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特許7229863時間帯毎に各エリアに滞在するユーザ数を推定するプログラム、装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】時間帯毎に各エリアに滞在するユーザ数を推定するプログラム、装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230220BHJP
   H04W 4/029 20180101ALI20230220BHJP
   H04W 60/02 20090101ALI20230220BHJP
【FI】
G06Q50/10
H04W4/029
H04W60/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019117750
(22)【出願日】2019-06-25
(65)【公開番号】P2021005167
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2021-06-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135068
【弁理士】
【氏名又は名称】早原 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】美嶋 勇太朗
(72)【発明者】
【氏名】小林 直
(72)【発明者】
【氏名】若井 幸夫
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-054921(JP,A)
【文献】国際公開第2011/021606(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/108539(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/105516(WO,A1)
【文献】特開2011-113141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが所持する端末毎に、接続した基地局に基づくセクタ及び測位時刻を含む位置登録ログと、測位した位置情報に基づくエリア及び測位時刻を含む測位ログとを記憶したログデータベースを有し、所定時間帯毎に、当該エリアに滞在するユーザ数を推定する装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記ログデータベースを用いて、所定時間帯毎に、セクタ及びエリアの組毎の端末数を抽出し、当該セクタの端末数に対する各エリアの端末数を第1の分布割合として予め算出する第1の分布割合算出手段と、
対象時間帯の当該エリアについて、各セクタの端末数と第1の分布割合との積の総和を、当該エリアに滞在するユーザ数として推定する第1のユーザ数推定手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項2】
前記セクタは、前記端末から前記基地局へ定期的に送信する位置登録要求によって取得されたものであり、
前記エリアは、前記端末から前記基地局へ不定期的に送信する位置情報によって取得されたものである
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記所定時間帯は、前記端末における位置登録要求の定期的な時間間隔よりも短く、
前記セクタ及びエリアの組には、セクタ無し及び/又はエリア無しも含む
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
第1のユーザ数推定手段は、セクタ有り及びエリア無しの組における対象時間帯について、エリア無しとなっている当該セクタの端末数を、第1の分布割合に応じて各エリアの端末数に分ける
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
第1セクタに接続した前方時間帯と第2セクタに接続した後方時間帯との間に挟まれた、セクタ無し及びエリア無しの組における対象時間帯について、第1セクタから第2セクタへ移動する途中に通過し得る各エリアの端末数を補完するために、
前記対象時間帯に相当する過去の時間帯について、第1セクタに接続した前方時間帯と第2セクタに接続した後方時間帯との間に挟まれた、セクタ無し及びエリア有りの組の端末数に対する、各エリアの端末数を第2の分布割合として予め算出する第2の分布割合算出手段と、
前記対象時間帯に、第1セクタに接続した前方時間帯と第2セクタに接続した後方時間帯との間に挟まれた、セクタ無し及びエリア無しの組の端末数と、各エリアの第2の分布割合との積の総和を、当該セクタ無し及びエリア無しの組について各エリアに滞在するユーザ数として推定する第2のユーザ数推定手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする請求項3に記載のプログラム。
【請求項6】
前記対象時間帯は、連続する複数の所定時間帯である
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
基地局同士の間の距離を予め記憶しており、
