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特許7229352マトリクス光源を備える、動力車両のための照明装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】マトリクス光源を備える、動力車両のための照明装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/56 20200101AFI20230217BHJP
   H05B 45/325 20200101ALI20230217BHJP
   H05B 45/44 20200101ALI20230217BHJP
   H05B 47/16 20200101ALI20230217BHJP
   H05B 47/28 20200101ALI20230217BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20230217BHJP
【FI】
H05B45/56
H05B45/325
H05B45/44
H05B47/16
H05B47/28
H01L33/00 J
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021524451
(86)(22)【出願日】2019-11-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2019080604
(87)【国際公開番号】W WO2020094812
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2021-07-05
(31)【優先権主張番号】1860333
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル、ダルーサン
(72)【発明者】
【氏名】ズドラブコ、ゾジチェスキ
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-079871(JP,A)
【文献】特開2016-203863(JP,A)
【文献】国際公開第2018/050355(WO,A1)
【文献】特開2012-156001(JP,A)
【文献】特開2006-210435(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0332635(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107801271(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
45/00-45/58
47/00-47/29
F21K 9/00-9/90
F21S 2/00-2/00,390
2/00,500-45/70
B60Q 1/00-1/56
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力車両のための照明装置(100、200)であって、エレクトロルミネセント半導体素子ベースの基本光源(110、210)のマトリクスアレイを有するマトリクスアレイ光源(105、205)と、基本光源の少なくとも1つのグループへの電力の供給を管理するための回路(130、230)と、を備え、前記電力の供給を管理するための回路は、制御ユニット(132、232)と、前記グループの各基本光源に関し、前記基本光源を電源に選択的に接続するためのスイッチ要素(134、234、234’)と、を備え、前記制御ユニットは、パルス幅変調2値制御信号(136、236、236’)によって前記スイッチ要素の開状態を制御することが更に意図されており、
前記基本光源の各々の放射エリアは、0.2mm以下であり、前記制御ユニットは300Hz以上の周波数を持つ制御信号を送ることができ
前記マトリクスアレイ光源は、前記基本光源のマトリクスアレイと接触する集積回路を備え、前記集積回路は、前記基本光源への電力の供給を管理するための回路の少なくとも一部を含み、
前記集積回路は、基本光源の前記マトリクスアレイの前記基本光源の各々に関し、前記制御信号からのコマンドの受信後に前記基本光源への電力の供給を、所定の持続時間だけ、遅延させるように構成される遅延ユニットを備える、ことを特徴とする照明装置(100、200)。
【請求項2】
