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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】キャップ付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 53/02 20060101AFI20230220BHJP
   A47J 41/02 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
B65D53/02
A47J41/02 104B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019075619
(22)【出願日】2019-04-11
(65)【公開番号】P2020172305
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】591261602
【氏名又は名称】サーモス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 高広
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-143001(JP,A)
【文献】特開2016-131593(JP,A)
【文献】特開2014-080221(JP,A)
【文献】特開2001-120442(JP,A)
【文献】特開2009-058126(JP,A)
【文献】特開2002-282137(JP,A)
【文献】特開2006-206097(JP,A)
【文献】特開昭61-106121(JP,A)
【文献】特開2001-238804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44-35/54
B65D 39/00-55/16
B65D 67/00-79/02
B65D 81/18-81/30
B65D 81/38
B65D 85/88
A47J 41/00-41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口した容器本体と、
前記容器本体に着脱自在に取り付けられるキャップユニットとを備え、
前記容器本体は、一端が開口した金属製の外容器及び内容器を有して、前記外容器の内側に前記内容器を収容した状態で互いの開口端同士が接合されると共に、前記外容器と前記内容器との間に真空断熱層が設けられた構造を有し、
前記容器本体の上部開口部の周囲に平坦部が設けられ、
前記平坦部は、前記内容器の開口端を前記外容器の開口端側に向かって折り曲げることによって形成されており、
前記内容器の開口端側の下面に前記外容器の開口端を突き合わせた状態で、互いの開口端同士が溶接により接合されると共に、この溶接部分が平滑な面に仕上げられ、
前記キャップユニットは、前記容器本体の上部開口部を覆った状態で、前記容器本体に螺合により取り付けられるキャップ本体と、前記キャップ本体の内側に着脱自在に取り付けられると共に、前記容器本体に前記キャップ本体が取り付けられた状態において、前記平坦部と当接されるシール部材とを有することを特徴とするキャップ付き容器。
【請求項2】
前記シール部材は、少なくとも前記平坦部と対向する面側が凸状に湾曲した形状又は尖状に突出した形状を有することを特徴とする請求項1に記載のキャップ付き容器。
【請求項3】
前記シール部材は、前記キャップ本体の内側に設けられた溝部に嵌め込まれた状態で取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャップ付き容器。
【請求項4】
前記キャップユニットは、前記上部開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれる中栓と、前記中栓の下端部に全周に亘って嵌め付けられた中栓パッキンとを有し、
前記中栓パッキンは、前記容器本体に前記キャップ本体が取り付けられた状態において、前記容器本体の内周面から全周に亘って突出したリング状の張出部に密着した状態となることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のキャップ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、一端が開口した金属製の外容器及び内容器を有して、外容器の内側に内容器を収容した状態で互いの開口端同士が接合されると共に、外容器と内容器との間に真空断熱層が設けられた断熱容器がある。このような断熱容器は、保温・保冷機能を有する水筒やマグなどの飲料用容器、保温機能を有するフードコンテナや調理器などに広く利用されている。
