(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】運動学的連鎖の最後のリンクをハンドリング装置に接続するためのアダプタシステム
(51)【国際特許分類】
B25J 9/08 20060101AFI20230220BHJP
【FI】
B25J9/08
(21)【出願番号】P 2020520151
(86)(22)【出願日】2018-10-09
(86)【国際出願番号】 DE2018000287
(87)【国際公開番号】W WO2019072330
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-08-11
(31)【優先権主張番号】102017009319.9
(32)【優先日】2017-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509060154
【氏名又は名称】マルティン ツィマー
【氏名又は名称原語表記】Martin Zimmer
【住所又は居所原語表記】Im Salmenkopf 7, 77866 Rheinau, Germany
(73)【特許権者】
【識別番号】509060143
【氏名又は名称】ギュンター ツィマー
【氏名又は名称原語表記】Guenther Zimmer
【住所又は居所原語表記】Im Salmenkopf 11, 77866 Rheinau, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ツィマー
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター ツィマー
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-057648(JP,A)
【文献】特開2017-042909(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0065647(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102015012779(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドリング装置(1)の運動学的連鎖
において前記運動学的連鎖の最後のリンク(80)を前記ハンドリング装置(1)に接続するためのアダプタシステムであって、
前記最後のリンク(80)は、コンピュータおよびメモリモジュール(94)、ならびに少なくとも1つのアクチュエータ(83,84)および/または少なくとも1つのセンサを有
し、
前記運動学的連鎖の最後から2番目のリンク(15)と、前記最後のリンク(80)との間に、少なくとも3つの互いに前後に配置されたシステムモジュール(20,30,
40,50)が配置されており、
第1のシステムモジュール(20)は、前記最後から2番目のリンク(15)に機械的に適合される機械モジュールであり、前記第1のシステムモジュール(20)により、電気的かつ/またはニューマチック的な接続ラインが案内されており、
第2のシステムモジュール(30)では、前記電気的かつ/またはニューマチック的な接続ラインが、電子機械的なコンビインターフェース(39)のネガ型のアダプタジオメトリ(38)の伝達個所(65)に接続されており、
前記第2のシステムモジュール(30)と前記最後のリンク(80)との間には、少なくとも1つの別のシステムモジュール(50)が配置されており、前記別のシステムモジュール(50)および全ての別のシステムモジュール(40)は、上流のシステムモジュールと接続するためにポジ型のアダプタジオメトリを、下流のシステムモジュールと接続するためにネガ型のアダプタジオメトリを有し、
個々の前記コンビインターフェース(39,49,79)には、互いに接触するネガ型のアダプタジオメトリとポジ型のアダプタジオメトリとが互いに相補的に形成されており、
前記ネガ型のアダプタジオメトリと前記ポジ型のアダプタジオメトリとは、連結装置によって互いに回動不能および脱落不能であり、かつねじれ剛性的に接続可能であって、
第3のシステムモジュール(50)は電子構成群(71)を有し、前記電子構成群(71)は、所定のシステムアーキテクチャ
で交換すべき、受け取る電気的接続ラインの通信データを、前記最後のリンク(80)の機器インターフェースとの通信のために適合させまたは変換し、前記ネガ型のアダプタジオメトリの対応する前記伝達個所を介して通信可能に提供する、
