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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】外装体および二重構造容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/06 20060101AFI20230220BHJP
   B65D 33/36 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
B65D77/06 H
B65D33/36
B65D77/06 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018142851
(22)【出願日】2018-07-30
(65)【公開番号】P2020019495
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100110515
【氏名又は名称】山田 益男
(72)【発明者】
【氏名】上原 貴史
(72)【発明者】
【氏名】秋岡 正宏
(72)【発明者】
【氏名】細貝 卓
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-335639(JP,A)
【文献】特開平11-236084(JP,A)
【文献】特開平06-048466(JP,A)
【文献】特開2013-056711(JP,A)
【文献】特開平10-218236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/06
B65D 30/00-33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パウチ本体にスパウトを装着したスパウト付きパウチを収容する外装体であって、
開閉可能な筒状体よりなり、
閉状態としたときの一端部に、前記スパウト付きパウチを内部に収容したときに前記スパウトが外部に突出される状態に固定することが可能な開口が備えられると共に、閉状態としたときの前記一端部とは異なる他端部に前記スパウト付きパウチの前記スパウト以外の部位を固定することが可能な固定機構が備えられており、
前記固定機構は、前記スパウト付きパウチにおける前記スパウトと反対側の前記パウチ本体の底部を固定可能に構成され、
前記固定機構は、前記パウチ本体の底部のシールされた周縁部に形成された貫通孔に挿通されるピン留め具を有し、
前記ピン留め具は、底部ピンおよび前記底部ピンを受容可能なピン受けからなり、
前記外装体は、上下方向に沿って延在する分割線から左側シェルおよび右側シェルに左右に2分割して観音開きで開状態とすることができる開閉可能なものであり、
前記固定機構においては、前記底部ピンが、右側シェルの下部から閉状態としたときの左側シェルに向かって突出する状態に形成され、前記ピン受けが、左側シェルの下部の底部ピンと対応する位置から閉状態としたときの右側シェルに向かって突出する状態に形成されており、
前記左側シェルおよび前記右側シェルが合体されて前記外装体が閉状態とされたときに、前記ピン受けが前記スパウト付きパウチの底部の前記貫通孔に挿入され、かつ、前記底部ピンが前記ピン受け内に嵌入されることを特徴とする外装体。
【請求項2】
前記固定機構が、前記スパウト付きパウチの前記パウチ本体の肩部を固定可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の外装体。
【請求項3】
前記固定機構が、前記スパウト付きパウチの前記パウチ本体のシールされた側縁部を固定可能に構成されていることを特徴とする請求項1または求項2に記載の外装体。
【請求項4】
前記固定機構が、前記スパウト付きパウチの前記パウチ本体の胴部を固定可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の外装体。
【請求項5】
前記固定機構が、前記パウチ本体の底部、肩部または胴部を挟む挟持部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の外装体。
【請求項6】
前記開口に、前記スパウト付きパウチの前記スパウトの側周面に設けられた凹所に係合可能な係合片が突出して設けられ、
前記係合片が前記スパウトの凹所に係合することによって、前記スパウト付きパウチが前記開口に固定されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の外装体。
【請求項7】
パウチ本体にスパウトを装着したスパウト付きパウチと、当該スパウト付きパウチが収容される外装体とよりなる二重構造容器であって、
