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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】模型歯、模型歯台、及び歯科模型
(51)【国際特許分類】
   G09B 23/34 20060101AFI20230220BHJP
   G09B 23/32 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
G09B23/34
G09B23/32
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018553262
(86)(22)【出願日】2018-09-27
(86)【国際出願番号】 JP2018036025
(87)【国際公開番号】W WO2020065848
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】391011490
【氏名又は名称】株式会社ニッシン
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】後藤 秀明
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 晃幸
(72)【発明者】
【氏名】松岡 侑平
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-009838(JP,A)
【文献】特開2002-000628(JP,A)
【文献】実開平04-028675(JP,U)
【文献】国際公開第2012/002488(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/002487(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0040260(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0365008(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0254422(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00- 9/56,
17/00-19/26
23/00-29/14
A61C19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の挿入孔が設けられ、前記挿入孔の内側面に、前記挿入孔の奥側が入口側より狭くなるように挿入孔側段部が設けられている模型歯台と、
前記挿入孔のそれぞれに着脱可能で、前記挿入孔に挿入されたときに前記挿入孔から露出する歯冠部及び前記挿入孔の内部に挿入される歯根部を有する複数の模型歯と、
を備える歯科模型に用いられる前記模型歯であって、
前記挿入孔に挿入されたときに前記挿入孔側段部と当接し、前記模型歯が前記挿入孔内へ深く挿入されるにつれて、互いに隣接する模型歯間の距離が縮まる方向に前記模型歯を移動させる模型歯側段部が、前記歯根部の外側面に設けられた、
模型歯。
【請求項2】
複数の挿入孔が設けられ、前記挿入孔の内側面に、前記挿入孔の奥側が入口側より狭くなるように挿入孔側段部が設けられている模型歯台と、
前記挿入孔のそれぞれに着脱可能で、前記挿入孔に挿入されたときに前記挿入孔から露出する歯冠部及び前記挿入孔の内部に挿入される歯根部を有する複数の模型歯と、
を備える歯科模型に用いられる前記模型歯であって、
歯冠部側の断面よりも先端側の断面が小さくなるように、且つ前記挿入孔への前記模型歯の挿入方向に対して傾斜した模型歯側段部が、前記歯根部の外側面に設けられ、前記模型歯側段部は、前記歯科模型の外側から内側に向かう傾斜面を備える
模型歯。
【請求項3】
前記模型歯側段部は、前記歯科模型の外側から内側に向かう傾斜面を備える、
請求項1に記載の模型歯。
【請求項4】
前記模型歯側段部は、前記歯科模型の奥歯側から前歯側に向かう傾斜面を備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の模型歯。
【請求項5】
