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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】制御回路及び電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/06 20060101AFI20230217BHJP
【FI】
H02M7/06 H
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021545493
(86)(22)【出願日】2020-09-03
(86)【国際出願番号】 JP2020033382
(87)【国際公開番号】W WO2021049404
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-03-04
(31)【優先権主張番号】P 2019166878
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】小野 英之
(72)【発明者】
【氏名】久田 茂
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0112564(US,A1)
【文献】特開2016-158310(JP,A)
【文献】特開2017-188978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流を入力し直流に変換して出力するAC-DCコンバーターの前記交流の異極電源ライン間に接続されたコンデンサの放電を制御する制御回路であって、
前記制御回路は、前記コンデンサの電圧の変化状態を検出し、前記変化状態に基づいて前記コンデンサに蓄積された電荷を放電するように、前記放電を制御する制御回路であり、
前記制御回路は、前記コンデンサの電圧の変化状態の検出を、
前記コンデンサの電圧をレベルシフトした第1の電圧と、前記第1の電圧を増減した第2の電圧とを設定し、前記第1又は前記第2の電圧を一定時間毎にサンプル・ホールドした電圧と、サンプル・ホールドしない前記第1又は前記第2の電圧とを比較演算することによりおこなうことを特徴とする制御回路。
【請求項2】
請求項に記載の制御回路において、
前記制御回路の前記比較演算は、前記サンプル・ホールドした電圧と、前記サンプル・ホールドしない電圧の大小関係を比較検出する比較演算、もしくは電圧差を出力する比較演算であることを特徴とする制御回路。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の制御回路において、
前記制御回路は、前記コンデンサの電圧の変化状態の検出を、
前記第1の電圧、前記第2の電圧、及び、前記第1又は前記第2の電圧の一方の電圧をサンプル・ホールドした電圧、の電圧値をそれぞれ時間経過に沿って表した第1の電圧特性線、第2の電圧特性線及びサンプル・ホールド電圧特性線としたときに、前記サンプル・ホールド電圧特性線と、前記第1又は前記第2の電圧のうちサンプル・ホールドしない電圧の電圧特性線との交差を検出することによりおこなうことを特徴とする制御回路。
【請求項4】
交流を入力し直流に変換して出力するAC-DCコンバーターの前記交流の異極電源ライン間に接続されたコンデンサの放電を制御する制御回路であって、
前記制御回路は、前記コンデンサの電圧の変化状態を検出し、前記変化状態に基づいて前記コンデンサに蓄積された電荷を放電するように、前記放電を制御する制御回路であり、
前記制御回路は、前記コンデンサの電圧の変化状態の検出を、
前記コンデンサの電圧をレベルシフトした第1の電圧をサンプル・ホールドした電圧と、サンプル・ホールドしない前記第1の電圧と、を比較演算した出力を基準電圧と比較することによりおこなうことを特徴とする制御回路。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の制御回路において、
前記制御回路は、前記変化状態に変化がない状態が一定期間継続したことを検知した場合に、前記コンデンサに蓄積された電荷を放電するように、前記放電を制御することを特徴とする制御回路。
【請求項6】
請求項に記載の制御回路において、
前記制御回路は、前記変化状態に変化がない状態が一定期間継続したことの検知は、前記変化状態に変化がない状態の時間を計時することによりおこなうことを特徴とする制御回路。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載の制御回路において、
前記制御回路は、前記コンデンサの電圧の上昇又は下降の少なくとも一方の変化状態を検出し、前記変化状態に基づいて前記コンデンサに蓄積された電荷を放電するように、前記放電を制御することを特徴とする制御回路。
【請求項8】
請求項に記載の制御回路において、
前記制御回路は、前記コンデンサの電圧の上昇の変化状態を検出し、前記変化状態に基づいて前記コンデンサに蓄積された電荷を放電するように、前記放電を制御することを特徴とする制御回路。
【請求項9】
請求項に記載の制御回路において、
前記制御回路は、
前記異極電源ライン間に接続された前記コンデンサの電圧をレベルシフトした前記第1の電圧を生成する前記第1の電圧の生成手段と、
前記第1の電圧より小さな第2の電圧を生成する前記第2の電圧の生成手段と、
前記第1又は前記第2の電圧のサンプル・ホールド用コンデンサと、前記第1又は前記第2の電圧の生成手段と前記サンプル・ホールド用コンデンサとの間に設けられたサンプル・ホールド用スイッチと、を有する前記第1又は前記第2の電圧のサンプル・ホールド手段と、
前記第1又は前記第2の電圧のうち前記サンプル・ホールド手段によりサンプル・ホールドされたサンプル・ホールド電圧と、前記第1又は前記第2の電圧のうちサンプル・ホールドされない電圧とを比較演算して前記変化状態を検出する比較演算手段と、
前記の検出された変化状態に基づいて前記異極電源ライン間に接続された前記コンデンサに蓄積された電荷を放電する放電手段と、
を備えることを特徴とする制御回路。
【請求項10】
請求項に記載の制御回路において、
前記制御回路は、
前記異極電源ライン間に接続された前記コンデンサの電圧をレベルシフトした前記第1の電圧を生成する前記第1の電圧の生成手段と、
前記第1の電圧のサンプル・ホールド用コンデンサと、前記第1の電圧の生成手段と前記サンプル・ホールド用コンデンサとの間に設けられたサンプル・ホールド用スイッチと、を有する前記第1の電圧のサンプル・ホールド手段と、
前記第1の電圧の前記サンプル・ホールド手段によりサンプル・ホールドされた前記第1の電圧のサンプル・ホールド電圧と、前記サンプル・ホールド手段によりサンプル・ホールドされない前記第1の電圧とで演算された出力を基準電圧と比較して前記変化状態を検出する比較演算手段と、
前記の検出された変化状態に基づいて前記異極電源ライン間に接続された前記コンデンサに蓄積された電荷を放電する放電手段と、
を備えることを特徴とする制御回路。
【請求項11】
交流を入力し直流を出力するAC-DCコンバーターと、
前記交流の異極電源ライン間に接続されたコンデンサと、
前記コンデンサの放電を制御する請求項1~10のいずれかの制御回路と、
を備えることを特徴とする電源装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流(AC)を入力し直流(DC)に変換して出力するAC-DCコンバーターの交流の異極電源ライン間に接続されたコンデンサの放電を制御する制御回路及び当該制御回路を備えた電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交流(AC)を入力し直流(DC)に変換して出力するAC-DCコンバーターでは、一般的にノイズ対策のため交流入力側の異極電源ライン間に(いわゆるXコンデンサ)を接続する。このXコンデンサにより交流入力のノイズは除去されるが、AC-DCコンバーターに交流を供給するプラグをコンセントから引き抜いたときのように交流入力供給が遮断された場合、交流入力供給が遮断される前に上記Xコンデンサに蓄積されていた電荷がXコンデンサに残留しており、安全性確保のため、残留電荷を放電する必要がある。
【0003】
ここで、Xコンデンサに蓄積された残留電荷の放電方法としては、例えば、特開2016ー158310号公報に開示される発明がある。
当該公報に開示される発明を図14及び図15を用いて説明する。図14は、当該公報に開示される従来の電源装置の放電回路を説明するための図である。図15は、図14の回路の動作タイミングを説明するための図である。
【0004】
図14に示すように、従来の放電回路940は、高圧入力起動端子HVと接地点との間に直列に接続された抵抗R903及びR904からなる分圧回路941と、該分圧回路941によって分圧された電圧のピーク値を保持するピークホールド回路942と、抵抗R903・R904の接続ノードN902の電位(電圧)Vn902とピークホールド回路942に保持されている電圧を比例縮小した電圧とを比較する電圧比較回路943と、電位(電圧)Vn902が一定以上である時間を計時するタイマ回路944と、高圧入力起動端子HVと接地点との間に分圧回路941と並列に設けられたスイッチS900及び放電手段945の直列接続回路とが設けられている。放電手段945は抵抗Rd900及びスイッチSd900とから構成されている。スイッチS900と放電手段945との接続部は電源電圧端子VDDに接続され、電源電圧端子VDDの他方の側はコンデンサC900を介して接地されている。スイッチS900は、起動回路950によって制御されるスイッチである。なお、本明細書では「電圧」を「電位」と言い換えてもよい。
【0005】
