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特許7229998ホットメルト接着性糸を用いた編み組み布スリーブおよびその構築の方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】ホットメルト接着性糸を用いた編み組み布スリーブおよびその構築の方法
(51)【国際特許分類】
   D04C 1/06 20060101AFI20230220BHJP
   D01F 8/04 20060101ALI20230220BHJP
   D02G 3/04 20060101ALI20230220BHJP
   D02G 3/36 20060101ALI20230220BHJP
   D04C 1/02 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
D04C1/06 Z
D01F8/04 Z
D02G3/04
D02G3/36
D04C1/02
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2020504194
(86)(22)【出願日】2018-07-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-01
(86)【国際出願番号】 US2018043796
(87)【国際公開番号】W WO2019023408
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-06-30
(31)【優先権主張番号】16/045,521
(32)【優先日】2018-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/538,548
(32)【優先日】2017-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503170721
【氏名又は名称】フェデラル-モーグル・パワートレイン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】FEDERAL-MOGUL POWERTRAIN LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福山 省三
【審査官】鈴木 祐里絵
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-511801(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0083627(US,A1)
【文献】特開平10-276606(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0030012(US,A1)
【文献】米国特許第04500590(US,A)
【文献】特表2017-524078(JP,A)
【文献】特表2017-532939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B11/16
15/08-15/14
C08J5/04-5/10
5/24
D01F8/00-8/18
D02G1/00-3/48
D02J1/00-13/00
D03D1/00-27/18
D04C1/00-7/00
D04G1/00-5/00
D06M13/00-15/715
D07B1/00-9/00
F16L9/00-11/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
編み組み保護スリーブであって、
継ぎ目のない周方向に連続した管状の編み組み壁を備え、前記壁は、対向端の間に中央長手方向軸に沿って長さ方向に延在する空洞を有し、前記壁は、編み合わされた糸の複数の端を有し、前記糸の少なくとも1つは芯と外側鞘とを含む複合糸を含み、前記外側鞘は、前記芯を融解することなく選択的に融解されて、前記空洞を通って延在する細長い部材に前記壁を結合するように適合され、前記外側鞘の厚みは約0.3-0.8mmの間である、編み組み保護スリーブ。
【請求項2】
前記芯は、約0.20-0.30mmの間の径を有する単繊維である、請求項1に記載の編み組み保護スリーブ。
【請求項3】
前記外側鞘の厚みは前記芯の径の少なくとも2倍である、請求項2に記載の編み組み保護スリーブ。
【請求項4】
前記外側鞘の厚みは前記芯の径の少なくとも3倍である、請求項3に記載の編み組み保護スリーブ。
【請求項5】
前記外側鞘の厚みは前記芯の径の少なくとも4倍である、請求項4に記載の編み組み保護スリーブ。
【請求項6】
前記芯は、約800-1250の間のデニールを有するマルチフィラメントである、請求項1に記載の編み組み保護スリーブ。
