(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】患者特有の3D対話型全関節モデル及び外科手術計画システム
(51)【国際特許分類】
A61F 2/30 20060101AFI20230220BHJP
A61F 2/46 20060101ALI20230220BHJP
A61B 17/56 20060101ALI20230220BHJP
A61B 34/10 20160101ALI20230220BHJP
【FI】
A61F2/30
A61F2/46
A61B17/56
A61B34/10
(21)【出願番号】P 2019540292
(86)(22)【出願日】2017-10-06
(86)【国際出願番号】 US2017055589
(87)【国際公開番号】W WO2018067966
(87)【国際公開日】2018-04-12
【審査請求日】2020-10-02
(32)【優先日】2016-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519124888
【氏名又は名称】ニューヨーク ソサイエティ フォア ザ リリーフ オブ ザ ラプチャード アンド クリップルド メインテイニング ザ ホスピタル フォア スペシャル サージェリー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100122563
【氏名又は名称】越柴 絵里
(72)【発明者】
【氏名】コンタクシス アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ガロッタ ローレンス
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0270854(US,A1)
【文献】特表2013-503007(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0164024(US,A1)
【文献】特表2014-516594(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0076563(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0211178(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0228234(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0257304(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0045317(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/30
A61F 2/46
A61B 17/56
A61B 34/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムのための術前計画方法であって、前記外科手術計画システムを実行する前記コンピュータのプロセッサは、
部分的又は全関節置き換えの術前計画を実施するステップと、
複数の関節インプラントの一つの最良適合サイズを決定するステップと、
前記関節
インプラントの患者特有運動学的モデルにおいて評価中の前記複数の関節インプラントの各々を仮想的に位置付けることを含む可動域分析を実施するステップと、
仮想的に位置付けられた前記関節インプラントに関する前記患者特有運動学的モデルを用いて軟組織分析を実施するステップと、
日常生活の選択された活動に対する患者
が指定
する術後運動に適合する可動域を優先するために、前記患者特有運動学的モデル内で前記複数の関節インプラントの各々の特徴を評価及び調整するステップと、
前記実施するステップに関する術前計画分析に基づいて選択された前記関節インプラントと共に使用する患者特有手術ガイドを選択するステップと、
を実行する、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムのための術前計画方法。
【請求項2】
前記コンピュータのプロセッサによる前記術前計画を実施するステップは、
ジョイントラインを分析すること、
当初のジョイントラインと、当該当初のジョイントラインと位置及び方向に関して類似する新しいジョイントラインとを比較すること、
肩胛骨と比較される上腕骨の結節の再配置の距離を測定するため、前記肩胛骨及び上腕頭を含む前記上腕骨での腱への挿入距離及びその方向並びに筋肉への挿入距離及びその方向のそれぞれを表す3次元のベクトルを比較すること、
前記上腕頭の直径を決定すること、
前記上腕頭の高さを決定すること、
デジタル画像から上腕骨インプラントのサイズを決定すること、
の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンピュータのプロセッサによる前記可動域分析を実施するステップは、最大の可動域を考慮して仮想的にインプラントされた関節の運動をシミュレーションして、インピンジの位置を測定し、必要な機能的可動域を補償することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記コンピュータのプロセッサによる前記軟組織分析を実施するステップは更に、主要な軟組織への挿入位置を決定し、術前状態と比較するため前記軟組織を3次元測定し、最大の可動域での前記軟組織の長さを評価することにより、前記軟組織の長さの変化又は縮小が解剖学的範囲内に実質的に維持されて、日常生活の最も一般的な活動を実質的に得るようにすることを含む、請求項1~3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記コンピュータのプロセッサによる前記複数の関節インプラントの各々の特徴を評価及び調整するステップは、
関節窩インプラントの厚さ/高さを評価及び調整すること、
関節窩の深さを評価及び調整すること、
グラフトの厚さを評価及び調整すること、
を含む、請求項1~4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のために必要な指示を受信することを更に含む、請求項1~5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記コンピュータのプロセッサによる前記可動域分析を実施するステップは、極度の可動域を介してインプラントを仮想的に位置付けて、衝突位置を測定し必要な機能的可動域を補償することを含む、ある範囲の可動域の分析を実施することを更に含む、請求項1~6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記コンピュータのプロセッサは、
前記患者の骨と関心の当該骨の統計的形状モデルとの間の位置合わせを構築するステップと、
前記患者の骨を表す原理モードを抽出するステップと、
対応する前記原理モードに従って固定構成、位置、又は寸法を定義するステップと、
衝突検出を適用して、前記骨の固定構成を確認するステップと、
に従って、
前記患者の3次元(3D)骨構造と、統計的形状ベースアトラスとの間の対応するマトリクスを用いて、関節窩インプラントの固定要素の寸法を最適化するステップを更に実行する、請求項1~7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記部分的又は全関節手術置き換えは肩関節手術を含み、
前記コンピュータのプロセッサは、
関節窩面
のカバレージが最大化されたかどうか、前記関節窩面の突出が最小にされたかどうか、前記関節窩面上で除去された骨が最小限にされたかどうか、関節窩の後傾が約5~約10度未満であるかどうか、関節窩インプラントの着座が、インプラントカバレージ区域の約80%よりも大きいかどうか、前記関節窩の皮質壁の前方へ貫通が最小化されているかどうか、前記関節窩の後方に約3mmよりも大きい骨厚さが存在するかどうか、生来の関節窩とインプラント上/下軸との間の配向オフセットが約5度未満であるかどうか、上方又は下方傾斜と生来の関節窩が5度未満であるかどうか、上腕骨の切断面又は調製面と比較した上腕頭の突出が欠如しているかどうか、解剖学的構造とインプラントの間の上腕頭直径の差異が約3mm未満であるかどうか、解剖学的構造とインプラントとの間の上腕頭高さの差異が約1mm未満であるかどうか、解剖学的構造と比較して正中頭縁部に対して約2mm未満大きい結束が存在するかどうか、を決定して、これにより処置リスクが識別されて、選択された肩関節手術においての補綴具インプラントの選択が、識別された前記処置リスクに部分的に基づくことによって、選択されたリバース型又は解剖学的肩関節処置との間の処置リスクを識別し比較することを更に実行する、請求項1~8の何れかに記載の方法。
【請求項10】
前記関節窩インプラントは、解剖学的又はリバース型肩関節処置の術前計画が実施された患者に適合させるように用いられ、
前記関節窩インプラントの深さ、前記関節窩インプラントのサイズ、及び/又は前記関節窩インプラントの半径方向位置が、選択された前記解剖学的又はリバース型肩関節処置の術前計画に応じて変化する、請求項5又は9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記部分的又は全関節手術置き換えは肩関節手術を含み、
前記コンピュータのプロセッサは、
選択された解剖学的又はリバース型外科手術法のステップに基づいて、患者特有肩関節手術ガイドを得るステップと、
肩関節手術ガイド又は選択された解剖学的又はリバース型肩関節処置をもたらすステップとを
実行することを更に含み、前記肩関節手術ガイドをもたらすステップが、3Dプリンティングデバイスを用いることを含む、請求項1~10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記部分的又は全関節手術置き換えは肩関節手術を含み、
選択された解剖学的又はリバース型外科手術法のために、関節窩インプラントのサイズ、増強深さ、増強位置、6自由度における位置決め、固定タイプ、固定サイズ、リーミング深さ、リーミング直径、リーミング角度、及び/又はこれらの組み合わせにおける調整からなるグループから選択された補綴具肩インプラント及び配置位置を推奨するステップを更に実行する、請求項1~11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記コンピュータのプロセッサによる、関節特有の運動学的モデルにおける骨、軟組織又はランドマークのうちの少なくとも1つを修正して前記軟組織分析を実施するステップは、患者適合エンジンを動作させて、1又は2以上の患者特有条件を含めるように前記関節特有の運動学的モデルを適合させることにより、患者特有運動学的モデルをレンダリングすることを含み、
前記複数の関節インプラントの各々の特徴を評価及び調整するステップは、補綴具試験エンジンを動作させて、全関節又は部分関節手術を電子的に実施して、前記患者特有運動学的モデルにおいて選択されたインプラントを位置付け、日常生活活動を実施しながら、選択されたインプラントを有する前記患者の関節の運動をシミュレーションすることを含み、さらに、
前記患者に対して実施される計画された外科処置のための実際のインプラントを選択するステップを含む、請求項1~12の何れか1項に記載の方法。
を含む。
【請求項14】
前記コンピュータのプロセッサによって実行されたときに、請求項1~13の何れか1項に記載の方法を実行するよう制御する実行可能命令を格納したコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、名称「PATIENT SPECIFIC 3-D INTERACTIVE SHOULDER MODEL AND SURGICAL PLANNING SYSTEM」の2016年10月7日出願の米国特許仮特許第62/405,814号及び名称「PATIENT SPECIFIC 3-D INTERACTIVE SHOULDER MODEL AND SURGICAL PLANNING SYSTEM」の2016年11月23日出願の米国特許仮特許第62/426,081号に対する優先権を主張し、これらは引用により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の主題は、全関節置換術の比較及び計画で使用する術前に計画される仮想インプラント及び補綴具のための方法、システム及び装置に関する。より詳細には、解剖学的肩関節処置及びリバース型肩関節処置の比較及び計画で使用する肩インプラント及び補綴具が記載される。加えて、本開示の主題はまた、解剖学的肩関節又はリバース型肩関節手術を含む、選択及び計画された部分的又は全関節手術を受ける患者におけるこのようなインプラント及び補綴具の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
肩関節置換は、多くの患者に良好な結果をもたらしている一般的な外科手術である。実際に、関節置換処置の全体の約10%が肩に関係している。多くの肩関節処置は、補綴具置換又は面再建の配向及び固定のため実質的に正常な骨が存在する患者において実施される。これらの場合、肩関節置換の必要性は、多くの場合、関節の関節炎条件及び健康な軟骨の相対的な欠如に主として関係することができる。
【0004】
しかしながら、一部の患者においては、肩の骨の1又は2以上は、関節炎だけでなく、骨の摩耗を引き起こした過去の疾患も有していた。このような場合、補綴具インプラントを骨に適切に固定するのに十分な骨が存在しない可能性があり、又は骨が摩耗しているために、関節置換術の配向が、患者の成功裏な転帰を確保するような満足のいく結果にできない可能性がある。
【0005】
関節窩インプラント及び/又は上腕骨インプラントなどの補綴具インプラントデバイスの選択、配向及び固定を複雑にする幾つかの要因がある。各要因を適切に考慮できないと、不適切なサイズ、位置ずれ、及び/又は固定不良のインプラントがもたらされ、患者の外科手術の転帰が悪くなる可能性がある。
【0006】
肩関節手術を受ける患者における患者の成功裏な転帰の可能性を高めるためには、解剖学的肩関節又はリバース型肩関節手術のための肩インプラント選択及び/又は置換を最適化するためにより包括的な仮想モデリングの全ての必要な要因を完全に理解し組み込むことを可能にする方法、システム及び装置が必要とされる。従って、術前に計画される選択された解剖学的又はリバース型肩関節処置の所望の転帰を達成する関節窩インプラント及び補綴具などの術前計画の肩関節手術ガイド及びインプラントのための方法、システム及び装置に対する要求が依然としてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第2016/0270854号明細書
【文献】米国特許出願公開第2010/0125336号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0120555号明細書
【文献】米国特許出願公開第2012/0109226号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0081342号明細書
【文献】米国特許仮出願第61/373,092号明細書
【文献】米国特許出願公開第20130066321号
【文献】米国特許出願公開第2015/0223941号明細書
【文献】国際特許出願PCT/US13/56841号
【文献】米国特許出願公開第2014/0107654号明細書
【文献】米国特許出願第13/653,893号明細書
【文献】米国特許第9,301,812号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0110470号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0110116号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0107715号明細書
【文献】米国特許出願公開第20120143267号明細書
【文献】米国特許出願公開第2012/0109137号明細書
【文献】国際特許WO2013/0608851号
【文献】国際特許PCT EP2012071272 (WO2013060851A1)号
【文献】米国特許出願公開US2014/0236158号明細書
【文献】米国特許出願公開US2016/0192951号明細書
【文献】米国特許出願公開US2011/0130795号明細書
【文献】米国特許出願公開US2007/0250174号明細書
【文献】国際特許WO2015/071757号
【発明の概要】
【0008】
一般に、1つの実施形態において、全関節又は部分関節手術を実施する方法のためのコンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、(1)補綴具デバイスをインプラントするため術前に計画される仮想関節手術を実施するステップと、(2)仮想関節手術を実施した後に、日常生活活動に望ましい可動域及び/又は可動域の標準的臨床的評価を考慮するステップと、(3)実施される仮想関節手術の各々からの各インプラント、各位置、及び各活動可動域についての結果を出力するステップと、を含む。
【0009】
