(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】調整可能自動ロック式乳頭筋バンド
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20230217BHJP
【FI】
A61F2/24
(21)【出願番号】P 2020522315
(86)(22)【出願日】2018-10-22
(86)【国際出願番号】 IB2018001370
(87)【国際公開番号】W WO2019081985
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-08-18
(32)【優先日】2017-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519351325
【氏名又は名称】カーディアック・サクセス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィド・ノイシュテッター
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-510525(JP,A)
【文献】米国特許第06503274(US,B1)
【文献】国際公開第2016/180677(WO,A1)
【文献】特表2007-522893(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0100439(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳頭筋を整復するための心臓デバイスであって、
乳頭筋の群を取り囲んで心臓内にループを形成するように構成されているバンドであって、前記バンドは前記バンドの細長軸に沿って少なくとも部分的にその中を貫通する管腔を画成し、前記バンドは、第1の端部と、前記第1の端部内の第1の開口部を介して前記管腔内に受け入れられるように構成されている第2の端部と、前記第1の端部と前記第2の端部との間の側壁開口部とを含み、前記側壁開口部は前記管腔へのアクセスを提供する、バンドと、
前記第2の端部が前記第1の端部内に挿入された後に固定長ループを形成するために開放構成から閉鎖構成に遷移するように構成されている作動可能クラスプであって、前記クラスプは、前記側壁開口部を通過するカテーテルを介して作動するように構成されている、作動可能クラスプとを備え、
前記作動可能クラスプは、前記クラスプと関連付けられているクラスプリテーナによって前記開放構成に保持されるように構成され、
前記作動可能クラスプは、前記クラスプリテーナが前記クラスプから引っ込められた結果、前記クラスプがその閉鎖構成に戻るように構成される、心臓デバイス。
【請求項2】
前記作動可能クラスプは、前記閉鎖構成において、複数のスパイクが前記バンドをそれらの間で把持する構成をとるように半径方向内向きに突き出ている前記複数のスパイクを含む請求項1に記載の心臓デバイス。
【請求項3】
前記作動可能クラスプは、切断されたニチノールチューブから形成され、前記クラスプの前記スパイクは、前記閉鎖構成の方へ半径方向内向きに付勢される請求項2に記載の心臓デバイス。
【請求項4】
前記作動可能クラスプは金属を含む請求項1に記載の心臓デバイス。
【請求項5】
前記群は前記取り囲むバンドによって画成された外周境界と、前記外周境界と反対側の前記乳頭筋の側面上の内部領域とを有し、
前記バンドは、前記バンドが前記内部領域と接触することなく前記乳頭筋の前記外周境界と接触するように、また前記内部領域に前記バンドのいかなる部分も入らないように、前記乳頭筋を互いの方へ引き寄せる構成をとる請求項1に記載の心臓デバイス。
【請求項6】
前記バンドは、前記乳頭筋を互いの方へ引き寄せ、それによって前記乳頭筋の対向面の間の距離を小さくするようにさらに構成され、
前記クラスプは、前記ループの長さを調整するように選択的に作動可能である請求項5に記載の心臓デバイス。
【請求項7】
乳頭筋の前記群は、前記心臓の心室内で2つまたはそれ以上の乳頭筋を含む請求項5に記載の心臓デバイス。
【請求項8】
前記ループの長さは、少なくとも8mmの範囲にわたって調整可能である請求項1に記載の心臓デバイス。
【請求項9】
前記バンドは、前記バンドの前記第2の端部の近くに複数の把持可能な要素を含み、前記要素は突起部を形成し、前記クラスプはその閉鎖構成にあるときに前記突起部の間で係止するように構成され、前記把持可能な要素は、前記クラスプがその開放構成にあるときに第1の方向および前記第1の方向と反対の第2の方向の両方に前記クラスプを通過するように構成され、前記クラスプがその閉鎖構成にあるときに前記第2の方向に前記クラスプを通過することを妨げるように構成される請求項1に記載の心臓デバイス。
【請求項10】
前記バンドの幅は、前記バンドの長さの異なる部分に沿って変化する請求項1に記載の心臓デバイス。
【請求項11】
前記作動可能クラスプは、身体の外から、カテーテルを介して、心臓内で作動されるようにさらに構成される請求項1に記載の心臓デバイス。
【請求項12】
前記バンドは、前記乳頭筋と心室の壁との間の小柱の間の複数の空間を通過するようにさらに構成される請求項1に記載の心臓デバイス。
【請求項13】
前記作動可能クラスプは、前記管腔内に配置される請求項1に記載の心臓デバイス。
【請求項14】
乳頭筋を整復するための心臓デバイスであって、
乳頭筋の群を取り囲んで心臓内にループを形成するように構成されているバンドであって、前記バンドは前記バンドの細長軸に沿って少なくとも部分的にその中を貫通する管腔を画成し、前記バンドは、第1の端部と、前記第1の端部内の第1の開口部を介して前記管腔内に受け入れられるように構成されている第2の端部と、前記第1の端部と前記第2の端部との間の側壁開口部とを含み、前記側壁開口部は前記管腔へのアクセスを提供する、バンドと、
前記第2の端部が前記第1の端部内に挿入された後に固定長ループを形成するために開放構成から閉鎖構成に遷移するように構成されている作動可能クラスプであって、前記クラスプは、前記側壁開口部を通過するカテーテルを介して作動するように構成されている、作動可能クラスプとを備え、
前記クラスプは、前記ループの長さの調整を可能にするように選択的に作動可能であり、
前記作動可能クラスプは、前記クラスプと関連付けられているクラスプリテーナによって前記開放構成に保持されるように構成され、
前記クラスプは、前記クラスプリテーナが前記クラスプから引っ込められた結果、前記クラスプがその閉鎖構成に戻るように構成される、心臓デバイス。
【請求項15】
前記ループの前記長さは、少なくとも8mmの範囲にわたって調整可能である請求項14に記載の心臓デバイス。
【請求項16】
前記作動可能クラスプは、前記閉鎖構成において、複数のスパイクが前記バンドをそれらの間で把持する構成をとるように半径方向内向きに突き出ている前記複数のスパイクを含む請求項14に記載の心臓デバイス。
【請求項17】
前記群は前記取り囲むループによって画成された外周境界と、前記外周境界と反対側の前記乳頭筋の側面上の内部領域とを有し、
前記バンドは、前記バンドが前記内部領域と接触することなく前記乳頭筋の前記外周境界と接触するように、また前記内部領域に前記バンドのいかなる部分も入らないように、前記乳頭筋を互いの方へ引き寄せる構成をとる請求項14に記載の心臓デバイス。
【請求項18】
前記バンドは、前記乳頭筋と心室の壁との間の小柱の間の複数の空間を通過するようにさらに構成される請求項14に記載の心臓デバイス。
【請求項19】
乳頭筋を整復するための心臓デバイスであって、
乳頭筋の群を取り囲んで心臓内にループを形成するように構成されているバンドであって、前記バンドは前記バンドの細長軸に沿って少なくとも部分的にその中を貫通する管腔を画成し、前記バンドは、第1の端部と、前記第1の端部内の第1の開口部を介して前記管腔内に受け入れられるように構成されている第2の端部と、前記第1の端部と前記第2の端部との間の側壁開口部とを含み、前記側壁開口部は前記管腔へのアクセスを提供する、バンドと、
前記第2の端部が前記第1の端部内に挿入された後に固定長ループを形成するために開放構成から閉鎖構成に遷移するように構成されている作動可能クラスプであって、前記クラスプは、前記側壁開口部を通過するカテーテルを介して作動するように構成されている、作動可能クラスプとを備え、
前記バンドは、前記バンドの前記第2の端部の近くに複数の把持可能な要素を含み、前記要素は突起部を形成し、前記クラスプはその閉鎖構成にあるときに前記突起部の間で係止するように構成され、前記把持可能な要素は、前記クラスプがその開放構成にあるときに第1の方向および前記第1の方向と反対の第2の方向の両方に前記クラスプを通過するように構成され、前記クラスプがその閉鎖構成にあるときに前記第2の方向に前記クラスプを通過することを妨げるように構成される、心臓デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、本出願に全体が参照により本明細書に組み込まれている、2017年10月23日に出願した米国仮特許出願第62/575,538号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明のいくつかの応用は、一般に、乳頭筋を整復する(repositioning papillary muscles)ためのデバイスおよび方法に関する。より具体的には、本発明のいくつかの応用は、身体の心臓内の乳頭筋を経カテーテル的に整復するための調整可能自動ロック式バンド(adjustable self-locking band)に関する。
【背景技術】
【0003】
房室弁修復外科手術時に心臓の心室内の乳頭筋を整復することで転帰を改善し得る。虚血、心不全、または心室再形成の他の原因による、乳頭筋の変位は、結果として、弁尖のテザリングを引き起こし、正常な機能を妨げる可能性がある。弁輪のみに集中する修復は、多くの場合に、結果として、弁尖テザリングによる逆流の再発を引き起こす。
【0004】
乳頭筋整復の方法は、乳頭筋から弁輪または大動脈までの縫合糸、乳頭筋を引き寄せるために複数の乳頭筋を取り囲むスリング、および乳頭筋を引き寄せるための縫合糸を含む。しかしながら、乳頭筋整復のこれらの方法は、典型的には心臓切開手術時に実施される。
【0005】
したがって、乳頭筋整復を実施するための低侵襲的システムおよび方法に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書で開示されている実施形態では、従来のデバイスおよび方法に比べて位置決め、調整、適所への係止を容易に行える、乳頭筋を整復するための改善されたデバイスおよび方法に対する必要性が存在していることを認識している。それに加えて、本明細書で開示されている実施形態は、カテーテルを介してポンプ動作を行っている心臓において乳頭筋整復を実行できる潜在的可能性を有する乳頭筋を整復するデバイスおよび方法の必要性に対処し得る。さらに、乳頭筋整復のための従来のデバイスおよび方法は、商業的にはほとんど成功を収めなかった。したがって、カテーテルを介して送達されるかまたは他の何らかの仕方で送達されるかに関係なく、改善されたデバイスおよび方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施形態は、乳頭筋を整復するためのデバイスおよび方法を含む。有利には、例示的な実施形態は、複数の乳頭筋を取り囲むためのバンドとバンドの第2の端部に接続するバンドの第1の端部のところの調整可能クラスプ(clasp)とを送達してループを形成することにより乳頭筋を整復する方法を提供する。本開示の様々な実施形態は、次の態様のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0008】
本開示の一実施形態により、乳頭筋を整復するためのデバイスが提供され、デバイスは乳頭筋の群を取り囲むように構成されているバンドであって、群は取り囲むバンドによって画成される外周境界を有し、バンドは第1の端部と第2の端部とを備える、バンドと、バンドの第1の端部の近くの場所に結合されている調整可能クラスプであって、クラスプは開放構成から閉鎖構成に遷移し、バンドの第2の端部をバンドの第1の端部に接続し、それによってループを形成するように構成されている、調整可能クラスプとを備える。本開示のいくつかの実施形態において、複数の乳頭筋は、心臓の心室内で2つおよび/または3つの乳頭筋を含み得る。したがって、バンドは、乳頭筋と心室の壁との間の小柱の間の複数の空間を通過するように構成され得る。
【0009】
本開示の別の実施形態により、調整可能クラスプは、閉鎖構成において、スパイクがバンドの第2の端部をそれらの間で把持する構成をとるように半径方向内向きに突き出ている複数のスパイクを備え得る。他の実施形態では、調整可能クラスプは金属を含み得る。