上記電圧比較回路943は、接続ノードN902の電位Vn902のピーク値の30%の値と接続ノードN902の電位Vn902とを比較して、下回ることがなかったか否かを検出する。タイマ回路944は、Vn902がVpを下回らない時間を計時して計時時間が例えば30m秒を越えたと判定すると、スイッチS900及び放電用スイッチSd900をオンさせる信号を出力する。タイマ回路944は、Vn902がVpを下回る度にリセットされ、30m秒の計時を開始するように構成されている。
【0006】
図15には、図14の放電回路940の動作タイミングが示されている。図15において、図15(A)の実線は高圧入力起動端子HVの電圧VHVの波形を示すもので、破線はピーク値の30%の値を表わしている。また、図15(B)は電圧比較回路943から出力されたパルスCP900を、図15(C)はタイマ回路944の出力TMR900を表わしている。
【0007】
図15に示すように、正常な期間T901中においては、高圧入力起動端子HVの電圧VHVの波形の周期に対応した周期でパルスCP900が出力される。タイミングt902でプラグが外れた場合には、電圧比較回路943からパルスCP900が出力されなくなる。そして、最後のパルスの出力時点t901から30m秒に到達した時点t903で、タイマ回路944の出力TMR900がHレベル(ハイレベル)に変化して放電用のスイッチSd900がオンされることによりXコンデンサ(図示せず、Xコンデンサは交流AC電源に接続されている)の放電が行なわれ、高圧入力起動端子HVの電圧VHVが速やかに立ち下がるようになる。
【0008】
このように、図14及び図15に示す従来技術では、ピークホールド回路942を用いて、高圧入力起動端子HVの電圧VHV(図15(A)参照)が一定電圧(破線、閾値)以下の場合は電圧比較回路943からはパルスCP900(図15(B)参照)がHレベルで出力される一方、電圧VHVが一定電圧以上となってパルスCP900がLレベル(ローレベル)となってその時間が一定の時間(30m秒)になるとタイマ回路944の出力TMR900がHレベルとなり放電用のスイッチSd900がオンしてXコンデンサの残留電荷が放電される(図15(C)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2016ー158310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特開2016ー158310号公報に開示された従来技術は、Xコンデンサの残留電荷を放電させる点で優れている。
しかし、本発明の発明者等は、上記従来技術では、例えば、単相入力の交流AC100V系のように交流AC入力電圧の変動が少ない場合には、Xコンデンサの残留電荷の放電をおこなうことができるが、交流AC入力電圧の変動が大きい場合(例えば、ワールドワイド入力電圧の場合)には、Xコンデンサの残留電荷の放電を確実におこなうことは困難であることに気付いた。
交流AC入力電圧の変動が大きいと、コンバーターの出力電流が小さな場合にはXコンデンサに蓄積された電荷は充分に放電されない場合があり、そのような場合には、電圧の高い状態が続くため、電圧比較回路943からはパルスCP900が発生しない。このような場合、ピークホールド回路942に保持されている電圧Vpを比較縮小した電圧Vthの縮小比を調整して高めにして対応することも可能であるが、Vth以下の電圧でプラグが外れる等して交流入力の供給が遮断された場合にはタイマ回路944はVn902が電圧Vpを下回らない時間の計時ができずにXコンデンサの残留電荷の放電がなされない状態となってしまい感電する恐れがある、という点に気付いた。
【0011】
このような事態はワールドワイド交流AC(電圧)を入力する場合に起きやすい。ワールドワイド交流AC(電圧)とは、世界各地で使用される交流(電圧)をいう。世界各地では、通常使用される交流AC電圧値が国や地域によって異なっていたり、同じ国あるいは地域でも交流AC電圧が異なったり変動することがあり、このようなワールドワイド交流AC(世界各国で使用する場合の交流AC、必ずしも全世界を意味するのではない)を入力する場合には、特に、交流AC電圧の大きな変動を考慮する必要があり、放電用の制御回路あるいは電源装置を提供する際に上記課題は重要である。
【0012】
そこで本発明は、交流入力電圧が大きく変動しても、Xコンデンサに蓄積された電荷を確実に放電できる制御回路及び電源装置(以下、「制御回路及び電源装置」を「制御回路等」ともいう)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
[1]本発明の制御回路は、
交流を入力し直流に変換して出力するAC-DCコンバーターの前記交流の異極電源ライン間に接続されたコンデンサの放電を制御する制御回路であって、
前記制御回路は、前記コンデンサの電圧の変化状態を検出し、前記変化状態に基づいて前記コンデンサに蓄積された電荷を放電するように、前記放電を制御することを特徴とする。
この効果については、発明の効果の欄で後述する。
【0014】
ここで、「交流(AC)」とは、方向や正負が短い時間間隔で変化する電圧又は電流をいう。交流電源の例としては一般の商用電源がある。
「直流(DC)」とは、大きさ及び方向が一定の電圧又は電流をいう。大きさが変化するが極性が変わらない電圧や電流も直流に含まれる。
「AC-DCコンバーター」とは、交流を入力して直流に変換して出力する機器をいう。AC-DCコンバーターの例としては、ACの商用電源を入力してDCの直流電源を供給するノートパソコンのACアダプター等がある。
交流の異極電源ラインとは、交流を供給する電源の異極を構成する電源ラインをいう。
交流の異極電源ライン間に接続されたコンデンサとは、所謂Xコンデンサをいう。
「コンデンサの電圧」とは、コンデンサ(Xコンデンサ)の電極間の電圧、あるいはコンデンサ(Xコンデンサ)の一方の電極側を基準にした他方の電極側の電圧(あるいは電位)をいう。
「コンデンサの電圧の変化状態を検出する」とは、コンデンサ(Xコンデンサ)の電圧の状態に変化があったか否かの検出をすることをいう。例えばコンデンサ(Xコンデンサ)の電圧が上昇したり下降したりすることを検出すればコンデンサ(Xコンデンサ)の電圧の状態に変化があったことを検出することになり、そうでなければ変化がなかったことを検出することになる。
【0015】
[2]本発明の制御回路においては、
前記制御回路は、前記コンデンサの電圧の変化状態の検出を、
前記コンデンサの電圧をレベルシフトした第1の電圧と、前記第1の電圧を増減した第2の電圧とを設定し、前記第1又は前記第2の電圧を一定時間毎にサンプル・ホールドした電圧と、サンプル・ホールドしない前記第1又は前記第2の電圧とを比較演算することによりおこなうことが好ましい。
【0016】
ここで、電圧を「レベルシフト」とは、入力した電圧の大きさ(あるいは電位)を変化させて出力することをいう。例えば、100Vの入力電圧の電圧レベルを数Vの電圧にして出力することをいう。これにより比較演算等を容易にするためである。
「第1の電圧を増減した第2の電圧」とは、第1の電圧から一定の電圧を増減した電圧(例えば、第1の電圧から0.1V、0.2V、0.3V・・等の電圧を増減した電圧)、第1の電圧に一定の係数を掛けた電圧(例えば、第1の電圧に0.95、0.9、0.85、0.8等を掛けた電圧)、第1の電圧に一定の係数を掛け更に一定の電圧を引いた電圧等をいう。
「サンプル・ホールド」とは、所定の箇所の電圧を一定時間毎にサンプル(サンプリング、記憶)して、その電圧値をホールド(保持)しておくことをいう。
「比較演算」とは、サンプル・ホールドした電圧と、サンプル・ホールドしない電圧とを比較してその結果を出力する(真偽出力をする)こと、両者の差の電圧を出力すること等をいう。
このようにすると、サンプル・ホールドした電圧とサンプル・ホールドしない電圧とが比較演算されるため、AC入力の遮断を的確に検知できる。また、電荷をホールドするのに必要なコンデンサは、従来技術のようにピークホールドする場合(ピーク値をホールドする場合)と比較して容量の小さなコンデンサでよいため、制御回路等の小型化が可能となる。
【0017】
[3]本発明の制御回路においては、
前記制御回路の前記比較演算は、前記サンプル・ホールドした電圧と、前記サンプル・ホールドしない電圧の大小関係を比較検出する比較演算、もしくは電圧差を出力する比較演算であることが好ましい。
【0018】
「電圧差を出力する」比較演算とは、例えば、両者の電圧差に応じた出力をする比較演算をいう。
このようにすると、制御回路の比較演算は、サンプル・ホールドした電圧と、サンプル・ホールドしない電圧の大小関係を比較検出する演算、もしくは電圧差を出力する演算であればよいため、AC入力の遮断をより一層簡単かつ的確に検知することが可能となる。
【0019】
[4]本発明の制御回路においては、
前記制御回路は、前記コンデンサの電圧の変化状態の検出を、
前記第1の電圧、前記第2の電圧、及び、前記第1又は前記第2の電圧の一方の電圧をサンプル・ホールドした電圧、の電圧値をそれぞれ時間経過に沿って表した第1の電圧特性線、第2の電圧特性線及びサンプル・ホールド電圧特性線としたときに、前記サンプル・ホールド電圧特性線と、前記第1又は前記第2の電圧のうちサンプル・ホールドしない電圧の電圧特性線との交差を検出することによりおこなうことが好ましい。
【0020】
ここで、「コンデンサの電圧の変化状態の検出を、・・サンプル・ホールド電圧特性線と、・・サンプル・ホールドしない電圧の電圧特性線との交差を検出することによりおこなう」とは、例えば、両電圧特性線が交差していることを検出することにより、コンデンサ(Xコンデンサ)の電圧の正常な変化状態、即ち、交流入力が正常に供給されている状態を検出する。一方、両電圧特性線が交差していることが検出できないことにより(交差していないことを検出することにより)、コンデンサ(Xコンデンサ)の電圧の異常な変化状態、即ち、交流入力が正常に供給されていない状態(交流入力の供給が遮断された状態)を検出する。このようにしてコンデンサの電圧の変化状態の検出を電圧特性線の交差を検出することによりおこなうことをいう。