本実施形態及び他の実施形態は、以下の特徴の1又は2以上を含むことができる。コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、解剖学的又はリバース型肩関節手術のための指示を更に含むことができる。コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、リバース型又は解剖学的肩関節手術を受ける患者において、上腕骨及び関節窩インプラントの外科的調製及びインプラントのためのPatient specific Instrument(患者特有器具)についての指示を更に含むことができる。コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、節窩上腕関節、肩胛骨、鎖骨運動学と共に患者特有の骨、筋肉及び軟組織を含む術前計画に基づいて、関節窩インプラント構成要素と、上腕骨インプラント構成要素と、関節窩インプラント配置ガイド及び上腕骨インプラント配置ガイドを含む肩関節手術ガイドと、を含む、患者特有解剖学的又はリバース型肩関節処置のためのインプラント可能構成要素を設計及び/又は生成するためのステップを更に含むことができる。コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、複数の要因のうちの1又は2以上の要因の測定に基づいて、解剖学的、外科的、処置的、可動域、固定、安定化、又は他の転帰のリスクの識別を含む最適化ステップを更に含むことができる。コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、関節窩インプラントの前縁が関節窩骨の前縁と整列された状態にある、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップのための指示を更に含むことができる。コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、関節窩インプラントの後傾が調整される、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を更に含むことができる。コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、関節窩インプラントの増強が調整される、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を更に含むことができる。コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、関節窩インプラントの下方傾斜が調整される、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を更に含むことができる。コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、関節窩インプラント及び/又は上腕骨インプラントのための骨支持が査定される、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を更に含むことができる。コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、リーミングによって除去される必要がある骨の容積量を評価することにより関節窩インプラントの正中固定術が調整される、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を更に含むことができる。コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、円蓋を内側に貫通する中央ペグが存在しないときに固定支持体が分析される、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を更に含むことができる。コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、当初のジョイントラインと新しいジョイントラインとを比較することにより、ジョイントラインが分析される、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を更に含むことができる。コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、リーミングして関節窩インプラント及び骨の下側軸と上側軸を整列させた後、関節窩インプラントの幅と関節窩骨の幅が測定されて照合され、上腕骨インプラントの同様の適切な測定及び照合が含まれる、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を更に含むことができる。コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、上腕頭の直径が決定される、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を更に含むことができる。コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、上腕頭の高さが決定される、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を更に含むことができる。コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、コンピュータ断層撮影又は他の適切な医用画像診断法によって上腕骨又は関節窩インプラントのサイズが測定される、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を更に含むことができる。コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、1又は2以上の医用構成要素の製造業者によるある範囲のサイズから上腕骨インプラント又は関節窩インプラントの最良適合サイズが決定される、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を更に含むことができる。コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、3次元のベクトルが比較されて、肩胛骨と比較した上腕骨結節の再配置の距離を測定する、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を更に含むことができる。コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、極度の可動域を介してインプラントを仮想的に位置付けて、衝突位置を測定し日常生活活動及び標準的臨床評価に基づいて必要な機能的可動域を補償することを含む、可動域分析が行われる、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を更に含むことができる。コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、主要軟組織挿入点を決定することを含む軟組織分析が行われる、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を更に含むことができる。コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、円蓋の皮質壁の外側への貫通が評価される、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を更に含むことができる。コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、インプラントを有する正中頭縁部に対するより大きな結節の幅が解剖学的幅と比較される、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を更に含むことができる。コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、関節窩インプラント又は上腕骨インプラントのビューのための冠、サジタル及び横解剖学的平面の指標;患者特有裏面側増強を有する関節窩インプラントのビュー;患者特有増強を有する例示的な関節窩インプラントのビュー;比較のため計画システムによって評価される1又は2以上の要因の図示された指標を有する関連する関節骨又は肩胛骨及び関節窩面のビュー;選択されたインプラント及び外科処置を表示させた上腕骨との肩胛骨のビュー;裏面増強の無い関節窩インプラントのビュー及び裏面増強を有する関節窩インプラントのビュー;及び/又はカスタマイズされた固定構成要素のビューを各々が有する患者特有の上腕骨又は関節窩インプラントのビューの指標の1又は2以上の解剖学的ビューをビュー又は表示するための解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を更に含むことができる。
【0010】
一般に、1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムのための術前計画方法であって、(1)部分的又は全関節手術の術前計画を実施するステップと、(2)関節インプラントの最良適合サイズを決定するステップと、(3)関節の患者特有運動学的モデルにおいて査定中の関節インプラントを仮想的に位置付けることを含む可動域分析を実施するステップと、(4)仮想的に位置付けられた関節インプラントの患者特有運動学的モデルを用いて軟組織分析を実施するステップと、(5)患者特有運動学的モデル内で関節インプラントの特徴を評価及び調整するステップと、(6)実施するステップに関する術前計画分析に基づいて選択された関節インプラントと共に使用するPatient specific Instrument(患者特有器具)を選択するステップと、を含む。
【0011】
本実施形態及び他の実施形態は、以下の特徴の1又は2以上を含むことができる。術前計画を実施する方法は、当初のジョイントラインと新しいジョイントラインとを比較することを含む、ジョイントラインを分析するステップの1又は2以上を含むことができ、新しいジョイントラインは当初のジョイントラインと実質的に類似している。術前計画を実施するステップの方法は、肩胛骨と比較される上腕骨の結節の再配置の距離を測定するため、肩胛骨及び上腕骨での腱及び筋肉の挿入間の距離及び方向を表す3次元のベクトルを比較するステップと、上腕頭の直径を決定するステップと、上腕頭の高さを決定するステップと、デジタル画像から上腕骨インプラントのサイズを決定するステップと、を含むことができる。関節インプラントの最良適合サイズを決定するステップの方法は、上腕骨インプラントをあるサイズの範囲から選択するステップを含むことができ、サイズの範囲は、ステムの長さ、上腕骨ステムのサイズ、ステムの直径、頭のサイズ直径、頭の高さ、及び上腕骨ステムの面の中心と比べた中央丸頭のオフセットからなるグループから選択される。可動域分析を実施するステップの方法は、極度の可動域を介して仮想的にインプラントされた関節の運動をシミュレーションして、衝突位置を測定し、必要な機能的可動域を補償するステップを含むことができる。軟組織分析を実施するステップの方法が更に、主要軟組織挿入点を決定し、術前状態と比較するため3次元距離を測定し、極度の可動域での長さを評価して、軟組織の長さ変化又は縮小が解剖学的範囲内に実質的に維持されて、日常生活の最も一般的な活動を実質的に得るようにするステップを含むことができる。関節インプラントの特徴を評価及び調整するステップの方法は、関節窩インプラントの厚さ/高さを評価及び調整するステップと、関節窩の深さを評価及び調整するステップと、グラフトの厚さを評価及び調整するステップと、を含むことができる。Patient specific Instrument(患者特有器具)を選択するステップの方法は、術前計画分析に基づいて上腕骨インプラント及び関節窩インプラントを選択し、又は術前計画分析に基づいて上腕頭、関節窩厚さ、関節窩深さ、及びグラフト厚さを評価及び調整することを含むことができる。本方法は、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための包括的術前全関節計画方法における指示を更に含むことができる。本方法は、極度の可動域を介してインプラントを仮想的に位置付けて、衝突位置を測定し必要な機能的可動域を補償することを含む、ある範囲の可動域の分析を実施するステップを更に含むことができる。本方法は、主要軟組織挿入点を決定し、術前状態と比較するため3次元距離を測定し、極度の可動域での長さを評価して、軟組織の長さ変化又は縮小が、日常生活の最も一般的な活動を実質的に得るようにするよう解剖学的範囲内に実質的に維持されるようにすることを含む、軟組織分析を実施するステップを更に含むことができる。本方法は、関節窩インプラントの厚さ/高さを必要に応じて評価し調整するステップを更に含むことができる。本方法は、関節窩の深さを必要に応じて評価し調整するステップを更に含むことができる。本方法は、グラフトの厚みを評価し調整するステップを更に含むことができる。術前計画は、術前に対象者から撮影された画像に基づいて仮想的に行うことができる。本方法は、(1)患者の骨と関心の当該骨の統計的形状モデルとの間の位置合わせを構築するステップと、(2)患者の骨を表す原理モードを抽出するステップと、(3)対応する原理モードに従って固定構成、位置、又は寸法を定義するステップと、(4)衝突検出を適用して、骨の固定構成を確認するステップと、に従って、患者の3次元(3D)骨構造と、統計的形状ベースアトラスとの間の対応するマトリクスを用いて、関節窩インプラントの固定要素の寸法を最適化するステップを更に含むことができる。本方法は、関節窩面カバレージが最大化されたかどうか、関節窩面の突出が最小にされたかどうか、関節窩面上で除去された骨が最小限にされたかどうか、関節窩の後傾が約5~約10度未満であるかどうか、関節窩インプラントの着座が、インプラントカバレージ区域の約80%よりも大きいかどうか、関節窩の皮質壁の前方へ貫通が最小化されているかどうか、関節窩の後方に約3mmよりも大きい骨厚さが存在するかどうか、生来の関節窩とインプラント上/下軸との間の配向オフセットが約5度未満であるかどうか、上方又は下方傾斜と生来の関節窩が5度未満であるかどうか、上腕骨の切断面又は調製面と比較した上腕頭の突出が欠如しているかどうか、解剖学的構造とインプラントの間の上腕頭直径の差異が約3mm未満であるかどうか、解剖学的構造とインプラントとの間の上腕頭高さの差異が約1mm未満であるかどうか、解剖学的構造と比較して正中頭縁部に対して約2mm未満大きい結束が存在するかどうか、を決定して、これにより処置リスクが識別されて、選択された肩関節手術においての補綴具インプラントの選択が、識別された処置リスクに部分的に基づくことによって、選択されたリバース型又は解剖学的肩関節処置との間の処置リスクを識別し比較するステップを更に含むことができる。関節窩インプラントは、解剖学的又はリバース型肩関節処置の術前計画が実施された患者を適合させるように増強することができる。増強の深さ、増強のサイズ、及び/又は増強の半径方向位置は、選択された解剖学的又はリバース型肩関節処置の術前計画に応じて変化することができる。増強は、約2mm~約4mmにわたる深さを含むことができる。増強は、関節窩インプラントの裏面の約5%、10%、15%、20%、30%、40%、又は50%を覆うことができる。増強は、関節窩インプラントの裏面の約50%、60%、70%、80%、90%、95%及びそれよりも多くを覆うことができる。関節窩インプラントの裏面上の増強の半径方向位置は、後方位置、前方位置、上方位置、下方位置、及びこれらの組み合わせからなるグループから選択することができる。本方法は、選択された解剖学的又はリバース型外科手術法のステップに基づいて、患者特有肩関節手術ガイドを得るステップを更に含むことができる。本方法は、肩関節手術ガイド又は選択された解剖学的又はリバース型肩関節処置をもたらすステップを更に含むことができ、肩関節手術ガイドをもたらすステップが、3Dプリンティングデバイスを用いることを含む。本方法は、関節窩インプラントのサイズ、増強深さ、増強位置、6自由度における位置決め、固定タイプ、固定サイズ、リーミング深さ、リーミング直径、リーミング角度、及び/又はこれらの組み合わせにおける調整からなるグループから選択された補綴具肩インプラント及び配置位置を推奨する選択された解剖学的又はリバース型肩関節処置を更に含むことができる。本方法は、コンピュータのプロセッサによって実行されたときに、コンピュータが計画方法のステップ又は選択された解剖学的又はリバース型肩関節処置の1又は2以上を実施するよう制御する実行可能命令を格納したコンピュータ可読媒体を更に含むことができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータのプロセッサによって実行されたときに、術前計画の際に決定された1又は2以上の最適化されたパラメータを反映する関節窩インプラントの仮想3次元モデルをコンピュータが生成するよう制御する実行可能命令を格納することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータのプロセッサによって実行されたときに、選択された解剖学的又はリバース型肩関節処置において術前計画の際に決定された1又は2以上の最適化されたパラメータを反映する選択されたインプラントの仮想3次元モデルをコンピュータが生成するよう制御する実行可能命令を格納することができる。
【0012】
一般に、1つの実施形態において、選択された肩外科処置のための術前計画及び肩関節手術キットは、術前分析のステップを実施する命令セットと、1又は2以上のガイド、関節窩補綴具デバイス、及び/又は上腕骨補綴具デバイスと、を含む。
【0013】
本実施形態及び他の実施形態は、以下の特徴の1又は2以上を含むことができる。キットは、ガイド及び/又は関節窩及び/又は上腕骨補綴具デバイスを製造するための3Dプリンティングデバイスを更に含むことができる。キットは、術前計画を実施し術前計画の間に集められた入力パラメータに基づいてガイド、関節窩インプラント及び/又は上腕骨インプラントを設計するのに使用するコンピュータ可読媒体を更に含むことができる。デバイスは、補綴具デバイスを術前計画の分析に基づいて患者にとって最適化できるように設計上カスタマイズ可能及び/又はモジュール式とすることができる。キットは、増強裏面を有するある範囲の関節窩インプラントを含むことができ、ここで増強は、上方/下方及び前方/後方位置の両方で増強のサイズ、形状、及び位置に関して選択可能である。キットは、増強裏面を有するある範囲の関節窩インプラントを含むことができ、ここで増強は、そのサイズ、形状、及び位置に関して選択可能であり、ここで、位置は角度位置及び半径方向位置によって定義される。
【0014】
一般に、1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、全関節又は部分関節外科処置のために査定される患者の関節の関節特有の運動学的モデルを得るステップと、患者適合エンジンを動作させて、1又は2以上の患者特有条件を含めるように関節特有の運動学的モデルを適合させることにより、関節特有の運動学的モデルにおける骨、軟組織又はランドマークのうちの少なくとも1つを修正して患者特有運動学的モデルをレンダリングするステップと、補綴具試験エンジンを動作させて、全関節又は部分関節手術を電子的に実施して、患者特有運動学的モデルにおいて選択されたインプラントを位置付け、日常生活活動を実施しながら、選択されたインプラントを有する患者の関節の運動をシミュレーションするステップと、患者適合エンジンの動作結果及び補綴具試験エンジンの動作結果の出力を提供するステップと、患者に対して実施される計画された外科処置のための実際のインプラントを選択するステップと、を含む。
【0015】