【請求項7】
前記糸の複数の端は、前記複合糸および非複合糸を約1:4のそれぞれの比率で含む、請求項1に記載の編み組み保護スリーブ。
【請求項8】
前記複合糸の端の数対前記非複合糸の端の数は、1:4の比率以下である、請求項7に記載の編み組み保護スリーブ。
【請求項9】
前記非複合糸は、前記外側鞘よりも融解温度が高い単繊維である、請求項7に記載の編み組み保護スリーブ。
【請求項10】
前記非複合糸は、前記外側鞘よりも融解温度が高いマルチフィラメントである、請求項7に記載の編み組み保護スリーブ。
【請求項11】
前記外側鞘は、約20-40mmの間の軸方向長さを有する少なくとも1つの結合ジョイントにわたって融解されかつ固化される、請求項1に記載の編み組み保護スリーブ。
【請求項12】
前記外側鞘は、約20-30mmの間の軸方向長さを有する少なくとも1つの結合ジョイントにわたって融解されかつ固化される、請求項11に記載の編み組み保護スリーブ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの結合ジョイントは複数の結合ジョイントを含み、前記複数の結合ジョイントの別個の1つは前記対向端に隣接して延在する、請求項11に記載の編み組み保護スリーブ。
【請求項14】
前記複数の結合ジョイントは1対の結合ジョイントしか含まず、前記1対の結合ジョイントの間に軸方向に延在する前記壁の全領域には結合ジョイントがないままである、請求項13に記載の編み組み保護スリーブ。
【請求項15】
保護スリーブを構築する方法であって、
糸の複数の端を用いて、対向端の間に中央長手方向軸に沿って長さ方向に延在する空洞を有する、継ぎ目のない周方向に連続する管状壁を編み組むことを備え、糸の前記端のうち1つは芯と外側鞘とを含む複合糸を含み、前記外側鞘は、前記芯を融解することなく選択的に融解されて、前記空洞を通って延在する細長い部材に前記壁を結合するように適合され、前記外側鞘の厚みは約0.3-0.8mmの間である、方法。
【請求項16】
前記芯を約0.20-0.30mmの間の径を有する単繊維として設けることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
厚みが前記芯の前記径の少なくとも2倍である前記外側鞘を設けることをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
厚みが前記芯の前記径の少なくとも3倍である前記外側鞘を設けることをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
厚みが前記芯の前記径の少なくとも4倍である前記外側鞘を設けることをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記芯を約800-1250の間のデニールを有するマルチフィラメントとして設けることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記複合糸および非複合糸を約1:4のそれぞれの比率で含む糸の前記複数の端を設けることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記複合糸の端の数対前記非複合糸の端の数を1:4の比率以下で設けることをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記非複合糸を前記外側鞘よりも融解温度が高い単繊維として設けることをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記非複合糸を前記外側鞘よりも融解温度が高いマルチフィラメントとして設けることをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記外側鞘の融解されかつ固化された材料から形成される少なくとも1つの結合ジョイントを有する前記壁を設けることをさらに含み、前記少なくとも1つの結合ジョイントは約20-40mmの間で延在する軸方向長さを有する、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
前記外側鞘の融解されかつ固化された材料で形成される少なくとも1つの結合ジョイントを有する前記壁を設けることをさらに含み、前記少なくとも1つの結合ジョイントは約20-30mmの間で延在する軸方向長さを有する、請求項15に記載の方法。
【請求項27】
複数の前記結合ジョイントを有する前記壁を設けることをさらに含み、前記結合ジョイントの別個の1つは前記スリーブの前記対向端に隣接して延在する、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