前記制御信号(136、236、236’)の周波数は、1kHz以上であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記基本光源のグループは、前記基本光源のマトリクスアレイの前記基本光源(110)の全てを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記電力の供給を管理するための回路は、前記基本光源のマトリクスアレイの少なくとも2つのグループの基本光源(210、210’)の前記スイッチ要素(234、234’)の開状態を交互に制御するように構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項5】
響周波数を減衰させるための手段を備えることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項6】
各基本光源の前記遅延ユニットは、他の基本光源の前記遅延ユニットに機能的に接続されており、その配置は、第1基本光源の遅延が一旦経過した後にのみ、第2基本光源のための遅延が開始するようになっていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項7】
各基本光源のための遅延が同一であることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記遅延ユニットは、遅延値を記録するためのメモリ要素を備えることを特徴とする請求項のいずれか一項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、エレクトロルミネセント半導体素子ベースのマトリクスアレイ光源を用いた動力車両用照明装置に関する。特に、発明はそのような照明装置に関し、当該照明装置のマトリクスアレイ光源を構成する基本光源は限定された放射エリアを持つ。
【発明の概要】
【0002】
発光ダイオード(LED)は、そこに電流を流すと発光することができる半導体電子構成要素である。自動車の分野では、LED技術は多くの光信号のソリューションにますます使用されている。LEDは、日中走行ライト、信号灯などの照明機能を与えるために使用される。LEDが発する光の強さは、一般的にそこに流れる電流の強さに依存する。とりわけ、LEDは電流強度閾値によって特徴づけられる。この最大順電流は、一般的に温度の上昇とともに減少する。同様に、LEDが発光すると、その端子にわたってその順方向電圧又は公称電圧に相当する電圧降下が見られる。発光ダイオードへの電力の供給を駆動してそこに流す電流の平均強さを変えることによって、LEDの光強度を低下させることができる。2値のパルス幅変調(Pulse-Width-Modulation)制御信号を用いてLEDを制御することによってこの機能を実現することは、既知の実践である。LEDの動作は、発光状態とオフ状態との間で周期的に交互に繰り返される。LEDの温度は、発光段階の間に上昇する。1平方ミリメートル以上の放射エリアを有するLEDに関し、それらの熱時定数は20ミリ秒以上のオーダーである。つまり、200Hz、100Hz、又は50HzでのPWMサイクルの「発光」段階の間、LEDの温度は20℃未満だけ上昇し、その後の「オフ」段階の間で冷める。このオーダーの温度変化は、一般的にはその半導体の接合部にダメージをもたらすことはない。
【0003】
多数のピクセルを含むLEDのマトリクスアレイ又は同等のサブミリメートル(submillimeter)サイズの限定された放射エリアを各々が持つ基本的なエレクトロルミネセント光源の使用は、多くの応用分野で有益であり、特に動力車両の照明及び信号伝達の分野でも有益である。LEDのマトリクスアレイは、例えば、ヘッドライトやデイタイム走行ライトなどの照明機能にとって有益な光ビーム形状を作り出すために使用されうる。さらに、複数の異なる照明機能が、単一のマトリクスアレイを使って実現されうるものであり、それにより動力車両ヘッドライトの限られたスペースにおける物理的なかさを減らすことができる。
【0004】
基本光源の放射エリアは、通常知られているLEDの放射エリアよりも、100倍以上も小さい。そのため、基本光源の熱時定数もより小さくなり、使用される画素の製造プロセスによっては、この定数はミリ秒のオーダーになりうる。200HzのオーダーのPWM信号を生成できる従来技術において知られているLEDのための制御ユニットの使用は、そのような画素のマトリクスアレイには適しておらず、それはなぜなら、PWM信号の「放出」サイクルの間に、マトリクスアレイの各基本光源の接合部温度が20℃を大幅に超えて上昇し、その後の「オフ」サイクルの間に冷却されるからである。このオーダーの温度変動は、基本光源の半導体接合部に対するダメージが持続するリスクがあり、それは最後には故障する。
【0005】
発明の1つの目的は、従来技術によって提起される問題のうちの少なくとも1つを克服することである。より正確には、発明は、マトリクスアレイ光源を伴う照明装置を提供することを目的としており、当該マトリクスアレイ光源は、各基本光源によって放出される光強度の低減を許容し、当該各基本光源は、半導体接合部の過熱による故障をもたらすことなく、そのマトリクスアレイを作る。
