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特許7229250骨折部にて骨片を固定するための標的設定デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】骨折部にて骨片を固定するための標的設定デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/17 20060101AFI20230217BHJP
【FI】
A61B17/17
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020534372
(86)(22)【出願日】2017-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 EP2017083945
(87)【国際公開番号】W WO2019120528
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】516171908
【氏名又は名称】スウェマック・イノヴェーション・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリク・ハンソン
(72)【発明者】
【氏名】ラーシュ・エステル
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0201976(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0312801(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0201975(US,A1)
【文献】特表2017-501826(JP,A)
【文献】特開2015-091420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/17
17/56 - 17/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大腿骨頸部の骨折部(2)における骨片(3、4)を固定するために構成された標的設定デバイス(100)であって、
前記標的設定デバイス(100)は、
第1の本体端部(111)および対向側の第2の本体端部(112)を備える細長本体部分(110)であって、前記細長本体部分(110)は、前記細長本体部分(110)を通して固定手段(303;303a、303b、303c)をそれぞれ案内するために、前記第1の本体端部(111)から前記第2の本体端部(112)まで延在する複数の本体貫通穴(113a、113b、113c)を備える、細長本体部分(110)と、
前記第1の本体端部(111)に配置されたブラケット(120)と、
を備え、
前記標的設定デバイス(100)は、前記細長本体部分(110)が、前記第2の本体端部(112)においてスナップ嵌め手段(114)を有し、前記スナップ嵌め手段(114)が、前記第2の本体端部(112)のエンベロープ表面(112a)の周囲に分布する1つ以上のスリット(114a、114b、114c)を備え、前記1つ以上のスリット(114a、114b、114c)のそれぞれが、前記細長本体部分(110)の長手方向とほぼ平行である長手方向に延在し、前記1つ以上のスリット(114a、114b、114c)により、前記第2の本体端部(112)が、外方へと撓曲し、非撓曲位置における前記第2の本体端部(112)の周囲部よりも大きい周囲部を有する固定プレート(150)の周囲にクランプ固定することが可能となり、それにより、前記第2の本体端部(112)が、前記固定プレート(150)の固定貫通穴(151)がそれぞれ1つの本体貫通穴(113a、113b、113c)と一直線をなして配置されるように、前記細長本体部分(110)に対して前記固定プレート(150)を取外し可能に装着することと、使用時には外方骨片(3)の表面に当接するための前記固定プレート(150)の表面を提供し、続いて前記固定手段(303;303a、303b、303c)を用いて前記外方骨片(3)に対して前記固定プレート(150)を固定することと、が可能となり、
前記第1の本体端部(111)は、第1の接合部分(115)を備え、前記ブラケット(120)は、対合する第2の接合部分(126)を備え、前記第1の接合部分(115)および前記対合する第2の接合部分(126)は、前記細長本体部分(110)および前記ブラケット(120)を互いに対して取外し可能に装着するように構成される、ことを特徴とする、標的設定デバイス(100)。
【請求項2】
前記第2の本体端部(112)には、前記細長本体部分(110)の軸方向面に対して角度をつけられた面内に配置された斜角端部セクション(112b)が設けられ、前記斜角端部セクション(112b)の表面が、使用時に外方骨片(3)の表面に当接する、請求項1に記載の標的設定デバイス(100)。
【請求項3】
前記斜角端部セクション(112b)は、使用時に前記第2の本体端部(112)が前記固定プレート(150)の周囲にクランプ固定する場合に、前記固定プレート(150)と同一平面内に取り付けられるように構成される、請求項2に記載の標的設定デバイス(100)。
【請求項4】
前記第1の接合部分(115)は、スロット(115a)を備え、前記スロット(115a)は、前記対合する第2の接合部分(126)の突出リム(126a)が、第1の本体端部(111)から前記第2の本体端部(112)に向かう方向において前記ブラケット(120)に対して印加される力を用いて前記スロット(115a)内に挿入される場合に、前記突出リム(126a)を保持するように構成され、力が前記第2の本体端部(112)から前記第1の本体端部(111)に向かう方向において前記ブラケット(120)に対して印加される場合に、前記スロット(115a)から前記突出リム(126a)を外すように構成される、請求項3に記載の標的設定デバイス(100)。
【請求項5】
前記第1の本体端部(111)において前記ブラケット(120)を固定的に装着するように構成された取外し可能固定手段(124)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の標的設定デバイス(100)。
【請求項6】
前記細長本体部分(110)は、前記スロット(115a)に配置された、および前記細長本体部分(110)の長手方向に対して垂直な方向に延在する凹部(115b)を備え、前記ブラケット(120)は、前記ブラケット(120)の少なくとも一部を貫通して延在するブラケット貫通穴(125)を備え、前記取外し可能固定手段(124)は、前記ブラケット(120)において、前記ブラケット貫通穴(125)を通り前記細長本体部分(110)の前記凹部(115b)内へと延在するように固定的に配置される、請求項5に記載の標的設定デバイス(100)。