第2の分布割合算出手段は、前方時間帯に第1のセクタと閾値距離以下となる第3のセクタに接続し、及び/又は後方時間帯に第2のセクタと閾値距離以下となる第4のセクタに接続した、対象時間帯におけるエリア有りの組の端末数を用いて、当該セクタの端末数に対する各エリアの端末数を第2の分布割合として予め算出する
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項5又は6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記基地局同士の間の距離が長くなるほど、小さくなる重みを設定し、
第2の分布割合算出手段は、
前方時間帯が第1のセクタであり、後方時間帯が第4のセクタとなるユーザ数に、第2のセクタと第4のセクタとの距離に応じた重みを乗算し、
前方時間帯が第3のセクタであり、後方時間帯が第2のセクタとなるユーザ数に、第1のセクタと第3のセクタとの距離に応じた重みを乗算し、
前方時間帯が第3のセクタであり、後方時間帯が第4のセクタとなるユーザ数に、第1のセクタと第3のセクタとの距離と、第2のセクタと第4のセクタとの距離との総和に応じた重みを乗算する
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
ユーザが所持する端末毎に、接続した基地局に基づくセクタ及び測位時刻を含む位置登録ログと、測位した位置情報に基づくエリア及び測位時刻を含む測位ログとを記憶したログデータベースを有し、所定時間帯毎に、当該エリアに滞在するユーザ数を推定する装置であって、
前記ログデータベースを用いて、所定時間帯毎に、セクタ及びエリアの組毎の端末数を抽出し、当該セクタの端末数に対する各エリアの端末数を第1の分布割合として予め算出する第1の分布割合算出手段と、
対象時間帯の当該エリアについて、各セクタの端末数と第1の分布割合との積の総和を、当該エリアに滞在するユーザ数として推定する第1のユーザ数推定手段と
を有することを特徴とする装置。
【請求項10】
ユーザが所持する端末毎に、接続した基地局に基づくセクタ及び測位時刻を含む位置登録ログと、測位した位置情報に基づくエリア及び測位時刻を含む測位ログとを記憶したログデータベースを有し、所定時間帯毎に、当該エリアに滞在するユーザ数を推定する装置のユーザ数推定方法であって、
前記装置は、
前記ログデータベースを用いて、所定時間帯毎に、セクタ及びエリアの組毎の端末数を抽出し、当該セクタの端末数に対する各エリアの端末数を第1の分布割合として予め算出する第1のステップと、
対象時間帯の当該エリアについて、各セクタの端末数と第1の分布割合との積の総和を、当該エリアに滞在するユーザ数として推定する第2のステップと
を実行することを特徴とするユーザ数推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが所持する端末の位置情報から、エリアに滞在するユーザ数を推定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
時間帯毎に、地図上の各エリア(地域範囲)に滞在するユーザ数を知ることは、営業活動に限らず、様々な活動で必要となる。
従来、人の流れを予測し可視化する「人口動態分析/予測」の技術がある(例えば非特許文献1参照)。この技術によれば、各ユーザが所持する携帯端末から取得されたGPS(Global Positioning System)の位置情報を用いて、人口分布の流れを推定するものである。特に、通信事業者から見た、移動者数や滞在者数、鉄道路線や走行道路毎の移動者数等を、リアルタイムに推定し且つ予測することができる。
但し、この技術によれば、地域範囲毎にユーザ密度に偏りがある場合に、その推定に大きな誤差を生じる。これは、地理的なエリアを区別することなく、拡大倍率を算出していることに基づく。
【0003】
また、通信品質管理の効率化・品質向上のために、移動機の測位位置と、当該移動機が在圏する基地局セクタの識別子とを紐付けて、基地局セクタの主勢力エリアを導出する技術もある(例えば特許文献2参照)。この技術によれば、基地局のアンテナの位置から、移動機の分布の累積密度が所定値となる部分までの距離を、主勢力エリアの半径として推定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5406981号公報
【文献】特許第6126999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
携帯端末を所持するユーザが滞在する位置を特定するために、一般的には「GPS(Global Positioning System)測位ログ」がある。携帯端末自ら測位し、その位置情報を基地局へ送信する。
GPS測位ログを用いる場合、携帯端末から位置情報を受信しない時間帯については、その携帯端末が位置するエリアを特定することができないという問題がある。勿論、携帯端末は、常に位置情報を送信し続けることもできない。
GPS測位ログは、以下のような特徴を持つ。
空間解像度が高い:位置精度が高く、エリアを正確に特定できる
時間解像度が高い:測位時刻が特定され、時間帯を正確に特定できる
サンプル数が少ない:全ての携帯端末が、常時、GPS測位を実行していない
【0006】
他の測位方法として、携帯端末が接続する基地局のセクタを特定するために、「位置登録ログ」がある。