【0006】
発明の第1の態様によれば、提案されているものは、動力車両用の照明装置である。その装置は、エレクトロルミネセント半導体素子ベースの基本光源のマトリクス配置を有するマトリクスアレイ光源と、基本光源の少なくとも1つのグループへの電力の供給を管理するための回路と、を備え、電力の供給を管理するための回路は、制御ユニットと、グループの基本光源の各々に関して前記基本光源を電源に対して選択的に接続するためスイッチ要素と、を含み、制御ユニットは、パルス幅変調方式の2値制御信号によってスイッチ要素の開状態を制御することが更に意図される。その装置は、各基本光源の放射エリアが0.2mm以下である点、及び、制御ユニットが300Hz以上の周波数を有する制御信号を送信できる点で、注目に値する。
【0007】
好ましくは、制御信号の周波数は、1kHz以上であってもよい。
【0008】
前記基本光源のグループは、好ましくは、基本光源のマトリクスアレイの基本光源のすべてを備えてもよい。
【0009】
電力の供給を管理する回路は、好ましくは、基本光源のマトリクスアレイの基本光源の少なくとも2つのグループのスイッチ要素の開状態を、交互に制御するように構成されてもよい。
【0010】
好ましくは、2つのグループは離されていてもよい。好ましくは、基本光源のマトリクスアレイの行において、第1グループの基本光源と第2グループの基本光源が交互に配置されていてもよい。好ましくは、マトリクス配列の列において、第1グループの基本光源と第2グループの基本光源が交互に配置されていてもよい。
【0011】
マトリクスアレイ光源は、好ましくは、光源のマトリクスアレイと接触する集積回路を含んでいてもよい。集積回路は、好ましくは、基本光源への電力の供給を管理するための回路の少なくとも一部を備えうる。これらは例えば、前記スイッチ要素である。スイッチ要素は、好ましくは、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)タイプの電界効果型トランジスタであってもよい。
【0012】
その集積回路は、マトリクスアレイ光源の基本光源のマトリクスアレイと、機械的及び電気的に接触することが意図される。
【0013】
好ましくは、その装置は、音響周波数を減衰させるための手段を備えていてもよい。減衰手段は、例えば、音響的な周波数の装置外への伝達を減衰させるために、従来技術でそれ自体知られている音響的に絶縁する材料を備えうる。
【0014】
集積回路は、好ましくは、基本光源のマトリクスアレイの基本光源の各々に関し、制御信号からのコマンドの受信後に、基本光源への電力の供給を所定の持続時間だけ遅延させるように構成された遅延ユニットを含んでもよい。
【0015】
好ましくは、各基本光源の遅延ユニットは、別の基本光源の遅延ユニットに機能的に接続されていてもよく、その構成は、一旦第1基本光源の遅延が経過した後にのみ、第2基本光源のための遅延が、経過し始めるようになっている。
【0016】
各基本光源のための遅延は、好ましくは同一であってもよい。
【0017】
好ましくは、遅延ユニットは、遅延値を記録するためのメモリ要素を含んでいてもよい。遅延ユニットは、好ましくは、遅延線を含んでもよい。
【0018】
好ましくは、すべての基本光源に関連する遅延線は、同じクロック信号を使用して達成されてもよい。
【0019】
基本光源のマトリクスアレイは、好ましくは、基本光源を支持する共通の基板を含んでもよい。マトリクスアレイの共通基板は、好ましくはSiCを含んでもよい。
【0020】
各光源は、好ましくは、そのメモリ要素と電力の供給を管理するためのその回路が関連付けられてもよく、異なる基本光源が関連付けられるそのメモリ要素及びその管理回路は、互いに独立している。
【0021】
集積回路は、好ましくは、Si基板を含んでもよい。集積回路は、好ましくは、基本光源のマトリクスアレイに、例えば基本光源を支持する共通の基板に、はんだ付けされ又は接着剤で接合される。集積回路は、好ましくは、基本光源を含む面とは反対側の共通基板の下面に、はんだ付けされ又は接着剤で接合される。集積回路は、好ましくは、例えば固定手段を介して、共通基板に機械的に接触し、且つ当該共通基板に電気的に接触し、それはその下面において電気的接続エリアを有する。
【0022】
ピクセル化された光源は、すなわち同等のマトリクスアレイ光源は、好ましくは、モノリシックアレイとも呼ばれるエレクトロルミネセント要素の少なくとも1つのマトリクスアレイ-基本光源-を含み、当該要素は、少なくとも2つの列×少なくとも2つの行で配置される。エレクトロルミネセント源は、好ましくは、モノリシックマトリクスアレイとも呼ばれるエレクトロルミネセント要素の少なくとも1つのモノリシックマトリクスアレイを含む。
