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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】濾布折り畳み機構
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/50 20160101AFI20230220BHJP
   B01D 25/12 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
A23L27/50 104B
B01D25/12 J
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022158095
(22)【出願日】2022-09-30
【審査請求日】2022-09-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000223931
【氏名又は名称】株式会社フジワラテクノアート
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】弁理士法人森特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大賀 直行
(72)【発明者】
【氏名】唐木 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】阿部 直弘
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-261211(JP,A)
【文献】特公昭47-049717(JP,B2)
【文献】実開昭54-097875(JP,U)
【文献】中国実用新案第203582119(CN,U)
【文献】特開2017-184649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L、B01D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
醤油諸味が充填された濾布の4辺を折り畳んで固定ケージの内側に濾布を収納する濾布折り畳み機構であって、
前記固定ケージを介して対向する1組の折り込み手段と、
前記1組の折り込み手段をそれぞれ昇降させる1組の昇降手段と、
1回目の濾布折り畳みに際して、濾布の2対の対向する2辺のうち一方の対向する2辺を折り畳む1組の第1折り畳み部材と、
2回目の濾布折り畳みに際して、濾布の前記2対の対向する2辺のうち他方の対向する2辺を折り畳む1組の第2折り畳み部材とを備え、
前記1組の折り込み手段のそれぞれは、本体と、先端が水平に伸びた棒状の各2本のクロスゲージと、前記本体と前記各2本のクロスゲージを接続する2個の基部と、前記各2本のクロスゲージを水平回転させる駆動部とを有しており、
前記1組の第2折り畳み部材の両側の位置に、前記各2本のクロスゲージが進入する間隙を設けており、
前記両側は、前記1組の第1折り畳み部材がある側であり、
前記1回目の濾布折り畳みに際しては、
前記各2本のクロスゲージを一直線上に位置させた状態にして、
前記1組の折り込み手段を前記1組の昇降手段が下降させることで、前記間隙に前記各2本のクロスゲージが進入して、前記固定ケージの濾布収納位置より外側の濾布に第1の折り目を付け、
前記1組の折り込み手段を前記1組の昇降手段が上昇させた後に、前記1組の第1折り畳み部材を水平位置から内側に回転させた後に元の位置に戻すことで、前記第1の折り目の位置で濾布の一方の対向する2辺を折り畳み、
前記2回目の濾布折り畳みに際しては、
前記各2本のクロスゲージを一直線上に位置させた状態から前記駆動部が前記2個の基部を中心にそれぞれ90度水平回転させて、前記各2本のクロスゲージを平行に位置させた状態にして、
前記1組の折り込み手段を前記1組の昇降手段が下降させることで、前記1回目の濾布折り畳みで折り畳まれた濾布の部分に前記各2本のクロスゲージが押し当てられて、前記固定ケージの濾布収納位置より内側の濾布に第2の折り目を付け、
前記1組の折り込み手段を前記1組の昇降手段が上昇させた後に、前記1組の第2折り畳み部材を水平位置から内側に回転させた後に元の位置に戻すことで、前記第2の折り目の位置で濾布の他方の対向する2辺を折り畳むことを特徴とする濾布折り畳み機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、醤油諸味を圧搾して固液分離する工程において、醤油諸味が充填された濾布を固定ケージの内側に収納する濾布折り畳み機構に関する。
