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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20230220BHJP
【FI】
A63F7/02 334
A63F7/02 328
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020059419
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021154027
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2021-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 健弘
(72)【発明者】
【氏名】加藤 哲平
(72)【発明者】
【氏名】森 大城
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 浩司
(72)【発明者】
【氏名】野原 修平
(72)【発明者】
【氏名】井上 雄貴
【審査官】中村 祐一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-187168(JP,A)
【文献】特開2017-176362(JP,A)
【文献】特開2014-180325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネット上のサーバに保存された遊技情報を反映させることが可能な、オフライン環境下に設置される遊技機であって、
前記サーバから遊技者の端末に送信される複数のパスワードが入力されることで前記遊技情報が反映された状態となるものであり、
対応関係にある複数の前記パスワードのそれぞれには特定情報が埋め込まれており、
前記特定情報に基づき、入力された複数の前記パスワードが同じタイミングで生成されたものと認められる場合には前記遊技情報が反映された状態となる一方、同じタイミングで生成されたものと認められない場合にはエラーとして処理され前記遊技情報が反映されないことを特徴とする記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技者が所有する端末に送信されたパスワードが入力されることで、遊技情報(例えば、取得した画像や楽曲等の遊技履歴)を反映させることができるようにした遊技機が公知である(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-161560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インターネット等で公開されているパスワードを不正に取得し、他人の遊技情報を反映させた上で遊技すること(以下、「ただ乗り遊技」と称することもある)ができてしまう。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、ただ乗り遊技を抑制することが可能な遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、インターネット上のサーバに保存された遊技情報を反映させることが可能な、オフライン環境下に設置される遊技機であって、前記サーバから遊技者の端末に送信される複数のパスワードが入力されることで前記遊技情報が反映された状態となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる遊技機によれば、ただ乗り遊技を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態にかかる遊技機の正面図である。
図2】表示装置(表示領域)に表示された識別図柄および保留図柄を示した図である。
図3】遊技者参加システムの概略を説明するための図である。
図4】遊技者参加システムの利用方法(開始からサーバへの遊技情報の保存まで)を説明するための図である。
図5】遊技者参加システムの利用方法(サーバに保存された遊技情報を遊技機に反映させる方法)を説明するための図である。
図6】第一パスワードおよび第二パスワードの概要を説明するための図である。
図7】第二具体例を説明するための図である。
図8】第三具体例を説明するための図である。
図9】第四具体例を説明するための図である。
図10】第五具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1)遊技機の基本構成
以下、本発明にかかる遊技機1の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して遊技機1の基本構成について簡単に説明する。なお、以下の説明において画像というときは、動画および静止画の両方を含むものとする。
