IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスエイチエル・メディカル・アーゲーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】自動注射器
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/20 20060101AFI20230217BHJP
【FI】
A61M5/20 572
A61M5/20 510
A61M5/20 550
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021533616
(86)(22)【出願日】2019-11-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2019081918
(87)【国際公開番号】W WO2020120087
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-06-15
(31)【優先権主張番号】62/780,130
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】19153358.7
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520011887
【氏名又は名称】エスエイチエル・メディカル・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】サド・マイリー
(72)【発明者】
【氏名】デーン・クリス
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-506745(JP,A)
【文献】特表2015-500124(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0259002(US,A1)
【文献】特表2011-524212(JP,A)
【文献】特表2013-523314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達デバイス(10)であって、
近位端部および遠位端部を有するハウジング(20)と、
前記ハウジング(20)内に配置され、薬剤を収容する内部を有する薬剤容器(42)を含む可動容器アセンブリ(41,42)であって、前記薬剤容器(42)は、ストッパー(43)と、前記内部を密封する第1のシールと、を具備する可動容器アセンブリ(41,42)と
を具備し、
前記薬剤送達デバイス(10)がさらに、
前記可動容器アセンブリ(41,42)に接続されると共に、ニードル(38)および外側キャップ(31)を有するニードルアセンブリ(30)であって、前記外側キャップ(31)は、前記ニードル(38)の遠位端部が前記第1のシールを貫通して前記内部に入るように、前記ニードル(38)を前記薬剤容器(42)に向かって移動させるために手動で操作されるように構成されるニードルアセンブリ(30)と、
前記薬剤容器(42)の遠位端部に配置されると共に、解放されて、前記容器アセンブリ(41,42)および前記ニードルアセンブリ(30)を前記ハウジング(20)の近位端部に向かって、前記ニードル(38)の近位端部が前記ハウジングから突出する挿入位置へと移動させるように構成されたドライバーアセンブリと、
前記ハウジング(20)内に前記容器アセンブリ(41,42)を取り囲むように配置されかつ前記ドライバーアセンブリと係合するように構成されたアクティベーター(50)であって、前記アクティベーター(50)は、第1のアクティベーター位置から、前記アクティベーターが前記ドライバーアセンブリを解放して前記容器アセンブリ(41,42)および前記ニードルアセンブリ(30)を移動させる第2のアクティベーター位置へと移動可能である、アクティベーター(50)と
を具備することを特徴とする薬剤送達デバイス(10)。
【請求項2】
前記アクティベーター(50)または前記ドライバーアセンブリと係合し、前記アクティベーター(50)を、前記第2のアクティベーター位置から、前記ドライバーアセンブリが当接しかつ前記アクティベーター(50)が前記ハウジングの前記遠位端部に向かって移動するのを防止する第3のアクティベーター位置へと移動させるように構成された第1の弾性部材(52)をさらに備える、請求項に記載の薬剤送達デバイス(10)。
【請求項3】
前記ドライバーアセンブリが、
前記薬剤容器(42)内の前記ストッパー(43)と相互作用するように構成されたプランジャーロッド(70)と、
前記プランジャーロッド(70)と係合しかつ前記プランジャーロッド(70)が動くのを防止するように構成された少なくとも一つの係合部分(61A)を有する第1のスリーブ(61)と、
前記係合部分(61A)と係合しかつ前記係合部分(61A)が前記プランジャーロッド(70)を移動させかつ解放するのを防止するように構成された第2のスリーブ(62)と、
前記プランジャーロッド(70)と係合しかつ前記プランジャーロッド(70)に近位方向の力を加えるように構成された第2の弾性部材(71)と
を含み、
前記第2のアクティベーター位置にある前記アクティベーター(50)は、前記第2のスリーブ(62)を動かして前記係合部分を解放し、これによって、前記係合部分は、前記弾性部材を解放して前記容器アセンブリ(41,42)および前記ニードルアセンブリ(30)を前記ハウジング(20)の前記近位端部に向かって移動させるために続いて前記ストッパー(43)と係合する前記プランジャーロッド(70)を移動させるために、前記プランジャーロッド(70)を移動させて、それを解放することができる、請求項に記載の薬剤送達デバイス(10)。
【請求項4】
前記第2の弾性部材(71)は、前記プランジャーロッド(70)を駆動することで前記ストッパー(43)を押圧して前記内部の前記近位端部に到達させ、前記第2の弾性部材(71)は、続いて、前記第1のスリーブ(61)を、前記ハウジング(20)の前記遠位端部に向かって、前記第1のスリーブ(61)が、前記アクティベーター(50)に当接しかつ前記アクティベーター(50)が前記ハウジングの前記遠位端部に向かって移動するのを防止する前記第2のスリーブ(62)に当接する位置へと押しやる、請求項に記載の薬剤送達デバイス(10)。
【請求項5】
前記係合部分(61A)が半径方向に可撓性を有し、かつ、前記第2のスリーブ(62)と前記プランジャーロッド(70)との間に配置されており、前記第1のアクティベーター位置から前記第2のアクティベーター位置へと移動する前記アクティベーター(50)が前記第2のスリーブ(62)を移動させ、前記係合部分が半径方向外向きに曲がって前記プランジャーロッド(70)を解放することを可能にする、請求項に記載の薬剤送達デバイス(10)。
【請求項6】
前記容器アセンブリ(41,42)および前記ニードルアセンブリ(30)が前記挿入位置にあるとき、前記第2の弾性部材(71)が前記プランジャーロッド(70)および前記ストッパー(43)を押圧し、前記ニードルの前記遠位端部を経て薬剤を流動させ、続いて前記ニードル(38)の近位端部を経て前記ニードル(38)から吐出させる、請求項に記載の薬剤送達デバイス(10)。
【請求項7】
前記ドライバーアセンブリは、前記第2の弾性部材(71)と前記第1のスリーブ(61)との間に配置されたガイドロッド(80)をさらに含み、前記ガイドロッド(80)は前記第2の弾性部材(71)によって取り囲まれている、請求項に記載の薬剤送達デバイス(10)。
【請求項8】
前記ニードルアセンブリ(30)は、
前記ニードル(38)と係合して、それを保持するように構成されたニードルホルダー(37)と、
前記ニードルホルダー(37)と係合して、それを回転させるように構成された内側キャップ(32)と、
前記容器アセンブリ、および前記ニードルホルダー(37)とネジ係合させられたネジ部分と結合されるように構成された保持器(33)と
を含み、