【0003】
ところで、上述した断熱容器では、外容器と内容器との互いの開口端同士を突き合わせた状態で、この突き合わせ部分を溶接により接合している(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【0004】
具体的に、下記特許文献1に記載の飲料用容器では、外容器と内容器との上端部において、外容器の内面と内容器の外面とを突き合わせた状態で、互いの開口端同士を溶接(いわゆる拝み溶接)により接合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5525078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の飲料用容器では、断熱容器の上部開口部を閉塞するキャップユニット(栓体)を取り付けた場合、断熱容器の上端部にパッキン(シール部材)を当接して止水する必要がある。しかしながら、断熱容器の尖った形状の上端部にパッキンを当接させた場合、パッキンを損傷させる可能性があり、このパッキンを交換する頻度が増えるなどの耐久性の問題が発生してしまう。
【0007】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、シール部材による容器本体とキャップ本体との間の密閉性を高めると共に、このシール部材の耐久性を向上させることを可能としたキャップ付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 上部が開口した容器本体と、
前記容器本体に着脱自在に取り付けられるキャップユニットとを備え、
前記容器本体は、一端が開口した金属製の外容器及び内容器を有して、前記外容器の内側に前記内容器を収容した状態で互いの開口端同士が接合されると共に、前記外容器と前記内容器との間に真空断熱層が設けられた構造を有し、
前記容器本体の上部開口部の周囲に平坦部が設けられ、
前記平坦部は、前記内容器の開口端を前記外容器の開口端側に向かって折り曲げることによって形成されており、
前記内容器の開口端側の下面に前記外容器の開口端を突き合わせた状態で、互いの開口端同士が溶接により接合されると共に、この溶接部分が平滑な面に仕上げられ、
前記キャップユニットは、前記容器本体の上部開口部を覆った状態で、前記容器本体に螺合により取り付けられるキャップ本体と、前記キャップ本体の内側に着脱自在に取り付けられると共に、前記容器本体に前記キャップ本体が取り付けられた状態において、前記平坦部と当接されるシール部材とを有することを特徴とするキャップ付き容器
〕 前記シール部材は、少なくとも前記平坦部と対向する面側が凸状に湾曲した形状又は尖状に突出した形状を有することを特徴とする前記〔1〕に記載のキャップ付き容器。
〕 前記シール部材は、前記キャップ本体の内側に設けられた溝部に嵌め込まれた状態で取り付けられていることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載のキャップ付き容器。
〔4〕 前記キャップユニットは、前記上部開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれる中栓と、前記中栓の下端部に全周に亘って嵌め付けられた中栓パッキンとを有し、
前記中栓パッキンは、前記容器本体に前記キャップ本体が取り付けられた状態において、前記容器本体の内周面から全周に亘って突出したリング状の張出部に密着した状態となることを特徴とする前記〔1〕~〔3〕の何れか一項に記載のキャップ付き容器。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、シール部材による容器本体とキャップ本体との間の密閉性を高めると共に、このシール部材の耐久性を向上させることを可能としたキャップ付き容器を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態に係るキャップ付き容器の構成を示す正面図である。
図2図1に示すキャップ付き容器の構成を示す断面図である。
図3図2中に示す囲み部分Aを拡大して示す断面図である。
図4図1に示すキャップ付き容器が備えるキャップユニットを示す斜視図である。
図5図1に示すキャップ付き容器が備える止水パッキンの別の構成例を示す断面図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係るキャップ付き容器の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態として、例えば図1図4に示すキャップ付き容器1Aについて説明する。なお、図1は、キャップ付き容器1Aの構成を示す正面図である。図2は、キャップ付き容器1Aの構成を示す断面図である。図3は、図2中に示す囲み部分Aを拡大して示す断面図である。図4は、キャップ付き容器1Aが備えるキャップユニット3Aを示す斜視図である。