【0010】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0011】
遊技領域902には、表示装置91、始動入賞口904、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。かかる表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、表示領域911の形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
【0012】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0013】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0014】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定(当否抽選)手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口は複数設けられていてもよい)。具体的には、始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否判定情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当該数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(いわゆる変動が開始される)こととなるが、ある数値が取得されたときに、それより前に取得された数値に基づく当否判定結果が報知されている際には、当該ある数値に基づく当否判定結果が開始されるまで、図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。未だ当否判定の報知が開始されていない数値(以下単に保留と称することもある)の最大の記憶数(最大保留数)は適宜設定することができる。本実施形態における記憶手段が記憶できる最大保留数は、一種の始動入賞口904につき四つである。記憶手段に上記数値(当否判定情報)が記憶されていることは、保留図柄80として表示される(図2参照)。なお、本実施形態では、当否判定の報知が開始される時点で、取得された数値が大当たりとなる数値か否かが判断されることとなるが、数値が取得されたときに当否判定を行い、当否判定結果自体を記憶させておく構成としてもよい(この場合には当否判定結果自体が、当否判定情報に相当することとなる)。また、取得された数値は、当否判定結果を報知する演出の具体的な内容を決定するための数値としても利用される。
【0015】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0016】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される識別図柄70(図2参照)の組み合わせによって当否判定結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の識別図柄70を含む識別図柄群70g(左識別図柄群70gL、中識別図柄群70gC、右識別図柄群70gR)が変動を開始し、最終的に各識別図柄群70gから一の識別図柄70が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各識別図柄群70gから選択されて停止した識別図柄70の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ識別図柄70の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。なお、各図においては、識別図柄70を構成する「数字(文字)」のみを図示するが、当該数字とキャラクタ等が組み合わされた図柄を識別図柄70として設定することができる。
【0017】
2)遊技システム
本実施形態にかかる遊技機1は、遊技者参加システム(図3参照)を利用して遊技することが可能な遊技機である。当該システムは、インターネット上のサーバSおよび遊技者が所有する端末D(携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等のモバイル端末)を利用したシステムである。端的に言えば、サーバS上に保存された遊技情報を、端末Dを用いて遊技機1(同機種)に反映させることができるシステムである。以下、当該システムを説明する。なお、遊技機1は、オフライン環境下に設置されるものである。オンライン環境下に設置された場合、外部からのアクセスによる不正行為(例えば、不正に大当たりを生成する信号が送られる)が実現されるおそれがあるため、インターネットには接続されない。ただし、一般的には、遊技店内部に構築されたローカルネットワーク環境下に設置されることが通常である(いわゆるホールコンピュータと各遊技機1が接続された状態にある)。このようなオフライン環境下に設置されるものであるがゆえ、遊技機1とインターネット上のサーバSが直接情報をやりとりすることはできない。このような状況であることを前提とし、遊技者の端末Dを介して遊技情報をやりとりするのが当該遊技システムである。上記サーバSは、以下で説明する処理等を実行することができるものであればよく、複数のサーバSが組み合わされたものであってもよい。