前記外側キャップ(31)は、前記内側キャップ(32)と回転可能に係合すると共に、ユーザーによって手動で回転させられて前記内側キャップ(32)を回転させるように構成されており、これによって前記ニードルホルダー(37)が前記ネジ部分に沿ってかつ前記薬剤容器(42)に向かって回転させられ、前記ニードル(38)の前記遠位端部が前記第1のシールを貫通して内部に入るようになっている、請求項1に記載の薬剤送達デバイス(10)。
【請求項9】
前記外側キャップ(31)は、ユーザーによって手動で引っ張れたときに前記外側キャップ(31)が前記薬剤容器(42)の前記近位端部から離れるように前記内側キャップ(32)を移動させることができるように、前記内側キャップ(32)と結合するように構成された第1のカプラーを有する、請求項に記載の薬剤送達デバイス(10)。
【請求項10】
前記第1のシールが前記薬剤容器(42)の近位端部に配置され、前記ニードルアセンブリ(30)が前記ニードルと前記第1のシールとの間に配置された第2のシール(35)をさらに含み、前記ニードルは、前記ニードルホルダー(37)が前記ネジ部分に沿ってかつ前記薬剤容器(42)に向かって回転させられたとき、前記第2のシール(35)を、次に前記第1のシールを貫通する、請求項に記載の薬剤送達デバイス(10)。
【請求項11】
前記ニードルアセンブリ(30)は、前記外側キャップ(31)と前記内側キャップ(32)との間に配置されると共に前記内側キャップ(32)および前記外側キャップ(31)と回転可能に係合するように構成されたクラッチ(39)を含み、第1の回転方向に回転させられた前記外側キャップ(31)は前記クラッチ(39)を回転させ、このクラッチ(39)は次に前記内側キャップ(32)を回転させ、第2の回転方向に回転させられた前記外側キャップ(31)は前記クラッチ(39)と係合せず、前記クラッチ(39)を回転させるのが防止される、請求項に記載の薬剤送達デバイス(10)。
【請求項12】
前記保持器(33)が、前記薬剤容器(42)と結合するように構成された第2のカプラーを有する、請求項に記載の薬剤送達デバイス(10)。
【請求項13】
前記容器アセンブリ(41,42)が、前記薬剤容器(42)を収容するように構成された容器キャリア(41)を含み、解放された前記ドライバーアセンブリが前記薬剤容器(42)および前記容器キャリア(41)の両方を、前記ハウジング(20)の前記近位端部に向かって、前記ハウジング(20)が前記容器キャリア(41)と係合して前記容器アセンブリ(41,42)の動きを停止させる前記挿入位置へと移動させる、請求項1に記載の薬剤送達デバイス(10)。
【請求項14】
前記容器アセンブリ(41,42)および前記ドライバーアセンブリと結合する第3のカプラーをさらに備え、解放された前記ドライバーアセンブリは前記第3のカプラーを移動させ、これが続いて前記容器アセンブリおよび前記ニードルアセンブリを前記挿入位置に向かって移動させ、前記ドライバーアセンブリは続いて前記第3のカプラーから分離し、続いて前記ストッパー(43)を押圧して、薬剤を前記ニードル(38)の前記遠位端部を経て流動させ、続いて前記ニードル(38)の前記近位端部を経て前記ニードル(38)から吐出させる、請求項1に記載の薬剤送達デバイス(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬剤注射器、特に、薬剤容器へのニードルの手作業での取り付けを必要とし、かつ、注射部位でのニードルの貫通およびその後の注射部位への薬剤注入を自動的に実行する薬剤注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
当技術分野で知られている薬物送達デバイスの一つのタイプは、投与前に医療、治療、診断、医薬または化粧品の化合物(薬物)を収容し、中空のニードルを介して患者の皮膚を通して化合物を投与するために使用される自動注射器である。自動注射器は、患者自身または別のユーザーが使用することができ、動物に薬剤を投与するためにも使用される。注射器デバイスは、さまざまな液体医薬品を送達するために使用される。
【0003】
自動注射器は、シリンジにとって必要なそれと比較して、ニードルを患者に挿入して薬物をニードルから排出するプロセスのいずれかまたは両方を自動化することによって、ユーザーが必要とするトレーニングおよび労力の量を減らすので一般的に使用されている。また、患者からニードルを隠すことで注射の恐れを減らすことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それぞれの病状の効果的な治療を確実にするために患者による注射器デバイスの正しい使用が不可欠である。そのような正しい使用には、注射ステップが適切に行われ、完全な薬剤用量が患者に注射されることを確実にすることが含まれる。患者が自身でステップを完遂するためには薬剤送達プロセスを単純かつ直感的にすることが有利である。注射器デバイスの不完全または不正確な使用は、効果のない病状の治療につながり、患者に怪我をさせ、あるいは不快感を与える可能性がある。本発明の目的は、上記問題の一つ以上に対処する注射器デバイスを提供し、そして改良された注射器デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示において、「遠位」という用語が使用される場合、これは、用量送達部位から離れる方向を意味する。「遠位部分/端部」という用語が使用される場合、これは、送達デバイスの部分/端部、またはその部材の部分/端部を意味し、これは、薬剤送達デバイスの使用下では、用量送達部位から最も遠い位置に置かれる。同様に、「近位」という用語が使用される場合、これは、用量送達部位を指す方向を意味する。「近位部分/端部」という用語が使用される場合、これは、送達デバイスの部分/端部、またはその部材の部分/端部を意味し、これは、薬剤送達デバイスの使用下では、用量送達部位に最も近い位置に置かれる。
【0006】
さらに、「軸線」の有無にかかわらず、「長手方向」という用語は、デバイスまたはそのコンポーネントの最も長い延長の方向におけるデバイスまたはそのコンポーネントを通る方向または軸線を意味する。
【0007】
「軸線」の有無にかかわらず、「横方向」という用語は、デバイスまたはコンポーネントの最も広い延長の方向におけるデバイスまたはそのコンポーネントを通る方向または軸線を意味する。「横方向」はまた「長手方向に」細長い本体の側面に対する位置を意味する場合もある。
【0008】
同様に、「軸線」の有無にかかわらず、「半径方向」または「横断方向」という用語は、長手方向に概ね垂直する方向においてデバイスまたはそのコンポーネントを通る方向または軸線を意味し、例えば「半径方向外向き」とは長手方向軸線から離れる方向を意味する。
【0009】
また、他に何も述べられていない場合、デバイスの機械的構造およびそのコンポーネントの機械的相互接続が説明される以下の記載では、デバイスは、初期の非アクティブ状態または非作動状態にある。
【0010】
上記を考慮して、本開示の一般的な目的は、薬剤送達デバイスのキャップのためのニードルシールドリムーバーを提供することであり、このニードルシールドリムーバーは組み立てがより容易である。
【0011】
本開示の上記およびその他の態様ならびに利点は、本発明の以下の詳細な説明および添付の図面から明らかになるであろう。
【0012】
本開示の主な態様によれば、それは、薬剤送達デバイスであって、近位端部および遠位端部を有するハウジングと、このハウジング内に配置されると共に薬剤を収容する内部を有する薬剤容器を含む可動容器アセンブリであって、薬剤容器は、ストッパーと、内部を密封する第1のシールとを含む可動容器アセンブリと、可動容器アセンブリに接続されると共にニードルおよび外側キャップを有するニードルアセンブリであって、外側キャップは、ニードルの遠位端部が第1のシールを貫通して内部に入るようにニードルを薬剤容器に向かって移動させるために手動で操作されるように構成されるニードルアセンブリと、薬剤容器の遠位端部に配置されると共に、解放されて、容器アセンブリおよびニードルアセンブリをハウジングの近位端部に向かって、ニードルの近位端部がハウジングから突出する挿入位置へと移動させるように構成されたドライバーアセンブリとを具備する薬剤送達デバイスによって特徴付けられる。
