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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】覆い部材、及び覆い構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20230220BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20230220BHJP
   H02G 3/08 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
H02G3/04 018
F16L57/00 A
H02G3/08
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019131002
(22)【出願日】2019-07-16
(65)【公開番号】P2021016283
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083655
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 哲寛
(72)【発明者】
【氏名】山本 茂樹
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-133393(JP,A)
【文献】特開2018-046605(JP,A)
【文献】実開平02-105696(JP,U)
【文献】特開2004-019824(JP,A)
【文献】特開2012-257441(JP,A)
【文献】特開2009-247048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H02G 3/08
F16L 57/00
E04F 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁に設けられた管接続箱、及び当該管接続箱に接続される管の地表面からの立上り部を覆うように前記外壁に固定される覆い部材であって、
前記管接続箱を内側に収容可能な管接続箱収容空間を形成する管接続箱収容空間形成部と、
前記管接続箱収容空間形成部と連通した前記管の立上り部を内部に収容可能な管収容空間を形成する管収容空間形成部と、
を備えることを特徴とする覆い部材。
【請求項2】
前記管接続箱収容空間形成部は、
前記管接続箱の外周の少なくとも深さ方向の一部を覆った状態で、当該深さ方向に延在する延在部と、
前記延在部に組付けられて前記管接続箱の前面を覆うと共に、非組付け状態で、前記管接続箱の前面を外部に露出させるように、前記管接続箱収容空間形成部を外部に開放可能である蓋部材と、
から成ることを特徴とする請求項1に記載の覆い部材。
【請求項3】
前記延在部には、前記外壁に固定される固定部を備え、当該固定部は、前記蓋部材の組付けにより覆い隠される位置に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の覆い部材。
【請求項4】
前記管接続箱収容空間形成部の上方内部には、前記管接続箱の上側外周面に当接する当接部を有し、当該当接部の当接状態で前記外壁に固定可能であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の覆い部材。
【請求項5】
前記管収容空間形成部は、前記外壁と対面するように前記管の立上り部の前面に配置される前面壁と、前記前面壁の両側縁から外壁に向けて延びる各側壁と、から成り、上方に前記管接続箱収容空間と連通する連通口が設けられて、下方に、前記管の立上り部が通過する通過口が形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の覆い部材。
【請求項6】
前記管接続箱収容空間形成部から前記管収容空間形成部にかけて、上下方向に延びる両側部間の幅が一定であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の覆い部材。
【請求項7】
前記管収容空間形成部の下方に、前記管収容空間と連通させた状態で、前記管接続箱収容空間形成部の一部を除去した別の覆い部材を連結可能にしたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の覆い部材。
【請求項8】
建物の外壁に、機器収容空間、或いは配線・配管材の配設経路を形成する内部空間を有する管接続箱が設けられ、管の立上り部が前記管接続箱に接続されており、
前記管接続箱の全体、及び前記管の立上り部の少なくとも当該管接続箱に近い部分の少なくとも前面及び両側面は、覆い部材により覆われていることを特徴とする覆い構造。
【請求項9】
前記管接続箱の前面側は、取外しにより当該前面側が開放可能となる蓋部材で覆われていることを特徴とする請求項8に記載の覆い構造。
【請求項10】
前記覆い部材は、天地方向に同一幅に形成されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の覆い構造。
【請求項11】
前記管接続箱の下方には、外壁の色が異なる箇所が設けられ、前記覆い部材により覆われる範囲は、前記管接続箱が設けられた外壁と同一の色が続く部分までであることを特徴とする請求項8ないし10のいずれかに記載の覆い構造。
【請求項12】
前記管接続箱の下方には、外壁から突出する見切り材が設けられ、前記覆い部材により覆われる範囲は、前記管接続箱から前記見切り材までの部分であることを特徴とする請求項8ないし11のいずれかに記載の覆い構造。
【請求項13】
前記覆い部材の下端縁は、地表面に近接していることを特徴とする請求項8ないし12のいずれかに記載の覆い構造。
【請求項14】
