(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】フェニルケトン尿症を処置するための遺伝子療法
(51)【国際特許分類】
C12N 7/01 20060101AFI20230217BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20230217BHJP
C12N 15/35 20060101ALI20230217BHJP
C12N 15/53 20060101ALI20230217BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20230217BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20230217BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20230217BHJP
【FI】
C12N7/01 ZNA
C12N15/864 100Z
C12N15/35
C12N15/53
A61K35/76
A61K9/10
A61P3/00
(21)【出願番号】P 2019535811
(86)(22)【出願日】2017-12-29
(86)【国際出願番号】 US2017068897
(87)【国際公開番号】W WO2018126112
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-12-08
(32)【優先日】2017-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502409813
【氏名又は名称】ザ・トラステイーズ・オブ・ザ・ユニバーシテイ・オブ・ペンシルベニア
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウイルソン,ジェームス・エム
(72)【発明者】
【氏名】シドレーン,ジェニー・アグネス
(72)【発明者】
【氏名】アシュレイ,スコット
【審査官】平林 由利子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0142416(US,A1)
【文献】特表2016-512683(JP,A)
【文献】特表2016-535729(JP,A)
【文献】国際公開第2015/138348(WO,A1)
【文献】特表2005-512533(JP,A)
【文献】HARDING C. O. et al.,Gene Therapy,2006年,13,p.457-462
【文献】YAGI H. et al.,J Gene Med,2011年,13,p.114-122
【文献】DING Z. et al.,Gene Therapy,2006年,13,p.587-593
【文献】HARDING C. O. et al.,Progress in the development of rAAV2/8 vector-mediated, liver-directed gene therapy for phenylketonuria (PKU),Molecular Genetics and Metabolism,2009年,98,p.37 Abstract No.248
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00- 7/08
C12N 15/00-15/90
A61K 35/00-35/768
A61K 9/00- 9/72
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェニルケトン尿症(PKU)のための肝臓指向性治療薬として有用な組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、前記rAAVが、AAVカプシドと、その中にパッケージングされたベクターゲノムとを含み、前記ベクターゲノムが、
(a)AAV 5’逆位末端リピート(ITR)配列と、
(b)プロモーターと、
(c)ヒトフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)をコードする配列と、
(d)AAV 3’ITR配列と
を含み、
前記PAHをコードする配列が、配列番号1に記載のヌクレオチド配列を含み、プロモーターに作動可能に連結している、
前記組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)。
【請求項2】
前記AAVカプシドがAAV8カプシドである、請求項1に記載のrAAV。
【請求項3】
前記プロモーターが、チロキシン結合グロブリン(TBG)プロモーターまたは改変されたチロキシン結合グロブリン(TBG-S1)プロモーターである、請求項1に記載のrAAV。
【請求項4】
前記プロモーターがアルファ1抗トリプシン(A1AT)プロモーターである、請求項1に記載のrAAV。
【請求項5】
前記プロモーターが肝臓特異的プロモーターである、請求項1に記載のrAAV。
【請求項6】
前記プロモーターがトランスサイレチン(TTR)プロモーターである、請求項1に記載のrAAV。
【請求項7】
前記AAV 5’ITR配列及び/または前記AAV 3’ITR配列が、AAV2に由来する、請求項1に記載のrAAV。
【請求項8】
前記ベクターゲノムがポリAを更に含む、請求項1に記載のrAAV。
【請求項9】
前記ポリAがbGHに由来する、請求項
8に記載のrAAV。
【請求項10】
前記ベクターゲノムがWPREを更に含む、請求項1に記載のrAAV。
【請求項11】
前記ベクターゲノムがイントロンを更に含む、請求項1に記載のrAAV。
【請求項12】
前記イントロンが、ヒトベータグロビンIVS2またはSV40に由来する、請求項11に記載のrAAV。
【請求項13】
前記ベクターゲノムがエンハンサーを更に含む、請求項1に記載のrAAV。
【請求項14】
前記エンハンサーが、APBエンハンサー、ABPSエンハンサー、アルファmic/bikエンハンサー、TTRエンハンサー、en34、またはApoEエンハンサーである、請求項13に記載のrAAV。
【請求項15】
前記ベクターゲノムが、約3キロベース~約5.5キロベースの長さである、請求項1に記載のrAAV。
【請求項16】
フェニルケトン尿症患者への投与に好適な水性サスペンションであって、前記サスペンションが、水性懸濁液と、フェニルケトン尿症のための肝臓指向性治療薬として有用な約1×10
12ゲノムコピー(GC)/mL~約1×10
14GC/mLの組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)とを含み、前記rAAVが、AAVカプシドを有し、かつその中に、
(a)AAV 5’逆位末端リピート(ITR)配列と、
(b)プロモーターと、
(c)ヒトフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)をコードする配列と、
(d)AAV 3’ITR配列と、
を含むベクターゲノムがパッケージングされており、
前記PAHをコードする配列が、配列番号1に記載の核酸配列を含み、プロモーターに作動可能に連結している、
前記水性サスペンション。
【請求項17】
前記サスペンションが静脈内注射に好適である、請求項16に記載の水性サスペンション。
【請求項18】
前記サスペンションが、前記水性懸濁液中に溶解した界面活性剤、保存剤、及び/またはバッファーを更に含む、請求項16に記載の水性サスペンション。
【請求項19】
フェニルケトン尿症を有する患者を処置するための、請求項1に記載のrAAVを含む医薬組成物であって、前記rAAVが、水性サスペンション中約1×10
10~約1×10
15ゲノムコピー(GC)/kgで送達され、前記GCがoqPCRまたはddPCRに基づいて決定され計算される、前記医薬組成物。
【請求項20】
前記ベクターゲノムが、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、または配列番号25に記載のヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載のrAAV。
【請求項21】
前記AAVカプシドがAAV8カプシドである、請求項16に記載の水性サスペンション。
【請求項22】
PKUの処置を、それを必要とする対象において行うための、請求項1~15のいずれかに記載のrAAV。
【請求項23】
発現カセットを含むプラスミドであって、前記発現カセットが、配列番号1に記載のヌクレオチド配列を含むヒトフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)をコードする配列と、前記ヒトフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)をコードする配列に作動可能に連結しているプロモーターとを含む、前記プラスミド。
【請求項24】
発現カセットが、5’AAVITR配列と3’AAVITR配列とに挟まれている、請求項23に記載のプラスミド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電子形態で提出された資料の参照による組み込み
出願人は、本明細書と共に電子形態で提出された配列表資料を参照することにより本明細書に組み込む。このファイルは「UPN-16-7939PCT_ST25.txt」という名称である。
【0002】
1.導入
本出願は、フェニルケトン尿症を処置するための遺伝子療法で有用な実施形態に関する。
【背景技術】
【0003】
2.背景
最も一般的な先天性代謝異常のうちの1つとして、フェニルケトン尿症(PKU)は、米国における新生児10,000~15,000人中1人に生じる。現在の処置アプローチでは、罹患した個体が出生時からその生涯にわたって不味かつ高価な食事制限を常に遵守し、かつ/またはフェニルアラニンアンモニアリアーゼでの酵素置換を受けることが必要である。
【0004】