【0013】
薬剤送達デバイスは、ハウジング内に配置されかつドライバーアセンブリと係合するように構成されたアクティベーターをさらに備えてもよく、このアクティベーターは、第1のアクティベーター位置から、アクティベーターがドライバーアセンブリを解放して容器アセンブリおよびニードルアセンブリを移動させる第2のアクティベーター位置へと移動可能である。
【0014】
薬剤送達デバイスは、アクティベーターまたはドライバーアセンブリと係合しかつアクティベーターを、第2のアクティベーター位置から、ドライバーアセンブリが当接すると共にアクティベーターがハウジングの遠位端部に向かって移動するのを防止する第3のアクティベーター位置へと移動させるように構成された第1の弾性部材をさらに備えていてもよい。
【0015】
ドライバーアセンブリは、好ましくは、薬剤容器内のストッパーと相互作用するように構成されたプランジャーロッドと、このプランジャーロッドと係合し、プランジャーロッドが移動するのを防止するように構成された少なくとも一つの係合部分を有する第1のスリーブと、係合部分に係合し、この係合部分がプランジャーロッドを動かして解放するのを防止するように構成された第2のスリーブと、プランジャーロッドと係合し、近位方向にプランジャーロッドに力を加えるように構成された第2の弾性部材とを含む。第2のアクティベーター位置にあるアクティベーターは、第2のスリーブを動かして係合部分を解放し、これによって、容器アセンブリおよびニードルアセンブリをハウジングの近位端部に向かって移動させるために続いてストッパーと係合するプランジャーロッドを動かすべく弾性部材を解放するために、係合部分が動作してプランジャーロッドを解放することができる。
【0016】
第2の弾性部材は、プランジャーロッドを駆動してストッパーを押しやり、内部の近位端部に到達するように構成され、続いて第2の弾性部材は、第1のスリーブを、ハウジングの遠位端部に向かって、第1のスリーブが、アクティベーターに当接すると共にアクティベーターがハウジングの遠位端部に向かって移動するのを防止する第2のスリーブに当接する位置まで押しやる。
【0017】
係合部分は、好ましくは、半径方向に可撓性を有し、かつ、第2のスリーブとプランジャーロッドとの間に配置され、アクティベーターが第1のアクティベーター位置から第2のアクティベーター位置へと移動すると、第2のスリーブが移動し、係合部分が半径方向外向きに撓んでプランジャーロッドを解放できる。
【0018】
容器アセンブリおよびニードルアセンブリが挿入位置にあるとき、第2の弾性部材は、プランジャーロッドおよびストッパーを押圧し、薬剤をニードルの遠位端部を経て流動させ、続いてニードルの近位端部を経てニードルから吐出させる。プランジャーロッドがストッパーを押圧して内部の近位端部に到達させ、次に第2の弾性部材が第1のスリーブをハウジングの遠位端部に向かって押圧し、第1のスリーブがハウジングと接触するとき注入終了信号を生成する。他方、係合部分は好ましくは半径方向に可撓性を有し、第2のスリーブはアクティベーターと結合され、プランジャーロッドがストッパーを押圧して内部の近位端部に到達すると、続いて第2の弾性部材は、係合部分が半径方向内向きに撓んで第2のスリーブを通過し、続いて半径方向外側に撓んで障害部分の遠位部分に当接し、第2のスリーブおよびアクティベーターが遠位方向に移動するのを防止するように、第1のスリーブをハウジングの遠位端部に向かって押しやる。
【0019】
さらに、ドライバーアセンブリは、弾性部材と第1のスリーブとの間に配置されたガイドロッドをさらに含んでいてもよく、ガイドロッドは弾性部材によって取り囲まれる。
【0020】
ニードルアセンブリは、ニードルと係合し、それを保持するように構成されたニードルホルダーと、このニードルホルダーと係合し、それを回転させるように構成された内側キャップと、容器アセンブリと結合するように構成されかつニードルホルダーとネジ係合させられたネジ部分を有する保持器とを含む。外側キャップは、内側キャップと回転可能に係合すると共に内側キャップを回転させるためにユーザーによって手動で回転させられるように構成され、内側キャップは、ニードルの遠位端部がシールを貫通して内部に入るように、ネジ部分に沿ってかつ薬剤容器に向かってニードルホルダーを回転させる。
【0021】
外側キャップは、内側キャップと結合するように構成された第1のカプラーを有し、これによって外側キャップは、ユーザーによって手動で引っ張られたときに、薬剤容器の近位端部から内側キャップを外すことができる。第1のシールは薬剤容器の近位端部に配置され、ニードルアセンブリは、ニードルと第1のシールとの間に配置された第2のシールをさらに含み、ニードルは、ニードルホルダーがネジ部分に沿ってかつ薬剤容器に向かって回転させられると、第2のシールを、続いて第1のシールを貫通する。
【0022】
ニードルアセンブリは、外側キャップと内側キャップとの間に配置されると共に内側キャップおよび外側キャップと回転可能に係合するように構成されたクラッチを含み、第1の回転方向に回転させられる外側キャップはクラッチを回転させ、これが続いて内側キャップを回転させ、第2の回転方向に回転させられる外側キャップはクラッチと係合せず、クラッチを回転させるのが防止される。外側キャップは、この外側キャップの内面に配置された複数の歯を有し、クラッチは、歯と相互作用するように構成された少なくとも一つの半径方向に可撓性を有するクラッチアームを有し、第1の回転方向に回転させられる外側キャップの歯は、クラッチアームと係合してクラッチを回転させ、第2の回転方向に回転させられる外側キャップの歯は、クラッチアームを押圧して半径方向内向きに撓ませ、歯を解放させる。
【0023】
保持器は、薬剤容器と結合するように構成された第2のカプラーを有する。
【0024】
容器アセンブリは、薬剤キャリアを収容するように構成された容器キャリアを含み、解放されたドライバーアセンブリは、薬剤容器および容器キャリアの両方を、ハウジングの近位端部に向かって、ハウジングが容器キャリアと係合して容器アセンブリの移動を停止させる挿入位置へと移動させる。容器キャリアは、この容器キャリアが挿入位置に到達してハウジングと接触すると、挿入終了信号を生成する。
【0025】
薬剤送達デバイスは、容器アセンブリおよびドライバーアセンブリと結合する第3のカプラーをさらに備えていてもよく、解放されたドライバーアセンブリは第3のカプラーを動かし、これが容器アセンブリおよびニードルアセンブリを挿入位置に向かって動かし、ドライバーアセンブリは、その後、第3のカプラーから分離し、次いでストッパーを押圧して薬剤をニードルの遠位端部を経て流動させ、次いでニードルの近位端部を経てニードルから吐出させる。
【0026】
容器アセンブリおよびニードルアセンブリの両方をハウジングの近位端部に向かって移動させるという特徴は、ニードルの貫通および薬剤の注入が自動的かつ次々と行われることを保証するので有利である。これは、不快感や精神的ストレスを引き起こす可能性のあるニードルの貫通や薬剤の注射を自分で行わねばならないという困難からユーザーを救う。
【0027】
また、ユーザーに、ニードルアセンブリの外側キャップを手動で操作してニードルを移動させ、薬剤容器の第1のシールに孔をあけることを要求する特徴は有利である。なぜなら、それは使用前にニードルおよび薬剤容器の両方の無菌性を保証するからである。
【0028】
以下の本発明の詳細な説明では添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1A】本開示の第1実施形態による例示的な自動注射器の斜視図である。
図1B】本開示の第1実施形態による例示的な自動注射器の分解図である。
図2A】本開示の第1実施形態によるニードルアセンブリの分解図である。
図2B】本開示の第1実施形態による、外側キャップ、内側キャップおよびクラッチの斜視図である。
