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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/04 20060101AFI20230220BHJP
   H02K 5/14 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
H02K5/04
H02K5/14 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019003971
(22)【出願日】2019-01-14
(65)【公開番号】P2020114119
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000220125
【氏名又は名称】東京パーツ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小柳 尚久
(72)【発明者】
【氏名】倉 恵子
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-027459(JP,U)
【文献】実開昭59-030653(JP,U)
【文献】実開昭63-083784(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/04
H02K 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方に開口端部を有し、上方に上蓋を有する有蓋筒状の鉄製のモータケースと、
前記モータケースの内周面に固定された駆動用マグネットと、
前記駆動用マグネットの内周面に対向して配置された、銅線を有するロータと、
前記ロータに固定された、整流子を有する回転軸と、
剛性のある磁性体からなり、前記回転軸が貫通された貫通孔を有する中空板状のブラケットと、
前記整流子に接するブラシと、
開口端部を有する有底筒状の樹脂製のブラシベースと、
前記モータケースと前記ブラシベースにそれぞれ固定されて前記回転軸を軸支する軸受とを備えており、
前記ブラケットは、前記モータケースの開口端部に直接固定されており、
前記ブラシベースの開口端部は平面を有し前記ブラシベースの開口端部の平面が前記ブラケットの平面に前記モータケースの外部から固定されており、
前記ブラシベースは、前記ブラケットの前記貫通孔を介して前記モータケースの内部空間部と通じる、前記ブラシベースの有底筒状の内側に形成されたブラシベース空間部を有し、
前記ブラシベース空間部には、前記ブラシが固定されていることを特徴とするモータ。
【請求項2】
下方に開口端部を有し、上方に上蓋を有する有蓋筒状の鉄製のモータケースと、
前記モータケースの内周面に固定された駆動用マグネットと、
前記駆動用マグネットの内周面に対向して配置された、銅線を有するロータと、
前記ロータに固定された、整流子を有する回転軸と、
前記回転軸が貫通された貫通孔を有する中空板状のブラケットと、
前記整流子に接するブラシと、
開口端部を有する有底筒状の樹脂製のブラシベースと、
前記モータケースと前記ブラシベースにそれぞれ固定されて前記回転軸を軸支する軸受とを備えており、
前記ブラケットは、前記モータケースの開口端部に固定されており、
前記ブラシベースの開口端部は、前記ブラケットに前記モータケースの外部から固定されており、
前記ブラシベースは、前記ブラケットの前記貫通孔を介して前記モータケースの内部空間部と通じる、前記ブラシベースの有底筒状の内側に形成されたブラシベース空間部を有し、
前記ブラシベース空間部には、前記ブラシが固定されており、
前記モータケースの開口端部の内周面には、前記モータケースの内周面の直径より大きいモータケース段差部が形成されており、
前記ブラケットの外周面は、前記モータケース段差部の内周面と同一に形成されており、
前記ブラケットの外周面が、前記モータケース段差部の内周面に接しており、
前記ブラシベースの外周面は、前記ブラケットの外周面より若干小さく形成されており、
前記モータケースの開口端部と前記ブラケットの外周面は加締められて、前記ブラケットは前記モータケースの開口端部に固定されていることを特徴とするモータ。
【請求項3】
前記ブラシは、平板形状であり、前記ブラシベースから、径方向に、前記モータケースの外周面の外方まで突出しており、
前記ブラシの上端は、前記モータケースの開口端部より、下方に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のモータ。
【請求項4】
前記ブラケットは、鉄製であり、
前記ブラシベースの開口端部には、前記ブラシベースの開口端部から下方に下がったブラシベース段差部が形成されており、