前記外装体が請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のものであることを特徴とする二重構造容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチ本体にスパウトを装着したスパウト付きパウチを収容する外装体、並びに、外装体と当該外装体に収容されたスパウト付きパウチとよりなる二重構造容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルムを重ね合わせてシールしたパウチ本体に注出口としてのスパウトを装着したスパウト付きパウチに、ミネラルウォータ、ソフトドリンク類などの液体飲料や、ゼリー飲料、スムージー、フローズンアイスクリームなどの流体食品を詰めたパウチ飲料が広く普及している。
液体飲料や流体食品を充填する容器がこのようなスパウト付きパウチであると、例えばPETボトルなどと比較して軟質であるため廃棄されるゴミの総量を抑制する効果などが見込まれる一方、軟質であるがゆえに保形性に劣り、また外力に弱いという問題が生じる。
このような問題を解決するために、例えば特許文献1には、軟質合成樹脂製のスパウト付きパウチを硬質合成樹脂製のハウジングにスパウトを固定した状態で収容し、全体として保形性が得られる二重構造容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-118562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような二重構造容器においては使用者が内容物を飲みにくいことがある、という問題がある。
すなわち、使用者が飲食物を摂取する際に顔や身体を傾けることなく飲食物を口に運ぶことを想定すると、使用者は二重構造容器内に残存する内容物の量に従って容器を次第に斜めに掲げていくことになる。然るに、上記の二重構造においてはハウジングにスパウトのみを固定しているために、二重構造容器を斜めに特に底部が水平よりも上方に位置する状態にすると、ハウジング内でパウチが折れ曲がるなどして流路が閉塞され、その結果、内容物の飲食に支障をきたしてしまう。
【0005】
本発明は、これらの問題点を解決するものであり、簡素な構成で、二重構造容器の姿勢にかかわらずスパウト付きパウチ内に流路が確保され、従って内容物である飲食物の飲み易さに優れた外装体および当該外装体とこれに収容されたスパウト付きパウチとよりなる二重構造容器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の外装体は、パウチ本体にスパウトを装着したスパウト付きパウチを収容する外装体であって、
開閉可能な筒状体よりなり、
閉状態としたときの一端部に、前記スパウト付きパウチを内部に収容したときに前記スパウトが外部に突出される状態に固定することが可能な開口が備えられると共に、閉状態としたときの前記一端部とは異なる他端部に前記スパウト付きパウチの前記スパウト以外の部位を固定することが可能な固定機構が備えられており、
前記固定機構は、前記スパウト付きパウチにおける前記スパウトと反対側の前記パウチ本体の底部を固定可能に構成され、
前記固定機構は、前記パウチ本体の底部のシールされた周縁部に形成された貫通孔に挿通されるピン留め具を有し、
前記ピン留め具は、底部ピンおよび前記底部ピンを受容可能なピン受けからなり、
前記外装体は、上下方向に沿って延在する分割線から左側シェルおよび右側シェルに左右に2分割して観音開きで開状態とすることができる開閉可能なものであり、
前記固定機構においては、前記底部ピンが、右側シェルの下部から閉状態としたときの左側シェルに向かって突出する状態に形成され、前記ピン受けが、左側シェルの下部の底部ピンと対応する位置から閉状態としたときの右側シェルに向かって突出する状態に形成されており、
前記左側シェルおよび前記右側シェルが合体されて前記外装体が閉状態とされたときに、前記ピン受けが前記スパウト付きパウチの底部の前記貫通孔に挿入され、かつ、前記底部ピンが前記ピン受け内に嵌入されることを特徴とする。
【0007】
本発明の二重構造容器は、パウチ本体にスパウトを装着したスパウト付きパウチと、当該スパウト付きパウチが収容される外装体とよりなる二重構造容器であって、
