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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】デジタルツインの管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230220BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022551674
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(86)【国際出願番号】 JP2022021421
【審査請求日】2022-08-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522338698
【氏名又は名称】株式会社ビジョン&ITラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100167900
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 仁
(72)【発明者】
【氏名】皆川 卓也
【審査官】山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/102106(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/246032(WO,A1)
【文献】特許第7004886(JP,B1)
【文献】特開2018-128815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現実世界の情報を取得する少なくとも1つのセンサと、センサを管理する情報処理装置とを備えるデジタルツインの管理システムであって、
前記情報処理装置は、
情報を記憶する記憶手段と、
前記センサにて取得された情報に基づいて、少なくとも1つのオブジェクトを有する仮想世界を生成する仮想世界生成手段と、
前記仮想世界の前記オブジェクトに対して、前記現実世界に起因するトリガを管理者に設定させるトリガ設定手段と、
前記トリガ設定手段にて設定されたトリガを検出した場合に実行する前記現実世界のアクションを前記記憶手段に記憶された所定のリストを読み出して管理者に選択させることによって、管理者に設定させるアクション設定手段とを備え
前記仮想世界は、前記現実世界における空間および時間に関する時空間情報を有し、
前記オブジェクトは、前記現実世界における空間の環境に関する環境情報を有し、
前記トリガ設定手段は、前記環境情報の変化に基づくトリガを設定可能に構成されることを特徴とするデジタルツインの管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載されたデジタルツインの管理システムにおいて、
前記情報処理装置は、
前記記憶手段に記憶された所定のリストに対して前記現実世界のアクションを管理者に追加させる手段を備えることを特徴とするデジタルツインの管理システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載されたデジタルツインの管理システムにおいて、
前記仮想世界生成手段は、前記センサにて取得された前記現実世界における人または物に関する情報に基づいて、人または物に関する前記オブジェクトを有する前記仮想世界を生成し、
前記トリガ設定手段は、前記現実世界における前記オブジェクトの状態の変化に基づくトリガを設定可能に構成されることを特徴とするデジタルツインの管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載されたデジタルツインの管理システムにおいて、
前記オブジェクトは、前記現実世界における人の属性または物の属性に関する属性情報を有し、
前記トリガ設定手段は、前記属性情報に基づくトリガを設定可能に構成されることを特徴とするデジタルツインの管理システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載されたデジタルツインの管理システムにおいて、
前記トリガ設定手段は、前記現実世界に起因するトリガを前記記憶手段に記憶された所定のリストを読み出して管理者に選択させることによって、管理者に設定させることを特徴とするデジタルツインの管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載されたデジタルツインの管理システムにおいて、
