(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230220BHJP
【FI】
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2019137485
(22)【出願日】2019-07-26
【審査請求日】2021-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市原 卓人
【審査官】中野 直行
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-158049(JP,A)
【文献】特開2014-124251(JP,A)
【文献】特開2019-072623(JP,A)
【文献】特開2016-131597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
当否判定に用いられる当否判定情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記当否判定情報のうち、対応する当否判定結果の報知が完了していないものの存在を示す保留図柄を表示する表示領域を有する表示装置と、
を備え、
前記保留図柄として表示されることがある図柄態様として、通常態様、および、対応する当否判定結果が当たりとなる蓋然性である当たり信頼度が前記通常態様よりも高いことを示唆する特殊態様が設定されており、
前記表示領域における前記保留図柄が表示される位置であって、前記通常態様である前記保留図柄が表示される通常位置と、前記特殊態様である前記保留図柄が表示される特殊位置とは異な
り、
前記特殊態様として、前記当たり信頼度が異なる複数種の態様が設定されており、当該当たり信頼度に応じた複数の前記特殊位置が設定されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
当否判定に用いられる当否判定情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記当否判定情報のうち、対応する当否判定結果の報知が完了していないものの存在を示す保留図柄を表示する表示領域を有する表示装置と、
を備え、
前記保留図柄として表示されることがある図柄態様として、通常態様、および、対応する当否判定結果が当たりとなる蓋然性である当たり信頼度が前記通常態様よりも高いことを示唆する特殊態様が設定されており、
前記表示領域における前記保留図柄が表示される位置であって、前記通常態様である前記保留図柄が表示される通常位置と、前記特殊態様である前記保留図柄が表示される特殊位置とは異な
り、
前記保留図柄が事前態様から事後態様に変化するかもしれないことを示す煽り段階と、前記事後態様に変化する成功結果または変化しない失敗結果となる結果段階とを含む保留変化演出が実行可能であり、
前記煽り段階においては、前記成功結果となって前記保留図柄が前記事後態様に変化したと仮定した場合に当該保留図柄が表示される位置である対象位置に、前記保留変化演出の対象となる前記保留図柄が表示されることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
保留図柄の態様により、対応する当否判定結果が当たりとなる蓋然性(当たり信頼度)が示唆される遊技機が公知である(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、保留図柄を用いた当たり信頼度の示唆が分かりやすい遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、当否判定に用いられる当否判定情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている前記当否判定情報のうち、対応する当否判定結果の報知が完了していないものの存在を示す保留図柄を表示する表示領域を有する表示装置と、を備え、前記保留図柄として表示されることがある図柄態様として、通常態様、および、対応する当否判定結果が当たりとなる蓋然性である当たり信頼度が前記通常態様よりも高いことを示唆する特殊態様が設定されており、前記表示領域における前記保留図柄が表示される位置であって、前記通常態様である前記保留図柄が表示される通常位置と、前記特殊態様である前記保留図柄が表示される特殊位置とは異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機によれば、保留図柄を用いた当たり信頼度の示唆を分かりやすくすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】表示領域に表示された識別図柄および保留図柄を示した図である。
【
図3】保留図柄(保留図柄の態様)の一覧図である。
【
図4】(a)は通常位置と特殊位置を説明するための図であり、(b)は三つの通常態様の保留図柄と一つの特殊態様の保留図柄が表示された状態を示した図である。
【
図5】変動中保留図柄について同様に制御されることを説明するための図である。
【
図9】第六具体例を説明するための図(その一)である。
