(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】機械学習ベースのモデルを用いる高い費用効率の熱力学的流体特性の予測の方法
(51)【国際特許分類】
G06N 20/00 20190101AFI20230217BHJP
【FI】
G06N20/00
(21)【出願番号】P 2020517468
(86)(22)【出願日】2018-09-19
(86)【国際出願番号】 US2018051684
(87)【国際公開番号】W WO2019067282
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-09-21
(32)【優先日】2017-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506018363
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100097320
【氏名又は名称】宮川 貞二
(74)【代理人】
【識別番号】100155192
【氏名又は名称】金子 美代子
(74)【代理人】
【識別番号】100131820
【氏名又は名称】金井 俊幸
(74)【代理人】
【識別番号】100215049
【氏名又は名称】石川 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100100398
【氏名又は名称】柴田 茂夫
(72)【発明者】
【氏名】カシナート,アビシェク
【審査官】杉浦 孝光
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0049990(US,A1)
【文献】特開2008-221146(JP,A)
【文献】GAGANIS, Vassilis, et al.,AN INTEGRATED APPROACH FOR RAPID PHASE BEHAVIOR CALCULATIONS IN COMPOSITIONAL MODELING,JOURNAL OF PETROLEUM SCIENCE AND ENGINEERING,2014年04月03日,Vol.118,pp.74-87,[online] [検索日:2022.09.27] <URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0920410514000795>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 3/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータにより実施される方法であって:
ネガティブフラッシュ計算を用いて訓練データセットを生成するステップと;
超臨界相と亜臨界相とを識別するために、第1機械学習アルゴリズムを、前記訓練データセットを用いて、訓練するステップと;
前記亜臨界相におけるある数の安定相を識別するために、第2機械学習アルゴリズムを、前記訓練データセットを用いて、訓練するステップと;
1より大きな数の識別された安定相を有する前記亜臨界相の相分離を特定するために、第3機械学習アルゴリズムを、前記訓練データセットを用いて、訓練するステップと;を備える、
コンピュータにより実施される方法。
【請求項2】
前記訓練データセットは、入力データポイント及び出力データポイントを含み、前記出力データポイントは、前記入力データポイントに基づき前記ネガティブフラッシュ計算を用いて計算される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記出力データポイントは、超臨界データポイント、亜臨界単相データポイント、及び亜臨界二相データポイントを備える、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1機械学習アルゴリズムは、関連ベクトルマシン(RVM)アルゴリズムである、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1機械学習アルゴリズムは、分類問題を解くことによって訓練を受ける、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2機械学習アルゴリズムは、RVMアルゴリズムである、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2機械学習アルゴリズムは、マルチクラスの分類問題を解くことによって訓練される、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第3機械学習アルゴリズムは、人工ニューラルネットワークアルゴリズムである、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記相分離を特定するステップは、1より多い数の安定相毎にモル分率及びモル組成を特定することを備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記訓練された第1機械学習アルゴリズム、前記訓練された第2機械学習アルゴリズム、及び前記訓練された第3機械学習アルゴリズムを用いて、等温相の平衡を計算するステップをさらに備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記計算された等温相の平衡に基づき、貯留層シミュレーションのための1又は複数のヤコビ行列を構築するステップをさらに備える、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
操作を実行するために、コンピュータシステムによって実行可能な1又は複数の命令を格納しておりコンピュータにより読み取り可能な非一時的な媒体であって、前記操作は:
ネガティブフラッシュ計算を用いて、訓練データセットを生成すること;
超臨界相と亜臨界相を識別するために、第1機械学習アルゴリズムを、前記訓練データセットを用いて、訓練すること;
前記亜臨界相中のある数の安定相を識別するために、第2機械学習アルゴリズムを、前記訓練データセットを用いて、訓練すること;
1より大きな数の識別された安定相を有する前記亜臨界相の相分離を特定するために、第3機械学習アルゴリズムを、前記訓練データセットを用いて、訓練すること;を備える、
コンピュータにより読み取り可能な非一時的な媒体。
【請求項13】
前記訓練データセットは、入力データポイント及び出力データポイントを含み、前記出力データポイントは、前記入力データポイントに基づき前記ネガティブフラッシュ計算を用いて計算され、
前記出力データポイントは、超臨界データポイント、亜臨界単相データポイント、及び亜臨界二相データポイントを備える、
請求項12に記載の媒体。
【請求項14】
前記第1機械学習アルゴリズムは、関連ベクトルマシン(RVM)アルゴリズムであり、前記第2機械学習アルゴリズムは、RVMアルゴリズムであり、
前記第3機械学習アルゴリズムは、人工ニューラルネットワークアルゴリズムである、
請求項12に記載の媒体。
【請求項15】
前記相分離を特定することは、前記1より大きい数の安定相毎にモル分率及びモル組成を特定することを備える、
請求項12に記載の媒体。
【請求項16】
前記訓練された第1機械学習アルゴリズムと、前記訓練された第2機械学習アルゴリズムと、前記訓練された第3機械学習アルゴリズムとを用いて等温相の平衡を計算する操作をさらに備える、
請求項12に記載の媒体。
【請求項17】
コンピュータにより実施されるシステムであって:
1又は複数のコンピュータと;
前記1又は複数のコンピュータと相互動作可能に結合され、前記1又は複数のコンピュータによって実行されるときに操作を実行する命令を格納する有形で非一時的であって機械読み取り可能な媒体を有する1又は複数のコンピュータメモリデバイスと;を備え、前記操作は:
ネガティブフラッシュ計算を用いて訓練データセットを生成することと;
超臨界相と亜臨界相とを識別するために、第1機械学習アルゴリズムを、前記訓練データセットを用いて、訓練することと;
前記亜臨界相におけるある数の安定相を識別するために、第2機械学習アルゴリズムを、前記訓練データセットを用いて、訓練することと;
1より大きな数の識別された安定相を有する前記亜臨界相の相分離を特定するために、第3機械学習アルゴリズムを訓練することと;
を備える、
システム。
【請求項18】
前記訓練データセットは、入力データポイント及び出力データポイントを含み、前記出力データポイントは、前記入力データポイントに基づき前記ネガティブフラッシュ計算を用いて計算され、
前記出力データポイントは、超臨界データポイント、亜臨界単相データポイント、及び亜臨界二相データポイントを備える、
請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1機械学習アルゴリズムは、関連ベクトルマシン(RVM)アルゴリズムであり、前記第2機械学習アルゴリズムは、RVMアルゴリズムであり、
前記第3機械学習アルゴリズムは、人工ニューラルネットワークアルゴリズムである、
請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記相分離を特定する操作は、前記1より大きい数の安定相毎のモル分率及びモル組成を特定する操作を備える、
請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2017年9月26日に出願された米国特許出願62/563460号への優先権を主張し、その全内容は、ここに取り込まれる。
【0002】
本願は、貯留層シミュレーションに関し、特には貯留層シミュレーションのための等温相の振る舞いを識別することに関する。
【背景技術】
【0003】
石油貯留層シミュレーションにおいては、貯留層流体の組成を、様々なモデルを用いて記述できる。黒油モデルでは、石油を、1種のオイル成分と1種のガス成分とを含むものとしてモデル化できる。これらの成分は、該成分がメタン又はオクタンといった特定の化学成分を指すのではなく似た相挙動を呈する成分の集まりを指すという点において、疑似成分であり得る。組成上の貯留層モデルでは、貯留層流体は、二酸化炭素(CO2)、硫化水素(H2S)、低炭素アルカン(例えば、メタン及びエタン)、より重質な炭化水素類の疑似成分といった何種かの純粋化学成分の混合物として記述されることができる。
【0004】