【0018】
遊技情報は、遊技者が遊技することにより遊技機1に蓄積される情報である。遊技機1は、当該遊技情報を記憶可能な記憶手段(図示せず)を備える。当該遊技情報には、遊技しなければ(遊技球を発射して当否抽選を受けなければ)蓄積されることがない情報(以下、進行情報)が含まれる。進行情報は、遊技の進行に応じて変化する情報であるということもできる。進行情報としては、以下のようなものを例示することができる(以下に例示するものの一部が含まれていてもよいし、以下に例示するもの以外のものが含まれていてもよい)。
【0019】
・発生済演出
当否判定結果を報知する報知演出を構成する演出として、種々の演出(当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(大当たり信頼度)を示唆する演出)が実行される。当該演出の少なくとも一部が対象演出とされており、実際に発生した演出(遊技者が経験した演出)が発生済演出として演出リストに追加される。
・達成したミッション
遊技を進行したときに発生しうる事象が「ミッション」として設定されている。達成したミッションが達成ミッションとしてミッションリストに追加される。ミッションの例としては、大当たり回数○回達成、リーチ○回連続発生、○○リーチで大当たり、等を挙げることができる。
・獲得した演出要素
所定条件を満たすことで演出要素が獲得できるようにする。演出要素としては、キャラクタ等の演出画像、演出楽曲等を例示することができる。獲得された演出要素は、遊技中の演出として反映させることができる。例えば、新たな演出楽曲を獲得した場合には、遊技中に当該楽曲が出力されるようにすることができる。既に獲得済みの演出要素は、要素リストに追加される。
・プレイ情報
当否抽選を受けた回数(総回転数)、大当たり回数(大当たりの種類毎の当選回数)、最大連チャン回数、初当たり回数等、遊技に関する各種情報がプレイ情報として記憶される。
【0020】
初期状態(リセット状態)においては、遊技機1には遊技情報が全く記憶されていない。電源ON時には、遊技機1は初期状態にある。よって、遊技店が開店して全く遊技されていない状態(いわゆる朝一状態)は、通常は初期状態にある。本実施形態では、「遊技者参加モード」の設定を行うことで遊技情報が記憶手段に記憶される(蓄積される)状態となる。具体的には、遊技機1に設けられた操作手段(十字キーや押しボタン)を操作することで、メニュー画面から「××開始」(××は、「遊技者参加モード」の名称である)を選択することで、「遊技者参加モード」の設定が完了する(図4(a)参照)。なお、「遊技者参加モード」を設定しなくても自動的に遊技情報が記憶されていく構成としてもよい。
【0021】
「遊技者参加モード」を設定して遊技者が遊技を継続し、遊技情報が蓄積(図4(b)参照)された状態で遊技をやめるとき、当該遊技情報をサーバSに保存する、すなわち遊技情報を「セーブ」する場合(次に遊技する際に、現在の遊技情報を反映させたいと考える場合)には、遊技者が所有する端末Dを利用して以下の操作を行う。遊技機1に設けられた操作手段(十字キーや押しボタン)を操作することで、メニュー画面から「××終了」(××は、「遊技者参加モード」の名称である)を選択する(図4(c)参照)。これにより、遊技機1は、記憶手段に記憶されている現在の遊技情報を反映させた二次元コード(以下、終了コードと称することもある)を生成し、表示領域911に表示する(図4(d)参照)。
【0022】
本実施形態では、端末Dにダウンロードされた専用のアプリケーションソフト(以下、「アプリ」と称する)を用いる。アプリを利用するには、ユーザID(ユーザ名)およびログインパスワードが必要である設定とする。ログイン(図示せず)した後、アプリのコードリーダを起動した上で、端末Dのカメラにより当該終了コードを読み込む(図4(e)参照)。これにより、インターネットを通じて端末DからサーバSに遊技情報が送信される。具体的には、ユーザID(ユーザ名)と遊技情報が紐づけられた上でサーバSに送信される。サーバSは送信された遊技情報をユーザIDと紐づけた状態で記憶する(図4(f)参照)。なお、専用のアプリを用いる設定とするのはあくまで一例である。ユーザID(ユーザ名)と遊技情報を紐づけられる構成であればよい。例えば、専用のインターネットサイトにログイン(ログインにはユーザID、パスワードが必要となる)させた上で、終了コードを読み込ませる設定としてもよい。また、終了コードによる「セーブ」の方法はあくまで一例である。例えば、遊技情報を反映させたパスワード(終了パスワード)を表示領域911に表示し、端末Dを用いて当該終了パスワードをサーバSに送信させることで、サーバSに遊技情報が保存される設定としてもよい。