携帯電話網に接続する全ての携帯端末は、自らの位置を登録するために、定期的に位置登録要求を基地局へ送信する。
位置登録ログは、以下のような特徴を持つ。
空間解像度が低い:セクタは特定されるが、エリアを正確に特定はできない
時間解像度が低い:位置登録要求は、定期的に送信されるが、時間間隔が長い
サンプル数が多い:全ての携帯端末は、定期的に位置登録要求を基地局へ送信する
【0007】
位置登録ログによれば、空間解像度が低い。
携帯端末が任意の基地局のセクタに接続したとしても、その携帯端末が、その基地局が配置されたエリアに滞在しているとは限らない。勿論、各エリアに必ずセクタが配置されているわけでもない。また、携帯端末が接続したセクタは、当該携帯端末が滞在するエリア以外のエリアに配置されたものであるかもしれない。
【0008】
また、位置登録ログによれば、時間解像度が低い。
例えばVoLTE(Voice over LTE)通信によれば、通信に必要となる位置登録要求は、50分間隔程度である。即ち、50分以内に複数のセクタをハンドオーバしている可能性もあり、時間帯毎の各エリアのユーザ数を推定する精度を高めることもできない。
【0009】
一方で、位置登録ログによれば、サンプル数が多い。
携帯電話網に接続する全ての携帯端末は、定期的に位置登録要求を基地局へ送信する必要がある。そのために、基地局を配備した通信事業者としては、ほぼ全ての端末数を知ることができる。
【0010】
このように、GPS測位ログ又は位置登録ログの何れか一方を用いた場合、携帯端末がいずれのエリアに滞在しているのかを正確に特定することが難しい。結果的に、時間帯毎に、各エリアに滞在するユーザ数を知ることも難しい。
これに対し、本願の発明者は、異なる特性を持つGPS測位ログ及び位置登録ログを組み合わせて、時間帯毎に、各エリアに滞在するユーザ数を、高い精度で推定することができないか、と考えた。
【0011】
そこで、本発明は、GPS測位ログ及び位置登録ログを組み合わせて、時間帯毎に各エリアに滞在するユーザ数を高精度に推定するプログラム、装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、ユーザが所持する端末毎に、接続した基地局に基づくセクタ及び測位時刻を含む位置登録ログと、測位した位置情報に基づくエリア及び測位時刻を含む測位ログとを記憶したログデータベースを有し、所定時間帯毎に、当該エリアに滞在するユーザ数を推定する装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記ログデータベースを用いて、所定時間帯毎に、セクタ及びエリアの組毎の端末数を抽出し、当該セクタの端末数に対する各エリアの端末数を第1の分布割合として予め算出する第1の分布割合算出手段と、
対象時間帯の当該エリアについて、各セクタの端末数と第1の分布割合との積の総和を、当該エリアに滞在するユーザ数として推定する第1のユーザ数推定手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0013】
本発明のプログラムにおける他の実施形態によれば、
セクタは、端末から基地局へ定期的に送信する位置登録要求によって取得されたものであり、
エリアは、端末から基地局へ不定期的に送信する位置情報によって取得されたものである
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0014】
本発明のプログラムにおける他の実施形態によれば、
所定時間帯は、端末における位置登録要求の定期的な時間間隔よりも短く、
セクタ及びエリアの組には、セクタ無し及び/又はエリア無しも含む
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0015】
本発明のプログラムにおける他の実施形態によれば、
第1のユーザ数推定手段は、セクタ有り及びエリア無しの組における対象時間帯について、エリア無しとなっている当該セクタの端末数を、第1の分布割合に応じて各エリアの端末数に分ける
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0016】
本発明のプログラムにおける他の実施形態によれば、
第1セクタに接続した前方時間帯と、第2セクタに接続した後方時間帯との間に挟まれた、セクタ無し及びエリア無しの組における対象時間帯について、第1セクタから第2セクタへ移動する途中に通過し得る各エリアの端末数を補完するために、
前記対象時間帯におけるエリア有りの組の端末数を用いて、当該セクタの端末数に対する各エリアの端末数第2の分布割合として予め算出する第2の分布割合算出手段と、
前記対象時間帯に、各エリアの端末数と第2の分布割合との積の総和を、当該セクタ無し及びエリア無しの組について各エリアに滞在するユーザ数として推定する第2のユーザ数推定手段と
してコンピュータを機能させることも好ましい。
【0017】
本発明のプログラムにおける他の実施形態によれば、
対象時間帯は、連続する複数の所定時間帯である
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0019】
本発明のプログラムにおける他の実施形態によれば、
基地局同士の間の距離を予め記憶しており、
