(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】コンクリートのはく落防止工法及びそれに用いるはく落防止シート
(51)【国際特許分類】
E01D 22/00 20060101AFI20230220BHJP
E21D 11/10 20060101ALI20230220BHJP
E04B 9/18 20060101ALI20230220BHJP
E04G 23/02 20060101ALI20230220BHJP
E04B 1/92 20060101ALI20230220BHJP
E04G 21/02 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
E01D22/00 B
E21D11/10 Z
E04B9/18 H
E04G23/02 C
E04B1/92
E04G21/02 104
(21)【出願番号】P 2019041100
(22)【出願日】2019-03-07
【審査請求日】2022-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】501352619
【氏名又は名称】三商株式会社
(72)【発明者】
【氏名】勝野 聖世
(72)【発明者】
【氏名】加藤 圭一
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-053601(JP,A)
【文献】特開2002-264250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 1/00-24/00
E21D 1/00-19/06
E21D 23/00-23/26
E04B 9/18
E04G 23/02
E04B 1/92
E04G 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱型直後のコンクリート表面に(1)プライマーを塗布した後に、(2)はく落防止シート
(繊維に合成樹脂を含浸させたものを除く)を貼り付けるコンクリートのはく落防止工法であって、使用するすべての構成材料が透明であり、
前記はく落防止シートが、少なくとも
透明なポリカーボネート層と
透明な粘着層とを積層したものであ
って、前記ポリカーボネート層の表面側に透明な紫外線吸収層を積層させてあることを特徴とするコンクリートのはく落防止工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートのはく落防止工法及びそれに用いるはく落防止シートに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物は劣化が進行するとその表面からコンクリート片が剥がれ落ち、コンクリート構造物自体の強度低下や小片の剥落による事故等の問題が生じている。この問題を解決するために従来、コンクリート表面にコンクリート剥落防止シートを被覆固定する工法であって、コンクリート表面に第1層としてプライマー兼接着剤を塗布し、その上から第2層としてコンクリート剥落防止シートを繊維糸ネットがコンクリート面となるように貼り合わせ、その上から第3層として接着剤を塗布する方法がある。(例えば、特許文献1参照。)。また、コンクリート構造物に対して、接着用ポリマーセメントモルタル及びメッシュ状シートでコンクリート構造物表面を被覆し、その上から水系塗料で被覆することを特徴とするコンクリート剥落防止工法がある(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
加えて近年、コンクリートの異常を目視により検知可能な工法として、透明塗膜によるはく落防止工法が提案されている。例えば、コンクリート構造物の突合せ部に、下塗り塗膜、繊維シート及び上塗り塗膜を備える積層体を形成させて、コンクリート構造物からのコンクリートの剥落を防止する方法であって、水系下塗り塗料及び水系上塗り塗料として引火点のない水系エマルジョン塗料を用いてクリアな下塗り塗膜及び上塗り塗膜を形成させ、また、繊維シートとして厚さが0.1~1.5mmで、目合いは一辺が1~15mmで、引張強度が200~1000(N/5cm)である繊維シートを用いることを特徴とする方法がある。(例えば、特許文献3参照。)。
【0004】
しかし、これらの工法は不透明でコンクリート表面に生じるひび割れなどの異常を目視により検知することが困難であったり、透明な材料を用いて目視可能であっても、何層にも塗り重ねる必要があるため工期がかかるという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-19146号公報
【文献】特開2013-19146号公報
【文献】特開2019-7313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、コンクリートのはく落を防止方法であって、十分な視認性を有する簡易な方法を提供する点である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のコンクリートはく落防止工法によれば、十分な視認性を有するとともに工期が短いという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】コンクリート天井面に本発明のはく落防止シートを貼り付けた状態を示した説明図である。
【
図2】コンクリート垂直面に本発明のはく落防止シートの別例を貼り付けた状態を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。本発明のコンクリートはく落防止工法は