組成流体モデルは、従来の貯留層からの生産、及び原油増進回収法(EOR)(例えば、界面活性剤攻法、ポリマー攻法、及び混合ガス圧入法)を用いて、開発された区域からの生産をシミュレートするために、より一層、使用されるようになってきており、それは、そのようなモデルが、黒油モデルを用いた従来よりも精確であるからである。組成モデルでは、貯留層流体の挙動が、一般に、状態方程式(EOS)と、非線形系の方程式の解を得ることを必要とする相平衡計算とを用いてモデル化されることができる。これらのタイプの方程式を相安定性解析について解いて、所与の組成、温度、及び圧力において平衡状態にある安定相の数を特定することができる。この安定性解析において1又は複数の相の存在が予測される場合に、非線形方程式系を相分離(又はフラッシュ、flash)計算で解いて、存在するすべての相のモル分率及び各相のモル組成を特定することもできる。安定性の計算とフラッシュとの両方の計算は、各々の時間ステップにおいて各個のシミュレーションセルにおいて一緒に実行されことができる。したがって、これらの計算は、総シミュレーション時間の最大70%という大きな部分を占める可能性がある。貯留層シミュレーションの空間的及び時間的な解像度が高まると、相挙動の特定に関連する計算コストも増加する可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、貯留層シミュレーションのための等温相の挙動の識別について述べる。
【0006】
実施において、ネガティブフラッシュ(negative flash)計算を用いる訓練データセットが生成される。超臨界相と亜臨界相とを識別するための第1機械学習アルゴリズム、亜臨界相内の複数の安定相を識別するための第2機械学習アルゴリズム、及び1より多くの識別された安定相を有する亜臨界相の相分離を特定するための第3機械学習アルゴリズムが訓練される。
【0007】
先に述べた実施は、コンピュータによって実施される方法と;コンピュータによって実施される方法を実行するためのコンピュータにより読み取り可能な命令を格納する、コンピュータにより読み取り可能で非一時的な媒体と;コンピュータによって実行される方法/コンピュータ読み取り可能で非一時的な媒体に格納された命令を実行するように構成されており、ハードウェアプロセッサと相互に作動可能に結合されたコンピュータメモリを含むコンピュータにおいて実施されるシステムを用いて実施可能である。
【0008】
本明細書において述べる主題は、以下の利点のうちの1又は複数を実現するために特定の実施において実施できる。第1に、機械学習アルゴリズムは、相平衡計算の計算時間を短縮でき、これにより、組成貯留層シミュレーションの全体的な演算時間を短縮できる。そのようなものとして、より多くのシミュレーションを固定時間枠内で実行でき、つまり、計算の節約の利用によれば、より多くの成分を流体モデルに含めることができ、又はより多くのセルを地質モデルに含めることができる。
【0009】
第2に、計算時間の短縮は、臨界境界付近の流体を含む貯留層のシミュレーションに役立つ。これらの貯留層は、ガスコンデンセートの貯留層、揮発性油の貯留層、及びEORのために超臨界CO2が注入された貯留層を含むことが多い。機械学習に基づくアルゴリズムは、流体混合物が超臨界であるか否かを判断するために、関連ベクトルマシン(RVM)モデルを用い、これにより、膨大な反復を実行することを避けてシミュレーションをより速く実行することができる。
【0010】
第3に、RVMを用いて訓練を受けたモデルを用いることによって、機械学習アルゴリズムを用いることによる所望のスピードアップを、許容誤差に基づいて選択できる。RVMモデルは、流体相の予測(例えば、流体が超臨界であるかどうか)と信頼度推定との両方を提供するので、機械学習アルゴリズムによれば、信頼度推定がしきい値を下回る場合には、ネガティブフラッシュ計算が予測に取って代わることが可能になる。該しきい値を下げることによって、低い信頼性の予測が容認されてアルゴリズムの精度が低下する一方、スピードアップが高まる場合がある。例えば、約5%の誤差を容認すれば、アルゴリズムは、90%を超えるスピードアップを提供できる。
【0011】
他の利点は、当業者には明らかであろう。
【0012】
本発明の1又は複数の実施の詳細は、添付の図面及び以下の説明において記述される。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、詳細な説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】
図1Aは、本願のいくつかの実施に従う、超臨界及び亜臨界の相点の例示的な分類を示す状態図である。
【0014】
【
図1B】
図1Bは、本願のいくつかの実施に従う、超臨界及び亜臨界の相点の例示的な分類、並びに、単相及び二相亜臨界の相点の例示的な分類を示す状態図である。
【0015】
【
図2】
図2は、本願のいくつかの実施に従う、相平衡特定を特定するための例示的な機械学習方法を示すフローチャートである。
【0016】
【
図3】
図3は、本願のいくつかの実施に従う、機械学習方法に基づく相平衡計算の例示的なアルゴリズムを示すフローチャートである。
【0017】
【
図4A】
図4Aは、本願のいくつかの実施に従う、所与の温度及び圧力のところにおける炭化水素混合物の例示的な相の挙動を示す状態図である。
【0018】
【
図4B】
図4Bは、本願のいくつかの実施に従う、所与の温度及び圧力のところにおける炭化水素混合物の相挙動を、超臨界、亜臨界単相、及び亜臨界二相領域に分類するために機械学習方法を用いて訓練されたモデルの例を示す状態図である。
【0019】
【
図5】
図5は、本願のいくつかの実施に従う、急速なフラッシュアルゴリズムを用いて、スピードゲインに関する例示的な誤分類誤差及び平均絶対相対誤差を示す図面である。
【0020】
【
図6】
図6は、本願のいくつかの実施に従う、本願に記載されたものとして、記載のアルゴリズム、方法、機能、プロセス、フロー、及び手順に関連付けられた計算機能を提供するために使用された例示的なコンピュータシステムを示すブロック図である。
【0021】
様々な図面における同様の符号及び名称は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の説明は、開示された主題を当業者が作成し及び使用することを可能にするために提示され、また1又は複数の特定の実施の文脈において提供される。開示された実施に対する様々な改変は、当業者に容易に明らかになろう、また、本開示で定義された一般原理は、本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施及び用途に適用されることができる。したがって、記載された実施に本開示が限定されることを意図するものではなく、本開示に開示される原理及び特徴に整合する最も広い範囲を本開示に付与すべきである。
【0023】
本開示は、石油貯留層シミュレーションにおける熱力学的流体の特性予測を通じて等温相の挙動を特定するための方法及びシステムを概略的に説明しており、該方法及びシステムは、コンピュータシステム、コンピュータプログラム製品、及びコンピュータによって実施される方法を含む。いくつかの実施では、等温相の平衡及び関連する流体特性を計算して、流体方程式を解くためのヤコビアンを効率的に構築するために、機械学習アルゴリズム(MLA)を訓練する。
【0024】
いくつかの実施では、ネガティブフラッシュ計算が、訓練データセット(トレーニングデータセット)を生成してMLAを訓練するために使用されることができ、該訓練データセットは、入力及び出力を含む。超臨界相状態、亜臨界単相状態、及び亜臨界二相状態を識別するために、ネガティブフラッシュ計算を使用することができる。ネガティブフラッシュ計算の入力及び解を、MLAを訓練するための訓練セットを構築するために、入出力の例として保存できる。
【0025】
機械学習方法の訓練は、3つのステップを含むことができる。第1に、入力条件が超臨界領域又は亜臨界領域に対応するか否かを識別するために使用された第1分類器を同定するために、MLAを訓練することができる。第2に、亜臨界領域の安定相の数を識別するための第2分類器を同定するために、MLAを訓練できる。場合によっては、第1分類器及び第2分類器を同定するために、関連ベクトルマシン(RVM)をMLAとして使用することができる。RVMは、各クラスの事後確率を特定でき、それらは、順次に、予測された相状態を受け入れる基準を構築するために使用されることができる。第3に、2つの安定相を持つ亜臨界領域(つまり、亜臨界二相領域)の場合、所与の圧力及び組成の平衡気液分配比(K値)を予測するためにMLAを訓練することによって、相分離を特定できる。場合によっては、人工ニューラルネットワーク(ANN)アルゴリズムを、相分離を特定するために、MLAとして使用することができる。
【0026】
この機械学習方法は、フラッシュ問題を解決するに際してコストのかかる反復を排除でき、また精度に関してほとんど影響無い状態で、相挙動の計算の全体的な演算時間を短縮できる。相平衡を特定するための機械学習方法の原理を、
図1A及び
図1Bの説明の中で検討された実施例において更に検討する。
図1Aは、超臨界領域及び亜臨界領域を分類するための第1分類器を同定する第1訓練ステップに対応する。
図1Bは、単相及び二相亜臨界領域を分類するための第2分類器を同定する第2訓練ステップに対応する。
【0027】
図1Aは、本開示のいくつかの実施に従う、例100aの超臨界及び亜臨界の相点の分類を示す状態図である。この例100aでは、第1機械学習モデルを訓練するために、2つの入力変数x1及びx2を用いる。入力変数x1及びx2は、フィード内において2つの成分のモル分率を表すことができる。そのモル分率は、成分(モルで表される)の量をフィード内のすべての成分(モルで表される)の総量で除算した値として定義されることができる。
【0028】
第1MLAは、各入力ペア(x1、x2)を超臨界領域110(境界線の右上)と亜臨界領域120(境界線の左下)とに分離できる第1分類器130を同定する(
図1Aに境界線として示される)ために訓練される。第1MLAは、サポートベクトルマシン(SVM)、RVM、ANN、及び、デシジョンツリーといったアルゴリズムであってもよい。第1MLAは、第1分類器130を同定するために、複数の入力ペア(x1、x2)によって訓練されてもよい。ひとたび第1MLAが最適化されたら、第1分類器は、訓練(トレーニング)済みとされて、任意の入力ペアに対して超臨界及び亜臨界相の挙動を予測するために使用されることができる。例えば、入力ペアが、超臨界領域110にある場合、第1分類器の出力は、超臨界相のラベルになる。
【0029】
図1Bは、本開示のいくつかの実施に従う、例100bの超臨界及び亜臨界相の相点の分類、並びに単相及び二相亜臨界相の点の分類を示す状態図である。
【0030】
第2MLAは、亜臨界領域120における各入力ペア(x1、x2)を、単相亜臨界領域122(境界線130及び境界曲線140の間)及び二相亜臨界領域124(境界曲線140の左下)に分類できる第2分類器140を同定する(