本実施形態及び他の実施形態は、以下の特徴の1又は2以上を含むことができる。関節特有の運動学的モデルは、肩、膝、股関節、足首、肘、手首、手又は指及び親指の関節、並びに足又は足指の関節のうちの1つとすることができる。1又は2以上の患者特有条件は、患者特有撮像、臨床査定、又は試験から得られた患者特有条件を含むことができる。本システムは、骨特徴を表す1又は2以上の患者特有要因を適用することにより、運動学的モデルを修正するステップを更に含むことができる。本システムは、筋肉特徴を表す1又は2以上の患者特有要因を適用することにより、運動学的モデルを修正するステップを更に含むことができる。本システムは、軟組織又は軟骨又は関節包もしくは関節包の一部又は患者特有繊維又は瘢痕組織を表す1又は2以上の患者特有要因を適用することにより、運動学的モデルを修正するステップを更に含むことができる。本システムは、査定中の全関節又は部分関節手術に関連する1又は2以上の追加の患者特有特徴を表す1又は2以上の患者特有要因を適用することにより、運動学的モデルを修正するステップを更に含むことができる。補綴具試験エンジンを動作させるステップは、運動学的モデルを用いて実施することができる。補綴具試験エンジンを動作させるステップのシステムは、査定のため補綴具のデジタルモデルを選択するステップを更に含むことができる。本システムは、関節の適合された患者特有運動学的モデル内で外科手術計画を用いて選択された補綴具のモデルを位置付けるステップを更に含むことができる。本システムは、日常生活活動に基づいて患者特有運動学的モデルの運動シミュレーションを適用するステップを更に含むことができ、日常生活活動の運動が患者特有モデルに与えられている間、選択された手術位置における選択された補綴具が査定される。日常生活活動をシミュレーションするプロセスは、日常の手入れ、セルフケア、及び少なくとも1つの競技又はスポーツ活動について繰り返すことができる。補綴具は、患者特有運動学的モデル内の異なる位置に移動することができ、日常生活活動の追加のシミュレーションのステップが繰り返される。本システムは、試験される全てのインプラント、査定される全ての手術部位、及びシミュレーションされる日常生活活動によって与えられる全ての運動の結果を含む、患者特有モデルによって実施される全てのシミュレーションの結果を含む、補綴具試験エンジンからの出力を提供するステップを更に含むことができる。コンピュータのプロセッサによって実行されたときに、術前計画方法中に決定された1又は2以上の最適化パラメータを反映する関節窩及び/又は上腕骨ガイドの仮想3次元モデルを生成することを含むステップをコンピュータが実施するよう制御するコンピュータ実行可能命令を格納したコンピュータ可読媒体を提供することができる。コンピュータのプロセッサによって実行されたときに、コンピュータと通信して3Dプリンティングデバイスを制御するコンピュータ実行可能命令を格納することができ、これにより、3Dプリンティングデバイスが、最適分析が行われた患者において解剖学的又はリバース型肩関節置換外科療法で使用するための関節窩及び/又は上腕骨ガイドもしくは配置ガイドをプリンティングする、コンピュータ実行可能命令を格納したコンピュータ可読媒体を提供することができる。本システムは、術前計画ステップ中に決定された1又は2以上の最適化パラメータを反映する関節窩及び/又は上腕骨ガイドの仮想3次元モデルの自動設計及び生成を含む患者特有肩関節手術ガイドを生成するための1又は2以上のステップ、分析、最適化及び推奨を利用することを含む、解剖学的又はリバース型肩関節手術ガイドを生成する方法を更に含むことができる。患者の撮像データは、術前の患者から撮影された画像又はスキャンから又は該画像又はスキャンに基づいて取得することができ、撮像データは、コンピュータ断層撮影(CT)、X線撮像、陽電子放出断層撮影(PET)、又は超音波撮影に基づいている。
【0016】
本発明の種々の実施形態の非限定的で非網羅的な実施形態が、以下の図面を参照しながら記載される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】全関節手術計画及び査定システムの例示的なコンピュータ実装方法のフローチャートである。
【
図2】解剖学的肩関節処置の査定をするよう適合された全関節手術計画及び査定システムの一部としてインプラントを選択、配置及び試験する例示的なコンピュータ実装方法のフローチャートである。
【
図3】リバース型肩関節処置の査定をするよう適合された全関節手術計画及び査定システムの一部としてインプラントを選択、配置及び試験する例示的なコンピュータ実装方法のフローチャートである。
【
図4】患者についての解剖学的及びリバース型肩関節処置の比較を可能にするため、
図2及び
図3にて実施されたシミュレーションの結果を取得し比較する例示的なコンピュータ実装方法のフローチャートである。
【
図5】計画された全関節又は部分関節外科処置の実施を支援して、以前のシミュレーション及び評価を出力及び査定する例示的なコンピュータ実施方法のフローチャートである。
【
図6】
図1、2及び3と同様に部分的又は全関節手術についての計画の査定及び評価を受ける特定の患者の状態を反映するよう関節特有の解剖学的及び運動学的モデルを適合させる例示的なコンピュータ実施方法のフローチャートである。
【
図7】インプラントを導入、選択、配置及び試験すると共に全関節又は部分関節手術を実施する例示的なコンピュータ実施方法のフローチャートである。
【
図8A】全関節手術計画及び査定システムを利用する例示的なコンピュータ実施方法のフローチャートである。
【
図8B】
図8Aの全関節手術計画及び査定システムと共に使用する例示的な仮想又はデジタルコンポーネントデータベースを示す図である。
【
図8C】
図8Aの全関節手術計画及び査定システムによって提供される例示的なスコアカード又は査定出力を示す図である。
【
図9A】全関節手術計画及び査定システムを利用する例示的なコンピュータ実施方法のフローチャートである。
【
図9B】
図9Aの全関節置換術を作動させるコンピュータ実施方法内で実行される患者適応エンジンの作動における追加ステップのフローチャートである。
【
図9C】
図9Aの全関節置換術を作動させるコンピュータ実施方法内で実行される人口装具試験エンジンにおける追加ステップのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
肩関節手術を必要とする患者は、関節炎だけでなく、骨の摩耗を引き起こした過去の疾患も有していた可能性がある肩の骨の1又は2以上を有する場合がある。このような場合、定められた肩関節手術の際に補綴具インプラントを骨に適切に固定するのに十分な骨が存在しない可能性がある。実際に、骨が摩耗している可能性があるので、関節置換術の配向が、患者の成功裏な転帰を確保するような満足のいくように決定できない可能性がある。
【0019】
関節窩骨は、関節の骨関節炎条件に起因して、及び関節の周囲の正常な軟組織外膜の変化に起因して、摩耗の増大を生じやすくなる可能性がある。このような場合、肩胛骨の骨の関節窩部分の面の配向が変わり、上腕骨が関節窩の面に適切に対向しないようになる可能性がある。関節窩が著しく摩耗した場合、肩関節機能及び痛みの軽減を改善するために外科医がバランスを取る必要がある2又は3以上のリスクが存在する可能性がある。
【0020】
第1に、疾患があるが処置された肩関節の最適な配向が見つからず、補綴具で再現されている場合、患者は、置換された肩関節の亜脱臼又は脱臼に関連するほとんどの手術合併症を経験する可能性がある。このことは、肩への受動的な入力(例えば、肩へのもたれかかり又はベッドへの横たわり)に起因するか、又は置換関節表面によって拘束できない周囲の軟組織の能動的ファイアリングに起因して起こる可能性がある。
【0021】
加えて、生来の患者の骨に置換補綴具又はインプラントを固定することは、問題となる可能性がある。多くの場合、上述の関節の亜脱臼及び脱臼に関連するリスクを相殺するために、外科医が、不均衡な筋力に耐えるのに好適な位置に置換補綴具又はインプラントを配向又は位置付けることが必要とされる可能性がある。このような場合、インプラントと骨の間の離脱力が増大する可能性があり、その結果、骨における関節補綴具の緩みが生じる恐れが高くなる可能性がある。インプラントの緩みは、インプラント摩耗の促進、骨侵食、組織炎症の悪化、関節滑膜炎及び痛みに関係する可能性がある。
【0022】
肩関節置換術を受けた患者では、可動域及び強度は肩関節運動学に依存し、これはまた多くの要因に依存する。このような要因には、例えば、インプラントサイズ、インプラント位置、インプラント形状の設計、ジョイントライン及び軟組織緊張を挙げることができる。一部の例では、現在利用可能なガイド及びインプラントを用いて最適なインプラントサイズ及び位置/配向を予測することが難しい場合がある。多くの場合、外科医は、一度に管理するには変数が多すぎることに気付く。更に、インプラントのサイズ選択は、ヘルスケアシステムへの経済的負担を低減するために最低限の実用的機能グループに限定される場合がある。現在のインプラント設計及び方法は、多大なコストがかかり、開発に時間がかかり、インプラント障害のリスクの増大を含み、術後の潜在的な転帰について人間の判断に頼っていることに起因して、これらの課題に対処するには不十分である。
【0023】
置換術の際に肩関節インプラントの最適位置決めに影響を及ぼす可能性がある多くの要因がある。例えば、このような要因には、患者の体格、相対的骨摩耗、軟組織強度及び状態、関節窩及び/又は上腕骨補綴具の6自由度位置決め、選択されたインプラントサイズ、術前の患者活動及び強度レベル、術後治療プロトコル、患者の骨のサイズ及び密度を挙げることができる。追加の要因には、患者の喫煙状態、随伴性のハンディキャップ及び/又は患者の問題を挙げることができる。外科医が、これらの要因を同時に理解しバランスを取ることは極めて困難である可能性がある。加えて、これらの要因のほんの幾つかだけが、外科医によって制御することができる。最終的に、各要因は、必ずしも患者の転帰に対して均等に重み付けされた影響を有する訳ではない。それにもかかわらず、インプラントサイズ、位置、配向、及び関節窩及び上腕骨の骨調製は、外科手術の転帰に有意な影響を及ぼす可能性があると見なされる。
【0024】
これらのリスクを相殺するため置換構成要素又はインプラントを最適に配置する外科医の作業を更に複雑にする又はより困難にする要因は、肩胛骨の状態が、外科医が骨内のインプラント位置を理解するための目印がほとんど存在しないようなものであることである。従って、多くの場合、外科医は、インプラント位置が外科的介入の際に想定されていたように再現されていないことを気付く場合がある。
【0025】
当業者は、手術のテクニック及びツールを提供することによって、成功した患者転帰を提供する外科医の機会を改善しようと試みた。しかしながら、欠けているのは、インプラントの選択及び配置を最適化するために複数の要因を完全に理解して組み込むことができることである。具体的には、一部の実施形態において、外科手術の成功は、第一に、解剖学的又はリバース型処置の考慮及びその後の適合する人1又は複数の補綴具(上腕骨及び/又は関節窩)の選択、並びにこの補綴具の位置決め、並びに手術前の軟部組織の状態に大きく依存する可能性がある。
【0026】
本明細書で開示されるのは、関節窩配置ガイドを含む術前に計画された肩関節手術ガイド及びインプラントのための方法、システム及び装置である。上腕骨及び軟組織外膜の状態が考慮される、関節窩上腕関節などの肩関節の置換のための方法、システム及び装置が提供される。より具体的には、考慮されるものは、関節窩インプラントの形状及び位置が、肩胛骨上で見て測定できるものだけに基づくのではなく、上腕骨に関連する同じ情報を組み込んで選択、設計、計画及び配置できることである。結局のところ、肩は、2つの部分の関節、すなわち関節窩と上腕頭であり、両方の部分は互いに協働し、装置の性能に影響を与える要因は、一部の実施形態において、関節の両側からの要因を含むことができる。
【0027】
補綴具の適切なサイズ決定は、過大な又は「詰め込み過ぎ」の置換肩関節が脱臼、緩み、痛み、及び/又は可動域の減少を生じやすいことを認識した上で、成功裏の転帰には重要とすることができる。補綴具の配向が不適切な置換関節は、インプラント脱臼及び緩みの可能性を高めてしまう。加えて、関節窩又は上腕骨の何れかで過大なリーミング又は過剰な骨除去は、インプラントの緩み、「過少充填」又は不適切な関節表面配置の原因となる可能性があり、痛みの増大と可動域の減少を生じる可能性がある。
【0028】
本明細書で提供される一部の実施形態は、最適な上腕骨及び/又は関節窩インプラントのサイズ及び形状を含み、以下の要因:すなわち、上腕骨インプラントの上腕骨への適合の評価;術前の患者の骨の相対的硬さ;上腕ステム上に置かれた上腕頭の高さ及び直径;上腕頭の配向又は「オフセット」;並びに軟組織の挿入及び取り付け維持のための最適骨の取り外しのうちの1又は2以上を考慮に入れた、患者の解剖学的構造との適合を評価する肩関節インプラント査定基準である。
【0029】
解剖学的肩関節処置又はリバース型肩関節処置の何れか又は両方のための増強関節窩インプラント、上腕骨インプラント及び/又は肩関節手術ガイドを設計及び/又は生成する術前計画方法は、プレゼンス、他の要素に対する位置、他の要素に対する取り付け、上記の特徴及び要因に基づいて運動学的関係及び運動学に対する制限を含む外科的計画限界内の患者特有の骨、筋肉、腱、及び軟組織の生理学的品質又は健康のうちの1又は2以上を反映するためコンピュータレンダリングモデル内での複数の比較を含むことができる。1つの特定の実施例において、外科手術計画システム内で、ユーザ又は計画プログラムにより選択された補綴具、外科処置又は外科医指定の基準に基づいて、肩胛骨と比較される上腕骨結節の再配置の距離を測定するため3次元のベクトルを比較する電子的コンピュータ可読命令を実施することができる。
【0030】
1つの特定の実施例において、包括的外科手術計画モデルの1つの実施形態は、任意選択的に、腱の患者特有の健康、付着点の仕様、並びに可能性のあるインプラントサイトにおける骨密度/品質と共に、より大きな結節及び肩胛骨の領域において最適な上腕骨に取り付けられる3つの回旋腱板腱を含むことができる。これらの腱は、肩胛骨の周りの上腕骨の回転の大部分を制御すると共に、上腕骨の隆起及びこれらの腱の動きの表現に関係があり、並びに荷重支持、関節安定化及び他の生体力学的要因、及びその後のマルチアクションキネマティックシミュレーションにおいて、標準的な臨床的可動域や日常生活の活動に関連する多数の動作を含む、広範囲にわたる可動域評価による計画された外科的介入の運動学的シミュレーションにおける潜在的役割を有する。日常生活の活動は、セルフケアのための一般的な活動の集合、並びに職業、スポーツ、野外活動又はレクリエーション活動のような患者要求の特定の活動とすることができる。更にまた、本明細書で記載され且つ本開示のシステムによって可能にされる種々の動的対話型全関節コンピュータ計画方法を用いると、患者及び外科医は、上記の要因の比較に一部において基づいて、全関節置換処置を含む提案の外科的介入の予測可動域、安定化、固定及び寿命を比較して、活動の術後の生活スタイルへの意図する復帰に基づいて選択され又は患者が決定した日常生活の活動の最適可動域に基づいて長期外科手術の転帰を決定することができる。
【0031】
1つの態様において、患者特有の要因の修正を含むコンピュータ可読包括的全関節モデルを用いて、複数の動作及びシミュレーションを実施して、幅広い査定された解剖学的又はリバース型肩関節処置、補綴具、インプラント位置、外科的介入についての評価、比較及び査定情報を提供し、腱変化、結果として生じる力ベクトルのシミュレート又は予測される方向を含む関節窩上腕関節(関節窩及び上腕骨を備えた関節)の運動学及び動力学、変化する摩耗パターン、及び日常生活の活動の可動域(ROM)の評価及び標準的な臨床査定を含む、インプラントされた装置対生来の関節のROMのうちの1又は2以上、又はこれらのグループを解決することができる。
【0032】
加えて、一部の実施形態において、本明細書で記載されるコンピュータ対応外科手術計画及び評価システムは、ROM、起こり得る痛み、及び/又は補綴具構成要素の摩耗の増大に対する可能性のある影響を評価又は低減するために関節に対して相対的により大きいサイズにされた関節補綴具を用いて1又は2以上のベクトルの大きさを延長又は増大させることにより、ユーザが該大きさを変更、修正又は調整できるようにする。更に別の態様において、本明細書で記載されるコンピュータ対応外科手術計画及び評価システムは、可能性のある又は結果として生じる不安定な関節運動学、インプラント又は関節脱臼の可能性の増大、並びに上腕骨を持ち上げるための可能な準最適機構の評価を可能にするため、関節に対して相対的により小さいサイズにされた関節補綴具を用いて、1又は2以上のベクトルの大きさを低減又は縮小することにより、ユーザが該大きさを変更、修正又は調整できるようにする。GUI、UI単独、又はコンピュータ対応動作及び/又は機能と組み合わせて又は連動して使用される1又は2以上により、様々な生体力学的、運動学的、摩耗、衝突、位置特定、及び本明細書に記載され且つ本分析で利用される他の要因及び変形形態が、本明細書に記載されている様々な修正形態のうちの一部又は全てを用いて、或いは全く用いることなく、術前に対象者又は患者から撮影された画像に基づいて仮想的に行うことができるようになることを理解されたい。更に、コンピュータ対応患者特有の全関節外科手術計画システムはまた、仮想的な術後モデルを生成する結果として生じる仮想的計画/シミュレートされた解剖学的又はリバース型肩関節外科処置に対して解剖学的補正移動を与えるコンピュータ可読命令を含み、該術後モデルは、日常生活の活動に対する患者特有の修正を含む、日常生活の1又は2以上の活動又は標準的臨床評価のための1回又は繰り返される活動もしくは任意の選択された持続時間もしくは割合の活動を表す動きを仮想的に繰り返すことができる。
【0033】
図1は、例示的な方法100の追加のステップを示す。本方法100は、解剖学的及びリバース型肩関節処置のための患者特有術前計画を実行する例示的な方法の代表的ステップ105~140を含む。
【0034】
一部の実施形態において、本明細書で記載されるコンピュータモデルを利用する術前計画方法は、増強上腕骨インプラント及び/又は肩関節手術ガイド、増強関節窩インプラント及び/又は肩関節手術ガイドを設計及び/又は生成するのに有利とすることができ、ここで、可動域(ROM)分析及び本明細書で記載される広範囲の他の要因は、仮想位置付けインプラント、外科手術ステップ、並びにADLと等しい運動の範囲を通じた運動を含めて実施されて、衝突位置を測定し、インプラント又は位置に対する調整又は外科手術調製を補償又は推奨し、所望の機能ROM転帰を増強し、又は選択基準に基づいてROMを最適化し、日常生活の選択された活動に対する患者指定の術後運動を含む、日常生活のための幾つかの選択された日常生活に対してより高いROMを優先することができる。一部の実施形態において、この繰り返しの分析は、術前に対象者又は患者から撮影された画像に基づいて仮想的に行うことができる。実際の関節窩インプラント及び実際の上腕頭インプラントの情報を選択項目に提供し、インプラント特有及び患者特有のカッティング又は手術ガイドを含む1又は2以上のPatient specific Instrument(患者特有器具)の設計及び製造を支援し、及び/又は治療される患者又は対象物に特有の解剖学的及びリバース型肩関節手術ガイド又は装置の生成を支援するデータ及び情報を収集することができる。
【0035】
一部の実施形態において、インプラント及び手術位置を査定するため及び解剖学的又はリバース型肩関節インプラント及び/又は肩関節手術ガイドを設計及び/又は製造するのに使用する術前計画方法は、1又は2以上の筋肉、腱又は靱帯に対して軟組織分析が仮想的に実施される1又は2以上のステップを含む。一部の態様において、軟組織分析は、軟組織の除去、挿入、取り付け、又は計画された処置において期待される軟組織の他の特徴を決定及び/又は評価するステップと、その後の1又は2以上のインプラント(関節窩及び/又は上腕骨)又は計画された外科処置に関する影響及び/又はその使用による影響を分析するステップを含むことができる。一部の実施形態において、4つの回旋腱板筋及びそれらの付着点を分析することができ、又は、より少ない回旋腱板筋は、対象の軟組織の品質又は特徴の臨床的又は外科手術評価に応じて、術後モデルシミュレーションに含めることができる。
【0036】
一部の実施形態において、仮想全関節計画システムは、外科医又はユーザが、外科的技術又は経験に基づいて軟組織を調整、縮小又は除去することを可能にする。1つの態様において、モデルに関する仮想分析又は相互作用は、肩甲下筋を含み、小結節付近の付着点及び更に前関節窩付近の付着点の修正を可能にすることができる。1つの態様において、モデルに関する仮想分析又は相互作用は、前大結節付近で且つ肩甲棘又は肩胛骨の上方の付着点にて取り付けられる棘上筋を含むことができる。更に他の態様において、モデルに関する仮想分析又は相互作用は、肩甲棘の下方で大結節(棘上筋の後部)に取り付けられる棘下筋(後部)を含む軟組織分析を含むことができる。一部の態様において、モデルに関する仮想分析又は相互作用は、上腕骨及び下肩胛骨境界上に後部を取り付ける小円筋を含む軟組織分析を含むことができる。