【0010】
本開示の別の実施形態により、調整可能クラスプは、クラスプの内側に配置されるクラスプリテーナリングによって開放構成に保持されるように構成され得る。したがって、いくつかの実施形態において、調整可能クラスプは、クラスプ内からクラスプリテーナリングを引っ込めた後に閉鎖構成に戻るように構成され得る。閉鎖構成において、調整可能クラスプは、バンドの第2の端部を把持してループを形成するように構成され得る。
【0011】
本開示の別の実施形態において、バンドは、乳頭筋の群を取り囲むものとしてよく、乳頭筋の群は、外周境界の反対側に乳頭筋の側面に内部領域を備え得る。したがって、いくつかの実施形態において、バンドは、バンドが内部領域と接触することなく乳頭筋の外周境界と接触するように、また内部領域にバンドのいかなる部分も入らないように、乳頭筋を互いの方へ引き寄せる構成をとり得る。本開示の別の実施形態において、バンドは、乳頭筋を互いの方へ引き寄せ、それによって乳頭筋の対向表面の間の距離を小さくするように構成され得る。したがって、クラスプは、乳頭筋の周りのループの長さを調整するように選択的に作動可能であるものとしてよい。
【0012】
本開示のさらに別の実施形態において、調整可能クラスプは、乳頭筋の群の外周境界が事前定義された周に到達するようにループの長さを固定するように構成され得る。したがって、乳頭筋の周りのループの長さは、少なくとも8mmの範囲にわたって調整可能であるものとしてよい。
【0013】
本開示のいくつかの実施形態において、バンドの少なくとも一部はチューブを含み得る。たとえば、バンドの少なくとも一部は中空チューブを含み得る。したがって、いくつかの実施形態において、調整可能クラスプは、チューブを含むバンドの部分の内側で結合されるように構成され得る。いくつかの実施形態において、バンドの幅は、バンドの長さの異なる部分に沿って変化し得る。本開示の一実施形態により、調整可能クラスプは心臓内で作動され得る。本開示の他の実施形態において、調整可能クラスプは、カテーテルを介して身体の外側から作動され得る。
【0014】
本開示の別の実施形態により、乳頭筋を整復するためのデバイスが提供され、デバイスは乳頭筋の群を取り囲むように構成されているバンドであって、群は取り囲むバンドによって画成される外周境界を有し、バンドは第1の端部と第2の端部とを備える、バンドと、バンドの第1の端部の近くの場所に結合されている調整可能クラスプであって、クラスプは開放構成から閉鎖構成に遷移し、バンドの第2の端部をバンドの第1の端部に接続し、それによってループを形成するように構成され、クラスプは、ループの長さを調整するように選択的に作動可能である、調整可能クラスプとを備える。乳頭筋の群は、外周境界の反対側に乳頭筋の側面に内部領域を備え得る。したがって、バンドは、バンドが内部領域と接触することなく乳頭筋の外周境界と接触するように、また内部領域にバンドのいかなる部分も入らないように、乳頭筋を互いの方へ引き寄せる構成をとり得る。調整可能クラスプは、乳頭筋の群の外周境界が事前定義された周に到達するようにループの長さを固定するように構成され得る。したがって、乳頭筋の周りのループの長さは、少なくとも8mmの範囲にわたって調整可能であるものとしてよい。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態において、複数の乳頭筋は、心臓の心室内で2つおよび/または3つの乳頭筋を含み得る。したがって、バンドは、乳頭筋と心室の壁との間の小柱の間の複数の空間を通過するように構成され得る。
【0016】
本開示の別の実施形態により、調整可能クラスプは、閉鎖構成において、スパイクがバンドの第2の端部をそれらの間で把持する構成をとるように半径方向内向きに突き出ている複数のスパイクを備え得る。
【0017】
本開示の別の実施形態により、調整可能クラスプは、クラスプの内側に配置されるクラスプリテーナリングによって開放構成に保持されるように構成され得る。したがって、いくつかの実施形態において、調整可能クラスプは、クラスプ内からクラスプリテーナリングを引っ込めた後に閉鎖構成に戻るように構成され得る。閉鎖構成において、調整可能クラスプは、バンドの第2の端部を把持してループを形成するように構成され得る。
【0018】
本開示の別の実施形態により、複数の乳頭筋を取り囲むための経カテーテルシステムが提供され、システムは第1の端部と、第2の端部と、バンドの側壁の開口部とを備えるバンドを具備する。バンドは、乳頭筋の群を取り囲むように構成されるものとしてよく、群は、取り囲むバンドによって画成される外周境界を有するものとしてよい。システムは、バンドの開口部内に挿入されるように構成され得る、送達デバイスをさらに備え得る。システムは、バンドの第2の端部に結合されている作動可能クラスプをさらに備え得る。送達デバイスは、クラスプを作動させるように構成され得る。
【0019】
いくつかの実施形態において、この群は、外周境界の反対側に乳頭筋の側面に内部領域を備え得る。乳頭筋の群は、心臓の心室内で2つまたはそれ以上の乳頭筋を含み得る。バンドは、乳頭筋と心室の壁との間の小柱の間の複数の空間を通過するように構成され得る。バンドは、バンドが内部領域と接触することなく乳頭筋の外周境界と接触するように、また内部領域にバンドのいかなる部分も入らないように、乳頭筋を互いの方へ引き寄せる構成をとり得る。他の実施形態において、バンドは、乳頭筋を互いの方へ引き寄せ、それによって乳頭筋の対向面の間の距離を小さくするようにさらに構成され得る。クラスプは、取り囲むバンドによって形成されたループの長さを調整するように選択的に作動可能であり得る。いくつかの実施形態において、作動可能クラスプは、乳頭筋の群の外周境界が事前定義された周に到達するようにループの長さを固定するように構成され得る。他の実施形態において、バンドは、乳頭筋の群の周りにループを形成するように構成されるものとしてよく、ループの長さは、少なくとも8mmの範囲にわたって調整可能であるものとしてよい。さらに別の実施形態において、バンドの少なくとも一部はチューブを含んでいてよく、作動可能クラスプはチューブを含むバンドの部分の内側で結合されてよい。バンドの幅は、バンドの長さの異なる部分に沿って変化し得る。いくつかの態様において、作動可能クラスプは、心臓内で作動されるように構成され得る。他の実施形態において、作動可能クラスプは、身体の外から、カテーテルを介して作動されるように構成され得る。
【0020】
いくつかの実施形態において、送達デバイスは、外部チューブと、外部チューブの遠位端を越えて遠位に延在する内部チューブとをさらに備え得る。内部チューブは作動可能クラスプ内に位置決めされてよく、それによってクラスプを開放構成に保持する。したがって、クラスプ内から外部チューブ内への内部チューブの引き込みは、クラスプが閉鎖構成に戻れるように構成され得る。
【0021】
他の実施形態において、作動可能クラスプは、閉鎖構成において、スパイクがバンドの第1の端部をそれらの間で把持する構成をとるように半径方向内向きに突き出ている複数のスパイクを備え得る。作動可能クラスプは金属を含んでいてもよい。
【0022】
本開示の別の実施形態により、複数の乳頭筋を取り囲むための経カテーテルシステムが提供され得る。システムは、第1の端部と、第2の端部と、バンドの側壁の開口部とを備えるバンドを具備し得る。バンドは、乳頭筋の群を取り囲むように構成されるものとしてよく、群は、取り囲むバンドによって画成される外周境界を有するものとしてよい。システムは、バンドの開口部内に挿入されるように構成されている送達デバイスを備え得る。システムは、バンドの第2の端部に結合されている作動可能クラスプをさらに備え得る。送達デバイスは、ループを形成するためにクラスプを作動させるように構成されてよく、クラスプは、ループの長さを調整するように選択的に作動可能であるものとしてよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、送達デバイスは、外部チューブと、外部チューブの遠位端を越えて遠位に延在する内部チューブとをさらに備え得る。内部チューブは作動可能クラスプ内に位置決めされてよく、それによってクラスプを開放構成に保持する。したがって、クラスプ内から外部チューブ内への内部チューブの引き込みは、クラスプが閉鎖構成に戻れるように構成され得る。
【0024】
他の実施形態において、作動可能クラスプは、閉鎖構成において、スパイクがバンドの第1の端部をそれらの間で把持する構成をとるように半径方向内向きに突き出ている複数のスパイクを備え得る。
【0025】
乳頭筋の群は、外周境界の反対側に乳頭筋の側面に内部領域を備え得る。したがって、バンドは、バンドが内部領域と接触することなく乳頭筋の外周境界と接触するように、また内部領域にバンドのいかなる部分も入らないように、乳頭筋を互いの方へ引き寄せる構成をとり得る。調整可能クラスプは、乳頭筋の群の外周境界が事前定義された周に到達するようにループの長さを固定するように構成され得る。したがって、乳頭筋の周りのループの長さは、少なくとも8mmの範囲にわたって調整可能であるものとしてよい。
【0026】
本開示の別の実施形態により、複数の乳頭筋を取り囲むための経カテーテルデバイスが提供される。デバイスは、乳頭筋の群を取り囲むように構成されている調整可能バンドと、調整可能バンドの第1の端部の近くの場所に結合されているバネ付勢クラスプと、調整可能バンドの第2の端部の近くの場所に結合されている細長ポジショナと、バネ付勢クラスプ内に少なくとも部分的に配設されているクラスプリテーナとを備え得る。群は、取り囲むバンドによって画成される外周境界を有するものとしてよい。細長ポジショナは、バネ付勢クラスプに隣接する調整可能バンドの第2の端部を選択的に位置決めするように構成され得る。クラスプリテーナは、バネ付勢クラスプの付勢に抵抗するように構成され得る。いくつかの実施形態において、バネ付勢クラスプ内からのリテーナの引き込みは、バネ付勢クラスプを閉鎖構成に戻し、それによって乳頭筋の群の周りにループを形成するように構成され得る。
【0027】
いくつかの実施形態において、バネ付勢クラスプは、閉鎖構成において、スパイクが調整可能バンドの第2の端部をそれらの間で把持する構成をとるように半径方向内向きに突き出ている複数のスパイクを備え得る。バネ付勢クラスプは金属を含んでいてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態において、この群は、外周境界の反対側に乳頭筋の側面に内部領域を備え得る。乳頭筋の群は、心臓の心室内で2つまたはそれ以上の乳頭筋を含み得る。バンドは、乳頭筋と心室の壁との間の小柱の間の複数の空間を通過するように構成され得る。調整可能バンドは、バンドが内部領域と接触することなく乳頭筋の外周境界と接触するように、また内部領域に調整可能バンドのいかなる部分も入らないように、乳頭筋を互いの方へ引き寄せる構成をとり得る。他の実施形態において、調整可能バンドは、乳頭筋を互いの方へ引き寄せ、それによって乳頭筋の対向面の間の距離を小さくするようにさらに構成され得る。バネ付勢クラスプは、乳頭筋の群の外周境界が事前定義された周に到達するように形成されたループの長さを固定するように構成され得る。ループの長さは、少なくとも8mmの範囲にわたって調整可能であるものとしてよい。
【0029】
いくつかの実施形態において、調整可能バンドの少なくとも一部はチューブを含み得る。バネ付勢クラスプは、調整可能バンドの第1の端部の近くのチューブの部分の内側で結合されるように構成され得る。バネ付勢クラスプは、心臓内で作動されるようにさらに構成され得る。他の実施形態において、バネ付勢クラスプは、身体の外から、カテーテルを介して作動されるように構成され得る。
【0030】
本開示の別の実施形態により、複数の乳頭筋を取り囲むための経カテーテルデバイスが提供される。デバイスは、乳頭筋の群を取り囲むように構成されている調整可能バンドと、調整可能バンドの第1の端部の近くの場所で調整可能バンドの内側に結合されているバネ付勢クラスプと、調整可能バンドの第2の端部の近くの場所に結合されている細長ポジショナと、バネ付勢クラスプ内に少なくとも部分的に配設されているクラスプリテーナとを備え得る。群は、取り囲むバンドによって画成される外周境界を有するものとしてよい。細長ポジショナは、バネ付勢クラスプに隣接する調整可能バンドの第2の端部を選択的に位置決めするように構成され得る。クラスプリテーナは、バネ付勢クラスプの付勢に抵抗するように構成され得る。いくつかの実施形態において、バネ付勢クラスプ内からのリテーナの引き込みは、バネ付勢クラスプを閉鎖構成に戻し、それによって乳頭筋の群の周りにループを形成するように構成され得る。