図2C】本開示の第1実施形態によるニードルアセンブリの断面図である。
図3】ニードルアセンブリのキャップを取り外す前の例示的な自動注射器の断面図である。
図4A】ニードルアセンブリのキャップを取り外した後の例示的な自動注射器の断面図である。
図4B】ニードルアセンブリのキャップを取り外した後の自動注射器の後部の断面図である。
図5】ニードルカバーが注射部位に押し付けられたときの例示的な自動注射器の断面図である。
図6A】ニードルがハウジングの外側に完全に突出させられて注射部位を貫通するときの例示的な自動注射器の断面図である。
図6B】ニードルがハウジングの外側に完全に突出させられて注射部位を貫通するときの例示的な自動注射器の別の断面図である。
図7】ストッパーが薬剤容器の内部の近位端部に到達した後の例示的な自動注射器の断面図である。
図8】薬剤注入が完了した後に注射部位から分離させられた例示的な自動注射器の断面図である。
図9】本開示の第2実施形態による例示的な自動注射器の斜視図である。
図10】本開示の第2実施形態による例示的な自動注射器の分解図である。
図11A】外側キャップが取り外される前の第2実施形態による例示的な自動注射器の斜視図である。
図11B】外側キャップが取り外される前の第2実施形態による例示的な自動注射器の斜視図である。
図12A】外側キャップ31が取り外された後の第2実施形態による例示的な自動注射器の斜視図である。
図12B】外側キャップ31が取り外された後の第2実施形態による例示的な自動注射器の斜視図である。
図13A】ニードルカバーが注射部位に押し付けられた後の第2実施形態による例示的な自動注射器の斜視図である。
図13B】ニードルカバーが注射部位に押し付けられた後の第2実施形態による例示的な自動注射器の斜視図である。
図14A】ニードル貫通の終了時における第2実施形態による例示的な自動注射器の斜視図である。
図14B】ニードル貫通の終了時における第2実施形態による例示的な自動注射器の斜視図である。
図15A】薬剤注射の終了時における第2実施形態による例示的な自動注射器の斜視図である。
図15B】薬剤注射の終了時における第2実施形態による例示的な自動注射器の斜視図である。
図16A】自動注射器が注射部位から分離させられた後の第2実施形態による例示的な自動注射器の斜視図である。
図16B】自動注射器が注射部位から分離させられた後の第2実施形態による例示的な自動注射器の斜視図である。
図17A】ニードルカバーリンクの内面上の第1の突起と相互作用する回転子の斜視図である。
図17B】ニードルカバーリンクの内面上の第1の突起と相互作用する回転子の斜視図である。
図17C】ニードルカバーリンクの内面上の第1の突起と相互作用する回転子の斜視図である。
図17D】ニードルカバーリンクの内面上の第1の突起と相互作用する回転子の斜視図である。
図17E】ニードルカバーリンクの内面上の第1の突起と相互作用する回転子の斜視図である。
図18A】後部シェルの内面上の第2の突起と相互作用する回転子キャリアの斜視図である。
図18B】後部シェルの内面上の第2の突起と相互作用する回転子キャリアの斜視図である。
図18C】後部シェルの内面上の第2の突起と相互作用する回転子キャリアの斜視図である。
図18D】後部シェルの内面上の第2の突起と相互作用する回転子キャリアの斜視図である。
図18E】後部シェルの内面上の第2の突起と相互作用する回転子キャリアの斜視図である。
図19A】回転子の内面と相互作用するプランジャーロッドの斜視図である。
図19B】回転子の内面と相互作用するプランジャーロッドの斜視図である。
図19C】回転子の内面と相互作用するプランジャーロッドの斜視図である。
図19D】回転子の内面と相互作用するプランジャーロッドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1Aは、本開示の第1実施形態による例示的な自動注射器10の斜視図である。図示のように、自動注射器10は、ハウジング20と、当該ハウジング20の近位端部に配置されたニードルアセンブリ30とを含む。本実施形態では、ハウジング20は、前部シェル21、後部シェル22および後部シェルキャップ23を含み、それぞれが、回転によってそれらの間の結合を可能にするように設計されたネジ山を有する。しかしながら、別の実施形態では、ハウジング20のコンポーネントは、製造業者がそれらを一つに結合することを可能にするカムおよび溝などの当技術分野で知られている、その他の構成を有することができる。
【0031】
図1Bは、本開示の第1実施形態による例示的な自動注射器10の分解図である。自動注射器10は、ハウジング20、ニードルアセンブリ30、容器キャリア41、薬剤容器42、ストッパー43、ニードルカバー50、ニードルカバー前面51、第1のスリーブ61、第2のスリーブ62、プランジャーロッド70、そしてガイドロッド80を具備する。これらのコンポーネントのそれぞれの目的およびそれらの間の相互作用は、以下の段落で説明する。さらに、自動注射器10は、特定のコンポーネントを近位または遠位方向に押すように構成されたスプリングなどの複数の弾性部材(図示せず)を含む。弾性部材の位置および図1Bに示される残りのコンポーネントとのそれらの相互作用は、以下の段落で説明する。
【0032】
図2Aは、本開示の第1実施形態によるニードルアセンブリ30の分解図である。ニードルアセンブリ30は、外側キャップ31、内側キャップ32、保持器33、第1のシーリング部材34、第2のシーリング部材35、第3のシーリング部材36、ニードルホルダー37、このニードルホルダー37によって保持されたニードル38、そしてクラッチ39を含む。ニードルアセンブリ30の目的は自動注射器10の近位端部を覆うことであり、それは、薬剤容器42のシールを貫通し、内部の薬剤にアクセスするべく、その内部に入るために、キャップ31,32を回転させることによって、ユーザーがニードル38を手動で動かすことを可能にする。続いて、ユーザーは、キャップ31,32をハウジング20から離れるように引っ張ることで、キャップ31,32を取り外すことができる。薬剤容器42の内部に入るためにニードル38を動かし、キャップ31,32を取り外すプロセスは、以下の段落で説明する。また、内側キャップ32、保持器33、第1のシーリング部材34、第3のシーリング部材36、ニードルホルダー37、そしてニードル38、ならびにこれらのコンポーネント間の相互作用は、参照により本明細書中に組み込まれる米国特許出願公開第2015/314077A1号明細書に開示されている。
【0033】
図2Bは、本開示の第1実施形態による、外側キャップ31、内側キャップ32およびクラッチ39の斜視図である。図示のように、内側キャップ32は、クラッチ39と結合するように構成された結合部分32Aを有する。クラッチ39は開口39Aを有し、その形状および寸法は、結合部分32Aが開口39Aの内側に嵌合することができるように、結合部分32Aのそれに対応する。他方、外側キャップ31は、この外側キャップ31の内面に配置され、かつ、クラッチ39と相互作用するように構成された複数の歯31Aを含む。クラッチ39は、歯31Aと相互作用するように構成された一対のクラッチアーム39Bと、クラッチアーム39Bに接続された内部フレーム39Cとを含む。この実施形態では、クラッチアーム39Bは半径方向に可撓性を有し、それに加えられる力の方向に応じて半径方向内向きまたは外向きに曲がることができる。
【0034】
ユーザーが外側キャップ31を反時計回りに(外側キャップ31から内側キャップ32に向かって見て)回転させると、歯31Aはクラッチアーム39Bの端部と係合して、それらを押しやり、反時計回りにクラッチ39を回転させる。クラッチ39の開口39Aと結合部分32Aは対応する形状を有するため、クラッチ39の反時計回りの回転により、内部フレーム39Cは結合部分32Aと係合すると共に内側キャップ32を反時計回りに回転させることができる。他方、ユーザーが外側キャップ31を時計回りに(外側キャップ31から内側キャップ32に向かって見て)回転させると、歯31Aはクラッチアーム39Bを半径方向内向きに押圧し、続いて歯31Aを解放する。その後、クラッチアーム39Bは、半径方向外向きに曲がって別の歯31Aと係合するが、続いて、半径方向内向きに再び押圧される。その結果、外側キャップ31が時計回りに回転する限り、歯31Aは、決して、クラッチアーム39Bと係合してクラッチ39および内側キャップ32を回転させることはできない。
