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特許7229221複数の液体クロマトグラフィ流を含む分析装置を監視する技術
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】複数の液体クロマトグラフィ流を含む分析装置を監視する技術
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/86 20060101AFI20230217BHJP
   G01N 30/72 20060101ALI20230217BHJP
   G01N 30/46 20060101ALI20230217BHJP
【FI】
G01N30/86 T
G01N30/72 C
G01N30/46 E
G01N30/86 F
G01N30/86 B
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020210437
(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公開番号】P2021099337
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2020-12-18
(31)【優先権主張番号】19218013.1
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン-ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト ガイガー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル インテルマン
(72)【発明者】
【氏名】ルーディガー ラウベンダー
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン ミシェリー
(72)【発明者】
【氏名】キリル タラソフ
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0020263(US,A1)
【文献】特表2002-530674(JP,A)
【文献】特開平06-018504(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03425369(EP,A1)
【文献】特表2013-525749(JP,A)
【文献】特開昭62-121359(JP,A)
【文献】特開2015-052533(JP,A)
【文献】特表2013-524212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 -30/96
B01J 20/281-20/292
G01N 35/00 -37/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの液体クロマトグラフィ(LC)流を有する液体クロマトグラフィ装置(LC)と、サンプルの分析物濃度を測定するための質量分析計(MS)とを含む分析装置を監視する方法であって、前記方法が、
前記少なくとも2つのLC流のそれぞれにおいて、前記質量分析計により測定されたそれぞれのサンプルの測定データの1つまたは複数のパラメータを連続して監視することであって、
前記1つまたは複数のパラメータが前記それぞれのサンプルの分析物濃度に依存しない、監視することと、
前記1つまたは複数の監視されるパラメータが期待される挙動を示すかどうかを判定することと、
前記1つまたは複数の監視されるパラメータが前記期待される挙動から逸脱していることが検出されると、応答をトリガすることと
を含み、
前記少なくとも2つのLC流の第2のLC流の前記期待される挙動が、前記少なくとも2つのLC流の第1のLC流における監視される1つまたは複数のパラメータに基づいて判定される、方法。
【請求項2】
前記1つまたは複数の監視されるパラメータが期待される挙動を示すかどうかを判定することが、前記1つまたは複数のパラメータがそれぞれの監視される1つまたは複数のパラメータに対する1つの目標範囲または複数の目標範囲、または、2つ以上の監視されるパラメータから計算された複合値に対する目標範囲内にあることを判定することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記1つの目標範囲または複数の目標範囲が、その監視された1つまたは複数のパラメータが前記判定するステップで使用される第2のLC流とは異なる第1のLC流における1つまたは複数の測定に基づいて決定される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のLC流が、前記第2のLC流よりも最近に品質管理実行を受けたLC流である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のLC流が、1つまたは複数の構成要素が、前記第2のLC流のそれぞれの1つまたは複数の構成要素よりも最近に交換されたか、または保守動作を受けたLC流である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記1つまたは複数の構成要素が、LCカラムを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記監視される1つまたは複数のパラメータが前記1つの目標範囲または複数の目標範囲から逸脱していない場合に、前記第2のLC流が適切に動作していると想定すること
をさらに含む、請求項2または3に記載の方法。
【請求項8】
前記1つまたは複数の監視されるパラメータが前記期待される挙動を示していることが前記判定するステップで得られた場合、特定のLC流において2つの連続した品質管理実行間の期間を延長すること
をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記応答が、その1つまたは複数の監視されるパラメータが前記期待される挙動から逸脱しているそれぞれのLC流上で、品質管理実行をスケジュールまたはトリガすることを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記応答が、前記それぞれのLC流上で保守動作をスケジュールまたはトリガすることを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記連続して監視することが未知の組成を有するサンプルに対して行われる、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記未知の組成を有するサンプルが、前記分析装置によって分析された患者サンプルを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記期待される挙動が、前記判定するステップで使用されるそれぞれの監視される1つまたは複数のパラメータと同じLC流における1つまたは複数の以前の測定に基づいて判定される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記1つまたは複数の監視されるパラメータが、ピーク幅パラメータ、ピーク形状パラメータまたは保持時間のうちの1つまたは複数に基づいて判定される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ピーク形状パラメータが、MSピークの非対称性もしくはテーリングを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
液体クロマトグラフィ装置(LC)と質量分析計(MS)を組み合わせた分析装置であって、前記分析装置が、単一の質量分析計(MS)に接続された少なくとも2つの液体クロマトグラフィ(LC)流を含み、前記分析装置が、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法の前記ステップを実行するように構成されている、分析装置。
【請求項17】
内部に記憶された命令を含むコンピュータ可読媒体であって、前記命令が、分析装置のプロセッサによって実行されると、前記分析装置に、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法の前記ステップを実行するように促す、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体クロマトグラフィの方法および装置に関する。特に、本開示は、複数のLC流を含む液体クロマトグラフィ装置を備えた分析装置を監視する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
臨床検査室や他の検査室の設定で質量分析計(MS)に結合されることが多い、LC装置の実装に対する関心が高まっている。特に治療薬監視または乱用薬物試験における小分子について、公開されている方法の数が増加している。
【0003】
特に、分析装置をランダムアクセスモードで操作すること、すなわち、複数の(潜在的には比較的多数の)異なるアッセイを任意の所与の測定期間(例えば、1(作業)日または1日の一部の間)で処理できる分析装置に関心が高まっている。これにより、例えば、複数の濃度レベル(例えば、2つまたは3つの濃度レベル)での品質管理実行は、各アッセイに対して定期的に実行する必要があるため、実行する必要のある品質管理実行の数を劇的に増やすことができる。例えば、一般的な規制基準では、1日に1回以上の品質管理実行が必要であり得る。多数の必要な品質管理実行のこの問題は、例えば単一のMSに接続するために多重化できる複数のLC流を含むシステムでさらに大きくなる。これらのシステムの場合、各LC流は、品質管理の対象となる個別の機器と見なされる場合がある。したがって、3つ以上のLC流がMSに接続されているシステムでは、各アッセイに必要なまたは所望の各濃度レベルでの品質管理測定は、品質管理期間ごとにそれぞれ3回以上実行されなければならない。
【0004】
その結果、品質管理実行にこれまで以上に長い分析装置時間を割り当てる必要がある場合がある。したがって、特にランダムアクセスモードで動作し、複数のLC流を有する分析装置の場合、機器を適切に監視しながら品質管理の労力を削減する手法が望まれる。
【発明の概要】
【0005】
1つの一般的な態様では、本発明は、少なくとも2つのLC流を有する液体クロマトグラフィ(LC)装置を含む分析装置を監視する方法に関し、この方法は、少なくとも2つのLC流の各々のサンプルの測定データにおける1つまたは複数のパラメータを連続的に監視することを含む。1つまたは複数のパラメータは、それぞれのサンプルの対象分析物の分析物濃度から独立している。この方法はさらに、1つまたは複数の監視されるパラメータが期待される挙動を示すかどうかを判定することと、1つまたは複数の監視されるパラメータが期待される挙動から逸脱していることが検出されると、応答をトリガすることとを含む。
【0006】
第2の一般的な態様では、本発明は、液体クロマトグラフィ装置(LC)と質量分析計(MS)とを組み合わせた分析装置であって、分析装置が、単一の質量分析計(MS)に接続された少なくとも2つの液体クロマトグラフィ(LC)流を含み、分析装置が、第1の一般的な態様の方法のステップを実行するように構成されている、分析装置に関する。