このようにすると、複数の電圧特性線の交差状況からXコンデンサの電圧の変化状態が検出され、交流AC入力の遮断を、より一層的確に検知することが可能となる。
【0021】
[5]本発明の制御回路においては、
前記制御回路は、前記コンデンサの電圧の変化状態の検出を、
前記コンデンサの電圧をレベルシフトした第1の電圧をサンプル・ホールドした電圧と、サンプル・ホールドしない前記第1の電圧と、を比較演算した出力を基準電圧と比較することによりおこなうことが好ましい。
このようにすると、1つの電圧(第1の電圧)を用いることによりコンデンサの電圧の変化状態の検出をすることが可能となる。
【0022】
[6]本発明の制御回路においては、
前記制御回路は、前記変化状態に変化がない状態が一定期間継続したことを検知した場合に、前記コンデンサに蓄積された電荷を放電するように、前記放電を制御することが好ましい。
【0023】
ここで、「変化状態に変化がない状態が一定期間継続」したとは、コンデンサの電圧がほぼ安定して変わらない状態が一定期間継続したことをいう。
例えば、交流AC入力が遮断され、その状態が一定期間継続したときは、「変化状態に変化がない状態が一定期間継続」した状態である。
一方、交流AC入力が遮断されず、電圧が上昇又は下降しているときは「変化状態に変化がない状態が一定期間継続」した状態ではない。
「一定期間」継続とは、コンデンサの電圧が上昇中、下降中又は上昇若しくは下降中という状態変化(の有無)を検出するのに必要な期間をいう。
例えば、上昇を検出後に次の上昇の有無を検出するのには、通常、1周期の期間でよい。しかし、上昇の終わりから次の上昇の始まりを検出するには、1周期より短い期間でよく、1周期以上の1/2超の期間でよい(例えば、1周期の3/4以上の期間)。
同様に、例えば、下降を検出後に次の下降の有無を検出するのには、通常、1周期の期間でよい。しかし、下降の終わりから次の下降の始まりを検出するには、1周期より短い期間でよく、1周期以上の1/2超の期間でよい(例えば、1周期の3/4以上の期間)。
上昇及び下降の双方を検出する場合は、通常、1周期の期間でよい。しかし、上昇の終わりから次の下降の始まりまでの期間、あるいは、下降の終わりから次の上昇の始まりまでの期間を検出すればよいから、1周期より短い期間でよく、例えば1周期の1/4以上の期間、あるいは1周期の1/2以上の期間でよい。
なお、上記の「1周期」は正弦波等の通常の交流の1周期(正の山の次に負の谷がある正弦波で、正の山の始まりから負の谷の終わりまでの期間、あるいは正の山の始まりから次の正の山の始まりまでの期間)でもよいが、交流入力を全波整流した場合には、負の谷が正の山となるため、正の山が続くこととなる。そのため、通常の交流の1周期の半分の期間を1周期としてもよい(全波整流した正の山の始まりから終わりまでの期間、あるいは正の山の始まりから次の正の山の始まりまでの期間を1周期とする)。実施形態では後者の期間を1周期としている。
このようにすると、Xコンデンサに蓄積された電荷を、より一層確実に放電できる。
【0024】
[7]本発明の制御回路においては、
前記制御回路は、前記変化状態に変化がない状態が一定期間継続したことの検知は、前記変化状態に変化がない状態の時間を計時することによりおこなうことが好ましい。
【0025】
なお、コンデンサの電圧の変化状態に変化がない状態の時間の計時は、例えば、コンデンサの電圧の変化状態に変化があった時点を基準に時間の計時を開始し、次に変化があったことを検出したら計時をリセットして再び開始するようにする。次の変化を検出する前に「一定時間(期間)」に達すると、「変化状態に変化がない状態が一定期間継続」したこととなる。
計時する手段としては、例えば、時間を計測するタイマ、制御回路の同期の基準となるクロックパルスの数を数えるカウンタ等がある。
このようにすると、変化状態に変化がない状態が一定期間継続したことの検知をより一層容易におこなうことが可能となる。
【0026】
[8]本発明の制御回路においては、
前記制御回路は、前記コンデンサの電圧の上昇又は下降の少なくとも一方の変化状態を検出し、前記変化状態に基づいて前記コンデンサに蓄積された電荷を放電するように、前記放電を制御することが好ましい。
このようにすると、コンデンサの電圧の上昇又は下降の少なくとも一方の変化状態の検出により変化状態を検出できるため、交流AC入力の遮断を、より一層簡単に検知できる。
【0027】
[9]本発明の制御回路においては、
前記制御回路は、前記コンデンサの電圧の上昇の変化状態を検出し、前記変化状態に基づいて前記コンデンサに蓄積された電荷を放電するように、前記放電を制御することが好ましい。
【0028】
[10]本発明の制御回路においては、
前記制御回路は、
前記異極電源ライン間に接続された前記コンデンサの電圧をレベルシフトした前記第1の電圧を生成する前記第1の電圧の生成手段と、
前記第1の電圧より小さな第2の電圧を生成する前記第2の電圧の生成手段と、
前記第1又は前記第2の電圧のサンプル・ホールド用コンデンサと、前記第1又は前記第2の電圧の生成手段と前記サンプル・ホールド用コンデンサとの間に設けられたサンプル・ホールド用スイッチと、を有する前記第1又は前記第2の電圧のサンプル・ホールド手段と、
前記第1又は前記第2の電圧のうち前記サンプル・ホールド手段によりサンプル・ホールドされたサンプル・ホールド電圧と、前記第1又は前記第2の電圧のうちサンプル・ホールドされない電圧とを比較演算して前記変化状態を検出する比較演算手段と、
前記の検出された変化状態に基づいて前記異極電源ライン間に接続された前記コンデンサに蓄積された電荷を放電する放電手段と、
を備えることが好ましい。
【0029】
[11]本発明の制御回路においては、
前記制御回路は、
前記異極電源ライン間に接続された前記コンデンサの電圧をレベルシフトした前記第1の電圧を生成する前記第1の電圧の生成手段と、
前記第1の電圧のサンプル・ホールド用コンデンサと、前記第1の電圧の生成手段と前記サンプル・ホールド用コンデンサとの間に設けられたサンプル・ホールド用スイッチと、を有する前記第1の電圧のサンプル・ホールド手段と、
前記第1の電圧の前記サンプル・ホールド手段によりサンプル・ホールドされた前記第1の電圧のサンプル・ホールド電圧と、前記サンプル・ホールド手段によりサンプル・ホールドされない前記第1の電圧とで演算された出力を基準電圧と比較して前記変化状態を検出する比較演算手段と、
前記の検出された変化状態に基づいて前記異極電源ライン間に接続された前記コンデンサに蓄積された電荷を放電する放電手段と、
を備えることが好ましい。
【0030】
[12]本発明の電源装置は、
交流を入力し直流を出力するAC-DCコンバーターと、
前記交流の異極電源ライン間に接続されたコンデンサと、
前記コンデンサの放電を制御する上記のいずれかの制御回路と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、コンデンサ(Xコンデンサ)の電圧の変化状態を検出し、この変化状態に基づいてコンデンサに蓄積された電荷を放電するように放電を制御するため、入力電圧が大きく変動しても、コンデンサに蓄積された電荷を確実に放電することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】実施形態1に係る電源装置101(及びその制御回路11)の回路構成を説明するための図である。
図2】実施形態1に係る電源装置101(及びその制御回路11)における動作タイミングを説明するための図である。
図3図2の一部(L1部)を拡大して説明するための図である。
図4】実施形態2に係る電源装置102(及びその制御回路12)の回路構成を説明するための図である。
図5】実施形態2に係る電源装置102(及びその制御回路12)における動作タイミングを説明するための図である。
図6】実施形態3に係る電源装置103(及びその制御回路13)の回路構成を説明するための図である。
図7】実施形態3に係る電源装置103(及びその制御回路13)における動作タイミングを説明するための図である。
図8】実施形態4に係る電源装置104(及びその制御回路14)の回路構成を説明するための図である。
図9】実施形態5に係る電源装置105(及びその制御回路15)の回路構成を説明するための図である。
図10】実施形態5に係る電源装置105(及びその制御回路15)における動作タイミングを説明するための図である。
図11】実施形態6に係る電源装置106(及びその制御回路16)の回路構成を説明するための図である。
図12】実施形態6に係る電源装置106(及びその制御回路16)における動作タイミングを説明するための図である。
図13図12の一部を拡大して説明するための図である。
図14】従来の電源装置の放電回路を説明するための図である。
図15図14の回路の動作タイミングを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の制御回路等について、図に示す実施形態に基づいて説明する。なお、各図面は模式図であり、必ずしも実際の回路、タイミングチャート等を厳密に反映したものではない。各実施形態の回路、タイミングチャート等は例示であり、本発明はこれらの回路等に限定されるものではない。
また、本願で1つの図面で用いた符号は他の図面でも同じ意味を有する。1つの図面で使用した符号が他の図面でも使用される場合、その符号の意味は同じである。同じ符号が付けられた素子、回路等は実施形態が異なっていても同様の作用効果を奏する。そして同じ符号についての重複する説明は極力省略する。