前記外装体が上記のものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1および請求項9に係る発明によれば、筒状体の一端部にスパウト付きパウチのスパウトを固定する開口が備えられると共に他端部にスパウト付きパウチのスパウト以外の部位を固定可能に構成された固定機構が備えられているので、外装体内においてスパウト付きパウチが常に一定の姿勢で保定されることにより、簡素な構成で、二重構造容器の姿勢にかかわらずスパウト付きパウチの変形による流路の閉塞が抑止されてスパウト付きパウチの流路が確保される。従って、スパウト付きパウチ内に充填された内容物の残存量が少なくなってきても優れた飲み易さが得られ、その結果、容易に内容物を最後まで飲み切れるためにフードロスを削減することができる。また、外装体を構成する筒状体の開口にスパウト付きパウチのスパウトが固定されることにより、キャップの開栓時および閉栓時に供回りが抑止されて開栓および閉栓が容易になる。また、外装体を硬質な材料によって形成することによって、使用者が鞄などに入れて持ち運び易く、スパウト付きパウチ内に充填された内容物を飲むときに把持し易く高いハンドリング性が得られる。さらに、スパウト付きパウチを内部に収容することができる以外に外装体表面にデザインの制限がないことから、高いデザインの自由度が得られる。
【0009】
本発明の請求項2乃至請求項7に係る発明によれば、外装体の固定機構においてスパウト付きパウチの底部や肩部、胴部、側縁部を簡単な構成で固定することができ、スパウト付きパウチを外装体内に確実に保定することができる。
本発明の請求項8に係る発明によれば、外装体の開口に突出して備えられた係合片がスパウトの側周面に設けられた凹所に係合することによってスパウト付きパウチが開口に固定されるので、スパウト付きパウチの外装体への固定が強固になされ、スパウト付きパウチの外装体内への落下が確実に防止されると共に、開栓または閉栓のためにキャップを回転させたときの供回りの発生が確実に防止されて極めて容易にスパウト付きパウチの開栓および閉栓を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る外装体にスパウト付きパウチを収容した状態を示す斜視図である。
図2図1の外装体を開状態にし、(a)スパウト付きパウチを取り外した状態を示す斜視図、(b)スパウト付きパウチを取り付けた状態を示す斜視図である。
図3図1の外装体を開口側から見た平面図である。
図4】(a)スパウト付きパウチの底部の一部を拡大して示す正面図、(b)スパウト付きパウチを外装体に収容した状態における底部の一部を拡大して示す断面図である。
図5】(a)図1の外装体の開状態における開口の周辺を拡大して示す斜視図、(b)(a)におけるスパウト付きパウチを取り付けた状態を示す斜視図である。
図6】本発明の外装体の変形例を、(a)開状態においてスパウト付きパウチを取り付けた状態を示す斜視図、(b)わずかな開状態において底部の一部を拡大して示す斜視図である。
図7】本発明の外装体の別の変形例を、(a)開状態においてスパウト付きパウチを取り付けた状態を示す斜視図、(b)(a)におけるスパウト付きパウチを取り外した状態を示す斜視図である。
図8】本発明の外装体のさらに別の変形例を、開状態で示す斜視図である。
図9図8の外装体を、閉状態においてスパウト付きパウチを収容した状態で示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の一実施形態に係る二重構造容器100について、図面に基づいて説明する。
本発明の一実施形態に係る二重構造容器100は、パウチ本体210にスパウト250を装着したスパウト付きパウチ(以下、単に「パウチ」ともいう。)200と、当該パウチ200が収容される外装体110とよりなるものであって、パウチ200には、ミネラルウォータ、ソフトドリンク類などの液体飲料や、ゼリー飲料、スムージー、フローズンアイスクリームなどの流体食品などの内容物が充填される。パウチ200は、内容量が300~500mLの大きさのものである。
【0012】
〔外装体〕
本発明の一実施形態に係る外装体110は、図1および図2に示すように、上下方向(図1において上下方向)に沿って延在する分割線111から左側シェル120および右側シェル130に左右に2分割して観音開きで開状態とすることができる開閉可能な全体縦長の偏平な略有底筒状体よりなる。すなわち、左側シェル120および右側シェル130は、いずれも長方形の把持用壁125,135とその周縁から立ち上がって形成された側壁126,136とからなり、ヒンジ112を中心に開閉可能に相互に連結されている。左側シェル120および右側シェル130の側壁126,136のヒンジ112の反対側にはそれぞれ留め具127,137が備えられ、この留め具127,137が互いに係合することにより左側シェル120および右側シェル130が合体されて外装体110が閉状態とされる。外装体110が観音開きで開状態とすることができる開閉可能な構造を有することにより、パウチ200のスパウト250および底部の下縁シール部214の貫通孔219(図4参照)を外装体110に固定する作業を容易に行うことができる。