【0007】
第3の一般的な態様では、本発明は、内部に記憶された命令を含むコンピュータ可読媒体であって、命令が、分析装置のプロセッサによって実行されると、分析装置に、第1の一般的な態様の方法のステップを実行するように促す、コンピュータ可読媒体に関する。
【0008】
第1から第3の一般的な態様の技術は、有利な技術的効果を有することができる。
【0009】
第一に、第1から第3の一般的態様の技術は、少なくとも2つの液体クロマトグラフィ(LC)流を有する分析装置を制御するために必要とされる品質管理の労力を減らすことができる。本発明によると、それぞれのサンプルの対象分析物の分析物濃度から独立している1つまたは複数のパラメータは、各LC流に対して連続して監視される。次に、1つまたは複数の監視されるパラメータが期待される挙動を示すか、または期待される動作から逸脱しているかどうかが(これも連続して)判定される。いくつかの例では、監視されるパラメータを使用して、2つの異なるLC流のパラメータの展開を比較できる。他の例では、監視されるパラメータは、縦断的に単一流の監視結果と比較される(例えば、品質管理実行直後の監視結果との比較)。特定のケースに関係なく、比較結果は、品質管理実行を実行するための分析装置または異なる対策の必要性を示している可能性がある。一方、LC流の監視されるパラメータが期待どおりに挙動する場合は、品質管理やその他の対策は必要ないことがある。このようにして、品質管理状態を連続して監視できるため、2つの後続の品質管理実行間の時間を延長できる。
【0010】
例えば、監視によって第2の流れを間接的に監視できるため、第2のLC流では実行せず、第1の日に第1のLC流で品質管理実行(または必要な品質管理実行のサブセット)を実行するだけで十分な場合がある。
【0011】
第二に、サンプル(患者サンプルなど)の対象分析物の通常は未知の分析物濃度に依存しないパラメータを、監視動作の基礎として使用できるため、監視は、分析装置の生成モード中に発生し得る。このようにして、品質管理動作のために予約する必要のある時間が少なくなるため、分析装置の生産性を高めることができる。
【0012】
第三に、本開示の技術は、予防手段として必要な品質管理動作を予測する(したがって、スケジュールする)ことを可能にすることができる。これにより、分析装置のオペレータに、それぞれの品質管理動作がタイムリーに実行されるように効率的に調整するのに十分な注意喚起時間を与えることができる。例えば、分析装置の作業負荷が低い時間帯に品質管理実行をスケジュールできる。
【0013】
本開示による「連続して」という用語は、断続的または非断続的であり得る進行中の動作を説明する。継続的な監視は、定期的な時間間隔で、または特定のトリガイベントの発生時にアクションを実行することを含む。
【0014】
本開示における「濃度」という表現は、物質または分析物の(実質的に)ゼロの濃度を含む。換言すれば、物質または分析物の濃度の検出は、物質または分析物の存在または不在の検出を含む。
【0015】
本開示による「分析装置」は、サンプル(例えば、in vitro診断用のサンプル)の分析専用の、通常は自動化された、実験装置である。例えば、分析装置は、in-vitro診断を行うための臨床診断システムであり得る。
【0016】
本開示の分析装置は、必要性および/または所望の検査室ワークフローに従って、異なる構成を有することができる。追加の構成は、複数の装置および/またはモジュールを一緒に結合することによって得られることがある。「モジュール」は作業セルであり、通常は専用の機能を有する分析装置全体よりもサイズが小さい。この機能は分析的であることもあるが、事前分析的または事後分析的であることもあれば、事前分析機能、分析機能または事後分析機能のうちのいずれかの補助機能であることもある。特に、モジュールは、例えば、1つまたは複数の事前分析および/または分析および/または事後分析のステップを実行することによって、サンプル処理ワークフローの専用タスクを実行するための1つまたは複数の他のモジュールと協働するように構成することができる。
【0017】
特に、分析装置は、特定のタイプの分析用に最適化されたそれぞれのワークフローを実行するように設計された1つまたは複数の分析装置を含み得る。
【0018】
本開示の分析装置は、少なくとも2つの液体クロマトグラフィ(LC)流を有する液体クロマトグラフィ装置(LC)を含む分析装置を含む。いくつかの例では、LC装置は質量分析計(MS)に結合されている。分析装置は、単一の質量分析計(MS)に接続された少なくとも2つの液体クロマトグラフィ(LC)流を含む。さらに、分析装置は、臨床化学、免疫化学、凝固作用、血液学などの1つまたは複数のための分析装置を含み得る。
【0019】
したがって、分析装置は、1つの分析装置、またはそのような分析装置のいずれかとそれぞれのワークフローとの組み合わせを含むことがあり、事前分析および/または事後分析モジュールは、個々の分析装置に結合され得るか、または複数の分析装置によって共有され得る。代替では、事前分析および/または事後分析の機能は、分析装置に統合されたユニットによって実行され得る。分析装置は、サンプルおよび/または試薬および/またはシステム流体のピペット操作および/またはポンピングおよび/または混合用の液体処理ユニットなどの機能ユニットと、分類、保管、移送、識別、分離、検出用の機能ユニットとを備えることができる。
【0020】
「サンプル」という用語は、1つまたは複数の目的の分析物を含むことが疑われ、定性的および/または定量的なその検出が特定の状態(例えば、臨床状態)に関連し得る生物学的材料を指す。
【0021】
サンプルは、血液、唾液、眼の水晶体液、脳脊髄液、汗、尿、乳、腹水、粘液、滑液、腹水、羊水、組織、細胞などを含む生理液などの生物学的供給源に由来する。サンプルは、血液からの血漿の調製、粘性流体の希釈、溶解など使用前に前処理されることができ、処理方法には、ろ過、遠心分離、蒸留、濃縮、妨害成分の不活性化、試薬の添加などが含まれることがある。サンプルは、場合によっては供給源から取得したまま直接使用されることも、例えば1つまたは複数のin vitro診断テストを実行できるようにするため、または目的の分析物を濃縮(抽出/分離/濃縮)するため、および/または目的の分析物の検出に干渉する可能性のある基質成分を除去するため、例えば、内部標準を追加した後、別の溶液で希釈した後、または試薬と混合した後、サンプルの特性を変更するために前処理やサンプル調製ワークフローの後に使用されることもある。
【0022】
「サンプル」という用語は、サンプル調製前のサンプルを示すために使用されることが多いが、「調製されたサンプル」という用語は、サンプル調製後のサンプルを指すために使用される。非限定的なケースでは、「サンプル」という用語は、サンプル調製前のサンプルまたはサンプル調製後のサンプルのいずれか、または両方を一般的に示すことがある。対象分析物の例は、ビタミンD、乱用薬物、治療薬、ホルモン、および一般的な代謝物である。ただし、リストは網羅的ではない。
【0023】
特に、分析装置は、サンプルの自動調製のためのサンプル調製ステーションを含み得る。「サンプル調製ステーション」は、サンプル中の干渉基質成分を除去または少なくとも低減する、あるいはサンプル中の目的の分析物を濃縮することを目的とした一連のサンプル処理ステップを実行するように設計された1つまたは複数の分析装置または分析装置のユニットに接続された分析前モジュールである。このような処理ステップには、サンプルまたは複数のサンプルに対して、順次、並行して、または交互に実行される以下の処理動作、液体のピペット操作(吸引および/または分配)、液体のポンピング、試薬との混合、特定の温度での培養、加熱または冷却、遠心分離、分離、フィルタにかける、ふるい分け、乾燥、洗浄、再懸濁、分取、移送、保管...の任意の1つまたは複数が含まれることがある。
【0024】
「試薬」は、例えば、分析用のサンプルを調製するため、反応を発生させるため、またはサンプルまたはサンプルに含まれる分析物の物理的パラメータの検出を可能にするため、サンプルの処理に使用される物質である。特に、試薬は、反応物であるか、または反応物を含む物質であり得、典型的には、サンプルまたはサンプルの不要な基質成分に存在する1つまたは複数の分析物に結合または化学的に変換できる、例えば、化合物または薬剤である。反応物の例は、酵素、酵素基質、共役色素、タンパク質結合分子、リガンド、核酸結合分子、抗体、キレート剤、促進物質、阻害剤、エピトープ、抗原などである。ただし、試薬という用語は、水もしくは他の溶媒もしくは緩衝液を含む希釈液を含むサンプルに添加できる任意の流体、またはタンパク質もしくは表面を結合する、分析物のタンパク質への特異的または非特異的結合の破壊に使用される物質を含むために使用される。
【0025】
サンプルは、例えば、一次管および二次管を含むサンプル管などのサンプル容器、またはマルチウェルプレート、または任意の他のサンプル運搬支持体中に提供され得る。試薬は、例えば、個々の試薬または試薬のグループを含む容器またはカセットの形態で配置されることがあり、また貯蔵区画またはコンベヤ内の適切な容器または位置に置かれることがある。他のタイプの試薬またはシステム流体は、バルク容器中に、またはライン供給を介して提供され得る。
【0026】
「LC流」は、サンプルおよび分析物のタイプに従って選択された固定相を含み、トラップおよび/またはトラップするために移動相がポンプで送られる、例えば、一般的に知られているように、極性またはlog P値、サイズ、または親和性に応じて、選択した条件下で対象分析物を分離および溶出および/または移動する、少なくとも1つの毛細管および/またはLCカラムを含む流体ラインである。少なくとも1つのLC流中の少なくとも1つのLCカラムは交換可能であり得る。特に、液体クロマトグラフィ装置は、LC流よりも多くのLCカラムを含み得て、複数のLCカラムは、同じLC流に交換可能に結合され得る。毛細管は、LCカラムをバイパスすることもあれば、デッドボリュームを調整して溶出時間ウィンドウを微調整することもある。
【0027】
それぞれの文脈において異なるように指定されていない限り、パラメータの値に関連付けられた「約」という用語は、本開示において、指定された値からの±10%の偏差を含むことを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本開示の監視技術を示すフロー図である。
図2】本開示による2つのLC流を含む例示的な監視技術を示すフロー図である。
図3】本開示による単一のLC流を含む例示的な監視技術を示す流れ図である。
図4】本開示による液体クロマトグラフィ(LC)装置および質量分析計(MS)を組み合わせた例示的な分析装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
まず、本開示の技術の概要を、図1に関連して与える。続いて、本開示の監視技術の特定の例は、図2および図3に関連して説明される。最後に、本開示の監視技術を実施することができる本開示の例示的な分析装置のセットアップが、図4に関連して説明される。
【0030】
