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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】作物収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 45/22 20060101AFI20230220BHJP
   A01F 11/00 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
A01D45/22 A
A01F11/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020108269
(22)【出願日】2020-06-23
(65)【公開番号】P2022002500
(43)【公開日】2022-01-11
【審査請求日】2022-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(73)【特許権者】
【識別番号】599118768
【氏名又は名称】株式会社斎藤農機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】木下 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】崎山 洋佑
(72)【発明者】
【氏名】杉岡 将人
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 満
(72)【発明者】
【氏名】高橋 草太
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-000084(JP,A)
【文献】特開2003-174820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 43/00 - 43/04
43/08 - 46/30
51/00
A01F 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場の作物を収穫する収穫部と、
前後方向に沿って移動するように回転駆動される無端の搬送体と、
平面視で前記搬送体と交差する方向で且つ水平方向に沿った軸芯周りに回転駆動される回転体を有し、前記搬送体に対して右側又は左側に配置された分離部とが備えられ、
前記収穫部により収穫された作物の株元が、前記搬送体により支持されて、前記搬送体が回転駆動されることにより作物が横倒れ姿勢で搬送され、前記分離部において、前記搬送体により搬送される作物に前記回転体が当たることにより、作物から実が分離され、
作物の株元における前記搬送体から前記分離部の側に出る部分を下側から支持することにより、作物の実が付く部分を持ち上げる株元支持部が備えられている作物収穫機。
【請求項2】
前記株元支持部が、前記搬送体に対して前記分離部の側の位置に、前記搬送体に沿って配置されている請求項1に記載の作物収穫機。
【請求項3】
前記株元支持部が、側面視で、前記搬送体と重複するように配置され、且つ、前記搬送体よりも上側に突出しないように配置されている請求項2に記載の作物収穫機。
【請求項4】
前記搬送体に対して下側から前記搬送体を支持して、前記搬送体が前後方向に沿って移動するように支持する支持レールが備えられ、
前記株元支持部が、前記支持レールに取り付けられている請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の作物収穫機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の作物を収穫する作物収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
作物収穫機の一例である枝豆収穫機では、例えば特許文献1に開示されているように、圃場の作物を収穫する収穫部と、収穫部により収穫された作物の株元を支持して、作物を横倒れ姿勢で搬送する無端の搬送体と、搬送体により搬送される作物から実を分離する分離部とが備えられたものがある。
【0003】
特許文献1では、分離部が搬送体に対して右側に配置されており、分離部において、平面視で搬送体と交差する方向で且つ水平方向に沿った軸芯周りに回転駆動される回転体が設けられており、搬送体により搬送される作物に回転体が当たることにより、作物から実が分離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-201519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
搬送体により作物の株元が支持されて作物が横倒れ姿勢で搬送される場合、作物の実が付く部分が、作物の自重等により搬送体から斜め下向きの姿勢になることがある。
これに対して分離部の回転体は、水平方向に沿った軸芯周りに回転駆動されるので、前述のように作物の実が付く部分が斜め下向きの姿勢になると、回転体の姿勢に対して作物の実が付く部分が斜め姿勢となって、搬送体により搬送される作物に回転体が十分に当たることができず、作物から実が十分に分離されない状態を招く可能性がある。
【0006】
本発明は、作物収穫機において、搬送体により搬送される作物に回転体が十分に当たることができずに、作物から実が十分に分離されない状態を少なくすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の作物収穫機は、圃場の作物を収穫する収穫部と、前後方向に沿って移動するように回転駆動される無端の搬送体と、平面視で前記搬送体と交差する方向で且つ水平方向に沿った軸芯周りに回転駆動される回転体を有し、前記搬送体に対して右側又は左側に配置された分離部とが備えられ、前記収穫部により収穫された作物の株元が、前記搬送体により支持されて、前記搬送体が回転駆動されることにより作物が横倒れ姿勢で搬送され、前記分離部において、前記搬送体により搬送される作物に前記回転体が当たることにより、作物から実が分離され、作物の株元における前記搬送体から前記分離部の側に出る部分を下側から支持することにより、作物の実が付く部分を持ち上げる株元支持部が備えられている。
【0008】
本発明によると、搬送体により作物の株元が支持されて作物が横倒れ姿勢で搬送される場合、作物の株元における搬送体から分離部の側に出る部分が、株元支持部により下側から支持される。
これにより、作物の実が付く部分が斜め下向きの姿勢になろうとしても、作物の株元における搬送体から分離部の側に出る部分が、株元支持部により下側から支持されることによって、作物の実が付く部分が回転体に沿う姿勢に近い姿勢になるので、作物の実が付く部分が回転体に十分に当たる状態が得られ易くなるのであり、作物から実が十分に分離されない状態を少なくすることができる。
【0009】
本発明において、前記株元支持部が、前記搬送体に対して前記分離部の側の位置に、前記搬送体に沿って配置されていると好適である。
【0010】