【
図10】第六具体例を説明するための図(その二)である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1)遊技機の基本構成
以下、本発明にかかる遊技機1(ぱちんこ遊技機)の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、表示装置91、始動領域904、大入賞口906、アウト口などが設けられている。表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能な部分である。また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0011】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動領域904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0012】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0013】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動領域904への遊技球の入賞を契機として実行する。本実施形態では、始動領域904として、第一始動領域904a(いわゆる「特
図1」の始動領域)と第二始動領域904b(いわゆる「特
図2」の始動領域)が設けられている。始動領域904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否判定情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当該数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(いわゆる変動が開始される)こととなるが、未だ当否判定結果の報知が完了していない当否判定情報が存在する場合には、新たに取得された当否判定情報は保留情報として図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。記憶手段に保留情報が記憶されていることは、保留図柄10として表示される。
【0014】
本実施形態では、保留図柄10として、当否判定結果を報知する報知演出(識別図柄80(識別図柄群80g)の変動開始から、当否判定結果を示す組み合わせで完全に停止するまでの演出、いわゆる一変動中分の演出をいう)は開始されているものの、当否判定結果の報知は完了していない情報(以下、変動中保留情報と称することもある)に対応する変動中保留図柄11(いわゆる「当該変動保留」の存在を示す図柄)と、当否判定結果を報知する報知演出が開始されていない情報(以下、変動前保留情報と称することもある)に対応する変動前保留図柄12が表示される(
図2参照)。本実施形態では、変動中保留図柄11と変動前保留図柄12の基本的な形態は同じであり、両者を区別するために変動中保留図柄11の方が変動前保留図柄12よりも大きく表示される。変動中保留図柄11と変動前保留図柄12の基本的な形態が全く異なるものとしてもよい。また、変動中保留図柄11が表示されない構成としてもよい。なお、変動前保留図柄12に対応する当否判定結果の報知が完了する順番(いわゆる保留「消化順」)は、右に位置するものほど早い。
【0015】
変動前保留情報の最大の記憶数は上限が決められている。本実施形態では、第一始動領域904aに入賞することによって得られる第一変動前保留情報(特
図1保留)の最大の記憶数は四つであり、第二始動領域904bに入賞することによって得られる第二変動前保留情報(特
図2保留)の最大の記憶数は四つである。したがって、特
図1および特
図2の一方に相当する保留図柄10に関していえば、一つの変動中保留図柄11と、最大四つの変動前保留図柄12が表示されることがある(
図2参照)。
【0016】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される識別図柄80(
図2参照)の組み合わせによって当否判定結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の識別図柄80を含む識別図柄群80g(左識別図柄群80gL、中識別図柄群80gC、右識別図柄群80gR)が変動を開始し、最終的に各識別図柄群80gから一の識別図柄80が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各識別図柄群80gから選択されて停止した識別図柄80の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ識別図柄80の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。識別図柄80は、数字とキャラクタ等が組み合わされたものとしてもよい。
【0017】