底壁と、当該底壁から立設する周壁と、当該周壁に囲まれた開口とを有する管接続箱が、建物の外壁に前記底壁を当接させて固定され、前記開口を覆う蓋体が前記周壁に固定され、
前記蓋体は、前記開口を覆う板状の開口覆い板部が、前記開口の範囲を超えて、前記周壁に連結されて上下方向に配管された管の配管方向に延設された延設部を有し、当該延設部の延設方向に沿う両側部に、前記外壁に向けて延びる各側壁部がそれぞれ設けられて、前記管の両外側を覆っていることを特徴とする覆い構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁に設けられた管接続箱、及び当該管接続箱に接続される管の地表面からの立上り部を覆うための覆い部材、及び覆い構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に示されるように、地中埋設された電線保護管に収容された電線(ケーブル)を室内に引き込むのに、建物の外壁に管接続箱を固定し、電線保護管を地表面から立ち上げて、その立上り部の上端を前記管接続箱に接続して、前記電線保護管から引き出された電線を、前記管接続箱内の収容空間で屈曲させて、建物内に引き込んでいる。
【0003】
このため、建物の外壁には、管接続箱、及び電線保護管の立上り部が突出状態で露出するため、建物外壁の外観が害される。
【0004】
また、建物外壁には、上記した管接続箱の他に、露出コンセント、電力量計、ガスメータ等が露出状態で配置されることがあり、上記管接続箱の露出と同様の問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-46605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、建物の外壁に設けられた管接続箱、及び当該管接続箱に接続される管の地表面からの立上り部の双方を一体にして覆うことで、建物外壁の外観を高めることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、建物の外壁に設けられた管接続箱、及び当該管接続箱に接続される管の地表面からの立上り部を覆うように前記外壁に固定される覆い部材であって、
前記管接続箱を内側に収容可能な管接続箱収容空間を形成する管接続箱収容空間形成部と、
前記管接続箱収容空間形成部と連通した前記管の立上り部を内部に収容可能な管収容空間を形成する管収容空間形成部と、
を備えることを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明によれば、建物外壁に露出している管接続箱、及び当該管接続箱に上端部が接続された管の立上り部は、それぞれ互いに連通した覆い部材の管接続箱及び管の各収容空間形成部に収容されるため、単一の覆い部材により、形状の全く異なる管接続箱、及び管の立上り部を一体にして覆うことができて、管接続箱及び管の立上り部により建物外壁の外観が損なわれるのを防止できる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記管接続箱収容空間形成部は、
前記管接続箱の外周の少なくとも深さ方向の一部を覆った状態で、当該深さ方向に延在する延在部と、
前記延在部に組付けられて前記管接続箱の前面を覆うと共に、非組付け状態で、前記管接続箱の前面を外部に露出させるように、前記管接続箱収容空間形成部を外部に開放可能である蓋部材と、
から成ることを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明によれば、管接続箱収容空間形成部が、管接続箱の外周の少なくとも深さ方向の一部を覆った状態で、当該深さ方向に延在する延在部と、当該延在部に組付けられて前記管接続箱の前面を覆う蓋部材との分離された二つの部分で形成されるので、予め延在部を建物外壁に固定させておき、後に、固定状態の当該延在部に蓋部材を組み付けることができる。よって、建物外壁に対する覆い部材の固定が容易になると共に、管接続箱及び管の立上り部が覆い部材により覆われた状態で、何らかの原因により、管接続箱の蓋部を開いて、管接続箱収容空間内に配置されている電線の配線位置の変更、修復等を行える。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記延在部には、前記外壁に固定される固定部を備え、当該固定部は、前記蓋部材の組付けにより覆い隠される位置に設けられていることを特徴としている。
【0012】
請求項3の発明によれば、延在部を介して建物外壁への覆い部材の固定が容易になると共に、当該延在部に対する蓋部材の組付けにより、延在部に設けられた建物外壁への固定部が覆い隠されるため、前記覆い部材を建物外壁に固定している固定ビス類が外部に露出しなくなるので、当該覆い部材自体の外観の良好性を保持できる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記管接続箱収容空間形成部の上方内部には、前記管接続箱の上側外周面に当接する当接部を有し、当該当接部の当接状態で前記外壁に固定可能であることを特徴としている。
【0014】
請求項4の発明によれば、管接続箱収容空間形成部の上方内部に形成された当接部を管接続箱の上側外周面に当接させることで、即ち、当該当接部を介して覆い部材を管接続箱に吊り下げた状態で、当該覆い部材を建物外壁に固定可能であるので、覆い部材の固定作業が容易となる。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記管収容空間形成部は、前記外壁と対面するように前記管の立上り部の前面に配置される前面壁と、前記前面壁の両側縁から外壁に向けて延びる各側壁と、から成り、上方に前記管接続箱収容空間と連通する連通口が設けられて、下方に、前記管の立上り部が通過する通過口が形成されていることを特徴としている。
【0016】
