(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】麻酔循環回路からの空気漏出を補填する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61M 16/01 20060101AFI20230220BHJP
【FI】
A61M16/01 A
A61M16/01 F
(21)【出願番号】P 2021544123
(86)(22)【出願日】2020-01-28
(86)【国際出願番号】 US2020015301
(87)【国際公開番号】W WO2020159912
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-09-27
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510048509
【氏名又は名称】テキサス テック ユニヴァーシティー システム
【氏名又は名称原語表記】TEXAS TECH UNIVERSITY SYSTEM
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】ファーマン ブラッドリー ピー.
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-520257(JP,A)
【文献】特開平11-197247(JP,A)
【文献】米国特許第05979443(US,A)
【文献】特開2001-149477(JP,A)
【文献】米国特許第05490499(US,A)
【文献】特表2012-527280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動パーティションの第1の側に作動側、及び前記可動パーティションの第2の側に患者側を有する、可動パーティションと、
前記可動パーティションの周りに配置されたハウジングであって、ベンチレータと前記作動側との間の空気圧連通のためのベンチレータオリフィスを有するとともに、前記患者側と患者との間の空気圧連通のための患者オリフィスを有する、ハウジングと、
前記作動側から前記患者側へのバイパス流路を画定するシャントであって、
前記バイパス流路に配置されて前記患者側から前記作動側への流体流を防止する弁を含み、通常動作中はブロックされ、前記患者側が最大に排気されて前記可動パーティションが前記患者側に向かって最大変位にあるときに、前記作動側から前記患者側への流体流が可能となるようにブロックは解除される、シャントと、
前記患者に麻酔薬を提供するためにバイパスガス流に配置された麻酔薬気化器と、
を含む、再呼吸装置。
【請求項2】
前記麻酔薬気化器が、新鮮ガスを受け取ってそれを前記患者側へ提供するための新鮮ガスオリフィスを含む、請求項1に記載の再呼吸装置。
【請求項3】
前記シャントの前記バイパス流路がCO
2スクラバをさらに含み、前記CO
2スクラバ経由で患者戻りオリフィスが前記患者側と空気圧連通している、請求項2に記載の再呼吸装置。
【請求項4】
前記弁が逆止弁であり、前記逆止弁をまたぐ圧力降下が閾値を超えたときに流れが可能になるように構成されている、請求項
1に記載の再呼吸装置。
【請求項5】
前記弁が、前記患者側での圧力が前記作動側での圧力より少ないときに
前記作動側から前記麻酔薬気化器への流体流を可能にするように構成されたスターリング抵抗器である、請求項
1に記載の再呼吸装置。
【請求項6】
前記シャントが、前記麻酔薬気化器と前記患者側との間の前記バイパス流路に配置された逆止弁をさらに含む、請求項
5に記載の再呼吸装置。
【請求項7】
前記シャントが流量計を含む、請求項1に記載の再呼吸装置。
【請求項8】
前記シャントが流量警報器を含む、請求項1に記載の再呼吸装置。
【請求項9】
前記流量警報器がホイッスルである、請求項
8に記載の再呼吸装置。
【請求項10】
前記シャントの前記バイパス流路がCO
2スクラバを含み、前記CO
2スクラバ経由で患者戻りオリフィスが前記患者側と空気圧連通している、請求項1に記載の再呼吸装置。
【請求項11】
前記患者側からの排気流路を画定する排気導管をさらに含み、前記排気導管が、前記患者側での圧力が前記作動側での圧力と前記可動パーティションによって生じるパーティション圧力との合計より大きいときに前記患者側からの排気流を可能にするように構成されたスターリング抵抗器を有する、請求項1に記載の再呼吸装置。
【請求項12】
前記排気導管が、前記患者側と前記スターリング抵抗器との間の前記排気流路に配置された排気弁をさらに含み、前記排気弁が、前記排気弁をまたぐ圧力降下が前記パーティション圧力より大きいときに排気ガス流を可能にするように構成されている、請求項
11に記載の再呼吸装置。
【請求項13】
前記可動パーティションが、前記ハウジングの前記患者側内の圧力を増加させるように構成されている、請求項1に記載の再呼吸装置。
【請求項14】
前記可動パーティションが、前記ハウジングの前記患者側内の前記圧力を増加させるように構成された重量を有する、請求項
13に記載の再呼吸装置。
【請求項15】
請求項1記載の再呼吸装置における漏出補填のための方法であって、
