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特許7229564商店街の活性化のための調査システム並びに調査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】商店街の活性化のための調査システム並びに調査方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0203 20230101AFI20230220BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20230220BHJP
【FI】
G06Q30/0203
G06Q50/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020547795
(86)(22)【出願日】2018-09-28
(86)【国際出願番号】 JP2018036264
(87)【国際公開番号】W WO2020065919
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2020-08-14
(73)【特許権者】
【識別番号】521183464
【氏名又は名称】株式会社CODESIGN TOKYO
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】川中子 枝里
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-173692(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0035600(KR,A)
【文献】池永 全志,他3名,商店街にぎわい見える化ICT実証実験 ~中心市街地活性化に向けた産官学連繋の取組み~,月刊J-LIS,地方公共団体情報システム機構,2016年12月01日,第3巻,第9号,p.37-42
【文献】松山 真一朗,商店街が抱える課題の抽出,SCB地域調査情報20-1,信金中央金庫総合研究所,2008年05月28日,p.1-17
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商店街への人の流入経路上を行き交う通行人の映像を取得するための通行人観察カメラと,
通行人観察カメラの映像を取得する映像取得部と,
取得した映像から撮影された通行人ごとに通行人識別情報を付与し,その撮影時刻に関連付けて撮影された通行人の性別と年齢を推測する性別年齢推測部と,
通行人識別情報と,撮影時刻と関連付けられた通行人の推測された性別と年齢とを関連付けた情報である通行人情報を蓄積する通行人情報蓄積部と,
前記商店街の店舗入居スペースごとに入居スペース識別情報を付与して,店舗入居の有無と,入居している場合に店舗の業態と,入居している場合に店舗の営業時間と,入居している場合に店舗の想定顧客層の性別と年齢とを含む店舗情報を保持する店舗情報保持部と,
蓄積されている通行人情報と,保持されている店舗情報と,を用いて通行人数と店舗の開店数との時間変化を演算する通行人店舗開店時間変化演算部と,
蓄積されている通行人情報を用いて通行人の性別と,年齢の分布を示す通行人年齢性別分布情報を取得する通行人年齢性別分布情報取得部と,
蓄積されている店舗情報を用いて店舗の想定顧客層の性別と,年齢の分布を示す想定顧客層年齢性別分布情報を取得する想定顧客層年齢性別分布情報取得部と,
取得した通行人年齢性別分布情報と,取得した想定顧客層年齢性別分布情報とを比較可能に出力する年齢性別比較出力部と,
店舗情報保持部に保持されている業態であるか否かを問わず,業態と,その業態に適した最適顧客層の年齢と性別とを関連付けた業態データを保持する業態データ保持部と,
取得された通行人年齢性別分布情報と,保持されている店舗情報,保持されている業態データとに基づいて,入居していない店舗スペースがある場合に,入居すべき店舗の業態である入居推薦店舗業態を取得する入居推薦店舗業態取得部と,
取得した入居推薦店舗業態を出力する入居推薦店舗業態出力部と,
を有する商店街の活性化のための調査システム。
【請求項2】
取得された通行人年齢性別分布情報と,取得された想定顧客層年齢性別分布情報と,保持されている業態データとに基づいて,入居している店舗スペースの店舗情報で示される業態の適切性を示す指標を演算するためのルールである業態適切性指標演算ルールを保持する業態適切性指標演算ルール保持部と,
取得された通行人年齢性別分布情報と,取得された想定顧客層年齢性別分布情報と,保持されている業態データとに基づいて,入居している店舗スペースの店舗情報と,保持されている業態適切性指標演算ルールと,を用いて入居している店舗の店舗情報で示される業態の適切性を示す指標を演算する業態適切性指標演算部と,
をさらに有する請求項に記載の商店街の活性化のための調査システム。
【請求項3】
商店街の店舗入居スペースごとに入居スペース識別情報を付与して,店舗入居の有無と入居している場合に店舗の業態と,入居している場合に店舗の営業時間と,入居している場合に店舗の想定顧客層の性別と年齢とを含む店舗情報を保持する店舗情報保持部と,
店舗情報保持部に保持されている業態であるか否かを問わず,業態と,その業態に適した最適顧客層の年齢と性別とを関連付けた業態データを保持する業態データ保持部と,を有する商店街の活性化のための計算機である調査システムの動作方法であって,
前記商店街への人の流入経路上を行き交う通行人の映像を取得するための映像取得ステップと,
取得した映像から撮影された通行人ごとに通行人識別情報を付与し,その撮影時刻に関連付けて撮影された通行人の性別と年齢を推測する性別年齢推測ステップと,
通行人識別情報と,撮影時刻と関連付けられた通行人の推測された性別と年齢とを関連付けた情報である通行人情報を蓄積する通行人情報蓄積ステップと,
蓄積されている通行人情報と,保持されている店舗情報と,を用いて通行人数と店舗の開店数との時間変化を演算する通行人店舗開店時間変化演算ステップと,
蓄積されている通行人情報を用いて通行人の性別と,年齢の分布を示す通行人年齢性別分布情報を取得する通行人年齢性別分布情報取得ステップと,
蓄積されている店舗情報を用いて店舗の想定顧客層の性別と,年齢の分布を示す想定顧客層年齢性別分布情報を取得する想定顧客層年齢性別分布情報取得ステップと,
取得した通行人年齢性別分布情報と,取得した想定顧客層年齢性別分布情報とを比較可能に出力する年齢性別比較出力ステップと,
取得された通行人年齢性別分布情報と,保持されている店舗情報,保持されている業態データとに基づいて,入居していない店舗スペースがある場合に,入居すべき店舗の業態である入居推薦店舗業態を取得する入居推薦店舗業態取得ステップと,
取得した入居推薦店舗業態を出力する入居推薦店舗業態出力ステップと,
を有する商店街の活性化のための調査システムの動作方法。
【請求項4】
取得された通行人年齢性別分布情報と,取得された想定顧客層年齢性別分布情報と,保持されている業態データとに基づいて,入居している店舗スペースの店舗情報で示される業態の適切性を示す指標を演算するためのルールである業態適切性指標演算ルールを保持する業態適切性指標演算ルール保持部をさらに有する商店街の活性化のための計算機である調査システムの動作方法であって,
取得された通行人年齢性別分布情報と,取得された想定顧客層年齢性別分布情報と,保持されている業態データとに基づいて,入居している店舗スペースの店舗情報と,保持されている業態適切性指標演算ルールと,を用いて入居している店舗の店舗情報で示される業態の適切性を示す指標を演算する業態適切性指標演算ステップと,
をさらに有する請求項に記載の商店街の活性化のための調査システムの動作方法。
【請求項5】
商店街の店舗入居スペースごとに入居スペース識別情報を付与して,店舗入居の有無と入居している場合に店舗の業態と,入居している場合に店舗の営業時間と,入居している場合に店舗の想定顧客層の性別と年齢とを含む店舗情報を保持する店舗情報保持部と,
店舗情報保持部に保持されている業態であるか否かを問わず,業態と,その業態に適した最適顧客層の年齢と性別とを関連付けた業態データを保持する業態データ保持部と,を備えた計算機である商店街の活性化のための調査システム装置に読取実行可能に記述した調査プログラムであって,
前記商店街への人の流入経路上を行き交う通行人の映像を取得するための映像取得ステップと,
取得した映像から撮影された通行人ごとに通行人識別情報を付与し,その撮影時刻に関連付けて撮影された通行人の性別と年齢を推測する性別年齢推測ステップと,
通行人識別情報と,撮影時刻と関連付けられた通行人の推測された性別と年齢とを関連付けた情報である通行人情報を蓄積する通行人情報蓄積ステップと,
蓄積されている通行人情報と,保持されている店舗情報と,を用いて通行人数と店舗の開店数との時間変化を演算する通行人店舗開店時間変化演算ステップと,
蓄積されている通行人情報を用いて通行人の性別と,年齢の分布を示す通行人年齢性別分布情報を取得する通行人年齢性別分布情報取得ステップと,
蓄積されている店舗情報を用いて店舗の想定顧客層の性別と,年齢の分布を示す想定顧客層年齢性別分布情報を取得する想定顧客層年齢性別分布情報取得ステップと,
取得した通行人年齢性別分布情報と,取得した想定顧客層年齢性別分布情報とを比較可能に出力する年齢性別比較出力ステップと,
取得された通行人年齢性別分布情報と,保持されている店舗情報,保持されている業態データとに基づいて,入居していない店舗スペースがある場合に,入居すべき店舗の業態である入居推薦店舗業態を取得する入居推薦店舗業態取得ステップと,
取得した入居推薦店舗業態を出力する入居推薦店舗業態出力ステップと,
を有する計算機である商店街の活性化のための調査システム装置に読取実行可能に記述した調査プログラム。
【請求項6】
取得された通行人年齢性別分布情報と,取得された想定顧客層年齢性別分布情報と,保持されている業態データとに基づいて,入居している店舗スペースの店舗情報で示される業態の適切性を示す指標を演算するためのルールである業態適切性指標演算ルールを保持する業態適切性指標演算ルール保持部をさらに有する計算機である商店街の活性化のための調査システム装置に読取実行可能に記述した調査プログラムであって,
取得された通行人年齢性別分布情報と,取得された想定顧客層年齢性別分布情報と,保持されている業態データとに基づいて,入居している店舗スペースの店舗情報と,保持されている業態適切性指標演算ルールと,を用いて入居している店舗の店舗情報で示される業態の適切性を示す指標を演算する業態適切性指標演算ステップ
