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特許7229910増大する圧力を有する二つのカラム中でのヒドロホルミル化によって得られるアルデヒドを回収するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】増大する圧力を有する二つのカラム中でのヒドロホルミル化によって得られるアルデヒドを回収するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 45/81 20060101AFI20230220BHJP
   C07C 45/50 20060101ALI20230220BHJP
   C07C 47/02 20060101ALI20230220BHJP
   C07C 47/21 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
C07C45/81
C07C45/50
C07C47/02
C07C47/21
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019500029
(86)(22)【出願日】2017-01-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-04-04
(86)【国際出願番号】 GB2017050234
(87)【国際公開番号】W WO2017158315
(87)【国際公開日】2017-09-21
【審査請求日】2020-01-23
(31)【優先権主張番号】1604608.8
(32)【優先日】2016-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518329767
【氏名又は名称】ジョンソン マッセイ デイヴィー テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シュミット, マルティン ルーカス
【審査官】宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-501903(JP,A)
【文献】特開昭54-079204(JP,A)
【文献】特開平08-040966(JP,A)
【文献】特開2015-134321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィンのヒドロホルミル化を行いアルデヒドを生成するための方法であって、
ヒドロホルミル化反応からの一又は複数のベント流が、
前記オレフィンから前記アルデヒドを分離するための方法に従って処理され、
前記一又は複数のベント流が、前記分離するための方法のための供給流を提供し、前記分離するための方法が、
(a)供給流を、第1の圧力で動作する第1の分離槽及び前記第1の圧力よりも大きい第2の圧力で動作する第2の分離槽の一方又はその両方に提供すること;
(b)分離が生じるように前記第1の分離槽及び前記第2の分離槽を動作させること;
(c)第1の分離槽の底部又はその近くから、供給流中よりも高い前記アルデヒドの濃度を有するアルデヒド生成物流中の前記アルデヒドを回収すること;
(d)第2の分離槽の頂部又はその近くから、供給流中よりも高い前記オレフィンの濃度を有するオレフィン流中の前記オレフィンを回収すること;
(e)第1の分離槽の頂部又はその近くから第1の再循環流を除去し、それを第2の分離槽へ供給すること;及び
(f)第2の分離槽の底部又はその近くから第2の再循環流を除去し、それを第1の分離槽へ供給すること
を含む、方法。
【請求項2】
オレフィンがCからC20オレフィンであり、アルデヒドがオレフィンよりも一つ多い炭素を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アルデヒドがブチルアルデヒドであり、オレフィンがプロピレンと任意選択的に存在するプロパンであるか;
アルデヒドがバレルアルデヒドであり、オレフィンがブチレンと任意選択的に存在するブタンであるか;又は
アルデヒドがプロピオンアルデヒドであり、オレフィンがエチレンと任意選択的に存在するエタンである
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
飽和アルデヒド及び不飽和アルデヒドを含む供給流から前記飽和アルデヒド及び前記不飽和アルデヒドを分離するための方法であって、前記方法が、
(a)供給流を、第1の圧力で動作する第1の分離槽及び前記第1の圧力よりも大きい第2の圧力で動作する第2の分離槽の一方又はその両方に提供すること;
(b)分離が生じるように前記第1の分離槽及び前記第2の分離槽を動作させること;
(c)第1の分離槽の底部又はその近くから、供給流中よりも高い飽和アルデヒドの濃度を有する飽和アルデヒド生成物流中の前記飽和アルデヒドを回収すること;
(d)第2の分離槽の頂部又はその近くから、供給流中よりも高い不飽和アルデヒドの濃度を有する不飽和アルデヒド流中の前記飽和アルデヒドを回収すること;
(e)第1の分離槽の頂部又はその近くから第1の再循環流を除去し、それを第2の分離槽へ供給すること;及び
(f)第2の分離槽の底部又はその近くから第2の再循環流を除去し、それを第1の分離槽へ供給すること
を含む方法。
【請求項5】
不飽和アルデヒドの炭素数が3から20である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
飽和アルデヒドがブチルアルデヒドであり、不飽和アルデヒドがエチルプロピルアクロレインであるか;
飽和アルデヒドがバレルアルデヒドであり、不飽和アルデヒドがプロピルブチルアクロレインであるか;又は
飽和アルデヒドが2-メチルブチルアルデヒド、3-メチルブチルアルデヒド又は2-メチルブチルアルデヒドと3-メチルブチルアルデヒドの両方であり、不飽和アルデヒドがプロピルブチルアクロレインである
請求項4に記載の方法。
【請求項7】
第1及び第2の分離槽が、関連する供給濃縮器を有するフラッシュ槽である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
第1及び第2の分離槽が分離カラムである、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
第1の分離槽が約1mbaraの真空で動作するか、又は約10mbaraから約50mbaraの圧力で動作する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
第1の分離槽が約0.05baraから約10bara、約1baraから約5bara、約2baraから約3baraの圧力、又は約2.8baraの圧力で動作する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
第2の分離槽がその中の材料の臨界圧を下回る圧力で動作する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
