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特許7229935和周波数振動スペクトロスコピーによるサンプルの被走査表面を撮像するための表面検知システム及び方法
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  • 特許-和周波数振動スペクトロスコピーによるサンプルの被走査表面を撮像するための表面検知システム及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】和周波数振動スペクトロスコピーによるサンプルの被走査表面を撮像するための表面検知システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/3563 20140101AFI20230220BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
G01N21/3563
G01N21/27 A
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019555420
(86)(22)【出願日】2017-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-30
(86)【国際出願番号】 US2017067028
(87)【国際公開番号】W WO2018118779
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-12-18
(31)【優先権主張番号】15/388,743
(32)【優先日】2016-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(73)【特許権者】
【識別番号】519226850
【氏名又は名称】フェムトメトリクス, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハント, ジェフリー エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】シー, チアニン
(72)【発明者】
【氏名】シャンガラ, ジョン ポール
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-229386(JP,A)
【文献】特表2010-502956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00- G01N 21/01
G01N 21/17- G01N 21/61
G01J 1/04
G01J 3/00- G01J 3/51
G02F 1/35- G02F 1/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルの被走査表面を撮像するための表面検知システム(10)であって、
前記サンプルを支持するように構成された支持表面(22)を含むサンプルホルダ(20)、
前記サンプルが前記支持表面によって支持されているとき、前記被走査表面(32)上のサンプリング場所(34)への可視光ビーム(42)の入射を方向付けるように構成された可視光源(40)、
前記サンプルが前記支持表面によって支持されているとき、前記被走査表面上の前記サンプリング場所への前記可視光ビーム(42)の入射と一致するように可変赤外(IR)ビーム(52)を方向付けるように構成された可変赤外光(IR)源(50)であって、更に、前記可変IRビームが前記被走査表面上に配置された被撮像構造(35)の内部に選択的に共鳴を誘起することを可能にするために、前記可変IRビームの波長を選択的に変更するように構成されている前記可変IR源、
前記サンプリング場所を画定する前記被走査表面の一部分を選択的に変更するために、前記被走査表面全体を前記可視光ビーム及び前記可変IRビームで走査するように構成された走査構造(60)、
前記被走査表面から、前記可視光ビーム及び前記可変IRビーム間の和周波信号を含む放出光ビーム(38)を受け取り、前記放出光ビームをフィルタリングしてフィルタ済み光ビーム(72)を生じさせるように構成された光フィルタ(70)であって、前記放出光ビームは、前記可視光ビーム及び前記可変IRビームの両方が前記被走査表面上に入射することに応答して前記被走査表面から放出される、前記光フィルタ、
前記光フィルタから前記フィルタ済み光ビームを受け取るように構成された光検出システム(80)、
前記可視光源、前記可変IR源、前記サンプルホルダ、前記光検出システム、及び前記光フィルタのうちの少なくとも二つを操作可能に位置合わせするように構成された位置合わせ構造(90)、並びに
前記表面検知システム(10)の少なくとも一部分の動作を制御するようにプログラミングされたコントローラ
を備え、前記コントローラが、
(i)前記被走査表面の前記サンプリング場所を前記可視光ビームに露出するように前記可視光源の前記動作を制御し、
(ii)前記被走査表面の前記サンプリング場所を前記可変IRビームに露出するように前記可変IR源の前記動作を制御し、
(iii)前記可変IRビームの前記波長を変更して前記被撮像構造の内部に光学共鳴を誘起するように前記可変IR源の前記動作を制御し、
(iv)前記被走査表面の被走査部分全体を前記可視光ビーム及び前記可変IRビームで走査するように前記走査構造の前記動作を制御し、
(v)前記被走査表面の前記被走査部分全体を前記可視光ビーム及び前記可変IRビームで走査する間に前記光検出システムによって受け取られた前記フィルタ済み光ビームに少なくとも部分的に基づく、前記被走査表面の前記被走査部分の超解像度画像を、複数の生画像を組み合わせることにより、生じさせる
ようにプログラミングされており、
前記コントローラは、前記生じさせることを容易にするために、前記被走査表面の前記被走査部分をオーバーサンプリングするようにさらに設定され、前記オーバーサンプリングすることが、前記被走査表面の前記被走査部分の複数の生画像を生じさせることを含み、前記複数の生画像の各生画像が、前記被走査表面の前記被走査部分の内部の場所の関数として、前記放出光ビームの部分の少なくとも一つのプロパティをマッピングする、システム。
【請求項2】
前記可視光ビーム(42)が少なくとも固定の出力スペクトルを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記可視光源(40)が、
(i)パルスレーザシステム、
(ii)固体レーザ、及び
(iii)周波数が二倍にされるネオジムYAGレーザ
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記可視光ビーム(42)が、0.3マイクロメートル以上0.8マイクロメートル以下の平均波長を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記可視光源(4)が、
(i)前記可視光ビームの強度、
(ii)前記可視光ビームの偏光、
(iii)前記可視光ビームの波長、及び
(iv)前記可視光ビームの帯域幅
のうちの少なくとも一つを選択的に変更するように構成された可視光源コントロールアセンブリ(44)を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記可変IR源(50)が選択的に可変の出力スペクトルを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記可変IR源(50)が、
(i)光パラメトリック発振器、及び
(ii)ニオブ酸リチウム(LiNbO3)結晶レーザ
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記可変IR源(50)が、
(i)前記可変IRビームの強度、
(ii)前記可変IRビームの偏光、
(iii)前記可変IRビームの波長、及び
(iv)前記可変IRビームの帯域幅
のうちの少なくとも一つを選択的に変更するように構成された可変IR源コントロールアセンブリを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記走査構造(60)が、
(i)前記可視光ビーム(42)及び前記可変IRビーム(52)の両方を前記被走査表面に対して同時に移動させること、
(ii)前記サンプルホルダ(20)を前記可視光ビーム及び前記可変IRビームの両方に対して操作可能に並行移動させること、
(iii)前記可視光源(40)を前記可変IR源(50)から独立して移動させること、及び
(iv)前記可変IR源を前記可視光源から独立して移動させること
のうちの少なくとも一つを行うように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記光検出システム(80)が、
(i)光電子増倍管、
(ii)光ダイオード、
(iii)アバランシェ光ダイオード、及び
(iv)焦点面アレイ
のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記光検出システム(80)が、
(i)前記フィルタ済み光ビームの強度、
(ii)前記フィルタ済み光ビームの波長、及び
(iii)前記フィルタ済み光ビームのスペクトル
のうちの少なくとも一つを検出するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記光フィルタ(70)が、前記光検出システムによって前記フィルタ済み光ビーム(72)として受け取られた前記放出光ビーム(38)の一部分を選択的に調整するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記位置合わせ構造(90)が、
(i)前記可視光ビーム(42)と前記可変IRビーム(52)とがサンプリング場所(34)上で一致し、
(ii)前記光フィルタが前記被走査表面(32)から前記放出光ビーム(38)を受け取り、
(iii)前記光検出システム(80)が前記光フィルタ(70)から前記フィルタ済み光ビーム(72)を受け取る