1対の結合ジョイントしか含まない前記複数の結合ジョイントを設けることと、前記1対の結合ジョイントの間に軸方向に延在する前記壁の全領域を結合ジョイントがないままとなるように設けることとをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
この出願は、2017年7月28日に出願された米国仮出願連続番号第62/538,548号および2018年7月25日に出願された米国実用新案出願連続番号第16/045,521号の利益を主張し、その全体を本明細書中に引用により援用する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
1.技術分野
この発明は概して、布スリーブ、より特定的にはホットメルト接着性糸を含む編み組み布スリーブに関する。
【0003】
2.関連技術
束ねたり引き回したりする目的のために、さまざまな環境条件および影響から編み組み布スリーブ中の細長い部材を保護することが知られている。編み組みスリーブの壁は通常、周方向に連続した無継ぎ目壁として編まれ、「閉じた」壁と称されることがある。閉じた編み組み壁構築の1つの公知の利点は、圧縮するように壁の両端を手で押しかつ物理的に保持することによって細長い部材にわたって壁を摺動させるのを容易にするように壁を周方向に拡張可能であることである。両端を互いに向けて押しかつ手で壁を軸方向に圧縮した状態で保持することにより、編み組み壁は、拡大した径と短くなった長さとを呈するようにされる。拡大した径の状態で、壁を細長い部材の上に容易に配設することができる。次に、スリーブが細長い部材の上に設置された後で、設置者は、壁を放して広げることができ、それにより周方向に小さくなった径および長くなった長さを呈する。次に、スリーブをその「意図されるような」設置状態に維持するために、通常、テープの形態の接着フィルムをスリーブの少なくとも一部の周りに巻いて糸がずれたり拡張したりするのを防止し、これによりスリーブを所望の場所に固定する。テープは典型的に、スリーブによって保護されている細長い部材の外側面にも接着されて、スリーブをその所望の場所にさらに固定する。そうでない場合、スリーブおよび/または細長い部材の外側面にテープの代わりに二次接着剤を塗布してスリーブを細長い部材に固定することがある。
【0004】
前述のテープまたは二次接着剤を介してスリーブの編み組み壁をその意図される場所に固定可能であることには、潜在的な欠点が伴っている。たとえば、テープおよび接着剤を別に購入して置いておかなければならず、それにより適用にコストが追加されてしまう。さらに、テープは、貼付の際および使用の際の両方で、損傷および/または汚染の可能性があり、スリーブをその固定された場所に維持できることに影響してしまう。またさらに、テープおよび接着剤は、適用した際の見た目がよくない可能性があるか、またはそうでなくても時間とともに見た目が悪くなる可能性がある(たとえば、損傷したテープは見た目が悪く、その接着剤は、時間とともにまた環境に晒されると白くなる可能性があり、さらにそのような接着剤は通常、意図される用途に対して求められる耐熱性を欠いており、それにより接着剤が時間とともに脆くなってしまい、スリーブの寿命全体の間十分な結合を維持できない)。加えて、テープおよび接着剤の適用は大きな労力を有し、それにより、適用にさらにコストが追加される可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の要約
発明の1つの局面に従うと、中に含有される細長い部材を保護するための編み組み保護スリーブは、継ぎ目のない周方向に連続した管状の編み組み壁を含み、壁は、両端の間で中央長手方向軸に沿って長さ方向に延在する空洞を有する。壁は、編み合わされた糸の複数の端を含み、糸のうち少なくとも1つは、芯と外側接着性鞘とを含む複合糸を含み、外側接着性鞘は、空洞を通って延在する細長い部材に壁を結合するように選択的に融解されるように適合される。壁と細長い部材との間の結合力を高めるために、外側接着性鞘の厚みは約0.3-0.8mmの間である。壁の全軸方向長さに対する壁の相対的に小さな軸方向長さに沿って形成される軸方向に延在する結合ジョイントにわたって高められた結合力が付与される一方で、壁と細長い部材との間の望まれない分離は、それらの意図される耐用寿命にわたって防止される。
【0006】
発明の別の局面に従うと、芯を約0.20-0.30mmの間の径を有する単繊維として設けることができ、これにより外側接着性鞘は、細長い部材に対する壁の結合強度を高めるように、少なくとも芯と同程度に厚い。
【0007】
発明の別の局面に従うと、芯の径の少なくとも2倍大きい厚みを有する外側鞘を設けることができ、外側鞘と芯との間のそのような相対的な2:1の厚みの比率は、1:1の比率と比べて、壁と細長い部材との間の結合強度を増すことがわかった。