前記ブラシベース段差部には、前記ブラシを固定するブラシ溝部が形成されており、
前記ブラシは、前記ブラシ溝部に固定されており、
前記ブラシの上端は前記ブラシ溝部の上端以下となっていることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項5】
前記ブラシは、平板形状であり、前記ブラシベースから、径方向に、前記モータケースの外周面の外方まで突出しており、
前記ブラシ溝部の上端は、前記モータケースの開口端部より、下方に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
前記ブラケットと前記駆動用マグネットの軸方向の間には、モータケースの開口端内側空間部が形成されており、
前記ブラケットには、前記ブラシベースを固定するためのブラシベース固定用貫通孔が形成されており、
前記ブラシベースの開口端部には、前記ブラシベース固定用貫通孔に挿通されるためのブラシベース固定用突部が形成されており、
前記ブラシベース固定用突部は、前記ブラシベース固定用貫通孔に挿通して、前記モータケースの開口端内側空間部に突出して、前記ブラシベース固定用貫通孔に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項7】
前記ブラケットと前記駆動用マグネットの間には、モータケースの開口端内側空間部が形成されており、
前記ブラケットには、前記駆動用マグネットを支持するためのマグネット支持用貫通孔が形成されており、
前記ブラシベースの開口端部には、前記マグネット支持用貫通孔に挿通されるためのマグネット支持用突部が形成されており、
前記マグネット支持用突部が、前記マグネット支持用貫通孔に挿通して前記モータケースの開口端内側空間部に突出して、前記駆動用マグネットに接触していることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型モータに関わる。
【背景技術】
【0002】
この種のモータとして、例えば、特許文献1には、鋼板等を円筒形状にしたケース本体(モータケース)と、ケース本体の後端側の開口端部に係合された合成樹脂製の後端板(ブラシベース)と、後端板に固定されたブラシと、ケース本体の前端側に固定された金属製の前端板と、後端板と前端板に固定された軸受により回転自在に支持された回転駆動軸(回転軸)と、この回転駆動軸に固定された、コイル(銅線)を備えるロータと、ケース本体の内周面に固定されてロータの外周面と対向する永久磁石製のステータ(駆動用マグネット)とを備えた送風ファン駆動用モータが記載されている。
【0003】
また、このモータには、ケース本体の内周面に、鋼板の補強リング(ブラケット)がケース本体の後端側からステータに近づけて圧入されている。このため、このモータは、補強リングによりステータを固定したケースの部分が変形しにくくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-275303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のモータでは、ステータを固定したケース本体部分を変形しにくくするために、補強リングがケース本体の後端側の開口端部からステータに近づけて圧入されることになり、ケース本体内の補強リングとブラシとの間には不要な空間が広がってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、ケース本体内の補強リングとブラシとの不要な空間を少なくしたモータを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のモータは、開口端部を有する有蓋筒状の鉄製のモータケースと、
前記モータケースの内周面に固定された駆動用マグネットと、
前記駆動用マグネットの内周面に対向して配置された、銅線を有するロータと、
前記ロータに固定された、整流子を有する回転軸と、
前記回転軸が貫通された貫通孔を有する中空板状のブラケットと、
前記整流子に接するブラシと、
開口端部を有する有底筒状の樹脂製のブラシベースと、
前記モータケースと前記ブラシベースにそれぞれ固定されて前記回転軸を軸支する軸受とを備えており、
前記ブラケットは、前記モータケースの開口端部に固定されており、
前記ブラシベースの開口端部は、前記ブラケットに前記モータケースの外部から固定されており、
前記ブラシベースは、前記ブラケットの前記貫通孔を介して前記モータケースの内部空間部と通じる、前記ブラシベースの有底筒状の内側に形成されたブラシベース空間部を有し、