【0034】
[実施形態1]
(1)概要
まず、図1図3を用いて実施形態1に係る電源装置101(及びその制御回路11)について説明する。
実施形態1に係る電源装置101(及びその制御回路11)は、コンデンサ(Xコンデンサ)の電圧の上昇の変化状態を検出し、変化状態からコンデンサ(Xコンデンサ)に蓄積された電荷を放電するように、放電を制御する。
図1は、実施形態1に係る電源装置101(及びその制御回路11)の回路構成を説明するための図である。図2は、実施形態1に係る電源装置101(及びその制御回路11)における動作タイミングチャートを示す図である。図3は、図2の一部(L1部)を拡大して説明するための図である。
【0035】
図1に示すように、電源装置101は、交流AC(交流入力電源)の入力端子AC1・AC2間(異種電源ライン間)に接続されたコンデンサ(Xコンデンサ)C100、交流ACを直流DCに変換して直流の出力OUTを出力端子OUT1、OUT2に出力するAC-DCコンバーター51等を備える。
AC-DCコンバーター51は、交流ACを整流する整流回路RECと、整流回路RECの出力(直流)を入力して直流の出力(電圧)OUTを出力するDC-DCコンバーターCOVと、DC-DCコンバーターCOVの入力側に設けられた平滑用のコンデンサC21とを有する。
【0036】
AC入力端子AC1、AC2間(異極電源ライン間)には、ダイオードD21、D22、D23及びD24の4つのダイオードで構成される整流回路RECが挿入され、AC入力の全波整流がおこなわれる。ダイオードD21のカソードと、ダイオードD23のアノードが交流ACの入力端子AC1に接続され、ダイオードD22のカソードと、ダイオード24のアノードが入力端子AC2に接続されている。ダイオードD23のカソードと、ダイオードD24のカソードは互いに接続され、コンデンサC21の一方の側及びDC-DCコンバーターCOVの一方の入力端子に接続されている。ダイオードD21のアノードと、ダイオードD22のアノードは互いに接続され、コンデンサC21の他方の側及びDC-DCコンバーターCOVの他方の入力端子に接続され、接地されている。コンデンサC21は平滑用のコンデンサである。
【0037】
交流ACと制御回路11との間にはダイオードD1及びD2が挿入されている。即ち、入力端子AC1及びAC2には、それぞれダイオードD2及びD1のアノードが接続され、ダイオードD2及びD1のカソードの互いに接続され、制御回路11(の抵抗R1、R2及びR3で構成される分圧回路)に入力されている。
制御回路11は、互いに接続されたダイオードD2及びD1のカソードからの電圧を分圧する抵抗R1、R2及びR3の直列接続により構成された分圧回路と、分圧された電圧VA(抵抗R1・R2接続部の電圧)をサンプル・ホールドするサンプル・ホールド回路SH1と、サンプル・ホールド回路SH1から出力される電圧(VB1)と電圧VC(抵抗R2・R3接続部の電圧)とを比較する比較器OP1と、比較器OP1から出力される電圧(パルス電圧)VD1の変化を起点として時間をカウントするカウンタ部CNTと、カウンタ部CNTから出力されるHレベルの電圧VE(放電指令)を受けてXコンデンサC100に蓄積された電荷を放電する放電用のスイッチSD(放電手段)と、を有する。
【0038】
回路の各箇所について説明する。
分圧回路は、上述したように抵抗R1、R2及びR3で構成されるが、抵抗R1、R2及びR3を合わせた抵抗値は高い抵抗値にして分圧回路での消費電力を低くしている。
抵抗R1・R2接続部の電圧及び抵抗R2・R3接続部の電圧は、それぞれ電圧VA及びVCであり、XコンデンサC100の電圧をレベルシフトした電圧である。電圧VA及びVCを仮に第1の電圧及び第2の電圧というと、電圧VA(第1の電圧)はVC(第2の電圧)より、電圧V10だけ高い。換言すると、電圧VA(第1の電圧)との差分の電圧V10は、V10=VA-VCである。
【0039】
サンプル・ホールド回路SH1は、スイッチSW1とコンデンサC1を有する。スイッチSW1の一方の側は、分圧回路の抵抗R1・R2接続部に接続され、他方の側はコンデンサC1の一方の側及び比較器OP1の反転入力端子(-)に接続される。コンデンサC1の他方の側は接地されている。
【0040】
スイッチSW1は抵抗R1・R2接続部の電圧(電圧VA)をサンプルするためのスイッチで、コンデンサC1はサンプルされた電圧VAをホールド(保持)するためのコンデンサである。スイッチSW1は定期的なクロックパルスCPに同期してオン、オフする(クロックパルスCPがHレベルとなりスイッチSW1がオンとなるとスイッチSW1は閉状態となり導通、クロックパルスCPがLレベルとなりスイッチSW1がオフするとスイッチSW1は開状態となり非導通)。スイッチSW1がオンで抵抗R1・R2接続部の電圧(電圧VA)をサンプルし、オフでスイッチSW1は非導通となり、サンプルした電圧VAをコンデンサC1にホールドする。クロックパルスCPは電圧VAの半周期に少なくとも複数あることが好ましい。
【0041】
比較器OP1の非反転入力端子(+)には、抵抗R2・R3接続部を接続した。反転入力端子(-)には、サンプル・ホールド回路SH1の出力が入力されるようにコンデンサC1の一方の側を接続した。
比較器OP1は、反転入力端子(-)に印加されるサンプル・ホールドされた電圧VB1(以下「サンプル・ホールド電圧VB1」ともいう)と、非反転入力端子(+)の電圧VCとを比較演算することにより、電圧VA(第1の電圧)の変化状態を検出する。非反転入力端子(+)の電圧VC(第2の電圧)が反転入力端子(-)の電圧VB1より大きいときは、出力される電圧VD1はHレベル(ハイレベル)、その逆のときはLレベル(ローレベル)となる。
【0042】
カウンタ部CNTは、比較器OP1から出力される電圧VD1を入力し、電圧VD1が変化したときを基準として時間をカウントし、一定時間がカウントされると電圧VEがHレベルになる。つまり、カウンタ部CNTから出力される電圧VEは、交流AC入力の変化(電圧VAの変化)が一定期間以上ない場合には、LレベルからHレベルになって放電指令を出力することにより放電用のスイッチSDをオン(導通)させ、XコンデンサC100に蓄積された電荷を放電させる。
なお、放電用のスイッチSDは、ダイオードD1及びD2のカソード・接地間に設けられたスイッチであり、一方の側が放電用の抵抗R20を介してダイオードD1及びD2のカソードに接続され、他方の側が接地されている。交流ACの供給が遮断されていない通常状態の場合は、電圧VEはLレベルでスイッチSDはオープン状態(非接続状態)となっているが、交流ACの供給が遮断された場合には、その状態が検知されると、電圧VEはHレベルになり、放電用のスイッチSDがオン(導通)して、XコンデンサC100に蓄積された電荷を(放電用)抵抗R20及びスイッチSDを通して接地側に流して放電させる。
【0043】
図2は、実施形態1に係る電源装置101(及びその制御回路11)における動作タイミングを説明するための図である。
図2の一番上には、電圧VAを時間経過に沿って示した電圧VAの電圧特性線を示す。電圧VA電圧特性線は、ダイオードD1とD2により全波整流され、山状の正弦半波カーブが連なる波形を描く。電圧VA波形の左から3番目の山状の波形を少し下った時刻t12は、交流AC入力用のケーブルがコンセントから切り離される(入力端子AC1、AC2がコンセントから切り離される)等して交流ACの供給が遮断された時刻である。その場合でも、XコンデンサC100に電荷が蓄積されているため、時刻t12以後も電荷が放電される時刻t13までの間は電圧VAは殆ど変化せず一定の電圧を維持しているが、放電により電圧VAの電圧は減少する。
【0044】
図2の上から2番目に示すのはクロックパルスCPである。クロックパルスCPは、制御回路11全体の制御タイミングの基礎となるパルスである。電圧が高い状態(Hレベル)と低い状態(Lレベル)を周期的にとる信号である。実施形態1ではクロックパルスCPをサンプル・ホールド回路SH1のサンプル・ホールドのタイミング用に使用した。クロックパルスは、電圧VA(第1の電圧)の1つの山状の波形(1周期T)の上昇期間又は下降期間(半周期)中に複数あることが好ましい。クロックパルスCPは、カウンタ部のカウンタパルスとして共有する(カウント用のパルスとして利用すること)ことも可能である。
【0045】
図2の上から3番目には、電圧VA、電圧VB1(電圧VAをサンプル・ホールドした電圧)及び電圧VC(電圧VAより小さな電圧)を時間経過に沿って表した電圧特性線を重ねて表示した。電圧VB1特性線と電圧VC特性線は電圧VAの上昇中(山状の波形の左側の箇所)に複数回交差している。その一方、両者は電圧VAの下降中(山状の波形の右側の箇所)では交差していない。また、交流AC入力が遮断されて電圧VAが変化しなくなった時刻t12以降は電圧VB1、VCの大小関係が変化することはない。電圧VA、VB及びVCの電圧特性線は図3に拡大して表示されている。
【0046】
図2の上から4番目は、比較器OP1から出力される電圧VD1のタイミングチャートである。比較器OP1から出力される電圧VD1は、電圧VB1(電圧VAをサンプル・ホールドした電圧)と、抵抗R2・R3接続部の電圧VC(電圧VAより小さな電圧)の大小関係が逆転する毎に反転する。比較器OP1から出力される電圧VD1は、電圧VAの上昇中(山状の波形の左側の箇所)、複数のパルスとなって出力される。その一方、電圧VAの下降中(山状の波形の右側の箇所)にはパルス状の電圧VD1は出力されない。電圧VD1は、電圧VAの左から3つ目の山の上昇部まで(時刻t11まで)はパルスとして出力されているが、それ以降は電圧VB1と電圧VCとの大小関係の逆転がないためパルスとしての出力はない(Lレベルのままである)。
