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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】RORガンマの阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20230220BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20230220BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20230220BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230220BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230220BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20230220BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20230220BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230220BHJP
   A61P 5/00 20060101ALI20230220BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20230220BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20230220BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230220BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20230220BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230220BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20230220BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20230220BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20230220BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20230220BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20230220BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230220BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20230220BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20230220BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230220BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20230220BHJP
   A61P 27/04 20060101ALI20230220BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230220BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230220BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20230220BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
C07D471/04 104H
C07D471/04 CSP
A61K31/444
A61P1/00
A61P1/04
A61P1/16
A61P1/18
A61P3/04
A61P3/10
A61P5/00
A61P9/04
A61P9/12
A61P11/00
A61P11/06
A61P17/00
A61P17/02
A61P17/06
A61P19/02
A61P21/00
A61P21/04
A61P25/00
A61P25/08
A61P25/24
A61P25/28
A61P27/02
A61P27/04
A61P29/00 101
A61P37/02
A61P37/06
A61P37/08
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020503929
(86)(22)【出願日】2018-07-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-29
(86)【国際出願番号】 US2018043463
(87)【国際公開番号】W WO2019023216
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-06-15
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2017/094043
(32)【優先日】2017-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】509235556
【氏名又は名称】ヴァイティー ファーマシューティカルズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100188374
【弁理士】
【氏名又は名称】一宮 維幸
(72)【発明者】
【氏名】デン,チャオイー
(72)【発明者】
【氏名】ヘー,ジュン
(72)【発明者】
【氏名】シュウ,ボー
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-505318(JP,A)
【文献】Stephen BYRN et al.,Pharmaceutical Solids: A Strategic Approach to Regulatory Considerations,Pharmaceutical Research,1995年07月,Vol.12, No.7,p.945-954
【文献】平山令明,有機化合物結晶作製ハンドブック,2008年,p.17-23,37-40,45-51,57-65
【文献】芦澤一英,医薬品の多形現象と晶析の科学,2002年09月20日,p.273,278,305-17
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下の式:
【化1】
を有する結晶形態Dであるビス臭化水素塩であって、
水和物であり、>95%の純度を有し、14.24°、15.24°、15.90°、18.54°、18.82°および22.46°から選択される2θの角度における、少なくとも3本のX線粉末回折ピークを特徴とする、結晶形態Dであるビス臭化水素塩
【請求項2】
結晶形態が、14.24°、15.24°、15.90°、18.54°、18.82°および22.46°から選択される2θの角度における、少なくとも4本のX線粉末回折ピークを特徴とする、請求項に記載の結晶形態Dであるビス臭化水素塩
【請求項3】
結晶形態が、14.24°、15.24°、15.90°、18.54°、18.82°および22.46°から選択される2θの角度における、少なくとも5本のX線粉末回折ピークを特徴とする、請求項1または2に記載の結晶形態Dであるビス臭化水素塩
【請求項4】
結晶形態が、14.24°、15.24°、15.90°、18.54°、18.82°および22.46°での2θの角度におけるX線粉末回折ピークを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の結晶形態Dであるビス臭化水素塩
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の結晶形態Dであるビス臭化水素塩、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項6】
対象におけるRORγの発現に関連する疾患または障害を処置する方法における使用のための、請求項5に記載の医薬組成物
【請求項7】
疾患または障害が、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支炎、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、ざ瘡、嚢胞性線維症、同種移植拒絶、多発性硬化症、強皮症、関節炎、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、骨関節炎、強直性脊椎炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、乾癬、橋本病、すい臓炎、自己免疫性糖尿病、I型糖尿病、自己免疫性眼疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、限局性腸炎、炎症性腸疾患(IBD)、炎症性腸症候群(IBS)、シェーグレン症候群、視神経炎、肥満、脂肪肝、脂肪組織関連炎症、インスリン抵抗性、II型糖尿病、視神経脊髄炎、重症筋無力症、加齢性黄斑変性症、ドライアイ、ブドウ膜炎、ギランバレー症候群、乾癬、乾癬性関節炎(PsA)、ステロイド抵抗性喘息、グレーブス病、強膜炎、大うつ、季節性情動障害、PTSD、双極性障害、自閉症、てんかん、アルツハイマー病、睡眠および/または概日リズムの変化に伴うCNS障害、子宮内膜症、閉塞型無呼吸症候群(OSAS)、ベーチェット病、皮膚筋炎、多発性筋炎、移植片対宿主病、原発性胆汁性肝硬変、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、サルコイドーシス、原発性硬化性胆管炎、自己免疫性甲状腺疾患、I型多腺性自己免疫症候群、II型多腺性自己免疫症候群、セリアック病、神経脊髄炎、若年性特発性関節炎、全身性硬化症、心筋梗塞、肺高血圧症、骨関節炎、皮膚リーシュマニア症、副鼻腔ポリープおよびがんから選択される、請求項に記載の医薬組成物
【請求項8】
疾患または障害が、喘息、アトピー性皮膚炎、ざ瘡、クローン病、限局性腸炎、潰瘍性大腸炎、シェーグレン症候群、ブドウ膜炎、ベーチェット病、皮膚筋炎、多発性硬化症、強直性脊椎炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、強皮症、乾癬、乾癬性関節炎(PsA)、ステロイド抵抗性喘息および関節リウマチから選択される、請求項に記載の医薬組成物
【請求項9】
請求項1に記載の結晶形態Dであるビス臭化水素塩を形成させる方法であって、
i)以下の構造式:
【化2】
によって表されるアルデヒド化合物を、以下の構造式:
【化3】
によって表されるアミン化合物を用いて還元アミノ化する工程であって、
還元アミノ化がイミン還元剤の存在下で行われ、化合物1:
【化4】
が形成される、工程、
ii)化合物1の形成後、十分な臭化水素酸を添加して、以下の式:
【化5】
を有する化合物1の一臭化水素塩を形成させる工程
iii)化合物1の一臭化水素塩を単離する工程、および
iv)溶媒中に単離した化合物1の一臭化水素塩を溶解して、MTBE溶液および十分な量の臭化水素酸に添加して、以下の式:
【化6】
を有する化合物の結晶形態Dであるビス臭化水素塩を形成させる工程
を含む方法。
【請求項10】
工程ii)において、臭化水素酸を添加する前に、化合物1をイソプロパノールと酢酸との混合物に溶解する、請求項に記載の方法。
【請求項11】
工程ii)において、化合物1の一臭化水素塩を、臭化水素酸の添加により沈殿させる、請求項または10に記載の方法。
【請求項12】
アミン化合物が、アミンの酸塩形態を第三級アミン塩基で処理することによってinsituで形成される、請求項から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
アミンが、アミンの二塩酸塩形態をジイソプロピルエチルアミンで処理することによってinsituで形成される、請求項から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
溶媒がMeOHである、請求項9から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
臭化水素酸の前記十分な量が、1~2重量当量の35%~55%臭化水素酸、または酢酸中の35%~55%臭化水素を含む、請求項から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