【0012】
本実施形態のキャップ付き容器1Aは、図1図2及び図3に示すように、容器本体2と、容器本体2に着脱自在に取り付けられるキャップユニット3Aとを備えている。キャップ付き容器1Aは、真空断熱構造を有する容器本体2によって、容器本体2に収容された飲料(内容物)を保温又は保冷することが可能な飲料用容器である。
【0013】
容器本体2は、例えばステンレス等からなる金属製の外容器4及び内容器5を有している。容器本体2は、一端が開口した有底筒状の外容器4の内側に、一端が開口した有底筒状の内容器5を収容した状態で、互いの開口端4a,5a側が接合されると共に、これら外容器4と内容器5との間に真空断熱層6が設けられた断熱容器により構成されている。
【0014】
真空断熱層6は、例えば、高真空に減圧(真空引き)されたチャンバー内で、外容器4の底面中央部に設けられた脱気孔をろう材により封止することによって形成することができる。
【0015】
容器本体2では、このような真空断熱構造を有することで、飲料用容器として保温や保冷といった機能を持たせることが可能である。また、容器本体2では、このような真空断熱構造を有することで、内圧(真空圧)と外圧(大気圧)の差により外容器4及び内容器5に対して常に張力が加わった状態となり、これら外容器4及び内容器5の機械的強度が増すことになる。これにより、外容器4及び内容器5の板厚を薄くした場合でも、容器本体2の剛性を高めることが可能であり、この容器本体2の軽量化を図ることが可能である。
【0016】
容器本体2は、略円形状の底面部2aと、底面部2aの外周から略円筒状に起立した胴部2bと、胴部2bの上部側において縮径された略円筒状の口頸部2cとを有している。また、口頸部2cの上端部は、容器本体2の上部開口部2dとして、円形状に開口している。また、口頸部2cの外周面には、雄ネジ部7が設けられている。
【0017】
また、容器本体2の上部開口部2dの周囲には、平坦部8が全周に亘って設けられている。平坦部8は、内容器5の開口端5aを外容器4の開口端4a側に向かって湾曲させながら折り曲げることによって形成されている。これにより、平坦部8は、内容器5の上端部から拡径方向にリング状に突出して設けられている。
【0018】
容器本体2では、内容器5の開口端5a側の下面に外容器4の開口端4aを突き合わせた状態で、互いの開口端4a,5a同士が接合されている。これら開口端4a,5a同士の接合には、例えばレーザー溶接などの溶接方法が用いられる。
【0019】
また、内容器5は、絞り加工により成形されるが、絞り加工の際は、開口端5aの周囲に鍔押さえフランジが発生する。通常、拝み溶接によって外容器4と内容器5とを溶接する場合は、内容器5に発生した鍔押さえフランジを切断した後に、外容器の内面と内容器の外面とを突き合わせた状態で、互いの開口端同士を溶接することが行われている。
【0020】
これに対して、本実施形態では、内容器5に発生した鍔押さえフランジを切断することなく、そのまま平坦部8として利用することが可能である。これにより、鍔押さえフランジの切断加工が不要となるだけでなく、内容器4の材料歩留りが向上するため、製造コストを抑制することが可能となる。
【0021】
また、図3では、外容器4と内容器5との突き合わせ部分(境界)が図示されているが、接合後は、この突き合わせ部分が溶接により溶融することで、この溶接部分に全周に亘って溶接ビードが形成されることになる。また、この溶接ビードについては、溶接加工の後に、研削及び研磨加工を施すことによって、平滑な面に仕上げられる。
【0022】
なお、本実施形態のキャップ付き容器1Aは、全体として略円筒状の外観形状を有しているが、キャップ付き容器1Aの外観形状については、特に限定されるものではなく、サイズやデザイン等に合わせて、適宜変更を加えることが可能である。また、容器本体2の外周面には、塗装や印刷等が施されていてもよい。
【0023】
キャップユニット3Aは、容器本体2の上部開口部2dを閉塞する栓体を構成するものである。具体的に、このキャップユニット3Aは、図1図2及び図4に示すように、キャップ本体9と、このキャップ本体9にヒンジ部10を介して回動自在に取り付けられる蓋体11とを備えている。
【0024】
なお、以下の説明では、キャップユニット3Aにおいて、キャップ本体9にヒンジ部10を介して蓋体11が取り付けられる側をキャップ付き容器1A(キャップユニット3A)の「後(背面)側」とし、それとは反対側をキャップ付き容器1A(キャップユニット3A)の「前(正面)側」として説明する。