【背景技術】
【0002】
醤油を製造する過程で、醤油諸味を圧搾して生揚醤油と醤油粕に分離する工程がある。この工程では、機械的に圧搾する前に数百枚の濾布に醤油諸味を包んで積み重ねることで、難圧搾性の醤油諸味から効率的に生揚醤油を絞り出している。醤油諸味を濾布に包む場合、固定ケージ上に広げた濾布に醤油諸味を薄層に充填した後に、濾布の対向する2辺を折り畳み、次いで残りの対向する2辺を折り畳むことで4辺全てを折り畳み、その上に蓋濾布を載せて1回の包む動作が終了する。この包む動作を数百回繰り返して醤油諸味の充填作業が完了する。
【0003】
濾布を折り畳む際に濾布の折り目がずれたり濾布にしわが発生したりすると、均等な圧力を薄層に充填した醤油諸味に掛けることができなくなり、圧搾率が低下して生産コストが上昇してしまう。また、厚みが不均一な醤油諸味を包んだ濾布が積み重なることで全体として傾斜が生じ、ケージを抜くことができなくなったり、油圧プレスなどの機械部品が破損したりすることもあった。そのため、圧搾を担当している作業者は、醤油諸味の充填や濾布の折り畳みにも注力しなければならず負担が増えていた。
【0004】
特許文献1に記載された濾布自動供給折畳装置(3頁左欄43行目~4頁右欄38行目、第6図、第7図参照)は、第1クロースゲージ55及び第2クロースゲージ58で濾布14を押さえた状態で濾布14を折り畳んでいる。具体的には、第1クロースゲージ55が下降し、濾布14を抑え(第7図イ)、もろみ充填機5が濾布14上にもろみを注入し、第1折畳具48が内側に一定角度回転してもろみ入りの濾布14の左右両端部を内側に折畳む(第7図ロ)。次に、第2クロースゲージ58が下降すると同時に第1クロースゲージ55が上昇(第7図ハ)してから、第2折畳具51が内側に回転し、該折畳具51が一定角度回転して濾布14を折畳み、第2クロースゲージ58を外側へ揺動させ乍ら、上昇させ(第6図リ)ている。つまり、1回目の濾布折り畳み後は先端部を可撓弾性体とした第1クロースゲージ55を引き抜いていて、2回目の濾布折り畳み後は第2クロースゲージ58を水平に引き抜いてから上昇させている。
【0005】
特許文献2に記載された濾布折り畳み装置(実用新案登録請求の範囲、1頁右欄31行目~2頁左欄3行目、第11図~第18図参照)は、特許文献1に記載されたクロースゲージを廃止して、揚枠の内法付近の濾布を押し下げるための折り込み板14を折り畳み板4に設けている(第11図、第12図)。特許文献2には、折り畳み板4が回転し、濾布1が折り畳まれると同時に折り込み板14が下降し、濾布1を押し込むので濾布端部がきれいに揃い(第13図、第15図)、更に他の2つの辺を折り畳むと、正しく揃って折り畳まれる(第17図、第18図)と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特公昭47-49717号公報
【文献】実公昭55-48694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された濾布自動供給折畳装置は、クロースゲージで濾布を押さえた状態で濾布を折り畳み、その状態からクロースゲージを引き抜くため安定性に欠ける複雑な動作となっている。また、濾布の折り畳みに要する機械部品の数が多いためイニシャルコストが高くなり、メンテナンスを頻繁に行う必要がある。
【0008】
また、特許文献2に記載された濾布折り畳み装置は、1回目の濾布折り畳みに際しては、折り畳み板が回転する前に濾布を押さえる操作や濾布に折り目を付ける操作などが無いために、濾布の折り目がずれたり濾布にしわが発生したりする虞がある。これらの異常が発生した場合には、たとえ折り込み板で濾布を押し込んでも正確に修正することはできない。折り畳み板に可動式の折り込み板を設けた場合は、折り込み板が繰り返し確実に昇降するかどうか不安が残る。また、折り畳み板に固定式の折り込み板を設けた場合には、折り込み板が折り畳み板から出っ張ってしまいセットされた濾布にたるみが生じ、濾布の折り目がずれたり濾布にしわが発生したりする可能性が高まる。
【0009】