本実施形態では、遊技状態として、通常遊技状態と特別遊技状態が設定されている。特別遊技状態は、通常遊技状態に比して遊技者に有利な遊技状態である。通常遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しにくい低ベース状態(低確率・時短無)である。特別遊技状態としては、第一特別遊技状態と第二特別遊技状態が設定されている。第一特別遊技状態は、大当たりに当選する確率が高い高確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(高確率・時短有)である。第二特別遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(低確率・時短有)である。通常遊技状態においては、遊技者は、第一始動領域904aを狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、いわゆる「左打ち」を行う。特別遊技状態は、第二始動領域904bを狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、いわゆる「右打ち」を行う。特別遊技状態は、普通始動領域905に遊技球が進入することを契機とした第二始動領域904bの開放抽選に当選しやすい状態であるため、比較的容易に第二始動領域904bに遊技球が入賞する。なお、遊技状態の移行に関する設定はどのようなものであってもよいから説明を省略する。また、上記のような遊技状態が設定されていることはあくまで一例である。
【0018】
2)保留図柄
以下、本実施形態にかかる遊技機1における保留図柄10に関する事項について説明する。本実施形態では、保留図柄10の態様により、当該保留図柄10に対応する当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(以下、(大当たり)信頼度と称することもある)を示唆するものである。保留図柄10の態様として、一または複数種の通常態様10nと、一または複数種の特殊態様10sが設定されている。本実施形態では、一の通常態様10nと、三つの特殊態様10s(第一特殊態様101s、第二特殊態様102s、第三特殊態様103s)が設定されている(
図3参照)。大当たり信頼度は、通常態様10n、第一特殊態様101s、第二特殊態様102s、第三特殊態様103s(最も高い)の順で高くなる。各態様はどのようなものであってもよい。本実施形態では、通常態様10nは白色、第一特殊態様101sは青色、第二特殊態様102sは緑色、第三特殊態様103sは赤色を呈するものである。図柄の大きさ等により、態様の差を設定してもよい。なお、各図においては、各保留図柄10の色を文字で表す(「白」(通常態様10n)については記載を省略する)。
【0019】
基本的には、保留図柄10は通常態様10nで表示される。保留図柄10が特殊態様10sとなることは、いわゆるチャンスアップ演出の一種であるということができる。通常態様10nの保留図柄10が特殊態様10sに変化する保留変化演出も発生する。新たに表示される保留図柄10が特殊態様10sであるケースも発生しうるようにしてもよい。
【0020】
以下、各態様の保留図柄10が表示領域911に表示される位置について説明する。なお、以下の説明においては、変動前保留図柄12を例に、各態様の保留図柄10が表示される位置について説明する(以下、本実施形態に関する説明について単に保留図柄10というときは変動前保留図柄12をいうものとする)。通常態様10nの保留図柄10が表示領域911に表示される位置を通常位置と、特殊態様10sの保留図柄10が表示領域911に表示される位置を特殊位置とする。
【0021】
本実施形態では、表示領域911の下側縁近傍に通常位置が設定される。一方、特殊位置は、通常位置よりも表示領域911の下側縁から離れた位置である。すなわち、特殊位置は、通常位置よりも上方の位置である(
図4(a)参照)。例えば、変動前保留図柄12として、三つの通常態様10nと一つの特殊態様10s(第一特殊態様101s~第三特殊態様103sのうちのいずれか)が表示された状態にある場合には、三つの通常態様10nは同じ高さに位置し(横方向に並び)、一つの特殊態様10sがこれら三つの通常態様10nよりも高い位置に位置する(
図4(b)参照)。
【0022】
なお、ある当否判定情報に対応する保留図柄10について、通常態様10nと特殊態様10sの両方が表示されたと仮定すれば、当該通常態様10n(通常位置)の保留図柄10と特殊態様10s(特殊位置)の保留図柄10は上下方向に並ぶ。好ましくは、通常位置に表示される保留図柄10と特殊位置に表示される保留図柄10が重複しない(
図4(a)に示すように、通常位置と特殊位置は重複しない)ような関係にあるとよい。
【0023】
このように、本実施形態では、通常態様10nである保留図柄10が表示される通常位置と、特殊態様10sである保留図柄10が表示される特殊位置とは異なるから、保留図柄10が特殊態様10sとなったこと、すなわち特殊態様10sによる大当たり信頼度示唆が分かりやすいものとなる。
【0024】
特殊態様10sは、通常態様10nよりも大当たり信頼度が高いことを示すものであるから、通常態様10nよりも目立つものとすることが好ましい。したがって、本実施形態のように通常位置よりも特殊位置の方が上方である設定とするとよい。