選択される圧力が第1の分離槽で使用される圧力を上回ることを条件として、第2の分離槽が、約0.1baraから約30baraの圧力、又は約15baraから約25baraの圧力で、又は約18baraの圧力で動作する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第1の再循環流が、第2の分離槽へ供給される前に、一又は複数の圧縮機を通過する、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
第1の分離槽の下部が、約50℃から約200℃、又は約60℃から約150℃、又は約80℃から約130℃、又は約90℃から約110℃の温度で動作する、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
第2の分離槽の下部が、50℃から約200℃、又は約60℃から約150℃の温度、約80℃から約130℃の温度、又は約90℃から約110℃の温度で動作する、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
第2の分離槽の頂部又はその近くから回収された流れが、さらなる分離手段へ送られる、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
第1の分離槽の頂部又はその近くから回収された流れが、第2の分離槽へ送られる前に、さらなる分離手段を通過する、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
さらなる分離手段がオレフィン/アルカンスプリッターである、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
一又は複数のベント流が、実質的にオレフィンを含まない流れに対して、アルデヒドスクラバーで処理される、請求項1-18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度感受性が分離のための実行可能な動作温度範囲を制限する、混合物から二以上の成分を分離するための方法に関する。より具体的には、本発明は、ヒドロホルミル化反応においてアルデヒドが生成されたオレフィンからアルデヒドを分離するための方法に関する。オレフィンに対応するアルカンもまた存在することがあり、分離される必要がある。本発明は、プロピレンと任意選択的にプロパンからのブチルアルデヒドの分離、ブチレンと任意選択的にブタンからのバレルアルデヒドの分離、及びエチレンと任意選択的にエタンからのプロピオンアルデヒドの分離に特に適している。本発明はまた、例えばアルドール縮合からの対応する不飽和アルデヒドを含む他の化合物からのアルデヒドの分離にも適している。
【背景技術】
【0002】
二以上の成分を混合物から分離する必要性は、長年にわたって考慮されてきた問題である。蒸留などの様々な分離方法が知られており、効果的に使用されているが、特に、混合物中に存在する一又は複数の成分の温度に対する感受性が分離に使用されうる実行可能な動作温度を制限する、一部の分離に関連する問題が依然として存在する。
【0003】
要求される動作温度によって制限される一の分離プロセスは、ヒドロホルミル化によって形成されたアルデヒドを、それが形成されたオレフィンから分離することである。ヒドロホルミル化反応に供給されるオレフィンは一般的にいくらかのアルカンを含有するため、分離を必要とするこの混合物はオレフィンに対応するアルカンをさらに含んでもよい。したがって、一例では、分離は、プロピレン及び任意選択的にプロパンからのブチルアルデヒドの分離であってもよい。オレフィンの完全な転化が存在する場合、一般的に、アルデヒドを存在するアルカンから分離する必要が依然として存在するであろう。したがって、一例では、分離は、プロパンからのブチルアルデヒドのものであってもよい。ブチルアルデヒドが分離されなければならないヒドロホルミル化反応器からの生成物流は、一般に合成ガス並びに窒素、二酸化炭素及びアルゴンのような不活性ガスも含み、よって、分離スキームを形成する際に考慮する必要がある。
【0004】
プロピレンからのブチルアルデヒドの形成のようなヒドロホルミル化反応は、トリフェニルホスフィンリガンドを有するロジウム触媒を使用して従来行われている。これは、一般に、約80から90%の限定されたシングルパス転化で動作する。触媒錯体は、プロピレンの存在によって安定化されると考えられる。したがって、100%に近い転化率では、プロピレン濃度がゼロに向かって低下すると、触媒錯体の安定性が低下し、結果としてロジウムのロスが大きくなり、プロセスの経済性に影響を及ぼす可能性がある。経済性を改善するためには、生成物流において反応器からを出る未転化プロピレンを回収して反応器に再循環する必要がある。
【0005】
ホスファイトのような他のリガンドを触媒に使用することができる。これらはプロピレンの不存在下ではより安定でありうるため、100%に近いシングルパス転化を可能にしうるが、その使用に関連する問題もある。これは、ヒドロホルミル化の速度がプロピレン濃度にほぼ比例するためである。100%に近い転化率では、プロピレン濃度はゼロに近づき、従って反応速度もゼロに近づく。これは、高い転化率を達成するためには、大規模な反応器サイズが必要であり、これは、プロセスを資本及び運転コストの面で非経済的にしうることを意味する。したがって、従来の方法では、制限されたシングルパス転化率で動作し、未転化プロピレンを回収し戻すことが必要である。
【0006】
したがって、生成物アルデヒドを分離して所望の生成物を回収することが望ましいだけでなく、ヒドロホルミル化反応器に戻すために未反応オレフィンを回収することも望ましい。
【0007】
同様の問題は、対応するオレフィン及び任意選択的に対応するアルカンからの他のアルデヒドの分離及び他の触媒でも注目される。
【0008】
ヒドロホルミル化反応からの生成物流の分離に関連して様々な提案がなされてきた。米国特許第2003/176743号は、いわゆる「ガスリサイクル」プロセスの一例である。このプロセスにおいて、未反応オレフィン、対応するアルカン、未反応合成ガス及びアルデヒド生成物を含む気体流は、反応器の気層から回収される。その後、これは、部分的に凝縮され、気体及び液体部分が分離される相分離槽へ移されるように、冷却される。気体部はヒドロホルミル化反応器に再循環される。アルデヒド、未反応オレフィン及び溶解されているアルカンを含む液相は、オレフィンとアルカンの混合物が上部から得られる脱気カラムへ供給される。アルデヒド生成物は、脱気カラムの底部から回収される。オレフィンとアルカンの混合物は、アルカンの一部がオレフィンから分離される精留カラムへ供給される。精留カラムで生成されるアルカンは、システムから回収及び除去され、オレフィンは反応器へ再循環されうる。したがって、脱気カラムは、効果的なオレフィン及びアルカン/アルデヒド分離器である。脱気カラム内のオーバーヘッドに向かうアルデヒドは、アルカンと共に精留カラムを離れ、したがって失われる。同様に、アルデヒドと共に脱気カラムを出る任意のオレフィンは、反応器に戻されず、したがって失われる。
【0009】