図1に示すように、コンクリートとしてのコンクリート天井面1の表面に透明プライマー2としてのアクリル樹脂溶液を塗付量50g/m
2(不揮発分)で塗付して乾燥させた後、厚さ180μmの透明なポリカーボネート層3と厚さ60μmの透明な粘着層4とを積層させたはく落防止シート5をポリカーボネート層3側が外面になるようにして(すなわち、粘着層4がコンクリート表面側になるようにして)貼り付ける。
【0010】
本発明のコンクリートはく落防止工法に用いる構成材料は使用するすべての構成材料が透明であることが必要である。すべての構成材料が透明であることにより、コンクリート表面にひび割れ等の変状が生じた場合に目視で確認することができる。
【0011】
前記透明の度合いは可視光透過率で規定することができる。本発明で使用する各構成材料の可視光透過率は好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、最も好ましくは85%以上である。可視光透過率は可視光の全光線透過率をいい、JIS K7361-1プラスチック-透明材料の全光線透過率の試験方法-第1部:シングルビーム法、JIS R3106板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法等により測定することができる。
【0012】
前記コンクリートは天井面に限定されず、壁などの垂直面、トンネル内壁等の曲面に用いても良い。
【0013】
前記透明プライマー2はアクリル樹脂溶液に限らず、例えばウレタン樹脂溶液、エポキシ樹脂溶液、シリコーン樹脂溶液等を用いても良い。溶液は有機溶剤に溶解した状態で用いても良いし、乳化されたエマルジョンの状態で用いても良い。また、低粘度の樹脂を用いて無溶剤の状態で塗付しても良い。
【0014】
前記透明プライマー2は複数のプライマー2を塗り重ねて用いても良い。特にコンクリート表面が湿っている場合には、エポキシ樹脂プライマー2を塗付した後にアクリル樹脂プライマーを塗付することが好ましい。
【0015】
前記透明プライマー2にアクリル樹脂を用いる場合には、アクリル樹脂のガラス転移点は好ましくは20~-40℃であり、より好ましくは10~-30℃であり、最も好ましくは0~-20℃である。この範囲にあるとき、コンクリート表面とはく落防止シート5との密着性に優れる。
【0016】
前記透明プライマー2の塗付量は不揮発分に換算して好ましくは20~200g/m2であり、より好ましくは30~150g/m2であり、最も好ましくは40~120g/m2である。
【0017】
前記透明プライマー2には透明性を阻害しない範囲で通常のプライマーに添加される成分を添加することができる。例えば、増粘剤、消泡剤、pH調整剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等が挙げられる。
【0018】
前記はく落防止シート5はポリカーボネート層3と粘着層4とを積層したものであることが必要である。ポリカーボネート層3と粘着層4とを積層したものであることにより、コンクリート片のはく落防止効果と工期の短縮性とに優れる。
【0019】
前記ポリカーボネート層3はポリカーボネート製であることが必要である。ポリカーボネートを用いることにより、薄膜でコンクリート片のはく落防止性能に優れる。
【0020】
前記ポリカーボネートの厚さは好ましくは50~500μmであり、より好ましくは80~300μmであり、最も好ましくは100~200μmである。この範囲にあるとき、コンクリート片のはく落防止性能に優れる。
【0021】
前記ポリカーボネートの表面は平滑でも良いし、凹凸をつけても良い。適度な凹凸を付与して表面光沢を抑制することにより、自動車のヘッドライトの光を拡散反射させることができるため、運転者の視界を妨げるおそれが少ない。前記凹凸は艶消しの塗装やコーティングを行うことにより付与させても良い。
【0022】
前記粘着層4はアクリル樹脂であることが好ましい。アクリル樹脂を用いることにより耐候性に優れる。また、アクリル樹脂をイソシアネート、オキサゾリン基含有ポリマー等の架橋剤により架橋させて用いても良い。
【0023】
前記粘着層4の厚さは好ましくは10~150μm、より好ましくは30~120μm、最も好ましくは50~100μmである。この範囲にあるとき、コンクリート表面への密着性に優れるとともに、コンクリートのアルカリ成分がポリカーボネート層3に接触することを抑制することができる。
【0024】
前記はく落防止シート5の表面側(すなわちポリカーボネート層3の表面側)には、紫外線吸収層7を積層させることが好ましい。はく落防止シート5の表面側に紫外線吸収層7を積層させることにより、屋外でも長期にわたってコンクリート片のはく落防止効果を保持することができる。
【0025】
前記紫外線吸収層7は建設現場で塗装しても良いし、はく落防止シート5を製造する際にあらかじめコーティングしたものとしても良い。紫外線吸収層7をあらかじめコーティングしたものとすることにより、さらに工期を短縮することができる。
【0026】
前記紫外線吸収層7は任意に設定することができる。例えば、アクリル樹脂、アクリルシリコーン共重合樹脂等の合成樹脂に紫外線吸収剤を混合した塗料又はコーティング剤でも良いし、ポリカーボネート層3を成形する際に、紫外線吸収剤を練り込んで積層させても良い。例えば表層は紫外線吸収剤を練り込んだポリメタクリル酸メチル層とすることもできる。
【0027】
前記紫外線吸収層7の積層に替えて、ポリカーボネート層3に紫外線吸収剤を練り込んでも良い。
【0028】