【0031】
いくつかの実施形態において、バネ付勢クラスプは、閉鎖構成において、スパイクが調整可能バンドの第2の端部をそれらの間で把持する構成をとるように半径方向内向きに突き出ている複数のスパイクを備え得る。バネ付勢クラスプは金属を含んでいてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態において、この群は、外周境界の反対側に乳頭筋の側面に内部領域を備え得る。バンドは、乳頭筋と心室の壁との間の小柱の間の複数の空間を通過するように構成され得る。調整可能バンドは、バンドが内部領域と接触することなく乳頭筋の外周境界と接触するように、また内部領域に調整可能バンドのいかなる部分も入らないように、乳頭筋を互いの方へ引き寄せる構成をとり得る。ループの長さは、少なくとも8mmの範囲にわたって調整可能であるものとしてよい。
【0033】
いくつかの実施形態において、調整可能バンドの少なくとも一部はチューブを含み得る。バネ付勢クラスプは、調整可能バンドの第1の端部の近くのチューブの部分の内側で結合されるように構成され得る。バネ付勢クラスプは、心臓内で作動されるようにさらに構成され得る。他の実施形態において、バネ付勢クラスプは、身体の外から、カテーテルを介して作動されるように構成され得る。
【0034】
本開示の別の実施形態により、複数の乳頭筋を取り囲むための経カテーテルデバイスが提供される。デバイスは、第1の端部および第2の端部を備えるバンドと、バンドの第1の端部に結合されている第1のコネクタと、第2のコネクタを備える送達デバイスと、バンドの第2の端部に付いているクラスプとを具備し得る。第2のコネクタは、第1のコネクタに最初に接続されるものとしてよく、第1のコネクタとの接続を外し身体から送達デバイスを取り外せるように離れたところから作動可能である構成をとり得る。クラスプは、クラスプを第1の端部の近くのバンドの一部に恒久的に接続し、それによってループを形成するように離れたところから作動可能である構成をとり得る。
【0035】
他の実施形態において、バンドは、乳頭筋の群を取り囲むように構成されるものとしてよく、群は、取り囲むバンドによって画成される外周境界を有するものとしてよい。他の態様では、クラスプは、バネ付勢クラスプの付勢に抵抗するようにクラスプ内に少なくとも部分的に配設されている移動可能リテーナを備えるバネ付勢クラスプであってよい。
【0036】
いくつかの実施形態において、この群は、外周境界の反対側に乳頭筋の側面に内部領域を備え得る。乳頭筋の群は、心臓の心室内で2つまたはそれ以上の乳頭筋を含み得る。バンドは、乳頭筋と心室の壁との間の小柱の間の複数の空間を通過するように構成され得る。バンドは、バンドが内部領域と接触することなく乳頭筋の外周境界と接触するように、また内部領域にバンドのいかなる部分も入らないように、乳頭筋を互いの方へ引き寄せる構成をとり得る。他の実施形態において、バンドは、乳頭筋を互いの方へ引き寄せ、それによって乳頭筋の対向面の間の距離を小さくするようにさらに構成され得る。クラスプは、ループの長さを調整するように選択的に作動可能であるものとしてよい。クラスプは、乳頭筋の群の外周境界が事前定義された周に到達するように形成されたループの長さを固定するようにも構成され得る。ループの長さは、少なくとも8mmの範囲にわたって調整可能であるものとしてよい。
【0037】
他の態様では、クラスプは、閉鎖構成において、スパイクがバンドの第1の端部をそれらの間で把持する構成をとるように半径方向内向きに突き出ている複数のスパイクを備え得る。クラスプは、心臓内で作動されるように構成され得る。それに加えて、または代替的に、クラスプは、身体の外から、カテーテルを介して作動されるように構成され得る。
【0038】
本開示の別の実施形態により、複数の乳頭筋を取り囲むための経カテーテルデバイスが提供される。デバイスは、第1の端部および第2の端部を備えるバンドと、バンドの第1の端部に結合されている第1のコネクタと、第2のコネクタを備える送達デバイスと、バンドの第2の端部に付いているバネ付勢クラスプとを具備し得る。第2のコネクタは、第1のコネクタに最初に接続されるものとしてよく、第1のコネクタとの接続を外し身体から送達デバイスを取り外せるように離れたところから作動可能である構成をとり得る。バネ付勢クラスプは、バネ付勢クラスプを第1の端部の近くのバンドの一部に恒久的に接続し、それによってループを形成するように離れたところから作動可能である構成をとり得る。
【0039】
他の実施形態において、バンドは、乳頭筋の群を取り囲むように構成されるものとしてよく、群は、取り囲むバンドによって画成される外周境界を有するものとしてよい。他の態様では、バネ付勢クラスプは、バネ付勢クラスプの付勢に抵抗するようにバネ付勢クラスプ内に少なくとも部分的に配設されている移動可能リテーナをさらに備え得る。
【0040】
いくつかの実施形態において、この群は、外周境界の反対側に乳頭筋の側面に内部領域を備え得る。乳頭筋の群は、心臓の心室内で2つまたはそれ以上の乳頭筋を含み得る。バンドは、乳頭筋と心室の壁との間の小柱の間の複数の空間を通過するように構成され得る。バンドは、バンドが内部領域と接触することなく乳頭筋の外周境界と接触するように、また内部領域にバンドのいかなる部分も入らないように、乳頭筋を互いの方へ引き寄せる構成をとり得る。他の実施形態において、バンドは、乳頭筋を互いの方へ引き寄せ、それによって乳頭筋の対向面の間の距離を小さくするようにさらに構成され得る。クラスプは、ループの長さを調整するように選択的に作動可能であるものとしてよい。ループの長さは、少なくとも8mmの範囲にわたって調整可能であるものとしてよい。
【0041】
実施形態の追加の目的および利点は、一部は次の説明において述べられ、一部は説明から明白であるか、または実施形態の実施によって知り得る。実施形態の目的および利点は、付属の請求項において特に指摘されている要素および組合せを用いて実現され、達成される。
【0042】
前述の一般的な説明および次の詳細な説明は両方とも、例示的であり、解説にすぎず、請求項を制限しないことは理解されるべきである。
【0043】
本発明の新規性のある特徴は、後に続く請求項において詳細に述べられる。本発明の特徴および利点は、本発明の原理が利用されている例示的な実施形態について述べている次の詳細な説明と、添付図面を参照することによってよりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1A】本開示の一実施形態による乳頭筋を整復するための例示的なデバイスを例示する図である。
【
図1B】本開示の別の実施形態による乳頭筋を整復するための例示的なデバイスを例示する図である。
【
図2】本開示の別の実施形態による、ループで乳頭筋を整復するための例示的なバンドを例示する図である。
【
図3】本開示の実施形態が採用され得る人間の心臓の例示的な解剖学的構造を示す図である。
【
図4】本開示の一実施形態による、調整可能クラスプの例示的な実施形態を示す図である。
【
図5】本開示の一実施形態による、調整可能クラスプの別の例示的な実施形態を示す図である。
【
図6】本開示の一実施形態による、調整可能クラスプの別の例示的な実施形態を示す図である。
【
図7A】本開示の一実施形態による、調整可能クラスプの例示的な実施形態を示す図である。
【
図7B】本開示の一実施形態による、調整可能クラスプの別の例示的な実施形態を示す図である。
【
図7C】本開示の一実施形態による、調整可能クラスプの別の例示的な実施形態を示す図である。
【
図7D】本開示の一実施形態による、調整可能クラスプの別の例示的な実施形態を示す図である。
【
図8】本開示の実施形態が採用され得る人間の例示的な身体を示す図である。
【
図9】本開示の実施形態が採用され得る例示的な送達デバイスを示す図である。
【
図10】本開示の実施形態による、例示的な挿入ケーブルを伴う例示的な送達デバイスを示す図である。
【
図11】本開示の実施形態が採用され得る別の例示的な送達デバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本開示は、乳頭筋を整復するための方法およびデバイスに関する。本開示は、複数の乳頭筋の周りでバンドをループにすることによって乳頭筋を整復する例を提供するが、本開示の態様は、最も広い意味で、複数の乳頭筋の周りでバンドをループにすることに限定されないことに留意されたい。むしろ、前述の原理は、乳頭筋を整復するための他のデバイスにも適用され得ることが企図される。バンドという語は、所望の解剖学的構造を部分的に取り囲むかまたは完全に取り囲むことのいずれかができる任意の要素を一般的に指す。たとえば、バンドは、心臓の心室内の複数の乳頭筋を部分的にまたは完全に取り囲み乳頭筋を互いの方へ近づけることができる要素であってよい。
図3に例示されているように、複数の乳頭筋の周りにループを作るバンドは、本開示により、乳頭筋を整復するためのデバイスの一例である。ループを作ることは、1つまたは複数の乳頭筋を部分的にまたは完全に囲むことを伴い得る。
【0046】
図1A~
図1Cを参照すると、本開示による、乳頭筋を整復するための例示的なデバイス100は、バンド110を備え得る。バンド110は、第1の端部120と第2の端部130とを備え得る。バンド110は、心臓の心室内の少なくとも1つ、任意選択で少なくとも2つの乳頭筋の周りに置かれ得る。バンド110は、
図1A~
図1Cに例示されているように、第1の端部120が第2の端部130から接続を外される、細長構成と、バンド110がループに形成される、ループ構成との間で選択的に構成可能であるものとしてよい。いくつかの実施形態において、バンドは、複数の乳頭筋を同時に取り囲むサイズを有し、それによって、乳頭筋の周りにループを形成し、乳頭筋を互いの方へ引き寄せるものとしてよい。「バンド」という語は、チューブを含み得る。代替的に、バンド110は、チューブであってよい。いくつかの実施形態において、バンド110の一部はチューブであってよく、バンド110の別の部分はチューブでなくてもよい。バンド110は、
図1A~
図1Cに例示されているような長さの異なる部分に沿って異なる幅を有し得る。
【0047】
本開示のいくつかの実施形態において、バンド110は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ダクロン、および/または乳頭筋を引き寄せ近づける際に使用するのに適切な引張強さを有する任意の他の生物学的に不活性な合成材料から作られ得る。他の実施形態において、バンド110は、押出成形、編組、織ること、編むこと、または生物学的に不活性な合成材料をバンドまたはチューブ状バンドに形成する任意の他の方法によって製造され得る。バンド110は、弾性、非弾性、部分的弾性、またはこれらの任意の組合せのものであってよい。たとえば、バンド110の一部は弾性的であってよいが、バンド110の別の部分は非弾性的であってよい。いくつかの実施形態において、バンド110は、複数の材料から作られ得る。たとえば、バンド110の一部は1つの材料から作られてよいが、バンド110の別の部分は異なる材料から作られてよい。代替的に、バンド110は、患者から、別の人間ドナーから、または動物由来の材料からの生物学的材料から作られてもよい。
【0048】
バンド110の第1の端部120のところ、またはその近くに、クラスプ150などの少なくとも1つの締め具が提供され得る。クラスプ150は、たとえば、王冠形状の切断済みニチノールチューブから形成され得る。それに加えて、または代替的に、クラスプ150は、一本の端部から突き出ている複数のフラップを備えるシリンダーの形態に形成され得る。クラスプ150は、開放構成(その一例が
図1Aに例示されている)から閉鎖構成(その一例が
図1Bおよび
図1Cに例示されている)へ、およびその逆の方向に遷移するように構成され得る。閉鎖構成では、
図1Bに例示されているように、クラスプ150のフラップはシリンダーの中心の方へ内向きに曲げられ、クラスプ150を通過するバンド110の一部を把持するクラスプを形成するものとしてよい。フラップは先端部のところで鋭利になっており、閉鎖構成でバンド110の材料をしっかり保持しおよび/または穿刺するものとしてよい。代替的に、フラップは、バンド110上の1つまたは複数の突起部の間で閉じ、突起部がクラスプ150を通過するのを防ぐために先端部のところで平坦であるか、または丸くなっているものとしてよい。開放構成では、
図1Aに示されているように、フラップは、シリンダーの壁とともに真っ直ぐになっており、バンド110がクラスプ150を通過するのを許すものとしてよい。フラップは、閉鎖構成の方へ付勢されるものとしてよく、バンド110の位置決めおよび調整の際に弾性的に曲げられて開放構成をとり得る。フラップは、クラスプアクチュエータ(図示せず)によって作動後に閉鎖構成に戻ることを許され得る。