をさらに有する請求項に記載の計算機である商店街の活性化のための調査システム装置に読取実行可能に記述した調査プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,商店街の活性化のための調査システム並びに調査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ショッピングモールを含む商店街において,入居スペースごとに適切なテナントが入居し,適切な商品・サービスを適切な時間帯に販売・提供することが望ましい。その適切性の分析ないし判断を誤ると,いわゆるシャッター街のような閉店テナントばかりの商店街になってしまう。
【0003】
ショッピングモールを含む商店街は,その商店街の置かれた地域によって,そこを通る通行人の属性や通行量・通行者の時間的分布に特徴がある。それにもかかわらず,従来までは,入居スペースごとにどのようにすれば店が繁盛するかを独立に分析しようとするのみであった。それでは,商店街の各店舗,商店街全体を活性化することは困難であった。
【0004】
先行技術としては,強いて挙げれば以下の特許文献1が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5438859号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は,店舗に来店した顧客の客層に関する分析を行う客層分析装置である。具体的な構成としては,店舗の出入口の近傍の案内待ちエリアから客席に向かう顧客を正面から撮像するように設定された撮像領域に出現した人物の客層を判定して,その判定結果である客層情報を取得し,前記撮像領域に出現した人物の行動形態から,その人物が前記分析対象となる顧客か否かを判定して,該当しない人物を前記分析対象から排除し,絞り込まれた人物を対象にして前記客層情報を集計する集計手段し,時系列で取得した所定期間単位の客層別人数に基づいて客層別人数の変動傾向に関する客層傾向情報を生成するというものである。
【0007】
しかしながら,特許文献1に記載の発明は,その対象を「店舗に来店した顧客」としているため,本来であれば潜在的に来店の可能性を秘めている通行人であっても,来店しない限り分析対象とならず,そもそも見逃していた新たな顧客層を開拓するという目標を達成しうるものではなかった。
【0008】
したがって,特許文献1に記載の技術では,従来の顧客層に向けてテナントが効率的に店舗を運営していくため分析に資する情報ではあるものの,新規顧客の開拓や,ショッピングモールを含む商店街全体で見た場合の活性化には繋がらないという問題が残されていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は,本来であれば潜在的に来店の可能性を秘めている通行人など,見逃していた新たな顧客層を開拓するとともに,これを商店街の全体で見た場合の活性化という観点から,商店街全体の改善を図ることのできるシステムを提供することを目的とする。
【0010】
そのような目的を達成するため,本発明は,商店街への人の流入経路上を行き交う通行人の映像を取得するための通行人観察カメラと,通行人観察カメラの映像を取得する映像取得部と,取得した映像から撮影された通行人ごとに通行人識別情報を付与し,その撮影時刻に関連付けて撮影された通行人の性別と年齢を推測する性別年齢推測部と,通行人識別情報と撮影時刻と関連付けられた通行人の推測された性別と年齢とを関連付けた情報である通行人情報を蓄積する通行人情報蓄積部と,前記商店街の店舗入居スペースごとに入居スペース識別情報を付与して,店舗入居の有無と入居している場合に店舗の業態と入居している場合に店舗の営業時間と入居している場合に店舗の想定顧客層の性別と年齢とを含む店舗情報を保持する店舗情報保持部と,蓄積されている通行人情報と保持されている店舗情報とを用いて通行人数と店舗の開店数との時間変化を演算する通行人店舗開店時間変化演算部とを有する商店街の活性化のための調査システムを提供する。
【0011】
次に,上記特徴に加えて,蓄積されている通行人情報を用いて通行人の性別と,年齢の分布を示す通行人年齢性別分布情報を取得する通行人年齢性別分布情報取得部と,蓄積されている店舗情報を用いて店舗の想定顧客層の性別と,年齢の分布を示す想定顧客層年齢性別分布情報を取得する想定顧客層年齢性別分布情報取得部と,取得した通行人年齢性別分布情報と,取得した想定顧客層年齢性別分布情報とを比較可能に出力する年齢性別比較出力部とをさらに有する商店街の活性化のための調査システムを提供する。その上で,店舗情報保持部に保持されている業態であるか否かを問わず,業態とその業態に適した最適顧客層の年齢と性別とを関連付けた業態データを保持する業態データ保持部と,取得された通行人年齢性別分布情報と保持されている店舗情報保持されている業態データとに基づいて,入居していない店舗スペースがある場合に入居すべき店舗の業態である入居推薦店舗業態を取得する入居推薦店舗業態取得部と,取得した入居推薦店舗業態を出力する入居推薦店舗業態出力部とをさらに有する商店街の活性化のための調査システムを提供する。また,取得された通行人年齢性別分布情報と取得された想定顧客層年齢性別分布情報と保持されている業態データとに基づいて入居している店舗スペースの店舗情報で示される業態の適切性を示す指標を演算するためのルールである業態適切性指標演算ルールを保持する業態適切性指標演算ルール保持部と,取得された通行人年齢性別分布情報と取得された想定顧客層年齢性別分布情報と保持されている業態データとに基づいて,入居している店舗スペースの店舗情報と保持されている業態適切性指標演算ルールとを用いて入居している店舗の店舗情報で示される業態の適切性を示す指標を演算する業態適切性指標演算部とをさらに有する商店街の活性化のための調査システムを提供する。
【0012】
そして,そのような調査システムに対応した動作方法及び計算機である調査システム装置に読取実行可能に記述した調査プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0013】
以上により,本来であれば潜在的に来店の可能性を秘めている通行人など,見逃していた新たな顧客層を開拓するとともに,これを商店街の全体で見た場合の活性化という観点から,商店街全体の改善を図ることのできるシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1における調査システムの機能的構成を示す図
図2】実施例1における調査システムのハードウェア構成を示す図
図3】実施例1における調査システムの処理の流れを示す図
図4】実施例2における調査システムの機能的構成を示す図
図5】実施例2における調査システムのハードウェア構成を示す図
図6】実施例2における調査システムの処理の流れを示す図
図7】実施例3における調査システムの機能的構成を示す図
図8】実施例3における調査システムのハードウェア構成を示す図
図9】実施例3における調査システムの処理の流れを示す図
図10】実施例4における調査システムの機能的構成を示す図
図11】実施例4における調査システムのハードウェア構成を示す図
図12】実施例4における調査システムの処理の流れを示す図
図13】商店街の人の流れを示す図
図14】上方から見た商店街を模式的に示す図
図15】一例として,通行人の性別と年齢を推測する方法の概要を示す図
図16】蓄積された通行人情報の一例を示す図
図17】保持された店舗情報の内容の一例を示す図
図18】保持する業態データの一例を示す図
図19】業態適切性指標演算ルールと実際の演算内容の一例を示す図
図20】年齢に関する業態適切性指標演算の内容の一例を示す図
図21】年齢に関する業態適切性指標演算の内容の一例を示す図
図22】特定の通行人属性における通行人数と開店率の関係につき,横軸を時間軸,縦軸を通行人数と店舗の開店率として出力したグラフの一例を示す図
【0015】
以下,本発明の実施形態について,図面を用いて説明する。本発明の内容は,以下の実施例にのみ限定されるものではなく,本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得る。
【0016】
実施例と請求項の相互の関係は以下の通りである。主として,実施例1の説明は請求項1に関し,実施例2の説明は請求項2に関し,実施例3の説明は請求項3に関し,実施例4の説明は請求項4に関するものである。

【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0017】
本実施例は,商店街への人の流入経路上を行き交う通行人の映像を取得し,取得した映像から撮影された通行人ごとに撮影時刻に関連付けて性別と年齢を推測した上で通行人情報を蓄積し,前記商店街の店舗入居スペースごとに店舗入居の有無と入居している場合に店舗の業態と入居している場合に店舗の営業時間と入居している場合に店舗の想定顧客層の性別と年齢とを含む店舗情報を保持し,蓄積されている通行人情報と保持されている店舗情報とを用いて通行人数と店舗の開店数との時間変化を演算するための機能を有する商店街の活性化のための調査システムである。
【0018】
図13は,商店街の人の流れを示す図である。本発明において,「商店街」とは,商店が多く立ち並ぶ通りを含むものであるが,それに限定されず,1つの建物内に人の流れ(直線的であるか分散的であるかは問わない)があり複数のテナント用スペースが存在する場所,デパート内,ショッピングセンター内,アウトレットパーク内,横丁,飲み屋街,複合商業施設内,店舗を複数配した広場,店舗が連なるガード下,門前町,参道,一時的に構築されるお祭りの夜店の通り,などを広く含むものと定義される。つまり,複数の店舗が配されている空間を広く含むものである。図13は,そのうち商店が多く立ち並ぶ通りを例にとっているところ,「STATION」とされている駅部分から「SHOP」とされている商店が多く立ち並ぶ通りを通行人が行き来するようになっている。このように,例えば駅などの存在により,通行人の流れが変わる。更には,時間帯によっても,通行人の流れ及び属性も変わってくる。
【0019】
本発明は,商店街を行き来する通行人の数や属性を時間軸で把握し,その情報をもとに商店街の活性化のための調査システムを提供するというものである。
【0020】
以下,本実施例における商店街の活性化のための調査システムについて,機能的構成,ハードウェア構成及び処理の流れについて,順に説明する。
【0021】
<機能的構成>
図1は,本実施例における調査システムの機能的構成を示す図である。本実施例における調査システムは,通行人観察カメラ(0101)と映像取得部(0102)と性別年齢推測部(0103)と通行人情報蓄積部(0104)店舗情報保持部(0105)と通行人店舗開店時間変化演算部(0106)を有する。以下,機能的構成については,具体的に各機能の内容につき説明する。
【0022】
「通行人観察カメラ」とは,商店街への人の流入経路上を行き交う通行人の映像を取得する機能である。通行人観察カメラは人のいたずらなどによって故障したり傷つけられたりするのを防止するために比較的高い位置に設置される。しかしながら顔が撮影の重要要素であるので顔を比較的鮮明にとらえるために,通行人観察カメラのフォーカスは比較的遠方に設定することが好ましい。さもなければ通行人の頭の上しか撮影できなくなるからである。例えば10メートル以上20メートル以下程度の位置の映像を撮影するように設定することが好ましい。