請求項5の発明によれば、管収容空間形成部は、建物外壁との対向面が開口されて、横断面形状においてコの字状をなしているため、管の立上り部をすっきりした形状で覆うことができる。
【0017】
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの発明において、前記管接続箱収容空間形成部から前記管収容空間形成部にかけて、上下方向に延びる両側部間の幅が一定であることを特徴としている。
【0018】
請求項6の発明によれば、覆い部材は、上下方向の全長に亘って、その幅が一定であるため、最もすっきりした形状となり、管接続箱及び管の立上り部を覆っている部分の見栄えがよくなる。
【0019】
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかの発明において、前記管収容空間形成部の下方に、当該管収容空間と連通させた状態で、前記管接続箱収容空間形成部の一部を除去した別の覆い部材を連結可能にしたことを特徴としている。
【0020】
請求項7の発明によれば、管接続箱収容空間形成部の一部を除去した覆い部材を含む複数の覆い部材の連結により、管の立上り部の長さに応じて、管収容空間形成部の長さを長くできるので、管の立上り部の長さの異なる種々の現場に対応して、管接続箱、及び管の立上り部の双方を覆うことが可能となる。
【0021】
請求項8の発明は、建物の外壁に、機器収容空間、或いは配線・配管材の配設経路を形成する内部空間を有する管接続箱が設けられ、管の立上り部が前記管接続箱に接続されており、
前記管接続箱の全体、及び前記管の立上り部の少なくとも当該管接続箱に近い部分の少なくとも前面及び両側面は、覆い部材により覆われていることを特徴としている。
【0022】
請求項8の発明によれば、建物外壁に設けられた管接続箱に、管の立上り部が接続された変則構造において、当該管接続箱の全体、及び管の立上り部の少なくとも前記管接続箱に近い部分の少なくとも前面及び両側面は、覆い部材により覆われるので、建物外壁から前面に突出した前記変則構造の部分の外観の低下を防止できる。
【0023】
請求項9の発明は、請求項8の発明において、前記管接続箱の前面側は、取外しにより当該前面側が開放可能となる蓋部材で覆われていることを特徴としている。
【0024】
請求項9の発明によれば、請求項2の発明と同一又は同等の作用効果が奏される。
【0025】
請求項10の発明は、請求項8又は9の発明において、前記覆い部材は、天地方向に同一幅に形成されていることを特徴としている。
【0026】
請求項10の発明によれば、請求項6の発明と同一又は同等の作用効果が奏される。
【0027】
請求項11の発明は、請求項8ないし10のいずれかの発明において、前記管接続箱の下方には、外壁の色が異なる箇所が設けられ、前記覆い部材により覆われる範囲は、前記管接続箱が設けられた外壁と同一の色が続く部分までであることを特徴としている。
【0028】
木造の建物は、地表面から所定高さの部分までコンクリート基礎が露出して、外壁の下端部は、当該コンクリート基礎の部分まで達している構造が多く、しかも外壁の色彩は、コンクリート基礎とは異なることが多い。請求項11の発明は、上記した建物構造及び色彩配置に基づき、覆い部材により覆われる範囲は、前記管接続箱が設けられた外壁と同一の色が続く部分、即ち、外壁の下端部までとして、管の立上り部におけるコンクリート基礎の前面に露出している部分は、覆い部材により覆わずに、そのまま露出状態にすることで、建物外壁の色彩と覆い部材の配置部分との調和を図っている。
【0029】
請求項12の発明は、請求項8ないし11のいずれかに記載の発明において、前記管接続箱の下方には、外壁から突出する見切り材が設けられ、前記覆い部材により覆われる範囲は、前記管接続箱から前記見切り材までの部分であることを特徴としている。
【0030】
建物外壁に設けられた見切り材は、美観上のアクセント的な存在であるため、請求項12の発明においては、覆い部材は、当該見切り材と交差させずに、当該見切り材までの部分に配置させることで、管接続箱、及び管の立上り部の双方を覆って建物外壁の美観低下の防止と、見切り材のアクセント的な存在との双方を達成している。
【0031】
請求項13の発明は、請求項8ないし12のいずれかに記載の発明において、前記覆い部材の下端縁は、地表面に近接していることを特徴としている。
【0032】
請求項13の発明によれば、覆い部材は、管接続箱、及び管の立上り部の双方の全体を覆う構造であるので、露出部が全くなくなって、建物外壁の美観低下を最大に防止できる。
【0033】
請求項14の発明は、底壁と、当該底壁から立設する周壁と、当該周壁に囲まれた開口とを有する管接続箱が、建物の外壁に前記底壁を当接させて固定され、前記開口を覆う蓋体が前記周壁に固定され、
前記蓋体は、前記開口を覆う板状の開口覆い板部が、前記開口の範囲を超えて、前記周壁に連結されて上下方向に配管された管の配管方向に延設された延設部を有し、当該延設部の延設方向に沿う両側部に、前記外壁に向けて延びる各側壁部がそれぞれ設けられて、前記管の両外側を覆っていることを特徴としている。
【0034】
請求項14の発明によれば、蓋体の開口覆い板部により、管接続箱の開口を覆うと、当該開口覆い板部から管の配管方向に延設された延設部と、当該延設部の両側部に外壁側に延びる各側壁部とにより、外壁面に沿って上下方向に配管された管の前側及び両外側が覆われる。その結果、管接続箱の開口を蓋体の開口覆い板部により覆うことで、当該開口覆い板部に延設された延設部により、管接続箱の周壁に連結されて上下方向に配管された管の全体が覆われる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、建物外壁に露出している管接続箱、及び当該管接続箱に上端部が接続された管の立上り部は、それぞれ互いに連通した覆い部材の管接続箱及び管の各収容空間形成部に収容されるため、単一の覆い部材により、形状の全く異なる管接続箱、及び管の立上り部を一体にして覆うことができて、外壁から露出配置された管接続箱及び管の立上り部により建物外壁の外観が損なわれるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】実施例1の覆い部材A1 を構成する覆い部材本体C1 と蓋部材Dとの分離状態を表面側から見た斜視図である。