本発明によると、株元支持部が、搬送体と分離部との間に配置されるのであり、作物の株元における搬送体から分離部の側に出る部分を下側から支持する機能を維持しながら、分離部の回転体との接触を避けるように無理なく配置される。
【0011】
本発明において、前記株元支持部が、側面視で、前記搬送体と重複するように配置され、且つ、前記搬送体よりも上側に突出しないように配置されていると好適である。
【0012】
株元支持部が側面視で搬送体よりも下側に配置されていると、株元支持部は、作物の株元における搬送体から分離部の側に出る部分を下側から支持する機能を十分に発揮することができない。
株元支持部が側面視で搬送体よりも上側に突出していると、株元支持部の支持作用により作物の株元が搬送体から上側に離れ易くなり、搬送体は、作物の搬送機能を十分に発揮することができない。
【0013】
本発明によると、株元支持部が側面視で搬送体と重複する位置に配置されることによって、株元支持部が、側面視で搬送体よりも下側に配置されることはなく、作物の株元における搬送体から分離部の側に出る部分に接触し易くなるので、株元支持部は、作物の株元における搬送体から分離部の側に出る部分を下側から支持する機能を十分に発揮することができる。
【0014】
本発明によると、株元支持部が側面視で搬送体よりも上側に突出しないように配置されることによって、株元支持部の支持作用により作物の株元が搬送体から上側に離れ易くなる状態を避けることができるので、搬送体は、作物の搬送機能を十分に発揮することができる。
【0015】
本発明において、前記搬送体に対して下側から前記搬送体を支持して、前記搬送体が前後方向に沿って移動するように支持する支持レールが備えられ、前記株元支持部が、前記支持レールに取り付けられていると好適である。
【0016】
本発明によると、搬送体を支持する支持レールに株元支持部が取り付けられることにより、支持レールは株元支持部の支持部材に兼用されることになるので、構造の簡素化の面で有利である。
【0017】
本発明によると、搬送体と株元支持部とが、共通の部材である支持レールに支持されるので、搬送体と株元支持部材との位置関係が精度良く設定されるようになって、株元支持部は、作物の株元における搬送体から分離部の側に出る部分を下側から支持する機能を十分に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】枝豆収穫機の左側面図である。
図2】枝豆収穫機の平面図である。
図3】搬送チェーン及びガイドレールの左側面図である。
図4】搬送チェーンの支持レールの斜視図である。
図5】収穫部の終端部、搬送チェーン及びガイドレールの始端部、姿勢変更部の付近の左側面図である。
図6】収穫部の終端部、搬送チェーン及びガイドレールの始端部の付近の斜視図である。
図7】収穫部の終端部、搬送チェーン及びガイドレールの始端部、株元ガイド部の付近の平面図である。
図8】分離部における第1の上側及び下側の回転体、搬送チェーン及びガイドレールの付近の縦断背面図である。
図9】搬送チェーンの分解斜視図である。
図10】ガイドレールの分解斜視図である。
図11】ガイドレールの始端部の付近の左側面図である。
図12】搬送チェーン及びガイドレールの付近の縦断背面図である。
図13】搬送チェーン及びガイドレールの平面図である。
図14】分離部における第1及び第2の上側の回転体の付近の平面図である。
図15】分離部における第1及び第2の下側の回転体の付近の平面図である。
図16図14及び図15におけるXVI方向から視た断面図である。
図17図14及び図15におけるXVII方向から視た断面図である。
図18】株元支持部の平面図である。
図19】株元支持部の右側面図である。
図20】株元支持部の斜視図である。
図21】発明の実施の第1別形態において。搬送チェーン及びガイドレールの付近の縦断背面図である。
図22】発明の実施の第2別形態において。搬送チェーン及びガイドレールの付近の縦断背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1図22に、作物収穫機の一例である枝豆収穫機が示されており、Fは前方向を示し、Bは後方向を示し、Uは上方向を示し、Dは下方向を示し、Rは右方向を示し、Lは左方向を示している。
【0020】
(枝豆収穫機の全体構成)
図1及び図2に示すように、右及び左のクローラ型式の走行装置2により、機体1が支持されており、機体1の前部の左部に収穫部3が設けられ、機体1の前部の右部に運転部4が設けられている。機体1の後部に分離部5が設けられ、機体1の右部に回収部6が設けられている。
【0021】
機体1の前進に伴って、収穫部3により圃場の起立姿勢の作物Aが、引き抜かれ持ち上げられて、起立姿勢に維持されながら収穫部3に沿って斜め上方の後方に搬送される。収穫部3の終端部において、作物Aは、姿勢変更部21により横倒れ姿勢に変更されて、搬送体である搬送チェーン22に受け渡される。
【0022】
作物Aは、搬送チェーン22により横倒れ姿勢で搬送されながら、分離部5において作物Aから実A2が分離される。分離された実A2が回収部6に回収され、実A2が分離された作物Aは搬送チェーン22の終端部から地面に放出される。
【0023】
(収穫部の構成)
図1及び図2に示すように、収穫部3の前部が下側で、収穫部3の後部が上側となるように、収穫部3が側面視で斜めの姿勢で、機体1の前部の左部に前後方向に沿って支持されている。収穫部3が、左右方向に沿った軸芯P1周りに上下揺動可能に、機体1の前部の左部の上部に支持されている。油圧シリンダ14が、機体1の前部と収穫部3とに亘って接続され、油圧シリンダ14により収穫部3が昇降操作される。
【0024】
収穫部3の前部において、斜め向きの上下方向に沿った軸芯周りに、右及び左の従動プーリー7が回転可能に支持されている。従動プーリー8,9が、上下に配置されて、従動プーリー7に対して上側の位置の斜め向きの上下方向に沿った軸芯周りに、一体で回転可能に支持されている。
【0025】
収穫部3の後部において、斜め向きの上下方向に沿った軸芯周りに、右及び左の駆動プーリー10が回転駆動可能に支持されている。ゴム製の右及び左の搬送ベルト11が、従動プーリー7,8に亘って取り付けられ、ゴム製の右及び左の搬送ベルト12が、従動プーリー9と駆動プーリー10とに亘って取り付けられている。
【0026】
右及び左の搬送ベルト11、右及び左の搬送ベルト12が、収穫部3の全長に亘って合わせられている。収穫部3に、多数のローラー13が回転可能に支持されており、ローラー13により、搬送ベルト11の合わせ部分の反対側、及び、搬送ベルト12の合わせ部分の反対側が支持されている。右及び左の搬送ベルト11と、右及び左の搬送ベルト12とが、捩じられることなく、直線的に斜め上方の後方に向けて延出されている。
【0027】
以上の構成により、機体1の前進に伴って、駆動プーリー10により従動プーリー7,8,9及び搬送ベルト11,12が回転駆動されて、圃場の起立姿勢の作物Aが、右及び左の搬送ベルト11の始端部に入り込んで挟持される。作物Aは、搬送ベルト11により引き抜かれて持ち上げられ、搬送ベルト12により起立姿勢に維持されながら。収穫部3に沿って斜め上方の後方に搬送される。