図2の上から5番目は、カウンタ部CNTから出力される電圧VEのタイミングチャートである。
【0047】
比較器OP1から出力される電圧VD1は、カウンタ部CNTに入力されるが、カウンタ部CNTは、電圧VD1がHレベルからLレベルになる立下りを検出するとリセットしてカウントを開始する(時刻t11)。カウンタ部CNTには所定の時間T11が予め設定されている。カウンタ部CNTは、時刻t11から時間のカウントを開始して所定の時間T11に達するまでに電圧VD1に何も変化がない場合には、時刻t11から所定の時間T11に達した時刻t13に電圧VEをLレベルからHレベルにして放電用のスイッチSDをオンさせ、XコンデンサC100に蓄積された電荷を、ダイオードD1(D2)、抵抗R20及びスイッチSDを介して放電させる。
カウンタ部CNTから出力される電圧VE(Hレベルの電圧)は放電指令信号であり、時刻t13に放電指令信号を出力する(電圧VEがHレベルになる)と、放電用のスイッチSDをオン(導通)させ、XコンデンサC100に蓄積された電荷を放電させる。それに伴い、電圧VA及び電圧VCは徐々に降下する。
なお、スイッチSD及びSW1にはMOSFET素子を用いた(後述する他の実施形態でもスイッチとしてMOSFET素子を用いた)。
【0048】
図3は、図2の一部を拡大して説明するための図である。
電圧VAは、XコンデンサC100の電圧をレベルシフトした電圧(第1の電圧)である。電圧VB1は、電圧VA(第1の電圧)をサンプル・ホールドした電圧である。電圧VB1は電圧VA(第1の電圧)より小さな第2の電圧である(電圧VAの波形の上昇中の途中で電圧V10分小さい)。
符号VAで示される線が、電圧VA(第1の電圧)を時間経過に沿って表した第1の電圧特性線である。
符号VCで示される線が、電圧VC(第2の電圧)を時間経過に沿って表した第2の電圧特性線である。
符号VB1で示される線が、電圧VB1(第1の電圧VAをサンプル・ホールドした電圧)を時間経過に沿って表したサンプル・ホールド電圧特性線である。
【0049】
電圧VAをサンプル・ホールドした電圧VB1を時間経過に沿って表した電圧VB1のサンプル・ホールド電圧特性線は、サンプル・ホールド回路SH1が電圧VAをサンプルしてコンデンサC1でホールドすることを周期T10で繰り返すため、階段状の波形となる。サンプル・ホールド電圧VB1特性線は、電圧VAの上昇中は、所々の時刻で電圧VA特性線に接するが、その他の時刻では電圧VA特性線の下側に位置する。一方、電圧VAの下降中は、サンプル・ホールド電圧VB1特性線は、所々のサンプルタイミングで電圧VA特性線に接するが、その他の時刻では電圧VA特性線の上側に位置する。
【0050】
実施形態1では、交流ACの入力供給が遮断されず正常であると、電圧VCの電圧特性線と、電圧VAをサンプル・ホールドした電圧VB1のサンプル・ホールド電圧特性線とが、電圧VAの上昇中に交差することを利用して交流AC入力が遮断されたか否かを検知する。
なお、電圧VAと電圧VCの差分の電圧V10の大きさ、周期T10の長さ等を調整することにより、交流ACの入力供給が遮断されず正常であるとき、電圧VAの上昇中に、電圧VC特性線と、サンプル・ホールド電圧VB1特性線とが少なくとも1回交差するように調整されている。複数回交差するように調整されていると、交差していることを、より一層的確に検出できる。
一方、電圧VAが下降中には、サンプル・ホールド電圧VB1特性線は、電圧VA特性線の上側に位置するから、電圧VC特性線と交差することはない。
【0051】
比較器OP1は、電圧VCと、サンプル・ホールド電圧VB1との大小関係を比較演算する。交流ACの入力供給が遮断されず正常な場合、電圧VC特性線と、サンプル・ホールド電圧VB1特性線とは交差するが、その都度、電圧VD1は反転する。こうした様子を図3に拡大して示す。
【0052】
電圧VAが上昇中の期間、電圧VCがサンプル・ホールド電圧VB1より大きいときは、比較器OP1から出力される電圧VD1はHレベルである。電圧VC特性線と、サンプル・ホールド電圧VB1特性線とが交差して、電圧VCがサンプル・ホールド電圧VB1より小さくなると、比較器OP1から出力される電圧VD1はHレベルから反転してLレベルとなる。電圧VC特性線と、サンプル・ホールド電圧VB1特性線とが再び交差して、電圧VCがサンプル・ホールド電圧VB1より大きくなると、比較器OP1から出力される電圧VD1はLレベルから反転してHレベルとなる。
このように、電圧VAが上昇中の期間においては、比較器OP1から出力される電圧VD1は電圧HレベルとLレベルとの反転を繰り返す。
【0053】
上記の実施形態1の制御回路11によれば、交流AC入力電圧が大きく変動するような場合であっても、XコンデンサC100の電圧の上昇の変化状態を検出でき、当該変化状態からXコンデンサC100に蓄積された電荷が放電されるように、放電が制御されるため、XコンデンサC100に蓄積された電荷を確実に放電することが可能となる。
【0054】
従来技術との比較
図14及び図15を用いて説明した従来技術では、電圧VHVの設定が低い場合、負荷条件や回路条件によってはパルスCP900が発生しないために誤検出する場合がある。例えば軽負荷で入力部に入れるフィルター用のコンデンサ容量が大きい場合、N902の箇所の電圧VN902の波形において交流ACの脈圧又は脈流の谷部の電圧が低下しきれずに高くなってしまうためである。
また、上記誤検出を回避するため電圧VHVの設定を高く設定すると入力電圧が高い場合(ワールドワイド入力電圧で電圧が高い場合)、AC入力停止タイミングによっては放電されずにXコンデンサの残留電圧が高くなり感電の恐れが生ずる。
【0055】
これに対し、実施形態1では、XコンデンサC100の電圧の上昇の変化状態を検出し、当該変化状態からXコンデンサC100に蓄積された電荷を放電するように放電を制御するため、ピークホールド電圧を比例縮小した電圧VHVが高いために起きるXコンデンサの残留電荷による感電が生じる恐れは低い。
また、XコンデンサC100の電圧の変化状態を検出するのに、ピークホールド電圧を比例縮小した電圧VHVを使わないため、電圧VHVの設定が低い場合にパルスCP900が発生せずそのため誤検出するといった事象が生ずる可能性は低くなる。
そのため、XコンデンサC100の残留電荷の放電を確実におこなうことが可能となる。
【0056】
なお、従来技術では、交流AC電圧ピーク値をVHV閾値に反映させるために交流AC電圧ピーク値をピークホールドしておく必要があり、一般的に大きな容量のコンデンサが必要で、制御回路を集積化する場合、(1)集積化したチップ内にピークホールド用コンデンサを設けようとすると集積回路のチップサイズが大きくなる、(2)集積化したチップにピークホールド用コンデンサを外付けすると、外付け用の端子が必要となるためチップサイズが大きくなる、(3)集積化したチップの他に外付けのピークホールド用コンデンサが必要となり、制御回路や電源装置が大型化する。等の弊害があった。
【0057】
これに対し、実施形態1では、交流AC電源の異極電源ライン間に接続されたXコンデンサC100の電圧をシフトした電圧をサンプル・ホールドすればよいため、サンプル・ホールド用コンデンサは、従来技術(ピークホールド用コンデンサ)に比べて一般的に小さな容量のコンデンサでよい。そのため、制御回路を、サンプル・ホールド用コンデンサを内蔵化して集積化することが可能となり、集積化した半導体チップに外付けコンデンサ用の(ピークホールド用コンデンサ用の)端子を設けることも不要になることから、制御回路や電源装置をより一層小さくすることが可能となる。
【0058】
[実施形態2]
実施形態1がXコンデンサC100の電圧の上昇の変化状態を検出する実施形態であるのに対し、実施形態2はXコンデンサC100の電圧の下降の変化状態を検出する実施形態である。
実施形態2に係る制御回路12等は、基本的には、実施形態1に係る制御回路11等と同様であるが、実施形態1では、比較器OP1を用い、抵抗R1・R2接続部の電圧VAをサンプル・ホールドした電圧VB1を比較器OP1の反転入力端子(-)に入力し、抵抗R2・R3接続部の電圧VCを非反転入力端子(+)に入力した(図1参照)のに対し、実施形態2では、比較器OP2を用い、電圧VCをサンプル・ホールドした電圧VB2を比較器OP2の非反転入力端子(+)に入力し、電圧VAを反転入力端子(-)に入力した点(図4参照)が異なる。
【0059】
以下、詳しく説明する。
図4は、実施形態2に係る電源装置102(及びその制御回路12)の回路構成を説明するための図である。図5は、実施形態2に係る電源装置102(及びその制御回路12)における動作タイミングを説明するための図である。
実施形態2に係る制御回路12等のサンプル・ホールド回路SH2は、図4に示すように、スイッチSW2及びコンデンサC2を有する。
実施形態2のサンプル・ホールド回路SH2は、実施形態1のサンプル・ホールド回路SH1(図1参照)のスイッチSW1及びコンデンサC1を、それぞれ、スイッチSW2及びコンデンサC2に置き換えたものである。
スイッチSW2の一方の側は、分圧回路の抵抗R2・R3接続部に接続され、他方の側はコンデンサC2の一方の側及び比較器OP2の非反転入力端子(+)に接続されている。コンデンサC2の他方の側は接地されている。
スイッチSW2は抵抗R2・R3接続部の電圧(電圧VC)をサンプルするためのスイッチで、コンデンサC2はサンプルされた電圧VAをホールド(保持)するためのコンデンサである。スイッチSW2は定期的なクロックパルスCPに同期してオン、オフする(クロックパルスCPがHレベルとなりスイッチSW2がオンとなるとスイッチSW2は閉状態となり導通、クロックパルスCPがLレベルとなりスイッチSW1がオフするとスイッチSW1は開状態となり非導通)。スイッチSW2がオンで抵抗R2・R3接続部の電圧(電圧VC)をサンプルし、オフでスイッチSW2は非導通となり、サンプルした電圧VCをコンデンサC2にホールドする。
