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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】ベース付きランプおよび加熱装置
(51)【国際特許分類】
   H01K 1/46 20060101AFI20230220BHJP
   H01K 3/16 20060101ALI20230220BHJP
   H01K 5/02 20060101ALI20230220BHJP
   H01K 7/00 20060101ALI20230220BHJP
   H05B 3/02 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
H01K1/46 E
H01K3/16 B
H01K5/02
H01K7/00 N
H05B3/02 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019159236
(22)【出願日】2019-09-02
(65)【公開番号】P2021039858
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106862
【弁理士】
【氏名又は名称】五十畑 勉男
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 勇哉
(72)【発明者】
【氏名】河村 忠和
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-158568(JP,A)
【文献】特開2011-141980(JP,A)
【文献】特開2012-048830(JP,A)
【文献】特開2015-082075(JP,A)
【文献】特開2017-191673(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02176587(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01K 1/46
H01K 3/16
H01K 5/02
H01K 7/00
H05B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光管と、その端部に設けられた封止部を備え、当該封止部から外部リードが突出してなるフィラメントランプと、前記封止部が嵌合されるベースを備えてなるベース付きランプにおいて、
前記ベースの内部には、給電線に取り付けられた板状の給電端子が収容され、該給電端子と前記外部リードが接合される収容空間が形成されるとともに、
当該収容空間を通るように前記ベースを貫通して溶接孔が設けられており、
前記ベースには前記給電端子が前記収容空間にまで挿通可能な端子挿通孔が設けられており、
前記給電端子は前記収容空間内で回動して当該収容空間内に保持されるものであり、前記フィラメントランプの軸方向において前記給電端子を前記収容空間の前記封止部側の内壁面と離間するように、前記外部リードと前記給電端子が溶接接合されていて、
前記ベースが、前記給電端子に対して軸方向で移動可能に構成されていることを特徴とするベース付きランプ。
【請求項2】
前記収容空間内部には、前記給電端子の回動範囲を規制する係合突起が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のベース付きランプ。
【請求項3】
前記端子挿通孔は端子形状に則した扁平形状であり、
当該端子挿通孔は、その長手方向軸が前記溶接孔の貫通方向に対して傾斜するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のベース付きランプ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のベース付きランプが取り付けられている加熱装置であって、
前記ベースを取り付け支持する受け具を備え、
前記ベースは、前記フィラメントランプの軸方向において前記給電端子を前記収容空間の前記封止部側の内壁面と離間させた状態で前記受け具に取り付け支持されることを特徴とする加熱装置。
【請求項5】
前記ベースは、前記収容空間の前記給電線側の内壁面と当接させた状態で前記受け具に取り付け支持されることを特徴とする請求項4に記載の加熱装置。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はベース付きランプ及びそのベース付きランプを備えた加熱装置に関するものであり、特に、ベース内でランプの外部リードに給電線の給電端子を溶接接合してなるベース付きランプおよび加熱装置に係わるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、レーザービームプリンタなどのトナー定着用加熱光源として用いられるフィラメントランプにおいては、その両端の封止部から発光管外に導出される外部リードと、給電線に取り付けられた給電端子とをベース内で溶接接合するものが一般的に多用されている。
【0003】
そして、ベースと封止部の固定手段としては、セメントなどの接着剤を用いるものと、接着剤を用いない構造のものが知られている。接着剤を用いない固定方法としては、例えば、特許5454417号公報(特許文献1)や特許5454429号公報(特許文献2)、特開2017-191673号公報(特許文献3)等が知られており、軸方向の動きを規制でき寸法精度を高めたものやリード線横出しタイプなどが知られている。
【0004】
このように、ランプ封止部とベースの固定方法として、接着剤を用いない構造について種々の検討が進められており、これによりランプ軸方向の寸法精度は大幅に向上されている。
しかしながら、加熱装置内においてランプを固定する受け部が、当該ランプ点灯時に熱膨張を起こす場合があり、この熱膨張(ランプ消灯時には熱収縮)にランプが追従できず、ランプに大きな応力負荷がかかってしまうという問題があり、このような問題は、特にランプ軸方向の寸法精度が高くなるにつれて顕著となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許5454417号公報
