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特許7229249アッパーとコンフォートソールとの間に挿入されたシェルを有する運動靴
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】アッパーとコンフォートソールとの間に挿入されたシェルを有する運動靴
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/14 20060101AFI20230217BHJP
   A43B 13/12 20060101ALI20230217BHJP
【FI】
A43B13/14 B
A43B13/12 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020532028
(86)(22)【出願日】2018-12-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 US2018064292
(87)【国際公開番号】W WO2019118276
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-07-13
(31)【優先権主張番号】17/01302
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503204222
【氏名又は名称】ザ ノース フェイス アパレル コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】The North Face Apparel Corp.
【住所又は居所原語表記】3411 Silverside Road,Wilmington,Delaware 19810 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガイス,ベノイト
(72)【発明者】
【氏名】シェンチン,ウー
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/058420(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0089841(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0173456(US,A1)
【文献】特開2000-253904(JP,A)
【文献】特開2005-342519(JP,A)
【文献】特開2006-334400(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0179669(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 13/00 - 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ッパーと、
コンフォートソールと、
前記アッパーと前記コンフォートソールとの間に配設されたシェルを備える運動靴であって前記シェルは、シェル底部およびシェル側部を介して前記アッパー及び前記コンフォートソールの一方又は両方に連結され、前記運動靴はつま先部分を備え、前記シェルは、前記運動靴の踵部分と前記運動靴のつま先部分との距離よりも短い距離延在し、前記アッパーは、前記コンフォートソールと直接接触し、前記シェル側部該シェル側部が前記運動靴の踵に対応する前記シェルの後方部分に沿った前記シェル底部を囲み、かつ、前記シェル底部の前区分では不連続となるように前記シェル底部の周りに部分的に縁を形成し前記シェルの足の前区分に配置された複数の切り欠きを画定する、運動靴。
【請求項2】
前記シェル側部が、前記シェルの屈曲およびねじれ剛性を増加させるように構成されている、請求項1に記載の運動靴。
【請求項3】
前記複数の切り欠きが、前記シェルの1つ以上の剛性区分を区切ることによって、前記シェルの前記屈曲およびねじれ剛性を変動させるように構成されている、請求項2に記載の運動靴。
【請求項4】
前記複数の切り欠きのうちの少なくとも1つが、足の1つ以上の中足骨と1つ以上の指骨との間の1つ以上の足関節の位置に対応する、請求項1に記載の運動靴。
【請求項5】
前記複数の切り欠きのうちの少なくとも1つが、足の1つ以上の指骨と1つ以上のつま先との間の1つ以上の足関節の位置に対応する、請求項1に記載の運動靴。
【請求項6】
前記シェルが、プラスチックまたは複合材料を含む、請求項1に記載の運動靴。
【請求項7】
シェルが、繊維ガラスまたは炭素繊維のいずれか一方で含浸されたポリマー樹脂を含む、請求項6に記載の運動靴。
【請求項8】
前記シェルは、前記運動靴で受ける衝撃により放出されたエネルギーの一部が、前記コンフォートソールにより消散された対応するエネルギーの一部を軽減することによって緩和中に復元されることを可能にするように構成されている、請求項6に記載の運動靴。
【請求項9】
前記コンフォートソールは、前記アウトソールよりも剛性が低く、前記踵部分から前記つま先部分までの線に沿った各点に曲率半径を有し、アウトソールとの接点を作成する、請求項に記載の運動靴。
【請求項10】
前記コンフォートソールが、前記踵部分から前記つま先部分までの線に沿った1つ以上の対応する点に異なる曲率半径を有し、アウトソールとの接点を作成する、請求項に記載の運動靴。
【請求項11】
前記シェル底部が、有孔である、請求項1に記載の運動靴。
【請求項12】
前記シェル底部が、前記シェルの重量を軽減するように構成されている空洞をさらに含む、請求項1に記載の運動靴。
【請求項13】
