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特許7229879保護カバー装置、及び配線・配管材の配設構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】保護カバー装置、及び配線・配管材の配設構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20230220BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20230220BHJP
   F16B 7/04 20060101ALI20230220BHJP
   F16B 5/07 20060101ALI20230220BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
H02G3/04 018
F16L57/00 A
F16B7/04 302B
F16B5/07 K
H02G3/30
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019139563
(22)【出願日】2019-07-30
(65)【公開番号】P2021023065
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083655
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 哲寛
(72)【発明者】
【氏名】松田 翔平
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-053944(JP,A)
【文献】特開2005-323432(JP,A)
【文献】特開2006-200647(JP,A)
【文献】特開2003-065562(JP,A)
【文献】特開2008-228539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H02G 3/30
F16B 5/07
F16B 7/04
F16L 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに組み付けられる基台と蓋体とから成って、一側に配線・配管材が内部に収容される収容カバーが接続される接続口が形成され、
他側に設けられた前記接続口と対面する対面壁と、当該対面方向と直交する方向に沿って対向して配置された一対の側壁と、当該一対の側壁に連設される天壁と、当該天壁に対向して配置されて構造物に対して固定される固定部を有する底板とで囲まれる内部に、管継手及び/又は配線・配管材が収容される収容空間を形成する保護カバーと、
機器又は構造物の壁部に沿って配置される沿い板部と、前記壁部から離間する方向に延設されて、対向配置された一対の側板部と当該一対の側板部を連結する天板部を有する連通路形成部とを備える連通路形成カバーと、
から成り、
前記保護カバーの一対の側壁の少なくとも一方の側壁、又は前記対面壁には、前記接続口から内部に引き込まれた配線・配管材が、当該内部に収容されて、屈曲された管継手又は当該配線・配管材自体の屈曲部により、前記一方の側壁に向かうように屈曲された第1配管経路、又は前記接続口から内部に引き込まれた配線・配管材を直線状に配設するための第2配管経路を通して前記配線・配管材を引出し可能とする貫通孔が形成され、
前記保護カバーの貫通孔には、前記連通路形成カバーの連通路形成部を当該保護カバーの内部に挿入可能であり、
前記保護カバーの底板には、前記連通路形成カバーの側板部と干渉することなく、自身の連通路形成部の挿入を許容する挿入許容部が設けられていることを特徴とする保護カバー装置。
【請求項2】
前記保護カバーの挿入許容部は、前記連通路形成カバーの連通路形成部の挿入長を無段階に調整可能であることを特徴とする請求項1に記載の保護カバー装置。
【請求項3】
前記保護カバーの挿入許容部は、前記連通路形成カバーの連通路形成部における沿い板部から先端まで突出長の半分以上を挿入可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の保護カバー装置。
【請求項4】
前記保護カバーの挿入許容部は、前記連通路形成カバーにおける前記貫通孔側に開放された連通路形成部が入り込む幅の溝状をなしていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の保護カバー装置。
【請求項5】
前記挿入許容部は、当該挿入許容部に挿入された前記連通路形成部に対して圧接される圧接部を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の保護カバー装置。
【請求項6】
前記保護カバーの貫通孔は、閉塞されており、除去されて当該貫通孔が形成されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の保護カバー装置。
【請求項7】
前記保護カバーの貫通孔は、前記一対の側壁の少なくとも一方に形成されて、当該保護カバーは、前記対面壁、一対の側壁及び天壁を有する蓋体と、前記底板を有する基台とが組み付けられて構成され、前記側壁の内側に前記基台に形成された被係合部と係合する係合部が突出形成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の保護カバー装置。
【請求項8】
収容カバーの内部に収容配設された配線・配管材が接続又は導入される機器又は構造物の近辺に、前記配線・配管材の途中を部分的に収容配置させる保護カバーの配設経路が形成され、
前記保護カバーは、他側に設けられた接続口と対面する対面壁と、当該対面方向と直交する方向に沿って対向して配置された一対の側壁と、当該一対の側壁に連設される天壁と、当該天壁に対向して配置された固定部を有する底板とで囲まれる空間が、管継手及び/又は前記配線・配管材が収容される収容空間を形成しており、
前記保護カバーにおける前記一対の側壁の少なくとも一方の側壁、又は前記対面壁には、貫通孔が形成されており、
前記機器又は構造物と、前記貫通孔が形成された側壁又は対面壁との間には、隙間が形成されており、
内部に前記配線・配管材を通過配設可能な連通路を形成する連通路形成部は、一端側が、前記機器又は構造物の外面に沿って配置され、前記隙間から外部に露出する前記管継手及び/又は前記配線・配管材を覆うようにして、当該隙間に配置され、その他端側が、前記貫通孔から前記保護カバー内に入り込んでいることを特徴とする配線・配管材の配設構造。
【請求項9】
前記保護カバーは、前記対面壁、一対の側壁及び天壁を有する蓋体と、前記底板を有する基台とが互いに組み付けられて構成され、