ように、前記可視光源(40)、前記可変IR源(50)、前記サンプルホルダ(20)、前記光検出システム(80)、及び前記光フィルタ(70)のうちの少なくとも二つを操作可能に位置合わせするように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
サンプルの被走査表面(32)を撮像するための方法であって、
前記被走査表面のサンプリング場所(34)を可視光ビーム(42)に露出すること(105)、
可変赤外(IR)ビーム(52)が少なくとも部分的に前記可視光ビーム(42)と一致するように、前記被走査表面の前記サンプリング場所を前記可変IRビームに露出すること(115)、
前記可変IRビームの周波数を変更すること(125)、
前記被走査表面の前記サンプリング場所(34)の内部に少なくとも部分的に延びる被撮像構造(35)の内部に光学共鳴を誘起すること(130)、
前記被走査表面の前記サンプリング場所から、光検出システムを用いて、前記可視光ビーム及び前記可変IRビーム間の和周波信号を含む放出光ビーム(38)の少なくとも一部分を受け取ること(140)、
少なくとも前記サンプリング場所を前記可視光ビームに前記露出すること、前記サンプリング場所を前記可変IRビームに前記露出すること、及び前記放出光ビームの少なくとも一部を前記受け取ることを継続しながら、更には前記可変IRビームを少なくとも部分的に前記可視光ビームと一致するように維持しながら、前記被走査表面の被走査部分全体を前記可視光ビーム及び前記可変IRビームで走査すること(145)、並びに
少なくとも部分的に、前記受け取ること及び前記走査することに基づいて、複数の生画像を組み合わせることにより、前記被走査表面(32)の前記被走査部分の超解像度画像を生じさせること(155)
を含み、
前記方法は、前記生じさせることを容易にするために、前記被走査表面(32)の前記被走査部分をオーバーサンプリングすること(150)を更に含み、
前記オーバーサンプリングすることが、前記被走査表面(32)の前記被走査部分(36)の複数の生画像を生じさせることを含み、前記複数の生画像の各生画像が、前記被走査表面の前記被走査部分(36)の内部の場所の関数として、前記放出光ビーム(38)の前記部分の少なくとも一つのプロパティをマッピングする、
方法。
【請求項15】
前記オーバーサンプリングすることが、少なくとも前記受け取ること及び前記走査することを繰り返すことを含み、前記繰り返すことが、前記サンプリング場所を前記可視光ビームに露出することの間、前記サンプリング場所(34)を前記可変IRビーム(52)に前記露出することの間、及び前記可変IRビーム(52)の前記周波数を変更することの後に行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記生じさせることが、250ナノメートル未満の解像度で前記超解像度画像を生じさせることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記可変IRビーム(52)の前記周波数を前記変更することが、前記受け取ることを同時に実施しながら前記可変IRビームの前記周波数を選択的に変更して、前記被撮像構造(35)の共鳴周波数を決定することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記被撮像構造(35)の前記共鳴周波数が、少なくとも部分的に、前記受け取ることの間に前記光検出システム(80)によって受け取られた前記放出光ビーム(38)の前記部分の強度に最大値を生じさせる前記可変IRビーム(52)の周波数に基づいて決定される、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2017年12月22日出願の米国特許出願第15/388743号の優先権を主張する。
【0002】
分野
本発明は、概してサンプルの被走査表面を撮像するためのシステム及び方法に関し、具体的には、被走査表面を特徴付けるために被走査表面全体を可視光ビーム及び可変赤外線ビームの両方で走査するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
非線形光学スペクトロスコピーは、表面上の一つ又は複数の材料及び/又は物体の存在を検出する、識別する、及び/又は可視化するために利用される。しかしながら、このような非線形分光技術の空間解像度は一般に、光の波長及び/又はナイキストの標本化定理により左右される回折限界により制限される。この回折限界は、1マイクロメートルのオーダーであり、それよりも数オーダー小さい物体(例えば1nmのオーダーの)を可視化することが望ましい。
【0004】
1マイクロメートルより有意に小さな物体を検出、識別、及び/又は可視化するには、通常電子散乱技術を利用することが必要である。しかしながら、電子散乱技術は極高真空環境で実施されなければならず、したがって多くの産業用途に対するその利便性は制限されている。一例として、特定の物体の周辺に極高真空環境を確立することは、コスト高であり、長時間を要し、及び/又は単純に実現不可能であり、そのため電子散乱技術によるこのような物体の走査はそもそも考慮されない。加えて、電子は、純粋に又は概して本質的に診断的なものではなく、表面の物理的状態を変化させ得る。
【0005】
或いは、及び生物システムといった特定のシステムでは、光励起性の標識又はタグが、可視化される物体内部の既知の場所に付加される。このような構成では、光励起性標識は「オン」又は「オフ」にして、それにより、可視化対象物と、本質的に存在する背景すなわちノイズとの間のコントラストを増加させ、物体の隣接し合うエレメント間のブリーディング及び/又は汚染を防止し、且つ/又は信号エイリアシングを低減することができる。このような光励起性標識は、特定のシステムの解像度を向上させるが、他のシステムへの付加が困難である及び/又は他のシステムを汚染する場合がある。
【0006】
上述のように、表面上の物体を検出、識別及び/又は可視化するための既知のシステム及び方法が、すべてのシステムに適しているとはいえない。それゆえに、サンプルの被走査表面を撮像するための表面検知システム及び方法を改良する必要が存在する。
【発明の概要】
【0007】
和周波数振動スペクトロスコピーによるサンプルの被走査表面を撮像するための表面検知システム及び方法が本明細書に開示される。システムは、サンプルホルダ、被走査表面のサンプリング場所への可視光ビームの入射を方向付けるように構成された可視光源、及びサンプリング場所上で可視光ビームと一致するように可変IRビームを方向付けるように構成された可変IR源を含む。可変IR源は、可変IRビームの波長を選択的に変更又は走査するように構成され、それにより、可変IRビームが被走査表面上に位置する被撮像構造の内部に選択的に共鳴を誘起することを可能にする。システムは、被走査表面全体を可視光ビーム及び可変IRビームで走査するように構成された走査構造、及び被走査表面から放出ビームを受け取り、この放出ビームをフィルタリングしてフィルタ済み光ビームを生じさせるように構成された光フィルタも含む。放出光ビームは、鏡面反射される可視光ビームと可変IRビームとの間を一定の角度で伝播し、可視光ビーム及び可変IRビームの両方が被走査表面上に入射することに応答して被走査表面から放出される和周波信号を含む。システムは、フィルタ済み光ビームを受け取るように構成された光検出システム及び位置合わせ構造を更に含む。
【0008】
この方法は、サンプルの被走査表面の撮像方法を含む。方法は、被走査表面のサンプリング場所上で一致するように可視光ビームと可変IRビームとを方向付けることを含む。方法は、少なくとも部分的に被走査表面のサンプリング場所の内部に延びる被撮像構造の内部に光学共鳴を誘起するように可変IRビームをチューニングすることも含む。可変IRビームをチューニングすることは、本明細書では、可変IRビームの波長を変更すること及び/又は可変IRビームのスペクトルを走査することとも呼ばれる。方法は、被走査表面のサンプリング場所から、光検出システムを用いて放出光ビームの少なくとも一部を受け取ること、及び被走査表面の被走査部分全体を可視光ビーム及び可変IRビームで走査することを更に含む。方法は、少なくとも部分的に、前記受け取ること及び走査することに基づいて、被走査表面の被走査部分の画像を生じさせることも含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明による表面検知システムの実施例を示す機能的ブロック図である。
図2】本発明による表面検知システムの具体的な一実施例の、図1より詳細な模式図である。
図3】本発明による表面検知システムの具体的な実施例の、図1より詳細な別の模式図である。
図4】サンプルの被走査表面を撮像するための、本発明による方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1~4は、本発明による、表面検知システム10及び/又は方法100の、例示的で非排他的な実施例を提供する。図1から図~4の各々において、類似の、又は少なくとも実質的に類似の目的を果たす要素には同様の番号が付されており、これら要素は本明細書において図1から図4の各々を参照して詳細に説明されないことがある。同様に、図1から図4の各々においてすべての要素に番号が付されているわけではないが、これらに関連付けられた参照番号は、本明細書において一貫して利用され得る。図1から図4のうちの一つ又は複数を参照して本明細書で説明される要素、構成要素、及び/又は特徴は、本開示の範囲から逸脱することなく、図1から図4のいずれかに、含まれ得る且つ/又は利用され得る。
【0011】
概して、所与の(即ち特定の)実施例に含まれる可能性の高い要素は実線で示され、所与の実施例に任意選択的である要素は破線で示される。しかしながら、実線で示される要素がすべての実施例に必須というわけではなく、実線で示される要素は、本開示の範囲を逸脱することなく所与の実施例から省略可能である。
【0012】
図1は、本発明による表面検知システム10を示す機能的ブロック図であり、図2~3は、本発明による表面検知システム10の具体的な実施例の、図1よりは詳細な模式図である。表面検知システム10は、本明細書ではシステム10とも呼ばれ、サンプル30の被走査表面32を撮像するように構成されている。
