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特許7229344香辛料がトッピングされた加工豚肉を含むベーコン製品及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】香辛料がトッピングされた加工豚肉を含むベーコン製品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 13/40 20230101AFI20230217BHJP
   A23B 4/005 20060101ALI20230217BHJP
   A23B 4/044 20060101ALI20230217BHJP
【FI】
A23L13/40
A23B4/005
A23B4/044 503A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021515180
(86)(22)【出願日】2019-05-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 KR2019006380
(87)【国際公開番号】W WO2020060000
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-05-18
(31)【優先権主張番号】10-2018-0111644
(32)【優先日】2018-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 MKニュースによるhttp://news.mk.co.kr/v7/newsPrint.php?year=2018&no=336168における2018年5月28日の記事の掲載
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ソウル経済によるhttps://www.sedaily.com/News/NewsView/NewsPrint?Nid=1RZPHR5UFLにおける2018年5月28日の記事の掲載
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 アジア経済によるhttp://www.asiae.co.kr/news/print.htm?idxno=2018052807490495408&udt=1における2018年5月28日の記事の掲載
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ヘラルド経済によるhttp://biz.heraldcorp.com/common_prog/newsprint.php?ud=20180528000174における2018年5月28日の記事の掲載
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 NEWS1 KOREAによるhttp://news1.kr/articles/article_print.php?article_id=3397978における2018年8月14日の記事の掲載
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 アジア経済によるhttp://www.asiae.co.kr/news/print.htm?idxno=2018081408145867103&udt=1における2018年8月14日の記事の掲載
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 イーデイリーによるhttps://www.edaily.co.kr/popup/print_popup.html?newsId=01781046619307320&medにおける2018年8月14日の記事の掲載
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 インサイトによるhtps://www.insight.co.kr/news/172332における2018年8月14日の記事の掲載
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 韓国経済新聞による2018年8月15日の第A17面における記事の掲載
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ファイナンシャルニュースによる2018年8月15日の第016面における記事の掲載
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ヘラルド経済新聞による2018年8月16日の第016面における記事の掲載
(73)【特許権者】
【識別番号】508139664
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CJ CHEILJEDANG CORPORATION