前記貫通孔が形成された前記一対の側壁のうち少なくとも一方の側壁又は前記対面壁の内側には、前記基台に形成された被係合部と係合する係合部が形成されており、
前記被係合部に対して係合部が形成された側壁又は対面壁が外側に傾動することで、前記係合部と前記被係合部とが係合可能であり、前記隙間は、少なくとも、前記側壁又は対面壁が外側に傾動する傾動幅よりも広く形成されていることを特徴とする請求項8に記載の配線・配管材の配設構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器又は構造物の外面に近接して配置される保護カバー装置、及び配線・配管材の配設構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、風呂用のガス給湯器(以下、単に「給湯器」という)には、本管用の給湯管及び給水管と、追焚き用の給湯管及び給水管との計4本の流体管が接続され、計4本の流体管は、上下二段に纏められた状態で、例えば特許文献1に示されるような収容カバーの収容空間に収容される。特に、建物のリフォームにより、浴槽設備を新設する場合には、複数本の流体管は、収容カバーに収容された状態で、建物のベランダのような配置可能なスペースに配設されて、各流体管の一方の各端部は、それぞれ給湯器に接続される。なお、上記したように、給湯管及び給水管を纏めて表現する場合には、「流体管」の用語を使用する。
【0003】
給湯器には、大別して壁掛け型と据置き型とがあり、前者の壁掛け型は、文字通り、壁面に固定配置され、後者の据置き型の給湯器は、専用の架台上に設置されて、戸建住宅では屋外に、集合住宅では、ベランダ等に設置される。
【0004】
例えば、壁掛け型の給湯器が集合住宅のベランダに設置される場合には、給湯器Hと、収容カバーに二段配管状態で収容された計4本の流体管との平面配置としては、図18に示されるものが考えられる。なお、図18において、計4本の流体管は、流体管群P0 として、1本の線で模式表示してある。図18(a)は、流体管群P0 が直角に屈曲されて、給湯器Hの下端から下方に垂れ下がっている複数本の短管状の流体管及びガス管の全体を覆う配管カバー81の側面から内部に入り込んでいる屈曲配置例であり、図18(b)は、給湯器Hの配管カバー81の側面から内部に直線状に入り込んでいる直線状配置例である。いずれの配置例においても、流体管群P0 を内部に収容した収容カバーC21と、給湯器Hの配管カバー81との接続部には、収容カバーC21に対して接続される特許文献2に開示されるような別体構造の保護カバーC’が使用され、図18(a)の配置例では、流体管群P0 の屈曲部は、当該保護カバーC’内に収容される。
【0005】
いずれの配置例においても、保護カバーC’を給湯器Hの配管カバー81に密着状態で配置させることは、以下の各理由で難しい。第1に、当該保護カバーC’が設置面に固定される基台と、当該基台に覆蓋される蓋体とから成る場合には、蓋体の覆蓋時に自身の側壁を外側に弾性変形させる必要があるために、当該弾性変形を許容させる空間部が必要であること、第2に、保護カバーC’自体の流体管の配設方向に沿った端部の形状は、密着を許容する平面状になっていないことが多いこと、第3に、保護カバーC’の形状からして、前記密着が可能であったとしても、この施工は難しく、前記配管カバー81の外面と保護カバーC’との間には、所定の隙間G’を残す方が圧倒的に施工が容易となることである。そして、当該隙間G’が残存している場合には、当該隙間に流体管群P0 の一部が露出されると共に、当該隙間にゴミ類が集積され易く、この部分の見栄えが悪くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-152825号公報
【文献】特開2011-27194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、機器又は構造物の外面に対して一定でない隙間を発生させた状態で保護カバーを配置させる構造において、当該隙間の大きさとは無関係に当該隙間から露出する配線・配管材を覆い隠すことを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、互いに組み付けられる基台と蓋体とから成って、一側に配線・配管材が内部に収容される収容カバーが接続される接続口が形成され、
他側に設けられた前記接続口と対面する対面壁と、当該対面方向と直交する方向に沿って対向して配置された一対の側壁と、当該一対の側壁に連設される天壁と、当該天壁に対向して配置されて構造物に対して固定される固定部を有する底板とで囲まれる内部に、管継手及び/又は配線・配管材が収容される収容空間を形成する保護カバーと、
機器又は構造物の壁部に沿って配置される沿い板部と、前記壁部から離間する方向に延設されて、対向配置された一対の側板部と当該一対の側板部を連結する天板部を有する連通路形成部とを備える連通路形成カバーと、
から成り、
前記保護カバーの一対の側壁の少なくとも一方の側壁、又は前記対面壁には、前記接続口から内部に引き込まれた配線・配管材が、当該内部に収容されて、屈曲された管継手又は当該配線・配管材自体の屈曲部により、前記一方の側壁に向かうように屈曲された第1配管経路、又は前記接続口から内部に引き込まれた配線・配管材を直線状に配設するための第2配管経路を通して前記配線・配管材を引出し可能とする貫通孔が形成され、
前記保護カバーの貫通孔には、前記連通路形成カバーの連通路形成部を当該保護カバーの内部に挿入可能であり、
前記保護カバーの底板には、前記連通路形成カバーの側板部と干渉することなく、自身の連通路形成部の挿入を許容する挿入許容部が設けられていることを特徴としている。
【0009】
機器又は構造物の外面と保護カバーの一方の側壁との間には、所定の隙間が発生した状態で施工される。請求項1の発明によれば、配線・配管材は、保護カバー内の第1配管経路を通って配線・配管材が配設される場合は、当該配線・配管材は、保護カバーの内部において屈曲されて管継手又は当該配線・配管材自体の屈曲部により、当該保護カバーの一方の側壁に向けて配管され、当該一方の側壁に形成された貫通孔を通して保護カバーから引き出されて機器又は構造物の内部に引き込まれる。保護カバーの一方の側壁に形成された前記貫通孔の部分には、当該保護カバーに形成された挿入許容部に、連通路形成カバーの連通路形成部が当該保護カバーの内部に対して所定長だけ挿入された状態で配置されているため、前記隙間の部分に露出している配線・配管材は、前記連通路形成カバーの連通路形成部を構成する一対の側板部と天板部とにより、全体が覆われる。これにより、前記隙間の部分において配線・配管材の一部が露出することで、機器又は構造物の外面と保護カバーとの間の外観が害されるのを防止できる。