【0013】
図1~3に示されるように、システム10は、サンプル30を支持するように構成されている、支持表面22を含むサンプルホルダ20を含む。システム10は、被走査表面32上のサンプリング場所34上への可視光ビーム42の入射を方向付けるように構成された可視光源40;及び被走査表面32のサンプリング場所34上への可変IRビーム52の入射を方向付けるように構成された可変赤外光(IR)源50も含む。可視光ビーム42及び可変IRビーム52の両方を受け取ると、被走査表面32のサンプリング場所34は、放出光ビーム38を、生成する、生じさせる、及び/又は放出する。放出光ビーム38は、可視光ビーム42と可変IRビーム52の間の和周波信号である。
【0014】
システム10は、走査構造60を更に含む。走査構造60は、サンプリング場所34を画定する被走査表面32の一部を選択的に変化させる又は変更するためなどに、被走査表面32全体を可視光ビーム42及び可変IRビーム52で走査するように構成される。これは、システム10が被走査表面32の被走査部分36の画像を作り出す及び/又は生じさせることを可能にするために、被走査表面32の被走査部分又は領域36の内部を可視光ビーム及び可変IRビームの両方で走査することを含み得る。
【0015】
システム10は光フィルタ70も含む。光フィルタ70は、被走査表面32のサンプリング場所34から放出光ビーム38を受け取り、放出光ビーム38をフィルタリングしてフィルタ済み光ビーム72を生成する及び/又は生じさせるように構成される。フィルタ済み光ビーム72は、フィルタ済み放出光ビーム38の周波数、波長、強度、及び/又は偏光を測定及び/又は定量化することのできる光検出システム80によって受け取られる。
【0016】
システム10は、位置合わせ構造90を更に含む。位置合わせ構造90は、システム10の二つ以上の構成要素、例えばサンプルホルダ20、可視光源40、可変IR源50、光フィルタ70、及び/又は光検出システム80を操作可能に位置合わせするように構成されている。これは、可視光ビーム42と可変IRビーム52とがサンプリング場所34上で一致するように、放出光ビーム38が光フィルタ70によって受け取られるように、及び/又はフィルタ済み光ビーム72が光検出システム80によって受け取られるように、システム10の二つ以上の構成要素を操作可能に位置合わせすることを含み得る。これは図2~3に示されており、図1は単純に、表面検知システム10の様々な構成要素間の相互接続をより一般的に例示するために利用される。
【0017】
システム10の動作の間、本明細書において図4の方法100を参照して更に詳細に説明するように、可視光源40及び可変IR源50は、可視光ビーム42及び可変IRビーム52をそれぞれ、被走査表面32のサンプリング場所34上に、又はそれに入射するように方向付けることができる。可視光ビーム42及び可変IRビーム52の両方を受け取ると、サンプリング場所34は、放出光ビーム38を、生成する、生じさせる、及び/又は放出することができる。放出光ビーム38は、光フィルタ70によってフィルタリングされて、光検出システム80によって受け取られ得るフィルタ済み光ビーム72を生成する及び/又は生じさせることができる。次いで光検出システム80は、フィルタ済み光ビーム72の少なくとも一つのプロパティを定量化することができる。
【0018】
次いで、可変IR源50は、例えば、可変IRビーム52の波長、周波数、又は波長と周波数の両方を変更することにより、少なくとも部分的に又は完全に被走査表面32のサンプリング場所34の内部に延びる被撮像構造35の内部に光学共鳴を生成する及び/又は生じさせる波長及び/又は周波数にチューニングすることができる。可変IR源50は、可変IRビーム52の波長及び/又は周波数を、選択的に変更する又は走査するように構成することができ、このような選択的変更は、被撮像構造の内部に選択的に共鳴を誘起するために利用される。このような共鳴は、被撮像構造に、その上に入射する可変IRビーム52を吸収させる。対照的に、可変IRビーム52と共鳴しないサンプリング場所34及び/又は被走査表面32の残部は、可変IRビーム52を吸収しない。したがって、被撮像構造35内部の光学共鳴は、被撮像構造35と被走査表面32(例えば背景)との間に光学的コントラストを提供する。その後、被走査表面32全体を可視光ビーム42及び可変IRビーム52で走査して、被走査表面32の被走査部分36の画像を生成する及び/又は生じさせることができる。この画像は、フィルタ済み光ビーム72の少なくとも一つのプロパティの値を、被走査表面32の被走査部分36内部の場所の関数として相関させる及び/又は表示することができる。
【0019】
従来技術のシステムは、被走査表面の残部から被撮像構造を区別するために光活性標識及び/又はタグに依存している。しかしながら、本明細書に開示されるシステム10は、被撮像構造35に固有の、又は同構造内部に天然に存在する化学化合物内部に光学共鳴を誘起するために、可変IRビーム52を利用する。したがって、システム10は、被撮像構造35の撮像を可能にし得る、及び/又はサンプル30中に光活性標識といった異物又は汚染物質を導入する必要なく、被撮像構造35と被走査表面32の背景又は残部との間に光学的コントラストを提供し得る。このような構成は、本明細書に開示されるシステム10が、光活性標識の導入により損傷を受けた、改変された、及び/又はそれ以外の影響を受けたサンプル30を撮像することを可能にする。
【0020】
上記画像の収集の後で、システム10を利用して、複数の又は一連の、追加の又は後続の、被走査表面32の被走査部分36の画像を収集することができる。方法10を参照して本明細書で更に詳述するこのプロセスは、ここではオーバーサンプリングと呼ばれ、被撮像構造35の超解像度画像を生成する及び/又は生じさせるために利用することができる。本明細書において用いられる「超解像度画像」という表現には、被撮像構造35の単一の観察又は画像から得られるものよりも高い解像度を有する、例えば撮像構造35の画像が含まれる。本明細書において用いられる「オーバーサンプリング」という語は、複数の又は一連の画像の収集を指し、また、これら画像の各々は、本明細書で「アンダーサンプリングされた」画像と呼ばれる。
【0021】
一実施例として、システム10による被走査表面32の被走査部分36の一回の走査は、光学イメージング技術の回折限界の性質により、約1マイクロメートルの解像度で画像を生成する及び/又は生じさせる。システム10は、被撮像構造35が被走査表面32の被走査部分36の一回の走査により撮像されるとき、1マイクロメートル以上の大きさの被撮像構造35を分解する、又は同構造に焦点を合わせることができる。被走査表面32上における可視光ビーム42及び/又は可変IRビーム52の最小スポットサイズは概ね、回折効果に起因して対応するビームの波長に制限される。したがって、システム10は通常、一回の走査で1マイクロメートル未満の大きさの被撮像構造35を分解することはできない。
【0022】
しかしながら、オーバーサンプリングは、システム10が被撮像構造35を1マイクロメートル未満の解像度まで分解する超解像度画像を生成することを可能にする。実施例として、超解像度画像は、被撮像構造35を、500ナノメートル未満、250ナノメートル未満、200ナノメートル未満、100ナノメートル未満、75ナノメートル未満、50ナノメートル未満、25ナノメートル未満、又は10ナノメートル未満の解像度に分解する。一般に、超解像度画像の解像度は、超解像度画像を生成するために合成される画像数を増加させることにより、及び/又は可変IRビーム52をチューニングすることにより、向上させることができる。
【0023】
システム10及び/又は方法100により天然に発生する表面特徴の非線形共鳴を活性化することは、表面検知を向上させ、非線形光学システム下において超解像度画像の生じさせることができる。それとは異なり、従来技術のシステムは、超解像度画像の収集に必要なコントラストを提供するために光活性タグ及び/又は標識に依存している;しかしながら、上述のように、このような光活性タグ及び/又は標識は、撮像対象のシステムを改変し、したがって特定の状況では利用できない。
【0024】
これは、二次表面検知(例えば、非線形光学システムによる)と、三次材料、インターフェース、構造、及び組成検知を可能にする。換言すれば、システム10及び/又は方法100は、被走査表面32といった表面を撮像するために、及び/又は表面の二次及び/又は三次的感受性に基づいて表面を特徴付けるために、非線形光学技術を利用するように構成される。二次表面検知の例には、第2の高調波発生、和周波数発生、及び/又は差周波数発生が含まれる。三次検知の例には、誘導Raman散乱、誘導Brillion散乱、4波ミキシング、及び光位相共役が含まれる。これら二次及び三次表面検知技術に対する表面の応答は感受性により左右され、それぞれ二次又は三次的な検知技術のための二次又は三次的な感受性のテンソルになる。
【0025】
可視光源40には、可視光ビーム42を生じさせるように、及び/又は被走査表面32のサンプリング場所34上への可視光ビーム42の入射を方向付けるように、適合、構成、設計、及び/又は構築された任意の適切な構造が含まれる。実施例として、可視光源40には、パルスレーザシステム、固体レーザ、及び/又はネオジムYAGレーザのうちの一つ又は複数が含まれる。可視光源40がネオジムYAGレーザを含むとき、可視光ビーム42が可視光スペクトル内に含まれるように、ネオジムYAGレーザは周波数を二倍に、例えば約0.532マイクロメートルの波長にすることができる。
【0026】