外装体110には、閉状態としたときの上部に、パウチ200を頂部のスパウト250が外部に突出される状態に固定することが可能な開口150(図3参照)が備えられると共に、下部にパウチ200の底部を固定することが可能な固定機構160が備えられている。
【0013】
外装体110は、ある程度の剛直性を有すればよく、具体的にはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS樹脂、エポキシ樹脂などの合成樹脂;スチール、アルミ、銅、銀、錫、または、これらの合金などの金属などによって形成することができる。外装体110がある程度の剛直性を有して強度が確保されることによれば、パウチ200に持ち運びや把持の外力を考慮した強度を付与する必要がないため、パウチ200を形成するフィルムの薄肉化や層構成の簡易化を進めることができる。
外装体110の外周面には、使用者による外装体110の把持位置に滑り止めの凹凸溝118による模様が形成されている。
なお、外装体110の具体的形状については、内部にパウチ200を固定して収容可能であり、かつ、使用者が外装体110を容易に把持することが可能なものであれば、如何なるものでもよい。また、外装体110は、輪郭に沿った剛直なフレームとフレーム間に張られた例えば透明シートなどの軟質カバーとにより構成されていてもよい。
【0014】
外装体110の開口150は、図3に示すように、外装体110の上面に左側シェル120および右側シェル130にまたがった状態で厚み方向に貫通するよう形成されている。すなわち、開口150は、左側シェル120および右側シェル130の上部の側壁126,136にそれぞれ形成された切り欠き151,152が外装体110の閉状態において組み合わせられることにより内縁形状が環状になるよう形成されるものである。開口150には、パウチ200のスパウト250に設けられた凹所256に係合可能な係合片155が、右側シェル130から分割線111に向かって突出する状態に設けられている。
開口150は、パウチ200のスパウト250の後述するリブ253の外輪郭形状(具体的には丸形状以外の形状)に対応した輪郭形状を有するものとされ、この実施形態に係る外装体110においては八角形の外輪郭形状を有するものとされている。開口150が丸形状以外の輪郭形状を備えることによって、開栓または閉栓のためにパウチ200のキャップ257を回転させたときの供回りの発生が確実に防止されて極めて容易にパウチ200の開栓および閉栓を行うことができる。
【0015】
外装体110の固定機構160は、図4に示すように、右側シェル130の把持用壁135の下部から左側シェル120に向かって突出する状態に形成された底部ピン161と、左側シェル120の把持用壁125の下部の底部ピン161と対応する位置から右側シェル130に向かって突出する状態に形成されたピン受け162とよりなる。
固定機構160は、少なくとも1対の底部ピン161およびピン受け162からなるピン留め具を有していればよいが、2対以上のピン留め具を有していてもよい。例えば2対のピン留め具を有する場合には、パウチ200の下縁シール部214の両端にそれぞれ貫通孔219を形成し、2対のピン留め具を各々の貫通孔219に対応する位置に形成すればよい。複数のピン留め具を有する固定機構160によれば、パウチ200の変形による閉塞を確実に抑止することができる。
【0016】
〔パウチ〕
パウチ200は、重ねたフィルムの周縁部をヒートシールにより袋状に形成したパウチ本体210に、注出口として機能するスパウト250を装着して構成されている。
この実施形態に係る外装体110に収容されるパウチ200は、パウチ本体210の周縁部に形成されたヒートシール部が、上縁部に沿って帯状に形成された上縁シール部213と、下縁部に沿って帯状に形成された下縁シール部214と、側縁部に沿って帯状に形成された4つの側縁シール部215とを備えた、いわゆるガゼットタイプの形状を有する。
パウチ200の底部すなわちヒートシールされた周縁部のうちの下縁シール部214においては、その中央部にピン留め具を挿入して外装体110に固定するための貫通孔219が形成されている。
パウチ200を形成するフィルムの材料としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレン、ボリブチレンテレフタレート、エチレン-ビニルアルコール共重合体等の合成樹脂性フィルムや、これら合成樹脂性フィルムにガスバリア性や水分バリア性を付与したコーティングフィルム又は蒸着フィルム等の公知の合成樹脂性フィルムを積層することや、合成樹脂製フィルムに紙またはアルミ箔を積層することで形成されたもの等が挙げられる。
なお、パウチ200は、その外形形状が外装体110の内部形状に適合して開口150および固定機構160によって固定可能である形状とされていれば、具体的形状についてはガゼットタイプに限定されず、ピロータイプのパウチ、平パウチ、スタンディングタイプパウチ等、様々な形態を採用することができる。
