す図である。
【
図12】負荷状況の変動を描画したネットワーク図の第3の例を示す図である。
【
図13】負荷状況の変動を描画したネットワーク図の第4の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して負荷状況描画装置、負荷状況描画方法、および負荷状況描画プログラムについて詳細に説明する。ただし、本発明は図面または以下に記載される実施形態には限定されないことを理解されたい。
【0027】
本開示の負荷状況描画システムにおいて、負荷状況描画装置は、工程通過情報を取得する。工程通過情報は、対象物を処理する複数の単位工程のそれぞれについて、対象物の処理を開始した開始時刻と、対象物の処理を終了した終了時刻と、対象物の処理にかかる負荷を示す前記対象物の属性値とを含む情報である。負荷状況描画装置は、工程通過情報に含まれる開始時刻および終了時刻に基づいて、接続関係情報を作成する。接続関係情報は、各単位工程の前工程および後工程を示す情報である。負荷状況描画装置は、各単位工程において単位時間に処理可能な対象物の属性値の基準を示す基準属性値と工程通過情報に含まれる属性値とに基づいて、各単位工程の負荷状況を算出する。ここで、基準属性値は、例えば、各単位工程において、単位時間に処理可能な対象物の属性値の最大値である。また、各単位工程の負荷状況の別の算出方法としては、特定の期間(単位時間であってもよい)に処理可能な対象物の属性値の累積値と工程通過情報に含まれる属性値とに基づいて、各単位工程の負荷状況を算出してもよい。そして、負荷状況描画装置は、接続関係情報に基づいて生成されるネットワーク図に、時間の経過に伴う各単位工程における負荷状況の変動を描画する。ユーザは、時間の経過に伴う負荷状況の変動が描画されたネットワーク図に基づいて、各単位工程のネットワーク的な繋りを把握するとともに、各単位工程における滞りの時間的な推移を把握することができる。このため、本開示の負荷状況描画システムは、各単位工程間の接続関係が複雑な場合であっても、ボトルネックとなる単位工程を容易に見つけ出すことができるよう負荷状況を描画することができる。
【0028】
図1は、負荷状況描画システムの動作概要を示す模式図である。
【0029】
負荷状況描画システム1は、単位工程として複数の設備と置場とを有する工場における製品の製造工程の負荷状況の描画を行う。製品の製造工程では、製品の材料である対象物が各設備で加工処理を施される。そして、加工処理された対象物は、必要に応じて置場にて一時保管される。
【0030】
負荷状況描画システム1は、負荷状況描画装置2と、工程モニタ3-1~3-n(以下、あわせて「工程モニタ3」ともいう)と、通信ネットワーク4とを有する。負荷状況描画システム1において、負荷状況描画装置2は、工程モニタ3と通信ネットワーク4を介して接続される。
【0031】
通信ネットワーク4は、負荷状況描画装置2と工程モニタ3とを通信可能に接続する。通信ネットワーク4は、例えばTCP/IP(Transport Control Protocol / Internet Protocol)による通信が行われるインターネットである。通信ネットワーク4により通信する機器は、有線または無線によって接続される。無線による接続は、例えばIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11acなどの無線LAN(Local Area Network)接続であってよい。無線による接続は、また、4G(4th Generation)回線、5G(5th Generation)などの無線WAN(Wide Area Network)接続であってよい。
【0032】
工程モニタ3は、対象物を処理する複数の単位工程において、工程通過情報を取得するための機器である。工程通過情報の詳細については後述する。工程モニタ3は、例えば単位工程の入口および出口に設置された、対象物を検出するセンサ、および、センサの出力を負荷状況描画装置2に送信する通信装置である。また、工程モニタ3は、工程通過情報のユーザによる入力を受け付け、ユーザの操作に基づいて受け付けた工程通過情報を負荷状況描画装置2に送信する、所定のアプリケーションプログラムが実行されたコンピュータであってもよい。また、工程モニタ3の数は複数の単位工程の数と1対1に対応している必要はなく、例えば1つの工程モニタ3により複数の単位工程の工程通過情報を取得するようになっていてもよい。
【0033】