第2の分布割合算出手段は、前方時間帯に第1のセクタと閾値距離以下となる第3のセクタに接続し、及び/又は後方時間帯に第2のセクタと閾値距離以下となる第4のセクタに接続した、対象時間帯におけるエリア有りの組の端末数を用いて、当該セクタの端末数に対する各エリアの端末数第2の分布割合として予め算出する
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0020】
本発明のプログラムにおける他の実施形態によれば、
基地局同士の間の距離が長くなるほど、小さくなる重みを設定し、
第2の分布割合算出手段は、
前方時間帯が第1のセクタであり、後方時間帯が第4のセクタとなるユーザ数に、第2のセクタと第4のセクタとの距離に応じた重みを乗算し、
前方時間帯が第3のセクタであり、後方時間帯が第2のセクタとなるユーザ数に、第1のセクタと第3のセクタとの距離に応じた重みを乗算し、
前方時間帯が第3のセクタであり、後方時間帯が第4のセクタとなるユーザ数に、第1のセクタと第3のセクタとの距離と、第2のセクタと第4のセクタとの距離との総和に応じた重みを乗算する
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0021】
本発明によれば、ユーザが所持する端末毎に、接続した基地局に基づくセクタ及び測位時刻を含む位置登録ログと、測位した位置情報に基づくエリア及び測位時刻を含む測位ログとを記憶したログデータベースを有し、所定時間帯毎に、当該エリアに滞在するユーザ数を推定する装置であって、
前記ログデータベースを用いて、所定時間帯毎に、セクタ及びエリアの組毎の端末数を抽出し、当該セクタの端末数に対する各エリアの端末数を第1の分布割合として予め算出する第1の分布割合算出手段と、
対象時間帯の当該エリアについて、各セクタの端末数と第1の分布割合との積の総和を、当該エリアに滞在するユーザ数として推定する第1のユーザ数推定手段と
を有することを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、ユーザが所持する端末毎に、接続した基地局に基づくセクタ及び測位時刻を含む位置登録ログと、測位した位置情報に基づくエリア及び測位時刻を含む測位ログとを記憶したログデータベースを有し、所定時間帯毎に、当該エリアに滞在するユーザ数を推定する装置のユーザ数推定方法であって、
前記装置は、
前記ログデータベースを用いて、所定時間帯毎に、セクタ及びエリアの組毎の端末数を抽出し、当該セクタの端末数に対する各エリアの端末数を第1の分布割合として予め算出する第1のステップと、
対象時間帯の当該エリアについて、各セクタの端末数と第1の分布割合との積の総和を、当該エリアに滞在するユーザ数として推定する第2のステップと
を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明のプログラム、装置及び方法によれば、GPS測位ログ及び位置登録ログを組み合わせて、時間帯毎に各エリアに滞在するユーザ数を高精度に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】複数のエリアに、複数の基地局のセクタが配置されたマップである。
図2】本発明における推定装置の機能構成図である。
図3】ユーザ群毎に各時間帯のセクタ及びエリアを記録したログを表す説明図である。
図4】本発明における第1の分布割合算出部の説明図である。
図5】本発明の第1のユーザ数推定部におけるエリア1及び2の端末数を推定した説明図である。
図6】本発明の第1のユーザ数推定部におけるエリア7及び8の端末数を推定した説明図である。
図7】セクタ間距離に基づくユーザ群同士の類似度を表す説明図である。
図8図7の類似度を用いて端末数を推定した説明図である。
図9】本発明における第2の分布割合算出部の説明図である。
図10】本発明の第2のユーザ数推定部におけるエリア3及び4の端末数を推定した説明図である。
図11】本発明の第2のユーザ数推定部におけるエリア5及び6の端末数を推定した説明図である。
図12】本発明によって時間帯の経過に応じて推定された端末数を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0026】
図1は、複数のエリアに、複数の基地局のセクタが配置されたマップである。
【0027】
図1によれば、地図上でメッシュ状に区分されたエリア1~8に、携帯端末を所持するユーザが多数、分布している。また、複数の基地局が、いずれかのエリアに配置されており、携帯端末と通信可能なセクタを構成する。勿論、エリアそれぞれに、基地局が配置されているわけではない。
図1によれば、エリア1にセクタBが、エリア2にセクタAが、エリア7にセクタDが、エリア8にセクタCが配置されている。また、セクタA-セクタBの距離は、200mであり、セクタC-セクタDの距離は300mであるとする。
【0028】
図2は、本発明における推定装置の機能構成図である。
【0029】
図2によれば、推定装置1は、所定時間帯毎に、当該エリアに滞在するユーザ数を推定する。
推定装置1は、ログデータベース10と、第1の分布割合算出部111と、第1のユーザ数推定部112と、第2の分布割合算出部121と、第2のユーザ数推定部122とを有する。これら機能構成部は、装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムとして実現される。また、これら機能構成部の処理の流れは、ユーザ数推定方法としても理解できる。