【0028】
(搬送チェーンの全体構成)
前述の(収穫部の構成)に記載のように、起立姿勢の作物Aが収穫部3(搬送ベルト12)の終端部に達すると、作物Aは、姿勢変更部21により起立姿勢から横倒れ姿勢に変更されながら、搬送チェーン22に受け渡される。
【0029】
図1図4に示すように、搬送チェーン22が、前後方向に沿って移動するように(回転駆動されるように)、機体1の左部に前後方向に沿って配置されて、ガイドレール23が、搬送チェーン22対して上側の位置を搬送チェーン22に沿って配置されている。
【0030】
図3及び図4に示すように、平板状の支持レール24が、収穫部3の終端部から分離部5の後部に亘って支持されている。支持レール24の前部24aが、収穫部3の終端部の下方の位置まで前方の斜め下方に延出されて(図5参照)、ガイドレール25が支持レール24の前部24aの外周部に連結されている。
【0031】
案内回転体26,27が支持レール24の後部に支持され、案内回転体28が支持レール24の前後中間部に支持されている。案内回転体29及び駆動回転体36が、機体1に支持されている。揺動アーム37が、左右方向に沿った軸芯P2周りに揺動可能に支持レール24に支持され、バネ38が揺動アーム37に接続されて、揺動アーム37が下方に付勢されており、案内回転体30が揺動アーム37の下部に支持されている。
【0032】
搬送チェーン22は、支持レール24の上面部及びガイドレール25、案内回転体26~30及び駆動回転体36に取り付けられている。支持レール24は、搬送チェーン22に対して下側から搬送チェーン22を支持して、搬送チェーン22が前後方向に沿って移動するように支持する。
【0033】
駆動回転体36により搬送チェーン22が図3の時計方向に回転駆動されて、搬送チェーン22における支持レール24の上面部及びガイドレール25の部分が前後方向に沿って後方に移動する。バネ38により揺動アーム37が下方に付勢されることにより、案内回転体30によって搬送チェーン22が張り状態に維持されている。
【0034】
(搬送チェーンの具体的構成)
図9,12,13に示すように、搬送チェーン22は、外側部材31、内側部材32、搬送接続部材である接続ピン34及びカラー35、位置決めピン33を有して、無端のチェーン状に構成されている。
【0035】
内側部材32は、細長い平板状(リンク状)に形成されて、前後中央部に側面視で三角形状の突部32aが設けられており、分離部5に近い側の位置を前後方向に沿って配置されている。
【0036】
外側部材31は、内側部材32と同様に細長い平板状(リンク状)に形成されて、前後中央部に側面視で三角形状の突部31aが設けられており、内側部材32に対して分離部5から遠い側である左側の位置を前後方向に沿って配置されている。
【0037】
多数の外側部材31が左右方向に交互に配置されながら、外側部材31の前部及び後部が重ね合わされている。多数の内側部材32が左右方向に交互に配置されながら、内側部材32の前部及び後部が重ね合わされている。
【0038】
内側部材32と外側部材31の間にカラー35が配置された状態で、接続ピン34が内側部材32と外側部材31、カラー35に挿入され、位置決めピン33が接続ピン34に取り付けられており、内側部材32と外側部材31とが間隔を空けて配置されるように、接続ピン34が内側部材32と外側部材31とに亘って接続されている。
【0039】
接続ピン34は、搬送チェーン22の移動方向(前後方向)に沿って互いに所定間隔W1を開けて配置されている。接続ピン34が外側部材31から内側部材32の反対側である左側に向けて突出して、接続ピン34の突出部分が突出部34aとなっている。これにより、複数の突出部34a(接続ピン34)が、搬送チェーン22から左側に向けて突出するように、搬送チェーン22に設けられている。
【0040】
(ガイドレールの構成)
図3及び図5に示すように、ガイドレール23が、搬送チェーン22に対して上側の位置を搬送チェーン22に沿って、搬送チェーン22の始端部(ガイドレール25の部分)の後部から、搬送チェーン22の終端部の近傍まで配置されている。
【0041】
姿勢変更部21(後述の(姿勢変更部の付近の構成)を参照)により横倒れ姿勢に変更された作物Aの株元A1が、搬送チェーン22とガイドレール23との間に挟持(支持)され、搬送チェーン22が回転駆動されることによって、作物Aが横倒れ姿勢で後方に搬送される。
【0042】
図10図13に示すように、ガイドレール23は、複数のレール部材40が接続されて構成されている。レール部材40は、板材が折り曲げられて構成されており、前後方向及び上下方向に沿った第1レール部分41と、第1レール部分41に対して分離部5から遠い側である左側の位置を前後方向及び上下方向に沿った第2レール部分42とを有している。
【0043】
レール部材40は、第1レール部分41と第2レール部分42とが間隔を空けて配置されるように、第1レール部分41と第2レール部分42とに亘って接続されたレール接続部分43を有している。
【0044】
第1レール部分41及び第2レール部分42の前部に、丸孔状の開口部41a,42aが開口されており、第1レール部分41及び第2レール部分42の後部に、長孔状の開口部41b,42bが開口されている。
【0045】
第1レール部分41の上下幅W11よりも、第2レール部分42の上下幅W12が長いものに設定されており、株元押圧部である第2レール部分42の下辺部42cが、第1レール部分41の下辺部41cよりも下側に配置されている。
【0046】
前後に隣接するレール部材40において、前側のレール部材40(第1レール部分41及び第2レール部分42)の開口部41b,42bと、後側のレール部材40(第1レール部分41及び第2レール部分42)の開口部41a,42aとに亘って、ピン39が挿入されることにより、複数のレール部材40が接続されている。
【0047】
図3,5,6,7に示すように、丸棒材により構成された案内部材61が、ガイドレール23の始端部のレール部材40に取り付けられている。案内部材61は、レール部材40の第1レール部分41に連結されており、斜め上方の前方に延出されている。
【0048】
(ガイドレールの支持構成)
図3,5,6,8に示すように、機体1の左部の上部に、前後方向に沿って支持フレーム44が支持されている。図8及び図11に示すように、パイプ状のガイド部材45が支持フレーム44に沿って所定間隔を空けて配置されており、ガイド部材45が支持フレーム44に上下方向に沿って取り付けられている。
【0049】
図8,10,11,12に示すように、支持ロッド46が、ガイド部材45に上下動可能に挿入されている。支持ロッド46の上端部に、リング状の止め部材47が取り付けられており、止め部材47がガイド部材45の上端部に当たることにより、支持ロッド46(ガイドレール23のレール部材40)の上下動の下限位置B11が決められる。
【0050】