【0035】
図2Cは、本開示の第1実施形態によるニードルアセンブリ30の断面図である。上記のように、ユーザーは、外側キャップ31を反時計回りに回転させ(外側キャップ31から内側キャップ32に向かって見て)、これが続いてクラッチ39を回転させ、続いて内側キャップ32を反時計回りに回転させる。米国特許出願公開第2015/314077A1号明細書に記載されているように、内側キャップ32は続いて、保持器33のネジ部分33Aと相互作用しかつそれに沿って移動するように、ニードルホルダー37を回転させる。この結果、ニードル38の遠位端部が第2のシーリング部材35を、次に(図4に示される)薬剤容器42のシーリングを貫通する。
【0036】
図2Cに示されるように、外側キャップ31は、内側キャップ32の近位端部と結合するように構成された結合フック31Bを有する。したがって、ユーザーは、外側キャップ31を自動注射器10から離れるように引っ張ることによって、キャップ31,32を取り外すことができる。また、上述したように、内側キャップ32の結合部分32Aは、クラッチ39の開口39Aにしっかりとはめ込まれている。これにより、内側キャップ32が外側キャップ31によって引き離されているときに、内側キャップ32がクラッチ39と共に移動するための把持力が生じる。したがって、外側キャップ31を取り外すことで、内側キャップ32およびクラッチ39の両方が取り外される。さらに、保持器33は、第1の弾性部材が、容器キャリア41、容器キャリア、薬剤容器42およびニードルアセンブリ30(より少ないキャップ31,32およびクラッチ39)の全てを近位方向に移動させることができるように、容器キャリア41と結合するよう構成されたキャリア結合部分33Bを含む。
【0037】
図3は、外側キャップ31、内側キャップ32およびクラッチ39を取り外す前の例示的な自動注射器10の断面ならびにニードル38による第2のシーリング部材35および薬剤容器42の貫通を示している。
【0038】
図4Aは、外側キャップ31、内側キャップ32およびクラッチ39を取り外した後の例示的な自動注射器10の断面図である。前部シェル21、後部シェル22および後部シェルキャップ23を含むハウジング20は、ニードルカバー前面51およびハウジング20の外側に突出するニードルカバー50の近位端部を除いて、自動注射器10の残りのコンポーネントを本質的に取り囲むように結合される。ニードルカバー前面51は、ニードルカバー50と結合され、ユーザーが次のニードル貫通および薬剤注射の準備ができたときに、注射部位(ユーザーの腕など)と接触するように構成される。図1Bに示されるように、ニードルカバー前面51は、その遠位端部に一対のニードルカバーカプラー51Aを有する。他方、ニードルカバー50は、ニードルカバーカプラー51Aに対応する一対の開口50Aを有する。ニードルカバーカプラー51Aは、ニードルカバー前面51がニードルカバー50の近位開口に取り付けられると半径方向内向きに曲がり、次に半径方向外向きに曲がって開口50Aと結合し、ニードルカバー50およびニードルカバー前面51を互いに固定する。ニードルカバー50とニードルカバー前面51とを結合するために、他の形態の取り付け方法を使用することもできる。ニードルカバー50とニードルカバー前面51は一体部品とすることもできる。
【0039】
容器キャリア41、薬剤容器42、ストッパー43および容器キャリアホルダー44を含む容器アセンブリは、ニードルカバー50の領域内に配置される。薬剤容器42は、ニードル貫通後に注射部位に注入される薬剤を含み、ストッパー43は、薬剤が薬剤容器42の遠位開口を通って逃げないことを確実にするために、薬剤容器42の内面との液密シールを維持する。一方、ニードル38は、薬剤容器42の内部の近位端部に配置される。薬剤は、ニードル38を経て薬剤を押しやるために、それがストッパー43から追加の力を獲得するとき、薬剤容器42の内部に収容されている。プランジャーロッド70はまだ解放されていないのでストッパー43は静止しており、したがって薬剤もまた薬剤容器42内で静止したままである。
【0040】
容器キャリア41は、薬剤容器42を取り囲み、自動注射器10の近位端部に向かって移動させられている間のニードル貫通中に、前部シェル21と相互作用するように構成される。ニードル貫通中の容器キャリア41と前部シェル21との間の相互作用は以下の段落で説明する。
【0041】
図4Bは、ニードルアセンブリのキャップを取り外した後の自動注射器の後部の断面図である。第一に、スプリングなどの第1の弾性部材(図示せず)がプランジャーロッド70の内側に配置されており、ガイドロッド80が第1の弾性部材を通過し、解放されたときに第1の弾性部材が適切に伸長することを確実にする。第1の弾性部材は、いったん解放されると、自然状態に復元してプランジャーロッド70を近位方向に動かし、ガイドロッド80を遠位方向に動かす。
【0042】
図1Bおよび図4Bに示されるように、プランジャーロッド70のセクションは、プランジャーロッド70の周りに円形の溝を作るために削られる。一方、第1のスリーブ61は、プランジャーロッド70と係合するために溝内に突出する突起を備えた一対の係合部分61Aを有する。プランジャーロッド70内の第1の弾性部材は、プランジャーロッド70を近位方向に押圧し、これによって係合部分61Aが押されて半径方向外向きに曲がるように構成される。しかしながら、第2のスリーブ62は、ハウジング20と係合部分61Aとの間に配置され、係合部分61Aが半径方向外向きに曲がるのを防止する。したがって、係合部分61Aは、プランジャーロッド70との係合を維持するように強制され、その過程で、プランジャーロッド70上の第1の弾性部材からの近位方向への力にもかかわらず、プランジャーロッド70を所定の位置に保持する。容器キャリアホルダー44はまた、プランジャーロッド70の溝と結合されており、容器キャリアホルダー44とプランジャーロッド70との間の相互作用については、以下の段落で説明する。
【0043】
図5は、ニードルカバー50が注射部位に押し付けられたときの例示的な自動注射器の断面図である。ニードルカバー50は、注射部位に押し付けられると、遠位方向に動かされ、その遠位端部は、第2のスリーブ62と係合して、第2のスリーブ62をやはり遠位方向に動かす。図5に示されるように、第2のスリーブ62は、もはや、ハウジング20と係合部分61Aとの間に配置されていない。したがって、第1の弾性部材によって駆動されるプランジャーロッド70は、係合部分61Aを押して半径方向外向きに撓ませ、次いで近位方向に移動させることができる。これは、プランジャーロッド70がストッパー43を押圧し、これが続いて薬剤を押圧し、ニードル38がハウジング20の外側に突出して注射部位を貫通するために容器アセンブリ(容器キャリア41、薬剤容器42および容器キャリアホルダー44を含む)の残部を近位方向に移動させるとき、ニードル貫通の開始である。
【0044】
図6Aは、ニードル38が注射部位を貫通するようにハウジングの外側に完全に突出させられたときの例示的な自動注射器の断面図である。自動注射器10のこの状態は、プランジャーロッド70内の第1の弾性部材が解放されてプランジャーロッド70を近位方向に移動させた後に発生する。第1のスリーブ61の係合部分61Aは、もはや、プランジャーロッド70の円形溝と係合していない。代わりに、容器キャリアホルダー44が、プランジャーロッド70の円形溝と係合する唯一のコンポーネントである。一方、容器キャリアホルダー44はまた容器キャリア41と結合される。容器キャリアホルダー44とプランジャーロッド70との間の係合により、プランジャーロッド70は、容器キャリアホルダー44、容器キャリア41、薬剤容器42およびニードルアセンブリ30の残りの部分を近位方向に動かすことができる。最終的に、容器キャリア41はハウジング20の内面に当接し、これにより、プランジャーロッド70が容器キャリア41を近位方向にそれ以上移動させるのが防止される。