前記紫外線吸収剤としては例えば、2-(2‘-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2‘-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5‘-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3‘,5’-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2‘-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2‘-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール]、6-(2-ベンゾトリアゾリル)-4-tert-オクチル-6’-tert-ブチル-4‘-メチル-2,2’-メチレンビスフェノール、2-(2H-ベンソトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2,2‘-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾール、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェノール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイロキシ)エトキシ]フェノール、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシロキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等のトリアジン系紫外線吸収剤、[2-ヒドロキシ-4-(オクチロキシ)フェニル](フェニル)メタノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、酸化鉄、酸化チタン等が挙げられる。
【0029】
前記紫外線吸収剤に加えて光安定化剤を併用しても良い。光安定化剤としては例えば、前記光安定化剤としては例えば、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル) ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル) ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル) セバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル) セバケート、ビス(1-ウンデカノキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カルボネート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート等のヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
【0030】
前記前記はく落防止シート5の表面側(すなわちポリカーボネート層3の表面側)には、粘着層4の粘着を抑制する離型層を積層させても良い。このように構成することにより、枚葉又はロール状ではく落防止シート5を製造する際に、該はく落防止シート5同士が粘着層4により密着しないようにするための離型紙を不要にすることができる。
【0031】
前記離型層はフッ素樹脂等を用いることができる。また、紫外線吸収層7にあらかじめフッ素樹脂等を混合又は添加することにより、単層で紫外線吸収効果と離型効果とを付与することができる。
【0032】
前記はく落防止シート5は枚葉でも良いし、ロールにした巻物状でも良い。
【0033】
前記はく落防止シート5の幅は好ましくは300~1500mm、より好ましくは400~1200mmである。この範囲にあるとき、貼付け作業性に優れるとともに、トンネル内壁の継ぎ目部分に貼り付けた場合に、継ぎ目の左右のひび割れが生じやすい部分を一度の貼付け作業で被覆することができる。
【0034】
前記はく落防止シート5はコンクリートの脱型直後に施工しても良いし、脱型後の養生が完了した後に施工しても良い。また、コンクリート打設後、数年から数十年経過した後の維持保全として施工しても良い。コンクリートの脱型直後に施工する場合には、コンクリートの水分揮発を抑制することができるため、急激な水分蒸発によるコンクリート強度の低下を抑制することができる。
【0035】
以上のように施工されたはく落防止シート5はコンクリート片のはく落防止効果を有しているとともに、コンクリート表面にひび割れ等の変状が生じた場合でも、その変状を目視により確認することができる。
【0036】
前記はく落防止工法により保護されたコンクリート構造物は、はく落防止シート5の表面に紫外線吸収層7を再塗装することにより、耐用年数を延長することができる。前記紫外線吸収層7の再塗装は数年から数十年単位で定期的に行うことが好ましい。
【実施例】
【0037】
以下、実施例及び比較例により本発明の効果を説明する。試験は、JIS A5372:2004(プレキャスト鉄筋コンクリート製品)に規定されているU形ふた、呼び名1種(400×600×60mm)の中央部をφ100mmの形状でコンクリート用コアドリルによりコア抜きをしたものを基板とし、実施例及び比較例の工法を用いて試験体とした。ここで、コア抜き方向は裏面(はく落防止工法施工面の反対の面)より55mm±3.0mmも深さで行った。続いて、NEXCO試験方法 試験法424 はく落防止の押抜き試験に準拠して押抜き試験を行い、変位が10mm以上における最大荷重Piが1.8kN以上であれば◎、1.5kN以上1.8kN未満であれば〇、1.5kN未満であれば×とした。
【0038】