図2】同じく裏面側から見た斜視図である。
図3】(a),(b)は、それぞれ覆い部材本体C1 と蓋部材Dとの組付け状態を表面側及び裏面側から見た斜視図である。
図4図2のX1 -X1 線断面図である。
図5】(a),(b)は、それぞれ図3のY1 -Y1 線及びY2 -Y2 線の各断面図である。
図6】(a),(b)は、それぞれ図4のZ1 -Z1 線及びZ2 -Z2 線の各断面図である。
図7】覆い部材本体C1 の連結を示す斜視図である。
図8】2本の覆い部材本体C1 が連結された状態の斜視図である。
図9図8のX2 -X2 線断面図である。
図10】建物外壁Wに固定された管接続箱B及び電線保護管Pの立上り部P1 が覆い部材A1 で覆われる前の状態の斜視図である。
図11】同じく覆われた状態の斜視図である。
図12】同じく覆われた状態の断面図である。
図13】電線保護管Pの立上り部P1 における建物外壁Wに設けられた水切り板41の部分までのみを覆った状態の断面図である。
図14】電線保護管Pの立上り部P1 における建物外壁Wに設けられた見切り材42の部分までのみを覆った状態の断面図である。
図15】(a),(b)は、それぞれ結束具Gの斜視図、及び図14のU-U線拡大断面図である。
図16】実施例2の覆い部材A2 の分解斜視図である。
図17】同じく管接続箱B及び電線保護管Pの立上り部P1 を覆い部材A2 で覆う施工状態の斜視図である。
図18】本発明の実施例3の蓋体A3 の施工状態を示す斜視図である。
図19】蓋体A3 の斜視図である。
図20】管接続箱B及び電線保護管Pの立上り部P1 が蓋体A3 で覆われた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、複数の最良の実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0038】
図1図3において、実施例1の覆い部材A1 は、建物外壁Wに固定された管接続箱B、及び当該管接続箱Bに上端部が連結された電線保護管Pの立上り部P1 の双方の全体を覆うための部材であって、上端側に延在部E1 が一体に設けられた覆い部材本体C1 と、当該延在部E1 に対して一体に組み付けられる蓋部材Dとで構成される。覆い部材本体C1 は、前記電線保護管Pの立上り部P1 を覆う部材であって、その上端部に、蓋部材Dが一体に組み付けられる延在部E1 が一体に設けられている。覆い部材本体C1 及び蓋部材Dは、いずれも樹脂の射出成形により形成される。なお、電線保護管Pは、樹脂で成形されて、その外周.面に環状の凹部71及び凸部72〔図15(b)参照〕が交互に形成されて、可撓性を有している。
【0039】
覆い部材本体C1 は、電線保護管Pの立上り部P1 の前面側に配置される前面壁1の幅方向の両端部に外壁Wの側に向けて各側壁2が延設されることで、外壁Wと対向する部分は開口されて、横断面がコの字形をなし、その内部空間は、電線保護管Pの立上り部P1 を収容する管収容空間V1 を形成している。覆い部材本体C1 の管接続箱Bに近接配置される上端開口(後述の連通口4となる開口)には、前面壁1及び各側壁2に対して直交して幅方向補強板部3a及び深さ方向補強板部3bがそれぞれ連設されて、上端開口における前記各補強板部3a,3bを除く開口は、前記延在部E1 と蓋部材Dにより内部に形成される管接続箱収容空間V2 に連通する連通口4となっていると共に、覆い部材本体C1 の下端開口は、電線保護管Pの立上り部P1 が通過する通過口5となっている。
【0040】
覆い部材本体C1 の上端部に一体に設けられた延在部E1 は、建物外壁Wに固定された管接続箱Bの基端側の外周を部分的に覆うことができる枠形状になっていて、当該覆い部材本体C1 の各側壁2の僅かに内側の部分を上方に延設された各上方延長板部6の上端部が水平配置される当接板部7で連結された枠形状であって、当該当接板部7の両端部の各膨出部10は、管接続箱Bの上側外周面(上側の2つのコーナー部)に当接可能である。よって、覆い部材本体C1 は、施工時において、建物外壁Wに固定された管接続箱Bに対して吊下げ状態で、当該建物外壁Wに近接又は当接させて配置可能であり、これにより、覆い部材本体C1 を建物外壁Wに固定する作業が容易となる。方形枠状をなす延在部E1 の各コーナー部は、僅かに内側に膨出されて、当該膨出部10にそれぞれビス挿通孔11が形成されている。なお、上記構造では、延在部E1 と管接続箱Bの各サイズに大きな差がないため、当接板部7の両端部の各膨出部10が、管接続箱Bの上側の2つのコーナー部に当接する構成であるが、延在部E1 のサイズに対して管接続箱Bのサイズが小さい場合には、当該当接板部7の中間部が直接に管接続箱Bの上側の周壁の外面に当接することになる。
【0041】
覆い部材本体C1 の管収容空間V1 に電線保護管Pの立上り部P1 を収容して、当該立上り部P1 の全体を覆うため、覆い部材本体C1 の管収容空間V1 の長さL0 は、当該立上り部P1 の長さに対応させる必要がある。そこで、覆い部材本体C1 の方形枠状の延在部E1 は、各上方延長板部6の途中の折取り溝12の部分で折り取ることで、連結板部13として機能させて、当該一対の連結板部13を介して2本の覆い部材本体C1 の管収容空間V1 の部分を連結することで、複数の覆い部材本体C1 の長さL0 の管収容空間V1 の長さを長くできるようになっている。また、電線保護管Pの立上り部P1 の地表面からの長さは、管収容空間V1 の長さL0 の整数倍にならないことが殆どであるので、接続された複数の覆い部材本体C1 の下端を地表面に近接させるには、地表面に最も近い側の覆い部材本体C1 の管収容空間V1 の任意の部分を切断して対応している。これに対応して、覆い部材本体C1 の前面壁1及び各側壁2の内面には、その長手方向(電線保護管Pの立上り部P1 の配管方向)に沿って一定間隔をおいて、切断の目安となる切断案内線8が形成されている。なお、覆い部材本体C1 の前面壁1における通過口5の側の端部には、2本の覆い部材本体C1 ,C1'の連結部を補強するための狭幅の連結補強板部9が内面側に向けて、当該前面壁1の全幅に亘って形成されている。