チャンネル状の接続部材48が、支持ロッド46の下端部に連結されている。支持ロッド46における接続部材48よりも上側の部分に、付勢力調節部であるナット49が取り付けられ、円板状のバネ受け部材50がナット49に支持されている。バネ受け部材51が支持フレーム44(ガイド部材45)の下面部に取り付けられて、付勢部材であるバネ52,53がバネ受け部材50,51の間に取り付けられており、バネ52,53により支持ロッド46が下限位置B11に向けて付勢されている。
【0051】
ナット49を回転操作してバネ受け部材50の位置を支持ロッド46に沿って変更することにより、バネ52の付勢力を大小に調節することができるのであり、ガイドレール23における始端部よりも搬送下手側の部分を付勢するバネ52の付勢力が調節可能となっている。
【0052】
前述の(ガイドレールの構成)に記載のピン39が、接続部材48の開口部48aと、レール部材40(第1レール部分41及び第2レール部分42)の開口部41a,41b,42a,42bとに亘って挿入されることにより、レール部材40が支持ロッド46に支持されている。
【0053】
以上の構成により、ガイドレール23(レール部材40)が、搬送チェーン22に対して上側の位置を搬送チェーン22に沿って配置されている。
支持ロッド46が上下動することにより、ガイドレール23(レール部材40)が、搬送チェーン22(下限位置B11)から上側に離れる方向に移動可能に支持されている。
複数のバネ52,53が、ガイドレール23に沿って所定の間隔を空けて配置されており、バネ52,53は、ガイドレール23(レール部材40)を搬送チェーン22に向けて付勢する。
【0054】
(ガイドレールの始端部の構成)
図3,5,6,11に示すように、複数の支持ロッド46のうち、ガイドレール23の始端部の2本の支持ロッド46において、ナット49が廃止されて、バネ受け部材50が接続部材48に接触して支持されている。バネ52よりもバネ定数が小さく(柔らかく)且つ全長が長いバネ53が、バネ受け部材50,51の間に取り付けられている。
【0055】
これにより、複数のバネ52,53において、ガイドレール23の始端部を付勢するバネ53の付勢力が、ガイドレール23における始端部よりも搬送下手側の部分を付勢するバネ52の付勢力よりも弱いものに設定されている。
【0056】
ガイドレール23の始端部の2本の支持ロッド46に支持されたレール部材40において、このレール部材40(支持ロッド46)は、バネ53のバネ定数がバネ52のバネ定数よりも小さいことにより(付勢力が弱いことにより)、他のレール部材40(支持ロッド46)よりも上昇し易い。
【0057】
図3,5,6,8,11に示す状態は、止め部材47がガイド部材45の上端部に当たり、レール部材40(支持ロッド46)が下限位置B11に位置している状態である。
短いバネ52のバネ受け部材50が支持ロッド46の上下中間部分に設けられ、長いバネ53のバネ受け部材50が接続部材48の位置に設けられていることにより、全てのレール部材40(支持ロッド46)の下限位置B11が同じ位置となっている。
【0058】
レール部材40(支持ロッド46)が下限位置B11から上昇した場合、バネ52,53が密着状態となった位置が、ガイドレール23(レール部材40、支持ロッド46)の上限位置B21,B22である。
【0059】
バネ53の全長がバネ52の全長よりも長いこと、及び、短いバネ52のバネ受け部材50が支持ロッド46の上下中間部分に設けられていることにより、ガイドレール23の始端部の2本の支持ロッド46に支持されたレール部材40において、このレール部材40(支持ロッド46)の上限位置B21は、他のレール部材40(支持ロッド46)の上限位置B22よりも高い位置となっている。
【0060】
これにより、ガイドレール23の始端部の上限位置B21が、ガイドレール23における始端部よりも搬送下手側の部分の上限位置B22よりも、搬送チェーン22から上側に離れた高い位置に設定されている。
【0061】
(搬送チェーンとガイドレールとの位置関係)
図3及び図5に示すように搬送チェーン22の始端部(ガイドレール25の部分)が、ガイドレール23の始端部よりも収穫部3に近い側である前側に位置しており、ガイドレール23から下側に離れるように、ガイドレール23の始端部から収穫部3に向けて斜め下方に延出されている。
【0062】
案内部材61が、ガイドレール23の始端部から収穫部3に向けて、搬送チェーン22の始端部(ガイドレール25の部分)から上側に離れるように、斜め上方の前方に延出されている。
【0063】
図12及び図13に示すように、ガイドレール23の第1レール部分41は、平面視で搬送チェーン22の内側部材32と外側部材31との間の位置を、搬送チェーン22に沿って配置されている。言い換えると、ガイドレール23の第1レール部分41は、平面視で、搬送チェーン22における分離部5に近い側の位置を、搬送チェーン22に沿って配置されている。
【0064】
ガイドレール23の第2レール部分42は、搬送チェーン22(接続ピン34)の突出部34aの上方に位置するように、平面視で、搬送チェーン22の外側部材31に対して分離部5の反対側である左側の位置を、搬送チェーン22に沿って配置されている。
【0065】
ガイドレール23において、第2レール部分42の下辺部42cが、第1レール部分41の下辺部41cよりも下側に位置している。ガイドレール23(レール部材40)が下限位置B11(図11参照)に位置する状態で、第2レール部分42の下辺部42cと搬送チェーン22(接続ピン34)の突出部34aとの間の上下方向の間隔W14が、第1レール部分41の下辺部41cと搬送チェーン22のカラー35との上下方向の間隔W13よりも小さなものとなっている。
【0066】
搬送チェーン22及びガイドレール23の断面視において、ガイドレール23の第2レール部分42と搬送チェーン22の外側部材31との左右方向の間隔W16が、ガイドレール23の第1レール部分41と搬送チェーン22の外側部材31との左右方向の間隔W15よりも、大きなものに設定されている。
【0067】
搬送チェーン22(接続ピン34)の突出部34aの突出端部が、平面視で、ガイドレール23の第2レール部分42よりも、搬送チェーン22の外側部材31の側に位置しており、ガイドレール23の第2レール部分42から外側(左側)に出ていない。
【0068】
(姿勢変更部の付近の構成)
図1,2,5に示すように、収穫部3の終端部の上部に、姿勢変更部21が斜め上方の後方に向けて支持されている。姿勢変更部21は、上及び下の平板状のガイド部55と、ガイド部55の間に支持された無端チェーン56及び爪体57とを有しており、無端チェーン56及び爪体57が、平面視で図2の時計方向に回転駆動される。
【0069】
図5及び図7に示すように、収穫部3の搬送ベルト12の終端部と、搬送チェーン22の始端部(ガイドレール25の部分)とが、平面視で重複して配置されており、搬送チェーン22の始端部(ガイドレール25の部分)が、側面視で収穫部3の搬送ベルト12の終端部に対して下側に配置されている。