イミン還元剤がトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムである、請求項から15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001]本出願は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる、2017年7月24日出願の国際出願番号PCT/CN2017/094043への優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002]レチノイン酸受容体関連オーファン受容体(ROR)は、ステロイドホルモン核内受容体スーパーファミリーにおける、転写因子のサブファミリーである(Jetten&Joo(2006)Adv.Dev.Biol.2006、16、313~355ページ)。RORファミリーは、RORアルファ(RORα)、RORベータ(RORβ)およびRORガンマ(RORγ)からなり、これらはそれぞれ、個別の遺伝子によりコードされる(ヒトでは、それぞれ、RORA、RORBおよびRORCであり、マウスでは、それぞれ、rora、rorbおよびrorcである)。RORは、核内受容体の大部分によって共有されている4つの主要ドメイン:N末端ドメイン、2種のジンクフィンガーモチーフからなる高度に保存されているDNA結合ドメイン(DBD)、ヒンジドメインおよびリガンド結合ドメイン(LBD)を含む。RORγは、2つのアイソフォーム:RORγlおよびRORγ2(RORγtとしても知られている)を有する。RORγlは、胸腺、筋肉、腎臓および肝臓を含む様々な組織中で発現する一方、RORγtは、免疫系の細胞においてもっぱら発現する。RORγtは、胸腺細胞増殖、およびいくつかの二次リンパ球組織の発達において重要な役割を有しており、Thl7細胞分化の重要な制御因子である(Jetten、2009、Nucl.Recept.Signal.、7:e003、doi:10.1621/nrs.07003、Epub 2009年4月3日)。
【0003】
[0003]Thl7細胞は、炎症誘発性サイトカインIL-17A、IL-17F、IL-21およびIL-22を優先的に産生するTヘルパー細胞のサブセットである。Th17細胞、ならびにIL-17、IL-21、IL-22、GM-CSFおよびCCL20などのTh17細胞のエフェクター分子は、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、乾癬、炎症性腸疾患、アレルギーおよび喘息などの、いくつかの自己免疫疾患および炎症性疾患の病因に関連している(Maddurら、2012、Am.J.Pathol.、181:8~18ページ)。Th17細胞およびそのエフェクター分子は、ざ瘡(Thiboutotら、2014、J.Invest.Dermatol.、134(2):307~10ページ、doi:10.1038/jid.2013.400;Agakら、2014年、J.Invest.Dermatol.、134(2):366~73ページ、doi:10.1038/jid.2013.334、Epub 2013年8月7日)、子宮内膜症を伴う炎症(Hirataら、2010、Endocrinol.、151:5468~5476ページ;Hirataら、2011、Fertil Steril.、Jul;96(1):113~7ページ、doi:10.1016/j.fertnstert.2011.04.060、Epub 2011年5月20日)、ならびに多発性硬化症、関節リウマチ、がん、メタボリックシンドローム、肥満、脂肪肝、インスリン抵抗性および糖尿病などの多数の他の状態(Meissburgerら、2011、EMBO Mol.Med.、3:637~651ページ;Tosoliniら、2011、Cancer Res.、71:1263~1271ページ、doi:10.1158/0008-5472.CAN-10-2907、Epub 2011年2月8日;Suら、2014、Immunol.Res.、58:118~124ページ、doi:10.1007/s12026-013-8483-y、Epub 2014年1月9日;Carmiら、2011、J.Immunol.、186:3462~3471ページ、doi:10.4049/jimmunol.1002901、Epub 2011年2月7日;Chenら、2013、Histopathology、63:225~233ページ、doi:10.1111/his.12156、Epub 2013年6月6日)の病因において、やはり重要である。
【0004】
[0004]化合物1は、RORγの阻害剤であり、いくつかのRORγ媒介性疾患に対して治療特性を有する。化合物1は、米国特許第9,266,886号に例示されており、以下の式:
【0005】
【化1】
【0006】
を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0005]化合物1は、上市される可能性があるにもかかわらず、特に溶液中で酸化され易い。このことにより、大規模での製造および製剤化に改良可能な薬学的に許容される塩および多形を製剤化するのが困難となっている。したがって、この強力な阻害剤のための代替的な形態を生成することが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
概要
[0006]一態様では、本明細書において、化合物1の安定な臭化水素塩形態が提供される。他の塩形態と異なり、開示されたHBr塩は、分解の懸念が最小限で、または酸素不含雰囲気中での作業などの特別な予防措置の必要性が最低限で調製され得る。例えば、以下の実施例項目を参照されたい。
【0009】
[0007]別の態様では、化合物1の具体的な一臭化水素結晶塩およびビス臭化水素結晶塩、ならびにそれらの調製方法が開示されている。5種の特徴付けられた結晶性塩形態のうち、形態Dが、他の固体形態よりも著しく少ない水分取り込み量(update)を有すること、および大規模合成においてより再現性があることが判明し、こうして、この形態が、商業的加工にとって魅力ある選択肢となる。
【0010】
[0008]ビス臭化水素塩の生成中に、最初の試みは、化合物1から開始する2工程法を用いた。この方法は、臭化水素酸を用いる処理による一臭化水素塩の形成および単離、次いで、臭化水素酸を用いる2番目の独立処理工程を含み、化合物1のビス臭化水素塩を形成させる。ビス臭化水素塩の精製体を直接生成させる最初の試みが、大バッチ処理に必要な所望の純度レベルをもたらさなかったので、この2工程法を利用した。開示した2工程法は、合成の最終工程の間に、HBrおよびMeOHの使用を必要とした。この転換は、MeBrの生成に由来する生成物の混入をもたらした。この問題は、続いて、酢酸イソプロピルと水との混合物中でこの生成物をスラリー形成させることにより解決された。したがって、一臭化水素塩およびビス臭化水素塩の2工程法および形成に加えて、臭化メチル、および化合物1の結晶形態Dであるビス臭化水素塩を含む組成物から臭化メチルを除去する方法が、本明細書において開示されている。
【0011】
[0009]化合物1から開示されたビス臭化水素塩を直接形成させる1工程法もやはり見いだされた。この態様では、還元アミノ化反応混合物を中和することによって、沈殿をもたらし、特に大規模で、化合物1を遊離塩基として、高純度および良好な収率でもたらした。例えば、反応は、98%収率および>99面積%の純度を伴う、>3kg規模で有効であった。例えば、実施例項目を参照されたい。このことから、十分な量の臭化水素酸を用いる処理によって、MeOHの使用を必要とすることなく、所望のビス臭化水素塩がもたらされた。MeBrに由来する検出可能な混入物は観察されない一方、この方法は、結晶形態:形態E、形態Fおよび形態Gの混合物の形成をもたらした。しかし、この問題は、酢酸イソプロピルと水との混合物中で生成物をスラリー形成させることにより解決され、化合物1の単一ビス臭化水素結晶形態、すなわち形態Dをもたらした。したがって、1工程法に加え、化合物1のビス臭化水素塩の結晶形態E、FおよびGを化合物1の形態Dである結晶性ビス臭化水素塩に変換する方法が、本明細書において提供される。
【0012】
[0010]同様に、RORγによって媒介される疾患または障害をこのように処置する開示された形態を使用する方法が、本明細書において提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】[0011]化合物1の形態AのX線粉末回折パターン(XRPD)を描写する図である。
図2】[0012]化合物1の形態Aの示差走査熱量測定(DSC)スペクトルを描写する図である。
図3】[0013]化合物1の形態Aの熱重量分析(TGA)パターンを描写する図である。
図4】[0014]化合物1の形態Aの動的水蒸気吸収(DVS)等温線プロットを描写する図である。
図5】[0015]化合物1の形態BのX線粉末回折パターン(XRPD)を描写する図である。
図6】[0016]化合物1の形態Bの示差走査熱量測定(DSC)スペクトルを描写する図である。
図7】[0017]化合物1の形態Bの熱重量分析(TGA)パターンを描写する図である。
図8】[0018]化合物1の形態Bの動的水蒸気吸収(DVS)等温線プロットを描写する図である。
図9】[0019]化合物1の形態CのX線粉末回折パターン(XRPD)を描写する図である。
図10】[0020]化合物1の形態Cの示差走査熱量測定(DSC)スペクトルを描写する図である。
図11】[0021]化合物1の形態Cの熱重量分析(TGA)パターンを描写する図である。
図12】[0022]化合物1の形態Cの動的水蒸気吸収(DVS)等温線プロットを描写する図である。
図13】[0023]化合物1の形態DのX線粉末回折パターン(XRPD)を描写する図である。
図14】[0024]化合物1の形態Dの示差走査熱量測定(DSC)スペクトルを描写する図である。
図15】[0025]化合物1の形態Dの熱重量分析(TGA)パターンを描写する図である。
図16】[0026]化合物1の形態Dの動的水蒸気吸収(DVS)等温線プロットを描写する図である。
図17】[0027]化合物1の形態EのX線粉末回折パターン(XRPD)を描写する図である。
図18】[0028]化合物1の形態Eの示差走査熱量測定(DSC)スペクトルを描写する図である。
図19】[0029]化合物1の形態Eの熱重量分析(TGA)パターンを描写する図である。
図20】[0030]化合物1の形態A、形態B、形態C、形態Dおよび形態EのX線粉末回折パターン(XRPD)を重ね合わせた図である。
図21】[0031]化合物1の形態A、形態B、形態C、形態Dおよび形態Eの示差走査熱量測定(DSC)スペクトルを重ね合わせた図である。
図22】[0032]化合物1の形態A、形態B、形態C、形態Dおよび形態Eの熱重量分析(TGA)パターンを重ね合わせた図である。
図23】[0033]図23は、本明細書に記載されている条件により作製された化合物1の1H-NMRスペクトルを描写する図である。
図24】[0034]本明細書に記載されている条件により作製された化合物1の一臭化水素塩形態Bの1H-NMRスペクトルを描写する図である。
図25】[0035]本明細書に記載されている条件により作製された化合物1の一臭化水素塩形態BのXRPDスペクトルを描写する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0036]一態様では、以下の式:
【0015】
【化2】
【0016】
を有する一臭化水素塩であって、例えば、>96%、>97%、>98%、または>99%、または99.5%またはそれ超などの>95%の純度を有する一臭化水素塩が、本明細書において提供される。
【0017】
[0037]別の態様では、以下の式:
【0018】
【化3】
【0019】
を有するビス臭化水素塩であって、例えば、>96%、>97%、>98%、>99%、または99.5%、またはそれ超などの>95%の純度を有するビス臭化水素塩が、本明細書において提供される。
【0020】
[0038]他の態様では、化合物1の結晶形態A、B、C、DおよびEが、本明細書において提供される。
[0039]さらに他の態様では、本明細書に記載した塩および結晶形態のうちの1つまたは複数を製造する方法が明細書に記載される。
【0021】
1.定義
[0040]用語「形態A」は、単独で使用されている場合、化合物1の結晶多形体Aを指す。用語「形態A」、「化合物1の形態A」および「化合物1の結晶形態A」は、互換的に使用される。同様に、用語「形態B」は、単独で使用されている場合、化合物1の結晶多形体Bを指す。用語「形態B」、「化合物1の形態B」および「化合物1の結晶形態B」は、互換的に使用される。同様に、用語「形態C」は、単独で使用されている場合、化合物1の結晶多形体Cを指す。用語「形態C」、「化合物1の形態C」および「化合物1の結晶形態C」は、互換的に使用される。同様に、用語「形態D」は、単独で使用されている場合、化合物1の結晶多形体Dを指す。用語「形態D」、「化合物1の形態D」および「化合物1の結晶形態D」は、互換的に使用される。同様に、用語「形態E」は、単独で使用されている場合、化合物1の結晶多形体Eを指す。用語「形態E」、「化合物1の形態E」および「化合物1の結晶形態E」は、互換的に使用される。
【0022】
[0041]用語「アモルファス」は、非結晶状態または非結晶形態で存在する固体を意味する。アモルファス固体は、分子が不規則に配置されたものであり、したがって、区別可能な結晶格子または単位胞を有しておらず、したがって、定義可能な長い範囲にわたる規則性を有さない。固体の固体状態の規則性は、当分野で公知の標準的技法により、例えば、X線粉末回折(XRPD)または示差走査熱量測定(DSC)により決定され得る。アモルファス固体もやはり、例えば、偏光顕微鏡法を使用する複屈折によって、結晶性固体とは区別され得る。
【0023】