可視光ビーム42は、サンプリング場所34の内部で、可変IRビーム52と相互作用して放出光ビーム38を生成し得る及び/又は生じさせ得る任意の適切な周波数、波長、強度、及び/又は偏光を有し得る。実施例として、可視光ビーム42は、少なくとも0.1マイクロメートル、少なくとも0.2マイクロメートル、少なくとも0.3マイクロメートル、少なくとも0.4マイクロメートル、少なくとも0.5マイクロメートル、少なくとも0.6マイクロメートル、最大で1マイクロメートル、最大で0.9マイクロメートル、最大で0.8マイクロメートル、最大で0.7マイクロメートル、最大で0.6マイクロメートル、及び/又は最大で0.5マイクロメートルの波長、一次波長、及び/又は平均波長を有する。少なくともサンプル30の所与の画像の収集の間に、可視光ビーム42が固定の又は少なくとも実質的に固定の波長及び/又は出力スペクトルを有することは、本発明の範囲に含まれる。少なくともサンプル30の所与の画像の収集の間に、可視光ビーム42は、可視光スペクトル内又は可視光スペクトルに近い周波数を有することができ、可視光ビーム42の周波数、波長、帯域幅、及び/又は強度は、5%未満、2.5%未満、1%未満、及び/又は0.1%未満にわたって変動し得る。このような可視光ビーム42は、例えば約390~800nmの波長を有する可視域内の放出光ビーム38を生じさせることができる。実用的な意味で、光学検出器82は、それよりも低い又は高い周波数の光と比較したとき、可視光を検出するためにより効率的及び/又は効果的であり、このような効率の向上は、光学検出器82を介して数個の、場合によっては単一の光子を検出するためにシステム10を利用するとき、特に重要である。
【0027】
図1~3の点線に示されるように、可視光源40は可視光源コントロールアセンブリ44も含み得る。可視光源コントロールアセンブリ44は、存在するときには、可視光ビーム42が、サンプリング場所34の内部で 可変IRビーム32と相互作用して可視光ビーム42及び可変IRビーム32間の和周波信号である放出光ビーム38を生成する及び/又は生じさせるように、可視光ビーム42の強度、可視光ビーム42の偏光、可視光ビーム42の波長、及び/又は可視光ビーム42の帯域幅のうちの一つ又は複数を変更するように、適合、構成、設計、及び/又は構築することができる。
【0028】
可変IR源50には、可変IRビーム52を生じさせる及び/又は被走査表面32のサンプリング場所34上への可変IRビーム52の入射を方向付けるように、適合、構成、設計、及び/又は構築された任意の適切な構造が含まれる。実施例として、可変IR源50は、光パラメトリック発振器及び/又はニオブ酸リチウム(LiNbO)結晶レーザを含む。
【0029】
可変IRビーム52は、サンプリング場所34の内部で、可視光ビーム42と相互作用して放出光ビーム38を生成し得る及び/又は生じさせ得る任意の適切な周波数、波長、強度、及び/又は偏光を有し得る。加えて、可変IR源50は、例えば可変IRビームが被撮像構造の内部に光学共鳴を誘起することを可能にするために、可変IRビーム52の周波数を選択的にチューニング及び/又は変更するように構成され得る。換言すれば、可変IR源50は、選択的に可変の出力波長及び/又は選択的に可変の出力スペクトルを有し得る。実施例として、可変IRビーム52は、少なくとも0.7マイクロメートル、少なくとも0.8マイクロメートル、少なくとも0.9マイクロメートル、少なくとも1マイクロメートル、少なくとも10マイクロメートル、少なくとも25マイクロメートル、少なくとも50マイクロメートル、少なくとも100マイクロメートル、少なくとも200マイクロメートル、少なくとも300マイクロメートル、少なくとも400マイクロメートル、少なくとも500マイクロメートル、少なくとも600マイクロメートル、少なくとも700マイクロメートル、最大で1000マイクロメートル、最大で900マイクロメートル、最大で800マイクロメートル、最大で700マイクロメートル、最大で600マイクロメートル、最大で500マイクロメートル、最大で400マイクロメートル、最大で300マイクロメートル、最大で200マイクロメートル、又は最大で100マイクロメートルの波長、一次波長、及び/又は平均波長を有するか、又はそのような波長、一次波長、及び/又は平均波長にチューニングされる。
【0030】
図1~3の点線に示されるように、可変IR源50は、可変IR源コントロールアセンブリ54も含み得る。可変IR源コントロールアセンブリ54は、存在するときには、可変IRビーム52の強度、可変IRビーム52の偏光、可変IRビーム52の波長、及び/又は可変IRビーム52の帯域幅のうちの一つ又は複数を変更するように適合、構成、設計、及び/又は構築され得る。可変IRビーム52の偏光は、可変IR源コントロールアセンブリ54を介して、様々なスペクトルの特徴、例えば可変IRビームの偏光と位置合わせされる、位置合わせされない、位置合わせされた平面内で共鳴する、及び/又は位置合わせされていない平面内で共鳴する被撮像構造35の部分を強調する又は強調しないように変更することができる。これは、被走査表面32上の分子の位置合わせ及び/又は配座に関する追加情報を提供し得る。
【0031】
走査構造60は、例えば、サンプリング場所34(例えば、可視光ビーム42と可変IRビーム52とが一致する被走査表面32上の部分)を画定する被走査表面32の部分を選択的に変更するために、被走査表面32全体を及び/又は被走査表面32の被走査部分36の内部を可視光ビーム42及び可変IRビーム52で走査するように適合、構成、設計、及び/又は構築された任意の適切な構造を含み得る。一般に、走査構造60は、走査プロセスの間、サンプリング場所34上で一致するように可視光ビーム42と可変IRビーム52とを維持する。走査構造60は、任意の適切な方式で被走査表面32全体を可視光ビーム42及び可変IRビーム52で走査することができる。一実施例として、走査構造60は、被走査表面32全体を可視光ビーム42及び可変IRビーム52でラスター走査する。
【0032】
一実施例として、走査構造60は、選択的に及び/又は自動的に被走査表面32全体を可視光ビーム及び可変IRビームで走査するように構成されたモータ付き走査構造60を含む。別の実施例として、走査構造60は、可視光ビーム42及び可変IRビーム52の両方に対してサンプルホルダ20を操作可能に並行移動させるように構成されたサンプルホルダ並行移動構造68を含む。また別の実施例として、走査構造60はオプティックステアラ66を含む。オプティックステアラ66の例には、電気光学ステアラ及び音響光学ステアラが含まれる。
【0033】
別の実施例として、恐らく図3に最もよく示されるように、走査構造60は、第1のミラー61及び第2のミラー63を含む。第1のミラー61は、可視光源40から可視光ビーム42を受け取り、また可変IR源50から可変IRビーム52を受け取るように構成することができる。第1のミラー61は更に、可視光ビーム42及び可変IRビーム52を反射するように、また第1の軸62の周りを枢動することにより可視光ビーム42及び可変IRビーム52の両方で被走査表面32全体を第1の方向に走査するように構成することができる。第2のミラー63は、第1のミラー61から可視光ビーム42及び可変IRビーム52を受け取るように構成することができる。第2のミラー63は更に、可視光ビーム42及び可変IRビーム52を反射し、また第1の軸62に直交するか又は少なくとも実質的に直交する第2の軸64の周りを枢動するように構成される。したがって、第2のミラー63は、第1の方向に直交するか又は少なくとも実質的に直交する第2の方向に、被走査表面32全体を可視光ビーム42及び可変IRビーム52で走査することができる。換言すれば、第1のミラー61と第2のミラー63との組み合わせは、被走査表面32全体を可視光ビーム42及び可変IRビーム52で二次元的に走査する及び/又は被走査表面32の二次元画像又はマップを生成する及び/又は生じさせることを可能にする。
【0034】
また別の一実施例として、走査構造60は、被走査表面32に対して可視光ビーム42及び可変IRビーム52の両方を同時に移動させる、可視光ビーム42及び可変IRビーム52の両方に対してサンプルホルダ20を操作可能に並行移動させる、可変IR源50から独立して可視光源40を移動させる、及び/又は可視光源40から独立して可変IR源50を移動させるように構成される。このような構成は、可視光ビーム42と可変IRビーム52とを被走査表面32上で一致させながら、走査構造60が被走査表面32全体を可視光ビーム42及び可変IRビーム52で走査することを可能にする。
【0035】
光フィルタ70は、放出光ビーム38を受け取る、放出光ビーム38をフィルタリングしてフィルタ済み光ビーム72を生じさせる、フィルタ済み光ビーム72を光検出システム80に提供する、及び/又は光検出システム80によりフィルタ済み光ビーム72として受け取られた放出光ビーム38の一部を選択的に調整するように適合、構成、設計、及び/又は構築された任意の適切な構造を含むことができる。実施例として、光フィルタ70は、色フィルタ、波長弁別器、及び/又は偏光セレクタのうちの一つ又は複数を含む。光フィルタ70は、可視光ビーム42及び可変IRビーム52間の和周波信号を含む放出光ビーム38が光検出システム80に進入することを選択的に可能にするために利用することができる。光フィルタ70は、被走査表面32から反射される可視光ビーム42及び/又は可変IRビーム52の部分を、これら部分が光検出システム80に進入しないように、選択的に減衰させるためにも利用することができる。光フィルタ70は、放出光ビーム38に対する光検出システム80の感受性を増加させるように及び/又は放出光ビーム38によって画定されるフィルタ済み光ビーム72の割合を増大させるように構成することができる。
【0036】
光検出システム80は、フィルタ済み光ビーム72を受け取るように、及び/又はフィルタ済み光ビーム72の少なくとも一つのプロパティを定量化するように、適合、構成、設計、及び/又は構築され得る任意の適切な構造を含むことができる。実施例として、光検出システム80は、フィルタ済み光ビームの強度、フィルタ済み光ビームの波長、及び/又はフィルタ済み光ビームのスペクトルのうちの一つ又は複数を検出するように構成され、フィルタ済み光ビームのこれらプロパティの各々は、被走査表面32のサンプリング場所34の内部に撮像コントラストを提供するために利用できる。別の実施例として、光検出システム80は、可視光ビーム42及び/又は可変IRビーム52の周波数と対比させたとき、放出光ビーム38の周波数における検出を、改善又は最適化するように構成される。光検出システム80の例には、低光レベル検出システムのような光学検出器82、光電子増倍管、光ダイオード、アバランシェ光ダイオード、及び/又は焦点面アレイのうちの一つ又は複数が含まれる。