【0025】
本実施形態では、変動中保留図柄11についても同様に制御する。すなわち、通常態様10nの変動中保留図柄11が表示される位置(通常位置)(
図5(a)参照)と、特殊態様10sの変動中保留図柄11が表示される位置(特殊位置)(
図5(b)参照)とは異なる。通常位置よりも特殊位置の方が上方である。
【0026】
以下、上記保留図柄10に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0027】
〇第一具体例
上記実施形態では、第一特殊態様101s~第三特殊態様103sの保留図柄10が特殊位置に表示されること、すなわち、特殊態様10sの種類によらず当該特殊態様10sの保留図柄10が表示される位置は特殊位置で同じであることを説明したが、特殊位置の種類毎に個別の特殊位置が設定された構成としてもよい。上記実施形態のように、第一特殊態様101s~第三特殊態様103sが設定されているのであれば、第一特殊態様101sの保留図柄10が表示される第一特殊位置(
図6(a)参照)、第二特殊態様102sの保留図柄10が表示される第二特殊位置(
図6(b)参照)、第三特殊態様103sの保留図柄10が表示される第三特殊位置(
図6(c)参照)(第一特殊位置、第二特殊位置、第三特殊位置は異なる位置である)が設定されたものとする。
【0028】
大当たり信頼度が高い特殊態様10sに対応する特殊位置ほど、上方に設定されていることが好ましい。上記例でいえば、第一特殊位置よりも第二特殊位置の方が、第二特殊位置よりも第三特殊位置の方が、上方であるとする。このようにすることで、大当たり信頼度が高い保留図柄10ほど「目立つ」状態となる。したがって、大当たり信頼度と表示される位置がリンクし、分かりやすい表示態様となる。
【0029】
大当たり信頼度が同じである特殊態様10sであって、見た目が異なるものが複数設定されているものとしてもよい。図示しないが、例えば、第一特殊態様101sとして第一特殊態様Aおよび第一特殊態様B(第一特殊態様Aと第一特殊態様Bの見た目は異なる)が、第二特殊態様102sとして第二特殊態様Aおよび第二特殊態様B(第二特殊態様Aと第二特殊態様Bの見た目は異なる)が設定されているとする。この場合、第一特殊態様Aおよび第一特殊態様Bが表示される位置は第一特殊位置で共通し、第二特殊態様Aと第二特殊態様Bが表示される位置は第二特殊位置で共通するものとする。すなわち、保留図柄10の見た目ではなく、あくまで対応する当否判定結果についての大当たり信頼度に基づき、表示される位置が決まる構成とすることが好ましい。
【0030】
〇第二具体例
変動前保留図柄12については通常位置と特殊位置が設定された構成とするものの、変動中保留図柄11については通常態様10nであるか特殊態様10sであるかによって表示される位置が変化しないものとする。すなわち、変動中保留図柄11については、通常位置や特殊位置といった概念が設定されていないものとする。
【0031】
変動前保留図柄12と変動中保留図柄11は区別できるように表示される。例えば、上記実施形態では、変動前保留図柄12よりも変動中保留図柄11の方が大きく表示されることで、両者が区別できるようにされている。変動前保留図柄12には付随されないマークを変動中保留図柄11に付随させることで、両者が区別できるようにしてもよい。このように、そもそも変動前保留図柄12よりも変動中保留図柄11の方が「目立つ」状態とされているから、当該変動中保留図柄11については、特殊態様10sとなる場合であっても、その表示位置が通常態様10nとは異ならない(表示位置は変化しない)ようにする。
【0032】
〇第三具体例
保留図柄10の態様が変化する保留変化演出が発生するものとする。保留変化演出にて保留図柄10の態様が変化する場合における変化前の態様を「事前態様」と、変化後の態様を「事後態様」とする。例えば、通常態様10nが第一特殊態様101sに変化するとすれば、通常態様10nが事前態様であり、第一特殊態様101sが事後態様である(特殊態様10sのいずれかが事前態様であるものが発生してもよい)。一般的な保留変化演出と同様に、保留図柄10の変化は、大当たり信頼度が高まる方向に限られる。すなわち、事前態様よりも事後態様の方が高信頼度となる。よって、保留変化演出にて保留図柄10の態様が変化する結果(以下、成功結果と称する。これに対し、保留図柄10の態様が変化しない結果を失敗結果と称する)となることは、遊技者にとって喜ばしい事象であるといえる。
【0033】
保留変化演出は、煽り段階と結果段階を含む。煽り段階は、保留図柄10の態様が変化するかもしれないことを遊技者に示す段階である。すなわち、保留図柄10が事前態様から事後態様に変化するかもしれないことを示す段階である(「煽り」の段階であるから、保留図柄10の態様は事前態様に相当するものである。ただし、当該事前態様に何らかの画像(例えばエフェクト画像)が付加されるようにしてもよい)。当該煽り段階の後、結果段階に移行する。結果段階は、上述した成功結果となるか失敗結果となるかが示される段階である。すなわち、事後態様への変化が実現するか否かが示される段階である。