【0045】
図6Bは、ニードル38が注射部位を貫通するようにハウジングの外側に完全に突出させられたときの自動注射器10の前部の別の断面図である。図示のように、容器キャリア41の近位端部は、前部シェル21の内面に当接する。この係合は、プランジャーロッド70が、容器キャリアホルダー44、容器キャリア41、薬剤容器42およびニードルアセンブリ30の残りの部分をそれ以上動かすのを防止する。したがって、ニードル38は、ハウジング20およびニードルカバー前面51の外側で、その最も遠い距離に達している。一方、プランジャーロッド70内の第1の弾性部材は、依然として、プランジャーロッド70を近位方向に押している。これにより、プランジャーロッド70がストッパー43に係合して、ストッパー43をさらに近位方向に動かすために、容器キャリアホルダー44はプランジャーロッド70の円形溝から外れる。これは、自動注射器のニードル貫通の終了および注射部位に入るようにニードル38を経て薬剤を押しやる薬剤注入の開始を表す。
【0046】
図7は、ストッパー43が薬剤容器42の内部の近位端部に到達した後の例示的な自動注射器10の断面図である。これは、注射部位に入るようにニードル38を経て薬剤を押しやる薬剤注入の終了を表す。この時点で、ニードルカバー50は依然として注射部位に押し付けられており、これにより、ニードルカバー50は前部シェル21の領域に保持される。さらに、第2のスリーブ62はニードルカバー50の遠位端部と結合され、したがって、注射部位に押し付けられている限り、ニードルカバー50と共に遠位方向に移動させられる。さらに、第2のスリーブ62と後部シェル22との間に、近位方向に第2のスリーブ62に力を加える第2の弾性部材(図示せず)が存在する。ニードルカバー50が注射部位に押し付けられると、第2のスリーブ62が遠位方向に動かされるが、これにより第2の弾性部材が圧縮され、ニードルカバー50からの力を吸収する。
【0047】
図8は、注射部位から分離させられた例示的な自動注射器10の断面図である。ニードルカバー50が注射部位に押し付けられなくなると、第2のスリーブ62と後部シェル22との間に配置された第2の弾性部材(図示せず)を圧縮する力もなくなる。したがって、第2の弾性部材は自然状態に復元し、ニードルカバー50を前部シェル21の外側に突出させてニードル38を覆うために、第2のスリーブ62および関連するニードルカバー50を近位方向に押しやる。同時に、第1の弾性部材は、もはや、プランジャーロッド70を近位方向に動かすことができない。しかしながら、第1の弾性部材は、依然として、ガイドロッド80を遠位方向に押すために力を加えることができ、これは続いて、やはり遠位方向に動くために第1のスリーブ61に当接する。本実施形態では、第1のスリーブ61は、この第1のスリーブ61が自動注射器10の遠位端部に向かって移動したときに、後部シェル22の内面と衝突するように構成された当接部分61Bを有する。当接部分61Bと後部シェル22との衝突は、自動注射器10が注射部位から安全に取り外されたことをユーザーに知らせる音声信号を生成する。
【0048】
さらに、第2のスリーブ62は、この第2のスリーブ62の内面に配置された複数の障害部分62Aを含む。障害部分62Aが配置された第2のスリーブ62の内部空間は、内部空間の残部よりも小さい直径を有する。第1のスリーブ61が遠位方向に移動させられる間、係合部分61Aは障害部分62Aと衝突し、障害部分62Aが配置された第2のスリーブ62の内部空間を係合部分61Aが通過するために、半径方向内向きに曲げられる。係合部分61Aは、それらが障害部分62Aを通過すると、半径方向外向きに曲がる。その後、係合部分61Aの近位端部は、障害部分62Aの遠位端部に直接面し、第2のスリーブ62が遠位方向に移動するのを防ぐために、障害部分62Aと係合する準備が完了する。上記のように、ニードルカバー50の遠位部分は第2のスリーブ62と結合されている。したがって、第2のスリーブ62と係合することにより、係合部分61Aはまた、ニードルカバー50が遠位方向に移動するのを阻止する。したがって、ニードルカバー50が対象物に押し付けられても、ニードルカバー50は遠位方向に移動せず、したがって、偶発的なニードルによる損傷を防ぐためにニードル38を覆い続けることができる。
【0049】
図9は、本開示の第2実施形態による例示的な自動注射器10の斜視図である。図示のように、自動注射器10はハウジング20を含み、当該ハウジング20は、前部シェル21、後部シェル22および後部シェルキャップ23をさらに含み、そのそれぞれは、回転によってそれらの間の結合を可能にするように設計されたネジ山を有する。しかしながら、他の実施形態では、ハウジング20のコンポーネントは、製造業者がそれらを互いに結合することを可能にするカムおよび溝などの当技術分野で知られている他の構成を有することができる。自動注射器10は、上記の第1実施形態のニードルアセンブリ30と実質的に同一である第2実施形態によるニードルアセンブリ30をさらに含む。しかしながら、本実施形態では、ニードルアセンブリ30の外側キャップ31は前部シェル21と固定的に結合されている。本実施形態では、前部シェル21および外側キャップ31は、それぞれ、回転によるそれらの間の結合を可能にするように設計されたネジ山を有する。しかしながら、他の実施形態では、二つのコンポーネントは、製造業者がそれらを互いに結合することを可能にするカムおよび溝などの当技術分野で知られている他の構成を有することができる。
【0050】
さらに、図9に示されるように、前部シェル21は、それを通して容器キャリアおよび容器を見ることができる開口21Aを含む。これにより、ユーザーは薬剤注入中の容器内でのストッパーの動きを確認できる。
【0051】
図10は、本開示の第2実施形態による例示的な自動注射器10の分解図である。図示のように、自動注射器10は、前部シェル21、後部シェル22、後部シェルキャップ23、ニードルアセンブリ30、容器キャリア41、薬剤容器42、ストッパー43、ニードルカバー50、ニードルカバースプリング52、ニードルカバーリンク53、プランジャーロッド70、プランジャーロッドスプリング71、ガイドロッド80、回転子90、回転子キャリア91およびプランジャースプリング92を含む。前部シェル21、後部シェル22および後部シェルキャップ23を含む外側ハウジングは、ニードルアセンブリ30の大部分(外側キャップ31を除く)および上記のコンポーネントの残りを収容するように構成される。容器キャリア41は、薬剤容器42およびこの薬剤容器42の遠位端部を密封するためのストッパー43を収容するように構成される。また、容器キャリア41および薬剤容器42はニードルカバー50内に収容され、好ましくは透明な材料から形成されるため、ユーザーは、前部シェル21およびニードルカバー50の開口を通して、ストッパー43の動きを見ることができる。
【0052】
上記のように、図10に示されるニードルアセンブリ30は、上記の第1実施形態のニードルアセンブリ30と実質的に同一である。したがって、ニードルアセンブリ30に含まれるコンポーネントおよびそれらの間の相互作用については、これ以上説明しない。
【0053】
ニードルカバーリンク53は、ニードルカバー50の遠位端部と結合される。ニードルカバースプリング52は、後部シェル22とニードルカバーリンク53との間に配置される。ニードルカバースプリング52の遠位端部は、後部シェル22の内面の突起と接触状態である。一方、ニードルカバースプリング52の近位端部は、ニードルカバーリンク53の外面の突起と接触状態である。この結果、ニードルカバースプリング52は、後部シェル22に遠位方向の力を加え、ニードルカバーリンク53に近位方向の力を加える。本実施形態では、ニードルカバー50およびニードルカバーリンク53のアセンブリは、後部シェル22に対して移動可能である。したがって、ニードルカバースプリング52は、常時、自然状態に復元して、ニードルカバー50およびニードルカバーリンク53を近位方向に動かそうとする。しかしながら、前部シェル21に結合された外側キャップ31は、ニードルカバー50に当接し、近位方向へのその動きを妨げる。したがって、外側キャップ31が取り外されるまで、ニードルカバー50全体はハウジング20の内部に収容された状態である。