【0037】
一部の実施形態において、対応するインプラント及び手術部位と共にそれらの対応する分析を伴うこれら及び他の軟組織操作は、手術前に対象又は患者から撮られた画像に仮想的に基づいて達成することができる。骨を含む全関節評価、関節窩上腕関節の周りの軟組織を含む生体力学的要因及び運動学的相互作用について以前提案したものよりもより包括的な方式で分析することにより、選択された処置についての適切な関節窩インプラント及び上腕骨インプラントを含む解剖学的肩関節処置又はリバース型肩関節処置間の選択項目に情報を提供し、及び/又は情報、データ及び分析を用いて患者特有インプラントの設計及び製造を支援する、及び/又は選択されたインプラント及び処置に基づいて治療されることになる患者又は対象に特有の肩関節手術ガイド装置の生成を支援するデータ及び情報を収集することができると考えられる。
【0038】
ここで、例示的な方法100の追加のステップを提供する
図1のより具体的な検討に移る。方法100は、関節置換のための患者特有術前計画を実行する例示的な方法100の代表的ステップ105~140を含む。例示的な方法100は、肩関節について記載されている。本方法の他の態様において、本明細書で記載される関節置換術計画方法及び技術は、身体の他の関節に適用されて、軟組織を含む患者の解剖学的構造及び生理機能をより正確に反映するよう適合された運動学的モデルに基づいて、様々な補綴具構成要素の計画及びシミュレーションについて同様の有利な結果をもたらすことができる。更に、本明細書で記載される方法は、提案の手術に適用されるような日常生活の活動からの運動学的及び生体力学的動作に基づいて、インプラントの使用又は摩耗の期間がどれくらいかに関して洞察するのに有利である。例示的な他の関節は、肩部に加えて、股関節、肘、手首、足首、背骨、膝、指及び親指を含む手の関節、並びに足指を含む足の関節を含む。方法100の例示的な実施例は、解剖学的及びリバース型肩関節処置のものである。
【0039】
最初に、ステップ105において、肩部を含む上肢の患者特有撮像データを取得するステップがある。
【0040】
次に、ステップ110において、外科的に修正されることになる関節の修正した患者特有のコンピュータ生成モデルをレンダリングするステップがある。この修正は、患者特有条件を反映するよう骨、筋肉及び靱帯を含むコンピュータ生成による上肢/肩筋骨格系モデルを操作する種々のステップを含む。コンピュータ生成モデルに対する修正は、患者特有撮像データから取得された情報を含む患者又は他の患者特有データの検査から得ることができる。患者特有撮像データ又は他の得られた患者データは、骨密度、筋緊張/品質、靱帯及び筋肉付着点、病状又は他の臨床入力のうちの1又は2以上を含む。軟骨又は関節包の状態などの追加の患者関節特有の軟組織情報又は特徴はまた、患者特有モデルにおいて収集し示すことができる。
【0041】
次に、ステップ115において、関節ベースの外科処置を選択するステップがある。この実施例において、外科的決定には、解剖学的肩関節手術又はリバース型肩関節手術を実行するための決定に加えて、肩関節手術に関するものを含む。解剖学的か又はリバース型かの決定は、ステップ135の一部として評価される追加の動作の一部として他の外科的選択を行うことができるので、体系化の一つである。
【0042】
次のステップ120は、補綴具インプラント、インプラント位置並びに外科的介入の程度、量及びタイプを選択するステップである。このステップは、関節に対する外科的修正を反映して選択された補綴具を位置付けて固定するため、患者特有モデルのコンピュータベースの又は電子的変更を含む。
【0043】
次いでステップ125は、日常生活の1又は2以上の活動及び/又は標準的な臨床的評価に対する運動学的シミュレーションを実行するステップである。このステップは、様々な異なる運動がモデル化された関節に与えられたときに計画位置において選択されたインプラントの耐久性に関する情報を提供する。異なる運動は、最良適合のインプラント及び位置を決定するのを助けるため、とりわけスポーツ関連活動及びセルフケア活動を含む日常生活の種々の活動に関連する。
【0044】
次のステップ130は、ステップ125において査定した動作に基づいて患者特有の運動学的モデルの動作結果の出力である。このステップは、ステップ125において査定した選択されたインプラント位置の処置に対するスコアリング、レーティング、特徴、品質ランキングを含む出力評価を提供する。
【0045】
次に、ステップ135では、患者特有の関節手術に対する全ての選択されたインプラント、位置又は処置についてステップ115、120、125及び130を繰り返す。このようにして、以前のインプラント選択又は提案された手術位置から得られた情報は更に、患者特有条件及び期待された又は所望の術後の日常生活活動に基づいた考慮のためにある範囲の好適な手術選択肢を提供するために改良又は変更することができる。
【0046】
最後に、ステップ140は、全ての試験されるインプラント及び手術位置の評価として本方法の出力を反映する。全ての選択された又は査定されたインプラント、位置又は処置についてのランキング、スコアリング、比較のグラフを含む概要出力が存在する。
【0047】
図2は、
図1に記載されたコンピュータ計画又は仮想肩関節処置の追加の詳細事項に関連する例示的な方法200の例示的なステップを示す。方法200は、解剖学的肩関節置換処置に関係し、方法300は、リバース型肩関節置換処置に関係している。
【0048】
最初に、ステップ205において、解剖学的肩関節置換術の計画のための選択された補綴具製造業者、モデル及びサイズについてのコンピュータ生成モデルを導入するステップがある。
【0049】
次に、ステップ210において、推定解剖学的肩関節インプラント位置における修正した患者特有モデルに選択された補綴具を配置するステップがある。
【0050】
次に、ステップ215において、日常生活活動又は標準臨床試験の際に上肢の動きを反映させるため、患者特有モデルの運動をシミュレーションするステップがある。
【0051】
次に、ステップ220において、複数の性能要因の指標を得るために、日常生活活動についての患者特有モデルの移動の際に実行されるステップがある。性能要因の実施例は、骨質、発生した力、筋肉性能及び緊張、固定安定性を含む。
【0052】
次に、ステップ225において、日常生活活動又は臨床試験についての全体評価を出力するステップがある。
【0053】
ステップ230は、別の日常生活活動又は臨床試験についての試験されるインプラントの追加の移動及びサイクルを行う決定ステップである。ステップ230における決定に対する答えが「はい」である場合、本方法は、ステップ215に戻る。この場合、本方法は、医療供給者又は評価によって要求されるような日常生活活動又は臨床試験の各々についての試験サイクルにループして戻る。しかしながら、ステップ230における決定に対する答えが「いいえ」である場合、本方法は、引き続きステップ235に進む。
【0054】
次に、ステップ235にて、別の推定されるインプラント位置又はインプラント位置に対する外科医調整を試験するかどうかに関する決定がある。ステップ235における答えが「はい」である場合、本方法は、ステップ210に戻り、補綴具が別の位置に位置付けられる。ステップ235における答えが「いいえ」である場合、本方法は、引き続きステップ240に進む。
【0055】
次に、ステップ240において、査定されている外科処置について位置、サイズ又は別の要因を修正するために、異なる補綴具、製造業者、モデル、サイズ、又は更なる外科医ベースの入力を選択するかどうかに関する決定がある。ステップ240における答えが「はい」である場合、プロセスは、新しい補綴具を選択する決定ステップ205にループして戻り、次いで、本方法は、当該追加の補綴具について繰り返す。ステップ240における答えが「いいえ」である場合、プロセスは、引き続きステップ245に進む。
【0056】
ステップ245において、ステップ205~240の間に収集された患者特有評価の全てについての出力がある。この包括的出力は、骨質、衝突、発生した力、筋肉性能、摩耗、及びインプラント及び提案の手術部位の査定及び比較に有用な他の特徴を含む。更に、出力は、各試験されるインプラント部位に対して選択された補綴具の製造業者、モデル及びサイズ全てについて選択された日常生活活動及び標準臨床試験に関する影響を含む。
【0057】
図3は、
図1に記載されるリバース型肩関節処置の追加の詳細に関する例示的な方法300の例示的なステップを示す。
【0058】
最初に、ステップ305において、リバース型肩関節置換術の計画についての選択された補綴具製造業者、モデル及びサイズのコンピュータ生成モデルを導入するステップがある。
【0059】
次に、ステップ310において、推定されたリバース型肩関節置換術インプラント位置における修正された患者特有モデル上に選択された補綴具を配置するステップがある。
【0060】
次に、ステップ315において、日常生活活動又は標準臨床試験の際に上肢の動きを反映するため患者特有モデルの運動をシミュレーションするステップがある。
【0061】
次に、ステップ320において、複数の性能要因の指標を得るために、日常生活活動についての患者特有モデルの移動の際に実行されるステップがある。性能要因の実施例は、骨質、発生した力、筋肉性能及び緊張、固定安定性を含む。
【0062】
次に、ステップ325において、日常生活活動又は臨床試験についての全体評価を出力するステップがある。
【0063】
ステップ330は、別の日常生活活動又は臨床試験についての試験されるインプラントの追加の移動及びサイクルを行う決定ステップである。ステップ330における決定に対する答えが「はい」である場合、本方法は、ステップ315に戻る。この場合、本方法は、医療供給者又は評価によって要求されるような日常生活活動又は臨床試験の各々についての試験サイクルにループして戻る。しかしながら、ステップ330における決定に対する答えが「いいえ」である場合、本方法は、引き続きステップ335に進む。
【0064】
次に、ステップ335にて、別の推定されるインプラント位置又はインプラント位置に対する外科医調整を試験するかどうかに関する決定がある。ステップ335における答えが「はい」である場合、本方法は、ステップ310に戻り、補綴具が別の位置に位置付けられる。ステップ335における答えが「いいえ」である場合、本方法は、引き続きステップ340に進む。
【0065】
次に、ステップ340において、査定されている外科処置について位置、サイズ又は別の要因を修正するために、異なる補綴具、製造業者、モデル、サイズ、又は更なる外科医ベースの入力を選択するかどうかに関する決定がある。ステップ340における答えが「はい」である場合、プロセスは、新しい補綴具を選択する決定ステップ305にループして戻り、次いで、本方法は、当該追加の補綴具について繰り返す。ステップ340における答えが「いいえ」である場合、プロセスは、引き続きステップ345に進む。
【0066】
ステップ345において、ステップ305~340の間に収集された患者特有評価の全てについての出力がある。この包括的出力は、骨質、衝突、発生した力、筋肉性能、摩耗、及びインプラント及び提案の手術部位の査定及び比較に有用な他の特徴を含む。更に、出力は、各試験されるインプラント部位に対して選択された補綴具の製造業者、モデル及びサイズ全てについて選択された日常生活活動及び標準臨床試験に関する影響を含む。
【0067】
一般的な患者特有の運動学的モデルに対する標準的手法は、解剖学的又はリバース型肩関節置換術の間の選択時に患者に対して比較及び潜在的利点に関するより完全な概念を提供することを理解されたい。更にまた、一部の実施形態において、開示された術前計画方法は更に、患者特有増強上腕骨インプラント及び患者特有増強関節窩インプラントを設計することを含む、解剖学的肩関節及びリバース型肩関節全又は部分関節置換術の際に使用するための補綴具肩インプラントを識別するステップ、及び/又は解剖学的又はリバース型処置を含む且つ標準的サイズにされたインプラント、カスタムインプラント又は患者由来のインプラントのデジタルモデルに対する選択肢を含む、補綴具肩インプラントの配置位置を識別するステップを含むことができる。リバース型又は解剖学的処置用の1又は2以上の補綴具肩インプラント構成要素及び考慮される様々な配置位置の設計及び/又は識別は、関節窩インプラントのサイズ、増強深さ、増強位置、6自由度における位置決め、固定タイプ、固定サイズ、リーミング深さ、リーミング直径、リーミング角度、及び/又はこれらの組み合わせにおける調整からなるグループから選択された要因の1又は2以上を考慮に入れる。更に、上記の方法に加えて、追加の要因は、インプラント並びに関節窩及び上腕骨構成要素の配置位置を推奨するステップと、上腕骨軸部サイズ、長さ、頭部直径、頭部高さ、頭部オフセット及び回転(軸方向)における調整の推奨のステップを含む。補綴具肩部インプラントは、一部の実施形態において、解剖学的及びリバース型肩関節置換処置にて使用するように各々が適合された関節窩インプラント構成要素及び上腕骨インプラント構成要素を備える。外科手術計画システムの実施形態の上記及び種々の態様の追加の詳細は、
Andreas Kontaxis, Julien Berhouet,及びLawrence Gulottaによる「How Computer Models Can Help Prosthesis(補綴具) Implantation With The Best Mobility and Minimum Impingement」;
Andreas Kontaxis, Julien Berhouet, Daniel Choi, Xiang Chen, David Dines, Russell Warren及びLawrence Gulottaによる、「Pre-operative planning) and Accurate Implantation Can Increase Free Range of motion in Reverse Shoulder Arthroplasty;Cadaveric Validation」;
Andreas Kontaxis, Julien Berhouet, Daniel Choi, Xiang Chen, David Dines, Russell Warren及びLawrence Gulottaによる、「Humeral Version in Reverse Shoulder Arthroplasty Affects Impingement in Activities of Daily living」;
Andreas Kontaxis, Julien Berhouet, Daniel Choi, Xiang Chen, David Dines, Russell Warren及びLawrence Gulottaによる、Humeral(上腕骨) Version Affects Impingement in Reverse Shoulder Arthroplasty (RSA)」;
X. Chen, A. Reddy, A. Kontaxis, D. Choi, T. Wright, D. Dines, R. Warren及びL. Gulottaによる、「Version Correction Compromises Remaining Bone quality After Eccentric Reaming in B2 Glenoids」;
J. D. Wylie及びR. Z. Tashjanによる、「Planning Software and Patient-Specific Instruments in Shoulder Arthroplasty」;及び
C. Tempelaere, J. Pierrant, M. Lefevre-Colau, V. Vuillemin, C. Cuenod, U. Hansen, O. Mir, W. Skalli及びT. Gregoryによる、「Dynamic Three-Dimensional Shoulder MRI During Active Motion For Investigation of Rotator cuff Diseases」
に記載されており、これらの各々は、引用により全体が本明細書に組み込まれ、付随書A~Fとして既に明らかにされている。更にまた、外科手術計画システムの実施形態の上記及び種々の態様の追加の詳細は、米国特許出願公開第2016/0270854号明細書及び米国特許出願公開第2010/0125336号明細書に更に記載されており、これらの各々は、引用により全体が本明細書に組み込まれる。
【0068】
図4は、解剖学的関節置換外科手術オプション(
図2)及びリバース型肩関節置換術オプション(
図3)において得られたそれぞれの結果を比較するために、
図1に記載される方法100の追加の詳細に関連する例示的な方法400の例示的なステップを示す。
【0069】
最初に、ステップ405において、査定される全ての解剖学的肩関節置換処置についての患者特有評価の出力を得る。この出力は、方法200にて評価された骨質、組織衝突、インプラントによる発生した力及び担持力、筋肉性能、骨衝突、摩耗、軟組織バランス取り、及び他の要因を含む。更に、出力は、全ての選択された補綴具の製造業者、モデル及びサイズにおいて選択された日常生活活動及び標準臨床試験(すなわち、ADL)の患者特有運動学的モデルの動作の結果を含む。
【0070】
次に、ステップ410において、査定される全てのリバース型肩関節置換処置についての患者特有評価の出力を得る。この出力は、方法300にて評価された骨質、組織衝突、インプラントによる発生した力及び担持力、筋肉性能、骨衝突、摩耗、軟組織バランス取り、及び他の要因を含む。更に、出力は、全ての選択された補綴具の製造業者、モデル及びサイズにおいて選択された日常生活活動及び標準臨床試験(すなわち、ADL)の患者特有運動学的モデルの動作の結果を含む。
【0071】
次に、ステップ415において、外科医は、ステップ405、410から査定された肩関節処置に基づいて結果を再評価する。外科的査定及び評価は、例えば、関節接触力及び安定性、筋肉力、患者特有摩耗、衝突の運動学的要因、機械的安定性、固定強度、包括的肩補綴具機能の軟組織要因、標準臨床試験、患者の健康要因の臨床的評価、患者優先の日常生活活動など、幅広い要因に基づいている。更にまた、他の特徴及び品質を用いて、この患者用に選ばれた好適な手術オプション及び補綴具を査定すると共に、あらゆる査定された計画の修正を可能にすることができる。
【0072】
次に、ステップ420において、上記のステップ415にて到達した決定に基づいて、外科手術計画システムは、「Plan for Surgery(外科手術プラン)」を出力又は送信することになる。Plan for Surgery(外科手術プラン)は、インプラントの指示、何らかの3Dプリントした又は他の患者特有のインプラントガイドの取得、手術室及び患者のスケジューリング、並びに選択し計画した関節置換手術オプションで奨める他の活動からなる種々のステップを含む。加えて、全関節計画システムは、患者相談、情報及びインフォームド・コンセントと共に用いるためのオプションの評価レポートを提供することができる。