【請求項7】
前記取外し可能固定手段(124)は、前記取外し可能固定手段(124)の少なくとも一部に雄ねじ(124a)を備えるねじであり、前記ブラケット貫通穴(125)は、前記ブラケット貫通穴(125)の少なくとも一部に形成された対合雌ねじ(125a)を備える、請求項6に記載の標的設定デバイス(100)。
【請求項8】
前記ブラケット(120)は、第1のブラケット部分(121)および第2のブラケット部分(122)を備え、前記第1のブラケット部分(121)および前記第2のブラケット部分(122)は、互いに対して角度(θ)をなして配置され、前記角度(θ)は、前記標的設定デバイス(100)が使用された場合に、外科医にとって望ましい作業位置を実現するように選択され、前記角度(θ)は、0°および180°でない角度である、請求項1から7のいずれか一項に記載の標的設定デバイス(100)。
【請求項9】
少なくとも1つの本体貫通穴(113a、113b、113c)は、対合するドリルスリーブ(160a、160b、160c)をそれぞれ囲むように構成される、請求項1から8のいずれか一項に記載の標的設定デバイス(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書における実施形態は、一般的には標的設定デバイスおよび方法に関する。詳細には、これらの実施形態は、骨折部における骨片固定に関する。
【背景技術】
【0002】
大腿骨頸部骨折などの骨折後に、骨折部の骨片同士は、大腿骨頸部骨折が治癒するように固定される必要がある。この固定は、現行では固定プレートと、骨片に対して固定プレートを固定するための骨釘もしくは骨ねじなどの適切な固定手段と、を使用することにより実施される。
【0003】
先行技術において、固定プレートは、プレートねじにより標的設定デバイスに対して固定的に装着され、この固定プレートが固定手段により骨片に装着されると、固定プレートは、標的設定デバイスから装着解除される必要がある。これは、スクリュードライバを使用してプレートねじを外すことにより行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書における実施形態の1つの目的は、改良された標的設定デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書における実施形態の一態様によれば、この目的は、骨折部における骨片固定において使用するための標的設定デバイスによって達成される。
【0006】
この標的設定デバイスは、第1の本体端部および対向側の第2の本体端部を備える細長本体部分を備える。この細長本体部分は、本体部分を通して固定手段をそれぞれ案内するために第1の本体端部から第2の本体端部まで延在する複数の本体貫通穴を備え、本体部分は、第2の本体端部においてスナップ嵌め手段を有して構成され、スナップ嵌め手段は、固定プレートの固定貫通穴がそれぞれ本体貫通穴と一直線をなして配置されるように、本体部分に対して固定プレートを取外し可能に装着するために、および使用時には固定手段により外方骨片に対して固定プレートを後に固定するように、外方骨片の表面に当接するための固定プレートの表面を提供するために構成される。
【0007】
さらに、標的設定デバイスは、第1の本体端部に配置されたブラケットを備える。
【0008】
本明細書における実施形態の別の態様によれば、上記目的は、標的設定デバイスを使用して骨折部にて骨片を固定するための方法により達成される。
【0009】
この方法は、骨折部を含む大腿骨頸部に対して遠位方向牽引力を印加するステップと、大腿骨頸部の外方骨片の外部と接触状態に案内デバイスを配置するステップと、を含む。
【0010】
案内デバイスにより、第1のガイドワイヤが大腿骨頸部の外方骨片を貫通し内方骨片内へと穿孔された穴内に導入される。
【0011】
さらにこの方法は、使用されるべき固定プレートを決定するステップと、外方骨片との接触状態から案内デバイスを移動させるステップと、を含む。
【0012】
ドリルスリーブが、外方骨片を通り内方骨片内へと配置された第1のガイドワイヤ上に通される。
【0013】
さらにこの方法は、ドリルスリーブを通して第1のガイドワイヤ上にカニューレドリルを配置するステップと、外方骨片を通して内方骨片内へとカニューレドリルを前進させることにより、外方骨片を貫通して内方骨片内へと第1の穴を穿孔するステップと、を含む。
【0014】
さらにこの方法は、ドリルスリーブを除去するステップと、固定プレートに対して第1のドリルスリーブ、第2のドリルスリーブ、および第3のドリルスリーブを装着するステップと、固定プレートがスナップ嵌め手段により標的設定デバイスの第2の端部に対して装着されるまで、第1のドリルスリーブ、第2のドリルスリーブ、および第3のドリルスリーブの上で標的設定デバイスの細長本体部分を押すステップと、を含む。
【0015】
この方法は、カニューレドリルおよび第1のガイドワイヤの上に第1のドリルスリーブを配置することにより、大腿骨頸部の外方骨片の外部と接触状態へと標的設定デバイスを配置するステップを含む。
【0016】
標的設定デバイスにより、第2のドリルおよび第3のドリルのそれぞれが、第2のドリルスリーブおよび第3のドリルスリーブのそれぞれの中に導入される。
【0017】
さらに、第2のドリルおよび第3のドリルにより、第2のドリル穴および第3のドリル穴のそれぞれが、外方骨片を貫通して内方骨片内へと穿孔される。
【0018】
この方法は、大腿骨頸部に対して印加される遠位方向牽引力を解除するステップと、大腿骨頸部に向かって標的設定デバイスの長手方向に沿って標的設定デバイスを押すステップと、それぞれのドリルスリーブのそれぞれの外方端部に穿孔された第1の穴、第2の穴、および第3の穴のそれぞれの長さを読み取るステップと、をさらに含む。
【0019】
さらにこの方法は、標的設定デバイスからそれぞれ第1のドリル、第2のドリル、および第3のドリル、ならびにそれぞれ第1のドリルスリーブ、第2のドリルスリーブ、および第3のドリルスリーブを除去することと、それぞれ選択された長さを有するそれぞれ第1の固定手段、第2の固定手段、および第3の固定手段を、細長本体部分の第1の本体貫通穴、第2の本体貫通穴、および第3の本体貫通穴のそれぞれを通して第1のドリル穴、第2のドリル穴、および第3のドリル穴のそれぞれの中へと導入することと、内方骨片に対しておよび固定プレートに対して第1の固定手段、第2の固定手段、および第3の固定手段のそれぞれを装着することと、を順次実施するステップを含む。
