(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】可変速度手術器具のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 34/30 20160101AFI20230217BHJP
A61B 17/072 20060101ALI20230217BHJP
【FI】
A61B34/30
A61B17/072
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021116431
(22)【出願日】2021-07-14
(62)【分割の表示】P 2018536103の分割
【原出願日】2017-01-27
【審査請求日】2021-08-05
(32)【優先日】2016-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ウィクシー,マシュー エー.
(72)【発明者】
【氏名】ブリッソン,ガブリエル エフ.
(72)【発明者】
【氏名】バーバンク,ウィリアム エー.
(72)【発明者】
【氏名】フラナガン,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ヒンウィー,プッシュカー
(72)【発明者】
【氏名】ウェイアー,デイビッド ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン ジュニア.,ドナルド エフ.
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-512845(JP,A)
【文献】特表2014-512885(JP,A)
【文献】特開2009-090113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00-18/18
A61B 34/00-34/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ支援装置であって、当該コンピュータ支援装置は、
エンドエフェクタを有する器具であって、該器具の先端部には前記エンドエフェクタが配置される、器具と、
アクチュエータと、
該アクチュエータから前記エンドエフェクタに力又はトルクを結合するための1つ又は複数の駆動機構と、
1つ又は複数のプロセッサと、を有しており、
前記器具を用いた動作を行うために、前記1つ又は複数のプロセッサは、状態マシンに従って前記エンドエフェクタを動作させるように構成され、
前記状態マシンは、第1のクランプ状態、第2のクランプ状態を含み、
前記第1のクランプ状態では、前記アクチュエータの速度設定点は第1の速度に設定され、
前記第2のクランプ状態では、前記アクチュエータの前記速度設定点は、前記第1の速度よりも低い第2の速度に設定され、
前記状態マシンは、前記アクチュエータによって加えられた力又はトルクが第1の閾値を上回るときに、前記第1のクランプ状態から前記第2のクランプ状態に移行し、
前記状態マシンは、前記アクチュエータによって加えられた前記力又はトルクが第2の閾値を下回るときに、前記第2のクランプ状態から前記第1のクランプ状態に移行する、
コンピュータ支援装置。
【請求項2】
前記状態マシンは、待機状態をさらに含み、
前記状態マシンは、前記アクチュエータによって加えられた前記力又はトルクが前記第1の閾値よりも高い最大閾値を上回るときに、前記第2のクランプ状態から前記待機状態に移行する、請求項1に記載のコンピュータ支援装置。
【請求項3】
前記動作は、把持、ステープル留め、及び切断のうちの1つ又は複数を含む、請求項1又は2に記載のコンピュータ支援装置。
【請求項4】
前記第2の閾値は、前記第1の閾値以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコンピュータ支援装置。
【請求項5】
前記第1の速度及び前記第2の速度は、速度プロファイルに従って決定される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコンピュータ支援装置。
【請求項6】
前記速度プロファイルは
ヒステリシスを含む、請求項5に記載のコンピュータ支援装置。
【請求項7】
前記第1の速度及び前記第2の速度は、前記加えられた力又はトルクに基づいて決定される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のコンピュータ支援装置。
【請求項8】
前記第1の閾値及び前記第2の閾値は、前記加えられた力又はトルクに基づいて変化する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のコンピュータ支援装置。
【請求項9】
前記1つ又は複数のプロセッサは、目標位置に到達したときに成功を示すようにさらに構成される、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のコンピュータ支援装置。
【請求項10】
コンピュータ支援装置を作動させる作動方法であって、
前記コンピュータ支援装置は、
アクチュエータと、
エンドエフェクタを有する器具であって、該器具の先端部には前記エンドエフェクタが配置される、器具と、
前記アクチュエータから前記エンドエフェクタに力又はトルクを結合するための1つ又は複数の駆動機構と、
1つ又は複数のプロセッサと、を有しており、当該作動方法は、
前記1つ又は複数のプロセッサが、第1のクランプ状態及び第2のクランプ状態を含む状態マシンに従って前記エンドエフェクタを動作させるステップであって、前記第1のクランプ状態では、前記アクチュエータの速度設定点は第1の速度に設定され、前記第2のクランプ状態では、前記アクチュエータの前記速度設定点は、前記第1の速度よりも低い第2の速度に設定される、動作させるステップと、
前記1つ又は複数のプロセッサが、前記アクチュエータによって加えられた力又はトルクが第1の閾値を上回るときに、前記状態マシンを前記第1のクランプ状態から前記第2のクランプ状態に移行させるステップと、
前記1つ又は複数のプロセッサが、前記アクチュエータによって加えられた前記力又はトルクが第2の閾値を下回るときに、前記状態マシンを前記第2のクランプ状態から前記第1のクランプ状態に移行させるステップと、を含む、
作動方法。
【請求項11】
前記状態マシンは、待機状態をさらに含み、
当該作動方法は、前記アクチュエータによって加えられた前記力又はトルクが前記第1の閾値よりも高い最大閾値を上回るときに、
前記1つ又は複数のプロセッサが、前記状態マシンを前記第2のクランプ状態から前記待機状態に移行させるステップをさらに含む、請求項10に記載の作動方法。
【請求項12】
前記第2の閾値は、前記第1の閾値以下である、請求項10又は11に記載の作動方法。
【請求項13】
前記第1の速度及び前記第2の速度は、速度プロファイルに従って決定される、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の作動方法。
【請求項14】
前記第1の速度及び前記第2の速度は、前記加えられた力又はトルクに基づいて決定さる、又は
前記第1の閾値及び前記第2の閾値は、前記加えられた力又はトルクに基づいて変化する、請求項10乃至13に記載のいずれか一項に記載の作動方法。
【請求項15】
複数の機械可読命令を含む非一時的な機械可読媒体であって、前記命令がコンピュータ支
援装置に関連する1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、該1つ又は複数のプロセッサに請求項10乃至14のいずれか一項に記載の作動方法を実行させるように適合される、非一時的な機械可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2016年1月29日に出願された”System and Method for Variable Velocity Surgical Instrument”という表題の米国仮特許出願第62/288,784号、及び2016年10月14日に出願された”I-Beam Stapler Controls Supplement”という表題の米国仮特許出願第62/408,283号についての優先権を主張するものであり、これら両方の文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、関節式(articulated)アーム及びエンドエフェクタを含む装置の動作に関し、より具体的には、可変速度制御を含む低侵襲性手術器具の動作に関する。
【背景技術】
【0003】
益々多くの装置が、自律型及び半自律型電子装置に置き換えられつつある。これは、自律型及び半自律型電子装置の大規模アレイが、手術室、介入処置室、集中治療室、救急室等で見受けられるような、今日の病院に特に当てはまる。例えば、従来の手動式手術器具は、コンピュータ支援医療装置によって置き換えられつつある。
【0004】
コンピュータ支援医療装置を使用する低侵襲性外科的手法は、一般に、健康な組織への損傷を最小限に抑えながら、外科的処置及び/又は他の処置を行うように試みる。いくつかの低侵襲性処置は、手術器具を含むコンピュータ支援医療装置の使用によって遠隔操作式に行われ得る。多くのコンピュータ支援医療装置では、外科医及び/又は他の医療関係者は、典型的に、オペレータコンソール上の1つ又は複数のコントロールを使用して入力装置を操縦することができる。外科医及び/又は他の医療関係者がオペレータコンソールで様々なコントロールを操作すると、コマンドは、オペレータコンソールから、1つ又は複数のエンドエフェクタ及び/又は手術器具が取り付けられる患者側装置に中継される。こうして、外科医及び/又は他の医療関係者は、エンドエフェクタ及び/又は手術器具を用いて、患者に対して1つ又は複数の処置を行うことができる。所望の処置及び/又は使用中の手術器具に応じて、所望の処置は、遠隔操作を使用する外科医及び/又は医療関係者の制御下で及び/又は半自律制御下で部分的に又は全体的に行うことができ、手術器具は、外科医及び/又は他の医療関係者による1つ又は複数の活動化動作に基づいて一連の動作を行うことができる。
【0005】
低侵襲性手術器具は、手動的に、遠隔操作によって、及び/又は半自律的に作動されるかどうかに拘わらず、様々な動作及び/又は処置において使用され得、様々な構成を有し得る。多くのそのような器具は、(関節式アームの先端部に取り付けられ得る)シャフトの先端部に取り付けられたエンドエフェクタを含む。多くの手術シナリオでは、シャフトは、開口部(例えば、体壁切開部、自然オリフィス等)を介して(例えば、腹腔鏡下、胸腔鏡下等に)挿入され、遠隔手術部位に到達するように構成され得る。
【0006】