【0010】
また、前記隙間の大きさに反比例して、保護カバーの内部に対する連通路形成カバーの連通路形成部の挿入長を定めることで、当該隙間の大きさとは無関係に、前記隙間の部分において露出する配線・配管材が部分的に覆い隠されるので、機器又は構造物の外面に近接して配置される保護カバー及び当該保護カバーに接続される収容カバーの配置位置の自由度が高められ、結果として、保護カバー及び収容カバーの施工の自由度が高められる。
【0011】
一方、配線・配管材が保護カバー内の第2配管経路に配管される場合、即ち、当該配線・配管材がそのまま直線状に配設される場合には、当該配線・配管材は、保護カバーの対面壁に形成された貫通孔を通って外部に引き出されて、機器等の内部に引き込まれる。機器等の外面と保護カバーの対面壁との間に形成される隙間から露出している配線・配管材の一部は、保護カバーの当該対面壁と、機器等の外面との間に配設される連通路形成カバーの連通路形成部により覆われることで、当該部分の外観が害されるのを防止できる。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記保護カバーの挿入許容部は、前記連通路形成カバーの連通路形成部の挿入長を無段階に調整可能であることを特徴としている。
【0013】
請求項2の発明によれば、機器等の外面と、保護カバーの一方の側壁又は対面壁との間に形成される隙間の大きさに変化があっても、全ての大きさの隙間を完全に閉塞できる。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記保護カバーの挿入許容部は、前記連通路形成カバーの連通路形成部における沿い板部から先端まで突出長の半分以上を挿入可能であることを特徴としている。
【0015】
請求項3の発明によれば、機器等の外面に対する保護カバーの一方の側壁又は対面壁の固定配置位置として、前記隙間が、前記連通路形成カバーの連通路形成部における沿い板部から先端まで突出長の半分程度に設計して施工しても、当該隙間は、相当の余裕を有して前記連通路形成カバーの連通路形成部で覆われるので、保護カバーの固定配置に係る施工の自由度が高められる。
【0016】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記保護カバーの挿入許容部は、前記連通路形成カバーにおける前記貫通孔側に開放された連通路形成部が入り込む幅の溝状をなしていることを特徴としている。
【0017】
請求項4の発明によれば、保護カバーの挿入許容部が前記貫通孔の側に開放された溝状をなしているため、保護カバーの溝状の挿入許容部に対する連通路形成カバーの連通路形成部の移動がスムーズなスライド状となるため、狭隘な前記隙間において行う連通路形成カバーの連通路形成部の移動が容易となって、前記連通路形成カバーの連通路形成部により当該隙間を完全に閉塞できる。
【0018】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記挿入許容部は、当該挿入許容部に挿入された前記連通路形成部に対して圧接される圧接部を有することを特徴としている。
【0019】
請求項5の発明によれば、保護カバーの挿入許容部の有する圧接部が前記連通路形成部に圧接することで発生する摩擦力(抵抗力)により、当該挿入許容部に挿入されて、前記隙間を閉塞している状態の連通路形成カバーの連通路形成部が前記挿入方向に移動するのが阻止される。よって、施工直後には、連通路形成カバーの連通路形成部により完全に閉塞されて前記隙間が再度発生する恐れがなくなる。
【0020】
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの発明において、前記保護カバーの貫通孔は、閉塞されており、除去されて当該貫通孔が形成されることを特徴としている。
【0021】
請求項6の発明によれば、保護カバーの貫通孔は、閉塞されており、除去されて当該貫通孔が形成される構成であるので、必要な貫通孔のみを開口させることで、残りの側壁又は対面壁の貫通孔は閉塞されて壁状を維持しているため、無用な貫通孔が残存しなくなる。
【0022】
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかの発明において、前記保護カバーの貫通孔は、前記一対の側壁の少なくとも一方に形成されて、当該保護カバーは、前記対面壁、一対の側壁及び天壁を有する蓋体と、前記底板を有する基台とが組み付けられて構成され、前記側壁の内側に前記基台に形成された被係合部と係合する係合部が突出形成されていることを特徴としている。
【0023】
請求項7の発明は、前記保護カバーの側壁の内側に前記基台に形成された被係合部と係合する係合部が突出形成されていて、当該保護カバーの側壁が外側に僅かに弾性変形により傾動された後に、原形状に復元することで、前記係合が完成される構成であり、機器等の外面と保護カバーの側壁との間の隙間の存在により、当該側壁の弾性変形が可能となる。
【0024】
請求項8の発明は、収容カバーの内部に収容配設された配線・配管材が接続又は導入される機器又は構造物の近辺に、前記配線・配管材の途中を部分的に収容配置させる保護カバーの配設経路が形成され、
前記保護カバーは、他側に設けられた接続口と対面する対面壁と、当該対面方向と直交する方向に沿って対向して配置された一対の側壁と、当該一対の側壁に連設される天壁と、当該天壁に対向して配置された固定部を有する底板とで囲まれる空間が、管継手及び/又は前記配線・配管材が収容される収容空間を形成しており、
前記保護カバーにおける前記一対の側壁の少なくとも一方の側壁、又は前記対面壁には、貫通孔が形成されており、
前記機器又は構造物と、前記貫通孔が形成された側壁又は対面壁との間には、隙間が形成されており、
内部に前記配線・配管材を通過配設可能な連通路を形成する連通路形成部は、一端側が、前記機器又は構造物の外面に沿って配置されて、前記隙間から外部に露出する前記管継手及び/又は前記配線・配管材を覆うようにして、当該隙間に配置され、その他端側が、前記貫通孔から前記保護カバー内に入り込んでいることを特徴としている。
【0025】
請求項8の発明は、請求項1の発明を「配線・配管材の配設構造」の面から把握して表現したものであって、その作用効果は、請求項1の発明と同等である。
【0026】
請求項9の発明は、請求項8の発明において、前記保護カバーは、前記対面壁、一対の側壁及び天壁を有する蓋体と、前記底板を有する基台とが互いに組み付けられて構成され、
前記貫通孔が形成された前記一対の側壁のうち少なくとも一方の側壁又は前記対面壁の内側には、前記基台に形成された被係合部と係合する係合部が形成されており、