【住所又は居所原語表記】CJ Cheiljedang Center,330,Dongho-ro,Jung-gu,Seoul,Republic Of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ウ・ドク・ソ
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ソク・ソン
(72)【発明者】
【氏名】チョル・ウォン・リ
【審査官】澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-168386(JP,A)
【文献】特開2014-226069(JP,A)
【文献】日本食品工業学会誌,1971年,18(6),pp.264-271
【文献】食品と微生物,1991年,7(3),pp.183-186
【文献】食品照射,2010年,45(1,2),pp.4-10
【文献】調理科学,1972年,5(2),pp.80-89
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C,A23B,A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工豚肉及び前記加工豚肉にトッピングされた香辛料を含むベーコンであって、
前記ベーコンは、最も短い角の長さが5cm以上である六面体の形状を有し、100gから1000gの重量を有するものであり、
ベーコンの全体質量100重量%中、灰分の含量が1.5重量%から4重量%であり、
15℃の温度で、製造直後から36日間保管した後で測定した大腸菌の数が200CFU/g未満のものである、ベーコン。
【請求項2】
前記ベーコンは、ベーコンの全体質量100重量%中、脂肪の含量が13重量%から27重量%である、請求項1に記載のベーコン。
【請求項3】
前記香辛料は、ペッパー、ガーリック及びバジルからなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項1に記載のベーコン。
【請求項4】
前記ベーコンは、15℃の温度で、製造直後から36日間保管した後で測定した大腸菌の数が0CFU/gである、請求項1から請求項のいずれか一項に記載のベーコン。
【請求項5】
前記ベーコンは、15℃の温度で、製造直後から36日間保管した後で測定した大腸菌群の微生物の数が200CFU/g未満である、請求項1から請求項のいずれか一項に記載のベーコン。
【請求項6】
前記加工豚肉は、香辛料がトッピングされた少なくとも一面の色相が、色座標上のLが40から50の範囲、aが10から15の範囲、bが20から33の範囲であり、彩度が23から40であり、色相角が20から30である、請求項1に記載のベーコン。
【請求項7】
前記ベーコンは、硬度が1Nから12Nである、請求項1に記載のベーコン。
【請求項8】
前記ベーコンは、直径が2cmである円筒状のプローブを利用し、5gの力をサンプル認識条件にして2mm/secの速度でサンプルに10mmの深みで突き刺した後、4mm/secの速度で原位置に戻す条件で測定した咀嚼性が1から12である、請求項1に記載のベーコン。
【請求項9】
請求項1に記載のベーコン、及び前記ベーコンを密封する包装材を含むベーコン製品。
【請求項10】
前記ベーコンとともに、前記包装材内に密封される少なくとも一つの吸湿材をさらに含む、請求項に記載のベーコン製品。
【請求項11】
前記吸湿材は、前記ベーコンの香辛料がトッピングされていない部分に配置される、請求項1に記載のベーコン製品。
【請求項12】
原料豚肉を燻煙及び加熱して加工豚肉を製造し、
前記加工豚肉に香辛料をトッピングしてベーコンを製造し、
前記ベーコンを包装材で密封することを含み、
前記ベーコンは、最も短い角の長さが5cm以上である六面体の形状を有し、100gから1000gの重量を有するものであり、ベーコンの全体質量100重量%中、灰分の含量が1.5重量%から4重量%であり、15℃の温度で、製造直後から36日間保管した後で測定した大腸菌の数が200CFU/g未満である、ベーコン製品の製造方法。
【請求項13】
前記ベーコンが包装材に密封された状態で追加で加熱することをさらに含む、請求項1に記載のベーコン製品の製造方法。
【請求項14】
前記原料豚肉は、塩蔵されたものである、請求項1または請求項1に記載のベーコン製品の製造方法。
【請求項15】
前記ベーコンを包装材で密封する前に、前記ベーコンを殺菌することをさらに含む、請求項1または請求項1に記載のベーコン製品の製造方法。
【請求項16】
前記追加加熱は、60℃から100℃の温度で行なうことである、請求項1に記載のベーコン製品の製造方法。
【請求項17】
前記追加加熱の前後にかけて、前記ベーコンの香辛料がトッピングされた少なくとも一面の色座標による色相の色差(ΔE)が1から37である、請求項1または請求項1に記載のベーコン製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、丸ごとベーコン製品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ベーコン(bacon)は、豚肉を塩蔵して燻煙するか乾燥させた食品を意味する。ベーコンは、薄くスライスされて冷蔵または冷凍で流通される。ベーコンは、簡単な手入れだけで豊かな肉風味と燻煙臭を与えて誰でも手軽く料理ができるため、その使用や消費が漸次増加している傾向である。