【0034】
煽り段階において、保留変化演出の対象となる保留図柄10(以下、対象図柄10Tと称する)は、通常位置(
図7(a)参照)から当該通常位置とは異なる位置(以下、対象位置と称する)に変位する(
図7(b-1)~(b-3)参照)。当該対象位置は、成功結末となって保留図柄10が事後態様に変化した(
図7(c-1)~(c-3)参照)と仮定した場合に当該保留図柄10が表示される位置とされる。上記第一具体例のような設定とする場合には、事後態様が第一特殊態様101s~第三特殊態様103sのいずれであるかに応じ、対象位置が異なることになる。例えば、事後態様が第三特殊態様103s(
図7(c-3)参照)となるかもしれないという煽り段階である場合には、第三特殊位置が対象位置とされる(
図7(b-3)参照)。なお、上記実施形態のような設定である場合は、第一特殊態様101s~第三特殊態様103sのいずれもが通常位置とは異なる特殊位置(同じ位置)に表示されるのであるから、当該特殊位置が対象位置とされる。
【0035】
煽り段階にて対象図柄10Tは対象位置に表示されるのであるから、保留変化演出が成功結果となる場合には、そのまま対象位置(第一特殊位置~第三特殊位置のいずれか)にて事後態様の保留図柄10が表示される(
図7(c-1)~(c-3)参照)。一方、保留変化演出が失敗結果となる場合には、元の位置に戻り、保留図柄10の態様も事前態様のままとされる(
図7(d)参照)。
【0036】
本例のようにすることで、保留変化演出が成功結果となった場合の事後態様を、煽り段階から予測すること(把握すること)が可能である。上記第一具体例のように、特殊態様10sの信頼度が高いほど、表示位置(特殊位置)が上方に設定された構成であるのであれば、煽り段階における対象位置が上方であるほど成功結果になることを願う遊技性を実現することができる。
【0037】
〇第四具体例
第三具体例と同様に、保留図柄10が事前態様から事後態様に変化する保留変化演出が発生するものとする。保留変化演出の煽り段階においては、対象図柄10T(事前態様の保留図柄10)が特定位置に表示されるものとする。当該特定位置は、通常位置とは異なる位置とされる。具体的には、通常位置よりも上方の位置とされる。当該特定位置は、複数設定される。例えば、第一特定位置(
図8(a)参照)、第二特定位置(
図8(b)参照)、第三特定位置(
図8(c)参照)の三種類が設定されるものとする。本例においては、第一特定位置、第二特定位置、第三特定位置の順で上方に位置するものとする。
【0038】
煽り段階において、対象図柄10Tが表示される特定位置に応じ、保留変化演出が成功結果となる蓋然性が異なるものとする。具体的には、第一特定位置である場合よりも第二特定位置である場合の方が、第二特定位置である場合よりも第三特定位置である場合の方が、成功結果となる蓋然性が高くなるように設定されている(
図8参照)。すなわち、煽り段階における対象図柄10Tの表示位置が高いほど、保留変化演出が成功結果となりやすいように構成されている。上記実施形態に則していえば、煽り段階にて表示される通常態様10n(事前態様)の保留図柄10が表示される位置が高いほど、特定態様に変化する蓋然性が高いということである。
【0039】
このように、本例における保留変化演出は、煽り段階において対象図柄10Tが表示される位置に応じ、成功結果となる蓋然性が示唆されるという面白みのあるものである。
【0040】
〇第五具体例
通常の保留図柄10と大当たり信頼度が高まったことを示す保留図柄10の態様(見た目)の差はないものとする。つまり、保留図柄10に対応する大当たり信頼度が高まったということを、保留図柄10の態様(見た目)ではなく、表示される位置のみによって示唆する。
【0041】
特殊位置を複数種設定し、いずれの位置に保留図柄10が表示されるかにより、大当たり信頼度の高低が示唆されるようにしてもよい。例えば、第一特殊位置~第三特殊位置が設定され、保留図柄10が第一特殊位置に表示される場合よりも第二特殊位置に表示される場合の方が、第二特殊位置に表示される場合よりも第三特殊位置に表示される場合の方が、大当たり信頼度が高い設定とする。大当たり信頼度が高いものほど、より上方に表示されるようにするとよい。保留図柄10が第一特殊位置~第三特殊位置のいずれに表示される場合であっても、通常位置に表示される場合と態様(見た目)の差はない。
【0042】
このように、保留図柄10の態様(見た目)ではなく、表示される位置の違いのみによって大当たり信頼度が示唆されるようにすることで、従来にない遊技の面白みを提供することが可能である。
【0043】
〇第六具体例
保留図柄10の態様と、表示される位置により信頼度が示唆されるものとする。上記実施形態と同様に、保留図柄10の態様として通常態様10nとは異なる特殊態様10s(第一特殊態様101s~第三特殊態様103s)が設定されるとともに、保留図柄10が表示される位置として通常位置とは異なる特殊位置が設定されているものとする。ただし、保留図柄10が特殊態様10s(第一特殊態様101s~第三特殊態様103s)となる場合であっても、特殊位置に表示されるとは限られない構成とする。例えば、第一特殊態様101sの保留図柄10が通常位置に表示されること(