【0008】
発明の別の局面に従うと、芯の径の少なくとも3倍大きい厚みを有する外側鞘を設けることができ、外側鞘と芯との間のそのような相対的な3:1の厚みの比率は、2:1の比率と比べて、壁と細長い部材との間の結合強度を増すことがわかった。
【0009】
発明の別の局面に従うと、芯の径の少なくとも4倍大きい厚みを有する外側鞘を設けることができ、外側鞘と芯との間のそのような相対的な4:1の厚みの比率は、3:1の比率と比べて、壁と細長い部材との間の結合強度を増し、究極的に結合強度を最大限にすることがわかった。
【0010】
発明の別の局面に従うと、芯を約800-1250の間のデニールを有するマルチフィラメントとして設けることができ、外側鞘は、融解されると、マルチフィラメントの個々のフィラメント同士の間で拡散して壁と細長い部材との間の結合強度を高めることができる。
【0011】
発明の別の局面に従うと、糸の複数の端は、複合糸および非複合糸を約1:4のそれぞれの比率で含む。
【0012】
発明の別の局面に従うと、複合糸の端の数対非複合糸の端の数は、1:4の比率以下であり、これにより、スリーブの壁をその中に含有される細長い部材に結合する融解複合糸からの十分な結合強度を与えつつ、より高価な複合糸のコストを最小限にする。
【0013】
発明の別の局面に従うと、非複合糸を、外側鞘よりも融解温度が高いマルチフィラメントおよび/または単繊維として設けることができる。
【0014】
発明の別の局面に従うと、融解温度が互いに異なる複数の構成成分を含む外側接着性鞘を構成することができる。
【0015】
発明の別の局面に従うと、芯をポリエチレンテレフタレートから形成することができる。
【0016】
発明の別の局面に従うと、編み組みスリーブを通って延在する細長い部材を保護するように構成される編み組みスリーブを構築する方法は、糸の複数の端を編み合わせて、中央長手方向軸に沿って長さ方向に延在する空洞を有する無継ぎ目管状壁を形成することを含み、糸の端のうち少なくとも1つは芯と外側接着性鞘とを含む複合糸を含み、外側接着性鞘は、空洞を通って延在する細長い部材に壁を結合するように選択的に融解されるように適合され、壁と細長い部材との間の望まれない分離をそれらの意図される耐用寿命にわたって防止しながら、壁の軸方向全長に対する壁の相対的に小さな軸方向長さに沿って形成される軸方向に延在する結合ジョイントにわたって壁と細長い部材との間の結合力を高めるように約0.3-0.8mmの間の厚みを有する外側接着性鞘が設けられる。
【0017】
発明の別の局面に従うと、方法は、複数の構成成分を含む外側鞘を構成することをさらに含むことができ、複数の構成成分は、互いに融解温度が異なり、かつ最終的な組立てにおいて内側芯が融解するのを回避するように内側芯の融解温度よりも低い摂氏約120-140度の間の組合せ融解温度を有する。
【0018】
発明の別の局面に従うと、方法は、ポリエチレンテレフタレートで形成される芯を設けることをさらに含むことができる。
【0019】
発明の別の局面に従うと、方法は、単繊維で形成される芯を設けることをさらに含むことができる。
【0020】
発明の別の局面に従うと、方法は、マルチフィラメントで形成される芯を設けることをさらに含むことができ、これにより、外側接着性鞘の融解材料がマルチフィラメントの個々のフィラメント同士の間に浸透して互いに対する糸の結合を高めることができる。
【0021】
発明の別の局面に従うと、方法は、芯を約0.20-0.30mmの間の径を有する単繊維として設けることをさらに含むことができる。
【0022】
発明の別の局面に従うと、方法は、芯の径の2倍以上4倍までの厚みを有する接着性外側鞘を設けることをさらに含むことができ、外側鞘と芯との間の厚みのそのような相対的な2:1の比率は、1:1の比率と比べて、壁と細長い部材との間の結合強度を増大させることがわかった一方で、相対的な4:1の比率は結合強度を最大にすることがわかった。
【0023】
発明の別の局面に従うと、方法は、芯を約800-1250の間のデニールを有するマルチフィラメントとして設けることをさらに含むことができる。
【0024】
発明の別の局面に従うと、方法は、複合糸を非複合糸にそれぞれ約1:4の比率で編み合わせることをさらに含み、これにより、より高価な複合糸の含有量を最小限にしつつ、同時にスリーブを通って延在する細長い部材に対するその所望の位置にスリーブを維持するのに必要な結合の強度を与えることができる。
【0025】
現在好ましい実施形態および最良モードの以下の詳細な説明、添付の請求項、ならびに添付の図面に関連して検討されると、本発明のこれらおよび他の局面、特徴、および利点がより容易に認められるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】管状の編み組みスリーブを通って延在する細長い部材に結合されて示される、発明の1つの実施形態に従って構築される管状編み組みスリーブの概略斜視図である。