【0073】
一部の実施形態において、関節窩上腕関節、肩胛骨、鎖骨運動学と共に患者特有の骨、筋肉及び軟組織を含む術前計画に基づいて、関節窩インプラント構成要素、上腕骨インプラント構成要素、関節窩インプラント配置ガイドを含む肩関節手術ガイド、上腕骨インプラント配置ガイドを備えた、患者特有の解剖学的又はリバース型肩関節処置のためのインプラント構成要素を設計及び/又は生成する本明細書で記載の方法は、1又は2以上の最適ステップを更に含むことができる。このような最適ステップは、複数の要因のうちの1又は2以上の要因の測定に基づいて、解剖学的、外科的、処置的、可動域、固定、安定化、又は他の転帰のリスクの識別を含むことができる。一部の実施形態において、このような要因は、関節窩面カバレッジ、関節窩面の突出及び/又は関節窩面上の骨除去、関節窩後傾、関節窩インプラントの着座及び関節窩インプラントの裏面が骨又は骨の接触によって支持される程度、関節窩皮質壁の前方への最小限の突き抜け及び/又は何らかの関節窩インプラント増強特徴部の深さの指標、解剖学的ジョイントラインとインプラントを有する新規のジョイントラインとの間の差異が約1mm未満である指標、関節窩皮質壁の前方への最小限の突き抜けの指標、及び/又は関節窩の後方の最大骨厚さの指標、生来の関節窩とインプラント上/下軸との間の配向オフセットの指標、上方又は下方傾斜対生来の関節窩の指標、極度の可動域、日常生活活動中の運動、又は運動の標準臨床的査定における軟組織長の変化の指標、上腕骨の切断面又は調製面と比較した上腕頭の突出の欠如の指標(解剖学的構造とインプラントとの間の上腕頭直径の最小差異がある)、及び解剖学的構造とインプラントとの間の上腕頭高さの差異の指標を含む。一部の実施形態において、上腕骨インプラント部位の調製、外科的相互作用及びインプラント特徴についての適切な対応する考慮事項を含む、本明細書で上記又は他の場所に記載された外科手術及び処置リスクのかかる指標は、特定の外科的状況、処置又は患者状況又はケアの発現のためにレンダリングされるよう選択される、骨、筋肉、腱、軟組織、及び適切な運動学を含む、本明細書でなお記載される患者特有の全関節モデルを含む術前の対象から撮影された画像に基づいて仮想的に決定することができる。
【0074】
一部の態様において、腱又は筋肉群が修復のために識別されるように、患者の身体検査後もしくは外科医の計画中の外科的入力を含むための追加の仮想モデル修正が含まれる。その後、モデルは、識別された腱又は筋肉群によってもたらされる関節への荷重の維持に対する、識別された腱又は筋肉群の寄与を除去又は減少させることができる。加えて、実際の処置が、例えば三角筋を用いて関節に引き伸ばされて付着するなど、腱又は筋肉群を修正するステップを含むと外科医が考える場合、三角筋付着に対する実際の当該予想される修正は、全体のモデルに折り込むことができる。この場合、計画モデルは、選択された外科処置の種々の要因を評価するためモデルが循環される前に外科手術選好に関する医師特有の指標をモデル内に含めることができる場所を示す。このような修正は、外科医が、軟組織管理及び特定の補綴具の使用に関してなされた決定に基づいて長期固定及び安定化、或いは長期安定化、固定及び摩耗に関して試みることが可能となる。加えて、外科医は、システム出力に含まれる要因として、使用についてのこれまでの経験レベル、信頼性要因、又は他の主観的選択基準もしくは特定の製造業者、又は考慮中の特定の補綴具に関連する要因を示すことができる。加えて、外科医は、特定の製造業者の補綴具又はモデルの設計品質もしくは工学的特徴が査定中の患者処置に特に好適であるという主観的査定を示すことができる。
【0075】
更に別の態様において、計画された患者介入の仮想モデルは、外科医がモデルに対して1又は2以上の筋肉、靭帯、腱を落とすか又は操作して、予測される外科技術及び関節の軟組織の管理に応じて、固定、安定化及び寿命に対する転帰を予測することができるようにする。計画モジュールにおける軟組織管理により、外科医は、特定の筋肉が手術後の関節の安定化を補助するのに十分に強いか、柔軟であるか、又は堅牢であるかどうかを示すことができる。更に、1又は2以上の事前に特定され又は定義された筋肉、腱又は靭帯が再接続されない、又はモデルによって考慮される耐荷重の考慮に役立たないと外科医が判断した場合、外科医は、選択されたインプラント及び処置を評価及び特徴付けるためのモデル化の考慮からその靭帯筋肉又は腱を取り除くことを選ぶことができる。
【0076】
1つの特定の実施例において、患者は、回旋腱板を有していない場合があるので、関連する腱は、日常生活における活動によって生成される様々な転帰をもたらすので、モデルから取り除かれるか又は重み係数を使用してモデルから割引くことができる。
【0077】
図5は、
図1に記載される方法100の評価及び計画ステップによってもたらされる転帰の査定、ランキング又はスコアリングの追加の詳細事項に関連する例示的な方法500の例示的なステップを示す。
【0078】
最初に、ステップ505において、様々な手術位置又は処置を含む、全ての選択された又は査定されたインプラントについての性能及び特徴の査定を支援するためのランキング、スコアリング、比較、グラフ、又は他の好適な出力を含む概要出力を取得するステップがある。
【0079】
次に、ステップ510において、モデル化され査定された処置に基づいて外科処置を実行するための患者-外科医査定、評価及び同意を行うステップがある。その後、ステップ515において、患者特有の計画インプラント、位置及び処置の選択がある。次に、ステップ520において、選択された供給業者又はインプラント製造業者からの患者特有のガイド、インプラント、及び構成要素又は計画を含む、選択された患者特有処置に関連するマテリアルを取得又は指示するステップがある。
【0080】
最後に、ステップ525において、選択された患者特有計画手術を実行するステップがある。
【0081】
1つの特定の実施形態において、システムの出力は、当該特有の患者についての日常生活活動に照らして予測される補綴具サイズ及び位置を試験することによって生じる様々な特徴又は要因のスコアカードである。主要特徴の標準的スコアカード又は情報グラフィックは、外科医が、異なる補綴具サイズ又はインプラント位置を比較すること、並びにインフォームド・コンセントに対して患者にアドバイスをすること、又は決定された外科的決定に応じて日常生活活動に与える影響を示すのに有用とすることができる。1つの態様において、患者及び外科医は、日常生活の優先的活動の最適化に基づいて補綴具の選択オプションに関して、並びに日常生活の特定の活動に対する選択された影響に基づいて補綴具選択及びインプラント位置に対するインフォームド・コンセントに関して議論することができる。例えば、患者は、ゴルフを継続的にプレーできるように運動を回復するために、予測される外科手術の転帰を最適化するように選択することができる。日常生活のための他の運動活動よりもゴルフ活動を最適化するために、他の運動制限を選択内で示唆することができる。
【0082】
図6は、本明細書で記載される様々な全関節外科手術評価及び計画方法で使用する代替の患者特有モデル635を生成するために、追加の全関節計画モデル620で用いることができる追加タイプの入力605、610、及び615を示す。ステップ620は、肩部の解剖学的構造に特に関連しているが、このステップは、評価中の関節の特有の解剖学的詳細に応じて修正されることになる。
【0083】
ステップ605は、患者特有関節モデルの適応のための関節運動の発生源を示す。実施例は、例示的な外科処置の前後を含む死体モデルから得られた、日常生活活動についてのコンピュータ可読の測定関節運動を含む。
【0084】
ステップ610は、患者特有関節モデルの適応のための関節運動情報の別の発生源を示す。実施例は、健康な患者、病気状態の患者及びインプラント後の再建手術の患者からの日常生活活動におけるコンピュータ可読シミュレーションされた又は実際に測定された関節運動を含む。
【0085】
ステップ615は、患者特有関節モデルの適応のための関節運動の別の発生源を示す。実施例は、特定の患者の病状、形態又は状態の1又は2以上の態様を反映する1又は2以上のモデル要素又はアルゴリズムの修正、重み付け係数、除去もしくは変更を含む、コンピュータ生成生体力学モデルから取られた日常生活の活動及び得られた標準臨床評価についてのコンピュータシミュレーションによる関節運動を含む。
【0086】
ステップ620は、全関節外科手術計画システムによって査定されている全関節のコンピュータ生成モデルを操作することにより、患者特有のコンピュータ生成モデルをレンダリングするステップに関する。肩関節置換術におけるステップ620の特定の実施例において、コンピュータ生成又は仮想モデルは、得られた患者特有撮像データからの患者特有条件を反映するよう骨、筋肉及び靱帯を含む上肢/肩筋骨格系モデルを含むことになる。追加の例示的な実施例により、コンピュータ生成モデルは、以下の1又は2以上又はその組み合わせを含む。
【0087】
(a)上腕骨、上腕骨頭、肩胛骨、肩胛骨烏口突起、関節窩又は肩胛骨の窩、肩胛骨の肩峰、肩胛棘、鎖骨の骨密度/位置/質;
【0088】
(b)上腕二頭筋(長頭及び短頭)、上腕筋、三角筋、棘下筋、広背筋、小胸筋、肩甲下筋、棘上筋、大円筋及び小円筋、上腕三頭外側頭及び長頭を含む、主要筋群及び小さな安定化筋群の両方の筋肉の緊張/品質;
【0089】
(c)肩鎖靭帯、肩の関節包靱帯、円錐靱帯、烏口肩峰靱帯、烏口上腕靱帯、烏口鎖骨靱帯、上肩甲横靱帯、上腕骨の横靱帯、菱形靱帯を含む、位置及び品質による靱帯及び筋肉付着点;
【0090】
(d)インプラントの性能、運動学的査定又は他の生体力学的要因の患者特有のシミュレーションの後処理に必要な他の特徴又は品質と共に、上記の何れかの病状及び影響又は劣化;及び、
【0091】
(e)臨床査定、測定値、コンピュータモデル又はシミュレーションのうちの1又は2以上に基づいて、患者特有イメージングデータに適用するための、推定又は予測される骨、筋肉、靭帯、腱又は他の解剖学的もしくは生理学的特徴を反映する数学、セグメンテーション又は画像処理/補正要因。
【0092】
最後に、ステップ625において、ステップ605,610,615及び620からの入力に基づいて、コンピュータ可読包括的全関節コンピュータモデルは、本明細書で記載される種々の操作及び手術計画処置並びに生体力学的シミュレーションに好適であるようにレンダリングされる。1つの態様において、このコンピュータ可読モデルは、運動学的及び生体力学的分析を利用して、3D外科計画のための完全な又は部分的な患者特有の骨、筋肉、靱帯及び他の関節生理学を表す。一部の態様において、モデリング情報の大部分は、患者からのデータを具体的に反映している。
【0093】
日常生活活動は、個人の健康、健康法又は職業活動のための四肢の幅広い運動の何れかを含む。更に別の追加の態様において、日常生活活動はまた、ゴルフ又はテニスなどのスポーツ関連又は特定の活動関連の運動、或いは四肢の特定の運動を伴う他の特定の活動を含むことができる。これらは、特定の患者についてのモデルへの入力の一部として選択し優先順位を付けることができる。インフォームド・コンセントの一環として、患者及び外科医は、固定、安定化又は可動域などの患者及び外科的に修正された関節の長期転帰の1又は2以上の品質に悪影響を及ぼす可能性がある特定の日常生活活動及び四肢の運動を選択する影響に関して、モデル出力において示されるような種々のオプション(選択肢)について議論することができる。
【0094】
インプラントの査定の要因は、関節の可動域、関節の安定性、及び固定を含む。
【0095】
関節の可動域は、外科手術計画プロセスの一部として、外科医によって選ばれる手術計画から筋肉、腱、又は靱帯を除去するなどの要因を含む実際の患者の解剖学的構造の軟部組織の制限によって示される実際の可動域にソフトウェアモデル内で制限される。可動域分析はまた、日常生活の特定の活動の間の関節の位置不良による衝突、ノッチング又は弛緩の可能性のあるリスクについての出力を含む。
【0096】
関節の安定性は、関節の位置のリスクに関連する。多くの場合、可動域を犠牲にして安定性が向上する。これらの要因間の妥協点は、計画システムの出力に反映することができる。
【0097】
固定は、日常生活の活動によって引き起こされる関節への荷重の影響がどのようにして補綴具を弛緩又は除去する可能性があるかに関連している。詳細には、リバース型肩関節置換術において、関節にかかる荷重力は、解剖学的関節置換術において生じる荷重のほぼ反対の荷重である。結果として、関節が移動している方法は、荷重力が補綴具、マウント、ネジ及び関連の骨に伝達される方法をシフトさせる。
【0098】
より具体的には、固定に関連して、解剖学的肩関節置換術において、筋肉が存在し、関節の周りで圧縮状態にある。加えて、回旋腱板が存在し、これが補綴具関節に対する荷重の一部を支持し、これによりその機能を支援して日常生活活動によって引き起こされる固定の影響を軽減するのに寄与することができる。対照的に、リバース型肩関節置換術において、回旋腱板は消失しているか、又は少量の組織しか残っていない。結果として、回旋腱板によって提供される安定化効果及び荷重分散効果が著しく減少する。更に、リバース型肩関節置換術は、関節に自然な方法とは異なる方法で関節に荷重を加えるので、日常生活の事前の活動は、実際には力荷重の増加に寄与し、圧縮負荷が関節に存在するのではなく力を分散させることができる。場合によっては、リバース型肩関節置換術に存在するせん断力の結果として、ネジ及びベースプレートが緩む可能性がある。重要なことには、本明細書で記載されるモデルは、補綴具関節に対するせん断荷重効果を調整及び最小限にするために、リバース型肩関節置換処置において荷重及び位置決めを調整する能力を提供することができる。換言すると、モデルは、補綴具インプラント位置及び別の状態に基づいて関節の荷重変化を考慮することができる。結果として、補綴具、骨及び軟組織モデルは、補綴具関節においてより正確な荷重計算及び動的荷重状況を提供し、これにより荷重状況の変動を用いて、補綴具位置及び補綴具サイズ選択の決定をもたらすことができる。
【0099】
一部の態様において、本明細書で記載されるモデルを用いて、種々の関節置換処置における典型的な外科的決定の影響を更に詳細に説明することができる。
【0100】
通常、リバース型関節処置において、補綴具は、できる限り低い位置にインプラントされる。一部の患者では、この典型的な手法は、平均を上回る状況でノッチングを引き起こす可能性がある。本明細書で記載される包括的骨及び軟組織モデルは、低いインプラント位置が患者特有ベースで固定、安定性又は可動域に悪影響を及ぼすかどうか及びその程度を識別するのを助けることになる。
【0101】
一部の処置において、三角筋は、その解剖学的付着点とは異なる位置で関節に引き伸ばされて付着することができる。モデルにより、外科医は、三角筋の計画された付着点を示すことが可能となる。その結果、モデルは、補綴具関節に外科的に付着されるよう三角筋の使用による関節への荷重効果を考慮することになる。三角筋は、補綴具関節の荷重支持の一部を担うのに役立つので、インプラント位置及びインプラント選択は、異なる選択肢をもたらすことができる。外科的入力又は軟組織操作を提供することは、外科手術計画システムのモデル及び状況生成の利点の1つである。
【0102】
リバース型肩関節補綴具の計画を更に詳しく説明するものとして、外科的修正及び推奨も提供することができ、この場合、外科医が上腕頭の様々な角度での追加の除去又は切除を査定して、異なる補綴具位置をもたすようにすることができる。本明細書で記載されるモデルの態様は、全関節要因又は関節の両方の側面を含む。このことは更に、本明細書で記載されるモデル化指標及び選択の利点は、解剖学的処置とリバース型処置とで異なることになることを明確に示している。このようにして、モデルは、有利には、骨のより多くの又は異なる切除を推奨し、上腕骨への更なる切り込みを避けることができる。
【0103】
加えて、モデルは、筋肉の緊張、筋肉付着点、靱帯の健康状態、腱の健康状態並びに軟組織の種々の付着点及び補綴具位置に対する軟組織の関係、並びに日常生活活動中に生成される関節力の荷重分散への寄与など、軟組織の特徴を含むことができる。
【0104】
モデルを用いて、解剖学的関節置換処置又はリバース型関節置換処置を行う結果などの特定の補綴具の選択又は外科的選択に基づいて、日常生活活動に対する影響又は困難性に関する患者の期待を管理するのに使用される出力を生成することができる。
【0105】
ソフトウェアは、特定の外科医の入力によって特定のインプラント位置を動かすことができるように、外科医が選択した外科用インプラント位置及び推奨を微小適合又は微調整するためのツールを含む。
【0106】
有利には、本明細書で記載される外科手術計画システムは、骨、軟組織、及び特定の補綴具選択(供給業者、モデル、サイズ)並びに解剖学的肩関節置換術とリバース型肩関節置換術の間の外科処置選択の両方に対する外科的影響について対話的で包括的である全関節患者選択モデルを含む。選択の各々について、補綴具関節は、医師及び外科医との相談によって指定される日常生活活動を模擬する複数の運動シミュレーションを通じて多関節である。患者又は外科医は、補綴具選択及びインプラント位置が特定の活動の性能に最適化されるのが確保されるよう、特定の日常生活活動を重視するように選択することができる。このようにして、患者及び外科医は、日常生活活動の最適化に基づいて特定の補綴具又はインプラント位置を一緒に決定することができる。
【0107】
図7は、本明細書で記載される本技術の態様による例示的な全関節外科手術計画方法700を示している。
【0108】
最初に、ステップ705において、外科医/ユーザは、全関節計画及び評価システムのセッションを開始する。
【0109】
次に、ステップ110において、患者特有全関節モデルを計画及び評価システムに導入するステップがある。導入された患者特有全関節モデルは、目的の手術部位(手術部位)における患者の状態及び特徴を表すために、必要に応じてレンダリングされ適合される。
【0110】
次に、ステップ715において、外科手術計画プログラムを用いて1又は2以上の製造業者からの1又は2以上の構成要素を再評価、選択、試験及び評価するステップがある。1つの態様において、全関節外科手術計画及び査定プログラムは、解剖学的肩関節置換術及びリバース型肩関節処置についての評価及び試験を提供することができる。任意選択的に、全関節外科手術計画及び査定プログラムは、製造業者特有計画又はシミュレーションプログラムを用いるためのプラグイン又は移植機能を含むことができる。
【0111】
次に、ステップ720において、各選択された手術位置及び処置について各製造業者に対する評価を出力するステップがある。1つの態様において、各解剖学的肩関節処置及び各リバース型肩関節処置は、査定のための共通ベースラインがあることを保証するために本明細書で論じる共通要素を有する概要比較に含められる。
【0112】
次に、ステップ725において、従前の評価ステップに基づいて選択された1又は複数の製造業者から選択され計画された処置のためのインプラント、ガイド及び器具を指示又は取得するステップがある。このステップは、患者特有器具又はインプラント並びに患者特有インプラント又は手術ガイドを含み、これらは、付加製造技術(例えば、3Dプリント技術)を用いて得られる。一部の実施形態において、本明細書で記載される方法にて使用される患者特有撮像情報又は修正情報は、本明細書で記載される患者特有関節手術を支援して、付加製造プロセスの差異に生成される構成要素を設計するのに使用される。