前記ベンチレータと前記作動側とを連通するステップと、
前記ベンチレータにより引き起こされた前記作動側のガス流に伴い、前記可動パーティションが前記患者側に向かい変位し、これによって前記患者側からのガス流を引き起こすステップと、
シャントが解除されることにより前記作動側から前記患者側への前記シャントを通過してバイパスガス流を引き起こし、前記可動パーティションが前記患者側に向かって最大変位に到達すれば、前記可動パーティションを迂回し、前記可動パーティションが前記患者側に向かって最大に変位しなければ、前記シャントはブロックされることにより前記バイパスガス流を防止
し、前記ブロックと解除とが前記バイパス流路に配置されて前記患者側から前記作動側への流体流を防止する弁によってなされる、ステップと、
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
なし
【0002】
本発明は、一方が患者の吸気及び呼気で構成されるガス流の回路であり、他方が呼吸を強化又は促進する別個の空気流システムである、典型的には2つのガス流システムを分離する麻酔器及び他の再呼吸装置に関する。本発明の実施形態は、このような麻酔器の患者側でのガス量の損失を補填する方法、システム及び装置である。
【0003】
連邦政府による資金提供を受けた研究の記載
なし
【背景技術】
【0004】
麻酔器及び他の再呼吸装置は、可動パーティション、典型的にはベローズによって患者側と非患者側に分割されたチャンバを含むことができる。ベンチレータがチャンバの非患者側に空気を送り込むと、パーティションが移動し、チャンバの患者側から患者の肺へ空気を移動させる。したがって、ベンチレータは、ベンチレータ(非患者、すなわち「作動」側)からの空気が患者に到達することなく呼吸を強化する。新鮮ガスを患者側に継続的に注入して酸素を補充することができ、麻酔薬を患者の空気に提供することができ、スクラバを用いて患者の呼気から二酸化炭素を吸収することができる。
【0005】
システムの患者側からの偶発的な空気の漏出によりパーティションの患者側での空気の量(肺、チューブ及びベローズの量)が減少すると、完全な次の呼吸を送達するには装置の患者側の残りの量が不十分であると判明することがある。この結果、非患者側へのガスの一回換気量(a tidal volume of gas)の送達によりパーティションの最大変位が引き起こされたとしても、患者への呼吸が意図したより小さくなることがあり、チャンバの患者側が事実上空になる。
【0006】
気管内チューブが狭すぎて気道を封止することができないため、気管内チューブのカフの破裂のため、介護中の気道吸引の結果としての、肺の破裂及びチューブ胸部造瘻による胸膜空気の排出のため、一時的な患者の麻酔器からの未接続のため、マスク又は喉頭部マスクの気道の不十分な封止、又は他の理由のため、このような漏出が発生することがある。
【0007】
この漏出は、補填されなければ、患者の一回換気量が不十分になり、換気が不十分になるという結果をもたらし、結果として低酸素血症、高炭酸血症又はさらには窒息に至る可能性がある。この結果、肺の膨張が不十分になり、残存肺気量が失われ、結果として無気肺、換気血流不均衡、及び低酸素血症が生じるかもしれない。これらの結果は致命的である可能性がある。
【0008】
麻酔器には、これらの悪影響から保護するために呼吸の適切さについての絶え間ない注意及び継続的な監視が要求される。過度の漏出により麻酔器は警告を発し、責任者は、ほぼ即座に、再呼吸器の患者側へ、通常は麻酔薬を含まない、補足の新鮮ガスを手動で入れる。この手動プロセスにより、担当者の他のワークフローが中断され、担当者が常に存在していることが要求され、新鮮ガスが麻酔薬を含まなければ、患者に送達される麻酔薬の濃度が減少することがある。
【0009】
集中治療室において鎮静剤として吸入麻酔剤を用いることには、投与の正確さ、効果の迅速な開始及び停止、タキフィラキシーの事実上の欠如、強力な気管支弛緩、再灌流傷害に対する提案された有益な効果、及び低コストを含む、明確な利点がある。しかしながら、集中治療室(ICU,intensive care unit)環境において、適切に訓練された担当者が麻酔器に常に注意を払う必要があることから、これらの機会は限定される。
【0010】
本開示は、麻酔薬再呼吸器の患者側からの漏出を自動的に補填して、担当者による応答の遅延のための時間を許容する技術を提供する。これは、漏出の補填が要求されること、おそらくその除去が要求される漏出が存在すること、及びこのような漏出にもかかわらず継続的な鎮静又は麻酔を維持することを担当者に警告する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本開示は、ベンチレータによって(圧力調節又は容量モードのいずれかで)設定されたものより送達される量が少なくなったとき、漏出している再呼吸器によって患者に送達される一回換気量を補充する方法を提供する。第1の実施形態において、これは、シャント、すなわち再呼吸器の非患者側を患者側に接合するガス導管で達成される。低抵抗気化器もガス経路に組み込むことができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の態様において、本開示は再呼吸装置として具現化することができる。