【0037】
本発明の範囲内において、光検出システム80は、サンプリング場所34の全体について、その全体にわたり、及び/又はその全体を横切って、フィルタ済み光ビーム72の少なくとも一つのプロパティを検出することができる。換言すれば、光検出システム80は、所与のサンプリング場所34について、フィルタ済み光ビームの強度、フィルタ済み光ビームの波長、及び/又はフィルタ済み光ビームのスペクトルといった、フィルタ済み光ビーム72の各測定プロパティの単一の値を検出することができる。代替的に、やはり本発明の範囲内において、光検出システム80は検出アレイを含むことができる。このような検出アレイは、フィルタ済み光ビーム72の少なくとも一つのプロパティの複数の値を検出するように構成することができ、これら複数の値は、サンプリング場所34の内部の場所又は位置の関数として検出される。
【0038】
換言すれば、光検出システム80は、所与の時点で光検出システム80により受け取られたフィルタ済み光ビーム72の全体に基づいて発生する、フィルタ済み光ビーム72の単一又はバルクプロパティを検出し、それにより所与の時点でのフィルタ済み光ビーム72のプロパティの単一の値を決定するように構成することができる。代替的に、光検出システム80は、フィルタ済み光ビーム72を離散化する及び/又はピクセル化し、それにより、サンプリング場所34内部の位置の関数として光ビーム72のプロパティに関する位置情報を検出するように構成してもよい。
【0039】
位置合わせ構造80は、可視光源40、可変IR源50、サンプルホルダ20、光検出システム80、及び/又は光フィルタ70を操作可能に位置合わせするように適合、構成、設計、及び/又は構築され得る任意の適切な構造を含むことができる。一実施例として、位置合わせ構造90は、可視光ビーム42と可変IRビーム52とがサンプリング場所34の上で一致するように、光フィルタ70が被走査表面32から放出光ビーム38を受け取るように、及び/又は光検出システム80が光フィルタ70からフィルタ済み光ビーム72を受け取るように、可視光源40、可変IR源50、サンプルホルダ20、光検出システム80、及び/又は光フィルタ70を操作可能に位置合わせするように構成される。これを念頭において、位置合わせ構造90は、図1~2に示されるように、可視光源40、可変IR源50、サンプルホルダ20、光検出システム80、及び/又は光フィルタ70に操作可能に取り付けることのできる、又は可視光源40、可変IR源50、サンプルホルダ20、光検出システム80、及び/又は光フィルタ70を移動又は位置合わせするように構成することのできる、一つ又は複数の構成要素を含むことができる。
【0040】
図1~2の破線で示されるように、システム10はコントローラ96も含むことができる。コントローラ96は、存在するときには、システム10の少なくとも一部分の動作を制御するように、適合、構成、設計、構築、及び/又はプログラムすることができる。これには、方法100の任意の適切な部分、サブセット、又はステップを介して及び/又は利用して、システム10の動作を制御することが含まれる。これについて以下に詳述する。
【0041】
一実施例として、コントローラ96は、可視光源40及び/又はその可視光源コントロールアセンブリ44の動作を制御する。別の実施例として、コントローラ96は、可変IR源50及び/又はその可変IR源コントロールアセンブリ54の動作を制御してもよい。更なる実施例として、コントローラ96は、走査構造60、光フィルタ70、光検出システム80、及び/又は位置合わせ構造90の動作を制御することができる。
【0042】
図4は、サンプルの被走査表面を撮像するための、本発明による方法100を示すフロー図である。方法100は、105において、被走査表面のサンプリング場所を可視光ビームに露出することを含み、110において、可視光ビームのプロパティを選択的に変更することを含み得る。方法100は、115 において、サンプリング場所を可変IRビームに露出することも含み、120において、可変IRビームのプロパティを選択的に変更することを含み得る。方法100は、125において、可変IRビームの周波数を変更すること、及び130において被撮像構造の内部に光学共鳴を誘起することを更に含む。方法100は、135において、光フィルタを用いて放出光ビームをフィルタリングすること、及び140において、放出光ビームの一部分を光検出システムで受け取ること、及び145において、被走査表面全体を可視光ビーム及び可変IRビームで走査することを更に含む。方法100は、150において、例えば複数の又は一連の被走査表面の画像を収集することにより、被走査表面をオーバーサンプリングすることを更に含み、155において、画像を生成することを含み得る。
【0043】
105においてサンプリング場所を可視光ビームに露出することは、サンプリング場所を任意の適切な可視光ビーム(例えば図1~3の可視光ビーム42)に露出することを含み得る。これには、可視光ビームを被走査表面のサンプリング場所上へ、又は同場所に入射するように方向付けることが含まれる。これには、可視光源(例えば図1~3の可視光源40)から可視光ビームを方向付けること、又は可視光源を用いて可視光ビームを生じさせることも含まれる。
【0044】
110において可視光ビームのプロパティを選択的に変更することは、任意の適切な方式で及び/又は任意の適切な構造を利用して可視光ビームの任意の適切なプロパティを選択的に変更することを含み得る。実施例として、110において選択的に変更することには、可視光ビームの強度、可視光ビームの偏光、可視光ビームの波長、及び/又は可視光ビームの帯域幅のうちの一つ又は複数を選択的に変更することが含まれる。
【0045】
一般に、本明細書において説明されるように、方法100の残りの部分の間及び/又は少なくとも被走査表面の単一の画像の収集の間に、可視光ビームは、単一の、又は固定の、波長、スペクトル、帯域幅、偏光、及び/又は強度を有するであろう。したがって、110における選択的に変更することは、115における露出することに先立って、120における選択的に変更することに先立って、125における変更することに先立って、130における誘起することに先立って、135におけるフィルタリングすることに先立って、140における受け取ることに先立って、145における走査することに先立って、150におけるオーバーサンプリングすることに先立って、及び/又は155における生じさせることに先立って、実施することができる。
【0046】
115においてサンプリング場所を可変IRビームに露出することは、サンプリング場所を任意の適切な可変IRビーム(例えば図1~3の可変IRビーム52)に露出することを含み得る。これには、可変IRビームを被走査表面のサンプリング場所上へと方向付けることが含まれ得る。これには、可変IR源(例えば図1~3の可変IR源50)から可変IRビームを方向付けること、又は可変IR源を用いて可変IRビームを生じさせることも含まれ得る。
【0047】
120において可変IRビームのプロパティを選択的に変更することは、任意の適切な方式で及び/又は任意の適切な構造を利用して可変IRビームの任意の適切なプロパティを選択的に変更することを含み得る。実施例として、120における選択的に変更することは、可変IRビームの強度、可変IRビームの偏光、可変IRビームの波長、可変IRビームの周波数、及び/又は可変IRビームの帯域幅のうちの一つ又は複数を選択的に変更することを含む。本発明の範囲内において、120における選択的に変更することは、125におけるチューニングに含まれ得る、125におけるチューニングの一部を形成し得る、及び/又は125におけるチューニングの達成に利用することができる。これについて本明細書で更に詳述する。
【0048】
125において可変IRビームの周波数を変更することは、任意の適切な方式で可変IRビームの周波数を変更することを含み得る。一実施例として、125における変更することは、可変IRビームのチューニングを含み得る。別の実施例として、125における変更することは、120における選択的に変更することに対して本明細書に説明される任意の適切なステップを実施することを含み得る。別の実施例として、125における変更することは、例えば被撮像構造の共鳴周波数を決定及び/又は検出するために、可変IRビームの周波数を変更すると同時に140における受け取ることを実施することを含み得る。125における変更することは、本明細書では、可変IRビームの波長を変更すること及び/又は可変IRビームのスペクトルを走査することとも呼ぶ。
【0049】
130において被撮像構造の内部に光学共鳴を誘起することは、被撮像構造の、被走査表面のサンプリング場所の内部に少なくとも部分的に延びる一部分の内部に光学共鳴を誘起することを含むことができ、115における露出すること及び/又は125における変更することに応答したものであるか、又はその結果であり得る。換言すれば、130における誘起することは、その上で可視光ビームと可変IRビームとが一致する被撮像構造の一部分の内部に光学共鳴を誘起することを含み得る。被撮像構造の共鳴周波数は、140における受け取ることの間に、放出光ビームの、光検出構造によって受け取られた一部分の強度の最大値を生じさせる可変IRビームの周波数に基づいて、決定及び/又は誘起され得る。本明細書において用いられる「共鳴周波数」という語句は、被撮像構造の内部に共鳴応答が誘起される可変IRビームの周波数を指すことができる。この共鳴応答は、可変IRビームの周波数が被撮像構造の内部における材料の励起、又はエネルギーの遷移に対応しているために誘起され得る。可変IRビームの周波数が被撮像構造の材料の励起、又は共鳴と一致するとき、本明細書において、可変IRビームは、「共鳴している」というか、又は材料の励起の「共鳴周波数」であるとされる。
【0050】