前記コンフォートソールが、前記衝突と前記運動靴の回転との間の瞬間的な移行を提供し、歩行中のエネルギーの回復を増加させることによって、前記運動靴で受ける衝撃の重なり効果を軽減するように構成された曲率を含む、請求項1に記載の運動靴。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、具体的には、コンフォートソールを介してアウトソールに取り付けられたアッパーから構成された運動靴に関する。
【0002】
この種類の靴は、文献EP3 114 955により知られている。靴の踵からつま先まで、ゴム製アウトソールが、発泡ポリウレタンから作製された第1のコンフォートソールに取り付けられる。第2のエチレン酢酸ビニル(EVA)コンフォートソールは、有孔であるため、アッパーは、第1のソールおよび第2のコンフォートソールに取り付けられる。発泡ポリウレタンによって、第1のコンフォートソールのクッション効果が増加する。
【0003】
文献FR 2 898 252も、序文で述べた種類の運動靴について説明しているが、これは、2つの部分の複合材料挿入部が靴の踵でアウトソールおよびコンフォートソールに取り付けられ、つま先でコンフォートソールおよびアッパーに取り付けられるという事実により区別される。複合材料挿入部のこの部分によって、靴のつま先の弾性が増加する。
【0004】
本先行技術によると、踵において、アッパーがコンフォートソールに直接接触していることが分かる。本発明の目的は、運動靴の支持相をより良く制御するために本先行技術を修正することにある。
【発明の概要】
【0005】
本目的のために、本発明の主題は、序文に述べた種類に一致する運動靴であり、アッパーとコンフォートソールとの間に挿入されたプラスチックまたは複合材料から作製され、それらとともに踵に取り付けられている、シェルを含むことを特徴とする。
【0006】
プラスチックまたは複合材料から作製されたシェルは、靴の踵と地面との間の衝突中の足の変位に対抗するねじれおよび曲げ剛性をアッパーに与えることにより、支持の安定性に寄与する。弾性的に変形することによって、衝撃により放出されたエネルギーの一部が、コンフォートソールにより消散されたエネルギーの一部を軽減することによって緩和中に復元することも可能になる。
【0007】
好ましくは、プラスチックまたは複合材料のシェルは、つま先までアッパーおよびコンフォートソールに挿入および取り付けられる。
【0008】
この配置によって、シェルは、歩行の間中、靴の踵からつま先まで弾性的に変形し、保存されたエネルギーを回復させることによってアッパーにより包囲された足に刺激効果を提供する。
【0009】
また、好ましくは、プラスチックシェルまたは複合材料は、シェル底部およびシェル側部を介してアッパーおよびコンフォートソールに取り付けられる。
【0010】
シェル側部は、一方で、シェル底部の周囲に縁を形成し、シェルが歩行中に足を地面に対して安定させることを可能にする。したがって、アッパーに包囲された足は、踵の地面との衝突時に、靴により保持された配向に維持される。また一方では、シェル側部の縁によって、シェルの屈曲およびねじれ剛性が増加する。この配置は、より具体的には、ロードランニングに適切である。
【0011】
一実施形態では、シェル側部は、踵に対応するシェル底部の部分を囲み、つま先に対応する上記シェル底部の部分に沿って切断される。
【0012】
シェル側部の切断によって、靴のつま先に柔軟性が与えられる一方で、踵で剛度が保たれる。この配置は、より具体的には、トラックランニングに適切である。
【0013】
別の実施形態では、シェル側部は、上記シェル底部の周囲に縁を形成する。
【0014】
シェル側部は、一方で、シェル底部の周囲に縁を形成し、シェルが歩行中に足を地面に対して安定させることを可能にする。したがって、アッパーに包囲された足は、踵の地面との衝突時に、靴により保持された配向に維持される。また一方では、シェル側部の縁によって、シェルの屈曲およびねじれ剛性が増加する。この配置は、より具体的には、ロードランニングに適切である。
【0015】
好ましくは、シェル側部には、切り欠きが設けられる。
【0016】
この配置によって、シェル側部の剛性区分を区切ることによって、シェルの剛度を変動させることが可能になり、それによって、切り欠きによるその区分の間に柔軟性がもたらされる。これは、特に、「トレイルランニング」として知られるマウンテンランに適切である。
【0017】
また、好ましくは、シェル底部は、有孔である。
【0018】
有孔シェル底部は、シェルの重量を軽減する一方で、
シェル側部により供給される剛性を保つことを可能にする。
【0019】
有利には、コンフォートソールは、踵からつま先までの線の全ての点に曲率半径を有し、アウトソールとの接点を作成する。
【0020】
コンフォートソールの曲率によって、曲率の無いコンフォートソールで感じられる初期衝突の重なり効果が排除される。衝突と足の回転との間の移行は、瞬間的である。複合シェルの剛度と組み合わせて、コンフォートソールの湾曲によってエネルギーの回復が促進され、それによって、より速く、ひいてはより力強い歩行が可能になる。
【0021】
本発明の他の利点は、図面が示す実施形態の説明で明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1の実施形態の側面図である。
図2図1の拡大図である。
図3図1の断面A-A’に沿った図である。
図4】本発明の第2の実施形態の側面図である。
図5図4の拡大図である。
図6図4の断面B-B’に沿った図である。
図7】本発明の第2の実施形態の第1の変形例の側面図である。
図8図7に示す第1の変形例のシェルの図である。
図9】本発明の第2の実施形態の第2の変形例の側面図である。
図10図9に示す第2の変形例のシェルの図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の第1の実施形態、図1図3によると、運動靴は、つま先1と踵3との間に延在し、コンフォートソール9を介してアウトソール7に取り付けられたアッパー5を備える。