本発明は、前記のような従来の課題を解決するものであり、正確に醤油諸味が充填された濾布を折り畳むことができるだけでなく、構造を簡素化でき、誤動作が生じにくく、イニシャルコストを削減できるとともに、メンテナンス費用も抑えることができる濾布折り畳み機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の濾布折り畳み機構は、醤油諸味が充填された濾布の4辺を折り畳んで固定ケージの内側に濾布を収納する濾布折り畳み機構であって、前記固定ケージを介して対向する1組の折り込み手段と、前記1組の折り込み手段をそれぞれ昇降させる1組の昇降手段と、1回目の濾布折り畳みに際して、濾布の2対の対向する2辺のうち一方の対向する2辺を折り畳む1組の第1折り畳み部材と、2回目の濾布折り畳みに際して、濾布の前記2対の対向する2辺のうち他方の対向する2辺を折り畳む1組の第2折り畳み部材とを備え、前記1組の折り込み手段のそれぞれは、本体と、先端が水平に伸びた棒状の各2本のクロスゲージと、前記本体と前記各2本のクロスゲージを接続する2個の基部と、前記各2本のクロスゲージを水平回転させる駆動部とを有しており、前記1組の第2折り畳み部材の両側の位置に、前記各2本のクロスゲージが進入する間隙を設けており、前記1回目の濾布折り畳みに際しては、前記各2本のクロスゲージを一直線上に位置させた状態にして、前記1組の折り込み手段を前記1組の昇降手段が下降させることで、前記間隙に前記各2本のクロスゲージが進入して、前記固定ケージの濾布収納位置より外側の濾布に第1の折り目を付け、前記1組の折り込み手段を前記1組の昇降手段が上昇させた後に、前記1組の第1折り畳み部材を水平位置から内側に回転させた後に元の位置に戻すことで、前記第1の折り目の位置で濾布の一方の対向する2辺を折り畳み、前記2回目の濾布折り畳みに際しては、前記各2本のクロスゲージを一直線上に位置させた状態から前記駆動部が前記2個の基部を中心にそれぞれ90度水平回転させて、前記各2本のクロスゲージを平行に位置させた状態にして、前記1組の折り込み手段を前記1組の昇降手段が下降させることで、前記1回目の濾布折り畳みで折り畳まれた濾布の部分に前記各2本のクロスゲージが押し当てられて、前記固定ケージの濾布収納位置より内側の濾布に第2の折り目を付け、前記1組の折り込み手段を前記1組の昇降手段が上昇させた後に、前記1組の第2折り畳み部材を水平位置から内側に回転させた後に元の位置に戻すことで、前記第2の折り目の位置で濾布の他方の対向する2辺を折り畳むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の濾布折り畳み機構によれば、濾布に折り目を付けることで正確に醤油諸味が充填された濾布を折り畳むことができるだけでなく、1回目及び2回目の濾布折り畳みに際して、クロスゲージを有する折り込み手段を共用できるとともに昇降手段も共用することができるので、濾布折り畳み機構全体としての部品点数を削減できる。このことにより、構造を簡素化でき、誤動作が生じにくくなり、イニシャルコストを削減できるとともに、メンテナンス費用も抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る濾布折り畳み機構を備えた諸味充填装置の概略の構成を示す正面図。
図2図1に示した諸味充填装置の上部の縦断面を示す側面図。
図3】本発明の一実施形態に係る濾布折り畳み機構の要部を示す斜視図。
図4】本発明の一実施形態において、濾布折り畳みの開始前を示す濾布折り畳み機構の斜視図。
図5】本発明の一実施形態において、1組の折り込み手段が濾布側に下降した状態を示す斜視図。
図6】本発明の一実施形態において、クロスゲージが間隙内に進入した状態を示す断面図。
図7図6の状態から1組の折り込み手段が上昇した状態を示す斜視図。
図8】本発明の一実施形態において、1回目の濾布折り畳みの様子を示す斜視図。
図9】本発明の一実施形態において、1回目の濾布折り畳みが完了した状態を示す斜視図。
図10】本発明の一実施形態において、1組の折り込み手段が濾布側に下降した状態の斜視図。
図11】本発明の一実施形態において、クロスゲージにより濾布が醤油諸味内に押し込まれた状態を示す断面図。
図12図11の状態から1組の折り込み手段が上昇した状態を示す斜視図。
図13】本発明の一実施形態において、2回目の濾布折り畳みの様子を示す斜視図。
図14】本発明の一実施形態において、2回目の濾布折り畳みが完了した状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態に係る濾布折り畳み機構を備えた諸味充填装置10の概略の構成を示す正面図である。図2図1に示した諸味充填装置10の上部の縦断面を示す側面図である。各図は、要部を示した簡略図であり、図示の便宜のため縮尺、寸法の比率等は適宜変更している。最初に、図1及び図2を参照しながら、諸味充填装置10の概要を説明する。諸味充填装置10の上部に濾布折り畳み機構1(図3参照)を備えているが、同機構の詳細は後述する。