この装置は可動パーティションを含み、これは可動パーティションの第1の側に作動側、及び可動パーティションの第2の側に患者側を有する。可動パーティションの周りにハウジングが配置されている(例えば、可動パーティションはハウジングを患者側と作動側に分割している)。可動パーティションは、患者側又は作動側のいずれかに向かって移動(例えば、変位)することができる。ハウジングは、ベンチレータと作動側との間の空気圧連通のためのベンチレータオリフィスを含む。ハウジングはまた、患者側と患者との間の空気圧連通のための1つ又は2つの患者オリフィスを含む。可動パーティションが患者側に向かって最大変位にあるとき、シャントが作動側から患者側へのバイパス流路を画定する。いくつかの実施形態において、シャントは、通常動作中はブロックされ、患者側が最大に排気されて作動側から患者側への流体流が可能になるときにブロックは解除される。
【0013】
再呼吸装置は、シャントのバイパス流路に配置された気化器をさらに有することができる。気化器は、新鮮ガスを受け取ってそれを患者側へ提供するための新鮮ガスオリフィスを含むことができる。シャントのバイパス流路はCO2スクラバをさらに含むことができる。患者戻りオリフィスがCO2スクラバ経由で患者側と空気圧連通することができる。
【0014】
シャントは、バイパス流路に配置されて患者側から作動側への流体流を防止する弁を含むことができる。弁は逆止弁とすることができる。弁は、患者側での圧力が作動側での圧力より少ないときに気化器への流体流を可能にするように構成されたスターリング抵抗器とすることができる。シャントは、気化器と患者側との間のバイパス流路に配置された逆止弁をさらに含むことができる。
【0015】
いくつかの実施形態において、シャントは流量計を含む。いくつかの実施形態において、シャントは流量警報器を含む。流量警報器はホイッスルとすることができる。
【0016】
再呼吸装置は、患者側からの排気流路を画定する排気導管をさらに含むことができる。排気導管は、患者側での圧力が作動側での圧力より大きいときに患者側からの排気流を可能にするように構成されたスターリング抵抗器を有することができる。排気導管は、患者側とスターリング抵抗器との間の排気流路に配置された排気弁をさらに含むことができる。排気弁は、排気弁をまたぐ圧力降下が可動パーティションの重量のみによって引き起こされる圧力より大きいときに排気ガス流を可能にするように構成することができる。
【0017】
他の一態様において、本開示は、再呼吸器における漏出補填のための方法として具現化することができる。この方法は再呼吸装置を提供することを含み、これは、再呼吸装置の作動側でのガス流に応答して再呼吸装置の患者側においてガス流を引き起こすための可動パーティションを有する。ガス流が作動側に提供されて可動パーティションの患者側に向かう変位を引き起こし、これによって患者側からのガス流を引き起こす。可動パーティションが患者側に向かって最大変位に到達すれば、バイパスガスが作動側から患者側へ流され、可動パーティションを迂回する。この方法は、可動パーティションが患者側に向かって最大に変位しなければ、バイパスガス流を防止することをさらに含むことができる。ガス流経由で患者に麻酔薬を提供するために患者側と患者との間に麻酔薬気化器を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の特徴及び利点のより完全な理解のため、ここで本発明の詳細な説明を添付の図とともに参照する。
【
図1】本開示の一実施形態による再呼吸装置を示す図である。
【
図2】陽圧吸息中の気流の閉塞時のベンチレータ及び気管内チューブの圧力を示す。
【
図3】本開示の他の一実施形態による再呼吸装置を示す図であり、可動パーティションが患者側に向かって最大変位で示されている。
【
図4】ホイッスル流量警報器を組み込んだ本開示の他の一実施形態による再呼吸装置の一部を示す図である。
【
図5】気化器を有する本開示の他の一実施形態による再呼吸装置の一部を示す図である。
【
図6A】本開示による他の再呼吸装置のハウジング及び可動パーティションの上面図である。
【
図6B】
図6Aのハウジング及び可動パーティションの斜視図である。
【
図7A】本開示の他の一実施形態による再呼吸器を示す。
【
図7B】本開示の他の一実施形態による再呼吸器を示す。
【
図8】シャントが患者の気道と連通するように構成されている本開示の他の一実施形態による再呼吸器の一部を示す。
【
図9】シャントを通る流れがラッチによって制御される装置の一部を示す。
【
図10】スターリング抵抗器を用いて流路が制御される再呼吸器の一部を示す。
【
図11】スターリング抵抗器によって制御される排気流路を有する再呼吸器を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の様々な実施形態の作製及び使用を以下で詳細に議論するが、本発明は、多種多様な具体的な文脈において具現化することができる多くの適用可能な発明の概念を提供するということが理解されるべきである。本明細書で議論する具体的な実施形態は、本発明を作製及び使用する具体的な方法の単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0020】