【0023】
サーバSに保存された遊技情報を反映させる、すなわち遊技情報を「ロード」する場合(前回遊技した際の遊技情報を反映させた上で、遊技を再開したいと考える場合)には、遊技者が所有する端末Dを利用して以下の操作を行う。遊技者が所有する端末Dのアプリを起動し、ユーザID(ユーザ名)およびログインパスワードを入力してログインする(図示せず)。そして、遊技再開用のパスワード(以下、再開パスワードと称することもある)を要求する操作を行う(図5(a)参照)。当該要求(以下、当該要求を「再開要求」と称する)はインターネットを介してサーバSに送信される。再開要求を受け付けたサーバSは、ユーザID(ユーザ名)に紐づけられている遊技情報を呼び出し、当該遊技情報に基づき再開パスワードを生成する。
【0024】
当該再開パスワードとして、複数のパスワードが生成される。本実施形態では、第一パスワードおよび第二パスワードの二つが生成される。例えば、複数種の遊技情報(進行情報)のうち、一または複数種の情報(第一遊技情報)に基づき第一パスワードが生成され、その他の一または複数の情報(第二遊技情報)に基づき第二パスワードが生成される。パスワードの桁数、用いる文字(ひらがなやカタカナ(五十音)、数字、英字等が考えられる)はどのようなものであってもよい。第一パスワードと第二パスワードが混同されるのを抑制するため、各パスワードの桁数は異なることが好ましい。本実施形態では、第一パスワードは8桁、第二パスワードは16桁とされ、パスワードを構成するのはひらがなとされる。
【0025】
上記再開要求を受け付けたサーバSは、生成した第一パスワードおよび第二パスワードを一緒に端末Dに送信する。遊技者は端末D(アプリ)の操作により第一パスワードおよび第二パスワードを当該端末Dに表示させることができる(図5(b)参照)。第一パスワードおよび第二パスワードは、このような名称でなくてもよく、互いに区別できるようにするための名称が付されていればよい。遊技者は、遊技機1に設けられた操作手段(十字キーや押しボタン)を操作することで、メニュー画面から「パスワード入力」を選択する(図5(c)参照)。これにより、パスワード入力画面に移行する。まず、第一パスワードの入力が促される画面が表示領域911に表示される(図5(d)参照)。遊技者が第一パスワードを入力して確定操作を行うと、第二パスワードの入力が促される画面が表示領域911に表示される(図5(e)参照)。そして、遊技者が第二パスワードを入力して確定操作を行うと、遊技情報が反映された状態となる(前回の遊技の遊技情報が「ロード」された状態となる)(図5(f)参照)。第一パスワードの入力と第二パスワードの入力が同じ画面で促される設定としてもよい。
【0026】
入力された第一パスワードおよび第二パスワードの両方が正しく入力されないとエラーとなる(図5(g)参照)。正しいパスワード組(サーバSから端末Dに一緒に送信されるパスワード組)を構成する複数のパスワードが対応関係にあるとすると、当該対応関係にあるパスワードの全てが正しく入力されないとエラーとなるということである。対応関係にある第一パスワードおよび第二パスワードのそれぞれは、共通するID情報である特定情報が埋め込まれている(図6(a)参照)。当該特定情報は暗号化されて第一パスワードおよび第二パスワードに埋め込まれている。なお、第一パスワードおよび第二パスワードとして現れる情報(遊技者が視認可能な情報)が共通していること、すなわち一部の文字が共通していることを必須とするものではない。復号化された情報(遊技機1が復号化した情報)が共通するものであればよい。
【0027】
特定情報の生成方法(暗号化の方法)は種々考えられるが、遊技者が解読できず(「暗号化」には、遊技者が解読できない状態となる処理の全てが含まれるものとする。なお、ここでいう「解読できない」とは、解読される可能性が皆無であるという意味ではなく、一般的な遊技者が解読することは事実上不可能であるという意味である)、遊技機1が復号できるものであればよい。本実施形態では、再開要求が受け付けられた時点で乱数源(サーバSに設けられた乱数カウンタ)から乱数(遊技者が把握できない数字)を取得する。当該乱数を所定の関数で処理した共通数値に基づいて得られる特定情報を第一パスワードおよび第二パスワードに埋め込む。つまり、第一パスワードは第一遊技情報および共通数値に基づき生成され、第二パスワードは第二遊技情報および共通数値に基づき生成される。遊技機1は、第一パスワードおよび第二パスワードが、共通する特定情報が埋め込まれているか否かを判別すること(復号化して一致するかどうかを判別すること)ができる。