図2図1のスリーブの構築において用いられる複合糸の斜視図である。
図3】開示の1つの非限定的局面に従う編み組みスリーブの壁の拡大部分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
現在好ましい実施形態の詳細な説明
図面をより詳細に参照して、図1は、発明の1つの局面に従って構築される、以下スリーブ10と称される、編み組み保護布スリーブを示す。スリーブ10は、周方向に連続した編み組み無継ぎ目管状壁12を有し、壁は、両端16,18の間に中央長手方向軸14に沿って長さ方向に延在する空洞13を有する。壁12は、編み合わされた糸の複数の別個の端を含み、別個の端のうち少なくとも1つは複合フィラメントとして設けられ、以下複合糸20′と称される。複合糸20′は、中心の芯22と図2に示されるような芯22を囲む外側接着性鞘24とを含み、鞘24は、空洞13を通って延在する細長い部材26に壁12を結合するように選択的に融解されるように適合され、複合糸20′以外の残余の糸は、標準的な非複合糸20として設けられる。
【0028】
壁12は、以下にさらに論じる理由による複合糸20′の向上した結合強度により、複合糸20′の最小限の数の端を含み、それによりスリーブ10のコストを低減することができる。というのも、複合糸20′の相対的な単価は非複合糸20の単価よりも高いからである。本明細書中では、複合糸20′対非複合糸20の比率が1:4である壁12(図3、壁12の部分を示し、壁12の残余の部分は図示されるのと同じである)は、細長い部材26に対する十分な結合力を与えて、それからの分離を回避することが発見された。したがって、(複合糸20′および非複合糸20の両方を含む)糸の端を合計32個有するスリーブにおいて、一例としてしかし限定されることなく、細長い部材26に対する十分な結合力を、融解され、固化されかつそれに結合された際に与えるには、複合糸20′の端は8個しか必要ない。1:4の比率が望まれることがわかっているが、所望により、壁12をより高いまたはより低い比率で構築することができることを認識すべきである。またさらに、結合ジョイント28を介した細長い部材26への結合に必要なスリーブ10の面積を、ここでも複合糸20′の高められた結合強度により、最小限にすることができる。個々の結合ジョイント28は、壁12の周の全体の周りに延在することができ、かつ軸方向長さにおいては約20mmしか延在しないことが可能である。これは、スリーブ10の長さLに対して小さな軸方向長さであり、適用例に依存して、長さLは約1-5フィートの間またはそれより大きいと企図される。結合ジョイント28は、一例としてかつ限定されることなく、端領域30にわたって壁12の両端16,18に隣接して形成されて示される。壁12の全長に沿って延在する編み組み複合糸20′の存在を考慮すると、意図される適用例において所望されるように、スリーブ10の長さに沿った任意の所望の場所に任意の数だけ結合ジョイント28を形成することができることを認めるべきである。しかしながら、結合ジョイント28の場所に拘わらず、スリーブ10を細長い部材26に固定するには1対の結合ジョイント28で十分であることが企図される。
【0029】
十分な結合力を細長い部材26に付与してそれからの分離を回避するための、複合糸20′対非複合糸20の1:4という相対的な小さな比率を用い得ることは、径方向厚みが約0.3-0.8mmの間である外側接着性鞘24によって与えられる。またさらに、融解温度が互いに異なり、かつ約摂氏120-140度の間の複合融解温度を有する複数のホットメルト構成成分を含む外側接着性鞘24を構成することができ、一例としてかつ限定されることなく、(芯22のより低い融解温度に対して)標準的な相対的に高い融解温度の、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの単繊維またはマルチフィラメントから芯22を形成することができる。そのため、鞘24を融解して所望の結合ジョイント28を形成する際に芯22は融解しない。芯22は、単繊維として設けられる場合は好ましくは約0.20-0.30mmの間の径を有して設けられ、マルチフィラメントとして設けられる場合は好ましくは約800-1250の間のデニールを有して設けられる。したがって、鞘24の径方向厚みは芯22の好ましい径以上であり、これは芯22の径の4倍までを含む。これは究極的に、融解された際の鞘24の被覆性を増大させ、これにより、以上で論じたように、複合糸20′の端の数を非複合糸20の端の数に対して大幅に減らしたとしても、周の全体の周りでの結合ジョイント28の強度および被覆性が最大化される。