【0023】
モノリシックマトリクスアレイにおいて、エレクトロルミネセント要素は、選択的、個別的又はエレクトロルミネセント要素のサブセットにより、アクティベートされることができるように、共通の基板から成長して電気的に接続される。各エレクトロルミネセント要素又はエレクトロルミネセント要素のグループは、このようにして、前記ピクセル化された光源の基本エミッターの1つを形成してもよく、それは、その又はそれらの材料に電気が供給された場合に光を発してもよい。
【0024】
エレクトロルミネセント要素が、共通基板に実質的に垂直な伸長のそれらの主な寸法のうちの1つを有し、且つ、電気的に一緒にグループ化される1以上のエレクトロルミネセント要素によって形成される基本エミッター間の間隔が、プリント回路基板に対して半田付けされる平らな正方形チップの既知の配置に見られる間隔に比べて小さいという条件で、モノリシックマトリクスアレイのこの定義には、エレクトロルミネセント要素のさまざまな構成が当てはまりうる。
【0025】
基板は、半導体材料によって主に作られてもよい。基板は、1つ以上の他の材料、例えば非半導体、を含みうる。サブミリメートルの大きさのこれらのエレクトロルミネセント要素は、例えば、六角形の断面のロッドを形成するように基板から突出するように、配置される。エレクトロルミネセントロッドは、基板の第1面に生じる。ここで窒化ガリウム(GaN)を用いて形成される各エレクトロルミネセントロッドは、ここではシリコンによって作られる基板に対して垂直に又は実質的に垂直に延びており、それによって基板から突出するが、発明との関連から逸脱することなく、炭化ケイ素などの他の材料が使用されてもよい。例えば、窒化アルミニウム及び窒化ガリウムの合金(AlGaN)から、又は、アルミニウム、インジウム、及びガリウム蛍光体の合金(AlInGaP)から、エレクトロルミネセントロッドが製造されうる。各エレクトロルミネセントロッドは、その高さを定める伸長の軸に沿って延び、各ロッドの基部は、基板の上面の面において配置される。
【0026】
所与のモノリシックマトリクスアレイのエレクトロルミネセントロッドは、有利には、同一形状及び同一寸法を有する。それらは各々、端面によって、及び、ロッドの伸長の軸に沿って延びる周壁によって、範囲が決められる。エレクトロルミネセントロッドがドープされてバイアスにさらされる場合、半導体源から出力される結果として生じる光は、主に周壁から放出されるが、端面からも光線が出てきうるということが理解される。その結果、各エレクトロルミネセントロッドは単一の発光ダイオードとして働いて、この源の明るさが改良され、それは、一方では、存在するエレクトロルミネセントロッドの密度によるものであり、他方では周壁によって定められる照明エリアであってそれ故にロッドの全周及び全高にわたって延びる照明エリアのサイズによるものである。ロッドの高さは、2~10μmであってもよく、好ましくは8μmであってもよい。ロッドの端面の最大寸法は、2μmよりも小さく、好ましくは1μm以下である。
【0027】
エレクトロルミネセントロッドを形成する場合に、ピクセル化された光源の一つの領域から次の領域へと高さが変えられて、そこでのロッドの平均高さが増大される場合に対応する領域の明るさを増加させるようにしてもよいことが理解されるであろう。それにより、エレクトロルミネセントロッドのグループは、他のエレクトロルミネセントロッドのグループとは異なる単一の高さ又は複数の高さを有してもよく、これらの2つのグループは、サブミリメートル寸法のエレクトロルミネセントロッドを含む同一の半導体光源の構成要素である。また、エレクトロルミネセントロッドの形状、特にロッドの断面の形状及び端面の形状は、モノリシックマトリクスアレイ毎に異なりうる。ロッドは概して円筒の形状を有し、それらは、特に、多角形の、とりわけ六角形の、断面を有しうる。光が周壁を通って放出されることができるようにするには、後者が多角形又は円形を有することが重要であることが理解される。
【0028】
さらに、端面は、実質的に平面で周壁に垂直な形状を有していてもよく、それによってそれは、基板の上面に実質的に平行に延び、或いは、それはこの端面から出る光が出射される方向を増やすように、そのセンターで湾曲したり尖ったりする形状を有していてもよい。
【0029】
エレクトロルミネセントロッドは、好ましくは、2次元のマトリクスアレイに配列されてもよい。この構成は、ロッドがずらされるようになっているようなものとしうる。一般的には、ロッドは基板上に一定の間隔で配置され、マトリクスアレイの各寸法において、すぐに隣りあう2つのエレクトロルミネセントロッドを隔てる距離は、少なくとも2μmに等しくすべきであり、好ましくは3μm~10μmにすべきであり、それによって各ロッドの周壁を通って放出される光がエレクトロルミネセントロッドのマトリクスアレイから出ることができる。さらに、隣接するロッドの伸長の2つの軸の間で測定されるこれらの分離距離は、100μmよりも大きくならないようになっている。