工程通過情報を取得した負荷状況描画装置は、さらに、各単位工程において単位時間に処理可能な対象物の基準属性値を示す能力情報を取得する。そして、工程通過情報および能力情報に基づいて、時間の経過に伴う各単位工程における負荷状況の変動をネットワーク
図100に描画する。
【0034】
ネットワーク
図100には、各単位工程の接続関係が示されている。すなわち、ネットワーク
図100には各単位工程に対応する設備A111~設備C113、および、置場A121~置場C123が表示される。そして、各単位工程に対応する設備A111~設備C113、および、置場A121~置場C123の接続関係が矢印で示される(以下、各単位工程の間を「エッジ」ともいう)。例えば、設備A111から置場A121に向かう矢印は、設備A111の処理が終了した対象物が置場A121に移動されることを示す。
【0035】
ネットワーク
図100には、操作ボタン102とタイムバー103と描画時刻表示マーク104とを含む時刻操作インタフェース101が表示される。ユーザは時刻操作インタフェース101に対し所定の操作を行うことにより、再生・早送り・巻き戻し・一時停止等を指定し、描画対象期間内の所定の時刻における負荷状況を確認することができる。ネットワーク
図100は、10月12日14:00現在の負荷状況を示している。
【0036】
ここで、所定の時刻における負荷状況は、処理の終了時刻が当該時刻以前である工程通過情報に基づいてネットワーク
図100に描画される。また、ネットワーク
図100には、所定の時刻における負荷状況として、処理の終了時刻が当該時刻を中心とした所定範囲に含まれる工程通過情報に基づいて、負荷状況が描画されてもよい。
【0037】
ネットワーク
図100において、各単位工程に対応する設備A111~設備C113、および、置場A121~置場C123は、負荷状況に応じた態様で表示される。ネットワーク
図100において、設備A111~設備C113は円形で、置場A121~置場C123は長方形で描画されている。各単位工程はこれに限らず、設定に応じて星型、楕円形などの形状で描画されてもよい。ネットワーク
図100には、各単位工程の表示態様と負荷状況との対応関係を示す凡例105が表示される。なお、設備A111~設備C113は、機械であってもよい。
【0038】
ネットワーク
図100において、各単位工程の負荷状況は5段階に分類され、それぞれ対応する態様で表示される。最も負荷の低い状況を段階1、最も負荷の高い状況を段階5とすると、設備A111および置場A121の負荷状況は段階3である。また、設備C113および置場C123の負荷状況は段階2であり、設備B112および置場B122の負荷状況は段階1である。
【0039】
ネットワーク
図100を参照するユーザは、時刻操作インタフェース101を操作することにより、所定の時刻における各単位工程の負荷状況を容易に把握することができる。
【0040】
ネットワーク
図100において、エッジは負荷状況に応じた態様で表示される。エッジにおける負荷状況は、エッジの前工程から後工程への対象物の移動に要した時間の平均である平均移動時間に基づき定められる。例えば、設備A111と置場A121との間のエッジは、このエッジにおける平均移動時間の30m/個に対応した太さで描画される。エッジにおける負荷状況は、所定の時間間隔においてこのエッジを移動した対象物の単位時間あたりの個数である平均処理個数に基づき定められてもよい。
【0041】
ネットワーク
図100では、各単位工程について、対象物の処理に要する負荷に対応する対象物の属性値があわせて表示される。例えば、ネットワーク
図100では、各単位工程について、対象物の属性値として平均処理重量が表示される。平均処理重量は、対象となる時間範囲内において単位工程で処理された対象物の単位時間あたりの平均重量である。例えば設備A111について、対象となる時間範囲内において設備A111で処理された平均処理重量である「35t/h」が、属性値としてあわせて表示される。
【0042】
また、ネットワーク
図100では、各単位工程について、対象物の属性値として平均処理時間が表示される。平均処理時間は、対象となる時間範囲内に処理された対象物の、処理の開始時刻と処理の終了時刻との差の平均である。例えば設備B112について、対象となる時間範囲内に設備B112で処理された対象物の平均処理時間である「4m/個」が、属性値としてあわせて表示される。
【0043】
さらに、ネットワーク