【0030】
非複合糸20には、ナイロン、PET、ポリプロピレン(PP)などの任意の所望の材料の単繊維および/またはマルチフィラメントを設けることができる。非複合糸20は、比較的低コストで耐摩耗性、耐衝撃性などを高めるように設けることができる。
【0031】
適用例では、外側鞘24が最適な接着厚みを有する場合、以上で論じたように、一例としてかつ限定されることなく、スリーブ10を、ゴムホースまたはポリアミドチューブなどの細長い部材26に対して、それから外れるという懸念なく、接着することができ、これにより、テープまたはクランプなどの補足的な締結機構の必要性がなくなる。またさらに、以上で論じたように、結合ジョイント28を、所望により、一例としてかつ限定されることなく、両端16,18にすぐ隣接した対向端領域30またはそれ以外のどこかなど、ホース26の長さLの全体よりも大幅に小さい範囲の上に形成し得ることがわかった。結合ジョイント28の軸方向長さを約20mmに小さくでき、結合ジョイント28の一般的に好ましい軸方向長さの範囲は、一例としてかつ限定されることなく、約20-40mm、より好ましくは約20-30mmの間である。したがって、個々の結合ジョイント28を形成して確実に壁12を細長い部材26に結合するには、スリーブ10の比較的小さい軸方向に延在する領域しか融解する必要がない。このように、融解されかつ固化された結合ジョイント28に沿ってかつこれを介して形成されるより剛性の領域の軸方向長さを最小限にして、これにより、スリーブ10の未融解の非結合領域の結果として結合ジョイント28同士の間に延在するスリーブ10および細長い部材26の可撓性を高めて、より大きな相対的な可撓性および細長い部材26に対する相対的な動きの自由を保持することができる。したがって、結合ジョイントがスリーブ10の両端16,18に隣接する領域に制限される場合、1対の結合ジョイント28の間に軸方向に延在する壁12の全領域には結合ジョイントがないままにすることができ、これにより、高められた可撓性を保持する。したがって、結合ジョイント28の最小限の軸方向に延在する長さにより、所望により、組立てられたスリーブ10と細長い部材26とを蛇行した経路に沿って引き回すことができる。当然ながら、所望により20mmよりも大きな任意の所望の長さを有する結合ジョイント28の軸方向長さを形成することができ、さらに所望されれば、スリーブ10の全体に沿って結合ジョイント28の軸方向長さを形成することができる。
【0032】
発明の別の局面に従うと、編み組み布スリーブ10を構築する方法は、複数の糸20を編み合わせて、中央長手方向軸14に沿って長さ方向に延在する空洞13を有する無継ぎ目管状壁12を形成することを含む。糸のうち少なくとも1つは、芯22と外側接着性鞘24とを含む複合糸20′を含み、鞘は、空洞13を通って延在する細長い部材26に壁12を結合するように選択的に融解されるように適合される。好ましい非限定的実施形態に従うと、複合糸20′は、非複合糸20に対して約1:4の比率で設けられる。それぞれの糸20′,20は、反対の螺旋SおよびZ方向に対称の編みパターンに均一に編み合わされる。スリーブ10を編むと、スリーブ10を保護対象の細長い部材26の周りに配設することができ、次に、一例としてかつ限定されることなく、本明細書中にその全体が引用により援用される、2017年3月13日に出願された同一人に所有される米国特許出願連続番号第15/457729号に開示されるものなどの好適に加熱されたクランプツールを介したりなどして、壁12を細長い部材26に結合するように結合ジョイント28を形成することができる。
【0033】
発明の別の局面に従うと、方法は、壁12と細長い部材13との間の結合力を高めるために、約0.3-0.8mmの間の厚みを有する外側接着性鞘24を設けることをさらに含むことができる。
【0034】
発明の別の局面に従うと、方法は、融解温度が互いに異なる複数の構成成分を含む外側鞘24を構成することをさらに含むことができる。一例としてかつ限定されることなく、組合せ融解温度を、約8-12秒の持続時間の間、約20-40Nのクランプ力の負荷の下で摂氏約120-140度の間の範囲にわたるように与えることができる。
【0035】
発明の別の局面に従うと、方法は、ポリエチレンテレフタレートで形成される芯22を設けることをさらに含むことができる。
【0036】
発明の別の局面に従うと、方法は、複合糸20′を非複合糸20にそれぞれ約1:4の比率で編むことをさらに含むことができる。
【0037】
本発明の多数の修正例および変形例が上記教示に照らして可能である。したがって、具体的に記載された以外のやり方で発明を実践し得ることおよび発明の範囲が任意の究極的に許可される請求項によって規定されることを理解すべきである。
図1
図2
図3