[0042]化合部1の一臭化水素塩形態およびビス臭化水素塩形態、ならびに本明細書に記載した多形(しかし、これらの化合物の溶媒和形態を含まない)に関して使用される場合、「純度」は、百分率に関して表されており、化合物1の一臭化水素塩形態およびビス臭化水素塩形態の質量を試料の全質量により除算して、次にこの数に100を乗算することにより算出され得る。したがって、90%純粋である、または90%の純度を有するとは、化合物1の指定される一臭化水素塩形態もしくはビス臭化水素塩形態、または指定される多形が、試料の90重量%を構成することを意味する。一態様では、本明細書に記載された塩および結晶形態の純度は、>90重量%、>95重量%、>97重量%および>99重量%純粋(例えば、>99.1重量%、99.2重量%、99.3重量%、99.4重量%、99.5重量%、99.6重量%、99.7重量%、99.8重量%および99.9重量%)である。一態様では、本明細書に記載された塩および結晶形態の純度は、>90重量%、>95重量%、>97重量%および>99重量%純粋(例えば、>99.1重量%、99.2重量%、99.3重量%、99.4重量%、99.5重量%、99.6重量%、99.7重量%、99.8重量%および99.9重量%)であり、他の塩または多形を含まない。
【0024】
[0043]純度が、>99面積%などの面積に関して定義されている場合、このことは、HPLCのピーク面積百分率によって決定された、特定化合物の純度を指すことが理解されよう。
【0025】
[0044]用語「薬学的に許容される担体」とは、製剤化された化合物の薬理学的活性に悪影響を及ぼすことがなく、かつヒト使用にやはり安全な、非毒性担体、アジュバントまたはビヒクルを指す。本開示の組成物に使用され得る、薬学的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルには、以下に限定されないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウムなどの緩衝物質、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩など)、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースをベースとする物質(例えば、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース一水和物、ラウリル硫酸ナトリウムおよびクロスカルメロースナトリウム)、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が含まれる。
【0026】
[0045]用語「処置(treatment)」、「処置する(treat)」および「処置すること(treating)」とは、本明細書に記載されている通り、疾患もしくは障害、またはそれらの1つもしくは複数の症状の発症を反転させる、軽減する、遅延させる、またはそれらの進行を阻害することを指す。一実施形態では、処置は、1つまたは複数の症状が発症した後に行われてもよい(すなわち治療的処置)。他の実施形態では、処置は、症状の非存在下で行われてもよい。例えば、処置は、症状の発生前(例えば、症状歴に照らし合わせて、および/または遺伝的もしくは他の感受性因子に照らし合わせて)に、感受性の高い個体に行われてもよい(すなわち、予防的処置)。処置はまた、症状が解決した後に、例えば、再発する可能性を低減するため、または再発を遅延させるために継続されてもよい。
【0027】
[0046]本明細書に記載した結晶形態に関するX線粉末回折パターンの2シータ値は、機器ごとに、および試料調製におけるばらつきおよびバッチごとのばらつきに応じてわずかに変わることがある。したがって、本明細書に列挙されているXRPDパターン/帰属は、絶対的なものとして解釈されるべきではなく、±0.2度で変わり得る。
【0028】
[0047]「実質的に同じXRPDパターン」とは、比較目的の場合、示されたピークの少なくとも90%が存在することを意味する。比較目的の場合、示されているピーク強度とはピーク強度がいくらか変動している(±0.2度など)ことが許容されることをさらに理解すべきである。
【0029】
2.化合物
[0048]一態様では、本開示は、化合物1の結晶形態A、結晶形態B、結晶形態C、結晶形態Dおよび結晶形態Eを提供する。
【0030】
[0049]一態様では、化合物1の結晶形態Aは、14.90°、20.28°、20.70°、22.00°、23.34°および26.46°から選択される2θの角度における、少なくとも3本、少なくとも4本または少なくとも5本のX線粉末回折ピークを特徴とする。代替的に、化合物1の結晶形態Aは、14.90°、20.28°、20.70°、22.00°、23.34°および26.46の2θ角度におけるX線粉末回折ピークを特徴とする。別の選択肢では、化合物1の結晶形態Aは、表4から選択される2θ角度における、少なくとも3本、少なくとも4本、少なくとも5本、少なくとも6本、少なくとも7本、少なくとも8本、少なくとも9本、少なくとも10本、少なくとも11本、少なくとも12本、少なくとも13本、少なくとも14本、少なくとも15本、少なくとも16本、少なくとも17本、少なくとも18本、少なくとも19本、少なくとも20本、少なくとも21本、少なくとも22本、少なくとも23本、少なくとも24本、少なくとも25本、少なくとも26本、少なくとも27本、少なくとも28本、少なくとも29本、少なくとも30本、少なくとも31本、少なくとも32本、少なくとも33本、少なくとも34本、少なくとも35本、少なくとも36本、少なくとも37本または少なくとも38本のX線粉末回折ピークを特徴とする。別の選択肢では、化合物1の結晶形態Aは、7.54°、8.04°、14.24°、14.90°、16.32°、20.28°、20.70°、22.00°、23.34°および26.46°におけるX線粉末回折ピークを特徴とする。別の選択肢では、化合物1の結晶形態Aは、表4中のX線粉末回折ピークを特徴とする。別の態様では、化合物1の結晶形態Aは、図1に示されているXRPDパターンと実質的に同じXRPDパターンを有する。別の態様では、化合物1の結晶形態Aは、図2に示されているDSCパターンと実質的に同じDSCパターンを有する。別の態様では、化合物1の結晶形態Aは、図3に示されているTGAパターンと実質的に同じTGAパターンを有する。一態様では、化合物1の結晶形態Aは、上に定義されたXRPDピークのうちの1つまたは複数を有するビス臭化水素塩である。
【0031】
[0050]一態様では、化合物1の結晶形態Bは、5.24°、7.98°、12.12°、19.42°、21.18°および21.52°から選択される2θの角度における、少なくとも3本、少なくとも4本または少なくとも5本のX線粉末回折ピークを特徴とする。代替的に、化合物1の結晶形態Bは、5.24°、7.98°、12.12°、19.42°、21.18°および21.52°の2θ角度におけるX線粉末回折ピークを特徴とする。別の選択肢では、化合物1の結晶形態Bは、表5から選択される2θ角度における、少なくとも3本、少なくとも4本、少なくとも5本、少なくとも6本、少なくとも7本、少なくとも8本、少なくとも9本、少なくとも10本、少なくとも11本、少なくとも12本、少なくとも13本、少なくとも14本、少なくとも15本、少なくとも16本、少なくとも17本、少なくとも18本、少なくとも19本、少なくとも20本、少なくとも21本、少なくとも22本、少なくとも23本、少なくとも24本、少なくとも25本、少なくとも26本、少なくとも27本、少なくとも28本、少なくとも29本、少なくとも30本、少なくとも31本、少なくとも32本、少なくとも33本、少なくとも34本、少なくとも35本、少なくとも36本、少なくとも37本、少なくとも38本、少なくとも39本、少なくとも40本または少なくとも41本のX線粉末回折ピークを特徴とする。別の選択肢では、化合物1の結晶形態Bは、3.94°、5.24°、7.98°、12.12°、16.64°、19.42°、21.18°および21.52°、26.18°および27.80°におけるX線粉末回折ピークを特徴とする。別の選択肢では、化合物1の結晶形態Bは、表5中のX線粉末回折ピークを特徴とする。別の態様では、化合物1の結晶形態Bは、図5に示されているXRPDパターンと実質的に同じXRPDパターンを有する。別の態様では、化合物1の結晶形態Bは、図6に示されているDSCパターンと実質的に同じDSCパターンを有する。別の態様では、化合物1の結晶形態Bは、図7に示されているTGAパターンと実質的に同じTGAパターンを有する。一態様では、化合物1の結晶形態Bは、上に定義されたXRPDピークのうちの1つまたは複数を有する一臭化水素塩である。一態様では、化合物1の結晶形態Bは、上に定義されたXRPDピークのうちの1つまたは複数を有する溶媒和物である。別の態様では、化合物1の結晶形態Bは、上に定義されたXRPDピークのうちの1つまたは複数を有するイソプロパノール溶媒和物である。さらに別の態様では、化合物1の結晶形態Bは、上に定義されたXRPDピークのうちの1つまたは複数を有する一臭化水素塩のイソプロパノール溶媒和物である。
【0032】
[0051]一態様では、化合物1の結晶形態Cは、20.28°、20.70°、23.18°、23.34°、25.24°および26.46から選択される2θの角度における、少なくとも3本、少なくとも4本または少なくとも5本のX線粉末回折ピークを特徴とする。代替的に、化合物1の結晶形態Cは、20.28°、20.70°、23.18°、23.34°、25.24°および26.46の2θ角度におけるX線粉末回折ピークを特徴とする。別の態様では、化合物1の結晶形態Cは、図9に示されているXRPDパターンと実質的に同じXRPDパターンを有する。別の態様では、化合物1の結晶形態Cは、図10に示されているDSCパターンと実質的に同じDSCパターンを有する。別の態様では、化合物1の結晶形態Cは、図11に示されているTGAパターンと実質的に同じTGAパターンを有する。一態様では、化合物1の結晶形態Cは、上に定義されたXRPDピークのうちの1つまたは複数を有するビス臭化水素塩である。
【0033】
[0052]一態様では、化合物1の結晶形態Dは、14.24°、15.24°、15.90°、18.54°、18.82°および22.46°から選択される2θの角度における、少なくとも3本、少なくとも4本または少なくとも5本のX線粉末回折ピークを特徴とする。代替的に、化合物1の結晶形態Dは、14.24°、15.24°、15.90°、18.54°、18.82°および22.46°の2θ角度におけるX線粉末回折ピークを特徴とする。別の選択肢では、化合物1の結晶形態Dは、表12から選択される2θ角度において、少なくとも3本、少なくとも4本、少なくとも5本、少なくとも6本、少なくとも7本、少なくとも8本、少なくとも9本、少なくとも10本、少なくとも11本、少なくとも12本、少なくとも13本、少なくとも14本、少なくとも15本、少なくとも16本、少なくとも17本、少なくとも18本、少なくとも19本、少なくとも20本、少なくとも21本、少なくとも22本、少なくとも23本、少なくとも24本、少なくとも25本、少なくとも26本、少なくとも27本、少なくとも28本、少なくとも29本、少なくとも30本、少なくとも31本、少なくとも32本、少なくとも33本、少なくとも34本、少なくとも35本または少なくとも36本のX線粉末回折ピークを特徴とする。別の選択肢では、化合物1の結晶形態Dは、7.58°、9.02°、14.56°、14.24°、15.24°、15.90°、17.16°、18.54°、18.82°、20.14°および22.46°におけるX線粉末回折ピークを特徴とする。別の選択肢では、化合物1の結晶形態Dは、7.58°、9.02°、14.56°、14.24°、15.24°、15.90°、17.16°、18.54°、18.82°、20.14°、22.46°、20.70°、21.02°、21.70°、24.36°および24.58°におけるX線粉末回折ピークを特徴とする。別の選択肢では、化合物1の結晶形態Dは、7.58°、9.02°、14.56°、14.24°、15.24°、15.90°、17.16°、18.54°、18.82°、20.14°、22.46°、20.70°、21.02°、21.70°、24.36°、24.58°、25.66°、25.82°、26.51°、26.82°、29.68°および33.70°におけるX線粉末回折ピークを特徴とする。別の選択肢では、化合物1の結晶形態Dは、表12中のX線粉末回折ピークを特徴とする。別の態様では、化合物1の結晶形態Dは、図13に示されているXRPDパターンと実質的に同じXRPDパターンを有する。別の態様では、化合物1の結晶形態Dは、図14に示されているDSCパターンと実質的に同じDSCパターンを有する。別の態様では、化合物1の結晶形態Dは、図15に示されているTGAパターンと実質的に同じTGAパターンを有する。一態様では、化合物1の結晶形態Dは、上に定義されたXRPDピークのうちの1つまたは複数を有するビス臭化水素塩である。一態様では、化合物1の形態Dは、上に定義されたXRPDピークのうちの1つまたは複数を有する水和物(例えば、二水和物)である。別の態様では、化合物1の形態Dは、二水和物であるビス臭化水素塩であり、上に定義されたXRPDピークのうちの1つまたは複数を有する。
【0034】