【0020】
さらにこの方法は、大腿骨頸部の外方骨片との接触状態から標的設定デバイスを移動させるステップを含む。
【0021】
標的設定デバイスが、スナップ嵌め手段により固定プレートを解除可能に保持するように構成されることによって、標的設定デバイスの動作が単純化される。これは、改良された標的設定デバイスを結果的にもたらす。
【0022】
したがって、本明細書における実施形態による1つの利点は、標的設定デバイスが、例えば手術中における取扱いなど、使用がより容易であり、先行技術の標的設定デバイスと比較した場合に固定プレートを固定するおよび外すために必要な動作ステップ数がより少なくなることである。
【0023】
本明細書における実施形態による別の利点は、標的設定デバイスが手術中に開創器として機能するように構成される点である。
【0024】
本明細書における実施形態によるさらに別の利点は、標的設定デバイスが、カニューレドリル技術および中実ドリル技術の両方の場合において平行ガイドとして機能するように構成される点である。
【0025】
本明細書における実施形態によるさらに別の利点は、標的設定デバイスが、固定手段を挿入するためのガイドとして機能するように構成される点である。
【0026】
本明細書における実施形態によるさらに別の利点は、標的設定デバイスが、固定プレートプッシャとして機能するように構成される点である。
【0027】
本明細書における実施形態によるさらに別の利点は、外科技術における多数のステップが固定プレートを介して実施されることにより、標的設定デバイスが手術中の張力を最小限に抑えるように構成される点である。
【0028】
添付の図面を参照として、本明細書における実施形態の例がさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】標的設定デバイスの一実施形態の概略側面図である。
図2】標的設定デバイスの一実施形態の概略上面図である。
図3】標的設定デバイスの一実施形態の概略側面図である。
図4図3による標的設定デバイスの一実施形態の概略側方断面図である。
図5図3による標的設定デバイスの一実施形態の概略分解側面図である。
図6】案内デバイスの一実施形態の概略側面図である。
図7】案内デバイスの一実施形態の概略上面図である。
図8A】標的設定デバイスを使用して骨折部にて骨片固定するための方法の実施形態を示す流れ図である。
図8B図8Aより続く、標的設定デバイスを使用して骨折部にて骨片固定するための方法の実施形態を示す流れ図である。
図9A】標的設定デバイスを使用して骨折部にて骨片固定するための方法の実施形態を実施する場合に本明細書において説明されるデバイスが大腿骨頸部に対してどのように配置されるかを概略的に示す図である。
図9B】標的設定デバイスを使用して骨折部にて骨片固定するための方法の実施形態を実施する場合に本明細書において説明されるデバイスが大腿骨頸部に対してどのように配置されるかを概略的に示す図である。
図9C】標的設定デバイスを使用して骨折部にて骨片固定するための方法の実施形態を実施する場合に本明細書において説明されるデバイスが大腿骨頸部に対してどのように配置されるかを概略的に示す図である。
図9D】標的設定デバイスを使用して骨折部にて骨片固定するための方法の実施形態を実施する場合に本明細書において説明されるデバイスが大腿骨頸部に対してどのように配置されるかを概略的に示す図である。
図9E】標的設定デバイスを使用して骨折部にて骨片固定するための方法の実施形態を実施する場合に本明細書において説明されるデバイスが大腿骨頸部に対してどのように配置されるかを概略的に示す図である。
図9F】標的設定デバイスを使用して骨折部にて骨片固定するための方法の実施形態を実施する場合に本明細書において説明されるデバイスが大腿骨頸部に対してどのように配置されるかを概略的に示す図である。
図9G】標的設定デバイスを使用して骨折部にて骨片固定するための方法の実施形態を実施する場合に本明細書において説明されるデバイスが大腿骨頸部に対してどのように配置されるかを概略的に示す図である。
図9H】標的設定デバイスを使用して骨折部にて骨片固定するための方法の実施形態を実施する場合に本明細書において説明されるデバイスが大腿骨頸部に対してどのように配置されるかを概略的に示す図である。
図9I】標的設定デバイスを使用して骨折部にて骨片固定するための方法の実施形態を実施する場合に本明細書において説明されるデバイスが大腿骨頸部に対してどのように配置されるかを概略的に示す図である。
図9J】標的設定デバイスを使用して骨折部にて骨片固定するための方法の実施形態を実施する場合に本明細書において説明されるデバイスが大腿骨頸部に対してどのように配置されるかを概略的に示す図である。
図9K】標的設定デバイスを使用して骨折部にて骨片固定するための方法の実施形態を実施する場合に本明細書において説明されるデバイスが大腿骨頸部に対してどのように配置されるかを概略的に示す図である。
図9L】標的設定デバイスを使用して骨折部にて骨片固定するための方法の実施形態を実施する場合に本明細書において説明されるデバイスが大腿骨頸部に対してどのように配置されるかを概略的に示す図である。
図9M】標的設定デバイスを使用して骨折部にて骨片固定するための方法の実施形態を実施する場合に本明細書において説明されるデバイスが大腿骨頸部に対してどのように配置されるかを概略的に示す図である。
図9N】標的設定デバイスを使用して骨折部にて骨片固定するための方法の実施形態を実施する場合に本明細書において説明されるデバイスが大腿骨頸部に対してどのように配置されるかを概略的に示す図である。
図9O】標的設定デバイスを使用して骨折部にて骨片固定するための方法の実施形態を実施する場合に本明細書において説明されるデバイスが大腿骨頸部に対してどのように配置されるかを概略的に示す図である。
図9P】標的設定デバイスを使用して骨折部にて骨片固定するための方法の実施形態を実施する場合に本明細書において説明されるデバイスが大腿骨頸部に対してどのように配置されるかを概略的に示す図である。
図9Q】標的設定デバイスを使用して骨折部にて骨片固定するための方法の実施形態を実施する場合に本明細書において説明されるデバイスが大腿骨頸部に対してどのように配置されるかを概略的に示す図である。
図9R】標的設定デバイスを使用して骨折部にて骨片固定するための方法の実施形態を実施する場合に本明細書において説明されるデバイスが大腿骨頸部に対してどのように配置されるかを概略的に示す図である。