【0003】
このようにベーコンの消費が増加するにつれ、豚肉特有の生臭い匂いを除去するか、消費者たちの好き嫌いを満たすことができる多様な風味を加味するために、従来は調味料や香辛料などの食材が処理されたベーコン製品が開発及び流通されていた。しかし、前記のように食材、特に天然材料を含む食材の場合、その食材に含まれる材料そのもので生育していた微生物を完全に除去することが容易でないため、このような材料をそのまま食材として利用して製造されたベーコン製品の場合、その製品が流通される環境で、前記のような食材に残存する微生物の増殖による製品の衛生管理が非常に難しいという問題がある。よって、可能であれば食材を利用してベーコンの風味をさらに向上させながらも、衛生が低下する心配のない製品の開発が必要なはずである。
【0004】
一方、従来のベーコン製品は、全て薄くスライスされて供給及び流通されている。前記のように薄くスライスされているため、あれほど料理が早いという利点はあるが、その料理過程で水分や肉汁の保存が容易でないだけでなく、これを咀嚼する過程で感じることができる質感の制限が避けられないため、多様な食感や風味を具現し難いという問題がある。したがって、ベーコン製品は当然薄くスライスされた形態で提供されるものであるという従来の固定観念から脱皮し、より多様な食感や風味を具現することができるベーコン製品の開発が必要なはずである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、風味に優れ、より多様な食感を具現できるだけでなく、流通の過程で衛生が低下する心配のないベーコン製品及びその製造方法の提供を図る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このために、本発明の一側面は、加工豚肉及び前記加工豚肉にトッピングされた香辛料を含み、10~15℃の温度で製造直後から20~36日間保管した後、測定した大腸菌の数が200CFU/g未満であるベーコンを提供する。
【0007】
また、本発明の他の側面は、前記ベーコン及び前記ベーコンを密封する包装材を含むベーコン製品を提供する。
【0008】
さらに、本発明のまた他の側面は、原料豚肉を燻煙及び加熱して加工豚肉を製造し、前記加工豚肉に香辛料をトッピングしてベーコンを製造し、前記ベーコンを包装材で密封することを含む、ベーコン製品の製造方法を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るベーコン製品は、加工豚肉の一部に香辛料がトッピングされた状態で提供されるため、従来に比べて風味が大幅に向上されるだけでなく、包装材内に密封されたベーコンは、香辛料がトッピングされた状態にもかかわらず大腸菌が実質的に存在しないので、流通の過程で微生物の増殖によって衛生が低下する問題もないという利点がある。
【0010】
ただし、本発明の効果は前記で言及した効果に制限されず、言及されていないまた他の効果は、下記記載から当業者に明確に理解できるはずである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0012】
本発明は、ベーコン製品とこれを製造する方法を提供する。
【0013】
前記本発明のベーコン製品は、ベーコンと前記ベーコンを密封する包装材を含み、前記ベーコンは、加工豚肉の少なくとも一部に香辛料がトッピングされたものであってよい。
【0014】
本発明の一具現例では、原料豚肉を燻煙及び加熱して前記加工豚肉を製造する。
【0015】
前記原料豚肉は、洗浄して異物や不純物を除去したものであってよく、場合によっては、低温冷蔵などで熟成したものであってよい。そして、前記原料豚肉は、所定の体積を有するように整形したものであってよく、よって、前記原料豚肉は50gから2000g、または70gから1500g、例えば、100gから1000gの量であってよい。
【0016】
さらに、前記原料豚肉は、肉類自体に残存している微生物を除去するために殺菌されたものであってよい。前記殺菌の過程には、レトルト殺菌法、熱湯殺菌法、スチーム殺菌法などのように、従来に食品分野で一般に用いられていた全ての殺菌方法が利用されてよく、例えば、60℃から100℃、または65℃から85℃、例えば、70℃から80℃の温度条件で5分以上加熱することで行われてよい。また、前記原料豚肉は、風味を添加して肉質や保存性を向上させるために、塩蔵液に浸漬するか、塩蔵液を原料豚肉に添加し、回転式タンブラーを利用して塩蔵液が前記原料豚肉の内部によく染み込むようにすることで塩蔵されたものであってよく、このとき、前記塩蔵液には、塩、砂糖、リン酸塩を含めて各種の調味料や香辛料が含まれてよく、通常の技術者は、目的に応じてその組成を多様に調節することができる。前記のような塩蔵の過程は、原料豚肉の風味を向上させることができる程度の十分な時間、例えば、1時間から18時間、または2時間から12時間行われるのが好ましいが、塩蔵液への浸漬時間が過度に長くなると、肉汁が漏れて却って風味が低下するという問題があるので、注意が必要である。前記のような塩蔵は、原料豚肉を整形する前に行ってよく、目的とする所定の体積や質量に整形した後に行ってもよい。