【0030】
代替として、モノリシックマトリクスアレイは、例えば炭化ケイ素で作られる単一の基板上に、エピタキシャルエレクトロルミネセント要素の層によって、特にn-ドープGaNの第1層及びp-ドープGaNの第2層によって、形成されるエレクトロルミネセント要素を含んでもよく、それは(研削及び/又はアブレーションによって)スライスされて、1つの同じ基板からそれぞれ生じる複数の基本エミッターを形成する。そのような設計の結果は、1つの同じ基板から全てが生じ且つお互いから選択的にアクティベートされることができるように電気的に接続される複数のエレクトロルミネセントブロックである。
【0031】
この他の実施形態による1つの例示的な実施形態では、モノリシックマトリクスアレイの基板は、5μm~800μmの厚さ、特に200μmに等しい厚さを有していてもよく;各ブロックは、各々が50μm~500μmの、好ましくは100μm~200μmの、長さと幅を有していてもよい。一変形例では、その長さ及び幅が等しい。各ブロックの高さは500μmよりも小さく、好ましくは300μmよりも小さい。最後に、各ブロックの出口面は、エピタキシーと反対側に基板を介して形成されうる。2つの基本エミッター間の分離距離。連続する各基本エミッター間の距離は、1mmよりも小さくてもよく、特に500μmよりも小さくてもよく、好ましくは200μmよりも小さい。
【0032】
代替として、上述のように一つの同じ基板からそれぞれ突出して延びるエレクトロルミネセントロッドと、一つの同じ基板上に重ねられるエレクトロルミネセント層をスライスすることによって得られるエレクトロルミネセントブロックと、の両方とともに、モノリシックマトリクスアレイは、さらに、ポリマー材料の層を含んでいてもよく、当該ポリマー材料の層にエレクトロルミネセント要素が少なくとも部分的に埋め込まれる。したがって、その層は、基板の全範囲わたって延びていてもよく、或いはエレクトロルミネセント要素の定められたグループの周りだけに延びていてもよい。特にシリコーンベースとしうるポリマー材料は、光線の拡散を妨げることなく、エレクトロルミネセント要素が保護されることを可能にする保護層を作り出す。さらに、このポリマー材料の層に、波長変換手段を、例えば発光団(luminophores)を、統合することも可能であり、当該波長変換手段は、要素のうちの1つによって放出される光線の少なくとも一部を吸収することができ、前記吸収された励起光の少なくとも一部を、励起光の波長とは異なる波長を持つ発光光に変換することができる。区別なく、発光団は、ポリマー材料の塊に埋め込まれように或いはこのポリマー材料の層の表面に配置されるように設けられてもよい。
【0033】
ピクセル化された光源は、さらに、光線を光源の出射面に偏向させる反射材のコーティングを含んでいてもよい。
【0034】
サブミリメートル寸法のエレクトロルミネセント要素は、基板に実質的に平行な面において定められた出口面を定める。この出口面の形状は、それを形成するエレクトロルミネセント要素の数と配置に応じて定められることが理解されよう。このようにして放出面の実質的に長方形の形状を定めることが可能であり、後者は、発明との関連から逸脱することなく、変わりうるものであり、任意の形状を採用しうることが理解される。
【0035】
本発明によって提案された手段を使用することで、動力車両用の照明装置を提供することが可能になり、当該照明装置では、マトリクスアレイの基本半導体光源又はピクセル化された光源が、基本光源の半導体接合部に損傷を与えるリスクなしに、パルス幅変調(PWM)タイプの信号によって制御されうる。高いPWM周波数を、特に300Hz以上を、好ましくは1kHz以上を、採用することで、2mmよりも小さい放射エリアを持つ基本光源が、制御信号の「放射」段階の間20℃よりも大きい差をつけて加熱するリスクがない。発明のいくつかの態様によれば、ピクセル化されたマトリクスアレイの基本光源の複数のグループは、PWMタイプ信号によってタイムシフト方法で制御される。これにより、半導体接合部での温度上昇をさらに低減することが可能である。具体的には、基本光源は小さくて空間的にお互いに非常に近いため、それに電力が供給された後の各源の加熱が、隣り合う源の加熱に潜在的に寄与しうるものであり、その逆の場合も同じである。与えられた時間に電力が供給される隣り合う基本光源の数を限定することで、この相互加熱の寄与が少なくとも部分的に軽減されうる。