ことを特徴とする、アダプタシステム。
【請求項2】
前記運動学的連鎖の前記最後のリンク(80)はグリッパである、請求項1記載のアダプタシステム。
【請求項3】
前記第3のシステムモジュール(50)は、モジュールケーシング(51)に突出部(73)を有し、前記突出部内には、グリッパアーム(89)間に位置する空間を観察するためのカメラ(74)が配置されている、請求項2記載のアダプタシステム。
【請求項4】
第4のシステムモジュール(40)は変形モジュールであって、前記変形モジュールは、少なくとも1つのシステムモジュールと前記最後のリンク(80)とから成る組み合わせの曲げを、互いに垂直に位置する2つの平面で測定し、前記2つの平面の交線は、前記システムモジュール(20,30,40,50)の中心線(16)である、請求項1記載のアダプタシステム。
【請求項5】
前記システムモジュール(30,40,50)を接続する連結装置はバヨネット緊締システム(53,76,77)であって、前記バヨネット緊締システムでは、各システムモジュール(30,40,50)が、第1の端面に、後方からの係合ウェブを備えたねじリング(77)を、第2の端面に、半径方向に突出するバヨネット舌片(53)を有している、請求項1記載のアダプタシステム。
【請求項6】
前記バヨネット緊締システム(53,76,77)には、緊締位置を検出する、電子的に監視可能な端部ストッパが備えられている、請求項5記載のアダプタシステム。
【請求項7】
1つのシステムモジュールが、1つのポジ型のアダプタジオメトリと2つ以上のネガ型のアダプタジオメトリとを有し、前記ネガ型のアダプタジオメトリの接続平面は、1つのまたは複数の平面に位置している、請求項1記載のアダプタシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドリング装置の運動学的連鎖の最後のリンクをハンドリング装置に接続するためのアダプタシステムであって、この場合、最後のリンクは、コンピュータおよびメモリモジュール、ならびに少なくとも1つのアクチュエータおよび/または少なくとも1つのセンサを有しているアダプタシステムに関する。
【0002】
ハンドリング装置は、最後のリンクと組み合わされる、例えば平行グリッパを支持する多関節型6軸ロボットである。
【0003】
独国特許出願公開第102015012779号明細書により、ワークピースを機械的に把持するためのこのような形式の平行グリッパが公知である。このグリッパのグリッパアームは、電気機械的な駆動装置によって駆動される。グリッパケーシング内に装着された駆動モータは、グリッパ装置から離れて配置されたプログラマブルコントローラを介して制御される。グリッパケーシング内にはこのために、プログラマブルコントローラとの二地点間通信のためのデータインターフェースが配置されている。さらにグリッパケーシング内には、グリッパの使用ソフトウェアおよびサーボ制御装置のための少なくとも1つのコンピュータおよびメモリユニットが配置されている。サーボ制御装置は、閉じられたカスケード制御装置、駆動モータの駆動制御装置、および回転センサのためのセンサインターフェースを有している。
【0004】
このようなインテリジェントアクチュエータは、通常、インテリジェントセンサも有している。個々のセンサは、ベースセンサ、評価電子機器、および少なくとも1つの通信インターフェースから成る。アクチュエータとセンサとはそれぞれインターフェースを有しており、これらのインターフェースは、ハンドリング器具のオートメーション環境において、通常、既存のシステムアーキテクチャに統合されなければならない。アーキテクチャ内部では、多かれ少なかれ調和された自動化レベルを通って、センサバスおよび/またはアクチュエータバスから、フィールドバスおよびファブリックバスを介して導体レベルまで延在する様々なハードウェアプラットフォームが延在している。
【0005】
本発明の根底を成す課題は、アクチュエータおよびセンサを備えた運動学的連鎖の最後のリンクを、制御および調整するバックグランドソフトウェアおよびハードウェアの各システムアーキテクチャに統合することができる、ハンドリング装置の運動学的連鎖の最後のリンクをハンドリング装置に接続するためのアダプタシステムを提供することである。
【0006】