図1に示すように、本開示の方法は、分析装置の任意選択でMS装置に接続される、少なくとも2つのLC流のそれぞれのサンプルの測定データの1つまたは複数のパラメータを連続して監視する101ことを含む。1つまたは複数のパラメータは、それぞれのサンプルの対象分析物の分析物濃度から独立している。
【0031】
分析物は、分析装置によって実行される特定のアッセイ(または複数のアッセイの複数の対象分析物)の対象分析物であり得る。例えば、対象分析物がテストステロンまたはビタミンDである場合、サンプルの多くの測定パラメータは、テストステロンまたはビタミンDの濃度(例えば、存在)に依存する。ただし、他の測定パラメータは、テストステロンまたはビタミンDの濃度(存在など)から独立している。本開示の技術を使用する場合、これらまたは他のパラメータのうちの1つまたは複数が監視される。どのパラメータがそれぞれのサンプルの対象分析物の分析物濃度に依存しないかに関するさらなる詳細は、以下に与えられる。
【0032】
いくつかの例では、継続的な監視は未知の組成のサンプルに対して行われる。言い換えれば、サンプルは、制御されたまたは既知の組成を有する品質管理サンプル(または制御されたもしくは既知の組成を有する別のサンプル)以外のものである。むしろ、サンプルの1つまたは複数の成分の濃度が不明であるか、またはサンプル内の少なくとも1つの物質の存在が未知である。
【0033】
例えば、組成が不明なサンプルは、分析装置によって分析される患者サンプルを含み得る。他の例では、未知の組成のサンプルは、分析装置によって分析される患者サンプル以外のサンプルを含むことができる(例えば、臨床またはポイントオブケア検査室設定以外の設定で分析されるサンプル)。当然、未知の組成のサンプルの組成に関しては、様々な「不確実性の程度」が存在する可能性がある。例えば、サンプルの複数の成分(異なるアッセイを使用することによって検出可能であることがある)のそれぞれの濃度は、未知であり得る。このような状況では、1つまたは複数のパラメータを未知の分析物濃度のそれぞれから独立し得る。
【0034】
いくつかの例では、連続する監視は、大部分のサンプル、任意選択で分析装置によって処理された各サンプル(例えば、分析装置によって分析されたサンプルの90%以上)に対して行われる。例えば、1つまたは複数のパラメータは、各患者サンプル、または臨床分析装置で分析された患者サンプルの大部分(例えば、分析装置によって分析された患者サンプルの90%以上)において監視することができる。
【0035】
本開示の技術は、未知のサンプル(例えば、異なる物質の濃度を含むサンプルの組成が未知である患者サンプル)を測定するときでさえ、組成の変化によって影響されない特定のパラメータがあるという洞察を利用することができる。これらのパラメータは、様々な未知のサンプルの監視結果を比較できるため、LC流のパフォーマンスを連続して監視するために使用できる。このようにして、分析される患者サンプルまたは他のサンプルを監視サンプルとして使用することができる。これにより、同時に監視動作を実行しながら、サンプルを処理して組成(例えば、対象分析物の濃度)を判定することができるため、分析装置の生産性に影響を与えることなく(またはほとんど影響を与えずに)LC流を監視できる。結果として、いくつかの例では、品質管理実行(または分析装置の生産性を損なう他の専用チェック)の数を減らすことができる。
【0036】
この方法はさらに、1つまたは複数の監視されるパラメータが期待される挙動を示すかどうかを判定する103ことを含む。パラメータが期待される挙動を示すかどうかを判定することは、本開示による異なる動作を含み得る。一般に、期待される挙動は、分析装置の同じLC流または異なるLC流での以前の監視結果または他の測定結果に関して定義され得る。さらに、監視されるパラメータが期待される挙動を示したときに、分析装置の通常の動作を想定できるように、期待される挙動を選択できる(静的挙動またはドリフトなどの特定の期待される動的挙動が含まれることがある)。言い換えると、期待される挙動からの逸脱は、特定のLC流が所定の仕様内で動作しなくなったこと、または予見可能な将来に所定の仕様内で動作しなくなったことを示している可能性がある。
【0037】
いくつかの例では、期待される挙動は、1つまたは複数のパラメータがそれぞれの監視される1つまたは複数のパラメータに対する目標範囲または複数の目標範囲、または2つ以上の監視されるパラメータから計算された複合値に対する目標範囲内にあることを含む。
【0038】
例えば、以前の監視結果または他の測定結果に基づいてパラメータの目標範囲を定義することができる(例えば、以前の監視結果または他の測定結果からの+/-10%または別の値の逸脱)。いくつかの例では、分析装置の動作中に目標範囲を調整することができる。他の例では、分析装置の動作中に目標範囲を動的に更新できる。加えて、またはその代わりに、期待される挙動から逸脱することは、1つまたは複数の監視されるパラメータの1つまたは複数の以前の値から閾値距離を超えて逸脱することを含み得る。
【0039】
さらに、または代わりに、分析装置で処理された以前のサンプルから取得された1つまたは複数の測定値に基づいて、期待される挙動を定義できる。この場合も、前述のように、分析装置で処理された以前のサンプルから取得された測定値に基づいて、目標範囲を定義できる。
【0040】
さらに他の例では、期待される挙動は、1つまたは複数の監視されるパラメータと分析装置の追加の監視されるパラメータとの間の特定の相関関係(すなわち、経時的な相関関係)である。例えば、様々なLC流の監視されるパラメータを相関させることができる。さらに他の例では、同じLC流のパラメータを相関させることができる。既知の相関手法を使用して、様々なパラメータを相関させることができる。
【0041】
さらに別の例では、期待される挙動は、1つまたは複数の監視されるパラメータの傾向または縦断的分析に基づいて判定される。
【0042】
例えば、線形または非線形回帰手法を使用して、監視されるパラメータの期待される挙動を判定できる(例えば、転がり直動または非線形回帰手法を使用して、監視されるパラメータの期待される挙動を判定できる)。他の例では、期待される挙動は、単一の監視されるパラメータ、または多数の監視されるパラメータを含むことができる他の縦断的プロファイリング技術に基づいて判定することができる(すなわち、複数の時点での複数のパラメータを考慮に入れる)。いくつかの例では、傾向または縦断的分析には、品質管理チャート、統計的プロセス制御技術、時系列分析技術(自己回帰積算移動平均[ARIMA]モデリングまたは他の時系列分析技術など)、縦断的分析のための混合効果モデル、深層学習手法およびニューラルネット、またはこれらの手法の2つ以上の組み合わせの使用が含まれる。
【0043】
図1に戻り、この方法は、1つまたは複数の監視されるパラメータが期待される挙動から逸脱していることを検出すると、応答をトリガすることを含む105。
【0044】
一般に、(トリガされた)応答は、監視プロセスから取得した情報を使用する任意の反応を含むことができる。
【0045】
応答は、1つまたは複数の監視されるパラメータが、期待される挙動から逸脱するそれぞれのLC流上で品質管理実行をスケジュールまたはトリガすることを含む。例えば、応答は、第2のLC流における1つまたは複数の監視されるパラメータが、第1のLC流における監視される1つまたは複数のパラメータに基づいて判定される期待される挙動から逸脱しているとの判定に基づいて、少なくとも2つのLC流の第2のLC流において品質管理実行をスケジュ-ルまたはトリガすることを含むことができる。
【0046】
いくつかの例では、本開示による監視プロセスは、品質管理実行を置き換えるか、または分析装置のLC流における品質管理実行の頻度を減らすことができる。一般に、品質管理実行を実行するときと同様のLC流の性能への洞察は、本開示による監視されるパラメータから収集することができる。
【0047】
したがって、応答には、それぞれのLC流での品質管理実行のスケジュールまたはトリガを含めることができる。
【0048】
加えて、または代わりに、応答は、それぞれのLC流での保守動作のスケジュールまたはトリガ(例えば、分析装置の特定の構成要素のチェックおよび/または修正)を含むことができる。例えば、応答は、第2のLC流における1つまたは複数の監視されるパラメータが、第1のLC流における監視される1つまたは複数のパラメータに基づいて判定される期待される挙動から逸脱しているとの判定に基づいて、少なくとも2つのLC流の第2のLC流において保守動作をスケジュ-ルまたはトリガすることを含むことができる。
【0049】
他の例では、応答は、警告またはエラーメッセージを提供することを含むことができる(例えば、分析装置のローカルまたはリモートオペレータへのグラフィカルユーザインタフェース上で)。さらに他の例では、応答は、それぞれのLC流または分析装置の動作を停止することを含み得る。いくつかの例では、上記で説明した操作の2つ以上を組み合わせてトリガできる。
【0050】
上記の応答は、一部の例では自動的にトリガされ得る(例えば、分析装置は特定のLC流で品質管理実行を自動的にスケジュールおよび/または実行できる)。他の例では、トリガされた応答は、自動的にトリガされ、その後、応答(例えば、保守動作)を完了するために、例えば、オペレータまたはサービス要員のその後の注意を必要とする第1のステップまたは第1の一連のステップ(例えば、警告またはエラーメッセージ)であり得る。
【0051】
前のセクションで本開示の技術のコア要素を議論した後、本開示の技術で使用することができる例示的な監視パラメータが、次に議論される。
【0052】
異なるLC流の比較を含む技術の例
本開示によれば、各流れで監視された1つまたは複数が期待される挙動を示すかどうかを判定するために、2つ以上のLC流の異なるLC流の1つまたは複数の監視されるパラメータを組み合わせて考慮することができる。
【0053】
少なくとも2つのLC流の第2のLC流の期待される挙動が、少なくとも2つのLC流の第1のLC流における監視される1つまたは複数のパラメータに基づいて判定される。
【0054】
加えて、または代わりに、少なくとも2つのLC流の第2のLC流における1つまたは複数の監視されるパラメータの逸脱が、少なくとも2つのLC流の少なくとも第2のLC流および第1のLC流において1つまたは複数の監視されるパラメータを評価することに基づいて判定される。
【0055】
いくつかの実施形態では、目標範囲または複数の目標範囲が、監視される1つまたは複数のパラメータが判定するステップで使用される第2のLC流とは異なる第1のLC流における1つまたは複数の測定に基づいて決定される。第1のLC流は、第2のLC流よりも最近に品質管理実行を受けたLC流である。第1のLC流が、1つまたは複数の構成要素(例えばLCカラム)が、第2のLC流のそれぞれの1つまたは複数の構成要素よりも最近に交換されたか、または保守動作を受けたLC流である。
【0056】
図2は、本開示による2つのLC流を含む例示的な監視技術を示すフロー図である。
【0057】
この方法は、第1のLC流203および第2のLC流213における1つまたは複数のパラメータを連続して監視することを含む。
【0058】
さらなるステップでは、第2のLC流とは異なる第1のLC流における1つまたは複数の測定に基づいて、1つまたは複数のパラメータについて目標範囲(または複数の目標範囲)が判定される205。