【0030】
[ログデータベース10]
ログデータベース10は、ユーザが所持する端末から接続された基地局に基づく「セクタ」と、端末で測位された位置情報に基づく「エリア」とを記憶したものである。
【0031】
図2(a)のテーブルによれば、ユーザID毎に、GPS測位ログが表されている。
GPS測位ログ[測位時刻、位置情報(緯度経度)、滞在エリア]
測位時刻及び位置情報(緯度経度)は、ユーザが所持する携帯端末から不定期的に受信したものである。滞在エリアは、受信した位置情報を含む、地図上のエリアに対応するメッシュ番号であってもよい。
携帯端末は、予めインストールされた1つ以上のアプリの制御によって、不定期的にGPS測位を実行し、その位置情報を基地局へ送信する。
【0032】
図2(b)のテーブルによれば、ユーザID毎に、位置登録ログが表されている。
位置登録ログ[測位時刻、接続セクタ]
測位時刻及びセクタは、ユーザが所持する携帯端末が、位置登録要求を基地局へ向けて送信した際に取得される。
携帯電話網に接続される携帯端末は、定期的(例えば50分間隔)に、位置登録要求を基地局へ必ず送信する。
【0033】
図2(c)によれば、時間帯毎に、ユーザIDが一致する、GPS測位ログ及び位置登録ログを対応付けている。即ち、ユーザ毎に、同一の時間帯に記録された複数のログを統合する。
例えば以下のように記録される。
[時間帯、ユーザID、接続セクタ、滞在エリア]
ここで、時間帯毎に、各ユーザについて、セクタがあればそのセクタ番号が記録され、エリアがあればそのエリア番号が記録される。
勿論、時間帯によっては、セクタ無し(位置登録ログ無し)及びエリア有り(GPS測位ログ有り)の場合もあれば、セクタ有り(位置登録ログ有り)及びエリア無し(GPS測位ログ無し)の場合もある。当然、その時間帯に両方とも全く記録されていない場合(セクタ無し及びエリア無しの場合)もある。
【0034】
図2(c)によれば、例えばユーザ10001について、時刻18:04:15におけるGPS測位に基づくエリア1と、時刻18:00:36おける位置登録に基づくセクタAとのログを統合することにより、時間帯18:00~18:15においてユーザ10001がセクタA及びエリア1に存在したと意味付ける。
同様に、ユーザ10002について、時刻18:07:12におけるGPS測位に基づくエリア2と、時刻18:03:11における位置登録に基づくセクタBとのログを統合することにより、時間帯18:00~18:15においてユーザ10002がセクタB及びエリア2に存在したと意味付ける。
【0035】
図3は、ユーザ群毎に各時間帯のセクタ及びエリアを記録したログを表す説明図である。
【0036】
図3(a)によれば、測位種別及び時間帯の組であって、以下の4つの測位結果のユーザ群に分類される。
セクタ有り(位置登録ログ有り)・エリア有り(GPS測位ログ有り)
セクタ無し(位置登録ログ無し)・エリア有り(GPS測位ログ有り)
セクタ有り(位置登録ログ有り)・エリア無し(GPS測位ログ無し)
セクタ無し(位置登録ログ無し)・エリア無し(GPS測位ログ無し)
各時間帯で、同じ測位結果が得られたユーザ群として、ユーザ群U1~U4が構成されている。時間帯としては、18:00~19:00の1時間を、15分毎に4つの時間帯に区分している。ここで、同じユーザ群に属する端末は、複数の時間帯に基づく時間経過の中で、ほぼ同一の移動をしていると推定する。
【0037】
時間帯が15分単位であり、携帯端末が例えば50分間隔で位置登録要求を送信する場合、図3(a)のように、位置登録ログが無い=セクタ無しの時間帯が生じる。即ち、「所定時間帯は、端末における位置登録要求の定期的な時間間隔よりも短い」とする。
一方で、GPS測位ログは不定期的に受信されるので、GPS測位ログが無い=エリア無しの時間帯が生じる。
尚、時間帯の粒度は、任意に決定することができる。過去のログを用いるために、曜日及び時間帯で区分することが好ましい。
【0038】
図3(b)によれば、図3(a)のユーザ群U1~U4がそれぞれ、大凡どのように移動しているかが表されている。但し、時間帯毎に、各エリアに滞在するユーザ数は不明となっている。
【0039】
例えばユーザ群U1を補完対象とする。
具体的には、例えば時間帯18:00~18:15について、ユーザ群U1は、エリア無し及びセクタAとなっている。ここで、ユーザ群U1は、セクタAの基地局が配置されたエリア2に滞在しているとは限らない。ユーザ群U1の100人は、エリア1~8のいずれに分布しているか不明である。
また、例えば時間帯18:15~18:30について、ユーザ群U1は、エリア無し及びセクタ無しとなっている。ここで、ユーザ群U1の100人は、エリア1~8のいずれか分布しているか全く不明である。
【0040】
エリア有り(GPS測位ログ有り)となっている時間帯のユーザについては、エリア毎に計数することができる。
これに対し、エリア無しとなっている時間帯のユーザについては、エリア毎に計数することができない。具体的には、以下の2つのケースがある。
<ケース1:セクタ有り及びエリア無しの時間帯におけるユーザ数の推定>
<ケース2:セクタ無し及びエリア無しの時間帯におけるユーザ数の推定>
【0041】
<ケース1:セクタ有り及びエリア無しの時間帯におけるユーザ数の推定>
これに対して、第1の分布割合算出部111と、第1のユーザ数推定部112とが機能する。