図9S】標的設定デバイスを使用して骨折部にて骨片固定するための方法の実施形態を実施する場合に本明細書において説明されるデバイスが大腿骨頸部に対してどのように配置されるかを概略的に示す図である。
図9T】標的設定デバイスを使用して骨折部にて骨片固定するための方法の実施形態を実施する場合に本明細書において説明されるデバイスが大腿骨頸部に対してどのように配置されるかを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本明細書における実施形態が、複数の例示の実施形態によりさらに詳細に説明される。これらの実施形態は相互に排他的ではない点に留意されたい。一実施形態の構成要素が別の実施形態においても存在することが、暗黙のうちに想定され、それらの構成要素が他の例示の実施形態においてどのように使用され得るかが、当業者に明らかになろう。図面では、同一の参照数字が、同一または同様の構成要素に対して使用される。
【0031】
例えば図1図6および図9F図9Rに概略的に示されるように、本明細書における実施形態は、骨折部2における骨片3、4の固定において使用するための標的設定デバイス100に関する。例えば、骨片3、4は、大腿骨頸部1における外方骨片3および内方骨片4であってもよい。
【0032】
標的設定デバイス100は、第1の本体端部111および対向側の第2の本体端部112を備える細長本体部分110を備える。これらの第1の本体端部111および第2の本体端部112は、対角方向に対向側に位置する本体端部である。細長本体部分110は、本体部分110を通してそれぞれの固定手段303;303a、303b、303cを案内するための、第1の本体端部111から第2の本体端部112まで延在する複数の本体貫通穴113;113a、113b、113cを長手方向に沿って備える。
【0033】
細長本体部分110は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのプラスチック材料から製造され得る、または含み得る。
【0034】
本開示においては、第1の貫通穴113aが、下方貫通穴または遠位貫通穴と呼ばれ、第2の貫通穴113bおよび第3の貫通穴113cが、上方貫通穴または近位貫通穴と呼ばれる場合がある。また、本開示においては、第2の貫通穴113bおよび第3の貫通穴113cが、前方近位貫通穴および後方近位貫通穴とそれぞれ呼ばれる場合がある。
【0035】
いくつかの実施形態では、複数の貫通穴113;113a、113b、113cは、それぞれの対合ドリルスリーブ160;160a、160b、160cを囲むように構成される。したがって、複数の貫通穴113は、標的設定デバイス100を通してそれぞれの対合ドリルスリーブ160を案内するように構成される。
【0036】
さらに、複数の貫通穴113a、113b、113cは、本体部分110を通して固定プレート150のそれぞれの固定貫通穴151内へとそれぞれの固定手段303;303a、303b、303cを案内するように構成され得る。固定手段303は、骨片3、4に対して固定プレート150を固定するように構成される。
【0037】
固定手段303は、骨釘または骨ねじであってもよい。
【0038】
固定手段303は、内方骨片4中に掛止するように構成されたフック(図示略)または同様の手段を前方端部に備え得る。さらに、固定手段303は、固定プレート150の貫通穴151の対合雌ねじに嵌着するように構成された雄ねじを後方端部に備え得る。
【0039】
本明細書において説明される例示的な図面の一部において、3つの貫通穴113a、113b、113c、3つのドリルスリーブ160;160a、160b、160c、および3つの固定手段303;303a、303b、303cが示されるが、貫通穴113、対合ドリルスリーブ160、および固定手段303の個数は、異なるものであってもよく、例えば2つ以下または4つ以上であってもよい点を理解されたい。
【0040】
本体部分110は、第2の本体端部112にスナップ嵌め手段114を有して構成される。このスナップ嵌め手段114は、固定プレート150の固定貫通穴151がそれぞれ本体貫通穴113a、113b、113cと一直線をなして配置されるように、本体部分110に対して固定プレート150を取外し可能に装着するように構成される。したがって、本明細書において開示される実施形態によるスナップ嵌め手段114により、ねじ等によって標的設定デバイス100に対して固定プレート150を装着する必要はない。したがって、先行技術の標的設定デバイスと比較してこの標的設定デバイス100の動作が単純化される。使用時に、スナップ嵌め手段114は、固定手段303;303a、303b、303cにより外方骨片3に対して固定プレート150を後に固定するために、外方骨片3の表面に当接するための固定プレート150の表面を提供するように構成される。これにより、固定プレート150は、外方骨片3の表面に対して同一平面内に取り付けられる。
【0041】
いくつかの実施形態では、スナップ嵌め手段114は、本体部分110内から第2の本体端部112に向かって本体部分110の長手方向へと印加される力に対してさらされた場合に、本体部分110から固定プレート150を外すように構成される。したがって、本明細書において開示される実施形態によるスナップ嵌め手段114により、固定プレート150は、固定プレートを外すためにねじを外す必要がある先行技術の標的設定デバイスと比較して、標的設定デバイス100から容易に外れる。
【0042】
いくつかの実施形態では、スナップ嵌め手段114は、第2の本体端部112のエンベロープ表面112aの周囲に分布する1つ以上のスリット114;114a、114b、114cを備える。1つ以上のスリット114;114a、114b、114cのそれぞれが、本体部分110の長手方向に対してほぼ平行である長手方向に延在するように構成され、1つ以上のスリット114;114a、114b、114cは、第2の本体端部112が、外方へと撓曲し固定プレート150の周囲にクランプ固定することにより、本体部分110に対して固定プレート150を取外し可能に装着することが可能になるように構成される。これは、固定プレート150が、非撓曲位置においては第2の本体端部112の周囲部よりも大きいが、最大撓曲位置においては第2の本体端部112の周囲部よりも小さい周囲部を有する場合に該当し得る。
【0043】
スナップ嵌め手段114の3つのスリット114a、114b、114cは、もっぱら一例として示され、このスナップ嵌め手段114は、スナップ嵌め機能を実現する別の個数のスリットまたは別の個数の手段を備えてもよい点を理解されたい。
【0044】