PKUの最も一般的な原因は、PAH遺伝子の劣性遺伝性突然変異に起因するフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)の欠損である。PAHは、フェニルアラニンのチロシンへの不可逆的な水酸化を触媒する肝臓において主に発現する。したがって、PAHの欠損は、フェニルアラニンの異化経路に影響を及ぼし、フェニルアラニンの蓄積をもたらす。高い血漿フェニルアラニンレベルは、脳内のフェニルアラニンを増加させ、脳の発達及び機能に影響を及ぼし、知的障害及び癲癇をもたらし得る。更に、食事制限及び酵素置換による血漿フェニルアラニンの低減は高価で不便であり、かつ、持続性軽度認知障害といった種々の有害な合併症と関連付けられている。
【0005】
PAHの治療レベルの持続を達成するための代替的なアプローチは、細胞指向性アデノ随伴ウイルス(AAV)または他のウイルスベクターもしくは非ウイルスベクターにより媒介される遺伝子移入を使用した、肝細胞における天然酵素の連続的なインビボ産生による。ベクター媒介性PAH発現のいくつかの試みが、マウス研究において予備的に試験されてきた。例えば、参照により本明細書に組み込まれている、Harding et al,Complete correction of hyperphenylalaninemia following liver-directed,recombinant AAV2/8 vector mediated gene therapy in murine phenylketonuria Gene Ther.2006
Mar;13(5):457-6、及びViecelli et al,Treatment of Phenylketonuria Using Minicircle-Based Naked-DNA Gene Transfer to Murine Liver Hepatology.2014 Sep;60(3):1035-1043を参照されたい。しかしながら、送達効率、免疫刺激、長期発現安定性及び安全性の評価は、不足しているか、または最適でないかのいずれかである。したがって、より効率的なAAV.hPAHベクターがPKU処置のために必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に記述される実施形態は、ベクターの静脈内投与後、長期間、ことによると10年以上にわたり、高フェニルアラニン血症の臨床的に意義のある是正をもたらす、それ
を必要とする対象に正常なヒトフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)を送達するためのAAV遺伝子療法ベクターに関する。対象患者集団は、中等度から重度の高フェニルアラニン血症を有する患者であり、PKU、異型PKU、または非PKU高フェニルアラニン血症を有するものを含む。意図されるベクター用量は、野生型と比較しておよそ15%以上のPAH血中レベルを送達するよう意図される。これは、「中等度」PKU患者について報告されているレベルである。参照により本明細書に組み込まれている、Kaufman,S.,PNAS,96:3160-4(1999)を参照されたい。別の実施形態では、意図されるベクター用量は、血漿フェニルアラニンレベルを25%以上低下させるPAHを送達するよう意図される。一実施形態では、AAVベクター処置の目標は、重度のPKU患者を中等度あるいは軽度のPKUに転換させることにより、厳しく制限されたフェニルアラニン食に関連する負荷を軽減することである。
【0007】
一態様において、本出願は、PKUと診断された患者(ヒト対象)の肝臓細胞にヒトフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)遺伝子を送達するための複製欠損アデノ随伴ウイルス(AAV)の使用を提示する。hPAH遺伝子を送達するために使用される組換えAAVベクター(rAAV)(「rAAV.hPAH」)は、肝臓への指向性を有するべきであり(例えば、AAV8カプシドを有するrAAV)、hPAH導入遺伝子は、肝臓特異的な発現制御エレメントによって制御されるべきである。一実施形態において、発現制御エレメントは、エンハンサー、プロモーター、イントロン、WPRE、及びポリAシグナルのうちの1つ以上を含む。このようなエレメントについては、本明細書において更に記述する。
【0008】
一実施形態において、hPAHコーディング配列は配列番号1に示されている。一実施形態において、PAHタンパク質配列は配列番号2に示されている。hPAHのコーディング配列は、一実施形態では、ヒトにおける発現のためにコドン最適化されている。このような配列は、天然のhPAHコーディング配列(配列番号3)と80%未満の同一性を共有し得る。一実施形態において、hPAHコーディング配列は、配列番号1に示されているものである。
【0009】
別の態様において、本明細書では、PKU患者への投与に好適な、本明細書に記述されるrAAVを含む水性サスペンションが提示される。一部の実施形態では、サスペンションは、水性懸濁液と、1mLあたり約1×1012~約1×1014ゲノムコピー(GC)のrAAVとを含む。サスペンションは、一実施形態では静脈内注射に好適である。他の実施形態では、サスペンションは、水性懸濁液中に溶解した界面活性剤、保存剤、及び/またはバッファーを更に含む。
【0010】
別の実施形態において、本明細書では、PKUを有する患者を本明細書に記述されるrAAVで処置する方法が提示される。一実施形態では、水性サスペンションにおいて、患者の体重1kgあたり約1×1011~約3×1013ゲノムコピー(GC)のrAAV/kgが患者に送達される。
【0011】
3.図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、pAAV.TBG.PI.hPAHco.WPRE.bGHシスプラスミドの概略表現である。
【
図2】
図2Aは、実施例1に記述した、PAH_KO_Aマウスモデル(白色で示す)及び野生型同腹仔(黒色で示す)またはヘテロ接合性同腹仔(灰色で示す)における血漿フェニルアラニン(Phe)レベルの棒グラフである。これらの結果は
図2Dに要約してある。
図2Bは、PAH_KO_Aマウス(白色で示す)と、対照として用意したヘテロ接合性同腹仔(灰色で示す)及び野生型同腹仔(黒色で示す)における血漿フェニルアラニン(Phe)レベルの線グラフである。実施例3に記述するように、自然史研究の56日目に1×10
13GC/kgまたは1×10
12GC/kgのAAV8.TBG.PI.hPAHco.WPRE.bGHをマウスに注射した。自然史研究のPAH_KO_Aマウス雄7匹及び雌3匹に対して実験を行った。
図2Cは、実施例3に記述した、1×10
13GC/kgまたは1×10
12GC/kgのAAV8.TBG.PI.hPAHco.WPRE.bGHを注射したPAH_KO_Aマウスモデルにおける血漿フェニルアラニン(Phe)レベルの線グラフである。注射日は0日目であった。
図2Dは、
図2Aにおいて研究したマウスの平均Pheレベルを示す線グラフである。値は平均+/-SEMとして表してある。
【
図3】
図3Aは、実施例1に記述した、PAH_KO_Bマウスモデル(白色で示す)及び野生型同腹仔(黒色で示す)またはヘテロ接合性同腹仔(灰色で示す)における血漿フェニルアラニン(Phe)レベルの棒グラフである。これらの結果は
図3Dに要約してある。
図3Bは、PAH_KO_Bマウス(白色で示す)と、対照として用意したヘテロ接合性同腹仔(灰色で示す)及び野生型同腹仔(黒色で示す)における血漿フェニルアラニン(Phe)レベルの線グラフである。自然史研究のPAH_KO_Bマウス雌3匹に対して実験を行った。
図3Cは、実施例3に記述した、1×10
12GC/kgのAAV8.TBG.PI.hPAHco.WPRE.bGHを注射したPAH_KO_Bマウスモデルにおける血漿フェニルアラニン(Phe)レベルの線グラフである。マウス識別番号1691、1695、及び1696は、0日目に1×10
12GC/kgを注射した雌であった。
図3Dは、
図3Aにおいて研究したマウスの平均Pheレベルを示す線グラフである。値は平均+/-SEMとして表してある。
【
図4】
図4Aは、実施例1に記述した、PAH_KO_Cマウスモデル(白色で示す)及び野生型同腹仔(黒色で示す)またはヘテロ接合性同腹仔(灰色で示す)における血漿フェニルアラニン(Phe)レベルの線グラフである。これらの結果は
図4Cに要約してある。
図4Bは、PAH_KO_Cマウス(白色で示す)と、対照として用意したヘテロ接合性同腹仔(灰色で示す)及び野生型同腹仔(黒色で示す)における血漿フェニルアラニン(Phe)レベルの線グラフである。自然史研究のPAH_KO_Cマウス雄2匹に対して実験を行った。
図4Cは、
図4Aにおいて研究したマウスの平均Pheレベルを示す線グラフである。値は平均+/-SEMとして表してある。
【
図5】
図5は、
図2A、3A、及び4Aの結果を要約した棒グラフである。血漿フェニルアラニン(Phe)レベルはLC/MS/MSによって検出したものであり、データは、6~8週齢から採血したPAH_KO_A、PAH_KO_B、及びPAH_KO_Cマウスのものである。血漿を単離し、Phe濃度について解析した。野生型同腹仔を陰性対照として用意した。
【
図6】
図6A~6Cは、AAV8.TBG.hPAHcoがPKU_KO_Bマウスにおけるフェニルアラニンレベルをレスキューすることを示す。処置前のフェニルアラニンレベルが確立された後、17~22週齢のPKU Bマウスに、10
12GC/kgのAAV8.TBG.hPAHco.bGH(円形)またはAAV8.TBG.hPAHco.WPRE.bGH(正方形)のいずれかを与えた。PBS処置は三角形で示した。その後、マウスを毎週採血し、血漿を単離し、フェニルアラニン濃度を決定した(A)。研究終了時に肝臓を収集し、ゲノムコピー解析(B)及び免疫組織化学的検査(C)を行った。値は平均±SEMとして表してある。
【
図7】
図7は、AAV遺伝子療法がPKU_KO_Aマウスにおける血漿Phe濃度を低下させることを示す線グラフである。ベースラインのフェニルアラニンレベルが確立された後、WT(三角形)、ヘテロ接合性(円形)、及びPKU_KO_A(KO)マウスに、10