図9(a)参照)もあれば、第一特殊態様101sの保留図柄10が特殊位置に表示されること(
図9(b)参照)もある設定とし、前者の場合と後者の場合とでは、大当たり信頼度が異なるものとする。より具体的には、保留図柄10が第一特殊態様101sとなることで、保留図柄10が通常態様10nである場合よりも大当たり信頼度が高まったことが示されつつ、その表示位置が通常位置である場合よりも、特殊位置である場合の方が、大当たり信頼度が高い設定とする。なお、通常態様10nの保留図柄10は、必ず通常位置に表示されるようにすることが好ましい。
【0044】
このようにすることで、保留図柄10の態様(特殊態様10s)だけでなく、その表示される位置にも遊技者が注目する遊技性を実現することが可能である。
【0045】
本例においては、
図10に示すように、保留図柄10の態様が大当たり信頼度に与える影響の方が、保留図柄10の表示位置が大当たり信頼度に与える影響よりも大きくすることが好ましい。例えば、第二特殊態様102sの保留図柄10が通常位置に表示される場合(
図10(c)参照)の方が、第一特殊態様101sの保留図柄10が特殊位置に表示される場合(
図10(b)参照)よりも大当たり信頼度が高く、第三特殊態様103sの保留図柄10が通常位置に表示される場合(
図10(e)参照)の方が、第二特殊態様102sの保留図柄10が特殊位置に表示される場合(
図10(d)参照)よりも大当たり信頼度が高い設定とする。あくまで、保留図柄10の態様が大当たり信頼度を示唆する「主」の要素であり、表示位置は大当たり信頼度を示唆する「副」の要素であるということである。
【0046】
3)以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0047】
4)上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0048】
・手段1
当否判定に用いられる当否判定情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている前記当否判定情報のうち、対応する当否判定結果の報知が完了していないものの存在を示す保留図柄を表示する表示領域を有する表示装置と、を備え、前記保留図柄として表示されることがある図柄態様として、通常態様、および、対応する当否判定結果が当たりとなる蓋然性である当たり信頼度が前記通常態様よりも高いことを示唆する特殊態様が設定されており、前記表示領域における前記保留図柄が表示される位置であって、前記通常態様である前記保留図柄が表示される通常位置と、前記特殊態様である前記保留図柄が表示される特殊位置とは異なることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、通常態様の保留図柄が表示される位置(通常位置)と、特殊態様の保留図柄が表示される位置(特殊位置)が異なるから、保留図柄を用いた当たり信頼度の示唆を分かりやすくすることが可能である。
【0049】
・手段2
前記通常位置よりも、前記特殊位置の方が上方であることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
このようにすることで、特殊態様の保留図柄が、当たり信頼度が高いということがより分かりやすくなる。
【0050】
・手段3
前記特殊態様として、前記当たり信頼度が異なる複数種の態様が設定されており、当該当たり信頼度に応じた複数の前記特殊位置が設定されていることを特徴とする手段1または手段2に記載の遊技機。
このようにすることで、特殊態様毎の当たり信頼度が異なるということが分かりやすくなる。
【0051】
・手段4
複数の前記特殊位置は、前記当たり信頼度が高い前記特殊態様の前記保留図柄が表示されるものほど上方であることを特徴とする手段3に記載の遊技機。
このようにすることで、当たり信頼度の高いものほど上方に表示されることになるから、当たり信頼度の高低がより分かりやすくなる。
【0052】
・手段5
前記保留図柄が事前態様から事後態様に変化するかもしれないことを示す煽り段階と、前記事後態様に変化する成功結果または変化しない失敗結果となる結果段階とを含む保留変化演出が実行可能であり、前記煽り段階においては、前記成功結果となって前記保留図柄が前記事後態様に変化したと仮定した場合に当該保留図柄が表示される位置である対象位置に、前記保留変化演出の対象となる前記保留図柄が表示されることを特徴とする手段1から手段4のいずれかに記載の遊技機。
このようにすることで、保留変化演出が成功結果となった場合の事後態様を、煽り段階から予測すること(把握すること)が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 遊技機
10 保留図柄
11 変動中保留図柄(変動中保留情報)
12 変動前保留図柄(変動前保留情報)
10n 通常態様
10s 特殊態様(101s~103s 第一特殊態様~第三特殊態様)
10T 対象図柄
80 識別図柄
91 表示装置
911 表示領域