【0023】
ここで「流入経路」とは,商店街に対して人が出入りする経路を指し,1つである必要はない。一般的には,「流入経路」が流出経路を兼ねている。したがって,通行人観察カメラは1つの商店街に対して複数設置される場合がある。また,1つの商店街が複数の小さな商店街から構成されている場合もあり,この場合には,大きな流入経路に流入した通行人を通行人観察カメラで一旦撮影するとともに,小さな商店街に流入する際に再度同じ人物について通行人観察カメラで観察して分析を行うことがあり得る。
【0024】
また,原則的には,その通行人の商店街への流入を捉えて,後処理に回すように構成することが想定されている。例えば,流入してくる通行人の顔はとらえられるが,流出してゆく通行人の顔はとらえられないように構成して,流入してくる通行人のみの映像を後述する映像取得部に送信するように処理してもよい。また,通行人の映像は全て映像取得部に送信するが,映像取得部にて,後述する性別年齢推測部に出力する通行人の情報を,流入してくる通行人についてのみとするように構成してもよい。
【0025】
さらに,流入と流出を区別して,両方向の通行人の情報を処理するように構成することもできる。このように構成すると,各通行人の商店街滞在時間を情報として取得することができより詳細な商店街の通行人情報の分析が可能である。また,商店街の中間にも特定位置の両方向に通行人観察カメラを設置するように構成すると,各通行人の商店街内での所定ブロックにおける滞留時間を取得することができ,商店街に配されている店舗の属性情報と合わせて分析すると,各通行人の滞留時間とその滞留店舗属性との関連性を取得することもできる。さらには,所定ブロックの距離を合わせて分析すると,当該所定ブロック内の通行人の移動速度なども把握することができる。あるいは,そのブロック内にある店舗の数に基づいて1店舗当たりの通行人の平均通過速度を算出したり,そのブロック内にある店舗の来客スペースに基づいて通行人の平均来客スペース通過速度を算出することができる。これと,さらにブロック内の店舗の属性とから店舗属性別又は店舗属性×店舗面積当たりの通行人の平均通過速度などを算出することも可能である。これによって通行人が興味を持つ店舗属性を分析算出することも可能となる。
【0026】
図14は,上方から見た商店街を模式的に示す図である。「SHOPPING STREET」とある一本の通路が存在する(なお,ここでは通路が一本であるが,もちろん二本以上の通路が存在していても何ら問題はなく,本発明の対象範囲内である。)。そして,その一本の道に沿うように「A」から「R」までの18の入居スペースが存在する。ここでは,通行人の流れが「R」「Q」の入居スペースが存在する方向から「A」「H」の入居スペースが存在する方向に流れる場合を想定して説明する。「通行人観察カメラ」は,通行人の流れからすると商店街入口側に「CAMERA1」とされるカメラが存在し,通行人の流れからすると商店街出口側に「CAMERA2」とされるカメラが存在する。存在する場所は,商店街の入口と出口に限定されず,2つの入居スペースおきに設置するなど,所定間隔で設置してもいい。また,通行人の性別や年齢を推測することが容易になるよう,1か所を複数方向から撮影するような設置態様にしてもいい。
【0027】
「映像取得部」とは,通行人観察カメラの映像を取得する機能である。この「映像取得部」において,通行人の重複を排除するための構成を備えていてもいい。具体的には,通行人観察カメラにて流入してくる通行人のみの映像を映像取得部に送信するように処理していない場合には,特定の通行人の映像に重複が生じるため,この映像取得部にて,例えば流入する通行人のみを取得して流出する通行人は取得しないなどの構成を備えていてもいい。特に通行人の顔画像に基づいてその顔の目,鼻,歯などの距離の比を用いて同一人物を同定することが可能であり,長時間滞留する人物や,振り返った後に再び顔を向ける人物など二重に識別して本来同一人物を別人物として二重にカウントしたり認識しないように構成することが好ましい。
【0028】
「性別年齢推測部」とは,取得した映像から撮影された通行人ごとに通行人識別情報を付与し,その撮影時刻に関連付けて撮影された通行人の性別と年齢を推測する機能である。
【0029】
図15は,一例として,通行人の性別と年齢を推測する方法の概要を示す図である。例えば,大枠では「FACE」とされる顔部分と「BODY」とされる身体部分にて,通行人の特徴を抽出する。更に詳細には,顔部分については,「L・eye」とされる左目の座標「x2・y2」,「R・eye」とされる左目の座標「x2・y2」,「nose」とされる鼻の座標「x1・y1」,「mouth」とされる口の座標「x5・y5」,「L・ear」とされる左耳の座標「x3・y3」を取得し,その座標位置にも年齢や性別における特徴が表れている。さらに顔の輪郭の曲線に丸みが帯びているか(女性の傾向),角張っているか(男性の傾向),前髪がおでこを覆う割合が高いか(女性の傾向)低いか(男性の傾向)また,身体部分についても,全体のバランス例えば背筋が伸びているか(若い),腰が曲がりがちか(年寄り),歩き方などの動作,例えば歩幅が大きいか(若い男性の傾向),小さいか(女性の傾向),非常に小さいか(お年寄りの傾向)などに年齢や性別における特徴が表れている。さらに,通行人の所持している物が女性物の傾向が高いか,男性物の傾向が高いかなども性別を推測することに利用できる。例えば,所持しているカバンが手提カバンである場合には若い女性の傾向が高まり,カバンがビジネスタイプであれば若い男性の傾向が高まる。履いている靴のヒールが高い場合には若い女性の傾向が高まり,ヒールが低い場合には男性か年配の女性の傾向が高まる。以上の特徴を全体で分析し,通行人識別情報と撮影時刻情報と関連付けて,通行人の性別と年齢を推測するという次第である。年齢や性別の識別は画像情報とその画像情報に付すラベリングとによって初期にAIを教育し,これを用いて自動判別するように構成してもよい。この場合に画像情報は,数百程度の識別要素ごとに値を取得し,ラベリングすることで数百次元の性別,年齢識別空間を構成し,この空間を用いて個々の画像から性別,年齢を推測するような手法も用いることができる。
【0030】
推測する年齢については,以下の本明細書中の説明では「VY」(ベリーヤング)「Y」(ヤング)「M」(ミドル)「O」(オールド)などと大まかな内容であるが,もちろん「10代」「20代」「30代」などと10歳単位でもいいし,更に細かく1歳単位でもよい。
【0031】
「通行人情報蓄積部」とは,通行人識別情報と,撮影時刻と関連付けられた通行人の推測された性別と年齢とを関連付けた情報である通行人情報を蓄積する機能である。
【0032】
図16は,蓄積された通行人情報の一例を示す図である。撮影時刻と通行人識別情報と性別と年齢の情報が関連付けられて蓄積されている。例えば,通行人識別情報(ID)が「020068」の通行人については,撮影時刻が「18:36」(18時36分),性別が「男性」,年齢が「M」となっている。通行人識別情報(ID)が「020069」の通行人については,撮影時刻が「18:36」(18時36分),性別が「女性」,年齢が「M」となっている。通行人識別情報(ID)が「020070」の通行人については,撮影時刻が「18:36」(18時36分),性別が「男性」,年齢が「Y」となっている。通行人識別情報(ID)が「020071」の通行人については,撮影時刻が「18:38」(18時38分),性別が「男性」,年齢が「O」となっている。この性別と年齢は,性別年齢推測部にて通行人の映像から推測された性別と年齢である。
【0033】
「店舗情報保持部」とは,前記商店街の店舗入居スペースごとに入居スペース識別情報を付与して,店舗入居の有無と入居している場合に店舗の業態と,入居している場合に店舗の営業時間と,入居している場合に店舗の想定顧客層の性別と年齢とを含む店舗情報を保持する機能である。
【0034】
図17は,保持された店舗情報の内容の一例を示す図である。「SHOP ID」「業種」「M/W」「VY・Y・M・O」「0-6-12-18-24」「店名」という項目がある。このうち,「SHOP ID」が入居スペース識別情報を示している,「M/W」が想定顧客層の性別であり「M」が男性「W」が女性,「VY・Y・M・O」は,「VY」がとても若い,例えば3才から15才,「Y」は,若い,例えば16才から22才,「M」は中間年齢で,23才から50才,「O」は高齢で,51才以上のような意味を持つ。「0-6-12-18-24」が0時から24時までの時間軸で営業時間を示している。
【0035】
この上で,具体的な内容についてみていくと,「SHOP ID」が「A」の入居スペースには,「業種」が「メガネ」の店舗「JENS」が入っており,その店舗は,全年齢の男女を想定顧客層としていて,営業時間は10時から20時である。
次に,「SHOP ID」が「B」の入居スペースには,「業種」が「ファストファッション(ユニセックス)」の店舗「B&H」が入っており,その店舗は,VYやYの男女を想定顧客層としていて,営業時間は12時から19時である。
次に,「SHOP ID」が「C」の入居スペースには,「業種」が「ラーメン」の店舗「五郎」が入っており,その店舗は,VYやYやMの男性を想定顧客層としていて,営業時間は18時から22時である。
次に,「SHOP ID」が「D」の入居スペースには,「業種」が「アクセサリー」の店舗「ジュエリー星」が入っており,その店舗は,VYやYの女性を想定顧客層としていて,営業時間は12時から20時である。
次に,「SHOP ID」が「E」の入居スペースには,「業種」が「ファストファッション(レディース)」の店舗「Forever16」が入っており,その店舗は,VYやYの女性を想定顧客層としていて,営業時間は12時から20時である。
次に,「SHOP ID」が「F」の入居スペースには,「業種」が「うどん」の店舗「小牧屋」が入っており,その店舗は,VYやYやMの男女を想定顧客層としていて,営業時間は10時から18時である。
次に,「SHOP ID」が「G」の入居スペースには,「業種」が「カバン」の店舗「wood stock」が入っており,その店舗は,全年齢の男女を想定顧客層としていて,営業時間は14時から20時である。
次に,「SHOP ID」が「H」の入居スペースには,「業種」が「スーツ」の店舗「山口屋」が入っており,その店舗は,MやOの男性を想定顧客層としていて,営業時間は14時から20時である。
次に,「SHOP ID」が「I」の入居スペースには,「業種」が「ジーンズ」の店舗「ロブソン」が入っており,その店舗は,VYやYの男女を想定顧客層としていて,営業時間は10時から18時である。
次に,「SHOP ID」が「J」の入居スペースには,「業種」が「焼肉」の店舗「バンザイ」が入っており,その店舗は,全年齢の男女を想定顧客層としていて,営業時間は18時から23時である。