前記被係合部に対して係合部が形成された側壁又は対面壁が外側に傾動することで、前記係合部と前記被係合部とが係合可能であり、前記隙間は、少なくとも、前記側壁又は対面壁が外側に傾動する傾動幅よりも広く形成されていることを特徴としている。
【0027】
請求項9の発明によれば、基台の被係合部に対して係合部が形成された前記保護カバーの側壁又は対面壁が外側に傾動することで、前記係合部と前記被係合部とが係合可能であり、前記隙間は、少なくとも、前記側壁又は対面壁が外側に傾動する傾動幅よりも広く形成されているために、保護カバーの側壁又は対面壁は、機器等の外面と干渉することなく外側に傾動して、前記係合が完成される。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、配線・配管材は、保護カバー内の第1配管経路を通って配線・配管材が配設される場合は、当該配線・配管材は、保護カバーの内部で屈曲されて、一方の側壁に形成された貫通孔を通して保護カバーから引き出されて機器又は構造物の内部に引き込まれ、保護カバーの当該一方の側壁に形成された前記貫通孔の部分には、当該保護カバーに形成された挿入許容部に、連通路形成カバーの連通路形成部が当該保護カバーの内部に対して所定長だけ挿入された状態で配置されているため、前記隙間の部分に露出している配線・配管材は、前記連通路形成カバーの連通路形成部を構成する一対の側板部と天板部とにより、全体が覆われて、前記隙間の部分において配線・配管材の一部が露出することで、機器又は構造物の外面と保護カバーとの間の外観が害されるのを防止できる。
また、前記隙間の大きさに反比例して、保護カバーの内部に対する連通路形成カバーの連通路形成部の挿入長を定めることで、当該隙間の大きさとは無関係に、前記隙間の部分において露出する配線・配管材の一部が覆い隠されるので、機器又は構造物の外面に近接して配置される保護カバー及び当該保護カバーに接続される収容カバーの配置位置の自由度が高められ、結果として、保護カバー及び収容カバーの施工の自由度が高められる。
【0029】
一方、配線・配管材が保護カバー内の第2配管経路に配管される場合、即ち、当該配線・配管材がそのまま直線状に配管される場合には、当該配線・配管材は、保護カバーの対面壁に形成された貫通孔を通って外部に引き出されて、機器等の内部に引き込まれる。機器等の外面と保護カバーの対面壁との間に形成される隙間から露出している配線・配管材の一部は、当該対面壁の貫通孔の部分に配置された連通路形成カバーの連通路形成部により覆われることで、当該部分の外観が害されるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明に係る保護カバーC1 内において計4本の流体管P1 ~P4 を屈曲されると共に、当該保護カバーC1 と給湯器Hの配管カバー81との間の隙間G1 が連通路形成カバーC11で覆われて、前記流体管P1 ~P4 が前記配管カバー81の内部に引き込まれた状態の斜視図である。
図2】同じく平面図である。
図3】同じく、施工途中の状態を示す部分拡大斜視図である。
図4図3のX-X線概略断面図である。
図5】保護カバーC1 を構成する基台V1 及び蓋体L1 と、連通路形成カバーC11との分解斜視図である。
図6】(a),(b)は、それぞれ連通路形成カバーC11を異なる方向から見た斜視図である。
図7】(a),(b)は、それぞれ保護カバーC1 の基台V1 に連通路形成カバーC11が組み付けられた状態を異なる方向から見た斜視図である。
図8】同様の状態の平面図である。
図9】基台V1 と、当該基台V1 に一体に組み付けられる第1及び第2の各鞘管保持体K1 ,K2 の分解斜視図である。
図10】(a),(b)は、連通路形成カバーC11を取り外した状態の図8のY1 -Y1 線、及びY2 -Y2 線の各断面図である。
図11】基台V1 に対する第1鞘管保持体K1 の組付け構造を示す断面図である。
図12】流体管P1 ~P4 の保護カバーC1 から外部に直線状に引き出される部分を鞘管B1 ,B2 で覆う施工例における当該保護カバーC1 の部分の分解斜視図である。
図13】同じく施工状態を示す斜視図である。
図14】本発明に係る保護カバーC2 内において計4本の流体管P1 ~P4 が直線配管されていると共に、当該保護カバーC2 と給湯器Hの配管カバー81との間の隙間G2 が連通路形成カバーC11で覆われて、前記流体管P1 ~P4 が前記配管カバー81の内部に引き込まれた状態の斜視図である。
図15】同様の状態の平面図である。
図16】保護カバーC2 を構成する基台V1 及び蓋体L1 と、連通路形成カバーC11との分解斜視図である。
図17】保護カバーC2 の対面壁にノックアウトにより貫通孔40が形成されて、基台V1 における当該貫通孔40に対応する部分に連通路形成カバーC11が挿入された状態の斜視図である。
図18】(a),(b)は、それぞれ収容カバーC21内に二段配設により収容されている4本の流体管P1 ~P4 が保護カバーC’の部分で引き出されて、給湯器Hの下方に配置された配管カバー81内に引き込まれる異なる施工例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、複数の最良の実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0032】
図1図4において、リフォームに係る建物のベランダの壁面Wには、壁掛け型のガス給湯器(以下、単に「給湯器」という)Hが壁掛け固定され、当該給湯器Hには、本管用の給湯短管及び給水短管と、追焚き用の給湯短管及び給水短管との計4本の流体管並びにガス管(いずれも図示せず)が接続されて、当該給湯器Hの下端から短管状となって垂れ下がっている。給湯器Hの下端から垂れ下がっている短管状の計4本の流体管並びにガス管は、いずれも前記給湯器Hと同一横断面形状の配管カバー81で覆われることで、給湯器H及び配管カバー81は、上下方向に沿って無段差で連続していると共に、配管カバー81は、後述の保護カバーC1 及び収容カバーC21が設置されるベランダの配置面Fに当接又は近接している。なお、図1において82は、給湯器Hの燃焼ガスを排気させる排気口を示す。
【0033】