11GC/kgのAAV8.TBG.hPAHcoを静脈内注射した。その後、マウスを毎週採血し、血漿を単離し、Phe濃度について解析した。値は平均+/-SEMとして表してある。血漿中のPheレベルは、AAV8.TBG.hPAHcoの静脈内投与後に71%低下した。
【
図8】
図8A~8Cは、高用量のAAV9.TBG.hPAHcoがPKU_KO_Bマウスにおけるフェニルアラニンレベルをレスキューすることを示す。ベースラインのフェニルアラニンレベルが確立された後、PKU_KO_Bマウスに、10
12GC/kg、3×10
11GC/kg、または10
11GC/kgのいずれかのAAV8.TBG.hPAHcoを与えた。その後、マウスを毎週採血し、血漿を単離し、Phe濃度について解析した(A)。値は平均+/-SEMとして表してある。研究終了時に肝臓を収集し、ゲノムコピー解析(B)及び免疫組織化学的検査(C)を行った。タンパク質発現及びPheレベルの低下が10
12GC/kgの用量において見られた。
【
図9】
図9は、野生型(WT)(配列番号26)、PAH_KO_A(系統A)(配列番号27)、PAH_KO_B(系統B)(配列番号28)、PAH_KO_C(系統C)(配列番号29)、PAH_KO_D(系統D)(配列番号30)、及びコンセンサス(配列番号31)に対するPAH配列の一部分のアライメントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
4.詳細な説明
本出願に記述される実施形態は、フェニルケトン尿症(PKU)と診断された患者(ヒト対象)の肝臓細胞にヒトフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)遺伝子を送達するための複製欠損アデノ随伴ウイルス(AAV)の使用に関する。hPAH遺伝子を送達するために使用される組換えAAVベクター(rAAV)(「rAAV.hPAH」)は、肝臓への指向性を有するべきであり(例えば、AAV8カプシドを有するrAAV)、hPAH導入遺伝子は、肝臓特異的な発現制御エレメントによって制御されるべきである。一実施形態において、発現制御エレメントは、エンハンサー、プロモーター、イントロン、WPRE、及びポリAシグナルのうちの1つ以上を含む。このようなエレメントについては、本明細書において更に記述する。
【0014】
本明細書において使用される場合、「AAV8カプシド」とは、参照により本明細書に組み込まれているGenBank受託番号YP_077180.1、配列番号19のアミノ酸配列を有するAAV8カプシドを指す。このコードされる配列からのある程度の差異が許容され、これには、YP_077180.1及びWO2003/052051(これは参照により本明細書に組み込まれている)における参照アミノ酸配列と約99%の同一性(すなわち、参照配列からの約1%未満の差異)を有する配列が含まれ得る。カプシドひいてはコーディング配列を生成する方法、及びrAAVウイルスベクターの産生のための方法については記述されている。例えば、Gao,et al,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.100(10),6081-6086(2003)及びUS2015/0315612を参照されたい。
【0015】
本明細書において使用される場合、「NAb力価」とは、標的となるエピトープ(例えばAAV)の生理的効果を中和する中和抗体(例えば抗AAV Nab)がどれだけ産生されるかの測定値である。抗AAV NAb力価は、例えば、参照により本明細書に組み込まれているCalcedo,R.,et al.,Worldwide Epidemiology of Neutralizing Antibodies to Adeno-Associated Viruses.Journal of Infectious Diseases,2009.199(3):p.381-390に記述されているように測定することができる。
【0016】
アミノ酸配列との関連における「同一性パーセント(%)」、「配列同一性」、「配列同一性パーセント」、または「パーセント同一」という用語は、2つの配列のうち、対応するようにアラインされたときに同じである残基を指す。同一性パーセントは、タンパク質の完全長にわたるアミノ酸配列、ポリペプチド、約32アミノ酸、約330アミノ酸、もしくはそれらのペプチド断片、または対応する核酸配列コーディングシーケンサーにつ
いて容易に決定され得る。好適なアミノ酸断片は、少なくとも約8アミノ酸長であってよく、最長約700アミノ酸であり得る。概して、2つの異なる配列間の「同一性」、「相同性」、または「類似性」を参照するとき、「同一性」、「相同性」、または「類似性」は、「アラインされた」配列に関して決定されたものである。「アラインされた」配列または「アライメント」とは、多くの場合、参照配列と比較した塩基またはアミノ酸の欠失または付加に対する補正を含む、複数の核酸配列またはタンパク質(アミノ酸)配列を指す。アライメントは、公的または商業的に利用可能な様々なMultiple Sequence Alignmentプログラムのいずれかを使用して行われる。アミノ酸配列には、例えば、「Clustal X」、「MAP」、「PIMA」、「MSA」、「BLOCKMAKER」、「MEME」、及び「Match-Box」プログラムといった配列アライメントプログラムが利用可能である。概して、これらのプログラムのいずれかがデフォルト設定で使用されるが、当業者は、必要に応じてこれらの設定を変更することができる。代替的には、当業者は、参照されるアルゴリズム及びプログラムによって提供されるレベルの同一性またはアライメントを少なくとも提供する別のアルゴリズムまたはコンピュータプログラムを利用してもよい。例えば、J.D.Thomson et al,Nucl.Acids.Res.,“A comprehensive comparison of multiple sequence alignments”,27(13):2682-2690(1999)を参照されたい。
【0017】
本明細書において使用される場合、「作動可能に連結した」という用語は、目的の遺伝子と連続している発現制御配列と、目的の遺伝子を制御するようにトランスに、すなわち離れて作用する発現制御配列との両方を指す。
【0018】
「複製欠損ウイルス」または「ウイルスベクター」とは、目的の遺伝子を含有する発現カセットがウイルスカプシドまたはエンベロープ内にパッケージングされている合成または人工のウイルス粒子で、同様にウイルスカプシドまたはエンベロープ内にパッケージングされているあらゆるウイルスゲノム配列が複製欠損である、すなわち子孫ビリオンを生成することができないが、標的細胞に感染する能力を保持するものを指す。一実施形態において、ウイルスベクターのゲノムは、複製するのに必要な酵素をコードする遺伝子を含まないが(このゲノムは、人工ゲノムの増幅及びパッケージングに必要なシグナルに挟まれた目的の導入遺伝子のみを含有する「ガットレス」であるように工学操作されていてよい)、これらの遺伝子は産生中に供給されてもよい。したがって、これは遺伝子療法に使用するのに安全であるとみなされる。子孫ビリオンによる複製及び感染は、複製に必要なウイルス酵素の存在下を除いては起こり得ないためである。
【0019】
「a」または「an」という用語は、1つ以上を指すことに留意されたい。したがって、「a」(または「an」)、「1つ以上」、及び「少なくとも1つ」という用語は、本明細書では交換可能に使用される。
【0020】
「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprising)」という言葉は、排他的ではなく包括的に解釈されるものとする。「からなる(consist)」、「からなる(consisting)」という言葉、及びその変化形は、包括的ではなく排他的に解釈されるものとする。本明細書における種々の実施形態は「含む(comprising)」という文言を使用して提示されるが、他の状況下では、関連する実施形態が「からなる(consisting of)」または「から本質的になる(consisting essentially of)」という文言を使用して解釈され、かつ記述されていることも意図される。
【0021】
本明細書において使用される場合、「約」という用語は、別途指定しない限り、与えられている基準から10%の変動を意味する。
【0022】
本明細書において別途定義しない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、当業者が一般的に理解し、また本出願において使用される用語の多くに関する一般的指針を当業者に提供する公開文献の参照により理解されるものと同じ意味を有する。
【0023】
5.1 遺伝子療法ベクター
一態様では、遺伝子療法において使用するためのヒトPAH遺伝子を搭載した組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターが提示される。rAAV.hPAHベクターは、肝臓への指向性を有するべきであり(例えば、AAV8カプシドを有するrAAV)、hPAH導入遺伝子は、肝臓特異的な発現制御エレメントによって制御されるべきである。ベクターは、ヒト対象への注入に好適なバッファー/担体において製剤化される。バッファー/担体には、rAAVが注入チューブに固着することを防止するが、インビボでrAAV結合活性に干渉しない成分が含まれているべきである。
【0024】
5.1.1.rAAV.hPAHベクター
5.1.1.1.hPAH配列
フェニルケトン尿症は、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)遺伝子の突然変異によって主に引き起こされる遺伝性代謝異常である。PAH遺伝子の突然変異は、触媒活性の減少をもたらし、フェニルアラニン(Phe)の異化経路に影響を及ぼす。PAHは、Pheをチロシン(Tyr)に転換させるために補因子テトラヒドロビオプテリン(BH4)を必要とする肝酵素である。PAHまたはその補因子BH4の欠損は、過剰なフェニルアラニンの蓄積をもたらし、処置しなければ、フェニルアラニンの毒性効果により、重度かつ不可逆的な知的障害及び他の障害が生じ得る。参照により本明細書に組み込まれている、Havid and Cristodoulou,Transl Pediatr,2015 Oct,4(4):304-17を参照されたい。