【0070】
収穫部3の右及び左の搬送ベルト12の互いに対向して接触する部分に対して、搬送チェーン22の始端部(ガイドレール25の部分)の左右中央部が、平面視で分離部5に近い側(右側)に配置されている。
【0071】
収穫部3の搬送ベルト12の終端部が、側面視で案内部材61(前述の(ガイドレールの構成)を参照)の前端部と、搬送チェーン22の始端部(ガイドレール25の部分)との間に入り込む状態となっており、案内部材61の前端部が、側面視で収穫部3の搬送ベルト12の終端部に対して上側に配置されている。
【0072】
姿勢変更部21は、収穫部3の搬送ベルト12の終端部に対して上側の位置から、側面視で斜め上向きに配置されており、平面視で、搬送チェーン22の始端部(ガイドレール25の部分)と重複している。
図1及び図2に示すように、運転座席65が運転部4に設けられており、防塵カバー62が、平面視で運転部4(運転座席65)と姿勢変更部21との間に設けられている。
【0073】
(株元ガイド部の構成)
図5,6,7に示すように、搬送チェーン22の始端部(ガイドレール25の部分)において、株元ガイド部77が、搬送チェーン22(接続ピン34)の突出部34aに対して上側の位置を、平面視で搬送チェーン22(接続ピン34)の突出部34aと重複するように、搬送チェーン22の始端部(ガイドレール25の部分)に沿って前後方向に配置されている。
【0074】
株元ガイド部77は、丸棒材で構成されている。株元ガイド部77の後部が、ガイドレール23の始端部の近傍に配置され、株元ガイド部77の前部が、平面視で搬送チェーン22の始端部(ガイドレール25の部分)から離れる側(左側)に延出されている。
【0075】
機体1に固定されたブラケット58に、支持部材78が前後方向に沿って移動可能に支持されており、支持部材78をブラケット58から前側に付勢するバネ60が設けられている。株元ガイド部77の前端部に、左右方向に沿って支持軸77aが連結されて、株元ガイド部77の支持軸77aが、左右方向に沿って移動可能に支持部材78に支持されており、株元ガイド部77の支持軸77aを搬送チェーン22の始端部(ガイドレール25の部分)に向けて付勢するバネ79が設けられている。
【0076】
株元ガイド部77の後端部に、上下方向に向く支持軸77bが連結されている。支持フレーム44の前部に、株元ガイド部77の支持軸77bが上下方向に沿って移動可能に支持されており、株元ガイド部77の後端部を下方の搬送チェーン22に向けて付勢するバネ59が設けられている。
【0077】
(収穫部の搬送ベルトの終端部から搬送チェーンの始端部への作物の受け渡しの状態)
図5,6,7に示すように、起立姿勢の作物Aが、収穫部3の右及び左の搬送ベルト12により挟持されながら搬送されて、収穫部3の搬送ベルト12の終端部に達すると、作物Aの株元A1が株元ガイド部77に接触して、作物Aの株元A1が搬送チェーン22の始端部(ガイドレール25の部分)に向けて案内される。
【0078】
収穫部3の右及び左の搬送ベルト12により作物Aが挟持された状態において、作物Aの株元A1が、搬送チェーン22の始端部(ガイドレール25の部分)と株元ガイド部77との間に挟持され、搬送チェーン22(接続ピン34)の突出部34aと株元ガイド部77との間に挟持される状態となる。
【0079】
収穫部3の搬送ベルト12により作物Aが後方に搬送され、搬送チェーン22の始端部(ガイドレール25の部分)により作物Aの株元A1が搬送される状態となり、作物Aの株元A1が横倒れ姿勢となり始める。
【0080】
作物Aの株元A1に対して、搬送チェーン22の搬送作用が、搬送チェーン22の作物Aの支持部分(内側部材32及び外側部材31)に与えられる。これに加えて搬送チェーン22(接続ピン34)の突出部34aが、搬送チェーン22の作物Aの支持部分(内側部材32及び外側部材31)以外の部分にも掛かることにより、搬送チェーン22の搬送作用が、搬送チェーン22(接続ピン34)の突出部34aを介して、搬送チェーン22の作物Aの支持部分(内側部材32及び外側部材31)以外の部分にも与えられる。
【0081】
これにより、作物Aの株元A1が収穫部3の搬送ベルト12から搬送チェーン22に受け渡される際において、作物Aの移動に遅れが生じ難くなるのであり、収穫部3の搬送ベルト12から搬送チェーン22への作物Aの株元A1の受け渡しに支障の生じる可能性が少なくなる。
【0082】
これと同時に、姿勢変更部21の爪体57が回転駆動されることにより、作物Aの実A2の付く部分が、姿勢変更部21の爪体57の間に入り込み、姿勢変更部21のガイド部55に接触するのであり、作物Aの実A2が付く部分が、姿勢変更部21のガイド部55に沿って押し倒され、倒れ込むようにして防塵カバー62の内部に入る。
【0083】
作物Aが収穫部3の搬送ベルト12の終端部から後方に離れると、作物Aは姿勢変更部21により横倒れ姿勢となり、横倒れ姿勢の作物Aの株元A1が、搬送チェーン22の始端部(ガイドレール25の部分)と株元ガイド部77との間に挟持されながら、搬送チェーン22の始端部(ガイドレール25の部分)に乗る状態となる。
【0084】
横倒れ姿勢の作物Aの株元A1が、案内部材61により搬送チェーン22の始端部(ガイドレール25の部分)と、ガイドレール23の始端部との間に案内され、作物Aの株元A1によりガイドレール23(レール部材40)の始端部が押し上げられて、作物Aの株元A1が搬送チェーン22とガイドレール23との間に挟持(支持)される。
【0085】
前述の(ガイドレールの始端部の構成)及び図11に示すように、ガイドレール23の始端部がガイドレール23における始端部よりも搬送下手側の部分よりも上昇し易い。ガイドレール23の始端部の上限位置B21が、ガイドレール23における始端部よりも搬送下手側の部分の上限位置B22よりも高い位置に設定されている。
これにより、作物Aの株元A1が、搬送チェーン22の始端部(ガイドレール25の部分)と、ガイドレール23の始端部との間に入り込み易く、搬送チェーン22とガイドレール23との間に挟持(支持)され易い。
【0086】
作物Aの株元A1が搬送チェーン22とガイドレール23との間に挟持(支持)され、搬送チェーン22が回転駆動されることによって、作物Aが横倒れ姿勢で後方に搬送され分離部5の内部に入る。
【0087】
(分離部の全体構成)
図1,2,14,15に示すように、搬送チェーン22により搬送さる作物Aから実A2を分離する分離部5が、搬送チェーン22に対して右側に配置されている。
【0088】
分離部5の内部において、第1の上側の回転体15及び第1の下側の回転体16、第2の上側の回転体17及び第2の下側の回転体18、回転体15~18の下方に前後方向に沿って配置された回収コンベア66、回収コンベア66の後方の下方に左右方向に沿って配置された搬送コンベア67、回収コンベア66の後方で搬送コンベア67の上方に配置された送り出し回転体68、回収コンベア66の下方に配置された唐箕69、及び株元支持部85等が設けられている。
【0089】