【0042】
[第1の分布割合算出部111]
第1の分布割合算出部111は、ログデータベース10を用いて、所定時間帯毎にセクタ及びエリアの組毎の端末数を抽出し、当該セクタについて各エリアの端末数の「第1の分布割合」を予め算出する。
第1の分布割合とは、任意のセクタに接続している全ての端末数に対して、各エリアに滞在している端末数の割合(セクタ単位のエリア確率分布)を表す。
【0043】
図4は、本発明における第1の分布割合算出部の説明図である。
【0044】
図4のテーブルによれば、図2(c)のテーブルを用いて、時間帯毎に、セクタ有り及びエリア有りのログであって、セクタ及びエリアの組毎に、ユーザ数(端末数)を計数する。
そして、同一時間帯について、同一セクタの中で、エリア毎の端末数に基づく「第1の分布割合」を算出する。
例えば時間帯18:00~18:15に、セクタAに接続した端末の中で、エリア1に滞在する端末数は40であり、エリア2に滞在する端末数は60である。この場合、エリア1に滞在する第1の分布割合は0.4となり、エリア2に滞在する第1の分布割合は0.6となる。
【0045】
[第1のユーザ数推定部112]
第1のユーザ数推定部112は、対象時間帯の当該エリアについて、各セクタの「端末数」と「第1の分布割合」との積の総和を、当該エリアに滞在するユーザ数として推定する。第1のユーザ数推定部112は、セクタ有り及びエリア無しの組における対象時間帯について、各エリアの端末数を補完する。
【0046】
図5は、本発明の第1のユーザ数推定部におけるエリア1及び2の端末数を推定した説明図である。
【0047】
図5によれば、時間帯18:00~18:15について、エリア毎のユーザ数を推定する。
ここでは、ユーザ群U1+U2の端末数150(=100+50)が、セクタAに接続しており、ユーザ群U3+U4の端末数250(=150+100)が、セクタBに接続している。
前述した図4によれば、時間帯18:00~18:15について、セクタAに接続し且つエリア1に滞在する端末の第1の分布割合を0.4とし、セクタBに接続し且つエリア1に滞在する端末の第1の分布割合を0.7としている。
この場合、エリア1に滞在するユーザ数は、以下のように算出される。
235=150×0.4+250×0.7
【0048】
また、前述した図4によれば、時間帯18:00~18:15について、セクタAに接続し且つエリア2に滞在する端末の第1の分布割合を0.6とし、セクタBに接続し且つエリア2に滞在する端末の第1の分布割合を0.3としている。
この場合、エリア2に滞在するユーザ数は、以下のように算出される。
165=150×0.6+250×0.3
【0049】
図6は、本発明の第1のユーザ数推定部におけるエリア7及び8の端末数を推定した説明図である。
【0050】
図6によれば、時間帯18:45~19:00について、エリア毎のユーザ数を推定する。
ここでは、ユーザ群U1+U3の端末数250(=100+150)が、セクタCに接続しており、ユーザ群U2+U4の端末数150(=50+100)が、セクタDに接続している。
前述した図4によれば、時間帯18:45~19:00について、セクタCに接続し且つエリア7に滞在する端末の第1の分布割合を0.25とし、セクタDに接続し且つエリア7に滞在する端末の第1の分布割合を0.8としている。
この場合、エリア7に滞在するユーザ数は、以下のように算出される。
182.5=250×0.25+150×0.8
【0051】
また、前述した図4によれば、時間帯18:45~19:00について、セクタCに接続し且つエリア8に滞在する端末の第1の分布割合を0.75とし、セクタDに接続し且つエリア8に滞在する端末の第1の分布割合を0.2としている。
この場合、エリア8に滞在するユーザ数は、以下のように算出される。
217.5=250×0.75+150×0.2
【0052】
<ケース2:セクタ無し及びエリア無しの時間帯におけるユーザ数の推定>
これに対して、第2の分布割合算出部121と、第2のユーザ数推定部122とが機能する。
【0053】
前述したケース1の場合、セクタ無し及びエリア無しの時間帯については結局、エリアを特定することができず、時間解像度の低さという課題は解消できていない。ケース1の場合、セクタ有りとなる位置登録ログが記録された時間帯のみ、そのエリアのユーザ数を推定するに過ぎない。これを解決するために、セクタ無し(位置登録ログが発生していない)となる時間帯については、過去の位置登録ログの推移が類似していると想定し、GPS測位ログと紐付けられたデータから、そのエリアのユーザ数を推定する。
【0054】
[第2の分布割合算出部121]
第2の分布割合算出部121は、第1セクタに接続した前方時間帯と、第2セクタに接続した後方時間帯との間に挟まれた、セクタ無し及びエリア無しの組における対象時間帯について、第1セクタから第2セクタへ移動する途中に通過し得る各エリアの端末数を補完するものである。
そのために、第2の分布割合算出部121は、対象時間帯におけるエリア有りの組の端末数を用いて、各エリアの端末数の「第2の分布割合」を予め算出する。
また、第2の分布割合算出部121は、対象時間帯に相当する過去の時間帯におけるエリア有りの組の端末数を用いる。
【0055】
図7は、セクタ間距離に基づくユーザ群同士の類似度を表す説明図である。
【0056】