前記ブラシベース空間部には、前記ブラシが固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のモータのブラケットは、モータケースの開口端部に固定されているため、従来例のような構成に比べて、モータケース内のブラシに近づけて配置されて、ブラケットとブラシとの間の不要な空間が広がらずにすむと共に、駆動用マグネットを固定したモータケース部分を変形しにくくできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態例に係るモータの完成品の断面図である。
図2】本発明の第1の実施形態例に係るモータの組立断面図である。
図3図1の分解斜視図である。
図4図1の別の分解斜視図である。
図5】本発明の第2の実施形態例に係るモータの完成品の断面図である。
図6図5の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書では、図1または図2において、モータの回転軸30に対して平行な方向を「軸方向」と呼び、回転軸30を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、回転軸30の回転方向を単に「周方向」と呼ぶ。
なお、上下方向は、実際の機器に組み込まれたときの位置関係や方向を示すものではない。
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を例示的に説明する。
【0012】
(第1の実施形態例)
図1ないし図4は、本例に係るブラシ付きモータ1を説明するための図である。このモータ1は、コア付きの径方向空隙型である。
【0013】
モータ1は、モータケース10と、ブラケット40と、駆動用マグネット18と、ロータ20と、回転軸30と、整流子31と、ブラシベース50と、ブラシ57とを有する。
【0014】
モータケース10は、剛性のある磁性体の鉄製材料から形成されており、円筒部11とこの円筒部11の上端に一体形成された上蓋12とを有する有蓋筒状からなる。このモータケースの円筒部11の下端にある開口端部11aには平面が形成されている。また上蓋12の中央部には貫通孔が形成されており、この貫通孔にラジアル軸受16が圧入されている。このモータケース10は、導電性を有する。
【0015】
モータケースの開口端部付近にある内周面には、モータケースの内周面10bの直径より若干大きいモータケース段差部11bが全周に形成されている。このモータケース段差部11bにはブラケット40が固定されている。
【0016】
ブラケット40は、剛性のある磁性体の鉄製材料から形成されており、回転軸30が貫通された貫通孔41を有する薄板の中空板状に形成されている。ブラケットの下面40bは、平面になっている。このブラケット40は、導電性を有する。
【0017】
ブラケット40の形状は、具体的に、リング形状であり、外径と内径を同一中心としている。
ブラケットの外周面40aは、モータケース段差部の内周面11baと大きさを同一にしている。
ブラケット40の軸方向の高さは、モータケース段差部11bの軸方向の高さより若干小さい。
ブラケット40がモータケース段差部11bに固定されると、モータケースの開口端部11aは、ブラケットの下面40bより軸方向に若干突出する。
【0018】
駆動用マグネット18は、円筒形状で周方向に沿ってN極、S極が交互に着磁された円筒形状からなる。この駆動用マグネット18は、円筒形状のマグネットをモータケースの円筒部の内周面10bに接着剤により固定されたり、長方形状のラバーマグネットを円筒形状に曲げて固定されたりする。
【0019】
ロータ20は、薄い鋼鈑を複数枚積層してなる電機子コア21と、電機子コア21にコイル状に巻回された銅線22を有する。
【0020】
回転軸30は、整流子31を有しており、ロータ20の電機子コア21の中心に固定されている。
整流子31は、銅線22に電気的に接続されている。
ロータ20と回転軸30は一体に回転する。
【0021】
ブラシベース50は、非磁性の硬質の樹脂材料により形成されており、円筒部51とこの円筒部51の下端に一体に形成された底蓋52を有する有底筒状からなり、有底筒状の内側に形成されたブラシベース空間部53を有している。
このブラシベースの底蓋52の中央部には円形の凹部が形成されており、この凹部の底面はスラスト軸受となっている。この凹部にはラジアル軸受56が圧入されている。
【0022】
回転軸30は、モータケース10に固定されたラジアル軸受16に挿通して回転自在に支承されている。回転軸の一端は、モータケース10から突出している。回転軸の他端は、ブラシベース50に固定されたラジアル軸受56と前述のスラスト軸受により支承されている。
【0023】
このブラシベース50は、ブラケット40にモータケース10の外部から固定されている。このブラシベースの円筒部51の上端となる開口端部51aには平面が形成されている。このブラシベースの開口端部51aの平面が、ブラケットの下面40bの平面に、直接、接して固定されている。ブラシベース50は、モータケースの開口端部11aに非接触となる。