上記した短管状の計4本の流体管は、浴槽及び水道管に接続される本管用の給湯管P1 及び給水管P2 と、同様に浴槽及び水道管に接続される追焚き用の給湯管P3 及び給水管P4 とが、それぞれ配管カバー81の内部において接続される。追焚き用の流体管P3 ,P4 は、本管用の流体管P1 ,P2 よりも細く、計4本の流体管P1 ~P4 は、追焚き用の各流体管P3 ,P4 を上にして二段配設(配管)された状態で収容カバーC21に収容され、配管カバー81の側方で直角に屈曲されて、当該配管カバー81内に入り込んで、給湯器Hの下端から垂れ下がっている短管状の各流体管にそれぞれ接続される。計4本の流体管P1 ~P4 の屈曲部は、端末カバー状の保護カバーC1 に収容され、上記のように通常の施工では、当該保護カバーC1 と配管カバー81との間には、所定の隙間G1 図2及び図4参照)が形成される。
【0034】
次に、図5図11を参照して、本発明の実施例1の保護カバー装置は、前記保護カバーC1 と、当該保護カバーC1 に一体に組み付けられる連通路形成カバーC11とから成る。保護カバーC1 は、流体管P1 ~P4 が配設されるベランダの配置面Fに固定される基台V1 と、当該基台V1 に対して覆蓋される蓋体L1 とから成る。当該基台V1 及び蓋体L1 は、いずれも樹脂の射出成形により形成される。保護カバーC1 は、自身の内部で流体管P1 ~P4 の途中を屈曲させて、当該屈曲部を保護カバーC1 の第1配管経路R1 図2参照)に沿って配設して、外部に引き出す配設形態と、自身の内部で流体管P1 ~P4 をそのまま直状に配設することで、流体管P1 ~P4 の一部の直線部を保護カバーC1 の第2配管経路に沿って配設して、そのまま外部に引き出す配設形態との2つの配設形態がある。
【0035】
基台V1 は、図5図7図9に示されるように、底板1は、平面視で方形状をなしていて、蓋体L1 と協働して流体管P1 ~P4 の接続口34(図5参照)に対応する辺S1 を除く残りの3辺S2 ~S4 の各部分には、高さの異なる立壁部2a、2b、3、4がそれぞれ連続状態で形成されている。底板1の前記接続口34に対応する辺S1 と、当該辺S1 に連続していて、互いに対向する別の2つの辺S2 ,S3 との各コーナー部は、大きく切り欠かれて、当該切欠き部には、中間の高さの立壁部2aが、前記別の2つの各辺S2 ,S3 に設けられた立壁部2aと接続されている。
【0036】
底板1における互いに対向する各辺S2 ,S3 の部分には、後述の連通路形成カバーC11の連通路形成部41の各側板部41aを挿入される一対一組の挿入溝5がそれぞれ形成されている。当該挿入溝5の挿入側の一方の内面には、前記連通路形成部41の側板部41aの外側面に対して圧接させることで、摩擦抵抗力を発生させて、当該挿入溝5に挿入された前記側板部41aが、その位置から基台V1 に対して両方向にスライドするのを防止するための圧接突部6が高さ方向に形成されている。底板1の辺S2 ,S3 の部分には、当該各辺S2 ,S3 と直交して前記各立壁部2a,2bと同一高さの一対一組の厚肉部7が、連通路形成カバーC11の各側板部41aの間隔と同一の間隔をおいて形成され、各厚肉部7に前記挿入溝5が各辺S2 ,S3 と直交する奥方向に形成されて、その奥端は、閉塞されている。一対の厚肉部7の間には、並列配設された2本の流体管P1 ,P2 が配設されるため、当該配設が可能な間隔を有しており、底板1における一対の厚肉部7の間に形成された立壁部3は、流体管P1 ,P2 の配設に支障がないように前記立壁部2a,2bよりは遥かに低く形成されている。
【0037】
底板1の辺S4 の部分には、流体管P1 ,P2 が内部に挿入される鞘管B1 の一端部を配置する鞘管配置部11となっていて、当該鞘管B1 の外径に対応した横断面が半円弧状の2つの鞘管配置凹部12が、流体管P1 ~P4 の直線状の配設方向と直交する方向(辺S4 に沿った方向)に沿って隣接して形成されている。鞘管配置部11の流体管P1 ~P4 の直線配設方向に沿った寸法は、前記立壁部2bの長さに対応している。前記鞘管B1 を使用した流体管P1 ~P4 の直線配設を行わない場合、即ち、保護カバーC1 の内部で流体管P1 ~P4 を屈曲させて、外部に引き出す場合には、前記鞘管配置凹部12は不用となって、基台V1 に対して蓋体L1 を覆蓋した状態で、底板1の辺S1 と対向する前記鞘管配置部11には、第1鞘管保持体K1 が組み付けられて閉塞される。このため、底板1の前記鞘管配置部11には、当該鞘管配置部11の最大高さとなる前記鞘管配置凹部12と同一高さの立壁部4が、当該鞘管配置凹部12の両側に形成されている。
【0038】
基台V1 の各辺S2 ,S3 の部分に形成された各立壁部2a,2bの外面側には、各凹部13a,13bがそれぞれ形成され、当該各立壁部2a,2bの外側の上端部には、当該各凹部13a,13bに入り込んだ形態で各突出部18a,18bが形成されて、当該各突出部18a,18bの下端部は、蓋体L1 の各側壁31の内面に形成された各係合部E1 ,E2 と係合される各被係合部E11,E12として機能する。
【0039】
保護カバーC1 の基台V1 の辺S1 の部分の中央部には、当該保護カバーC1 に後述の収容カバーC21の端部を接続する際に、保護カバーC1 の基台V1 に対する収容カバーC21の基台V21の幅方向の位置決めを行うための位置決め片14が当該部分の流体管P1 ~P4 の配設方向に突出して形成されている。方形状の底板1の各コーナー部には、ベランダ面等の配置面Fに対して基台V1 をビス固定するためのビス孔15がそれぞれ形成されている。底板1における各辺S1 ,S4 の中央部には、2本並列配設される流体管P1 ~P4 の中央位置を示すと共に、当該底板1自体を補強する第1位置決め突条16aが各辺S2 ,S3 と平行に沿って形成されていると共に、底板1の各辺S2 ,S3 の部分に形成された一対一組の挿入溝5の中央には、同様の第2位置決め突条16bが各辺S1 ,S4 と平行に形成されている。
【0040】
前記第1鞘管保持体K1 は、図11に示されるように、鞘管配置部11における各鞘管配置凹部12の外側に形成された各被係合部21に対して係合される係合部22を備えており、当該係合により、基台V1 の鞘管配置部11に一体に組み付けられる。また、保護カバーC1 の内部で流体管P1 ~P4 を屈曲させて配設する場合、即ち、鞘管B1 を使用しない場合には、第1鞘管保持体K1 の鞘管配置予定部に一体に設けられたノックアウト構造の各閉塞板23,24は、大径の鞘管配置凹部12、及びその直上の小径の鞘管配置凹部19の閉塞のためにそのまま残しておく。なお、第2鞘管保持体K2 は、鞘管B2 を配置させる場合において、自身の各係合部25が第1鞘管保持体K1 の各被係合部26にそれぞれ係合されて、一体に組み付けられることで、小径の流体管P3 ,P4 に対応した鞘管B2 を配置するためのみに使用されるものであって、これ以外の用途には使用されない。
【0041】