搬送チェーン22により横倒れ姿勢の作物Aが後方に搬送されると、作物Aは先ず第1の上側の回転体15と第1の下側の回転体16との間を通るのであり、回転体15,16の回転により作物Aから実A2が分離され、分離された実A2が回収コンベア66に落下する。
【0090】
次に作物Aは、第2の上側の回転体17と第2の下側の回転体18との間を通るのであり、回転体17,18の回転により作物Aから実A2が分離され、分離された実A2が回収コンベア66に落下する。回転体15~18により作物Aから実A2が分離される際、葉等の屑も一緒に回収コンベア66に落下する。実A2が分離された作物Aは、搬送チェーン22の終端部から地面に放出される。
【0091】
回収コンベア66に落下した実A2及び屑は、回収コンベア66により後方に搬送されて、回収コンベア66の後部から搬送コンベア67に落下する。
唐箕69の選別風が回収コンベア66の後部と搬送コンベア67との間を後方に流れているので、屑は、搬送コンベア67に落下せずに選別風により後方に飛ばされて、送り出し回転体68の回転により地面に放出される。搬送コンベア67に落下した実A2は、搬送コンベア67により回収部6に搬送される。
【0092】
(第1の上側及び下側の回転体、第2の上側及び下側の回転体の配置)
図8,14,15に示すように、第1の上側の回転体115が、平面視で搬送チェーン22に対して右側に配置され、平面視で搬送チェーン22と交差する方向で且つ水平方向に沿った軸芯P11周りに回転駆動可能に、分離部5の壁部19と壁部20とに亘って支持されている。
【0093】
第1の下側の回転体16が、平面視で搬送チェーン22に対して右側に配置され、上側の軸芯P11に対して下側を、上側の軸芯P11に沿って配置された下側の軸芯P12(平面視で搬送チェーン22と交差する方向で且つ水平方向に沿った軸芯P12)周りに回転駆動可能に、壁部19と壁部20とに亘って支持されている。
【0094】
第1の上側及び下側の回転体15,16よりも搬送チェーン22の搬送下手側(後側)に、第2の上側及び下側の回転体17,18が配置されている。
第2の上側の回転体17が、平面視で搬送チェーン22に対して右側に配置され、平面視で搬送チェーン22と交差する方向で且つ水平方向に沿った軸芯P21周りに回転駆動可能に、壁部19と壁部20とに亘って支持されている。
【0095】
第2の下側の回転体18が、平面視で搬送チェーン22に対して右側に配置され、上側の軸芯P21に対して下側を、上側の軸芯P21に沿って配置された下側の軸芯P22(平面視で搬送チェーン22と交差する方向で且つ水平方向に沿った軸芯P22)周りに回転駆動可能に、壁部19と壁部20とに亘って支持されている。
【0096】
回転体15~18における搬送チェーン22側(左側)の部分が、回転体15~18における搬送チェーン22の反対側(右側)の部分よりも、始端部側(前側)に位置するように、軸芯P11~P22が、搬送チェーン22に対して平面視で傾斜(交差)して配置されている。
【0097】
平面視において、回転体15,16(軸芯P11,P12)と搬送チェーン22との角度D1よりも、回転体17,18(軸芯P21,P22)と搬送チェーン22との角度D2が大きいものに設定されている。
【0098】
(回転体の構成)
図8及び図16に示すように、第1の上側及び下側の回転体15,16は、軸部80、本体部81及び突出部82を有している。
軸部80は、断面6角形状である。4個の突出部82が軸部80に連結されており、突出部82の先端部は、硬質ゴムにより形成されている。
【0099】
本体部81は平板が折り曲げられて構成されて、4枚の本体部81が設けられており、本体部81が、突出部82の間に位置するように軸部80に連結されている。4枚の本体部81は、断面視で、複数の角部81aを外周部に持ち、隣接する角部81aと角部81aとの間の面部81bを外周部に持っており、4枚の本体部81により8角形状(多角形)の形状となっている。
【0100】
図17に示すように、第2の上側及び下側の回転体17,18は、回転体15,16と同様な軸部80、本体部81及び突出部82を有している。回転体17,18では、回転体17,18の突出部82の数(2個)が、回転体15,16の突出部82の数(4個)よりも、少ないものに設定されている。
【0101】
2枚の本体部81が設けられて、本体部81が、突出部82の間に位置するように軸部80に連結されている。2枚の本体部81は、断面視で、複数の角部81aを外周部に持ち、隣接する角部81aと角部81aとの間の面部81bを外周部に持っており、2枚の本体部81により8角形状(多角形)の形状となっている。
【0102】
(回転体の伝動系の構成)
図14及び図15に示すように、分離部5において、壁部63,64が壁部20に対して外側に設けられ、駆動軸70が壁部63,64に亘って支持されている。駆動軸70のプーリー70cに伝動ベルト83が取り付けられており、エンジン(図示せず)の動力が伝動ベルト83を介して駆動軸70に伝達される。
【0103】
駆動軸70に対して上側において、駆動軸71が壁部63,64に亘って支持されており、駆動軸70の伝動ギヤ70aと駆動軸71の伝動ギヤ71aとが咬合している。駆動軸72,73が、上下に配置されて壁部64に支持されている。駆動軸70のスプロケット70bと下側の駆動軸72のスプロケット72aとに亘って、伝動チェーン74が取り付けられ、駆動軸71のスプロケット71bと上側の駆動軸73のスプロケット73aとに亘って、伝動チェーン75が取り付けられている。
【0104】
伝動軸76が、自在継手を介して駆動軸72に接続されており、自在継手を介して回転体16の軸部80に接続されている。伝動軸76が、自在継手を介して駆動軸70に接続されており、自在継手を介して回転体18の軸部80に接続されている。
【0105】
伝動軸84が、自在継手を介して駆動軸73に接続されており、自在継手を介して回転体15の軸部80に接続されている。伝動軸84が、自在継手を介して駆動軸71に接続されており、自在継手を介して回転体17の軸部80に接続されている。
【0106】
以上の構成によって、駆動軸70の動力が、伝動軸76を介して回転体18に伝達される。駆動軸70の動力が、駆動軸70の伝動ギヤ70a、駆動軸71の伝動ギヤ71a、駆動軸71及び伝動軸84を介して回転体17に伝達される。
【0107】
駆動軸70の動力が、伝動チェーン74、駆動軸72及び伝動軸76を介して回転体16に伝達される。駆動軸70の動力が、駆動軸70の伝動ギヤ70a、駆動軸71の伝動ギヤ71a、伝動チェーン75、駆動軸73及び伝動軸84を介して回転体15に伝達される。
【0108】
(回転体の回転方向及び回転位相)
図14図17に示すように、駆動軸70により、第2の下側の回転体18が回転方向C2に回転駆動される。駆動軸70,71の伝動ギヤ70a,71aの咬合により、駆動軸70の動力が逆方向の動力として駆動軸71に伝達されて、第2の上側の回転体17が回転方向C1に回転駆動されており、第2の上側及び下側の回転体17,18が互いに逆方向に回転駆動される。
【0109】