【0049】
図1A~
図1Cの例を用いて示されているように、クラスプ150はバンド110の第1の端部120に取り付けられ得る。いくつかの実施形態において、バンド110は、チューブであってよい。したがって、クラスプ150は、バンド110の第1の端部120の内側に配置され得る。クラスプ150は、チューブの壁内に1つまたは複数の切り込みを備え得る。ワイヤまたはリングがチューブ内の1つまたは複数の切り込みの上でバンド110の外側の周りに巻き付けられてよく、それによって、バンド110の材料をチューブ内の切り込みの中に押し込む。前述の特徴は、バンド110をクラスプ150に恒久的にまたは半恒久的に接続し得る。
【0050】
バンド110の第2の端部130は、突起要素140(「把持可能要素」とも呼ばれる)をさらに備えるものとしてよく、それらの間でクラスプ150が閉じ得る。突起要素140は、物体、プラスチック、金属、および/またはポリマーから作られた軟質もしくは硬質のボール、突起部、スパイク、またはクラスプによって把持できる任意の材料であってよい。いくつかの実施形態において、
図1Bおよび
図1Cに例示されているように、突起要素140は、閉じられたクラスプ150を通り逆方向に進むことができない。いくつかの実施形態において、突起要素140は、バンド110の内側に配置された硬質ボールを含むものとしてよく、バンド110はチューブである。バンド110は、バンド110の外側の周りにあるリング、ワイヤ、またはひもによって硬質ボールの間に挟まれ、それにより、硬質ボールはバンド110内で移動できない。任意の数の突起部が、バンド110の第2の端部130のところに作られるものとしてよく、クラスプ150は、突起要素140のうちのどれかの間にまたは最後の突起要素140を越えて閉じられ係止してよく、それによってバンド110に沿った多数の場所のうちのどれか1つのところで係止する。
【0051】
本開示のいくつかの実施形態において、クラスプ150は、クラスプ150が作動されたときにクラスプ150が送達デバイス190から自動的に切断されるように送達デバイス190の遠位端160に接続し得る。送達デバイス190の遠位端160の内径および外径は、クラスプ150の内径および外径に類似しているものとしてよい。それに加えて、送達デバイス190の遠位端160は、クラスプ150がチューブのシリンダー形状に曲げられているフラップを備える開放構成をとるときに、クラスプ150のフラップが、
図1Aに例示されているように、送達デバイス190の遠位端160の切り込みパターン内に係止し得るようにクラスプ150のフラップの形状と相補的である切り込みパターンにより切り取られ得る。クラスプ150が閉鎖構成に戻ることを許されたときに、フラップは内向きに曲がるものとしてよく、それによって、送達デバイス190の遠位端160のところで切り込みパターンから切断する。したがって、クラスプ150およびバンド110は、
図1Bに例示されているように、送達デバイス190から切断し得る。
【0052】
図1Aおよび
図1Bに例を用いて例示されているように、デバイス100は、クラスプアクチュエータ180および/またはプルワイヤ170をさらに備え得る。プルワイヤ170は、クラスプアクチュエータ180によってクラスプが作動された後、クラスプリテーナリング165がクラスプ150から引っ込むように、クラスプ150内に、および送達デバイス190の遠位端160内に配置されているクラスプリテーナリング165に結合され得る。したがって、クラスプアクチュエータ180による作動後に、クラスプ150は、クラスプ150がバンド110の第2の端部130のところの突起要素140の間で閉じる、閉鎖構成に遷移し得る。そのようなものとして、クラスプ150およびバンド110は、送達デバイス190から切断し、それによってループを形成し得る。
【0053】
本開示の別の実施形態により、バンド110は、乳頭筋と心室の壁との間の小柱の間の空間を通過するように構成され得る。
図3は、たとえば、クラスプ320を有するバンド310を備えるデバイス300を例示している。バンド310は、乳頭筋340と心室350の壁との間の小柱330の間の空間を通過するように構成され得る。本開示のいくつかの実施形態において、バンドに沿った2つの場所は、バンドが1つ、2つ、またはそれ以上の乳頭筋の周りに通された後一緒に取り付けられてループを形成し得る。いくつかの実施形態において、取り付け部は、バンドまたはループが乳頭筋を互いの方へ引き寄せるように構成される。
【0054】
本開示のいくつかの実施形態において、バンドは、乳頭筋の対向面に接触しないように構成され得る。たとえば、バンドは、乳頭筋の非対向面の側部としか接触し得ない。
図3は、たとえば、乳頭筋340の非対向面の側部とのみ接触しているバンド310を例示している。代替的に、バンドは、乳頭筋の非対向側部と接触し、乳頭筋を互いの方へ引き寄せるように構成され得る。
【0055】
本開示の別の実施形態において、バンドは、乳頭筋の対向面が間に挟装されるバンド材料を有しないように乳頭筋と接触するように構成され得る。
図3において、たとえば、乳頭筋340の間に挟装されるバンド材料がないように乳頭筋340の周りにバンド310がループを作る。したがって、バンド310は、乳頭筋340の周りに位置決めされたときに、バンド310が周りに位置決めされる乳頭筋340の間に介在するバンド310の部分がないように構成され得る。いくつかの実施形態において、バンド310は、乳頭筋340を引き寄せるときに、乳頭筋340が互いに接触することができ、それらの間にバンド310または他の異なる材料の部分がないように構成され得る。
【0056】
本開示のいくつかの実施形態において、バンドをループに形成する取り付け部の2つの場所は、バンドの第1の端部および第2の端部のところにあってよい。「取り付け部」という語は、クラスプ、またはバンドの端部を1つにまとめてループを形成するために使用される任意の材料を指すものとしてよい。
図1Aを再び参照すると、たとえば、バンド110を形成する取り付け部の2つの場所は、バンド110の第1の端部120および第2の端部130のところにあるものとしてよい。本開示のいくつかの実施形態において、バンド110をループに形成する取り付け部の2つの場所は、バンド110の第1の端部120および第2の端部130の近くにあってよい。代替的に、バンド110をループに形成する取り付け部は、第2の端部130よりも第1の端部120に近いものとしてよい。他の実施形態では、バンド110をループに形成する取り付け部は、バンド110の第1の端部120に関して固定された位置にあるものとしてよく、バンド110の第2の端部130に関するその位置は、バンド110のサイズを調整するために変化させることができる。
【0057】
図2は、たとえば、バンド210を備えるデバイス200を例示している。バンド210は、第1の端部230と、第2の端部220と、クラスプ240とを備える。クラスプ240は、バンド210の第1の端部230に関して固定された位置に配置され得る。バンド210の第2の端部220に関するクラスプ240の位置は、バンド210によって形成されるループのサイズを調整するために変化させることができる。任意選択で、バンドを形成する取り付け部は、バンドの一方の端部をバンドに沿った任意の場所に取り付けるものとしてよい。さらに別の実施形態では、バンドを形成する取り付け部は、任意の2つの場所をバンドに沿って一緒に取り付けるものとしてよい。
【0058】
本開示の実施形態により、バンドはクラスプをさらに備え得る。
図1A~
図1Cは、たとえば、バンド110に沿って第1の端部120と第2の端部130との間に取り付け部を形成しループを形成するクラスプ150を備えるバンド110を例示している。いくつかの実施形態では、クラスプ150は、バンド110が用意され、バンド110に取り付けられてよい。他の実施形態では、クラスプ150は、バンド110の第1の端部120に、またはその近くに取り付けられ得る。他の実施形態では、クラスプ150は、クラスプ150が作動されるまでバンド110に取り付けられ得ない。クラスプ150が作動されると、クラスプ150はバンド110の第1の端部120と第2の端部130とにくっつきループを形成し得る(その一例は
図2に示されている)。本開示のいくつかの実施形態において、デバイス100は、クラスプ150を作動させるために使用され得るクラスプアクチュエータ(図示せず)をさらに備え得る。バンドの第2の端部130に関するクラスプ150の位置は、クラスプアクチュエータ(図示せず)がクラスプ150を作動させるまでバンド110によって形成されるループのサイズを調整するために変化させることができる。たとえば、いったん作動すると、クラスプ150は、開放構成(一例が
図1Aに示されている)から閉鎖構成(一例が
図1Bおよび
図1Cに示されている)に遷移し得る。代替的に、バンド110によって形成されるループの長さは、少なくとも5mm、少なくとも8mm、または少なくとも10mmの範囲にわたって調整され得る。
【0059】
いくつかの実施形態において、クラスプは、バンドの端部のうちの1つの近くのバンドの壁に取り付けられ得る。
図2は、たとえば、第1の端部230の近くのバンド210の壁に取り付けられているクラスプ240を例示している。クラスプ240は、たとえば、心臓に埋め込む前に、第1の端部230のところでバンド210に取り付けられ得る。バンドの第2の端部は、クラスプ240を通過するか、またはそれを通り越すものとしてよい。たとえば、
図2を参照すると、バンド210の第2の端部220は、クラスプ240を通過するか、またはそれを通り越すものとしてよい。クラスプ240が作動すると、心臓に埋め込んだ後、この作動により、クラスプ240はクラスプ240を通過するか、または通り越したバンド210の一部を把持し、それによって、バンド210の第2の端部220をバンド210の第1の端部230に関して固定された位置に係止し得る。したがって、ループが形成され得る。
【0060】
バンドの幅または直径は、約2mmから約5mmの範囲内であってよい。たとえば、バンドの幅または直径は、約3mmから約4mmの範囲内であってよい。バンドの幅は、バンドの長さに沿って一定であるものとしてよい。代替的に、バンドの幅はその長さに沿って変化することがあり、一方の端部で他方の端部より大きいことがある。たとえば、クラスプが接続されるバンドの端部は、クラスプ内に挿入されるバンドの端部よりも大きい幅を有し得る。したがって、クラスプ内に挿入されるバンドの端部は、より小さい幅を有し得る。
【0061】
いくつかの実施形態において、バンドはチューブを含み得る。いくつかの実施形態において、クラスプは、バンドの第1の端部の内側に配置されてよく、および/または第1の端部の近くのバンドの壁に取り付けられ得る。
図2は、たとえば、第1の端部230の近くのバンド210の壁に取り付けられているクラスプ240を例示している。バンドの第2の端部は、バンドの内部管腔内のクラスプを通過するか、またはそれを通り越すものとしてよい。たとえば、バンド210の第2の端部220は、バンド110の内部管腔内のクラスプ240を通過するか、またはそれを通り越すものとしてよい。クラスプ240が作動すると、心臓に埋め込んだ後、この作動により、クラスプ240はクラスプ240を通過するか、または通り越したバンド210の一部を把持し、それによって、バンド210の第2の端部220をバンド210の第1の端部230に関して固定された位置に係止し得る。したがって、ループが形成され得る。いくつかの実施形態において、クラスプは、バンドがクラスプが心臓組織と接触するのを妨げるようにバンド内に位置決めされ得る。
図3は、たとえば、バンド310とバンド310内に配置されているクラスプ320とを備えるデバイス300を例示している。バンド310は、クラスプ320が心臓の心室350内の周囲組織と接触するのを妨げ得る。
【0062】
本開示の例示的な実施形態により、クラスプは、患者の固有の解剖学的構造に対応するようにループの長さを固定する構成をとり得る。それに加えて、クラスプは、患者の心臓内で作動されるように構成され得る。したがって、クラスプは、ループが患者の固有の解剖学的構造に対応するようにバンドによって形成されるループの長さを固定するように選択的に作動可能である構成をとり得る。上で説明されているように、クラスプは、複数の機械的構成を有するものとしてよい。たとえば、患者の心臓内にバンドを挿入し、位置決めするときに、クラスプは、開放構成(その一例は
図1Aに示されている)をとり得る。開放構成において、たとえば、挿入ケーブル(図示せず)およびバンドの第2の端部は、クラスプを通って、または通り越して自由に移動し得る。バンドが適切に位置決めされ調整された後、クラスプアクチュエータはクラスプを作動させるために使用され、それを閉鎖構成(一例は