複数の挿入孔が設けられた模型歯台と、
前記挿入孔のそれぞれに着脱可能で、前記挿入孔に挿入されたときに前記挿入孔から露出する歯冠部及び前記挿入孔の内部に挿入される歯根部を有し、前記歯根部の外側面に、先端側の断面が小さくなるように設けられた模型歯側段部が設けられている複数の模型歯と、
を備える歯科模型に用いられる前記模型歯台であって、
前記挿入孔の奥側が入口側より狭くなるように、且つ前記模型歯が前記挿入孔に挿入されたときに前記模型歯側段部と当接し、前記模型歯が前記挿入孔内へ深く挿入されるにつれて、互いに隣接する模型歯間の距離が縮まる方向に前記模型歯を移動させる挿入孔側段部が前記挿入孔の内側面に設けられている、
模型歯台。
【請求項6】
複数の挿入孔が設けられた模型歯台と、
前記挿入孔のそれぞれに着脱可能で、前記挿入孔に挿入されたときに前記挿入孔から露出する歯冠部及び前記挿入孔の内部に挿入される歯根部を有し、前記歯根部の外側面に、先端側の断面が小さくなるように設けられた模型歯側段部が設けられている複数の模型歯と、
を備える歯科模型に用いられる前記模型歯であって、
前記挿入孔の奥側が入口側より狭くなるように、且つ前記挿入孔への前記模型歯の挿入方向に対して傾斜した挿入孔側段部が前記挿入孔の内側面に設けられ、前記挿入孔側段部は、前記歯科模型の外側から内側に向かう傾斜面を備える
模型歯台。
【請求項7】
前記挿入孔側段部は、前記歯科模型の外側から内側に向かう傾斜面を備える、
請求項5に記載の模型歯台。
【請求項8】
前記挿入孔側段部は、前記歯科模型の奥歯側から前歯側に向かう傾斜面を備える、
請求項5から7のいずれか1項に記載の模型歯台。
【請求項9】
請求項1から4のいずれか1項に記載の模型歯と、
請求項5から8のいずれか1項に記載の模型歯台と、
を備える歯科模型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、模型歯、模型歯台、及び歯科模型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯科教育機関(歯科大学、衛生士学校、技工士学校)、歯科医院、歯科セミナー等においては、種々の実習を行う場合に歯科模型が用いられている。このような歯科模型として、複数の模型歯と、この模型歯がそれぞれ着脱可能な挿入孔が設けられた模型歯台と、を備えるものがある。この歯科模型は、挿入孔に模型歯を挿入し、模型歯台の裏側からネジによって模型歯と模型歯台とを固定している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-328083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、製造の際に模型歯台の挿入孔を模型歯の歯根部の大きさと厳密に一致させると、製造誤差により、挿入孔に模型歯の歯根部を挿入できない可能性があるため、模型歯台の孔は、模型歯の歯根部よりも若干大きく形成されている。このため、挿入孔に歯科模型を入れてネジ止めした場合に、互いに隣接する模型歯同士の間に隙間が生じる場合がある。
【0005】
本発明は、複数の模型歯と、この模型歯がそれぞれ着脱可能な挿入孔が設けられた模型歯台とを備える歯科模型における、隣接する模型歯同士の間に隙間が生じにくい模型歯、模型歯台、及び歯科模型を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の模型歯は、複数の挿入孔が設けられ、前記挿入孔の内側面に、前記挿入孔の奥側が入口側より狭くなるように挿入孔側段部が設けられている模型歯台と、前記挿入孔のそれぞれに着脱可能で、前記挿入孔に挿入されたときに前記挿入孔から露出する歯冠部及び前記挿入孔の内部に挿入される歯根部を有する複数の模型歯と、を備える歯科模型に用いられる前記模型歯であって、前記挿入孔に挿入されたときに前記挿入孔側段部と当接し、前記模型歯が前記挿入孔内へ深く挿入されるにつれて、互いに隣接する模型歯間の距離が縮まる方向に前記模型歯を移動させる模型歯側段部が、前記歯根部の外側面に設けられている。
【0007】