【0028】
単純な例(図6(b)参照)を挙げると、取得された乱数値に基づき、第一パスワードのX桁目(X=1~8のいずれか)と、第二パスワードのY桁目(Y=2~16のいずれか)が対象桁として設定される。乱数値に応じてXとYの値は種々変化する。そして、第一パスワードのX桁目、第二パスワードのY桁目に、共通数値に基づいて決まる文字を設定する。また、第一パスワードおよび第二パスワードの少なくともいずれか一方には、対象桁を解読するための文字を設定する。例えば、第二パスワードの一桁目を特定桁(当該特定桁が対象桁として設定されることはない)の文字が「あ」である場合には、X=4、Y=15であり、「い」である場合には、X=7、Y=10であり、・・・といったように予め文字(ひらがな)の種類とXおよびYの値がランダムに対応づけられているとする。遊技機1は、第一パスワードのX桁目の文字と第二パスワードのY桁目の文字を特定情報として取得する。当該特定情報が共通するかどうか(本例でいえば文字が共通するかどうか)に基づき、第一パスワードと第二パスワードが対応関係にあるかどうかを判別する(図6(b)には、特定桁の文字が「い」である例を示している)。なお、対象桁の文字が共通するかどうかではなく、対象桁の文字が予め定められた所定の関係にある(例えば、X桁目の文字から「五十音順で19分」進んだ文字がY桁目の文字とされる(X桁目の文字が「あ」であれば、Y桁目の文字は「と」とされる)設定とする)ことを「特定情報が共通する」という設定としてもよい。このようにすることで、パスワードのどの部分が特定情報に相当するかがより解読されにくくなる。
【0029】
対象桁および特定桁以外の桁の文字は、遊技情報に基づいて設定される。つまり、上記例で言えば、第一パスワードのX桁目以外の桁の文字が第一遊技情報に基づいて決定され、第二パスワードのY桁目および特定桁以外の桁の文字が第二遊技情報に基づいて決定される。
【0030】
同じタイミングで生成された第一パスワードおよび第二パスワード(パスワード発行の契機が同じであるものをいう。遊技者の端末Dに送信されるタイミングが同じであることをいうものではない)は埋め込まれた特定情報が一致して対応関係にあると認識されるものの、異なるタイミングで生成された第一パスワードおよび第二パスワードは埋め込まれた特定情報が一致せず対応関係にないと認識される(偶然に特定情報が一致する可能性がある設定としてもよいが、当該事象が起こる確率はほぼ0%(1%未満)とされる)。したがって、対応関係にある(一緒に送信される)第一パスワードおよび第二パスワードの両方を入手した場合にのみ当該パスワードの入力が受け付けられるのであって、第一パスワードおよび第二パスワードの一方のみを入手したとしても役に立たない。例えば、あるタイミングで発行された第一パスワードと、それとは別のタイミングで発行された第二パスワードを入手したとしてもいずれのパスワードも役立たない。つまり、第一パスワードおよび第二パスワードの一方は、同じタイミングで生成された他方の存在があってこそ生きるものである。
【0031】
対応関係にある第一パスワードおよび第二パスワードが正しく入力されないと、エラーとなる(表示領域911にエラー表示がなされる)。本実施形態では、第一パスワードと第二パスワードが共通する特定情報が埋め込まれたものかどうかも確認されるから、第二パスワードが入力された時点でエラー表示がなされる。本実施形態では、エラー表示として、「パスワードが正しくありません」の文字が表示領域911に表示され、第一パスワードの入力画面に戻る。
【0032】
このように、本実施形態にかかる遊技機1は、対応関係にある第一パスワードおよび第二パスワードの両方を入手しなければサーバSに記憶された遊技情報を反映させることができない(一つのパスワードのみ入手しても役立たない)から、ただ乗り遊技を抑制することが可能である。
【0033】
以下、上記実施形態にかかる遊技機1を改良、変形、具体化等した具体例について説明する。なお、可能であれば、以下の具体例を用いて説明する技術的事項を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0034】
〇第一具体例
上記実施形態にかかる遊技機1は、サーバSに記憶された遊技情報を反映させる場合、第一パスワードおよび第二パスワードの二つが要求されるものであることを説明したが、三つ以上のパスワードが設定されていてもよい。この場合、複数のパスワードのそれぞれに特定情報が埋め込まれていればよい。つまり、複数のパスワードが対応関係にあるか否か(同じタイミングで生成されたものか否か)を遊技機1が判別可能であればよい。