外科医及び/又は他の医療関係者が様々な外科的処置のいずれかを行うことを可能にするために、異なる設計及び/又は構成のエンドエフェクタを用いて異なるタスク、手順、及び機能を実行することができる。例としては、焼灼、アブレーション、縫合、切断、ステープル留め、融着、シール等、及び/又はこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。従って、エンドエフェクタは、これらの外科的処置を行うための様々な構成要素及び/又は構成要素の組合せを含むことができる。
【0007】
低侵襲性処置の目的に一致して、エンドエフェクタのサイズは通常小さく保たれる。エンドエフェクタのサイズを小さく保つ1つのアプローチは、手術器具の基端部における1つ又は複数の入力部を使用してエンドエフェクタを作動させることであり、ここで基端部は典型的には患者の外部に位置する。次に、ギヤ、レバー、プーリー、ケーブル、ロッド、ベルト、バンド等の様々な伝達要素を用いて、1つ又は複数の入力部から手術器具のシャフトに沿って動作を伝達し、エンドエフェクタを作動させることができる。適切な手術器具を含むコンピュータ支援型遠隔操作医療装置の場合に、器具の基端部の伝達機構は、患者側装置又は患者側カートの関節式アームに設けられた、様々なモータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、油圧、空気圧等の1つ又は複数のアクチュエータと直接的に、又は他の伝達要素を介して間接的に相互作用する。アクチュエータ(複数可)は、マスタコントローラによって提供されるユーザコマンドに応答して生成される制御信号を受信し、伝達機構の基端部における力及び/又はトルクを含む入力を器具に提供する。様々な伝達要素は、最終的に、伝達機構の先端部でエンドエフェクタを作動させるために力及び/又はトルクを伝達する。
【0008】
エンドエフェクタのサイズは通常小さいので、そのエンドエフェクタは、いくつかの把持動作、クランプ動作、及び/又はステープル留め動作中に屈曲及び/又は広がりを生じやすく、剛性が制限され得る。伝達機構に加えられたトルク及び/又は力の量に単純な制限が課される目標速度で器具を動作させると、大抵の場合、空間又は時間に亘る組織の変動によって動作が不成功になる又は速度プロファイルが不完全に(ragged)なる把持動作、クランプ動作、及び/又はステープル留め動作を生じさせ、及びステープル留め動作中に組織を貫通させてステープルを押し出す異なる段階等の異なるステップの動作を生じさせる可能性がある。
【0009】
従って、把持、クランプ、及び/又はステープル留め器具等の手術器具の動作のための改良された方法及びシステムが望ましい。いくつかの例では、器具の使用を許容できないほど減速させることなく、器具の屈曲及び/又は広がりの量を減らすことが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【0010】
いくつかの実施形態と一致して、コンピュータ支援医療装置と共に使用する手術器具は、器具の先端部に配置されたエンドエフェクタと、アクチュエータと、アクチュエータからエンドエフェクタに力又はトルクを結合するための1つ又は複数の駆動機構とを含む。器具を用いた動作を行うために、コンピュータ支援医療装置は、アクチュエータの速度設定点を初期速度に設定し、アクチュエータによって加えられた力又はトルクを監視し、加えられた力又はトルクが第1の閾値を上回るときに、速度設定点を減少させ、加えられた力又はトルクが第2の閾値を下回るときに、速度設定点を増大させ、加えられた力又はトルクが最大閾値を上回るときに、速度設定点をゼロに減少させ、速度設定点に基づいてアクチュエータを駆動させる、ように構成される。第1及び第2の閾値は最大閾値よりも低い。
【0011】
いくつかの実施形態と一致して、コンピュータ支援医療装置と共に使用するための手術器具は、器具の先端部に配置されたエンドエフェクタと、アクチュエータと、アクチュエータからエンドエフェクタに力又はトルクを結合するための1つ又は複数の駆動機構とを含む。器具を用いて動作を行うために、コンピュータ支援医療装置は、速度設定点に従ってアクチュエータを駆動させることによる状態マシンによってエンドエフェクタを動作させるように構成される。状態マシンは、第1のクランプ状態と、第2のクランプ状態と、待機状態とを含む。第1のクランプ状態では、アクチュエータの速度設定点は第1の速度に設定される。第2のクランプ状態では、アクチュエータの速度設定点は、第1の速度よりも低い第2の速度に設定される。待機状態では、速度設定点はゼロに設定される。状態マシンは、アクチュエータによって加えられた力又はトルクが第1の閾値を上回るときに、第1のクランプ状態から第2のクランプ状態に移行する。状態マシンは、アクチュエータによって加えられた力又はトルクが第1の閾値よりも高い最大閾値を上回るときに、第2のクランプ状態から待機状態に移行する。状態マシンは、アクチュエータによって加えられた力又はトルクが第2の閾値を下回るときに、第2のクランプ状態から第1のクランプ状態に移行する。
【0012】
いくつかの実施形態と一致して、コンピュータ支援医療装置と共に使用するための手術器具の作動方法は、1つ又は複数のプロセッサを使用して動作を行うことを含む。動作は、アクチュエータの速度設定点を初期速度に設定すること、アクチュエータによって加えられた力又はトルクを測定すること、加えられた力又はトルクが第1の閾値を上回るときに、速度設定点を減少させること、加えられた力又はトルクが第2の閾値を下回るときに、速度設定点を増大させること、加えられた力又はトルクが最大閾値を上回るときに、速度設定点をゼロに減少させること、及びアクチュエータを用いて手術器具のエンドエフェクタの1つ又は複数の自由度を駆動させることを含む。第1及び第2の閾値は最大閾値よりも低い。
【0013】
いくつかの実施形態と一致して、非一時的な機械可読媒体は、複数の機械可読命令を含み、この命令がコンピュータ支援医療装置に関連する1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、1つ又は複数のプロセッサに、以下の段階を行わせるように構成される。この段階は、アクチュエータの速度設定点を初期速度に設定させ、アクチュエータによって加えられた力又はトルクを測定させることを含む。加えられた力又はトルクが第1の閾値を上回るときに、この段階は、速度設定点を減少させることをさらに含む。加えられた力又はトルクが第2の閾値を下回るときに、この段階は、速度設定点を増大させることをさらに含む。加えられた力又はトルクが最大閾値を上回るときに、この段階は、速度設定点をゼロに減少させることをさらに含む。この段階は、アクチュエータを用いて手術器具のエンドエフェクタの1つ又は複数の自由度を駆動させることをさらに含む。第1及び第2の閾値は最大閾値よりも低い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】いくつかの実施形態によるコンピュータ支援システムの簡略図である。
【
図2】いくつかの実施形態による低侵襲性手術器具を示す簡略図である。
【
図3A】いくつかの実施形態による
図2のエンドエフェクタの簡略図である。
【
図3B】いくつかの実施形態による
図2のエンドエフェクタの簡略図である。
【
図3C】いくつかの実施形態による
図2のエンドエフェクタの簡略図である。
【
図3D】いくつかの実施形態による
図2のエンドエフェクタの簡略図である。
【
図4】いくつかの実施形態によるエンドエフェクタを動作させるための状態マシンの簡略図である。
【
図5】いくつかの実施形態によるエンドエフェクタの速度-トルクプロファイルの簡略図である。
【
図6】いくつかの実施形態によるステープル留め及び切断動作を行うための方法の簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面において、同じ参照符号を有する要素は、同一又は同様の機能を有する。
以下の説明では、本開示と一致するいくつかの実施形態を記載する特定の詳細について説明する。しかしながら、当業者には、これらの特定の詳細の一部又は全部なしに、いくつかの実施形態を実施し得ることは明らかであろう。本明細書に開示される特定の実施形態は、例示的なものを意味し、限定するものではない。当業者であれば、ここで具体的には説明しないが、本開示の範囲及び精神の範囲内にある他の要素を実現し得る。さらに、不必要な繰返しを避けるために、一実施形態に関連して図示し説明した1つ又は複数の特徴は、特に断らない限り、又は1つ又は複数の特徴によって実施形態が機能しなくなる場合を除いて、他の実施形態に組み込むことができる。
【0016】
以下の説明は、主として、把持、ステープル留め、及び切断手術器具を組み合わせた実施形態に焦点を当てているが、当業者は、本開示の可変速度方法及び機構が、手術器具及び非手術器具を含む他の医療器具に適用し得ることを理解するだろう。また、以下の説明では、大抵の場合、医療機器を保持して作動させるためのロボット関節式アーム(マニピュレータも含む)を含む医療装置について説明するが、当業者は、本開示の方法及び機構を、ロボットアーム又は関節式アームから分離したコンピュータ支援医療器具と共に使用することもでき、その医療器具には、ハンドヘルド式として設計された又は非関節式固定具に取り付けられた医療器具が含まれる、ことを理解するだろう。
【0017】
図1は、いくつかの実施形態によるコンピュータ支援システム100の簡略図である。
図1に示されるように、コンピュータ支援システム100は、1つ又は複数の可動式又は関節式アーム120を有するコンピュータ支援装置110を含む。1つ又は複数の関節式アーム120のそれぞれは、1つ又は複数の器具130を支持することができる。いくつかの例では、コンピュータ支援装置110は、コンピュータ支援手術装置と一致し得る。1つ又は複数の関節式アーム120は、それぞれ、手術器具、撮像装置等の医療器具130のサポートを提供することができる。医療器具130の例には、組織と相互作用する手術器具、撮像装置又は感知装置等が挙げられる。いくつかの例では、器具130は、実行、把持、後退、焼灼、アブレーション、縫合、切断、ステープル留め、融着、シール等、及び/又はこれらの組合せを行うことができるが、これらに限定されるものではないエンドエフェクタを含むことができる。
【0018】
コンピュータ支援装置110は、コンピュータ支援装置110、1つ又は複数の関節式アーム120、及び/又は器具130を動作させるための1つ又は複数のマスターコントロールを含み得るオペレータワークステーション(図示せず)にさらに結合してもよい。いくつかの例では、1つ又は複数のマスターコントロールは、マスターマニピュレータ、レバー、ペダル、スイッチ、キー、ノブ、トリガー等を含むことができる。いくつかの実施形態では、コンピュータ支援装置110及びオペレータワークステーションは、カリフォルニア州サニーベールのIntuitive Surgical, Inc.によって市販されているda Vinci(登録商標)手術システムに対応してもよい。いくつかの実施形態では、他の構成、より少ない又は多い関節式アーム等を含むコンピュータ支援手術装置をコンピュータ支援システム100と共に使用することができる。
【0019】