【0014】
図1に示したように、中空の下部ケージ11と中空の固定ケージ2が連結されている。図2に示したように、固定ケージ2の上側に配置した濾布20上に、充填機12からの醤油諸味30が充填される。詳細は後述するとおり、醤油諸味30は濾布20で包み込まれる。この充填が繰り返されて、下部ケージ11内に醤油諸味30が充填された濾布20が積み重ねられる。下部ケージ11を固定ケージ2から分離して移動させてから、下部ケージ11の上側から油圧プレスで、下部ケージ11内に積み重ねられた濾布20を加圧して醤油諸味30を圧搾する。
【0015】
図2において、充填機12は、レール13に取り付けられており、レール13に沿って固定ケージ2上を往復移動できるように構成されている。充填機12はノズル121が設けられており、ノズル121の先端から醤油諸味30が排出される。充填機12を移動させる機構や充填機12の構造は特に限定されない。
【0016】
以下、図3を参照しながら、濾布折り畳み機構1の構成について説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る濾布折り畳み機構1の要部を示す斜視図である。本図は、図1に示した諸味充填装置10を上方から見た図に相当する。濾布折り畳み機構1は、1組の折り込み手段3、1組の昇降手段4、1組の第1折り畳み部材5及び1組の第2折り畳み部材6で主要部を構成している。
【0017】
固定ケージ2の内側に、醤油諸味30を包み込んだ濾布20が収納される(図14参照)。固定ケージ2を介して1組の折り込み手段3が対向している。1組の折り込み手段3のそれぞれは、本体31と、先端が水平に伸びた棒状の各2本のクロスゲージ32と、本体31と各2本のクロスゲージ32を接続する2個の基部33と、各2本のクロスゲージ32を水平回転させる駆動部34を有している。
【0018】
駆動部34は、ロータリーアクチュエータ341及びリンクロッド342を備えている。リンクロッド342の先端は基部33に接続されている。ロータリーアクチュエータ341のシャフトが正逆方向に回転することにより、リンクロッド342が押し引きされる。この押し引きにより基部33が回転し、これと一体にクロスゲージ32が水平回転する。図3では1つの折り込み手段3が備える2本のクロスゲージ32は一直線上に位置しているが、ロータリーアクチュエータ341のシャフトを90度回転させることにより、各2本のクロスゲージ32は90度水平回転して(矢印a)、平行に位置した状態になる(図7参照)。
【0019】
図3に示した折り込み手段3は一例であり、適宜変更したものであってもよい。例えば、図3の構成は、1つのロータリーアクチュエータ341を駆動源として、2本のクロスゲージ32を同時に回転させる構成であるが、2本のクロスゲージ32のそれぞれをエアシリンダ等の駆動源で回転させる構成であってもよい。
【0020】
また、図3に示した1組の第1折り畳み部材5及び1組の第2折り畳み部材6は、簡略化して図示している。これらは板状部材でもよく、棒状部材でもよく、形状も適宜変更すればよい。折り畳みのための回転機構についても、適宜公知の機構を用いればよい。
【0021】
図4は、濾布折り畳みの開始前を示す濾布折り畳み機構1の斜視図である。図示の便宜のため、濾布20の厚みの図示は省略している(図5以降も同じ)。本図の状態では、固定ケージ2及びその周辺を覆うように濾布20が敷かれ、濾布20上に醤油諸味30が充填されている。この状態は図2の状態に相当する。図1及び図2に示した充填機12の図示は省略しており、充填機12は濾布20の折り畳み動作に干渉しない位置に退避している(図5以降も同じ)。
【0022】
昇降手段4はシリンダ本体41とシリンダロッド42を有しており(図1参照)、シリンダロッド42はシリンダ本体41からの出代を調整可能である。シリンダロッド42の出代が伸びることにより、1組の折り込み手段3は濾布20側に下降する。下降した1組の折り込み手段3は、シリンダロッド42の出代が縮むことにより上昇する。本実施形態では、昇降手段4を傾斜して配置した構成であるので、1組の折り込み手段3は傾斜方向に昇降するが、昇降手段4を垂直に配置して垂直方向に昇降させるようにしてもよい。また、昇降手段4はシリンダ機構に限るものではなく、モーターとラックを組み合わせた機構でもよく、クランク機構を用いたものでもよい。
【0023】