[0053]一態様では、化合物1の結晶形態Eは、4.1°、8.3°、12.70°、16.64°、16.98°および21.32°から選択される2θの角度における、少なくとも3本、少なくとも4本または少なくとも5本のX線粉末回折ピークを特徴とする。代替的に、化合物1の結晶形態Eは、4.1°、8.3°、12.70°、16.64°、16.98°および21.32°の2θ角度におけるX線粉末回折ピークを特徴とする。別の選択肢では、化合物1の結晶形態Eは、表10から選択される2θ角度において、少なくとも3本、少なくとも4本、少なくとも5本、少なくとも6本、少なくとも7本、少なくとも8本、少なくとも9本、少なくとも10本、少なくとも11本、少なくとも12本、少なくとも13本、少なくとも14本、少なくとも15本、少なくとも16本、少なくとも17本、少なくとも18本、少なくとも19本、少なくとも20本、少なくとも21本、少なくとも22本、少なくとも23本、少なくとも24本、少なくとも25本、少なくとも26本、少なくとも27本、少なくとも28本、少なくとも29本、少なくとも30本、少なくとも31本、少なくとも32本、少なくとも33本、少なくとも34本、少なくとも35本または少なくとも36本のX線粉末回折ピークを特徴とする。別の選択肢では、化合物1の結晶形態Eは、表10中のX線粉末回折ピークを特徴とする。別の態様では、化合物1の結晶形態Eは、図17に示されているXRPDパターンと実質的に同じXRPDパターンを有する。別の態様では、化合物1の結晶形態Eは、図18に示されているDSCパターンと実質的に同じDSCパターンを有する。別の態様では、化合物1の結晶形態Eは、図19に示されているTGAパターンと実質的に同じTGAパターンを有する。一態様では、化合物1の結晶形態Eは、上に定義されたXRPDピークのうちの1つまたは複数を有するビス臭化水素塩である。
【0035】
[0054]比較を容易にするため、多形のXRPD、DSCおよびTGAを重ね合わせたものを図20~22に示す。
[0055]一態様では、結晶形態A、C、DまたはEは、それぞれ独立して、例えば水と溶媒和されている(すなわち、水和物)などの、溶媒和物であってもよい。
【0036】
3.使用、製剤および投与
[0056]一態様では、化合物1の開示した形態の複数のうちの1種または化合物1の開示した形態の複数のうちの1種、および薬学的に許容される担体を含む組成物を使用する、RORγによって媒介される疾患または障害を有する対象(例えば、ヒト)を処置する方法が提供される。一態様では、開示された形態の量は、生物学的試料または対象において、RORγに対してインバースアゴニストまたはアンタゴニストとして有効となるような量である。ある種の態様では、提供された組成物は、このような組成物を必要とする対象に投与するために製剤化される。一部の態様では、提供された組成物は、対象に経口投与するために製剤化される。
【0037】
[0057]本明細書に記載されている組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーにより、局所的に、直腸により、経鼻により、頬内により、経膣により、または埋め込まれたレザーバーを介して投与されてもよい。用語「非経口」には、本明細書で使用する場合、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、鞘内、肝臓内、病巣内および頭蓋内への注射または注入技法が含まれる。
【0038】
[0058]任意の特定の対象のための具体的な投与量および処置レジメンは、年齢、体重、全般的な健康、性別、食事、投与時間、排出速度、薬物組合せ、処置を行う医師の判断、および処置を受ける特定の疾患の重症度を含む、様々な因子に依存するであろう。組成物中で提供される化合物の量はまた、該組成物中の特定の化合物に依存するであろう。
【0039】
[0059]化合物1の開示された形態の複数のうちの1つを使用して処置可能な疾患および障害には、以下に限定されないが、RORγによって媒介される炎症、代謝状態および自己免疫状態が含まれる。これらの状態には、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支炎、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、ざ瘡、嚢胞性線維症、同種移植拒絶、多発性硬化症、強皮症、関節炎、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、骨関節炎、強直性脊椎炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、乾癬、橋本病、すい臓炎、自己免疫性糖尿病、I型糖尿病、自己免疫性眼疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、限局性腸炎、炎症性腸疾患(IBD)、炎症性腸症候群(IBS)、シェーグレン症候群、視神経炎、肥満、脂肪肝、脂肪組織関連炎症、インスリン抵抗性、II型糖尿病、視神経脊髄炎、重症筋無力症、加齢性黄斑変性症、ドライアイ、ブドウ膜炎、ギランバレー症候群、乾癬、乾癬性関節炎(PsA)、ステロイド抵抗性喘息、グレーブス病、強膜炎、子宮内膜症、閉塞型無呼吸症候群(OSAS)、ベーチェット病、皮膚筋炎、多発性筋炎、移植片対宿主病、原発性胆汁性肝硬変、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、サルコイドーシス、原発性硬化性胆管炎、自己免疫性甲状腺疾患、I型多腺性自己免疫症候群、II型多腺性自己免疫症候群、セリアック病、神経脊髄炎、若年性特発性関節炎、全身性硬化症、心筋梗塞、肺高血圧症、骨関節炎、皮膚リーシュマニア症、副鼻腔ポリープ、ならびに以下に限定されないが、肺がん、胃がん、乳がんおよび結腸がんを含むがんが挙げられる。
【0040】
[0060]同様に、個体の概日リズムの調整によって関与される状態が含まれ、その状態は、例えば、大うつ、季節性情動障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、双極性障害、自閉症、てんかん、アルツハイマー病、ならびに睡眠および/または概日リズムの変化に関連する他の中枢神経系(CNS)障害が含まれる。
【0041】
[0061]一態様では、化合物1の開示された形態によって処置される疾患および障害には、患者における、例えば、喘息、アトピー性皮膚炎、ざ瘡、クローン病、限局性腸炎、潰瘍性大腸炎、シェーグレン症候群、ブドウ膜炎、ベーチェット病、皮膚筋炎、多発性硬化症、強直性脊椎炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、強皮症、乾癬、乾癬性関節炎(PsA)、ステロイド抵抗性喘息および関節リウマチが含まれる。
【0042】
[0062]一態様では、ヒト対象は、化合物1の開示された形態により処置され、前記形態は、上で列挙した疾患および障害のうちの1つまたは複数を処置するための量で存在する。
【0043】
[0063]一態様では、ヒト対象は、化合物1の開示された形態を含む組成物により処置され、前記形態は、上で列挙した疾患および障害のうちの1つまたは複数を処置するための量で存在する。
【0044】
[0064]一態様では、上で列挙した疾患および障害のうちの1つまたは複数を処置する医薬を製造するために、化合物1の開示した形態の使用が提供される。
[0065]一態様では、上で列挙した疾患および障害のうちの1つまたは複数を処置する際に使用するための、化合物1の開示した形態が提供される。
【0045】
[0066]剤形を生成するための担体物質と合わせられ得る化合物1の形態の提供された形態の量は、処置される患者、および特定の投与形式に応じて様々になろう。提供された組成物は、0.001~100mg/kg体重/日の間となる阻害剤の投与量が、これらの組成物を服用する患者に投与され得るよう製剤化され得る。
【0046】
[0067]任意の特定の患者のための具体的な投与量および処置レジメンは、年齢、体重、全般的な健康、性別、食事、投与時間、排出速度、薬物組合せ、処置を行う医師の判断、および処置を受ける特定の疾患の重症度を含む、様々な因子に依存するであろう。
【0047】
4.一般的調製方法
[0068]化合物1の一臭化水素塩およびビス臭化水素塩を調製する方法が、本明細書において提供される。化合物1および前駆体物質を調製するための出発材料および合成方法は、例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第9,266,886号の一般手順Bに見いだすことができる。
【0048】
A.2工程法
[0069]化合物1のビス臭化水素塩を形成させるため、2段階法を最初に開発した。例えば、実施例項目中のスキーム5を参照されたい。この一部は、スキーム1としてここに図示されている。この方法は、まず、化合物1の一臭化水素塩を最初に形成して単離し、次いで、化合物1の一臭化水素塩をビス臭化水素塩に変換することで構成される。
【0049】
【化4】
【0050】
[0070]したがって、化合物1の一臭化水素塩を形成させる方法であって、i)以下の構造式:
【0051】
【化5】
【0052】
によって表されるアルデヒド化合物を、以下の構造式:
【0053】
【化6】
【0054】
によって表されるアミン化合物を用いて還元アミノ化する工程であって、還元アミノ化がイミン還元剤の存在下で行われて、化合物1が形成される、工程;ii)化合物1の形成後、十分な臭化水素酸を添加して、以下の式:
【0055】
【化7】
【0056】
を有する化合物1の一臭化水素塩を形成させる工程、およびiii)化合物1の一臭化水素塩を単離する工程を含む方法が、本明細書において提供される。一部の例では、化合物1の一臭化水素塩は、アモルファスである。一態様では、工程ii)において、臭化水素酸を添加する前に、化合物1をイソプロパノールと酢酸との混合物に溶解する。別の態様では、工程ii)において、化合物1の一臭化水素塩は、臭化水素酸の添加により沈殿させる。一態様では、アミン化合物は、アミンの酸塩形態(例えば、二塩酸塩などの塩酸塩)を第三級アミン塩基(例えば、トリメチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン)で処理することによってin situで形成される。一態様では、上記の方法は、iv)溶媒中(例えば、MeOH中)に化合物1の単離した一臭化水素塩を溶解して、MTBE溶液および十分な量の臭化水素酸に添加して、以下の式:
【0057】
【化8】
【0058】
を有する化合物1の結晶形態Dであるビス臭化水素塩を形成させる工程をさらに含む。
[0071]一態様では、工程iv)における溶液に、種晶が添加される。一態様では、化合物1の結晶形態Dであるビス臭化水素塩は、冷却すると(例えば、30分/5~6時間で5℃まで)、工程iv)における溶液から沈殿し、ろ過される。
【0059】
[0072]還元アミノ化を行うための還元剤は、公知であり、以下に限定されないが、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH(OAc))、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)、Hを用いる炭素担持パラジウム、およびHを用いる炭素担持白金が含まれる。例えば、March’s Advanced Organic Chemistry、第5版、John Wiley&Sons 2001を参照されたい。一例では、還元剤は、NaBH(OAc)である。
【0060】
[0073]一臭化水素塩またはビス臭化水素塩を形成させるのに十分な臭化水素酸の量および濃度は、様々とすることができる。例えば、35%~55%の臭化水素酸を使用することができる、37%~53%の臭化水素酸を使用することができる、または40%~48%の臭化水素酸を使用することができる。一態様では、40%または48%の臭化水素酸が使用される。臭化水素酸の量は、0.8当量~1.4当量の範囲とすることができる。例えば、0.9~1.3当量、1.0~1.3当量または1.0~1.2当量が使用され得る。一態様では、1.0当量または1.2当量の臭化水素酸が使用される。一態様では、40%の臭化水素酸が1.2当量、使用される。別の態様では、48%の臭化水素酸が1.0当量、使用される。これらの量および濃度は、一臭化水素塩形成工程およびビス臭化水素塩形成工程のどちらに対しても独立して適用される。一態様では、化合物1の一臭化水素塩およびビス臭化水素塩の両方を形成させるのに十分な臭化水素酸の濃度および量は、同じであり、例えば、1.2当量の40%臭化水素酸を含むか、または1.0当量の48%臭化水素酸が、どちらの工程にも使用される。一態様では、臭化水素酸は、酢酸中の臭化水素の混合物、または水性臭化水素酸である。
【0061】
[0074]この方法は、最初に、所望の生成物を形成させる際に有用となることが判明したが、HBrとMeOHとを組み合わせると、生成物の混入をもたらす。すなわち、過剰の臭化メチルが、最初に単離される生成物中に存在した。酢酸イソプロピルと水との混合物中で生成物をスラリー形成させると、過剰の臭化メチルを効果的に除去することが判明したのは、多大な努力の後であった。ヘプタンと水との混合物が、有効であることがやはり分かったが、ビス臭化水素結晶形態Dの塩の溶解度は、酢酸イソプロピル/水混合物中で一層高く、したがって、この混合物をスケールアップ目的に選択した。この方法の概略図が、スキーム2として以下に示されている。
【0062】
【化9】
【0063】
[0075]したがって、臭化メチルおよび化合物1のビス臭化水素塩(例えば、化合物1のビス臭化水素塩の結晶形態D)を含む組成物から臭化メチルを除去する方法であって、i)酢酸イソプロピル/水の混合物中、またはヘプタン/水の混合物中で組成物をスラリー形成させる工程、およびii)酢酸イソプロピル/水の混合物から、またはヘプタン/水の混合物から本化合物のビス臭化水素塩を分離する工程を含む方法が、本明細書において提供される。
【0064】
[0076]一態様では、臭化メチル、および化合物1のビス臭化水素塩を含む組成物から臭化メチルを除去することは、0.25%~2.5%v/vの水を含む酢酸イソプロピルの混合物中で組成物をスラリー形成させる工程、およびii)酢酸イソプロピル/水の混合物から本化合物のビス臭化水素塩を分離する工程を含む。一態様では、この混合物は、水を0.5%~2.0%v/v、水を0.7%~1.7%v/v、水を0.8%~1.5%v/v、水を0.9%~1.3%v/v、水を0.9%~1.1%v/v、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%または1.5%含む酢酸イソプロピルを含む。