【0113】
次に、ステップ730において、ステップ705~725の方法に基づいて決定された計画された処置を実行するステップがある。
【0114】
図8には、全関節手術計画及び査定システムの使用のための例示的なワークフロー800が提供される。ワークフロー800は、ステップ1~8に従う。第1のステップは、システムで使用するため種々の構成要素、インプラント、ツール、キット及び同様のものの電子モデルを含むデジタル/仮想モデルライブラリの生成又はアクセスである。次に、第2のステップは、患者の撮像データを収集することである(810)。その後、患者撮像データは、患者撮像/モデルモジュールに提供される(815)。次いで、患者撮像データは、手術計画/修正及び評価モジュールにおいてインプラントデータと組み合わされる(820)。選択されたインプラントを患者特有運動学的モデルに配置するための仮想手術を実施した後、モデルは、日常生活活動及び必要に応じて他の臨床試験に対応する様々なシミュレーション及び試験を行うよう操作される。次のステップ835は、全関節手術計画及び査定システムに対する評価モジュールの全ての結果を報告することである。実施される全ての試験シミュレーションの出力は、スコアカード又は評価ツールとして提供される(ステップ840)。
図8Cには、査定システムの例示的な出力845が提供される。
【0115】
当該特定の製造業者の提供物を更に詳述する代表的な特許出願を含む、例示
整形外科インプラント、ツール、コンピュータ支援計画システム並びに患者特有ガイド、器具及び構成要素の例示的な製造業者及び供給業者が以下でリストアップされている。
図8Aに示すように、全体システム800並びに例示的なデータセット808(
図8Bを参照)において、1又は2以上の構成要素製造業者が含まれるように選択することができ(全関節外科手術計画システムにおいて使用するのに好適なデジタルモデルデータを能動的に提供するように)、この場合、データは、選択された処置計画又は査定セッションの間に、外科医の選択に基づいて製造業者からシステム内に流れて使用される。任意選択的に、製造業者からの構成要素の1又は2以上又は全ては、適切な形態で且つ十分な詳細事項を有してスキャン、レンダリング、又はモデル化され、本明細書で記載されるシステムを用いて計画及び査定のため使用することができる。1つの態様において、リストアップされた構成要素を有する製造業者はまた、計画システムと共に使用するためのダイレクトオーダー又はリンクを提供し、選択された計画が承認されると、外科医又は指定代表者は、製造業者によって推奨され又は提供される、構成要素、インプラント、ガイド、Patient specific Instrument(患者特有器具:PSI)、又は他のツール又は補助具をオーダーすることができるようになる。任意選択的に、計画時には、製造業者は、査定及び選択された処置の患者のスケジューリングに外科医又は供給者又はプランナーを更に支援するために、何らかの計画した要素の利用率又は配送のリードタイムを示すことができる。
図8A、8B、及び8Cに例示されるように、計画及び査定計画システムの出力により、ユーザは、特定の患者に対する優先した選択基準の下で当該患者について種々の評価基準を協働して比較することが可能となる。このようにして、外科医は、本明細書で検討した要因に基づいて解剖学的及びリバース型肩関節処置の何れが最も良好に所望の転帰を提供することになるかを患者特有ベースで評価するために、製造業者とは無関係に異なる処置並びにインプラントの比較において信頼度を向上させることができる。
【0116】
多くの場合、外科手術計画及び評価システムで使用するためデジタル形式でレンダリングされる構成要素の追加の技術的詳細及び名称は、以下の特許出願の1又は2以上において記載されている。以下でリストアップされた特許及び特許出願の各々は、引用により本明細書に組み込まれる。更に、製造業者によって直接提供されるか、或いはレンダリング、スキャン、又は他の撮像技術によって得られるかどうかに関係なく、特許、特許出願又は付属書にて記載される構成要素、インプラント、ガイド、Patient specific Instrument(患者特有器具)又は他の器具は、全関節手術計画及び査定システム(
図8A)によって使用できるデジタル/仮想モデルデータを示すものとして含まれる。更にまた、本発明の全関節計画システムの一部の実施形態において、ユーザは、供給業者又は製造業者を選択し、本明細書で記載されるように選択されたリバース型又は解剖学的処置の評価で用いられる1又は2以上の供給業者特有の構成要素のデジタルモデルを取得することができる。1つの態様において、本明細書で記載される全関節計画システムは、本明細書で記載される比較、評価及び出力機能で使用するため選択された製造業者によって提供される格納又は遠隔データの何れかへの適切に構成された通信リンクを含む。本システムは、最新の確認されたリリース及び利用可能な構成要素を用いてローカルデータストレージから引き出すことができ、或いは、任意選択的に、特定のユーザは、本明細書で記載される外科手術計画システムで使用するため1又は2以上の実験的又は開発的又は査定の構成要素にアクセスすることができる。この目的のために編集された製造業者データの代表的な表が、
図8B及び表805に表されている。
【0117】
有利には、様々な供給業者からの構成要素の選択が利用可能であることにより、外科医は、標準的又はカスタムのサイズの、或いは患者特有のインプラント、構成要素、ガイド、器具及び同様のものに対して同じ仮想患者モデル内で必要に応じて異なる製品を考慮することが可能となる。1つの製造業者はArthrexである。別の製造業者は、Smith and Nephewであり、追加の詳細事項は、米国特許出願公開第2016/0120555号明細書、米国特許出願公開第2012/0109226号明細書、及び米国特許出願公開第2014/0081342号明細書並びに米国特許仮出願第61/373,092号明細書にて利用可能である。別の製造業者は、DePuyであり、追加の詳細事項は、米国特許出願公開第20130066321号明細書にて利用可能である。別の企業は、Conformisであり、追加の詳細事項は、米国特許出願公開第2015/0223941号明細書、米国特許出願公開第2015/0223941号明細書及びPCT出願US13/56841号にて利用可能である。別の企業は、BioMetであり、追加の詳細事項は、米国特許出願公開第2014/0107654号明細書、米国特許出願第13/653,893号明細書、米国特許第9,301,812号明細書、米国特許出願公開第2013/0110470号明細書にて利用可能であり、更に、Signature Personalized Patient Care System - Glenoid Guide System、米国特許出願公開第2013/0110116号明細書;米国特許出願公開第2014/0107715号明細書、及びComprehensive Total Shoulder System featuring comprehensive access glenoid instrumentationを含み、及びCustom Orthopaedic Solutions, Inc, a Subsidiary of Cleveland Clinic、Glenoid Intelligent Reusable Instrument System、米国特許出願公開第20120143267号明細書;米国特許出願公開第2012/0109137号明細書;the Match Point System, SurgiCase system and Materialize、WO2013/0608851を含むDJO or Don Joy;PCT EP2012071272 (WO2013060851A1); US2014-0236158; US2016/0192951; US2011/0130795;Zimmer PSI Shoulder, PSI Glenoid and PSI Reverse Shoulderを含む。更に追加の製造業者は、Wright Medicalであり、Tornier BluePrint3D Planning + PSI and the Aequalis PerFORM Glenoid System; US2007/0250174,及びWO2015/071757 (Tornier)を含む。
【0118】
以下にリストアップされている製造業者の構成要素のデジタルモデル、又は以下にリストアップされている製品のデジタルモデル、或いは規制承認を受けている全ての選択された製品のデジタルモデルを含む。システムで利用される構成要素のデジタルモデルは、製造業者から入手されてもよく、又は物理的サンプルを使用する従来のスキャン及びレンダリングプロセスを使用して入手されてもよい。一部の実施形態において、デジタル/仮想モデルデータは、製造業者からの製品のデータ並びに以下の例示的な表の一覧で使用されるものを含む、FDA承認デバイスのデジタルモデルを含む。
【0119】
【0120】
【0121】
更に別の態様において、スコアカード又は査定もしくは評価は、本明細書で示されるように1又は2以上の要因を含むことができる。スコアカードは、患者について提案された外科処置を評価するため全関節手術計画及び査定システムの使用の結果からの出力に類似している。出力は、患者特有モデルに関して本明細書で記載されるのと同様又は標準的な試験の評価で有用である出力を提供するよう設計される。このようにして、評価は、査定中の全ての処置又は補綴具にわたって共通の情報を提供する。1つの例示的な実施形態において、スコアカードは、
図8Aにおいて出力840として現れ、
図8Cに表845で示されている。製造業者特有の外科手術計画システムの1又は2以上はまた、製造業者デジタルモデルの配置のためのモジュール、ポップアップ又は患者特有全関節モデルへの埋め込み動作として、並びに全関節手術計画及び査定システムで用いるように含めることができる。
【0122】
【0123】
上述の何れもが、
図1~9Cにて詳述された方法及びシステムのステップのうちの1又は2以上のステップにおいて利用することができる。
【0124】
更に別の有利な特徴において、外科手術計画モデルは、関節窩構成要素の回転及び関節の上腕骨側への影響を考慮する能力を含む。例えば、外科医は、関節窩構成要素の特定の回転を選択することができ、モデルは、上腕骨の追加の切除又は切除の修正が、固定、安定性及び可動域に対する関節転帰の改善の要因の何れかに有利か又は強化することになるかどうかを決定するよう動作する。計画ソフトウェアにおける試みとしてのこれら及び同様の外科的修正は全て、例えば、方法200、300、500、700及び800に対する修正と共に、モデル100(
図1)のステップ130,135及び140と同様の他のモジュールの推奨及び出力に対するデータセットで実施される。
【0125】
一部の実施形態において、リバース型又は解剖学的肩関節手術ガイドを生成する方法は、患者特有肩関節手術ガイドを生成するため上記ステップ、分析、最適化及び推奨のうちの1又は2以上を利用することを含む。ガイド生成は、本明細書で記載される方法に基づいた術前計画中に決定された1又は2以上の最適化パラメータを反映する関節窩及び/又は上腕骨の3次元モデルの自動設計及び生成を含むことができる。
【0126】
本明細書で記載される主題は、ハードウェア及び/又はファームウェアと組み合わせてソフトウェアにて実現することができる。例えば、本明細書で記載される主題は、プロセッサによって実行されるソフトウェアにて実現することができる。1つの例示的な実施構成において、本明細書で記載される主題は、コンピュータのプロセッサによって実行されたときにコンピュータがステップを実施するよう制御するコンピュータ実行可能命令を格納したコンピュータ可読媒体を用いて実現することができる。本明細書で記載される主題を実現するのに好適な例示的なコンピュータ可読媒体は、ディスクメモリデバイス、チップメモリデバイス、プログラム可能ロジックデバイス及び特定用途向け集積回路などの非一時的デバイスを含む。加えて、本明細書で記載される主題を実現するコンピュータ可読媒体は、単一のデバイス又はコンピュータプラットフォーム上に位置付けることができ、或いは、複数のデバイス又はコンピュータプラットフォームにわたって分散させることができる。
【0127】
また、本明細書で提供されるのは、複数の要因及び評価を考慮に入れる術前計画に基づいて、関節窩インプラント又は関節窩補綴具の生成の方法、システム、及び装置である。一部の実施形態において、術前計画に基づく関節窩インプラントの生成は、組み合わせ及びその順序を変えることができる、以下のステップ:
関節窩インプラントの前縁を関節窩骨の前縁と整列させるステップ、
関節窩インプラントの後傾を調整するステップ、
関節窩インプラントの増強を調整するステップ、
関節窩インプラントの下方傾斜を調整するステップ、
関節窩インプラントの骨支持を査定するステップであって、骨によって又はその接触によって支持される関節窩インプラントの裏面の量が評価されるステップ、
インプラント接合部に対する骨を最適化するために、リーミングによって除去される必要がある骨の容積量又は必要なリーミングの全最小距離を評価することにより、関節窩インプラントの正中固定術を調整するステップ、
円蓋を内側に貫通する中央ペグが存在しないときに固定支持体を分析するステップ、
当初のジョイントラインと新しいジョイントラインとを比較することを含む、ジョイントラインを分析するステップであって、新しいジョイントラインが当初のジョイントラインと実質的に類似している、ステップ、
リーミングして、関節窩インプラントと骨の下側軸と上側軸を整列させた後、関節窩インプラントの幅と関節窩骨の幅を測定し照合するステップ、
関節窩インプラントの厚さ/高さを必要に応じて評価し調整するステップ、
関節窩の深さを必要に応じて評価し調整するステップ、
グラフトの厚みを必要に応じて評価し調整するステップ、
上腕頭の直径を決定するステップ、
上腕頭の高さを決定するステップ、
上腕骨インプラントのサイズを決定するステップ、及び/又は
製造業者設計及びサイズの範囲からインプラントの最良適合サイズを決定するステップであって、サイズの範囲は、ステムの長さ、上腕骨ステムのサイズ、ステムの直径、頭のサイズ直径、頭の高さ、及び上腕骨ステムの面の中心と比べた中央丸頭のオフセットからなるグループから選択される、ステップ、
の1又は2以上を含むことができる。
【0128】
一部の態様において、本明細書で記載される計画方法及び分析ステップは、術前に行うことができる。すなわち、これらは、仮想的又はソフトウェアベースの環境で術前に行うことができる。一部の実施形態において、このような仮想シミュレーションは、術前に対象から撮影された画像又はスキャンに基づくことができる。現在利用可能及び将来の撮像技術(例えば、コンピュータ断層撮影(CT)、X線撮像、陽電子放出断層撮影、超音波、その他)を用いて、シミュレーションベースの分析及び計画で使用される画像及びデータを取り込んで、好適な補綴具インプラント及び/又は設計手術ガイドを識別することができる。一部の実施形態において、医用撮像における情報を処理、格納、プリンティング、及び伝送する規格として知られる、医用におけるデジタル画像と通信(DICOM)を用いることができる。一部の実施形態において、DICOMは、複数の製造業者からのスキャナ、サーバ、ワークステーション、プリンタ、及びネットワークハードウェアを画像保管通信システム(PACS)に統合する。DICOMの応用分野は、とりわけ、CT、MRI、PET、及び超音波である。治療される対象者又は患者から取り込まれた画像を用いることにより、分析及び結果は、対象者又は患者特有とすることができ、当該対象者の状態の特異性を考慮することができる。上記の画像診断法、技術又はシステムの何れもが、例えば、方法100,方法200、400、600、710、810、815、900、915及び920におけるステップ105、110にて上述されるように、又は全関節手術計画及び査定システムの特定の実施構成の動作に必要に応じて、患者の画像取り込み、レンダリング、又は修正の一部として用いることができる。
【0129】
一部の態様において、解剖学的又はリバース型処置の術前計画が行われるときには、治療される患者の関連する生来の骨の実際の形態型が考慮され撮像される。選択されたインプラントの適合及び構成を正しくするために、例えばCTスキャンで見られるような関連する骨の形態は、インプラント設計に組み込まれる「反転画像」を生成するために使用される。同様に、特定の配置ガイドの位置決めを補正するために、例えば、CTスキャンで見られるような関連する骨の形態は、関連する骨又はその一部についてガイド設計に組み込まれる「反転画像」を生成するために使用される。
【0130】
本明細書で記載される主題は、ハードウェア及び/又はファームウェアと組み合わせてソフトウェアにて実現することができる。例えば、本明細書で記載される主題は、プロセッサによって実行されるソフトウェアにて実現することができる。1つの例示的な実施構成において、本明細書で記載される主題は、コンピュータのプロセッサによって実行されたときにコンピュータがステップを実施するよう制御するコンピュータ実行可能命令を格納したコンピュータ可読媒体を用いて実現することができる。本明細書で記載される主題を実現するのに好適な例示的なコンピュータ可読媒体は、ディスクメモリデバイス、チップメモリデバイス、プログラム可能ロジックデバイス及び特定用途向け集積回路などの非一時的デバイスを含む。加えて、本明細書で記載される主題を実現するコンピュータ可読媒体は、単一のデバイス又はコンピュータプラットフォーム上に位置付けることができ、或いは、複数のデバイス又はコンピュータプラットフォームにわたって分散させることができる。
【0131】
このため、一部の実施形態において、開示された術前計画方法は更に、コンピュータのプロセッサによって実行されたときに、コンピュータが計画方法及び/又は分析ステップの1又は2以上を実施するよう制御するコンピュータ実行可能命令を格納したコンピュータ可読媒体を提供するステップを含むことができる。例えば、一部の実施形態において、コンピュータ可読媒体は、実行可能命令を格納することができ、該実行可能命令は、コンピュータのプロセッサによって実行されたときに、術前計画の際に決定された1又は2以上の最適化されたパラメータを反映する増強又は患者特有の関節窩インプラント及び/又は関節窩ガイドデバイス(例えば、関節窩配置ガイド)の仮想3Dモデルをコンピュータが生成するよう制御することができる。加えて、一部の態様において、コンピュータ可読媒体は、コンピュータのプロセッサによって実行されたときに、コンピュータと通信して3Dプリンティングデバイスをコンピュータが制御するコンピュータ実行可能命令を格納することができ、これにより、3Dプリンティングデバイスは、術前計画方法のステップが実行された患者において肩関節置換外科療法で使用するための患者特有の、すなわちカスタマイズされた増強関節窩インプラント及び/又は関節窩ガイドデバイス又は上腕骨ガイドデバイスをプリンティングすることができる。
【0132】