一方、基台V1 に一体に組み付けられる蓋体L1 は、図2及び図5に示されるように、一対の側壁31が天壁32で連結されて、断面逆U字状に形成され、当該一対の側壁31における収容カバーC21と接続される側には、当該一対の側壁31の幅よりも狭い幅の断面逆U字状の接続部33が一体に形成されて、当該接続部33の接続側の開口は、接続口34となっている。蓋体における当該接続口34と対向する部分は、対面壁35となっている。保護カバーC1 の内部において流体管P1 ~P4 を屈曲配設させる場合には、基台V1 に第1鞘管保持体K1 を一体に組み付けた状態で、当該基台V1 に対して蓋体L1 を一体に組み付けることで、蓋体L1 の接続口34と対向する対面壁35の部分は、第1鞘管保持体K1 と協働して閉塞される構成になっているため、前記対面壁35は、基台V1 に対して第1鞘管保持体K1 が組み付けられた外形に倣って切り欠かれた形状になっている。
【0042】
保護カバーC1 の内部において流体管P1 ~P4 を屈曲させて配設する場合には、一対の側壁31のいずれか一方の部分から当該流体管P1 ~P4 が引き出しを可能にするための貫通孔36が形成されている。当該貫通孔36は、下端側開口37の側に開口されていて、貫通孔形成予定部38となる部分にノックアウト溝39が形成されて、当該ノックアウト溝39の部分で貫通孔形成予定部38をノックアウトすることで、貫通孔36が形成される。このような構造にしたのは、鞘管B1 ,B2 を使用して、保護カバーC1 内で流体管P1 ~P4 を屈曲させることなく、そのまま直線配設させる場合には、貫通孔36を形成する必要がなく、一対の側壁31は、その全体が壁状にしておく必要があるためである。前記貫通孔36は、一対の側壁31のいずれに形成されるかは、施工の段階で決定されるので、各側壁31には、いずれもノックアウト構造の貫通孔形成予定部38が形成されている。蓋体L1 の一対の側壁31の内側面における下端側開口37に臨む部分には、基台V1 の一対一組の被係合部E11,E12とそれぞれ係合される一対一組の係合部E1,E2 がそれぞれ内方に突出して形成されている。
【0043】
基台V1 と蓋体L1 との組み付けは、当該基台V1 の上方から蓋体L1 を当該基台V1 に介して押し付けると、当該蓋体L1 の一対一組の係合部E1,E2 が、基台V1 の各突出部18a,18bの上端の傾斜面に当接することで、蓋体L1 の各側壁31は、その外側に弾性変形により僅かに傾動した後に、原形状に復元することで、蓋体L1 の一対一組の係合部E1,E2 と、基台V1 の一対一組の被係合部E11, E12とが計4箇所でそれぞれ互いに係合することで、図10(b)に示されるように、基台V1 と蓋体L1 とは、一体に組み付けられて、その内部は、各流体管P1 ~P4 の屈曲部及びその前後の短い直管部を収容する収容空間A1 となっている。
【0044】
前記隙間G1 を覆うための連通路形成カバーC11は、図5図8に示されるように、下端側が開口された方形状の前記貫通孔36の外形状に対応した断面逆U字状の連通路形成部41における流体管P1 ~P4 の通過方向に沿った一端部に、フランジ板状の沿い板部42が外側に向けて形成され、内部空間は、前記隙間G1 の部分で露出した流体管P1 ~P4 を部分的に収容する流体管部分収容空間43となった構成である。前記沿い板部42は、前記配管カバー81の側板部81a(機器の壁部)における管挿通孔83の周縁部に沿って密着状態で配置される。よって、当該沿い板部42は、管挿通孔83を覆い隠す化粧板としての機能も果す。連通路形成カバーC11の連通路形成部41の横断面の外面形状は、前記蓋体L1 の側壁31に形成される貫通孔36の形状と同一又は僅かに小さな相似形に形成されている。連通路形成カバーC11の各側板部41aの下端部は、基台V1 の一対の挿入溝5に挿入されることで、当該基台V1 に対して連通路形成カバーC11が組み付けられる。一対の挿入溝5に対する連通路形成カバーC11の各側板部41aの挿入長は、前記隙間G1 に対応して無段階に調整可能であるため、当該連通路形成カバーC11により前記隙間G1 は、当該隙間G1 の大きさとは無関係に完全に閉塞される。
【0045】
なお、上記した連通路形成カバーC11、第1及び第2の各鞘管保持体K1 ,K2 は、保護カバーC1 の基台V1 及び蓋体L1 と同様に、樹脂の射出成形により形成される。
【0046】
そして、給湯器Hから垂れ下がっている計4本の短管状の流体管と、浴槽及び水道管にそれぞれ接続された計4本の流体管P1 ~P4 とを接続するには、以下のようにして行う。給湯器Hから垂れ下がっている計4本の短管状の流体管及びガス管を覆う配管カバー81の側板部81aの下端部には、保護カバーC1 の蓋体L1 の各側壁31に形成された貫通孔36とほぼ同一形状の管挿通孔83(図4参照)が形成されている。
【0047】
まず、図7及び図8に示されるように、基台V1 における各流体管P1 ~P4 が屈曲配設される側の一対一組の各挿入溝5に、連通路形成カバーC11の連通路形成部41の各側板部41aを所定長だけ挿入させることで、基台V1 と連通路形成カバーC11とを仮組み付けしておく。ここで、基台V1 の各挿入溝5に対する連通路形成カバーC11の各側板部41aの挿入長M1 は、基台V1 に対する連通路形成カバーC11の組付け強度の確保の点から、当該各側板部41aの挿入方向に沿った全長M0 の半分以上であることが好ましい。この状態で、連通路形成カバーC11の沿い板部42を配管カバー81の側板部81aに当接させ、この位置において、前記基台V1 の配管カバー81の側板部81aの側方に配置面F上に当該基台V1 を配置させ、底板1に形成された計4個のビス孔15のうち必要なビス孔15にビスJを挿入して、当該ビスJにより当該基台V1 を配置面Fにビス固定する。なお、基台V1 には、図5に示されるように、第1鞘管保持体K1 が一体に組み付けられている。
【0048】
流体管P1 ~P4 の大部分である直管部は、収容カバーC21に収容保護される。収容カバーC21は、図1図3に示されるように、配置面Fにビス固定される基台V21と、当該基台21に覆蓋されて係合構造により一体に組み付けられる蓋体L21とから成り、当該蓋体L21の外側に、前記保護カバーC1 の蓋体L1 の接続部33が覆い被せられて互いに接続されるために、当該蓋体L21のサイズは、蓋体L1 の接続部33のサイズに準じている。即ち、当該蓋体L21は、蓋体L1 の接続部33に対して僅かに小さな相似形となっている。収容カバーC21の基台V21は、サイズの大きな(太い側の)流体管P1 ,P2 を、横ずれすることなく並列配管可能なように、横断面で凹凸状になっていて、その幅方向の両端部には、被係合部71が全長に亘って形成されている。一方、収容カバーC21の蓋体L21は、断面逆U字状をなしていて、各側壁72の内側面であって、しかも開口側の端部には、基台V21の被係合部71と係合される係合部73が全長に亘って形成されている。なお、図1図3において、74は、蓋体L21の各側壁72を連結している天壁を示す。