図7(a)によれば、補完対象となるユーザ群U1の100人は、時間帯18:00~18:15の接続先セクタAから、時間帯18:45~19:00の接続先セクタCへ推移している。
ここで、前述した図3(a)によれば、ユーザ群U1は、時間帯18:00~18:15のセクタAから、時間帯18:45~19:00のセクタCへ推移している。但し、時間帯18:15~18:30及び18:30~18:45について、セクタ無し及びエリア無しである。
このとき、時間帯18:00~18:15の接続先セクタAから、時間帯18:45~19:00の接続先セクタCへ推移している過去のユーザ群の中から、推移しているエリアが記録されているユーザ群を抽出する。その過去のユーザ群を用いて、時間帯18:15~18:30及び18:30~18:45について推移しているエリアを推定しようとする。
【0057】
最初に、セクタ無し及びエリア無しの時間帯における各エリアのユーザ数を補完するために、いずれのユーザ群を考慮すべきか選択しなければならない。
第2の分布割合算出部121は、前方時間帯が第1のセクタとなり、後方時間帯が第2のセクタとなるユーザ群を補完するために、第1のセクタ又は第2のセクタとの距離が近い他のユーザ群を選択する。
【0058】
例えば、補完対象のユーザ群U1は、以下のように推移するとする。
第1のセクタに接続した前方時間帯
->セクタ無し及びエリア無しの対象時間帯
->第2のセクタに接続した後方時間帯
尚、対象時間帯は、連続する複数の所定時間帯であってもよい。
【0059】
図7(b)によれば、オプション的な実施形態として、基地局同士の間の距離を予め記憶している。ここで、第2の分布割合算出部121は、前方時間帯に第1のセクタと閾値距離以下となる第3のセクタに接続し、及び/又は後方時間帯に第2のセクタと閾値距離以下となる第4のセクタに接続した、対象時間帯におけるエリア有りの組の端末数を用いて、各エリアの端末数の第2の分布割合を予め算出する。
【0060】
この場合、基地局同士の間の距離が長いほど小さい重みを設定することも好ましい。例えば、次のとおりである。
(1)前方時間帯が第1のセクタであり、後方時間帯が第4のセクタとなるユーザ群U02のユーザ数(端末数)に、第2のセクタと第4のセクタとの距離に応じた重みを乗算する。
(2)前方時間帯が第3のセクタであり、後方時間帯が第2のセクタとなるユーザ群U03のユーザ数(端末数)に、第1のセクタと第3のセクタとの距離に応じた重みを乗算する。
(3)前方時間帯が第3のセクタであり、後方時間帯が第4のセクタとなるユーザ群U04のユーザ数(端末数)に、第1のセクタと第3のセクタとの距離と、第2のセクタと第4のセクタとの距離との総和に応じた重みを乗算する。
【0061】
図7(b)によれば、補完対象のユーザ群U1におけるの推移前及び推移後のセクタと、過去のユーザ群U01~U04における推移前及び推移後のセクタとの間の「類似度」を表す。ここで、類似度とは、補完対象のセクタと、過去の接続セクタとの距離に応じたものである。
例えば、セクタが同じであれば、類似度1とし、セクタ間の距離が長くなるに応じて類似度を小さくし、例えば距離が1,000m以上の場合、類似度0とすると仮定する。
【0062】
(ユーザ群U1と過去ユーザ群U01との比較)
推移前はセクタAで同じであり、推移後もセクタCで同じである。この場合、類似度1とする。
(ユーザ群U1と過去ユーザ群U02との比較)
推移前はセクタAで同じであるが、推移後は、セクタCとセクタDとで異なる。また、セクタCとセクタDとの間の距離は、300mである。この場合、その距離に応じて例えば類似度0.7とする。
(ユーザ群U1と過去ユーザ群U03との比較)
推移前はセクタAとセクタBとで異なるが、推移後は、セクタCで同じである。また、セクタAとセクタBとの間の距離は、200mである。この場合、その距離に応じて例えば類似度0.8とする。
(ユーザ群U1と過去ユーザ群U04との比較)
推移前はセクタAとセクタBとで異なり、推移後は、セクタCとセクタDとで異なる。また、セクタAとセクタBとの間の距離は200mであり、セクタCとセクタDとの間の距離は300mであり、合計500mの距離がある。この場合、その距離に応じて例えば類似度0.5とする。
【0063】
図8は、図7の類似度を用いて端末数を推定した説明図である。
【0064】
図8(a)によれば、補完対象となるユーザ群U1は、時間帯18:15~18:30及び18:30~18:45について、セクタ無し及びエリア無しとなっている。
図8(b)によれば、過去ユーザ群U01~U04は、時間帯18:15~18:30及び18:30~18:45について、エリア有りとなっている。
図8(c)によれば、過去ユーザ群U01~U04それぞれの端末数に、図7(b)の類似度を重み付けた「重み付け端末数」を算出している。例えば以下のように算出している。
過去ユーザ群U01の場合、端末数200と類似度1とを乗算して、重み付け端末数200と算出している。
過去ユーザ群U02の場合、端末数100と類似度0.7とを乗算して、重み付け端末数70と算出している。
過去ユーザ群U03の場合、端末数150と類似度0.8とを乗算して、重み付け端末数120と算出している。
過去ユーザ群U04の場合、端末数50と類似度0.5とを乗算して、重み付け端末数25と算出している。
【0065】
図9は、本発明における第2の分布割合算出部の説明図である。
【0066】