【0017】
スパウト250は、図5に示すように、パウチ本体210の内部と外部とを連通させる貫通孔を有する筒部252を有するスパウト本体251と、このスパウト本体251に螺合可能なキャップ257とにより構成されている。スパウト本体251の筒部252の下部には、パウチ本体210を構成する表裏のフィルム間に挟まれて装着される台座(図示せず)が設けられており、この台座がパウチ本体210の上縁部の中央付近に装着されることにより、パウチ200の内部を密閉できる構造となっている。具体的には、パウチ本体210の上縁部において、パウチ本体210を形成する表裏のフィルムの間に台座を配置した後、表裏のフィルムを熱溶着することによってフィルムが台座の側面に熱溶着され、これにより、上縁シール部213が形成されると共にパウチ本体210の上縁部にスパウト250が装着される。
スパウト250のスパウト本体251には、八角形の外輪郭形状を有する板状のリブ253が2枚、上下方向に間隙を介して積層されて設けられており、2枚のリブ253を貫通する状態にスパウト本体251の筒部252が設けられていることにより、2枚のリブ253間に外方に開放された凹所256が形成される。凹所256の上下方向の幅は、外装体110の係合片155の厚みよりわずかに大きい程度とされる。
リブ253の外輪郭形状は、丸形でなければよく、四角形、五角形、六角形、七角形などの多角形とされていてもよい。
スパウト250を形成する材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂が挙げられる。
【0018】
内容物の充填されたパウチ200は、外装体110内に収容され、外装体110の閉状態すなわち左側シェル120および右側シェル130の合体状態で留め具127,137を嵌合することにより固定すると、全体として筒状体の外装体110にパウチ200が収容された二重構造容器100となり、必要に応じてスパウト250のキャップ257を外せば、パウチ200内に充填された内容物を、外装体110を開状態とせずに飲むことができる。
外装体110に対するパウチ200の収容の仕方としては、まず、開状態とした外装体110の右側シェル130の開口150に、係合片155をパウチ200のスパウト250の凹所256に係合することによってスパウト250を外装体110の開口150に取り付ける。次いで、固定機構160については、右側シェル130の底部ピン161をパウチ本体210の底部の貫通孔219に挿入する。この状態で、左側シェル120および右側シェル130を合体して外装体110を閉状態とすることにより、固定機構160については左側シェル120のピン受け162がパウチ200の底部の貫通孔219に挿入され、かつ、右側シェル130の底部ピン161がピン受け162内に嵌入されることによって、パウチ200の底部を外装体110に固定して取り付けることができると供に、開口150の内縁形状が環状になるよう閉じてパウチ200のスパウト250が開口150に固定して取り付けられ、これにより、パウチ200を外装体110内に収容することができる。
また、パウチ200内の内容物が空になったときは、留め具127,137の嵌合を解除して外装体110を開状態とし、パウチ200を取り外し、新しいパウチ200と交換して空となったパウチ200を廃棄し、この手順を繰り返して外装体110にパウチ200を収容して使用する。外装体110は繰り返して使用することができるので、廃棄されるゴミの総量を抑制することができる。
外装体110に交換して収容されるパウチ200は、同一形状のものに限定されず、開口150に適合して係合することができる凹所256を有するスパウト250を備え、かつ、固定機構160において固定可能なものであれば、別形状のものであってもよい。
【0019】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
例えば、上述した実施形態に係る固定機構160および後述する複数の変形例に係る固定機構を、任意に組み合わせて外装体110を構成しても構わない。
また例えば、上述した実施形態では外装体110の開口150が上面の中央部に形成されたものとして説明したが、開口150の位置は、パウチ200におけるスパウト250の装着位置に従った位置であればよい。具体的には、例えばパウチ200としてスパウト250がパウチ本体210の上縁部の端部すなわちパウチ本体210の角部に装着されたものである場合には、開口150は外装体110の上方角部に形成させればよい。
また例えば、外装体110の開口150は、左側シェル120と右側シェル130とに平等にまたがらず、いずれか一方に寄った状態に形成されていてもよい。このような構成にすることによって、外装体110へのパウチ200の装着時に脱落することを抑止することができる。