【0059】
いくつかの例では、第1のLC流は、第2のLC流よりも最近品質管理実行を受けたLC流である。例えば、図2では、第1のLC流201での品質管理実行は、第2のLC流211での品質管理実行よりも最近行われた。他の例では、第1のLC流201での保守または交換動作は、第2のLC流211での品質管理実行よりも最近に行われた。例えば、第1のLC流の第1のLCカラムは、第2のLC流の第2のLCカラムよりも最近交換または保守動作を受けた可能性がある(第1のLCカラムは第2のLCカラムよりも「若い」)。他の例では、第1のLC流の他の構成要素は、第2のLC流のそれぞれの構成要素(例えば、ポンプ、バルブ、または毛細管のうちの1つまたは複数)よりも最近交換または保守動作を受けることができる。
【0060】
分析装置は、パラメータが第1のLC流207と第2のLC流215の目標範囲を満たしているかどうかを確認する。特に、図2に示されるように、第2のLC流のチェックは、第1のLC流の監視されるパラメータに基づいて判定された目標範囲を使用して行うことができる。この動作の理論的根拠は、第1のLC流が第2のLC流よりも最近に品質管理実行(または保守または交換動作)を受けたことであり得る、つまり、第1のLC流に対して判定されたパラメータは、適切に動作しているシステムを示している可能性がある。したがって、この方法は、監視される1つまたは複数のパラメータが目標範囲から逸脱していないときに、第2のLC流が適切に動作していると想定することを含むことができる。
【0061】
いくつかの例では、目標範囲は両方のLC流で直接使用できる。ただし、他の例では、目標範囲を第2の流れに使用する前に変更できる。例えば、第2のLC流の構成が異なる場合(例えば、使用するLCカラムが異なる場合やその他の構造上の違いがある場合)、両方のLC流に同じ目標範囲を使用できるとは期待できない。この違いは、監視されるパラメータの値を適切に変更して違いを考慮に入れることで考慮できる。例えば、目標が第2のLC流で使用される前に、スケーリング係数または別の変更係数を使用できる。他の例では、正規化または相対的な目標値を使用して、目標をLC流から(少なくとも部分的に)独立させることができる。
【0062】
図2の例では、目標は1つのLC流で判定され、監視目的で別のLC流で使用される。しかしながら、本開示の技術はまた、異なる方法で、別のLC流の監視されるパラメータに基づいて1つのLC流を監視することを可能にすることができる。
【0063】
例えば、1つまたは複数の監視されるパラメータが期待される挙動を示すかどうかを判定することは、2つ以上のLC流(例えば、図2の第1および第2のLC流)のうちの異なるものにおいて監視される1つまたは複数のパラメータを比較することを含むことができる。この状況でも、一方のLC流がもう一方のLC流の目標範囲を設定していると考えることができる。例えば、一方のLC流のパラメータが、他方の流れのそれぞれのパラメータから(例えば、閾値を超えて)逸脱しているかどうかを判定することができる。比較ステップは、他の方法でも実行でき、例えば、特定の比較メトリックを評価することによって実行できる。さらに、複数のパラメータを個別に、または組み合わせて比較できる。
【0064】
さらに他の例では、この方法は、2つ以上のLC流のうちの異なるもの(例えば、図2の第1および第2のLC流)において、監視される1つまたは複数のパラメータを相関させることを含むことができる。この場合、相関が特定の閾値を下回っている場合は、いずれかの流れに問題があることを示している可能性がある。相関ステップには、複数のパラメータの相関を含めることもできる。
【0065】
別のLC流よりも最近に品質管理が実行されたLC流が、目標を判定するために使用されることは前述のとおりである(したがって、一種の参照として)。しかしながら、他の例では、2つのLC流は、LC流の1つを好ましい方法で処理することなく、他の任意の形態で組み合わせて比較、相関、または監視することができる。これらの例では、監視手法により、両方のLC流がもはや同期して動作しなくなったという結果が得られる(これは、いずれかのLC流に問題があることを示している可能性がある)。例えば、上記の比較および相関技術は、2つのLC流がもはや期待通りに、すなわち同じように振る舞わないという結果をもたらす可能性がある。これは、LC流の一方または両方に問題があることを意味している可能性がある。したがって、いくつかの例では、LC流のいずれかまたは両方の応答をトリガできる。例えば、分析装置は、両方のLC流の品質管理実行をトリガしたり、さらにチェックして、どちらのLC流に問題があるかを判定したりできる。
【0066】
いくつかの例では、本開示の技術を使用して、品質管理濃度レベルに基づいて(例えば、対象分析物もしくはアッセイごとに、2つの濃度レベルもしくは3つの濃度レベルについて、または3つを超える濃度レベルについて)2つ以上のLC流を監視することができる。この状況では、第1のLC流は、(例えば、特定の対象分析物またはアッセイについて)特定の濃度レベルに対してより最近に品質管理が実行されたLC流であり得る。他の例では、第1の流れは、異なる方法で選択することができる(例えば、より最近に保守または交換動作を受けた流れ)。本開示による1つまたは複数のパラメータは、第1のLC流および第2のLC流において監視することができる。第2の流れの1つまたは複数のパラメータが、第1のLC流の監視される1つまたは複数のパラメータに基づいて判定された期待される挙動から逸脱するかどうかを監視することができる(例えば、第2の流れの監視パラメータを第1の流れの対応する監視パラメータと比較することによって)。さらなる品質管理濃度レベルについても同じ手順を実行できる。いくつかの例では、2つ以上のLC流の異なるLC流を使用して、異なる品質管理濃度レベルに対する2つ以上の流れのさらなるLC流の逸脱を判定することができる。
【0067】
例えば、第1の品質管理濃度レベルの場合、第1のLC流の1つまたは複数の監視パラメータを使用して、第2のLC流の対応する1つまたは複数の監視されるパラメータが、本開示で論じられるような期待される挙動を示すかどうかを判定することができる。さらに、第2の品質管理濃度レベルの場合、第3のLC流の1つまたは複数の監視されるパラメータを使用して、第2のLC流の対応する1つまたは複数の監視パラメータが、本開示で論じられるような期待される挙動を示すかどうかを判定することができる。この手順は、追加の品質管理レベルに拡張され得る。
【0068】
加えて、または代替的に、本開示の技術は、アッセイごとまたは対象分析物ごとに(例えば、特定の分析装置の対象の複数または全てのアッセイまたは分析物について)実行されることができる。
【0069】
この状況では、第1のLC流は、特定の対象分析物またはアッセイに対してより最近に品質管理が実行されたLC流である可能性がある。他の例では、第1の流れは、異なる方法で選択されることができる(例えば、より最近に保守動作を受けた流れ)。本開示による1つまたは複数のパラメータは、第1のLC流および第2のLC流において監視することができる。第2の流れの1つまたは複数のパラメータが、第1のLC流の監視される1つまたは複数のパラメータに基づいて判定された期待される挙動から逸脱するかどうかを監視することができる(例えば、第2の流れの監視パラメータを第1の流れの対応する監視パラメータと比較することによって)。同じ手順を、さらなるアッセイまたは対象分析物に対して実行することができる。いくつかの例では、2つ以上のLC流の異なるLC流を使用して、異なるアッセイまたは対象分析物について、2つ以上の流れのさらなるLC流の逸脱を判定することができる。
【0070】
例えば、第1のアッセイまたは対象分析物の場合、第1のLC流の1つまたは複数の監視パラメータを使用して、第2のLC流の対応する1つまたは複数の監視されるパラメータが、本開示で論じられるような期待される挙動を示すかどうかを判定することができる。さらに、第2のアッセイまたは対象分析物の場合、第3のLC流の1つまたは複数の監視されるパラメータを使用して、第2のLC流の対応する1つまたは複数の監視パラメータが、本開示で論じられるような期待される挙動を示すかどうかを判定することができる。この手順は、追加のアッセイまたは対象分析物に拡張され得る。
【0071】
前のセクションでは、2つのLC流で監視されるパラメータを使用するための技術について(主に)説明した。これらの技術は、3つ以上のLC流に拡張され得る。例えば、第1のLC流の監視されるパラメータに基づいて設定された目標範囲を使用して、第2および第3のLC流の監視パラメータを確認できる。別の例では、3つ以上のLC流の監視されるパラメータを比較または相関させることができる。例えば、LCカラムの異なるペアのペアワイズ相関は、判定するステップの一部として計算され得る。
【0072】
図2に戻り、チェックステップの結果に応じて、上記のように、応答は、第1および/または第2のLC流に対してトリガされ得る。
【0073】
2つのLC流で監視されるパラメータを使用する特定の手法に関係なく、本明細書で説明する手法を使用することにより、複数のLC流を有する分析装置の品質管理実行の数を減らすことができる。
【0074】
監視パラメータの例
本開示によれば、それぞれのサンプルの対象分析物の分析物濃度とは独立し得る複数のパラメータが存在する。本開示の技術で使用することができるいくつかの例示的なパラメータについては、後で説明する。
【0075】
一般に、1つまたは複数の監視されるパラメータは、ピーク幅パラメータ、ピーク形状パラメータ(例えば、MSピークの非対称性もしくはテーリング)または保持時間のうちの1つまたは複数に基づいて判定される。
【0076】
追加または代替として、1つまたは複数の監視されるパラメータは、測定ピークのピーク高さパラメータまたはピーク面積パラメータのうちの1つまたは複数に基づいて判定される。
【0077】
さらに他の例では、1つまたは複数の監視されるパラメータは、ピーク開始時間パラメータまたはピーク終了時間パラメータのうちの少なくとも1つに基づいて判定される。
【0078】
例えば、高さパラメータは、ピークのピーク高さ、またはピークでの信号強度にすることができる。
【0079】
例えば、ピーク幅パラメータは、ピーク高さの所定の割合でのピークのピーク幅であり得る(例えば、3%~7%のピーク高さ、例えば5%のピーク高さ、または8%~12%のピーク高さ、例えば10%のピーク高さ、または45%~55%のピーク高さ、例えば50%のピーク高さ、または70%~80%のピーク高さ、例えば75%のピーク高さ)。
【0080】
他の例では、ピーク形状パラメータは、ピークの非対称性またはテーリングを示すパラメータ、例えば、ピークのスキューまたは過剰パラメータであり得る。
【0081】
いくつかの例では、ピーク開始パラメータは、ピークの立ち上がりエッジでの特定の特徴の保持時間であり得る。例えば、ピーク開始パラメータは、ピークの立ち上がりエッジでのピーク高さの0%から10%(例えば、5%)の間の信号レベルでの保持時間であり得る。
【0082】
いくつかの例では、ピーク終了パラメータは、ピークの立ち下がりエッジでの特定の特徴の保持時間であり得る。例えば、ピーク終了パラメータは、ピークの立ち下がりエッジでのピーク高さの0%から10%(例えば、5%)の間の信号レベルでの保持時間であり得る。