別の構成は、米国特許第5516965号に記載されている。この構成では、気体又は混合相流出物を、いくらかのアルデヒドが凝縮する温度に冷却する。液体アルデヒドは、フラッシュドラム中で分離された後、ストリッピング槽へ送られ、そこで不飽和有利ガスでストリップされて、オレフィンを含まないアルデヒド生成物及びオレフィンを含むガス状排出物が生成される。ストリッピング槽からのガス状排出物とフラッシュドラムからのガス状排出物は、冷却される前に混合され、流れを生成し、これが吸収塔へ送られる。
【0010】
吸収塔の上部は、アルカン成分の還流が起こり得るほど十分に低い温度で動作する。この上部は蒸留塔の精留セクションとして機能し、あらゆるアルデヒドを取り除き、反応からの不活性ガスを含有する実質的にアルデヒドを含まないオーバーヘッド生成物流と、還流アルカンの温度以下の温度で沸騰する水素のような非化学量論的成分とが生じる。蒸留塔の底部において、液相は吸収剤中であるかのように高溶解性不飽和成分を溶解する冷アルデヒドとなる。塔の底部に存在する温度では、液相におけるオレフィンの溶解度は高い。この不飽和含有液体流は、塔の底部から除去され、実質的により高い圧力で液体としてポンプ輸送され、反応器に再循環される。
【0011】
アルデヒドの分離について言及するほかの方法の例には、米国特許第4479012号、同第5087763号、同第5001274号、同第5463137号、同第6822122号、同第6969777号及び同第5675041に記載されているものが含まれる。
【0012】
対応するアルデヒドからのオレフィンの分離に関しては様々な提案がなされてきた。例えば、米国特許第4210426号では、第1のカラムがブチルアルデヒドスクラバーであり、第2のカラムが、ブチルアルデヒドがプロピレン及びプロパンから分離される分離カラムであり、第3のカラムがプロピレン/プロパンスプリッターである、3カラムスキームが使用される。ヒドロホルミル化反応器からの排出ガスは第1のカラムの中心に導入され、プロピレン/プロパンを含まないイソブチルアルデヒドはカラムの頂部に導入される。プロピレン及びプロパンは、イソブチルアルデヒドに吸収され、非吸収ガスは、ヒドロホルミル化反応への再循環のためにカラムの頂部で取り出されるか、又は系から除去される。イソブチルアルデヒド及びプロピレン及びプロパンの混合物は、プロピレンとプロパンが第1のカラムへ戻るイソブチルアルデヒドから分離される第2のカラムへ送られる。プロピレン及びプロパンは、上流によってそれらが分離される第3のカラムへ送られる。
【0013】
これらの様々な方法は、所望の生成物アルデヒドを回収するために潜在的に実行可能なスキームを提案しているが、それらはそれぞれ依然として様々な不利な点及び欠点を有する。
【0014】
ブチルアルデヒドとプロピレンの分離を一例にあげると、これらが蒸留カラムで分離される場合、良好な分離を達成するために、反応器の底部から除去された流れとオーバーヘッドで除去した流れとの間に大きな温度差が必要である。しかしながら、この大きな温度差の使用は、蒸留カラムの底部で必要とされる温度が非常に高くなければならないか、又は所望の差、したがって分離を達成するためにオーバーヘッド温度が非常に低くなければならないかのいずれかを意味する。しかしながら、底部での高温の使用は、重質物の形成をもたらし、所望の生成物を失うことになるため問題である。さらに、オーバーヘッドとしての低温の使用は、冷却水を使用してオーバーヘッド流を凝縮させることができず、プロセスへの高価な追加である冷却システムが必要とされるため、一般的に問題がある。
【0015】
ブチルアルデヒド及びプロピレンの分離についてのさらなる問題は、出発物質中のプロパンの存在に関する。プロピレンは、ブチルアルデヒドから分離されると、一般的にアルデヒドが形成される反応器に再循環される。プロピレン再循環流にはプロパンが含まれるため、プロピレンを除去する手段が含まれていない限り、プロパンはプロピレンと共に戻される。したがって、プロパンは反応器に蓄積する。プロパンが蓄積すると、反応器の効率が制限される。したがって、プロパンが反応器に戻らないようにプロパンをプロピレンから分離することも望ましい。
【0016】
いくつかのブタンを含みうるブチレンからのバレルアルデヒドの分離、エタンを含みうるエチレンからのプロピオンアルデヒドの分離、並びに製造に使用されるオレフィン及び対応するアルカンからのヒドロホルミル化によって生成されたアルデヒドの分離に関する同様の問題が認められる。さらに、アルデヒドを、例えば不飽和アルデヒドから分離する場合に同様の問題が認められる。
【0017】
したがって、これらの問題の少なくともいくつか、好ましくは全てに対処するプロセスを提供することが望ましい。
【0018】
これらの問題の少なくともいくつかは、一方が低圧で動作し、他方が高圧で動作し、間に再循環ループが存在するように接続されている二つの分離槽を利用する分離プロセスの使用によって対処できることが見出された。
【発明の概要】
【0019】
よって、本発明の第1の構成によれば、アルデヒド及び第2の成分を含む供給流からアルデヒド及び第2の成分を分離するための方法であって、
(a)供給流を第1の圧力で動作する第1の分離槽及び第1の圧力よりも大きい第2の圧力で動作する第2の分離槽の一方又はその両方に提供すること;
(b)分離が生じるように前記第1の分離槽及び前記第2の分離槽を動作させること;
(c)第1の分離槽の底部又はその近くから、供給流中よりも高いアルデヒドの濃度を有するアルデヒド生成物流を回収すること;
(d)第2の分離槽の頂部又はその近くから、供給流中よりも高い第2の成分の濃度を有する第2の成分流を回収すること;
(e)第1の分離槽の頂部又はその近くから第1の再循環流を除去し、それを第2の分離槽へ供給すること;及び
(f)第2の分離槽の底部又はその近くから第2の再循環流を除去し、それを第1の分離槽へ供給すること
を含む方法が提供される。
【0020】
第1及び第2の分離槽は、第2の分離槽の底部又はその近くで回収される流れが、第1の分離槽へ送られ、第1の分離槽の頂部又はその近くで回収される流れが、第2の分離槽へ送られるように、構成されていることが理解される。よって、再循環ループは、第1の分離槽と第2の分離槽との間に確立される。
【0021】
二の分離槽は、第1の分離槽への供給流中のより重い成分が、第1の低圧力の分離槽の底部又はその近くで得られるように、動作することがさらに理解される。第1の分離槽からのオーバーヘッド流は、重質及び軽質成分の混合物を含む。これらは、第1の分離槽よりも高い圧力で動作する第2の分離槽へ送られる。この第2の分離槽では、供給流中のより軽い成分が第2のカラムからオーバーヘッドとして除去され、重質及び軽質成分の混合物が底部で除去されて第1の低圧分離槽に戻される。したがって、各分離槽は、精製された成分の一の流れと、減少した温度差が使用することができるような成分の混合物を含む流れとを提供する。これに関連して、単一の槽内での完全な分離はより大きな温度差を必要とすることが理解されるであろう。
【0022】
異なる圧力で動作する二の槽を有することにより、第1のより低い圧力で動作する分離槽の底部の温度が比較的低く保たれ、重質副生成物の生成が低減され、好ましくは回避されることを可能にする。さらに、第1の分離槽の圧力よりも高い圧力で動作する第2の分離槽を含むことにより、分離槽の頂部又はその近くから回収される流れが、高価な冷凍設備ではなく冷却水を用いて凝縮させることができるような適切な温度が使用されることを可能にする。