【0020】
また例えば、パウチ200の底部を固定する固定機構は、図6に示されるように、パウチ本体210の底部の下縁シール部214を両側から挟む挟持部(下部挟持部)を有する構成であってもよい。具体的には、固定機構170は、左側シェル120の下部の側壁126の内表面に突出して形成された波型形状または針型形状の突出部171と、右側シェル130の下部の側壁136の内表面に突出して形成された、前記突出部171と噛み合う形状および適合する突出長さの突出部172とから構成され、パウチ200の底部の下縁シール部214を厚み方向の両側から挟み込むことによって固定することができる。固定機構170がこのように挟み込む構成のものであることにより、パウチ200にピン留め具を挿入するための貫通孔を開ける必要がなく、また、パウチ200の取り付け時にピンに貫通孔を引っ掛ける手間も必要がなく、高い利便性が得られる。また、外装体110に取り付け可能なパウチ200の種類を広げることができる。
【0021】
本発明の外装体は、パウチ200のスパウト250が固定される開口150が備えられる一端部とは異なる他端部にパウチ200のスパウト250以外の部位を固定することが可能な固定機構が備えられているものであるが、他端部に固定機構によって固定されるパウチ200のスパウト250以外の部位とは、パウチ200の底部に限定されず、パウチ200の上部におけるスパウト250に隣接した肩部(上縁シール部213)や、パウチ本体210の胴部、パウチ本体210のヒートシールされた側縁部(側縁シール部215)などを含む。
【0022】
例えば、パウチ200の上部におけるスパウト250に隣接した肩部をさらに外装体110に設けられた突出部によって挟んで固定してもよい。具体的には、図7に示されるように、左側シェル120の把持用壁125の上部の内表面に突出して形成された波型形状または針型形状の突出部181と、右側シェル130の把持用壁135の上部の内表面に突出して形成された、前記突出部181と噛み合う形状および適合する突出長さの突出部182とから構成され、パウチ200の上部の上縁シール部213のスパウト250が装着された領域の両側の肩部をそれぞれ挟み込むことによって固定することができる。パウチ200の肩部がさらに固定される構成のものであることにより、パウチ200内の内容物が少なくなってきても、パウチ200の上部が変形することが確実に防止されるので、パウチ200の変形による流路の閉塞を確実に抑止することができる。
【0023】
また例えば、パウチ200のパウチ本体210の胴部を固定可能な固定機構190が設けられていてもよい。具体的には、図8および図9に示されるように、固定機構190は、左側シェル120の把持用壁125の中央部の内表面に突出して上下方向に伸びるよう形成された複数の補強リブ191と、右側シェル130の把持用壁135の中央部の内表面に突出して、前記補強リブ191と対応する位置および形状に形成された補強リブ192とから構成された胴部挟持部を有し、パウチ200のパウチ本体210の胴部を厚み方向(図9における上下方向)の両側から挟み込むことによって固定することができる。パウチ200のパウチ本体210の胴部がさらに固定される構成のものであることにより、パウチ200内の内容物が少なくなってきても、外装体110の内部でパウチ200と外装体110との間に遊びが発生することを抑制することができる。また、補強リブ間に空気層が確保されることにより、保温/保冷機能が付与され、これにより、外装体110の外表面に結露が生じることを抑制することができる。
また、パウチ200のパウチ本体210の胴部を固定する固定機構は、パウチ本体210の側縁シール部215に形成された貫通孔に挿通される側部ピンおよびピン受けよりなる構成のものであってもよい。
【符号の説明】
【0024】
100 二重構造容器
110 外装体
111 分割線
112 ヒンジ
118 凹凸溝
120 左側シェル
125 把持用壁
126 側壁
127 留め具
130 右側シェル
135 把持用壁
136 側壁
137 留め具
150 開口
151,152 切り欠き
155 係合片
160 固定機構
161 ピン
162 ピン受け
170 固定機構
171,172 突出部
181,182 突出部
190 固定機構
191,192 補強リブ
200 パウチ(スパウト付きパウチ)
210 パウチ本体
213 上縁シール部
214 下縁シール部
215 側縁シール部
219 貫通孔
250 スパウト
251 スパウト本体
252 筒部
253 リブ
256 凹所
257 キャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9