次に,「SHOP ID」が「K」の入居スペースには,「業種」が「靴(レディース)」の店舗「ネカマツ」が入っており,その店舗は,VYやYやMの女性を想定顧客層としていて,営業時間は13時から19時である。
次に,「SHOP ID」が「L」の入居スペースには,「業種」が「家電」の店舗「Bigラジオ」が入っており,その店舗は,YやMの男性を想定顧客層としていて,営業時間は12時から20時である。
次に,「SHOP ID」が「M」の入居スペースには,「業種」が「本屋」の店舗「紀州屋」が入っており,その店舗は,YやMの男女を想定顧客層としていて,営業時間は12時から20時である。
次に,「SHOP ID」が「N」の入居スペースには,「業種」が「すし」の店舗「すし金銀」が入っており,その店舗は,YやMやOの男女を想定顧客層としていて,営業時間は18時から24時である。
次に,「SHOP ID」が「O」の入居スペースには,「業種」が「靴」の店舗「ABDマート」が入っており,その店舗は,VYやYやMの男女を想定顧客層としていて,営業時間は12時から19時である。
次に,「SHOP ID」が「P」の入居スペースは,空室である。
次に,「SHOP ID」が「Q」の入居スペースは,空室である。
次に,「SHOP ID」が「R」の入居スペースには,「業種」が「スイーツ」の店舗「金座パーラ」が入っており,その店舗は,VYやYやMの女性を想定顧客層としていて,営業時間は9時から20時である。
以上のように店舗情報が格納されている。「SHOP ID」によって,店舗の所在場所が確認できる。
【0036】
「通行人店舗開店時間変化演算部」とは,蓄積されている通行人情報と,保持されている店舗情報と,を用いて通行人数と店舗の開店数との時間変化を演算する機能である。
【0037】
ここで「開店数」は,開店している店舗の数そのものの他に,その商店街の店舗に入居しているテナントの全部又は一部を母集団とした開店率を含むものとする。さらに,「通行人数」は,通行人観察カメラにとらえられた人の数そのものの他に,その商店街の時間単位内での最高の通行人数を100%として100%に対する割合(割合の単位は,1%単位でも5%単位でも10%単位でも,100%を1.0として,これらに対する割合で示すものでもよい。)を示すものも含むこととする。通行人数を数える単位は,1人単位でなく,5人単位,10人単位で処理するようにしてもよい。時間変化の演算は,1分単位,5分単位,10分単位,30分単位,60分単位など,各種の時間単位を用いて行うことができる。また,通行人数を通行人の性別及び年齢別に出力することによって,店舗の時間別開店数と比較することもできるし,店舗の業態や想定顧客層別に出力して比較することもできる。
【0038】
図22は,「10代の女性」という特定の通行人属性における通行人数と開店率の関係につき,横軸を時間軸,縦軸を通行人数と店舗の開店率として出力したグラフの一例を示す図である。このグラフによれば,例えば,13時の店舗の開店率は100%であるが,その時間帯の「10代の女性」の通行人数は24人である。他方,18時の店舗の開店率は70%ほどで,その時間帯の「10代の女性」の通行人数は120人である。これによって,通行人数と商店街における店舗の開店数とのギャップを観察することができる。つまり,通行人数が最も多い時間帯に店舗も最も多く開店しているべきであるが,そうでない場合を簡単に見通すことができる。商店街の問題点をあぶりだすための最も基本的なデータとなる。
【0039】
<その他 履歴管理>
性別年齢推測部は,通行人の顔画像からその人物をユニークに識別する機能を有していてもよい。ユニークとは,唯一という意味であり,一旦識別されると,他の通行人画像情報と識別可能に識別するという意味である。そして,このユニークな識別結果と関連付けて通行人情報蓄積部は,通行人をユニークに履歴情報として蓄積することが考えられる。従って一旦履歴に蓄積した通行人が後日商店街を通行した場合には履歴を参照して同一人物が再び商店街を通行しているという判断をする。そして,その人物について蓄積されている履歴を後日の商店街の通行履歴によって更新する処理をするように構成されていても良い。さらに,この通行人の履歴情報は,その年月日・時刻・曜日のみでなく,その日時に関連する商店街内でのイベント,天候,その他商店街の人通りに影響を与えるイベント(近くの町でのお祭りパレード,電車の事故等による運行停止,株式相場の暴落などの経済事情,近くで行われるコンサートや劇,テレビ局によるロケなど)と関連付けて保持するようにすることが好ましい。さらに,その日時又はその日の商店街の総売り上げや商店街に入居している各店舗の売り上げなども関連付けられているとよい。
【0040】
<その他 リピート客の各店舗への通知>
商店街の通行人については,商店街の全体をカメラで撮影できるようにしたり,あるいは,スマートフォンなどを追跡する機能によって商店街内でどのように移動したか判別できるようにすることができる。そして,その人物(ユニークに識別されている)がどのような行動をとったか取得できるようにすることも考えられる。例えば,商店街のどの店舗をどのくらい訪問したか,また店舗情報として,その訪問に際して購入した商品や金額なども関連付けられるように構成することが考えられる。そして,そのような行動属性を前記履歴情報として蓄積しておくことが好ましく,通行人が認識された際には,その通行人の履歴情報を検索して,属性を取得し,例えば,前回訪問した店舗と同一属性を有する店舗や,あるいは訪問した店舗その物にのみ訪問履歴のある通行人が商店街に入った旨の通知をすることが考えられる。これによって,各店舗は,売り込みの準備をすることができ効率的な店舗運営が可能となる。
【0041】
<その他 統計分析>
通行人の蓄積されている履歴を通行人属性などに応じて統計分析することも考えられる。統計分析することで,各種の属性に応じて通行人がどのような行動を商店街内でするかの予測をすることができる。また統計分析することで商店街に不足している要因などを探ることもできる。また通行人属性や,イベント,天気予報等に応じて将来的な商店街への通行人の流入の経時予測も可能となる。例えば,「明日天候晴れ,11月23日(火曜日),イベントなし」という条件を入力すれば,統計分析結果から時間帯別の性別年齢で層別された通行人の流入予測,滞留予測,売上予測などを算出することが可能となる。
【0042】
<後述する実施例に関連する事項>
後述する実施例では,入居推薦店舗を算出したり,入居店舗の業態の適切性を算出する実施例が説明されるが,これらの推薦結果や,業態の変更後に商店街の人の流れがどう変わり,各店舗の売り上げにどのような影響が出て,新規に入居した店舗の予想売上がどうなるか,業態変更した店舗の売り上げがどうなるかなども通行人の履歴情報を蓄積したデータベースの情報を統計処理することによって算出することができ,このような機能を本調査システムに備えることもできる。
【0043】
<ハードウェア構成>
本実施例における調査システムのハードウェア構成について,図を用いて説明する。
【0044】
図2は,本実施例における調査システムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように,本実施例における調査システムは,各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」(0201)と,「主メモリ」(0202)と,を備えている。また,所定の情報を保持する「HDD」(0203)や,外部機器(0206)と情報の送受信を行う「ネットワーク・I/F(インターフェース)」(0204)を備えている。そして,それらが「システムバス」(0205)などのデータ通信経路によって相互に接続され,情報の送受信や処理を行う。外部装置としては通行人観察カメラを構成する光学装置,商店街の音を収録するマイク(商店街での人の声,店員の声を収録後に分析),その他にディスプレイ,キーボード,入力パッド,外部記憶装置,インターネット用端末装置,人感センサー(人の店舗への出入りなどを検知),GPSシステム(商店街での配布物に含まれる端末位置を測定して商店街内での人の動きを観察),商店街での街頭スピーカー(商店街の通行人に呼びかけ),スマートフォン,タブレット,携帯端末通信機能(登録された通行人のスマートフォン等に情報をプッシュ通知),位置情報ビーコンシステム(商店街の通行人のビーコン検出装置から通行人の位置や速度を詳細に取得)等が考えられる。以下の実施例でも同様である。
【0045】
ここに「主メモリ」は,各種処理を行うプログラムを「CPU」に実行させるために読み出すと同時に,そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。また,この「主メモリ」や「HDD」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており,「CPU」で実行されるプログラムは,そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い,処理を行うことが可能になっている。本実施例において「主メモリ」に格納されているプログラムは,通行人観察プログラムと映像取得プログラムと性別年齢推測プログラムと通行人情報蓄積プログラムと店舗情報保持プログラムと通行人店舗開店時間変化演算プログラムである。また,「主メモリ」と「HDD」には,通行人の映像,通行人識別情報と撮影時刻と性別と年齢とを関連付けた情報である通行人情報,店舗情報などが格納されている。
【0046】
「CPU」は,「主メモリ」に格納されている通行人観察プログラムを実行して,商店街への人の流入経路上を行き交う通行人の映像を取得し,「主メモリ」と「HDD」に格納する。そして,「主メモリ」に格納されている映像取得プログラムを実行して,通行人観察カメラの映像を取得する。そして,「主メモリ」に格納されている性別年齢推測プログラムを実行して,取得した映像から撮影された通行人ごとに通行人識別情報を付与し,その撮影時刻に関連付けて撮影された通行人の性別と年齢を推測する。他方,「主メモリ」に格納されている店舗情報保持プログラムを実行して,前記商店街の店舗入居スペースごとに入居スペース識別情報を付与して,店舗入居の有無と入居している場合に店舗の業態と,入居している場合に店舗の営業時間と,入居している場合に店舗の想定顧客層の性別と年齢とを含む店舗情報を保持する。そして,「主メモリ」に格納されている通行人店舗開店時間変化演算プログラムを実行して,蓄積されている通行人情報と,保持されている店舗情報と,を用いて通行人数と店舗の開店数との時間変化を演算する。
【0047】
<処理の流れ>