135において光フィルタを用いて放出光ビームをフィルタリングすることは、放出光ビームをフィルタリングして、140における受け取ることの間に、放出光ビームの、光検出システムによって受け取られた部分を生成する及び/又は生じさせることを含み得る。一実施例として、135におけるフィルタリングすることは、光フィルタを用いて放出光ビームを受け取ること、及び光フィルタを用いて放出光ビームをフィルタリングし、フィルタ済み光ビームを生じさせることを含む。このような条件下では、放出光ビームの、140における受け取ることの間に受け取られた部分は、フィルタ済み光ビームを含むか、又はフィルタ済み光ビームであり得る。
【0051】
135においてフィルタリングすることは、任意の適切な方式でフィルタリングすることを含み得る。実施例として、135においてフィルタリングすることは、フィルタ済み光ビームの色を選択すること、フィルタ済み光ビームの波長を選択すること、フィルタ済み光ビームの波長範囲を選択すること、及び/又はフィルタ済み光ビームの偏光を選択することのうちの一つ又は複数を含む。これには、放出光ビームの周波数範囲、又は可視光ビーム及び可変IRビーム間の和周波数の外側の周波数を減衰させ、それにより放出光ビームに対する光検出システムの感受性を高めるために、フィルタリングすることが含まれる。140において放出光ビームの一部分を光検出システムで受け取ることは、被走査表面のサンプリング場所から、可視光ビーム及び可変IRビーム間の和周波信号を含む放出光ビームの任意の適切な部分を受け取ることを含み得る。これには、任意の適切な光検出システム(例えば図1~3の光検出システム80)で、同システムを介して、及び/又は同システムを利用して、放出光ビームの一部分を受け取ることが含まれる。
【0052】
145において被走査表面全体を可視光ビーム及び可変IRビームで走査することは、被走査表面の被走査部分全体を可視光ビーム及び可変IRビームの両方で走査することを含み得る。これには、少なくとも105における露出すること、115における露出すること、及び140における受け取ることを継続しながら、145における走査することを実施することが含まれ得る。これには、可変IRビームを可視光ビームと少なくとも部分的に一致するように維持しながら、145における走査することを実施することも含まれ得る。換言すれば、145における走査することは、被走査表面、又は被走査表面の被走査部分の、サンプリング場所を画定する一部分を選択的に変更し、それにより、被走査表面の一つ又は複数のプロパティを、被走査表面上の場所の関数としてマッピング又は撮像することを可能にすることを含み得る。
【0053】
145における走査することは、任意の適切な方式で及び/又は任意の適切な構造を利用して達成することができる。一実施例として、145における走査することは、走査構造(例えば図1~3の走査構造60)を利用して実施される。別の実施例として、145における走査することは、被走査表面に対して可視光ビーム及び可変IRビームの両方を同時に移動させること、可視光ビーム及び可変IRビームの両方に対してサンプルホルダを操作可能に並行移動させること、可視光源を可変IR源から独立して移動させること、及び/又は可変IR源を可視光源から独立して移動させることを含む。換言すれば、145における走査することは、可視光ビームと可変IRビームとを被走査表面上で一致するように維持する任意の適切な方式で走査することを含み得る。
【0054】
150において被走査表面をオーバーサンプリングすることは、被走査表面の被走査部分の複数の画像を収集することを含み得る。オーバーサンプリングすることは、155における生じさせることを、可能にする及び/又は容易にすることができる。一実施例として、125における変更することの後で、150におけるオーバーサンプリングすることは、105における露出すること及び115における露出することを継続しながら、少なくとも140における受け取ること及び145における走査することを繰り返すことを含む 別の実施例として、150におけるオーバーサンプリングすることは、被走査表面の被走査部分の複数の生画像を収集すること及び/又は生じさせることを含む。このような条件下では、各生画像は、放出光ビームの部分の少なくとも一つのプロパティを、被走査表面内部の場所の関数としてマッピングすることができ、155における生じさせることの間に複数の生画像を組み合わせて、例えば120における選択的に変更することを利用して、105における露出すること及び115における露出することを継続しながら、被走査表面の被走査部分の異なる特性、同部分の領域、及び/又は同部分の内部の被撮像構造に共鳴を選択、強調、及び/又は誘起することにより、被走査表面の単一の生画像に表されるものより高い解像度の被走査表面の画像を生成する及び/又は生じさせることができる。本明細書において用いられる「生画像」という語句は、被走査表面の一回の走査により、又はそのよう走査から生じさせる画像を指すことができる。
【0055】
155において画像を生じさせることは、被走査表面の任意の適切な画像を生じさせることを含み得る。155における生じさせることは、140における受け取ること、145における走査すること、及び/又は150におけるオーバーサンプリングすることに少なくとも部分的に基づいて生じさせることを含むこともでき、方法100は生じさせた画像を表示することも含むことができる。
【0056】
155における生じさせることは、各画像が、放出光ビームの、140における受け取ることの間に受け取られた部分の異なるプロパティを表す、一つ又は複数の画像を生じさせることを含み得る。一実施例として、一つ又は複数の画像の各々は、放出光ビームの、140における受け取ることの間に受け取られた部分の少なくとも一つのプロパティを、被走査表面の被走査部分の内部の一の場所と相関させることができる。放出光ビームの、一つ又は複数の画像内に表される部分のプロパティの例には、放出光ビームの周波数、放出光ビームの波長、放出光ビームの強度、及び/又は放出光ビームの偏光が含まれる。
【0057】
本発明の範囲内において、155における生じさせることは、被走査表面の被走査部分の一回の走査に基づいて画像を生じさせることを含み得る。代替的に、155における生じさせることは、被走査表面の被走査部分の及び/又は被走査表面の被走査部分の内部に少なくとも部分的に延びる被撮像構造の超解像度画像を生じさせることも含み得る。
【0058】
一実施例として、方法100が150におけるオーバーサンプリングすることを含むとき、複数の生画像を組み合わせて超解像度画像を生成する及び/又は生じさせることができる。一実施例として、各生画像において、生画像に表される被撮像構造の場所は、多少変化してよく、例えばそれはピクシレーション効果及び/又は生画像の解像度の限界によるものであり得る。しかしながら、複数の生画像を組み合わせて超解像度画像を生じさせるとき、被撮像構造の平均サイズ及び/又は場所を定量化することにより、生画像と比較したときの超解像度画像の解像度を向上させることができる。このような条件下では、125における変更することにより誘起される、被撮像構造の光学共鳴を利用して、生画像の信号対雑音比を改善する及び/又は被撮像構造を背景又は雑音から区別することを可能にすることができる。
【0059】
複数の生画像の組み合わせは、任意の適切な方式で達成することができる。一実施例として、決定的方法を利用して、複数の生画像を組み合わせる及び/又は超解像度画像を生じさせることができる。このような条件下では、決定的アルゴリズムは、複数の生画像の組み合わせを変分型最適化問題として定式化する。最適化問題の目的関数は、二つの項を有し得る。一つ目は中実度項であり、これは画像取得プロセスをモデル化する。二つ目は正規化項であり、これは超解像度画像に関する一つ又は複数の仮定を規定する。
【0060】
別の実施例として、確率的方法が、複数の生画像を組み合わせる及び/又は超解像度画像を生じさせるために利用される。このような条件下では、ベイズ推定は、最大事後確率(MAP)推定法を利用することにより超解像度画像を推定するために利用され得る。MAP推定を解くために、最適化問題が定式化される。最適化問題の目的関数はまたしても二つの項を有し得る。一つ目は公算関数であり、これは画像取得プロセスをモデル化する。二つ目は上述のような正規化項である。公算関数は、被撮像構造が被撮像表面の特定の部分の内部にある見込み、又は確率を表すことができる。
【0061】
具体的な、但し例示的で非排他的な一実施例として、不均一な分子結合に起因する小さな欠陥が表面上に存在しており、その場所における表面のプロパティを変化させたと仮定する。このような不均一性は、わずか50nm×50nmの大きさであるとする。不均一性はIR吸収スペクトルに変化をもたらし、それは既存のスペクトル特徴をシフトさせる、又は新しいスペクトル特徴を出現させるであろう。表面和周波数発生(SSFG)は、照射時にスペクトルの変化として現れる不均一性の存在を検出し得る。
【0062】
本明細書において用いられるSSFGには、二つの入力レーザ、例えば本明細書に開示される可視光ビーム及び可変IRビームを、表面上で及び/又はインターフェースで混合することが含まれる。このような混合により、出力、例えば本明細書に開示される放出光ビームが、二つの入力レーザの入力周波数の和である出力周波数に出力周波数を生じさせる。この出力周波数は、固有の材料プロパティ及び/又は撮像対象のオブジェクト、例えば欠陥の応答を表す二次的感受性テンソルによって媒介される。
【0063】
しかしながら、従来のSSFGでは、回折限界を有するスポット(即ち、直径1ミクロン)の内部のどこに不均一性が生じさせるのかを詳細に決定することができない。このような回折限界について、本明細書において更に詳細に述べる。したがって、不均一性の大きさ、形状、配向などを決定する方法もない。結果として、不均一性の特性は、最善でも定性的で極端に曖昧なものとなる。
【0064】
関連する上述の統計的オーバーサンプリングを含む本発明の超解像度技術の適用により、不均一性の大きさ、形状、配向、及び/又は場所の範囲が絞られるであろう。一実施例として、統計的オーバーサンプリングは、複数の画像からの位置情報を、組み合わせ、統計的に組み合わせ、及び/又は統計的に平均して、一回の観察では実現不可能なより高いレベルで不均一性を詳細に示す超解像度画像を生じさせることを可能にし得る。これにより、不均一性の更に詳細な幾何学的プロパティを決定することができる。本明細書に記載されるように、伝統的な超解像度イメージングとは異なって、本明細書に開示される表面検知システム及び方法は、サンプルに特殊な蛍光構造を付加することなく、より高い解像度を可能にし得る。