【文献】特許5454429号公報
【文献】特開2017-191673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来技術の問題点に鑑みて、本発明の課題は、発光管の両端部に設けられたベース内で、外部リードと給電線とを溶接接続する構造のベース付きランプにおいて、軸方向の寸法精度を維持しつつ、ランプが組み込まれる加熱装置の熱膨張にも追従して応力負荷のかからない構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明のベース付きランプでは、発光管と、その端部に設けられた封止部を備え、当該封止部から外部リードが突出してなるフィラメントランプと、前記封止部が嵌合されるベースを備えてなるベース付きランプにおいて、前記ベースの内部には、給電線に取り付けられた板状の給電端子が収容され、該給電端子と前記外部リードが接合される収容空間が形成されるとともに、当該収容空間を通るように前記ベースを貫通して溶接孔が設けられており、前記ベースには前記給電端子が前記収容空間にまで挿通可能な端子挿通孔が設けられており、前記給電端子は前記収容空間内で回動して当該収容空間内に保持されるものであり、前記フィラメントランプの軸方向において前記給電端子を前記収容空間の前記封止部側の内壁面と離間するように、前記外部リードと前記給電端子が溶接接合されていて、前記ベースが、前記給電端子に対して軸方向で移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0008】
また、前記収容空間内部には、前記給電端子の回動範囲を規制する係合突起が形成されていることを特徴とする。
また、前記端子挿通孔は端子形状に則した扁平形状であり、当該端子挿通孔は、その長手方向軸が前記溶接孔の貫通方向に対して傾斜するように形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、前記ベース付きランプが取り付けられている加熱装置において、当該加熱装置は、前記ベースを取り付け支持する受け具を備え、前記ベースは、前記フィラメントランプの軸方向において前記給電端子を前記収容空間の前記封止部側の内壁面と離間させた状態で前記受け具に取り付け支持されることを特徴とする。
また、前記ベースは、前記収容空間の前記給電線側の内壁面と当接させた状態で前記受け具に取り付け支持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、給電端子を、収容空間におけるフィラメントランプの封止部側の内壁面から離間するように、外部リードと給電端子が溶接接合され、ベースが軸方向で移動可能に構成されているので、加熱装置内においてランプを固定する受け部が、ランプ点灯時に熱膨張を起こすことがあっても、ベースがランプに対して軸方向に移動できるので、ランプに不所望の応力負荷をかけることがなく、その破損を未然に防止できるものである。
また、給電端子を、収容空間におけるフィラメントランプの給電線側の内壁面と当接させた状態で、加熱装置の受け具に取り付け支持することで、当該加熱装置におけるランプ発光管の軸方向の位置を適正かつ的確に維持することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のベース付きランプの端部の斜視図。
図2図1の端部の拡大断面図。
図3図2の90°角度を変えた断面図。
図4】本発明の他の実施例の端部の拡大断面図。
図5】本発明の更に他の実施例の端部の断面図(A)、そのX-X断面図(B)。
図6】本発明のベースの側面図(A)、他の実施形態の側面図(B)。
図7】本発明のベースの端子挿通孔の他の実施例の側面図。
図8】本発明のベース付きランプを装置に取り付ける構造の一例の断面図。
図9図8の両端部の拡大断面図(A)、熱膨張時の断面図(B)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に本発明の対象となるベース付きランプの端部の斜視図が示されていて、ベース付きランプ1の発光管2の端部にはベース3が取り付けられており、当該ベース3にはこれを軸方向と直交して貫通するように溶接孔31が形成され、更に、ベース3の端部には軸方向に端子挿通孔32が形成されている。
なお、図1にはランプ1の一端側のみが示されているが、他端部側も同様な構造である。
図2にはベース3を含むフィラメントランプ1の端部の断面構造が示されていて、図3には図2の角度を90度回転させた断面構造が示されている。
更に、前記ベース3の他端部には軸方向に封止部挿入孔33が形成されるとともに、中心部には収容空間34が形成されていて、これら封止部挿入孔33と収容空間34は連通孔35を介して連通している。
また、図3で示されるように、前記した溶接孔31はこの収容空間34に直交するように連通するとともに、前記端子挿通孔32は当該収容空間34に軸方向に連通している。
【0013】
ベース付きランプ1の発光管2の端部の封止部21がベース3の封止部挿入孔33内に挿入されており、一方、給電線5に接続された板状の給電端子6が端子挿通孔32を介してベース3の収容空間34内に挿入収容されている。
このとき、図2に最もよく示されるように、給電端子6は、その軸方向幅Aは、前記収容空間34の軸方向寸法Bよりも小さくされていて、収容空間34内では、ランプ1の軸方向において若干量の余裕がある。
【0014】
この板状の給電端子6は端子挿通孔32を介して収容空間34内に収容された後に、所定角度だけ回動されて収容空間34から抜け出ることが防止されている。このとき、前記給電端子6は、前記フィラメントランプ1の軸方向における前記収容空間34の前記封止部21側の内壁面34bと離間させた状態で位置される。
そして、板状の給電端子6は収容空間34内で回動された後、当該給電端子6の平面部が前記溶接孔31に対面するように配置される。
一方、ランプ1の封止部21から導出している外部リード4が連通孔35を経て収容空間34内の給電端子6にまで延びていて、給電端子6と重なるように位置する。