図1Aにおいて境界曲線として示す)ために訓練される。再び、第2MLAは、SVM、RVM、ANN、及びデシジョンツリーといった任意のアルゴリズムであることができる。先に述べたように、いくつかの実施では、RVMを、第1MLA及び第2MLAとして使用することができる。なぜなら、RVMが分類器を同定するだけでなく、分類の精確さも特定できるからである。第1及び第2MLAを訓練した後に、第1分類器130及び第2分類器140の両方が、入力ペアが超臨界、単相亜臨界、又は二相亜臨界の相点であるかどうかを特定するために最適化される。第1分類器130及び第2分類器140を同定するためのMLAの訓練は、ネガティブフラッシュ計算の結果を使用することができる。
【0031】
入力ペアが二相亜臨界領域124にある場合、各相がどれだけ存在し、各相の組成がどの程度の量であるかについてのさらなる情報は、第3MLAを用いて識別されることができる。言い換えると、第3のMLAを使用して、相の組成と各相の量に関する定量的予測を行う。例えば、相1の割合を、入力ペア(x1、x2)の回帰関数として表すことができ、その結果、任意の入力ペアについて、相1の割合は、回帰関数に基づいて特定できる。第3MLAを使用して、最適化を通じ回帰関数の形式を識別できる。第3MLAは、ANN、SVM、RVM、デシジョンフォレスト回帰、及びブースト回帰ツリー回帰といった機械学習に基づく回帰モデルであってもよい。いくつかの実施では、ANNを第3MLAとして使用でき、なぜなら、ANNは、一旦訓練を受けたら精確であると共に計算の低い複雑性を有するからである。機械学習に基づく回帰アルゴリズムは、所与の入力ペア(x1、x2)に対して相の割合を予測する回帰関数を識別できる。回帰関数は、次いで、貯留層シミュレーション中に、任意の入力ペアに対して相1の割合を予測するために、使用されることができる。
【0032】
第1MLA、第2MLA、及び第3MLAの訓練は、貯留層シミュレーションの開始前に実行される。貯留層シミュレーションが開始された後、第1分類器130、第2分類器140、及び回帰関数を使用して各貯留層セルのための相挙動を計算することができる。
【0033】
図2は、相平衡特定を特定するための機械学習方法例200を示すフローチャートである。表現を明確にするために、引き続く説明は、概略的には、この記述における他の図の文脈において方法200を説明する。しかしながら、方法200は、例えば、任意の適切なシステム、環境、ソフトウェア、及びハードウェア、又は、システム、環境、ソフトウェア、及びハードウェアの組み合わせによって、適切に実行できることが理解されよう。いくつかの実施では、方法200の様々なステップは、並列に、組み合わせて、ループで、又は任意の順序で実行されることができる。適切な訓練情報が提供される場合、機械学習の技術を、入力と出力との間の複雑な関係をモデル化すために使用する。この方法例200において、その入力は、シミュレーションセルの流体組成{z
i}及び圧力Pであり、その出力は、平衡相状態であり、平衡相状態は、安定相及びそれらの組成数である。関心のある関係は、対応する状態図の相の境界である。機械学習の技術を、相挙動を予測するモデルを生成するために使用する。ハイレベルでは、入出力の訓練データセットの例は、関心のあるフィード組成と圧力範囲とにわたってネガティブフラッシュ問題を解くことによって、計算される。次に、MLAが、相平衡問題の解を予測するために、訓練データセットを用いて訓練される。
【0034】
210においては、訓練データセットが、ネガティブフラッシュ計算を用いて生成される。訓練データセットは、貯留層の圧力と組成範囲とにわたって二相等温ネガティブフラッシュ問題を解くことによって生成されることができる。この方法の利点は:(1)相安定性及び相分離の問題が同時に解決される;及び(2)ネガティブフラッシュ手順は、超臨界相状態と亜臨界相状態とを識別できる。該問題への解法は、二相混合物の各相αにおける各成分i=1,2,...n毎のフガシティ(fugacity、揮散力)f
α
iを、平衡状態において等しくすることを要求することによって特定される:
【数0034-1】
ここで、L及びVは、液相及び気相を示し、x
i及びy
iは、液相及び気相中の成分iのモル分率、
【数0034-2】
は、α相内の成分iのフガシティ係数であり、Kiは、成分iの平衡比(K値とも呼ばれる)である。成分毎のモルバランスは、以下を要求する:
【数0034-3】
ここで、βは、モルの総数に対する気相のモルの割合である。最終的に、次式のラッシュフォードライス(Rachford-Rice)関係を、各相の成分モル分率の合計が1であるという制約を使って導出する:
【数0034-4】
成分iのモル分率z
i(K
i-1)/(1+β(K
i-1))をiに関して1からnまで総和し、この総和が1であるという制約。
【0035】
逐次代入法を用いて、成分のK値及びβを繰り返し計算することができる。ラッシュフォードライスの1回の反復は、固定された{Ki}のところにおけるβの更新として定義されることができ、続いて、βを一定に保持した状態で{Ki}の更新を行うように定義されることができる。いくつかの実施では、ウィルソンの相関を、{Ki}のための初期推定値をこの方法に与えるために、使用することができる。フィードの組成が正である限り、またβが
【数0035-1】
の範囲内にあれば、手順は収束する。自明ではない解 (Xi≠yi)への収束は、β≦0の場合には入力条件が平衡状態における単相の液体に対応し、β≧1の場合には単相の気体に対応し、0<β<1の場合には二相混合物に対応することを意味する。臨界領域における組成については、この方法は、自明な解
【数0035-2】
に収束する。
【0036】
ネガティブフラッシュ計算を、多数の入力({zi}、P)に対して実行できる。ネガティブフラッシュ計算からの解(β、{Xi}、{yi})及び入力を、訓練データセットを構築するために、入出力例として保存できる。入力ベクトルを、稼働条件の下において貯留層が示せる圧力及び組成の範囲によって拡げられる(n+1)次元空間からランダムに取り出すことができる。動作範囲において圧力を自由に選択できる一方で、モル分率の合計が1になるという制約を満たすために、フィードのモル分率を(n-1)次元の単位のシンプレックスから取り出すことができ、これは、ベイジアン(Bayesian)ブートストラップ法に従って得られる。例示的な方法200は、ステップ210からステップ220へ進む。
【0037】
220において、超臨界相及び亜臨界相を識別するために第1機械アルゴリズムが訓練される。アルゴリズムの第1タスクは、超臨界相の存在を識別するものであって、また分類の問題として扱われることができる。これは、ネガティブフラッシュが自明な解xi=yi=ziに収束すると共にタイライン(tie-line)の長さtが超臨界領域の任意の点においてゼロであるという観察に基づく。そのタイラインの長は、次のように定義できる:
【数0037-1】
【0038】
一方、タイライン長は、平衡状態において存在する安定相の数に関係なく、亜臨界領域内の炭化水素混合物においては、ゼロよりも長くなる。この観察に基づいて、タイライン長は、次のルールを持つバイナリ分類問題として超臨界相検出問題を捉え直すために、使用されることができる:
【数0038-1】
【0039】
いくつかの実施では、分類問題を、SVMを訓練することによって生成される判別関数に基づき解決できる。任意の入力に対して、判別関数は、予測レベルの信頼水準を考慮せずにラベルを割り当てるために評価される。代わりに、分類問題は、2つのステップ、モデルを訓練する推定ステップと、予測されたラベルの事後確率及び許容のしきい値を用いる決定ステップと、に分割される。判別関数を用いるこの方法の利点は、以下のものである:誤分類率を、判別しきい値θ1より低い確率を用いて予測を排除することによって低減できることである。相空間内において亜臨界領域と超臨界領域とを分離する特定境界を適合させるために、RVMを用いることができる。RVMの出力は、クラスラベルSCであり、また予測されたラベルが正しいという確率P(SC)である。SC=1は、超臨界相状態に対応し、SC=0は、亜臨界相を示す。P(SC)がθ1より大きい場合、RVMの答えが受け入れられ、それ以外は拒否される。訓練済みモデルの信頼度推定は、2つの領域を分離する表面近くの訓練ポイントの密度を増やすことによって改善される。タイライン長が、境界に近い亜臨界ポイントを識別するために使用されており、なぜなら、臨界面は、t=0である表面に対応するからである。亜臨界領域における入力は、タイライン長が増加する順に並べ替えられ、カットオフ値を超えるtを持つ点は、無視される。
【0040】
230において、第2MLAは、亜臨界相内のいくつかの安定相を識別するために訓練される。同様に、平衡状態における安定相の数を特定することは、また、別のRVMモデルを訓練することによって解決されたマルチクラス分類問題として再定式化されることができる。最初に、訓練データセットは、超臨界領域に属するポイントを取り除くことによって、切り詰められる。亜臨界領域内のポイントの場合、以下のようなネガティブフラッシュ解βを用いて割り当てられる:
【数0040-1】
【0041】
訓練の後に、RVMモデルは、泡立ち点(bubble point)カーブ(β=0)及び露点カーブ(β=1)に対する近似値を表すことができる。したがって、より優れた予測可能性を持つモデルが、βの値によって計測されたものとして、2つの曲線の近くにある訓練ポイントを選択することによって生成される。訓練済みモデルの出力は、クラスラベル♯ph={0,1,2}、及びその尤度値P(#ph)である。ここで、#ph=0は、単相気体蒸気であって、#ph=1は、単相液体を示し、#ph=2は、二相混合物を示す。P(#ph)は、排除基準を、該排除基準を判別しきい値θ2と比較することによって、また該排除基準より小さいP(#ph)を有する回答を無視することによって、設定するために使用される。
【0042】
240において、1より大きな数の安定相を有する亜臨界相の相分離を特定するために、第3MLAが訓練される。相平衡問題を解くための第3ステップは、{Ki}及びβに関して同時に等フガシティ制約とラッシュフォードライス(Rachford-Rice)方程式を解くことによって、二相混合物内の液相及び気相の組成を特定することである。このステップは、ウィルソン相関といった経験的関係を用いることに対抗するもとして、検討中の状態図に合わせて仕立てられた関数を用いて初期K値の推定を生成することによって加速される。この加速は、以下の事実に帰する:予測された{Ki}が、ラッシュフォードライスの反復を排除するある程度の許容範囲
【数0042-1】
内において等フガシティの制約を満たすという事実、又は、収束のための反復回数を減らす精確な推測を提供できるという事実。
【0043】
いくつかの実施では、非線形回帰が、より精確な初期K値の推定を得るために使用されることができる。非線形回帰は、EOSベースの解に一致させるようにパラメータwを最適化することによって、所与の圧力及び組成に関して{Ki}を予測する関数gを適合させるために、使用されることができる:
【数0043-1】
【0044】