【0054】
また、回転子キャリア91は回転子90の遠位部分と結合され、一方、プランジャースプリング92は回転子キャリア91の遠位端部に配置される。本実施形態では、回転子90と回転子キャリア91とは回転可能に結合される。言い換えれば、回転子90および回転子キャリア91は、互いに対して回転可能ではない。
【0055】
図11Aおよび図11Bは、外側キャップ31が取り外される前の第2実施形態による例示的な自動注射器10の斜視図である。図11Bでは、説明を容易にするために、後部シェルキャップ23およびプランジャースプリング92が取り外され、前部シェル21および後部シェル22が透明にされている。上で説明したように、ニードルカバースプリング52(図示せず)は、ニードルカバー50およびニードルカバーリンク53(透明)に近位方向に絶えず力を加える。しかしながら、前部シェル21と結合された外側キャップ31は、ニードルカバー50およびニードルカバーリンク53が近位方向に移動することを妨げる。ニードルカバーリンク53と回転子90との間の相互作用については図17Aも、後部シェル22と回転子キャリア91との間の相互作用については図18Aも、そしてプランジャーロッド70と回転子90との間の相互作用については図19Aも参照されたい。これらの相互作用は以下でさらに説明する。
【0056】
図17Aは、ニードルカバーリンク53(図示せず)の内面上の第1の突起53Aと相互作用する回転子90の斜視図である。図示のように、第1の突起53Aは、回転子90の外面上の二つの突起間のトラフに配置されている。この時点では、外側キャップ31は取り外されておらず、ニードルカバースプリング52はニードルカバー50およびニードルカバーリンク53を近位方向に移動させることができない。したがって、第1の突起53Aはトラフの遠位端部に留まる。
【0057】
図18Aは、後部シェル22(図示せず)の内面上の第2の突起22Aと相互作用する回転子キャリア91の斜視図である。図示のように、回転子キャリア91は、外面上に第1のブロッキング部材91Aを含み、第1のブロッキング部材91Aは、第2の突起22Aと相互作用するための第1のセクション91B、第2のセクション91Cおよび第3のセクション91Dを有する。本実施形態では、プランジャースプリング92(図示せず)は、回転子キャリア91の遠位端部に配置され、矢印Aによって示される近位方向に回転子キャリア91に絶えず力を加える。しかしながら、第2の突起22Aと第1のセクション91Bとの間の係合のために、第2の突起22Aは、回転子キャリア91が近位方向に移動するのを防ぐことができる。
【0058】
図19Aは、回転子90の内面と相互作用するプランジャーロッド70の斜視図である。本実施形態では、プランジャーロッド70は、その外面に第3の突起70Aを含み、一方、プランジャーロッドスプリング71(図示せず)は、矢印Aによって示される近位方向にプランジャーロッド70に力を加える。他方、回転子90は、第3の突起70Aと相互作用するための第2のブロッキング部材90Aおよび第3のブロッキング部材90Bを含む。図示のように、プランジャーロッドスプリング71の力の影響下の第3の突起70Aは、プランジャーロッド70が近位方向に移動するのを妨げる第2のブロッキング部材90Aの遠位端部と係合する。
【0059】
図12Aおよび図12Bは、外側キャップ31が取り外された後の第2実施形態による例示的な自動注射器10の斜視図である。上記のように、取り外された外側キャップ31は、ニードルカバースプリング52がニードルカバー50およびニードルカバーリンク53を近位方向に動かすのを防ぐために、前部シェル21と結合されている。したがって、外側キャップ31が取り外された後、ニードルカバースプリング52は、ニードルカバーリンク53の外面上のフランジが前部シェル21の内面に配置された突起に当接して、それと係合するまで、ニードルカバー50およびニードルカバーリンク53を近位方向に動かすことができる。上記フランジと突起との間の係合は、ニードルカバー50およびニードルカバーリンク53がニードルカバースプリング52によって近位方向にさらに移動させられるのを防止する。
【0060】
図17Bは、外側キャップ31が取り外された後、第1の突起53Aと相互作用する回転子キャリア91の斜視図である。上記のように、ニードルカバースプリング52は、ニードルカバー50およびニードルカバーリンク53を近位方向に動かす。ニードルカバーリンク53の第1の突起53Aも近位方向に移動させられ、回転子90の外面上の第4のブロッキング部材90Cと相互作用する。より具体的には、第1の突起53Aは、第4のブロッキング部材90Cの斜面と相互作用し、ニードルカバーリンク53が上記のように前部シェル21によってブロックされるまで動き続ける。第1の突起53Aが第4のブロッキング部材90Cの斜面に沿って移動するとき、それはまた、自動注射器10の遠位端部から見て反時計回りに回転子90を回転させることに留意されたい。
【0061】
図18Bは、外側キャップ31が取り外された後、第1の突起53Aと相互作用する回転子キャリア91の斜視図である。上記のように、第1の突起53Aと回転子90の第4のブロッキング部材90Cとの間の相互作用は回転子90の回転をもたらす。また、回転子90と回転子キャリア91とは回転可能に結合される。したがって、回転子キャリア91もまた、自動注射器10の遠位端部から見て反時計回りに回転させられる。この結果、第2の突起22Aは、第1のセクション91B上を、第2の突起22Aと第3のセクション91Dとの間にスペースが存在する位置まで移動する。
【0062】
図19Bは、外側キャップ31が取り外された後、回転子90の内面と相互作用するプランジャーロッド70の斜視図である。上記のように、第1の突起53Aと回転子90の第4のブロッキング部材90Cとの間の相互作用は回転子90の回転をもたらす。この結果、第3の突起70Aは、第2のブロッキング部材90Aの遠位端部上を移動して、プランジャーロッドスプリング71がプランジャーロッド70を近位方向に動かすためのスペースを創出する。次に、プランジャーロッド70は、図19Bに示されるように、ストッパー43に力を加え、これが、続いて、第3の突起70Aが第2のブロッキング部材90Aに再び当接するまで、薬剤容器42内の薬剤に力を加え、薬剤容器42に取り付けられたニードル38を通って空気を排出する。
【0063】
図13Aおよび図13Bは、ニードルカバー50が注射部位に押し付けられた後の第2実施形態による例示的な自動注射器10の斜視図である。図13Aおよび図13Bに示されるように、ニードルカバー50および関連するニードルカバーリンク53は遠位方向に移動させられる。第1の突起53Aと回転子90との間の相互作用を示す図17Cを参照されたい。ニードルカバーリンク53が遠位方向に動かされると、その第1の突起53Aは、最終的に、第5のブロッキング部材90D上の斜面と相互作用する。第1の突起53Aは、この斜面上を移動し、回転子90を再び反時計回りに回転させる。プランジャーロッド70と回転子90との間の相互作用を示す図19Cを参照されたい。回転子90がニードルカバーリンク53の第1の突起53Aによって再び回転させられると、第3の突起70Aは、第2のブロッキング部材90Aおよび第3のブロッキング部材90B間に位置する溝に面するようになる。これにより、プランジャーロッドスプリング71は、プランジャーロッド70に力を加えて、プランジャーロッド70を近位方向に動かすことができる。この結果、力はプランジャーロッド70からストッパー43に伝達され、続いて薬剤容器42内の薬剤に伝達される。しかしながら、薬剤は基本的に非圧縮性であるため、プランジャーロッド70は、代わりに、容器キャリア41、薬剤容器42およびストッパー43のアセンブリを近位方向に移動させる。また、回転子90の近位端部は、容器キャリア41の遠位端部と結合されている。したがって、回転子90および回転子キャリア91もまた近位方向に移動させられる。