【0025】
550種を超えるPAH遺伝子の突然変異が記述されており、その大部分が酵素活性の欠損をもたらす。参照により本明細書に組み込まれている、http://www.pahdb.mcgill.ca/にてアクセスされるPhenylalanine Hydroxylase Locus Knowledgebaseを参照されたい。既知のPKU突然変異が多数あり、疾患の性質が常染色体劣性であることから、広範な疾患重症度が見られる。疾患の重症度は概して血中フェニルアラニンレベルによって分類され、場合により古典型PKU、中等度もしくは異型PKU、軽度PKU、または高フェニルアラニン血症に分類される。診断時の血中Pheレベルに基づいて、PKUの重症度には4つのレベルがある。
・高フェニルアラニン血症、正常範囲をわずかに超えるPheレベル:120~600μmol/L(2~10mg/dL)
・軽度、最も低い血中Pheレベル:600~900μmol/L(10~15mg/dL)
・中等度または異型、中間あたりの血中Pheレベル:900~1200μmol/L(15~20mg/dL)
・重度または「古典型」PKU、極めて高い血中Pheレベル:>1200μmol/L(20mg/dL)
【0026】
本明細書に記述される療法の目標は、120~600μmol/Lの範囲のPheレベルをもたらす(例えば、血漿Pheレベルを25%以上低下させる)機能的なPAH酵素をもたらすことである。別の実施形態では、ベクター用量は、血漿フェニルアラニンレベルを25%以上低下させるPAHを送達するよう意図される。別の実施形態では、ベクター用量は、血漿フェニルアラニンレベルを30%以上低下させるPAHを送達するよう意図される。別の実施形態では、ベクター用量は、血漿フェニルアラニンレベルを35%以
上低下させるPAHを送達するよう意図される。別の実施形態では、ベクター用量は、血漿フェニルアラニンレベルを40%以上低下させるPAHを送達するよう意図される。別の実施形態では、ベクター用量は、血漿フェニルアラニンレベルを45%以上低下させるPAHを送達するよう意図される。別の実施形態では、ベクター用量は、血漿フェニルアラニンレベルを50%以上低下させるPAHを送達するよう意図される。別の実施形態では、ベクター用量は、血漿フェニルアラニンレベルを60%以上低下させるPAHを送達するよう意図される。別の実施形態では、ベクター用量は、血漿フェニルアラニンレベルを70%以上低下させるPAHを送達するよう意図される。別の実施形態では、ベクター用量は、血漿フェニルアラニンレベルを75%以上低下させるPAHを送達するよう意図される。
【0027】
一実施形態において、「対象」または「患者」は、上述のようにPKUを有する哺乳動物対象である。いかなる重症度のPKUを有する患者も、意図される対象であることが意図される。
【0028】
一実施形態では、hPAH遺伝子は、配列番号2に示されるhPAHタンパク質をコードする。したがって、一実施形態において、hPAH導入遺伝子は、参照により本明細書に組み込まれている添付の配列表に提示されている配列番号1または配列番号3により提示される配列を含み得るが、これらに限定されない。配列番号3は、天然のヒトPAHのcDNAを提示する。配列番号1は、ヒトにおける発現のためにコドン最適化された、工学操作されたヒトPAHのcDNA(本明細書では場合によりhPAHcoと呼ばれる)を提示する。本明細書におけるhPAHへの言及は、一部の実施形態では、hPAHの天然配列またはコドン最適化配列を指し得ることを理解されたい。代替的には、または更に、ウェブベースまたは商業的に利用可能なコンピュータプログラム、ならびにサービスベースの企業を利用して、両RNA及び/またはcDNAを含む核酸コーディング配列にアミノ酸配列を逆翻訳してもよい。例えば、EMBOSSによるbacktranseq(http://www.ebi.ac.uk/Tools/st/)、Gene Infinity(http://www.geneinfinity.org/sms-/sms_backtranslation.html)、ExPasy(http://www.expasy.org/tools/)を参照されたい。所望の標的対象における発現のために(例えば、コドン最適化によって)最適化されている核酸配列を含め、記述されるhPAHポリペプチド配列をコードする全ての核酸が包含されることが意図される。
【0029】
一実施形態では、hPAHをコードする核酸配列は、配列番号3の天然hPAHコーディング配列と、少なくとも95%の同一性を共有する。別の実施形態では、hPAHをコードする核酸配列は、配列番号3の天然hPAHコーディング配列と、少なくとも90、85、80、75、70、または65%の同一性を共有する。一実施形態では、hPAHをコードする核酸配列は、配列番号3の天然hPAHコーディング配列と、約78%の同一性を共有する。一実施形態において、hPAHをコードする核酸配列は配列番号1である。
【0030】
一実施形態では、PAHコーディング配列は、標的対象における発現のために最適化されている。コドン最適化されたコーディング領域は、種々の異なる方法によってデザインすることができる。この最適化は、オンラインで利用可能な方法(例えばGeneArt)、公開されている方法、または例えばDNA2.0(Menlo Park,CA)のようなコドン最適化サービスを提供する企業を利用して行ってもよい。コドン最適化アプローチの1つは、例えば、参照により本明細書に組み込まれている国際特許公開第WO2015/012924号に記述されている。例えば、米国特許公開第2014/0032186号及び米国特許公開第2006/0136184号も参照されたい。好適には、産
物のオープンリーディングフレーム(ORF)の全長が改変される。しかしながら一部の実施形態では、ORFの断片のみを変更してもよい。これらの方法のうちの1つを使用することにより、任意の所与のポリペプチド配列に頻度を適用し、このポリペプチドをコードするコドン最適化されたコーディング領域の核酸断片を産生することができる。
【0031】
コドンの実際の変更を行うため、または本明細書に記述されるようにデザインされたコドン最適化コーディング領域を合成するためには、いくつかの選択肢が利用可能である。このような改変または合成は、当業者に周知の標準的かつルーチン的な分子生物学的操作を使用して行うことができる。1つのアプローチでは、各々80~90ヌクレオチド長であり所望の配列の長さに及ぶ一連の相補的オリゴヌクレオチド対を、標準的方法によって合成する。これらのオリゴヌクレオチド対は、アニールすると、付着末端を含有する80~90塩基対の二本鎖断片を形成するように合成される。例えば、対における各オリゴヌクレオチドは、対における他方のオリゴヌクレオチドに対して相補的である領域を、塩基3個分、4個分、5個分、6個分、7個分、8個分、9個分、10個分、またはそれ以上超えて伸びるように合成される。各オリゴヌクレオチド対の一本鎖末端は、別のオリゴヌクレオチド対の一本鎖末端とアニールするようにデザインする。オリゴヌクレオチド対をアニールさせ、次に、一本鎖の付着末端を介してこれらの二本鎖断片のうちおよそ5~6つを一緒にアニールさせてから、それらを一緒にライゲートし、標準的な細菌クローニングベクター、例えばThermo Fisher Scientific Incから入手可能なTOPO(登録商標)ベクターにクローニングする。次に、この構築物を標準的方法によってシーケンシングする。80~90塩基対の断片が5~6つ一緒にライゲートされた断片(すなわち約500塩基対の断片)からなる、こうした構築物をいくつか調製することで、一連のプラスミド構築物において所望の配列全体が表されるようにする。次に、これらのプラスミドのインサートを適切な制限酵素で切断し、一緒にライゲートして、最終構築物を形成する。次に、最終構築物を標準的な細菌クローニングベクターにクローニングし、シーケンシングする。更なる方法は、当業者にはすぐに明らかになるであろう。加えて、遺伝子合成は商業的に容易に利用可能である。
【0032】
5.1.1.2.rAAVベクター
PAHは肝臓で天然に発現するため、肝臓への指向性を示すAAVを使用することが望ましい。一実施形態において、カプシドを供給するAAVは、AAV8である。別の実施形態では、カプシドを供給するAAVは、AAVrh.10である。更に別の実施形態では、カプシドを供給するAAVは、クレードEのAAVである。このようなAAVには、rh.2;rh.10;rh.25;bb.1、bb.2、pi.1、pi.2、pi.3、rh.38、rh.40、rh.43、rh.49、rh.50、rh.51、rh.52、rh.53、rh.57、rh.58、rh.61、rh.64、hu.6、hu.17、hu.37、hu.39、hu.40、hu.41、hu.42、hu.66、及びhu.67が含まれる。このクレードは、改変されたrh.2、改変されたrh.58、及び改変されたrh.64を更に含む。参照により本明細書に組み込まれているWO2005/033321を参照されたい。しかしながら、肝臓指向性のあるいくつかのrAAVベクターのうち、いずれを使用してもよい。
【0033】
下記の実施例に記述される特定の実施形態において、遺伝子療法ベクターは、AAV8.TBG.PI.hPAHco.WPRE.bGHと呼ばれるチロキシン結合グロブリン(TBG)プロモーターの制御下でhPAH導入遺伝子を発現するAAV8ベクターである。そのようなベクターのベクターゲノムは、配列番号20に示されている。別の実施形態では、WPREが省略され、すなわち、AAV8.TBG.PI.hPAHco.bGHである。そのようなベクターのベクターゲノムは、配列番号21に示されている。外部のAAVベクター成分は、VP1、VP2、及びVP3の3種のAAVウイルスタンパク質の1:1:10の比における60個のコピーからなる、血清型8、T=1の正二十面体