【0017】
前記のように、原料豚肉を燻煙及び加熱して加工豚肉を製造する。前記のような燻煙(smoking)は、オーク、チェスナット、カラマツなどの木材を燃やした煙を豚肉に晒して炙る過程であるところ、前記のような燻煙の過程で原料豚肉は水分が除去されて乾燥状態になるのと同時に、前記煙中の成分が豚肉内に浸透して風味が向上される。このとき、前記燻煙の過程は、十分乾燥した木材を利用して、45℃から120℃、または50℃から100℃、例えば、55℃から90℃の温度の環境(例えば、燻煙器の内部)で、15分以上、または30分以上、または60分以上の時間の間行われてよい。
【0018】
前記のように製造された加工豚肉の少なくとも一面に香辛料をトッピングしてベーコンを製造する。前記香辛料は、合成材料または天然材料であってよく、天然材料の場合は、例えば、ペッパー、ガーリック、バジル、たまねぎ、タイム、ローズマリー、オレガノホール、パセリ、トウガラシ、パプリカ、なが葱、ペペロンチーノなどであってよい。前記香辛料が天然材料の場合は、前記天然材料を適当な大きさ、例えば、5メッシュ(mesh)から30メッシュ、または10メッシュから25メッシュ、例えば、15メッシュから20メッシュに粉砕した形態に前記原料豚肉にトッピングすることができる。前記のような香辛料には微生物が残存してあり得るため、これにより流通の過程中でベーコンの衛生(微生物安定性)が低下し得る。したがって、前記香辛料、特に天然材料の香辛料で生育する微生物を除去するため、前記粉砕前または粉砕後に1次的に殺菌を実施した後、加工豚肉にトッピングすることができる。本発明に用いられる1次殺菌された香辛料は、トッピング前の測定を基準に、耐熱性菌を1000CFU/g未満、具体的に500CFU/g未満、より具体的に10CFU/g未満で含むので、最終に製造された加工豚肉の微生物安定性が改善され得る。そして、前記香辛料は、加工豚肉の風味を向上させることができる程度に、さらに進んで、視覚的に認知することができる程度に十分な量をトッピングすることが好ましい。
【0019】
さらに、前記のように香辛料を殺菌してトッピングするとしても、微生物による衛生低下の問題は十分解消されないこともあるので、前記のように製造されたベーコンをもう一回殺菌する過程を経ることができる。前記殺菌の過程には、レトルト殺菌法、熱湯殺菌法、スチーム殺菌法などのように、従来に食品分野で一般に用いられている全ての殺菌方法が利用されてよく、例えば、60℃から100℃、または65℃から85℃、例えば、70℃から80℃の温度条件で5分以上加熱することによって行われてよい。
【0020】
本発明の一具現例では、前記のように製造されたベーコンを包装材で密封してベーコン製品を製造する。このとき、前記ベーコンを真空状態に密封し、ベーコンが外部と完全に遮断及び密閉されるようにすることができる。
【0021】
さらに、本発明の一具現例では、前記のように包装材に加工豚肉が密封されたベーコン製品をその状態で「追加」加熱することができる。前記追加加熱は、本発明のベーコンが香辛料を含むことによってその香辛料から由来した微生物、または、手作業で行われる前記ベーコンの包装の過程で流入され得る微生物を殺菌するのと同時に、前記ベーコンの風味や食感を完成するための過程である。前記追加加熱は、熱湯法で、60℃から100℃、または65℃から85℃、例えば、70℃から80℃の温度条件で5分以上、または15分以上、例えば、30分以上熱を加えることで行われてよい。
【0022】
また、前記ベーコンは、吸湿材とともに密封されてよい。前記追加加熱の過程でベーコンから離水(water separation)現象が発生し得るところ、ベーコン製品内に吸湿材が共に含まれて離水現象による水分を吸収することで、ベーコン製品の見掛け品質の低下や追加的な微生物の繁殖の虞を減少させることができる。したがって、前記ベーコンを密封する包装材や、前記包装材内に前記ベーコンと共に密封される吸湿材は、前記のような追加加熱の条件でも変形または変性されないだけでなく、ベーコンの風味や衛生に影響を与えない材質からなってよい。例えば、前記包装材は、ポリプロピレン、ポリエチレン、不織布などであってよく、前記吸湿材は、高吸水性樹脂(Superabsorbent polymer、SAP)、ポリアクリル酸ナトリウム、パルプなどであってよい。
【0023】
前記ベーコン製品に含まれる吸湿材は、例えば、シート状であってよく、10~500mm×10~500mm、または20~300mm×20~300mmの大きさであってよく、前記ベーコンで香辛料がトッピングされていない部分に配置されてよい。また、前記ベーコンは、原料豚肉が所定の体積を有する形態に密封されてよく、前記所定の体積を有する形態を一つのベーコン単位にしてそれぞれのベーコン単位を個別密封することにより、一つのベーコン製品に一つの単位または二つ以上の単位のベーコンが含まれてよい。
【0024】