【0035】
〇第二具体例
第一パスワードおよび第二パスワードの一方が、有効期限内しか使用することができない期限付パスワードである設定とする。つまり、期限付パスワードとされた第一パスワードおよび第二パスワードの一方には、有効期限を示す情報(期限情報)が埋め込まれたものとする(図7参照)。遊技機1は、RTC(リアルタイムクロック)を有しており、当該RTCを用いて入力されたパスワードが有効期限内かどうかを確認し、有効期限外であると判断された場合にはエラーとして処理する。
【0036】
上記実施形態にて説明した通り、第一パスワードおよび第二パスワードが対応関係になければエラーとなるのであるから、期限付パスワードとするのは第一パスワードおよび第二パスワードの一方でよい。例えば、第二パスワードを期限付パスワードとすれば、当該第二パスワードが有効期限外であるときには、当該第二パスワードと対応関係にある第一パスワードは役に立たなくなる(第一パスワードを期限付パスワードとしなくても、実質的には有効期限が設定されたものとなる)。ただし、第一パスワードおよび第二パスワードの両方を期限付パスワードとすることを否定するわけではない。この場合には、第一パスワードと第二パスワードの有効期限を一致させる。また、上述した特定情報に有効期限に関する情報が含まれた構成としてもよい。特定情報は第一パスワードと第二パスワードの両方に埋め込まれた共通の情報であるから、当該特定情報に有効期限に関する情報が含まれるようにして、第一パスワードと第二パスワードの有効期限が一致するようにする。
【0037】
有効期限(期限情報)をどの程度の長さとするかは適宜設定することができる。例えば、パスワード発行日を有効期限として設定することが考えられる。第二パスワードを期限付パスワードとするのであれば、当該第二パスワードに日付情報(暗号化されたもの)を埋め込む。遊技機1は、RTCに基づいて現実の日付を確認し、入力された第二パスワードの日付情報(復号化されたもの)が一致する場合には有効期限内であるとし、一致しない場合しない場合には有効期限外であるものとする。なお、日付情報は、少なくとも「月」「日」の情報を含むものとするとよい。「年」の情報を含まない場合、1年後(N年後)の同じ月日にてパスワードが有効期限内であると判断されてしまう(有効期限が経過した後、ちょうど1年後に有効期限が訪れる)ものの、ちょうど1年後に遊技を再開しようと考える遊技者はいないとして、「年」の情報を含まない設定としてもよい。日付情報の大きさを小さくするために「日」のみの情報が含まれるようにしてもよい(ただし、この場合は1か月後(Nか月後)の同じ日にてパスワードが有効期限内であるとされてしまう)。つまり、「有効期限」は、当該期限が経過した後、所定期間(「年」や「月」単位の期間)経過後に再び当該期限が訪れる態様であってもよいものとする。このように「年」や「月」単位の期間が経過した後の「同じ日」の遊技もできないようにするために、「年」「月」「日」全ての情報が含まれるようにしてもよい。また、「曜日」の情報を含むものとし、同じ日であっても曜日が異なれば有効とはならない設定としてもよい。
【0038】
また、パスワードの有効期限を時間単位で設定してもよい。例えば、パスワードが生成されてから(遊技者が端末Dでパスワードを受信してから)30分間が有効期限であるといった設定とする。
【0039】
遊技者の要求に基づき遊技者の端末Dに再開パスワード(第一パスワードおよび第二パスワード)が送信されたときには、当該端末Dに有効期限情報が表示されるようにするとい。例えば、送信された再開パスワードとともに、「このパスワードは本日限り有効です」といった表示がなされるようにする。
【0040】
なお、本例と同様の作用が奏されるようにするのであれば、第一パスワードおよび第二パスワードの少なくとも一方が、一回のみしか使用できないワンタイムパスワードとすることが考えられる。しかし、上述した通り遊技機1はオフライン環境下に設置されるものであり、対象のパスワードが使用されたか否かの情報を共有すること(各地に設置されている対象の遊技機1全てで共有すること)は困難である。よって、第一パスワードおよび第二パスワードの少なくとも一方をワンタイムパスワードとすることは得策ではない。
【0041】
本例のようにすることで、有効期限外のパスワードを利用することができなくなるから、ただ乗り遊技の抑制効果を高めることが可能となる。例えば、偶然に特定情報が一致する第一パスワードおよび第二パスワードを不正に取得したとしても、有効期限外であれば利用することができない。
【0042】
日付情報に基づいて有効期限外のパスワードが入力されたと判別できる場合(有効期限内であれば入力されたパスワードが有効であったと判別できる場合)、表示領域911に表示されるエラー表示が「有効期限外であることを示す画像」を含むものであるとよい。パスワードの入力ミスだと思い、遊技者が何度も有効期限外のパスワードを入力してしまうことを防止するためである。端末Dを利用して再度のパスワードの取得を促す表示がなされるようにしてもよい。