図1Bおよび
図1Cに示されている)に再構成するものとしてよい。閉鎖構成では、たとえば、クラスプは、クラスプを通過した、または通り越したバンドの一部を把持し、それによってバンドがクラスプに関して移動し、ループを形成することを妨げ得る。
【0063】
クラスプは、クリップ、把持器、留め金、締め具、バックル、またはバンドの一方の場所をバンドの別の場所に取り付けることができる他の任意のタイプのクラスプであってよい。
図4は、開放構成および閉鎖構成をとるクラスプの様々な例示的な実施形態を示している。たとえば、
図4を見るとわかるように、クラスプは、熊罠タイプのクラスプ410、クリップタイプのクラスプ420、締め具タイプのクラスプ430、自動ロック式ジップタイタイプのクラスプ440、バックルタイプのクラスプ450、締め具タイプのクラスプ460、またはバンドの一方の場所をバンドの別の場所に取り付けることができる他の任意のタイプのクラスプであってよい。
【0064】
いくつかの実施形態において、クラスプは、金属、たとえば、バネ鋼、ステンレス鋼、および/またはニチノールから作られ得る。他の実施形態において、クラスプは、ポリマー材料、または開放構成と閉鎖構成とをもたらすために必要な機械的特性を有する任意の他の材料から作られ得る。いくつかの実施形態において、クラスプは、閉鎖構成へ付勢されるものとしてよく、クラスプアクチュエータによって作動されるまで開放構成に弾性的に変形され得る。たとえば、クラスプアクチュエータは、クラスプが閉鎖構成に戻ることを可能にし得る。バンドの第2の端部は、開放構成でクラスプを通過するか、またはそれを通り越すものとしてよい。したがって、バンドの第2の端部が適切に位置決めされたときに、クラスプアクチュエータは、クラスプがバンドを把持してバンドを適所に係止し、それによってループを形成し得るようにクラスプが閉鎖構成に弾性的に戻ることを可能にし得る。
【0065】
他の実施形態において、クラスプは、開放構成へ付勢されるものとしてよく、クラスプアクチュエータによって作動されたときに閉鎖構成に変形され得る。たとえば、クラスプアクチュエータは、クラスプを強制的に閉鎖構成にし得る。そのような実施形態において、バンドの第2の端部は、開放構成でクラスプを通過するか、またはそれを通り越すものとしてよい。バンドの第2の端部が適切に位置決めされたときに、クラスプアクチュエータは、クラスプがバンドを把持してバンドを適所に係止し、それによってループを形成し得るようにクラスプを強制的に閉鎖構成にし得る。
【0066】
本開示の別の実施形態により、クラスプは、シリンダーの内側に内向きに貫入する弾性要素を備えるシリンダーであってよい。開放構成において、クラスプの弾性要素は、シリンダーの壁の中または近くに外向きに保持され得る。
図5は、たとえば、シリンダーであり得るクラスプの様々な実施形態を例示している。たとえば、クラスプ510は、弾性要素がチューブの壁から切り取られ、次いで内向きに曲げられる切断チューブから製造され得る。クラスプ510は、バンドに沿った任意の場所のところでバンドの一部を把持するように構成され得るか、またはクラスプ510は、バンドに沿った特定の場所のところに配置されている把持可能な構成要素または特徴を把持するように構成され得る。クラスプ510は、クラスプ510内に置かれたチューブ(図示せず)によって開放構成に保持され得る。クラスプ510は、クラスプ510内からチューブを取り外すことによって閉鎖構成に戻るように作動され得る。
【0067】
代替的に、クラスプ520は、コイルバネなどの、曲げられたワイヤから作られるものとしてよく、弾性要素は、シリンダーの内側内に内向きに延在するように構成されている曲げられたワイヤの一部分であってよい。クラスプ510および520は、クラスプ510および520の領域内のバンドが可撓性を有したままになるように可撓性を有するものとしてよい。この可撓性は、曲げられたワイヤバネの設計によって、またはチューブに可撓性を加えるように構成されている切断チューブの壁内の切り込みによって達成され得る。
【0068】
別の実施形態では、クラスプは、複数のリーフを形成する複数の切り込みを有する円板であってよい。複数のリーフは、円板の平面から外へ回転し得る。
図6は、たとえば、複数のリーフ630を形成する複数の切り込み620を備えるクラスプ610を例示している。クラスプ610の周は、損なわれることなく、リーフ620は、リーフ620がクラスプ610の平面から外へ回転したときにリーフ620がクラスプ610の真ん中を通り開チャネル640を出るように周の近くでクラスプ610に接続され得る。リーフ620は、物体(図示せず)が一方向に開チャネル640を通りクラスプ610の真ん中を通るときに、リーフ620が物体を圧迫し、物体が開チャネル610を通り反対方向に戻るのを妨げるか、またはその可能性を低減し得るように構成され得る。別の実施形態では、リーフ620は、開チャネル640を通過している物体(図示せず)と接触する領域のところに少なくとも1つのスパイク650を備え得る。したがって、通過する物体が貫通可能である場合、スパイク650は物体を貫通し、クラスプ610がクラスプ610を通過する物体を把持する能力を高め得る。
【0069】
図6にはクラスプ610が1つしか例示されていないが、クラスプ610がその中を通過する物体を把持し得る強さを高めるために複数のクラスプ610が一緒に使用されてよい。代替的に、単一のクラスプ610が複数の層のリーフ630を備え、それによってクラスプ610が中を通過する物体を把持し得る強さを高めるものとしてよい。そのような多層クラスプは、クラスプが接続される、バンドの一部が可撓性を有したままであるように可撓性を付与され得る。クラスプ610は、平らなシートからクラスプ610の形態を切断もしくは型抜きすることによって、またはチューブからクラスプ610の形態を切断しリーフ630を内向きに曲げることによって製造され得る。
【0070】
いくつかの実施形態において、クラスプは、複数のパネルから作られ得る。
図7A~
図7Bは、たとえば、複数のパネル720を備えるクラスプ710を例示している。パネル720は、パネル720から突き出ている複数のスパイク730を備え得る。スパイク730は、互いに圧迫し合って、たとえば、パネル720の間を通る、バンドを把持するものとしてよい。パネル720は、パネル720が互いに圧迫し合うことを引き起こす弾性コンポーネントによってエッジのところに接続され得る。パネル720は、自然に互いに平坦に圧迫し合うような可撓性を有していてよいが、
図7A~
図7Bの例を用いて例示されているように、湾曲形状に弾性的に変形され得る。
【0071】
クラスプ710は、パネル720とともにチューブから切断されてよく、パネル720をそのエッジのところで一緒に保持する弾性コンポーネントも同じチューブから切断され得る。パネル720から突き出るスパイク730は、パネル720の壁から切断され、内向きに曲げられ、突起スパイク730を形成し得る。スパイク730および/またはパネル720は、内部チューブ(図示せず)をパネル720の間に置くことによって外向きにクラスプ710の開放構成に弾性的に変形され得る。内部チューブを取り外した後、スパイク730およびパネル720は閉鎖構成に戻るものとしてよく、その際に、スパイク730はパネル720に垂直に突き出て、パネル720は互いに圧迫し合うものとしてよい。
【0072】
他の実施形態において、クラスプは、リングからなるものとしてよく、スパイクがリングから突き出ている。
図7C~
図7Dは、たとえば、リング750を備え、複数のスパイク760がリング750から突き出ている、クラスプ740を例示している。閉鎖構成(その例は
図7C~
図7Dに示されている)では、スパイク760は、リング750の内側の一部(
図7C)または全部(
図7D)を横切るものとしてよい。開放構成では、スパイク760はリング750の平面から外に回転されてよく、バンドなどの物体がリング750の中心を通過することを可能にし得る。スパイク760は、閉鎖構成の方へ付勢されるものとしてよく、乳頭筋の周りのバンドの位置決めおよび調整の際に弾性的に回転されて開放構成をとり得る。次いで、スパイク760は、クラスプアクチュエータによる作動後に閉鎖構成に戻ることを許され得る。代替的に、スパイク760は、開放構成へ付勢されるものとしてよく、クラスプアクチュエータによって作動された後に閉鎖構成に強制的に曲げられ得る。いくつかの実施形態において、スパイク760は、スパイク760がリング750の平面を越えて回転し得ないように閉鎖構成でリング750またはリング750から延在する突起部(図示せず)に当たって静止するように構成され得る。
【0073】
上で説明されているように、クラスプは、クラスプアクチュエータによる作動後に閉鎖構成に係止され得る。本開示のいくつかの実施形態において、クラスプアクチュエータは、心臓の外からなど、離れた場所からクラスプを作動させることを可能にするように構成され得る。他の実施形態において、クラスプアクチュエータは、患者の身体の外からクラスプを作動することを可能にするように構成され得る。したがって、クラスプアクチュエータは、使用者がクラスプから遠い場所からクラスプを作動させることを可能にするように構成され得る。
【0074】
図8は、たとえば、使用者が身体830の外からクラスプ840を作動することを可能にし得るクラスプアクチュエータ800を例示している。クラスプアクチュエータ800は、身体の外から心臓内に配置されているクラスプを作動させるためにプルワイヤ、回転シャフト、回転チューブ、移動可能シャフト、移動可能チューブ、電気的アクチュエータ、空気圧式アクチュエータ、油圧式アクチュエータ、または離れた場所から作動させる他の任意の手段を含むものとしてよい。たとえば、クラスプアクチュエータ800は、身体830の外から軟性カテーテル820を介してクラスプ840の作動を可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態において、クラスプアクチュエータ800は、心臓の内側に配置されたクラスプ840を作動させるために使用できる身体830の外に配置されているトリガー810をさらに備え得る。
【0075】
本開示のいくつかの実施形態において、バンドの第1の端部は、乳頭筋の周りをバンドで取り囲むために送達デバイス上に装着され得る。送達デバイスは、デバイス内にクラスプアクチュエータの一部または全部を組み込むものとしてよい。さらに、送達デバイスは、硬質または可撓性チューブを備え得る。代替的に、送達デバイスは、硬質部分と可撓性部分とを有するチューブを備え得る。送達デバイスは、乳頭筋の周りにループを形成するように構成されているバンドの側壁を通過するチューブまたは導管を備え得る。
【0076】
たとえば、
図9は、バンド970の第1の端部980の近くに接続された例示的な送達デバイス910を例示している。バンド970は、バンド970の側壁上に開口部930を備えるものとしてよく、この開口部930を取り外し可能な送達デバイス910が通過し得る。送達デバイス910は、送達デバイス910の一部が第1の端部980の近くのバンド970の一部の中にあるように第1の端部980の近くのバンド970の壁を通過し得る。バンド970内に送達デバイス910を含むバンド970の部分、たとえば、バンド970の第1の端部980から送達デバイス910がバンド970の開口部930を通過する場所までの距離は、約5mmから約25mmの範囲内にあるものとしてよい。たとえば、距離は、約10mmから約15mmまでの範囲内にあるものとしてよい。いくつかの実施形態において、クラスプ940は、バンド970の第1の端部980から25mm、15mm、10mm、または5mmの範囲内に配置されるものとしてよい。クラスプ940は、中に送達デバイス910を有するバンド970の部分内に配置され得る。いくつかの実施形態において、クラスプと係合するクラスプ作動メカニズムのコンポーネント、たとえば、プルワイヤまたはクラスプリテーナリングは、バンド970内にある送達デバイス910の部分内に配置され得る。クラスプ940は、送達デバイス910の一端に配置されるものとしてよい。送達デバイス910の他端は、患者の身体の外に配置されるものとしてよい。他の実施形態では、クラスプ作動メカニズムは、送達デバイス910を通過し得る細長部材を備え得る。
【0077】