図100では、各エッジについて、平均移動時間が表示される。例えば設備A111と置場A121との間のエッジについて、このエッジにおける平均移動時間の「30m/個」が、属性値としてあわせて表示される。
【0044】
このように、本実施形態にかかる負荷状況描画装置2を含む負荷状況描画システム1は、各単位工程間の接続関係が複雑な場合であっても、ボトルネックとなる単位工程を容易に見つけ出すことができるよう負荷状況を描画することができる。
【0045】
図2は、負荷状況描画装置の概略構成を示す模式図である。
【0046】
負荷状況描画装置2は、工程モニタ3と接続し、工程モニタ3から取得する工程追加情報に基づいてネットワーク図を描画する。そのために、負荷状況描画装置2は、通信インタフェース21と、メモリ22と、入力デバイス23と、ディスプレイ24と、プロセッサ25とを備える。
【0047】
通信インタフェース21は、負荷状況描画装置2を通信ネットワーク4に接続するための通信インタフェース回路を有する。通信インタフェース21は、工程モニタ3から受信した工程通過情報をプロセッサ25に供給する。
【0048】
メモリ22は、例えば、半導体メモリ、磁気ディスク装置および光ディスク装置のうちの少なくとも1つを有する。メモリ22は、プロセッサ25による処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。例えば、メモリ22は、ドライバプログラムとして、通信インタフェース21を制御する通信デバイスドライバプログラム等を記憶する。各種プログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いてメモリ22にインストールされてよい。コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体とは、例えばCD-ROM(Compact Disc Read-Only Memory)、DVD-ROM(DVD Read-Only Memory)等である。
【0049】
入力デバイス23は、負荷状況描画装置2の操作が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、キーボードやマウス等である。ユーザは、入力デバイス23を用いて、文字や数字、記号等を入力することができる。入力デバイス23は、ユーザにより操作されると、その操作に対応する信号を発生する。そして、発生した信号は、ユーザの指示としてプロセッサ25に供給される。
【0050】
ディスプレイ24は、映像や画像等の表示が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等である。ディスプレイ24は、プロセッサ25から供給された映像データに応じた映像や、画像データに応じた画像等を表示する。
【0051】
プロセッサ25は、1以上のプロセッサおよびその周辺回路を備える。プロセッサ25は、負荷状況描画装置2の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ25は、負荷状況描画装置2の各種処理がメモリ22に記憶されているプログラム等に基づいて適切な手段で実行されるように、通信インタフェース21等の動作を制御する。プロセッサ25は、メモリ22に記憶されているプログラム(オペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、プロセッサ25は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行することができる。
【0052】
プロセッサ25は、工程通過情報取得部251と、接続関係作成部252と、負荷状況算出部253と、描画部254とを有する。プロセッサ25が有するこれらの各部は、プロセッサ25が有するプロセッサ上で実行されるプログラムによって実装される機能モジュールである。あるいは、プロセッサ25が有するこれらの各部は、独立した集積回路、マイクロプロセッサ、またはファームウェアとして負荷状況描画装置2に実装されてもよい。
【0053】
なお、本実施形態では負荷状況描画装置2として、工場の事務エリアに設置されたパーソナルコンピュータ(Personal Computer, PC)を想定するが、実施形態はこれに限定されない。負荷状況描画装置2は、例えば、多機能携帯電話(いわゆる「スマートフォン」)、携帯情報端末(Personal Digital Assistant, PDA)、タブレット端末、タブレットPCなどの情報処理装置であってよい。