コンピュータ支援装置110は、インターフェイスを介して制御ユニット140に結合される。インターフェイスは、有線及び/又は無線であってもよく、1つ又は複数のケーブル、ファイバ、コネクタ、及び/又はバスを含んでもよく、及び1つ又は複数のネットワーク切替装置及び/又はルーティング装置を含む1つ又は複数のネットワークをさらに含んでもよい。制御ユニット140の動作は、プロセッサ150によって制御される。制御ユニット140が1つのプロセッサ150のみで示されているが、プロセッサ150は、制御ユニット140内の1つ又は複数の中央処理処置、マルチコアプロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAs)、特定用途向け集積回路(ASICs)等を表し得ることが理解される。制御ユニット140は、スタンドアロン型サブシステム及び/又はコンピュータ装置に追加された基板として、又は仮想マシンとして実装することができる。いくつかの実施形態では、制御ユニット140は、オペレータワークステーションの一部として含めてもよく、及び/又はオペレータワークステーションとは別に動作してもよいが、オペレータワークステーションと協調して動作することができる。
【0020】
メモリ160は、制御ユニット140によって実行されるソフトウェア及び/又は制御ユニット140の動作中に使用される1つ又は複数のデータ構造を記憶するために使用され得る。メモリ160は、1つ又は複数のタイプの機械可読媒体を含んでもよい。機械可読媒体のいくつかの一般的な形態は、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の磁気媒体、CD-ROM、任意の他の光媒体、パンチカード、紙テープ、ホールパターンを含む任意の他の物理的媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップ又はカートリッジ、及び/又はプロセッサ又はコンピュータが読み出すように適合された任意の他の媒体を含むことができる。
【0021】
図1に示されるように、メモリ160は、コンピュータ支援装置110の自律、半自律、及び/又は遠隔操作制御をサポートするために使用され得る制御アプリケーション170を含む。制御アプリケーション170は、コンピュータ支援装置110、関節式アーム120、及び/又は器具130から位置、動き、力、トルク、及び/又は他のセンサ情報を受信し、位置、動き、力、トルク、及び/又は衝突回避情報を他の装置に関する他の制御ユニットと交換し、及び/又はコンピュータ支援装置110、関節式アーム120、及び/又は器具130の動きを計画する及び/又は計画する際に支援するための1つ又は複数のアプリケーションプログラミングインターフェイス(APIs)を含むことができる。いくつかの例では、制御アプリケーション170は、外科的処置中の器具130の自律、半自律、及び/又は遠隔操作制御をさらにサポートする。制御アプリケーション170がソフトウェアアプリケーションとして示されているが、制御アプリケーション170は、オプションで、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はハードウェアとソフトウェアとの組合せを使用して実装してもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、コンピュータ支援システム100は、手術室及び/又は介入処置室内で見受けることができる。また、コンピュータ支援システム100は、2つの関節式アーム120及び対応する器具130を有する1つのコンピュータ支援装置110のみを含むが、当業者には、コンピュータ支援システム100は、コンピュータ支援システム100と同様の及び/又はコンピュータ支援システム100とは設計が異なる関節式アーム及び/又は器具を有する任意の数のコンピュータ支援装置を含むことができる。いくつかの例では、コンピュータ支援装置のそれぞれは、より少ない又は多い関節式アーム及び/又は器具を含んでもよい。
【0023】
図2は、いくつかの実施形態による低侵襲性手術器具200を示す簡略図である。いくつかの実施形態では、手術器具200は、
図1の器具130のいずれかと一致し得る。
図2に示され、本明細書で使用される「基端」及び「先端」の方向は、手術器具200の構成要素の相対的な向き及び位置を説明するのに役立つ。先端部は、一般に、器具200を保持するユーザ又は機械、器具200を保持するコンピュータ支援装置(コンピュータ支援装置110等)のベースからの運動学的連鎖にさらに沿った方向の、及び/又は手術器具200の使用を意図した動作における手術作業部位に最も近い要素を指す。基端部は、一般に、コンピュータ支援装置のベース、器具200を保持するユーザ又はマシン、及び/又は器具200を保持するためのコンピュータ支援装置の関節式アームのうちの1つに向かう運動学的連鎖に沿ったより近い方向の要素を指す。
【0024】
図2に示されるように、手術器具200は、長いシャフト210を含み、この長いシャフト210は、シャフト210の先端部に配置されたエンドエフェクタ220を、シャフト210の基端部において手術器具200を関節式アーム及び/又はコンピュータ支援装置に取り付ける箇所に結合する。手術器具200が使用されている特定の処置に応じて、シャフト210は、エンドエフェクタ220を患者の解剖学的構造内に位置する遠隔手術部位の近傍に配置するために、患者の開口部(例えば、体壁切開部、自然オリフィス等)を介して挿入することができる。
図2にさらに示されるように、エンドエフェクタ220は、2つの顎付きグリッパ式エンドエフェクタと略一致しており、いくつかの実施形態では、
図3A~
図3Dに関して以下でより詳細に説明するように、切断及び/又はステープル留め機構をさらに含むことができる。しかしながら、当業者であれば、ステープル以外の留め具を有するエンドエフェクタ等の、異なるエンドエフェクタ220を有する異なる手術器具200が、可能であり、且つ本明細書の他の箇所に記載されるような手術器具200の実施形態と一致してもよいことを理解するであろう。
【0025】
エンドエフェクタ220を有する手術器具200等の手術器具は、典型的に、その動作中に多自由度(DOFs)を使用する。手術器具200及びその手術器具200が取り付けられる関節式アーム及び/又はコンピュータ支援装置の構成に応じて、エンドエフェクタ220の位置付け、向き合せ、及び/又は動作に使用され得る様々なDOFsが可能である。いくつかの例では、シャフト210は、エンドエフェクタ220が配置される患者の解剖構造内の深さを制御するために使用され得る挿入DOFを提供するために、先端方向に挿入され及び/又は基端方向に後退され得る。いくつかの例では、シャフト210は、エンドエフェクタ220を回転させるために使用され得るロールDOFを提供するために、そのシャフトの長手方向軸の周りに回転することができる。いくつかの例では、シャフト210及び手術器具200の基端側に配置された関節式アーム120の関節及びリンク等の1つ又は複数の関節及び/又はリンクによって、エンドエフェクタ220の位置及び/又は向きの追加の柔軟性を提供することができる。いくつかの例では、オプションの関節式手首230を使用して、エンドエフェクタ220をシャフト210の先端部に結合することができる。いくつかの例では、関節式手首230は、オプションで、1つ又は複数の「ロール」、「ピッチ」、及び「ヨー」DOF(s)をそれぞれ提供し得る1つ又は複数のロール、ピッチ、又はヨー関節等の1つ又は複数の回転関節を含むことができ、この回転関節は、シャフト210の長手方向軸線に対するエンドエフェクタ220の向きを制御するために使用され得る。いくつかの例では、1つ又は複数の回転関節は、ピッチ及びヨー関節;ロール、ピッチ、及びヨー関節;ロール、ピッチ、及びロール関節等を含み得る。いくつかの例では、エンドエフェクタ220は、以下でさらに詳細に説明するように、エンドエフェクタ220の顎部の開閉を制御するために使用されるグリップDOF、及び/又はステープル留め及び切断機構の伸長、後退、及び/又は動作を制御するために使用される活性化DOFをさらに含む。
【0026】
手術器具200は、シャフト210の基端部に配置された駆動システム240をさらに含む。駆動システム240は、手術器具200に力及び/又はトルクを導入するための1つ又は複数の構成要素を含み、この構成要素を使用して、手術器具200によってサポートされる様々なDOFsを操縦することができる。いくつかの例では、駆動システム240は、オプションで、
図1の制御ユニット140等の制御ユニットから受信した信号に基づいて動作する1つ又は複数のモータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、油圧、空気圧等を含むことができる。いくつかの例では、信号は、1つ又は複数の電流、電圧、パルス幅変調波形等を含むことができる。いくつかの例では、駆動システム240は、オプションで、手術器具200が取り付けられる関節式アーム120のいずれか等の関節式アームの一部である対応するモータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、油圧、空気圧等に結合され得る1つ又は複数のシャフト、ギヤ、プーリー、ロッド、バンド等を含むことができる。いくつかの例では、シャフト、ギヤ、プーリー、ロッド、バンド等の1つ又は複数の駆動入力を使用して、モータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、油圧、空気圧装置からの力及び/又はトルクを受け取り、これらの力及び/又はトルクを適用して、手術器具200の様々なDOFを調整する。この説明では、「力」及び「トルク」の両方が、時には、線形力、回転トルク、及び/又は適用可能であればその両方を示すために個別に使用される。
【0027】
いくつかの実施形態では、駆動システム240によって生成された及び/又は駆動システム240によって受け取られたトルク及び/又はトルクは、1つ又は複数の駆動機構250を使用して、駆動システム240からシャフト210に沿って、駆動システム240の先端側に配置された手術器具200の様々な関節及び/又は要素に伝達される。いくつかの例では、1つ又は複数の駆動機構250は、オプションで、1つ又は複数のギヤ、レバー、プーリー、ケーブル、ロッド、バンド等を含むことができる。いくつかの例では、シャフト210は中空であり、駆動機構250は、シャフト210の内側に沿って、駆動システム240からエンドエフェクタ220及び/又は関節式手首230の対応するDOFに渡される。いくつかの例では、駆動機構250のそれぞれは、オプションで、ボーデンケーブルのような構成の中空シース又は管腔の内部に配置されたケーブルであってもよい。いくつかの例では、ケーブル及び/又は管腔の内部は、オプションで、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の低摩擦コーティングでコーティングしてもよい。いくつかの例では、キャプスタン(capstan)又はシャフトの周りにケーブルを巻き付け及び/又は巻き戻すこと等によって、ケーブルのそれぞれの基端部が駆動システム240内に引き込まれ及び/又は押し込まれると、ケーブルの先端部は、それに応じて移動し、且つエンドエフェクタ220、関節式手首230、及び/又は手術器具200の1つ又は複数のDOFsを調整するための適切な力及び/又はトルクを与える。