この課題は、請求項1に記載の特徴により解決される。この場合、運動学的連鎖の最後から2番目のリンクと、最後のリンクとの間に、少なくとも3つの互いに前後に配置されたシステムモジュールが配置されている。第1のシステムモジュールは、電気的かつ/またはニューマチック的な接続ラインをガイドする、最後から2番目のリンクに機械的に適合される機械モジュールである。第2のシステムモジュールでは、電気的かつ/またはニューマチック的な接続ラインが、電子機械的なコンビインターフェースのネガ型のアダプタジオメトリの伝達個所に接続されている。第2のシステムモジュールと最後のリンクとの間には、少なくとも1つの別のシステムモジュールが配置されており、この別のシステムモジュールおよび全ての別のシステムモジュールは、上流のシステムモジュールと接続するために1つのポジ型のアダプタジオメトリを、下流のシステムモジュールと接続するために少なくとも1つのネガ型のアダプタジオメトリを有している。個々のコンビインターフェースには、互いに接触するネガ型のアダプタジオメトリとポジ型のアダプタジオメトリとが互いに相補的に形成されている。ネガ型のアダプタジオメトリとポジ型のアダプタジオメトリとは、連結装置によって互いに回動不能および脱落不能であり、かつねじれ剛性的に接続可能である。第3のシステムモジュールは電子構成群を有し、この電子構成群は、所定のシステムアーキテクチャと交換すべき、受け取る電気的接続ラインの通信データを、最後のリンクの機器インターフェースとの通信のために適合させまたは変換し、ネガ型のアダプタジオメトリの対応する伝達個所を介して通信可能に提供する。
【0007】
個々のシステムモジュールは、互いに前後に多層に配置されており、その順番は部分的に任意に入れ替え可能である。
【0008】
通信モジュールには、4ポート用のIO-Linkマスターが組み込まれているので、複数の分岐を有したシステムモジュールを提供することができる。この場合、このシステムモジュールはその上面に1つのポジ型のアダプタジオメトリを、その下方領域に2~4つのネガ型のアダプタジオメトリを有している。ネガ型のアダプタジオメトリの接続平面は、例えば互いに隣接して位置していてもよく、または1つの円に沿って1つの平面に位置していてもよい。別の実施形態では、接続平面の法線は、例えば円錐周面上に位置している。
【0009】
本発明のさらなる詳細は、従属請求項、概略的に示した少なくとも1つの実施形態についての以下の説明により明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】アダプタシステムを介して接続されたグリッパを備えたハンドリング装置を示す斜視図である。
【
図2】アダプタシステムを
図1のグリッパと共に斜め上から見た分解斜視図である。
【
図3】コンビインターフェースのポジ型のアダプタエレメントを示す拡大図である。
【
図4】アダプタシステムを
図1のグリッパと共に斜め下から見た分解斜視図である。
【
図5】コンビインターフェースのネガ型のアダプタエレメントを示す拡大図である。
【
図6】グリッパと通信モジュールとからなる組み合わせを示す側面図である。
【0011】
図1には、いわゆるRRR運動学による、関節型ロボットとして形成されたハンドリング装置(1)が示されている。関節型ロボット(1)の直列運動学構造は、3つの回転主軸と3つの回転副軸とを有している。主軸は、A軸(3)、B軸(5)、およびC軸(7)である。A軸(3)は、ハンドリング装置のベースプレート(1)上に支持されている鉛直の回転軸線を有する回転テーブル(4)である。回転テーブル(4)は、第1の運動学的リンクとして、水平のB軸(5)を中心として、例えば210度旋回可能なフットレバー(6)を有している。フットレバー(6)の自由端部には、同様に水平の旋回軸を備えた関節として、エルボレバー(8)を支持しているC軸(7)が装着されている。エルボレバー(8)は、フットレバー(6)に対して、例えば270度旋回可能である。
【0012】
第1の副軸、D軸(11)は、回転軸である。D軸は、エルボレバー(8)の自由端部に支持されている、長手方向軸線を中心として回転可能な支持アーム(12)から成る。第2の副軸はE軸(13)であって、このE軸を中心としてハンドレバー(14)が、例えば270度旋回可能に支持されている。ハンドレバー(14)は、F軸(16)を中心として回転可能に支持されている、360度旋回可能な回転プレートを支持している。回転プレートは、運動学的連鎖の最後から2番目のリンク(15)である。回転プレートには、グリッパ(80)と共にアダプタシステム(19)が取り付けられている。
【0013】