また、本発明の他の態様の模型歯は、複数の挿入孔が設けられ、前記挿入孔の内側面に、前記挿入孔の奥側が入口側より狭くなるように挿入孔側段部が設けられている模型歯台と、前記挿入孔のそれぞれに着脱可能で、前記挿入孔に挿入されたときに前記挿入孔から露出する歯冠部及び前記挿入孔の内部に挿入される歯根部を有する複数の模型歯と、を備える歯科模型に用いられる前記模型歯であって、歯冠部側の断面よりも先端側の断面が小さくなるように、且つ前記挿入孔への前記模型歯の挿入方向に対して傾斜した模型歯側段部が、前記歯根部の外側面に設けられている。
【0008】
前記模型歯側段部は、前記歯科模型の外側から内側に向かう傾斜面を備えていることが好ましい。
【0009】
前記模型歯側段部は、前記歯科模型の奥歯側から前歯側に向かう傾斜面を備えていることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明の一態様の模型歯台は、複数の挿入孔が設けられた模型歯台と、前記挿入孔のそれぞれに着脱可能で、前記挿入孔に挿入されたときに前記挿入孔から露出する歯冠部及び前記挿入孔の内部に挿入される歯根部を有し、前記歯根部の外側面に、先端側の断面が小さくなるように設けられた模型歯側段部が設けられている複数の模型歯と、を備える歯科模型に用いられる前記模型歯台であって、前記挿入孔の奥側が入口側より狭くなるように、且つ前記模型歯が前記挿入孔に挿入されたときに前記模型歯側段部と当接し、前記模型歯が前記挿入孔内へ深く挿入されるにつれて、互いに隣接する模型歯間の距離が縮まる方向に前記模型歯を移動させる挿入孔側段部が前記挿入孔の内側面に設けられている。
【0011】
また、本発明の他の態様の模型歯台は、複数の挿入孔が設けられた模型歯台と、前記挿入孔のそれぞれに着脱可能で、前記挿入孔に挿入されたときに前記挿入孔から露出する歯冠部及び前記挿入孔の内部に挿入される歯根部を有し、前記歯根部の外側面に、先端側の断面が小さくなるように設けられた模型歯側段部が設けられている複数の模型歯と、を備える歯科模型に用いられる前記模型歯であって、前記挿入孔の奥側が入口側より狭くなるように、且つ前記挿入孔への前記模型歯の挿入方向に対して傾斜した挿入孔側段部が前記挿入孔の内側面に設けられている。
【0012】
前記模型歯側段部は、前記歯科模型の外側から内側に向かう傾斜面を備えていることが好ましい。
【0013】
前記模型歯側段部は、前記歯科模型の奥歯側から前歯側に向かう傾斜面を備手いることが好ましい。
【0014】
また本発明の歯科模型は、上記模型歯と、上記模型歯台と、を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の模型歯と、この模型歯がそれぞれ着脱可能な挿入孔が設けられた模型歯台とを備える歯科模型における、隣接する模型歯同士の間に隙間が生じにくい模型歯、模型歯台、及び歯科模型を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の歯科模型1の全体斜視図である。
図2】歯科模型1から模型歯20を取り外した状態の模型歯台10の斜視図である。
図3図1に示す歯科模型1のA-A断面図である。
図4図1における矢印Bの方向から見た状態の模型歯20Aの正面図であり、模型歯台10を点線で示す。
図5】模型歯台10へ模型歯20を挿入する際の、模型歯20の移動状態を説明する図である。
図6】模型歯台10へ模型歯20を挿入する際の、模型歯20の移動状態を説明する図である。
図7】模型歯20全体の移動方向を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の歯科模型1の全体斜視図である。歯科模型1は、模型歯台10と、模型歯台10に取り付けられる複数の模型歯20とを備える。模型歯台10及び模型歯20は、それぞれ硬質の合成樹脂材を射出成形することにより形成されている。
図2は歯科模型1から模型歯20を取り外した状態の模型歯台10の斜視図である。図3は、図1に示す歯科模型1のA-A断面図である。図4図1における矢印Bの方向から見た状態の模型歯20(20A)の正面図であり、模型歯台10を点線で示す。
【0018】
(模型歯台10)
模型歯台10は、台上に載置可能なように平坦な底面14を有する台座部11と、台座部11より山形に突出した歯肉部12とを備える。
歯肉部12は、山形に突出した部分の頂部に、複数の模型歯20がそれぞれ挿入可能な複数の挿入孔13が設けられている。