【0028】
図3A~
図3Dは、いくつかの実施形態によるエンドエフェクタ220の簡略図である。
図3A~
図3Dに示されるように、手術器具200又はエンドエフェクタ220の先端部は、顎の閉鎖、組織のステープル留め、及び組織の切断のための機構を含む。エンドエフェクタ220が1つの固定式顎部及び1つの可動式顎部で図示され説明されているが、当業者には、手術器具200の先端部が2つの可動式顎部を使用するように修正され得ることは理解されよう。以下の説明は、組織を同時に把持し、ステープル留めし、及び切断する把持器、ステープル留め器、及び切断器具の文脈であるが、そのように説明された態様は、切断機構を備えた又は備えていない器具、ステープル留め以外の融着をサポートする器具等に適用可能であり得ることをさらに理解すべきである。
【0029】
図3Aは、エンドエフェクタ220の顎部が開いた位置で示されるような、作動前のエンドエフェクタ220の切断側面図を示す。図示されるように、エンドエフェクタは、略固定された第1の顎部310を含む。顎部310は、複数のステープル330及び複数のステープル押込み器(staple pusher)335を保持する交換可能なステープルカートリッジ320を受容するように設計される。ステープルカートリッジ320は、1つ又は複数のステープル330を使用した後で第1のステープルカートリッジ320を取り外し、第1のステープルカートリッジ320を、外科的処置を行うためにさらに使用され得る新しいステープル330のセットを有する第2のステープルカートリッジ320に交換することによって、エンドエフェクタ220が再使用できるように交換可能に設計される。
図3Bは、ステープルカートリッジ320の上面図を示す。
図3Bに示されるように、ステープルカートリッジは、6列のステープルスロット340を含み、このスロットを介して、エンドエフェクタ220の作動時に把持した組織にステープル330を適用することができる。ステープルスロット340の列は、切断スロット350の両側に3つの列を含み、これについては以下でさらに詳細に説明する。切断スロット350の両側にステープル330を配置することにより、切断ラインの両側の組織を閉じるように、所望の切断ラインの両側にステープル330を適用することが可能になる。ステープルスロット340の列はまた、互いに対してオフセットされて、切断ラインの両側に沿ってより完全な組織閉鎖を提供する。また、ステープルカートリッジ320が、6列のオフセットされたステープルスロット340を有し、各列が均一なサイズの6つのステープルスロット340を有するように示されているが、当業者には、より少ない又は多いステープを含むより少ない又は多い列のステープルスロット、サイズが変化するステープルスロット、様々なパターンのステープルスロットが可能であることが理解されよう。
【0030】
図3Aにさらに示されるように、エンドエフェクタ220は、その基端部近くのピボット点(図示せず)の周りを移動可能な第2の顎部360をさらに含む。ステープル器具の文脈では、第2の顎部360は、代替的に、アンビル360と呼ばれ得る。
図3Aに示される実施形態では、アンビル360は、エンドエフェクタ220の初期作動時に、組織がアンビル360と顎部310との間で把持されるまで、アンビル360と顎部310との間のギャップが速やかに減少するように構成された移行エッジ370を含む。エンドエフェクタ220の作動は、往復要素380をエンドエフェクタ220の基端部からエンドエフェクタ220の先端部に移動させることによって達成される。往復要素380は、1つ又は複数の駆動機構250の先端部に結合される。
【0031】
往復要素380は、スレッド(sled)382及びフランジ384を含み、スレッド382とフランジ384との間に結合された切断ブレード386を含む。往復要素380は、
図3Dに示されるエンドエフェクタ220の切断端面図に示されるような略I字型ビーム形式の断面形状を有する。ステープル留めのためにエンドエフェクタ220が作動されるときに、スレッド382は、往復要素380が駆動機構250によって押されると、顎部310及びステープルカートリッジ320内に沿って前進される。スレッド382は、くさび形の前縁部又は先端部を含み、それによって前縁部がステープル押込み器335のそれぞれに遭遇すると、前縁部は、対応するステープル330に対してステープル押込み器335を押し当てる。この動作は、ステープルスロット340のそれぞれのスロットを介した各ステープル330の発射を生じさせる。スレッド382がその前縁部において単一の楔形で示されているが、スレッド382は、オプションで、ステープルカートリッジ320内のステープル330及びステープル押込み器335の各列について別個の楔形を含んでもよい。さらに、別個の楔形のそれぞれは、オプションで、スレッド382の動く方向に互いに対して千鳥状に(staggered)され得る。いくつかの実施形態では、ステープル押込み器335はオプションであり、スレッド382の前縁部はステープル330に対して直接的に押し当てられる。スレッド382が顎部310及びステープルカートリッジ320内に沿って前進されると、フランジ384はアンビル360内に沿って前進される。フランジ384の前縁先端部が移行エッジ370に遭遇すると、フランジ384は、アンビル360と顎部310との間のギャップの急速な初期閉鎖を生じさせる。切断ブレード386はスレッド382及びフランジ384の先端部に対して幾分基端側に配置され、それによって任意の把持された組織の切断は、切断線の両側に沿ったステープル330の発射を伴う(trails)。往復要素380が作動されると、切断ブレード386は、切断スロット350だけでなくアンビル360に位置する対応する切断スロット355に沿って移動する。
【0032】
図3C及び
図3Dは、エンドエフェクタ220が完全に作動した後のエンドエフェクタ220の切断側面図及び切断端面図をそれぞれ示している。図示されるように、往復要素380は、スレッド382、フランジ384、及び切断ブレード386と共に、エンドエフェクタ220の先端部に配置される。スレッド382の前縁部がステープル押込み器335のそれぞれに遭遇すると、スレッド382の前縁部は、ステープル押込み器335を押し、次にステープル330をそれぞれのステープルスロット340を通って押し上げ、ステープルは、任意の把持された組織を貫通してアンビル360の面内に押し込まれ、
図3Cに示されるように最終形状に曲げられる。アンビル360と顎部310との間のギャップは、アンビル360内のフランジ384の存在によって維持される。このように、往復要素380、スレッド382、フランジ384、及び切断ブレード386は、エンドエフェクタ220の全ての構成要素であり、これら構成要素は、往復要素380の運動を制御するアクチュエータによって供給される加えられた力又はトルクに応答して移動する。
【0033】
エンドエフェクタ220の動作は、作動されるにつれていくつかの実際的な考慮の対象となる。最初に、往復要素380を前進させるために使用される駆動機構250に加えるべき非常に少ない力又はトルクで、往復要素380を高レベルの速度で先端方向に移動させることができる。しかしながら、フランジ384が前縁部370に遭遇し始め、且つアンビル360と顎部310との間のギャップが急速に閉じ始めると、アンビル360と顎部310との間に把持された任意の組織は、往復要素380の更なる移動に対して抵抗し始める。これを補償するために、駆動システム240は、追加の力及び/又はトルクを駆動機構250に加えて、往復要素380の速度を維持する。力及び/又はトルクの監視は、顎部310及び/又はアンビル360の許容できない屈曲及び/又は広がり;エンドエフェクタ220、駆動システム240、及び/又は駆動機構250への損傷;及び/又は把持された組織に対する損傷を回避するために、加えられた力及び/又はトルクに関して妥当な上限が維持されるのを確実にするように行われる。第2に、組織がアンビル360と顎部310との間で把持されるときに、組織は、把持の圧力によって流体が組織から押し出されると、典型的には乾燥し始める。往復要素380の速度が適切に制御されている限り、往復要素380を前進させ続けるための力及び/又はトルクの量は、一般に、順応性(compliant)組織の合理的な制限内で管理することができる。第3に、スレッド382がステープル押込み器335のそれぞれをステープル330に押し当て得るように追加の力及び/又はトルクが典型的に必要とされ、それによって往復要素380の所望の速度を維持しながら、ステープル330を把持した組織を貫通して押し込み、及び/又は切断ブレード386によって把持された組織を切断できる。この追加の力及び/又はトルクは、ステープル留めされる組織の特性が変化したり、以前に適用したステープル線が交差したりする等して、著しく変化する可能性がある。
【0034】
エンドエフェクタ220の円滑な動作を達成するためには、組織との初期接触、ステープル330の発射、及び把持されたステープル留めされた組織の切断の全体を通して往復要素380を一定速度で作動させることが一般に望ましい。いくつかの実施形態では、これは、顎部310及び/又はアンビル305の許容できない屈曲及び/又は広がり;エンドエフェクタ220、駆動システム240、及び/又は駆動機構250への損傷;及び/又は把持された組織に対する損傷を低減及び/又は回避するように、加えられた力及び/又はトルクを監視及び/又は制限することによって生じる。1つのアプローチは、駆動システム240に関して最大の力及び/又はトルク制限を受ける一定の速度設定点を用いてエンドエフェクタ220を動作させることである。一定の速度設定点は、動作速度と、力及び/又はトルク制限に遭遇するリスクとの間のバランスを提供するように選択され得る。いくつかの例では、一定の速度設定点は、オプションで、把持され、ステープル留めされ、クランプされた組織のタイプに基づいて、オペレータ等によって調整可能であり得る。いくつかの実施形態及び/又は特定の動作条件下では、特定の速度設定点及び/又は速度設定点の範囲は、低過ぎる一定の速度設定点、不調和動作によって、又は往復要素380を恐らくは不規則なパターン等で増減速させる、力及び/又はトルク制限を含む一定程度の遭遇によって、エンドエフェクタ220の最適な動作未満となる場合がある。
【0035】