【0083】
保持時間パラメータは、所定の精度(例えば、小数点以下2桁または3桁まで)で(例えば、測定データ内の特定の特徴の)保持時間を判定することに基づいて判定されることができる。
【0084】
さらに他の例では、1つまたは複数の監視されるパラメータは、1つまたは複数の測定バックグラウンドパラメータおよび測定ノイズパラメータに基づいて判定される。例えば、パラメータは、総ノイズパラメータ、信号対ノイズパラメータ、バックグラウンド振幅パラメータ、またはバックグラウンド変動パラメータのような信号であり得る。さらに他の例では、パラメータは、分析装置のイオン化源のスプレーノイズを示すことができる。
【0085】
さらに他の例では、1つまたは複数の監視されるパラメータは、ベースラインパラメータに基づいて判定される。例えば、ベースラインパラメータは、ベースラインの傾きにすることも、ベースラインより下または上の測定値に基づいて判定することもできる。
【0086】
さらに他の例では、1つまたは複数の監視されるパラメータは、ピークのピーク積分プロセスの残差を含むことができる。
【0087】
さらに他の例では、1つまたは複数の監視されるパラメータは、時間分解された測定信号(例えば、時系列の測定点)を含むことができる。
【0088】
上記の2つ以上のパラメータを個別に処理して、監視されるパラメータが期待される挙動を示すかどうかを判定できる(例えば、ピーク幅パラメータと保持時間パラメータを個別に処理できる)。
【0089】
前のセクションでは、本開示による監視パラメータとして使用することができるそれぞれのサンプルの分析物濃度から独立し得る異なるパラメータについて論じてきた。これらのパラメータは、本開示の技法で直接使用することができる。他の例では、いくつかの例では、上記のパラメータの2つ以上を組み合わせて、組み合わせパラメータ(またはメタパラメータ)にすることができる。
【0090】
そのような組み合わせパラメータまたはメタパラメータは、次に、本開示に記載されるように処理されることができる。
【0091】
例えば、パラメータは、様々なピーク高さでのピークのピーク幅の比率に基づいて判定され得る。他の例では、1つまたは複数の監視されるパラメータは、MS測定ピークのピーク幅およびピーク高さの比に基づいて判定されることができる。さらに他の例では、1つまたは複数の監視されるパラメータは、異なる保持時間の比率に基づいて判定されることができる。さらに他の例では、1つまたは複数の監視されるパラメータは、異なるピーク幅、ピーク面積、またはピーク高さパラメータの比率に基づいて判定されることができる。
【0092】
いくつかの例では、比率以外の(例えば、より複雑な)組み合わせパラメータも使用できる。
【0093】
上記のパラメータは、分析装置によって実行される様々な測定から導き出され得る。
【0094】
いくつかの例では、組み合わせパラメータは、それぞれのサンプルの分析物濃度から独立し得るが、組み合わせパラメータを計算するために使用される1つまたは複数のパラメータは、それぞれのサンプルの分析物濃度から独立していない。例えば、一部の例では、分析物の濃度が変化すると、2つのパラメータが同様に変化する。次に、適切に組み合わされたメタパラメータは、それぞれのサンプルの分析物濃度(例えば、2つのパラメータの比率または差)から独立し得る。
【0095】
一般に、上記の各パラメータは、対象分析物または内部標準に対して判定され得る。
【0096】
例えば、監視されるパラメータは、内部標準のピーク幅もしくは高さパラメータ、または内部標準の測定時のバックグラウンド高さであり得る。内部標準(または既知の量でサンプルに存在する別の物質)の監視パラメータは、測定されたパラメータがそれぞれのサンプル中の対象分析物の分析物濃度から独立していることを保証できる。一般に、この特性を示すために内部標準が選択される。
【0097】
ただし、各測定について上記の各パラメータが、それぞれのサンプルの対象分析物の分析物濃度に依存しないとは限らないことに留意する必要がある。例えば、分析物のMSピークのピーク高さには、この特性がない場合がある。他の例では、ユビキタスピークの高さに関連している場合、この特性を有する可能性がある。「ユビキタスピーク」という用語は、LC-MSシステムで発生する(一般的な)バックグラウンド汚染イオンを指す。例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、フタル酸エステル、有機溶媒クラスタ、溶媒修飾剤、脂肪酸、金属イオン、トリトン、トゥイーン、シロキサンなどの洗浄剤があるが、これらに限定されない。特に金属イオンは、様々な数の基質と付加物を形成して、特徴的なESI+/-イオンを生成する。
【0098】
加えて、または代わりに、上記のパラメータのそれぞれは、それぞれのMS測定で使用されるクオンティファイアおよびクオリファイアについて判定されることができる。例えば、監視されるパラメータは、クオンティファイアのピーク幅または高さパラメータ、またはクオリファイアの測定時のバックグラウンド高さであり得る。これらのパラメータは、対象分析物または内部標準のクオリファイア、ならびに対象分析物および内部標準のクオンティファイアに再び使用され得る。
【0099】
上で論じたように、いくつかの例では、複数のパラメータを組み合わせてさらに処理することができる。ただし、他の例では(または組み合わせパラメータと組み合わせて)、さらに処理を行い、特に1つまたは複数の監視されるパラメータが期待される挙動を示すかどうかを判定するステップには、上記のパラメータの複数を並行して処理することが含まれる(例えば、統計を使用して傾向または長期的な展開を分析する、または異なるLC流のパラメータを比較する)。これらの例では、監視されるパラメータの1つ、2つ、または3つ以上が期待される挙動を示さない場合に、応答をトリガできる。
【0100】
いくつかの例では、監視されるパラメータが期待される挙動を示すかどうかを判定するために、様々な数値または機械学習技術を使用して監視されるパラメータを処理できる。例えば、分析装置は、モデルベースまたはモデルフリーのアプローチを使用して、監視されるパラメータが期待される挙動を示しているかどうかを判定できる。
【0101】
いくつかの例では、異なるパラメータを使用して、LC流の異なる成分を監視できる。例えば、ピーク幅パラメータ、ピーク形状パラメータ(例えば、MSピークの非対称性もしくはテーリング)または保持時間を使用して、LC流のLCカラムの動作を監視できる。
【0102】
単一のLC流の比較を含む技術の例
前のセクションでは、(少なくとも)2つの異なるLC流を比較して、1つまたは複数の監視されるパラメータが期待される挙動を示すかどうかを判定する手法について説明した。他の例では、1つまたは複数の監視されるパラメータが期待される挙動を示すかどうかを判定することは、判定するステップで使用されるそれぞれの監視される1つまたは複数のパラメータと同じLC流における1つまたは複数の以前の測定値を使用することを含む。
【0103】
図3は、本開示による単一のLC流を含む例示的な監視技術を示す流れ図である。
【0104】
この方法は、特定のLC流(「LC流N」)に対して品質管理実行301を実行することを含む。
【0105】
次に、パラメータの目標が、それぞれのLC流での品質管理実行中またはその直後、任意選択でそれぞれの品質管理実行後1時間未満で、同じLC流における1つまたは複数の測定に基づいて判定され得る(例えば、それぞれのLC流での品質管理実行後15分未満)。
【0106】
方法は、それぞれのサンプルの対象分析物の分析物濃度から独立している1つまたは複数のパラメータを連続して監視する303ことに続く。
【0107】
上記のように、監視される1つまたは複数のパラメータが期待される挙動を示すかどうか(例えば、前に定義された目標から逸脱していないか)を判定することができる305。
【0108】
判定するステップの結果に応じて、応答をトリガすることができる307、309。
【0109】
図3の例では、応答は、1つまたは複数の監視されるパラメータが期待される挙動を示している(例えば、目標から逸脱していない)ことが判定するステップで得られた場合、特定のLC流において2つの連続した品質管理実行間の期間を延長する309ことに含まれる。例えば、品質管理実行は、品質管理手順で使用されるアッセイおよび濃度レベルごとに、各流れに対して毎日よりも少ない頻度で実行され得る。
【0110】
さらに、応答は、1つまたは複数の監視されるパラメータが期待される挙動を示さない(例えば、目標から逸脱している)ことが判定するステップで得られた場合、QC実行307をスケジュールすることに含まれる。
【0111】
図3の技術は、(図2に関連して説明したような異なるLC流での測定の代わりに)後の測定のための基準点として同じLC流での以前の測定を使用する。ここでの理論的根拠は、それぞれのLC流で実行された品質管理実行中または直後の測定を、後の測定の参照として使用できるということである。
【0112】
図3の技術は、同じLC流での以前の測定を、この流れでの後の測定の基準点として使用することを含むことは、任意の分析装置の複数の(例えば全ての)LC流で並行して使用され得る。
【0113】
ただし、これらの違いに関係なく、2つ以上のLC流のクロスチェックに関連して説明した技術は、単一のLC流の後の測定値を同じLC流の以前の測定値と照合する場合にも適用できる(特定の技術が2つ以上のLC流のクロスチェックに固有でない限り)。
【0114】
いくつかの例では、同じLC流内の監視されるパラメータをチェックする技術を、2つ以上のLC流にわたるパラメータのクロスチェックと組み合わせることができる。
【0115】
本開示の技術は、分析装置の複数のアッセイのための各アッセイ(例えば、各対象分析物)に対して実施されることができる。
【0116】
分析装置の詳細
本開示はまた、液体クロマトグラフィ装置(LC)と質量分析計(MS)を組み合わせた分析装置であって、分析装置が、単一の質量分析計(MS)に接続された少なくとも2つの液体クロマトグラフィ(LC)流を含み、分析装置が、本開示の技術のステップを実行するように構成されている、分析装置に関する。
【0117】
例えば、1つまたは複数のLC流が、1つまたは複数の高性能(HP)LC流、1つまたは複数の超高性能(UHP)LC流、1つまたは複数のマイクロLC流、または、HP LC流、UHP LC流、もしくはマイクロLC流の組み合わせを含み得る。
【0118】
いくつかの例では、分析装置は3つ以上のLC流、任意選択で3つのLC流を含む。
【0119】
続いて、本開示による質量分析計および複数のLC流を含む例示的な分析装置システムについて、図4に関連して説明する。異なるモジュールが1つの分析装置100の一部として図4に示されている。しかしながら、本開示の分析装置はまた、図4に示される異なるモジュールのサブセットのみを含むことができる。
【0120】
分析装置100は、対象分析物を含むサンプル10の自動前処理および調製のためのサンプル調製ステーション50を備える。サンプル調製ステーション50は、分析物および/または基質選択群を運ぶ磁気ビーズでサンプルを処理するための磁気ビーズ処理ユニット51を含むことができる。
【0121】