【0054】
図3は、負荷状況描画装置の処理フローチャートである。
【0055】
工程通過情報取得部251は、まず、工程通過情報を取得する(ステップS1)。工程通過情報は、対象物を処理する複数の単位工程のそれぞれについて、対象物の処理を開始した開始時刻と、対象物の処理を終了した終了時刻と、対象物の処理に要する負荷に対応する対象物の属性値とを含む情報である。
【0056】
【0057】
図4に示す工程通過情報は、製品IDにより特定される対象物の所定の単位工程における、開始時刻および終了時刻と、そのときの対象物の属性値とを含んでいる。例えば、上から2番目に表示される工程通過情報は、属性値が1.5(t)である製品IDが「1」の対象物が、置場Aでの処理を10月1日03:10に開始し、10月4日00:25に終了したことを示す。
図4の例において属性値は、対象物の重量である属性の値であるが、他の属性の値であっても差し支えない。置場について処理とは、置場で保管されることを意味する。なお、工程通過情報は、
図4に示されていない項目を含んでいてもよい。
【0058】
工程通過情報取得部251は、通信インタフェース21を介して、工程モニタ3から各単位工程について
図4に示す工程通過情報の各行に相当する情報を取得する。また、工程通過情報取得部251は、ある製品IDにより特定される対象物について、通過する複数の単位工程に関する開始時刻、終了時刻、および属性値をまとめた情報を、工程通過情報として取得してもよい。
【0059】
図3に戻り、次に接続関係作成部252は、工程通過情報に含まれる開始時刻および終了時刻に基づいて接続関係情報を作成する(ステップS2)。接続関係情報は、各単位工程の前工程および後工程を示す情報である。
【0060】
接続関係情報の作成に先立って、接続関係作成部252は、工程通過情報に含まれる開始時刻および終了時刻に基づいて、通過順序情報を作成する。
【0061】
【0062】
接続関係作成部252は、取得した工程通過情報を、製品IDごとに開始時刻の早い順序に並べ替える。そして、製品IDごとに、ある単位工程の工程通過情報を前工程とし、開始時刻がその次の工程通過情報を、その前工程の後に続いて処理する後工程として、通過順序情報を作成する。
【0063】
図5に示す通過順序情報の1行目は、製品IDが「1」の対象物について、10月01日00:05に終了した設備Aにおける単位工程に続いて、置場Aにおける単位工程が10月01日03:10に開始されたことを示している。
【0064】
次に、接続関係作成部252は、通過順序情報に基づいて、接続関係情報を作成する。
【0065】
【0066】
接続関係情報は、通過順序情報から前工程および後工程の工程名を抽出した情報に相当する。接続関係情報は、単位工程の接続関係を示す情報であり、例えば接続関係情報の1-2行目を参照すると、置場Aの前工程は、設備Aおよび設備Cである。
【0067】
図3に戻り、次に負荷状況算出部253は、各単位工程の負荷状況を算出する(ステップS3)。このとき、負荷状況算出部253は、各単位工程の基準属性値として、単位時間に処理可能な対象物の属性値の上限である最大属性値を取得し、取得した最大属性値と工程通過情報に含まれる属性値とに基づいて、各単位工程の負荷状況を算出する。また、負荷状況算出部253は、各単位工程の基準属性値として、単位時間に処理すべき対象物の属性値として指定された値を取得し、取得した基準属性値と工程通過情報に含まれる属性値とに基づいて、各単位工程の負荷状況を算出してもよい。
【0068】
負荷状況算出部253は、各単位工程の基準属性値およびその単位を対応づけてメモリ22に記憶される能力情報から、基準属性値を取得する。また、負荷状況算出部253は、通信ネットワーク4に接続された不図示の能力情報サーバから、通信インタフェース21を介して基準属性値を取得してもよい。能力情報は、負荷状況描画システム1の運営者により適宜設定される。
【0069】
【0070】
図7の能力情報は、設備Aの基準属性値が「50」であり、その単位が「t/h」(1時間あたりの処理重量)であることを示す。また、
図7の能力情報は、置場Aの基準属性値が「150」であり、その単位が「個」(保管可能な個数)であることを示す。
【0071】
能力情報として記憶される基準属性値の単位は、各単位工程における対象物の処理に要する負荷に対応する単位であればよく、