【0042】
即ち、覆い部材本体C1 の下端側には、図2及び図4に示されるように、各側壁2の内側には、当該側壁2と所定間隔をおき、しかも覆い部材本体C1 の長手方向(電線保護管Pの配管方向)に沿って所定間隔をおいて2つの連結片14が前面壁1から起立して設けられている。各連結片14の自由端側(覆い部材本体C1 の建物外壁Wと対向する開口側)には、後述の嵌合突起17が嵌合される嵌合孔15が形成されている。図4に詳細に示されているように、覆い部材本体C1 を構成する各側壁2は、開口側に向けてその間隔が漸次広くなっているのに対して、前記各連結片14は、前面壁1に対して垂直に形成されているので、当該各連結片14と各側壁2との隙間16は、前面壁1から離れるに従って徐々に広くなっているため、当該隙間16に、延在部E1 の一部が切断除去された別の覆い部材本体C1'の連結板部13を挿入して、各連結板部13の内側に前記2つの連結片14と同一間隔をおいて設けられた各嵌合突起17を、当該各連結片14の嵌合孔15に嵌合させて連結する際に、前記各連結片14は、内側に弾性変形し易い。
【0043】
次に、図1図3図5及び図6を参照して、蓋部材D、及び当該蓋部材Dと前記延在部E1 との組付け構造について説明する。蓋部材Dは、覆い部材本体C1 に一体に設けられた延在部E1 の外側に嵌合される形態で、当該延在部E1 に対して一体に組み付けられ、正面視(前面視)でほぼ正方形状をなしていて、前面壁31、両側壁32及び上壁33が一体化されて、建物外壁Wと対向する開口34、及び覆い部材本体C1 における内部に管収容空間V1 が形成されている部分と接続される接続開口35が、それぞれ形成されている。蓋部材Dの内部の空間は、建物の外壁Wに固定された管接続箱Bを収容する管接続箱収容空間V2 となっている。また、図12に示されるように、建物外壁Wに固定された管接続箱Bに、電線保護管Pの立上り部P1 の上端部が接続された状態で、管接続箱Bは、立上り部P1 に対して手前側に僅かに突出しているのに対応して、覆い部材本体C1 の延在部E1 に蓋部材Dを組み付けた状態で、蓋部材Dの前面壁31は、覆い部材本体C1 の前面壁1に対して手前側に僅かに突出しており、両前面壁1,31は、蓋部材Dの前面壁31に設けられた傾斜前壁部31aにより接続状態となる形状になっている。また、蓋部材Dの幅(両側壁32の間隔)は、覆い部材本体C1 の幅と同一である。なお、両前面壁1,31は、覆い部材本体C1 の深さを蓋部材Dの深さと同一にして、その組付け連結部に傾斜段差を設けることなく、同一平面にしてもよい。
【0044】
蓋部材Dの接続開口35に入り込んだ部分には、前面壁31に対して垂直に形成されて、延在部E1 との組付け時において、覆い部材本体C1 の幅方向補強板部3aに密着される補強板部36が形成され、当該補強板部36における各側壁32の中央部には、覆い部材本体C1 の幅方向補強板部3aの各側壁2の中央部に形成された嵌着溝21に嵌着される嵌着突起37が形成されている。また、図3及び図5(b)に示されるように、各側壁32における開口34の側の端側であって、しかも前記接続開口35に近い部分には、前記延在部E1 を構成する各上方延長板部6の基端部であって、しかも建物外壁Wと対向する端面に形成された各嵌着溝22に、それぞれ嵌着される嵌着突起38が形成されている。更に、図3及び図5(a)に示されるように、蓋部材Dの上壁33の開口34の側の端面の両端部には、延在部E1 の当接板部7における建物外壁Wと対向する側の端面の両端部にそれぞれ形成された各嵌合段部23に嵌合される各嵌合突起39が形成されている。
【0045】
なお、図3及び図6(b)に示されるように、覆い部材本体C1 の幅方向補強板部3aには、延在部E1 に対して蓋部材Dを組み付けた状態で、当該蓋部材Dの補強板部36の下端面を当接させて、当該補強板部36を下方から支える一対の下支え突起24が、延在部E1 の側に突出して形成されている。この構造により、蓋部材Dの前面壁31は、当該前面壁31に加わる垂直荷重に対しては、覆い部材本体C1 の前面壁1と一体構造化されることで、蓋部材Dの前面壁31の上記垂直荷重に対する強度が高められる。
【0046】
次に、図7図9を参照して、2本の覆い部材本体C1 の管収容空間V1 の部分の連結について説明する。即ち、連結すべき2本の覆い部材本体C1 の一方の延在部E1 の一対の上方延長板部6を、折取り溝12の部分で折り取ることで、覆い部材本体C1 は、延在部E1 の当接板部7の側のコの字形の除去部25が除去された覆い部材本体C1'となる。覆い部材本体C1'における一対の上方延長板部6の残存した部分は、連結板部13として機能する。
【0047】
そして、一方の覆い部材本体C1'の一対の連結板部13を、他方の覆い部材本体C1 の通過口5の側に形成された連結片14と側壁2の隙間16に挿入すると、覆い部材本体C1'の各連結板部13の内面における長手方向に沿った2箇所に設けられた各嵌合突起17が、覆い部材本体C1 の各連結片14の自由端部に設けられた各嵌合孔15に嵌合されると共に、覆い部材本体C1 の連結補強板部9と、覆い部材本体C1'の幅方向補強板部3aとが当接した状態で、覆い部材本体C1 の連結補強板部9は、覆い部材本体C1'の幅方向補強板部3aに設けられた一対の下支え突起24で支持される。この構造により、2本の覆い部材本体C1 ,C1'は、各覆い部材本体C1 ,C1'の連結部の各前面壁1が、当該連結部に作用する垂直荷重に対して一体となった状態で、互いに連結される。なお、電線保護管Pの立上り部P1 の長さは、予め分かっているので、延在部E1 の一部が除去された覆い部材本体C1'は、必要長に切断された後に、別の覆い部材本体C1 と連結される。