駆動軸71の動力が、伝動チェーン75を介して同方向の動力として、駆動軸73に伝達されるのであり、第1の上側の回転体15が第2の上側の回転体17と同じ回転方向C1に回転駆動される。
【0110】
駆動軸70の動力が、伝動チェーン74を介して同方向の動力として、駆動軸72に伝達されるのであり、第1の下側の回転体16が第2の下側の回転体18と同じ回転方向C2に回転駆動されて、第1の上側及び下側の回転体15,16が互いに逆方向に回転駆動される。
【0111】
第1の上側の回転体15の突出部82及び本体部81の角部81aが、第1の上側の回転体15と第1の下側の回転体16との間を、搬送チェーン22の始端部側(前側)に移動するように、第1の上側の回転体15の回転方向C1が設定されている。
【0112】
第1の下側の回転体16の突出部82及び本体部81の角部81aが、第1の上側の回転体15と第1の下側の回転体16との間を、搬送チェーン22の始端部側(前側)に移動するように、第1の下側の回転体16の回転方向C2が設定されている。
【0113】
第1の上側の回転体15と第1の下側の回転体16との間において、第1の上側の回転体15の突出部82と、第1の下側の回転体16の突出部82とが互いに対向する状態が生じるように、第1の上側及び下側の回転体15,16の回転位相が設定されている。
【0114】
第2の上側の回転体17の突出部82及び本体部81の角部81aが、第2の上側の回転体17と第2の下側の回転体18との間を、搬送チェーン22の始端部側(前側)に移動するように、第2の上側の回転体17の回転方向C1が設定されている。
【0115】
第2の下側の回転体18の突出部82及び本体部81の角部81aが、第2の上側の回転体17と第2の下側の回転体18との間を、搬送チェーン22の始端部側(前側)に移動するように、第2の下側の回転体18の回転方向C2が設定されている。
【0116】
第2の上側の回転体17と第2の下側の回転体18との間において、第2の上側の回転体17の突出部82と、第2の下側の回転体18の突出部82とが互いに対向する状態が生じるように、第2の上側及び下側の回転体17,18の回転位相が設定されている。
【0117】
(株元支持部の構成)
図14及び図15に示すように、株元支持部85が分離部5の内部に設けられており、株元支持部85は、第1部材86と第2部材87とを有している。
【0118】
図18,19,20に示すように、株元支持部85において、第1部材86は、平板状であり、上辺部86aが少し傾斜するように折り曲げられている。第2部材87は、平板状で、前部87aが斜め下方の前方に延出されるように傾斜しており、横部87cが下向きに折り曲げられて第1部材86に連結されている。
【0119】
図4,8,12に示すように、支持レール24(前述の(搬送チェーンの全体構成)を参照)の右部に、支持部材88が連結されている。株元支持部85の第1部材86が支持部材88に連結されており、株元支持部85が支持部材88を介して支持レール24に取り付けられている。
【0120】
以上の構成により、図14及び図15に示すように、株元支持部85が、平面視で、第1の上側及び下側の回転体15,16と第2の上側及び下側の回転体17,18との間において、搬送チェーン22に対して分離部5の側である右側の位置に、搬送チェーン22に沿って配置されている。
【0121】
図8及び図12に示すように、株元支持部85が、側面視及び背面視で、搬送チェーン22と重複するように配置されており、搬送チェーン22よりも上側に突出しないように配置されている。株元支持部85(第1部材86)の上辺部86aが、搬送チェーン22に接近しており、株元支持部85(第1部材86)の上辺部86aと搬送チェーン22との間隔が、狭いものに構成されている。
【0122】
株元支持部85(第2部材87)が、平面視及び背面視で、支持部材88から分離部5の内部に向く側である右側に、片持ち状に延出されている。図14及び図15に示すように、株元支持部85(第2部材87)の前部87a(図18,19,20参照)が、平面視で、第1の下側の回転体16の基部付近に入り込んでおり、株元支持部85(第2部材87)の後部87b(図18,19,20参照)が、第2の下側の回転体18の基部付近に入り込んでいる。
【0123】
図8及び図12に示すように、株元支持部85(第1部材86)の上辺部86aが、側面視及び背面視で、第1の上側及び下側の回転体15,16と第2の上側及び下側の回転体17,18との間に位置している。株元支持部85(第2部材87)が、側面視及び背面視で、第1及び第2の下側の回転体1618の突出部82の回転軌跡の上端部の近傍に位置している。
【0124】
(分離部における作物からの実の分離状態)
前述の(収穫部の搬送ベルトの終端部から搬送チェーンの始端部への作物の受け渡しの状態)及び図8,12,14,15に示すように、作物Aが横倒れ姿勢となりながら、作物Aの株元A1が搬送チェーン22とガイドレール23との間に挟持(支持)されるのであり、作物Aが分離部5の内部に入ると直ぐに、作物Aは第1の上側の回転体15と第1の下側の回転体16との間に入る。
【0125】
作物Aの株元A1が搬送チェーン22とガイドレール23との間に挟持(支持)されると、作物Aの株元A1における搬送チェーン22から分離部5の反対側(左側)に出る部分が、ガイドレール23の第2レール部分42(下辺部42c)により下方に押される。
【0126】
これにより、作物Aの株元A1が、搬送チェーン22(外側部材31)を支点として、作物Aの株元A1における搬送チェーン22から分離部5の反対側(左側)に出る部分が低くなり、作物Aの株元A1における搬送チェーン22から分離部5の側(右側)に出る部分が高くなるような傾斜姿勢となる。
【0127】
作物Aの実A2が付く部分が斜め下向きの姿勢になろうとしても、作物Aの株元A1が前述のような傾斜姿勢に設定されることにより、作物Aの実A2が付く部分が、持ち上げられて第1の上側及び下側の回転体15,16に沿う姿勢に近くなり、第1の上側の回転体15と第1の下側の回転体16との間に入り易くなる。
【0128】
前述の(回転体の回転方向及び回転位相)に記載のように、回転体15,16が回転駆動されることにより、作物Aの実A2が付く部分に対して、第1の上側の回転体15の突出部82と本体部81の角部81aとが交互に当たり、第1の下側の回転体16の突出部82と本体部81の角部81aとが交互に当たることにより、作物Aから実A2が分離される。
【0129】
作物Aが第1の上側の回転体15と第1の下側の回転体16との間を通過した後、前述と同様に、作物Aの株元A1における搬送チェーン22から分離部5の反対側(左側)に出る部分が、ガイドレール23の第2レール部分42(下辺部42c)により下方に押される。
【0130】
これに加えて、株元支持部85により、作物Aの株元A1における搬送チェーン22から分離部5の側(右側)に出る部分が下側から支持されて、作物Aの実A2が付く部分が持ち上げられる。
【0131】