本発明の理解を容易にするため、いくつかの用語を以下に定義する。本明細書で定義する用語は、本発明に関連する領域における当業者によって通常理解されるような意味を有する。「a」、「an」及び「the」のような用語は、単数の物のみを指すように意図されたものではなく、具体的な例を例示に用いることができる一般的なグループを含む。本明細書の専門用語は、本発明の具体的な実施形態を説明するために用いられるが、それらの使用法は、請求項に概説されているときを除いて、本発明を限定するものではない。
【0021】
図1を参照すると、本開示は再呼吸装置10として具現化することができる。再呼吸装置10は、ハウジング12に配置された可動パーティション20を含む。例えば、ハウジング12は、可動パーティション20によって分離されたチャンバ14を有することができる。可動パーティション20は作動側22及び患者側24を有する。例えば、可動パーティション20がチャンバ14の側面を分離する場合、可動パーティション20はチャンバ14を作動側22と患者側24とに分離する。可動パーティション20は、例えば、ベローズ、バッグ、ベーン(a vane)などのような、任意の適切な構成とすることができる(本明細書の例は便宜上のみのためベローズに言及し、本開示の範囲を限定するように意図されない)。
【0022】
ハウジング12は、作動側22とベンチレータ又は同様の装置との間の空気圧連通のためのベンチレータオリフィス16を有する。このように、例えば、ベンチレータが、ハウジング12の作動側22に出入りする流れ循環を引き起こすことができる。ハウジング12はまた、患者側24と患者との間の空気圧連通のための患者オリフィス18を有する。例えば、患者オリフィス18は、患者の気道に配置された気管内チューブと連通することができる。ガス流が作動側22に入ると、可動パーティション20は患者側24に向かって移動し、これによって患者側24から患者へのガス流(吸気流)を引き起こす。呼息中にガスが作動側22からベンチレータへ流出すると、可動パーティション20は作動側22に向かって移動し、これによってガスが患者から患者側24へ流れること(呼気流)が可能になる。例えば、患者の自発呼吸を含む、他の要因がガス流及びパーティション20の移動に影響を及ぼし得ることが理解されるべきである。麻酔循環回路及び麻酔システムの他の構成要素(例えば、麻酔薬気化器、CO2スクラバ、新鮮ガス流入システム及びレギュレータ)も回路の患者側と空気圧連続していることができるということも理解されるべきである。
【0023】
上述のように、患者側24でのガスの漏出(患者側24と空気圧連通している任意の構成要素からの漏出を含む)により患者側24でのガスの量の減少が引き起こされることになり、したがってパーティション20の移動が容積の減少のため患者側24に向かって変位し得る。このように、可動パーティション20は吸気流中に最大変位に到達することができ、作動側24への継続的なガス流が防止され、患者側24から患者へのさらなる流れを引き起こさない。
【0024】
このような漏出を補填するため、再呼吸装置10は、作動側22から患者側24へのバイパス流路(矢印「A」によって示す)を画定するシャント30を含む。このように、可動パーティション20が患者側22に向かって最大変位にあれば、ガスのバイパス流が作動側22から患者側24へ流される。気化器40をシャント30のバイパス流路に配置して、麻酔ガスを患者に提供することができる。気化器40は、例えば、これを通してガスを押し出すことができるように配置された低抵抗又はドローオーバースタイルの気化器とすることができる。他の形態の低抵抗気化器又は麻酔薬ネブライザーを想定することができる。
【0025】
可動パーティションが吸息中に下降するベローズである典型的な構成を用いて、さらなる例示が提供される。ベローズの下降(吸息)中、理論的には、パーティションをまたぐ圧力降下はほとんど又はまったくないため、シャントはほぼ等しい入口41(作動側)及び出口42(患者側)の圧力を有する。気化器は非順応性(non-compliant)であるため、ベンチレータによるチャンバへのガスの送達中、シャントを通る流れの原因はない。肺は順応性(compliant)があり、圧力下で拡張するため、及び患者の気管支を通る気流中チャンバの患者側から肺胞への圧力降下があるため、ベローズが下降するにつれて、ガスは再呼吸装置の患者側から患者の肺に流れるであろう。
【0026】
このような典型的な構成において、直立するベローズの重量により患者側に圧力がかかり、患者側の圧力が作動側の圧力よりわずかに大きくなる。このパーティション重量は、患者側と作動側との間に所定の大きさの圧力差を作成するように設計することができる。この所定の圧力差は、最大変位のためにベローズの降下が停止するまで、シャントを通る順方向の流れ(すなわち、作動側から患者側)がないことを保証するように選択することができる。例えば、ベローズが300cm2(直径約7.5インチ)の表面積を有し、ベローズの重量が150g(約5オンス)であれば、ベローズは0.5g/cm2(約0.5cmH20)の圧力を患者側へ加えるであろう。この圧力差(「パーティション圧力」)は、作動側から患者側へのシャントを通る順方向の流れに対抗するであろう。このような「パーティション圧力」を作成する他の技術は、例えば、ばね又は弾性構成要素の使用など、本開示に照らして明らかであろう。