前記トリガ設定手段は、前記オブジェクト、および前記現実世界に起因するトリガの他、時間範囲、および前記仮想世界の領域の少なくともいずれか一方を管理者に選択させることを特徴とするデジタルツインの管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルツインの管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現実世界の情報を取得する少なくとも1つのセンサと、センサを管理する情報処理装置とを備え、センサにて取得された情報に基づいて、仮想世界を生成するデジタルツインの管理システムが知られている。例えば、特許文献1に記載されたスケジューラシステムは、車両の測定データに基づいて、車両モデルを更新することによって、現実世界に存在する車両を正確に表し、この更新された車両モデルに基づいて、デジタルツインを生成している。そして、このスケジューラシステムは、車両の現実の走行などのデータに基づいて、デジタルツインにてシミュレーションを実行し、このシミュレーションに基づいて、故障の可能性の高い車両の構成要素を推定し、現実世界にて故障しないように車両を修理するための予約をスケジューリングしている。
【0003】
ところで、このようなデジタルツインは、センサにて現実世界から収集した様々なデータを双子であるかのように仮想世界として再現している。特許文献1に記載された発明では、デジタルツインの車両モデルは、仮想世界に相当し、現実世界に存在する車両をシミュレーションすることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-153291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、仮想世界は、現実世界のデータを再現しているので、現実世界の変化を仮想世界に反映させることはできるものの、仮想世界における変化を現実世界に反映させることはないので、デジタルツインの管理システムは、現実世界の変化に応じて現実世界に寄与することはできないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、現実世界の変化に応じて現実世界に寄与することができるデジタルツインの管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のデジタルツインの管理システムは、現実世界の情報を取得する少なくとも1つのセンサと、センサを管理する情報処理装置とを備えるデジタルツインの管理システムであって、情報処理装置は、情報を記憶する記憶手段と、センサにて取得された情報に基づいて、少なくとも1つのオブジェクトを有する仮想世界を生成する仮想世界生成手段と、仮想世界のオブジェクトに対して、現実世界に起因するトリガを管理者に設定させるトリガ設定手段と、トリガ設定手段にて設定されたトリガを検出した場合に実行する現実世界のアクションを記憶手段に記憶された所定のリストを読み出して管理者に選択させることによって、管理者に設定させるアクション設定手段とを備え、仮想世界は、現実世界における空間および時間に関する時空間情報を有し、オブジェクトは、現実世界における空間の環境に関する環境情報を有し、トリガ設定手段は、環境情報の変化に基づくトリガを設定可能に構成されることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、情報処理装置は、トリガ設定手段と、アクション設定手段とを備えるので、デジタルツインの管理システムの管理者は、トリガおよびアクションを設定することによって、現実世界の変化に応じて現実世界のアクションを実行するシナリオを容易に構築することができる。したがって、デジタルツインの管理システムは、現実世界の変化に応じて現実世界に寄与することができ、管理者の利便性を向上させることができる。
【0010】
また、仮想世界は、現実世界における空間および時間に関する時空間情報を有するので、例えば、現実世界において、人が所定の領域に入ってきた場合にデジタルサイネージの表示内容を変更するなどの現実世界のアクションを実行するようなシナリオを容易に構築することができる。
【0011】
本発明では、情報処理装置は、記憶手段に記憶された所定のリストに対して現実世界のアクションを管理者に追加させる手段を備えることが好ましい。
【0012】
ここで、環境情報は、例えば、現実世界における空間の温度や湿度などの空間の環境に関する情報である。
本発明によれば、オブジェクトは、現実世界における空間の環境に関する環境情報を有し、トリガ設定手段は、環境情報の変化に基づくトリガを設定可能に構成されるので、例えば、現実世界において、飲食店内の温度や湿度に応じてエアコンの設定温度を調整するなどの現実世界のアクションを実行するようなシナリオを容易に構築することができる。
【0013】
本発明では、仮想世界生成手段は、センサにて取得された現実世界における人または物に関する情報に基づいて、人または物に関するオブジェクトを有する仮想世界を生成し、トリガ設定手段は、現実世界におけるオブジェクトの状態の変化に基づくトリガを設定可能に構成されることが好ましい。
【0014】