カプシドである。このカプシドは、一本鎖DNA rAAVベクターゲノムを含有する。
【0034】
一実施形態において、rAAV.hPAHゲノムは、2つのAAV逆位末端リピート(ITR)に挟まれたhPAH導入遺伝子を含有する。一実施形態において、hPAH導入遺伝子は、エンハンサー、プロモーター、イントロン、ウッドチャック肝炎ウイルス(WHP)転写後調節エレメント(WPRE)(例えば、配列番号15)、hPAHコーディング配列、及びポリアデニル化(ポリA)シグナルのうちの1つ以上を含む。別の実施形態では、hPAH導入遺伝子は、エンハンサー、プロモーター、イントロン、hPAHコーディング配列、及びポリアデニル化(ポリA)シグナルのうちの1つ以上を含む。これらの制御配列は、hPAH遺伝子配列に「作動可能に連結している」。これらの配列を含有する発現カセットは、ウイルスベクターの産生に使用されるプラスミドに、工学操作によって載せてもよい。
【0035】
ITRは、ベクター産生中のゲノムの複製及びパッケージングに関与する遺伝子エレメントであり、rAAVを生成するために必要な唯一のウイルスシスエレメントである。発現カセットをAAVウイルス粒子中にパッケージングするために必要な最小限の配列はAAV 5’ITR及び3’ITRであり、これらは、カプシドと同じAAV起源をもっていてもよいし、異なるAAV起源をもっていてもよい(AAVシュードタイプを産生するため)。一実施形態では、AAV2由来のITR配列、またはその欠失バージョン(ΔITR)が使用される。しかしながら、他のAAV源に由来するITRを選択してもよい。ITRの源がAAV2に由来し、AAVカプシドが別のAAV源に由来する場合、結果として生じるベクターは、シュードタイプ型と呼ばれる場合がある。典型的には、AAVベクターの発現カセットは、AAV 5’ITR、hPAHコーディング配列及び任意の調節配列、及びAAV 3’ITRを含む。しかしながら、これらのエレメントの他の構成が好適な場合がある。D配列及び末端分解部位(trs)が欠失している、ΔITRと呼ばれる5’ITRの短縮バージョンが記述されている。他の実施形態では、完全長のAAV 5’ITR及び3’ITRが使用される。一実施形態において、5’ITRは、配列番号16に示されているものである。一実施形態において、3’ITRは、配列番号17に示されているものである。
【0036】
一実施形態において、発現制御配列は、1つ以上のエンハンサーを含む。一実施形態では、配列番号4に示されているEn34エンハンサー(ヒトアポリポタンパク質肝臓制御領域の34bpコアエンハンサー)が含まれる。別の実施形態では、EnTTR(トランスサイレチンの100bpエンハンサー配列)が含まれる。このような配列は、配列番号5に示されている。参照により本明細書に組み込まれている、Wu et al,Molecular Therapy,16(2):280-289,Feb.2008を参照されたい。更に別の実施形態では、α1ミクログロブリン/ビクニン前駆体エンハンサーが含まれる。更に別の実施形態では、ABPS(α1ミクログロブリン/ビクニン前駆体[ABP]の100bpの遠位エンハンサーが42bpに短縮されたバージョン)エンハンサーが含まれる。このような配列は、配列番号6に示されている。更に別の実施形態では、ApoEエンハンサーが含まれる。このような配列は、配列番号7に示されている。別の実施形態では、2つ以上のエンハンサーが存在する。このような組み合わせは、本明細書に記述されるエンハンサーのうちのいずれかの2つ以上のコピー、及び/または2つ以上のタイプのエンハンサーを含み得る。
【0037】
hPAHコーディング配列の発現は、肝臓特異的プロモーターから駆動される。本明細書に記述される、説明に役立つプラスミド及びベクターは、チロキシン結合グロブリン(TBG)プロモーター(配列番号9)、またはその改変バージョンを使用する。TBGプロモーターの改変バージョンの1つは、TBG-S1と呼ばれる短縮バージョンである。改変されたチロキシン結合グロブリン(TBG-S1)プロモーター配列は、配列番号8
に示されている。代替的には、他の肝臓特異的プロモーター、例えばトランスサイレチンプロモーターを使用してもよい。別の好適なプロモーターは、アルファ1抗トリプシン(A1AT)プロモーター、またはその改変バージョン(この配列は配列番号10に示されている)である。別の好適なプロモーターはTTRプロモーター(配列番号11)である。他の好適なプロモーターとしては、ヒトアルブミン(Miyatake et al.,J.Virol.,71:5124 32(1997))、humAlb;肝臓特異的プロモーター(LSP)、及びB型肝炎ウイルスコアプロモーター(Sandig et
al.,Gene Ther.,3:1002 9(1996)が挙げられる。例えば、参照により組み込まれているThe Liver Specific Gene Promoter Database,Cold Spring Harbor,http://rulai.schl.edu/LSPDを参照されたい。さほど望ましくはないが、他のプロモーター、例えばウイルスプロモーター、構成的プロモーター、調節可能プロモーター[例えば、WO2011/126808及びWO2013/04943を参照されたい]、または生理学的合図に応答するプロモーターを使用してもよく、本明細書に記述されるベクターにおいて利用してもよい。
【0038】
発現カセット及び/またはベクターは、プロモーターに加えて、他の適切な転写開始配列、終止配列、エンハンサー配列、及び効率的なRNAプロセシングシグナルを含有してもよい。このような配列には、スプライシングシグナル及びポリアデニル化(ポリA)シグナル、発現を増強する調節エレメント(例えばWPRE(配列番号15))、細胞質mRNAを安定化させる配列、翻訳効率を増強する配列(すなわちKozakコンセンサス配列)、タンパク質安定性を増強する配列、そして所望であれば、コードされる産物の分泌を増強する配列が含まれる。一実施形態では、hPAH mRNA転写物の終止を媒介するため、ポリアデニル化(ポリA)シグナルが含まれる。他の好適なポリA配列の例としては、例えば、とりわけウシ成長ホルモン(配列番号12)、SV40、ウサギベータグロビン、及びTKポリAが挙げられる。
【0039】
一実施形態において、調節配列は、rAAVベクターゲノム全体が約2.0~約5.5キロベースのサイズになるように選択される。一実施形態において、調節配列は、rAAVベクターゲノム全体が約3.4kb、約2.9kb、約3.3kb、約2.2kb、または約2.5kbのサイズになるように選択される。一実施形態では、rAAVベクターゲノムが天然AAVゲノムのサイズに近似することが望ましい。したがって、一実施形態において、調節配列は、rAAVベクターゲノム全体が約4.7kbのサイズになるように選択される。別の実施形態では、rAAVベクターゲノム全体は、約5.2kb未満のサイズである。ベクターゲノムのサイズは、プロモーター、エンハンサー、イントロン、ポリAなどを含む調節配列のサイズに基づいて操作され得る。参照により本明細書に組み込まれている、Wu et al,Mol Ther,Jan 2010 18(1):80-6を参照されたい。
【0040】
したがって、一実施形態では、イントロンがベクターに含まれる。好適なイントロンとしては、ヒトベータグロビンIVS2(配列番号13)が挙げられる。参照により本明細書に組み込まれている、Kelly et al,Nucleic Acids Research,43(9):4721-32(2015)を参照されたい。別の好適なプロモーターとしては、Promegaのキメライントロン(配列番号14、場合により「PI」と呼ばれる)が挙げられる。参照により本明細書に組み込まれている、Almond,B.and Schenborn,E.T.A Comparison of pCI-neo Vector and pcDNA4/HisMax Vector.[Internet]2000を参照されたい。www.promega.com/resources/pubhub/enotes/a-comparison-of-pcineo-vector-and-pcdna4hismax-vector/から利用可能で
ある。別の好適なイントロンとしては、hFIXイントロン(配列番号18)が挙げられる。本明細書において好適な種々のイントロンは当技術分野で公知であり、限定されるものではないが、参照により本明細書に組み込まれているhttp://bpg.utoledo.edu/~afedorov/lab/eid.htmlにて見られるものを含む。参照により本明細書に組み込まれている、Shepelev V.,Fedorov
A.Advances in the Exon-Intron Database.Briefings in Bioinformatics 2006,7:178-185も参照されたい。
【0041】
一実施形態では、rAAVベクターゲノムは、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、または配列番号25を含む。
【0042】
5.1.2.組成物
一実施形態において、rAAV.hPAHウイルスは、水性担体、賦形剤、希釈剤、またはバッファーを含む医薬組成物で提供される。一実施形態において、バッファーはPBSである。特定の実施形態では、rAAV.hPAH製剤は、TMN200(200mM塩化ナトリウム、1mM塩化マグネシウム、20mMトリス、pH8.0)中に0.001%Pluronic F-68を含有する水溶液に懸濁した、有効量のrAAV.hPAHベクターを含有するサスペンションである。しかしながら、緩衝食塩水、界面活性剤、及び塩化ナトリウム(NaCl)約100mM~塩化ナトリウム約250mMと同等のイオン強度に調整した生理的に適合性がある塩もしくは塩の混合物、または同等のイオン濃度に調整した生理的に適合性がある塩のうちの1つ以上を含むものをはじめとする、種々の好適な溶液が公知である。
【0043】
