IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 靜甲株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-バルブ装置並びに液体充填装置 図1
  • 特許-バルブ装置並びに液体充填装置 図2
  • 特許-バルブ装置並びに液体充填装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】バルブ装置並びに液体充填装置
(51)【国際特許分類】
   B67C 3/28 20060101AFI20230220BHJP
   B67C 3/02 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
B67C3/28
B67C3/02 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018144077
(22)【出願日】2018-07-31
(65)【公開番号】P2020019516
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390029090
【氏名又は名称】靜甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117190
【弁理士】
【氏名又は名称】前野 房枝
(74)【代理人】
【識別番号】100081282
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 俊輔
(74)【代理人】
【識別番号】100085084
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 高英
(72)【発明者】
【氏名】大地 博之
(72)【発明者】
【氏名】西川 和伸
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-216103(JP,A)
【文献】特開2001-219996(JP,A)
【文献】国際公開第2008/102243(WO,A2)
【文献】特開2012-176783(JP,A)
【文献】特開平06-135491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67C 3/00-11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填液タンクと接続される連通口が一側方に形成されており、前記連通口の直下方となる充填液の流入部において内方へ突出する弁座と充填液を吐出する吐出口とを有する吐出管部が下端に設けられた筐体と、
前記吐出管部の前記弁座と前記吐出口との間の空間領域に配置する弁体を下端に備え、前記筐体内に昇降自在に挿嵌された移動体と、
前記筐体内に配設され、常には移動体を上方へ付勢して前記弁座と前記弁体とを当接させて前記流入部を閉塞する付勢部材と、
前記移動体を前記付勢部材の付勢力に抗して移動させ、前記弁座と前記弁体との当接を解除して前記流入部を開放する電動アクチュエータと、
前記筐体と前記移動体とに跨って展設され、前記吐出口および連通口と連通させた貯留室を筐体内において隔別する可撓性の隔壁膜体と、
を備え、
前記電動アクチュエータの通電制御により前記弁座と前記弁体との位置関係を変化させて、前記吐出口の開閉量と開閉スピードを調整することを特徴とするバルブ装置。
【請求項2】
供給される複数個の容器に対し、充填液タンクから給送される充填液を前記各容器にそれぞれ対応させた複数個のバルブ装置を用いて充填する液体充填装置であって、
前記各バルブ装置は、請求項1に記載のバルブ装置であり、
前記各バルブ装置の電動アクチュエータに接続され、各吐出口の開閉量および開閉スピードの調整を一括管理可能な中央制御部を備えたことを特徴とする液体充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に定量の液体を充填する際に用いるバルブ装置と、これを用いた液体充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
充填包装業界等においては、容器に定量の液体を充填するために、吐出口の手前の充填経路にバルブ装置を設け、このバルブ装置を作動させることにより、充填開始および停止、あるいは充填流量の調整等が行われている。
【0003】
この種の充填流量の調整を行うバルブ装置としては、例えば特許文献1に記載のように、ゴム等の可撓性(弾性)を有する素材によりチューブ状に形成された充填経路をエアシリンダ(流体アクチュエータ)のプランジャの進退駆動によって押圧・解除することで開閉させるように、さらには、最大作動範囲の途中においても多段階で停止可能に構成されているものがある。
【0004】
また、この特許文献1に記載のバルブ装置においては、充填バルブの充填経路の開閉スピードの調整は、エアシリンダと該エアシリンダにエアを供給するエアーコンプレッサとの間のエア流路に設けられた絞り弁の開度を調整手段を用いて調整し、エア流路を流れるエアの給排量を制御することでなされている。
【0005】