【0048】
次に、図10図12を参照して、建物外壁Wに固定された管接続箱B、及び当該管接続箱Bに上端部が連結された電線保護管Pの立上り部P1 との双方の全体を、実施例1の覆い部材A1 により覆うための施工法について説明する。電線保護管Pは、地中に埋設されて、建物外壁Wに近い部分で屈曲されて、当該建物外壁Wに沿って立ち上げられて、当該外壁Wに固定された管接続箱Bに接続されている。建物外壁Wは、外壁板61の内側の中間板62と内壁板63との間に断熱材が配置された構成であり、建物外壁Wの下端部とコンクリート製の基礎64との間には、所定の隙間65が形成されている。なお、図12において、66は、基礎64の上に配置された土台を示す。
【0049】
電線保護管Pの立上り部P1 の長さL1 は、覆い部材本体C1 の管収容空間V1 の長さL0 よりも長くて、その2倍よりは短い(L0 <L1 <2L0 )。このため、2本の覆い部材本体C1 のうち、一方の長さが(L1 -L0 )となるように予め切断しておいて、管収容空間V1 の長さがL0 と(L1 -L0 )の2本の覆い部材本体C1 ,C1'を上記したようにして連結しておく。互いに連結された2本の覆い部材本体C1 ,C1'のうち上方に配置される覆い部材本体C1 の延在部E1 の各コーナー部の内側に設けられた計4つのビス挿通孔11を使用して、上方の覆い部材本体C1 の延在部E1 を管接続箱Bの外側に配置させた状態で、連結状態の2本の覆い部材本体C1 ,C1'を建物外壁Wの外壁板61に前記延在部E1 を介して固定配置する。この固定作業の際には、上方の覆い部材本体C1 の延在部E1 に設けられた当接板部7を管接続箱Bの上側外周面に当接させて、全体を吊下げ状態にすることが可能であるので、このようにすることで、外壁板61に対する連結状態の2本の覆い部材本体C1 ,C1'の固定作業が容易となる。なお、上記施工例では、2本の覆い部材本体C1 ,C1'を連結した状態で、各覆い部材本体C1 ,C1'を建物外壁Wにビス固定しているが、固定位置を定めて覆い部材本体C1'のみを、当該覆い部材本体C1'に残された2つのビス挿通孔11を使用して、建物外壁Wに固定した後に、別の覆い部材本体C1 の延在部E1 を管接続箱Bの外側に配置させながら、建物外壁Wに対して固定済の覆い部材本体C1'に対して当該覆い部材本体C1 を連結して、当該覆い部材本体C1 を建物外壁Wにビス固定してもよい。
【0050】
その後に、計4つのビスJを介して外壁板61に固定された上方の覆い部材本体C1 の延在部E1 に対して蓋部材Dを外壁Wに対して垂直な第1方向Qに移動させて当該外壁Wに押し付けた後に、当該蓋部材Dを延在部E1 に対して外壁Wに沿って前記第1方向Qと直交する第2方向Rである下方に僅かにスライドさせると、当該延在部E1 に対して蓋部材Dが一体に組み付けられる。即ち、延在部E1 の側に設けられた各嵌着突起37,38及び嵌合突起39と、蓋部材Dの側に設けられた各嵌着溝21,22及び嵌合段部23が、それぞれ嵌着又は嵌合されることで、図11に示されるように、前記延在部E1 に対して蓋部材Dが一体に組み付けられて、建物外壁Wの外側に固定された管接続箱Bの全体、及び当該建物外壁Wに近接して立ち上げられた電線保護管Pの立上り部P1 の全体が覆われるため、露出された管接続箱B及び電線保護管Pの立上り部P1 により建物外壁Wの外観が害されるのを防止できる。また、覆い部材本体C1 ,C1'の幅と、蓋部材Dの幅は同一であって、上方の覆い部材本体C1 と蓋部材Dとの段差は、小さくて傾斜状となっているために、すっきりした感じとなって、見栄えがよい。また、覆い部材本体C1'の下端面は、地表面Sに近接又は接触している。なお、図12において、Kは、電線保護管Pの立上り部P1 から引き出されて、管接続箱Bの内部で屈曲されて室内に導入された電線を示す。
【0051】
上記のようにして、外壁Wに固定配置された延在部E1 に対して蓋部材Dが一体に組み付けられた状態では、当該蓋部材Dに対して第2方向Rと逆方向、即ち、上方への外力が作用することは、殆どないので、延在部E1 に対して一旦組み付けられた蓋部材Dが外れることは殆どない。一方、覆い部材A1 により管接続箱B等を覆った後に、何らかの原因により、管接続箱Bの部分で屈曲されて、建物の内部に引き込まれている電線Kの配置位置の変更、修復等を行う必要が生じた場合には、前記蓋部材Dに対して第2方向Rと逆方向に衝撃力を加えると、外壁Wに固定配置された延在部E1 に対する蓋部材Dの組付けが解除されて、電線Kの上記作業を行える。
【0052】
また、建物外壁Wの下端部には、図13に示されるように、水切り板41が設けられていたり、或いは図14に示されるように、外壁板61’の下端部に見切り材42が設けられることがある。このような場合には、水切り板41又は見切り材42を乗り越えて、電線保護管Pの立上り部P1 を覆い部材本体C1 で覆うと、水切り板41の場合には、覆い部材本体C1 の各側壁2における当該水切り板41と干渉する部分を、当該水切り板41の横断面形状に切り欠く必要があり、当該切欠き作業は、極めて難しいと共に、見切り材42の場合には、水切り板41と同様に、覆い部材本体C1 の各側壁2の干渉部分を切欠く必要があるのに加えて、美観上のアクセント的存在の見切り材42と覆い部材本体C1 とが交差してしまう。しかし、本発明では、覆い部材本体C1 の他の部材との干渉部を切り欠いたり、或いは美観上のアクセント的存在の見切り材と覆い部材本体C1 とが交差する配置構造を排除するものではない。