【0023】
このように、本発明は、蒸留カラムのような単一の分離槽が使用される場合に達成可能なよりも、第1の成分流と第2の成分流との間のより低い温度差が使用されることを可能にする。これに関連して、冷却水を使用する従来の単一分離カラムは、同じレベルの分離のために底部から回収される流れに対してより高い温度をもたらすことが理解されるであろう。
【0024】
本発明の方法は、アルデヒド及び他の成分を含む流れから任意のアルデヒドを分離するのに適している。温度感受性が分離のための実行可能な動作温度範囲を制限する場合に特に適している。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の方法を示す概略図である。
図2図1で図示される方法のより詳細な概略図である。
図3図2で図示される方法の構成に対する一の代替的な構成である。
図4】ヒドロホルミル化反応からのアルデヒドの回収において使用するための本発明の方法の一構成の概略図である。
図5】ヒドロホルミル化反応からのアルデヒドの回収において使用するための本発明の方法の第2の構成の概略図である。
図6図4の方法のための代替的な構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
一構成において、第2の成分は、アルデヒドが形成されたオレフィンである可能性のあるオレフィンである。アルデヒドを含む供給流は、ヒドロホルミル化反応から回収されたものであってもよく、したがって、アルデヒドが反応器中で形成されるオレフィンを含むであろう。オレフィンは、CからC20オレフィンであってもよく、アルデヒドは、オレフィンよりも一多い炭素を有する。一構成において、アルデヒドはブチルアルデヒドであり、本発明に従って、プロピレンと任意選択的にプロパンから分離される。別の構成において、アルデヒドはバレルアルデヒドであり、本発明に従って、ブチレンと任意選択的にブタンから分離される。さらなる構成において、アルデヒドはプロピオンアルデヒドであり、本発明に従って、エチレンと任意選択的にエタンから分離される。
【0027】
さらなる構成では、アルデヒドは不飽和アルデヒドから分離されうる。不飽和アルデヒドはCからC20不飽和アルデヒドでありうる。よって、例えば、ブチルアルデヒドは、2-エチルヘキサノールの生成における一般的な中間体であり、n-ブチルアルデヒドのアルドール化により生成されるエチルプロピルアクロレインから分離されうる。同様に、バレルアルデヒドは、2-プロピルヘプタノールの生成における一般的な中間体であり、バレルアルデヒドのアルドール化により生成されるプロピルブチルアクロレインから分離されうる。
【0028】
本発明の方法はまた、2-メチルブチルアルデヒド、3-メチルブチルアルデヒド又は2-メチルブチルアルデヒドと3-メチルブチルアルデヒドの両方をプロピルブチルアクロレインから分離するために使用されうる。
【0029】
しかしながら、本発明の方法は、上に詳述された化合物に限定されず、混合物から任意のアルデヒドを分離するのに適していることが理解されるであろう。
【0030】
一又は複数のアルデヒドは、本発明の方法を使用して分離されうる。
【0031】
供給流は、第1の分離槽又は第2の分離槽へ供給されうる。一構成では、供給流は、両方の分離槽へ供給されうる。混合物が第1の分離槽、第2の分離槽又は両方の分離槽へどのように供給されるかを選択するための手段が提供されて、供給流が供給されうる場所の切り替えが達成されうる。
【0032】
別の一構成では、供給は、第1の分離槽と第2の分離槽との間に添加されうる。これは、第1及び第2の分離槽の一方又は両方に直接供給流を供給することの代わりに、又はそれに加えてなされうる。
【0033】
任意の適切な分離槽が使用されうる。第1及び第2の分離槽は同一であっても異なっていてもよい。例えば、一方又は両方の槽は、関連する凝縮器を有するフラッシュ槽であってもよい。分離槽の一方又は両方が分離カラムである場合には、特定の利点が認められうる。
【0034】
本発明の方法は、アルデヒドの分離を助けるために二以上の分離槽を含みうる。このような構成は、第1の動作圧力を有する第1の分離槽と、第1の動作圧力を上回る第2の動作圧力を有する第2の分離槽とが存在し、再循環ループがこれらの分離槽管に形成されることを条件として、本発明の範囲内である。
【0035】
第2の分離槽の圧力が第1の分離槽の圧力よりも高いことを条件として、任意の適切な圧力が第1及び第2の分離槽に使用されうる。選択される特定の圧力は、一般的に、行われている分離の温度要件による。さらに、圧力は、一般的に、第1及び第2の分離槽中の所望の温度プロファイルを提供するように選択される。
【0036】
一構成では、第2の圧力は第1の圧力よりも約0.1baraから約48bara、又は約5から約45bara高い。
【0037】
第2の分離槽の圧力は、一般的に、その中の混合物の臨界圧を下回るであろう。
【0038】
一構成では、第1の分離槽の圧力は、約1mbaraの真空であってもよいが、約10から約50mbaraの圧力が使用されてもよい。
【0039】
プロピレン任意選択的にプロパンからのブチルアルデヒドの分離を目的とする場合、第1の分離槽は、約0.05baraから約10baraの圧力、又は約1baraから約5baraの圧力、又は約2baraから約3baraの圧力で動作しうる。一構成では、第1の分離槽は約2.8baraの圧力で動作しうる。
【0040】
第2の分離槽は、選択される圧力が第1の分離槽で使用される圧力を上回ることを条件として、約0.1baraから約30baraの圧力、又は約15baraから約25baraの圧力で動作しうる。分離されているアルデヒドがブチルアルデヒドである場合、第2の分離槽は約18baraの圧力で動作しうる。
【0041】
第1の再循環流は、一般的に、より低い圧力で動作する第1の分離槽の頂部又はその近くから回収される流れの露点が冷却水温度より低いシステムの場合、気相である。これに関連して、ほとんどのオレフィン/アルデヒド系において、供給混合物は、水素、窒素及びメタンからなる群より選択されるような非凝縮性物質を含むことに留意されたい。これらの非凝縮性物質は、第1の分離槽でオーバーヘッドになり、冷却水温度よりはるかに低い露点になる。
【0042】
第1の再循環流は、第2の分離槽に供給される前に、一般的に一又は複数の圧縮機を通過する。圧縮機は、インタークーラーと関連していてもよい。
【0043】
別の一構成では、第1の分離槽の頂部から回収された第1の再循環流は液体である。この構成では、圧縮機は一般的にポンプで置き換えられる。
【0044】
本発明の理想的な構成では、第1及び第2の分離槽は、両方の分離槽の温度がほぼ同じであり、両方の分離槽からのオーバーヘッド内の温度がほぼ同じになるように操作される。この温度は、一般的に冷却水の温度より少し上回る。
【0045】
第1の分離槽の下部は、任意の適切な温度で動作しうる。一構成では、約50℃から約200℃若しくは約60℃から約150℃又は約80℃から約130℃の温度が使用されうる。第1の分離槽の下部が約90℃から約110℃で動作するとき、特定の利点が認められうる。
【0046】