例えば、本明細書において提示されるサスペンションは、NaCl及びKClの両方を含有し得る。pHは、6.5~8.5、または7~8.5、または7.5~8の範囲内であり得る。好適な界面活性剤または界面活性剤の組み合わせは、ポロキサマー、すなわち、中央にある疎水性のポリオキシプロピレン鎖(ポリ(プロピレンオキシド))が2つの親水性のポリオキシエチレン鎖(ポリ(エチレンオキシド))に挟まれた構成をしている非イオン性トリブロックコポリマー、SOLUTOL HS 15(マクロゴール-15ヒドロキシステアレート)、LABRASOL(ポリオキシカプリル酸グリセリド)、ポリオキシ10オレイルエーテル、TWEEN(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル)、エタノール、及びポリエチレングリコールの中から選択され得る。一実施形態において、製剤はポロキサマーを含有する。これらのコポリマーは、一般的に、「P」の文字(ポロキサマーを表す)の後に3つの数字が続く名称を与えられる。最初の2つの数字に100をかけると、ポリオキシプロピレンコアのおよその分子質量が求められ、最後の数字に10をかけると、ポリオキシエチレン含有率が求められる。一実施形態では、ポロキサマー188が選択される。界面活性剤は、サスペンションの最大約0.0005%~約0.001%の量で存在してよい。別の実施形態では、ベクターは、180mM塩化ナトリウム、10mMリン酸ナトリウム、0.001%ポロキサマー188を含有する水溶液(pH7.3)に懸濁される。
【0044】
一実施形態において、製剤は、ヒト対象に使用するのに好適であり、静脈内投与される。一実施形態において、製剤は、ボーラス注射により、末梢静脈を介して送達される。一実施形態において、製剤は、約10分(±5分)にわたる注入により、末梢静脈を介して送達される。一実施形態において、製剤は、約20分(±5分)にわたる注入により、末梢静脈を介して送達される。一実施形態において、製剤は、約30分(±5分)にわたる注入により、末梢静脈を介して送達される。一実施形態において、製剤は、約60分(±5分)にわたる注入により、末梢静脈を介して送達される。一実施形態において、製剤は、約90分(±10分)にわたる注入により、末梢静脈を介して送達される。しかしなが
ら、必要または所望であれば、この時間を調整してよい。任意の好適な方法またはルートを使用して、本明細書に記述されるAAV含有組成物を投与し、場合によっては、本明細書に記述されるhPAHのAAV媒介性送達と併せて、他の活性薬または療法薬を共投与することができる。投与ルートとしては、例えば、全身、経口、吸入、鼻腔内、気管内、動脈内、眼内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、及び他の非経口投与ルートが挙げられる。
【0045】
一実施形態において、製剤は、例えば、参照により本明細書に組み込まれている、M.Lock et al,Hum Gene Ther Methods.2014 Apr;25(2):115-25.doi:10.1089/hgtb.2013.131.Epub 2014 Feb 14に記述されているように、oqPCRまたはデジタルドロップレットPCR(ddPCR)によって測定した場合、例えば、約1.0×1011GC/kg(患者の体重1キログラムあたりのゲノムコピー)~約1×1015GC/kg、約5×1011GC/kg(患者の体重1キログラムあたりのゲノムコピー)~約3×1013GC/kg、または約1×1012~約1×1014GC/kgを含有し得る。一実施形態において、rAAV.hPAH製剤は、例えば、M.Lock et al(上記)に記述されているように、oqPCRまたはデジタルドロップレットPCR(ddPCR)によって測定した場合、少なくとも1×1013ゲノムコピー(GC)/mLまたはそれ以上を含有するサスペンションである。
【0046】
患者に投与されるAAV.hPAHの用量から空のカプシドが除去されることを確実にするために、空のカプシドは、ベクター精製プロセス中に、例えば、本明細書において詳解される方法を使用して、ベクター粒子から分離される。一実施形態において、パッケージングされたゲノムを含有するベクター粒子は、参照により本明細書に組み込まれている「Scalable Purification Method for AAV8」と題する2016年4月13日に出願された米国特許出願第62/322,098号に記述されているプロセスを使用して、空のカプシドから精製される。簡潔に述べると、清澄化され濃縮されたrAAV産生細胞培養物の上清から、ゲノムを含有するrAAVベクター粒子を選択的に捕捉して単離する、2ステップの精製スキームが記述されている。このプロセスでは、高い塩濃度で行われる親和性捕捉法の後に、高いpHで行われるアニオン交換樹脂法を利用して、rAAV中間体を実質的に含まないrAAVベクター粒子をもたらす。他のカプシドを有するベクターのために同様の精製法を使用してもよい。
【0047】
いかなる従来の製造プロセスを利用してもよいが、本明細書(及び米国特許出願第62/322,098号)に記述されるプロセスは、50~70%の粒子がベクターゲノムを有する、すなわち、完全粒子50~70%のベクター調製物をもたらす。したがって、1.6×1012GC/kgの例示的な用量では、総粒子用量は2.3×1012~3×1012の粒子となる。別の実施形態では、提唱される用量は、1/2対数高いか、または5×1012GC/kgであり、総粒子用量は7.6×1012~1.1×1013の粒子となる。一実施形態において、製剤は、「空」対「完全」比が1以下、好ましくは0.75未満、より好ましくは0.5、好ましくは0.3未満のrAAVストックを特徴とする。
【0048】
rAAV8粒子(パッケージングされたゲノム)のストックまたは調製物は、ストック中のrAAV8粒子が、ストック中のrAAV8の少なくとも約75%~約100%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも99%であり、「空のカプシド」が、ストックまたは調製物中のrAAV8の約1%未満、約5%未満、約10%未満、約15%未満であるとき、空のAAVカプシド(及び他の中間体)を「実質的に含まない」。
【0049】
概して、空のカプシド及びパッケージングされたゲノムを含むAAVベクター粒子につ
いてアッセイするための方法は、当技術分野において知られてきた。例えば、Grimm
et al.,Gene Therapy(1999)6:1322-1330、Sommer et al.,Molec.Ther.(2003)7:122-128を参照されたい。変性カプシドについて試験するには、その方法は、3つのカプシドタンパク質を分離させることができる任意のゲル、例えば、バッファー中に3~8%トリス-アセテートを含有する勾配ゲルからなるSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動に、処置済みAAVストックを供し、次に、試料物質が分離されるまでゲルを泳動し、ナイロンまたはニトロセルロース膜、好ましくはナイロンにゲルをブロッティングすることを含む。次に、抗AAVカプシド抗体、好ましくは抗AAVカプシドモノクローナル抗体、最も好ましくはB1抗AAV-2モノクローナル抗体を、変性カプシドタンパク質に結合する一次抗体として使用する(Wobus et al.,J.Virol.(2000)74:9281-9293)。次に、一次抗体に結合し、一次抗体との結合を検出するための手段を含む二次抗体、より好ましくはそれに共有結合した検出分子を含有する抗IgG抗体、最も好ましくは西洋ワサビペルオキシダーゼに共有結合によって連結したヒツジ抗マウスIgG抗体を使用する。一次抗体と二次抗体との間の結合を半定量的に決定するために、結合を検出するための方法、好ましくは、放射性同位体の放出、電磁放射、または比色変化を検出することができる検出方法、最も好ましくは化学発光検出キットを使用する。例えば、SDS-PAGEの場合、カラム画分から試料を取り、還元剤(例えばDTT)を含有するSDS-PAGEローディングバッファー中で加熱してもよい。カプシドタンパク質は、プレキャスト勾配ポリアクリルアミドゲル(例えば、Novex)で分解した。製造元の説明に従ってSilverXpress(Invitrogen,CA)を使用し、銀染色を行ってもよい。一実施形態において、カラム画分中のAAVベクターゲノム(vg)の濃度は、定量的リアルタイムPCR(Q-PCR)によって測定することができる。試料を希釈し、DNase I(または別の好適なヌクレアーゼ)で消化して、外来性DNAを除去する。ヌクレアーゼの失活後、試料を更に希釈し、複数のプライマーと、これらのプライマー間のDNA配列に対して特異的なTaqMan(商標)蛍光発生プローブとを使用して増幅した。各試料について、規定の蛍光レベルに達するために必要なサイクル数(閾値サイクル、Ct)を、Applied BiosystemsのPrism 7700 Sequence Detection Systemで測定する。AAVベクターに含まれるものと同一の配列を含有するプラスミドDNAを用い、Q-PCR反応の標準曲線を生成する。試料から得られたサイクル閾値(Ct)を使用して、ベクターゲノム力価をプラスミドの標準曲線のCt値に対して正規化することにより、これを決定する。デジタルPCRに基づくエンドポイントアッセイを使用することもできる。
【0050】
一態様において、広域スペクトルセリンプロテアーゼ、例えばプロテイナーゼK(例えばQiagenから市販されているもの)を利用する、最適化されたq-PCR法が本明細書において提示される。より特定すると、最適化されたqPCRゲノム力価アッセイは、DNase I消化後に試料をプロテイナーゼKバッファーで希釈し、プロテイナーゼKで処置してから熱失活することを除いては、標準的アッセイと同様である。好適には、試料サイズと等しい量のプロテイナーゼKバッファーで試料を希釈する。プロテイナーゼKバッファーは、2倍以上に濃縮してよい。典型的には、プロテイナーゼK処置は約0.2mg/mLであるが、0.1mg/mLから約1mg/mLまで様々であり得る。処置ステップは約55℃で約15分間にわたって実施されるのが一般的だが、より低い温度(例えば、約37℃~約50℃)でより長い期間(例えば、約20分間~約30分間)にわたって、またはより高い温度(例えば、最高約60℃)でより短い期間(例えば、約5~10分間)にわたって行ってもよい。同様に、熱失活は約95℃で約15分間にわたるのが一般的だが、温度を低下させ(例えば、約70~約90℃)、時間を延長してもよい(例えば、約20分間~約30分間)。次に、標準的アッセイにおいて説明されるように、試料を希釈し(例えば1000倍)、TaqMan解析に供する。