【0065】
[0077]一部の態様では、組成物をスラリー形成させる前に、組成物中に存在する臭化メチルは、45ppm超、50ppm超、55ppm超、または60ppm超である。例えば、組成物中に存在する臭化メチルの量は、50ppm~1000ppmであってもよい。スラリー形成前の組成物中に存在する臭化メチルの量は、乾燥組成物中に存在する量を指し、例えば、スラリー形成前に、組成物は、約-0.096MPaの真空下、20時間以上、(例えば、20~25℃などの約15~50℃で)乾燥する。さらなる態様では、組成物をスラリー形成させる前の、組成物中に存在する臭化メチルは、45ppm超、50ppm超、55ppm超、60ppm超、または50ppm~1000ppmである。この混合物は、水を0.5%~2.0%v/v、水を0.7%~1.7%v/v、水を0.8%~1.5%v/v、水を0.9%~1.3%v/v、水を0.9%~1.1%v/v、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%または1.5%含む酢酸イソプロピルを含む。
【0066】
[0078]一部の態様では、混合物から結晶形態Dであるビス臭化水素塩を分離する工程により、存在する臭化メチルを45ppm未満を有する結晶形態Dであるビス臭化水素塩がもたらされる。例えば、ある種の場合、混合物から結晶形態Dであるビス臭化水素塩を分離する工程により、存在する臭化メチルを40ppm未満、30ppm未満、20ppm未満、10ppm未満、5ppm未満または1ppm未満を有する結晶形態Dであるビス臭化水素塩がもたらされる。一態様では、混合物から結晶形態Dであるビス臭化水素塩を分離する工程により、検出レベル未満の量の存在する臭化メチルを有する結晶形態Dであるビス臭化水素塩がもたらされる。
【0067】
[0079]一部の態様では、混合物から結晶形態Dであるビス臭化水素塩を分離する工程により、存在する臭化メチルを45ppm未満、40ppm未満、30ppm未満、20ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、もしくは1ppm未満しか有していない、または検出レベル未満の量の臭化メチルを有する結晶形態Dであるビス臭化水素塩がもたらされ、組成物をスラリー形成させる前、組成物中に存在する臭化メチルは、45ppm超、50ppm超、55ppm超、60ppm超または50ppm~1000ppmである。一部の態様では、混合物から結晶形態Dであるビス臭化水素塩を分離する工程により、存在する臭化メチルを45ppm未満、40ppm未満、30ppm未満、20ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、もしくは1ppm未満を有する、または検出レベル未満の量の臭化メチルを有する結晶形態Dであるビス臭化水素塩がもたらされ、組成物をスラリー形成させる前、組成物中に存在する臭化メチルは、45ppm超、50ppm超、55ppm超、60ppm超または50ppm~1000ppmであり、この混合物は、水を0.5%~2.0%v/v、水を0.7%~1.7%v/v、水を0.8%~1.5%v/v、水を0.9%~1.3%v/v、水を0.9%~1.1%v/v、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%または1.5%含む酢酸イソプロピルを含む。
【0068】
[0080]この2工程法に関するさらなる詳細な手順を、以下の実施例項目で提示する。
B.1工程法
[0081]化合物1のビス臭化水素塩を調製するための1工程法も特定した。この例では、還元アミノ化反応において、溶媒をCHClからEtOHに交換し、次いで還元アミノ化混合物を中和し、得られた遊離塩基を沈殿させると、高度に純粋な遊離塩基生成物を、または少なくとも、一臭化水素塩を単離する個別の工程なしにそれをビス臭化水素塩に直接変換することが可能なほど十分に純粋な形態の遊離塩基生成物が得られることを見いだした。この方法は、以下のスキーム6に図示されており、この一部は、ここではスキーム3として示されている。
【0069】
【化10】
【0070】
[0082]したがって、一態様では、本明細書は、化合物1の遊離塩基形態を調製する代替法であって、i)以下の構造式:
【0071】
【化11】
【0072】
によって表されるアルデヒド化合物を、以下の構造式:
【0073】
【化12】
【0074】
によって表されるアミン化合物を用いて還元アミノ化する工程であって、還元アミノ化がエタノールの存在下およびイミン還元剤の存在下で行われる、工程、ii)還元アミノ化混合物を酸によりクエンチする工程、iii)得られた溶液を塩基で中和し、これにより、本化合物の遊離塩基形態を沈殿させる工程、およびiv)溶液から本化合物の、沈殿した遊離塩基形態を単離する工程を含む代替法が、提供される。一態様では、酢酸イソプロピル中のアルデヒド化合物の溶液が、トリアルキルアミン溶液中のイミン還元剤とエタノール中のアミン化合物のスラリーに添加される。一態様では、クエンチに使用される酸は塩酸である。一態様では、使用される塩基は、水酸化ナトリウム水溶液などの水性塩基である。一態様では、この溶液は、工程iii)において、pH5~7に中和される。一態様では、アミン化合物は、アミンの酸塩形態(例えば、二塩酸塩などの塩酸塩)を第三級アミン塩基で処理することによって、in situで形成される。
【0075】
[0083]還元アミノ化を行うための第三級アミンはやはり公知であり、以下に限定されないが、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEAまたはiPrNEt)およびトリメチルアミン(TEA)などのトリアルキルアミンを含む。例えば、March’s Advanced Organic Chemistry、第5版、John Wiley&Sons 2001を参照されたい。一例では、使用されるアミンは、DIPEAである。
【0076】
[0084]還元アミノ化を行うための還元剤は、やはり公知であり、以下に限定されないが、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH(OAc))、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)、Hを用いる炭素担持パラジウム、およびHを用いる炭素担持白金が含まれる。例えば、March’s Advanced Organic Chemistry、第5版、John Wiley&Sons 2001を参照されたい。一例では、還元剤は、NaBH(OAc)である。
【0077】
[0085]次に、ビス臭化水素塩は、十分な臭化水素酸を遊離塩基に添加してビス臭化水素塩を形成させることにより、遊離塩基から直接(すなわち、一臭化水素塩を最初に単離しない)調製され得る。一態様では、遊離塩基からのビス臭化水素塩の形成は、イソプロパノール、MTBEおよび酢酸の混合物の添加をさらに含む。別の態様では、遊離塩基からのビス臭化水素塩の形成は、酢酸とMEKとの混合物の添加をさらに含む。
【0078】
[0086]ここで、ビス臭化水素塩を形成させるのに十分な臭化水素酸の量および濃度は、様々とすることができるが、通常、例えば、35%~55%臭化水素酸、37%~53%臭化水素酸または40%~48%臭化水素酸が2~5当量である。一態様では、40%または48%の臭化水素酸が使用される。一態様では、2~4当量、2~3当量、2~2.5当量または2.1当量の40%または48%臭化水素酸が使用される。
【0079】
[0087]この1工程法の場合、ビス臭化水素塩をまず形成させる前に、一臭化水素塩を単離する必要性がなくなり、臭化メチルに由来する生成物の混入は、MeOHの回避のため存在しないが、形成された最初のビス臭化水素塩は、結晶形態E、FおよびGの混合物として存在すると判定された。形態FおよびGを、さらなる特徴付けは行わなかった。この問題を克服するため、酢酸イソプロピル/水中での結晶形態の混合物のスラリー形成により、単一結晶形態Dであるビス臭化水素塩の形成をもたらすことが分かった。例えば、以下のスキーム4を参照されたい。
【0080】
【化13】
【0081】
[0088]したがって、一態様では、化合物1のビス臭化水素塩の結晶形態E、FおよびGを結晶形態Dであるビス臭化水素塩に変換する方法であって、i)の酢酸イソプロピル/水(0.25%~2.5%v/vの間で含む)の混合物中で結晶形態E、FおよびGのうちの1つまたは複数を含む組成物をスラリー形成させる工程、およびii)酢酸イソプロピル/水の混合物から本化合物のビス臭化水素塩の結晶形態Dを分離(例えば、ろ過による)する工程を含む方法が、本明細書において提供される。
【0082】
[0089]一態様では、この混合物は、水を0.5%~2.0%v/v、水を0.7%~1.7%v/v、水を0.8%~1.5%v/v、水を0.9%~1.3%v/v、水を0.9%~1.1%v/v、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%または1.5%含む酢酸イソプロピルを含む。
【0083】
[0090]一態様では、組成物中に存在する形態E、FおよびGの量は、91%重量超、92%重量超、93%重量超、94%重量超、95%重量超、96%重量超、97%重量超または98%重量超、99%重量超などの90重量%超である。
【0084】
[0091]一態様では、本明細書に記載されている方法では、形成された生成物が、結晶形態Dであるビス臭化水素塩である場合、該生成物は、例えば、14.24°、15.24°、15.90°、18.54°、18.82°および22.46°から選択される2θ角度において、少なくとも3本、少なくとも4本、または少なくとも5本のX線粉末回折ピークによって、本明細書に記載されているXRPDピークおよびデータを、または2θ角度14.24°、15.24°、15.90°、18.54°、18.82°および22.46°におけるX線粉末回折ピークによって、または表12から選択される2θ角度において、少なくとも3本、少なくとも4本、少なくとも5本、少なくとも6本、少なくとも7本、少なくとも8本、少なくとも9本、少なくとも10本、少なくとも11本、少なくとも12本、少なくとも13本、少なくとも14本、少なくとも15本、少なくとも16本、少なくとも17本、少なくとも18本、少なくとも19本、少なくとも20本、少なくとも21本、少なくとも22本、少なくとも23本、少なくとも24本、少なくとも25本、少なくとも26本、少なくとも27本、少なくとも28本、少なくとも29本、少なくとも30本、少なくとも31本、少なくとも32本、少なくとも33本、少なくとも34本、少なくとも35本もしくは少なくとも36本のX線粉末回折ピーク、または表12中のX線粉末回折ピークによってさらに特徴付けられ得る。
【0085】
[0092]同様に、本明細書に記載されている方法において言及されている結晶形態E、FおよびGは、これらの形態の各々に対して、本明細書に記載されているXRPDピークおよびデータをさらに特徴とすることができる。
【0086】
[0093]他の方法、化合物および組成物は、実施例項目において、以下に記載されており、本明細書に含まれている。
【実施例
【0087】
[0094]本開示をさらに例示するため、以下の非限定例を提示する。
材料/方法
示差走査熱量測定(DSC)
[0095]DSCは、TA Instruments2920示差走査熱量測定を使用して行った。温度較正は、NISTにより追跡可能なインジウム金属を使用して行った。試料をアルミニウム製のTzero圧着パン(T0C)内に置き、その重量を正確に記録した。試料用パンとして構成される秤量済みのアルミニウム製パンを、セルの参照側に置いた。各サーモグラムに関するデータアクイジションパラメーターおよびパン構成は、図中の画像に表示される。サーモグラム上の方法コードは、開始温度および終了温度、ならびに加熱速度の略称である。例えば、(-30)-250-10は、「-30℃から10℃/分で250℃まで」を意味する。
【0088】
熱重量分析(TG)
[0096]TG分析は、TA Instruments Q5000 IR熱重量分析器を使用して行った。温度較正は、ニッケルおよびAlumel(商標)を使用して行った。各試料を白金製パンに置いた。この試料を気密密閉し、蓋に穴を開けて、次に、TG炉に挿入した。炉を窒素下で加熱した。各サーモグラムに関するデータアクイジションパラメーターは、図中に表示される。サーモグラム上の方法コードは、開始温度および終了温度、ならびに加熱速度の略称である。例えば、00-350-10は、「周囲℃から10℃/分で350℃まで」を意味する。
【0089】
X線粉末回折(XRPD)
[0097]XRPDパターンは、Optix長高精度焦点源(Optix long,fine-focus source)を使用して発生させたCu照射線の入射ビームを使用する、PANalytical X‘Pert PRO MPD回折計を用いて収集した。楕円状傾斜多層ミラーを使用して、試験体を通して検出器表面にCu Kα X線の焦点を合わせた。分析前に、ケイ素試験体(NIST SRM 640e)を分析し、Si 111ピークの観察位置が、NISTによる認証位置と一致していることを検証した。試料の試験体を、3μmの厚みのフィルムの間に挟んで、透過幾何学で分析した。ビームストップ、短い散乱防止エクステンション(short antiscatter extension)、散乱防止ナイフエッジを使用して、空気により発生するバックグラウンドを最小限にした。入射ビームおよび回折ビームに対するソラースリットを使用して、軸発散に起因する広がりを最小限にした。回折パターンは、試験体から240nmに位置する走査型位置高感度検出器(X’Celerator)およびデータ収集ソフトウェアv.2.2bを使用して収集した。各パターンのデータアクイジションパラメーターは、ミラーの前の発散スリット(DS)を含む、この報告書のデータ項目における画像の上に表示する。