特に、磁気ビーズ処理ユニットは、少なくとも1つの反応容器を保持し、中に含まれるサンプルまたは複数のサンプルに追加された磁気ビーズを操作するための少なくとも1つの磁気または電磁ワークステーションを含むことができる。磁気ビーズ処理ユニット51は、例えば、反応容器を振とうまたは攪拌することにより、例えば、偏心回転機構により、流体を混合するための、および/または磁気ビーズを反応容器内に再懸濁するための混合機構をさらに含み得る。
【0122】
あるいは、ビーズ処理ユニット51は、磁気ビーズが流れまたは毛細管通水装置内に捕捉されるフロースルーシステムであり得る。この例によれば、分析物の捕捉、洗浄、および放出は、フロースルー流内のビーズを繰り返し磁気的に捕捉および放出することによって行われることができる。
【0123】
「ビーズ」という用語は、必ずしも球形を指すのではなく、ナノメートルまたはマイクロメートルの範囲の平均サイズを有し、任意の可能な形状を有する粒子を指す。ビーズは、超磁性または常磁性ビーズ、特にFe3+コアを含むビーズであり得る。
【0124】
非磁気ビーズも使用できる。その場合、捕獲と解放は濾過に基づくことがある。サンプル調製ステーション50は、サンプル、試薬、洗浄流体、懸濁流体などの流体を反応容器に/反応容器から追加/除去するための1つまたは複数のピペッティング装置または流体輸送装置をさらに備え得る。
【0125】
サンプル調製ステーションは、反応容器輸送機構(図4には示されていない)をさらに含み得る。
【0126】
磁気ビーズ処理の代わりに、またはそれに加えて、他の濃縮技術、例えば、タンパク質沈殿およびそれに続く遠心分離、カートリッジベースの固相抽出、ピペットチップベースの固相抽出、液相抽出、親和性ベースの抽出(免疫吸着、分子インプリント、アプタマーなど)を使用することができる。
【0127】
分析装置100は、複数のLC流Cl~n、C’l~nを含む液体クロマトグラフィ(LC)装置60をさらに含む。
【0128】
液体クロマトグラフィ(LC)装置60は、例えば、基質成分から対象分析物、例えば、サンプル調製後の残りの基質成分、またはその後の検出、例えば質量分析検出を妨げる可能性が依然としてあるその他の潜在的に干渉する物質を分離するために、および/または個々の検出を可能にするために対象分析物を互いに分離するために、調製されたサンプルをクロマトグラフィ分離に供するように設計された分析装置またはモジュールまたは分析装置内のユニットであり得る。いくつかの例では、LC装置60は、質量分析用のサンプルを調製するように、および/または調製されたサンプルを質量分析計に移すように設計された分析装置内の中間分析装置またはモジュールまたはユニットであり得る。
【0129】
本開示によれば、LC装置60は、並列に配置され、単一のMS装置に接続された複数のLC流を含む。
【0130】
本開示の特定の例によれば、LC装置60は、より短いサイクルタイムを有する少なくとも1つのより速いLC流と、より長いサイクルタイムを有する少なくとも1つのより遅いLC流とを含む。しかしながら、LC装置60は、代わりに、より遅いLC流を伴わない少なくとも2つのより速いLC流、またはより速いLC流を伴わない少なくとも2つのより遅いLC流を含み得る。「サイクルタイム」とは、サンプル入力(注入)からLC流に、同じLC流が別のサンプル入力の準備ができるまでにかかる時間である。言い換えると、サイクルタイムは、事前に判定された条件下で、同じLC流内の2つの連続するサンプル入力間で経過する最小時間であり、秒単位で測定できる。サイクルタイムには、注入時間、目的の最後の対象分析物が溶出するまでの分離時間、および新しい注入用にカラムを準備するための再平衡化時間が含まれる。
【0131】
LC流に関する「より速い」および「より遅い」という用語は、同じLC装置60内のそれらの間の異なるLC流を比較するために使用される相対的な用語にすぎない。特に、これらの用語はサイクルタイムの期間に関連しており、必ずしもLC流の分解能に関連しているわけではない。
【0132】
LC装置60はまた、典型的には、十分な数のポンプ、例えば、溶出グラジエントの使用が必要な条件の場合のバイナリポンプ、およびいくつかのスイッチングバルブをさらに含む。
【0133】
さらに、LC装置60は複数のLC流を含むので、異なるLC流からのLC溶出液が同時にではなく互い違いに出力されることが有利であり、その結果、LC溶出液出力を、例えば、単一の共通検出器によって順次検出することができ、多重化アプローチに従って互いによりよく区別される。
【0134】
「LC溶出液」という用語は、本明細書では、対象の少なくとも1つの対象分析物を含む溶出液の画分を示すために使用される。
【0135】
日常業務では、入ってくるサンプルの数とタイプ、およびそれぞれの分析順序に応じて、別のLC流ではなく1つのLC流、例えば、より速いLC流ではなくより遅いLC流、またはその逆の場合、別のLC流の別のタイプのカラムではなくLC流のあるタイプのカラムが必要になることがある。したがって、一部のLC流の使用は、他のLC流の使用よりも頻繁である可能性がある。
【0136】
LC流の数およびタイプにも基づいて、例えば、より速いLC流およびより遅いLC流の数およびタイプについてそれぞれ様々な程度の柔軟性が可能である。
【0137】
図4の例では、C1~nはサイクルタイムがより短いより速いLC流であり、C’1~nはより遅いLC流(サイクルタイムが長いなど)であり、nは1以上の任意の整数にすることができる。
【0138】
したがって、LC装置60は、より短いサイクルタイムを有する少なくとも1つのより速いLC流C1と、より長いサイクルタイムを有する少なくとも1つのより遅いLC流C1とを含み得る。しかしながら、LC装置60は、複数のより速いLC流C1~nのみを含み得て、nは少なくとも2であるか、または複数のより遅いLC流C’1~nのみを含み得て、nは少なくとも2である。この例では、LC装置60は、2つのより速いLC流C1~n、n=2であり、サイクルタイムがより短い、および4つのより遅いLC流C’1~n、n=4であり、サイクルタイムがより長い、を含み、それぞれのより短いおよびより長いサイクルタイムの相対的な長さは、それぞれ図4のLC流C1~nおよびC’1~nを表す異なる長さのバーによって概略的に示されている(原寸に比例していない)。より短いサイクルタイムは、例えば、10秒から1分(例えば、36秒)の間であり得て、この時間は、参照期間を定義することができる。より長いサイクルタイムは、参照期間のn倍にすることができる。
【0139】
また、LCカラムを選択し、それに応じてクロマトグラフィ条件を設定することにより、対象分析物を溶出するためのより遅いLC流の溶出時間ウィンドウを参照期間と同じかそれよりも短く設定できる。
【0140】
より速いLC流C1~nは、迅速なトラップおよび溶出オンライン液体クロマトグラフィ流であり得、その一方は、例えば、逆相カラムを含み、他方は、例えば、HILICカラムを含み得る。
【0141】
より遅いLC流C’1~nは、例えば、2つの逆相カラムおよび2つのHILICカラムをそれぞれ含む超高速液体クロマトグラフィ(UHPLC)流であり得る。
より遅いLC流は、同じでも異なっていてもよく、例えば、一方はHILICカラムを含み、もう一方は逆相(RP)またはペンタフルオロフェニル(PFP)カラムを含み得て、サイクルタイムが異なるカラムでそれぞれ同じであり得るように条件が選択される。より速いLC流は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、例えば、一方はHILICカラムを含み、もう一方は逆相(RP)またはペンタフルオロフェニル(PFP)カラムを含み得て、サイクルタイムが異なるカラムでそれぞれ同じであり得るように条件が選択される。
【0142】
一例によれば、少なくとも1つのより速いLC流は、毛細管流インジェクション分析(FIA)流または高速トラップおよび溶出オンライン液体クロマトグラフィ流であり、少なくとも1つのより遅いLC流は、超高速液体クロマトグラフィ(UHPLC)流である。特に、対象分析物に応じて、調製された各サンプルは、より速いLC流またはより遅いLC流に入力され得る。例えば、サンプルが分析物の精製と濃縮のみを必要とする場合、例えば後続の質量分析および/または他の分離技術で十分な分離が得られるため、サンプルはより高速なLC流、例えば、FIAまたは高速トラップおよび溶出オンライン液体クロマトグラフィ流に入力される。このような場合、対象分析物を保持する固定相が選択されるが、塩、緩衝液、界面活性剤、およびその他の基質成分は保持されず、洗い流される。このプロセスの後には、通常、例えば、バックフラッシュモードで、分析物の溶出が続き、異なる移動相または溶媒グラジエントを使用する。分析物によっては、一部の分析物の分離が期待される場合がある。一方、多重反応監視(MRM)において同じ質量(等圧)および/または重なり合う娘イオンスペクトルを持つ分析物の場合、質量分析に関しては、より広範なクロマトグラフィ分離が望ましい場合がある。その場合、サンプルはより遅いLC流、例えば、UHPLC流に入力される。
【0143】
分析装置100は、調製されたサンプルをLC流C1~n、C’1~nのいずれか1つに入力するためのサンプル調製/LCインタフェース70をさらに備える。
【0144】
サンプル調製/LCインタフェースは、サンプル調製ステーションとLC装置60との間のモジュール、またはサンプル調製ステーションまたはLC装置60に統合されたユニット、またはサンプル調製ステーションとLC装置60との間の構成要素を共有するユニットであり得る。
【0145】
サンプル調製/LCインタフェースは、保持機能、把持機能、移送機能のうちの任意の1つまたは複数を備えた容器処理ユニットまたは調製されたサンプル受容ユニットを含み得る。いくつかの例では、調製されたサンプル受容ユニットは、再利用可能な窪みであり、LC流に入力される直前に調製されたサンプル出力シーケンスに従って、調製されたサンプルが次々に受け取られ、窪みは連続するサンプル間で洗浄され得る。
【0146】
サンプル調製/LCインタフェースには、調製済みサンプルを任意のLC流に入力するための液体処理ユニットを含めることができる。液体処理ユニットは、ピペッティング装置、ポンプ、オートサンプラー、フローインジェクション装置、1つまたは複数のスイッチングバルブ、特にLC流を切り替えるための少なくとも1つのスイッチングバルブのいずれか1つまたは複数を含むことができる。特に、容器処理ユニットおよび液体処理ユニットは、任意の利用可能なLC流の任意の調製されたサンプルへのランダムアクセスを可能にするように設計されることができる。
【0147】
少なくとも一部のサンプルでは、分析物濃縮技術と基質枯渇技術との両方を組み合わせることで、サンプルから抽出できる様々な分析物の数を増やし、不要な希釈を回避し、基質の除去をより効果的にすることができる。
【0148】
分析装置100は、分析装置を制御するように構成されたコントローラ80をさらに備える。
【0149】
コントローラ80は、本開示の監視技術のステップを実行するように構成することができる。コントローラ80は、操作を実行するための命令を備えたコンピュータ可読プログラムを実行するプログラム可能論理コントローラであり得る。コントローラ80は、分析装置100のローカル環境に配置されることができ、または遠隔位置に配置されたリモートコントローラ(または2つの混合物)であり得る。