また、模型歯台10の底面14から、それぞれの挿入孔13に向って、後述するネジ30が挿入される複数のネジ孔15が設けられている。ネジ孔15の底面14側は、ネジ30のネジ頭部32が挿通可能な第1径r1であるが、ネジ孔15の挿入孔13側は、ネジ頭部32は挿通不能であるが、ネジ軸部31は挿通可能な第2径r2で、第2径r2は第1径r1より小さい。
【0019】
(模型歯20)
模型歯20は、それぞれ歯冠部21と、歯根部22と、ネジ孔部24とを備える。歯冠部21は、模型歯20を模型歯台10に固定した状態で、歯肉部12から露出する部分である。歯根部22は、模型歯20を模型歯台10に固定した状態で、挿入孔13の内部に挿入されて歯肉部12に覆われる部分である。ネジ孔部24は、歯根部22の端面から歯冠部21側に延び、ネジ孔部24の内面には、ネジ溝が設けられている。
【0020】
ネジ30は、ネジ軸部31とネジ頭部32とを備える。ネジ軸部31の周面には、ネジ孔部24のネジ溝と螺合するネジ山が形成される。ネジ軸部31は、台座部11の底面14側からネジ孔15に挿入され、模型歯20のネジ孔部24に挿入される。そして、ネジ30のネジ溝と、ネジ孔部24のネジ溝とが螺合することで、模型歯20が模型歯台10に固定される。
【0021】
以下、図1に示すように、歯科模型が実際の口内である場合の舌が存在する舌側を内側、その逆側である頬側及び唇側を外側と定義する。また、図示するように奥歯側及び前歯側を定義する。さらに、上顎の歯か下顎の歯かにかかわらず、図中に示すように台座部11側を下側と、模型歯20側を上側と定義する。
【0022】
(模型歯20)
模型歯20は、図1に点線で示すように、奥歯側の臼歯の場合、歯根部22の断面が略矩形で、前歯側の犬歯、側切歯及び中切歯は、歯根部22の断面が略三角形である。そして、断面が略矩形又は略三角形に限らず、全ての模型歯20において、歯根部22の外側面のうちの一つの外側面22aは外側を向いている。その外側を向いた外側面22aの下部には、模型歯側段部26が設けられている。
【0023】
(模型歯側段部26)
歯根部22は、図3に示すように、模型歯側段部26が設けられていることにより、模型歯側段部26よりも下側(先端側)の断面が模型歯側段部26よりも上側(歯冠部側)の断面より小さくなっている。すなわち、歯根部22は、模型歯側段部26より下側が上側より細い。
【0024】
また、模型歯側段部26を形成する面は、模型歯台10の挿入孔13への挿入方向(上下方向)に対して直交する面、すなわち、模型歯台10の底面14と平行な面ではなく、挿入方向に対して傾斜した傾斜面、すなわち、模型歯台10の底面14に対して傾斜した傾斜面である。
この模型歯側段部26の傾斜面は2方向に傾斜している。
そのうちの一方向は、図3に示すように、外側から内側に向かうにつれて、上側から下側に向う方向である。
そのうちの他方向は、図4に示すように、奥歯側から前歯側に向かうにつれて、上側から下側に向かう方向である。
【0025】
(模型歯台10の挿入孔13)
模型歯台10に設けられた挿入孔13の形状は、それぞれに挿入される模型歯20の歯根部22の形状に対応している。すなわち、奥歯側の臼歯が挿入される挿入孔13は断面が略矩形で、前歯側の犬歯、側切歯、中切歯が挿入される挿入孔13は、断面が略三角形である。
ただし、模型歯台10の挿入孔13を、模型歯20の歯根部22の大きさと厳密に一致させると、製造誤差により、模型歯台10の挿入孔13に、模型歯20の歯根部22を挿入できない可能性がある。このため、模型歯台10の挿入孔13は、模型歯20の歯根部22よりも若干大きく形成されている。
【0026】
(挿入孔側段部13b)
また、挿入孔13の内側面のうちの一つの内側面13aは、挿入孔13の中央部から見て外側の面で、歯列と略平行に設けられ、その内側面13aの下部には、挿入孔側段部13bが設けられている。
【0027】
挿入孔側段部13bは、図3に示すように、模型歯側段部26と対応するように設けられている。すなわち、挿入孔13は、挿入孔側段部13bが設けられていることにより、挿入孔側段部13bよりも下側(奥側、底側)の断面が挿入孔側段部13bよりも上側(入口側)の断面より小さくなっている。すなわち、挿入孔13は、挿入孔側段部13bより下側が上側より狭い。