【0090】
塩形態の形成および分析
[0098]化合物1は、特に溶液中で、非常に酸化され易いので、この化合物の安定な塩形態を生成するのは著しく困難であった。
【0091】
[0099]塩/共結晶のスクリーニングは、127種の条件下、20種の塩/共結晶共形成剤および7種の溶媒系を用いて行った。各条件に関しては、約20mgの化合物1を、ガラス製バイアル中で、選択した溶媒に分散させて、次に塩/共結晶共形成剤を加えた。スラリーの観察後に得られた固体の単離および分析を行った。ある結晶性固体が単離され、XRPDによって分析した場合でさえも、恐らく分解に伴う変色も観察された(表1)。塩のスクリーニング実験がもたらした特有のXRPDパターンをHPLC-UVによって分析し、分解物から主になるとすべて決定した。厳密な窒素雰囲気下で調製したアジピン酸の再調製およびスケールアップは、依然として、主に分解物を生じさせ、さらに探求することはしなかった。
【0092】
【表1】
【0093】
[00100]HBr塩を除くと、塩のスクリーニングは、分解のため、化合物1の新規形態に関するさらなる選択肢を特定することに成功しなかった。他のものより分解が少ないHCl塩および硫酸塩は、最初は、有望と判明したが、それらの生成の間の酸化を低減するため、さらなる技法が必要であった。例えば、結晶性塩への変換を促進するほど十分な溶解度をもたらすと同時に、化合物1の溶解度に制限がある溶媒系を、HCl塩および硫酸塩の形成に選択して酸化を制限した。しかし、この手法は、時間が掛かり、大規模での製造法には不都合である。また、相当物であるHBr塩は、酸素雰囲気下で安定であり、調製中または空気乾燥後に分解しなかったことから、そのような手法を必要としないことが判明した。
【0094】
[00101]プロセスの間、および以下にさらに詳細に記載されている通り、化合物1の一臭化水素塩とビス臭化水素塩のどちらも調製した。これらの形態のどちらも、調製中に分解しなかったが、一臭化水素塩は、対応するビス臭化水素形態よりも約2倍の量の水を吸収する。例えば、図8および16を参照されたい。実際に、ビス臭化水素塩は、5重量%以下の変化しか示さない。水分取り込みが一層高いことにより、保存可能期間の短縮、ならびに他の形態および/または分解への望ましくない変換がもたらされる恐れがあるので、上記のことは著しく有利である。
【0095】
結晶形態の形成および分析
[00102]異なる水分活性を有する様々な溶媒中、化合物1のアモルファス臭化水素塩を用いて開始したスラリー実験を行った。合計で5種の結晶性臭化水素塩形態(一HBr塩およびビスHBr塩両方)が見いだされ、形態A、形態B、形態C、形態Dおよび形態Eとして分類した。これらの5種の形態の各々の要約を以下に議論する。化合物1のアモルファス臭化水素塩は、その内容が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第9,266,886号において、化合物2に関して記載されている一般手順Bに準拠して調製した。
【0096】
[00103]これらの形態のなかで、化合物1のビス水素塩である結晶形態Dが、特に、他の4種の形態よりも有利であることを鑑みると、最も有用であることが分かった。まず、形態Dの水分取り込みは、他の形態よりも著しく少ない。例えば、形態D(図16)と形態A(図4)、形態B(図8)、および形態C(図12)とのDVS等温線プロットを比較されたい。
【0097】
[00104]次に、製造観点から、形態Dは、大規模で再現性があることが分かった。例えば、形態Aの調製中、生成した最初の物質は油状物であった。これは最終的に固体へと変換されたが、プラント操作の間に油状物段階を通過させるために、大規模での生成物形成に問題が生じる恐れがある。さらに、形態CおよびEに関すると、これらの形態は、プラントでのAPI生産にとって許容可能ではない残留アセトンを含んだ。
【0098】
[00105]最後に、形態Dは、高い融点を有する。これにより、製造、輸送および保管の間の安定性の付与が可能となる。5種の臭化水素塩形態の各々に関するより具体的な詳細は、以下の通りである。
【0099】
形態Aおよび形態B
[00106]化合物1のアモルファスHBr塩を、様々な溶媒中でスラリー形成させた。アモルファスHBr塩50mgを、酢酸エチル(EA)、エタノール(EtOH)、メチル-tert-ブチル-エーテル(MtBEまたはMTBE)、酢酸イソプロピル(IPAc)、メチルエチルケトン(MEK)およびメチルイソブチルケトン(MIBK)溶媒(約10体積分)中、10℃で20時間、懸濁させた。窒素保護下で、懸濁液から試料を採取し、50℃で10分間、乾燥した。残留固体はすべて、依然としてアモルファスであった。
【0100】
[00107]様々な水量の混合溶媒を試験した。50mgのアモルファスHBr塩を溶媒/水系に入れて、この懸濁液を10℃で2日間、再スラリー化(re-slurried)した。物質をろ過して、XRPDを湿潤状態のまま実施した。次に、この物質を50℃のオーブン中で10分間、乾燥し、乾燥固体をXRPDにより分析した。以下の表1aは、これらの研究結果を示す。イソプロパノールはIPAである。
【0101】
【表2】
【0102】
[00108]形態Aおよび形態Bはやはり、HBr塩形態の代わりに、アモルファス化合物1、すなわち遊離塩基形態から始めて調製することができる。この例では、形態Aは、ビス臭化水素塩であると決定し、形態Bは、一臭化水素塩であると決定した。それらの形成手順は以下の通りである。
【0103】
[00109]ビス臭化水素塩として同定された形態Aの場合、1gのアモルファス遊離塩基(すなわち、化合物1)を室温で、10体積分の酢酸エチルに溶解/懸濁した。次に、室温で、40%HBr/水溶液(0.66X;2.00当量)を滴下添加した。形態Aの種晶を加え、この混合物を10℃まで冷却して、一晩、スラリー形成させた。次に、この混合物をろ過して、室温で一晩、乾燥した。
【0104】
[00110]より大きな規模で形態Aの形成を確認するため、5gのスケールアップ実験を実施した。5gの形態Bを室温で反応器に投入した。10体積分のEA/水=97/3を室温で加え、次いで40%HBr/水溶液(0.2X;0.7当量)を室温で滴下添加した。形態Aの種晶を加え、10℃まで冷却した。Nを用いてこの系を保護し、この混合物を一晩、撹拌した。この混合物をろ過して、オーブン中、水と共に40℃で乾燥した。表2は、形態Aの典型的な試料の分析データを示す。臭素(Br)含有量は21.1%であり、したがって、ビス臭化水素塩であることを示す。IPAおよびEA含有量により、形態Aは、IPAの溶媒和物でもEAの溶媒和物でもないことを確認する。
【0105】
【表3】
【0106】
[00111]形態A(ビス塩)が、アモルファス遊離塩基、化合物1から直接得られた場合、精製は不満足であった。したがって、形態Aは、一臭化水素塩である形態Bから主に生成した。DVS走査により、形態Aが、90%RHにおいて、約20%の水を吸収することが示された。形態Aは、真空下、室温および50℃で化学的に安定である。しかし、ある程度の結晶化度が、50℃で失われた(XRPDパターンがわずかに変化した)。同様に、塩形成手順の間に、この物質は、油状物に転換され、次いで固体(形態A)に変換される。
【0107】
[00112]一臭化水素塩として同定された形態Bの場合、1gのアモルファス遊離塩基(すなわち、化合物1)を室温で、10体積分のイソプロパノールに溶解/懸濁した。35%HBr/AcOH(0.48X、1.15当量)を室温で反応器に滴下添加した。形態Bの種晶を加え、この混合物を10℃まで冷却して、一晩、スラリー形成させた。次に、この混合物をろ過して、室温で一晩、乾燥した。
【0108】
[00113]遊離塩基の化合物1から一臭化水素塩形態Bを生成することができることを確認するため、スケールアップ実験を行った。5gの遊離塩基を、室温で10体積分のIPA/3%の水中に溶解/懸濁させた。35%HBr/AcOH(0.48X、1.15当量)を室温で反応器に滴下添加した。形態Bの種晶を加え、この混合物を10℃まで冷却した。この混合物をNで保護し、一晩、スラリー形成させた。この混合物をろ過して、50℃で5時間、乾燥した。表3は、形態Bの典型的な試料の分析データを示している。表3において示されている通り、IPA含有量は約4%である。50℃でこの固体を乾燥した後、この固体は、アモルファスに変換され、IPA含有量は、3800pmまで低減された。したがって、形態Bは、IPA溶媒和物である可能性がある。形態B固体の臭素含有量(または変換に由来するアモルファス形態)は12%である。このことから、形態B(またはアモルファス)固体が一塩であり、安定な構造ではない(変換による)ことが確認される。DVS走査により、形態Bは、90%RHにおいて、約10%の水を吸収することが示された。
【0109】
【表4】
【0110】
[00114]形態Aおよび形態Bに関する代表的なXRPDピークが、以下の表4および表5に提示される。
【0111】
【表5】
【0112】
【表6】
【0113】
形態Cおよび形態E
[00115]上で説明した通り、形態Aに関する結晶化実験中に、この物質は、最初に、油状物へと変換された。数時間、油状物をスラリー形成させた後に、この油状物は、固体へと徐々に変換された。ここで課題を決定しなかったが、プラント中での操作のために、油状物段階に経由すると、大規模での生成物形成に問題が生じる恐れがあった。この潜在的な問題を克服するため、新しいな形態である形態Cの知見に最終的に至る他の溶媒系を探索した。
【0114】
[00116]これらの実験では、100mgの一臭化水素塩形態Bを室温で反応器に投入した。この反応器に、10体積分のアセトン/水=97/3;DCM/水=97/3;EtOH/水=97/3;またはACN/水=97/3を室温で加えた。40%HBr/水溶液を室温で滴下添加した(全HBr量を2.0モル当量にするため)。ビス臭化水素塩である形態Aの種晶を加え、この混合物を5℃まで冷却して、一晩、スラリー形成させた。これらの結果が、以下の表6に示される。
【0115】
【表7】
【0116】
[00117]上で示した通り、EtOH/水系またはアセトニトリル/水系から固体は生成しなかった。DCM/水系は、ビス塩(形態A)を生成したが、この実験はやはり、油状物を経由した。アセトン/水系は、新しい形態(形態Cと呼ぶ)を生成すると同時に、オイルアウトの問題なしに結晶化させた。一旦、特定すると、形態Cの形成を以下の通り最適化した。
【0117】
[00118]形態Cの場合、1gのアモルファス一臭化水素塩形態Bを室温で反応器に投入する。室温で、10体積分のアセトン/水=97/3を添加し、次いで40%HBr/水溶液を滴下添加する(全HBr量を2.0モル当量にするため)。形態Cの種晶を加え、この混合物を5℃まで冷却し、2~3時間、スラリー形成させた。この混合物を、50℃で一晩、乾燥する。
【0118】
[00119]形態Eの場合、1gのアモルファス一臭化水素塩形態Bを反応器に投入する。この反応器に室温で、10体積分のアセトンを添加し、次いで室温で40%HBr/水溶液を滴下添加する(全HBr量を2.0モル当量にするため)。形態Eの種晶を加え、この混合物を5℃まで冷却し、一晩、撹拌して、次に、50℃で一晩、乾燥する。
【0119】
[00120]形態CのDVS走査により、この固体は90%RHにおいて、9%の水を吸収することが示された。形態CおよびEの湿潤ケーキを50℃で乾燥した後、一部の褐色/黒色粒子が、乾燥済みケーキの表面に見られた。褐色/黒色粒子は、乾燥手順を最適化(より低い乾燥温度、およびNの保護)することにより回避され得るが、この乾燥手順により、残留アセトンは完全に除去されなかった(固体中の残留アセトン>2.4%)。例えば、以下の表7を参照されたい。褐色/黒色粒子、および残留アセトンの問題のために、形態CまたはE(アセトン/水系)をAPI生成用の最終形態として選択しなかった。
【0120】
【表8】
【0121】
[00121]典型的な形態C試料の分析データを表8に示す。固体の臭素含有量は、全体として、17.8%~22.4%である。形態Cは、DSC走査時に、50~100℃の間に幅広い吸熱を有しており、TGA走査により、この温度範囲では2.3%の重量減少となることを示す。DVS走査により、この固体は、90%RHにおいて、9%の水を吸収することがやはり示された。
【0122】
【表9】
【0123】
[00122]典型的な形態E試料の分析データを表9に示す。
【0124】
【表10】
【0125】
[00123]形態Eに関する代表的なXRPDピークが、以下の表10に提示される。
【0126】
【表11】
【0127】
形態D
[00124]形態Dを調製するため、1gのアモルファス一臭化水素塩形態Bを反応器に投入する。固体が完全に溶解するまで、室温で5体積分のMeOHを加える。室温で40%HBr/水溶液(1.2当量)、次いで8~9体積分のMtBE、および種晶を加える。この混合物を30分間~1時間、保持し、30分/5~6時間(2つの個別の実験;速い/遅い冷却速度)で5℃まで冷却し、一晩、スラリー形成させた。2~3時間で、14~15体積分のMtBEを加え、この混合物を2~3時間スラリー形成させて、ろ過し、次に、45℃で乾燥する。
【0128】