作物Aの実A2が付く部分が斜め下向きの姿勢になろうとしても、作物Aの株元A1が前述のような傾斜姿勢に設定されること、並びに、作物Aの株元A1における搬送チェーン22から分離部5の側(右側)に出る部分が下側から支持されていることにより、作物Aの実A2が付く部分が、持ち上げられて第2の上側及び下側の回転体17,18に沿う姿勢に近くなり、第2の上側の回転体17と第2の下側の回転体18との間に入り易くなる。
【0132】
前述の(回転体の回転方向及び回転位相)に記載のように、回転体17,18が回転駆動されることにより、作物Aの実A2が付く部分に対して、第2の上側の回転体17の突出部82と本体部81の角部81aとが交互に当たり、第2の下側の回転体18の突出部82と本体部81の角部81aとが交互に当たることにより、作物Aから実A2が分離される。
【0133】
回転体15~18の傾斜配置(角度D1,D2)及び回転方向C1,C2により、回転体15~18の突出部82及び本体部81の角部81aが、作物Aの実A2が付く部分に当たる際、作物Aの株元A1が搬送チェーン22に支持された状態で、作物Aの実A2が付く部分が、作物Aの株元A1側(搬送チェーン22側)から上部側に向けて引き出そうとする分力が発生する。
これにより、作物Aの実A2が付く部分が作物Aが株元A1側に圧縮され座屈して折れ曲がったりするようなことがなく、作物Aから実A2が無理なく分離される。
【0134】
(作物案内部材の構成)
図6,8,12に示すように、平板状の作物案内部材54が、搬送チェーン22(接続ピン34)の突出部34aに対して下側に配置され、搬送チェーン22に沿って、ガイドレール23の始端部から終端部に亘って配置されている。
【0135】
搬送チェーン22(接続ピン34)の突出部34aが、側面視及び背面視で、ガイドレール23の第2レール部分42と作物案内部材54との間に配置されている。作物Aの株元A1における搬送チェーン22から分離部5の反対側(左側)に出る部分も、ガイドレール23の第2レール部分42と作物案内部材54との間に位置しており、作物Aの株元A1が搬送チェーン22(接続ピン34)の突出部34aから離れようとする状態が、ガイドレール23の第2レール部分42と作物案内部材54とにより抑えられる。
【0136】
作物Aの株元A1に対して、搬送チェーン22の搬送作用が、搬送チェーン22の作物Aの支持部分(内側部材32及び外側部材31)に与えられる。
これに加えて、搬送チェーン22(接続ピン34)の突出部34aが、作物Aの株元A1における搬送チェーン22から分離部5の反対側(左側)に出る部分にも掛かり、搬送チェーン22の作物Aの支持部分(内側部材32及び外側部材31)以外の部分にも、搬送チェーン22の搬送作用が与えられる。これにより、分離部5において、作物Aが横倒れ姿勢で安定して搬送される。
【0137】
(発明の実施の第1別形態)
図8,12,14,15に示す株元支持部85を廃止して、株元支持部が以下の説明のように構成されてもよい。
【0138】
図21に示すように、搬送チェーン22において、内側部材32の上下幅W17が、外側部材の31の上下幅W18よりも大きくなるように構成されて、内側部材32の上辺部32b(突部32aが設けられる部分)が、外側部材31の上辺部31b(突部31aが設けられる部分)よりも、上側に位置するように構成されてもよい。この構成において、搬送チェーン22の内側部材32の上辺部32bが、株元支持部となる。
【0139】
この構成において、ガイドレール23の第2レール部分42の下辺部42cが、ガイドレール23の第1レール部分41の下辺部41cよりも下側に位置することにより、作物Aの株元A1を、作物Aの株元A1における搬送チェーン22から分離部5の反対側(左側)に出る部分が低くなり、作物Aの株元A1における搬送チェーン22から分離部5の側(右側)に出る部分が高くなるような傾斜姿勢に設定する面で有利になる。
【0140】
(発明の実施の第2別形態)
図8,12,14,15に示す株元支持部85を廃止して、株元支持部が以下の説明のように構成されてもよい。
【0141】
図22に示すように、搬送チェーン22が下向きに配置され、ガイドレール23が、搬送チェーン22に対して下側に配置され、上向きに配置されている。
この構成において、ガイドレール23の第1レール部分41が、平面視及び背面視で、搬送チェーン22の内側部材32に対して分離部5の側である右側の位置に配置され、ガイドレール23の第2レール部分42が、平面視及び背面視で、搬送チェーン22の内側部材32と外側部材31との間に配置される。
【0142】
ガイドレール23において、第1レール部分41の上下幅W11が、第2レール部分42の上下幅W12よりも長いものに設定されており、第1レール部分41の上辺部41dが、第2レール部分42の上辺部42dよりも上側に配置されている。この構成においてガイドレール23の第1レール部分41の上辺部41dが、株元支持部となる。
【0143】
(発明の実施の第3別形態)
搬送チェーン22が機体1の右部に配置されて、分離部5(回転体15~18)が、平面視で搬送チェーン22に対して左側に配置されてもよい。
【0144】
(発明の実施の第4別形態)
第1の上側及び下側の回転体15,16が設けられ、第2の上側及び下側の回転体17,18が廃止されてもよい。
第2の上側及び下側の回転体17,18が設けられ、第1の上側及び下側の回転体15,16が廃止されてもよい。
【0145】
(発明の実施の第5別形態)
第1及び第2の上側の回転体15,17が設けられ、第1及び第2の下側の回転体16,18が廃止されてもよい。
第1及び第2の下側の回転体16,18が設けられ、第1及び第2の上側の回転体15,17が廃止されてもよい。
【0146】
(発明の実施の第6別形態)
第1の上側及び第2の下側の回転体15,18が設けられ、第1の下側及び第2の上側の回転体16,17が廃止されてもよい。
第1の下側及び第2の上側の回転体16,17が設けられ、第1の上側及び第2の下側の回転体15,18が廃止されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明は、枝豆収穫機ばかりではなく、他の作物Aを収穫する作物収穫機にも適用できるものであり、圃場の作物Aの株元A1の付近をカッター等で切断して、根部を圃場に残しながら作物Aを収穫する作物収穫機にも適用できる。
【符号の説明】
【0148】
3 収穫部
5 分離部
15 回転体
16 回転体
17 回転体
18 回転体
22 搬送チェーン(搬送体)
24 支持レール
32b 上辺部(株元支持部)
41d 上辺部(株元支持部)
85 株元支持部
A 作物
A1 株元
A2 実
P11 軸芯
P12 軸芯
P21 軸芯
P22 軸芯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図12
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図14
図15
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図22