図7に例示した単位に限定されない。例えば設備の能力情報として、単位時間あたりの処理能力(単位:t/h、個/h)、1対象物あたりの処理時間(単位:m/個)等の基準属性値が記憶されていてもよい。また、例えば置場の能力情報として、置場に保管可能な総重量(単位:t)、1対象物あたりの保管時間(単位:h)等の基準属性値が記憶されていてもよい。
【0072】
能力情報は、負荷状況描画システム1の運営者により設定される。基準属性値は、各単位工程において単位時間に処理可能な対象物の属性値の基準を示す値である。基準属性値は、例えば、各単位工程において、単位時間に処理可能な対象物の属性の最大値である。基準属性値として設定される最大値は、負荷状況描画システム1の運営者により事前に設定された固定値であってよく、プロセッサ25により工程通過情報に基づいて算出される属性値の、描画対象となる期間全体における最大値であってもよい。また、基準属性値は、単位時間に処理すべき対象物の属性値として指定された値であってもよい。
【0073】
負荷状況算出部253は、ある単位工程において算出対象となる所定の時間範囲で処理された対象物の属性値を取得した基準属性値で除することにより、各単位工程の負荷状況を算出する。このとき、対象物の属性値は、取得した基準属性値の単位と同じ単位で計算される。上述の、ある単位工程において算出対象となる所定の時間範囲で処理された対象物の属性値は、工程通過情報に含まれる属性値に基づいて、以下のように計算される。
【0074】
負荷状況算出部253は、まず、対象となる単位工程を含む工程通過情報を抽出する。そして、指定時刻の前後の所定範囲(例えば前後1時間)に、開始時刻または終了時刻が含まれる工程通過情報をさらに抽出する。
【0075】
図8は、処理された属性値の対象物の合計を説明する図である。
【0076】
開始時刻または終了時刻が所定範囲に含まれる工程通過情報には、終了時刻のみが所定範囲に含まれる工程通過情報と、開始時刻および終了時刻がともに所定範囲に含まれる工程通過情報と、開始時刻のみが所定範囲に含まれる工程通過情報とがある。
図8では、指定時刻t
0に基づき、時刻t
-aから時刻t
+aまでが所定範囲として設定されている。工程通過情報PI
1は、開始時刻t
1Sは所定範囲に含まれず、終了時刻t
1Eは所定範囲に含まれる。ここで、所定範囲の開始時刻t
-aから工程通過情報PI
1の終了時刻t
1Eまでの時間(所定範囲に重なる処理時間)をx
1とし、工程通過情報PI
1の開始時刻t
1Sから工程通過情報PI
1の終了時刻t
1Eまでの時間(処理時間)をy
1とする。また、工程通過情報PI
1の属性値をw
1とする。このとき、工程通過情報PI
1に対応する所定範囲に処理された対象物の属性値は、x
1/y
1×w
1 を計算することにより求めることができる。
【0077】
同様に、工程通過情報PI2、PI3に対応する所定範囲に処理された対象物の属性値は、x2/y2×w2、x3/y3×w3 をそれぞれ計算することにより算出ことができる。
そして、算出された各工程通過情報に対応する所定範囲に処理された対象物の属性値を合計することにより、所定範囲に処理された対象物の属性値の合計が算出される。
【0078】
基準属性値の単位が「t/h」、「個/h」等の単位時間あたりの能力を示す場合、負荷状況算出部253は、所定範囲に処理された対象物の属性値の合計を、所定範囲に対応する時間で除する。また、基準属性値の単位が「m/t」、「m/個」等の1対象物あたりの処理時間を示す場合、負荷状況算出部253は、所定範囲に対応する時間を、所定範囲に処理された対象物の属性値の合計で除する。
【0079】
また、負荷状況算出部253は、置場の負荷状況として、取得した属性値に基づき算出される在庫数を基準属性値で除することにより算出する。負荷状況算出部253は、初期在庫数に対し、当該置場に関する工程通過情報のうち、所定範囲の開始時刻t+a以前に開始時刻がある工程通過情報ごとに1を加算する。そして、負荷状況算出部253は、所定範囲の終了時刻t-a以前に終了時刻がある工程通過情報ごとに1を減算する。このように在庫数の累積値についての増減を計算することにより、負荷状況算出部253は各置場の所定範囲における在庫数を算出することができる。
【0080】
負荷状況算出部253は、このように算出された、ある単位工程で所定範囲に処理された対象物の属性値の合計を、取得した基準属性値で除することにより、各単位工程の負荷状況を算出する。
【0081】