駆動システム240及び駆動機構250によって加えられる力及び/又はトルクに基づいて適応する往復要素380の速度プロファイルを使用して、エンドエフェクタ220の改善された動作及びより円滑な動作が可能となる。例えば、力及び/又はトルクが増大し始めると、往復要素380の速度は制御された態様で減少し、力及び/又はトルクが減少し始めると、往復要素380の速度は制御された態様で増大する。こうして、往復要素380の速度を間接的に減速させる単一の力及び/又はトルク制限に頼ることと比較して、エンドエフェクタ220のより滑らかな動作が得られる。例えば、往復要素380が最大力及び/又はトルク制限で減速するにつれて、力及び/又はトルク閾値が最大力及び/又はトルク制限より低いときに減速することは、始動及び停止がより少ない動作とさせることができる。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、速度を調整するために他の技術を使用してもよい。例えば、力及び/又はトルクが閾値量を超えると、往復要素380の速度は、往復要素380の現在検出された速度及び/又は現在検出された速度より僅かに低い速度設定点に設定され得る。
【0037】
再び
図3Aを参照すると、例示的なステープル留めプロセスの作動中に往復要素380の移動方向を示す矢印390が示されている。一組の点線392,394,396,398は、スレッド382の先端チップがステープル留め動作中に到達する特定の位置を示す。スレッド382の先端チップが点線392及び394によって示される位置の間に配置されるときに、ステープラは「把持」状態(「把持段階」でもある)にあり、第1の顎部310及び第2の顎部360は、おおよそ平行な姿勢に近づき、且つ患者の組織を軽く把持することができる。スレッド382の先端チップが点線394によって示される位置に到達すると、ステープラは、把持状態から「クランプ状態であるが未発射状態」状態(「クランプ状態であるが未発射段階」でもある)に移行し、第1の顎部310及び第2の顎部360は、患者の組織に実質的なクランプ力を及ぼすために十分に近接して保持される。このクランプ状態であるが未発射状態は、患者の組織のある程度のステープル留め予圧を与えることができ、組織を平坦化してステープル留め動作の成功の可能性を高めるのに役立つ。
【0038】
スレッド382の先端チップが点線396によって示される位置に到達すると、ステープラは、クランプ状態であるが未発射状態から「発射」状態(「発射段階」でもある)に移行し、スレッド382は、ステープル押込み器335の様々な押込み器を対応するステープル330に押し当て、ステープルスロット340を介してこれらのステープル330を発射する。ステープル留めプロセスは、スレッド382の先端チップが点線398によって示される位置のその目標に到達すると終了する。この発射状態は、クランプ状態であるが未発射状態とは別の「クランプ状態」とも呼ばれ得る。
【0039】
いくつかの実施形態によれば、加えられた力又はトルクは、発射状態、クランプ状態であるが未発射状態、把持状態、及び/又はこれらの状態の任意の2つ又は3つの組合せの間に監視され得る。いくつかの例では、加えられた力又はトルクが、本開示で論じられたように、発射状態で監視され、プロセスを実行してもよい。いくつかの例では、加えられた力又はトルクは、本開示で論じられたように、発射状態及びクランプ状態であるが未発射状態の全部又は一部で監視され、プロセスを実行してもよい。いくつかの例では、発射状態及びクランプ状態であるが未発射状態に、異なる力又はトルク制限閾値及び/又は他のパラメータを使用してもよい。
【0040】
いくつかの実施形態によれば、フィードバックが、ステープル留め動作中に外科医及び/又は他の医療関係者に提供され得る。いくつかの例では、コンピュータ支援システム(例えば、コンピュータ支援システム100)内の制御ユニットは、クランプ状態であるが未発射状態におけるステープル留めプロセスの成功の可能性を推定し、そのような推定値を視覚的表示、聴覚フィードバック等を含む任意の適切な方法によってユーザに提供することができる。いくつかの例では、このフィードバックは、ステープル留めプロセスが容易に逆転され得る間に提供され得、それによりステープルは、消費されず、処置中に他の場所で使用され得る。いくつかの実施形態では、コンピュータ支援システムは、ステープル留め成功の可能性が十分に高いと測定されるまで、発射状態の開始を禁止する。
【0041】
いくつかの実施形態では、手術器具200及び/又は関連するコンピュータ支援システム(例えば、コンピュータ支援システム100)は、これらの3つの状態をオペレータに区別させるユーザインターフェイスを用いて構成される。例えば、いくつかの実施形態は、ノブ、ボタン、スイッチ、ペダル、及び他の入力装置の異なる組合せによって状態を変化させるための異なる制御を提供する。いくつかの例では、遠隔操作式コンピュータ支援システムの場合に、このコンピュータ支援システムは、(1)能動ステープラ器具に関連するマスターマニピュレータ入力装置での摘み(pinching)入力を感知することに応答して、スレッド382に点線392に対応する位置に把持速度で移動するよう命令すること等による、把持状態に入るコマンド、(2)第1のペダルの踏込みに応答して、スレッド382に点線394に対応する位置にクランプ状態であるが未発射状態速度で移動するよう命令すること等による、クランプ状態であるが未発射状態に入るコマンド、(3)スレッド382に点線396を通り過ぎて、エンドエフェクタ220の先端部における点線398までの位置に発射速度で移動するよう命令すること等による、発射状態に入り、その発射状態を継続するコマンドを出すように構成することができる。いくつかの実施形態は、時間切れ(timeout)を含むように構成することもでき、それによって関連する所定の期間が摘み動作、第1のペダルの踏込み、及び/又は第2のペダルの踏込みで経過した後に、摘み動作、第1のペダルの踏込み、及び/又は第2のペダルの踏込みが関連する状態のコマンドがもたらされる。いくつかの実施形態では、手術器具200又は関連するコンピュータ支援システム(例えば、コンピュータ支援システム100)は、ユーザ制御の観点から、「把持」状態と「クランプ状態であるが未発射」状態、又は「クランプ状態であるが未発射」状態と「発射」状態を組み合わせるユーザインターフェィスを構成する。いくつかの実施形態では、単一のスイッチ又はペダルが、把持状態に入るよう命令し、クランプ状態であるが未発射状態に移行させるためにオペレータに提供される。いくつかの実施形態では、単一のスイッチ又はペダルが、クランプ状態であるが未発射状態に入るよう命令し、発射状態に移行させるためにオペレータに提供される。
【0042】
図4は、いくつかの実施形態によるエンドエフェクタを動作させるための状態マシン400の簡略図である。状態マシン400の1つ又は複数の状態410-490は、少なくとも部分的に、非一時的で有形の機械可読媒体に記憶された実行可能コードの形態で実装され得、そのコードが1つ又は複数のプロセッサ(例えば、制御ユニット140内のプロセッサ150)によって実行されるときに、1つ又は複数のプロセッサに状態410-490のうちの1つ又は複数を実施させることができる。いくつかの実施形態では、状態マシン400は、制御アプリケーション170等のアプリケーションによって実装してもよい。いくつかの実施形態では、状態マシン400は、アクチュエータによって加えられたトルクに基づいて、往復要素380の動きを制御するアクチュエータ等のアクチュエータの速度設定点を限定及び/又は制限するために使用され得る。いくつかの実施形態では、状態マシン400が動作している間に、アクチュエータのトルクが監視される。いくつかの実施形態では、状態410-490の間の状態移行は、示された状態移行が生じたときに発生してもよく、又はオプションとして、状態マシン400を実装する制御ループの実行に基づいて周期的な間隔で発生してもよい。
【0043】
状態マシン400は、開始状態410で開始する。1つ又は複数の制御、入力等の起動を介した外科医等のオペレータの方向及び/又はコマンドに応じて、エンドエフェクタの動作が前クランプ状態420に移行する。前クランプ状態420では、往復要素380を前進させるアクチュエータ等のアクチュエータの速度設定点が、初期速度v
0に設定される。いくつかの例では、速度v
0は、オプションで、アクチュエータの最大許容速度に一致してもよい。いくつかの実施形態では、エンドエフェクタの動作は、アクチュエータが最小距離を移動するか、又は初期位置(例えば、点線394に対応する位置)に到達するまで、前クランプ状態420のままである。いくつかの例では、最小距離は、フランジ384の先端部が移行エッジ370に遭遇し、アンビル360と顎部310との間のギャップが閉鎖し始める少し前及び/又は後等に、組織の初期把持が生じる位置に対応してもよい。いくつかの実施形態では、組織のこの初期把持は、
図3Aに関連して説明した「把持」状態及び/又は把持状態の直前に適用可能な把持前状態に関連する。いくつかの実施形態では、組織のこの初期把持は、
図3Aに関連して説明した「把持」及び「クランプ状態であるが未発射」状態の一部又は全部に関連する。アクチュエータのトルクが最大トルクτ
maxを超えると、最小距離に到達する前に、状態マシン400は、不成功(fail)状態490に移行する。状態マシン400は、不成功状態490を人間のオペレータに視覚的に、聴覚的に、又は他の何らかのフィードバック方法によって示すことができる。アクチュエータのトルクが最大トルクを超えない場合に、状態マシン400は初期クランプ状態430に移行する。
【0044】
初期クランプ状態430では、アクチュエータの速度設定点は、初期クランプ速度v1に設定される。次に、アクチュエータの制御は、往復要素380がエンドエフェクタ220の先端部に前進されたときやトルク閾値τ1に到達するとき等、目標位置に到達するまで速度v1で継続する。トルクτ1は、最大トルクτmaxよりも低い。いくつかの例では、速度v1は、オプションで、初期速度v0と同じ速度であってもよい。状態マシン400は、成功状態480を人間のオペレータに視覚的に、聴覚的に、及び/又は他の何らかのフィードバック方法によって示すことができる。目標位置に到達すると、状態マシン400は、成功状態480に移行する。目標位置に到達する前にアクチュエータのトルクがトルクτ1を超えると、状態マシン400は、第1の低速クランプ状態440に移行する。
【0045】
第1の低速クランプ状態440では、アクチュエータの速度設定点は、速度v1よりも低い速度v2に設定される。次に、アクチュエータの制御は速度v2で継続する。第1の低速クランプ状態440にある間に、アクチュエータのトルクは、そのトルクが増減少しているかを確認するためにさらに監視される。アクチュエータのトルクが、トルクτ1よりも低いトルクτ2(例えば、τ1よりも5~20%低い、及び/又はτ1よりも低い1~3Nmの範囲)まで減少すると、状態マシン400は、初期クランプ状態430に戻り、そこでアクチュエータの速度設定点を速度v1に再び増大させる。トルクτ2がトルクτ1よりも小さい量は、アクチュエータの速度設定点の過度なスラッシング(thrashing)を避けるために、アクチュエータの速度制御にヒステリシスを導入するように設定してもよい。アクチュエータのトルクがトルクτ3まで増大すると、状態マシン400は第2の低速クランプ状態450に移行する。トルクτ3が最大トルクτmaxよりも低いが、典型的にはトルクτ1よりも高いので、トルクの増大が、アクチュエータについてより低い速度設定点になるように継続される。目標位置に到達すると、状態マシン400は成功状態480に移行する。