【0043】
〇第三具体例
上記実施形態では、遊技情報として進行情報がサーバSに記憶されることを説明したが、進行情報とは異なるカスタマイズ情報が記憶されるものとする。上述した通り、進行情報は、遊技の進行に応じて変化する(遊技しない限り蓄積されない)情報である一方、カスタマイズ情報は遊技者自らがカスタマイズすることが可能な設定(機能)に関する情報である。カスタマイズ情報は、遊技球を発射しなくても(当否抽選を受けなくても)、遊技者が任意に設定することが可能な情報であるともいえる。カスタイマイズ情報(機能)としては、以下のようなものを例示することができる(以下に例示するものの一部が含まれていてもよいし、以下に例示するもの以外のものが含まれていてもよい)。
【0044】
・選択キャラクタ
複数種のキャラクタが設定されており、当該複数種のキャラクタのうちから好みのキャラクタを遊技者が選択することができるものとする。報知演出を構成する一または複数種の演出として、選択されたキャラクタ(以下、選択キャラクタと称する)が登場する演出が実行されるものとする。つまり、選択キャラクタの種類に応じ、実行される演出(演出の画像)が変化する。
・大当たり信頼度設定
報知演出中に発生しうるある演出(以下、特定演出と称する)について、発生したときの大当たり信頼度を変化させることができるものとする。例えば、演出Aについて、デフォルトでは大当たり信頼度30%であるものの、50%とすること(演出Aの大当たり信頼度を高めること)ができる設定とする。大当たり信頼度を低下させることができる設定であってもよい。特定演出として、複数種の演出が設定されていてもよい。この場合には、特定演出の一つ一つについて、信頼度を変化させることができるようにするとよい。
・出力設定
音量や光量等の出力を調整することが可能なものであるとする(このような遊技機1は周知であるから説明を省略する)。これらの出力の大きさが、カスタマイズ情報としてサーバSに記憶されるものとする。音量および光量の少なくともいずれか一方のみがカスタマイズ情報として設定された構成としてもよい。音量や光量について「好みの出力の大きさ」は遊技者固有のものであって同じ機種を遊技する場合には変化しないことが想定されるから、これらの設定が遊技再開時に反映されることは遊技者にとって都合がよいといえる。
【0045】
このように、サーバSに記憶される遊技情報として進行情報およびカスタマイズ情報が設定されているものとし、第一パスワードおよび第二パスワードの一方は進行情報に基づき、他方はカスタマイズ情報に基づき決まるものとする(図8参照)。上記実施形態に即して言えば、第一パスワードのX桁目以外の桁の文字が進行情報(第一遊技情報)に基づいて決定され、第二パスワードのY桁目および特定桁以外の桁の文字がカスタマイズ情報(第二遊技情報)に基づいて決定される。
【0046】
本例のように、進行情報が反映されるパスワードとカスタマイズ情報が反映されるパスワードが別になるようにすることで、パスワード生成の制御(パスワード生成プログラムの作成)が容易になるといった作用が奏される。換言すれば、本例は、ただ乗り遊技の抑制のために複数のパスワードが設定されることを、パスワード生成の制御の容易化にも利用しているといえる。
【0047】
〇第四具体例
第一パスワードの入力が促された後、第二パスワードの入力が促されるという構成である場合において、第一パスワードの入力がなされた時点で、エラーとして処理されるケースが発生しうるものとする。第一パスワードとしてあり得ない文字列(異常文字列と称する)が入力された場合には、第二パスワードを入力させるまでもないとしてエラーとする(図9(a)→(b-1))ことで、遊技者の負担を低減することができる。例えば、遊技情報がどのようなものであっても、同じ文字のみから構成される文字列(例えば、「ああああああああ」)が第一パスワードとして生成されることはない。このような異常文字列が入力されたときには、即座に(第二パスワードの入力画面を表示することなく)エラーとして処理するようにする。
【0048】
第一パスワードとして生成されうる文字列(異常文字列ではない文字列)が入力された場合には、第二パスワードの入力画面に移行し、第二パスワードの入力が促される(図9(a)→(b-2))。第二パスワードとして入力された文字列が正しいものかを判別する際に、先に入力された第一パスワードの文字列と共通する特定情報が埋め込まれているかどうかを解析する。
【0049】
〇第五具体例