このような構成によれば、トリガ設定手段は、現実世界におけるオブジェクトの状態の変化に基づくトリガを設定可能に構成されるので、例えば、現実世界において、スマートフォンを用いて人がポスターなどの物を撮影した場合に、そのスマートフォンにクーポンを配信するなどの現実世界のアクションを実行するようなシナリオを容易に構築することができる。ここで、オブジェクトの状態は、人のオブジェクトであれば、例えば「歩く」、「走る」、「座る」、「倒れる」などの動作を採用することができる。これらの動作は、CCD(Charge Coupled Device)カメラなどのセンサにて撮像して現実世界の情報を取得し、AI(Artificial Intelligence)などの技術を用いて認識すればよい。
【0015】
本発明では、オブジェクトは、現実世界における人の属性または物の属性に関する属性情報を有し、トリガ設定手段は、属性情報に基づくトリガを設定可能に構成されることが好ましい。
【0016】
ここで、属性情報は、例えば、現実世界における人の性別や体型、物であれば車の車種などの時間の経過に応じて変化することのない人の属性または物の属性に関する情報である。
本発明によれば、オブジェクトは、現実世界における人の属性または物の属性に関する属性情報を有し、トリガ設定手段は、属性情報に基づくトリガを設定可能に構成されるので、例えば、現実世界において、スマートフォンを用いて女性(人の属性)がポスターなどの物を撮影した場合に、そのスマートフォンに女性用のクーポンを配信するなどの現実世界のアクションを実行するようなシナリオを容易に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るデジタルツインの管理システムの概略構成を示す図
図2】時空間情報を有する仮想世界をタッチパネルに表示した状態を示す図
図3】トリガおよびアクションの編集画面をタッチパネルに表示した状態を示す図
図4】センサにて現実世界における人または物に関する情報を取得している状態を示す図
図5】仮想世界生成手段にて仮想世界を生成している状態を示す図
図6】トリガ条件を満たした場合に、アクションを実行した状態を示す図
図7】人および物のオブジェクトを有する仮想世界を生成した場合における別例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るデジタルツインの管理システムの概略構成を示す図である。
デジタルツインの管理システム1は、図1に示すように、センサ2と、センサ2にインターネットなどの通信回線を介して接続されるとともに、センサ2を管理する情報処理装置3とを備える。
【0019】
センサ2は、CCDカメラや、LiDAR(Light Detection And Ranging)などの光学センサ、人感センサ、温度センサ、および湿度センサなどの複数のセンサを備えて構成されている。
なお、センサ2は、現実世界の情報を取得するものであればどのようなものであってもよい。また、センサ2は、複数のセンサを備えていなくてもよく、少なくとも1つのセンサを備えて構成されていればよい。
【0020】
情報処理装置3は、CPU(Central Processing Unit)や、メモリなどによって構成され、このメモリに記憶された所定のプログラムに従って情報処理を実行する。この情報処理装置3は、情報処理装置3全体を制御する制御手段31と、情報を記憶する記憶手段32と、管理者の操作入力を受け付ける入力手段として機能するとともに、画像データを表示する表示手段として機能するタッチパネル33とを備えている。
なお、本実施形態では、入力手段および表示手段は、タッチパネル33を採用しているが、管理者の操作入力を受け付ける機能を有していれば、どのような入力手段を採用してもよく、画像データを表示する機能を有していれば、どのような表示手段を採用してもよい。
【0021】
制御手段31は、仮想世界生成手段311と、トリガ設定手段312と、アクション設定手段313とを備えている。
仮想世界生成手段311は、センサ2にて取得された情報に基づいて、少なくとも1つのオブジェクト323を有する仮想世界321を生成する。ここで、仮想世界生成手段311は、仮想世界321およびオブジェクト323を生成した場合には、これらを記憶手段32に記憶させる。
具体的には、仮想世界生成手段311は、センサ2にて取得された現実世界における人または物に関する情報に基づいて、人または物に関するオブジェクト323を有する仮想世界321を生成する。このオブジェクト323は、位置や動作などの状態に関する情報を有している。
【0022】
トリガ設定手段312は、仮想世界321のオブジェクト323に対して、現実世界に起因するトリガを管理者に設定させる。ここで、現実世界に起因するトリガは、現実世界の変化を仮想世界に反映させることによって、仮想世界における変化として取得されることになる。
具体的には、トリガ設定手段312は、現実世界におけるオブジェクト323の状態の変化に基づくトリガを設定可能に構成されている。
【0023】