【0046】
第2の低速クランプ状態450では、アクチュエータの速度設定点は速度v2よりも低い速度v3に設定される。次に、アクチュエータの制御は速度v3で継続する。第2の低速クランプ状態450にある間に、アクチュエータのトルクは、そのトルクが増減しているかを確認するためにさらに監視される。アクチュエータのトルクがトルクτ3よりも低いトルクτ4まで減少すると、状態マシン400は第1の低速クランプ状態440に戻り、そこでアクチュエータの速度を増大させる。トルクτ4がトルクτ3よりも小さい量は、アクチュエータの速度設定点の過度なスラッシングを避けるために、アクチュエータの速度制御にヒステリシスを導入するように設定してもよい。アクチュエータのトルクがトルクτ5まで増大すると、状態マシン400は待機状態460に移行する。トルクτ5は、オプションで、最大トルクτmaxと同じか又はそれよりも低いが、典型的にはトルクτ3よりも高いので、トルクの増大が、アクチュエータについてより低い速度設定点になるように継続される。目標位置に到達すると、状態マシン400は成功状態480に移行する。
【0047】
待機状態460では、状態マシン400は、所定の期間(「休止期間」とも呼ばれる)に亘って動作を一時停止する。待機状態460で動作を一時停止するために、状態マシン400は、アクチュエータの速度設定点をゼロに設定してアクチュエータの動作を停止させることによってアクチュエータを一時停止することができる。いくつかの例では、アクチュエータの速度設定点をゼロに設定することにより、把持された組織がさらに乾燥し得る追加の時間が可能になる。いくつかの例では、状態マシン400は、ステープラの作動から一時的な休止を提供するために、所定の期間に亘って待機状態に留まる。いくつかの例では、所定の期間は、オプションで、ハードウェア及び/又はソフトウェアタイマを使用して実施してもよい。所定の期間がタイムアウトした後に、状態マシン400は、試行(try)状態470に自動的に移行する。
【0048】
試行状態470では、アクチュエータの移動を試みる。試行が試みられる度に、試行カウンタが増大する。いくつかの例では、試みは、オプションとして、アクチュエータの速度設定点を速度v3又は別の速度値に戻すことを含むことができる。アクチュエータの移動が可能であり、アクチュエータのトルクがトルクτ5よりも低いトルクτ6を下回ったままである場合に、試行カウンタはゼロにリセットされ、状態マシン400は第2の低速クランプ状態450に戻り、そこでアクチュエータの設定点が速度v3に戻るよう増大される。トルクτ6がトルクτ5よりも低い量は、アクチュエータの速度設定点の過度なスラッシングを避けるために、アクチュエータの速度制御にヒステリシスを導入するように設定してもよい。アクチュエータのトルクがトルクτ6を上回ったままである場合に、試行状態460の間に、状態マシン400は、待機状態460に戻り、且つ追加の時間待機する。状態マシン400は、試行期間が経過し、最小試行距離が達成された後、及び/又はその両方の後にのみ、待機状態460に移行することができるように構成してもよい。試行カウンタが最大試行回数を超えると、状態マシン400は不成功状態490に移行する。
【0049】
成功状態480では、成功したステープル留め及び切断が検出され、アクチュエータの制御は、オプションで、エンドエフェクタの顎部が把持した組織の対応する解放を伴って開くように、逆転される。
図3A~
図3Dの例では、アクチュエータを逆転させることは、スレッド382が顎部310及びステープルカートリッジ320から引き出され、フランジ384がアンビル360から引き出され、アンビル360が開いて旋回することが可能になり、切断ブレード386が駐機(garaged)位置等の安全位置に引き戻されるように、往復要素380を基端方向に引っ張ることを含む。いくつかの例では、ステープル留め及び切断動作の成功は、オプションで、音声及び/又は視覚的な警告を使用してオペレータに報告してもよい。
【0050】
不成功状態490では、アクチュエータが目標位置に到達することができなかったので、ステープル留め及び切断動作の完了の不成功が検出される。
図3A~
図3Dの例では、これは、往復要素380を顎部310及びアンビル360の先端部に前進させることができない場合に生じる。不成功状態490にある間に、ステープル留め及び切断動作の不成功を示す音声及び/又は視覚的な警告がオペレータに報告される。いくつかの例では、アクチュエータの逆転は、オプションで、状態マシンによって自動的に又はオペレータの明示的なコマンドで試みることができる。
【0051】
上で論じられ、ここでさらに強調されるように、
図4は、単なる例に過ぎず、この図は特許請求の範囲を過度に制限すべきものでない。当業者であれば、多くの変形形態、代替形態、及び改変形態を認識するであろう。いくつかの実施形態では、トルク以外のエンドエフェクタ及びアクチュエータの特性が、代わりに監視され、上述した状態移行をもたらすことができる。いくつかの例では、トルクの代わりにアクチュエータによって加えられる力を監視してもよい。いくつかの実施形態では、初期クランプ状態430及び前クランプ状態420は、オプションで、単一の状態に組み合わせてもよい。いくつかの実施形態では、第2の低速クランプ状態450を除去して、アクチュエータのトルクがトルクτ
3よりも高いときに、状態マシン400が第1の低速クランプ状態400から待機状態460に移行するようにしてもよい。いくつかの実施形態では、第1の低速クランプ状態440及び第2の低速クランプ状態450を除去して、アクチュエータのトルクがトルクτ
1よりも高いときに、プロセスが初期クランプ状態430から待機状態460に移行する。いくつかの実施形態では、エンドエフェクタの速度-トルクプロファイルにどの位のステップが望ましいかに応じて、第2の低速クランプ状態450と待機状態460との間に、追加の低速クランプ状態をオプションで追加してもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、トルク閾値の適用における一時的な過渡現象の影響を低減するために、1つ又は複数の技術をオプションで使用してもよい。いくつかの例では、状態マシン400の状態移行は、加えられたトルクが、所定の期間に亘って対応するトルク閾値を上回ったままか下回ったままであるときに生じる。いくつかの例では、速度設定点を減少させるトルク閾値と、速度設定点を増大させるトルク閾値とについて、所定の期間をオプションで異ならせることができる。いくつかの例では、状態マシン400の状態移行は、加えられたトルクの平均値が対応するトルク閾値を上回るか下回るときに生じる。いくつかの例では、平均は指数関数的な平滑化を用いて計算される。いくつかの例では、加えられたトルクはローパスフィルタ処理される。
【0053】
図5は、いくつかの実施形態による
図3のエンドエフェクタの速度-トルクプロファイル500の簡略図である。
図5に示されるように、速度-トルクプロファイル500は、監視されるトルクに基づいて変化する複数の速度設定を含む。いくつかの例では、速度-トルクプロファイル500は、状態マシン400によって実施される速度設定点と一致する。速度-トルクプロファイル500において、エンドエフェクタ220のアクチュエータ等のアクチュエータの速度設定点は、アクチュエータによって加えられたトルクがトルクτ
1を超えるまで、速度v
1に設定される。トルクτ
1を超えると、速度設定点を速度v
2は減少される。次に、アクチュエータの速度は、アクチュエータによって加えられたトルクがトルクτ
3を超えるまで、速度v
2で制御される。トルクτ
3を超えると、速度設定点は速度v
3に減少される。次に、アクチュエータの速度は、アクチュエータによって加えられたトルクがトルクτ
5を超えるまで、速度v
3で制御される。トルクτ
5を超えると、速度設定点はゼロに減少される。速度-トルクプロファイル500は、さらに、アクチュエータのトルクがトルクτ
6、τ
4、及びτ
2を下回るまで、アクチュエータの速度設定点がそれぞれ速度v
3、v
2及びv
1に戻すよう増大されないように、ヒステリシスを使用して実施される。ここで、トルクτ
6、τ
4、τ
2は、それぞれトルクτ
5、τ
3、τ
2を下回るように設定される。
【0054】
上で論じられ、ここでさらに強調されるように、
図5は、単なる例に過ぎず、特許請求の範囲を過度に制限すべきものでない。当業者であれば、多くの変形形態、代替形態、及び改変形態を認識するであろう。いくつかの実施形態では、トルク以外のエンドエフェクタ及びアクチュエータの特性を速度プロファイルに使用することができる。いくつかの例では、トルクの代わりにアクチュエータによって加えられる力を使用してもよい。いくつかの実施形態では、必要に応じて、3つより少ない及び/又は多いステップを、速度-トルクプロファイルに使用してもよい。いくつかの実施形態では、速度-トルクプロファイル500は、オプションで、τ
2をτ
1に等しく設定し、τ
4をτ
3に等しく設定し、且つτ
6をτ
5に等しく設定することによって、ヒステリシスを使用せずに実施することができる。いくつかの実施形態では、
図5のステッププロファイルの代わりに、ヒステリシスを含む又は含まない滑らかな速度-トルクプロファイルをオプションで使用してもよい。いくつかの例では、速度-トルクプロファイルは、オプションで、線形であってもよく、一連のs字形状の滑らかなステップ、及び/又は速度設定点がトルクの関数として計算される他の単調なプロファイルを含むことができる。いくつかの実施形態では、速度設定点を決定するために使用されるトルクは、オプションとして、平均トルク、ローパスフィルタ処理されたトルク等であってもよい。
【0055】
図6は、いくつかの実施形態によるステープル留め及び切断動作を行うための方法600の簡略図である。方法600のプロセス605~650のうちの1つ又は複数は、少なくとも部分的に、非一時的で有形の機械可読媒体に記憶された実行可能コードの形態で実装してもよい。この実行可能コードは、1つ又は複数のプロセッサ(例えば、制御ユニット140のプロセッサ150)によって実行されると、1つ又は複数のプロセッサにプロセス605~650のうちの1つ又は複数を実行させることができる。いくつかの実施形態では、方法600は、制御アプリケーション170等のアプリケーションによって実行することができる。いくつかの実施形態では、方法600を使用して、アクチュエータによって加えられたトルクに基づいて、往復要素380等の往復要素を作動させるために使用されるアクチュエータの速度を制限することができる。いくつかの実施形態では、方法600のステープル留め及び切断動作は、状態マシン400及び/又は速度トルクプロファイル500に従って実行され得る。いくつかの実施形態では、プロセス615,620、及び630の試験は、同時に及び/又は任意の順序で起こり得る。