上記実施形態にて説明した通り、対応関係にある第一パスワードおよび第二パスワードが入力されなければエラーとして処理される。第一パスワードの入力が促された後、第二パスワードの入力が促されるという構成である場合において、遊技者が第一パスワードに続いて第二パスワードまで入力して(図10(a)参照)エラーとなった場合(図10(b)参照)、表示領域911に第一パスワードの入力画面が表示された状態(以下、第一パスワード入力状態と称することもある)に移行すること(図10(d-1)参照)もあれば、第二パスワードの入力画面が表示された状態(以下、第二パスワード入力状態と称することもある)に移行すること(図10(d-2)参照)もある設定とする。
【0050】
本例のようにする場合、例えば、エラーとなった後、第一パスワード入力状態に戻るか第二パスワード入力状態に戻るかを遊技者に選択させる(図10(c)参照)構成とすることが考えられる。エラー表示(図10(b)参照)と選択画面(図10(c)参照)が一緒に表示される態様としてもよい。このようにすることで、例えば、第二パスワードの入力ミスに気付いている遊技者は、第二パスワード入力状態に戻ることを選択することができる。これにより、第一パスワード入力状態まで戻ることによる遊技者の苛立ちを抑制することが可能である。また、このような構成とする場合、第一パスワードとしてあり得ない文字列が入力されていると判断された場合には、第一パスワードの入力が必要になるのであるから、強制的に(遊技者に選択させることなく)第一パスワード入力状態に戻る設定としてもよい。
【0051】
〇第六具体例
上記実施形態では、第一パスワードおよび第二パスワードに特定情報が埋め込まれており、入力された第一パスワードおよび第二パスワードについて特定情報が共通する場合(両パスワードが対応関係にあると判断される場合)に入力が有効となり、共通しない場合にエラーとなることを説明したが、このような特定情報が埋め込まれていない設定としてもよい。つまり、第一パスワードおよび第二パスワードが対応関係にあるか否かが、パスワード入力が有効か否かの基準として設定されていない構成としてもよい。このようにしても、遊技機1に遊技情報を反映させるためには複数のパスワードを入手しなければならなくなるから、一つのパスワードのみの入力で足りる構成に比してただ乗り遊技を抑制することが可能である。
【0052】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0053】
例えば、上記実施形態にかかる遊技機はいわゆるぱちんこ遊技機であるが、ぱちんこ遊技機特有の構成を除き、その他の遊技機(例えば、回胴式遊技機)にも同様の技術思想を適用することが可能である。
【0054】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0055】
・手段1
インターネット上のサーバに保存された遊技情報を反映させることが可能な、オフライン環境下に設置される遊技機であって、前記サーバから遊技者の端末に送信される複数のパスワードが入力されることで前記遊技情報が反映された状態となることを特徴とする遊技機。
上記遊技機では、複数のパスワードを入手しなければサーバに記憶された遊技情報を反映させることができないから、ただ乗り遊技を抑制することが可能である。
【0056】
・手段2
対応関係にある複数の前記パスワードのそれぞれには特定情報が埋め込まれており、前記特定情報に基づき、入力された複数の前記パスワードが対応関係にあると認められる場合には前記遊技情報が反映された状態となる一方、対応関係にあると認められない場合にはエラーとして処理され前記遊技情報が反映されないことを特徴とする手段1に記載の遊技機。
このようにすることで、対応関係にある複数のパスワードの全てを入手しなければ(複数のパスワードを別に集めても)遊技情報を反映させることができないから、ただ乗り遊技を抑制することが可能である。
【0057】
・手段3
サーバに保存された前記遊技情報には、遊技の進行に応じて変化する進行情報および遊技者がカスタマイズすることが可能な設定に関するカスタマイズ情報が含まれ、複数の前記パスワードの一つは前記進行情報に基づいて決まる第一パスワードであり、別の一つは前記カスタマイズ情報に基づいて決まる第二パスワードであることを特徴とする手段1または手段2に記載の遊技機。
上記のように、進行情報が反映されるパスワードとカスタマイズ情報が反映されるパスワードが別になるようにすることで、パスワード生成の制御が容易になる。
【0058】
・手段4
複数の前記パスワードの少なくとも一方は、有効期限が定められた期限付パスワードであることを特徴とする手段1から手段3のいずれかに記載の遊技機。
このようにすることで、ただ乗り遊技の抑制効果をさらに高めることが可能となる。
【符号の説明】
【0059】
1 遊技機
70 識別図柄
91 表示装置
911 表示領域
S サーバ
D 端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10