【0060】
図5は、実施形態2に係る電源装置102(及びその制御回路12)における動作タイミングを説明するための図である。
図5の一番上には、電圧VAを時間経過に沿って示した電圧VAの電圧特性線を示す。
時刻t22は交流AC入力供給遮断時刻であり、時刻t23はXコンデンサC100放電開始時刻である。
図5の上から2番目に示すのはクロックパルスCPである。
【0061】
図5の上から3番目には、電圧VA、電圧VB2(電圧VCをサンプル・ホールドした電圧)及び電圧VCを時間経過に沿って表した電圧特性線を重ねて表示した。図5の下部にはその一部L2部を拡大し「L2拡大」部として示している。
「L2拡大」図に示されるように、電圧VA特性線(実線)の下に、電圧VAから電圧V10分下降した電圧VC特性線(点線)が描かれている。電圧VB2は、電圧VCをサンプル・ホールドした電圧であり、階段状の波形となっている。
電圧VCをサンプル・ホールドした電圧VB2を時間経過に沿って表したサンプル・ホールド電圧VB2特性線は、サンプル・ホールド回路SH2が電圧VCをサンプルしてコンデンサC2でホールドすることを周期T10のタイミングで繰り返すため、階段状の波形となっている。サンプル・ホールド電圧VB2特性線は、電圧VA(又は電圧VC)の上昇中は、所々のサンプルタイミング(時刻)で電圧VC特性線に接するが、その他の時刻では電圧VC特性線の下側に位置し、電圧VA特性線とは交差していない。一方、電圧VA(又は電圧VC)の下降中は、サンプル・ホールド電圧VB2特性線は、所々のサンプルタイミングで(時刻において)電圧VC特性線に接するが、その他の時刻では電圧VC特性線の上側に位置し、電圧VA特性線と複数回交差している。
【0062】
図5の上から4番目は、比較器OP2から出力される電圧VD2のタイミングチャートである
比較器OP2は、電圧VAと、サンプル・ホールド電圧VB2との大小関係を比較演算してその結果を電圧VD2として出力する。電圧VAと、サンプル・ホールド電圧VB2との大小関係が変化する毎に、電圧VD2が反転する(HレベルとLレベルとが反転する)。
比較器OP2がこのように動作するため、電圧VAが上昇中の期間には、電圧VAとサンプル・ホールド電圧VB2とが交差する(大小関係が逆転する)ことがないから比較器OP2から出力されるVD2はLレベルのまま変化しない、
一方、電圧VAが下降中の期間には、電圧VAとサンプル・ホールド電圧VB2とが交差する(大小関係が逆転する)ため、それに伴い、比較器OP2から出力されるVD2は反転する。
この様子を図5下部(「L2拡大」図)に拡大して示した。
【0063】
図5の上から5番目に示すのは、カウンタ部CNTから出力される電圧VEのタイミングチャートである。
図4に示すように、比較器OP2から出力されるVD2は、カウンタ部CNTに入力されるが、カウンタ部CNTは、電圧VD2がHレベルからLレベルになる立下りを検出するとリセットしてカウントを開始する(時刻t21)。カウンタ部CNTには所定の時間T21が予め設定されている。カウンタ部CNTは、時刻t21からカウントを開始した後で電圧VD2に何も変化がない場合には、時刻t21から所定の時間T21に到達した時刻t23に出力の電圧VEをLレベルからHレベルにして放電用のスイッチSDをオンさせ、XコンデンサC100に蓄積された電荷を放電させる。
カウンタ部CNTから出力される電圧VE(Hレベルの電圧)は放電指令信号であり、時刻t23に放電指令信号が出る(電圧VEがHレベルになる)と、放電用のスイッチSDがオン(導通)し、XコンデンサC100に蓄積された電荷が放電されるのに伴い、電圧VA及び電圧VCは徐々に降下する。
【0064】
このように、実施形態2ではXコンデンサC100の電圧の下降の変化状態を検出し、当該変化状態からXコンデンサC100に蓄積された電荷を放電するように放電を制御する。
【0065】
[実施形態3]
実施形態1がXコンデンサC100の電圧の上昇の変化状態を検出する実施形態で、実施形態2がXコンデンサC100の電圧の下降の変化状態を検出する実施形態であるのに対し、実施形態3はXコンデンサC100の電圧の上昇及び下降の双方の変化状態を検出する実施形態である。
実施形態3の回路は、実施形態1の回路と実施形態2の回路とを組み合わせた回路となっており、その作用効果は実施形態1と実施形態2の作用効果を合わせたのと同様の作用効果を奏する。
【0066】
以下、詳しく説明する。
図6は、実施形態3に係る電源装置103(及びその制御回路13)の回路構成を説明するための図である。図7は、実施形態3に係る電源装置103(及びその制御回路13)における動作タイミングを説明するための図である。
実施形態3に係る制御回路13等は、図6に示すように、実施形態1のサンプル・ホールド回路SH1及び比較器OP1(図1参照)、実施形態2のサンプル・ホールド回路SH2及び比較器OP2(図4参照)、並びに、比較器OP1から出力される電圧VD1と比較器OP2から出力される電圧VD2との論理和をとる論理和素子OR1等で構成されている。
なお、論理和素子OR1から出力される電圧VD3はカウンタ部CNTに入力されるが、カウンタ部CNTが放電用の電圧VEを出力する点は実施形態1及び2と同様である。
サンプル・ホールド回路SH1及び比較器OP1、並びに、サンプル・ホールド回路SH2及び比較器OP2については、これらの回路構成、サンプル・ホールド回路SH1及びSH2への入力(接続)等は実施形態1、2と同様であり説明を省略する(図1及び図4参照)。
【0067】
図6のような回路構成にすると、電圧VAが上昇中のときは、図7の「上昇の変化状態検出」に示されるように、電圧VA、VB1及びVCは実施形態1と同様な波形を描き、比較器OP1からは実施形態1と同様な電圧VD1が出力される。
また、電圧VAが下降中のときは、図7の「下降の変化状態検出」に示されるように、電圧VA、VB2及びVCは実施形態2と同様な波形を描き、比較器OP2からは実施形態2と同様な電圧VD2が出力される。
【0068】
論理和素子OR1から出力される電圧VD3は、電圧VD1と電圧VD2の論理和の電圧(VD1+VD2)であるため(図6参照)、比較器OP1から出力される電圧VD1と、比較器OP2から出力される電圧VD2のどちらかがHレベルになると、電圧VD3がHレベルになり、図7の「上昇及び下降の変化状態検出」に示されるように、電圧VD3は、「上昇の変化状態検出」に示す電圧VD1と、「下降の変化状態検出」に示す電圧VD2との双方から出力される電圧の論理和の電圧となる。ここで論理和とは、複数入力のいずれかがHレベルのときHレベルの出力をし、いずれの入力もLレベルのときLレベルの出力をする論理演算をいう。
論理和素子OR1から出力される電圧VD3は、カウンタ部CNTに入力されるが、カウンタ部CNTは、電圧VD3がHレベルからLレベルになる立下りを検出するとリセットしてカウントを開始する(時刻t31)。カウンタ部CNTでは所定の時間T31が予め設定されており、時刻t31からカウントを開始した後、電圧VD3に何も変化がない場合には、時刻t31から所定時間T31に到達した時刻t33に電圧VEをLレベルからHレベルにして放電用のスイッチSDをオンさせ、XコンデンサC100に蓄積された電荷を放電させる。
カウンタ部CNTから出力される電圧VE(Hレベルの電圧)は放電指令信号であり、時刻t23に放電指令信号が出る(電圧VEがHレベルになる)と、放電用のスイッチSDがオン(導通)し、XコンデンサC100に蓄積された電荷が放電されるのに伴い、電圧VA及び電圧VCは徐々に降下する。
【0069】
このようにすると、XコンデンサC100の電圧の上昇又は下降の少なくとも一方の変化状態の検出により変化状態を検出できるため、交流AC入力の遮断を、より一層確実に検知でき、上昇が止まったときと下降が止まったときのカウントの時間差を低減し、より一層確実に放電信号を出力することが可能となる。
【0070】
[実施形態4]
実施形態4は実施形態3同様にXコンデンサC100の電圧の上昇及び下降の双方の変化状態を検出する実施形態であるが、回路を極力兼用して上記電圧の上昇及び下降の双方の変化状態を検出するようにした実施形態である。
そのため、実施形態4では、図8に示されるように、スイッチSW41、SW42及びSW43を用いることにより、サンプル・ホールド回路SH4及び比較器OP4を電圧の上昇及び下降双方の変化状態の検出に兼用するようにして、実施形態3(図5参照)において、XコンデンサC100の電圧の上昇の変化状態の検出用のサンプル・ホールド回路SH1及び比較器OP1、下降の変化状態の検出用のサンプル・ホールド回路SH2及び比較器OP2を備えたように、上昇用と下降用にそれぞれ専用の回路を備えることが不要であり、制御回路14のように簡略化される。
【0071】
以下、詳しく説明する。
図8は、実施形態4に係る電源装置104(及びその制御回路14)の回路構成を説明するための図である。
実施形態4では、図8に示すように、電圧VA及び電圧VCを取り出す抵抗R1、R2等を有する分圧回路、電圧VA等のサンプル・ホールド回路SH4、比較器OP4、サンプル・ホールド回路SH4及び比較器OP4への入力を切り替えるスイッチ(SW41、SW42及びSW43)、カウンタ部CNT、放電用のスイッチSD等を有する。
サンプル・ホールド回路SH4は、サンプル・ホールド回路SH1(図1図6等参照)等と同様の回路で、スイッチSW4とサンプル・ホールド用のコンデンサC4を有する。スイッチSW4の一方の側がサンプル・ホールド回路SH4の入力部で、他方の側がコンデンサC4の一方の側に接続され、出力部となる。コンデンサC4の他方の側は接地されている。