本発明のベーコン製品は、加工豚肉の一部に香辛料がトッピングされたベーコンが一つの単位で包装材に個別密封された状態、または厚さが0.5cm未満のスライスされた形態が一つの群をなして密封された状態で提供されてよい。
【0025】
前記ベーコン製品が一つの単位で個別密封される場合、前記ベーコンは、50gから2000g、または70gから1500g、例えば、100gから1000gの量で提供されてよい。さらに、前記一単位に個別密封された前記ベーコンは、体積感を有する形態、例えば、六面体のような多面体形や円筒状の形態で提供されてもよい。
【0026】
このような場合、一単位に個別密封された前記ベーコンは、その立体形態の最も短い長さの角、例えば、厚さが0.5cm以上、1cm以上、3cm以上、または5cm以上であってよい。このように、ベーコンがスライスされずに体積感を有する形態で提供される場合は、豚肉そのものの質感がある状態で提供されるため、消費者の食味によって多様な食感を具現し出すことができるという利点がある。
【0027】
さらに、一単位に個別密封された前記ベーコンは、前記ベーコンの全体質量100重量%中、脂肪を13重量%から27重量%、または15重量%から25重量%、例えば、17重量%から22重量%の含量で、そして無機質の総量に定義される灰分を1.5重量%から4重量%、または2重量%から3.5重量%、例えば、2.5重量%から3重量%の含量で含むことができる。
【0028】
さらに、一単位に個別密封された前記ベーコンは、前記香辛料がトッピングされた部分の色相が、色座標上のL*が40から50、または41から45、例えば、43から44の範囲、a*が10から15、または11から14、例えば12から13.5の範囲、b*が20から33、または23から32、例えば25から31の範囲であり、彩度が23から40、または25から38、例えば、27から35の範囲、色相角が20から30、または21から29、例えば、22から28の範囲であり、前記追加加熱前後にかけた色差(ΔE)が1から37、または5から35、例えば、7から32の範囲であってよい。
【0029】
併せて、一単位に個別密封された前記ベーコンは、直径が2cmである円筒状模様のプローブを利用し、5gの力をサンプル認識条件にして2mm/secの速度でサンプルに10mmの深みで浸透させた後、4mm/secの速度に原位置させる条件で測定した硬度が1Nから12N、または1.5Nから10Nであってよく、前記硬度と同一の条件で測定した咀嚼性が1から12、または1.5から10であってよい。前記硬度は、サンプルの堅い程度を意味するものであって、前記のような測定条件で最初の圧縮過程で現われる最大ピークを意味し、前記咀嚼性は、固体状態のサンプルを呑むことができる状態に作る性質を意味するものであって、基本的に前記二つの物性は、ベーコンの質感から由来した食感を表す尺度である。特に、ベーコンが包装材に密封された後に行われる追加加熱により、前記硬度と咀嚼性は、さらに優れた官能を表す水準、例えば、硬度が4Nから8Nであり、咀嚼性が2から5の水準に向上され得る。
【0030】
また、一単位に個別密封された前記ベーコンは、10~15℃の温度で製造直後から20~36日間保管した後、測定した大腸菌の数が200CFU/g未満、100CFU/g未満、50CFU/g未満、20CFU/g未満、または10CFU/g、例えば、0CFU/gであってよい。さらに、一単位に個別密封された前記ベーコンは、前記のような大腸菌だけでなく、10~15℃の温度で製造直後から20~36日間保管した後に測定した、Escherichia spp.、Klebsiella spp.、Citrobacter spp.、Enterobacter spp.、Erwinia spp.、Aeromonas spp.、Serratia spp.、Hafania spp.などのような大腸菌群の微生物の数もまた、200CFU/g未満、100CFU/g未満、50CFU/g未満、20CFU/g未満、または10CFU/g、例えば、0CFU/gであってよい。
【実施例
【0031】
以下、本発明を実施例によって詳しく説明する。
【0032】
ただし、下記実施例は本発明を具体的に例示するものであり、本発明の内容が下記実施例によって限定されない。
【0033】
[製造例1]
約3~4kgの三枚肉を12時間以上塩蔵した後、横100cm、縦20cm、高さ5.5cmの鉄板に総10~13kgの直方体形態に継ぎ合わせて整形し、燻煙器に入れて55℃から90℃の温度条件で180分間楢の木を燃やした煙で燻煙及び加熱して加工豚肉を製造し、冷却後、前記加工豚肉の片面に殺菌されたペッパーを約20メッシュ程度の大きさに粉砕して十分トッピングすることでベーコンを製造した。
【0034】
前記のように製造されたベーコンを350gの単位に切断し、これを一つのベーコン単位にしてPEで完全密封することにより、追加で加熱されていないペッパートッピング丸ごとベーコン製品を製造した。
【0035】
[製造例2]
前記製造例1で製造されたペッパートッピング丸ごとベーコン製品を、PEで完全密封された状態で、70℃から80℃の温度条件で30分間熱湯法でさらに加熱することにより、追加で加熱されたペッパートッピング丸ごとベーコン製品を製造した。