【0025】
キャップ本体9は、容器本体2の上部開口部2dを閉塞する部材として、例えばポリプロピレン等の耐熱性樹脂からなる。具体的に、このキャップ本体9は、容器本体2の胴部2bと連続するように略円筒状に形成された周壁部9aと、周壁部9aの上部にノズル部12が設けられた上壁部9bとを有している。
【0026】
周壁部9aの内周面には、容器本体2側の雄ネジ部7と螺合される雌ネジ部13が設けられている。これにより、キャップ本体9は、容器本体2の上部開口部2dを覆った状態で、口頸部2cの外側に螺合により着脱自在に取り付けられている。
【0027】
ノズル部12は、上壁部9bのヒンジ部10よりも前側に位置して、上壁部9bを貫通した状態で上方に向かって略円筒状に突出して設けられている。ノズル部12は、その先端に通液口12aを有している。
【0028】
キャップ本体9の内側には、図2及び図3に示すように、止水パッキン14Aが着脱自在に取り付けられている。止水パッキン14Aは、容器本体2とキャップ本体9との間を密閉(止水)するリング状のシール部材であり、例えばシリコーンゴム等の耐熱性を有するゴムやエラストマーなどの弾性部材からなる。
【0029】
キャップ本体9の内側の上壁部9bには、リング状の溝部15が周壁部9aの内周面に沿って設けられている。止水パッキン14Aは、この溝部15に嵌め込まれた状態で取り付けられている。一方、止水パッキン14Aは、この溝部15から取り外すことが可能である。これにより、キャップ本体9と止水パッキン14Aとをそれぞれ別々に洗浄することができ、キャップ本体9と止水パッキン14Aとの間を衛生的に保つことが可能である。
【0030】
本実施形態のキャップ付き容器1Aでは、容器本体2にキャップ本体9が取り付けられた際に、平坦部8に止水パッキン14Aが当接されると共に、この止水パッキン14Aが弾性変形しながら平坦部8と全周に亘って密着した状態となる。これにより、容器本体2とキャップ本体9との間を止水パッキン14Aにより液密に封止(密閉)することができる。
【0031】
また、止水パッキン14Aは、断面円形状に形成されることによって、少なくとも平坦部8と対向する面側が凸状に湾曲した形状となっている。この場合、容器本体2にキャップ本体9を取り付ける際に、キャップ本体9を軸回りに回すことによって、止水パッキン14Aは、平坦部8に対して断面視で点接触した状態から、徐々に弾性変形しながら、平坦部8に対して密着した状態へと移行することになる。これにより、平坦部8と摺動される止水パッキン14Aの摺動抵抗を減らして、この止水パッキン14Aの摩耗や不要な変形などを防ぐことが可能である。また、平坦部8と摺動される止水パッキン14Aの摺動抵抗が減ることで、キャップ本体9を軸回りに回し易くすることが可能である。
【0032】
通常、止水パッキン14Aのようなリング状のシール部材は、規格品として様々な硬度や形状のものが流通している。したがって、規格品の中から本実施形態の止水パッキン14Aに合ったシール部材を用いることで、止水パッキン14Aの開発コストを抑制することが可能となる。
【0033】
蓋体11は、図1図2及び図4に示すように、キャップ本体9の上部を覆うと共に、ノズル部12の通液口12aを開閉する部材として、例えばポリプロピレン(PP)等の耐熱性樹脂からなる。具体的に、この蓋体11は、キャップ本体9の上壁部9bの周囲を囲むように筒状に形成された周壁部11aと、周壁部11aの天面を覆う天壁部11bとを有している。
【0034】
ヒンジ部10は、キャップ本体9の周壁部9aと上壁部9bとの間の後端部に位置している。蓋体11は、このヒンジ部10を介してノズル部12の通液口12aを閉塞する位置(以下、「閉塞位置」という。)と、ノズル部12の通液口12aを開放する位置(以下、「開放位置」という。)との間で回動自在に取り付けられている。
【0035】
蓋体11の内側には、蓋パッキン16が着脱自在に取り付けられている。蓋パッキン16は、ノズル部12の通液口12aを閉塞する栓状のシール部材であり、上記止水パッキン14Aと同じ材質の弾性部材からなる。
【0036】
蓋パッキン16は、蓋体11の天壁部11bに設けられた孔部11cに嵌め込まれる軸部16aと、軸部16aの下端から略ドーム状に拡がる栓部16bとを有している。これにより、蓋パッキン16は、孔部11cに対して着脱自在となっている。したがって、蓋体11と蓋パッキン16とをそれぞれ別々に洗浄することができ、蓋体11と蓋パッキン16との間を衛生的に保つことが可能である。
【0037】