【0027】
陽圧機械的換気の吸息段階中、再呼吸装置10の患者側24から肺胞への圧力降下は、ベンチレータから肺胞への圧力降下に近い。この圧力降下は、気管内チューブ、気管切開チューブ又は肺内の気道の抵抗にわたる気流によるものである(
図2に示す)。ベンチレータから気管内チューブへの経路が突然閉塞すれば、流れが止まり、気管内チューブ内の圧力が下流の肺胞圧に等しくなるまで低下する。ベンチレータと肺胞との間のこの圧力差は、陽圧機械的換気中に気道を通して肺へ空気を押し込むように作用する駆動圧力である。
【0028】
患者側でのガスの量が不十分なとき(例えば、患者側での漏出が原因で)、可動パーティションは吸息の最中に最大変位に到達することになる。例えば、上述の例示的なベローズの実施形態において、ベローズは、それ自体の重ねられたプリーツを打つこと、又は意図的に配置された機械的「ストップ」を打つことのいずれかによって停止すると、下降を停止することになる。ストップを備えた実施形態において、例えば、
図3に示すように、可動パーティション120がストップ126に当たると、可動パーティション120は患者側124に向かって最大に変位し、患者側124は最大に排気される。空気が肺内で(肺胞に向かって)再分配され、患者側124での圧力が肺胞圧に向かって低下するにつれて、気道を通る流れが一時的に減少又は停止する。シャント130に入る(すなわち、作動側122からの)ガスの圧力はこのときシャント130の患者側で下流圧力を超え、これ自体が肺胞内の圧力を超えている。この圧力差により、シャント130を通って作動側122から患者側124への、及びそこから、拡張する肺へのバイパス流が作成される。このように、ベローズ120の降下の停止によって患者の吸息が中断されるときにのみ、シャント130を通ってガスが流れる。
【0029】
図3はまた、シャント130が、バイパス流路に配置された弁132を有する再呼吸装置100の一実施形態を示す。弁132は、患者側124から作動側122への流体流(すなわち、逆流)を防止するように構成されている。例えば、弁132は、シャント130を通って順方向のみに流れを提供する逆止弁とすることができる。このように、再呼吸装置100は麻酔器として動作することができ、パーティション120がストップ126へ下降すると、ベンチレータ空気はここでシャント130を通過し、気化器140から麻酔薬を受け取り、ハウジング112の患者側124に戻り、次いで患者オリフィス118を通過して患者の肺に達する。逆止弁132によってシャント130を通る逆流が常に防止される。逆止弁132は気化器の流入又は流出位置のいずれかに配置され、作動側122から患者側124への順方向の流れのみを可能にすることができる。いくつかの実施形態において、逆止弁132は、それをまたぐ圧力降下があり、これが何分の1水柱センチメートルほど低くなり得るときにのみ流れが可能になるように構成することができる。
【0030】
図4は、本開示による再呼吸装置200の他の一実施形態を示す。この実施形態のシャント230は、バイパス流路に配置されたホイッスル234を含む。このように、シャント230を通るガスのバイパス流がホイッスル234を鳴らし、これによって担当者に流れを警告し、注意が要求される漏出の存在を合図することになる。ホイッスル234の代わりに、又はこれに加えて、他の流量警報器を設けることができる。再呼吸装置210のいくつかの実施形態は、シャント230内に設けられる流量計236を含むことができる。
【0031】
図5は、麻酔器として用いることができる再呼吸装置300の他の一実施形態を示し、シャント330が、バイパス流路に配置された気化器340を含む。気化器340は、患者側に新鮮ガスを提供するための新鮮ガスオリフィス342を有することができる。このように、気化器340は、新鮮ガス流(FGF,fresh gas flow)経路(「D」として識別される)及びバイパス流路(A)の両方に麻酔薬を注入することができる。気化器340は、再呼吸器300に麻酔薬を継続的に提供するために用いることができる。CO
2スクラバ345が患者呼気経路と流体連続して存在し、シャント330の一部として機能することができる。いくつかの実施形態において、シャント330のバイパス流路は、患者戻りオリフィス346を備えたCO
2スクラバ345を含む。このように、患者戻りオリフィス346は、CO
2スクラバ345経由で患者側と空気圧連通している。
【0032】
図6A及び
図6Bは、再呼吸装置400が「部分的分離器」として構成されている本開示の他の一実施形態の一例を示す。このような実施形態は、「帆」420及び固定パーティション421を含む可動パーティションを含む。このような実施形態において、再呼吸装置400の患者側及び作動側は、ハウジング412内で自由に回転可能な帆420によって分離されている。帆420は、いずれの方向からでもパーティションの固定部分421に接近することができる。陽圧換気により、ベンチレータポート423経由で作動側422にガスが配送され、ハウジング412の患者側424でのストップ426に向かって帆420が押される。帆420がストップ426に当接すると、患者に向かってさらなるガスを移動させることはできず、意図されたベンチレータ呼吸の残りは中止される。