【0053】
そこで、上記の場合には、覆い部材本体C1 の配置部分は、外壁Wの下端縁までとして、電線保護管Pの立上り部P1 における基礎64,64’の前面の部分は、そのまま露出させる構造にしてある。水切り板41が設けられている場合には、単一の覆い部材本体C1 を切断して、その長さを短くしてあり、見切り材42の場合には、単一の覆い部材本体C1 を切断することなく、そのままの長さで使用している。なお、図13において、水切り板41は、金属板を横断面視で屈曲させて形成してあり、外壁Wの中間板62に固定されて、隙間65を通って外部に突出されている。
【0054】
上記したように、水切り板41又は見切り材42が外壁Wの下端部に配置されている場合には、当該部分に上下方向(天地方向)に沿って配置される覆い部材本体C1 ,C1'と交差配置されることで、物理的干渉又は美観阻害の具体的問題が発生する。しかし、管接続箱Bの下方に、外壁Wの色と異なるコンクリート製の基礎64が露出している場合には、建物の色彩配置上の美観保持の観点から、覆い部材本体C1 で覆われる部分は、管接続箱Bが配置されている外壁Wと同一の色彩が接続する部分、即ち、隙間65の部分までとすることで、建物外壁Wの色彩と覆い部材本体C1 の配置部分との調和が図られて、建物の色彩配置上の美観が保持される。なお、外壁Wと異なるコンクリート製の基礎64の前方に存在する電線保護管Pの立上り部P1 の部分も、外壁Wの部分に配置された覆い部材本体とは、別の覆い部材本体で覆って、当該別の覆い部材本体を、コンクリート製の基礎64と同一色彩を着色すれば、外観を色彩的に害することなく、管接続箱B及び立上り部P1 の全てを覆い部材で覆うことが可能となる。
【0055】
なお、2本の覆い部材本体C1 ,C1'を連結して、管接続箱B及び電線保護管Pの立上り部P1 を覆う場合において、下方配置される覆い部材本体C1'の長さ(L1 -L0 )が短い場合には、地表面Sに近い部分は目立たないので、当該覆い部材本体C1'を使用しないで、立上り部P1 の地表面Sに近い部分は、そのまま露出させてもよい。同様の考えからして、覆い部材本体C1 が見切り材と交差する場合、或いは外壁Wの色彩の異なる部分に入り込む場合においても、美観が著しく害されない限り、そのままの状態で施工することも可能である。これらの点に関しては、施主が納得(満足)すれば問題はないと言える。
【0056】
また、上記したいずれの施工例においても、上下方向(天地方向)に所定長を有する覆い部材本体C1 ,C1'は、外壁Wにビス固定される延在部E1 に対して一体となっているのみであり、周辺の部材に固定又は連結されていないため、強風時等においては、開放された下端の通過口5からの風の流入により、或いは他の物品の衝突により、覆い部材本体C1 ,C1'が揺動して、外壁Wとの衝突音が発生することがある。
【0057】
そこで、図15に示されるように、覆い部材本体C1 ,C1'の前面壁1の裏面に両面テープ26により貼着される方形状の粘着固定板27に一対のバインド線挿通孔27aが形成され、当該各バインド線挿通孔27aにバインド線28が挿通された結束具Gを用いて、覆い部材本体C1 ,C1'の下端部を電線保護管Pの立上り部P1 に結束連結することで、上記した揺動、衝突音の発生を防止できる。また、粘着固定板27の裏面におけるバインド線28が配置される部分は、凹状に形成されて、当該粘着固定板27の裏面からバインド線28の一部が突出するのを防止する構造にすることで、両面テープ26による貼着を可能にしている。なお、図15において、26aは、使用直前に剥離させる両面テープ26の剥離紙を示す。
【0058】
結束具Gの施工方法としては、「後付け施工」と「先付け施工」」とがあり、いずれの場合でも、図12及び図14に示されるように、結束具Gの粘着固定板27は、覆い部材本体C1 ,C1'の下端部の前面壁1の裏面に貼着5され、2本のバインド線28は、電線保護管Pの立上り部P1 に結束される。「後付け施工」では、図14に示されるように、粘着固定板27から引き出されている2本のバインド線28を2本の電線保護管Pの各立上り部P1 の凹部71に挿入した状態で結束することにより、2本の電線保護管Pの各立上り部P1 を結束し、次いで外壁Wの前面に固定配置された覆い部材本体C1 ,C1'の下端の通過口5から作業者の指先を挿入して、粘着固定板27を前面壁1の裏面に貼着する。一方、「先付け施工」では、図12に示されるように、覆い部材本体C1 ,C1'を外壁Wに固定配置させる前に、結束具Gの粘着固定板27を当該覆い部材本体C1 ,C1'の下端部の前面壁1の裏面に貼着し、粘着固定板27から引き出されている2本のバインド線28を、2本の電線保護管Pの各立上り部P1 に結束しておき、この状態で、覆い部材本体C1 又は全体長が長くなった連結状態の覆い部材本体C1 ,C1'を2本の電線保護管Pの各立上り部P1 に沿って、延在部E1 が固定位置に達するまでスライドさせ、その後に、当該延在部E1 を外壁Wにビス固定する。「先付け施工」では、電線保護管Pの各立上り部P1 に対するバインド線28の結束状態を多少緩和させて、結束状態のバンイド線を電線保護管Pの立上り部P1 の凸部72の外側に所定の隙間(結束されたバインド線28の全体としては弛み)を有した状態にすることで、上記スライドが可能となる。「先付け施工」であると、図12に示されるように、連結状態の覆い部材本体C1 ,C1'の下端が地表面に近接又は接触する場合においても、施工可能な利点がある。
【0059】
なお、上記実施例1の説明では、特許請求の範囲で使用されている用語と異なる用語が一部使用されており、特許請求の範囲で使用の「管収容空間形成部」及び「管接続箱収容空間形成部」の各用語は、それぞれ実施例1で使用の「覆い部材本体C1 ,C1'」及び「蓋部材D及び延在部E1 」の各用語に対応する。