発明のいくつかの態様によるマトリクスアレイ光源は、特に、潜在的に基本光源毎に関し、明るさの設定値に対応する値をそれに記録するためのメモリ要素を収容する集積回路と、基本光源への電力の供給を管理するための回路と、を含んでいてもよい。電力の供給を管理するその回路は、例えば該当の基本光源のためのパルス幅変調(PWM)タイプの制御信号を用いて、電流の平均的な強さを適応させる。そのため、各画素によって発せられる光の強さは、マトリクスアレイ源自体によって薄暗くされる。輝度設定値は、基本光源への電力の供給を管理するための回路が、基本源を制御する必要があるただの外部コマンドである。その発明の対策は、発光ダイオードのピクセル化されたマトリクスアレイの半導体接合部の過熱を緩和することに寄与するので、発明により、これらの構成要素の寿命を延ばすことが可能であり、当該部品の製造は高価であり技術的に困難である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明の他の特徴及び利点は、例の説明及び図面の助けを借りて、よりよく理解され、当該図面において:
図1図1は、発明の一つの好ましい実施形態による照明装置を図式的に示す。
図2図2は、発明の一つの好ましい実施形態による照明装置の断面を図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
特に明記しない限り、ある与えられる実施形態に関して詳細に説明されている技術的特徴は、例として限定無く説明されている他の実施形態との関連で説明されている技術的特徴と組み合わせられうる。発明の様々な実施形態にわたって同様の概念を説明するために、同様の参照番号が使用される。例えば、参照100及び200は、発明による照明装置の2つの実施形態を示す。
【0038】
説明は、発明の理解に必要な動力車両用の照明装置の要素に焦点を当てている。既知のやり方でそのような装置の一部を形成する他の要素は、言及されず又は詳細には説明されない。例えば、照明装置が、前述の構成要素の設置のための構造要素、すなわち例えばラジエーターなどの放熱要素、を備えることは言うまでもない。
【0039】
図1における説明図は、発明の好ましい一実施形態によるピクセル化された又はマトリクスアレイの光源105を含む照明装置100を示す。マトリクスアレイ光源105は、複数のエレクトロルミネセント半導体素子ベースの基本光源110と、図示しない共通基板と、を含む。各基本光源は、0.14×0.14mm以下にわたって延びる放射エリアを含む。このサイズの基本光源に、順方向電流の強度以上の強さの電流を流すと、それは数ミリ秒後、たとえ1ミリ秒後でも、20℃程度の温度勾配を受ける。
【0040】
マトリクスアレイ光源105は、好ましくはモノリシックマトリクスアレイ構成要素を備え、当該モノリシックマトリクスアレイ構成要素において、例えば、基本光源110の半導体層が共通の基板上に配置される。基本光源110のマトリクスアレイは、好ましくは、複数のブランチの平行アセンブリを備え、各ブランチはエレクトロルミネセント半導体光源110を含む。
【0041】
装置100は、基本光源のグループへの電力の供給を管理するための回路130を備える。図1の例において、このグループは、マトリクスアレイ105のすべての光源を備えるが、しかしながら、発明はこの実施形態に限定されるものではない。管理回路は、各基本光源に関し、開状態又は閉状態をとるように制御信号136によって制御されるスイッチ装置を備える。その構成は、スイッチが閉じた状態では、対応する基本光源が電源に接続され、開いた状態では、基本光源がそれに接続されないようになっている。しかしながら、本発明の範囲を逸脱しないように、基本光源の発光状態/発光オフ状態を制御するための他の構成が考えられる。
【0042】
電源は変換回路を含んでいてもよく、当該変換回路は、例えばバッテリーなどの動力車両の内部の源によって供給される入力電流/電圧を、マトリクスアレイ105に電力を供給するのに適した強度/値を有する負荷電流/電圧に変換するように構成される。
【0043】
制御ユニット132は、制御信号136を生成する。その信号は、スイッチ要素134が取り得る2つの異なる状態に対応する2値の見かけを有する。それはパルス幅変調(PWM)信号であり、当該パルス幅変調信号の周波数は300Hz以上であり、好ましくは1kHz以上である。この周波数で、スイッチ134が閉じている間の段階及び対応の基本光源110が発光して発熱する間の段階は、その半導体接合部が20℃よりも大きい差では発熱しない程度に短い。これは、接合部へのダメージを防ぐ。基本光源に連続して電力を供給する時間に相当する加熱段階は、前記基本光源の熱時定数を超えない。上述のようなPWM信号を生成できる電子回路は、それ自体既知であり、それらの構成や動作は、この発明に関連してさらに詳細には説明されない。