【0024】
ブラシベース50がブラケット40に固定されると、ブラシベース空間部53は、ブラケットの貫通孔41を介してモータケースの内部空間部13と通じる。このモータケースの内部空間部13とこのブラシベース空間部53は、モータの外部から閉塞されている。
【0025】
ブラシベースの外周面50aは、ブラケットの外周面40aより若干小さく形成されている。別表現では、ブラケットの外周面40aは、ブラシベースの外周面50aより若干大きく形成されている。
【0026】
ブラシベース空間部53には、整流子31に摺接して電流を流すように一対のブラシ57が設けられている。このブラシ57は、図4に示すように、ブラケット40の内側に回転軸を中心に線対称に配置されている。
【0027】
このブラシ57は、銅若しくは銅合金のような剛性のある導電材料からなり、平面と側面を有する略薄平板形状に形成されている。この平面は側面に対して幅広であり、側面は平面に対して幅狭である。
【0028】
次に、このブラシ57の固定方法について説明する。
図4に示すように、ブラシベースの開口端部51aには、このブラシベースの開口端部51aより軸方向の下方に一段下がったブラシベース段差部51bが形成されている。
このブラシベース段差部51bには、ブラシ57を固定するブラシ溝部51cが軸方向に形成されている。
このブラシ溝部51cの上端は、モータケースの開口端部11aより軸方向の下方に配置されている。
ブラシ57がブラシ溝部51cに圧入されると、ブラシの上端は、ブラシ溝部51cの上端以下となる。
具体的に、ブラシ57は、不図示のブラシ圧入治具によりブラシ溝部51cに圧入されて、ブラシ圧入治具がブラシベース段差部の内底面51baに当接して、ブラシ圧入が完了する。本例の場合、ブラシ57の上端は、ブラシ溝部51cの上端と同じとなる。
【0029】
また、ブラシ57がブラシ溝部51cに圧入されると、ブラシの一端57aは、回転軸30に固定された整流子31に当接できる位置に配置される。
【0030】
また、ブラシ57は、ブラシベース50から径方向に突出している。このブラシ57の突出部は、径方向外方にモータケースの外周面10aを超えて配置されて、ブラシの他端57bとなり、外部からのモータの給電端子となる。この給電端子57bは、モータの径方向に突出する、所謂、横出しとなり、ブラシの一端57aと給電端子57bは切れ目のない同一部材により構成されている。
【0031】
次に、ブラケット40がモータケース10に固定されると、ブラケット40と駆動用マグネット18の軸方向の間には、モータケースの開口端内側空間部11cが形成されている(図1参照)。
ブラケット40には、ブラシベース50を固定するためのブラシベース固定用貫通孔43が形成されている。
ブラシベース固定用貫通孔43は、回転軸30を中心として周方向に等間隔に複数箇所、同一径で形成されている。
【0032】
ブラシベースの開口端部51aには、ブラシベース固定用貫通孔43に挿通するためのブラシベース固定用突部51eが形成されている。
ブラシベース固定用突部51eは、回転軸30を中心として周方向に等間隔に複数箇所、同一径で形成されている。
ブラシベース固定用突部51eの外径は、ブラシベース固定用貫通孔43の内径より若干小さい。
【0033】
ブラシベース固定用突部51eがブラシベース固定用貫通孔43に挿通すると、ブラシベース固定用突部51eは、モータケースの開口端内側空間部11cに突出して、例えば、熱溶着により先端を潰されて、径方向に広がり、ブラシベース固定用貫通孔43に固定される。
【0034】
また、ブラケット40には、駆動用マグネット18を支持するためのマグネット支持用貫通孔42が形成されている。
マグネット支持用貫通孔42は、回転軸30を中心として周方向に等間隔に複数箇所、同一径で形成されている。
【0035】
ブラシベースの開口端部51aには、マグネット支持用貫通孔42に挿通するためのマグネット支持用突部51dが形成されている。
マグネット支持用突部51dは、回転軸30を中心として周方向に等間隔に複数箇所、同一径で形成されている。
マグネット支持用突部51dの外径は、マグネット支持用貫通孔42の内径より若干小さい。
【0036】
マグネット支持用突部51dがマグネット支持用貫通孔42に挿通すると、マグネット支持用突部51dは、モータケースの開口端内側空間部11cに突出して駆動用マグネット18の軸方向下端に接触して、駆動用マグネット18を軸方向に支持する。
マグネット支持用突部51dは、熱溶着後のブラシベース固定用突部51eより高く形成されている。
【0037】
なお、マグネット支持用貫通孔42は、ブラシベース固定用貫通孔43に対して、周方向に位置をずらしており、軸方向から見た時に重畳しない位置に配置されている。