送達デバイス910は、送達デバイス910が可撓性を有するおよび/または能動的に偏向可能であってよいバンド970の開口部930を通過する場所の近くの領域をさらに含み得る。偏向可能な領域920の偏向は、少なくとも0度から90度までの間で制御可能であるものとしてよい。いくつかの実施形態において、送達デバイス910は、送達デバイス910の両端から突き出ている挿入ケーブル通し器960をさらに備え得る。送達デバイス910の一端から突き出ている通し器960の一端は、バンド970に結合されている挿入ケーブル(図示せず)を把持するように構成されている把持器950を備え得る。いくつかの実施形態において、把持器950は、バンド970に結合されている挿入ケーブルを取り外し可能に把持し得る。送達デバイス910の他端から突き出る、通し器960の他端は、送達デバイス910を通して挿入ケーブル(図示せず)を引くために引かれるように構成され得る。挿入ケーブルは、送達デバイス910に引き通された後に通し器960から解放され得る。
【0078】
いくつかの実施形態において、バンドに結合されている挿入ケーブルは、バンドを心臓内に挿入するのを補助するために用意され得る。たとえば、
図10は、バンド1010に結合されている挿入ケーブル1050を備えるデバイス1000を例示している。挿入ケーブル1050は、バンド1010を心臓内および乳頭筋の周りに挿入するのを補助するものとしてよい。いくつかの実施形態において、挿入ケーブル1050は、バンド1010をクラスプ1040内に挿入するのを補助し得る。
【0079】
本開示の実施形態により、挿入ケーブル1050の遠位端は、バンド1010の第2の端部1030に取り外し可能に接続され得る。挿入ケーブル1050は、乳頭筋を取り囲むバンド1010によって形成されるループのサイズを調整するように構成され得る。挿入ケーブル1050は可撓性を有するものとしてよく、挿入ケーブル1050は、バンド1010を乳頭筋の周りに誘導してループを形成するのを補助し得る。挿入ケーブル1050の近位端は、乳頭筋と心室の壁との間の小柱の間の空間を通過するように構成され得る。さらに、挿入ケーブル1050は、クラスプ1040が開放構成をとったときにバンド1010の第1の端部1020に嵌合し、クラスプ1040を通るか、またはそれを通り越すものとしてよい。代替的に、挿入ケーブル1050は、バンド1010の第1の端部1020内に配置され得る送達デバイス(その一例は
図9に示されている)の遠位端内に嵌合し得る。
【0080】
代替的な一実施形態において、挿入ケーブル1050は、挿入ケーブル1050の近位端に、またはその近くに配置された挿入ケーブル解放トリガー(図示せず)をさらに備え得る。挿入ケーブル1050の遠位端は、挿入ケーブル解放トリガーの作動後にバンド1010の第2の端部1030から分離するように構成され得る。いくつかの実施形態において、挿入ケーブル解放トリガーは、挿入ケーブル1050の解放を作動させるために、引かれるか、押されるか、回転されるか、または他の何らかの方法で操作される挿入ケーブル1050の管腔を貫通するワイヤまたはチューブ(図示せず)の近位端であってよい。
【0081】
バンド1010は、挿入ケーブル1050に解放可能に接続され得る。たとえば、挿入ケーブルは、挿入ケーブルアダプタ1060を用いてバンド1010に解放可能に接続され得る。挿入ケーブルアダプタ1060は、バンド1010の第2の端部1030に取り付けられ得る。他の実施形態において、挿入ケーブルアダプタ1060は、バンド1010の第2の端部1030に恒久的に取り付けられるものとしてよく、挿入ケーブル1050は、挿入ケーブルアダプタ1060に取り外し可能に取り付けられ得る。
【0082】
いくつかの実施形態において、バンドの少なくとも一部はチューブ内に事前装填されてよい。たとえば、
図11は、チューブ1120内に事前装填されたバンド1110の少なくとも一部を例示している。代替的に、バンド1110の少なくとも一部、これに取り付けられた挿入ケーブル1170の少なくとも一部、および取り付けられた送達デバイス1180の少なくとも一部は、チューブ1120内に事前装填されてよい。
【0083】
図10を再び参照すると、バンド1010、送達デバイス(図示せず)、および挿入ケーブル1050は、経胸腔的アプローチ、経動脈的アプローチ、経静脈的アプローチ、経動脈的/経大動脈的アプローチ、経静脈的/経中隔的/経僧帽弁的アプローチ、または心臓への任意の他の外科的もしくは低侵襲性のアプローチを介して心臓内に挿入するように構成され得る。
【0084】
いくつかの実施形態において、クラスプ1040は、バンド1010の第1の端部1020のところ、またはその近くに取り付けられてよく、バンド1010がクラスプ1040を通過するか、または通り越す場所でバンド1010を把持するように構成され得る。したがって、所望の円周を有するループを形成するために必要なバンド調整の量は、クラスプ1040の長さと無関係であるものとしてよい。
【0085】
上で説明されているように、クラスプ1040は、バンド1010の第1の端部1020のところに、またはその近くに取り付けられるものとしてよく、バンド1010の第2の端部1030のところに、もしくはその近くに、またはバンド1010に沿った任意の場所に、配置されている把持可能なコンポーネントまたは特徴を把持するように構成され得る。他の実施形態では、複数の把持可能なコンポーネントまたは特徴は、バンド1010に沿った複数の場所に配置されてよい。クラスプ1040は、複数の場所で、またはクラスプ1040の長さに沿った任意の場所で把持可能なコンポーネントもしくは特徴を把持するように構成され得る。いくつかの実施形態において、所望の円周を有するループを形成するために必要なバンド調整の量は、把持可能なコンポーネントもしくは特徴が把持されるべきクラスプ内にある必要があり得るのでクラスプ1040の長さおよび把持可能なコンポーネントもしくは特徴の場所の数に依存し得る(この一例は
図1A~
図1Cに示されている)。
【0086】
いくつかの実施形態において、クラスプ1040は、この把持を達成する際にバンド1010それ自体の材料と相互作用し得る。他の実施形態において、クラスプ1040が把持し得るバンド1010内の、またはバンド1010上の場所にコンポーネントもしくは特徴があり得る。クラスプ1040が把持し得る把持可能なコンポーネントまたは特徴は、バンド1010の第2の端部1030の位置に関して移動可能であってよい。
【0087】
クラスプ1040は、接着剤もしくは粘着剤を使用してバンド1010の第1の端部1020のところ、またはその近くでバンド1010の壁に取り付けられ得る。それに加えて、または代替的に、クラスプ1040は、バンド1010の壁への融解もしくは熱接着を使用して、バンド1010の壁への縫合せ、縫綴じ、もしくは縫付け(suturing, stitching, or sewing)を使用して、バンド1010の壁にクラスプ1040を結合するクラスプ要素を使用して、またはバンド1010の壁にクラスプ1040を取り付けることができる任意の他の取り付け方法もしくは取り付け方法の組合せを使用して取り付けられ得る。
【0088】
たとえば、
図11は、バンド1110の第2の端部1150のところに、またはその近くに複数の把持可能なコンポーネント1130を備えるバンド1110を例示している。把持可能な要素1130は、物体、プラスチック、金属、および/またはポリマーから作られた軟質もしくは硬質のボール、突起部、スパイク、またはクラスプによって把持できる任意の材料であってよい。バンド1110の第1の端部1160のところに、またはその近くに、把持可能なコンポーネント1130のうちの少なくとも1つを把持するように構成されているクラスプ1140が設けられ得る。バンド1110の第2の端部1150は、バンド1110の第1の端部1160に引き通されるものとしてよい。次いで、クラスプ1140は、好ましくは患者の固有の解剖学的構造に基づき、所望の円周を有するループを形成するためにクラスプアクチュエータによる作動の後に開放構成から閉鎖構成に遷移し把持可能なコンポーネント1130のうちの少なくとも1つを把持するように構成され得る。
【0089】
図1A~
図1Bを再び参照すると、いくつかの実施形態において、送達デバイス190の遠位端は、送達デバイス190の外部チューブ内にクラスプリテーナリング165を備え得る。外部チューブの遠位端は、クラスプ150の近位に配置され、クラスプ150が外部チューブに嵌合できないような直径を有するものとしてよい。クラスプリテーナリング165は、外部チューブの遠位端を超えて遠位に延在し、クラスプ150内に位置決めされてよく、クラスプ150を開放構成に保持する(その一例は
図1Aに例示されている)。したがって、クラスプ150は閉鎖構成の方へ付勢されるものとしてよく、クラスプ160内に配置されているクラスプリテーナリング165によって開放構成に保持され得る。クラスプ150の作動は、クラスプリテーナリング165がクラスプ150内から外部チューブ内に引き込まれるようにクラスプリテーナリング165を外部チューブに関して近位に引き、それによってクラスプ150が閉鎖構成に戻ることを可能にすることを含み得る(その一例は
図1Bに例示されている)。それに加えて、または代替的に、プルワイヤまたはプルチューブは、クラスプリテーナリング165に接続されてよく、送達デバイス190を通り送達デバイス190の近位端まで引き回され得る。送達デバイス190の近位端において、プルワイヤまたはプルチューブは、クラスプリテーナリング165を外部チューブ内に引き込むためにプルワイヤを送達デバイス190に関して近位に引き得るトリガーに接続されるものとしてよい。クラスプ150の作動後、送達デバイス190はバンド110から取り外されてよい。
【0090】
いくつかの態様において、挿入ケーブル(その一例は
図10に示されている)はチューブを含むものとしてよく、ワイヤがそのチューブ内に配置されている。チューブの遠位端は、チューブの壁を複数のフラップに分割する縦スリットを有するものとしてよい。フラップは、ワイヤがチューブの内側にあるときに、チューブの遠位端が直径がチューブの外径と同じである孔を通して嵌合できないように遠位先端部のところで厚くなっている壁を有するものとしてよい。しかしながら、ワイヤがチューブの遠位端から取り外されたときに、チューブの遠位端は直径がチューブの外径と同じである孔を通して嵌合することができるものとしてよい。他の実施形態では、フラップを外向きに保持するワイヤの遠位領域は、ワイヤの残り部分よりも大きい直径を有し得る。いくつかの態様において、チューブは遠位端のところに中実チューブ状領域を有するコイルであってよい。コイルは、圧縮を回避するようにきつく巻かれるものとしてよく、伸長を回避するために両端で接続されているコイルを通して引き回されるワイヤまたはリボンを有し得る。
【0091】
本開示の一実施形態により、フラップは、遠位端の近くのチューブの壁を切り開くことによって形成され得る。フラップの遠位先端部の壁の厚みは、フラップの遠位先端部を1回または複数回それ自体の上に折り返すことによって形成され得る。フラップを形成するのに使われる挿入ケーブルのチューブの遠位部分は、金属、ポリマー、もしくはプラスチック、または厚くなっている壁を有するフラップに形成できる他の任意の材料から作られ得る。
【0092】
他の態様において、フラップは、厚くなっている部分の前で半径方向外向きの段を有するものとしてよい。したがって、挿入ケーブルは、フラップを外向きに保持しているワイヤに過剰な力を加えることなく直径がチューブの外径と同じである孔を通過することを許され得ない。それに加えて、または代替的に、フラップは、ワイヤがフラップを含むチューブの領域内に配置されていないときにフラップが内向きに曲がり得るように半径方向内向きに付勢されるものとしてよく、チューブは、直径がチューブの外径と同じである孔を自由に通過してよい。
【0093】
図10を再び参照すると、挿入ケーブルアダプタ1060が、バンド1010の第2の端部1030に取り付けられ得る。挿入ケーブルアダプタは、たとえば、その中を通る、直径が挿入ケーブル1050のチューブの外径に等しいか、またはわずかに大きいチャネル(図示せず)を有し得る。チャネルの領域は、内側にワイヤを備えるチューブの遠位端と嵌合する十分に大きい直径を有し得る。チューブの直径、チューブの遠位端で厚くなっているフラップ、ならびにアダプタ内のチャネルの狭いおよび広い領域は、外部チューブがアダプタ内のチャネルの内側にあり、ワイヤがチューブの遠位端の内側にあるときに、チューブは、その遠位端がチャネルの狭い領域を通して嵌合できないのでアダプタ内に係止され得るように構成され得る。そのようなものとして、ワイヤがチューブの遠位端から取り外されたときに、チューブはアダプタから取り外され得る。ワイヤはチューブを貫通し、それに加えてまたは代替的にチューブの近位端を超えて延在するものとしてよく、したがってワイヤは近位端から引かれることで、チューブの遠位端からワイヤを引き込み、挿入ケーブルをアダプタから脱着することができる。それに加えて、または代替的に、ワイヤの近位端はプラーに取り付けられるものとしてよく、これはチューブの近位端に取り外し可能に取り付けられ得る。したがって、プラーが取り外され、チューブから引き離されると、プラーはワイヤをそれと一緒に引っ張り、それによってワイヤをチューブの遠位端から引っ込めるものとしてよい。いくつかの態様において、プラーは、チューブの遠位端上にねじ込まれるか、その中にねじ込まれることによってチューブの近位端に取り外し可能に取り付けられ得る。代替的に、プラーはチューブの遠位端になくてもよいが、遠位端の近くのチューブの真ん中に配置され得る。