【0028】
また、挿入孔側段部13bを形成する面は、模型歯20の模型歯台10の挿入孔13への挿入方向(上下方向)に対して直交する面、すなわち、模型歯台10の底面14と平行な面ではなく、挿入方向に対して傾斜面、すなわち、模型歯台10の底面14に対して傾斜した傾斜面である。
この挿入孔側段部13bの傾斜面は2方向に傾斜している。
そのうちの一方向は、図3に示すように、外側から内側に向かうにつれて、上側から下側に向う方向である。
そのうちの他方向は、図4に示すように、奥歯側から前歯側に向かうにつれて、上側から下側に向かう方向である。
【0029】
次に、模型歯台10への模型歯20の取り付け方について説明する。
図5及び図6は模型歯台10へ模型歯20を挿入する際の、模型歯20の移動状態を説明する図である。
まず、図5(a)及び図6(a)に示すように、模型歯台10の挿入孔13の上方から下方に向かう挿入方向に沿って、模型歯20を下方に向って挿入する。
そうすると、図5(b)及び図6(b)に示すように、模型歯側段部26と挿入孔側段部13bとが当接する。
この状態で模型歯20がさらに下方へ移動すると、図5(b)に矢印で示すように、模型歯側段部26が挿入孔側段部13bに沿って外側から内側の斜め下方にスライドし、模型歯20は内側の斜め下方に移動した図5(c)の状態となる。
また、図6(b)に矢印で示すように、模型歯側段部26が挿入孔側段部13bに沿って奥歯側から前歯側の斜め下方にスライドし、模型歯20は前歯側の斜め下方に移動した図6(c)に示す状態となる。
【0030】
図7は、模型歯20全体の移動方向を示した図であり、左側は図5(a)、(b)、図6(a)、(b)に示す模型歯20の水平方向の移動前の状態、右側は図5(c)、図6(c)に示す模型歯20の水平方向の移動後の状態である。
左側に示すように、それぞれの模型歯20は、点線で示す内側方向と、一点鎖線で示す前歯側方向とを合わせた実線方向、すなわち、互いの距離が近づく方向に移動する。したがって、図7の右側に示すように、実際の歯列により近い、互い模型歯20の間に隙間が生じていない状態の歯科模型となる。この状態で、それぞれの模型歯20をネジ30で固定する。
【0031】
以上、本実施形態によると、模型歯側段部26の傾斜面は2方向に傾斜している。そのうちの一方向は、図3に示すように、外側から内側に向かうにつれて、上側から下側に向う方向である。そのうちの他方向は、図4に示すように、奥歯側から前歯側に向かうにつれて、上側から下側に向かう方向である。
また、挿入孔側段部13bの傾斜面は2方向に傾斜している。そのうちの一方向は、図3に示すように、外側から内側に向かうにつれて、上側から下側に向う方向である。そのうちの他方向は、図4に示すように、奥歯側から前歯側に向かうにつれて、上側から下側に向かう方向である。
【0032】
したがって、模型歯台10の挿入孔13の上方から下方に向かう挿入方向に沿って、模型歯20を下方に向って挿入すると、模型歯側段部26と挿入孔側段部13bとが当接する。
この状態で模型歯20がさらに下方へ移動すると、模型歯側段部26が挿入孔側段部13bに沿って外側から内側の斜め下方にスライドし、模型歯20は内側の斜め下方に移動した状態となる。また、模型歯側段部26が挿入孔側段部13bに沿って奥歯側から前歯側の斜め下方にスライドし、模型歯20は前歯側の斜め下方に移動した状態となる。すなわち、それぞれの模型歯20は、互いの距離が近づく方向に移動する。
したがって、実際の歯列により近い、互い模型歯20の間に隙間が生じていない状態の歯科模型となる隣接する模型歯20同士の間に隙間が生じにくい模型歯20、模型歯台10、及び歯科模型1を提供することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 歯科模型
10 模型歯台
11 台座部
12 歯肉部
13 挿入孔
13a 内側面
13b 挿入孔側段部
14 底面
15 ネジ孔
20 模型歯
20A 模型歯
21 歯冠部
22 歯根部
22a 外側面
24 ネジ孔部
26 模型歯側段部
30 ネジ
31 ネジ軸部
32 ネジ頭部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7