【0150】
特に、コントローラは、少なくとも2つのLC流のそれぞれにおいてパラメータを連続して監視するステップを実行し、監視されるパラメータが期待される挙動を示すかどうかを判定し、監視されるパラメータが本明細書に記載されるような期待される挙動から逸脱することを検出すると応答をトリガすることができる。
【0151】
さらに、コントローラは、サンプル10を事前定義されたサンプル調製ワークフローに割り当てるようにプログラムされ得、各ワークフローは、事前定義された一連のサンプル調製ステップを含み、対象分析物に応じて完了までに事前定義された時間を必要とする。
【0152】
さらに、コントローラ80は、動作計画に従って、特にサンプル調製およびLC流入力に関連して動作を実行するように構成されることができる。
【0153】
特に、コントローラ80は、受信した分析物順序および分析物順序の実行に関連するいくつかのスケジュールされたプロセス動作を考慮に入れて、いつ、どのサンプルを調製しなければならないか、また各サンプルに対していつ、どの調製ステップを実行する必要があるかを決定するために、スケジューラと連携することができる。同じまたは異なるタイプのサンプルに含まれる異なるタイプのサンプルおよび/または異なる対象分析物は、異なる調製条件例えば、異なる試薬、または異なる数の試薬、異なる量、異なるインキュベーション時間、異なる洗浄条件など...を必要とする場合があるため、異なるサンプルの調製には、異なるサンプル調製ワークフローが必要になる場合がある。したがって、コントローラ80は、サンプルを事前定義されたサンプル調製ワークフローに割り当てるようにプログラムされ、それぞれは、サンプル調製ステップの事前定義されたシーケンスを含み、例えば、異なるステップおよび/または異なる数のステップであり、完了までに事前定義された時間、例えば、1、2分から数分までを必要とする。
【0154】
したがって、コントローラ80は、異なるサンプルに対して並行してまたは時間をずらして行われるようにサンプル調製をスケジュールすることができる。論理的な方法でそうすることによって、コントローラ80は、競合を回避しながら効率を高め、調製されたサンプルがLC装置60に入力され得るペースでサンプルを調製することによってスループットを最大化するために、サンプル調製ステーションの機能リソースの使用をスケジュールする。これは、サンプルのバッチを事前に準備するのではなく、当然これも可能であるが、コントローラは、必要に応じて、またはLC装置60、特に個々のLCによって取得され得るようにサンプルを調製するように、サンプル調製ステーションに命令できることを意味し、入ってくる順位、例えば優先順位、準備時間、機能リソースの必要な使用、特にサンプル調製が完了するまでにそのサンプルが意図されているLC流の可用性を考慮している。
【0155】
図4の例では、コントローラ80はさらに、対象分析物に応じて調製された各サンプルにLC流C1~n、C’1~nを割り当て(事前に予約)、また異なるLC流C1~n、C’1~nからの対象分析物が、期待される溶出時間に基づいて、重複しないLC溶出出力シーケンスE1~nで溶出できるようにする調製されたサンプルを入力するためのLC流入力シーケンスを計画するように、さらにプログラムされる。コントローラ80はさらに、LC流入力シーケンスI1~nと一致する調製されたサンプル出力シーケンスP1~nを生成するサンプル調製開始シーケンスS1~nを設定および開始するようにプログラムされる。
【0156】
図4では、サンプル調製開始シーケンスS1~nの各サンプル、調製されたサンプル出力シーケンスP1~nの各調製サンプルおよびLC流入力シーケンスI1~n、LC溶出液出力シーケンスE1~nの各LC溶出液は、重複しない隣接セグメントを含むシーケンスのセグメント内に示され、各セグメントは、概略的に1つの参照期間を表す。したがって、各シーケンスは参照期間または時間単位のシーケンスであり、その長さは固定でき、異なるシーケンス間で一定のままである。特に、より速いLC流のより短いサイクルタイムを参照期間(例えば36秒)と見なすことができる。
【0157】
サンプル調製開始シーケンスS1~nでの新しいサンプルの調製は、参照期間ごとに1つのサンプルの頻度で、つまりこの例では36秒ごとに、またはサンプル調製が開始されないシーケンス内の空のセグメントによって示される、1つまたは複数の参照期間で区切られた間隔で開始され得る。また、調製されたサンプル出力シーケンスP1~nでのサンプルの調製は、参照期間ごとに1つの調製されたサンプルの頻度で、またはサンプル調製が完了されないシーケンス内の空のセグメントによって示される、1つまたは複数の参照期間で区切られた間隔で完了され得る。また、調製されたサンプルは、LC流入力シーケンス11-nに従って、参照期間ごとに1つのLC流の頻度で、またはLC流入力は行われないシーケンス内の空のセグメントによって示される、1つまたは複数の参照期間によって分離された間隔で、それぞれの割り当てられたLC流に入力され得る。
【0158】
また、LC溶出液出力シーケンスE1~nにおけるLC溶出液は、参照期間ごとに1つのLC溶出液の頻度で、またはLC溶出液が出力されないシーケンス内の空のセグメントによって示される、1つまたは複数の参照期間で区切られた間隔で出力され得る。
【0159】
臨床診断システム100は、LC装置60を質量分析計90に接続するための質量分析計(MS)90およびLC/MSインタフェース91をさらに備える。
【0160】
一例によれば、LC/MSインタフェースは、荷電分析物分子(分子イオン)の生成および荷電分析物分子の気相への移動のためのイオン化源を含む。特定の例によれば、イオン化源は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)源または加熱エレクトロスプレーイオン化(HESI)源または大気圧化学イオン化(APCI)源または大気圧光イオン化(APPI)または大気圧レーザイオン化(APLI)源である。しかしながら、LC/MSインタフェースは、二重イオン化源、例えば、ESIおよびAPCI源またはモジュール式の交換可能なイオン化ソースの両方を含み得る。そのようなイオン化源は当技術分野で知られており、本明細書ではさらに解明されていない。
【0161】
イオン化条件を最適化するために、イオン源の直前にメークアップフローを追加して溶媒組成を調整し、pH、塩、緩衝液、または有機物含有量を調整することが望ましい場合がある。
【0162】
一例では、全てのLC流が交互にイオン化源に接続可能であり、コントローラは、LC溶出液の出力シーケンスに従ってバルブの切り替えを制御する。
【0163】
一例では、質量分析計は、高速走査質量分析計である。例えば、質量分析計は、親分子イオンを選択し、衝突誘起フラグメンテーションによってフラグメントを生成し、質量電荷比(m/z)に従ってフラグメントまたは娘イオンを分離できるタンデム質量分析計にすることができる。質量分析計は、当技術分野で知られているように、三連四重極質量分析計であり得る。
【0164】
一例によれば、LC/MSインタフェースは、イオン化源と質量分析計との間にイオン移動度モジュールをさらに含む。一例によれば、イオン移動度モジュールは、当技術分野でも知られている高磁場非対称波形イオン移動度分光分析(FAIMS)モジュールであり、等圧イオンを含む気相中の分子イオンのミリ秒単位での分離を達成することができる。質量分析前のイオン移動度気相分離は、特に、少なくとも1つのより速いLC流からのLC溶出液の場合、例えば、同重体干渉の、不十分なクロマトグラフィ分離を補うことができる。さらに、質量分析計のイオン移動度インタフェースは、バックグラウンドおよびその他の非特異的イオンが質量分析計に入るのを防ぐことにより、全体的なバックグラウンド信号を低減できる。一例によれば、コントローラは、イオン化源の入力シーケンスを設定するようにさらにプログラムされている。「イオン化源入力シーケンス」という用語は、LC溶出液がイオン化源に入力される順序を指す。通常、イオン化源入力シーケンスは、LC溶出液の出力シーケンスに対応する。しかしながら、例えば、バイパス流または異なる長さの流れを使用することによって、または流速を変更することによって、イオン化源の入力シーケンスも変更され得る。これにより、コントローラは、LC流入力シーケンスを計画するときにさらに柔軟性を持たせることができる。
【0165】
いくつかの例では、LC溶出液出力シーケンス中のLC溶出液は、参照期間ごとに1つのLC溶出液の頻度で、または1つまたは複数の参照期間によって分離された間隔でイオン化源に入力され得る。これは、イオン化源が入力されている参照期間の中で、一連の参照期間からなる同じタイムラインで、LC溶出液がイオン化源に入力されていない空の参照期間が存在する可能性があることを意味する。コントローラ80は、LC流入力シーケンスおよびLC溶出液出力シーケンスを考慮し、それに応じてバルブスイッチングを制御することによって、基準期間ごとに1つのLC溶出液のみがイオン化源に入力されることを確実にするようにプログラムされ得る。
【0166】
図4の例では、LC/MSインタフェース91は、イオン化源92と、イオン化源92と質量分析計95との間にイオン移動度モジュール95とを備える。イオン移動度モジュール95は、高磁場非対称波形イオン移動度分光分析(FAIMS)モジュールである。質量分析計90は、タンデム質量分析計、特に三連四重極質量分析計であり、多重反応監視(MRM)が可能である。
【0167】
LC流C1~n、C’1~nは、LC/MSインタフェース91に交互に接続可能であり、コントローラ80は、一度に1つのLC溶出液をイオン化源92入力するためのLC溶出液出力シーケンスE1~nに従ってバルブスイッチング61を制御する。特に、LC溶出液出力シーケンスE1~n中のLC溶出液は、参照期間ごとに1つのLC溶出液の頻度で、またはLC溶出液出力シーケンスE1~nに従って1つまたは複数の参照期間によって分離された間隔でイオン化源92に入力される。イオン化源92は、ESI源93およびAPCI源94を含む二重イオン化源であり、LC溶出液出力シーケンスE1-n中のLC溶出液および中に含まれる対象分析物に依存し、コントローラ80は、最も適切な2つのイオン化源93、94のうちの1つを選択することができる。サンプル調製開始シーケンスS1-nを設定する場合、コントローラ80は、イオン化源93、94にも応じてサンプルをグループ化(シーケンス内で互いに隣接して配置)することができるため、イオン化源93、94間の頻繁な切り替えが防止される。イオン化源の切り替えは、例えば1つまたは複数の空の参照期間中に計画できる。
【0168】
コンピュータ実装の態様
本開示はまた、分析装置のコントローラによって実行されると、分析装置に本開示の監視技術のステップを実行するように促す命令を含むコンピュータ可読媒体に関する。
【0169】
これらのコンピュータ可読媒体には、例えば、ハードディスクまたはフラッシュメモリだけでなく、無形媒体も含まれる。例えば、本開示は、分析装置のコントローラにダウンロードされ、分析装置のコントローラによって実行されると、分析装置に本開示の監視技術のステップを実行するように促す命令を含むソフトウェアまたはソフトウェアモジュールに関する。
【0170】
さらに、本開示はまた、分析装置を制御して、本開示の監視技術を実行させる分析装置の制御信号に関する。