【0044】
マトリクスアレイ光源が電圧駆動される場合、各基本光源の、すなわち各画素の、駆動は、図1に図式的に示されるように、スイッチ装置134を制御することを単に伴う。その装置134の状態を制御することで、基本光源110は電圧源Vinに選択的に接続されうる。スイッチ装置は、例えば、MOSFETタイプの電界効果トランジスタによって形成され、好ましくは、そのドレイン端子とソース端子との間の低電圧降下によって特徴付けられ、電力の供給を管理するための回路132からの制御信号136によって制御される。制御信号136は、パルス幅変調(Pulse-Width-Modulation)信号である。これは周期的な2値信号である。デューティサイクルの選択、つまりサイクルの非ゼロフェーズとゼロフェーズのそれぞれの継続時間は、信号の極値の間にある信号の平均値に直接的に影響する。周期的信号136は、スイッチ装置134を開閉するための2値のコマンドのシーケンスを形成する。基本光源110を流れる電流の平均強度は、ひいてはこの基本光源により発せられる平均光強度は、PWM制御信号136の平均値を反映する。
【0045】
例として、限定するものではないが、基本光源105のマトリクスアレイは、基板の厚さに沿って、基本源110の位置とは反対側の端部から始まる、電気絶縁性基板上に成膜された第1導電層を備える。これは、続いて、0.1~2μmの厚さのn-ドープ半導体層が続く。この厚さは、既知の発光ダイオードの厚さよりもはるかに小さく、当該既知の発光ダイオードに関する対応の層は1~2μm程度の厚さを有する。その次の層は、約30nmの厚さを有する活性量子井戸層であり、続いて電子ブロッキング層、及び最後にp-ドープ半導体層となっており、後者は約300nmの厚さを有する。好ましくは、第1層が(Al)GaN:Si層であり、第2層がn-GaN:Si層であり、活性層は、GaNからなるバリアと交互に配置されるInGaNからなる量子井戸を含む。ブロッキング層は、好ましくはAlGaN:Mgで作られ、pドープ層は好ましくはp-GaN:Mgで作られる。n-ドープ窒化ガリウムは、0.0005オーム/cmの抵抗率を有し、p-ドープ窒化ガリウムは、1オーム/cmの抵抗率を有する。提案された層の厚さにより、特に、基本源の内部直列抵抗を増加させることが可能となり、同時に、n-ドープ層が既知のLEDと比較してそれほど厚くなく且つより短い堆積時間を必要とするため、その製造時間を大幅に短縮する。例えば、2μのn層を持つ標準的な構成のLEDに関するMOCVD堆積には、典型的には5時間が必要だが、n層の厚さが0.2μまで低減されると、この時間を50%低減しうる。
【0046】
一様の厚さを有する半導体層を有する基本光源110を実現するためには、モノリシック構成要素105は、好ましくは、基板の表面の少なくとも一部にわたってそれを覆うように均質且つ一様に層を堆積させることによって、製造される。それらの層は、例えば、金属酸化化学蒸着(Metal Oxide Chemical Vapor Deposition:MOCVD)法を使って堆積される。そのような方法及びそれらを実施するための反応器は、例えば、特許文書WO2010/072380A1又はWO01/46498A1から、基板上に半導体層を堆積させることに関して知られている。したがって、それらの実装に関する詳細は、本発明の関連において説明されない。このようにして形成された層はその後ピクセル化される。例として、限定するものではないが、既知のリソグラフィ方法を用いて、その後に基板上の基本光源110間のスペースに対応する部位でエッチングすることで、層が除去される。このようにして、個々の画素に関して1平方ミリメートルよりも小さい面積を有し、2平方ミリメートルよりも大きい総面積を有し、均一な厚さを持つ半導体層を有し、したがって均一で高い内部直列抵抗を有する数十又は数百又は数千の複数の画素110が、マトリクスアレイ光源105の基板上に作られることができる。一般的には、各LED画素のサイズがより小さくなるほど、その直列抵抗がより大きくなり、よりこの画素が電圧源によって駆動されることができる。代替として、基板の表面の少なくとも一部を覆うエピタキシャル層を含む基板は、複数の基本光源に切断又は分割され、基本光源の各々は、それらの内部直列抵抗の点で同様の特性を有する。
【0047】
また、発明は、他の構成の半導体層を伴う半導体素子ベースの基本光源のタイプに関する。特に、基板、各層の半導体材料、層の配置、それらの厚さ、及び層間のあらゆるビアは、これまで説明してきた例とは異なりうる。
【0048】