【0094】
いくつかの態様において、挿入ケーブルは、1つまたは複数のワイヤ、ファイバ、または他の薄い細長要素がチューブの壁の孔を通って出て、挿入ケーブルアダプタおよびチューブの壁の孔を通ってチューブ内に戻ることによって挿入ケーブルアダプタに取り外し可能に接続され得る。ワイヤ、ファイバ、または他の薄い細長要素は、チューブを貫通し、チューブの近位端のところで、またはその近くで引っ張られ、それらを孔から取り出し、それによって、挿入ケーブルと挿入ケーブルアダプタとの接続を解放するものとしてよい。挿入ケーブルは、バンドの第2の端部から挿入ケーブルを脱着するために切断される縫合糸、ひも、ファイバ、またはワイヤであってよい。挿入ケーブルは、ネジが遠位端に付いている可撓性トルクケーブルまたはトルクチューブであってよい。挿入ケーブルの遠位端のところのネジは、バンドの第2の端部に接続されている挿入ケーブルアダプタ内にねじ込まれ得る。したがって、挿入ケーブルの近位端を回すことで、挿入ケーブルの遠位端を、ネジを逆に回して挿入ケーブルアダプタから外し、バンドから脱着させ得る。他の実施形態では、可撓性トルクケーブルまたはトルクチューブは可撓性編組チューブによって覆われ、その引張強さを高め得る。可撓性編組チューブは、細い編組ひも内に作り込まれ、トルクケーブルまたはトルクチューブを覆って引張強さを高めるために使用できる金属、ポリマー、絹、または他の任意の生体適合性材料から作られ得る。
【0095】
本開示の別の実施形態により、心臓インプラントが提供される。心臓インプラントは、チューブの側壁に開口部を有するチューブと開口部を通過する取り外し可能な導管とから形成される乳頭バンドを備え得る。心臓インプラントは、それに加えて、バンドと関連付けられているクラスプを備えるものとしてよい。クラスプは、取り外し可能な導管を通過する、細長部材によって作動されるように構成され得る。作動後、クラスプは、バンドに沿った2つの場所を互いにくっつけてバンドをループに形成し得る。クラスプは導管の遠位端に配置されてよく、導管の近位端は患者の身体の外に配置されてよい。取り外し可能な導管は、クラスプの作動後にチューブから取り外されるように構成され得る。
【0096】
上で説明されているように、バンドは、乳頭筋の非対向面と接触するように構成され得る。バンドは、複数の乳頭筋または乳頭筋の群を取り囲むように構成されてよく、それによって、乳頭筋を互いの方へ引き、バンドのどの部分も乳頭筋の間に挟装されないようにする(その一例は
図3に示されている)。
【0097】
本開示の別の実施形態により、心臓インプラントが提供される。心臓インプラントは、第1の端部と第2の端部とを有し、第1の端部が第2の端部から切断される細長構成と、バンドがループに形成されるループ構成との間で選択的に構成可能である乳頭バンドを備え得る。心臓インプラントは、バンドの第2の端部よりもバンドの第1の端部に近い、バンドに取り付けられているクラスプをさらに備え得る。インプラントは、バンドの第2の端部に取り外し可能に接続されている細長挿入ケーブルをさらに備え得る。乳頭バンドは、乳頭筋の群を同時に取り囲むループを形成するように構成されるものとしてよく、細長挿入ケーブルは、ループのサイズを調整するように構成され得る。バンドは、乳頭筋の非対向部分と接触するように構成され得る。バンドは、複数の乳頭筋を取り囲むように構成されてよく、それによって、複数の乳頭筋を互いの方へ引き、バンドのどの部分も乳頭筋の間に挟装されないようにする。いくつかの実施形態において、クラスプは、2つの構成-開放構成と閉鎖構成-との間で選択的に構成可能であるものとしてよい。開放構成では、挿入ケーブルおよびバンドの第2の端部はクラスプを通過し得る。閉鎖構成では、クラスプを通過するバンドの領域は、バンドがクラスプに関して移動できないように適所に保持され得る。
【0098】
本開示の実施形態は、次の段落でさらに説明される。
A.乳頭筋を整復するためのデバイスであって、
乳頭筋の群を取り囲むように構成されているバンドであって、群は取り囲むバンドによって画成される外周境界を有し、バンドは第1の端部と第2の端部とを備える、バンドと、
バンドの第1の端部の近くの場所に結合されている調整可能クラスプであって、クラスプは開放構成から閉鎖構成に遷移し、バンドの第2の端部をバンドの第1の端部に接続し、それによってループを形成するように構成されている、調整可能クラスプとを備える、デバイス。
B.調整可能クラスプは、閉鎖構成において、スパイクがバンドの第2の端部をそれらの間で把持する構成をとるように半径方向内向きに突き出ている複数のスパイクを備える、段落Aのデバイス。
C.調整可能クラスプは、クラスプ内に配置されているクラスプリテーナリングによって開放構成に保持されるように構成され、
調整可能クラスプは、クラスプ内からクラスプリテーナリングを引っ込めた後に閉鎖構成に戻るように構成される、段落Aのデバイス。
D.調整可能クラスプは金属を含む、段落Aのデバイス。
E.群は、外周境界の反対側に乳頭筋の側面に内部領域を備え、
バンドは、バンドが内部領域と接触することなく乳頭筋の外周境界と接触するように、また内部領域にバンドのいかなる部分も入らないように、乳頭筋を互いの方へ引き寄せる構成をとる、段落Aのデバイス。
F.バンドは、乳頭筋を互いの方へ引き寄せ、それによって乳頭筋の対向面の間の距離を小さくするようにさらに構成され、
クラスプは、ループの長さを調整するように選択的に作動可能である、段落Aのデバイス。
G.調整可能クラスプは、乳頭筋の群の外周境界が事前定義された周に到達するようにループの長さを固定するようにさらに構成される、段落Aのデバイス。
H.ループの長さは、少なくとも8mmの範囲にわたって調整可能である、段落Aのデバイス。
I.バンドの少なくとも一部はチューブを含み、
調整可能クラスプは、チューブを含むバンドの部分の内側に結合される、段落Aのデバイス。
J.バンドの幅は、バンドの長さの異なる部分に沿って変化する、段落Aのデバイス。
K.調整可能クラスプは、心臓内で作動されるようにさらに構成される、段落Aのデバイス。
L.調整可能クラスプは、身体の外から、カテーテルを介して、作動されるようにさらに構成される、段落Aのデバイス。
M.乳頭筋の群は、心臓の心室内で2つまたはそれ以上の乳頭筋を含む、段落Aのデバイス。
N.バンドは、乳頭筋と心室の壁との間の小柱の間の複数の空間を通過するようにさらに構成される、段落Aのデバイス。
O.乳頭筋を整復するためのデバイスであって、
乳頭筋の群を取り囲むように構成されているバンドであって、群は取り囲むバンドによって画成される外周境界を有し、バンドは第1の端部と第2の端部とを備える、バンドと、
バンドの第1の端部の近くの場所に結合されている調整可能クラスプであって、
クラスプは開放構成から閉鎖構成に遷移し、バンドの第2の端部をバンドの第1の端部に接続し、それによってループを形成するように構成され、
クラスプは、ループの長さを調整するように選択的に作動可能である、調整可能クラスプとを備える、デバイス。
P.ループの長さは、少なくとも8mmの範囲にわたって調整可能である、段落Oのデバイス。
Q.調整可能クラスプは、閉鎖構成において、スパイクがバンドの第2の端部をそれらの間で把持する構成をとるように半径方向内向きに突き出ている複数のスパイクを備える、段落Oのデバイス。
R.調整可能クラスプは、クラスプ内に配置されているクラスプリテーナリングによって開放構成に保持されるように構成され、
調整可能クラスプは、クラスプ内からクラスプリテーナリングを引っ込めた後に閉鎖構成に戻るように構成される、段落Oのデバイス。
S.群は、外周境界の反対側に乳頭筋の側面に内部領域を備え、
バンドは、バンドが内部領域と接触することなく乳頭筋の外周境界と接触するように、また内部領域にバンドのいかなる部分も入らないように、乳頭筋を互いの方へ引き寄せる構成をとる、段落Oのデバイス。
T.バンドは、乳頭筋と心室の壁との間の小柱の間の複数の空間を通過するようにさらに構成される、段落Oのデバイス。
【0099】
本開示の実施形態は、次の段落でさらに説明される。
AA.複数の乳頭筋を取り囲むための経カテーテルシステムであって、
第1の端部と、第2の端部と、バンドの側壁の開口部とを備えるバンドであって、バンドは乳頭筋の群を取り囲むように構成され、群は取り囲むバンドによって画成される外周境界を有する、バンドと、
バンドの開口部内に挿入されるように構成されている送達デバイスと、
バンドの第2の端部に結合されている作動可能クラスプであって、送達デバイスは、クラスプを作動させるように構成される、作動可能クラスプとを備える、経カテーテルシステム。
BB.送達デバイスは外部チューブと、外部チューブの遠位端を越えて遠位に延在する内部チューブとをさらに備え、
内部チューブは作動可能クラスプ内に位置決めされ、それによってクラスプを開放構成に保持し、
クラスプ内から外部チューブ内への内部チューブの引き込みが、クラスプが閉鎖構成に戻れるように構成される、段落AAのシステム。
CC.作動可能クラスプは、閉鎖構成において、スパイクがバンドの第1の端部をそれらの間で把持する構成をとるように半径方向内向きに突き出ている複数のスパイクを備える、段落AAのシステム。
DD.作動可能クラスプは金属を含む、段落AAのシステム。
EE.群は、外周境界の反対側に乳頭筋の側面に内部領域を備え、
バンドは、バンドが内部領域と接触することなく乳頭筋の外周境界と接触するように、また内部領域にバンドのいかなる部分も入らないように、乳頭筋を互いの方へ引き寄せる構成をとる、段落AAのシステム。
FF.バンドは、乳頭筋を互いの方へ引き寄せ、それによって乳頭筋の対向面の間の距離を小さくするようにさらに構成され、
クラスプは、取り囲むバンドによって形成されたループの長さを調整するように選択的に作動可能である、段落AAのシステム。
GG.作動可能クラスプは、乳頭筋の群の外周境界が事前定義された周に到達するようにループの長さを固定するようにさらに構成される、段落FFのシステム。
HH.バンドは、乳頭筋の群の周りにループを形成するように構成され、
ループの長さは、少なくとも8mmの範囲にわたって調整可能である、段落AAのシステム。
II.バンドの少なくとも一部はチューブを含み、
作動可能クラスプは、チューブを含むバンドの部分の内側に結合される、段落AAのシステム。
JJ.バンドの幅は、バンドの長さの異なる部分に沿って変化する、段落AAのシステム。
KK.作動可能クラスプは、心臓内で作動されるようにさらに構成される、段落AAのシステム。
LL.作動可能クラスプは、身体の外から、カテーテルを介して、作動されるようにさらに構成される、段落AAのシステム。
MM.乳頭筋の群は、心臓の心室内で2つまたはそれ以上の乳頭筋を含む、段落AAのシステム。
NN.バンドは、乳頭筋と心室の壁との間の小柱の間の複数の空間を通過するようにさらに構成される、段落AAのシステム。
OO.複数の乳頭筋を取り囲むための経カテーテルシステムであって、
第1の端部と、第2の端部と、バンドの側壁の開口部とを備えるバンドであって、バンドは乳頭筋の群を取り囲むように構成され、群は取り囲むバンドによって画成される外周境界を有する、バンドと、
バンドの開口部内に挿入されるように構成されている送達デバイスと、
バンドの第2の端部に結合されている作動可能クラスプであって、
送達デバイスは、ループを形成するためにクラスプを作動させるように構成され、
クラスプは、ループの長さを調整するように選択的に作動可能である、作動可能クラスプとを備える、経カテーテルシステム。
PP.送達デバイスは外部チューブと、外部チューブの遠位端を越えて遠位に延在する内部チューブとをさらに備え、
内部チューブは作動可能クラスプ内に位置決めされ、それによってクラスプを開放構成に保持し、
クラスプ内から外部チューブ内への内部チューブの引き込みが、クラスプが閉鎖構成に戻れるように構成される、段落OOのシステム。
QQ.作動可能クラスプは、閉鎖構成において、スパイクがバンドの第1の端部をそれらの間で把持する構成をとるように半径方向内向きに突き出ている複数のスパイクを備える、段落OOのシステム。
RR.ループの長さは、少なくとも8mmの範囲にわたって調整可能である、段落OOのシステム。