ところで、前述のバルブ装置においては、チューブ状の充填経路は、粘度が低く流動性が良好な液体の場合にはその洗浄を良好に行うことができるものの、粘度が高い液体や、特に、液体に固形物や繊維質等が混在した液体の充填の場合は、充填経路内に固形物や繊維質等が付着し、残留しやすく、その洗浄を簡単かつ確実に行うことは難しい。
【0006】
そこで、充填流量の調整を行う別の構成のバルブ装置として、バルブ本体内において遮蔽部材によりエアシリンダ等と画別された液体室内へ液体タンクから液体を送り込み、エアシリンダによって液体室内の吐出口を閉塞・解除させるように操作させることにより、吐出口の開度や開閉スピードを調整するバルブ装置も開発されている(以上、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-079101号公報
【文献】特開2001-219996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のように、特許文献1、2に示すバルブ装置において容器に対する定量充填を精度よく実行するためには、バルブ装置における充填経路や吐出口の開度と開閉スピードを調整しなければならない。
【0009】
しかしながら、バルブ装置の開度の調整はクリアランスカラーやシムを使用してエアシリンダの出力用プランジャのストロークを抑制し、開閉スピードはスピードコントローラとしての絞り弁の開度を調整して行うというように、個々別々な作業(場合によっては作業者の手作業で螺子を回す等場合もある)を必要とするものであった。
【0010】
さらには、バルブ装置の開度の調整量や絞り弁の開度の調整量については、機種換え時、液種切替時、液量変更時などの設定に再現性がないため、精度の高い、均一な開度調整や開閉スピード調整には作業者の高度な熟練を要するとともに、非常に困難な作業を伴っていた。
【0011】
特に、複数の容器に対してそれぞれに対応させたバルブ装置を用いて充填する液体充填装置においては、全てのバルブ装置の開度と開閉スピードを均一化することが難しく、調整に多くの時間を要することとなる。
【0012】
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、充填液の吐出口の開閉量や開閉スピードの調整を無段階で高精度、かつ、短時間において実行可能であり、設定の再現性も高いバルブ装置と、複数間の充填装置においても、均一で良好な液体充填を施すことができる液体充填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した目的を達成するため、本発明のバルブ装置は、充填液タンクと接続される連通口が一側方に形成されており、前記連通口の直下方となる充填液の流入部において内方へ突出する弁座と充填液を吐出する吐出口とを有する吐出管部が下端に設けられた筐体と、前記吐出管部の前記弁座と前記吐出口との間の空間領域に配置する弁体を下端に備え、前記筐体内に昇降自在に挿嵌された移動体と、前記筐体内に配設され、常には移動体を上方へ付勢して前記弁座と前記弁体とを当接させて前記流入部を閉塞する付勢部材と、前記移動体を前記付勢部材の付勢力に抗して移動させ、前記弁座と前記弁体との当接を解除して前記流入部を開放する電動アクチュエータと、前記筐体と前記移動体とに跨って展設され、前記吐出口および連通口と連通させた貯留室を筐体内において隔別する可撓性の隔壁膜体と、を備え、前記電動アクチュエータの通電制御により前記弁座と前記弁体との位置関係を変化させて、前記吐出口の開閉量と開閉スピードを調整することを特徴とする。
【0014】
本発明のバルブ装置によれば、吐出口の開閉量や開閉スピードの調整を1つの電動アクチュエータにより実行可能なので、作業時間も短時間となり、しかも、再現性高く、高精度(無段階)に調整することができる。
【0015】
また、本発明の液体充填装置は、供給される複数個の容器に対し、充填液タンクから給送される充填液を前記各容器にそれぞれ対応させた複数個のバルブ装置を用いて充填する液体充填装置であって、前記各バルブ装置は、請求項1に記載のバルブ装置であり、前記各バルブ装置の電動アクチュエータに接続され、各吐出口の開閉量および開閉スピードの調整を一括管理可能な中央制御部を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明の液体充填装置によれば、複数設けられたバルブ装置の吐出口の開閉量および開閉スピードの調整を一括して行うことができるので、異なる充填バルブにおいて、均一で良好な液体充填を施すことが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
このように、本発明のバルブ装置によれば、短時間で、再現性高く、高精度(無段階)な調整が可能となり、このバルブ装置を備える液体充填装置によれば、異なる充填バルブにおいて、均一で良好な液体充填を施すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のバルブ装置の実施形態の構成と閉栓状態を示す説明図
図2図1の実施形態のバルブ装置の開栓状態を示す説明図