キャップユニット3Aでは、蓋体11が閉塞位置にあるときに、ノズル部12の通液口12aの周囲に蓋パッキン16の栓部16bが当接され、この蓋パッキン16が弾性変形しながら、ノズル部12の通液口12aの周囲と密着した状態となる。これにより、ノズル部12の通液口12aを蓋パッキン16により閉塞することが可能となっている。
【0038】
蓋体11とヒンジ部10との間には、付勢部材17が設けられている。付勢部材17は、上記止水パッキン14Aと同じ材質のリング状の弾性部材からなり、ヒンジ部10と蓋体11との間で掛け止めされている。蓋体11は、この付勢部材17によって、ノズル部12の通液口12aを開放する方向(開方向)に付勢された状態となっている。なお、付勢部材17については、上述した弾性部材からなるものに限らず、例えば捻りコイルバネなどのバネ部材を用いてもよい。
【0039】
キャップユニット3Aは、上述した閉塞位置にて蓋体11を付勢部材17の付勢に抗してキャップ本体9に対して固定する蓋ロック機構18を備えている。
【0040】
蓋ロック機構18は、キャップ本体9に内側ヒンジ部19を介して回動自在に取り付けられたロック部材20と、キャップ本体9に外側ヒンジ部21を介して回動自在に取り付けられたリングストッパー22とを有している。
【0041】
内側ヒンジ部19は、キャップ本体9の周壁部9aの前面側に設けられている。ロック部材20は、この内側ヒンジ部19により前後方向に回動自在に支持されている。ロック部材20は、内側ヒンジ部19から上方に延長された上側アーム部20aと、内側ヒンジ部19から下方に延長された下側アーム部20bとを有している。上側アーム部20aの先端(ロック部材20の上端)には、フック部23が後方に向かって突出して設けられている。下側アーム部20bと周壁部9aとの間には、コイルバネ24が圧縮した状態で設けられている。
【0042】
外側ヒンジ部21は、キャップ本体9の周壁部9aの前面側に設けられている。また、外側ヒンジ部21は、内側ヒンジ部19を内側に位置させた状態で、内側ヒンジ部19とは同軸に配置されている。リングストッパー22は、一部が開放された略C字状の部材からなり、その両端が外側ヒンジ部21により上下方向に回動自在に支持されている。
【0043】
一方、蓋ロック機構18は、ロック部材20のフック部23が係止されるロック受部25と、リングストッパー22が掛け止めされるストッパー受部26とを有している。ロック受部25は、蓋体11の前側の下端部から前方に突出された爪部からなる。ストッパー受部26は、リングストッパー22の内側に対応した形状で、ロック受部(爪部)25の周囲を囲む位置から前方に突出された壁部からなる。
【0044】
蓋ロック機構18では、蓋体11が閉塞位置にあるとき、ロック部材20のフック部23がロック受部25に係止されることによって、蓋体11が付勢部材17の付勢に抗してキャップ本体9に対して固定された状態となっている。
【0045】
この状態から、コイルバネ24を圧縮させながら、ロック部材20の下側アーム部20b側を押圧操作することによって、ロック受部25に対するフック部23の係止状態を解除する。これにより、付勢部材17により付勢された蓋体11を開放位置へと回動させることが可能である。
【0046】
一方、蓋ロック機構18では、蓋体11が閉塞位置にあるとき、リングストッパー22がストッパー受部26に掛け止めされることによって、蓋体11の開方向への回動が阻止される。これにより、蓋ロック機構18では、ロック部材20の不要な操作によって蓋体11が開くことを防止できる。
【0047】
以上のような構成を有する本実施形態のキャップ付き容器1Aでは、容器本体2にキャップ本体9が取り付けられた際に、容器本体2の上部開口部2dの周囲に設けられた平坦部8に止水パッキン14Aが当接された状態となる。
【0048】
この場合、止水パッキン14Aが損傷するといったことがなく、この止水パッキン14Aの耐久性を向上させることが可能である。また、止水パッキン14Aの寿命を伸ばすことによって、この止水パッキン14Aを交換する頻度を減らすことが可能である。
【0049】
また、本実施形態のキャップ付き容器1Aでは、容器本体2にキャップ本体9が取り付けられた際に、平坦部8に当接された止水パッキン14Aが弾性変形しながら、この平坦部8と全周に亘って密着した状態となる。これにより、容器本体2とキャップ本体9との間の密閉性(止水性)を向上させることが可能である。
【0050】
さらに、本実施形態のキャップ付き容器1Aでは、止水パッキン14Aの平坦部8と対向する面側が凸状に湾曲した形状となっている。これにより、容器本体2にキャップ本体9を取り付ける際に、平坦部8と摺動される止水パッキン14Aの摺動抵抗を減らして、この止水パッキン14Aの摩耗や不要な変形などを防ぐことが可能である。さらに、平坦部8と摺動される止水パッキン14Aの摺動抵抗が減ることで、キャップ本体9を軸回りに回し易くすることが可能である。