また、負荷状況算出部253は、エッジの負荷状況を算出してもよい。エッジの負荷状況として、負荷状況算出部253は、例えば平均移動時間(m/個)を算出する。負荷状況算出部253は、通過順序情報から、所定範囲内のエッジに対応する情報を抽出する。前工程の終了時刻および後工程の開始時刻が所定範囲内である通過順序情報は、所定範囲内に対応している。そして、負荷状況算出部253は、抽出された通過順序情報における、前工程の終了時刻と後工程の開始時刻との差の平均を、前工程および後工程が同一である通過順序情報ごとに計算することにより、平均移動時間を算出することができる。
【0082】
負荷状況算出部253は、エッジの負荷状況として、平均処理個数(個/h)を算出してもよい。負荷状況算出部253は、通過順序情報から、所定範囲内のエッジに対応する情報のうち、前工程および後工程が同一である通過順序情報の件数を求める。負荷状況算出部253は、前工程および後工程が同一である通過順序情報の件数を所定範囲の時間の長さで除することにより、平均処理個数を算出することができる。
【0083】
図3に戻り、次に描画部254は、ネットワーク図に、時間の経過に伴う各単位工程における負荷状況の変動を描画する(ステップS4)。ネットワーク図は各単位工程の接続関係を示し、接続関係情報に基づいて生成される。
【0084】
描画部254は、描画したネットワーク図を、ディスプレイ24に表示する。また、描画部254は、描画したネットワーク図のデータを、通信インタフェース21を介して通信ネットワークに送信してもよい。ネットワーク図のデータを受信した情報処理装置は、当該情報処理装置が備えるディスプレイに、当該データに対応するネットワーク図を表示する。
【0085】
【0086】
ネットワーク
図1000は、各単位工程の接続関係を示す図である。描画部254は、接続関係情報に基づいてネットワーク
図1000を生成する。
図6に示す接続関係情報に含まれる各単位工程が、所定の形状で表示される。そして、接続関係情報における前工程から後工程に向かうように、エッジに対応する矢印が表示される。例えば、設備A1011から置場A1021に向かう矢印は、
図6の接続関係情報における1行目の情報(前工程:設備A、後工程:置場A)に対応している。ネットワーク
図1000には、負荷状況の変動は描画されていない。
【0087】
描画部254は、予め設定された描画条件に従ってネットワーク
図1000を描画する。描画条件は、各単位工程の区分ごとに、形状、表示色、属性値の単位、大きさ、追加情報等を定めた情報である。描画条件は、負荷状況描画システム1の運営者により設定され、メモリ22に記憶される。
【0088】
描画部254は、描画条件のうち形状を定めた情報に従って、例えば設備を円形で描画し、置場を長方形で描画し、各単位工程を接続する矢印を実線で描画する。各単位工程の形状は、楕円形や星型などの他の形状であってもよい。
【0089】
描画部254は、描画条件のうち表示色を定めた情報に従って、設備および置場を、例えば高負荷ほど濃いグレースケールで描画する。各単位工程の表示色は、例えばカラーであってもよく、この場合、最も低負荷の青から緑→黄→橙→赤と変化するよう描画されてもよい。
【0090】
描画条件のうち属性値の単位を定めた情報に従って負荷状況算出部253により算出された負荷状況に応じて、描画部254は各単位工程を描画する。例えば、設備の属性値の単位として処理重量(t/h)が定められている場合、負荷状況算出部253は、処理重量(t/h)に基づいて設備の負荷状況を算出する。そして、描画部254は、算出された負荷状況に応じた表示色で設備を描画する。
【0091】
描画部254は、描画条件のうち大きさを定めた情報に従って、設備、置場および矢印を、例えば平均処理個数(個/h)に応じた大きさで描画する。
【0092】
描画部254は、例えば対象となるすべての設備のうち、平均処理個数が最小である設備の大きさを、所定の基準サイズに決定する。そして、描画部254は、平均処理個数が最大である設備の大きさを、基準サイズの2倍に決定する。
【0093】
描画部254は、以下の式1により算出される基準サイズに対する倍率で、平均処理個数がnである設備を描画する。
【0094】
基準サイズに対する倍率=1+(n-最小平均処理個数)/(最大平均処理個数-最小平均処理個数) (式1)
【0095】
描画部254は、置場やエッジについても、各所定の基準サイズおよび同様の式により算出される倍率に従った大きさで描画を行う。
【0096】