例えばスナップ嵌め手段114の内方表面などのスナップ嵌め手段114の内部上に、スナップ嵌め手段114は、内方突出リム114dを備える。この突出リム114dは、スナップ嵌め手段114の内周部に、第2の本体端部112の開口から距離dをおいて配置される。距離dは、固定プレート150の厚さと対応する。突出リム114dは、固定プレート150が第2の本体端部112中に押し込まれた場合に、固定プレート150が突出リム114dを越えて押されるのを阻止するための固定プレート150用のストッパとして機能するように構成される。距離dが、固定プレート150の厚さに対応することにより、固定プレート150は、第2の本体端部112の開口端部に対して同一平面内に取り付けられる。
【0045】
第2の本体端部112は、本体部分110の軸方向面に対して角度Φで角度をつけられた面内に配置された、例えば斜角端部セクション112bなどの端部セクションを備え得る。この軸方向面は、軸方向軸AAに対して平行に、および長手方向軸LAに対して垂直に延在する(図1を参照)。かかる実施形態では、および標的設定デバイス100の使用時には、斜角端部セクション112bの表面は、外方骨片3の表面に当接するように構成される。いくつかの実施形態では、角度Φは、斜角端部セクション112bが外方骨片3の表面に対して同一平面内に取り付けられ得るように選択される。
【0046】
さらに、固定プレート150は、斜角端部セクション112bに対して同一平面内に取り付けられるように構成され得る。したがって、いくつかの実施形態では、スナップ嵌め手段114および固定プレート150は、固定プレート150がスナップ嵌め手段114により標的設定デバイス100に対して装着される場合に、固定プレート150が斜角端部セクション112bに対して同一平面内に取り付けられるように、角度をつけられるように構成される(図9Fおよび図9Gを参照)。これにより、固定プレート150は、外方骨片3の表面に対して同一平面内に取り付けられ、骨片に対して作用する荷重をより良好に支持する。
【0047】
さらに、標的設定デバイス100は、第1の本体端部111に配置されたブラケット120を備える。いくつかの実施形態では、ブラケット120は、第1のブラケット部分121および第2のブラケット部分122を備える。第1のブラケット部分121および第2のブラケット部分122は、相互に対して角度θをなして配置され得る。角度θは、標的設定デバイス100を使用する場合に外科医にとって望ましい作業位置を実現するように選択され得る。ブラケット120は、ハンドルバーなどのハンドル手段123であってもよく、またはハンドル手段123を備えてもよい。さらに、ブラケット120は、金属から製造され得るか、または金属を含み得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、標的設定デバイス100、例えば標的設定デバイス100の第1の本体端部111が、第1の接合部分115を備え、ブラケット120が、対合する第2の接合部分126を備える。かかる実施形態では、第1の接合部分115および対合する第2の接合部分126は、本体部分110およびブラケット120を相互に対して取外し可能に装着するように構成される。
【0049】
標的設定デバイス100は、標的設定デバイス100のエンベロープ表面の周囲に配置された複数の第1の接合部分115を備えてもよい点を理解されたい。したがって、ブラケット120は、標的設定デバイス100のエンベロープ表面の複数の位置において標的設定デバイス100に対して取外し可能に装着され得る。
【0050】
第1の接合部分115は、突出リム126aが、第1の本体端部111から第2の本体端部112に向かう方向においてブラケット120に対して印加される力により、スロット115a内に挿入される場合に、対合する第2の接合部分126の突出リム126aを保持するように構成されたスロット115aを備え得る。さらに、スロット115aは、第2の本体端部112から第1の本体端部111に向かう方向においてブラケット120に対して力が印加される場合に、スロット115aから突出リム126aを外すように構成される。
【0051】
いくつかの実施形態では、標的設定デバイス100は、第1の本体端部111にブラケット120を固定的に装着するように構成された、例えば取外し可能固定手段124などの固定手段を備える。さらに、本体部分110は、スロット115aに配置された、および本体部分110の長手方向に対して垂直方向に延在する凹部115bを備え得る。さらに、ブラケット120は、ブラケット120の少なくとも一部を貫通して延在するブラケット貫通穴125を備え得る。かかる実施形態では、取外し可能固定手段124は、ブラケット120にて、ブラケット貫通穴125を貫通し本体部分110の凹部115b内へと延在するように固定的に配置され得る。
【0052】
取外し可能固定手段124は、その少なくとも一部分に雄ねじ124aを備えるねじであってもよく、ブラケット貫通穴125は、その少なくとも一部分に形成された対合雌ねじ125aを備えてもよい。
【0053】
図6および図7は、案内デバイス200の実施形態を概略的に示す。案内デバイス200は、固定プレート150と固定手段303との間に所望の角度αを確保するように構成される。所望の角度αは、例えば120~130度の範囲内であってもよく、例えば125度である。案内デバイス200は、角度ガイドと呼ばれる場合がある。案内デバイス200は、ガイド部分211の第1の端部214中の入口開口213からガイド部分211の第2の端部216中の出口開口215までガイド部分211を通してガイドワイヤを案内するように構成された長手方向貫通穴212を長手方向に備える細長ガイド部分211を備える。
【0054】
ハンドル部分220は、ガイド部分211の第1の端部214に配置され、ガイド部分211に対して角度をつけられて配置され得る。ハンドル部分220は、細長状であってもよく、第1のハンドルセクション221および第2のハンドルセクション222を備え得る。第1のハンドルセクション221および第2のハンドルセクション222は、相互に対して角度をなして配置され得る。さらに、第2のハンドルセクション222は、グリップ223からなり得るか、またはグリップ223を備え得る。
【0055】
ガイド部分211は、使用時に外方骨片3の表面に当接するように構成された当接表面218を有する当接部分217を、第2の端部216に備え得る。当接表面218は、使用中に外方骨片3の表面にグリップを設けるために、例えばピークパターンを有し得るなど、リブ加工され得る。当接表面218により、ガイド部分211は、使用中に外方骨片3に沿って摺動しない。
【0056】