その状態で、図3で示される上下の溶接孔31内に、図示しない溶接治具が挿入されて外部リード4と給電端子6とが溶接接合される。
これにより、前記ベース3は、前記ランプ1に対して軸方向で若干量だけ移動可能とされている。
【0015】
しかして、ランプ1を加熱装置に組込む際には、図2に示されるように、ベース3を加熱装置の受け具10に取り付け支持する構成とするが、加熱装置、即ち、受け具10が熱膨張することがあっても、ベース3がランプ1に対して軸方向に移動可能であることにより、装置側の熱膨張を吸収してランプ1に不所望の応力負荷をかけることがなくなる。
【0016】
図4に加熱装置にベース付きランプを取り付ける際の他の実施例が示されていて、給電端子6は、ランプ1の軸方向において、収容空間34における給電線5側の内壁面34aに当接するように配置されていて、この状態でベース3を加熱装置側の受け具10に取り付けるものであり、こうすることで、加熱装置に対して、ランプ発光管の軸方向の位置を適正かつ的確に維持することができるものである。
【0017】
図5(A)(B)に更に他の実施例が示されていて、ベース3の収容空間34内に、給電端子6の回動を規制する係合突起8が設けられたものである。
これにより、図5(B)に示すように、給電端子6が収容空間34内に端子挿通孔32を介して挿入された後に回動されるとき、給電端子6は係合突起8によって所定の回動位置で停止され、溶接孔31に対して適正な位置に対向配置することができ、溶接作業が的確、かつ、容易に行われる。通常は、板状の給電端子6の平面が溶接孔31の貫通方向に対して、ほぼ直交するように配置される。
なお、係合突起8は、収容空間34の封止部21側の内壁面34bに形成したものが示されているが、収容空間34の円周状内壁面34cの溶接孔31のない部位に形成することもできる。また、係合突起8は一対の2つのものが示されているが、1つであってもよい。
【0018】
図6に端子挿通孔32の構造・配置の具体例が示されていて、図6(A)では、端子挿通孔32は断面長方形をしており、その長手方向軸Xが溶接孔31の貫通方向Yと一致している。
また、図6(B)では、端子挿通孔32の長手方向軸Xが溶接孔31の貫通方向Yに対して傾斜している。こうすることで、給電端子6を収容空間34内で回動して溶接孔31の貫通方向Yに直交配置する際に、回動量を少なくできて作業効率が向上する。
【0019】
図7に端子挿通孔32の他の実施例が示されていて、端子挿通孔32は中央の円形断面形状の給電線挿通部32aと、その上下に形成された四角形断面形状の給電端子挿通部32bとからなるものである。この実施例によれば、給電端子6の挿通時に、給電線5が、給電線形状に則した形状の給電線挿通部32aによってガイドされるので、給電端子6が不必要にぶれることがなく、挿通作業が容易になる。
なお、この実施例においても、図6(B)に示すように、端子挿通孔32の長手方向軸を溶接孔31の貫通方向に対して傾斜してもよい。
【0020】
図8に本発明のベース付きランプ1を加熱装置に取り付ける構造の一例が示されていて、ベース付きランプ1は、その両端のベース3で加熱装置の受け具10に取り付けられている。
【0021】
図9(A)にその詳細が示されていて、ベース付ランプ1の両端のベース3を、加熱装置の受け具10に取り付けた場合における、収容空間34内の給電端子6の位置関係を例示的に示したものである。
この給電端子6は、前記収容空間34の給電線5側の内壁面34aによって、ランプ発光管の軸方向での移動が規制され、ランプ発光管の位置が適正に定められる。
また、前記給電端子6は、前記収容空間34の封止部21側の内壁面34bと離間された状態で配置されている。
このような取り付け構造において、上記したように、受け具10が熱的影響により熱膨張することがあっても、ベース3はランプ1の発光管2に対して移動可能にされていることにより、ランプ1の発光管2に不必要な応力をかけることがない。
【0022】
図9(B)は、加熱装置の受け具10が熱的影響により熱膨張した場合の受け具10とベース付きランプ1の両端のベース3、および、収容空間34内の給電端子6の相対的な位置関係を示したものである。
受け具10が熱膨張する場合、これに取り付けられたベース付ランプ1の両端のベース3は、それぞれ、矢印Aで示すように、収容空間34の封止部21側の内壁面34bが給電端子6に近接する方向に移動する。このとき、図9(A)に示すように、壁面34bと給電端子6は予め離間させた状態で保持させてあるので、受け具10が熱膨張した場合でもランプ1に応力負荷が掛かることがなく、ランプ1の破損を回避することができる。
【0023】
上記のように、本発明によれば、給電端子をベースの収容空間に端子挿通孔を介して挿入した位置から回動させるとともに、ランプの軸方向において前記給電端子を収容空間の前記ランプの封止部側の内壁面と離間させた状態で、前記ランプの外部リードと前記給電端子が溶接接合されていて、前記ベースが、前記給電端子に対して軸方向で移動可能に構成されているので、ランプを取り付ける装置側に熱膨張があったとしても、その熱膨張を吸収することができて、ランプに不所望の応力負荷をかけることがない。
また、前記給電端子を、収容空間におけるフィラメントランプの給電線側の内壁面と当接させた状態で、加熱装置の受け具に取り付け支持することで、当該加熱装置におけるランプ発光管の軸方向の位置を適正かつ的確に維持することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 :フィラメントランプ
2 :発光管
21 :封止部
3 :ベース
31 :溶接孔
32 :端子挿通孔
33 :封止部挿入孔
34 :収容空間
34a:給電線側内壁面
34b:封止部側内壁面
34c:円周状内壁面
35 :連通孔
4 :外部リード
5 :給電線
6 :給電端子
8 :係合突起
10 :(加熱装置の)受け具
X :端子挿通孔の長手方向軸
Y :溶接孔の貫通方向


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9