描画部254は、描画条件のうち追加情報を定めた情報に従って、例えば設備に平均処理時間(m/個)を描画し、矢印に平均移動時間(m/個)を描画する。
【0097】
負荷状況の変動を描画していないネットワーク
図1000は、描画部254におけるネットワーク図への負荷状況の変動の描画を説明するために対比として示したものである。描画部254は、負荷状況の変動を描画していないネットワーク
図1000を実際に描画し出力する必要はない。
【0098】
図10は、負荷状況の変動を描画したネットワーク図の第1の例を示す図である。
【0099】
負荷状況の変動を描画したネットワーク図の第1の例では、描画部254は、時間の経過に伴う各単位工程における負荷状況を、対応する時刻ごとに異なるネットワーク図に描画し、異なるネットワーク図を順次出力する。
【0100】
図10では、
図1に示すネットワーク図の1日後の負荷状況を描画したネットワーク
図200を示している。ネットワーク
図200では、置場A221および置場C223は、ネットワーク
図100における置場A121および置場C123よりも高い負荷状況に応じた態様で表示されている。また、ネットワーク
図200における置場A221から置場C223に向かう矢印は、ネットワーク
図100における置場A121から置場C123に向かう矢印よりも小さい平均移動時間に応じた態様で表示されている。
【0101】
ネットワーク
図100の操作ボタン102のうち再生ボタンを操作した場合、描画部254はネットワーク
図100よりも後の時刻の負荷状況を異なるネットワーク図に描画し、異なるネットワーク
図200を出力する。これにより、ネットワーク
図100およびネットワーク
図200を見たユーザは、時間の経過に伴い負荷状況が変動したことを容易に認識することができる。
【0102】
描画部254は、時間の経過に伴う負荷状況の変動を、異なる表現方法で表示してもよい。
【0103】
図11は、負荷状況の変動を描画したネットワーク図の第2の例を示す図である。
【0104】
ネットワーク
図300では、各単位工程に対応する設備および置場は、負荷状況がピークになった時刻に応じて異なる表示態様で描画される。すなわち、設備A311は設備C313よりも早い時刻に負荷状況がピークとなったことを示す。また、置場C323は、置場A321よりも遅い時刻に負荷状況がピークとなったことを示す。
【0105】
ネットワーク
図300を見たユーザは、設備Aが早い段階でピークに達した後、そのピークが置場A、置場Cへと推移していく様子を容易に認識することができる。
【0106】
図12は、負荷状況の変動を描画したネットワーク図の第3の例を示す図である。
【0107】
ネットワーク
図400では、各単位工程に対応する設備および置場は、表示対象となる期間における負荷状況の時刻ごとの変動を、各単位工程の左から右に向かう位置における色の濃度により示す表示態様で描画される。すなわち、ネットワーク
図400は、設備A411が期間の前半で負荷状況が高くなり、設備C413が期間の中盤で負荷状況が高くなり、置場A421および置場C423が期間の後半で負荷状況が高くなったことを示している。
【0108】
ネットワーク
図400を見たユーザは、設備Aの負荷が期間の前半で高まった後、そのピークが置場A、置場Cへと推移していく様子を容易に認識することができる。
【0109】
図13は、負荷状況の変動を描画したネットワーク図の第4の例を示す図である。
【0110】
ネットワーク
図500では、各単位工程では、表示対象となる期間における負荷状況の時刻ごとの変動に対応するグラフが、各単位工程に対応する形状の内側に描画される。すなわち、ネットワーク
図500は、設備A511が期間の前半で負荷状況が高くなり、設備C513が期間の中盤で負荷状況が高くなり、置場A521および置場C523が期間の後半で負荷状況が高くなったことを示している。
【0111】
ネットワーク
図500を見たユーザは、設備Aの負荷が期間の前半で高まった後、そのピークが置場A、置場Cへと推移していく様子を容易に認識することができる。
【0112】
当業者は、本発明の精神および範囲から外れることなく、種々の変更、置換および修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0113】
1 負荷状況描画システム
2 負荷状況描画装置
251 工程通過情報取得部
252 接続関係作成部
253 負荷状況算出部
254 描画部
3 工程モニタ
4 通信ネットワーク