照準手段230が、ガイド部分211に配置され得る。この照準手段230は、使用時に例えば近位ガイドワイヤなどのガイドワイヤの一部分を指し示すように構成される。
【0057】
照準手段230の第1の端部231は、当接部分217に配置され、照準手段230は、ガイド部分211から離間されたおよびガイド部分211に対して平行に配置された細長い第1の部分232を有して構成され得る。さらに、照準手段230は、2つの離間されたかつ平行なスレッド状部分233、234を細長い第1の部分232に備えてもよく、これらの2つのスレッド状部分233、234は、使用時にそれぞれのガイドワイヤのそれぞれの部分を指し示すように構成され得る。
【0058】
本明細書において開示される標的設定デバイス100および案内デバイス200などのデバイスの構成アイテムの材料のサイズおよび選択は、必要に応じておよび所望に応じて変更され得る点を理解されたい。
【0059】
次に、標的設定デバイス100を使用して骨折部にて骨片固定するための方法が、図8に示す流れ図と、本明細書において説明されるデバイスが本方法の実施形態の実施時に大腿骨頸部に対してどのように配置されるかを概略的に示す図9A図9Tと、を参照として説明される。この方法は、以下の動作の1つ以上を含む。これらの動作は、他の適切な順序で行われてもよく、組み合わされてもよい点を理解されたい。さらに、これらの動作の中の1つ以上は任意であってもよい。さらに、これらの動作の中の1つ以上が、蛍光透視の最中または他の撮像技術の最中に実施されてもよい。
【0060】
動作801
本方法は、骨折部2を含む大腿骨頸部1に対して遠位方向牽引力を印加することを含む。これは、大腿骨を回転させることが可能になるように、および正確な解剖学的位置に骨折部2を設定するために実施される。これにより、矢状面および側面における案内デバイス200の正確な位置決めが可能となる。
【0061】
動作802
さらに、本方法は、大腿骨頸部1の外方骨片3の外方表面に対して案内デバイス200を接触状態に配置することを含む。
【0062】
これは、図9Aに概略的に示される。
【0063】
動作803
案内デバイス200により、外方骨片3に穿孔された例えば第1の穴5などの穴の中へ、および大腿骨頸部1の内方骨片4の中へ第1のガイドワイヤ300aを導入する。外方骨片3および内方骨片4は、骨折部2の両側部に位置する。
【0064】
これは、図9Aに概略的に示される。
【0065】
動作804
本方法は、使用されるべき固定プレート150を決定することを含む。これは、例えば蛍光透視などの最中に行われてもよく、固定プレート150のサイズが、案内デバイス200の照準手段230により指示されたガイドワイヤの位置に基づき決定され得る。例えば、固定プレート150のサイズは、固定プレート150の固定貫通穴151の直径を示す6、8、10、または12mmとして示され得る。以下において説明するように、使用されるべき固定手段303は、その固定手段303の直径が固定プレート150の貫通穴151の直径と対応するように選択される。
【0066】
これは、図9Bに概略的に示される。
【0067】
動作805
本方法は、外方骨片3との接触状態から案内デバイス200を移動させることを含む。案内デバイス200の移動後に、第1のガイドワイヤ300aが、外方骨片3内に配置された状態でおよび内方骨片4内へと留まる。
【0068】
動作806
ドリルスリーブ301aが、第1のガイドワイヤ300a上に配置される。上述のように、第1のガイドワイヤ300aは、外方骨片3を通して内方骨片4内へと配置される。
【0069】
これは、図9Cに概略的に示される。
【0070】
動作807
カニューレドリル302aが、ドリルスリーブ301を通しておよび第1のガイドワイヤ300a上に配置される。したがって、カニューレドリル302aは、ドリルスリーブ301を通して案内され、第1のガイドワイヤ300aにより外方骨片3と接触状態にされる。
【0071】
これは、図9Cに概略的に示される。
【0072】
動作808
第1のドリル穴5は、外方骨片3を通して内方骨片4内へとカニューレドリル302aを前進させることにより、外方骨片3を通して内方骨片4内へと穿孔される。カニューレドリル302aは、所望の位置に到達するまで内方骨片4内へと前進される。この位置は、軟骨下骨中の位置であってもよい。
【0073】
これは、図9Cに概略的に示される。
【0074】
動作809
本方法は、ドリルスリーブ301aを除去することをさらに含む。ドリルスリーブ301aの除去後に、第1のガイドワイヤ300aおよびカニューレドリル302aは、外方骨片3内に配置された状態でおよび内方骨片4内へと留まる。特に、カニューレドリル302aは、穿孔された第1の穴5内に保持される。
【0075】
動作810
第1のドリルスリーブ160a、第2のドリルスリーブ160b、および第3のドリルスリーブ160c(すなわちドリルスリーブ160)は、例えば上記の動作804において決定された寸法を有する固定プレートに対してなど、固定プレート150に対して装着される。図9Dは、4セットの3つのピン181を備えるスタンド180を概略的に示し、各セットのピンは、6、8、10、および12mmなどの同一の直径を有する。図9Dに概略的に示すように、3つの貫通穴151;151a、151b、151cを有する固定プレート150は、8mmの直径を有するピン181のセットに配置され、第1のドリルスリーブ160a、第2のドリルスリーブ160b、および第3のドリルスリーブ160c(すなわちドリルスリーブ160)は、それぞれピン181におよび固定プレート150に配置される。
【0076】
動作811
本方法は、固定プレート150がスナップ嵌め手段114により標的設定デバイス100の第2の端部112に対して装着されるまで、第1のドリルスリーブ160a、第2のドリルスリーブ160b、および第3のドリルスリーブ160cの上で標的設定デバイス100の細長本体部分110を押すことを含む。標的設定デバイス100は、選択された標的設定デバイス100のスナップ嵌め手段114が選択された固定プレート150の保持に適した寸法を有するように、上記の動作804で決定された固定プレート150のサイズに基づき選択され得る。
【0077】
図9Eは、固定プレート150がスナップ嵌め手段114により標的設定デバイス100の第2の端部112に対して装着されるまで、標的設定デバイス100の細長本体部分110が第1のドリルスリーブ160a、第2のドリルスリーブ160b、および第3のドリルスリーブ160cの上でどのように押されるかを概略的に示す。図9Fは、それぞれのドリルスリーブ160;160a、160b、160c内に配置された各ガイドワイヤスリーブ170;170a、170b、170cを備える組み立てられた標的設定デバイス100を概略的に示す。