【0033】
図7A及び
図7Bは、帆420が患者側ストップ426に当接するときにパーティション420の作動側422にくるように配置された流入オリフィス421と、帆420が患者側ストップ426に当接するとき患者側424に配置された流出オリフィス428と、を備えた上述したような気化器440を含むシャント430の配置を示す。このシャント430は上述のもの(
図3)と同じ機能を果たす。図から、吸息中、帆420が患者側ストップ426に当接し、患者側圧力が肺胞圧力に向かって低下するときを除いて、シャント流入及び戻り圧力が等しいことに留意されたい。帆420が任意の他の位置にあるとき、これらの圧力は等しく、シャント430を通る流れはない。再呼吸器の患者オリフィス429は、再呼吸器の患者側424又はシャント流出オリフィス428のいずれかからガスを受け取るように配置されている。
【0034】
ハウジング412の作動側422を患者側424に接続することによって、シャント430は、帆420をさらに変位させることができない一回呼吸量の一部が麻酔薬を吸い上げて患者に到達することができるバイパス流路を提供する(機能1)。この方法で配置されたシャント430は、帆420がストップ426と接触していないとき、バイパス流を入れない(機能2)。あるいは、
図8は、作動側522から、気化器540を通して、直接患者の気道にシャント530を接続することによって機能1を達成することができるシステムを示すが(例えば、
図8参照)、この代替例は機能2を達成しない。患者の肺は膨張可能であるため、ベンチレータによって配送される陽圧は、漏出が存在するか否かに関係なく、機械的換気の吸息段階全体にわたってこのようなシャント530を通って流れるであろう。このようなバイパス流路は、漏出がないときでさえ、制御されない方法で新鮮ガス流を循環回路に機能的に加えるため不利である。患者の代謝により二酸化炭素が生成され、これがスクラバ材料によって水及び水蒸気に化学的に交換される。これにより、麻酔循環回路が加湿される。小さな患者は少量の二酸化炭素を生成する。したがって、小さな患者における過剰な新鮮ガス流により、湿度が減少して患者の気道が乾燥することになる。このような連続的な流れを解決するため、
図9は、シャント630を通る連続的なバイパス流がラッチ638の配置によって妨げられる再呼吸装置の一部を示し、患者側624が最大に排気されるとき(すなわち、帆620が最大変位でラッチ638を解放するとき)にラッチが解放されるまで、ラッチ638はシャントからの流入を遮断する。
【0035】
低抵抗(ドローオーバーのような)気化器は、「麻酔薬ポンピング(anesthetic pumping)」と呼ばれるプロセスのため、内部気化器の圧力が変動すると、麻酔薬の配送が不正確になりやすい。通常の使用において、気化器は流入側で大気に開放され、流出側で患者の気道に開放されている。自己膨張式ベンチレータバッグのような患者を換気する装置が、気化器と患者との間にしばしば挿入される。気化器とバッグとの間に弁がなければ、圧力が後方に伝達され、麻酔チャンバ及びバイパスラインにおいてガスを圧縮することがある。これにより、追加の麻酔薬が気化器を逆に流れ、又はこれをバイパスライン中に混合したりする。いずれの場合においても、患者の次の吸気時又はバッグの再膨張時に、バイパスラインからの麻酔薬が麻酔チャンバからの麻酔薬と混合して、患者に投与される麻酔薬の濃度を上げる。気化器の麻酔チャンバにおける麻酔薬濃度は揮発性麻酔薬では非常に高いため、この影響は大きくなる可能性がある。これを回避するため、気化器とベンチレータバッグとの間に、患者の方向にのみ開く逆止弁が配置されている。このような構成により、逆流及び「麻酔薬ポンピング」が防止される。
【0036】
本開示のいくつかの実施形態において、気化器は、流入及び流出の両方で変動する圧力にさらされる。このように、気化器の流入及び流出を保護して起こり得る麻酔薬ポンピングを防止することが望まれ得る。
図10は、再呼吸装置が、可動パーティション720の患者側724での圧力に対する気化器740の麻酔チャンバの露出を防止する逆止弁736を備えた導管730を含む一実施形態を示す。逆止弁736は、気化器740を通るガスの送達中にバイパスガス流の方向に開く。流入側では、パーティション720の作動側722に向かって開く逆止弁が配置されれば、気化器740への流れが妨げられる。したがって、流入側では、気化器740はスターリング抵抗器737によって保護されている。スターリング抵抗器737は、ハウジング712の作動側722に開いた内圧、及びハウジング712の患者側724に開いた周囲圧力を有する。このような抵抗器737は、パーティション720がストップ726に当たって装置の患者側724での圧力が低下したときにのみ、流れを受け入れて圧力を伝達する。呼吸サイクル中のすべての他の時間では、自発呼吸中及び陽圧換気中の両方で、ベローズの重量のため、パーティション720の患者側での圧力が作動側722での圧力を超え、スターリング抵抗器737が閉じる。この構成により、気化器740を通る流れが要求されるときを除いて、流入及び流出側の両方で気化器740が圧力変化から保護される。