いくつかの実施では、関数の回帰のためにANNを使用することができて、ユーザ定義関数gの必要性を排除する。ANNの別の利点は、以下のものである:ANNは、比較的少ないパラメータを用いて複雑な非線形関係をとらえることができ、gの安価な計算を可能にする。関数の重みwは、予測データセット{Ki}と訓練データセットとの間の平均二乗誤差を最小にするために最適化される。二相領域におけるネガティブフラッシュ解に対応する{zi}及びPを、ANNを訓練するためのデータセットを構築するために選択できる。過学習は、早期の停止を用いること、及び満足する適合を生成するために必要なANNの隠れ層のニューロン数を最小にすること、によって回避される。
【0045】
図3は、本開示のいくつかの実施に従う、訓練済み機械学習モデルを用いる相平衡計算のための例示的なアルゴリズム300を示すフローチャートである。提示を明確にするために、引き続く説明は、この記述における他の図の文脈において方法300を概略的に説明する。しかしながら、方法300は、以下のように理解されよう:例えば、任意の適切なシステム、環境、ソフトウェア、及びハードウェア、又は、システム、環境、ソフトウェア、及びハードウェアの組み合わせ、によって、方法300を適宜に実行できること。いくつかの実施では、方法300の様々なステップを、並列で、組み合わせで、ループで、又は任意の順序で実行することができる。訓練を受けたモデル、つまり超臨界のRVM分類器、相数のRVM分類器、及び相分離のANN回帰モデルを、平衡相状態を計算するための新しいアルゴリズムを作成するために、一緒に、リンク付けできる。
【0046】
ハイレベルでは、例示的な方法は、3つのMLAを使用する。まず、該方法は、流体が超臨界であるか又は亜臨界であるかを特定するために、関連ベクトルマシン(RVM)を使用する。該流体が超臨界でない場合、該流体は、液体、気体、又は二相流体であるかどうかを特定するために、別のRVMを使用する。二相流体の場合は、相分離を特定するために、人工ニューラルネットワーク(ANN)を使用する。
【0047】
例示的なアルゴリズム300は、ステップ305から始まる。
【0048】
310では、シミュレーションセルが、フィード組成{zi}及び圧力Pのために照会される。
【0049】
315では、超臨界RVMモデルが、クラスラベルSC及び対応する確率値P(SC)を得るために評価される。
【0050】
320では、P(SC)が判別しきい値θ1を超える否かを特定する。P(SC)>θ1であれば、クラスラベルは、真の解として受け入れられて、アルゴリズム320は、ステップ325へ進む。さもなければ、RVM応答は拒絶され、アルゴリズム300は、360へ進み、そこでは、ネガティブフラッシュ法を用いて相状態を特定する。
【0051】
325では、SCの値が特定される。SC=0の場合、検出された相状態は、亜臨界であり、アルゴリズム300は、330へ進み、そこでは、アルゴリズム300は、平衡状態にある安定相の数を特定する。SC=1の場合、アルゴリズム300は、355へ進み、そこでは、超臨界相が検出され、解({xi}={yi}={zi}、β=0)が出力され、アルゴリズムは、365において止まる。
【0052】
330では、RVM分類器は、安定相の数#ph及びその確率P(#ph)を特定するために評価される。
【0053】
335では、P(#ph)が許容しきい値θ2を超えるか否かを特定する。P(#ph)>θ2の場合、RVM応答が、受け入れられ、アルゴリズム300は、340へ進む。そうでないときは、回答が拒絶されて、プロセスは、360へ進み、そこでは該入力が、ネガティブフラッシュ計算に転送される。
【0054】
340では、#phの値が特定される。#ph=0の場合、平衡相は、単相の気体状態({xi}=0、{yi}={zi}、β=1)に対応する。#ph=1の場合、平衡相は、単相液体状態({xi}={zi}、{yi}=0、β=0)に対応しており、アルゴリズム300は、355へ進む。#ph=2の場合、平衡相は、二相状態に対応する。相分離計算は、{xi}、{yi}及びβを特定するために実行されることができ、またアルゴリズムは、345へ進む。
【0055】
345では、相分離は、相分離ANN回帰モデルを実行することによって計算される。K値({Ki})は、訓練済み相分離回帰モデルを評価することによって計算される。
【0056】
350では、各成分のフガシティがチェックされる。両方の相内の全成分のフガシティがいくつかの許容誤差
【数0056-1】
内に等しい場合、ラッシュフォードライス(Rachford-Rice)方程式は、{x
i}、{y
i}及びβを計算するために、一回、解かれ、アルゴリズム300は、365において止まる。成分のフガシティが等しくない場合、予測された値{K
i}が、360においてネガティブフラッシュ法のために初期推定値として使用されて、アルゴリズムは、解が得られた後に365で止まる。
【0057】
アルゴリズムの結果は、精度及び計算速度向上を特定するために、同じ入力のためのネガティブフラッシュ結果と比較されることができる。誤差は、以下の2つの原因から生じる可能性がある;RVMの誤分類率;及び、二相領域における等フガシティ制約を満たさない結果としての気体分率における平均絶対相対誤差(AARE)。
誤分類率は、次のように定義できる:
【数0057-1】
ここで、[...]は、アイバーソンの記法を表し、mは、例の総数であり、Y
iは、j番目の例におけるRVMによって予測されたクラスラベルであり、また、
【数0057-2】
(yの上側に^が乗る)は、ネガティブフラッシュ法を用いて計算されたクラスラベルである。気体分率のAAREは、次のように計算される:
【数0057-3】
ここで、β
jは、j番目の例におけるアルゴリズムによって予測された気体分率であり、
【数0057-4】
(βの上側に^が乗る)は、ネガティブフラッシュ解に対応する気体分率である。スピードアップは、このアルゴリズム及びネガティブフラッシュ法における収束に必要なラッシュフォードライス反復の平均回数の差として測定されることができる。この測定は、訓練済みモデルを評価するための計算コストは含まず、しかし被る追加コストは、ラッシュフォードライス反復のコストに比べて小さく、結果は変わらない。アルゴリズムのスピードアップと精度を、θ
1、θ
2及び
【数0057-5】
を選択することによって調整できる。許容範囲を緩く設定すると、速いが近似的な回答を生成し、逆も同様である。
【0058】
迅速な相挙動特定のためのアルゴリズムを、複雑さの増す3つの異なる貯留層流体混合物:3成分、6成分,及び13成分の混合物を用いてテストすることができる。すべての場合、圧力及び組成の範囲が考慮され、圧力及び組成に関して、状態図は、超臨界領域及び亜臨界領域を含む。
【0059】
図4Aは、本開示のいくつかの実施に従う、所与の温度及び圧力における炭化水素混合物の例示的な相挙動を示す状態
図400aである。この例では、状態図は、260ケルビン(K)及び7メガパスカル(MPa)におけるCH
4-C2H
6-CO
2三元系の場合である。CH
4-C2H
6-CO
2混合物の相挙動は、260K及び7MPaにおいてC
2H
6及びCH
4のモル分率に関するネガティブフラッシュ計算を用いて生成される。状態
図400aは、超臨界領域410aと亜臨界領域とを分離する臨界面490aを示す。亜臨界領域は、液体領域420a、気体及び液体の混合領域430a、並びに気体領域440aを含む。状態
図400aは、また、二相領域を境界付けた沸点曲線450a及び露点曲線460aを示す。
【0060】
図4Bは、本開示のいくつかの実施に従う、超臨界相、亜臨界液相、亜臨界気相、及び亜臨界二相領域に分類するために訓練された2つの機械学習モデルと一緒に、所与の温度及び圧力における炭化水素混合物の別の例示的な相挙動を示す状態
図400bである。この状態図のためのデータセットは、ネガティブフラッシュ法を用いて計算され、また該データセットは、2つのRVMを訓練するために使用される。一方のRVMモデルは、入力流体を、超臨界410b又は亜臨界のいずれかのものとして分類する。このモデルの場合、関連ベクトルは、白丸490bとして表わされる。別のRVMモデルは、流体を、液体420b、気体440b、又は二相混合物430bとして分類する。このモデルの場合、関連ベクトルは、二相境界上にあり、白星印の470bとして示される。
【0061】
3つのケースの各々の場合、状態図データは、3つの機械学習モデルを訓練するために使用される。訓練済みRVMモデルは、θ
1及びθ
2が最小値0.5に設定されている場合でも、98.9%を超える精度で、平衡状態における臨界挙動及び安定相の数を予測できる。
図4Bに、260K及び7MPaにおける三成分混合物のための安定相の数と臨界相とを予測するRVMモデルを示す。この図は、以下のことを示している:第1RVMモデルが、臨界面にある関連ベクトルを用いて超臨界領域及び亜臨界領域を分離すること。同様に、第2RVMモデルは、関連ベクトルを用いて二相の境界を表すために、単相液体、単相気体、及び二相領域を識別する。ANN回帰モデルは、関心ある流体混合物にわたるEOSベースのモデルから計算された値の10
-4範囲に{Ki}を予測するために、隠れ層における25個から50個のニューロンを使用する。
【0062】
訓練済みモデルは、引き続き、アルゴリズムに統合され、5×10
5の入力-出力例を用いてテストを受ける。ラッシュフォードライスの反復回数、及び該方法によって予測された相平衡解は、スピードアップ及び精度を測定するために、ネガティブフラッシュ解と比較される。さらにまた、比較が、総誤差に対するこれらのパラメータと相挙動計算の計算コストとの影響を調べるために、異なる値θ
1、θ
2及び
【数0062-1】
のところで、実行される。調査の結果は、
図5に例示される。
【0063】
図5は、本開示のいくつかの実施に従う、高速フラッシュアルゴリズムを用いた、スピードゲインに関する例500の誤分類誤差及び平均絶対相対誤差を示す図面である。この誤差は、二相の結果における気体分率における誤分類誤差と平均絶対相対誤差(AARE)との合計である。そのスピードアップは、該アルゴリズムと従来のネガティブフラッシュとの間のラッシュフォードライスの反復回数における相対的な減少として定義される。このアルゴリズムは、すべてのケースにわたって、最大5%の誤差を持ち90%を超えるスピードゲインを提供する。
図5に示すように、このアルゴリズムは、EOSの解に対して誤差10
-3オーダー台の誤差を持ち20%を超える相平衡計算の計算コストを削減できる。このスピードアップは、θ
1=θ
2=0.995及び
【数0063-1】
のときに、13成分モデルにおける25%と、3成分モデルにおける76%との間で変化する。このアルゴリズムは、高価な反復計算が機械学習モデルの安価な関数評価によって置き換えられるという事実に起因して、従来の相平衡計算よりも高速である。θ
1及びθ
2の値が0.5に緩和されると共に