【0078】
動作812
さらに、本方法は、カニューレドリル302aおよび第1のガイドワイヤ300aの上に第1のドリルスリーブ160aを配置することにより、大腿骨頸部1の外方骨片3の外方表面と接触状態に標的設定デバイス100を配置することを含む。動作809において前述したように、第1のガイドワイヤ300aおよびカニューレドリル302aは、外方骨片3内におよび内方骨片4内へと配置される。
【0079】
これは、図9Gに概略的に示される。
【0080】
動作813
標的設定デバイス100により、第2のドリル302bおよび第3のドリル302cはそれぞれ、第2のドリルスリーブ160bおよび第3のドリルスリーブ160cにそれぞれ導入される。
【0081】
例えば第2のドリル302bおよび第3のドリル302cがカニューレドリルであるなど、カニューレ技術を含むいくつかの実施形態では、それぞれ第2のドリルスリーブ160bおよび第3のドリルスリーブ160c内に第2のドリル302bおよび第3のドリル302cをそれぞれ導入することは、
第2のドリルスリーブ160b内に第2のガイドワイヤスリーブ170bを導入することと、
第3のドリルスリーブ160c内に第3のガイドワイヤスリーブ170cを導入することと、
外方骨片3を通して内方骨片4内へとそれぞれ第2のガイドワイヤスリーブ170bおよび第3のガイドワイヤスリーブ170c内の第2のガイドワイヤ300bおよび第3のガイドワイヤ300cをそれぞれ導入することと、
第2のガイドワイヤスリーブ170bおよび第3のガイドワイヤスリーブ170cを除去することと、
第2のドリルスリーブ160bおよび第3のドリルスリーブ160cのそれぞれを通してならびに第2のガイドワイヤ300bおよび第3のガイドワイヤ300cのそれぞれの上で第2のカニューレドリル302bおよび第3のカニューレドリル302cをそれぞれ導入することと、
を含む。
【0082】
ガイドワイヤスリーブ170;170a、170b、170cは、3~4mmの範囲内の、例えば3.2mmの内径を有し得る。
【0083】
これは、図9H図9Jに概略的に示される。
【0084】
動作814
さらに、第2のドリル302bおよび第3のドリル302cにより、第2のドリル穴6および第3のドリル穴7はそれぞれ、外方骨片3を貫通して内方骨片4内へと穿孔される。
【0085】
これは、図9Jに概略的に示される。しかし、図9Jでは、第3のドリル穴7および第3のドリル302cは、第2の穴6および第2のドリル302bに対して平行に配置される。
【0086】
動作815
本方法は、大腿骨頸部1に対して印加される遠位方向牽引力を解除することをさらに含み得る。それにより、骨折部2における外方骨片3と内方骨片4との間の距離が縮小される。
【0087】
動作816
標的設定デバイス100は、大腿骨頸部1に向かって長手方向に沿って押される。これは、骨折部2における外方骨片3と内方骨片4との間の距離を最小限に縮小するために行われる。
【0088】
これは、図9Kに概略的に示される。
【0089】
動作817
本方法は、ドリルスリーブ160;160a、160b、160cのそれぞれの外方端部161;161a、161b、161cのそれぞれに穿孔された第1のドリル穴5、第2のドリル穴6、および第3のドリル穴7のそれぞれの長さを読み取ることをさらに含む。読み取られたそれぞれの長さに基づき、それぞれの固定手段303a、303b、303cの適切な長さが選択され得る。
【0090】
これは、図9Lに概略的に示される。
【0091】
動作818
さらに本方法は、内方骨片4に対するおよび固定プレート150に対する1つの固定手段303の固定に関する複数の動作を順次実施することを含む。固定手段303の中の1つが固定されると、これらの動作が次の固定手段に関して繰り返される。これは、すべての固定手段303が内方骨片4に対しておよび固定プレート150に対して固定されるまで繰り返される。
【0092】
したがって、本方法は、第1のドリル302aのおよび第1のドリルスリーブ160aの標的設定デバイス100からの除去を順次実施することを含む。その後、選択された長さを有する第1の固定手段303aが、細長本体部分110の第1の本体貫通穴113aを通して第1のドリル穴5内へと導入される。次いで、第1の固定手段303aは、内方骨片4に対しておよび固定プレート150に対して装着される。
【0093】
第1の固定手段303aが内方骨片4に対しておよび固定プレート150に対して装着されると、第2のドリル302bおよび第2のドリルスリーブ160bは、標的設定デバイス100から除去される。その後、選択された長さを有する第2の固定手段303bが、細長本体部分110の第2の本体貫通穴113bを通して第2のドリル穴6内へと導入される。次いで、第2の固定手段303bは、内方骨片4に対しておよび固定プレート150に対して装着される。
【0094】
上述の動作は、内方骨片4に対しておよび固定プレート150に対して装着されるべき固定手段が存在する限り繰り返され得る。
【0095】
固定手段303は、固定手段303から出て内方骨片4内へと延在するようにフック(図示略)を展開することにより内方骨片4に対して装着され得る。フックの展開により、結果として固定プレート150に対して引力が印加され得る。さらに、例えば固定手段303は、固定手段303の雄ねじが固定プレート150のそれぞれの貫通穴151の雌ねじに対合することにより、固定プレート150に対して装着され得る。したがって、固定挿入手段400により、固定手段303は、内方骨片4中に螺入され、固定プレート150に装着され得るため、この螺入により結果として押力が固定プレート150に対して印加される。
【0096】
固定手段303は、スリーブと、スリーブ内に配設されたピンとを有してもよく、このピンは、ピンの少なくとも前方部分がスリーブ内の少なくとも一方の側の開口を通して外方へと駆動され得るように、スリーブ内で移動するように配置される。この場合に、この前方部分は、例えば上述のフックなどの少なくとも1つのフックの形態で第1の固定部分を構成し、この第1の固定部分は、内方骨片4内に係合する。内方骨片4の密度がその中心部において最大であることにより、それぞれの固定手段303は、ピンの前方部分が駆動中に骨片4の中心部分内に係合されるように適用されることが有利となる。また、固定手段303はそれぞれ、内方骨片の中心部分内への係合を実現するように構成され得る。例えば、固定手段303がねじ山付きの第2の固定部分を備える場合には、その中にあるねじ山は、前記結果を実現するように配設および/または構成され得る。それぞれの固定手段303中のピンの前方部分を内方骨片4の中心部に向けることにより、固定手段303が内方骨片においてより良好なグリップを得るだけでなく、さらに骨釘の回転または他の移動のリスクが相殺される。また、固定手段の第1の固定部分および第2の固定部分は、ねじ山部分でなくてもよい。