第2の分離槽の下部は、任意の適切な温度で動作しうる。一構成では、約50℃から約200℃又は約60℃から約150℃又は約80℃から約130℃の温度が使用されうる。第2の分離槽の上部が約90℃から約110℃で動作するとき、特定の利点が認められうる。
【0047】
第2の分離槽は、一般的に、高額な冷却の必要性を避けることができるような冷却水を使用して、第2の分離槽の頂部又はその近くから回収される第2の成分流が凝縮されうるような温度及び圧力で動作する。加えて、第1の分離槽は、冷却水の温度よりもわずかに高い槽の頂部又はその近くから回収される流れの温度で動作しうる。
【0048】
圧力は、第2の分離槽の底部から取った流れの温度が第1の分離槽の底部の温度の約20℃以内にあるように選択されうる。一構成では、第2の分離槽の底部から取った流れの温度は、第1の分離槽の底部の温度の約10℃以内である。
【0049】
分離槽から回収された流れが蒸気である場合、凝縮器は、必要に応じて一方又は両方の分離槽に結合されてもよい。流れが液体である場合、凝縮器は必要とされない。しかしながら、流れは依然として冷却を必要とする可能性がある。
【0050】
凝縮器が第1の分離槽上に存在する場合、第1の分離槽の頂部又はその近くから取った流れの露点は、好ましくは、それに付随する凝縮器の温度より高い。この凝縮器からの凝縮液は、第1の分離槽に戻すことができる。
【0051】
凝縮器が第2の分離槽上に存在する場合、第2の分離槽の頂部又はその近くから取った流れの露点は、好ましくは、それに付随する凝縮器の温度より高い。この凝縮器からの凝縮液は、第2の分離槽に戻すことができる。
【0052】
一構成では、第1の再循環流、第2の再循環流、又は第1及び第2の再循環流は、さらなる分離手段を通過しうる。任意の適切なさらなる分離槽が使用されうる。一構成では、さらなる分離手段は気体/液体分離装置でありうる。
【0053】
一構成では、オレフィン/アルカンスプリッターが存在しうる。一構成では、オレフィン/アルカンスプリッターは、第1の分離槽と第2の分離槽との間に位置しうる。この構成では、第1の分離槽の頂部又はその近くから取った流れは、オレフィン及びアルカンが少なくとも一の成分が豊富な上部流と、少なくとも一の成分が枯渇した下部流とに分離されうるように、オレフィン/アルカンスプリッターに送られうる。一構成では、アルカンを含む流れはアルデヒドも含み、よって、この流れはほかの分離槽へ送られる。
【0054】
追加的に又は代替的に、オレフィン/アルカンスプリッターは、第1及び第2の分離槽により形成された再循環ループの外側に位置しうる。この構成において、それは、一般的に、オレフィン/アルカンスプリッターに送られる第2の高圧分離槽からのオーバーヘッドである。オレフィンが豊富な流れは、一般的に、スプリッターの上部から回収される。アルカンが豊富な流れは、アルカンを含む。
【0055】
本発明の方法はまた、分離される混合物に水が存在する方法にも使用されうる。水が存在する場合、流れは、水分除去手段を通過しうる。任意の適切な水分除去手段が使用されうる、適切な手段にはデカンタが含まれる。この構成では、一方又は両方の相が還流として使用されうる。
【0056】
本発明の第2の態様によれば、オレフィンのヒドロホルミル化を行うための方法であって、ここで、ヒドロホルミル化反応からの一又は複数のベント流が本発明の上の第1の構成に関する供給流を提供する方法が提供される。
【0057】
一構成では、その流れは、実質的にオレフィンを含まない流れに対して、アルデヒドスクラバーで処理される。流れは、アルデヒドスクラバーに送られる前に冷却されうる。
【0058】
これより、本発明は、下記の図面を参照しながら、実施例を通して説明される。
図1は、本発明の方法を示す概略図である。
図2は、図1で図示される方法のより詳細な概略図である。
図3は、図2で図示される方法の構成に対する一の代替的な構成である。
図4は、ヒドロホルミル化反応からのアルデヒドの回収において使用するための本発明の方法の一構成の概略図である。
図5は、ヒドロホルミル化反応からのアルデヒドの回収において使用するための本発明の方法の第2の構成の概略図である。
図6は、図4の方法のための代替的な構成の概略図である。
【0059】
図面は概略的であること、及び、還流ドラム、ポンプ、真空ポンプ、温度センサ、圧力センサ、圧力逃がし弁、制御弁、流量制御器、レベル制御器、保持タンク、貯蔵タンクなどの装置のさらなる物品は商業プラントにおいて必要とされうることがあることを、当業者は理解するであろう。装置のこのような付属品の提供は、本発明の一部ではなく、従来の化学工学の実践に従う。
【0060】
これより、本発明の方法は、ブチルアルデヒド及びプロピレンのヒドロホルミル化反応からの分離を参照しながら、例として記載される。他のアルデヒドをヒドロホルミル化反応においてそれらが形成されるオレフィンから分離することにも、同様に適用できることが理解されるであろう。
【0061】
本発明の方法の全体的な概念を示す概略図を図1に示す。本発明の方法は、第1及び第2の分離槽を必要とする。示された構成では、これらは低圧カラム1及び高圧カラム2によって提供される。各カラムには、図1には示されていない凝縮器、再沸器又は凝縮器と再沸器の両方が提供されうる。
【0062】
重質成分、この例ではブチルアルデヒド、と、軽質成分、この例ではプロピレン及び任意選択的にいくつかのアルカン、プロパン、との両方を含む供給は、ライン3a、3b又は3cを介して添加されうる。よって、供給は、低圧カラム1又は高圧カラム2のいずれかに供給されうる。分離は両方のカラムで生じる。いくつかの構成では、供給はライン3a、3b及び3cの一以上に添加されうる。一以上の供給は、一以上の位置で、カラムに及び/又はカラム間に添加されうることが理解されるであろう。よって、ライン3a、3b及び3cの一又は複数は、一又は複数の供給ラインを表しうる。
【0063】
重質ブチルアルデヒドは、ライン4中低圧カラム1の底部から回収される。ライン5中低圧カラム1の頂部から除去された流れは、ライン6で高圧カラム2へ送られる。通常、流れはポンプ又は圧縮機7を通じて送られる。重質成分及び軽質成分を含むこの流れは、ライン6で高圧カラム2へ送られる。
【0064】
高圧カラム2ではさらなる分離が生じ、軽質成分は、ライン8で高圧カラム2の頂部から回収される。ライン9中高圧カラム2の底部から除去された流れは、ライン10で低圧カラム1へ送られる。この流れは、重質成分と軽質成分の混合物を含むことになる。
【0065】
適切な場合、高圧カラム2の底部から回収された流れは、任意選択的にクーラー11に通されうる。いくつかの状況では、クーラー11が存在する場合、圧縮機7はポンプ(非表示)で置き換えられうる。
【0066】
好ましくは、低圧カラム1及び高圧カラム2のオーバーヘッド温度は、ほぼ同一になり、冷却水の温度を上回ることになる。同様に、両カラムの底部温度はほぼ同一になる。
【0067】
本発明のより詳細な一実施形態が図2に図示される。図1の構成にあるように、供給は、ライン3a、3b又は3cの一又は複数を介して供給され、低圧カラム1及び高圧カラム2の一方又は両方に添加される。分離は両方のカラムで生じる。
【0068】