【0037】
同様の機構を使用して、ベンチレータによって調節された圧力で、再呼吸装置の患者側からの排気流(呼気終末陽圧又はPEEP,positive end-expiratory pressure)を可能にすることができる。麻酔器の一次気化器を横切った患者の呼気は、二酸化炭素スクラバを横断し、装置800の患者側824に入る。
図11は、新鮮ガスが常に患者側824に流入する再呼吸装置800を示す。新鮮ガス流は、例えば、毎分0.5と5リットルとの間とすることができる。いくつかの実施形態において、この流れは毎分0.5と2.5リットルとの間である。流入ガスの一部が排出されなければ、ベローズ820は膨張及び上昇して上部「ストップ」827に当たる。患者側(824)圧力がこのとき上昇し、ハウジングの患者側824への患者の呼気を防止する。
【0038】
この理由のため、
図11に示す例示的な再呼吸装置810は、排気流路(「E」として識別される)を画定する排気導管850を含む。排気導管850は、排気流路に配置されたスターリング抵抗器852を含む。スターリング抵抗器852は、ハウジング812の患者側824に接続された内部チャネル、及びハウジング812の作動側822に接続された周囲圧力を有する。いくつかの実施形態において、排気流路に排気弁854が設けられている。排気弁854をまたぐ圧力降下がパーティション圧力(可動パーティション820の重量によって引き起こされる圧力差)を超えるときにのみ、排気弁854を開くようにバイアスをかけることができる。このように、排気弁854は、パーティション820の移動が作動側ストップ827によって防止されたときにのみ開くことになる。例えば、排気導管850への流入は排気弁854によって保護することができ、排気弁を開くために弁をまたぐ圧力降下(k)が要求される。kは、装置810の患者側824での圧力が作動側822での圧力をパーティション圧力より多く超える前に排気弁854が開くのを防止するように選択される。これは、パーティション820が作動側ストップ827に当接し、胸部反動によって強化されて、呼息が継続するときにのみ発生する。kは、例えば、パーティションの重量をその面積で割った値(さらに上述した「パーティション圧力」)よりわずかに大きくなるように設定することができる。さもなければ、排気弁は呼吸サイクル全体を通して開き、大規模な漏出が発生し、患者は装置によって換気されないであろう。
【0039】
このように、排気導管850を通る排気ガス流は、パーティション820が上部ストップ827に当接したときにのみ可能にされ、排気ガス流が発生する圧力は、装置810の作動側822に適合された任意の弁又はベンチレータの呼気終末陽圧(PEEP)システムによって調節される。患者のPEEPはこのときベンチレータ設定PEEPをkcmH2Oだけ超え、ここでkは1cmH2Oほどに低くすることができる。
【0040】
1又は2以上の特定の実施形態に関して本開示を説明してきたが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく本開示の他の実施形態を作製することができるということが理解されるであろう。したがって、本開示は、添付の請求項及びその合理的な解釈によってのみ限定されると見なされる。
【0041】
本明細書において議論した任意の実施形態は、本発明の任意の方法、キット、試薬、又は組成物に関して実施することができ、逆もまた同様であると考えられる。さらに、本発明の組成物を用いて本発明の方法を達成することができる。
【0042】
本明細書に記載の特定の実施形態は、本発明の限定としてではなく例示として示されているということが理解されよう。本発明の主な特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく様々な実施形態において使用することができる。当業者は、ただの日常的な実験を用いて、本明細書に記載の具体的な手順に対する多数の均等物を認識する、又は確認することができるであろう。このような均等物は、本発明の範囲内にあると見なされ、請求項によってカバーされる。
【0043】
本明細書に記載のすべての刊行物及び特許出願は、本発明が関係する当業者の技能のレベルを示している。すべての刊行物及び特許出願が、各個々の刊行物又は特許出願が参照により組み込まれると具体的且つ個々に示された場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
請求項及び/又は明細書において「含む(comprising)」という用語と併せて用いられるときの「a」又は「an」という単語の使用は、「1」を意味することができるが、これは「1又は2以上」、「少なくとも1つ」、及び「1又は1より多い」の意味とも一致する。請求項における「又は」という用語の使用は、本開示は代替物及び「及び/又は」のみに言及する定義を支持しているが、代替物のみを指すように明示的に示され、又はこれらの代替物が相互に排他的でない限り、「及び/又は」を意味するように用いられる。本願を通して、「約」という用語は、ある値が、この方法がその値を決定するために使用され、デバイスについての固有の誤差の変動又は研究対象間に存在する変動を含むということを示すために用いられる。