【0056】
プロセス605において、エンドエフェクタが作動される(「発射」もされる)。エンドエフェクタ220等のエンドエフェクタは、駆動システム240内のアクチュエータ等のアクチュエータに、エンドエフェクタの少なくとも1つのDOFを制御するために使用されるトルクを加えることによって発射される。いくつかの例では、アクチュエータは、電流、電圧、パルス幅変調信号等の1つ又は複数の信号をアクチュエータに送ることによって制御される。エンドエフェクタの発射の実際の効果は、エンドエフェクタの設計、使用、目的によって左右される。いくつかの例では、エンドエフェクタの発射は、前クランプ状態420の間に、速度設定点を速度v
0に設定する等、アクチュエータの速度設定点を設定することによって開始する。
図2及び
図3A~
図3Dの例を使用すると、アクチュエータは、往復要素380をエンドエフェクタ220の先端部に向かって移動させる力を駆動機構250に加える。これにより、組織を把持するようにアンビル360と顎部310との間のギャップが減少し、ステープル330は、ステープル押込み器335に作用するスレッド382によって把持した組織を貫通して押し込まれ、切断ブレード386は、把持した組織を切断する。エンドエフェクタの発射は、発射の成功又は不成功が決定されるか、及び/又はオペレータによって中断されるまで続く。
【0057】
プロセス610において、加えられたトルクが監視される。1つ又は複数のセンサ及び/又は制御アルゴリズムを使用して、アクチュエータによって加えられたトルクが、エンドエフェクタが発射されるときに監視される。例えば、アクチュエータがモータである場合に、モータに印加される電流を監視してこれを使用し、モータによって印加されているトルクを決定することができる。
【0058】
プロセス615において、エンドエフェクタが目標位置にあるかどうかが判定される。1つ又は複数のセンサを使用して、アクチュエータの位置及び/又はエンドエフェクタ上の検出可能な場所の位置が監視される。いくつかの例では、センサは、アクチュエータの駆動シャフトの回転角度を測定することができる。いくつかの例では、1つ又は複数のセンサは、シャフトエンコーダ、ホール効果センサ等を含むことができる。
図3A~
図3Dの例では、目標位置は、往復要素380のエンドエフェクタ220の先端部への移動に対応し、ステープル330の全てが把持した組織を貫通して発射され、切断ブレード386は、把持した組織を切断する。目標位置に到達すると、エンドエフェクタの動作は成功したとみなされ、速度設定点はゼロに設定される。いくつかの例では、システムのオペレータは、音声及び/又は視覚的な警報によって通知も受ける。いくつかの例では、成功は成功状態480に一致する。目標位置にまだ到達していない場合に、監視されたトルクは、プロセス620で開始する1つ又は複数のトルク閾値と比較される。
【0059】
プロセス620において、加えられたトルクが第1のトルク閾値を上回るかどうかが判定される。プロセス610の間に監視された、加えられたトルクを第1のトルク閾値と比較して、アクチュエータが所望されるよりも多くのトルクをエンドエフェクタに加えているかどうかを判定する。いくつかの例では、第1のトルク閾値は、オプションで、現在の速度設定点に応じて変化する。
図4及び
図5の例では、第1のトルク閾値は、トルクτ
1、τ
3、及び/又はτ
5の1つ又は複数に対応する。加えられたトルクが第1のトルク閾値を上回ると、プロセス625を使用して速度設定点が減少される。加えられたトルクが第1の閾値を上回っていない場合に、プロセス630を使用してトルクが第2のトルク閾値と比較される。
【0060】
プロセス625において、速度設定点が減少される。加えられたトルクが第1の閾値を上回ると、アクチュエータの速度設定点は、把持した組織がさらに乾燥し、1つ又は複数のステープルの発射を遅らせる等の追加の時間を可能にするように減少される。いくつかの例では、速度設定点は、速度-トルクプロファイル等に応じて固定量、パーセンテージ量等に減少させてもよい。
図4及び
図5の例では、速度設定点は、プロセス620中に使用された以前の速度設定点及び/又は第1のトルク閾値に応じて、速度設定点がv
2、v
3、又はゼロに減少される。いくつかの例では、速度設定点の減少は、初期クランプ状態430から第1の低速クランプ状態440へ、第1の低速クランプ状態440から第2の低速クランプ状態450へ、及び/又は第2の低速クランプ状態450から待機状態460への状態移行に一致する。速度設定点を減少させた後に、プロセス640を使用してその速度設定点がゼロに減少されるかどうかを判定するために試験される。
【0061】
プロセス630において、加えられたトルクが第2の閾値を下回るかどうかが判定される。プロセス610中に監視された、加えられたトルクを第2のトルク閾値と比較して、アクチュエータを増速させることができるかどうかが判定される。いくつかの例では、第2のトルク閾値は、速度設定点にヒステリシスを提供するために、第1のトルク閾値よりも低く設定される。いくつかの例では、第2のトルク閾値は、オプションで、現在の速度設定点に応じて変化する。
図4及び
図5の例では、第2のトルク閾値は、トルクτ
2、τ
4及び/又はτ
6のうちの1つ又は複数に対応する。加えられたトルクが第2のトルク閾値を下回っている場合に、プロセス635を使用して速度設定点が増大される。加えられたトルクが第2の閾値を下回っていない場合に、プロセス610を使用してトルクが再び監視される。
【0062】
プロセス635において、速度設定点が増大する。加えられたトルクが第2の閾値を下回ると、アクチュエータの速度設定点が増大して、エンドエフェクタのより速い動作が可能になる。いくつかの例では、速度設定点は、速度-トルクプロファイルに応じて固定量(例えば、0.1~2ミリメートル(mm)/秒)、パーセンテージ量(例えば、5~25%)等に増大され得る。いくつかの例では、速度が最大設定点にあるとき、速度設定点はプロセス635中にさらに増大しない。
図4及び
図5の例では、速度設定点は、以前の速度設定値及び/又はプロセス630中に使用される第2のトルク閾値に応じて、v
1、v
2、又はv
3に増大される。いくつかの例では、速度設定点の増大は、試行状態470から第2の低速クランプ状態450へ、第2の低速クランプ状態450から第1の低速クランプ状態440へ、及び/又は第1の低速クランプ状態440から初期クランプ状態430への状態移行に一致する。速度設定点が増大した後に、プロセス610を使用してトルクが再び監視される。
【0063】
プロセス640において、速度設定点がゼロであるかどうかが判定される。速度設定点がゼロに到達すると、プロセス645を使用して遅延が導入される。速度設定点がまだゼロでない場合に、プロセス610を使用してトルクが再び監視される。
【0064】
プロセス645において、待機(「一時停止」も)が発生する。速度設定点がゼロに到達すると、エンドエフェクタの発射が所定の期間(例えば、1~10秒)に亘って遅延される。いくつかの例では、所定の期間は、ハードウェア及び/又はソフトウェアタイマを使用して追跡される。
図4の例では、プロセス645は待機状態460に対応する。遅延時間が経過した後に、エンドエフェクタの動作がプロセス650を用いてテストされる。
【0065】
プロセス650において、エンドエフェクタの動作が継続できるかどうかが判定される。速度設定点は、プロセス625が最後に実行される前に、速度設定点の値等の非ゼロ値に設定され、アクチュエータによって加えられるトルクが監視される。
図4の例では、プロセス650は試行状態470に対応する。アクチュエータによって加えられたトルクが、プロセス620が最後に実行されたときに使用された第1のトルク閾値等の最大トルク閾値を上回り続けている場合に、エンドエフェクタの発射は不成功であるとみなされ、速度設定点はゼロに設定される。いくつかの例では、オプションで、エンドエフェクタの発射を逆転してもよく、及び/又はオプションで、1つ又は複数の音声及び/又は視覚的な警告をオペレータに提供してもよい。過剰に加えられたトルクを検出することなく非ゼロ速度設定点での動きが生じると、速度設定点は保持され、トルクの監視が処理610に続く。
【0066】
上で論じられ、ここでさらに強調されるように、
図6は、単なる例に過ぎず、特許請求の範囲を過度に制限すべきものではない。当業者であれば、多くの変形形態、代替形態、及び改変形態を認識するであろう。いくつかの実施形態では、トルク以外のエンドエフェクタ及びアクチュエータの特性は、プロセス610中に監視され、プロセス620及び630中にテストされ得る。いくつかの実施形態では、プロセス645の待機及び/又はプロセス650のテストは、不成功と結論付けられる前に、1回、2回、又はそれ以上繰り返され得る。こうして、方法600は、アクチュエータを複数回休止させ、所定数のアクチュエータ休止が生じた後に不成功を示すことができる。いくつかの例では、ハードウェア又はソフトウェアカウンタを使用して繰返し回数を追跡することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、トルク閾値の適用における一時的な過渡現象の影響を低減するために、1つ又は複数の技術をオプションで使用してもよい。いくつかの例では、プロセス620及び630における第1及び第2のトルク閾値に対する加えられたトルクの比較によって、加えられたトルクが所定の期間に亘って第1及び第2のトルク閾値を上回ったままか下回ったままであるかが判定される。いくつかの例では、所定の期間は、オプションで、第1及び第2のトルク閾値について異なっていてもよい。いくつかの例では、プロセス610における加えられたトルクの監視は、加えられたトルクの平均化を含む。いくつかの例では、平均化には指数関数的な平滑化が含まれる。いくつかの例では、プロセス610における加えられたトルクの監視は、加えられたトルクをローパスフィルタ処理することを含む。
【0068】
制御ユニット140等の制御ユニットのいくつかの例は、実行可能コードを含む非一時的な有形の機械可読媒体を含むことができ、実行可能コードが1つ又は複数のプロセッサ(例えば、プロセッサ150)によって実行されると、1つ又は複数のプロセッサに、状態マシン400の状態を実現させ、速度-トルクプロファイル500を実施させ、及び/又は方法600のプロセスを実行させることができる。状態マシン400の実装、速度-トルクプロファイル500、及び/又は方法600のプロセスを含み得る機械可読媒体のいつくかの一般的な形態は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の任意の磁気媒体、CD-ROM、他の光媒体、パンチカード、紙テープ、ホールパターンを含む任意の他の物理的媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップ又はカートリッジ、及び/又はプロセッサ又はコンピュータが読み取るように適合された任意の他の媒体等である。