アクション設定手段313は、トリガ設定手段312にて設定されたトリガを検出した場合に実行する現実世界のアクションを管理者に設定させる。ここで、情報処理装置3は、現実世界に寄与するために、インターネットなどの通信回線を介して外部機器4に接続されている。したがって、アクション設定手段313は、外部機器4を介して実行できる現実世界のアクションを管理者に設定させることができる。
【0024】
外部機器4は、例えば、スマートフォンや、ディスプレイなどを採用することができ、IOT(Internet of Things)機器などを採用してもよい。要するに、外部機器4は、通信回線を介して制御可能な機器を採用すればよい。また、現実世界のアクションとしては、スマートフォンや、ディスプレイを外部機器4として採用した場合には、各外部機器4の表示画面に所定の情報を表示させることができる。
なお、センサ2および外部機器4は、同一の機器であってもよく、例えば、スマートフォンなどの多機能な機器は、センサ2および外部機器4の双方として採用してもよい。
【0025】
記憶手段32に記憶された仮想世界321は、現実世界における空間(領域の位置や大きさ等)および時間に関する時空間情報322を有している。
また、仮想世界321のオブジェクト323は、現実世界における空間の環境に関する環境情報324を有している。ここで、環境情報324は、例えば、現実世界における空間の温度や湿度などの空間の環境に関する情報である。
さらに、オブジェクト323は、現実世界における人の属性または物の属性に関する属性情報325を有している。ここで、属性情報は、例えば、現実世界における人の性別や体型、物であれば車の車種などの時間の経過に応じて変化することのない人の属性または物の属性に関する情報である。
【0026】
そして、トリガ設定手段312は、前述したように、現実世界におけるオブジェクト323の状態の変化に基づくトリガを設定可能に構成されている他、環境情報324の変化や、属性情報325に基づくトリガを設定可能に構成されている。
【0027】
以下の説明では、所定の空間に人が立ち入った場合に、ディスプレイに所定の広告を表示するために設定されたトリガおよびアクションと、その対象となる仮想世界321を例示して説明する。
【0028】
図2は、時空間情報を有する仮想世界をタッチパネルに表示した状態を示す図である。
仮想世界321は、例えば、図2に示すように、一定の空間を有する店舗51として仮想世界生成手段311にて生成され、この仮想世界321に係る時空間情報322とともに記憶手段32に記憶される。
なお、本実施形態では、仮想世界生成手段311は、センサ2としてのCCDカメラにて取得された情報に基づいて、仮想世界321を生成する。
【0029】
この仮想世界321は、タッチパネル33の領域選択画面G1にマップとして表示されることになる。なお、この領域選択画面G1は、トリガ設定手段312にて現実世界に起因するトリガを管理者に設定させる場合に、対象となる空間を設定するための画面である。
【0030】
店舗51は、例えば、商談スペース51Aや、展示スペース51Bや、会計カウンタ51Cなどの複数の区画(領域)を有している。
領域選択画面G1は、店舗51のマップを表示する他、店舗51のマップの右側に表示されたエリアボタン52、ポイントボタン53、およびラインボタン54を有している。
エリアボタン52は、仮想世界321のマップに所定のエリアを設定するためのボタンである。トリガ設定手段312は、エリアボタン52にて設定された所定のエリアにオブジェクト323があるか否かをトリガとして設定できるようになっている。
ポイントボタン53は、仮想世界321のマップに所定のポイントを設定し、このポイントを基点(オブジェクト323までの距離を算出するための基点)として設定するためのボタンである。トリガ設定手段312は、ポイントボタン53にて設定された基点の近くにオブジェクト323があるか否かをトリガとして設定できるようになっている。例えば、トリガ設定手段312は、ポイントボタン53にて設定された基点に最も近いオブジェクト323をトリガの対象とすることも可能である。
ラインボタン54は、仮想世界321のマップにラインを引き、このラインを通過線(オブジェクト323の通過の有無を判定するための線)として設定するためのボタンである。トリガ設定手段312は、ラインボタン54にて設定された通過線をオブジェクト323が通過したか否かをトリガとして設定できるようになっている。
【0031】
本実施形態では、エリアボタン52を使用してトリガを設定する方法を例示して説明する。
エリアボタン52を押下し、仮想世界321のマップにポインタをドラッグアンドドロップすることによって、所定のエリア52Aを設定することができる。ここで、領域選択画面G1の左上にある「領域名」の欄55に任意の名称(例えば「領域A」)を入力し、セーブボタン56を押下することによって、エリア52Aに関する情報を記憶手段32に書き込むことができるようになっている。また、ロードボタン57を押下して記憶手段32に記憶されたエリア52Aに関する情報を読み出すことができるようになっている。
【0032】
図3は、トリガおよびアクションの編集画面をタッチパネルに表示した状態を示す図である。