【数0063-2】
の値が10
-2に緩和されると、測定されるスピードアップは、95%を超え、しかし最大誤差も4.6%まで増加する。総誤差は増加しており、なぜなら、気体分率において誤分類率とAAREとの両方が増加するからである。誤分類率が増加し、なぜなら、信頼度の低いラベルが正解として受け入れられるからである。
【数0063-3】
が増加するとき、等フガシティ制約が満たされなくなり、また気体分率のAAREが増加し、なぜなら。収束した解が得られるまで相分離問題は解決されないからである。
【0064】
平衡相特定のための機械学習に基づくアルゴリズムは、ネガティブフラッシュ法単独を超えていくつかの利点を提供する。主な利点の1つは、計算時間の削減である。この削減が、合成貯留層シミュレーションの全体的な実行時間を短縮でき、これによって、貯留層シミュレーションエンジニアに、いくつかの利点を提供する:エンジニアは、固定時間枠の中において、より多くのシミュレーションを完了できる、又はエンジニアは、より多くの成分を液相モデルに含め又はより多くのセルを地質モデルに含めるために、計算における節約分を使用できる。
【0065】
計算時間の削減は、臨界境界付近に流体を含む貯留層のシミュレーションに特に有利となる。これらの貯留層は、EORのために超臨界CO2が注入された貯留層、揮発性油貯留層、及びガスコンデンセート貯留層を含むことが多い。ネガティブフラッシュ法は、臨界境界から遠く離れている系と比較される場合、臨界境界近くの流体に対して多数の反復を必要とする。機械学習に基づくアルゴリズムは、流体混合物が超臨界であるかを特定するためにRVMモデルを使用するので、これらの反復が回避されることができ、シミュレーションがより速く動作することができる。
【0066】
機械学習に基づくアルゴリズムの別の利点は、以下のことである:所望のスピードアップをその許容誤差に応じて選択できること。この能力は、RVMの使用に由来する。我々のRVMモデルは、流体相の予測(例えば、流体が超臨界であるか否か)と信頼度推定との両方を提供するので、信頼度の推定値がしきい値未満である場合、我々のアルゴリズムによれば、ネガティブフラッシュ計算が予測に取って代わることを可能にする。しきい値を減少させることによって、信頼性の低い予測が許容されると共にアルゴリズムの精度が低下し、しかしスピードアップは増加する。
【0067】
トレードオフ曲線が、
図5において3つの液相サンプルについてプロットされており、
図5は、C1―C2―CO
2混合物のトレードオフ曲線510、ペダーソン13成分混合トレードオフ曲線520、及びSPE5の6成分トレードオフ曲線530を含む。これらのタイプのプロットは、所与の実行時間に対して望ましい精度を設定するために、貯留層シミュレーションエンジニアによって使用されることができる。エンジニアが、0.01%未満の誤差の受け入れを選択した場合、我々の結果は、アルゴリズムが20%より大きなスピードアップを提供するであろうことを示唆する。信頼性の低い解を取り除くと共にそれによって実行時間に精確さを交換する能力は、SVMを用いても、とうてい不可能である。
【0068】
相平衡計算をスピードアップする他の方法と比較して、機械学習に基づくアルゴリズムは、伸張性を持つ。この方法は、訓練段階の場合にのみスピードが相の挙動計算に依存するので、スピードを犠牲にすることなく、摂動連鎖統計的結合流体理論(PC-SAFT:perturbed-chain statistical association fluid theory)又はキュービックプラス結合(CPA:cubic-plus-association)といった非3次(非キュービック)EOSを含めて、ペン・ロビンソン(Peng-Robinson)(PR)又はソアブ・レドリッチ・クォン(Soave-Redlich-Kwong)(SRK)以外のEOSへ拡張されることができる。非3次EOSは、三次EOSよりも精確であり、しかし貯留層シミュレーションにはあまり使用されることなく、なぜなら、非三次EOSのための相挙動計算は、3次EOSの相挙動計算より3倍高価であるからである。対照的に、削減方法は、それはバイナリ相互作用パラメータ(BIP)マトリクスのスパース性を利用するものであって、非三次EOSを用いてモデル化された混合物へは簡単には拡張されることができない。様々なEOSに拡張性を提供する一方で、該アルゴリズムは、また、2つを超える安定相の問題へ拡張されることができる。マルチクラス分類は、相空間の各領域にラベルを割り当てるために使用されることができ、異なるラベルを単相気体、単相液体、及び二相混合物に割り当てるやり方に似ている。
【0069】
機械学習に基づくアルゴリズムは、他の方法と比較すると、少ないデータ記憶を要求し、またグリッドセルの流体組成の経時的な変化に敏感ではない。このアルゴリズムは、組成空間パラメータ化(CSP)、組成空間集計(CST)、及び組成空間適応集計(CSAT)といった方法より少ないデータ記憶を要求し、これらの方法は、タイラインリストを保存し及び検索する。これらのリストが大きくなるにつれて、これらの方法のスピードも低下する。最終的に、アルゴリズムのスピードは、グリッドセル内の流体組成が経時的にどのように変化するかによって影響されない。対照的に、以前の時間ステップからの相平衡解を使用する方法は、その解が現在の解を精確に近似していない場合に、小さなスピードアップを提供することになるであろう。アルゴリズムのこの特徴は、何十億ものシミュレーションセルを有する貯留層シミュレーションの場合に重要になり得る。このような高解像度シミュレーションでは、数値の散逸は、低解像度シミュレーションより少なく、またその結果として、グリッドセル内の流体組成は、時間ステップ間においてより大きな変化を示すだろう。
【0070】
貯留層シミュレータに利益となることに加えて、機械学習に基づくアルゴリズムは、石油業界の他の用途にも利益になる可能性がある。これにより、地表施設での生産流体の分離、パイプラインにおける炭化水素類の流れ、原油の蒸留、といった相平衡を特定することを必要とするプロセスのシミュレーション時間を短縮できる。
【0071】
この方法は、他の高速フラッシュ技術と比較するときいくつかの利点がある一方で、該方法は、また、いくつかの欠点を有する。第1に、この手法を貯留層シミュレータに適用すると、プロセスワークフローに影響を及ぼすことになり、なぜなら、EOSモデルのパラメータを最適化することに加えて、機械学習に基づくモデルを訓練する必要があるからである。第2に、訓練手順を自動化することが可能ではなく、なぜなら、MLAを選ぶことが精確なモデルを得るために重要であるからである。しかしながら、このプロセスは、ヒューリスティック(蓄積経験的)であり、また最高の精度でモデルは、同定するために、いくつかの機械学習方法について調査されることを必要とする。更なる作業が、アルゴリズムの段階毎に様々な機械学習方法の有効性を検討するために、必要とされる。このような検討の結果は、適合プロセスを自動化するために、また貯留層シミュレータの入力として、訓練済みモデルを生成するために、使用されることができる。この方法の別の欠点は、以下のことである:モデルが、訓練段階において使用された圧力範囲にわたってのみ適用可能であること。圧力がこれらの限界を超える場合、この方法は、スピードを向上させないことがある。このような場合、従来の相計算は、訓練の範囲外の圧力に対して使用されることができ、又は、必要とあれば、拡張された圧力範囲に対応する状態図にわたってモデルを再訓練することができる。
【0072】
図6は、本開示において説明された、アルゴリズム、方法、機能、プロセス、フロー、及び手順に関連する計算機能を提供するために用いられる例示的なコンピュータシステム600のブロック図である。図示のコンピュータ602は、サーバ、デスクトップコンピュータ、ラップトップ/ノートブックコンピュータ、ワイヤレスデータポート、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、タブレットコンピューティングデバイス、これらデバイス内の1又は複数のプロセッサといった任意のコンピューティングデバイス、又は、コンピューティングデバイスの物理的若しくは仮想的インスタンス(若しくは両方)を含む他の適切な任意の処理デバイスを含むことを意図している。さらに、コンピュータ602は、キーパッド、キーボード、タッチスクリーン、又は、ユーザ情報を受け入れることができる他のデバイスといった入力デバイスと、デジタルデータ、視覚情報、音声情報(若しくは情報の組み合わせ)、又は、グラフィカルタイプのユーザインタフェース(UI)(若しくはGUI)を含む、コンピュータ602の作動に関連する情報を伝達する出力デバイスとを有するコンピュータを含むことができる。
【0073】
コンピュータ602は、本開示において説明された主題を実行するためのコンピュータシステムの、クライアント、ネットワークコンポーネント、サーバ、データベース若しくは他のパーシステンシ、又は、他の任意のコンポーネントとしての役割(又は役割の組み合わせ)を果たすことができる。図示のコンピュータ602は、ネットワーク630と通信できるように結合している。いくつかの実施では、コンピュータ602の1又は複数のコンポーネントは、クラウドコンピューティングに基づく環境、ローカル環境、グローバル環境、又は、他の環境(又は、組み合わせ環境)を含む環境で作動するように構成できる。
【0074】
ハイレベルでは、コンピュータ602は、記載の主題に関連するデータ及び情報を、受信し、送信し、処理し、格納し、又は管理するように作動可能なコンピューティングデバイスである。いくつかの実施では、コンピュータ602は、アプリケーションサーバ、電子メールサーバ、ウェブサーバ、キャッシングサーバ、ストリーミングデータサーバ、又は他のサーバ(又はサーバの組み合わせ)を含むことができ、又は、それらと通信できるように結合することができる。
【0075】
コンピュータ602は、クライアントアプリケーション(例えば、別のコンピュータ602上で実行される)から、ネットワーク630を介して要求を受信し、適切なソフトウェアアプリケーションを用いて受信要求を処理することによって、受信した要求に応答することができる。さらに、要求は、内部ユーザ(例えば、コマンドコンソールから、又は、他の適切なアクセス方法によって)、外部若しくはサードパーティ、他の自動化アプリケーション、及び、他の適切な、エンティティ、個人、システム、若しくはコンピュータから、コンピュータ602へ送信することもできる。
【0076】