【0064】
図14Aおよび図14Bは、プランジャーロッドスプリング71が解放されてプランジャーロッド70に近位方向の力を加えた後の第2実施形態による例示的な自動注射器10の斜視図である。図示のように、薬剤容器42に取り付けられたニードル38は、注射部位を貫通するためにニードルカバー50の外側に突き出ている。また、この時点で、容器キャリア41は、ニードルカバー50の内面に当接して係合する。したがって、容器キャリア41、薬剤容器42、ストッパー43、回転子90および回転子キャリア91のアセンブリは、もはや、プランジャーロッドスプリング71によって近位方向に動かすことができなくなる。これは、ニードルの貫通の終了および薬剤注入の開始を示す。この時点で、ストッパー43に加えられた力は、もはや、容器キャリア41、薬剤容器42、ストッパー43、回転子90および回転子キャリア91のアセンブリを近位方向に動かすことはできない。代わりに、力はストッパー43を近位方向に押し、薬剤をそのニードル38を経て薬剤容器42から注入部位へと押し出す。図15Bに示されるように、ストッパー43が薬剤容器の内部空間の近位端部に到達すると、薬剤注入は終了する。
【0065】
ここで、説明のために図18Cおよび図18Dを参照されたい。回転子90および回転子キャリア91が近位方向に移動させられると(図13Bに示される)、第2の突起22Aは、最終的に、第1のブロッキング部材91Aの第3のセクション91Dに当接する。本実施形態では、第3のセクション91Dは斜面構造体であり、したがって、第2の突起22Aは、第3のセクション91Dに当接し、回転子キャリア91を回転させ、図18Dに示すように、最終的に第4のセクション91Eによって停止させられる。
【0066】
上記のように、回転子キャリア91は、近位方向に移動させられるとき、第2の突起22Aによって回転させられる。回転子90は、回転子キャリア91と回転可能に結合されている。したがって、ニードルカバー50の第1の突起53Aが遠位方向に移動させられると、それは再び第5の部材90Dに当接する。同時に、回転子90の回転は、第1の突起53Aを図17Dに示される位置へと移動させる。説明のために図19Cを参照されたい。回転子90および回転子キャリア91が第2の突起22Aによって回転させられると、第3の突起70Aは、第2および第3のブロッキング部材90A,90B間の溝と位置合わせされる。この時点で、溝は、プランジャーロッドスプリング71がプランジャーロッド70を押し、ストッパー43を近位方向に動かして、薬剤をニードル38から押し出すことを可能にする。しかしながら、薬剤は相対的に非圧縮性である。代わりに、容器キャリア41がニードルカバー50の内面に当接および係合し、注射部位へのニードル貫通の終了を示すまで、容器キャリア41、薬剤容器42、ストッパー43、回転子90および回転子キャリア91のアセンブリが近位方向に動かされる。その後、プランジャーロッドスプリング71は、図19Dに示されるように、第3の突起70Aが第2のブロッキング部材90Aに再び当接するまで、プランジャーロッド70を近位方向に動かし続け、薬剤をニードル38を経て押し出す。これは、注射部位への薬剤注入の終了を示す。
【0067】
図16Aおよび図16Bは、自動注射器10が注射部位から分離させられた後の第2実施形態による例示的な自動注射器10の斜視図である。ニードルカバー50が注射部位から分離させられると、ニードルカバースプリング52は、ニードルカバー50およびニードルカバーリンク53を近位方向に押すので、ニードルカバー50は、偶発的なニードルによる損傷を防ぐためにニードル38を覆うことができる。ここで、説明のために図17Dおよび図17Eを参照されたい。本実施形態では、第6のブロッキング部材90Eは、その端部が半径方向外側に突出している半径方向に可撓性のアームである。したがって、ニードルカバーリンク53がニードルカバースプリング52によって近位方向に動かされると、その第1の突起53Aは、第6のブロッキング部材90Eを半径方向内向きに押し、それが、第6のブロッキング部材90Eの端部を通過して、図17Eに示される位置に到達できるようにする。この時点で、第6のブロッキング部材90Eの端部は、第1の突起53Aをブロックし、それが遠位方向に移動するのを防ぐ。延出により、ニードルカバー50およびニードルカバーリンク53はまた、第6のブロッキング部材90Eによって、遠位方向に移動させられるのが防止される。したがって、ユーザーは、ニードルカバー50を遠位方向に動かしてニードル38を露出させることができない。言い換えれば、偶発的なニードルによる損傷が防止される。
【0068】
図には、薬剤送達デバイスの一つまたは複数のコンポーネント間の係合を提供するためのさまざまな係合機構が示されている。係合機構は、スナップロック、スナップフィット、フォームフィット、バイオネット、ルアーロック、ネジ山またはこれらの設計の組み合わせなどの適切な接続メカニズムであってもよい。その他の設計も可能である。
【0069】
図示されたコンポーネントは、単なる例として意図されていることを理解されたい。他の例示的な実施形態では、より少ないコンポーネント、追加のコンポーネント、および/または代替のコンポーネントも同様に可能である。さらに、本開示の上記および示された実施形態は、非限定的な例と見なされるべきであり、それらは特許請求の範囲内で修正され得ることが理解されるべきである。
【0070】
さまざまな態様および実施形態が本明細書に開示されているが、その他の態様および実施形態は当業者には明らかであろう。本明細書に開示されるさまざまな態様および実施形態は例示を目的とするものであり、限定することを意図するものではなく、真の範囲は、特許請求の範囲によって、それが権利を与える等価物の全範囲と共に示される。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【符号の説明】
【0071】
10 薬剤送達デバイス(自動注射器)
20 ハウジング
21 前部シェル
21A 開口
22 後部シェル
22A 第2の突起
23 後部シェルキャップ
30 ニードルアセンブリ
31 外側キャップ
31A 歯
31B 結合フック
32 内側キャップ
32A 結合部分
33 保持器
33A ネジ部分
33B キャリア結合部分
34 第1のシーリング部材
35 第2のシーリング部材
36 第3のシーリング部材
37 ニードルホルダー
38 ニードル
39 クラッチ
39A 開口
39B クラッチアーム
39C 内部フレーム
41 容器キャリア
42 薬剤容器
43 ストッパー
44 容器キャリアホルダー
50 ニードルカバー
50A 開口
51 ニードルカバー前面
51A ニードルカバーカプラー
52 ニードルカバースプリング(第1の弾性部材)
53 ニードルカバーリンク
53A 第1の突起
61 第1のスリーブ
61A 係合部分
61B 当接部分
62 第2のスリーブ
62A 障害部分
70 プランジャーロッド
70A 第3の突起
71 プランジャーロッドスプリング(第2の弾性部材)
72 第2の弾性部材
80 ガイドロッド
90 回転子
90A 第2のブロッキング部材
90B 第3のブロッキング部材
90C 第4のブロッキング部材
90D 第5のブロッキング部材
90E 第6のブロッキング部材
91 回転子キャリア
91A 第1のブロッキング部材
91B 第1のセクション
91C 第2のセクション
91D 第3のセクション
91E 第4のセクション
92 プランジャースプリング
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A-17B】
図17C
図17D-17E】
図18A
図18B
図18C
図18D
図19A
図19B
図19C
図19D