トリガおよびアクションの編集画面G2は、図3に示すように、トリガ編集領域61と、アクション編集領域62とを有している。
【0033】
トリガ編集領域61は、最上段から最下段にかけて「トリガ名」の欄611と、時間設定欄612と、領域設定欄613と、オブジェクト設定欄614と、トリガ設定欄615とを備えている。
【0034】
欄611は、任意の名称(例えば「閾値以上の人」)を入力し、セーブボタン611Aを押下することによって、トリガに関する情報を記憶手段32に書き込むことができるようになっている。また、ロードボタン611Bを押下して記憶手段32に記憶されたトリガに関する情報を読み出すことができるようになっている。
時間設定欄612は、管理者にて定義された時間範囲を設定する欄である。この時間範囲は、ニューボタン612Aを押下して追加できるようになっている。
領域設定欄613は、領域選択画面G1にて設定された仮想世界321の領域を指定する欄である。この領域は、ニューボタン613Aを押下して前述した領域選択画面G1を開いて追加できるようになっている。
【0035】
オブジェクト設定欄614は、仮想世界321のオブジェクト323を設定する欄である。ここで、仮想世界生成手段311は、センサ2にて取得された現実世界における人または物に関する情報に基づいて、人または物に関するオブジェクト323を有する仮想世界321を生成している。したがって、オブジェクト設定欄614は、トリガを設定する人または物に関するオブジェクト323を設定する欄である。
ここで、オブジェクト323は、現実世界における人の属性または物の属性に関する属性情報325を有している。この属性情報325は、プロパティボタン614Aを押下して参照することができるとともに、例えば、「男性/女性」や、年齢などを指定することができるようになっている。
【0036】
トリガ設定欄615は、オブジェクト設定欄614にて設定したオブジェクト323に対して、現実世界に起因するトリガを管理者に設定させる欄である。このトリガ設定欄615は、オブジェクト設定欄614の設定内容に基づいて、記憶手段32から所定のリストを読み出して選択できるようになっている。また、このリストは、コンフィグボタン615Aを押下して追加できるようになっている。
【0037】
アクション編集領域62は、最上段から最下段にかけてオブジェクト設定欄621と、アクション設定欄622と、出力変数ボタン623とを備えている。
【0038】
オブジェクト設定欄621は、仮想世界321のオブジェクト323を設定する欄である。したがって、オブジェクト設定欄621は、アクションを設定する人または物に関するオブジェクト323を設定する欄である。
アクション設定欄622は、オブジェクト設定欄621にて設定したオブジェクト323に対して、現実世界のアクションを管理者に設定させる欄である。このアクション設定欄622は、オブジェクト設定欄621の設定内容に基づいて、記憶手段32から所定のリストを読み出して選択できるようになっている。また、このリストは、コンフィグボタン622Aを押下して追加できるようになっている。
【0039】
出力変数ボタン623は、アクションを実行した結果(例えば、外部機器4であるディスプレイの表示画面に表示させた所定の情報)を記憶手段32に書き込むための外部変数を指定するボタンである。制御手段31は、記憶手段32に記憶された外部変数を利用して種々の制御を実行することができ、例えば、トリガ設定手段312は、この外部変数に基づくトリガを設定可能に構成されている。
【0040】
また、編集画面G2は、左上にある「イベント名」の欄63に任意の名称(例えば「広告A表示」)を入力し、セーブボタン64を押下することによって、トリガおよびアクションに関する情報を記憶手段32に書き込むことができるようになっている。また、ロードボタン65を押下して記憶手段32に記憶されたトリガおよびアクションに関する情報を読み出すことができるようになっている。
【0041】
さらに、編集画面G2は、右上にあるトリガ追加ボタン66と、アクション追加ボタン67と、外部変数ボタン68と、論理演算ボタン69とを備えている。
トリガ追加ボタン66は、トリガ編集領域61を追加するためのボタンであり、このボタンを押下して新たにトリガ編集領域61を追加して複数のトリガを生成することができる。
アクション追加ボタン67は、アクション編集領域62を追加するためのボタンであり、このボタンを押下して新たにアクション編集領域62を追加して複数のアクションを生成することができる。
ここで、複数のアクションを生成した場合には、各アクションを同時に実行することができるようになっており、各アクションを順番に実行することもできるようになっている。
【0042】
外部変数ボタン68は、所定の条件に当てはまる過去の情報を取得し、トリガに組み合わせるためのボタンである。換言すれば、トリガは、現在の情報を取得し、この情報に基づいて、アクションを実行するものであるのに対し、外部変数は、過去の情報(トリガ以前に収集した全ての情報)を取得し、この情報に基づいて、アクションを実行するものである。