【0065】
本発明による発明対象の例示的で非排他的な実施例が、以下に列挙される段落に記載される。
【0066】
A1.サンプルの被走査表面を撮像するための表面検知システムであって:
サンプルを支持するように構成された支持表面を含むサンプルホルダ;
サンプルが支持表面によって支持されているとき、被走査表面上のサンプリング場所への可視光ビームの入射を方向付けるように構成された可視光源;
サンプルが支持表面によって支持されているとき、被走査表面上のサンプリング場所への可視光ビームの入射と一致するように可変IRビームを方向付けるように構成された可変赤外光(IR)源であって、随意で更に、可変IRビームが被走査表面上に配置された被撮像構造の内部に選択的に共鳴を誘起することを可能にするために、可変IRビームの波長を選択的に変更するように構成されている可変IR源;
サンプリング場所を画定する被走査表面の一部分を選択的に変更するために、被走査表面全体を可視光ビーム及び可変IRビームで走査するように構成された走査構造;
被走査表面から、可視光ビーム及び可変IRビーム間の和周波信号を含む放出光ビームを受け取り、放出光ビームをフィルタリングしてフィルタ済み光ビームを生じさせるように構成された光フィルタであって、放出光ビームが、可視光ビーム及び可変IRビームの両方が被走査表面上に入射することに応答して被走査表面から放出される、光フィルタ;
光フィルタからフィルタ済み光ビームを受け取るように構成された光検出システム;並びに
可視光源、可変IR源、サンプルホルダ、光検出システム、及び光フィルタのうちの少なくとも二つを操作可能に位置合わせするように構成された位置合わせ構造
を備えるシステム。
A2.可視光ビームが固定の又は少なくとも実質的に固定の波長を有する、A1のシステム。
A3.可視光ビームが固定の又は少なくとも実質的に固定のスペクトルを有する、A1又はA2のシステム。
A4.可視光源がパルスレーザシステムを含む、A1~A3のいずれかのシステム。
A5.可視光ビームが:
(i)少なくとも0.1マイクロメートル、少なくとも0.2マイクロメートル、少なくとも0.3マイクロメートル、少なくとも0.4マイクロメートル、少なくとも0.5マイクロメートル、又は少なくとも0.6マイクロメートル;及び
(ii)最大で1マイクロメートル、最大で0.9マイクロメートル、最大で0.8マイクロメートル、最大で0.7マイクロメートル、最大で0.6マイクロメートル、又は最大で0.5マイクロメートル
のうちの少なくとも一つの波長、一次波長、又は平均波長を有する、A1~A4のいずれかのシステム。
A6.可視光源が固体レーザを含む、A1~A5のいずれかのシステム。
A7.可視光源がネオジムYAGレーザを含む、A1~A6のいずれかのシステム。
A8.ネオジムYAGレーザが、随意で0.532マイクロメートルの波長へと、周波数が二倍にされている、A7のシステム。
A9.可視光源が:
(i)可視光ビームの強度;
(ii)可視光ビームの偏光;
(iii)可視光ビームの波長;及び
(iv)可視光ビームの帯域幅
のうちの少なくとも一つを選択的に変更するように構成された可視光源コントロールアセンブリを含む、A1~A8のいずれかのシステム。
A10.可変IR源が選択的に可変の出力波長を有する、A1~A9のいずれかのシステム。
A11.可変IR源が選択的に可変の出力スペクトルを有する、A1~A10のいずれかのシステム。
A12.可変IR源が光パラメトリック発振器を含む、A1~A11のいずれかのシステム。
A13.可変IR源がニオブ酸リチウム(LiNbO)結晶レーザを含む、A1~A12のいずれかのシステム。
A14.可変IR源が:
(i)可変IRビームの強度;
(ii)可変IRビームの偏光;
(iii)可変IRビームの波長;及び
(iv)可変IRビームの帯域幅
のうちの少なくとも一つを選択的に変更するように構成された可変IR源コントロールアセンブリを含む、A1~A13のいずれかのシステム。
A15.走査構造が:
(i)可視光ビーム及び可変IRビームの両方を被走査表面に対して同時に移動させること;
(ii)サンプルホルダを可視光ビーム及び可変IRビームの両方に対して操作可能に並行移動させること;
(iii)可視光源を可変IR源から独立して移動させること;並びに
(iv)IR源を可視光源から独立して移動させること
のうちの少なくとも一つを行うように構成されている、A1~A14のいずれかのシステム。
A16.走査構造が、選択的に及び自動的に被走査表面全体を可視光ビーム及び可変IRビームで走査するように構成されたモータ付き走査構造である、A1~A15のいずれかのシステム。
A17.走査構造が、サンプルホルダを可視光ビーム及び可変IRビームの両方に対して操作可能に並行移動させるように構成されたサンプルホルダ並行移動構造を含む、A1~A16のいずれかのシステム。
A18.走査構造が:
(i)可視光源から可視光ビームを受け取り、可変IR源から可変IRビームを受け取るように構成された第1のミラーであって、更に、被走査表面全体を第1の方向に可視光ビーム及び可変IRビームで走査するために、可視光ビーム及び可変IRビームを反射し、第1の軸の周りを枢動するように構成されている第1のミラー;並びに
(ii)第1のミラーから可視光ビーム及び可変IRビームを受け取るように構成された第2のミラーであって、第1の方向に直交する又は少なくとも実質的に直交する第2の方向に、被走査表面全体を可視光ビーム及び可変IRビームで走査するために、可視光ビーム及び可変IRビームを反射し、第1の軸に直交する又は少なくとも実質的に直交する第2の軸の周りを枢動するように構成されている第2のミラー
を含む、A1~A17のいずれかのシステム。
A19.走査構造がオプティックステアラを含み、随意で、オプティックステアラが電気光学ステアラ及び音響光学ステアラのうちの少なくとも一つを含む、A1~A18のいずれかのシステム。
A20.光検出システムが低光レベル検出システムである、A1~A19のいずれかのシステム。
A21.光検出システムが光学検出器を含み、随意で、光学検出器が:
(i)光電子増倍管;
(ii)光ダイオード;
(iii)アバランシェ光ダイオード;及び
(iv)焦点面アレイ
のうちの少なくとも一つを含む、A1~A20のいずれかのシステム。
A22.光検出システムが、サンプリング場所の内部の場所の関数としてフィルタ済光ストリームの少なくとも一つのプロパティを検出するように構成された検出アレイを含む、A1~A21のいずれかのシステム。
A23.光検出システムが:
(i)フィルタ済み光ビームの強度;
(ii)フィルタ済み光ビームの波長;及び
(iii)フィルタ済み光ビームのスペクトル
のうちの少なくとも一つを検出するように構成されているか、又はフィルタ済光ストリームの少なくとも一つのプロパティが上記のうちの少なくとも一つを含む、A1~A22のシステム。
A24.光フィルタが、光検出システムによってフィルタ済み光ビームとして受け取られた放出光ビームの一部分を選択的に調整するように構成されている、A1~A23のいずれかのシステム。
A25.光フィルタが:
(i)色フィルタ;
(ii)波長弁別器;及び
(iii)偏光セレクタ
のうちの少なくとも一つを含む、A1~A24のいずれかのシステム。
A26.位置合わせ構造が:
(i)可視光ビームと可変IRビームがサンプリング場所上で一致し;
(ii)光フィルタが被走査表面から放出光ビームを受け取り;
(iii)光検出システムが光フィルタからフィルタ済み光ビームを受け取る
ように、可視光源、可変IR源、サンプルホルダ、光検出システム、及び光フィルタのうちの少なくとも二つを操作可能に位置合わせするように構成されている、A1~A25のいずれかのシステム。
A27.システムの少なくとも一部分の動作を制御するようにプログラミングされたコントローラを更に含む、A1からA26のいずれかに記載のシステム。
A28.コントローラが、B1~B18のいずれかの方法のいずれかの任意の適切な部分を実施するようにシステムを制御するようにプログラムされている、A27のシステム。
【0067】
B1.サンプルの被走査表面を撮像するための方法であって:
被走査表面のサンプリング場所を可視光ビームに露出すること;
可変IRビームが少なくとも部分的に可視光ビームと一致するように、被走査表面のサンプリング場所を可変赤外(IR)ビームに露出すること;
可変IRビームの周波数を変更すること;
被走査表面のサンプリング場所の内部に少なくとも部分的に延びる被撮像構造の内部に光学共鳴を誘起すること;
被走査表面のサンプリング場所から、光検出システムを用いて、可視光ビーム及び可変IRビーム間の和周波信号を含む放出光ビームの少なくとも一部分を受け取ること;
少なくともサンプリング場所を可視光ビームに露出すること、サンプリング場所を可変IRビームに露出すること、及び放出光ビームを受け取ることを継続しながら、更には可変IRビームを少なくとも部分的に可視光ビームと一致するように維持しながら、被走査表面の被走査部分全体を可視光ビーム及び可変IRビームで走査すること;並びに
少なくとも部分的に、受け取ること及び走査することに基づいて、被走査表面の被走査部分の画像を生じさせること
を含む方法。
B2.生じさせることを容易にするために、被走査表面の被走査部分をオーバーサンプリングすることを更に含む、B1の方法。
B3.オーバーサンプリングすることが、少なくとも受け取ること及び走査することを繰り返すことを含み、繰り返すことが、可視光ビームを方向付ける間、可変IRビームを方向付ける間、及びチューニングの後で行われる、B2の方法。
B4.オーバーサンプリングすることが、被走査表面の被走査部分の複数の生画像を生じさせることを含み、複数の生画像の各生画像が、被走査表面の被走査部分の内部の場所の関数として、放出光ビームの前記部分の少なくとも一つのプロパティをマッピングする、B2~B3のいずれかの方法。
B5.サンプリング場所を可視光ビームに露出することが、可視光源を用いて可視光ビームを生じさせることを含む、B1~B4のいずれかの方法。
B6.