【0024】
アウトソール7は、ゴム等の粘着性材料から作製され、地面上の良好な把持および良好な耐摩耗性を提供することを目的とする。コンフォートソール9は、衝撃吸収材として作用し、具体的には踵3による靴の地面との接触中に衝撃を吸収する。また、コンフォートソール9は、制御されたねじれおよび屈曲剛性の特徴も有する。アッパー5は、靴に包囲された足を維持する役割を果たし、このために、紐またはクイックファスナーストリップを使用して閉鎖システム11が提供される。アウトソール7およびコンフォートソール9は、つま先1から踵3まで、例えば糊付けすることによって、互いに連結される。アウトソール7には、靴のつま先1に先端71が設けられてもよい。
【0025】
本発明によると、運動靴は、プラスチックまたは複合材料から作製され、アッパー5とコンフォートソール9との間に挿入され、それらに対して踵3に取り付けられる、シェル13を備える。靴の踵3に対応して、アッパー5の後方部分51は、例えば、シェル13の後方部分17に糊付けされ、同様に、上記後方部分17は、コンフォートソール9の後方部分91に糊付けされる。糊付けは、セメント付けで代替することができる。
【0026】
図1図3に示す実施形態では、シェル13は、踵3に対応する後方部分17からつま先1に対応する前方部分19に延在する。しかしながら、シェル13は、踵3とつま先1との間の距離未満の距離だけ延在し得る。基準21は、靴の踵3とつま先1との間の距離未満である後方部分17からの距離に、シェル13の前方部分19の終端を示す点線を有する。この場合、アッパー5は、シェル13が挿入されていない靴のつま先1の部分でコンフォートソール9と直接接触している。
【0027】
シェル13は、一方で、アッパー5とコンフォートソール9との間に挿入され、ねじれおよび屈曲剛性をアッパーに与えるために踵3によってこれらの2つの要素に取り付けられる。
【0028】
靴の踵3と地面との衝突中、シェル13は、アッパー5に包囲された足の変位に対抗することにより、支持の安定性に寄与する。また一方では、シェルは、プラスチックまたは複合材料から作製され、衝突により放出されたエネルギーの一部が、コンフォートソールにより消散されたエネルギーの一部を軽減することによって緩和中に復元することが可能になる。
【0029】
シェル13は、シェル底部23およびシェル側部25を介して、アッパー5およびコンフォートソール9に取り付けられる。
【0030】
この第1の実施形態では、シェル側部は、踵1に対応するシェル13の後方部分17に沿って底部シェル23を囲み、つま先1に対応するシェル13の前方部分19においてシェル底部23に沿って切断される。
【0031】
前述の通り、シェル側部25の切断によって、靴のつま先1に柔軟性が与えられる一方で、踵3で剛度が保たれる。この配置は、より具体的には、トラックランニングに適切である。
【0032】
図4図6に示す第2の実施形態は、先の実施形態とは異なり、ここでは、シェル側部25がシェル底部23の周囲に縁を形成する。
【0033】
前述のように、シェル側部25は、一方で、シェル底部23の周囲に縁を形成し、シェル13が歩行中に足を地面に対して安定させることを可能にする。したがって、アッパー5に包囲された足は、踵3の地面との衝突時に、靴により保持された配向に維持される。また一方では、シェル側部25の周縁によって、シェル13の屈曲およびねじれ剛性が増加する。この配置は、より具体的には、ロードランニングに適切である。
【0034】
前述のように、この配置によって、シェル側部25の剛性区分を区切ることによって、シェル13の剛度を変動させることが可能になり、それによって、切り欠きによるその区分の間に柔軟性がもたらされる。切り欠き27は、シェル13の前方部分19において、シェル底部13の周縁に沿って配置される。これらは、例えば、中足骨と指骨との間、および指骨と足のつま先との間の接合の部分に対応する。実施形態の本変形例は、具体的には、「トレイルランニング」として知られるマウンテンランに適切である。
【0035】
第2の実施形態の第2の変形例、図9および図10によると、底部シェル23は、有孔である。空洞29によって、シェル13の重量が軽減される一方で、シェル側部25により提供される剛性が保たれる。
【0036】
第1または第2の実施形態では、コンフォートソール9は、踵3からつま先1までの線L上の任意の点Pに曲率半径Rを有する。図1および図4では、線Lの点P1およびP2は、曲率半径R1およびR2を有する。
【0037】
前述のように、コンフォートソール9の曲率によって、曲率の無いコンフォートソールで感じられる初期衝突の重なり効果が排除される。衝突と足の回転との間の移行は、瞬間的である。複合シェル13の剛度と組み合わせて、コンフォートソール9の湾曲によってエネルギーの回復が促進され、それによって、より速く、ひいてはより力強い歩行が可能になる。
【0038】
シェルは、好ましくは、繊維ガラスまたは炭素繊維で含浸されたポリマー樹脂から作製される。また、シェルは、熱可塑性または熱硬化性材料の注入によって製造され得る。ねじれおよび屈曲剛性は、その厚さおよびその幾何学的形状、具体的にはシェル側部の高さに応じて、所定の材料のために調整される。コンフォート層は、好ましくは、EVAから作製されるが、粘弾性材料またはポリウレタンフォームからも作製され得る。
【0039】
本発明に従う靴の構造は、ソールの各要素が個別の機能を果たし、その調節を使用して、ロード上、トラック上、または山であろうと異なるスポーツの実践に対応することができるという概念に基づく。これは、足を適所に維持して誘導することに役立ち、クッション性および歩行回復を組み合わせる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10