【0049】
次に、配置面Fにおける配管カバー81の側方にビス固定された保護カバーC1 の基台V1 に対して前記収容カバーC21の基台V21を接続して、当該基台V21を配置面Fにビス固定する。固定済の保護カバーC1 の基台V1 に対する収容カバーC21の基台V21の幅方向に沿った位置決めは、保護カバーC1 の基台V1 に設けられた位置決め片14を用いて行う。
【0050】
図2及び図3において、本管用の給湯管P1 及び給水管P2 の屈曲部は、いずれも管継手である90°エルボD1 で構成され、即ち、給湯管P1 及び給水管P2 は、いずれも配管カバー81の内外に配置される直管が90°エルボD1 で接続されることで、屈曲部が形成されている。追焚き用の給湯管P3 及び給水管P4 に関しても、直管を小サイズの90°エルボD2 で接続することで、屈曲部が形成されている。90°エルボD1 により屈曲された本管用の給湯管P1 及び給水管P2 の大部分である直管部は、前記収容カバーC21の基台V21の上に並列配管されると共に、90°エルボD1 で形成される屈曲部及びその前後の所定長の短い部分は、保護カバーC1 の基台V1 の上に屈曲状態で並列配管されると共に、当該基台V1 から引き出されて、配管カバー81の管挿通孔83を通って内部に入り込んでいる。同様にして、小サイズの90°エルボD2 により屈曲された追焚き用の給湯管P3 及び給水管P4 の大部分である直管部は、前記収容カバーC21の基台V21の上に並列配管された本管用の給湯管P1 及び給水管P2 の上に並列配管されると共に、90°エルボD2 で形成される屈曲部及びその前後の所定長の短い部分は、保護カバーC1 の基台V1 の上に配置された前記90°エルボD1 及びその前後の短い所定長の部分の上に屈曲状態で並列配管されると共に、当該基台V1 から引き出されて、配管カバー81の管挿通孔83を通って内部に入り込んでいる。なお、基台V1 から引き出されて、配管カバー81の管挿通孔83を通って当該配管カバー81の内部に入り込んだ各流体管P1 ~P4 は、給湯器Hの下端から垂れ下がっていて、当該各流体管P1 ~P4 に対応する短管状の各流体管にそれぞれ接続される。
【0051】
次に、図2に示されるように、計4本の流体管P1 ~P4 の直線部が2本並列及び二段配設の状態で載せられている収容カバーC21の基台V21に対して蓋体L21を上方から押し付けると、蓋体L21の係合部73と基台V21の被係合部71とが係合されて、基台V21と蓋体L21とが一体に組み付けられて、内部の収容空間に計4本の流体管P1 ~P4 が上記状態で収容される。
【0052】
最後、図2に示されるように、計4本の流体管P1 ~P4 の各屈曲部(各90°エルボD1 ,D2 及びその前後の短い直管状の部分)が配置された保護カバーC1 の基台V1 に対して蓋体L1 を一体に組み付ける。当該蓋体L1 の各側壁31における屈曲された計4本の流体管P1 ~P4 が引き出される側の側壁31の貫通孔形成予定部38はノックアウト溝39の部分で予めノックアウトされて貫通孔36が形成されているため、基台V1 に対して蓋体L1 を組み付けることで、当該貫通孔36の部分に、連通路形成カバーC11の連通路形成部41が入り込んだ形態となる。
【0053】
基台V1 に対して一方の側壁31に貫通孔36が形成された蓋体L1 を上方から押し付けると、当該蓋体L1 の一対一組となった二組の各係合部E1 ,E2 は、基台V1 の各突出部18a,18bに当接した状態に押し下げられて、一対の側壁31は弾性変形により外方に僅かに傾動した後に、原形状に復元することで、蓋体L1 の各係合部E1 ,E2 は、基台V1 の各被係合部E11,E12 にそれぞれ係合されて、図1及び図3に示されるように、当該蓋体L1 の接続部33が前記収容カバーC21の蓋体L21の端部を部分的に覆った状態で、当該基台V1 に対して蓋体L1 が一体に組み付けられて保護カバーC1 となる。図4に示されるように、計4本の流体管P1 ~P4 の各屈曲部は、保護カバーC1 の収容空間A1 に収容される。
【0054】
保護カバーC1 の基台V1 に対して蓋体L1 が組み付けられた状態では、結果的に、蓋体L1 の貫通孔36を通って連通路形成カバーC11の連通路形成部41は、当該保護カバーC1 の収容空間A1 の内部に所定長だけ入り込んで、連通路形成カバーC11の連通路形成部41の外周面と、蓋体L1 の貫通孔36の内周面とが全周に亘って当接又は近接した状態となることで、両者の間に隙間が形成されなくなる。この結果、配管カバー81と保護カバーC1 との間には、所定の隙間G1 が形成されて、当該隙間G1 の部分に露出される計4本の流体管P1 ~P4 の当該露出部分は、連通路形成カバーC11の連通路形成部41に覆い隠されて、当該隙間G1 の部分における各流体管P1 ~P4 の部分露出により、当該部分の外観が害されるのを防止できる。なお、保護カバーC1 の基台V1 に対する蓋体L1 の組付け時において、当該蓋体L1 の各側壁31は、弾性変形により僅かに外方に傾動するが、当該傾動は、前記隙間G1 の存在により可能となる。
【0055】
ここで、上記では、各流体管P1 ~P4 の屈曲部は、90°エルボD1 ,D2 で構成されているが、各流体管P1 ~P4 が屈曲(わん曲)可能な樹脂管である場合には、直接に屈曲(わん曲)させてもよい。
【0056】
また、実施例1の保護カバーC1 において、第1鞘管保持体K1 の各閉塞板23,24をノックアウトにより折り取ることで、図12及び図13に示されるように、第1及び第2の各鞘管保持体K1 ,K2 を用いることて、基台V1 の鞘管配置部11に計4本の流体管P1 ~P4 に対応したサイズの異なる計4本の鞘管B1 ,B2 の端部を保持させられ、これにより、蓋体L1 の対面壁35の部分からそのまま直線状となって引き出される計4本の流体管P1 ~P4 をそれぞれ各鞘管B1 ,B2 に収容させる施工が可能となる。なお、この施工例では、蓋体L1 の各側壁31は、貫通孔形成予定部38は、そのまま残して完全壁状にしておく。
【0057】