図3は,本実施例における調査システムを利用した場合の処理の流れを示す図である。図3にあるように,映像取得ステップ(S0301)と,性別年齢推測ステップ(S0302)と,通行人情報蓄積ステップ(S0303)と,通行人店舗開店時間変化演算ステップ(S0304)とからなる処理方法である。これらの処理方法は,商店街の店舗入居スペースごとに入居スペース識別情報を付与して,店舗入居の有無と入居している場合に店舗の業態と入居している場合に店舗の営業時間と入居している場合に店舗の想定顧客層の性別と年齢とを含む店舗情報を保持する店舗情報保持部を有する商店街の活性化のための調査システムによって実行されるものである。
【0048】
「映像取得ステップ」とは,前記商店街への人の流入経路上を行き交う通行人の映像を取得する段階である。
【0049】
「性別年齢推測ステップ」とは,取得した映像から撮影された通行人ごとに通行人識別情報を付与し,その撮影時刻に関連付けて撮影された通行人の性別と年齢を推測する段階である。
【0050】
「通行人情報蓄積ステップ」とは,通行人識別情報と,撮影時刻と関連付けられた通行人の推測された性別と年齢とを関連付けた情報である通行人情報を蓄積する段階である。
【0051】
「通行人店舗開店時間変化演算ステップ」とは,蓄積されている通行人情報と,保持されている店舗情報と,を用いて通行人数と店舗の開店数との時間変化を演算する段階である。
【0052】
<まとめ>
以上により,本来であれば潜在的に来店の可能性を秘めている通行人など,見逃していた新たな顧客層を開拓するとともに,これを商店街の全体で見た場合の活性化という観点から,商店街全体の改善を図ることのできるシステムを提供することができる。

【実施例2】
【0053】
本実施例は,実施例1の特徴に加えて,さらに蓄積されている通行人情報を用いて通行人の性別と年齢の分布を示す通行人年齢性別分布情報を取得し,蓄積されている店舗情報を用いて店舗の想定顧客層の性別と年齢の分布を示す想定顧客層年齢性別分布情報を取得し,それらを比較可能に出力する商店街の活性化のための調査システムである。
【0054】
以下,本実施例における調査システムについて,機能的構成,ハードウェア構成及び処理の流れについて,順に説明する。
【0055】
<機能的構成>
図4は,本実施例における調査システムの機能的構成を示す図である。本実施例における調査システムは,通行人観察カメラ(0401)と映像取得部(0402)と性別年齢推測部(0403)と通行人情報蓄積部(0404)店舗情報保持部(0405)と通行人店舗開店時間変化演算部(0406)と通行人年齢性別分布情報取得部(0407)と想定顧客層年齢性別分布情報取得部(0408)と年齢性別比較出力部(0409)を有する。以下,具体的に各機能の内容につき説明する。なお,通行人年齢性別分布情報取得部と想定顧客層年齢性別分布情報取得部と年齢性別比較出力部を除く各機能については,実施例1と同様であるため,通行人年齢性別分布情報取得部と想定顧客層年齢性別分布情報取得部と年齢性別比較出力部の機能に限定して説明する。
【0056】
「通行人年齢性別分布情報取得部」とは,蓄積されている通行人情報を用いて通行人の性別と,年齢の分布を示す通行人年齢性別分布情報を取得する機能である。
【0057】
「想定顧客層年齢性別分布情報取得部」とは,蓄積されている店舗情報を用いて店舗の想定顧客層の性別と,年齢の分布を示す想定顧客層年齢性別分布情報を取得する機能である。店舗の想定顧客層の数については,例えば性別についていえば,総店舗数のうち,男性を想定顧客としている店舗数,あるいは女性を想定顧客としている店舗数という具合でもいいし,あるいは想定顧客の重視度合いないし実際の過去の来店者の属性に基づく数であってもよい。また,例えば年齢についても,店舗の営業戦略として対象としているか否かというもののみならず,想定顧客の重視度合いないし実際の過去の来店者の属性に基づく数であってもよい。
【0058】
「年齢性別比較出力部」とは,取得した通行人年齢性別分布情報と,取得した想定顧客層年齢性別分布情報とを比較可能に出力する機能である。
【0059】
比較出力の内容は,各種の比較出力形態があってよい。最も単純なのは,所定期間内に商店街を通行した通行人の総数に対する年齢分布と商店街の全店舗の想定顧客の年齢分布とを比較したり,通行人の総数に対する性別分布と,全店舗の想定顧客の性別分布を比較するものである。また,両者をミックスして,全通行人の性別と年齢の分布が全店舗の想定顧客の性別と年齢の分布と比較してもよい。さらに,これは所定期間内の総数であるが,所定期間を時間別にして,時間別に開店している店舗の想定顧客を情報として上記比較を行うように構成することもできる。この時間別は特定の一日であってもよいし,1か月の平均値を用いてもよい。商店街の通行人は季節変動要因があるので例えば季節ごとの平均を比較するように構成してもよい。季節とは,新学期の4月から梅雨シーズンの始まる6月まで,梅雨シーズンの開始の6月から夏休みの始まる7月まで,7月末からお盆休みを含む8月末まで,9月から冬のシーズン準備に入る9月末まで,9月末から忘年会の始まる12月初めまで,12月初めから年末年始が入る1月末まで,1月末から新学期開始の3月末まで,というように商店街の特徴的な需要でシーズンを区切るように期間を設定することができる。
【0060】
通行人の性別と年齢の他に,通行人の画像認識によって取得または推測できる属性と,商店街の店舗の業態や業態に基づいて備えられている属性との比較を年齢や性別でしたのと同様にすることも考えらえる。通行人の画像から取得できる属性としては,ファッション傾向(異性装?,モッズコート,パーカ,アイビールック,秋葉系,Age嬢,アムラー,アメリカンカジュアル,アメリカン・トラディショナル,エモ・ファッション,オールド・ファッション,お兄系,お姉系,オリーブ少女,ガングロ,ギブソン・ガール,ギャル,ギャル男,グランジ・ファッション,神戸系ファッション,コギャル,ゴシック・ファッション,コンサバファッション,ゴスロリ,サーファー,サイバーゴス,サイバーファッション,サップ,サロン系,ストリートファッション,スローニー,スローン・ファッション,セーター・ガール,センターGUY,脱オタ,ダンディ,デリッカー,トラディショナル,ニポカジ,ニュートラ,ハードゲイ,ハマトラ,バンカラ,パンク,B系,ヒッピー,ヒップホップ,フラッパー,マリン,みゆき族,メトロエスニシティー,メトロセクシャル,モード系,モッズ,森ガール,山ガール,ヤンキー,ユニセックス,リアル・クローズ,ロッカーズ,ロリータなど)や,収入の推測値(例えば所持品の推測価格や商店街での立ち寄り店舗などから推測),家族構成(商店街の通行時の同伴者から推測),趣味(商店街の立ち寄り店舗から推測)などを挙げることができる。
【0061】
さらに,画像からの属性推測でなく例えば商店街からのアンケートに対する回答と回答者の顔画像から特定できる識別情報を用いて上記のような属性分析ができるし,商店街の各店舗でされたアンケートの回答結果をもって同じような分析ができる。さらに商店街やシステム管理者が主催するSNSに登録させ,SNS上の情報を用いて属性を取得することができる。この属性の取得はSNS上の各人の発言分析によって可能であるし,擬人化されたコンピュータが構成するアバターなどの質問形式で発せられた発言に対する回答によって得るように構成してもよい。
【0062】
<ハードウェア構成>
図5は,本実施例における調査システムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように,本実施例における調査システムは,各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」(0501)と,「主メモリ」(0502)と,を備えている。また,所定の情報を保持する「HDD」(0503)や,外部機器(0506)と情報の送受信を行う「ネットワーク・I/F(インターフェース)」(0504)を備えている。そして,それらが「システムバス」(0505)などのデータ通信経路によって相互に接続され,情報の送受信や処理を行う。
【0063】
ここに「主メモリ」は,各種処理を行うプログラムを「CPU」に実行させるために読み出すと同時に,そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。また,この「主メモリ」や「HDD」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており,「CPU」で実行されるプログラムは,そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い,処理を行うことが可能になっている。
【0064】
本実施例において「主メモリ」に格納されているプログラムは,実施例1と同様の通行人観察プログラムと映像取得プログラムと性別年齢推測プログラムと通行人情報蓄積プログラムと店舗情報保持プログラムと通行人店舗開店時間変化演算プログラムに加えて,通行人年齢性別分布情報取得プログラムと想定顧客層年齢性別分布情報取得プログラムと年齢性別比較出力プログラムである。
【0065】
また,「主メモリ」と「HDD」には,実施例1と同様に,通行人の映像,通行人識別情報と撮影時刻と性別と年齢とを関連付けた情報である通行人情報,店舗情報などが格納されている。さらに,本実施例では,通行人の性別と年齢の分布を示す通行人年齢性別分布情報と想定顧客層の性別と年齢の分布を示す想定顧客層年齢性別分布情報も格納されている点に特徴がある。
【0066】
「CPU」は,「主メモリ」に格納されている通行人観察プログラムを実行して,商店街への人の流入経路上を行き交う通行人の映像を取得し,「主メモリ」と「HDD」に格納する。そして,「主メモリ」に格納されている映像取得プログラムを実行して,通行人観察カメラの映像を取得する。そして,「主メモリ」に格納されている性別年齢推測プログラムを実行して,取得した映像から撮影された通行人ごとに通行人識別情報を付与し,その撮影時刻に関連付けて撮影された通行人の性別と年齢を推測する。他方,「主メモリ」に格納されている店舗情報保持プログラムを実行して,前記商店街の店舗入居スペースごとに入居スペース識別情報を付与して,店舗入居の有無と入居している場合に店舗の業態と,入居している場合に店舗の営業時間と,入居している場合に店舗の想定顧客層の性別と年齢とを含む店舗情報を保持する。「主メモリ」に格納されている通行人年齢性別分布情報取得プログラムを実行して,蓄積されている通行人情報を用いて通行人の性別と,年齢の分布を示す通行人年齢性別分布情報を取得し,「主メモリ」と「HDD」に格納する。「主メモリ」に格納されている想定顧客層年齢性別分布情報取得プログラムを実行して,蓄積されている店舗情報を用いて店舗の想定顧客層の性別と,年齢の分布を示す想定顧客層年齢性別分布情報を取得し,「主メモリ」と「HDD」に格納する。その上で,「主メモリ」に格納されている通行人店舗開店時間変化演算プログラムを実行して,蓄積されている通行人情報と保持されている店舗情報とを用いて通行人数と店舗の開店数との時間変化を演算する。そして,「主メモリ」に格納されている年齢性別比較出力プログラムを実行して,取得した通行人年齢性別分布情報と,取得した想定顧客層年齢性別分布情報とを比較可能に出力する。