図5は、1組の折り込み手段3が濾布20側に下降途中の状態の斜視図を示している。図5の状態では、4本のクロスゲージ32は、濾布20に当接している。図3に示したように、1組の第2折り畳み部材6の両側の位置に間隙7が設けられている。図5の状態では、4本のクロスゲージ32は濾布20に当接し、かつ間隙7に対向している。この状態から1組の折り込み手段3が連続して下降することで、クロスゲージ32は間隙7内に進入する。
【0024】
図6は、1組の折り込み手段3が下降し、クロスゲージ32が間隙7内に進入した状態を示す断面図である。本図は、図5のAA線における断面図に相当する。本図に示したように、クロスゲージ32が間隙7内に進入したことにより、これと一体に濾布20も間隙7内に押し下げられている。
【0025】
図6では、間隙7は凹部71により形成されているが、間隙7が形成されていればよく、凹部71から底面711を省いたスリットであってもよい。また、凹部71は第2折り畳み部材6から分離した構成であるが、第2折り畳み部材6と一体にしてもよい。一体にした場合は、第2折り畳み部材6が回転したときは、これと一体に凹部71も移動する。
【0026】
図7は、図6の状態から1組の折り込み手段3が上昇した状態を示している。この上昇は、昇降手段4が備えるシリンダロッド42の出代が縮むことによるものである。図6に示したように、濾布20が間隙7内に押し下げられたことにより、図7に示したように、濾布20に第1の折り目21が形成されている。図3に示したように、間隙7は固定ケージ2の濾布収納位置より外側にあるので、図7の第1の折り目21は、固定ケージ2の濾布収納位置より外側の濾布20に付けられている。
【0027】
図7の状態では、1組の折り込み手段3の各2本のクロスゲージ32は、平行に位置した状態になっている。これは、ロータリーアクチュエータ341のシャフトを90度回転させることにより、各2本のクロスゲージ32が90度水平回転したことによるものである。この平行状態は、後述する2回目の濾布折り畳みに備えたものであり、1回目の濾布折り畳みで1組の折り込み手段3が濾布20に第1の折り目21を付けた後に上昇してから、2回目の濾布折り畳みで1組の折り込み手段3が濾布20に第2の折り目22を付けるために下降する前までに平行状態になっていればよい。
【0028】
図7において、濾布20は四角形であり、2対の対向する2辺を有している。以後、本実施形態においては、説明の便宜のため、濾布20の対向する2辺のうち、第1折り畳み部材5(図3参照)に沿った対向する2辺を一方の対向する2辺20aといい、第2折り畳み部材6(図3参照)に沿った対向する2辺を他方の対向する2辺20bという。
【0029】
図8は、1回目の濾布折り畳みの様子を示す斜視図である。本図では、第1折り畳み部材5を回転させるためのリンク機構等の付属部品の図示は省略している。本図の状態では、1組の第1折り畳み部材5が水平位置から内側に回転している。これに伴って、濾布20が第1の折り目21の位置を境にして浮き上がっている。この状態から、1組の第1折り畳み部材5をさらに回転させた後に元の位置に戻すことで、第1の折り目21の位置で濾布20の一方の対向する2辺20aが折り畳まれる。
【0030】
図9は、1回目の濾布折り畳みが完了した状態を示す斜視図である。本図の状態では、濾布20の他方の対向する2辺20bの上に、濾布20の一方の対向する2辺20aが折り重なっている。前記のとおり、1組の折り込み手段3の各2本のクロスゲージ32は、予め平行に位置した状態になっている。
【0031】
図9の状態からシリンダロッド42の出代が伸びることにより、1組の折り込み手段3は濾布20側に下降していく。図10は、1組の折り込み手段3が濾布20側に下降途中の状態の斜視図を示している。図10の状態では、1回目の濾布折り畳みで折り畳まれた濾布20の部分(一方の対向する2辺20a)に4本のクロスゲージ32が押し当てられている。この状態から1組の折り込み手段3が連続して下降することで、クロスゲージ32により濾布20が醤油諸味30内に押し込まれる。
【0032】
図11は、クロスゲージ32により濾布20が醤油諸味30内に押し込まれた状態を示す断面図である。本図は、図10のBB線における断面図に相当する。本図に示したように、醤油諸味30の上部に折り畳まれた濾布20のうち、クロスゲージ32に押し当てられた部分は、醤油諸味30内に押し込まれている。
【0033】