【0051】
更に、または代替的には、ドロップレットデジタルPCR(ddPCR)を使用してもよい。例えば、一本鎖及び自己相補的なAAVベクターゲノムの力価をddPCRによって決定するための方法が記述されている。例えば、M.Lock et al,Hu Gene Therapy Methods,Hum Gene Ther Methods.2014 Apr;25(2):115-25.doi:10.1089/hgtb.2013.131.Epub 2014 Feb 14を参照されたい。
【0052】
5.2 患者集団
上記で詳解したように、いかなる重症度のPKUを有する対象も、本明細書に記述される組成物及び方法の意図されるレシピエントである。
【0053】
対象は、各自の担当医の裁量にて、遺伝子療法処置の前及びそれと同時に、各自の標準治療処置(複数可)(例えば、Pheの少ない食事;サプロプテリン二塩酸塩での処置)の継続が許容され得る。代替策では、医師が、遺伝子療法処置を供与する前に標準治療療法を停止し、場合により、遺伝子療法を供与した後に併用療法として標準治療処置を再開することを選ぶ場合がある。
【0054】
遺伝子療法レジメンの望ましいエンドポイントは、120~360μmol/LのPheレベルをもたらすPAH活性の増加である。別の実施形態では、ベクター用量は、血漿フェニルアラニンレベルを25%以上低下させるPAHを送達するよう意図される。別の実施形態では、望ましいエンドポイントは、対象を「重度」表現型から「中等度」表現型にするように血漿Pheレベルを低下させることである。フェニルアラニンレベルの測定のための方法は、例えば、参照により本明細書に組み込まれている、Gregory et al,Blood phenylalanine monitoring for dietary compliance among patients with phenylketonuria:comparison of methods,Genetics in Medicine(November 2007)9,761-765に記述されているように、当技術分野で公知である。一実施形態において、患者は、単独かつ/または補助的処置の使用と組み合わせたrAAV.hPAHを用いた処置の後に、所望の循環PAHレベルを達成する。
【0055】
5.3.投薬及び投与ルート
一実施形態において、rAAV.hPAHベクターは、患者ごとに単回用量として送達される。一実施形態において、対象には、最小有効量(MED)(本明細書の実施例に記述される前臨床研究によって決定される)が送達される。本明細書において使用される場合、MEDとは、120~360μmol/LのPheレベルをもたらすPAH活性を達成するために必要なrAAV.hPAHの用量を指す。
【0056】
従来通り、ベクター力価は、ベクター調製物のDNA含有量に基づいて決定される。一実施形態では、実施例に記述される定量的PCRまたは最適化された定量的PCRを使用して、rAAV.hPAHベクター調製物のDNA含有量を決定する。一実施形態では、実施例に記述されるデジタルドロップレットPCRを使用して、rAAV.hPAHベクター調製物のDNA含有量を決定する。一実施形態において、投与量は、約1×1011ゲノムコピー(GC)/体重1kg~約1×1013GC/kg(両終点を含む)である。一実施形態において、投与量は5×1011GC/kgである。別の実施形態では、投与量は5×1012GC/kgである。特定の実施形態では、患者に投与されるrAAV.hPAHの用量は、少なくとも5×1011GC/kg、1×1012GC/kg、1.5×1012GC/kg、2.0×1012GC/kg、2.5×1012GC/kg、3.0×1012GC/kg、3.5×1012GC/kg、4.0×1012GC/kg、4.5×1012GC/kg、5.0×1012GC/kg、5.5×1012G
C/kg、6.0×1012GC/kg、6.5×1012GC/kg、7.0×1012GC/kg、または7.5×1012GC/kgである。また、複製欠損ウイルス組成物は、約1.0×109GC~約1.0×1015GCの範囲内の量の複製欠損ウイルスを含有するような投与量単位で製剤化され得る。本明細書において使用される場合、「投与量」という用語は、処置の過程において対象に送達される総投与量、または(複数のうちの)単一の投与において送達される量を指す場合がある。
【0057】
一実施形態では、この投与量は、患者の血漿Pheレベルを25%以上低下させるのに十分である。
【0058】
一部の実施形態では、rAAV.hPAHは、低Phe食またはサプロプテリン二塩酸塩の投与といった、PKUを処置するための1つ以上の療法と組み合わせて投与される。
【0059】
5.4.臨床的目標の測定
処置の効力の測定値は、血漿Pheレベル及び/またはPAH活性によって決定される導入遺伝子の発現及び活性によって測定することができる。効力の更なる評価は、食事性のPheに対する耐性の臨床的評価によって決定することができる。
【0060】
本明細書において使用される場合、本明細書におけるrAAV.hPAHベクターは、120~360μmol/LのPheレベルをもたらすPAH活性を達成するのに十分なレベルのPAHを患者が発現する場合、患者の欠損したPAHを活性PAHで「機能的に置き換える」または「機能的に補う」。
【0061】
以下の実施例は単なる説明であり、本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0062】
以下の実施例は単なる説明であり、本発明を限定することを意図するものではない。
【0063】
実施例1:フェニルケトン尿症(PKU)のマウスモデル
Jackson Labsにて、PAH-/-マウスをCRISPR/Cas9技術によって生成した。野生型C57BL/6マウスのマウス接合体に、Cas9 mRNA及びPAH遺伝子の第2のコーディングエクソンを標的にする2つのガイドRNA(sgRNA)を直接注射した。これらの胚から発生したマウスをシーケンシングして突然変異(複数可)を特定し、次にC57BL/6Jマウスと交配させて対立遺伝子を伝達させ、生殖系列伝達を確認した。
【0064】
4つの異なる突然変異を生成し、これらのマウス系統をPAH_KO_A、PAH_KO_B、PAH_KO_C、及びPAH_KO_Dと名付けた。PAH_KO_Aマウスは、Mus musculus PAH遺伝子[NC_000076.6]の3bp置換に続いて6534ntから6600ntへの64bp欠失を示した。PAH_KO_B及びPAH_KO_Cマウスは、それぞれ6589nt及び6539ntの後の単一塩基対挿入を示した。PAH_KO_Dは、6535ntから6540ntへの6bp欠失を示した。
図9は、野生型、PAH_KO_A、PAH_KO_B、PAH_KO_C、PAH_KO_D、及びコンセンサスに対するPAH配列の一部分のアライメントを示す。これらのマウスの自然史研究を行った。後眼窩採血または顎下採血によって血液試料を収集した。血漿フェニルアラニン(Phe)レベルをLC/MS/MSによって検出し、PAH_KO_A、PAH_KO_B、及びPAH_KO_Cマウスからデータを取得し、それぞれ
図2A、3A、及び4Aに提示し、
図5Aに要約した。ヘテロ接合性同腹仔及び野生型同腹仔を陰性対照として用意した。対照と比較して、PAH_KO_A、PAH_KO_B、及びPAH_KO_Cマウスにおける血漿フェニルアラニンレベルは著しく高く
、これらのマウスにおけるPAHの機能欠損を示した。また、PAH_KO_A、PAH_KO_B、及びPAH_KO_Cマウスが、ヒトにおけるフェニルケトン尿症(PKU)のマウスモデルになり得ることも示唆された。
【0065】
しかしながら、第4のノックアウトマウスであるPAH_KO_Dは高い血漿フェニルアラニンレベルを呈さなかったため、更なる解析から除外した。
【0066】
実施例2:hPAHを含有するAAVベクター(AAV8.TBG.PI.hPAHco.WPRE.bGH)
ヒト甲状腺ホルモン結合グロビンプロモーター及びミクログロビン/ビクニンエンハンサーに基づくハイブリッドプロモーターであるTBG(
図1)の制御下にあるコドン最適化されたヒトPAH cDNAを有するAAV8ベクターにより、遺伝子療法ベクターAAV8.TBG.PI.hPAHco.WPRE.bGHを構築した。PAH発現カセットは、AAV2由来の逆位末端リピート(ITR)に挟まれ、その発現は、エンハンサーとしてのTBGエンハンサー/プロモーター及びウッドチャック肝炎ウイルス(WHP)転写後調節エレメント(WPRE)のハイブリッドによって駆動された。導入遺伝子は、Promega SV40 miscイントロン(PI)及びウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル(bGH)も含んだ。ベクターゲノム配列は、配列番号20に示されている。
【0067】
このベクターは、例えば、参照により本明細書に組み込まれている、Mizukami,Hiroaki,et al.A Protocol for AAV vector
production and purification.Diss.Di-vision of Genetic Therapeutics,Center for MolecularMedicine,1998に記述されている、293細胞における従来のトリプルトランスフェクション技術を使用して調製した。全てのベクターは、これまでに記述されているように[Lock,M.,et al,Hum Gene Ther,21:1259-1271(2010)]、University of PennsylvaniaにてVector Coreによって産生された。