更に別の態様において、本明細書で記載される計画システムの実施形態は、複数の異なる構成要素製造業者が、本明細書で記載される種々の計画及び査定方法に従って人間が使用するためのレガシーインプラント、新規開発されたインプラント、実験的又は規制承認されたインプラントを提供、更新、又は利用可能にすることを可能にする追加のインタフェース機能を含む。同様の方法で、本明細書で記載される計画システムはまた、UI及びGUIインタフェースに対するプラグイン又はソケット及び修正を提供することができ、これにより、製造業者特有の外科手術計画システム並びに関連するPatient specific Instrument(患者特有器具)及び計画ガイドに対して通信できるようにする。このようにして、複数の製造業者の全関節システムを用いる外科医は、解剖学的又はリバース型肩関節処置についての種々の患者特有推測結果をより完全に考慮するため、特定の患者外科的状況に対して利用可能なインプラント及び手術ガイドをより容易に比較及び評価する広い自由度を有することになる。例示的な商業的に入手可能なインプラント製造業者及び関連の製造業者特有の外科手術計画システムは、付属書Eとして参照された、J. D. Wylie及びR. Z. Tashjanによる「Planning Software and Patient-Specific Instruments in Shoulder Arthroplasty」に記載されており、これは引用により本明細書に組み込まれる。
【0133】
更に、開示された方法、システム及び装置の一部の態様において、コンピュータ可読媒体は、術前中に決定された1又は2以上の最適化されたパラメータを反映する患者特有の、すなわちカスタマイズされた増強関節窩インプラント及び/又は関節窩ガイドデバイス又は配置ガイドデバイスの仮想3Dモデルをコンピュータが生成するよう制御することができるコンピュータ実行可能命令を格納するように設けることができる。従って、一部の実施形態において、コンピュータ可読媒体は、コンピュータのプロセッサによって実行されたときに、本明細書で開示されるような計画方法及び/又は分析ステップの1又は2以上をコンピュータが実行するよう制御する実行可能命令を格納して設けられる。
【0134】
本明細書で記載されるコンピュータ、コンピュータデバイス、ハードウェア及び/又は機能性が特定用途の試験デバイスを構成することができる点に留意されたい。更に、本明細書で記載されるコンピュータ、コンピュータデバイス、ハードウェア及び/又は機能性は、肩関節手術の術前計画の技術分野を改善することができ、仮想モデル化システムの生成を改善することができる。
【0135】
関節窩及び/又は上腕骨インプラントデバイスの3Dモデルを生成するため及び/又は術前リバース型及び解剖学的肩関節手術分析をモデル化及び仮想的にシミュレーションするための本明細書で記載される主題は、肩関節手術からの前向きな転帰の可能性を改善する。また、本明細書で記載される主題を実施するコンピュータプラットフォーム、コンピュータ、コンピュータデバイス及び/又はハードウェアは、関節窩及び/又は上腕骨インプラントデバイスの3Dモデルを生成するため及び/又は術前リバース型及び解剖学的肩関節手術分析をモデル化及び仮想的にシミュレーションするのに使用可能な特定用途のコンピュータデバイスを含むことができる点に留意されたい。
【0136】
本明細書で使用される場合、用語「ノード」は、1又は2以上のプロセッサ及びメモリを含む物理的コンピュータプラットフォームを指す。
【0137】
本明細書で使用される場合、用語「機能」又は「モジュール」は、本明細書で記載される特徴を実施するためのハードウェア、ファームウェア、或いは、ハードウェア及び/又はファームと組み合わされたウェアソフトウェアを指す。
【0138】
一部の実施形態において、コンピュータのプロセッサによって実行されたときに、上記の方法ステップに基づいて術前計画中に決定された1又は2以上の最適化パラメータを反映する関節窩及び/又は上腕骨ガイドの仮想3次元モデルを生成することを含むステップをコンピュータが実施するよう制御するコンピュータ実行可能命令を格納したコンピュータ可読媒体が提供される。一部の実施形態において、コンピュータのプロセッサによって実行されたときに、コンピュータと通信して3Dプリンティングデバイスを制御するコンピュータ実行可能命令を格納することができ、これにより、3Dプリンティングデバイスは、最適分析が行われた患者において解剖学的又はリバース型肩関節置換外科療法で使用するための関節窩及び/又は上腕骨ガイドもしくは配置ガイドをプリンティングする、コンピュータ可読媒体が提供される。
【0139】
一部の実施形態において、本明細書では、選択されたリバース型及び解剖学的処置各々についての術前計画及び肩関節手術キットが提供される。一部の態様において、このようなキットは、本明細書で開示される術前分析ステップを実行する命令セット、並びに1又は2以上のガイド、関節窩補綴具デバイス、及び/又は上腕骨補綴具デバイスを備える。一部の実施形態において、キットは、ガイド及び/又は1又は2以上の関節窩補綴具デバイス及び/又は上腕骨補綴具デバイスを製造するための3Dプリンティングデバイスを備えることができる。一部の実施形態において、キットは、術前計画を実施し、術前計画の間に集められた入力パラメータに基づいてガイド、関節窩インプラント及び/又は上腕骨インプラントを設計するのに使用するコンピュータ可読媒体を備えることができる。一部の実施形態において、デバイスは、補綴具デバイスを術前計画分析に基づいて患者にとって最適化できるように設計上カスタマイズ可能及び/又はモジュール式である。一部の態様において、キットは、増強裏面を有するある範囲の関節窩インプラントを備えることができ、ここで増強は、上方/下方及び前方/後方位置の両方で増強のサイズ、形状、及び位置に関して選択可能である。一部の実施形態において、増強裏面を有するある範囲の関節窩インプラントを備えるキットが提供され、ここで増強は、そのサイズ、形状、及び位置に関して選択可能であり、位置は角度位置及び半径方向位置によって定義される。
【0140】
一部の実施形態において、患者を治療する方法及び/又は手術法が提供され、分析及び最適化の開示された方法の1又は2以上は、肩又は他の関節手術を必要として患者に対して実施される。一部の実施形態において、患者を治療する方法が提供され、ここで、開示された分析及び最適化方法が実施され、最適化されたガイドが設計及び生成され、1又は2以上の関節窩及び/又は上腕骨インプラントが設計、生成、及び/又は選択される。一部の実施形態において、患者を治療する方法は、術前計画を利用して、ガイド及び1又は2以上の関節窩及び/又は上腕骨インプラントを設計し最適化するステップと、ガイドを利用して、選択された解剖学的又はリバース型肩関節処置による関節窩及び/又は上腕骨補綴具デバイスを外科的にインプラントするステップとを含むことができる。
【0141】
本開示の主題は、仮想的に術前計画された上腕骨及び関節窩インプラントのための方法、システム、及び装置、並びに日常生活活動及び/又は可動域の標準的臨床評価に望ましいある範囲の可動域も考慮しながら、解剖学的又はリバース型肩関節手術のための補綴具デバイスを提供する。本開示の主題はまた、リバース型又は解剖学的肩関節手術を受ける患者において、上腕骨及び関節窩インプラントの外科的調製及びインプラントのためのPatient specific Instrument(患者特有器具)を含む計画された方法を提供する。
【0142】
一部の実施形態において、節窩上腕関節、肩胛骨、鎖骨運動学と共に患者特有の骨、筋肉及び軟組織を含む術前計画に基づいて、関節窩インプラント構成要素と、上腕骨インプラント構成要素と、関節窩インプラント配置ガイド及び上腕骨インプラント配置ガイドを含む肩関節手術ガイドと、を含む、患者特有解剖学的又はリバース型肩関節処置のためのインプラント可能構成要素を設計及び/又は生成する本明細書で記載される方法は、更に1又は2以上の最適化ステップを含むことができる。このような最適化ステップは、複数の要因のうちの1又は2以上の要因の測定に基づいて、解剖学的、外科的、処置的、可動域、固定、安定化、又は他の転帰のリスクの識別を含むことができる。
【0143】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、関節窩インプラントの前縁が関節窩骨の前縁と整列された状態にある場合の、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、関節窩インプラントの後傾が調整される場合の、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0144】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、関節窩インプラントの増強が調整される場合の、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0145】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、関節窩インプラントの下方傾斜が調整される場合の、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0146】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、関節窩インプラント及び/又は上腕骨インプラントのための骨支持が査定される場合の、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0147】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、リーミングによって除去される必要がある骨の容積量を評価することにより、関節窩インプラントの正中固定術が調整される場合の、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0148】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、円蓋を内側に貫通する中央ペグが存在しないときに固定支持体が分析される場合の、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0149】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、当初のジョイントラインと新しいジョイントラインとを比較することにより、ジョイントラインが分析される場合の、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0150】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、リーミングして関節窩インプラント及び骨の下側軸と上側軸を整列させた後、関節窩インプラントの幅と関節窩骨の幅が測定されて照合され、上腕骨インプラントの同様の適切な測定及び照合が含まれる場合の、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0151】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、上腕頭の直径が決定される場合の、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0152】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、上腕頭の高さが決定される場合の、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0153】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、コンピュータ断層撮影又は他の適切な医用画像診断法によって上腕骨又は関節窩インプラントのサイズが測定される場合の、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0154】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、1又は2以上の医用構成要素の製造業者によるある範囲のサイズから上腕骨インプラント又は関節窩インプラントの最良適合サイズが決定される場合の、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0155】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、3次元のベクトルが比較されて、肩胛骨と比較した上腕骨結節の再配置の距離を測定する場合の、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0156】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、極度の可動域を介してインプラントを仮想的に位置付けて、衝突位置を測定し日常生活活動及び標準的臨床評価に基づいて必要な機能的可動域を補償することを含む、可動域分析が行われる場合の、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0157】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、主要軟組織挿入点を決定することを含む軟組織分析が行われる場合の、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0158】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、円蓋の皮質壁の外側への貫通が評価される場合の、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0159】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、インプラントを有する正中頭縁部に対するより大きな結節の幅が解剖学的幅と比較される場合の、解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0160】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、任意選択的に、関節窩インプラント又は上腕骨インプラントのビューのための冠、サジタル及び横解剖学的平面の指標;患者特有裏面側増強を有する関節窩インプラントのビュー;患者特有増強を有する例示的な関節窩インプラントのビュー;比較のため計画システムによって評価される1又は2以上の要因の図示された指標を有する関連する関節骨又は肩胛骨及び関節窩面のビュー;選択されたインプラント及び外科処置を表示させた上腕骨との肩胛骨のビュー;裏面増強の無い関節窩インプラントのビュー及び裏面増強を有する関節窩インプラントのビュー;及び/又はカスタマイズされた固定構成要素のビューを各々が有する患者特有の上腕骨又は関節窩インプラントのビューを含む、1又は2以上の解剖学的ビューをビュー又は表示するための解剖学的又はリバース型肩関節手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0161】
図9A、9B、及び9Cは、全関節置換計画システムを利用する方法に関する。
図9Aは、全関節外科手術計画方法900を記載している。
図9Bは、補綴具試験エンジンの態様の方法920を詳細に示している。
図9Cは、患者適合エンジンの使用方法915を詳細に示している。
【0162】
図9Aは、コンピュータに実装された全関節置換計画システム905を作動させる方法900のステップを詳細に示す。全関節置換計画システムは、肩、膝、股関節、足首、肘、手首、手又は指及び親指の関節、並びに足又は足指の関節に対して計画及び実施される手術のための全関節又は部分関節置換術に用いることができる。
【0163】
次に、ステップ910において、電子的なコンピュータレンダリング又は仮想的関節特有の運動学的モデルが得られる。本明細書で記載されるように、運動学的モデルは、骨、ランドマーク、靱帯、軟骨、及び関節包を含む軟組織を含む。加えて、運動学的モデルは、日常生活活動、臨床的評価、又はエクササイズ、スポーツ又はアスレチック活動に関連する複雑な運動に対する関節の広い可動域のシミュレーションに好適である。
【0164】
次に、ステップ915において、患者適合エンジンの動作がある。患者適合エンジンの動作は、1又は2以上の患者特有条件に修正される関節特有の運動学的モデルの修正を提供する。患者適合エンジンの動作は、全関節又は部分関節置換術のための患者特有外科手術計画と共に使用する汎用関節特有の運動学的モデルを調製する。
【0165】
次に、ステップ920において、補綴具試験エンジンは、全関節置換計画システム905を用いて査定中に全関節又は部分関節手術で使用される選択された補綴具又はインプラントもしくはツールをシミュレーションするための動作に調製される。
【0166】
次に、ステップ925において、補綴具試験エンジンは、患者特有モデル及び実施される種々のインプラント試験の出力を提供する。
【0167】
次に、ステップ930において、患者及び外科医は、ステップ925からの出力を用いて医療相談を行う。相談中、ステップ915~925で行われる試験によって提供される出力に基づいて、全関節又は部分関節手術で使用する最良適合の補綴具の選択がある。
【0168】
次に、ステップ935において、査定された部分的又は全関節手術に必要とされるマテリアルを取得するプロセスがある。全関節置換計画システムは、システムにおいて査定された患者特有処置のためのマテリアルに対する要件を含む出力又はマテリアルを取得する出力を提供することができる。患者特有全関節又は部分関節処置のための外科マテリアルは、例えば、患者特有ナビゲーションガイダンスツール、補綴具、手術ツール、及び/又は1又は2以上の患者特有ガイド、インプラント又はツールの製品を含む。
【0169】
最後に、ステップ940において、方法900のステップを用いて査定及び計画された関節置換術が実施される。
【0170】
図9Bは、方法900において上述された患者適合エンジンの追加の詳細事項を含む(915)。最初に、ステップ915aは、患者適合エンジンを初期化するステップがある。患者適合エンジンは、患者特有撮像、臨床査定、試験及び同様のものから得られたものを含む、患者特有条件を含むように関節特有の運動学的モデルを修正する。次に、ステップ915bにおいて、全関節置換計画システムを用いて査定するための計画された手術の関節特有の運動学的モデルを得る。
【0171】
次に、ステップ915cにおいて、運動学的モデルを修正して、骨特徴を表す患者特有要因を適用する。
【0172】
次に、ステップ915dにおいて、運動学的モデルを修正して、靱帯特徴を表す患者特有要因を適用する。
【0173】
次に、ステップ915eにおいて、運動学的モデルを修正して、筋肉特徴を表す患者特有要因を適用する。
【0174】
次に、ステップ915fにおいて、運動学的モデルを修正して、査定中の全関節又は部分関節手術に関連する1又は2以上の追加の患者特有特徴を表す他の追加の患者特有要因を適用する。
【0175】
最後に、ステップ915gにおいて、方法915が完了し、関節特有の運動学的モデルは、患者特有の条件を含むように適合され、全関節置換計画システムの一部として本明細書に記載されるように異なるインプラント及び外科手術位置を評価するために補綴具試験エンジンと共に使用する準備ができている。
【0176】
図9Cは、方法900(