コンピュータ602の各コンポーネントは、システムバス603を通して通信することができる。いくつかの実施では、コンピュータ602のコンポーネントのいずれか又は全て、ハードウェア又はソフトウェア(又はハードウェアとソフトウェアの両方の組み合わせ)は、互いに、又はアプリケーションプログラミングインタフェース(API)612若しくはサービスレイヤ613(若しくはAPI612とサービスレイヤ613との組み合わせ)を用いるシステムバス603を介するインタフェース604(若しくは両方の組み合わせ)を通して、インタフェースで接続することができる。そのAPI612は、ルーチン、データ構造、及びオブジェクトクラスの仕様を含むことができる。そのAPI612は、コンピュータ言語に依存せず又はコンピュータ言語に依存して、完全なインタフェース、単一の機能、又はAPIのセットさえも参照することができる。サービスレイヤ613は、コンピュータ602又はコンピュータ602に通信できるように結合される他のコンポーネント(図示しているか否かにかかわらず)へソフトウェアサービスを提供する。コンピュータ602の機能は、このサービスレイヤを用いて全てのサービス消費者のためにアクセスできる。サービスレイヤ613によって提供されるものといったソフトウェアサービスは、定義されたインタフェースを通じて再利用可能な定義された機能を提供する。例えば、そのインタフェースは、JAVA(登録商標)、C++、又は拡張マークアップ言語(XML)フォーマット又は他の適切なフォーマットでデータを提供する他の適切な言語で書かれたソフトウェアであってもよい。コンピュータ602の統合コンポーネントとして図示されているが、代替の実施は、コンピュータ602の他のコンポーネント、又は通信可能に結合されたコンピュータ602の他のコンポーネント(図示しているか否かにかかわらず)に関連して、スタンドアロンコンポーネントとしてAPI612又はサービスレイヤ613を図示することができる。さらに、API612又はサービスレイヤ613のいずれか又はすべての部分を、本開示の範囲から逸脱することなく、別のソフトウェアモジュール、エンタープライズアプリケーション又はハードウェアモジュールのチャイルド又はサブモジュールとして実施することができる。
【0077】
コンピュータ602は、インタフェース604を含む。
図6では、単一のインタフェース604として示されているけれども、2つ以上のインタフェース604を、コンピュータ602の特定のニーズ、要望、又は特定の実施に従って用いることができる。インタフェース604は、分散環境において(図示しているか否かにかかわらず)ネットワーク630に接続される他のシステムと通信するためにコンピュータ602によって用いられる。一般に、インタフェース604は、ソフトウェア又はハードウェア(又はソフトウェアとハードウェアの組み合わせ)においてエンコードされた論理を構成し、ネットワーク630と通信するように作動可能である。より具体的には、インタフェース604は、ネットワーク630又はインタフェースのハードウェアが、図示のコンピュータ602の内部及び外部との間で物理信号を通信可能であるように、通信に関連付けられた1又は複数の通信プロトロルをサポートするソフトウェアを構成することができる。
【0078】
コンピュータ602は、プロセッサ605を含む。
図6では、単一のプロセッサ605として図示されているけれども、コンピュータ602の特定のニーズ、要望、又は特定の実施に従って2つ以上のプロセッサを用いることができる。一般に、プロセッサ605は、命令を実行し、データを操作してコンピュータ602の作動及び任意のアルゴリズム、方法、機能、並びに、本開示に記載するプロセス、フロー、及び手順を実行する。プロセッサの例として、中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、マイクロコントローラ(MCU)、及び多くの統合コア(MIC)が挙げられる。
【0079】
コンピュータ602は、コンピュータ602、又は、(図示しているか否かにかかわらず)ネットワーク630に接続できる他のコンポーネント(又は両方の組み合わせ)のためにデータを保持できるデータベース606を含む。例えば、データベース606は、インメモリ、従来型、又は、本開示と一致するデータを格納する他のタイプのデータベースであってもよい。いくつかの実施では、データベース606は、コンピュータ602及び記載する機能の特定のニーズ、要望、又は特定の実施に従って、2以上の様々なデータベースタイプ(例えば、ハイブリッドインメモリ及び従来のデータベース)の組み合わせであってもよい。
図6では、単一のデータベース606として図示されているけれども、(同じ又はタイプの組み合わせの)2つ以上のデータベースを、コンピュータ602及び記載する機能の特定のニーズ、要望、又は特定の実施に従って用いることができる。データベース606は、コンピュータ602の統合コンポーネントとして図示されているけれども、代替の実施では、データベース606は、コンピュータ602の外部にあってもよい。
【0080】
コンピュータ602は、コンピュータ602、又は(示しているか否かにかかわらず)ネットワーク630に接続することができる他のコンポーネント(又は、両方の組み合わせ)のためにデータを保持できるメモリ607を含む。メモリ607は、本開示に整合する任意のデータを格納することができる。いくつかの実施では、メモリ607は、コンピュータ602及び記載された機能の特定のニーズ、要望、又は特定の実施に従って、2つ以上の様々なタイプのメモリの組み合わせ(例えば、半導体と磁気記憶装置との組み合わせ)であってもよい。
図6では、単一のメモリ607として図示されているけれども、(同じ又はタイプの組み合わせの)2つ以上のメモリ607を、コンピュータ602及び記載された機能の特定のニーズ、要望、又は特定の実施に従って使用することができる。メモリ607は、コンピュータ602の統合コンポーネントとして図示されているけれども、代替の実施では、メモリ607は、コンピュータ602の外部にあってもよい。
【0081】
アプリケーション608は、特に本開示において説明された機能に関して、コンピュータ602の特定のニーズ、要望、又は特定の実施に従う機能を提供するアルゴリズムソフトウェアエンジンである。例えば、アプリケーション608は、1又は複数のコンポーネント、モジュール、又はアプリケーションとして提供することができる。さらに、アプリケーション608は、単一のアプリケーション608として図示されているけれども、コンピュータ602上で複数のアプリケーション608として実施されることができる。さらに、(アプリケーション608は)コンピュータ602に統合されているものとして示されているけれども、代替の実施では、アプリケーション608は、コンピュータ602の外部にあってもよい。
【0082】
コンピュータ602は、電源614を含むこともできる。電源614は、ユーザ交換可能又はユーザ交換不可で構成できる充電式又は非充電式電池を含むことができる。いくつかの実施では、電源614は、電力変換又は(充電、スタンバイ、又は他の電力管理機能を含む)管理回路を含むことができる。いくつかの実施では、電源装置614は、例えば、コンピュータ602に電力を供給するために、又は充電式電池を充電するために、コンピュータ602を壁上のソケット、又は、他の電源につなげる電源プラグを含むことができる。
【0083】
ネットワーク630を介して通信するコンピュータ602を含むコンピュータシステムに関連付けられたコンピュータ602の数、又は、コンピュータシステムの外部にあるコンピュータ602の数は任意である。さらに、用語「クライアント」、「ユーザ」及び他の適切な用語は、必要に応じて、本開示の範囲から逸脱することなく同義で使うことができる。さらに、本開示は、多くのユーザが1つのコンピュータ602を使用できること、又は、1のユーザが複数のコンピュータ602を使用できることも考慮されている。
【0084】
主題の記載された実施は、単独で又は組み合わせで、1又は複数の特徴を含むことができる。
【0085】
例えば、ある実施において、コンピュータにより実施される方法は、ネガティブフラッシュ計算を用いて訓練データセットを生成し;超臨界相及び亜臨界相を識別するために、第1機械学習アルゴリズムを訓練し;亜臨界相における安定相の数を識別するために、第2機械学習アルゴリズムを訓練し;1又は複数の識別された安定相を持つ亜臨界相の相分離を特定するために、第3機械学習アルゴリズムを訓練する、ことを含む。
【0086】
先の実施及び他の記載された実施は、それぞれ、任意選択的に、以下の特徴の1又は複数を含むことができる:
【0087】
第1特徴は、以下の特徴のいずれかと組み合わせ可能であり、訓練データセットは、入力データポイント及び出力データポイントを含み、出力データポイントは、入力データポイントに基づきネガティブフラッシュ計算を用いて計算される。
【0088】
第2特徴は、先の又は以下の特徴のいずれかと組み合わせ可能であり、出力データポイントは、超臨界データポイント、亜臨界単相データポイント、及び亜臨界二相データポイントを含む。
【0089】
第3特徴は、先の又は以下の特徴のいずれかと組み合わせ可能であり、第1機械学習アルゴリズムは、RVMアルゴリズムである。
【0090】
第4特徴は、先の又は以下の特徴のいずれかと組み合わせ可能であり、第1機械学習アルゴリズムは、分類問題を解くことによって訓練される。
【0091】
第5特徴は、先の又は以下の特徴のいずれかと組み合わせ可能であり、第2機械学習アルゴリズムは、RVMアルゴリズムである。
【0092】
第6特徴は、先の又は以下の特徴のいずれかと組み合わせ可能であり、第2機械学習アルゴリズムは、マルチクラスの分類問題を解くことによって訓練される。
【0093】
第7特徴は、先の又は以下の特徴のいずれかと組み合わせ可能であり、第3機械学習アルゴリズムは、人工ニューラルネットワークアルゴリズムである。
【0094】
第8特徴は、先の又は以下の特徴のいずれかと組み合わせ可能であり、相分離を特定することは、1つの安定相より多い数の安定相毎にモル分率及びモル組成を特定することを含む。
【0095】
第9特徴は、先の又は以下のいずれかの特徴と組み合わせ可能であり、等温相の平衡を計算するために、訓練を受けた第1機械学習アルゴリズム、訓練を受けた第2機械学習アルゴリズム、及び訓練を受けた第3機械学習アルゴリズムを用いることを更に含む。
【0096】
第10特徴は、先の又は以下のいずれかの特徴と組み合わせ可能であり、計算された等温相の平衡に基づき、貯留層シミュレーションのための1又は複数のヤコビ行列を構築することを更に含む。
【0097】