SS.作動可能クラスプは、乳頭筋の群の外周境界が事前定義された周に到達するようにループの長さを固定するようにさらに構成される、段落OOのシステム。
TT.群は、外周境界の反対側に乳頭筋の側面に内部領域を備え、
バンドは、バンドが内部領域と接触することなく乳頭筋の外周境界と接触するように、また内部領域にバンドのいかなる部分も入らないように、乳頭筋を互いの方へ引き寄せる構成をとる、段落OOのシステム。
【0100】
本開示の実施形態は、次の段落でさらに説明される。
AAA.複数の乳頭筋を取り囲むための経カテーテルデバイスであって、
乳頭筋の群を取り囲むように構成されている調整可能バンドであって、群は取り囲むバンドによって画成される外周境界を有する、調整可能バンドと、
調整可能バンドの第1の端部の近くの場所に結合されているバネ付勢クラスプと、
調整可能バンドの第2の端部の近くの場所に結合されている細長ポジショナであって、ポジショナは、バネ付勢クラスプに隣接する調整可能バンドの第2の端部を選択的に位置決めするように構成される、細長ポジショナと、
少なくとも部分的にバネ付勢クラスプ内に配設されているクラスプリテーナリングであって、リテーナは、バネ付勢クラスプの付勢に抵抗するように構成される、クラスプリテーナリングとを備える、経カテーテルデバイス。
BBB.バネ付勢クラスプ内からのリテーナの引き込みは、バネ付勢クラスプを閉鎖構成に戻し、それによって乳頭筋の群の周りにループを形成するように構成される、段落AAAのデバイス。
CCC.バネ付勢クラスプは、閉鎖構成において、スパイクが調整可能バンドの第2の端部をそれらの間で把持する構成をとるように半径方向内向きに突き出ている複数のスパイクを備える、段落AAAのデバイス。
DDD.バネ付勢クラスプは金属を含む、段落AAAのデバイス。
EEE.群は、外周境界の反対側に乳頭筋の側面に内部領域を備え、
調整可能バンドは、バンドが内部領域と接触することなく乳頭筋の外周境界と接触するように、また内部領域にバンドのいかなる部分も入らないように、乳頭筋を互いの方へ引き寄せる構成をとる、段落AAAのデバイス。
FFF.調整可能バンドは、乳頭筋を互いの方へ引き寄せ、それによって乳頭筋の対向面の間の距離を小さくするようにさらに構成される、段落AAAのデバイス。
GGG.バネ付勢クラスプは、乳頭筋の群の外周境界が事前定義された周に到達するようにループの長さを固定するようにさらに構成される、段落BBBのデバイス。
HHH.ループの長さは、少なくとも8mmの範囲にわたって調整可能である、段落GGGのデバイス。
III.調整可能バンドの少なくとも一部はチューブを含む、段落AAAのデバイス。
JJJ.バネ付勢クラスプは、調整可能バンドの第1の端部の近くのチューブの部分の内側で結合されるようにさらに構成される、段落IIIのデバイス。
KKK.バネ付勢クラスプは、心臓内で作動されるようにさらに構成される、段落AAAのデバイス。
LLL.バネ付勢クラスプは、身体の外から、カテーテルを介して、作動されるようにさらに構成される、段落AAAのデバイス。
MMM.乳頭筋の群は、心臓の心室内で2つまたはそれ以上の乳頭筋を含む、段落AAAのデバイス。
NNN.調整可能バンドは、乳頭筋と心室の壁との間の小柱の間の複数の空間を通過するようにさらに構成される、段落AAAのデバイス。
OOO.複数の乳頭筋を取り囲むための経カテーテルデバイスであって、
乳頭筋の群を取り囲むように構成されている調整可能バンドであって、群は取り囲むバンドによって画成される外周境界を有する、調整可能バンドと、
調整可能バンドの第1の端部の近くの場所で調整可能バンドの内側に結合されているバネ付勢クラスプと、
調整可能バンドの第2の端部の近くの場所に結合されている細長ポジショナであって、ポジショナは、バネ付勢クラスプに隣接する調整可能バンドの第2の端部を選択的に位置決めするように構成される、細長ポジショナと、
少なくとも部分的にバネ付勢クラスプ内に配設されているクラスプリテーナリングであって、リテーナは、バネ付勢クラスプの付勢に抵抗するように構成される、クラスプリテーナリングとを備える、経カテーテルデバイス。
PPP.バネ付勢クラスプ内からのリテーナの引き込みは、バネ付勢クラスプを閉鎖構成に戻し、それによって乳頭筋の群の周りにループを形成するように構成される、段落OOOのデバイス。
QQQ.バネ付勢クラスプは、閉鎖構成において、スパイクが調整可能バンドの第2の端部をそれらの間で把持する構成をとるように半径方向内向きに突き出ている複数のスパイクを備える、段落OOOのデバイス。
RRR.ループの長さは、少なくとも8mmの範囲にわたって調整可能である、段落PPPのデバイス。
SSS.群は、外周境界の反対側に乳頭筋の側面に内部領域を備え、
調整可能バンドは、バンドが内部領域と接触することなく乳頭筋の外周境界と接触するように、また内部領域にバンドのいかなる部分も入らないように、乳頭筋を互いの方へ引き寄せる構成をとる、段落PPPのデバイス。
TTT.調整可能バンドは、乳頭筋と心室の壁との間の小柱の間の複数の空間を通過するようにさらに構成される、段落OOOのデバイス。
【0101】
本開示の実施形態は、次の段落でさらに説明される。
AAAA.複数の乳頭筋を取り囲むための経カテーテルデバイスであって、
第1の端部と第2の端部とを備えるバンドと、
バンドの第1の端部に結合されている第1のコネクタと、
第2のコネクタを備える送達デバイスであって、第2のコネクタは、第1のコネクタに最初に接続され、第1のコネクタとの接続を外し身体から送達デバイスを取り外せるように離れたところから作動可能である構成をとる、送達デバイスと、
バンドの第2の端部上のクラスプであって、クラスプは、クラスプを第1の端部の近くのバンドの一部に恒久的に接続し、それによってループを形成するように離れたところから作動可能である構成をとる、クラスプとを備える、経カテーテルデバイス。
BBBB.バンドは乳頭筋の群を取り囲むように構成され、群は取り囲むバンドによって画成される外周境界を有する、段落AAAAのデバイス。
CCCC.クラスプは、バネ付勢クラスプの付勢に抵抗するようにクラスプ内に少なくとも部分的に配設されている移動可能リテーナを備えるバネ付勢クラスプである、段落AAAAのデバイス。
DDDD.群は、外周境界の反対側に乳頭筋の側面に内部領域を備え、
バンドは、バンドが内部領域と接触することなく乳頭筋の外周境界と接触するように、また内部領域にバンドのいかなる部分も入らないように、乳頭筋を互いの方へ引き寄せる構成をとる、段落BBBBのデバイス。
EEEE.バンドは、乳頭筋を互いの方へ引き寄せ、それによって乳頭筋の対向面の間の距離を小さくするようにさらに構成され、
クラスプは、ループの長さを調整するように選択的に作動可能である、段落AAAAのデバイス。
FFFF.乳頭筋の群は、心臓の心室内で2つまたはそれ以上の乳頭筋を含む、段落BBBBのデバイス。
GGGG.バンドは、乳頭筋と心室の壁との間の小柱の間の複数の空間を通過するようにさらに構成される、段落AAAAのデバイス。
HHHH.クラスプは、閉鎖構成において、スパイクがバンドの第1の端部をそれらの間で把持する構成をとるように半径方向内向きに突き出ている複数のスパイクを備える、段落AAAAのデバイス。
IIII.クラスプは、乳頭筋の群の外周境界が事前定義された周に到達するようにループの長さを固定するようにさらに構成される、段落BBBBのデバイス。
JJJJ.ループの長さは、少なくとも8mmの範囲にわたって調整可能である、段落AAAAのデバイス。
KKKK.クラスプは、心臓内で作動されるようにさらに構成される、段落AAAAのデバイス。
LLLL.クラスプは、身体の外から、カテーテルを介して、作動されるようにさらに構成される、段落AAAAのデバイス。
MMMM.複数の乳頭筋を取り囲むための経カテーテルデバイスであって、
第1の端部と第2の端部とを備えるバンドと、
バンドの第1の端部に結合されている第1のコネクタと、
第2のコネクタを備える送達デバイスであって、第2のコネクタは、第1のコネクタに最初に接続され、第1のコネクタとの接続を外し身体から送達デバイスを取り外せるように離れたところから作動可能である構成をとる、送達デバイスと、
バンドの第2の端部上のバネ付勢クラスプであって、バネ付勢クラスプは、バネ付勢クラスプを第1の端部の近くのバンドの一部に恒久的に接続し、それによってループを形成するように離れたところから作動可能である構成をとる、バネ付勢クラスプとを備える、経カテーテルデバイス。
NNNN.バンドは乳頭筋の群を取り囲むように構成され、群は取り囲むバンドによって画成される外周境界を有する、段落MMMMのデバイス。
OOOO.バネ付勢クラスプは、バネ付勢クラスプの付勢に抵抗するようにバネ付勢クラスプ内に少なくとも部分的に配設されている移動可能リテーナをさらに備える、段落MMMMのデバイス。
PPPP.ループの長さは、少なくとも8mmの範囲にわたって調整可能である、段落MMMMのデバイス。
QQQQ.群は、外周境界の反対側に乳頭筋の側面に内部領域を備え、
バンドは、バンドが内部領域と接触することなく乳頭筋の外周境界と接触するように、また内部領域にバンドのいかなる部分も入らないように、乳頭筋を互いの方へ引き寄せる構成をとる、段落NNNNのデバイス。
RRRR.バンドは、乳頭筋を互いの方へ引き寄せ、それによって乳頭筋の対向面の間の距離を小さくするようにさらに構成され、
バネ付勢クラスプは、ループの長さを調整するように選択的に作動可能である、段落MMMMのデバイス。
SSSS.乳頭筋の群は、心臓の心室内で2つまたはそれ以上の乳頭筋を含む、段落NNNNのデバイス。
TTTT.バンドは、乳頭筋と心室の壁との間の小柱の間の複数の空間を通過するようにさらに構成される、段落MMMMのデバイス。
【0102】
本出願は、本明細書では、乳頭筋の整復および心臓機能の改善などの、特定の応用事例に使用されるカテーテル、バンド、およびガイドワイヤの例示的な実施形態を参照しつつ説明されているが、本明細書で説明されている実施形態はそれに限定されないことは理解されるべきである。当技術分野の通常の技能を有し、本明細書において提供される教示を利用できる者は、すべて開示されている実施形態の範囲内に収まる追加の修正形態、応用形態、実施形態、および等価形態の置換形態を認識するであろう。したがって、開示されている実施形態は、前述の、または次の説明によって制限されるものと考えられるべきでない。
【0103】
本開示の多くの特徴および利点は、詳述されている明細から明らかであり、本開示の真の精神および範囲内に収まる本開示のすべてのそのような特徴および利点を対象とすることは付属の請求項によって意図されている。さらに、多数の修正形態および変更形態は当業者にとって容易に思いつくので、本開示を例示され説明されている正確な構造および動作に限定することは望ましくなく、したがって、すべての好適な修正形態および等価形態が利用されてよく、これは本開示の範囲内に収まる。
【0104】
さらに、当業者であれば、本開示が基づく着想は、本開示のいくつかの目的を実施するために他の構造、方法、およびシステムを設計するための基礎として容易に使用され得ることを理解するであろう。したがって、請求項は、前述の説明によって制限されるものと考えられるべきでない。
【符号の説明】
【0105】
100 デバイス
110 バンド
120 第1の端部
130 第2の端部
140 突起要素
150 クラスプ
160 遠位端
165 クラスプリテーナリング
170 プルワイヤ
180 クラスプアクチュエータ
190 送達デバイス
200 デバイス
210 バンド
220 第2の端部
230 第1の端部
240 クラスプ
300 デバイス
310 バンド
320 クラスプ
330 小柱
340 乳頭筋
350 心室
410 熊罠タイプのクラスプ
420 クリップタイプのクラスプ
430 締め具タイプのクラスプ
440 自動ロック式ジップタイタイプのクラスプ
450 バックルタイプのクラスプ
460 締め具タイプのクラスプ
510、520 クラスプ
610 クラスプ
620 切り込み
630 リーフ
640 開チャネル
650 スパイク
710 クラスプ
720 パネル
730 スパイク
740 クラスプ
750 リング
760 スパイク
800 クラスプアクチュエータ
810 トリガー
820 軟性カテーテル
830 身体
840 クラスプ
910 送達デバイス
930 開口部
950 把持器
960 挿入ケーブル通し器
970 バンド
980 第1の端部
1000 デバイス
1010 バンド
1020 第1の端部
1030 第2の端部
1040 クラスプ
1050 挿入ケーブル
1060 挿入ケーブルアダプタ
1110 事前装填されたバンド
1120 チューブ
1130 把持可能なコンポーネント
1150 第2の端部
1160 第1の端部