【0069】
例示的な実施形態について図示し説明しているが、広範な修正、変更、及び置換が前述した開示において企図されており、場合によっては、実施形態のいくつかの特徴は、他の特徴の対応する使用なしに用いることができる。当業者であれば、多くの変形形態、代替形態、及び改変形態を認識するであろう。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきであり、特許請求の範囲が広く解釈され、本明細書に開示された実施形態の範囲と一致するように解釈されることが妥当である。
【0070】
以下に、出願当初の特許請求の範囲の内容を実施例として記載しておく。
[実施例1]
コンピュータ支援医療装置と共に使用するための手術器具であって、当該器具は、
当該器具の先端部に配置されたエンドエフェクタと、
アクチュエータと、
該アクチュエータから前記エンドエフェクタに力又はトルクを結合するための1つ又は複数の駆動機構と、を有しており、
当該器具を用いた動作を行うために、前記コンピュータ支援医療装置は、
前記アクチュエータの速度設定点を初期速度に設定し、
前記アクチュエータによって加えられた力又はトルクを監視し、
該加えられた力又はトルクが第1の閾値を上回るときに、前記速度設定点を減少させ、
前記加えられた力又はトルクが第2の閾値を下回るときに、前記速度設定点を増大させ、
前記加えられた力又はトルクが最大閾値を上回るときに、前記速度設定点をゼロに減少させ、
前記速度設定点に基づいて前記アクチュエータを駆動させる、ように構成され、
前記第1及び第2の閾値は前記最大閾値よりも低い、
器具。
[実施例2]
前記動作は、把持、ステープル留め、及び切断のうちの1つ又は複数を含む、実施例1に記載の器具。
[実施例3]
前記第2の閾値は前記第1の閾値よりも低い、実施例1に記載の器具。
[実施例4]
前記第2の閾値は前記第1の閾値に等しい、実施例1に記載の器具。
[実施例5]
前記速度設定点は、速度プロファイルに従って増減される、実施例1に記載の器具。
[実施例6]
前記速度プロファイルは単調である、実施例5に記載の器具。
[実施例7]
前記速度設定点は、前記加えられた力又はトルクに基づいて計算された速度値まで増減される、実施例1に記載の器具。
[実施例8]
前記第1及び第2の閾値は、前記加えられた力又はトルクに基づいて変化する、実施例1に記載の器具。
[実施例9]
前記加えられた力又はトルクが前記最大閾値を上回るときに、前記コンピュータ支援医療装置は、前記動作を続行する前に、所定の期間に亘って待機するようにさらに構成される、実施例1に記載の器具。
[実施例10]
前記待機後に、前記コンピュータ支援医療装置は、
前記速度設定点を非ゼロ値に設定し、
前記加えられた力又はトルクが引き続き前記最大閾値を上回るかどうかを判定し、
前記加えられた力又はトルクが引き続き前記最大閾値を上回るときに、不成功を示す、ようにさらに構成される、実施例9に記載の器具。
[実施例11]
前記待機後に、前記コンピュータ支援医療装置は、
前記速度設定点を非ゼロ値に設定し、
前記加えられた力又はトルクが引き続き前記最大閾値を上回るかどうかを判定し、
前記速度設定点をゼロに戻すよう設定し、前記加えられた力又はトルクが引き続き前記最大閾値を上回る場合に再び待機し、
前記加えられた力又はトルクが引き続き前記最大閾値を上回るときに所定数の待機サイクル後に不成功を示す、ようにさらに構成される、実施例9に記載の器具。
[実施例12]
前記コンピュータ支援医療装置は、目標位置に到達したときに成功を示すようにさらに構成される、実施例1に記載の器具。
[実施例13]
前記速度設定点は、前記加えられた力又はトルクが所定の期間に亘って前記第1の閾値を上回ったままであるとき、減少される、実施例1に記載の器具。
[実施例14]
前記速度設定点は、前記加えられた力又はトルクが所定の期間に亘って前記第2の閾値を下回ったままであるとき、増大される、実施例1に記載の器具。
[実施例15]
前記加えられた力又はトルクを監視するために、前記コンピュータ支援医療装置は、前記加えられた力又はトルクを平均化するようにさらに構成される、実施例1に記載の器具。
[実施例16]
前記加えられた力又はトルクを平均化するために、前記コンピュータ支援医療装置は、前記加えられた力又はトルクを指数関数的に平滑化するようにさらに構成される、実施例15に記載の器具。
[実施例17]
前記加えられた力又はトルクを監視するために、前記コンピュータ支援医療装置は、前記加えられた力又はトルクをローパスフィルタ処理するようにさらに構成される、実施例1に記載の器具。
[実施例18]
コンピュータ支援医療装置と共に使用するための手術器具であって、当該器具は、
当該器具の先端部に配置されたエンドエフェクタと、
アクチュエータと、
該アクチュエータから前記エンドエフェクタに力又はトルクを結合するための1つ又は複数の駆動機構と、を有しており、
当該器具を用いて動作を行うために、前記コンピュータ支援医療装置は、速度設定点に従って前記アクチュエータを駆動することによる状態マシンに従って前記エンドエフェクタを動作させるように構成され、
前記状態マシンは、第1のクランプ状態、第2のクランプ状態、及び待機状態を含み、
前記第1のクランプ状態では、前記アクチュエータの速度設定点は第1の速度に設定され、
前記第2のクランプ状態では、前記アクチュエータの前記速度設定点は、第1の速度よりも低い第2の速度に設定され、
前記待機状態では、前記速度設定点はゼロに設定され、
前記状態マシンは、前記アクチュエータによって加えられた力又はトルクが第1の閾値を上回るときに、前記第1のクランプ状態から前記第2のクランプ状態に移行し、
前記状態マシンは、前記アクチュエータによって加えられた力又はトルクが前記第1の閾値よりも高い最大閾値を上回るときに、前記第2のクランプ状態から前記待機状態に移行し、
前記状態マシンは、前記アクチュエータによって加えられた力又はトルクが第2の閾値を下回るときに、前記第2のクランプ状態から前記第1のクランプ状態に移行する、
器具。
[実施例19]
前記動作は、把持、ステープル留め、及び切断のうちの1つ又は複数を含む、実施例18に記載の器具。
[実施例20]
前記第2の閾値は前記第1の閾値よりも低い、実施例18に記載の器具。
[実施例21]
前記第2の閾値は前記第1の閾値に等しい、実施例18に記載の器具。
[実施例22]
前記第1の速度及び前記第2の速度は、速度プロファイルに従って決定される、実施例18に記載の器具。
[実施例23]
前記速度プロファイルは単調である、実施例22に記載の器具。
[実施例24]
前記第1の速度及び前記第2の速度は、前記加えられた力又はトルクに基づいて決定される、実施例18に記載の器具。
[実施例25]
前記第1及び第2の閾値は、前記加えられた力又はトルクに基づいて変化する、実施例18に記載の器具。
[実施例26]
前記コンピュータ支援医療装置は、目標位置に到達したときに成功を示すようにさらに構成される、実施例18に記載の器具。
[実施例27]
コンピュータ支援医療装置と共に使用するための手術器具の作動方法であって、当該作動方法は、
1つ又は複数のプロセッサが、アクチュエータの速度設定点を初期速度に設定するステップと、
前記1つ又は複数のプロセッサが、前記アクチュエータによって加えられた力又はトルクを測定するステップと、
前記加えられた力又はトルクが第1の閾値を上回るときに、前記1つ又は複数のプロセッサが、前記速度設定点を減少させるステップと、
前記加えられた力又はトルクが第2の閾値を下回るときに、前記1つ又は複数のプロセッサが、前記速度設定点を増大させるステップと、
前記加えられた力又はトルクが最大閾値を上回るときに、前記1つ又は複数のプロセッサが、前記速度設定点をゼロに減少させるステップと、
前記1つ又は複数のプロセッサが、前記アクチュエータを用いて前記手術器具のエンドエフェクタの1つ又は複数の自由度を駆動させるステップと、を含み、
前記第1及び第2の閾値は前記最大閾値よりも低い、
作動方法。
[実施例28]
前記アクチュエータを用いて、把持、ステープル留め、及び切断のうちの1つ又は複数を実行するステップをさらに含む、実施例27に記載の作動方法。
[実施例29]
前記第2の閾値は前記第1の閾値よりも低い、実施例27に記載の作動方法。
[実施例30]
前記第2の閾値は前記第1の閾値に等しい、実施例27に記載の作動方法。
[実施例31]
前記速度設定点は、速度プロファイルに従って増減される、実施例27に記載の作動方法。
[実施例32]
前記速度プロファイルは単調である、実施例31に記載の作動方法。
[実施例33]
前記速度設定点は、前記加えられた力又はトルクに基づいて計算された速度値まで増減少される、実施例27に記載の作動方法。
[実施例34]
前記第1及び第2の閾値は、前記加えられた力又はトルクに基づいて変化する、実施例27に記載の作動方法。
[実施例35]
目標位置に到達したときに成功を示すステップをさらに含む、実施例27に記載の作動方法。
[実施例36]
複数の機械可読命令を含む非一時的な機械可読媒体であって、前記命令がコンピュータ支援医療装置に関連する1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、前記1つ又は複数のプロセッサに、
アクチュエータの速度設定点を初期速度に設定させ、
前記アクチュエータによって加えられた力又はトルクを測定させ、
前記加えられた力又はトルクが第1の閾値を上回るときに、前記速度設定点を減少させ、
前記加えられた力又はトルクが第2の閾値を下回るときに、前記速度設定点を増大させ、
前記加えられた力又はトルクが最大閾値を上回るときに、前記速度設定点をゼロに減少させ、
前記アクチュエータを用いて手術器具のエンドエフェクタの1つ又は複数の自由度を駆動させることを含む段階を実行させるように適合され、
前記第1及び第2の閾値は前記最大閾値よりも低い、
機械可読媒体。
[実施例37]
前記段階は、前記アクチュエータを用いて、把持、ステープル留め、及び切断のうちの1つ又は複数を実行させることをさらに含む、実施例36に記載の機械可読媒体。
[実施例38]
前記第2の閾値は前記第1の閾値よりも低い、実施例36に記載の機械可読媒体。
[実施例39]
前記第2の閾値は前記第1の閾値に等しい、実施例36に記載の機械可読媒体。
[実施例40]
前記速度設定点は、速度プロファイルに従って増減される、実施例36に記載の機械可読媒体。
[実施例41]
前記速度プロファイルは単調である、実施例40に記載の機械可読媒体。
[実施例42]
前記速度設定点は、前記加えられた力又はトルクに基づいて計算された速度値まで増減される、実施例36に記載の機械可読媒体。
[実施例43]
前記第1及び第2の閾値は、前記加えられた力又はトルクに基づいて変化する、実施例36に記載の機械可読媒体。
[実施例44]
前記段階は、目標位置に達したときに成功を示させることをさらに含む、実施例36に記載の機械可読媒体。