(i)可視光ビームの強度;
(ii)可視光ビームの偏光;
(iii)可視光ビームの波長;及び
(iv)可視光ビームの帯域幅
のうちの少なくとも一つを選択的に変更することを更に含む、B1~B5のいずれかの方法。
B7.サンプリング場所を可変IRビームに露出することが、可変IR源を用いて可変IRビームを生じさせることを含む、B1~B6のいずれかの方法。
B8.
(i)可変IRビームの強度;
(ii)可変IRビームの偏光;
(iii)可変IRビームの波長;及び
(iv)可変IRビームの帯域幅
のうちの少なくとも一つを選択的に変更することを更に含む、B1~B8のいずれかの方法。
B9.可変IRビームの周波数を変更することが、可変IRビームの周波数を選択的に変更することを含む、B1~B8のいずれかの方法。
B10.可変IRビームの周波数を変更することが、受信することを同時に実施しながら可変IRビームの周波数を選択的に変更して、被撮像構造の共鳴周波数を決定することを含む、B1~B9のいずれかの方法。
B11.被撮像構造の共鳴周波数が、少なくとも部分的に、放出光ビームの、受け取ることの間に光検出システムによって受け取られた部分の強度に最大値を生じさせる可変IRビームの周波数に基づいて決定される、B10の方法。
B12.光フィルタを用いて放出光ビームを受け取ること、及び光フィルタを用いて放出光ビームをフィルタリングし、フィルタ済み光ビームを生じさせることを更に含み、放出光ビームの少なくとも一部分を受け取ることが、フィルタ済み光ビームを受け取ることを含む、B1~B11のいずれかの方法。
B13.放出光ビームをフィルタリングすることが:
(i)フィルタ済み光ビームの色を選択すること;
(ii)フィルタ済み光ビームの波長を選択すること;及び
(iii)フィルタ済み光ビームの波長範囲を選択すること
のうちの少なくとも一つを含む、B12の方法。
B14.走査することが、被走査表面の、サンプリング場所を画定する部分を選択的に変更するために走査することを含む、B1~B13のいずれかの方法。
B15.走査することが、走査構造を用いて走査することを含む、B1~B14のいずれかの方法。
B16.走査することが:
(i)可視光ビーム及び可変IRビームの両方を被走査表面に対して同時に移動させること;
(ii)サンプルホルダを可視光ビーム及び可変IRビームの両方に対して操作可能に並行移動させること;
(iii)可視光源を可変IR源から独立して移動させること;並びに
(iv)IR源を可視光源から独立して移動させること
のうちの少なくとも一つを含む、B1~B15のいずれかの方法。
B17.被走査表面の被走査部分の画像を生じさせることが、放出光ビームの、受け取ることの間に受け取られた部分の少なくとも一つのプロパティを、被走査表面の被走査部分の内部の場所と相関させることを含む、B1~B16のいずれかの方法。
B18.放出光ビームの前記部分の少なくとも一つのプロパティが:
(i)放出光ビームの前記部分の強度;
(ii)放出光ビームの前記部分の周波数;及び
(iii)放出光ビームの前記部分の前記部分の波長
のうちの少なくとも一つを含む、B17の方法。
【0068】
本明細書において、「選択的な」及び「選択的に」という用語は、装置の一つ又は複数の構成要素の動作、動き、構成、又は他の作動、或いは、装置の一つ又は複数の特性を修正するとき、その特定の動作、動き、構成又は他の作動が、装置の一態様或いは一つ又は複数の構成要素をユーザが操作した直接的又は間接的な結果であることを意味する。
【0069】
本明細書で使用される「適合された」及び「構成された」という表現は、要素、構成要素、又は他の目的物が、所与の機能を果たすように設計及び/又は意図されていることを意味する。したがって、「適合された」及び「構成された」という表現の使用は、所与の要素、構成要素、又はその他の目的物が、単に所与の機能を実行することが「可能」であることを意味するのではなく、要素、構成要素、及び/又はその他の目的物が、その機能を実行する目的で、具体的に選択、製造、実装、利用、プログラミング、及び/又は設計されることを意味すると解釈するべきである。本発明の範囲内において、特定の機能を実行するように適合されると記載されている要素、構成要素、及び/又はその他記載された目的物は、その機能を実行するように構成されていると追加的に又は代替的に記載されてもよく、その逆もよい。同様に、特定の機能を実行するように構成されていると記載される目的物は、その機能を実行するように操作可能であると追加的に又は代替的に記載されてもよい。
【0070】
本明細書で使用される、一つ又は複数の列挙項目に関して「少なくとも一つ」という表現は、列挙項目に含まれる項目のうちのいずれかの一つ又は複数から選択される少なくとも一つの項目を意味するが、必ずしも列挙項目内に具体的に挙げられた各項目のうちの少なくとも一つを含む必要はなく、列挙項目内のどのような組み合わせも除外しないと理解されたい。この定義はまた、「少なくとも一つ」という表現が言及する列挙項目内で具体的に特定された項目以外の項目も、具体的に特定されたこれらの項目に関連する又は関連しないに関わらず、随意で存在してよいことを認めている。したがって、非限定的な例として、「A及びBのうちの少なくとも一つ」(或いは同様に、「A又はBのうちの少なくとも一つ」、又は同様に「A及び/又はBのうちの少なくとも一つ」)は、一実施例では、少なくとも一つの、随意で二つ以上のAを含み、Bが存在しないこと(及び、随意でB以外の項目を含むこと)を意味し、別の実施例では、少なくとも一つの、随意で二つ以上のBを含み、Aが存在しないこと(及び随意でA以外の項目を含むこと)を意味し、また別の実施例では、少なくとも一つの、随意で二つ以上のA、及び少なくとも一つの、随意で二つ以上のBを含むこと(及び随意で他の項目を含むこと)を意味する。換言すれば、「少なくとも一つの」、「一つ又は複数の」、及び「及び/又は」という表現は、その働きにおいて接続的且つ分離的な、制限のない表現である。例えば、「A、B及びCのうちの少なくとも一つ」、「A、B又はCのうちの少なくとも一つ」、「A、B及びCのうちの一つ又は複数」、「A、B又はCのうちの一つ又は複数」、及び「A、B、及び/又はC」という表現の各々は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBを共に、AとCを共に、BとCを共に、A、BとCを共に、及び随意で、上述のいずれかと少なくとも一つの他の項目との組み合わせを意味しうる。
【0071】
本明細書に開示されるシステム及び方法のステップの様々な開示要素は、本開示によるすべてのシステム及び方法に必要とされているわけではなく、本開示は、本明細書に開示される様々な要素及びステップのすべての新規及び非自明の組み合わせ並びに部分的組み合わせを含む。更に、本明細書に開示される様々な要素及びステップのうちの一つ又は複数は、開示されるシステム又は方法全体とは別個の分離した、独立した発明の主題を画定し得る。したがって、そのような発明の主題は、本明細書中で明確に開示される特定のシステム及び方法と関連付けられる必要はなく、そのような発明の主題は、本明細書に明確に開示されないシステム及び/又は方法の有用性を見い出し得る。
【0072】
本明細書で使用される「例えば」という表現、「一実施例として」という表現、及び/又は、単なる「例」という用語は、本開示による一つ又は複数の構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施例、及び/又は方法に関連して使用されるとき、記載された構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施例、及び/又は方法が、本開示による構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施例、及び/又は方法の例示的で非排他例な例であることを伝えることを意図している。したがって、記載された構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施例、及び/又は方法が、限定的である、必要とされる、又は排他的/網羅的であることは意図されない。構造的及び/又は機能的に類似の及び/又は等価な構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施例、及び/又は方法を含む他の構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施例、及び/又は方法も、本開示の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4