【0051】
以上のように、本実施形態のキャップ付き容器1Aでは、止水パッキン14Aによる容器本体2とキャップ本体9との間の密閉性を高めると共に、この止水パッキン14Aの耐久性を向上させることが可能である。これにより、キャップ付き容器1Aの使い勝手の更なる向上を図ることが可能である。
【0052】
なお、キャップ付き容器1Aでは、上記止水パッキン14Aを用いた構成に必ずしも限定されるものではなく、例えば図5に示すような止水パッキン14Bを用いた構成としてよい。具体的に、この止水パッキン14Bは、平坦部8と対向する面側が尖状に突出した形状となっている。
【0053】
この場合も、上記止水パッキン14Aを用いた場合と同様に、容器本体2にキャップ本体9が取り付けられた際に、平坦部8に当接された止水パッキン14Bが弾性変形しながら、この平坦部8と全周に亘って密着した状態となる。これにより、容器本体2とキャップ本体9との間の密閉性(止水性)を向上させることが可能である。
【0054】
また、容器本体2にキャップ本体9を取り付ける際に、平坦部8と摺動される止水パッキン14Bの摺動抵抗を減らして、この止水パッキン14Bの摩耗や不要な変形などを防ぐことが可能である。さらに、平坦部8と摺動される止水パッキン14Bの摺動抵抗が減ることで、キャップ本体9を軸回りに回し易くすることが可能である。
【0055】
なお、上記止水パッキン14A,14Bについては、断面視で中実形状を有するものとなっているが、このような形状に限らず、断面視で中空形状を有するものであってもよい。また、止水パッキン14A,14Bを中実形状とするか又は中空形状とするかについては、その材料や硬度、断面径の大きさ等を考慮して決定することができる。さらに、止水パッキン14A,14Bについては、溝部15から取り外し易くするため、摘まみ片となるリブなどを設けてもよい。
【0056】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態として、例えば図6に示すキャップ付き容器1Bについて説明する。
なお、図6は、キャップ付き容器1Bの構成を示す断面図である。また、以下の説明では、上記キャップ付き容器1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0057】
本実施形態のキャップ付き容器1Bは、図6に示すように、上記キャップユニット3Aを備える代わりに、容器本体2に着脱自在に取り付けられるキャップユニット3Bを備えた構成である。
【0058】
具体的に、このキャップユニット3Bは、容器本体2の上部開口部2dを覆った状態で、口頸部2cの内側に螺合により着脱自在に取り付けられるキャップ本体30を備えている。
【0059】
これに対応して、容器本体2では、上記雄ネジ部7の代わりに、口頸部2cの内周面に雌ネジ部31が設けられている。さらに、雌ネジ部31の下方には、リング状の張出部32が容器本体2の内周面から全周に亘って突出して設けられている。
【0060】
キャップ本体30は、容器本体2の上部開口部2dを閉塞する部材として、例えばポリプロピレン等の耐熱性樹脂からなる。具体的に、このキャップ本体30は、容器本体2の胴部2bと連続するように略円筒状に形成された周壁部30aと、周壁部30aの上部を閉塞する上壁部30bとを有している。
【0061】
また、キャップ本体30の内側には、上部開口部2dから容器本体2の内側に嵌め込まれる中栓33が取り付けられている。中栓33は、例えばポリプロピレン等の耐熱性樹脂からなる。中栓33は、有底略円筒形状を有して、上壁部30bの下面中央部に溶着等により一体に取り付けられている。なお、中栓9の内部は、断熱層となる空気に限らず、断熱材Sを配置した構成としてもよい。
【0062】
中栓33の外周面には、容器本体2側の雌ネジ部31と螺合される雄ネジ部34が設けられている。また、中栓33の下端部には、中栓パッキン35が着脱自在に取り付けられている。中栓パッキン35は、容器本体2の内側を閉塞するリング状のシール部材であり、上記止水パッキン14Aと同じ材質の弾性部材からなる。一方、中栓33の下端部には、フランジ部33aが拡径方向に突出して設けられている。中栓パッキン35は、このフランジ部33aに全周に亘って嵌め付けられている。
【0063】
また、中栓パッキン35の外周面には、2つの弾性フランジ部35aが拡径方向に突出して設けられている。中栓パッキン35は、容器本体2にキャップ本体30が取り付けられた際に、弾性フランジ部35aが弾性変形しながら、容器本体2の張出部32に全周に亘って密着した状態となる。これにより、張出部32(容器本体2)と中栓33(キャップ本体30)との間を密閉することが可能となっている。