【0045】
本明細書及び請求項において用いられるとき、「comprising(含む)」(並びに「comprise」及び「comprises」のような、comprisingのあらゆる形態)、「having(有する)」(並びに「have」及び「has」のような、havingのあらゆる形態)、「including(含む)」(並びに「includes」及び「include」のような、includingのあらゆる形態)又は「containing(含む)」(並びに「contains」及び「contain」のような、containingのあらゆる形態)という単語は、包括的すなわちオープンエンドであり、追加の、記載されていない要素又は方法ステップを除外しない。本明細書に提供される構成物及び方法のいずれかの実施形態において、「comprising(含む)」は、「consisting essentially of(本質的に~からなる)」又は「consisting of(~からなる)」に置き換えることができる。本明細書で用いられるとき、「consisting essentially of(本質的に~からなる)」という句には、指定された完全体(integer)又はステップ、並びに特許請求された発明の特徴又は機能に実質的に影響を及ぼさないものが要求される。本明細書で用いられるとき、「consisting(構成する)」という用語は、記載された完全体(integer)(例えば、特徴、要素、特色、特性、方法/プロセスステップ又は限定)又は完全体(integer)(例えば、特徴、要素、特色、特性、方法/プロセスステップ又は限定)の群のみの存在を示すために用いられる。
【0046】
本明細書で用いられるような「or combinations thereof(又はこれらの組み合わせ)」という用語は、その用語に先行する列挙された項目のすべての順列及び組み合わせを指す。例えば、「A、B、C、又はこれらの組み合わせ」は、A、B、C、AB、AC、BC、又はABCの少なくとも1つを、そして特定の文脈において順序が重要であれば、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、又はCABも含むように意図されている。この例で続けると、BB、AAA、AB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABB、などのような、1又は2以上の項目又は用語の繰り返しを含む組み合わせが明示的に含まれる。当業者は、特段文脈から明らかでない限り、通常、任意の組み合わせにおける項目又は用語の数に制限がないということを理解するであろう。
【0047】
本明細書で用いられるとき、限定はしないが、「約」、「実質的な」又は「実質的に」のような近似の単語は、そのように修正されたとき、必ずしも絶対的又は完全ではないと理解される状態であるが、その状態を存在するものとして指定することを保証するのに十分に近いと当業者に見なされるであろう状態を指す。説明が変動し得る程度は、どれくらい大きく変化が起こる可能性があり、それでも当業者に、修正された特徴を、修正されていない特徴の要求される特色及び能力を依然として有するものとして認識させることができるかに依存することになる。一般に、しかし先行する議論を条件として、「約」のような近似の単語によって修正される本明細書の数値は、記載された値から少なくとも±1、2、3、4、5、6、7、10、12又は15%だけ変動し得る。
【0048】
本明細書に開示及び特許請求された構成物及び/又は方法のすべては、本開示に照らして過度の実験なしに作製及び実行することができる。本発明の構成物及び方法を好ましい実施形態の観点において説明してきたが、本発明の概念、趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の構成物及び/又は方法に、そして方法のステップ又はステップのシーケンスにおいて変形を適用することができるということは当業者には明らかであろう。当業者に明らかなすべてのこのような同様の代替例及び修正例は、添付の請求項によって定義されたような本発明の趣旨、範囲及び概念の範囲内であると見なされる。
【0049】
特許庁、及び本願に関して発行される特許の読者の誰もが本明細書に添付の請求項を解釈するのを支援するため、出願人は、添付された請求項のいずれもが、米国特許法第112条の段落6、米国特許法第112条段落(f)、又は均等物が本願の出願の日に存在しているため、「のための手段」又は「のためのステップ」という単語が特定の請求項において明示的に用いられていない限り、これを適用することを意図していないということを特記したい。
【0050】
請求項のそれぞれについて、各従属請求項は、前の請求項が請求項の用語又は要素のための適切な先行詞を提供する限り、独立請求項及びそれぞれすべての請求項に対する前の従属請求項のそれぞれの両方に従属することができる。