【実施例2】
【0060】
次に、図16及び図17を参照して、本発明の実施例2の覆い部材A2 及びその覆い構造について説明する。覆い部材A2 は、実施例1の覆い部材A1 の覆い部材本体C1 と蓋部材Dとを一体化させた覆い部材本体C2 と、外壁Wに固定配置された管接続箱Bの外周における当該外壁Wの側に部分的に配置される延在体E2 とから成る。別体構造の延在体E2 は、外壁Wに対する固定配置時に、既設の電線保護管Pの立上り部P1 との干渉を回避するために、方形枠状部材の一辺を欠落させた形状であって、実施例1の延在部E1 と同一機能を果すので、対応部分には、延在部E1 で使用した符号に「’」を付し、図示のみ行う。覆い部材本体C2 に関しても、実施例1の覆い部材本体C1 と蓋部材Dとを一体化させた構成であるので、実施例1の覆い部材本体C1 及び蓋部材Dで使用した符号に「’」を付し、図示のみ行う。
【0061】
上記した覆い部材A2 により、外壁Wに固定配置された管接続箱B及び電線保護管Pの立上り部P1 との双方の全体を覆うには、別体構造の延在体E2 を、管接続箱Bの外周における当該外壁Wの側に部分的に配置して、複数本のビスJにより外壁Wに固定しておき、その後に、外壁Wに固定配置された前記延在体E2 に対して覆い部材本体C2 を、外壁Wに垂直な第1方向Qに移動させて当該外壁Wに当接させた後に、当該覆い部材本体C2 を垂直方向下方の第2方向Rにスライドさせることで、覆い部材本体C2 に設けられた一対一組の嵌着突起38’及び嵌合突起39’を、延在体E2 の一対一組の嵌着溝22’及び嵌合段部23’に嵌着又は嵌合させることで、延在体E2 に対して覆い部材本体C2 が一体に組み付けられて、管接続箱B及び電線保護管Pの立上り部P1 との双方の全体が覆われる。
【実施例3】
【0062】
次に、図18図20を参照して、本発明の実施例3の蓋体A3 及びその覆い構造について説明する。蓋体A3 は、管接続箱Bの開口閉塞板56を取り外した開口57を覆う開口覆い板部51は、上下方向に長い長方形状をなしていて、当該開口57を超えて下方に延設されて、前記管接続箱Bの下方に配置された2本の電線保護管Pの立上り部P1 の前面を覆う延設板部51aを備え、当該延設板部51aの両側部に、外壁Wの側に向けて延設されて、前記各立上り部P1 の両側部を覆う側板部52が設けられた形状である。開口覆い板部51には、管接続箱Bの周壁58の前端面の一方の対向コーナー部に形成された各ビス下孔59に螺入されるビスJを挿通させるビス挿通孔53が形成されている。
【0063】
よって、図18に示されるように、管接続箱Bの開口閉塞板56を取り外された開口57に、蓋体A3 の開口覆い板部51を配置させて、当該開口覆い板部51に設けられた各ビス挿通孔53にビスJを挿通させて、各ビスJを周壁58のビス下孔59に螺入させる。これにより、図19に示されるように、管接続箱Bの開口57及び2本の電線保護管Pの各立上り部P1 の前面が、開口覆い板部51により覆われると共に、2本の電線保護管Pの各立上り部P1 の両側部は、それぞれ開口覆い板部51の延設板部51aに設けられた各側板部52で覆われることで、管接続箱Bと蓋体A3 とは、全体が天地方向に長くなった直方体状に形成されて、管接続箱Bを含めた全体がすっきりした形状となる。
【0064】
なお、上記蓋体A3 において、開口覆い板部51には、管接続箱Bの計4面を有する周壁58のうち、電線保護管Pの立上り部P1 が接続されていない残りの3面を覆う周壁覆い板部を一体に設けることで、開口覆い板部51により、管接続箱B及び電線保護管Pの立上り部P1 の双方の全体を覆うことができて、覆い状態の美観が高められる。また、開口覆い板部51の延設板部51aに設けられた一対の側板部52を、管接続箱Bの周壁58のうち水平方向に対向する各周壁部の延長上に配置することで、管接続箱B及び電線保護管Pの立上り部P1 を蓋体A3 で覆った状態で、前面視において、管接続箱B及び蓋体A3 の部分が天地方向の全長に亘って同一幅にできて、覆い状態ですっきりした外観となる。
【0065】
また、上記施工例では、電線保護管Pの水平部は、地中埋設されているが、当該水平部は、地表面Sに沿って配置されて露出している場合もある。
【0066】
また、蓋部材Dで覆われる管接続箱B又はこれに対応する露出コンセント、電力量計、ガスメータ等の露出部材の正面形状は、方形状に限定されず、当該蓋部材Dに収容される形状及びサイズであれば、いかなる形状及びサイズであってもよい。
【0067】
なお、上記実施例1~3では、覆い部材A1 ,A2 又は蓋体A3 により覆われる対象として、外壁Wの外側に固定配置された管接続箱B及び当該管接続箱Bに上端部が連結された電線保護管Pの立上り部P1 を示したが、当該管接続箱Bに対応する他の計器類としては、露出コンセント、電力量計、ガスメータ等があり、前記電線保護管に対応する管として、ガス管、水道管等があり、全く同様にして、露出コンセント、電力量計、ガスメータ等、及びガス管、水道管等は、本発明に係る覆い部材A1 ,A2 又は蓋体A3 により覆うことが可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 ,A2 :覆い部材
3 :蓋体
B:管接続箱
1,C1', C2 :覆い部材本体(管収容空間形成部)
D:蓋部材(管接続箱収容空間形成部)
1 :延在部(管接続箱収容空間形成部)
2 :延在体(延在部) 〔管接続箱収容空間形成部〕
P:電線保護管
1 :電線保護管の立上り部
1 :管収容空間
2 :管接続箱収容空間
W:建物外壁
1,31:前面壁
2,32:側壁
4:連通口
5:通過口
41:水切り板
42:見切り材
51:開口覆い板部
51a:延設板部
52:側板部
57:管接続箱の開口
58:管接続箱の周壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20