図12は、図11の状態から1組の折り込み手段3が上昇した状態を示している。この上昇は、昇降手段4が備えるシリンダロッド42の出代が縮むことによるものである。図11に示したように、濾布20が醤油諸味30内に押し込まれたことにより、図12において、第2の折り目22は、固定ケージ2の濾布収納位置より内側の濾布20に付けられている。
【0034】
図13は、2回目の濾布折り畳みの様子を示す斜視図である。本図では、第2折り畳み部材6を回転させるためのリンク機構等の付属部品の図示は省略している。本図の状態では、1組の第2折り畳み部材6が水平位置から内側に回転している。これに伴って、濾布20が第2の折り目22の位置を境にして浮き上がっている。この状態から、1組の第2折り畳み部材6をさらに回転させた後に元の位置に戻すことで、第2の折り目22の位置で濾布20の他方の対向する2辺20bが折り畳まれる。
【0035】
図14は、2回目の濾布折り畳みが完了した状態を示す斜視図である。本図の状態では、濾布20の一方の対向する2辺20aの上に、濾布20の他方の対向する2辺20bが折り重なっている。すなわち、濾布20の4辺が折り畳まれて固定ケージ2の内側に収納されている。この後は、折り畳まれた1枚目の濾布20の上に蓋濾布を載せて1回の包む動作が終了する。次に、2枚目の濾布20が敷かれ、2枚目の濾布20上に醤油諸味30が充填され、再び図4の状態になる。続いて、前記の1回目と2回目の濾布折り畳みを経て、2枚目の濾布20の4辺が折り畳まれて固定ケージ2の内側に収納され、蓋濾布が載せられる。以後、同じ動作が繰り返されるとともに、醤油諸味30が充填された濾布20が順次下降しながら、下部ケージ11(図1参照)内に醤油諸味30が充填された濾布20が積み重ねられていく。
【0036】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明によれば、1組の折り込み手段3が下降してクロスゲージ32が濾布20に第1の折り目21、第2の折り目22を付けてから1組の折り込み手段3が上昇した後に濾布20を折り畳むことで、正確に醤油諸味30が充填された濾布20を折り畳むことが可能となる。このことにより、確実に醤油諸味30が充填された濾布20を固定ケージ2の内側に収納することができる。
【0037】
また、1回目及び2回目の濾布折り畳みに際して、クロスゲージ32を有する折り込み手段3を共用できるとともに昇降手段4も共用することができ、濾布折り畳み機構1全体としての部品点数を削減できる。このことにより、構造を簡素化でき、誤動作が生じにくくなり、イニシャルコストを削減できるとともに、メンテナンス費用も抑えることができる。
【0038】
前記実施形態は一例であり、これらに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。また、充填機12で濾布20の醤油諸味30を充填する際に(図2参照)、本発明の濾布折り畳み機構1が備えている1組の折り込み手段3が有する4本のクロスゲージ32で濾布20を押えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 濾布折り畳み機構
2 固定ケージ
3 折り込み手段
31 本体
32 クロスゲージ
33 基部
34 駆動部
4 昇降手段
41 シリンダ本体
42 シリンダロッド
5 第1折り畳み部材
6 第2折り畳み部材
7 間隙
10 諸味充填装置
20 濾布
20a 一方の対向する2辺
20b 他方の対向する2辺
21 第1の折り目
22 第2の折り目
30 醤油諸味
【要約】      (修正有)
【課題】正確に醤油諸味が充填された濾布を折り畳むことができるだけでなく、構造を簡素化でき、誤動作が生じにくく、イニシャルコストを削減できるとともに、メンテナンス費用も抑えることができる濾布折り畳み機構を提供する。
【解決手段】1組の折り込み手段4は、棒状の各2本のクロスゲージ32と、各2本のクロスゲージ32を水平回転させる駆動部34を有しており、1回目の濾布折り畳みに際しては、各2本のクロスゲージ32を一直線上に位置させた状態にして濾布20に第1の折り目を付けて、濾布20の一方の対向する2辺20aを折り畳み、2回目の濾布折り畳みに際しては、各2本のクロスゲージ32を一直線上に位置させた状態から駆動部34が90度水平回転させて、各2本のクロスゲージ32を平行に位置させた状態にして濾布20に第2の折り目を付けて、濾布20の他方の対向する2辺20bを折り畳むことを特徴とする。
【選択図】図14
図1
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図14