スイッチSW41、SW42及びSW43は、XコンデンサC100の電圧の上昇時と下降時でスイッチ接続を切り替えることにより、回路構成を変更して上昇時と下降時双方の変化状態を検出するようにしたスイッチである。いずれのスイッチも図8の右側を支点として左上と左下の接点のいずれかを接続することにより接続状態を切り替えるように構成されている。
【0072】
XコンデンサC100の電圧の上昇の変化状態の検出
図8に示すスイッチSW41、SW42及びSW43の接続状態は、XコンデンサC100の電圧の上昇の変化状態を検出する場合の接続状態を示す。
この場合(上昇の変化状態を検出する場合)、抵抗R1・R2接続部の電圧VAはスイッチSW41を介してサンプル・ホールド回路SH4に入力され、サンプル・ホールド回路SH4から出力された電圧VB1がスイッチ42を介して比較器OP4の反転入力端子(-)に入力される。抵抗R2・R3接続部の電圧VCはスイッチSW43を介して比較器OP4の非反転入力端子(+)に入力される。比較器OP4では、電圧VB1と電圧VCとを比較演算しその比較演算結果を電圧VD4として出力する。
【0073】
このように、XコンデンサC100の電圧の上昇の変化状態を検出する場合、スイッチSW1、SW42及びSW43が上記のようになっているが、この回路は、図1(又は図6)に示す実施形態1(又は実施形態3)のXコンデンサC100の電圧の上昇の変化状態を検出する場合の回路(サンプル・ホールド回路SH1、比較器OP1等で構成される回路)と同様の回路構成となっており、同様の作用効果を奏する。
従って、図1に示す実施形態1(又は実施形態3)と同様に、XコンデンサC100の電圧の上昇の変化状態を検出できる。
【0074】
XコンデンサC100の電圧の下降の変化状態の検出
XコンデンサC100の電圧の下降の変化状態を検出する場合には、スイッチSW41、SW42及びSW43の接続を図8に示すのと反対の接続状態とする。
具体的には、スイッチSW42は図8に示す接続とは逆に左上の接点を接続し、スイッチSW41は、図8に示す接続とは逆に左下の接点を接続する。これにより、抵抗R1・抵抗R2の接続部の電圧VAが比較器OP4の反転入力端子(-)に入力される。
スイッチSW41は、図8に示す接続とは逆に左下の接点を接続するから、抵抗R2・R3接続部の電圧VCはスイッチSW41を介してサンプル・ホールド回路SH4に入力される。スイッチSW43は、図8に示す接続とは逆に左上の接点を接続するから、サンプル・ホールド回路SH4から出力された電圧VB2は比較器OP4の非反転入力端子(+)に入力される。
そして、比較器OP4は、反転入力端子(-)に入力された電圧VAと非反転入力端子(+)に入力された電圧VB2とを比較演算しその比較演算結果を電圧VD4として出力する。カウンタ部CNTは比較器OP4の電圧VD4を入力して、電圧VEを出力する。
【0075】
このように、XコンデンサC100の電圧の下降の変化状態を検出する場合、スイッチSW1、SW42及びSW43が上記したように図8に示す接続状態とは逆になるが、この回路は、図4(又は図6)に示す実施形態2(又は実施形態3)のXコンデンサC100の電圧の2降の変化状態を検出する場合の回路(サンプル・ホールド回路SH2、比較器OP2等で構成される回路)と同様の回路構成となっており、同様の作用効果を奏する。
従って、図4に示す実施形態1(あるいは実施形態3)と同様に、XコンデンサC100の電圧の下降の変化状態を検出できる。
【0076】
なお、スイッチSW41、SW42及びSW43のスイッチ切替は、例えば、XコンデンサC100の電圧(又は電圧VA等)の上昇、下降を検知して、それに合わせて切り替えればよい。
あるいは、XコンデンサC100の電圧(又は電圧VA等)の周期を計測し、電圧VAが最低電圧になった時刻(図2図7等で電圧VAの山状の波形の間で谷になった時刻)にスイッチを切り替え、その後に半周期((1/2)・T)経過後に再びスイッチを切り替えるようにすればよい。
【0077】
このように、実施形態4では、比較器OP4の出力電圧VD4は、XコンデンサC100の電圧(又は電圧VA等)の上昇時には実施形態1又は実施形態3で説明したのと同様な電圧VD1が出力され、下降時には実施形態2又は実施形態3で説明したのと同様な電圧VD2が出力される。
電圧VA、電圧VB1、電圧VB2、電圧VC、電圧VD3、電圧VE等の波形は、実施形態1(図2図3参照)、実施形態2(図5参照)又は実施形態3(図7参照)と同様であり、説明を省略する。
【0078】
実施形態4のようにすると、スイッチSW41、SW42及びSW43を用いることにより、XコンデンサC100の電圧の上昇及び下降の双方の変化状態を検出するのにサンプル・ホールド回路SH4及び比較器OP4を兼用することができ、制御回路のより一層の簡略化、小型化が可能となる。
【0079】
[実施形態5]
実施形態5は、実施形態1を変形した実施形態である。電圧VA等の生成の仕方、回路を高度化した点等で実施形態1と異なる。
【0080】
以下、詳しく説明する。
図9は、実施形態5に係る電源装置105(及びその制御回路15)の回路構成を説明するための図である。図10は、実施形態5に係る電源装置105(及びその制御回路15)における動作タイミングを説明するための図である。
実施形態5に係る制御回路15等は、基本的には、実施形態1に係る制御回路11等と同様であるが、図9に示す実施形態5に係る制御回路15等では、電圧VA等の生成の仕方、回路を高度化した点等で実施形態1と異なる。
【0081】
実施形態5に係る制御回路15は、抵抗R1及びR10を有する分圧回路、オペアンプOP51、サンプル・ホールド回路SH5、電圧のレベルシフト回路LS、比較器OP5、カウンタ部CNT等を備える。
【0082】
まず、抵抗R1及びR10を有する分圧回路について説明すると、実施形態1(図1参照)では、ダイオード1と2のカソード・GND間に抵抗R1、R2及びR3を直列に接続して分圧し、抵抗R1・R2接続部の電圧を電圧VA(第1の電圧)、抵抗R2・R3接続部の電圧を電圧VC(第2の電圧)としたが、実施形態5では、図9に示すように、ダイオード1と2のカソード・GND間に抵抗R1及びR10を直列に接続して分圧し、抵抗R1・R10接続部から電圧VA5を取り出す点が異なる。実施形態5では、電圧VA5をXコンデンサC100の電圧の変化状態を検出する際の基準の電圧としている。
なお、ダイオード1と2のカソード・GND間には、抵抗R1-R10-GNDの経路と並列に、図1等と同様に抵抗R20-スイッチSD-GNDの経路が設けられている。
【0083】
次に、オペアンプOP51及びサンプル・ホールド回路SH5について説明すると、実施形態5では、分圧部(抵抗R1・R10接続部)とサンプル・ホールド回路(SH5)との間に、オペアンプOP51を設けた点が実施形態1~4と異なる。
オペアンプOP51について説明すると、抵抗R1・R10の接続部はオペアンプOP51の非反転入力端子(+)に接続されている。オペアンプOP51の反転入力端子(-)はオペアンプOP51の出力端子に接続されている。オペアンプOP51は入力電圧VA5と同じ電圧VA5′が出力される所謂ボルテージフォロア回路を構成しバッファーの働きをさせている。オペアンプOP51から出力された電圧VA5′はサンプル・ホールド回路SH5に入力される。
サンプル・ホールド回路SH5は、サンプル・ホールド回路SH1(図1参照)等と同様の回路で、スイッチSW5とコンデンサC5を有する。スイッチSW5の一方の側がサンプル・ホールド回路SH5の入力部で、他方の側がコンデンサC5の一方の側に接続され、サンプル・ホールド回路SH5の出力部となる。コンデンサC5の他方の側は接地されている。サンプル・ホールド回路SH5は、スイッチSW5をオンしてオペアンプOP51の出力電圧VA5′をサンプルし、スイッチSW5をオフしサンプルした電圧をコンデンサC5にホールドしてサンプル・ホールド電圧VB5として出力する。
【0084】
次に、実施形態5ではレベルシフト回路LSを設けた点が実施形態1~4と異なる。
レベルシフト回路LSについて説明すると、レベルシフト回路LSは、抵抗R1・R10の接続部と、比較器OP5の非反転入力端子(+)との間に設けられている。レベルシフト回路LSは、抵抗R1・R10の接続部の電圧VA5を入力し、レベルシフトした電圧VC5として出力する。即ち、入力した電圧VA5を、(VA5-VJ)分、降下(レベルシフト)させた電圧VC5として出力する(VJは基準電圧又は定電圧)。
レベルシフト回路LSは、オペアンプOP52と抵抗R21、R22、R23及びR24(R21~R24は同じ抵抗値)とを有する。
オペアンプOP52の反転入力端子(-)には抵抗R21及び抵抗R22の一方の側が接続され、抵抗R21の他方の側はオペアンプOP52の出力端子に接続されている。抵抗R22の他方の側は基準電圧(定電圧)VJによりバイアスされている。オペアンプOP52の出力端子はレベルシフト回路LSの出力部となっている。
オペアンプOP52の非反転入力端子(+)には抵抗R23及びR24の一方の側が接続されている。抵抗R23の他方の側は接地されている(GNDに接続)。抵抗R24の他方の側は、レベルシフト回路LSの入力部を構成し、抵抗R1・R10接続部に接続されている(電圧VA5を入力)。
【0085】
比較器OP5について説明すると、比較器OP5の反転入力端子(-)は、サンプル・ホールド回路SH5の出力部(コンデンサC5のGNDと反対側)に接続され、サンプル・ホールド回路SH5から出力された電圧VB5が入力される。
比較器OP5の非反転入力端子(+)は、レベルシフト回路LSの出力部(オペアンプOP52の出力端子)に接続され、レベルシフト回路LSから出力された電圧VC5が入力される。