論理演算ボタン69は、「AND」、「OR」、および「XOR」の3つの論理演算を使ってトリガ、アクション、および外部変数を組み合わせるためのボタンである。
【0043】
図4は、センサにて現実世界における人または物に関する情報を取得している状態を示す図である。
仮想世界生成手段311は、図4に示すように、センサ2にて取得された現実世界における人または物に関する情報に基づいて、人または物に関するオブジェクト323を有する仮想世界321を生成する。図4の例では、センサ2は、現実世界における人H1,H2に関する情報を取得している。
この際、仮想世界生成手段311は、センサ2にて現実世界における空間および時間に関する時空間情報322を取得して記憶手段32に記憶させる。
【0044】
また、仮想世界生成手段311は、センサ2にて現実世界における空間の環境に関する環境情報324を取得してオブジェクト323に関連付けて記憶手段32に記憶させる。例えば、図4の例では、仮想世界生成手段311は、店舗51の温度や湿度などの環境情報324を取得してオブジェクト323としての店舗51に関連付けて記憶手段32に記憶させる。ここで、本実施形態では、店舗51は、オブジェクト323として記憶手段32に記憶されているが、店舗51に関する情報が時間によって変化しない情報(静的な情報)であれば、予め用意された地図などの画像として記憶手段32に記憶されていてもよい。
さらに、仮想世界生成手段311は、センサ2にて現実世界における人の属性または物の属性に関する属性情報325を取得してオブジェクト323に関連付けて記憶手段32に記憶させる。例えば、図4の例では、仮想世界生成手段311は、人H1,H2の性別や体型などの属性情報325を取得してオブジェクト323としての人H1,H2に関連付けて記憶手段32に記憶させる。
【0045】
図5は、仮想世界生成手段にて仮想世界を生成している状態を示す図である。
仮想世界生成手段311は、センサ2にて現実世界における人H1,H2に関する情報を取得した場合には、図5に示すように、これらの情報に基づいて、人に関するオブジェクト323を有する仮想世界321を生成する。
具体的には、人H1,H2のオブジェクト323は、店舗51内における位置や、状態(歩行中や、歩行停止中などの状態)に関する情報を有し、店舗51のマップ内に点P1,P2として生成されることになる。
【0046】
図6は、トリガ条件を満たした場合に、アクションを実行した状態を示す図である。
ここで、本実施形態では、図3に示すように、時間設定欄612は、「キャンペーン期間」に設定され、領域設定欄613は、「領域A」(エリア52A)に設定されている。また、オブジェクト設定欄614は、「人」に設定され、トリガ設定欄615は、「閾値以上いる」に設定されている。
したがって、トリガ設定欄615に設定した閾値を2人とした場合には、情報処理装置3の制御手段31は、図6に示すように、キャンペーン期間中に人H1,H2がエリア52Aに立ち入ったときに、トリガ名「閾値以上の人」のトリガ条件を満たしたと判定する。
【0047】
また、本実施形態では、図3に示すように、オブジェクト設定欄621は、「サイネージ」に設定され、アクション設定欄622は、「広告表示」に設定されている。
したがって、トリガ名「閾値以上の人」のトリガ条件を満たした場合には、情報処理装置3の制御手段31は、図6に示すように、外部機器4であるディスプレイに広告画面を表示させる。
【0048】
このような本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏することができる。
(1)情報処理装置3は、トリガ設定手段312と、アクション設定手段313とを備えるので、デジタルツインの管理システム1の管理者は、トリガおよびアクションを設定することによって、現実世界の変化に応じて現実世界のアクションを実行するシナリオを容易に構築することができる。したがって、デジタルツインの管理システム1は、現実世界の変化に応じて現実世界に寄与することができ、管理者の利便性を向上させることができる。
【0049】
(2)仮想世界321は、現実世界における空間および時間に関する時空間情報322を有するので、例えば、現実世界において、人が所定の領域に入ってきた場合にデジタルサイネージの表示内容を変更するなどの現実世界のアクションを実行するようなシナリオを容易に構築することができる。
(3)オブジェクト323は、現実世界における空間の環境に関する環境情報324を有し、トリガ設定手段312は、環境情報の変化に基づくトリガを設定可能に構成されるので、例えば、現実世界において、飲食店内の温度や湿度に応じてエアコンの設定温度を調整するなどの現実世界のアクションを実行するようなシナリオを容易に構築することができる。
【0050】