本明細書において説明された主題及び機能上の操作の実施は、デジタル電子回路において、又は、明白に具現化されたコンピュータソフトウェア若しくはファームウェアにおいて、又は、本明細書に開示された構造とそれらの構造上の均等物とを含むコンピュータハードウェアにおいて、又は、それらのうちの1又は複数の組み合わせにおいて実施できる。記載された主題のソフトウェアの実施は、1又は複数のコンピュータプログラム、つまりデータ処理装置の作動によって実行し又は制御するためのコンピュータによって読み取り可能であり有形で非一時的なコンピュータ記憶媒体にエンコードされたコンピュータプログラム命令の1又は複数のモジュールとして実施されることができる。代替的に又は追加的に、プログラム命令は、人工的に生成された伝搬信号、例えばデータ処理装置による実行のために、適切な受信装置への送信のための情報をエンコードするために生成された機械生成の電気信号、光信号、若しくは電磁信号内に又は上にエンコードされることができる。コンピュータ記憶媒体は、機械により読み取り可能な記憶デバイス、機械により読み取り可能な記憶基板、ランダム若しくはシリアルアクセスメモリデバイス、又はコンピュータ記憶媒体の組み合わせであってもよい。1又は複数のコンピュータを構成するということは、ソフトウェアが1又は複数のコンピュータによって実行されるときに、特定の計算操作が実行されるように、1又は複数のコンピュータに、ハードウェア、ファームウェア、又はソフトウェア(又はハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアの組み合わせ)が設置された(インストールされた)状態にあることを意味する。
【0098】
用語「リアルタイム(real-time)」、「リアルタイム(real time)」、「リアルタイム(realtime)」、「リアル(高速)タイム(RFT)」、「ほぼリアルタイム(NRT)」、「準リアルタイム」等、又は、(当業者によって理解されるような)類似の用語は、本質的に同時に発生する行動及び応答を個々が知覚するように、行動及び応答が時間的に近接していることを意味する。例えば、データにアクセスするその個々のアクションに引き続くデータの表示への応答(又は表示の開始)の時間差は、1ミリ秒未満、1秒未満、又は5秒未満であってもよい。要求されたデータは直ちに表示する(又は表示のために開始する)必要はないが、記載のコンピューティングシステムの処理制限と、例えばデータの収集、精確な測定、分析、処理、保存、又は送信のために必要な時間とを考慮して、意図的な遅延なく表示(又は表示のために開始)される。
【0099】
用語「データ処理装置」、「コンピュータ」又は「電子コンピュータデバイス」(又は当業者の一人によって理解される等価物)は、データ処理ハードウェアを指し、例えばプログラム可能なプロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサ及びコンピュータを含む、データを処理するためのあらゆる種類の装置、デバイス、及び機械を包含する。この装置は、専用論理回路、例えばCPU、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、又はASIC(特定用途向け集積回路)であってもよく、さらにそれらを含む装置であってもよい。いくつかの実施では、データ処理装置又は専用論理回路(又は、データ処理装置若しくは専用論理回路の組み合わせ)は、ハードウェアベース又はソフトウェアベース(又はハードウェアベース及びソフトウェアベースの両方に基づく組み合わせ)であってよい。この装置は、コンピュータプログラムの実行環境を作成するコード、例えばプロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、又は実行環境の組み合わせを構成するコード、を任意選択的に含むことができる。本開示は、従来のオペレーティングシステム、例えばLINUX、UNIX(登録商標)、WINDOWS(登録商標)、MAC OS、ANDROID(登録商標)、IOS、又は、任意の他の適切な従来のオペレーティングシステムを持つ若しくは持たないデータ処理装置の使用を考慮している。
【0100】
コンピュータプログラムは、プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、モジュール、ソフトウェアモジュール、スクリプト、又はコードとして参照される若しくは記述されるものであって、コンパイル済み(コンパイル型)の若しくはインタプリッタ済み(インタプリッタ型)の言語、又は宣言型若しくは手続き型言語を含む、プログラミング言語の任意の形式で記述でき、さらにスタンドアロンプログラムとして、又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、若しくはコンピューティング環境での使用に適した他のユニットとして、任意の形式で展開できる。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応でき、しかし対応する必要はない。プログラムは、他のプログラム若しくはデータを保持するファイルの一部、例えばマークアップ言語ドキュメント、問題にしているプログラムに関係する単一ファイル、又は、例えば1若しくは複数のモジュール、サブプログラム、若しくはコード部分を格納するファイルのような多数の連携ファイル、内に保存されることができる。コンピュータプログラムは、1のコンピュータ上に、若しくは1のサイトに配置される、又は複数のサイトに分散されると共に、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行するように展開されることができる。
【0101】
様々な図面に示されたプログラムの一部は、多様なオブジェクト、方法、又は他のプロセスを通じて多様な特徴及び機能を実施する個別のモジュールとして示されている一方で、そのプログラムは、代わりに、多数のサブモジュール、サードパーティのサービス、コンポーネント、ライブラリ、及びそのようなものを、必要に応じて含むことができる。逆に、必要に応じて、多様なコンポーネントの特徴及び機能を組み合わせて単一のコンポーネントにすることができる。計算上での特定を行うために用いられるしきい値は、静的、動的、又は静的及び動的の両方で特定できる。
【0102】
本明細書において説明された方法、プロセス、又は論理フローは、入力データを操作して出力を生成することによって機能を実行するための1又は複数のコンピュータプログラムを実行する1又は複数のプログラム可能なコンピュータによって実行できる。その方法、プロセス、又は論理フローは、専用論理回路、例えばCPU、FPGA、又はASICによって実行されることができ、又は、装置は、専用論理回路、例えばCPU、FPGA、又はASICとして実施されることができる。
【0103】
コンピュータプログラムの実行に適したコンピュータは、汎用若しくは専用のマイクロプロセッサ、その両方、又は任意の他の種類のCPUに基づくことができる。一般に、CPUはメモリから命令及びデータを受信し、それをメモリに書き込む。コンピュータの必須な要素は、命令を実行する(perform)又は実行する(execute)ためのCPU、並びに、命令及びデータを格納するための1又は複数のメモリデバイスである。一般に、コンピュータは、データを格納するための1若しくは複数の大容量記憶装置、例えば磁気、光磁気、若しくは光ディスクを含み、或いは、それらからデータを受信し、転送し、若しくはその両方を行うように、作動可能に結合される。しかし、コンピュータは、必ずしもそのような装置を有する必要はない。さらに、コンピュータは、別のデバイス、例えば携帯電話、携帯情報端末(PDA)、モバイルオーディオ若しくはビデオプレーヤ、ゲームコンソール、全地球測位システム(GPS)受信機、又はポータブルストレージ、例えばほんの数例を挙げると、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブ、に組み込まれることができる。
【0104】
コンピュータプログラムの命令とデータとを保存するのに適した(必要に応じて一時的又は非一時的な)コンピュータにより読み取り可能な媒体は、すべての方式の永久/非永久又は揮発性/不揮発性メモリ、媒体、及びメモリデバイスを含み、例示として半導体メモリデバイス、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、相変化メモリ(PRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、消去可能でプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能でプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)、及びフラッシュメモリデバイスを含み;磁気デバイス、例えばテープ、カートリッジ、カセット、内蔵/リムーバブルディスク、光磁気ディスク;及び、光メモリデバイス、例えばデジタルビデオディスク(DVD)、CD-ROM、DVD+/-R、DVD-RAM、DVD-ROM、HD-DVD、BLURAY、及びその他の光学メモリ技術の光学メモリデバイスを含む。メモリは、キャッシュ、クラス、フレームワーク、アプリケーション、モジュール、バックアップデータ、ジョブ、Webページ、Webページテンプレート、データ構造、データベーステーブル、動的情報を格納するリポジトリ、及び、パラメータ、変数、アルゴリズム、命令、ルール、制約、又は参照、を含むその他適切な情報を含む、様々なオブジェクト又はデータを格納できる。さらに、メモリは、ログ、ポリシ、セキュリティ又はアクセスデータ、レポートファイルといったその他の適切なデータを含めることができる。プロセッサ及びメモリは、専用論理回路によって補完され又は組み込まれることができる。
【0105】
ユーザとの対話を提供するために、本明細書において説明された主題の実施は、ユーザに情報を表示するためのディスプレイ装置、例えばCRT(陰極線管)、LCD(液晶ディスプレイ)、LED(発光ダイオード)、若しくはプラズマモニタと、ユーザがコンピュータに入力を提供できるキーボード及びポインティングデバイス、例えばマウス、トラックボール、トラックパッドと、を有するコンピュータ上において実行されることができる。入力は、圧力感度を有するタブレットコンピュータサーフェス、静電容量式又は電気式の感知を用いるマルチタッチスクリーン、その他のタイプのタッチスクリーンといったタッチスクリーンを用いてコンピュータに提供されることができる。その他の種類のデバイスは、ユーザとの対話を提供するために、同様に使用されることができる。例えば、ユーザに与えられるフィードバックは、任意の形態の感覚的フィードバック、例えば視覚的フィードバック、聴覚的フィードバック、又は触覚的フィードバックであってもよい。また、ユーザからの入力は、音響、音声、又は触覚の入力を含む任意の形式で受け取られることができる。さらに、コンピュータは、ユーザが用いるデバイスからドキュメントを受信し、また該デバイスへドキュメントを送信することによって、例えばWebブラウザから受信した要求に応答して、ユーザのクライアントデバイスのWebブラウザへWebページを送信することによって、ユーザと相互作用することができる。
【0106】