【0068】
実施例3:PKUのモデルにおけるAAV8.hPAHベクター
動物手技は全て、University of PennsylvaniaのInstitutional Animal Care and Use Committee(IACUC)により認可されたプロトコールに従って行った。
【0069】
20匹のPAH_KO_Aマウスを生成した。7匹の雄及び3匹の雌を自然史研究において評価した。自然史研究の56日目に、識別番号1531、1532、及び1533の3匹の雄マウスには、尾静脈を介し、1×10
13GC/kgのAAV8.TBG.PI.hPAHco.WPRE.bGHベクターを静脈内注射した。識別番号1538、1539、1554、及び1564の4匹の雄マウスには、1×10
12GC/kgのベクターを注射した。識別番号1507、1536、及び1537の3匹の雌マウスには、1×10
12GC/kgのベクターを注射した。血液試料を毎週収集して、血漿フェニルアラニン濃度を評価した(
図2B)。PAH_KO_AマウスにおけるPAHの欠損を示す、同腹仔対照と比較して高いレベルのフェニルアラニンが、注射前のPAH_KO_Aマウスにおいて検出された。ベクター注射の7日後、PAH_KO_Aマウスの血漿フェニルアラニンレベルは低下したが、対照は安定した状態を保った。この結果は、PAH_KO_AマウスへのAAV8.TBG.PI.hPAHco.WPRE.bGHの単回注射が、欠損したPAHをレスキューし、血液中のフェニルアラニンの病理学的蓄積を低減させ得ることを示した。
【0070】
性差及びAAV8.TBG.PI.hPAHco.WPRE.bGHベクターの2回の投薬の効果をPAH_KO_Aマウスにおいて更に評価した(
図2C)。血漿フェニルアラニンレベルは、例えば、参照により本明細書に組み込まれている、Gregory et al,Blood phenylalanine monitoring for dietary compliance among patients with phenylketonuria:comparison of methods,Genetics in Medicine(November 2007)9,761-765に記述されているように、11週間にわたって毎週観察した。3匹中2匹の雌マウスには1×10
12GC/kgのベクターを与え、7匹の雄は全て、1×10
12GC/kg及び1×10
13GC/kgの両方の用量において血漿中のフェニルアラニン濃度の低下を示した。7匹の雄マウスのフェニルアラニンは11週間の観察期間にわたって比較的低いレベルを維持したが、3匹の雌は全て、血漿フェニルアラニンレベルの緩やかな上昇を示した。
【0071】
3匹の雌PAH_KO_Bマウスを生成し、自然史研究において検査した。フェニルアラニンレベルのために毎週採血を行い、その結果、健常な同腹仔対照と比較して血液中のフェニルアラニンの異常な蓄積が確認された。1×1012GC/kgのAAV8.TBG.PI.hPAHco.WPRE.bGHを静脈内注射したところ、3匹の雌全てにおいてフェニルアラニンレベルの低下が確認され、この低いレベルは、注射後8週間の観察期間を通して維持された。
【0072】
2匹の雄PAH_KO_Cマウスをこの研究のために生成し、自然史研究に利用した。血液試料の収集を毎週行い、フェニルアラニン濃度を評価した。9週間の観察中、PAH_KO_Cマウス及びヘテロ接合性/野生型同腹仔の両方が比較的安定な血漿フェニルアラニン濃度を維持した一方で、ノックアウトマウスは著しく高いレベルを示したことがデータにより示された。
【0073】
注射後のPAH-/-マウスにおけるPAHの発現及び酵素活性の更なる研究を行った。ベクターまたはPBSのみを注射したPAH_KO_A、PAH_KO_B、及びPAH_KO_Cマウス、ならびに健常な同腹仔対照から肝臓を収集した。肝臓からmRNAを抽出し、ヒトPAHの発現をRT-PCRによって評価した。PAHのタンパク質発現量を決定するため、ウェスタンブロットによる検出のために肝臓ライセートを調製し、免疫組織化学的検査のために肝臓切片を調製した。ベクターで処置したPAH-/-マウス及び対照のPAH酵素活性を評価するための実験も行った。
【0074】
3種全てのPAH-/-マウスにおける性差を詳しく評価するため、PAH_KO_A、PAH_KO_B、及びPAH_KO_Cマウスを飼育し、AAV8.TBG.PI.hPAHco.WPRE.bGHの注射前及び後の血漿フェニルアラニン濃度、mRNAレベルとタンパク質レベルとの両方におけるPAHの発現、及びPAHの酵素活性を評価した。
【0075】
AAV8.TBG.PI.hPAHco.WPRE.bGHの用量依存性発現、及び最も高い用量の潜在的毒性を決定するため、種々の用量のAAV8.TBG.PI.hPAHco.WPRE.bGHをPAH-/-マウスに注射し、フェニルアラニンの蓄積及びPAH発現/活性の更なる評価を行った。
【0076】
AAV8.TBG.hPAHco.bGHを用いて同様の実験を行った。処置前のフェニルアラニンレベルが確立された後、17~22週齢のPKU Bマウスに、10
12GC/kgのAAV8.TBG.hPAHco.bGHまたはAAV8.TBG.hPAHco.WPRE.bGHのいずれか(または対照にはPBS)を与えた。その後、マウス
を毎週採血し、血漿を単離し、フェニルアラニン濃度を決定した(
図6A)。研究終了時に肝臓を収集し、ゲノムコピー解析(
図6B)及び免疫組織化学的検査(
図6C)を行った。フェニルアラニンレベルは、AAV8.TBG.hPAHco.bGH処置マウス及びAAV8.TBG.hPAHco.WPRE.bGH処置マウスの両方において低下した。
【0077】
AAV8.TBG.hPAHco.bGHベクターを用いて更なる研究を行った。ベースラインのフェニルアラニンレベルが確立された後、野生型、ヘテロ接合性(円形)、及びPKU_KO_A(KO)マウスに、10
11GC/kgのAAV8.TBG.hPAHcoを静脈内注射した。その後、マウスを毎週採血し、血漿を単離し、Phe濃度について解析した。血漿中のPheレベルは、AAV8.TBG.hPAHcoの静脈内投与後に71%低下した。
図7。
【0078】
ベースラインのフェニルアラニンレベルが確立された後、PKU_KO_Bマウスに、1012GC/kg、3×1011GC/kg、または1011GC/kgのいずれかのAAV8.TBG.hPAHcoを与えた。その後、マウスを毎週採血し、血漿を単離し、Phe濃度について解析した。研究終了時に肝臓を収集し、ゲノムコピー解析及び免疫組織化学的検査を行った。タンパク質発現及びPheレベルの低下が1012GC/kgの用量において見られた。
【0079】
一方で、次のベクター、AAV8.TBG.PI.hPAHco.bGH、AAV8.LSP.IVS2.hPAHco.bGH、AAV8.A1AT.hPAHco.BGH、AAV8.TTR.hPAHco.BGH、AAV8.TBG.PI.hPAHnativesequence.bGH、AAV8.ABPS.TBG.hFIXintron.hPAHco.BGH、AAV8.ABPS.TBG-S1.hFIXintron.hPAHco.BGH、AAV8.ApoE.A1AT.hFIXintron.hPAHco.BGHの各々の1012GC/kgでの投与も行い、比較対象とした。
【0080】
まとめると、AAV8.TBG.PI.hPAHco.WPRE.bGHベクターの単回注射は、3匹のPAH欠損マウスに静脈内投与したとき、実質的な血漿フェニルアラニンの低減及び付随する機能の是正をもたらした。
【0081】
実施例4:フェニルケトン尿症のためのAAV遺伝子療法
フェニルケトン尿症(PKU)は、フェニルアラニン-4-ヒドロキシラーゼ(PAH)活性の減弱によって引き起こされ、組織及び血液中のフェニルアラニンの蓄積をもたらす常染色体劣性の遺伝性障害である。血流中の高レベルのフェニルアラニンは、血液脳関門を通る他の大きな中性アミノ酸の輸送を阻害し、脳の発達に影響を及ぼし、知的障害及び癲癇をもたらすと考えられている。PKUの処置は現在、厳しいフェニルアラニン制限食の維持、及び残留PAHを安定化させることを目的とする製品に限定されている。本明細書に記述した肝臓を標的とするAAV遺伝子療法アプローチは、現在の標準治療を改善するものである。
【0082】
PKUのための遺伝子療法の発展について調査するため、本明細書に記述したCRISPR/Cas9技術によってPAH遺伝子のエクソン1における異なる突然変異を誘導することにより、4種の独特のマウス系統を作出した。疾患の進行を決定し、ヒトPKU表現型を最も良好に再現した系統を特定するため、これらの系統の各々に対して自然史研究を行った。B及びCと名付けたPKUコロニーは、いずれもエクソン1内の異なる位置に単一塩基対(bp)欠失を含有し、70μMの正常レベルと比較して、それぞれ2049μM及び1705μMの平均フェニルアラニンレベルを維持した。PKUコロニーAは、PAH遺伝子のエクソン1に64bp欠失及び3bp挿入を有するにもかかわらず、中程
度に高い477μMの平均フェニルアラニンレベルを有した。6bp欠失を有したPKUコロニーDは、野生型同腹仔と同等のフェニルアラニンレベルを有した。ヒトのコドン最適化バージョンのPAHの発現のための1×1012GC/kgの用量におけるAAV8ベクターをPKU Bマウスコロニーに投与した後、血漿フェニルアラニンレベルは、222μMまで87%低下した。この血漿フェニルアラニンレベルの低下は、子孫を作る雄の能力を回復させた。これらの結果は、PKUのためのAAVに基づく治療薬の開発を表す。
【0083】
本明細書に引用される全ての公開文献、ならびに米国仮特許出願第62/440,651号、同第62/469,898号、及び同第62/505,373号は、参照により本明細書に組み込まれている。同様に、本明細書において参照され、添付の配列表に記載される配列番号は、参照により組み込まれている。特定の実施形態を参照しながら本発明について記述したが、本発明の趣旨から逸脱することなく改変を行ってよいことは理解されよう。このような改変は、添付の特許請求の範囲に含まれるよう意図される。
【0084】
【配列表】