[00125]形態Dのスケールアップは、以下の通り行った。2gのアモルファス一塩形態Bを室温で反応器に投入する。5体積分のMeOHを加え、この固体が完全に溶解するのを確実にした。室温で、40%HBr/水溶液(1.2当量)、次いで、種晶を加えながら、13体積分のMtBE(最初に4体積分、および種晶、次いで、2体積分および種晶、次いで2体積分および種晶など)を滴下添加した。この混合物を30分間、スラリー形成させて、2時間で5℃まで冷却し、一晩、スラリー形成させて、2~3時間で10体積分のMtBEを加え、この混合物を週末にかけてスラリー形成させた。次に、この混合物をろ過して60℃および室温で5時間、乾燥した。結果が表11に示される。
【0129】
【表12】
【0130】
[00126]形態Dはまた、アセトン/水(1:1v/v)を含むスラリー実験において、化合物1のアモルファスビス臭化水素塩形態からも単離することができる。例えば、アセトン/水(1:1v/v)中のアモルファスビス臭化水素塩形態の飽和溶液を周囲で(at ambient)1週間、スラリー形成させて、固体を収穫して形態Dを得た。アセトンおよび水の等量混合物の水分活性(a)は、0.91である。07/23/2015付けのSSCI内部報告書であるUNIFAC計算機、SR-20150515.01を使用する水分活性計算を参照されたい。溶媒不含の多形を考慮した場合、2種の多形の相対的な熱力学的安定性は、所与の温度および圧力におけるGibbs自由エネルギーの差異によって決定される。しかし、水和物形態が考慮される場合、溶媒中の水分活性が、相対的な物理的安定性、したがって生じた形態に寄与する。Qu H、Louhi-Kultanen M、Kallas J。Solubility and stability of anhydrate/hydrate in solvent mixtures。Int J Pharm.2006;321:101~107ページ、およびZhu H、Grant DJW。Influence of water activity in organic solvent+water mixtures on the nature of the crystallizing drug phase。2.Ampicillin.Int J Pharm.1996;139:33~43ページを参照されたい。この結果は、水和物としての形態Dと一致しており、水和物が、a=0.91において安定であることを示している。
【0131】
[00127]形態Dに関する代表的なXRPDピークが、以下の表12に提示される。
【0132】
【表13】
【0133】
2工程形成
[00128]形態Dに到達する2工程形成が、以下のスキーム5に示される。中間体2は、その内容が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第9,266,886号における一般手順Bに準拠して調製した。
【0134】
【化14】
【0135】
[00129]ジクロロメタンに中間体2を懸濁し、アミンが、ジイソプロピルエチルアミンによる処理によって遊離する。この溶液を-50℃まで冷却し、続いて、NaBH(OAc)およびアルデヒドで処理する。還元アミノ化反応が完了した後、ビス臭化水素を以下の一連の操作によって単離する。3のジクロロメタン溶液を酢酸で酸性にし、活性炭で処理してろ過する。溶媒をイソプロパノールに変更する。40%水性HBr(1.4当量)の添加、10~15℃への冷却、種晶添加、および熟成の継続により、一HBr塩が得られる。この物質を遠心分離により単離し、真空中で30~45℃で乾燥した。次に、一HBr塩をメタノールに溶解し、1.1当量の40%水性HBrを添加し、次に、種晶を加え、次いでMTBEおよび水を添加することにより、一HBr塩をビスHBr塩に変換する。このビスHBr塩をろ過により単離し、真空中で30~45℃で乾燥する。最終生成物は、MeBrに由来する混入物(実験室規模では、約40ppm以上であり、100グラム以上のプラント生産では約227ppm以上である)を有するビス臭化水素塩形態Dとして単離される。
【0136】
[00130]多数の試みおよび様々な条件の後に、1%の水を含有する酢酸イソプロピルからビス臭化水素塩形態Dを室温でスラリー形成させると、検出可能な量の臭化メチルを含まない、ビス臭化水素塩形態Dを効果的に生成することが見いだされた。ヘプタンと水とを組み合わせると、臭化メチルがやはり除去されたが、この組合せをさらに探求することはしなかった。これらの結論に至った実験のまとめを以下に提示する。
【0137】
[00131]これまでの研究に基づくと、残留MeBrは、MeOH/MTBE/HO=1.75V/12V/0.15Vからの再結晶化により効果的に除去することができた。しかし、MeOHが化合物1に含まれるHBrと反応する可能性があるという潜在的なリスクを考慮して、MTBEを唯一の再スラリー化用溶媒として試した。2つの反応を異なるN雰囲気下で実行した:約30~35℃で96時間、撹拌し、残留MeBrは、それぞれ、65ppmおよび40ppmであった。表13を参照されたい。20VのMTBEを用いて約30~35℃で116時間、再スラリー化した後に、どちらの反応物中の残留MeBrも50ppm未満に減少した。
【0138】
【表14】
【0139】
[00132]次に、開発した精製法をパイロットプラントでの研究で行ったが、残留MeBrが227ppmであったので、失敗した(限界:残留MeBr≦40ppm)。このために、他の溶媒(DCM、IPAcおよびn-ヘプタン)を試した。検討の後、DCMは、結晶形態が変化したので良好な選択ではない一方、結晶形態は、約20~30℃で3日間、IPAcまたはn-ヘプタン中で撹拌した後に、形態Dと依然として一致したままであることが分かった。したがって、残留MeBrをどのように除去するかに関する研究を、IPAcおよびn-ヘプタン中で行った。表14を参照されたい。MeBrを除去(emoving)する効果は、23時間、撹拌した後に差異はなかった(n-ヘプタン:148ppm;IPAc:153ppm)。しかし、ビス臭化水素塩形態Dの溶解度は、n-ヘプタン中での溶解度よりもわずかに高いので、IPAcを再スラリー化用溶媒として選択した。化合物1のビス臭化水素結晶形態Dに関するNMRデータは、以下の通りある:1H NMR (500 MHz, CD3OD): δ 9.12 (s, 1H), 9.11 (s, 1H), 8.57 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 8.37 (s, 1H), 7.97 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 5.22 (d, J = 16 Hz, 1H), 4.89 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 4.85 (s, 2H), 4.77 (d, J = 17.5 Hz, 1H), 3.42 (m, 2H), 3.37 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 2.54 (m, 1H), 2.17 (m, 1H), 2.04 (m, 5H), 1.45 (m, 2H), 1.33 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 1.28 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 1.23 (m, 2H), 1.11 (d, J = 6.5 Hz, 3H)。
【0140】
【表15】
【0141】
[00133]IPAc/水の混合物に関する水の量に及ぼす影響を研究するため、IPAc中の様々な含有量の水を用いる反応を行った(0.25%、0.5%、1.0%、2.0%)。水は、MeBrの除去効率を改善することができること、および最良結果は、1.0%の水を使用した場合に得られることが分かった(表15、項目3、残留MeBrは、6時間の撹拌後、40ppm未満となった)。XRPDは一致した。
【0142】
【表16】
【0143】
[00134]過剰の臭化メチルの問題の解決により、2工程法の別の欠点を解決した。すなわち、2工程法は塩化メチレンを還元アミノ化手順の溶媒としてやはり用いた。大規模製造時には、これは、空気および水の品質規制のため、厳密な制御を必要とすると思われる。これらの障害を克服するため、化合物1の遊離塩基から直接、ビス臭化水素塩形態Dを得る1工程手法を実現した。
【0144】
1工程形成
[00135]用いた1工程手法が、以下のスキーム6に示される。中間体2は、米国特許第9,266,886号の一般手順Bに準拠してやはり調製した。
【0145】
【化15】
【0146】
[00136]典型的な、反応は以下の通りに進行させることができる。113.6リットル(30ガロン)の反応器に、2(5.12kg、9.2mol、1.0当量)を加えた。カルボイに、エタノール(27.3L、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(STAB)に対して7体積分)およびDIPEA(3.57kg、27.6mol、2に対して3当量)を投入した。撹拌しないで、2を含む反応器に、DIPEA/EtOHの溶液を加えた。反応器中に形成したアミン塩酸塩の濃厚物(cloud)のためにスラリーと見極めるのが困難となり、そこで、この濃厚物がなくなるまで、このバッチを撹拌することなく静置した。35分後に、この濃厚物は消失し、この混合物を穏やかに撹拌した。1時間で、固体は溶解した。このバッチを10℃で一晩、穏やかに撹拌し、次に、2を反応器からカルボイに排出した。
【0147】
[00137]ジャケットを備えるこの反応器に、STAB(3.91kg、18.4mol、2当量)およびDIPEAの事前作製溶液(2.383kg、18.4mol、2当量)およびエタノール(27.2L、STABに対して7体積分)を-5℃で投入した。この混合物を20分間かけて、0℃まで冷却した。DIPEA/EtOH中の2の溶液を27分間かけて、次いで、IPAc中の遊離アルデヒド溶液を45分間かけて加えた。アルデヒド添加中の最大温度は、3.7℃であった。この混合物を1時間、撹拌し、反応の完了を見るためにサンプリングした。
【0148】
[00138]この反応を1N HCl(31.2L、STABに対して8体積分)を33分間かけて添加することによりクエンチした。この添加の間に、温度は11℃まで上昇した。このクエンチの間に固体が溶解し、この溶液を1時間、撹拌した。クエンチした反応物を、378.5リットル(100ガロン)の10℃に設定したジャケットを備えるガラスライナー付き反応器Pfaudlerに移した。この378.5リットル(100ガロン)の反応器に、1N NaOH溶液(31.2L、STABに対して8体積分)を投入した。この添加の後、pHは、約5から約6に上昇し、固体が沈殿した。遊離塩基スラリーを都合上、約10℃で一晩、撹拌した。次に、気密織布を装備した圧力フィルターにこのバッチを移した。最初のろ過は、断続的に撹拌しながら行い、このバッチを約4時間で脱液した。反応器およびフィルターケーキをDI水(2×16L)および1:1エタノール/DI水(16L)を用いて洗浄した。この洗浄は、それぞれ約30分間、かかった。この湿潤ケーキを55.2KPa(8psi)ゲージ圧の窒素下で2時間、条件を整え、次に、ジャケット温度35℃で乾燥した。乾燥をKF分析によりモニタリングした。この湿潤ケーキは、21%の水を含有し、払い出す前の乾燥ケーキは、5.4%の水分であった。収量は、4.97kg(98%)であった。この生成物のHPLC分析は、99.7面積%であった。NMR重量アッセイは、90.8重量%(図23)であり、最終のKF分析は、4.7%の水分であった。遊離塩基の強熱残分(ROI)分析により、この生成物は、0.2%の残留無機物を有することが示された。
【0149】
[00139]次に、例えば、遊離塩基(0.8026g)を酢酸(2体積分、1.6052ml)に接触させて、この混合物を250RPMで撹拌して30℃に加熱することにより、この物質をビス臭化水素塩に変換することができる。次に、48%HBr溶液(0.3438ml、2.1当量)を9分間かけて、滴下添加する。次に、MEK(4.816ml、6体積分)を50分間かけて加え、この反応物にビス臭化水素塩形態Dの種晶を加える。MEK(8.000ml、10体積分)を2mLで、5分ごとにゆっくりと加える。次に、この混合物を1時間かけて5℃まで冷却し、ろ過してMEK(2x3.21ml)ですすぎ、40℃の真空オーブン中で21時間、乾燥すると、ビス臭化水素の結晶塩形態E、DおよびFの混合物が得られる。この手順もまた、2.5kg規模で完了した。これらの形態を、さらに特徴付けることはしなかった。酢酸/MEK(または酢酸/アセトン)の混合物により、生成物がオイルアウトすること、およびMeBrが生成することが防止されることに留意すべきである。単一結晶形態を得るため、1%の水を含む酢酸イソプロピル中で形態の混合物をスラリー形成させて、これにより、ビス臭化水素塩形態Dが、98%収率および>99%面積%純度で得られた。
【0150】
代替形成
[00140]代替として、1工程法および2工程法の一部をやはり組み合わせることができる。例えば、残留臭化メチルを除去するIPAc/水の再スラリー化手順を、2段階法に由来する一臭化水素塩およびビス臭化水素塩形態の両方の生成物形成に使用することができる。還元アミノ化のための溶媒は、塩化メチレンの代わりにやはりEtOHとすることができ、塩基はiPrNetとすることができる。代表的な手法が、以下のスキーム3に示される。
【0151】
【化16】
【0152】