【0067】
<処理の流れ>
図6は,本実施例における調査システムを利用した場合の処理の流れを示す図である。図6にあるように,映像取得ステップ(S0601)と,性別年齢推測ステップ(S0602)と,通行人情報蓄積ステップ(S0603)と,通行人年齢性別分布情報取得ステップ(S0604)と,想定顧客層年齢性別分布情報取得ステップ(S0605)と,通行人店舗開店時間変化演算ステップ(S0606)と,年齢性別比較出力ステップ(S0607)とからなる処理方法である。これらの処理方法は,商店街の店舗入居スペースごとに入居スペース識別情報を付与して,店舗入居の有無と入居している場合に店舗の業態と入居している場合に店舗の営業時間と入居している場合に店舗の想定顧客層の性別と年齢とを含む店舗情報を保持する店舗情報保持部を有する商店街の活性化のための調査システムによって実行されるものである。
【0068】
「映像取得ステップ」と「性別年齢推測ステップ」と「通行人情報蓄積ステップ」と「通行人店舗開店時間変化演算ステップ」の内容は,実施例1で述べたとおりである。
【0069】
「通行人年齢性別分布情報取得ステップ」とは,蓄積されている店舗情報を用いて店舗の想定顧客層の性別と,年齢の分布を示す想定顧客層年齢性別分布情報を取得する段階である。
【0070】
「想定顧客層年齢性別分布情報取得ステップ」とは,蓄積されている通行人情報を用いて通行人の性別と,年齢の分布を示す通行人年齢性別分布情報を取得する段階である。
【0071】
「年齢性別比較出力ステップ」とは,取得した想定顧客層年齢性別分布情報とを比較可能に出力する段階である。
【0072】
<まとめ>
これらにより,実施例1よりもさらに進んだ商店街と通行人の適合性の分析ができ,商店街や商店街を構成する各店舗に通行人属性や,通行時間帯ごとの通行人の属性に応じた営業に改善するための情報を得られる。この改善は店舗の開店時間,休憩時間,店舗の店員のローテーション,店舗で前面に押し出す商品の種類,サービスの種類や,時間帯ごとの前面に押し出す商品やサービスのローテーションなどの改善情報として役立つものである。


【実施例3】
【0073】
本実施例は,実施例2の特徴に加えて,業態を問わず,業態とその業態に適した最適顧客層の年齢と性別とを関連付けた業態データを保持し,取得された通行人年齢性別分布情報と保持されている店舗情報保持されている業態データとに基づいて,入居していない店舗スペースがある場合に入居すべき店舗の業態である入居推薦店舗業態を取得して出力するように構成された調査システムである。
【0074】
以下,本実施例における調査システムについて,機能的構成,ハードウェア構成及び処理の流れについて,順に説明する。
【0075】
<機能的構成>
図7は,本実施例における調査システムの機能的構成を示す図である。本実施例における調査システムは,通行人観察カメラ(0701)と映像取得部(0702)と性別年齢推測部(0703)と通行人情報蓄積部(0704)店舗情報保持部(0705)と通行人店舗開店時間変化演算部(0706)と通行人年齢性別分布情報取得部(0707)と想定顧客層年齢性別分布情報取得部(0708)と年齢性別比較出力部(0709)と業態データ保持部(0710)と入居推薦店舗業態取得部(0711)と入居推薦店舗業態出力部(0712)を有する。以下,具体的に各機能の内容につき説明する。なお,業態データ保持部と入居推薦店舗業態取得部と入居推薦店舗業態出力部を除く各機能については,実施例2と同様であるため,業態データ保持部と入居推薦店舗業態取得部と入居推薦店舗業態出力部の機能に限定して説明する。
【0076】
「業態データ保持部」とは,店舗情報保持部に保持されている業態であるか否かを問わず,業態と,その業態に適した最適顧客層の年齢と性別とを関連付けた業態データを保持する機能である。
【0077】
図18は,保持する業態データの一例を示す図である。業態に関する大分類,業態に関する小分類,その業態に適した最適顧客層の年齢,その業態に適した最適顧客層の性別,その業態に適した営業時間が保持されている。この図面に保持されている内容は,あくまで一例であり,これらに限定されるものでもなければ,内容も実態に応じて最適化されるものである。また,より詳細に業態に適した最適顧客層の年齢や性別を保持していてもよく,具体的には,最適顧客層について,20歳までは男女であるが,20歳を超えると男性のみになるなど,年齢に応じて最適顧客層の性別が変化する場合も考えられる。
【0078】
具体的にみていくと,大分類「ファストフード」の中には,小分類「ハンバーグ」「ラーメン」「どんぶり」が存在する。「ハンバーグ」については,最適顧客層の年齢はVYとYとMであり,最適顧客層の性別は男女であり,適切な営業時間は0時から24時の24時間である。「ラーメン」については,最適顧客層の年齢は全年齢であり,最適顧客層の性別は男女であり,適切な営業時間は10時から24時である。「どんぶり」については,最適顧客層の年齢はVYとYとMであり,最適顧客層の性別は男女であり,適切な営業時間は12時から20時である。
大分類「単品系」の中には,小分類「餃子」「うなぎ」「お好み焼」が存在する。「餃子」については,最適顧客層の年齢はVYとYとMであり,最適顧客層の性別は男性であり,適切な営業時間は12時から20時である。「うなぎ」については,最適顧客層の年齢はMとOであり,最適顧客層の性別は男女であり,適切な営業時間は12時から20時である。「お好み焼」については,最適顧客層の年齢はVYとYとMであり,最適顧客層の性別は男女であり,適切な営業時間は12時から20時である。
大分類「多メニュー」の中には,小分類「ファミリーレストラン」「中華」「イタリアン」が存在する。「ファミリーレストラン」については,最適顧客層の年齢はVYとYとMであり,最適顧客層の性別は男女であり,適切な営業時間は10時から24時である。「中華」については,最適顧客層の年齢は全年齢であり,最適顧客層の性別は男性であり,適切な営業時間は12時から20時である。「イタリアン」については,最適顧客層の年齢はVYとYとMであり,最適顧客層の性別は男女であり,適切な営業時間は12時から20時である。
大分類「+アルコール」の中には,小分類「すし」「焼肉」「鍋」が存在する。「すし」については,最適顧客層の年齢はMとOであり,最適顧客層の性別は男女であり,適切な営業時間は18時から24時である。「焼肉」については,最適顧客層の年齢はVYとYとMであり,最適顧客層の性別は男女であり,適切な営業時間は18時から24時である。「鍋」については,最適顧客層の年齢はYとMであり,最適顧客層の性別は男女であり,適切な営業時間は18時から24時である。
大分類「アルコールのみ」の中には,小分類「パブ」「バー」「スナック」が存在する。「パブ」については,最適顧客層の年齢はYとMであり,最適顧客層の性別は男女であり,適切な営業時間は18時から24時である。「バー」については,最適顧客層の年齢はMとOであり,最適顧客層の性別は男女であり,適切な営業時間は21時から24時である。「スナック」については,最適顧客層の年齢はMとOであり,最適顧客層の性別は男性であり,適切な営業時間は21時から24時である。
例えば,以上のように構成することにより,空いている入居スペースに店舗を構えるべき最適な業態を分析することが容易になる。
【0079】
「入居推薦店舗業態取得部」とは,取得された通行人年齢性別分布情報と,保持されている店舗情報,保持されている業態データとに基づいて,入居していない店舗スペースがある場合に,入居すべき店舗の業態である入居推薦店舗業態を取得する機能である。ここに「入居していない店舗スペース」とは,敷地内に既に店舗が入るための建物が存在する場合を含むが,それに限定されるものではなく,いわゆる空き地であっても店舗用建物を建設可能な土地をも含むものである。ショッピングモールを含む商店街の活性化のためには,空き地の活用方法も有効な改善策になり得るからである。
【0080】
例えば,通行人の性別として女性,年齢層としてとても若い年齢層,例えば図22で示される10代の女性が分析対象商店街の重要顧客ターゲットであるとの結論が得られ,入居していない店舗スペースに新規にテナントを招致しようとする分析の場合を例にとって説明する。図22の分析結果では,このターゲットの通行が多いのは17時台と18時台である。一方,図18に示されるその時間帯に,とても若い人「VY」で女性「W」に適した業態を探すと,「ハンバーグ」,「ラーメン」,「どんぶり」,「お好み焼き」,「イタリアン」,「焼肉」,「ファミリーレストラン」が該当する。一方,商店街の店舗には,すでに「ラーメン」,「焼肉」の業態は入居済みである。従って,ターゲットに適している業態でかつ,すでに入居済みの店舗と競合しない業態として「ハンバーグ」,「どんぶり」,「お好み焼き」,「イタリアン」,「ファミリーレストラン」が残る。さらに,この中で営業時間が長く,しかも他の属性の人にも受け入れ可能な業態を抽出すると,一番営業時間が長い「ハンバーグ」が最有力で,次に「ファミリーレストラン」が抽出され,三番目が同順で「どんぶり」,「お好み焼き」,「イタリアン」となる。このように,業態データと,通行人年齢性別分情報と,店舗情報保持部に保持されている店舗情報と,に基づいて入居推薦店舗業態を取得することができる。なお,さらに想定顧客層年齢性別分布情報を用いてすでに入居済みである店舗の想定顧客と重複する顧客を呼び込める業態で絞り込みをかけることもできる。図17の情報では,「VY」が12店舗,「Y」が15店舗,「M」が12店舗,「O」が5店舗であり,全体の傾向としては「VY」から「M」を想定顧客とする店舗が多く,上記の絞り込み結果では絞り込み全店舗が顧客層を共通しているのでさらなる絞り込みの必要はなかった。要約すると,まず重要な顧客層ターゲットを通行人年齢性別情報から取得,これに応じてフィットする業態を選択,これと既存店舗との競合を排除,必須でないが,場合により,既存店舗と顧客層が重複する業態にさらに絞り込みという処理を行うことになる。
【0081】
「入居推薦店舗業態出力部」とは,取得した入居推薦店舗業態を出力する機能である。
【0082】