また、マグネット支持用突部51dは、ブラシベース固定用突部51eに対して、周方向に位置をずらしており、軸方向から見た時に重畳しない位置に配置されている。
【0038】
以上のように、本例のモータ1は、開口端部を有する有蓋筒状の鉄製のモータケース10と、モータケース10の内周面に固定された駆動用マグネット18と、駆動用マグネット18の内周面に対向して配置された、銅線22を有するロータ20と、ロータ20に固定された、整流子31を有する回転軸30と、回転軸30が貫通された貫通孔を有する中空板状のブラケット40と、整流子に接するブラシ57と、開口端部を有する有底筒状の樹脂製のブラシベース50と、モータケース10とブラシベース50にそれぞれ固定されて回転軸30を軸支する軸受16、56とを備えている。
【0039】
また、ブラケット40は、モータケースの開口端部11aに固定されている。
ブラシベースの開口端部51aは、ブラケット40にモータケース10の外部から固定されている。
ブラシベース50は、ブラケットの貫通孔41を介してモータケースの内部空間部13と通じる、ブラシベースの有底筒状の内側に形成されたブラシベース空間部53を有する。
ブラシベース空間部53には、ブラシ57が固定されている。
【0040】
よって、本例のモータのブラケットは、モータケースの開口端部に固定されているため、従来例のような構成に比べて、モータケース内のブラシに近づけて配置されて、ブラケットとブラシとの間の不要な空間が広がらずにすむと共に、駆動用マグネットを固定したモータケース部分を変形しにくくできる。
また、従来例のようなモータのケース本体では、鋼板等を円筒形状に形成しているため、板厚の厚い鋼板等では、円筒形状に加工しずらくなり、肉薄にせざるをえない。このため、合成樹脂製の後端板は、ケース本体の後端側にある開口端部との径方向の接触面積を大きくとりにくく、ケース本体と後端板は係合による固定強度を高めにくい。
一方、本例のブラシベースは中空板状のブラケットに固定されているため、樹脂製のブラシベースは、ブラケットとの径方向の接触面積を必要に応じて大きくできる。よって、ブラシベースとブラケットは固定強度を高めやすい。
【0041】
また、モータケースの開口端部11aの内周面には、モータケースの内周面10bの直径より大きいモータケース段差部11bが形成されている。
ブラケットの外周面40aは、モータケース段差部の内周面11baと同一に形成されている。
ブラケットの外周面40aが、モータケース段差部の内周面11baに接している。
ブラシベースの外周面50aは、ブラケットの外周面40aより若干小さく形成されている。
ブラケットの外周面40aはモータケースの開口端部11aに加締められており、ブラケット40はモータケースの開口端部11aに固定されている。
【0042】
よって、ブラケットはモータケースに容易に加締められる。
つまり、ブラケット40がモータケース10に固定される際に、ブラシベースの外周面は、ブラケットの外周面より若干小さく形成されているため、図2に示す、先端を傾斜した加締めパンチKが軸方向から移動して(詳しくは、図2の加締めパンチの移動方向KA)、ブラケットの外周面とモータケースの開口端部が加締められて、ブラケットはモータケースに容易に加締められる。
一方、ブラシベースの外周面50aがブラケットの外周面40aより大きく形成されていると、図2に示す、先端を傾斜した加締めパンチKが軸方向に移動した際に、モータケースの開口端部を内側に加締められない。
このように、本例のブラケット40がモータケース11に軸方向から移動する加締めパンチKにより加締められる場合、ブラケット40はモータケース11に容易に加締められる。
【0043】
また、ブラシ57は、平板形状であり、ブラシベース50から、径方向に、モータケースの外周面10aの外方まで突出している。
ブラシ57の上端は、モータケースの開口端部11aより、下方に配置されている。
つまり、ブラシは、モータケースの開口端部11aに軸方向に空間を介して配置されている。
【0044】
よって、本例のモータのブラケットは、モータケース内のブラシに近づけて配置されて、ブラケットとブラシとの間の不要な空間が広がらずにすむと共に、横出しの給電端子でありながら、モータケースの開口端部とブラシとの間には空間が形成されているため、導電性のブラシが、導電性のモータケースに電気的に接触することがなく、ブラシがモータケースと電気的に絶縁できる。
【0045】
また、ブラケット40は、鉄製である。
ブラシベースの開口端部51aには、下方に下がったブラシベース段差部51bが形成されている。
ブラシベース段差部51bには、ブラシ57を固定するブラシ溝部51cが形成されている。
ブラシ57は、ブラシ溝部51cに固定されている。