[00141]例えば、EtOH/DIPEA条件を使用して、一臭化水素生成物を形成させる大規模法は、以下の通りとした。化合物3は、上記の手順に準拠して作製することができる。そこから、113.6リットル(30ガロン)のガラスライナー付き反応器Pfaudlerに、遊離塩基3(4.959kg、8.97mol、1.0当量)およびイソプロパノール(49.5L、10体積分)を投入した。酢酸(1.49L、0.3体積分)を撹拌混合物に投入した。水性臭化水素酸(48%、1.664kg、9.87mol、1.1当量)を16分間かけて混合物に加え、この混合物を室温で32分間、撹拌した。次に、48分間かけて、このバッチを40℃に加温した。この時点で、固体は観察されなかった。5時間かけて、このバッチを6.7℃まで冷却した。結晶化は、1.5時間の冷却後(10.6℃)に気づいた。このバッチを、都合上、5℃で一晩、撹拌した。標準織布を装備した圧力フィルターに、この濃厚なスラリーを移した。このバッチを1時間で、脱液した。反応器およびフィルターケーキを、IPA(2×17.5Lを用いて洗浄した。湿潤ケーキを撹拌すると、球状になり、そこで、30℃のジャケットで、窒素圧力下で一晩、条件を整えた。このバッチの一部を一晩、溶融し、布に通した。フィルターを開放し、残留物をフィルターからかき出し、これはある程度の困難さを伴った。残留物を35℃の真空オーブン中で、トレイ乾燥した。このバッチは、22時間で完全に乾燥したが、この物質は、乳棒を用いて砕く必要があった。収量は、4.556kg(80%)であった。KF分析により、この物質は、2.97%の水を有することが示された。この物質の滴定により、HBr含有率は11.4%であった。HPLC分析は、99.8面積%であり、NMR重量アッセイは、91.7重量%であった(図24)。XRPD分析は、以前のバッチにおいて観察された形態Bと一致した。図25を参照されたい。次に、上記の手順に従い、ビス臭化水素塩への変換を起こすことができる。
【0153】
[00142]本発明者らは、このいくつかの実施形態を記載しているが、本発明者らの基本的な実施例は、本開示の化合物および方法を利用する他の実施形態を提供するために改変されてもよいことは明らかである。したがって、本開示の範囲は、例として表されている具体的な実施形態によってよりもむしろ、添付の特許請求の範囲によって定義されることが理解されよう。
【0154】
[00143]本出願全体を通じて引用されているすべての参照物(参照文献、交付特許、公開特許出願、および同時係属特許出願を含む)の内容は、本出願により、参照によってそれらの全体が、本明細書に明示的に組み込まれる。特に定義されていない限り、本明細書において使用されているすべての技術用語および科学用語は、当業者に一般に公知の意味と一致する。
発明の態様
[態様1]>95%の純度を有する、以下の式:
【化17-1】
を有する一臭化水素塩。
[態様2]>95%の純度を有する、以下の式:
【化17-2】
を有するビス臭化水素塩。
[態様3]ビス臭化水素塩が結晶性であり、結晶形態が、結晶形態A、C、DまたはEである、態様2に記載のビス臭化水素塩。
[態様4]結晶形態が、14.90°、20.28°、20.70°、22.00°、23.34°および26.46°から選択される2θの角度における、少なくとも3本のX線粉末回折ピークを特徴とする、態様3に記載の結晶形態A。
[態様5]結晶形態が、14.90°、20.28°、20.70°、22.00°、23.34°および26.46°から選択される2θの角度における、少なくとも4本のX線粉末回折ピークを特徴とする、態様3または4に記載の結晶形態A。
[態様6]結晶形態が、14.90°、20.28°、20.70°、22.00°、23.34°および26.46°から選択される2θの角度における、少なくとも5本のX線粉末回折ピークを特徴とする、態様3から5のいずれかに記載の結晶形態A。
[態様7]結晶形態が、14.90°、20.28°、20.70°、22.00°、23.34°および26.46°での2θの角度におけるX線粉末回折ピークを特徴とする、態様3から6のいずれかに記載の結晶形態A。
[態様8]結晶形態が、20.28°、20.70°、23.18°、23.34°、25.24°および26.46°から選択される2θの角度における、少なくとも3本のX線粉末回折ピークを特徴とする、態様3に記載の結晶形態C。
[態様9]結晶形態が、20.28°、20.70°、23.18°、23.34°、25.24°および26.46から選択される2θの角度における、少なくとも4本のX線粉末回折ピークを特徴とする、態様3または8に記載の結晶形態C。
[態様10]結晶形態が、20.28°、20.70°、23.18°、23.34°、25.24°および26.46から選択される2θの角度における、少なくとも5本のX線粉末回折ピークを特徴とする、態様3、8および9のいずれかに記載の結晶形態C。
[態様11]結晶形態が、20.28°、20.70°、23.18°、23.34°、25.24°および26.46°での2θの角度におけるX線粉末回折ピークを特徴とする、態様3および8から10のいずれかに記載の結晶形態C。
[態様12]結晶形態が、14.24°、15.24°、15.90°、18.54°、18.82°および22.46°から選択される2θの角度における、少なくとも3本のX線粉末回折ピークを特徴とする、態様3に記載の結晶形態D。
[態様13]結晶形態が、14.24°、15.24°、15.90°、18.54°、18.82°および22.46°から選択される2θの角度における、少なくとも4本のX線粉末回折ピークを特徴とする、態様3または12に記載の結晶形態D。
[態様14]結晶形態が、14.24°、15.24°、15.90°、18.54°、18.82°および22.46°から選択される2θの角度における、少なくとも5本のX線粉末回折ピークを特徴とする、態様3、12および13のいずれかに記載の結晶形態D。
[態様15]結晶形態が、14.24°、15.24°、15.90°、18.54°、18.82°および22.46°での2θの角度におけるX線粉末回折ピークを特徴とする、態様3および12から14のいずれかに記載の結晶形態D。
[態様16]結晶形態が、4.1°、8.3°、12.70°、16.64°、16.98°および21.32°から選択される2θの角度における、少なくとも3本のX線粉末回折ピークを特徴とする、態様3に記載の結晶形態E。
[態様17]結晶形態が、4.1°、8.3°、12.70°、16.64°、16.98°および21.32°から選択される2θの角度における、少なくとも4本のX線粉末回折ピークを特徴とする、態様3または16に記載の結晶形態E。
[態様18]結晶形態が、4.1°、8.3°、12.70°、16.64°、16.98°および21.32°から選択される2θの角度における、少なくとも5本のX線粉末回折ピークを特徴とする、態様3、16および17のいずれかに記載の結晶形態E。
[態様19]結晶形態が、4.1°、8.3°、12.70°、16.64°、16.98°および21.32°での2θの角度におけるX線粉末回折ピークを特徴とする、態様3および16から18のいずれかに記載の結晶形態E。
[態様20]結晶形態が溶媒和物である、態様3から19のいずれかに記載の結晶形態A、C、DまたはE。
[態様21]結晶形態が水和物である、態様3から20のいずれかに記載の結晶形態A、C、DまたはE。
[態様22]一臭化水素塩が結晶性であり、結晶形態が結晶形態Bである、態様1に記載の一臭化水素塩。
[態様23]結晶形態が、5.24°、7.98°、12.12°、19.42°、21.18°および21.52°から選択される2θの角度における、少なくとも3本のX線粉末回折ピークを特徴とする、態様22に記載の結晶形態B。
[態様24]結晶形態が、5.24°、7.98°、12.12°、19.42°、21.18°および21.52°から選択される2θの角度における、少なくとも4本のX線粉末回折ピークを特徴とする、態様22または23に記載の結晶形態B。
[態様25]
結晶形態が、5.24°、7.98°、12.12°、19.42°、21.18°および21.52°から選択される2θの角度における、少なくとも5本のX線粉末回折ピークを特徴とする、態様22から24のいずれかに記載の結晶形態B。
[態様26]結晶形態が、5.24°、7.98°、12.12°、19.42°、21.18°および21.52°の2θの角度におけるX線粉末回折ピークを特徴とする、態様22から25のいずれかに記載の結晶形態B。
[態様27]結晶形態がイソプロパノール溶媒和物である、態様22から26のいずれかに記載の結晶形態B。
[態様28]態様1から27に記載の臭化水素塩のいずれか1つ、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
[態様29]対象におけるRORγの発現に関連する疾患または障害を処置する方法であって、対象に態様1から27に記載の臭化水素塩のいずれか1つ、または態様28に記載の組成物を投与する工程を含む方法。
[態様30]疾患または障害が、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支炎、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、ざ瘡、嚢胞性線維症、同種移植拒絶、多発性硬化症、強皮症、関節炎、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、骨関節炎、強直性脊椎炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、乾癬、橋本病、すい臓炎、自己免疫性糖尿病、I型糖尿病、自己免疫性眼疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、限局性腸炎、炎症性腸疾患(IBD)、炎症性腸症候群(IBS)、シェーグレン症候群、視神経炎、肥満、脂肪肝、脂肪組織関連炎症、インスリン抵抗性、II型糖尿病、視神経脊髄炎、重症筋無力症、加齢性黄斑変性症、ドライアイ、ブドウ膜炎、ギランバレー症候群、乾癬、乾癬性関節炎(PsA)、ステロイド抵抗性喘息、グレーブス病、強膜炎、大うつ、季節性情動障害、PTSD、双極性障害、自閉症、てんかん、アルツハイマー病、睡眠および/または概日リズムの変化に伴うCNS障害、子宮内膜症、閉塞型無呼吸症候群(OSAS)、ベーチェット病、皮膚筋炎、多発性筋炎、移植片対宿主病、原発性胆汁性肝硬変、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、サルコイドーシス、原発性硬化性胆管炎、自己免疫性甲状腺疾患、I型多腺性自己免疫症候群、II型多腺性自己免疫症候群、セリアック病、神経脊髄炎、若年性特発性関節炎、全身性硬化症、心筋梗塞、肺高血圧症、骨関節炎、皮膚リーシュマニア症、副鼻腔ポリープおよびがんから選択される、態様29に記載の方法。
[態様31]疾患または障害が、喘息、アトピー性皮膚炎、ざ瘡、クローン病、限局性腸炎、潰瘍性大腸炎、シェーグレン症候群、ブドウ膜炎、ベーチェット病、皮膚筋炎、多発性硬化症、強直性脊椎炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、強皮症、乾癬、乾癬性関節炎(PsA)、ステロイド抵抗性喘息および関節リウマチから選択される、態様30に記載の方法。
[態様32]化合物1の一臭化水素塩を形成させる方法であって、
i)以下の構造式:
【化17-3】
によって表されるアルデヒド化合物を、以下の構造式:
【化17-4】
によって表されるアミン化合物を用いて還元アミノ化する工程であって、
還元アミノ化がイミン還元剤の存在下で行われ、化合物1:
【化17-5】
が形成される、工程、
ii)化合物1の形成後、十分な臭化水素酸を添加して、以下の式:
【化17-6】
を有する化合物1の一臭化水素塩を形成させる工程、および
iii)化合物1の一臭化水素塩を単離する工程
を含む方法。
[態様33]工程ii)において、臭化水素酸を添加する前に、化合物1をイソプロパノールと酢酸との混合物に溶解する、態様32に記載の方法。
[態様34]工程ii)において、化合物1の一臭化水素塩を、臭化水素酸の添加により沈殿させる、態様32または33に記載の方法。
[態様35]アミン化合物が、アミンの酸塩形態を第三級アミン塩基で処理することによってinsituで形成される、態様32から34のいずれかに記載の方法。
[態様36]アミンが、アミンの二塩酸塩形態をジイソプロピルエチルアミンで処理することによってinsituで形成される、態様32から35のいずれかに記載の方法。
[態様37]iv)溶媒中に単離した化合物1の一臭化水素塩を溶解して、MTBE溶液および十分な量の臭化水素酸に添加して、以下の式:
【化17-7】
を有する化合物の結晶形態Dであるビス臭化水素塩を形成させる工程をさらに含む、態様32から36のいずれかに記載の方法。
[態様38]溶媒がMeOHである、態様37に記載の方法。
[態様39]臭化水素酸の前記十分な量が、1~2重量当量の35%~55%臭化水素酸、または酢酸中の35%~55%臭化水素を含む、態様32から38のいずれかに記載の方法。
[態様40]イミン還元剤がトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムである、態様32から39のいずれかに記載の方法。
[態様41]ビス臭化水素塩が、14.24°、15.24°、15.90°、18.54°、18.82°および22.46°から選択される2θの角度における、少なくとも3本のX線粉末回折ピークを特徴とする結晶形態Dのものである、態様37から40のいずれかに記載の方法。
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