【0171】
さらなる態様
本開示の監視技術のいくつかの態様は、前のセクションで議論されてきた。さらに、本開示の監視はまた、以下の態様に従って実施することができる。
【0172】
態様1
少なくとも2つの液体クロマトグラフィ(LC)流を有する液体クロマトグラフィ装置(LC)を含む分析装置を監視する方法であって、前記方法が、
前記少なくとも2つのLC流内のそれぞれのサンプルの測定データの1つまたは複数のパラメータを連続して監視することであって、
前記1つまたは複数のパラメータが前記それぞれのサンプルの分析物濃度に依存しない、監視することと、
前記1つまたは複数の監視されるパラメータが期待される挙動を示すかどうかを判定することと、
前記1つまたは複数の監視されるパラメータが前記期待される挙動から逸脱していることが検出されると、応答をトリガすることと
を含む、方法。
【0173】
態様2
前記少なくとも2つのLC流の第2のLC流の前記期待される挙動が、前記少なくとも2つのLC流の第1のLC流における前記監視される1つまたは複数のパラメータに基づいて判定される、態様1に記載の方法。
【0174】
態様3
前記少なくとも2つのLC流の第2のLC流における1つまたは複数の監視されるパラメータの逸脱が、前記少なくとも2つのLC流の少なくとも前記第2のLC流および第1のLC流において前記1つまたは複数の監視されるパラメータを評価することに基づいて判定される、態様1または態様2に記載の方法。
【0175】
態様4
前記1つまたは複数の監視されるパラメータが期待される挙動を示すかどうかを判定することは、前記1つまたは複数のパラメータが前記それぞれの監視される1つまたは複数のパラメータに対する目標範囲または複数の目標範囲、または2つ以上の監視されるパラメータから計算された複合値に対する目標範囲内にあると判定することを含む、態様1から3のいずれか1つに記載の方法。
【0176】
態様5
前記目標範囲または複数の目標範囲が、監視される1つまたは複数のパラメータが前記判定するステップで使用される第2のLC流とは異なる第1のLC流における1つまたは複数の測定に基づいて決定される、態様4に記載の方法。
【0177】
態様6
前記第1のLC流が、前記第2のLC流よりも最近に品質管理実行を受けたLC流である、態様2、態様3または態様4に記載の方法。
【0178】
態様7
前記第1のLC流が、1つまたは複数の構成要素、任意選択でLCカラムが、前記第2のLC流の前記それぞれの1つまたは複数の構成要素よりも最近に交換されたか、または保守動作を受けたLC流である、態様2、態様3または態様4に記載の方法。
【0179】
態様8
前記監視される1つまたは複数のパラメータが前記1つの目標範囲または複数の目標範囲から逸脱していない場合に、前記第2のLC流が適切に動作していると想定すること
をさらに含む、態様2から7のいずれか1つに記載の方法。
【0180】
態様9
前記第1および第2のLC流が、異なるLCカラム、異なるポンプまたは異なるバルブのうちの1つまたは複数を含む、態様2から8のいずれか1つに記載の方法。
【0181】
態様10
前記1つまたは複数の監視されるパラメータが前記期待される挙動を示していることが前記判定するステップで得られた場合、特定のLC流において2つの連続した品質管理実行間の期間を延長すること
をさらに含む、態様1から9のいずれか1つに記載の方法。
【0182】
態様11
前記応答が、その1つまたは複数の監視されるパラメータが前記期待される挙動から逸脱している前記それぞれのLC流上で、品質管理実行をスケジュールまたはトリガすることを含む、態様1から10のいずれか1つに記載の方法。
【0183】
態様12
前記応答は、前記第2のLC流における前記1つまたは複数の監視されるパラメータが、前記第1のLC流における前記監視される1つまたは複数のパラメータに基づいて判定される前記期待される挙動から逸脱しているとの判定に基づいて、前記少なくとも2つのLC流の前記第2のLC流において品質管理実行をスケジュ-ルまたはトリガすることを含む、態様2から11のいずれか1つに記載の方法。
【0184】
態様13
前記応答が、前記それぞれのLC流上で保守動作をスケジュールまたはトリガすることを含む、態様1から12のいずれか1つに記載の方法。
【0185】
態様14
前記応答は、前記第2のLC流における前記1つまたは複数の監視されるパラメータが、前記第1のLC流における前記監視される1つまたは複数のパラメータに基づいて判定される前記期待される挙動から逸脱しているとの判定に基づいて、前記少なくとも2つのLC流の前記第2のLC流の保守動作をスケジュ-ルまたはトリガすることを含む、態様2から13のいずれか1つに記載の方法。
【0186】
態様15
複数の応答がエラーメッセージを提供することを含む、態様1から14のいずれか1つに記載の方法。
【0187】
態様16
前記連続監視が未知の組成のサンプルに対して行われる、態様1から15のいずれか1つに記載の方法。
【0188】
態様17
未知の組成を有する前記サンプルが、前記分析装置によって分析された患者サンプルを含む、態様16に記載の方法。
【0189】
態様18
前記連続監視を大部分のサンプル、任意選択で前記分析装置によって処理された各サンプルに対して行う、態様1から17のいずれか1つに記載の方法。
【0190】
態様19
前記目標範囲または複数の目標範囲が、前記分析装置の動作中に動的に更新される、態様4に記載の方法。
【0191】
態様20
前記期待される挙動は、前記分析装置内で処理された以前のサンプルから取られた1つまたは複数の測定に基づいて定義される、態様1から19のいずれか1つに記載の方法。
【0192】
態様21
前記期待される挙動が、前記分析装置の前記1つまたは複数の監視されるパラメータと追加の監視されるパラメータとの間の特定の相関関係である、態様1から20のいずれか1つに記載の方法。
【0193】
態様22
前記期待される挙動が、前記1つまたは複数の監視されるパラメータの傾向に基づいて判定される、態様1から21のいずれか1つに記載の方法。
【0194】
態様23
前記期待される挙動から逸脱することは、前記1つまたは複数の監視されるパラメータの1つまたは複数の以前の値から閾値距離を超えて逸脱することを含む、態様1から22のいずれか1つに記載の方法。
【0195】
態様24
前記期待される挙動が、前記判定するステップで使用される前記それぞれの監視される1つまたは複数のパラメータと同じLC流における1つまたは複数の以前の測定に基づいて判定される、態様1から23のいずれか1つに記載の方法。
【0196】
態様25
前記期待される挙動が、前記それぞれのLC流での品質管理実行中またはその直後、任意選択で前記それぞれの品質管理実行後1時間未満で、前記同じLC流における1つまたは複数の測定に基づいて判定される、態様24に記載の方法。
【0197】
態様26
前記1つまたは複数の監視されるパラメータが、測定ピークのピーク幅パラメータ、ピーク形状パラメータ、ピーク高さパラメータ、またはピーク面積パラメータのうちの1つまたは複数に基づいて判定される、態様1から25のいずれか1つに記載の方法。
【0198】
態様27
前記1つまたは複数の監視されるパラメータが、保持時間、ピーク開始時間パラメータ、またはピーク終了時間パラメータのうちの少なくとも1つに基づいて判定される、態様1から26のいずれか1つに記載の方法。
【0199】
態様28
前記1つまたは複数の監視されるパラメータが、異なるピーク高さでのMSピークのピーク幅の比に基づいて判定される、態様1から27のいずれか1つに記載の方法。
【0200】
態様29
前記1つまたは複数の監視されるパラメータが、MS測定ピークのピーク幅とピーク高さとの比に基づいて判定される、態様1から28のいずれか1つに記載の方法。
【0201】
態様30
前記1つまたは複数の監視されるパラメータが、測定バックグラウンドパラメータおよび測定ノイズパラメータのうちの1つまたは複数に基づいて判定される、態様1から29のいずれか1つに記載の方法。
【0202】
態様31
1つまたは複数の監視されるパラメータがベースラインの傾きに基づいて判定される、態様1から30のいずれか1つに記載の方法。
【0203】
態様32
前記1つまたは複数の監視されるパラメータが、前記サンプル中の前記対象分析物の定量化もしくは定量化ピーク、または前記対象分析物の内部標準に基づいて判定される、態様1から31のいずれか1つに記載の方法。
【0204】
態様33
前記1つまたは複数のLC流が、1つまたは複数の高性能(HP)LC流、1つまたは複数の超高性能(UHP)LC流、1つまたは複数のマイクロLC流、または、HP LC流、UHP LC流、もしくはマイクロLC流の組み合わせを含む、態様1から32のいずれか1つに記載の方法。
【0205】
態様34
前記LC装置が3つ以上のLC流、任意選択で3つのLC流を含む、態様1から33のいずれか1つに記載の方法。
【0206】
態様35
前記LC装置が質量分析計(MS)に結合されている、態様1から34のいずれか1つに記載の方法。
【0207】
態様36
品質管理実行が、品質管理手順で使用されるアッセイおよび濃度レベルごとに各LC流に対して毎日より少なく実行される、態様1から35のいずれか1つに記載の方法。
【0208】
態様37
前記1つまたは複数の監視されるパラメータが期待される挙動を示すかどうかを判定することは、2つ以上のLC流のうちの異なるものにおいて前記監視される1つまたは複数のパラメータを比較することを含む、態様1から36のいずれか1つに記載の方法。
【0209】
態様38
前記1つまたは複数の監視されるパラメータが前記2つ以上のLC流に対する2つ以上の品質管理濃度レベルのそれぞれに対して期待される挙動を示すかどうかを判定すること
を含む、態様1から37のいずれか1つに記載の方法。
【0210】
態様39
各品質管理濃度レベルに対して、前記少なくとも2つのLC流の第2のLC流の前記期待される挙動が、前記少なくとも2つのLC流の別のLC流における前記監視される1つまたは複数のパラメータに基づいて判定される、態様38に記載の方法。
【0211】
態様40
前記1つまたは複数の監視されるパラメータが前記2つ以上のLC流に対する2つ以上のアッセイまたは対象分析物のそれぞれに対して期待される挙動を示すかどうかを判定すること
を含む、態様1から39のいずれか1つに記載の方法。
【0212】
態様41
各アッセイまたは対象分析物に対して、前記少なくとも2つのLC流の第2のLC流の前記期待される挙動が、前記少なくとも2つのLC流の別のLC流における前記監視される1つまたは複数のパラメータに基づいて判定される、態様40に記載の方法。
【0213】
態様42
液体クロマトグラフィ装置(LC)と質量分析計(MS)を組み合わせた分析装置であって、前記分析装置が、単一の質量分析計(MS)に接続された少なくとも2つの液体クロマトグラフィ(LC)流を含み、前記分析装置が、態様1から41のいずれか1つに記載の方法のステップを実行するように構成されている、分析装置。
【0214】
態様43
内部に記憶された命令を含むコンピュータ可読媒体であって、前記命令が、分析装置のプロセッサによって実行されると、前記分析装置に、態様1から41のいずれか1つに記載の方法のステップを実行するように促す、コンピュータ可読媒体。
図1
図2
図3
図4