重質ブチルアルデヒドは、ライン4中低圧カラム1の底部から回収される。その流れの一部は、ライン41で低圧カラム1に戻される前に、ライン41で除去され、再沸器42に通されうる。
【0069】
この構成中低圧カラム1の頂部から除去された流れ5は、ライン52で蒸気/液体分離器53に送られる前に、圧縮機51を通過する。液体はライン54で低圧カラム1に戻される。分離器53からの蒸気は、ライン55で圧縮機7に送られる。供給がライン3cを介して添加される場合、示されるように圧縮機7に直接添加されうるか、又はライン55に供給されうる。重質成分及び軽質成分を含む、圧縮機7からのこの流れは、高圧カラム2へ送られる。
【0070】
さらなる分離が高圧カラム2で生じ、軽質成分は、ライン8中高圧カラム2の頂部から回収され、この構成において、ライン82で蒸気/液体分離機83に送られる前に、圧縮機81を通過する。液体はライン84で高圧カラム2に戻される。分離器からの蒸気は、ライン85で回収される。
【0071】
ライン9中高圧カラム2の底部から除去された流れは、ライン10で低圧カラム1へ送られる。この流れは、重質成分と軽質成分の混合物を含むことになる。流れ9の一部は、ライン93で高圧カラム2に戻される前に、ライン91で除去され、再沸器92に通されうる。
【0072】
適切な場合、高圧カラム2の底部から回収された流れは、任意選択的にクーラー11に通されうる。図1の構成にあるように、低圧カラム1及び高圧カラム2のオーバーヘッド温度は、ほぼ同一になり、冷却水の温度を上回ることになる。同様に、両カラムの底部温度はほぼ同一になる。
【0073】
修正された構成を図3に示す。この構成では、供給は、ライン3a、3b又は3cの一又は複数を介して供給され、低圧カラム1及び高圧カラム2の一方又は両方に添加される。分離は両方のカラムで生じる。
【0074】
重質ブチルアルデヒドは、ライン4中低圧カラム1の底部から回収される。その流れの一部は、ライン41で低圧カラム1に戻される前に、ライン41で除去され、再沸器42に通されうる。
【0075】
ライン5中低圧カラム1の頂部から除去された流れは、一部がライン54で低圧カラム1に戻される前に、圧縮機51を通過する。残部は高圧カラム2に送られる。除去並びに高圧及び低圧カラム1及び2への移動は、非表示のポンプによって行われる。
【0076】
高圧カラム2ではさらなる分離が生じ、軽質成分は、ライン8で高圧カラム2の頂部から回収される。回収された流れは、一部がライン84で高圧カラム2に戻される前に、圧縮機81を通過する。残部はライン85で回収される。
【0077】
ライン9中高圧カラム2の底部から除去された流れは、ライン10で低圧カラム1へ送られる。この流れは、重質成分と軽質成分の混合物を含むことになる。流れ9の一部は、ライン93で高圧カラム2に戻される前に、ライン91で除去され、再沸器92を通過しうる。
【0078】
ヒドロホルミル化反応(非表示)から回収された流れ141を処理するための一方法が図4に示される。この構成では、ヒドロホルミル化プラントの異なる部分からのベント流は、ライン143でブチルアルデヒドスクラバー144に供給される前に、熱交換器142で組み合わされ、圧縮され、冷却される。一構成では、ベント流は約17.5baraに圧縮される。この構成では、ブチルアルデヒドスクラバー144に供給されるベント流143は、ライン150で添加されるブチルアルデヒドに対してスクラブされる。ライン151で供給される流れは、一般的にプロピレン及びプロパンを含まないが、これは、その流れが、熱交換機147及び149に通された、本発明の第1の態様の方法から回収されたアルデヒド生成物流の少なくとも一部であるためである。
【0079】
スクラバー144では、非凝縮性物質は、アルデヒド、プロピレン及びプロパンを含む流れから分離される。ブチルアルデヒドスクラバーからのオーバーヘッドは別個の凝縮器に通されうるか、又は、凝縮器はスクラバーと統合されうる。凝縮器は、オーバーヘッドを冷却して、非凝縮性物質流におけるブチルアルデヒドの損失を最小化するよう機能する。
【0080】
スクラバーでは、プロピレン、任意のプロパン及びブチルアルデヒドはブチルアルデヒド洗浄溶媒に溶解するが、その一方、非凝縮性成分の大部分は、スクラバー144を通過し、オーバーヘッドベント145を通って出る。
【0081】
スクラバー144で回収される流れ146は、プロピレンが豊富なブチルアルデヒドであり、任意選択的にプロパンも、ライン151で供給されるブチルアルデヒドに対して熱交換器147で加熱される。
【0082】
熱交換器147で加熱された流れ146は、ライン3aで本発明の低圧カラム1に送られ、そこで、図2に関連して上に記載されるように処理される。一構成では、低圧カラム1は2.8baraの圧力で動作する。一構成では、低圧カラムは約108℃の温度で動作する。
【0083】
ライン4中低圧カラム1の底部から回収される流れは、ブチルアルデヒドを含む。
【0084】
上に記載したように、いくらかのブチルアルデヒドはライン151でスクラバー144に戻される。ブチルアルデヒドの残部は、ライン152で生成物として回収されるか、又は一定のブチルアルデヒド保有量がシステム内で維持されるように、ライン152でポンプ153を使用してヒドロホルミル化反応に戻される。
【0085】
低圧カラム1からのオーバーヘッド流5は、約42℃の露点をもたらす約10mol%のブチルアルデヒドを含有しうる。この流れは、圧縮機7及びライン6を介して高圧カラム2に送られる。
【0086】
高圧カラム2からのオーバーヘッド流8の露点が42℃を上回るように、高圧カラム2は約18baraで動作する。この構成では、流れは主にプロピレン及びプロパンを含む。また、最大約7mol%まででありうる少量ごくわずかな非凝縮性物質も含まれる。オーバーヘッド流8は、一般的にブチルアルデヒドを含まない。ライン9中高圧カラム2の底部から回収される流れは主にブチルアルデヒドを含むが、約110℃で温度を維持するために、一般的に約25mol%のプロピレン及びプロパンも含む。これは低圧カラム1に戻される。
【0087】
この構成における高圧カラム2からのオーバーヘッド流8は、オレフィン/アルカンスプリッター154に送られる。このスプリッターでは、プロピレンとプロパンが分離される。プロピレン及び残りの非凝縮性成分は、ライン155で除去され、一般的にヒドロホルミル化反応器に戻される。プロパンはライン157で除去される。再沸器156はオレフィン/アルカンスプリッター154上に存在しうる。
【0088】
図5は、供給物の処理において図4と類似している。このプロセスでは、供給物はライン3bで高圧カラム2に供給される。
【0089】
別の構成では、オレフィン/アルカンスプリッターは、低圧カラム1と高圧カラム2との間の再循環ループに位置しうる。この一例は図6で図示される。このスキームは、図4で図示されるスキームを修正したものであることが理解されるであろう。
【0090】
よって、図6で図示されるこの構成では、低圧カラム1からのオーバーヘッド流5は、圧縮機7を通され、その後、ライン6でオレフィン/アルカンスプリッター154に送られる。プロピレンはライン155で除去される。プロパン及び任意のブチルアルデヒドはライン157に送られ、そこで、それらは高圧カラム2で分離される。プロパンはライン8中オーバーヘッドで除去され、ブチルアルデヒドはライン9中低圧カラム1に戻される。