用語「グラフィカルユーザインタフェース」又は「GUI」は、単数形又は複数形で、1又は複数のグラフィカルユーザインタフェース及び特定のグラフィカルユーザインタフェースの各ディスプレイを表すことに用いることができる。したがって、GUIは、任意のラフィカルユーザインタフェースを表わすことができ、また限定されるものではないが、Webブラウザ、タッチスクリーン、又は情報を処理すると共にユーザに情報の結果を効率的に提示するコマンドラインインタフェース(CLI)を含む。一般に、GUIは、インタラクティブフィールド、プルダウンリスト、ボタンといった複数のユーザインタフェース(UI)要素を含み、その一部又はすべてがWebブラウザに関連付けられる。これら及び他のUI要素は、Webブラウザに機能に関連付けられ、又はWebブラウザの機能を表すことができる。
【0107】
本明細書において説明された主題の実施は、例えばデータサーバとしてのバックエンドコンポーネントを含むコンピューティングシステムで、又はミドルウェアコンポーネント、例えばアプリケーションサーバ、を含むコンピューティングシステムで、又は、フロントエンドコンポーネント、例えば本明細書において説明された主題の実施と相互作用をすることができるグラフィカルユーザインタフェース若しくはWebブラウザを有するクライアントコンピュータを含むコンピューティングシステムで、又は1若しくは複数のそのようなバックエンド、ミドルウェア、若しくはフロントエンドコンポーネントの任意の組み合わせを含むコンピューティングシステムで、実施されることができる。このシステムのコンポーネントは、例えば通信ネットワークのような、有線又は無線(又は、両方の組み合わせ)のディジタルデータ通信の任意の形態又は媒体によって相互に接続することができる。通信ネットワークの例として、ローカルエリアネットワーク(LAN)、無線アクセスネットワーク(RAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、ワールドワイド・インターオペラビリティ・フォー・マイクロウェーブ・アクセス(WIMAX)、例えば802.11a/b/g/n若しくは802.20(若しくは802.11x及び802.20の組み合わせ、又は本開示に一致する他のプロトコル)のような無線LAN(WLAN)、インターネットのすべて若しくは一部、又は、他の通信システム若しくは1箇所以上の位置にあるシステム(又は、通信ネットワークの組み合わせ)が挙げられる。このネットワークは、例えば、インターネットプロトコル(IP)パケット、フレームリレーフレーム、非同期転送モード(ATM)セル、音声、ビデオ、データ、又は、ネットワークアドレス間の他の適切な情報(又は通信タイプの組み合わせ)を用いて通信できる。
【0108】
コンピューティングシステムは、クライアントとサーバを含むことができる。クライアントとサーバは、一般に、互いに離れていて、通常、通信ネットワークを介して相互作用する。クライアントとサーバとの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され且つ互いのクライアント/サーバ関係を持つコンピュータプログラムにより生起する。
【0109】
本明細書は、特定の実施の詳細を多く含んでいるが、これらは、いずれの発明の範囲に対しても特許請求の範囲に対してもそれらの制限として解釈するべきではなく、特定の発明の特定の実施に特定し得る特徴の記述として解釈すべきである。個別の実施の文脈において本明細書に説明されたある特徴を一の実施として、組み合わせで、実施することもできる。逆に、ある一つの実施の文脈において説明された多様な特徴を、複数の実施で個別に、又は、任意の適切なサブコンビネーションで実施することもできる。さらに、先に述べた特徴を、いくつかの組み合わせで作用するように記述することができ、最初からそのように請求することもできるけれども、請求した組み合わせの1又は複数の特徴を、場合によっては、組み合わせから削除でき、請求した組み合わせは、サブコンビネーション、又はサブコンビネーションの変形に向けたものであってもよい。
【0110】
主題の特定の実施について述べてきた。当業者に明らかであるように、記載された実施の他の実施、変更、及び置換は、以下の特許請求の範囲に含まれる。操作を特定の順序で図面又は請求項に示す一方で、これは、望ましい結果を達成するために、そのような操作を特定の順序で、又は順番で実行すること、又は(一部の操作は任意であると見なすことができる)全ての図示された操作の実行が必要であると理解するべきではない。状況によっては、マルチタスク又は並列処理(又はマルチタスクと並列処理との組み合わせ)が有利で適切であると見なして実行されることができる。
【0111】
さらに、先に述べた実施による様々なシステムモジュール及びコンポーネントの分離又は統合は、すべての実施においてそのような分離又は統合が必要であると理解するべきではなく、記載のプログラムコンポーネント及びシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品の中に一緒に一体化されることもでき、複数のソフトウェア製品にパッケージ化されることもできると理解すべきである。
【0112】
したがって、先に述べた実施例は、本開示を定義することも制約することもない。本開示の主旨及び範囲から逸脱することなく、他の変更、置換、及び代替が可能である。
【0113】
さらにまた、請求されるいずれの実施は、また、少なくとも、コンピュータにより実施される方法;コンピュータによる実施の方法を実行するためのコンピュータにより読み取り可能な命令を格納すると共にコンピュータにより読み取り可能で非一時的な媒体;及び、コンピュータメモリを含むコンピュータシステムに適用可能なであると考えられ、ここで、コンピュータメモリは、コンピュータにより実行される方法、又はコンピュータにより読み取り可能で非一時的な媒体に格納された命令、を実行するように構成されたハードウェアプロセッサに相互に運用可能に結合される。
構成1
コンピュータにより実施される方法であって:
ネガティブフラッシュ計算を用いて訓練データセットを生成するステップと;
超臨界相と亜臨界相とを識別するために、第1機械学習アルゴリズムを訓練するステップと;
前記亜臨界相におけるある数の安定相を識別するために、第2機械学習アルゴリズムを訓練するステップと;
1より大きな数の識別された安定相を有する前記亜臨界相の相分離を特定するために、第3機械学習アルゴリズムを訓練するステップと;を備える、
コンピュータにより実施される方法。
構成2
前記訓練データセットは、入力データポイント及び出力データポイントを含み、前記出力データポイントは、前記入力データポイントに基づき前記ネガティブフラッシュ計算を用いて計算される、
構成1に記載の方法。
構成3
前記出力データポイントは、超臨界データポイント、亜臨界単相データポイント、及び亜臨界二相データポイントを備える、
構成2に記載の方法。
構成4
前記第1機械学習アルゴリズムは、関連ベクトルマシン(RVM)アルゴリズムである、
構成1に記載の方法。
構成5
前記第1機械学習アルゴリズムは、分類問題を解くことによって訓練を受ける、
構成1に記載の方法。
構成6
前記第2機械学習アルゴリズムは、RVMアルゴリズムである、
構成1に記載の方法。
構成7
前記第2機械学習アルゴリズムは、マルチクラスの分類問題を解くことによって訓練される、
構成1に記載の方法。
構成8
前記第3機械学習アルゴリズムは、人工ニューラルネットワークアルゴリズムである、
構成1に記載の方法。
構成9
前記相分離を特定するステップは、1より多い数の安定相毎にモル分率及びモル組成を特定することを備える、
構成1に記載の方法。
構成10
前記訓練された第1機械学習アルゴリズム、前記訓練された第2機械学習アルゴリズム、及び前記訓練された第3機械学習アルゴリズムを用いて、等温相の平衡を計算するステップをさらに備える、
構成1に記載の方法。
構成11
前記計算された等温相の平衡に基づき、貯留層シミュレーションのための1又は複数のヤコビ行列を構築するステップをさらに備える、
構成10に記載の方法。
構成12
操作を実行するために、コンピュータシステムによって実行可能な1又は複数の命令を格納しておりコンピュータにより読み取り可能な非一時的な媒体であって、前記操作は:
ネガティブフラッシュ計算を用いて、訓練データセットを生成すること;
超臨界相と亜臨界相を識別するために、第1機械学習アルゴリズムを訓練すること;
前記亜臨界相中のある数の安定相を識別するために、第2機械学習アルゴリズムを訓練すること;
第3機械学習アルゴリズムを訓練すること;を備える、
コンピュータにより読み取り可能な非一時的な媒体。
構成13
前記出力データポイントは、超臨界データポイント、亜臨界単相データポイント、及び亜臨界二相データポイントを備える、
構成12に記載の媒体。
構成14
前記第1機械学習アルゴリズムは、関連ベクトルマシン(RVM)アルゴリズムであり、前記第2機械学習アルゴリズムは、RVMアルゴリズムであり、第3機械学習アルゴリズムは、人工ニューラルネットワークアルゴリズムである、
構成12に記載の媒体。
構成15
前記相分離を特定することは、前記1より大きい数の安定相毎にモル分率及びモル組成を特定することを備える、
構成12に記載の媒体。
構成16
前記訓練された第1機械学習アルゴリズムと、前記訓練された第2機械学習アルゴリズムと、前記訓練された第3機械学習アルゴリズムとを用いて等温相の平衡を計算する操作をさらに備える、
構成12に記載の媒体。
構成17
コンピュータにより実施されるシステムであって:
1又は複数のコンピュータと;
前記1又は複数のコンピュータと相互動作可能に結合され、前記1又は複数のコンピュータによって実行されるときに操作を実行する命令を格納する有形で非一時的であって機械読み取り可能な媒体を有する1又は複数のコンピュータメモリデバイスと;を備え、前記操作は:を備える、
システム。
構成18
前記出力データポイントは、超臨界データポイント、亜臨界単相データポイント、及び亜臨界二相データポイントを備える、
構成17に記載のシステム。
構成19
前記第1機械学習アルゴリズムは、関連ベクトルマシン(RVM)アルゴリズムであり、前記第2機械学習アルゴリズムは、RVMアルゴリズムであり、第3機械学習アルゴリズムは、人工ニューラルネットワークアルゴリズムである、
構成17に記載のシステム。
構成20
前記相分離を特定する操作は、1より大きい数の安定相毎のモル分率及びモル組成を特定する操作を備える、
構成17に記載のシステム。
【符号の説明】
【0114】
MLA 機械学習アルゴリズム
RVM 関連ベクトルマシン
ANN 人工ニューラルネットワーク
SVM サポートベクトルマシン
110 超臨界領域
120 亜臨界領域
122 単相亜臨界領域
130 境界線、第1分類器
140 境界曲線、第2分類器
124 二相亜臨界領域
600 コンピュータシステム
602 コンピュータ
603 システムバス
604 インタフェース
605 プロセッサ
606 データベース
607 メモリ
608 アプリケーション
612 アプリケーションプログラミングインタフェース(API)
613 サービスレイヤ
614 電源
630 ネットワーク