実施例1に用いたはく落防止工法の試験体は、(工程1)透明プライマーとしてのアクリル樹脂(水性エマルジョン、不揮発分25質量%)を塗付量100g/m2で基板の表面に塗布して乾燥させた後、(工程2)厚さ130μmのポリカーボネート層3と厚さ60μmのアクリル樹脂粘着層とを積層させたはく落防止シートを、粘着層がプライマー塗付面になるよう貼り付けて試験体とした。試験体は目視によりコンクリート表面を観察することができた。はく落防止工法の総厚さは200μmであり、試験体作製に要した工程は2工程で、要した時間は3時間だった。押抜き試験の結果は〇だった。
【0039】
実施例2に用いたはく落防止工法の試験体は、(工程1)透明プライマーとしてのエポキシ樹脂(2液型、固形分100%)を塗付量150g/m2で塗付して硬化させた後、(工程2)プライマーとしてのアクリル樹脂(水性エマルジョン、不揮発分25質量%)を塗付量100g/m2で基板の表面に塗布して乾燥させた後、(工程3)厚さ180μmのポリカーボネート層3と厚さ30μmのアクリル樹脂粘着層とを積層させたはく落防止シートを、粘着層がプライマー塗付面になるよう貼り付けて試験体とした。試験体は目視によりコンクリート表面を観察することができた。はく落防止工法の総厚さは360μmであり、試験体作製に要した工程は3工程で、要した時間は10時間だった。押抜き試験の結果は〇だった。
【0040】
実施例3に用いたはく落防止工法の試験体は、(工程1)透明プライマーとしてのアクリル樹脂(水性エマルジョン、不揮発分45質量%)を塗付量120g/m2で基板の表面に塗布して乾燥させた後、(工程2)厚さ180μmのポリカーボネート層3と厚さ60μmのアクリル樹脂粘着層とを積層させたはく落防止シートを、粘着層がプライマー塗付面になるよう貼り付けて試験体とした。該はく落防止シートのポリカーボネート層3の表面側には厚さ5μmの紫外線吸収層を設けた。試験体は目視によりコンクリート表面を観察することができた。はく落防止工法の総厚さは250μmであり、試験体作製に要した工程は2工程で、要した時間は4時間だった。押抜き試験の結果は◎だった。
【0041】
実施例4に用いたはく落防止工法の試験体は、(工程1)透明プライマーとしてのアクリル樹脂(水性エマルジョン、不揮発分55質量%)を塗付量80g/m2で基板の表面に塗布して乾燥させた後、(工程2)厚さ250μmのポリカーボネート層3と厚さ90μmのアクリル樹脂粘着層とを積層させたはく落防止シートを、粘着層がプライマー塗付面になるよう貼り付け、(工程3)さらに表面に紫外線吸収塗料を塗付量50g/m2で塗り付けて試験体とした。試験体とした。試験体は目視によりコンクリート表面を観察することができた。はく落防止工法の総厚さは350μmであり、試験体作製に要した工程は3工程で、要した時間は5時間だった。押抜き試験の結果は◎だった。
【0042】
比較例1に用いたはく落防止工法の試験体は、(工程1)下塗り塗料としての透明エポキシ樹脂塗料を塗付量100g/m2で基板の表面に塗布して乾燥する前に、(工程2)ガラス繊維シート(厚さ:0.14mm、目合い:0.5mm、引張強度(縦:800、横:800(N/5cm)(糸本数、縦:40本、横:35本))を貼り合わせ、(工程3)上塗り塗料としての透明エポキシ樹脂塗料を塗付量200g/m2で塗り付けて試験体とした。試験体は目視によりコンクリート表面を観察することができた。はく落防止工法の総厚さは300μmであり、試験体作製に要した工程は3工程で、要した時間は24時間だった。押抜き試験の結果は×だった。
【0043】
比較例2に用いたはく落防止工法の試験体は、(工程1)下塗り塗料としての透明アクリル樹脂塗料を塗付量50g/m2で基板の表面に塗布して乾燥させた後、(工程2)中塗り塗料としての透明アクリル樹脂塗料を1000g/m2で塗付して乾燥する前に、(工程3)ガラス繊維シート(厚さ:0.25mm、目合い:5mm、引張強度(縦:510、横:550(N/5cm)(糸本数、縦:10本、横:10本)))を貼り合わせ、(工程4)上塗り塗料としての透明アクリル樹脂塗料を塗付量100g/m2で塗り付けて試験体とした。試験体は目視によりコンクリート表面を観察することができた。はく落防止工法の総厚さは800μmであり、試験体作製に要した工程は4工程で、要した時間は48時間だった。押抜き試験の結果は〇だった。
【0044】
比較例3に用いたはく落防止工法の試験体は、(工程1)下塗り塗料としての不透明エポキシ樹脂塗料を塗付量50g/m2で基板の表面に塗布して乾燥させた後、(工程2)中塗り塗料としての不透明エポキシ樹脂塗料(ガラス繊維入り)を1500g/m2で塗付して乾燥させ、(工程3)上塗り塗料としての不透明アクリル樹脂塗料を塗付量120g/m2で塗り付けて試験体とした。試験体は目視によりコンクリート表面を観察することができなかった。はく落防止工法の総厚さは1000μmであり、試験体作製に要した工程は3工程で、要した時間は16時間だった。押抜き試験の結果は〇だった。
【0045】
比較例4に用いたはく落防止工法の試験体は、(工程1)下塗り塗料としての透明アクリル樹脂塗料を塗付量50g/m2で基板の表面に塗布して乾燥させた後、(工程2)中塗り塗料としての透明アクリル樹脂塗料を1000g/m2で塗付して乾燥する前に、(工程3)上塗り塗料としての透明アクリル樹脂塗料を塗付量100g/m2で塗り付けて試験体とした。試験体は目視によりコンクリート表面を観察することができた。はく落防止工法の総厚さは600μmであり、試験体作製に要した工程は3工程で、要した時間は48時間だった。押抜き試験の結果は×だった。
【符号の説明】
【0046】
1 コンクリート天井面
2 プライマー
3 ポリカーボネート層
4 粘着層
5 はく落防止シート
6 コンクリート垂直面
7 紫外線吸収層