【0091】
図示されていないが、オレフィン/アルカンスプリッター154が高圧カラム2と低圧カラム1との間に配置されている同様のプロセスが提供されうる。この構成では、スクラバーからの供給は図5で図示されるように高圧カラム2に送られる。
【0092】
これらの方法はプロピレンとプロパンからのブチルアルデヒドの分離に関連して議論されてきたが、他の分離にも適用できることは理解されるであろう。他の分離が行われる場合は、上記の条件を変更することができる。
【0093】
加えて、本発明の方法は、ブチルアルデヒドとジアルキルアクロレイン、例えばエチルプロピルアクロレインの分離に使用されうる。エチルプロピルアクロレインは、2-エチルヘキサノールの生成における一般的な中間体であり、ブチルアルデヒドのアルドール化により生成される。この反応はアクロレイン1モル当たり1モルの水を生成し、よって、水は一般に分離に送られた流れ中に存在する。ブチルアルデヒド及びエチルプロピルアクロレインの両方は、高温で望ましくない重質物が生成されうるため、温度に敏感である。したがって、典型的には約30℃から約40℃の冷却水でオーバーヘッドの冷却を可能にする一方、重質物の形成を低減するためには低レベルに温度を維持することが望ましい。
【0094】
本発明を、次の実施例に関連して、例証によって以下に説明する。
【実施例
【0095】
比較例1 プロピレン及びプロパンからのブチルアルデヒドの分離
39wt%のブチルアルデヒド、30wt%のプロピレン、27wt%のプロパン及び非凝縮性物質の混合物を分離カラムに供給する。カラム圧力を頂部で8baraに設定する。カラムは、1wt%のブチルアルデヒド、92wt%のプロピレン及びプロパン、15.4℃で凝縮されない残部を含有する蒸気頂部生成物と、1wt%のプロピレン及びプロパン、144℃でブチルアルデヒドである残部を含有する液体底部生成物と生成する。このカラムは、冷却水から入手できるものよりも低温を有する冷却媒体を必要とし、よって、冷却ユニットを必要とする。底部の高温は、ブチルアルデヒドの重度の重質物を形成する傾向がある。
【0096】
実施例1 プロピレン及びプロパンからのブチルアルデヒドの分離
85wt%のブチルアルデヒド、7wt%のプロピレン及び6wt%のプロパン、メタン、窒素、CO及びHのような非凝縮性物質である残部の混合物を、2.8baraで操作して図1の第1の低圧分離カラムに供給する。底部生成物は108℃で液体99.9wt%のブチルアルデヒドであり、その一方、頂部生成物は、18wt%のブチルアルデヒド、40wt%のプロピレン、37wt%のプロパン、非凝縮性物質である残部を含む蒸気である。この流れは約42℃の温度である。蒸気生成物は18.2baraに圧縮され、56℃に冷却されて、流れの部分凝縮がもたらされる。圧縮及び冷却された流れを、その後、18baraで動作する高圧カラムに供給する。高圧カラムからの頂部生成物は、48wt%のプロピレン、45wt%のプロパン、及び~100ppmwtのブチルアルデヒド及び非凝縮性物質である残部を含む蒸気である。蒸気は約42℃の温度である。底部生成物は、82.5wt%のブチルアルデヒド、17.5wt%のプロピレン及びプロパンと、実質的に存在しない非凝縮性物質を含む。底部生成物流は約110℃の温度である。液体底部生成物は、低圧カラムに戻されて再循環が完結される。
【0097】
実施例2 プロピレン及びプロパンからのブチルアルデヒドの分離
39wt%のブチルアルデヒド、30wt%のプロピレン、27wt%のプロパン及び非凝縮性物質の混合物を、図2の高圧カラムに供給する。このカラムは18baraで動作する。分離が生じると、上部生成物は、48wt%のプロピレン、45wt%のプロパン、約100ppmwのブチルアルデヒド及び非凝縮性物質である残部を含む蒸気である。この流れは約42℃の温度である。高圧カラムからの底部生成物は、82.5wt%のブチルアルデヒド、17.5wt%のプロピレン及びプロパンを含み、非凝縮性物質は実質的に存在しない。この流れは約110℃の温度である。液体底部生成物は、低圧カラムに供給されて2.8baraで動作する。低圧カラムの底部生成物は、約108℃の温度で液体であり、99.5wt%のブチルアルデヒドを含み、その一方、上部生成物は、約42℃の温度で蒸気17であり、18wt%のブチルアルデヒド、46w%のプロピレン、36w%のプロパン及び非凝縮性物質である残部を含む。蒸気生成物は18.2baraに圧縮され、56℃に冷却されて、流れの部分凝縮がもたらされる。圧縮及び冷却された流れを、その後、高圧カラムに戻し、再循環を簡潔させる。
【0098】
実施例3 バレルアルデヒドのブテン及びブタンからの分離
63.5wt%のバレルアルデヒド、36.5wt%のブテン及びブタン、並びに0.1wt%未満の非凝縮性物質の混合物を、1.5baraで動作する低圧分離カラムに供給する。一旦分離が行われると、底部生成物は113℃で99.1wt%のバレルアルデヒドを含む液体であり、一方、頂部生成物は9.2wt%のバレルアルデヒド、90.8wt%のブテンとブタン及び非凝縮性物質を含む45℃の蒸気である。蒸気生成物は5.7baraに圧縮され、47℃に冷却されて、流れの部分凝縮がもたらされる。圧縮及び冷却された流れを、その後、5.5baraで動作する、さらなる分離が生じる高圧カラムに供給する。このカラムからの頂部生成物は、主にブテン及びブタンと、約~3000ppmwのバレルアルデヒド及び非凝縮性物質を含む45℃の液体である。底部生成物流は110℃であり、86.5wt%のバレルアルデヒド、13.5w%のブテンとブタンを含み、実質的に非凝縮性物質を含まない。液体底部生成物は、低圧カラムに戻されて再循環が完結される。
【0099】
実施例4 バレルアルデヒドのブタン及びブテンからの分離
99.1wt%のバレルアルデヒドと、ブタン及びブテンである残部の底部生成物流を分離した後、実施例3と同じ圧力で動作低圧分離カラムに、実施例3で使用したものと同じ混合物を供給した。頂部生成物流は、9.1wt%のバレルアルデヒド、90.8wt%のブタンとブテン、非凝縮性物質である残部を含んでいた。この流れは約45℃の温度であった。その後、蒸気流を3.3wt%のバレルアルデヒド、95.9wt%のブタンとブテン及び非凝縮性物質を含む追加の蒸気流と組み合わせた。組み合わされた流れは5.7baraに圧縮され、42℃に冷却されて、流れの部分凝縮がもたらされる。圧縮及び冷却された流れを、その後、5.5baraで動作する高圧カラムに供給する。高圧カラムで分離が生じると、液体頂部生成物及び蒸気頂部生成物が得られる。蒸気頂部生成物は、約50ppmwのバレルアルデヒド、96.4wt%のブタン及ぶブテン、並びに非凝縮性物質を含有する。これは約42℃の温度を有する。液体頂部生成物は、0.2wt%未満のバレルアルデヒド、99.8wt%のブテン及びブタン、並びに溶解した非凝縮性物質を含有する。液体底部生成物は、110℃で86wt%のバレルアルデヒド、13wt%のブタン及びブテン、並びにいくらかの溶解した非凝縮性物質を含有する。高圧分離カラムからの液体底部生成物は、低圧分離カラムに戻されて再循環が完結される。
【0100】