さらに,通行人の流れ,並びに通行人の年齢及び性別を含む属性は,商店街自体及び商店街の周辺施設の有無・内容及び位置の影響を受ける。例えば,公園を設ければ,その周辺には子どもに同伴する親(多くは,20歳代から40歳代前半であり,平日の日中は同伴する親が女性であることが多い。)が通行人として増加する傾向がある。人の流れでいえば,大型ショッピングモールを設ければ,駅から当該大型ショッピングモールに行く通行人が多くなり,その途中に構える店舗前を通行する通行人の数が上昇する。さらには,当該大型ショッピングモールの営業時間に応じて,例えば営業開始時間の直後に駅から当該大型ショッピングモールに向かう通行人の数が多くなり,営業終了時間には駅に向かう通行人の数が多くなる傾向があるのが通常である。このように,周辺の施設に応じて,通行人の流れや通行経路が変化する。さらには,この現象を利用して,商店街の活性化のために通行人に通行させることが望ましい経路を取得するようにしてもよい。例えば,いわゆる店舗間の抜け道を整備することにより,その抜け道を正式な通路として通行人が行き来しやすくなれば,それにより通行人の流れも変わり得る。そうすれば,各店舗の前を通行する通行人の数が変化する。そのため,通行人が通行する経路に関する傾向である通行経路傾向情報を保持する通行経路傾向情報保持部をさらに有し,保持されている業態データと,保持されている店舗情報と,前記通行経路傾向情報とに基づき,適切な通路整備情報を取得する通路情報取得部をさらに有していてもよい。ここに「通路整備情報」とは,抜け道を設けることが望ましい場所を含むが,それに限定されず,更には抜け道の装飾内容などをも含んでいることが望ましい。通行人の通行経路は,通路の装飾内容などの影響も大きく受けることが多いからである。その上で,最適な属性(年齢及び性別を含むが,それらに限られない。)の通行人を,抜け道を整備した当該通路に誘導するために,最適な業態を取得するよう前記「入居推薦店舗業態取得部」にて構成してもよい。
【0083】
<ハードウェア構成>
図8は,本実施例における調査システムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように,本実施例における調査システムは,各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」(0801)と,「主メモリ」(0802)と,を備えている。また,所定の情報を保持する「HDD」(0803)や,外部機器(0806)と情報の送受信を行う「ネットワーク・I/F(インターフェース)」(0804)を備えている。そして,それらが「システムバス」(0805)などのデータ通信経路によって相互に接続され,情報の送受信や処理を行う。
【0084】
ここに「主メモリ」は,各種処理を行うプログラムを「CPU」に実行させるために読み出すと同時に,そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。また,この「主メモリ」や「HDD」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており,「CPU」で実行されるプログラムは,そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い,処理を行うことが可能になっている。
【0085】
本実施例において「主メモリ」に格納されているプログラムは,実施例2と同様の通行人観察プログラムと映像取得プログラムと性別年齢推測プログラムと通行人情報蓄積プログラムと店舗情報保持プログラムと通行人店舗開店時間変化演算プログラムと通行人年齢性別分布情報取得プログラムと想定顧客層年齢性別分布情報取得プログラムと年齢性別比較出力プログラムに加えて,業態データ保持プログラムと入居推薦店舗業態取得プログラムと入居推薦店舗業態出力プログラムである。
【0086】
また,「主メモリ」と「HDD」には,実施例2と同様に,通行人の映像,通行人識別情報と撮影時刻と性別と年齢とを関連付けた情報である通行人情報,店舗情報と通行人の性別と年齢の分布を示す通行人年齢性別分布情報と想定顧客層の性別と年齢の分布を示す想定顧客層年齢性別分布情報などが格納されている。さらに,本実施例では,業態とその業態に適した最適顧客層の年齢と性別とを関連付けた業態データや,入居していない店舗スペースがある場合に,入居すべき店舗の業態である入居推薦店舗業態情報も格納されている点に特徴がある。
【0087】
「CPU」は,「主メモリ」に格納されている通行人観察プログラムを実行して,商店街への人の流入経路上を行き交う通行人の映像を取得し,「主メモリ」と「HDD」に格納する。そして,「主メモリ」に格納されている映像取得プログラムを実行して,通行人観察カメラの映像を取得する。そして,「主メモリ」に格納されている性別年齢推測プログラムを実行して,取得した映像から撮影された通行人ごとに通行人識別情報を付与し,その撮影時刻に関連付けて撮影された通行人の性別と年齢を推測する。他方,「主メモリ」に格納されている店舗情報保持プログラムを実行して,前記商店街の店舗入居スペースごとに入居スペース識別情報を付与して,店舗入居の有無と入居している場合に店舗の業態と,入居している場合に店舗の営業時間と,入居している場合に店舗の想定顧客層の性別と年齢とを含む店舗情報を保持する。「主メモリ」に格納されている通行人年齢性別分布情報取得プログラムを実行して,蓄積されている通行人情報を用いて通行人の性別と,年齢の分布を示す通行人年齢性別分布情報を取得し,「主メモリ」と「HDD」に格納する。「主メモリ」に格納されている想定顧客層年齢性別分布情報取得プログラムを実行して,蓄積されている店舗情報を用いて店舗の想定顧客層の性別と,年齢の分布を示す想定顧客層年齢性別分布情報を取得し,「主メモリ」と「HDD」に格納する。その上で,「主メモリ」に格納されている通行人店舗開店時間変化演算プログラムを実行して,蓄積されている通行人情報と保持されている店舗情報とを用いて通行人数と店舗の開店数との時間変化を演算する。そして,「主メモリ」に格納されている年齢性別比較出力プログラムを実行して,取得した通行人年齢性別分布情報と,取得した想定顧客層年齢性別分布情報とを比較可能に出力する。加えて,「主メモリ」に格納されている業態データ保持プログラムを実行して,店舗情報保持部に保持されている業態であるか否かを問わず,業態と,その業態に適した最適顧客層の年齢と性別とを関連付けた業態データを保持する。その上で,「主メモリ」に格納されている入居推薦店舗業態取得プログラムを実行して,取得された通行人年齢性別分布情報と,保持されている店舗情報,保持されている業態データとに基づいて,入居していない店舗スペースがある場合に,入居すべき店舗の業態である入居推薦店舗業態を取得する。そして,「主メモリ」に格納されている入居推薦店舗業態出力プログラムを実行して,取得した入居推薦店舗業態を出力する。
【0088】
<処理の流れ>
図9は,本実施例における調査システムを利用した場合の処理の流れを示す図である。図9にあるように,映像取得ステップ(S0901)と,性別年齢推測ステップ(S0902)と,通行人情報蓄積ステップ(S0903)と,通行人年齢性別分布情報取得ステップ(S0904)と,想定顧客層年齢性別分布情報取得ステップ(S0905)と,通行人店舗開店時間変化演算ステップ(S0906)と,年齢性別比較出力ステップ(S0907)と,入居推薦店舗業態取得ステップ(S0908)と,入居推薦店舗業態出力ステップ(S0909)とからなる処理方法である。これらの処理方法は,商店街の店舗入居スペースごとに入居スペース識別情報を付与して,店舗入居の有無と入居している場合に店舗の業態と入居している場合に店舗の営業時間と入居している場合に店舗の想定顧客層の性別と年齢とを含む店舗情報を保持する店舗情報保持部と,店舗情報保持部に保持されている業態であるか否かを問わず,業態と,その業態に適した最適顧客層の年齢と性別とを関連付けた業態データを保持する業態データ保持部を有する商店街の活性化のための調査システムによって実行されるものである。
【0089】
「映像取得ステップ」と「性別年齢推測ステップ」と「通行人情報蓄積ステップ」と「通行人年齢性別分布情報取得ステップ」と「想定顧客層年齢性別分布情報取得ステップ」と「通行人店舗開店時間変化演算ステップ」と「年齢性別比較出力ステップ」の内容は,実施例1及び実施例2で述べたとおりである。
【0090】
「入居推薦店舗業態取得ステップ」とは,取得された通行人年齢性別分布情報と,保持されている店舗情報,保持されている業態データとに基づいて,入居していない店舗スペースがある場合に,入居すべき店舗の業態である入居推薦店舗業態を取得する段階である。
【0091】
「入居推薦店舗業態出力ステップ」とは,取得した入居推薦店舗業態を出力する段階である。
【0092】
<まとめ>
これらにより,通行人情報と照らし合わせることにより,入居していない店舗スペースがある場合に入居すべき店舗の業態を容易に分析することができる。

【実施例4】
【0093】
本実施例は,実施例3の特徴に加えて,通行人年齢性別分布情報と想定顧客層年齢性別分布情報と業態データとに基づいて入居している店舗スペースの店舗情報で示される業態の適切性を示す指標を演算するためのルールである業態適切性指標演算ルールを保持し,通行人年齢性別分布情報と想定顧客層年齢性別分布情報と業態データとに基づいて,入居している店舗スペースの店舗情報と業態適切性指標演算ルールとを用いて入居している店舗の店舗情報で示される業態の適切性を示す指標を演算するように構成された調査システムである。
【0094】
以下,本実施例における調査システムについて,機能的構成,ハードウェア構成及び処理の流れについて,順に説明する。
【0095】
<機能的構成>
図10は,本実施例における調査システムの機能的構成を示す図である。本実施例における調査システムは,通行人観察カメラ(1001)と映像取得部(1002)と性別年齢推測部(1003)と通行人情報蓄積部(1004)と店舗情報保持部(1005)と通行人店舗開店時間変化演算部(1006)と通行人年齢性別分布情報取得部(1007)と想定顧客層年齢性別分布情報取得部(1008)と年齢性別比較出力部(1009)と業態データ保持部(1010)と入居推薦店舗業態取得部(1011)と入居推薦店舗業態出力部(1012)業態適切性指標演算ルール保持部(1013)と業態適切性指標演算部(1014)を有する。以下,具体的に各機能の内容につき説明する。なお,業態適切性指標演算ルール保持部と業態適切性指標演算部を除く各機能については,実施例3と同様であるため,業態適切性指標演算ルール保持部と業態適切性指標演算部の機能に限定して説明する。
【0096】
「業態適切性指標演算ルール保持部」とは,取得された通行人年齢性別分布情報と,取得された想定顧客層年齢性別分布情報と,保持されている業態データとに基づいて,入居している店舗スペースの店舗情報で示される業態の適切性を示す指標を演算するためのルールである業態適切性指標演算ルールを保持する機能である。
【0097】
例えば図22に示すように商店街の有力顧客層が10才代の女性で,通行数が多い時間帯は17時台,18時台とする。図17に示すように,商店街に入居している16店舗のうち12店舗は「VY」を想定顧客層としているが,その中で「SHOP ID C」のラーメン店である「五郎」は,「VY」を想定顧客としているが,女性を想定顧客としていない。昨今のラーメン事情は,若い男性だけでなくおしゃれ感覚で若い女性にもラーメンが人気となりつつある。それに呼応するように,図18で示される「ラーメン」の業態情報には,顧客層が「VY」を含むとともに,「W」をも顧客層としてターゲットにしている。しかも,このデータでは,10時から24時という幅広い時間帯が営業時間として推奨されており,「五郎」の営業時間と大幅に相違している。五郎の営業時間は18時から始まるもので,当商店街の重要ターゲットである若い女性の通行量のピークが始まる17時台を外している。以上のことから,業態として「ラーメン」は,本商店街に適切な業態であるものの,「五郎」の営業時間は1時間程度前倒しして開店すべきであり,かつ,「若い女性」を想定顧客とした営業に力を入れるべきであることを演算するというのが,業態適切性指標演算ルールの一例である。