【0036】
[製造例3]
香辛料として、ペッパーの代わりに殺菌されたガーリックとバジルを約20メッシュ程度の大きさに粉砕して利用したこと以外は、前記製造例1と同様の方法で、追加で加熱されていないガーリック/バジルトッピング丸ごとベーコン製品を製造した。
【0037】
[製造例4]
前記製造例1で製造されたガーリック/バジルトッピング丸ごとベーコン製品を、PEで完全密封された状態で、70℃から80℃の温度条件で30分間熱湯法でさらに加熱し、追加で加熱されたガーリック/バジルトッピング丸ごとベーコン製品を製造した。
【0038】
[実験例1]
ベーコンの微生物分析実験の結果
前記製造例1から製造例4で製造された丸ごとベーコン製品を15℃の温度で製造直後から36日間保管した後、前記丸ごとベーコン製品で包装材からベーコンを分離してEC培地法で大腸菌の存否を、そしてデソキシコレート乳糖寒天培地法と3Mペトリフィルム大腸菌計算プレート(3M Petrifilm Coliform Count Plate)を活用して大腸菌群微生物の存否及び菌数を確認し、その結果を表1に示した。
【表1】
【0039】
[実験例2]
ベーコンの色度の確認
前記製造例1から製造例4で製造された丸ごとベーコン製品で包装材からベーコンを分離し、香辛料がトッピングされた表面から前記香辛料を除去した後、比色計(JC 801、Color techno system Co、Japan)で測定し、同一条件でL(明度)、a(赤色度)、b(黄色度)、彩度(chroma)、色相角(hue-angle)及びΔE(色差)値を計5回測定し、その平均値を結果にしてこれを表2に示した。この際に用いられた標準白色板の値はL=93.73、a=-0.12、b=0.11であった。
【表2】
【0040】
[実験例3]
加工豚肉の物理的特性の分析
前記製造例1から製造例4で製造された丸ごとベーコン製品で包装材からベーコンを分離し、物性分析機であるTA-XT Plus(Texture Technologies社、UK)を利用して硬度(hardness)、凝集性(cohesiveness)、弾力性(springiness)、咀嚼性(chewiness)及び粘着性(gumminess)を測定して物性を確認し、同一条件で計20回測定し、その平均値を結果にしてこれを表3に示した。
【0041】
前記物性分析機は、人が口で二度咀嚼する行動を真似る。物性分析機のプローブ(cylinder metal probe)は、調節された距離から調節された速度で垂直に食品サンプルに降りる。その後、プローブは、再度予め調節された距離だけ上に上がり、二回目の咀嚼のために再度下に降りる。力を知覚する装置と変換器は、測定サンプルに適用された力を認知し、そのデータ(力値、作動時間、プローブ移動距離)をコンピューターに送る。物性測定用語の定義及び物性測定の条件は下記の通りである:
【0042】
<物性測定用語の定義>
(1)硬度(Hardness、N):定められた変形に到達するために必要な力であって、一回目の咀嚼の最大の力
(2)凝集性(Cohesiveness):食品の本体をなすために必要な内部結合の程度
(3)弾力性(Springiness):変形させる力の除去後、変形された材料が変形される前の状態に戻る速度
(4)咀嚼性(Chewiness):食品が嚥下されるために必要な咀嚼のステップ数(= 粘着性 * 弾力性)
(5)粘着性(Gumminess、N):半固体の食品を分解するために必要な力(半固体状態のサンプルを嚥下することができる状態に作る性質)(= 凝集性 * 硬度)
【0043】
<物性測定の条件>
プローブ(probe):直径が2.5cm×2.0cmの円筒状;
前記プローブがサンプルまで降りる速度(pre-test speed):2.0mm/sec;
前記プローブが前記サンプルの表面に触れた後、前記サンプルに突き刺さって入って行く速度(test speed):2.0mm/sec;
前記プローブが前記サンプルを突き刺した後、原位置に戻る速度(post-test speed):4.0mm/sec;
前記プローブが前記サンプルの表面を認識し、前記サンプルを貫いて入って行く距離(distance):10.0mm;
前記プローブが前記サンプルを認識するための条件(trigger type):力(force);5.0g。
【表3】
【0044】
[実験例4]
ベーコンの成分の分析
前記製造例1から製造例4で製造された丸ごとベーコン製品で包装材からベーコンを分離し、その内部の水分、脂肪、タンパク質及び灰分の含量を測定した。より具体的に、AOAC法(1990)により、水分は常圧加熱乾燥法、タンパク質はsemi-micro Kjeldahl法、脂肪はSoxhlet法、灰分は乾式灰化法で定量し、その結果を表4に示した。
【表4】
【0045】
前記では本発明の好ましい製造例を例示的に説明したが、本発明の範囲は前記のような特定の製造例だけに限定されず、当該分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の請求の範囲に記載された範疇内で適宜変更が可能であろう。