ここで、連通路形成カバーC11は,連通路形成部41を構成する各側板部41aが保護カバーC1 の挿入溝5に挿入された状態で、当該各側板部41aに対して、各挿入溝5の内面に形成された圧接突部6が圧接する構成により、配置面Fに固定された保護カバーC1 に対して前記連通路形成カバーC11は、前記挿入溝5の方向に沿ってスライド不能となり、この結果、配管カバー81の側板部81aの管挿通孔83の周縁部に配置された連通路形成カバーC11の沿い板部42の配置位置は不変となる。しかし、配管カバー81の側板部81aのように、両面テープによる接着が可能な場合には、前記沿い板部42における側板部81aとの対向面に貼着した両面テープにより、当該沿い板部42を前記側板部81aに直接に貼着させて、当該貼着と、前記圧接突部6に対する連通路形成カバーC11の側板部41aの圧接との双方により、配管カバー81の側板部81aに対する連通路形成カバーC11の配置位置を不変にしてもよい。更に、保護カバーC1 から引き出された流体管P1 ~P4 が引き込まれる対象が建物壁等の構造物である場合には、前記連通路形成カバーC11の沿い板部42の外周縁と前記構造物の外面との間に、所定の隙間であるコーキング代を形成して、当該コーキング代に充填されたコーキング材により、前記連通路形成カバーC11を構造物の壁面に固定することも可能である。更に、フランジ板状の沿い板部42は、配管カバーの側板部81aのように、ビス固定が可能な壁部の場合には、ビス固定も可能である。
【実施例2】
【0058】
次に、図14図17を参照して、本発明の実施例2の保護カバー装置について説明する。実施例2の保護カバー装置は、実施例1の保護カバーC1 を部分的に変形させた保護カバーC2 と、前記連通路形成カバーC11とから成る。当該保護カバーC2 は、収容カバーC21に収容された計4本の流体管P1 ~P4 を、そのまま直線状を保持して保護カバーC2 内の第2配管経路R2 を通過させて、蓋体L2 の接続口34と対向する対面壁35’の部分から外部に引き出し可能とする構成である。なお、保護カバーC2 を構成する基台V2 及び蓋体L2 は、いずれも実施例1の保護カバーC1 の基台V1 及び蓋体L1 において、前記第1配管経路R1 を形成可能なように変形したものであるので、同一又は同等の部分には、同一符号又は同一符号に「’」を付して図示のみ行い、異なる構成の部分についてのみ説明する。
【0059】
保護カバーC2 の基台V2 は、図16及び図17に示されるように、前記基台V1 に対して一対の鞘管配置凹部12の部分の第1配管経路R1 に沿った方向の長さを短くすることで、左右一対の立壁部4’との間に、連通路形成カバーC11の連通路形成部41が嵌着状態で挿入される嵌着挿入凹部51が形成されている構成のみが異なる。一方、蓋体L2 は、前記蓋体L1 に対して接続口34と対向する対面壁35’を全面壁に形成して、当該対面壁35’にも、ノックアウト構造の貫通孔形成予定部38を形成することで、一対の側壁31及び対面壁35’の計3つの壁の部分に貫通孔36を形成可能にした構成のみが異なる。
【0060】
このため、図17に示されるように、基台V2 の嵌着挿入凹部51に連通路形成カバーC11の連通路形成部41を嵌着状態で挿入することで、当該基台V2 に対して連通路形成カバーC11を一体に組み付けると共に、蓋体L2 の対面壁35’の貫通孔形成予定部38をノックアウトして貫通孔36を形成しておく。なお、図17において、38’は、蓋体L2 の貫通孔形成予定部38をノックアウトすることで、折り取られたノックアウト片を示す。
【0061】
配管カバー81の側板部81aに形成された管挿通孔83に近接させて、保護カバーC2 の基台V2 を、第2配管経路R2 が前記側板部81aと直交するように配置面Fに固定し、実施例1で述べたようにして施工すると、図14及び図15に示されるように、配管カバー81の側板部81aと保護カバーC2 との間に所定の隙間G2 が形成されて、当該隙間G2 において部分露出した計4本の流体管P1 ~P4 は、連通路形成カバーC11で覆われる。
【0062】
前記隙間G2 の大きさに対応して、基台V2 に対する連通路形成カバーC11の突出長を定めることで、当該隙間G2 から露出する計4本の流体管P1 ~P4 の露出部を完全に覆うことが可能になる。また、基台V2 に対する連通路形成カバーC11の突出長は、無段階に調整可能であるので、隙間G2 の大きさとは無関係に、計4本の流体管P1 ~P4 の露出部を完全に覆うことが可能となる。なお、図14において、A2 は、保護カバーC2 の収容空間を示す。
【0063】
また、上記各実施例では、保護カバーC1 ,C2 の蓋体L1 ,L2 に設けられる貫通孔36は、当該各蓋体L1 ,L2 の貫通孔形成予定部38をノックアウトにより除去することで形成している。しかし、蓋体L1 ,L2 に貫通孔36を形成するには、ノックアウト構造の他に、貫通孔形成予定部38に貫通孔36の外形状に対応して切除溝を形成しておき、当該切除溝の部分で切除することで、貫通孔36を形成したり、更には、貫通孔36の部分が別体の閉塞蓋で閉塞されていて、必要な部分の閉塞蓋を除去することで、貫通孔36を形成する構成にしてもよい。
【0064】
上記各実施例では、給湯器Hの配管カバー81の内部に複数の流体管を引き込む構造において、当該配管カバー81に固定される連通路形成カバーC11により、当該配管カバー81と保護カバーC1 との間に形成される隙間G1 ,G2 から露出する複数の流体管を覆い被せる例を挙げたが、流体管を含めた配線・配管材が引き込まれる機器であれば、当該機器は、給湯器Hに限定されず、多数の配線・配管材を収容するマニホールド構造の配線・配管材収容箱であってもよい。この場合、当該機器の外壁が機器の壁部に相当する。また、壁体等の構造物に対して配線・配管材が引き込まれる構造においても、連通路形成カバーにより、当該構造物と保護カバーとの間に形成される隙間に露出する配線・配管材を覆い隠すことが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 ,A2 :保護カバーの収容空間
1 ,C2 :保護カバー
11:連通路形成カバー
21:収容カバー
1 ,D2 :90°エルボ(管継手)
1,E2 :係合部
11, E12 :被係合部
F:配置面
1 ,G2 :隙間
1 ,L2 :蓋体
1 ~P4 :流体管(給湯管、給水管)〔配線・配管材〕
1 :第1配管経路
2 :第2配管経路
1 ,V2 :基台
5:挿入溝(挿入許容部)
15:ビス孔(基台の固定部)
31:蓋体の側壁
32:蓋体の天壁
34:蓋体の接続口
35:蓋体の対面壁
36,40:貫通孔(挿入許容部)
38:貫通孔形成予定部
39:ノックアウト溝
41:連通路形成カバーの連通路形成部
41a :連通路形成部の側板部
41b :連通路形成部の天板部
42:連通路形成カバーの沿い板部
51:嵌着挿入凹部(挿入許容部)
81:配管カバー(機器)
81a:側板部(機器の壁部)
図1
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