比較器OP5は、反転入力端子(-)のサンプル・ホールド電圧VB5と、非反転入力端子(+)の電圧VC5とを比較演算することにより、電圧VA5の変化を検出する。非反転入力端子(+)の電圧VC5が反転入力端子(-)のVB5より大きいときは、比較器OP5から出力される電圧VD5はHレベル(ハイレベル)、その逆のときはLレベル(ローレベル)となる。
比較器OP5から出力された電圧VD5はカウンタ部CNTに入力される。カウンタ部CNTは実施形態1~4と同様に電圧VD5に一定時間変化がないと電圧VEをLレベルからHレベルに変化させてスイッチSDをオンしXコンデンサC100に蓄積された電荷を放電する。
【0086】
図10は、実施形態5に係る電源装置105(及びその制御回路15)における動作タイミングを説明するための図である。
図10には、上から順に、電圧VA5のタイミングチャート、クロックパルスCPのタイミングチャート、電圧VA5・電圧VB5・電圧VC5を重ねて描いたタイミングチャート、電圧VD5のタイミングチャート、電圧VEのタイミングチャート等が記載されている。
図10の下部には、図10の上から3番目の電圧VA5等を重ねて描いたタイミングチャート中で「L5」と示された箇所を「L5拡大」(図)として図示している。
図10のタイミングチャートは図1等のタイミングチャートと重複する点が多いので説明を省略する。
【0087】
[実施形態6]
実施形態6は実施形態5を変形した実施形態である。
実施形態5ではサンプル・ホールド回路SH5から出力された電圧VB5を比較器OP5の反転入力端子(-)に入力し、レベルシフト回路LSから出力された電圧VC5を比較器OP5の非反転入力端子(+)に入力し、比較器OP5でそれらの大小関係を比較演算してその比較演算結果を電圧VD5として出力しカウンタ部CNTに入力する(図9参照)のに対し、実施形態6ではサンプル・ホールド回路SH5の後段に減算回路201を設け、比較器OP62の非反転入力端子(+)に減算回路201から出力される電圧VG(=VA5-VB5)を入力し、比較器OP62の反転入力端子(-)に一定の電圧(基準電圧)VKを入力(印加、バイアス)し、比較器OP62でそれらの大小関係を比較演算してその比較演算結果を電圧VD6として出力しカウンタ部CNTに入力する(図11参照)点が異なる。
【0088】
図11は、実施形態6に係る電源装置106(及びその制御回路16)の回路構成を説明するための図である。図11図9等と同じ符号は同じ構成を意味し同様の作用効果を奏するので重複する説明は極力省略する。
実施形態6の制御回路16は、オペアンプOP51等よりなるボルテージフォロア回路、その後段のサンプル・ホールド回路SH5、その後段の減算回路201、その後段の比較器OP62、その後段のカウンタ部CNT等を有する。減算回路201にはサンプル・ホールド回路SH5から出力された電圧VB5と抵抗R1・R10の接続部の電圧VA5とが入力され、両者の電圧差が電圧VG(=VA5-VB5)として減算回路201から出力される。
【0089】
減算回路201について説明すると、減算回路201は、オペアンプOP61、並びに、抵抗R31、R32、R33及びR34(R31~R34は同じ抵抗値)で構成されている。
減算回路201を構成するオペアンプOP61の反転入力端子(-)には抵抗R33及び抵抗R34の一方の側が接続され、抵抗R34の他方の側はオペアンプOP61の出力端子に接続されている。オペアンプOP61の出力端子は減算回路201の出力部を構成する。抵抗R33の他方の側は減算回路201の2つの入力部のうちの1つを構成し、サンプル・ホールド回路SH5の出力部(コンデンサC5の一方の側)に接続され、電圧VB5が入力される。
オペアンプOP61の非反転入力端子(+)には抵抗R31とR32の一方の側が接続されている。抵抗R32の他方の側は接地(GND)されている。
抵抗R31の他方の側は減算回路201の2つの入力部のうちの他の1つを構成し、
抵抗R1・R10接続部に接続され、電圧VA5が入力される。
このように構成された減算回路201には電圧VB5と電圧VA5が入力され、それらの差の電圧VG(=VA5-VB5)が出力される(比較器OP62から出力される)。
【0090】
次に比較器OP62について説明すると、比較器OP62の非反転入力端子(+)には減算回路201から出力される電圧VG(=VA5-VB5)が入力され、反転入力端子(-)には一定の電圧(基準電圧)VKが入力されている。比較器OP62は、電圧VG(=VA5-VB5)と一定の電圧(基準電圧)VKとを比較演算してその比較演算結果を電圧VD6として出力する。
比較器OP62から出力される電圧VD6はカウンタ部CNTに入力され、カウンタ部CNTからHレベルの電圧VEが出力されるとスイッチSDがオンし、XコンデンサC100に蓄積された電荷が放電される。
【0091】
図12は、実施形態6に係る電源装置106(及びその制御回路16)における動作タイミングを説明するための図である。図13は、図12の一部(符号L6で示された箇所)を拡大して説明するための図である。
図12及び図13のタイミングチャートは図1等と重複する点が多く、重複する点については説明を極力省略する。
図12には、上から順に、電圧VA5のタイミングチャート、クロックパルスCPのタイミングチャート、電圧VA5・電圧VB5を重ねて描いたタイミングチャート、電圧VG(=VA5-VB5)のタイミングチャート、電圧VD6のタイミングチャート、電圧VEのタイミングチャート等が記載されている。
【0092】
電圧VG(=VA5-VB5)のタイミングチャートについて説明すると、電圧VGは抵抗R1・R10接続部の電圧VA5と、電圧VA5′をサンプル・ホールドした電圧VB5とを減算回路201で減算した電圧であるため、その電圧波形は図12及び図13に示すようなノコギリ歯形状の波形となっている。
比較器OP62の非反転入力端子(+)には減算回路201から出力される電圧VGが入力されるが、反転入力端子(-)には一定の電圧(基準電圧)VKが入力されるため、比較器OP62は、電圧VGと電圧VKとを比較演算してその比較演算結果を電圧VD6として出力する(図12及び図13参照)。
なお、電圧VKは電圧VG(電圧VA5と電圧VB5との差)との大小関係を比較する基準となる電圧であり、容易に変更することが可能である。例えば、電圧VKを小さくすると電圧VG(電圧VA5と電圧VB5との差)が小さくても比較・検出できる、逆に電圧VKを大きくすると電圧VG(電圧VA5と電圧VB5との差)が一定の大きさ以上の場合の比較・検出が可能となるためノイズの影響を受け難い、等の効果がある。
比較器OP62から出力される電圧VD6はカウンタ部CNTに入力される。カウンタ部CNTは実施形態1~5と同様に電圧VD6に一定時間変化がないと電圧VEをLレベルからHレベルに変化させてスイッチSDをオンしXコンデンサC100に蓄積された電荷を放電する。
【0093】
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0094】
(1)上記実施形態1~6では、スイッチ(SD、SW1、SW2等)にMOSFET素子を用いたが、MOSFET素子の代わりにIGBT素子等の他の半導体を用いる。
(2)上記実施形態1~6では図1等に示す制御回路11等を用いたが、これをマイクロプロセッサに置き換える。これにより、ハードウエアを変更せずソフトウエアを変更することにより制御条件を変更し柔軟な放電制御が可能となる。
【符号の説明】
【0095】
11、12、13、14、15、16…制御回路、101、102、103、104、105、106…電源装置、AC…交流、DC…直流、AC1、AC2…入力端子、OUT…出力、OUT1、OUT2…出力端子、C21…(平滑用)コンデンサ、C1、C2、C4、C5…(サンプル・ホールド用)コンデンサ、C100…コンデンサ(Xコンデンサ)、COV…DC-DCコンバーター、51…AC-DCコンバーター、REC…整流回路、D1、D2、D21、D22、D23、D24…ダイオード、R1、R2、R3、R10…(分圧用)抵抗、R20…(放電用)抵抗、R21、R22、R23、R24、R31、R32、R33、R34…抵抗、SW1、SW2、SW4、SW5…(サンプル・ホールド用)スイッチ、SW41、SW42、SW43…(回路切替用)スイッチ、SD…(放電用)スイッチ、SH1、SH2、SH4、SH5…サンプル・ホールド回路、OP1、OP2、OP4、OP5,OP62…比較器、OP51、OP52、OP61…オペアンプ、CNT…カウンタ部、OR1…論理和素子、LS…レベルシフト回路、201…減算回路、CP…クロックパルス、VA…抵抗R1・R2接続部の電圧、VC…抵抗R2・R3接続部の電圧、V10…抵抗R1・R10接続部と抵抗R2・R3接続部の電圧差、VA5…抵抗R1・R10接続部の電圧、VA5´…オペアンプOP51から出力される電圧、VB1…抵抗R1・R2接続部(電圧VA)のサンプル・ホールド電圧、VB2…抵抗R2・R3接続部(電圧VC)のサンプル・ホールド電圧、VB5…オペアンプOP51の出力電圧(電圧VA5′)のサンプル・ホールド電圧、VC5…レベルシフト回路LSから出力される電圧、VD1…比較器OP1から出力される電圧、VD2…比較器OP2から出力される電圧、VD3…論理和素子OR1から出力される電圧、VD4…比較器OP4から出力される電圧、VD5…比較器OP5から出力される電圧、VD6…比較器OP62から出力される電圧、VE…カウンタ部CNTから出力される電圧(放電指令用)、t11、t12、t13、t21、t22、t23…時刻、T…周期、T11、T21…放電開始までの所定の時間、T10…サンプル・ホールド周期、VJ、VK…基準電圧(一定の電圧)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15