ブラシ57の上端は、ブラシ溝部51cの上端以下となっている。
【0046】
よって、ブラケットは、磁性体を有するため、本例は、ブラケットが非磁性である場合に比べて、駆動用マグネットとロータとの磁気回路を向上できる。
また、導電性のブラシが、導電性のブラケットに電気的に接触することがなく、ブラシがブラケットと電気的に絶縁できる。
つまり、仮に、ブラシベースの開口端部に、ブラシを固定するブラシ溝部が形成されて、ブラシがこのブラシ溝部に固定されると、ブラシの上端がブラシ溝部の上端以下の場合、導電性のブラシが、導電性のブラケットに電気的に接触する場合があり、ブラシがブラケットと電気的に絶縁できない。
一方、本例では、ブラシベースの開口端部には、下方に下がったブラシベース段差部が形成されており、ブラシベース段差部には、ブラシを固定するブラシ溝部が形成されている。ブラシがこのブラシ溝部に固定されると、ブラシの上端はブラシ溝の上端以下に配置される。
このため、ブラケットの下面とブラシとの間には空間が形成されて、導電性のブラシが、導電性のブラケットに電気的に接触することがなく、ブラシがブラケットと電気的に絶縁できる。
【0047】
また、ブラシ57は、平板形状であり、ブラシベース50から、径方向に、モータケースの外周面10aの外方まで突出している。
ブラシ溝部51cの上端は、モータケースの開口端部11aより、下方に配置されている。
よって、モータケースの開口端部とブラシとの間には空間が形成されており、導電性のブラシが、導電性のモータケースに電気的に接触することがなく、ブラシがモータケースと電気的に絶縁できる。
【0048】
また、ブラケット40と駆動用マグネット18の軸方向の間には、モータケースの開口端内側空間部11cが形成されている。
ブラケット40には、ブラシベース50を固定するためのブラシベース固定用貫通孔43が形成されている。
ブラシベースの開口端部51aには、ブラシベース固定用貫通孔43に挿通するためのブラシベース固定用突部51eが形成されている。
ブラシベース固定用突部51eが、ブラシベース固定用貫通孔43に挿通すると、モータケースの開口端内側空間部11cに突出して、ブラシベース固定用貫通孔43に固定されている。
よって、ブラシベースは、ブラケットに確実に固定できる。
【0049】
また、ブラケット40と駆動用マグネット18の間には、モータケースの開口端内側空間部11cが形成されている。
ブラケット40には、駆動用マグネット18を支持するためのマグネット支持用貫通孔42が形成されている。
ブラシベースの開口端部51aには、マグネット支持用貫通孔42に挿通するためのマグネット支持用突部51dが形成されている。
マグネット支持用突部51dが、マグネット支持用貫通孔42に挿通すると、モータケースの開口端内側空間部11cに突出されて駆動用マグネット18に接触している。
よって、本例は、駆動用マグネットをモータケース内で軸方向にさらに移動しないように別部材を設けることなく支持できる。
【0050】
また、駆動用マグネット18は、円筒形状である。
マグネット支持用突部51dは、熱溶着後のブラシベース固定用突部51eより高く形成されている。
よって、マグネット支持用突部は、駆動用マグネットを確実に支持できる。
【0051】
(第2の実施形態例)
次に、本発明の第2の実施形態例に係るモータ100の構成を図5により説明する。
図5において、図1ないし図4の同一の部材には同一の符号を付しており、これらの部材については説明を省略する。
【0052】
第2の実施形態例では、モータケース10とブラケット40との固定方法が第1の実施形態例と異なる。つまり、第1の実施形態例では、モータケースの開口端部11aとブラケットの外周面40aが加締められるため、ブラシベースの外周面50aは、ブラケットの外周面40aより若干小さく、また、ブラケットの外周面40aは、モータケースの外周面10aより若干小さい。
一方、第2の実施形態例では、モータケースの外周面10aとブラケットの外周面140aとブラシベースの外周面150aは同じ大きさとしており、モータケースの開口端部とブラケットの外周面はスポット溶接されて固定されている。
第2の実施形態例では、ブラケットとブラシとの間の不要な空間が広がらずにすむと共に、駆動用マグネットを固定したモータケース部分を変形しにくくできて、さらに、モータケースの外周面とブラケットの外周面とブラシベースの外周面が同じ大きさであるため、このモータを取り付ける取付装置への取付性を向上できる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上述以外にも種々変形して実施することが可能である。
【0054】
上述の実施形態の説明では、ブラケット40、140は、剛性のある磁性体の鉄製材料により形成されているが、これに限られない。例えば、ブラケットは、剛性のある磁性を有する樹脂材料により形成されてもよい。