図9A)において補綴具試験エンジン920によって実行されるステップを更に説明する方法920を提供する。最初に、ステップ920aにおいて、補綴具試験エンジンが初期化される。次に、ステップ920bにおいて、査定及び計画関節置換術のための補綴具を選択するステップがある。次に、ステップ920cにおいて、関節の適合された患者特有運動学的モデル内で外科手術計画を用いて選択された補綴具のモデルを位置付けるステップがある。このステップの間、仮想手術が実施され、査定中に関節の患者特有運動学的モデル内に選択された補綴具を位置付けるようにする。
【0177】
次に、プロセスは、ステップ920dにおいて、日常生活活動に基づいて患者特有運動学的モデルの運動シミュレーションを適用する。このステップの間、日常生活活動の運動が患者特有モデルに与えられている間、選択された手術位置における選択された補綴具が査定される。選択された日常生活活動に対する計画された手術位置における選択された補綴具の性能を反映するデータは、ステップ920eにて収集される。
【0178】
次に、決定ポイント920fは、追加の日常生活活動を選択された補綴具及び手術部位について査定することができる。決定ポイント920fの答えが「はい」である場合、本方法は、ステップ920にループして戻り、ステップ920dに従って選択されシミュレーションされる別の日常生活活動を可能にし、ステップ920eに従ってデータが収集される。
【0179】
決定ポイント920fの答えが「いいえ」である場合、本方法は、決定ポイント920gに進む。決定ポイント920gは、査定のため、選択された補綴具を異なる追加位置に移動させることができる。決定ポイント920gに対する答えが「はい」である場合、本方法は、新しい位置についてステップ920cにループして戻り、ステップ920d及び920eに従って活動及びデータ収集を繰り返すと共に、追加の活動についてのステップを繰り返す(ステップ920f)。
【0180】
決定ポイント920gに対する答えが「いいえ」である場合、本方法は、ステップ920hに進み、別の補綴具をシステムにおいて試験することができる。決定ポイント920hに対する答えが「はい」である場合、本方法は、ステップ920bにループして戻り、査定のため追加のインプラントを選択することができるようになる。本方法は、新しい位置についてステップ920cに進んで繰り返し、ステップ920d及び920eに従って活動及びデータ収集を繰り返すと共に、新規に選択された補綴具の追加の位置についてのステップを繰り返す(ステップ920g)。
【0181】
決定ポイント920hに対する答えが「いいえ」である場合、本方法は、引き続きステップ920iに進む。ステップ920iは、補綴具試験エンジンによって提供される出力であり、該出力は、試験される全てのインプラント、査定される全ての手術部位及びシミュレーションされた日常生活活動によって与えられる全ての運動の結果を含む患者特有モデルによって実施される全てのシミュレーションの結果を含む。これらの様々な出力は、ステップ925(
図9Aを参照)に提供され、このステップの間に利用される。
【0182】
全関節置換計画システムの実施形態は、幅広い範囲にわたる患者の治療方法を可能にし、及び/又は部分的又は完全な関節手術を必要とする患者に対して開示された分析及び最適化方法の1又は2以上のが実施される外科的方法が提供される。一部の実施形態において、開示された分析及び最適化方法が実施される患者の治療方法が提供され、最適化されたガイドが設計及び生成され、1又は2以上の関節特有のインプラントが設計、生成及び/又は選択される。一部の実施形態において、患者を治療する方法は、ガイド及び1又は2以上の関節特有のインプラントを設計及び最適化する術前計画を利用すること、及び選択された関節特有の外科処置に従って1又は2以上の関節特有の補綴具デバイスを外科的にインプラントするガイドの使用を含むことができる。本明細書で記載される本患者特有外科手術計画システムの種々の実施形態は、幅広い種類の関節の何れにも適合することができる。加えて、部分的又は全関節手術は、肩、膝、股関節、足首、肘、手首、手又は指及び親指の関節、並びに足又は足指の関節に対して計画され実施される手術を含むことができる。
【0183】
本開示の主題は、仮想的に術前計画された全関節又は部分関節インプラントのための方法、システム、及び装置、並びに日常生活活動及び/又は可動域の標準的臨床評価に望ましいある範囲の可動域も考慮しながら、全関節又は部分関節手術のための補綴具デバイスを提供する。本開示の主題はまた、全関節又は部分関節手術を受ける患者において、全関節又は部分関節インプラントの外科的調製及びインプラントのためのPatient specific Instrument(患者特有器具)を含む計画された方法を提供する。
【0184】
更に、開示された方法、システム及び装置の一部の態様において、コンピュータ可読媒体は、コンピュータのプロセッサによって実行されたときに、術前計画の際に決定された1又は2以上の最適化されたパラメータを反映する、患者特有の、すなわちカスタマイズされた増強全関節又は部分関節特有のインプラント及び/又は適切な手術配置ガイドデバイスの仮想3Dモデルをコンピュータが生成するよう制御することができる実行可能命令を格納するように設けることができる。従って、一部の実施形態において、コンピュータ可読媒体は、コンピュータのプロセッサによって実行されたときに、本明細書で開示されるような計画方法及び/又は分析ステップの1又は2以上をコンピュータが実行するよう制御する実行可能命令を格納して設けられる。
【0185】
本明細書で記載されるコンピュータ、コンピュータデバイス、ハードウェア及び/又は機能性が特定用途の試験デバイスを構成することができる点に留意されたい。更に、本明細書で記載されるコンピュータ、コンピュータデバイス、ハードウェア及び/又は機能性は、関節特有の手術の術前計画の技術分野を改善することができ、また、患者特有運動学的及び生体モデリングに対するインタフェースを有するものを含む、仮想モデル化システムの生成を改善することができる。
【0186】
全関節又は部分関節特有のインプラントデバイスの3Dモデルを生成するため及び/又は術前全関節又は部分関節手術分析をモデル化及び仮想的にシミュレーションするための本明細書で記載される主題は、全関節又は部分関節手術からの前向きな転帰の可能性を改善する。また、本明細書で記載される主題を実施するコンピュータプラットフォーム、コンピュータ、コンピュータデバイス及び/又はハードウェアは、関節特有のインプラントデバイスの3Dモデルを生成するため及び/又は
術前全関節又は部分関節手術分析をモデル化及び仮想的にシミュレーションするのに使用可能な特定用途のコンピュータデバイスを含むことができる点に留意されたい。
【0187】
本明細書で使用される場合、用語「ノード」は、1又は2以上のプロセッサ及びメモリを含む物理的コンピュータプラットフォームを指す。
【0188】
本明細書で使用される場合、用語「機能」又は「モジュール」は、本明細書で記載される特徴を実施するためのハードウェア、ファームウェア、或いは、ハードウェア及び/又はファームと組み合わされたウェアソフトウェアを指す。
【0189】
一部の実施形態において、コンピュータのプロセッサによって実行されたときに、上記の方法ステップに基づいて術前計画中に決定された1又は2以上の最適化パラメータを反映する関節特有のガイドの仮想3次元モデルを生成することを含むステップをコンピュータが実施するよう制御するコンピュータ実行可能命令を格納したコンピュータ可読媒体が提供される。一部の実施形態において、コンピュータのプロセッサによって実行されたときに、コンピュータと通信して3Dプリンティングデバイスを制御するコンピュータ実行可能命令を格納することができ、これにより、3Dプリンティングデバイスは、最適分析が行われた患者において関節特有の置換手術で使用するための関節特有のガイドもしくは配置ガイドをプリンティングする、コンピュータ可読媒体が提供される。
【0190】
一部の実施形態において、本明細書では、選択された全関節又は部分関節処置各々についての術前計画及び肩関節手術キットが提供される。一部の態様において、このようなキットは、本明細書で開示される術前分析ステップを実行する命令セット、並びに1又は2以上のガイド、全関節又は部分関節補綴具デバイスを備える。一部の実施形態において、キットは、ガイド及び/又は1又は2以上の関節特有の補綴具デバイスを製造するための3Dプリンティングデバイスを備えることができる。一部の実施形態において、キットは、術前計画を実施し、術前計画の間に集められた入力パラメータに基づいてガイド、関節特有のインプラントを設計するのに使用するコンピュータ可読媒体を備えることができる。一部の実施形態において、デバイスは、補綴具デバイスを外科的査定を受けている関節の術前計画分析に基づいて患者にとって最適化できるように設計上カスタマイズ可能及び/又はモジュール式である。一部の態様において、キットは、増強部分を有して又は有することなく、ある範囲の関節特有インプラントを備えることができる。増強されたインプラントが選択される際には、増強は、選択された関節の手術手技に応じて、上方/下方及び前方/後方位置の両方で増強のサイズ、形状、及び位置に関して選択可能である。一部の実施形態において、1又は2以上又は1つの増強部分を有するある範囲の関節特有のインプラントを備えるキットが提供され、ここで増強は、そのサイズ、形状、及び位置に関して増強が選択可能であり、位置は、考慮中の関節に適切であるような角度位置及び半径方向位置によって定義される。
【0191】
一部の実施形態において、部分的又は全関節運動学と共に患者特有の骨、筋肉及び軟組織を含む術前計画に基づいて又は術前計画を用いて生成された、関節特有インプラント構成要素を含む患者特有部分又は全関節外科処置のためのインプラント可能構成要素、関節インプラント配置ガイドを含む関節手術ガイド設計及び/又は生成する本明細書で記載される方法は、更に1又は2以上の最適化ステップを含むことができる。このような最適化ステップは、査定中の全関節又は部分関節手術に関連する複数の要因のうちの1又は2以上の要因の測定、患者特有の又は外科医特有の推奨に基づいて、解剖学的、外科的、処置的、可動域、固定、安定化、又は他の転帰のリスクの識別を含むことができる。
【0192】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、関節特有の手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、ユーザベースの調整のための適応を含む、関節特有の手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0193】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、インプラント又は提案の手術部位の増強が調整される場合の、関節特有の手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0194】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、インプラントが患者特有手術部位に対して回転、傾斜、シフト、オフセット又は他の方法で調整される場合の、関節特有の手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0195】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、全関節又は部分関節インプラントの骨支持が査定される場合の、関節特有の手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0196】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、リーミングによって除去される必要がある骨の容積量を評価すること又は全関節又は部分関節手術の一部としてインプラントを受け入れるように骨を適合させることにより、インプラントの配置が調整される場合の、関節特有の手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0197】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、当初のジョイントラインと新しいジョイントラインとを比較することにより、ジョイントラインが分析される場合の、関節特有の手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0198】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、リーミングしてインプラント及び骨の下側軸と上側軸を整列させた後、関節インプラント及びインプラント受入骨の幅又は他の相対寸法が測定されて照合され、査定中の全関節又は部分関節処置で使用される他の何れかの構成要素の同様の適切な測定及び照合が含まれる場合、関節特有の手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0199】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、査定中の全関節の特定の解剖学的部位の直径又は他の関連の幾何学的測度が決定又は測定される場合の、関節特有の手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0200】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、関節特有のインプラントのサイズは、患者特有の手術モデルの評価又は査定の一部としてコンピュータ断層撮影又は他の適切な医用画像診断法によって測定される場合の、関節特有の手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0201】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、全関節又は部分関節インプラントの最良適合サイズが、1又は2以上の医用構成要素の製造業者により利用可能なある範囲のサイズから提供又は選択される場合の、関節特有の手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0202】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、通常の並びに極度の可動域を介してインプラントを仮想的に位置付けて、衝突位置を測定し日常生活活動及び標準的臨床評価に基づいて必要な機能的可動域を補償することを含む、可動域分析が行われる場合の、関節特有の手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。本明細書で使用される場合、日常生活活動は、全又は部分外科処置の査定中の関節以外の四肢及び関節を含む、運動、動作又は複雑な多関節操作を含むことができる。1つの実施例において、日常生活活動中に査定される運動又は動作は、部分又は全関節手術で査定されている患者によって実施されるスポーツ又はアスレチック活動を含む。
【0203】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、主要軟組織挿入ポイントを決定するステップを含む軟組織分析が実行される場合の、関節特有の手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0204】
1つの実施形態において、コンピュータに実装された対話型患者特有の外科手術計画システムは、任意選択的に、全関節インプラント又は部分関節インプラントのビューのための冠、サジタル及び横解剖学的平面の指標;関節特有裏面側増強を有する関節特有インプラントのビュー;患者特有増強を有する例示的な関節特有インプラントのビュー;比較のため計画システムによって評価される1又は2以上の要因の図示された指標を有する関連する部分又は全関節骨又は関節面のビュー;選択されたインプラント及び外科処置を表示させた関節骨のビュー;裏面増強の無い関節インプラントのビュー及び裏面増強を有する関節インプラントのビュー;及び/又はカスタマイズされた固定構成要素のビューを各々が有する患者特有の全関節又は部分関節インプラントのビューを含む、1又は2以上の解剖学的ビューをビュー又は表示するための関節特有の手術インプラント又はガイドの比較のための術前全関節計画方法におけるステップについての指示を含む。
【0205】
本明細書で記載される全関節外科手術システム及び方法の種々の代替の実施形態において、患者は、哺乳動物対象者を含むことができる。他の実施形態において、患者は、大人、若者又は子どもを含む、男性人対象者又は女性の人対象者とすることができる、
【0206】
特に規定のない限り、本明細書において用いられる全ての技術的及び科学的用語は、本開示の主題が帰属する技術の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書で記載されるものと類似の又は同じあらゆる方法、デバイス、及びマテリアルは、本開示の主題の実施又は試験にて用いることができるが、ここでは代表的な方法、デバイス、及びマテリアルが記載されている。
【0207】
長期特許法規定に続いて、用語「a」及び「an」は、請求項を含めて本出願で使用されるときに「1又は2以上」を意味する。
【0208】
特に規定のない限り、明細書及び特許請求の範囲において使用される成分の量、反応条件などを表す全ての数字は、全ての場合において用語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。従って、別途規定のないない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、本開示の主題によって得られることが求められる所望の特性に応じて変わり得る近似値である。
【0209】
本明細書で使用されるように、関節窩インプラント又は上腕骨インプラントに関して使用される場合の用語「患者特有」、「カスタマイズされた」、及び/又は「適応できる」は、同義的に用いることができ、一部の実施形態において、例えば、術前分析及び計画から得られた特徴、又は選択されたリバース型又は解剖学的肩関節処置を含む、治療される患者に特有の要因を考慮に入れたかかる特徴の特殊化を指すことができる。
【0210】
本開示の主題の様々な詳細事項は、本開示の主題の範囲から逸脱することなく変えることができる点は、理解されるであろう。更に、前述の説明は、例証の目的のものであり、限定を目的とするものではない。
【符号の説明】
【0211】
905:全関節置換計画システム
Shoulder:肩
Knee:膝
Hip:股関節
Elbow:肘
Ankle:足首
Hand:手
910:骨、ランドマーク、及び軟組織を有する関節特有の運動学的モデル
915:患者特有条件への関節特有の運動学的モデルの修正のための患者適合エンジン
920:補綴具試験エンジン
925:患者特有モデル及びインプラント試験の補綴具試験エンジン出力
930:患者-外科医相談:最良適合の補綴具の選択
935:患者特有ナビゲーション/ガイダンスツール、補綴具、ツール、及び/又は患者特有ガイド、インプラント又はツールの製品を含む、患者特有処置のためのマテリアルに対する要件又はマテリアルを取得する要件を出力する
940:患者関節置換術を実施する