図3】本発明の液体充填装置の実施形態の構成を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示すバルブ装置1は閉栓状態を示し、図2はその開栓状態の要部を示している。そして、このバルブ装置1は、図3に示すような液体充填装置21の機体22にその筐体2を取り付けられて用いられる。
【0020】
図1のバルブ装置1の筐体2の下方には、容器B内へ充填する充填液の吐出口3が形成された吐出管部4が設けられている。
【0021】
また、筐体2の一側方には、充填液タンク15と接続される接続管部5の連通口6が形成され、連通口6の直下方となる吐出管部4の充填液の流入部14には、内方へ突出する弁座16が形成されている。また、筐体2には吐出口3および連通口6と連通して充填液を一時貯留する貯留室7が設けられている。
【0022】
貯留室7は横断面円形に形成されており、接続管部5は貯留室7の円周部において接線方向に接続されている。これにより、連通口6から流入する充填液は、貯留室7の円形側壁に沿って旋回流入して貯留室7内に充填液を貯留可能とされている。
【0023】
また、筐体2内には、移動体としてのプランジャ8が、駆動手段9を構成する電動アクチュエータ10の駆動により昇降自在に挿嵌されて配設されている。プランジャの下端には、図1及び図2に示すように、吐出管部4の弁座16と吐出口3との間の空間領域に配置される弁体11を備えている。
【0024】
弁体11は吐出管部4内の前記空間領域において、弁座16と接離するように昇降移動することで吐出口3を開閉させるものであり、筐体2の内部に配設された付勢部材(スプリング)12によってプランジャ8が常(電動アクチュエータ10はOFF状態)には上方へ押し上げられるように付勢されることにより、貯留室7から吐出管部4内への充填液の流入部14を閉塞し、電動アクチュエータ10がON状態となり、プランジャ8が吐出口3に向かって進出することにより、流入部14を開放し、吐出口3から充填液の吐出を可能に形成されている。
【0025】
また、プランジャ8には、筐体2の内部における連通口6の上方において、プランジャ8の進退(昇降)方向と直交させ、かつ、筐体2との間に跨がるように展張させて、ゴムなどの可撓性を有する素材からなる略平板状の隔壁膜体(ダイヤフラム)13が配設されている。
【0026】
筐体2の内部は、この隔壁膜体13により、吐出口3および連通口6と連通して充填液を一時貯留する貯留室7が、充填液の進入が防止された空間と隔別されている。
【0027】
そして、本実施形態の液体充填装置21は、図3に示すように、回転式の液体充填装置21の機体22の周囲に複数の容器Bを搬送する環状の容器搬送軌道23を備えている。容器搬送軌道23上には、充填液が充填される複数の容器Bを載置する容器台24が適宜の間隔をあけて存して並設されている。容器搬送軌道23の上方には、容器搬送軌道23上の各容器台24にそれぞれ対応させて、前述のバルブ装置1が、その吐出口3を下方へ向けて並設されている。
【0028】
各バルブ装置1は、液体充填装置21の機体22に支持され、容器搬送軌道23上の容器台24の搬送速度とそれぞれ同期して同時に移動する構成とされている。
【0029】
そして、本実施形態においては、各バルブ装置1の電動アクチュエータ10は、液体充填装置21の機体22に設けられた中央制御部25に接続され、各バルブ装置1における吐出口3の開閉量および開閉スピードの調整を一括管理するように構成されている。
【0030】
一方、充填液は充填液供給源としての充填液タンク15に貯留されている。この充填液タンク15には流体管路(不図示)の一端が連結されており、流体管路の他端はバルブ装置1と同数の管路に分岐され、この分岐された各流体管路は、各バルブ装置1の筐体2に連結された接続管部5に接続されている。
【0031】
そして、充填液タンク15に貯留された充填液をこの充填液タンク15に接続された流体管路から分岐された各流体管路を介して、各バルブ装置1の吐出口3から容器搬送軌道23上の容器台24の上の各容器Bに充填する。
【0032】
本実施形態のバルブ装置1およびこのバルブ装置1を備えた液体充填装置21においては、電動アクチュエータ10の通電制御により、弁体11による吐出口3の開閉量や開閉スピードを調整することができる。
【0033】
このように、吐出口3の開閉量や開閉スピードの調整を電動アクチュエータ10の駆動制御のみで行うことができるので、作業時間も短時間となり、再現性も高く、高精度で無段階に調整することが可能となる。
【0034】
特に、本実施形態の液体充填装置21によれば、複数設けられた各バルブ装置1の吐出口3の開閉量および開閉スピードの調整を、中央制御部25において一括して行うことができるので、異なるバルブ装置1において、均一で良好な液体充填を施すことが可能となる。
【0035】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できる。
【符号の説明】
【0036】
1 バルブ装置
2 筐体
3 吐出口
4 吐出管部
5 接続管部
6 連通口
7 貯留室
8 プランジャ(移動体)
9 駆動手段
10 電動アクチュエータ
11 弁体
12 付勢部材
13 隔壁膜体
14 流入部
15 充填液タンク
21 液体充填装置
22 機体
23 容器搬送軌道
24 容器台
25 中央制御部
図1
図2
図3