【0097】
固定挿入手段400は、第1の直径を有する第1の細長ロッドセクション401と、第2の直径を有する第2の細長ロッドセクション402と、ハンドル部分403と、を備える。第1の直径は第2の直径よりも大きい。第1の細長ロッドセクション401の長さは、固定手段303が完全に挿入された場合に、第1の細長ロッドセクション401が細長本体部分110に対して同一平面内に取り付けられるように、標的設定デバイス100の貫通穴113の長さに対応する。固定挿入手段400は、固定手段303のねじ頭内に挿入される先端部を備えるスクリュードライバであってもよい。
【0098】
フック展開手段500が、固定挿入手段400の第2の細長ロッドセクション402に配置される。フック展開手段500は、細長ロッド501およびハンドル手段502を備える。細長ロッド501は、フックが完全に展開された時を例えば視覚化するなどして示すように構成された第1の指示部503aと、フックが後退された時を例えば視覚化するなどして示すように構成された第2の指示部503bとを備え得る。
【0099】
フック展開手段500は、第2の細長ロッドセクションに位置するねじ頭内に挿入される先端部を備えるスクリュードライバであってもよい。
【0100】
固定手段303が内方骨片4に対しておよび固定プレート150に対して装着された場合に、固定プレート150は、固定プレート150に対して印加される力により標的設定デバイスのスナップ嵌め手段114から外される点を理解されたい。
【0101】
これは、図9N図9Qに概略的に示される。
【0102】
動作819
標的設定デバイス100は、大腿骨頸部1の外方骨片3との接触状態から移動させられる。
【0103】
これは、図9Rに概略的に示される。さらに、図9Sおよび図9Tは、固定プレート150と共に大腿骨頸部1の2つの異なる図を概略的に示す。
【0104】
骨釘が、スリーブと、スリーブ内に配設されたピンと、を有してもよく、このピンは、ピンの少なくとも前方部分がスリーブ内の少なくとも一方の側の開口を通して外方へと駆動され得るように、スリーブ内で移動するように配置される。この場合に、この前方部分は、内方骨片内に係合する少なくとも1つのフックの形態の第1の固定部分を構成する。さらに、それぞれの骨釘が、上述のタイプの第2の固定部分を有する。内方骨片の密度がその中心部において最大であることにより、それぞれの骨釘は、ピンの前方部分が駆動中に骨片の中心部分内に係合されるように適用されることが有利となる。また、骨釘はそれぞれ、内方骨片の中心部分内への係合を実現するように構成され得る。例えば、ねじ山付きの第2の固定部分が存在する場合には、その中にあるねじ山は、前記結果を実現するように配設および/または構成され得る。それぞれの骨釘中のピンの前方部分を内方骨片の中心部に向けることにより、骨釘が内方骨片においてより良好なグリップを得るだけでなく、さらに骨釘の回転または他の移動のリスクが相殺される。また、固定手段の前記第1の固定部分および前記第2の固定部分は、ねじ山部分でなくてもよい。動作セットの構成アイテムの材料のサイズおよび選択は、必要に応じておよび所望に応じて変更されてもよい。
【0105】
「備える」および「備えている」という語が使用される場合に、これは、非限定的なものとして、すなわち「から少なくともなる」を意味するものとして解釈されるものとする。
【0106】
本明細書における実施形態は、上述の好ましい実施形態に限定されない。様々な代替形態、修正形態、および均等物が利用され得る。したがって、上述の実施形態は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により定義される。
【符号の説明】
【0107】
1 大腿骨頸部
2 骨折部
3 外方骨片
4 内方骨片
5 第1の穴、第1のドリル穴
6 第2の穴、第2のドリル穴
7 第3のドリル穴
100 標的設定デバイス
110 細長本体部分
111 第1の本体端部
112 第2の本体端部
112a エンベロープ表面
112b 斜角端部セクション
113 本体貫通穴
113a 第1の本体貫通穴
113b 第2の本体貫通穴
113c 第3の本体貫通穴
114 スナップ嵌め手段、スリット
114a 第1のスリット
114b 第2のスリット
114c 第3のスリット
114d 内方突出リム
115 第1の接合部分
115a スロット
115b 凹部
120 ブラケット
121 第1のブラケット部分
122 第2のブラケット部分
123 ハンドル手段
124 取外し可能固定手段
124a 雄ねじ
125 ブラケット貫通穴
125a 雌ねじ
126 第2の接合部分
126a 突出リム
150 固定プレート
151 固定貫通穴
160 対合ドリルスリーブ
160a 第1のドリルスリーブ
160b 第2のドリルスリーブ
160c 第3のドリルスリーブ
161 外方端部
170 ガイドワイヤスリーブ
170a 第1のガイドワイヤスリーブ
170b 第2のガイドワイヤスリーブ
170c 第3のガイドワイヤスリーブ
180 スタンド
181 ピン
200 案内デバイス
211 ガイド部分
212 長手方向貫通穴
213 入口開口
214 第1の端部
215 出口開口
216 第2の端部
217 当接部分
218 当接表面
220 ハンドル部分
221 第1のハンドルセクション
222 第2のハンドルセクション
223 グリップ
230 照準手段
231 第1の端部
232 細長い第1の部分
233 スレッド状部分
300a 第1のガイドワイヤ
300b 第2のガイドワイヤ
300c 第3のガイドワイヤ
301 ドリルスリーブ
301a ドリルスリーブ
302a 第1のドリル、カニューレドリル
302b 第2のドリル、第2のカニューレドリル
302c 第3のドリル、第3のカニューレドリル
303 固定手段
303a 第1の固定手段
303b 第2の固定手段
400 固定挿入手段
401 第1の細長ロッドセクション
402 第2の細長ロッドセクション
403 ハンドル部分
500 フック展開手段
501 細長ロッド
502 ハンドル手段
503a 第1の指示部
503b 第2の指示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図9H
図9I
図9J
図9K
図9L
図9M
図9N
図9O
図9P
図9Q
図9R
図9S.9T】