【0098】
「業態適切性指標演算部」とは,取得された通行人年齢性別分布情報と,取得された想定顧客層年齢性別分布情報と,保持されている業態データとに基づいて,入居している店舗スペースの店舗情報と,保持されている業態適切性指標演算ルールと,を用いて入居している店舗の店舗情報で示される業態の適切性を示す指標を演算する機能である。
【0099】
図19は,上記とは別に業態適切性指標演算ルールと実際の演算内容の一例を示す図である。演算ルールは,適宜最適化され得るものであるが,説明の便宜上,通行人年齢性別分布情報と想定顧客層年齢性別分布情報と業態データの一致度を掛け算により求める方法によることとする。実際には,ピーク時間帯について重みづけをしたり,想定顧客層の中でも顧客層の多くを占める主たる想定顧客層について重みづけをするなどの工夫が考えられるが,それらを捨象して単純化して説明する。
【0100】
業態「ラーメン」についての例である。業態データでは,業態に適した最適顧客層の年齢は全年齢であり,業態に適した最適顧客層の性別は男女であり,適切な営業時間は10時から24時である。それに対して,ラーメン「五郎」は,想定顧客層の年齢をVYとYとMとし,想定顧客層の性別を男性として,営業時間を18時から24時としている。そして,ラーメン「五郎」の店舗前通路を行き来する通行人は,性別については男性3に対して女性7であり,年齢については,VYが4,Yが4,Mが1,Oが1である。こういった場合の一致度は,年齢では,図20のように,全体の9割を占めるVYとYとMについて一致しているため,90%であると判断できる。次に,性別では,図21のように,全体の7割を占める女性を除いているため,一致度は30%であると判断できる。営業時間では,適切な営業時間14時間のうちの6時間であることから14分の6であると判断できる。そのため,これらを掛け合わせた値である「0.115」が入居している店舗の店舗情報で示される業態の適切性を示す指標である。なお,以上は単純化した場合の演算の一例であるが,本発明は,このような演算内容に限定されない。
【0101】
<ハードウェア構成>
図11は,本実施例における調査システムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように,本実施例における調査システムは,各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」(1101)と,「主メモリ」(1102)と,を備えている。また,所定の情報を保持する「HDD」(1103)や,外部機器(1106)と情報の送受信を行う「ネットワーク・I/F(インターフェース)」(1104)を備えている。そして,それらが「システムバス」(1105)などのデータ通信経路によって相互に接続され,情報の送受信や処理を行う。
【0102】
ここに「主メモリ」は,各種処理を行うプログラムを「CPU」に実行させるために読み出すと同時に,そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。また,この「主メモリ」や「HDD」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており,「CPU」で実行されるプログラムは,そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い,処理を行うことが可能になっている。
【0103】
本実施例において「主メモリ」に格納されているプログラムは,実施例3と同様の通行人観察プログラムと映像取得プログラムと性別年齢推測プログラムと通行人情報蓄積プログラムと店舗情報保持プログラムと通行人店舗開店時間変化演算プログラムと通行人年齢性別分布情報取得プログラムと想定顧客層年齢性別分布情報取得プログラムと年齢性別比較出力プログラムと業態データ保持プログラムと入居推薦店舗業態取得プログラムと入居推薦店舗業態出力プログラムに加えて,業態適切性指標演算ルール保持プログラムと業態適切性指標演算プログラムである。
【0104】
また,「主メモリ」と「HDD」には,実施例3と同様に,通行人の映像,通行人識別情報と撮影時刻と性別と年齢とを関連付けた情報である通行人情報,店舗情報と通行人の性別と年齢の分布を示す通行人年齢性別分布情報,想定顧客層の性別と年齢の分布を示す想定顧客層年齢性別分布情報,業態とその業態に適した最適顧客層の年齢と性別とを関連付けた業態データ,入居していない店舗スペースがある場合に,入居すべき店舗の業態である入居推薦店舗業態情報などが格納されている。さらに,本実施例では,通行人年齢性別分布情報と想定顧客層年齢性別分布情報と業態データとに基づいて入居している店舗スペースの店舗情報で示される業態の適切性を示す指標を演算するためのルールである業態適切性指標演算ルールも格納されている点に特徴がある。
【0105】
「CPU」は,「主メモリ」に格納されている通行人観察プログラムを実行して,商店街への人の流入経路上を行き交う通行人の映像を取得し,「主メモリ」と「HDD」に格納する。そして,「主メモリ」に格納されている映像取得プログラムを実行して,通行人観察カメラの映像を取得する。そして,「主メモリ」に格納されている性別年齢推測プログラムを実行して,取得した映像から撮影された通行人ごとに通行人識別情報を付与し,その撮影時刻に関連付けて撮影された通行人の性別と年齢を推測する。他方,「主メモリ」に格納されている店舗情報保持プログラムを実行して,前記商店街の店舗入居スペースごとに入居スペース識別情報を付与して,店舗入居の有無と入居している場合に店舗の業態と,入居している場合に店舗の営業時間と,入居している場合に店舗の想定顧客層の性別と年齢とを含む店舗情報を保持する。「主メモリ」に格納されている通行人年齢性別分布情報取得プログラムを実行して,蓄積されている通行人情報を用いて通行人の性別と,年齢の分布を示す通行人年齢性別分布情報を取得し,「主メモリ」と「HDD」に格納する。「主メモリ」に格納されている想定顧客層年齢性別分布情報取得プログラムを実行して,蓄積されている店舗情報を用いて店舗の想定顧客層の性別と,年齢の分布を示す想定顧客層年齢性別分布情報を取得し,「主メモリ」と「HDD」に格納する。その上で,「主メモリ」に格納されている通行人店舗開店時間変化演算プログラムを実行して,蓄積されている通行人情報と保持されている店舗情報とを用いて通行人数と店舗の開店数との時間変化を演算する。そして,「主メモリ」に格納されている年齢性別比較出力プログラムを実行して,取得した通行人年齢性別分布情報と,取得した想定顧客層年齢性別分布情報とを比較可能に出力する。「主メモリ」に格納されている業態データ保持プログラムを実行して,店舗情報保持部に保持されている業態であるか否かを問わず,業態と,その業態に適した最適顧客層の年齢と性別とを関連付けた業態データを保持する。その上で,「主メモリ」に格納されている入居推薦店舗業態取得プログラムを実行して,取得された通行人年齢性別分布情報と,取得された想定顧客層年齢性別分布情報と,保持されている業態データとに基づいて,入居していない店舗スペースがある場合に,入居すべき店舗の業態である入居推薦店舗業態を取得する。そして,「主メモリ」に格納されている入居推薦店舗業態出力プログラムを実行して,取得した入居推薦店舗業態を出力する。そして,「主メモリ」に格納されている業態適切性指標演算ルール保持プログラムを実行して,業態適切性指標演算ルールを保持する。そして,「主メモリ」に格納されている業態適切性指標演算プログラムを実行して,
通行人年齢性別分布情報と想定顧客層年齢性別分布情報と業態データとに基づいて,入居している店舗スペースの店舗情報と業態適切性指標演算ルールとを用いて入居している店舗の店舗情報で示される業態の適切性を示す指標を演算する。
【0106】
<処理の流れ>
図12は,本実施例における調査システムを利用した場合の処理の流れを示す図である。図12にあるように,映像取得ステップ(S1201)と,性別年齢推測ステップ(S1202)と,通行人情報蓄積ステップ(S1203)と,通行人年齢性別分布情報取得ステップ(S1204)と,想定顧客層年齢性別分布情報取得ステップ(S1205)と,通行人店舗開店時間変化演算ステップ(S1206)と,年齢性別比較出力ステップ(S1207)と,入居推薦店舗業態取得ステップ(S1208)と,入居推薦店舗業態出力ステップ(S1209)と業態適切性指標演算ステップ(S1210)からなる処理方法である。これらの処理方法は,商店街の店舗入居スペースごとに入居スペース識別情報を付与して,店舗入居の有無と入居している場合に店舗の業態と入居している場合に店舗の営業時間と入居している場合に店舗の想定顧客層の性別と年齢とを含む店舗情報を保持する店舗情報保持部と,店舗情報保持部に保持されている業態であるか否かを問わず,業態と,その業態に適した最適顧客層の年齢と性別とを関連付けた業態データを保持する業態データ保持部と,取得された通行人年齢性別分布情報と,取得された想定顧客層年齢性別分布情報と,保持されている業態データとに基づいて,入居している店舗スペースの店舗情報で示される業態の適切性を示す指標を演算するためのルールである業態適切性指標演算ルールを保持する業態適切性指標演算ルール保持部を有する商店街の活性化のための調査システムによって実行されるものである。
【0107】
「映像取得ステップ」と「性別年齢推測ステップ」と「通行人情報蓄積ステップ」と「通行人年齢性別分布情報取得ステップ」と「想定顧客層年齢性別分布情報取得ステップ」と「通行人店舗開店時間変化演算ステップ」と「年齢性別比較出力ステップ」と「入居推薦店舗業態取得ステップ」と「入居推薦店舗業態出力ステップ」の内容は,実施例1及び実施例2及び実施例3で述べたとおりである。
【0108】
「業態適切性指標演算ステップ」とは,取得された通行人年齢性別分布情報と,取得された想定顧客層年齢性別分布情報と,保持されている業態データとに基づいて,入居している店舗スペースの店舗情報と,保持されている業態適切性指標演算ルールと,を用いて入居している店舗の店舗情報で示される業態の適切性を示す指標を演算する段階である。
【0109】
<まとめ>
これらにより,入居している店舗の業態が適切なものであるか否かを容易に判断することができる。
【符号の説明】
【0110】
CPU:0201
主メモリ:0202
HDD:0203
ネットワークI/F:0204
システムバス:0205
外部装置:0206
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22