図2の説明図は、発明の別の好ましい実施形態によるピクセル化された光源又はマトリクスアレイ光源205を含む照明装置200を示す。マトリクスアレイ光源205は、LEDタイプの複数のエレクトロルミネセント半導体素子ベースの基本光源210と、図示しない共通基板と、を含む。各基本光源は、0.14×0.14mm以下にわたって延びる放射エリアを有する。このサイズの基本光源に、順方向の強度以上の電流を流すと、それは、数ミリ秒後、1ミリ秒よりも小さい後でも、20℃程度の温度勾配を受ける。
【0049】
装置200は、基本光源の2つのグループへの電力の供給を管理するための回路230を備える。図2の例では、第1グループの第1基本光源210が第2グループの基本光源210’と交互に配置される。管理回路は、各基本光源に関し、スイッチ装置234、234’を備え、当該スイッチ装置234、234’はそれぞれ制御信号236、236’によって制御されて開状態又は閉状態をとる。その構成は、スイッチが閉じた状態では、対応する基本光源が電源に接続され、開いた状態では、基本光源がそれに接続されないようになっている。
【0050】
制御ユニット232は、制御信号236を生成する。その信号は、スイッチ要素234が取り得る2つの異なる状態に対応する2値の見かけを有する。それはパルス幅変調信号(PWM)信号であり、当該パルス幅変調信号の周波数は300Hz以上であり、好ましくは1kHz以上である。この周波数で、スイッチ234が閉じている間の段階及び対応の基本光源210が発光して発熱する間の段階は、その半導体接合部が20℃よりも大きな差で発熱しない程度に短い。これは、接合部へのダメージを防ぐ。
【0051】
また、制御ユニット232は、第2グループの光源210’を対象としたPWMタイプ制御信号236を生成する。信号236、236は、2つのグループの基本光源210、210’が常に一緒に電源に接続されているわけではないようになっている。例えば、信号236は50%のデューティサイクルを持ってもよく、スイッチ装置を制御してそれらがそれらの閉状態をとるように意図される1つの半サイクルで形成されてもよく、スイッチ装置を制御してそれらがそれらの開状態をとるように意図される第2の半サイクルが続く。そして、その信号236’は、信号236の半周期分だけシフトしたコピーであってもよく、それにより、基本光源210、210’のグループには、交互に電気が供給される。この場合、その信号236’は、従来技術で知られている遅延回路によって、信号236に基づいて生成されうる。しかしながら、発明の範囲を逸脱することなく、他の実施形態が考えられる。この構成の利点は、1つのグループの基本光源210が、別のグループの基本光源210’の加熱に必ずしも寄与しないことであり、当該別のグループの基本光源210’は第1グループの基本光源に空間的に非常に近い。この構成は、マトリクスアレイ205内のより大きな複数のグループの基本源にも適用される。
【0052】
図2の実施形態では、電力の供給を管理するための回路230は、集積回路220によって収容され、共通の基板の下面にはんだ付けされており、当該集積回路220はその上面において基本光源210、210’を収容し、基板及び基本光源との機械的及び電気的な接触を確立するようになっている。
【0053】
基本光源を搭載した基板との機械的及び電気的な接触において集積回路120を使うことで、マトリクスアレイ光源の画素数に少なくとも等しいであろう数の配線を、省略することが可能である。管理回路230は、基本光源210、210’のマトリクスアレイ205に空間的に近接しているので、制御時間は無視できる。具体的には、回路230の構成要素は、基本光源の数マイクロメートル下に配置されている。
【0054】
好ましくは、モノリシック構成要素205が製造される場合、電力供給回路が基板内に組み込まれてもよい。
【0055】
図示されていない別の実施形態によれば、基本光源(図2の場合は210、210’)のグループのそれぞれのオン・タイム間のシフトは、各光源の下方において統合された遅延ユニットによって作られる。他の実施形態に関してちょうど説明したようなPWMタイプ制御信号が用いられて基本光源を制御する。ただし、各基本光源の遅延ユニットは、それらのそれぞれの遅延が経過した後にのみ、制御を適用する。その構成は、好ましくは、遅延ユニットが機能的に連鎖的に接続されるようになっていてもよく、1つの基本光源の遅延が、いったん連鎖の先行する基本光源の遅延が経過した後にのみ、経過し始めるようになっていてもよい。このようにして、すべての基本光源の同時加熱も低減される。
【0056】
集積回路は、マトリクスアレイ光源及び/又は基本光源に関連して他の機能に使用される他の電子回路及び/又はメモリ要素を含んでもよいことは言うまでもない。これは、基本光源での短絡回路又は開回路の不良を検知するための回路を含むが、当該回路には限定されない。
【0057】
保護の範囲は特許請求の範囲によって定められる。
図1
図2