図9によれば、同一時間帯及び同一エリアの中で、過去ユーザ群の端末数に基づく第2の分布割合を算出する。
図9(a)によれば、時間帯18:15~18:30にエリア3に滞在している過去ユーザ群U02及びU03について、以下のように第2の分布割合が算出される。
過去ユーザ群U02及びU03のエリア3における重み付け端末数190=(70+120)
過去ユーザ群U01及びU04のエリア3における重み付け端末数225=(200+25)
エリア3の第2の分布割合0.456=190/(190+225)
時間帯18:15~18:30のエリア4に滞在している過去ユーザ群U01及びU04について、以下のように第2の分布割合が算出される。
エリア4の第2の分布割合0.542=225/(190+225)
【0067】
図9(b)によれば、時間帯18:30~18:45のエリア5に滞在している過去ユーザ群U01及びU02について、以下のように第2の分布割合が算出される。
過去ユーザ群U01及びU02のエリア5における重み付け端末数270=(200+70)
過去ユーザ群U03及びU04のエリア6における重み付け端末数145=(120+25)
エリア5の第2の分布割合0.651=270/(270+145)
時間帯18:30~18:45のエリア6に滞在している過去ユーザ群U03及びU04について、以下のように第2の分布割合が算出される。
エリア6の第2の分布割合0.349=270/(270+145)
【0068】
[第2のユーザ数推定部122]
第2のユーザ数推定部122は、対象時間帯に、各エリアの端末数と第2の分布割合との積の総和を、当該セクタ無し及びエリア無しの組について各エリアに滞在するユーザ数として推定する。
【0069】
図10は、本発明の第2のユーザ数推定部におけるエリア3及び4の端末数を推定した説明図である。
【0070】
図10によれば、時間帯18:15~18:30について、エリア毎のユーザ数を推定する。
ここでは、ユーザ群U2+U3の端末数200(=150+50)が、エリア3に滞在しており、ユーザ群U4の端末数100が、エリア4に滞在している。
前述した図9(a)によれば、時間帯18:15~18:30について、エリア3に滞在する端末の第2の分布割合を0.458とし、エリア4に滞在する端末の第2の分布割合を0.542としている。
また、補完対象のユーザ群U1は端末数100であるので、エリア3に滞在する端末数は、45.8(=100×0.458)となり、エリア4に滞在する端末数は、54.2(=100×0.542)となる。
この場合、エリア3に滞在するユーザ数は、以下のように算出される。
245.8=45.8+50+150
また、エリア4に滞在するユーザ数は、以下のように算出される。
154.2=54.2+100
【0071】
図11は、本発明の第2のユーザ数推定部におけるエリア5及び6の端末数を推定した説明図である。
【0072】
図11によれば、時間帯18:30~18:45について、エリア毎のユーザ数を推定する。
ここでは、ユーザ群U2の端末数50が、エリア5に滞在しており、ユーザ群U3+U4の端末数250(=150+100)が、エリア6に滞在している。
前述した図9(a)によれば、時間帯18:15~18:30について、エリア5に滞在する端末の第2の分布割合を0.651とし、エリア6に滞在する端末の第2の分布割合を0.349としている。
また、補完対象のユーザ群U1は端末数100であるので、エリア5に滞在する端末数は、65.1(=100×0.651)となり、エリア6に滞在する端末数は、34.9(=100×0.349)となる。
この場合、エリア5に滞在するユーザ数は、以下のように算出される。
115.1=65.1+50
また、エリア6に滞在するユーザ数は、以下のように算出される。
284.9=34.9+150+100
【0073】
図12は、本発明によって時間帯の経過に応じて推定された端末数を表す説明図である。
【0074】
図12によれば、図5図6図10図11から、最終的に、以下のように算出される。
18:00~18:15 エリア1の端末数=235
エリア2の端末数=165
18:15~18:30 エリア3の端末数=245.8
エリア4の端末数=154.2
18:30~18:45 エリア5の端末数=115.1
エリア6の端末数=284.9
18:45~19:00 エリア7の端末数=182.5
エリア8の端末数=217.5
【0075】
以上、詳細に説明したように、本発明のプログラム、装置及び方法によれば、GPS測位ログ及び位置登録ログを組み合わせて、時間帯毎に各エリアに滞在するユーザ数を高精度に推定することができる。
位置登録ログ又はGPS測位ログの一方のみを用いるよりも、空間解像度・時間解像度・サンプル数の観点で優位に、エリア毎のユーザ数を推定することができる。
(1)位置登録ログについて、空間解像度及び時間解像度を補完する
(2)GPS測位ログについて、サンプル数を補完する
【0076】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0077】
1 推定装置
10 ログデータベース
111 第1の分布割合算出部
112 第1のユーザ数推定部
121 第2の分布割合算出部
122 第2のユーザ数推定部
2 携帯端末

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12