また、例えば、ブラケットは、剛性のある非磁性の鉄製材料でもよいし、剛性のある非磁性の樹脂材料でもよい。この場合、駆動用マグネットとロータとの磁気回路が僅かに低下するが、上述の作用効果が得られる。
【0055】
また、上述の実施形態の説明では、ブラケット40、140にブラシベース固定用貫通孔43とマグネット支持用貫通孔42が共に形成されており、ブラシベース50、150にブラシベース固定用突部51eとマグネット支持用突部51dが共に形成されているが、これに限られない。
例えば、ブラケットにブラシベース固定用貫通孔のみが形成されており、ブラシベースにブラシベース固定用突部のみが形成されて、このブラシベース固定用突部とこのブラシベース固定用貫通孔の組み合わせの構成でもよい。
また、例えば、ブラケットにマグネット支持用貫通孔のみが形成されており、ブラシベースにマグネット支持用貫通孔のみが形成されて、このマグネット支持用貫通孔とこのマグネット支持用突部の組み合わせの構成でもよい。この場合、ブラケットとブラシベースの固定には、接着剤等が使われる。
【0056】
また、上述の実施形態の説明では、ブラシ57は、ブラシベース50から、径方向に突出して、横出しの給電端子となるが、給電端子は、この形態に限られない。
例えば、給電端子は、横出しではなく、形状を変更して、ブラシベースからモータの軸方向下方に突出する縦出しにしてもよい。
【0057】
また、上述の実施形態の説明では、ブラシベースの開口端部51aには、下方に下がったブラシベース段差部51bが形成されており、ブラシベース段差部51bには、ブラシ57を固定するブラシ溝部51cが形成されており、ブラシ57はブラシ溝部51cに固定されており、ブラシの上端はブラシ溝51cの上端以下となっているが、これに限られない。
例えば、ブラシベース段差部が形成されずに、ブラシベースの開口端部の平面にブラシ溝部が直接形成されてもよい。この場合、ブラシがこのブラシ溝部に固定されると、ブラシの上端がブラシ溝の上端未満に配置される。つまり、ブラシが、ブラシ溝部に、より深く圧入される。この場合も、導電性のブラシが、導電性のブラケットに電気的に接触することがなく、ブラシがブラシベースと電気的に絶縁できる。
【0058】
また、上述の実施形態の説明では、駆動用マグネット18は、円筒形状であるが、これに限られない。駆動用マグネット18は、周方向に所定の隙間を複数設けた分割形状でもよい。
【0059】
また、第2の実施形態例では、モータケースの外周面10aとブラケットの外周面40aとブラシベースの外周面50aは同じ大きさとしているが、これに限られない。
例えば、図6に示すモータ200のように、ブラケットの外周面240aとブラシベースの外周面250aは、モータケースの外周面10aより若干大きくてもよい(変形例1)。この場合、ブラケットの外周面240aとブラシベースの外周面250aは、同じ大きさである。
【符号の説明】
【0060】
1 モータ
10 モータケース
10a モータケースの外周面
10b モータケースの内周面
11 モータケースの円筒部
11a モータケースの開口端部
11b モータケースの開口端部にある段差部
11ba モータケースの開口端部にある段差部の内周面
11c モータケースの開口端内側空間部
12 モータケースの上蓋
13 モータケースの内部空間部
16 ラジアル軸受
18 駆動用マグネット
20 ロータ
21 電機子コア
22 銅線
30 回転軸
31 整流子
40 ブラケット
40a ブラケットの外周面
40b ブラケットの下面
41 ブラケットの貫通孔
42 ブラケットにあるマグネット支持用貫通孔
43 ブラケットにあるブラシベース固定用貫通孔
50 ブラシベース
50a ブラシベースの外周面
51 ブラシベースの円筒部
51a ブラシベースの開口端部
51b ブラシベース段差部
51ba ブラシベース段差部の内底面
51c ブラシベース段差部に形成されたブラシ溝部
51d ブラシベースの開口端部に形成されたマグネット支持用突部
51e ブラシベースの開口端部に形成されたブラシベース固定用突部
52 ブラシベースの底蓋
53 ブラシベースのブラシベース空間部
56 ラジアル軸受
57 ブラシ
57a ブラシの一端
57b ブラシの他端(給電端子)
100 モータ
140 ブラケット
140a ブラケットの外周面
150 ブラシベース
150a ブラシベースの外周面
200 モータ
240 ブラケット
240a ブラケットの外周面
250 ブラシベース
250a ブラシベースの外周面
K 加締めパンチ
KA 加締めパンチの移動方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6