【0064】
一方、中栓パッキン35は、それ自体を弾性変形させる(引っ張り伸ばす)ことによって、フランジ部33aから取り外すことが可能である。これにより、キャップ本体30と中栓パッキン35とをそれぞれ別々に洗浄することができ、中栓パッキン35とフランジ部33aとの間を衛生的に保つことができる。
【0065】
なお、中栓パッキン35については、上述した形状のものに必ずしも限定されるものではなく、例えば、弾性フランジ部35aの数については、上述した2つに限らず、1つ又は複数とすることも可能である。また、中栓パッキン35は、上述した弾性フランジ部35aが設けられた構成に必ずしも限定されるものではなく、その形状等について適宜変更を加えることが可能である。
【0066】
キャップ本体30の内側には、止水パッキン14Aが着脱自在に取り付けられている。具体的に、このキャップ本体30の内側の上壁部30bには、リング状の溝部36が周壁部30aと中栓33との間に位置して設けられている。止水パッキン14Aは、この溝部36に嵌め込まれた状態で取り付けられている。
【0067】
以上のような構成を有する本実施形態のキャップ付き容器1Bでは、上記キャップ付き容器1Aと同様に、容器本体2にキャップ本体30が取り付けられた際に、容器本体2の上部開口部2dの周囲に設けられた平坦部8に止水パッキン14Aが当接された状態となる。
【0068】
この場合、止水パッキン14Aが損傷するといったことがなく、この止水パッキン14Aの耐久性を向上させることが可能である。また、止水パッキン14Aの寿命を伸ばすことによって、この止水パッキン14Aを交換する頻度を減らすことが可能である。
【0069】
また、本実施形態のキャップ付き容器1Bでは、容器本体2にキャップ本体30が取り付けられた際に、平坦部8に当接された止水パッキン14Aが弾性変形しながら、この平坦部8と全周に亘って密着した状態となる。これにより、容器本体2とキャップ本体30との間の密閉性(止水性)を向上させることが可能である。
【0070】
なお、通常は中栓パッキン35によって容器本体2の内側が密閉されるが、例えば中栓パッキン35を装着し忘れたときなどに、予備的な止水として止水パッキン14Aが機能してもよい。また、キャップ付き容器1Bから中栓パッキン35を取り除き、止水パッキン14Aのみによって、容器本体2の内側を密閉する構造としてもよい。
【0071】
さらに、本実施形態のキャップ付き容器1Bでは、止水パッキン14Aの平坦部8と対向する面側が凸状に湾曲した形状となっている。これにより、容器本体2にキャップ本体30を取り付ける際に、平坦部8と摺動される止水パッキン14Aの摺動抵抗を減らして、この止水パッキン14Aの摩耗や不要な変形などを防ぐことが可能である。さらに、平坦部8と摺動される止水パッキン14Aの摺動抵抗が減ることで、キャップ本体30を軸回りに回し易くすることが可能である。
【0072】
また、本実施形態のキャップ付き容器1Bでは、容器本体2に直接口をつけて飲料を飲む場合などに、平坦部8とその内側の湾曲部分の形状により口当たりを良くし、良好な飲み心地を得ることが可能である。
【0073】
以上のように、本実施形態のキャップ付き容器1Bでは、上記キャップ付き容器1Aと同様に、止水パッキン14Aによる容器本体2とキャップ本体30との間の密閉性を高めると共に、この止水パッキン14Aの耐久性を向上させることが可能である。これにより、キャップ付き容器1Bの使い勝手の更なる向上を図ることが可能である。
【0074】
なお、キャップ付き容器1Bでは、上記止水パッキン14Aを用いた構成に必ずしも限定されるものではなく、例えば図5に示すような止水パッキン14Bを用いた構成とすることも可能である。
【0075】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、上述した真空断熱構造を有する容器本体2によって保温・保冷機能を持たせた飲料用容器に本発明を適用した場合を例示しているが、容器本体と、容器本体に着脱自在に取り付けられるキャップユニットとを備えたキャップ付き容器に対して、本発明を幅広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0076】
1A,1B…キャップ付き容器 2…容器本体 3A,3B…キャップユニット 4…外容器 5…内容器 6…真空断熱層 8…平坦部 9…キャップ本体 11…蓋体 14A,14B…止水パッキン(シール部材) 15…溝部 30…キャップ本体 33…中栓 36…溝部
図1
図2
図3
図4
図5
図6