(4)トリガ設定手段312は、現実世界におけるオブジェクト323の状態の変化に基づくトリガを設定可能に構成されるので、例えば、現実世界において、スマートフォンを用いて人がポスターなどの物を撮影した場合に、そのスマートフォンにクーポンを配信するなどの現実世界のアクションを実行するようなシナリオを容易に構築することができる。
(5)オブジェクト323は、現実世界における人の属性または物の属性に関する属性情報325を有し、トリガ設定手段312は、属性情報325に基づくトリガを設定可能に構成されるので、例えば、現実世界において、スマートフォンを用いて女性(人の属性)がポスターなどの物を撮影した場合に、そのスマートフォンに女性用のクーポンを配信するなどの現実世界のアクションを実行するようなシナリオを容易に構築することができる。
【0051】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、仮想世界321は、時空間情報322を有していたが、これを備えていなくてもよく、少なくとも1つのオブジェクト323を有していればよい。
【0052】
また、前記実施形態では、オブジェクト323は、環境情報324および属性情報325を有していたが、これらを備えていなくてもよい。要するに、オブジェクトは、現実世界に起因するトリガを管理者に設定させることができる人または物であればよい。なお、オブジェクトは、現実世界に起因するトリガを管理者に設定させることができれば、どのようなものであってもよい。
【0053】
図7は、人および物のオブジェクトを有する仮想世界を生成した場合における別例を示す図である。
仮想世界生成手段311は、図7に示すように、センサ2にて取得された現実世界における人または物に関する情報に基づいて、人または物に関するオブジェクト323を有する仮想世界321を生成する。図7の例では、センサ2は、現実世界における物であるポスターPOSに関する情報を取得し、このポスターPOSに関するオブジェクト323を有する仮想世界321を生成している。
【0054】
情報処理装置3は、タッチパネル33に表示された仮想世界321におけるポスターPOSのオブジェクト323をクリックすると、トリガおよびアクションの編集画面G3を起動するようになっている。
トリガおよびアクションの編集画面G3は、トリガ編集領域71と、アクション編集領域72とを有している。
【0055】
トリガ編集領域71は、最上段から最下段にかけて時間設定欄711と、オブジェクト設定欄712と、トリガ設定欄713とを備えている。
【0056】
時間設定欄711は、管理者にて定義された時間範囲を設定する欄であり、「キャンペーン期間」に設定されている。
オブジェクト設定欄712は、仮想世界321のオブジェクト323を設定する欄であり、「スマートフォンユーザ」に設定されている。
トリガ設定欄713は、オブジェクト設定欄712にて設定したオブジェクト323に対して、現実世界に起因するトリガを管理者に設定させる欄であり、「撮影」に設定されている。
【0057】
アクション編集領域72は、アクション設定欄721のみを備えている。
アクション設定欄721は、オブジェクト設定欄712にて設定したオブジェクト323に対して、現実世界のアクションを管理者に設定させる欄であり、「クーポン配信」に設定されている。
【0058】
したがって、情報処理装置3の制御手段31は、キャンペーン期間中にスマートフォンユーザがポスターPOSを撮影したときに、トリガ条件を満たしたと判定する。
そして、トリガ条件を満たした場合には、情報処理装置3の制御手段31は、外部機器4であるスマートフォン(ポスターPOSを撮影したユーザのスマートフォン)のアプリにクーポンを配信させる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上のように、本発明は、デジタルツインの管理システムに好適に利用できる。
【符号の説明】
【0060】
1 デジタルツインの管理システム
2 センサ
3 情報処理装置
311 仮想世界生成手段
312 トリガ設定手段
313 アクション設定手段
321 仮想世界
322 時空間情報
323 オブジェクト
324 環境情報
325 属性情報
【要約】
【課題】現実世界の変化に応じて現実世界に寄与することができるデジタルツインの管理システムの提供。
【解決手段】デジタルツインの管理システム1は、現実世界の情報を取得するセンサ2と、センサ2を管理する情報処理装置3とを備える。情報処理装置3は、仮想世界生成手段311と、トリガ設定手段312と、アクション設定手段313とを備える。仮想世界生成手段311は、センサ2にて取得された情報に基づいて、オブジェクト323を有する仮想世界321を生成する。トリガ設定手段312は、オブジェクト323に対して、現実世界に起因するトリガを管理者に設定させる。アクション設定手段313は、トリガ設定手段312にて設定されたトリガを検出した場合に実行する現実世界のアクションを管理者に設定させる。
【選択図】図1
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図7