実施例5 ブチルアルデヒドのエチルプロピルアクロレインからの分離
N-ブチルアルデヒドのアルドール化は、アクロレイン1モルあたり1モルの水を生成する。よって、水は一般的にブチルアルデヒドのエチルプロピルアクロレインからの分離に存在する。この分離に関するさらなる問題は、ブチルアルデヒド及びエチルプロピルアクロレインは高温で望ましくない重質物を生成する傾向があることである。
【0101】
この実施例では、90wt%のブチルアルデヒド、8.75wt%のエチルプロピルアクロレイン及び1.25wt%の水の混合物を、0.4baraで動作する高圧カラムに供給する。このカラムでは、ブチルアルデヒドと水の流れはオーバーヘッドで生成される。実質的にエチルプロピルアクロレインを含まないこの流れを、約47℃で凝縮する。80.3wt%のエチルプロピルアクロレイン、19.7wt%のブチルアルデヒド及び0.02wt%の水を含む底部流を、高圧カラムの底部から回収する。この流れは109℃で再沸する。このエチルプロピルアクロレインが豊富な流れを、その後44℃に冷却し、0.14baraで動作する低圧カラムに供給する。この流れを、低圧カラムの頂部近くに挿入する。この流れは、底部で約110℃で本質的に純粋なエチルプロピルアクロレインを生成する。低圧カラムからのオーバーヘッドは、約72.5wt%のエチルプロピルアクロレイン、27.5wt%のブチルアルデヒド及び0.03wt%の水を含む。その後これを凝縮する。この流れの一部を低圧カラムに還流し、一部を高圧カラムに圧送して再循環ループを完了させる。両方のカラムは、約110℃の底部温度及び40℃を少し上回る頂部温度で動作する。よって、冷却水の温度は、40℃未満であり、部分的に47℃で凝縮される。
【0102】
実施例6 ブチルアルデヒドのエチルプロピルアクロレインからの分離
2.06wt%のブチルアルデヒド、97.7wt%のエチルプロピルアクロレイン及び0.22wt%の水の混合物で実施例5を繰り返した。このケースでは、混合物を0.14baraで動作する低圧カラムに供給した。本質的に純粋なエチルプロピルアクロレインの混合物を、底部で約110℃で除去する。ブチルアルデヒド、水及びエチルプロピルアクロレインの混合物の液体オーバーヘッドは、82.3wt%のエチルプロピルアクロレイン、10.3wt%のブチルアルデヒド及び7.4wt%の水を含む。これを52℃で凝縮する。0.4baraで動作する高圧カラムこれを部分還流及び部分圧送する。このカラムでは、実質的にエチルプロピルアクロレインを含まない、ブチルアルデヒド及び水を含む流れを、オーバーヘッドで回収する。このオーバーヘッド流は、さらなる処理のために部分還流及び部分除去される。3.7wt%のブチルアルデヒド、7.3wt%の水及び89wt%のエチルプロピルアクロレインの混合物を含む底部流を110℃で再沸させる。この流れの一部を90℃に冷却して低圧カラムに戻し、これにより、再循環ループを完了させ、エチルプロピルアクロレインが豊富な流れを底部で回収する。約110℃のこの流れは約63mol%のエチルプロピルアクロレインを含有する。このエチルプロピルアクロレインが豊富な流れを低圧カラム1に戻す。
【0103】
実施例7 ブチルアルデヒドのエチルプロピルアクロレインからの分離
高圧カラムからのオーバーヘッドとして回収されたブチルアルデヒド及び水を、水が豊富な流れとブチルアルデヒドが豊富な流れとに分離する以外は、実施例5を繰り返した。ブチルアルデヒドが豊富な流れを使用して、高圧カラムに還流を提供する。
【0104】
実施例8 バレルアルデヒドのプロピルブチルアクロレインからの分離
バレルアルデヒドのアルドール化は、アクロレイン1モルあたり1モルの水を生成する。よって、水は一般的にバレルアルデヒドのプロピルブチルアクロレインからの分離に存在する。この分離に関するさらなる問題は、バレルアルデヒド及びプロピルブチルアクロレインは高温で望ましくない重質を生成する傾向があることである。
【0105】
この実施例では、90mol%のバレルアルデヒド、5mol%の水及び5mol%のプロピルブチルアクロレインの混合物を、0.4baraで動作する高圧カラムに供給する。このカラムでは、プロピルブチルアクロレインを含まないバレルアルデヒド/水を約41℃のオーバーヘッドで生成するが、その一方、プロピルブチルアクロレインが豊富な流れを約80℃の底部で生成する。この底部流は、約91mol%のプロピルブチルアクロレイン及び6.5mol%のバレルアルデヒド及び2.5mol%の水を含有する。このプロピルブチルアクロレインが豊富な流れを、0.08baraで動作する低圧カラムに供給する。この流れは、約80℃の底部で本質的に純粋なプロピルブチルアクロレインを生成する。約92mol%のプロピルブチルアクロレイン、バレルアルデヒド及び水を含むオーバーヘッドを、40度で部分的に凝縮する。凝縮器からの液体を還流として低圧カラムに戻し、その一方、蒸気を圧縮して高圧カラムに戻す。
【0106】
実施例9 2-メチルブチルアルデヒドのプロピルブチルアクロレインからの分離
3.5mol%の2-メチルブチルアルデヒド、1.5mol%の水及び95mol%のプロピルブチルアクロレインの混合物を、0.08baraで動作する低圧カラムに供給する。このカラムでは、本質的に純粋なプロピルブチルアクロレインが豊富な流れを約80℃の温度で底部で生成する。このオーバーヘッド流を約40℃で部分的に凝縮する。凝縮器からの液体を還流として低圧カラムに戻し、その一方、蒸気を圧縮して0.25baraで動作する高圧カラムに供給する。この高圧カラムでは、2-メチルブチルアルデヒド/水混合物を、約40℃のオーバーヘッドで生成する。約65mol%のプロピルブチルアクロレイン、35mol%の2-メチルブチルアルデヒドを含み、実質的に水を含まない流れを、80℃の底部で回収する。この流れを低圧カラムに戻す。
【0107】
実施例10 プロピオンアルデヒドのエチレンからの分離
44.8wt%のプロピオンアルデヒド、28.3wt%のエチレン、26.8wt%のエタン及び0.1wt%未満の非凝縮性物質を、5.0baraで動作する低圧カラムに供給する。103℃で99.9wt%超のプロピオンアルデヒドを含む底部液体流を回収し、その一方、頂部生成物は47℃の温度で33.7wt%のプロピオンアルデヒド、32.1wt%のエチレン、34.1wt%のエタン及び非凝縮性成分を含む蒸気である。この生成物流を50baraに圧縮し、50℃に冷却して、流れの部分凝縮がもたらされる。この流れを、その後、48.5baraで動作する高圧カラムに供給する。高圧カラムからの頂部生成物流は、主にエチレン及びエタンと1000ppmw未満のプロピオンアルデヒドを含む蒸気であり、16℃の非凝縮性物質に溶解している。高圧カラムの底部から回収される流れは、76.5wt%のプロピオンアルデヒド、7.8wt%のエチレン、15.7wt%のエタンを含み、実質的に非凝縮性物質を含まない。102℃であるこの流れを低圧カラムに戻し、再循環ループを完了させる。
【0108】
高圧カラムのオーバーヘッド温度はわずか16℃であり、場合によっては冷却水の温度未満であり、したがって代替の冷却が必要となることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6