個々の軸(3,5,7,11,13,16)の適切に調整された制御により、関節型ロボット(10)の作業空間内の任意の場所にある殆ど全ての直線区間または湾曲した軌道曲線を移動することができる。これは、直交座標型ロボット、円筒座標型ロボット、または極座標型ロボットに基づくハンドリング器具によっても実現される。この場合、ロボットは相応に、TTT運動学、RTT運動学、またはRRT運動学を含む。この場合、「T」は、並進運動主軸もしくはガイドを意味し、「R」は、回転運動主軸もしくはガイドを意味する。
【0014】
このロボットの代わりに、直列構造ではなく、並列構造またはハイブリッド構造を有するハンドリング器具を使用することもできる。並列構造としては、3脚、5脚、または6脚を使用することができる。
【0015】
図2には、アダプタシステム(19)をグリッパ(80)と共に斜め上から見た分解斜視図が示されている。アダプタシステム(19)は、この実施例では、互いに前後に配置された4つのモジュールを含む。これら4つのモジュールは、順番に、機械モジュール(20)、接続モジュール(30)、変形モジュール(40)、および通信モジュール(50)である。
【0016】
機械モジュール(20)は、少なくとも所定の領域で円錐台形スリーブ状のベースモジュールケーシング(21)を有しており、このベースモジュールケーシングを介して機械モジュールは、回転プレート(15)に堅固に取り付けられている。このためにベースモジュールケーシング(21)は、その上面に大きな四角形ピン(22)を有しており、この四角形ピンは、回転プレート(15)に相応に設けられた対応する凹部に形状結合的に係合する。
図4によれば、機械モジュール(20)はその下面に大きなセンタリング凹部(23)を有している。ベースモジュールケーシング(21)の外縁部とセンタリング凹部(23)との間には、取り付け可能な次のモジュールに対する回動を阻止するために、センタリングピン(24)が配置されている。ベースモジュールケーシング(21)の上面および下面は、中央の貫通孔(25)によって互いに連通されている。貫通孔(25)を通して、図示されていないニューマチックホースと、多数の芯線およびリッツ線から成るケーブル束とをガイドすることができる。
【0017】
機械モジュール(20)は、次のモジュール、接続モジュール(30)と共に、機械インターフェース(29)を形成する。接続モジュール(30)は、同様の所定の領域で円錐台形スリーブ状の接続ケーシング(31)を有している。この場合も、ベースモジュールケーシング(21)の場合と同様に、接続ケーシング(31)の比較的大きい方の直径が回転プレート(15)の方に向けられている。
図2によれば、接続ケーシング(31)の上面は、隆起した環状のセンタリングフランジ(32)を有しており、その内部には、比較的大きな凹部が位置している。凹部の中央には、圧縮空気を供給するための供給管(36)が配置されている。供給管(36)の側方左側には、ケーブル端子(35)が位置していて、このケーブル端子を介して、上述したケーブル束が機械モジュール(20)において抗張的に固定される。
【0018】
接続ケーシング(31)の外縁とセンタリングフランジ(32)との間には、嵌合ピン穴(33)が配置されており、機械インターフェース(29)の製作時に、この穴に機械モジュール(20)のセンタリングピン(24)がセンタリングされて突入する。
【0019】
図4によれば、接続モジュール(30)の下面には、実質的に円形の、例えば中央のカバー(61)が装着されており、その中央には、パッド支持プレート(63)が配置されていて、これは3つのねじで固定されている。下面は、カバー(61)とパッド支持プレート(63)と共にネガ型アダプタジオメトリ(38)を形成している。
【0020】
パッド支持プレート(63)は、
図5に別個に示されている。この場合、パッド支持プレートはカバー(61)の凹部内に装着されている。パッド支持プレート(63)は、中央に孔(64)を有しており、この孔内に、それぞれ次のモジュールの供給管(60)が大きな間隔で突入する。孔(64)の周りには、例えば16個のコンタクトパッド(65)が配置されている。この場合、13個のコンタクトパッド(65)は、比較的大きな1つの円に沿って位置していて、3つのグループに分配されている。コンタクトパッドの角度ピッチは、グループ内でそれぞれ例えば21度である。その他3つのコンタクトパッド(65)はパッド支持プレート(63)をねじ固定するための所要スペースの理由から、孔(64)の方へずらされて配置されている。コンタクトパッド(65)の各上面は、外側に位置するカバー(61)の表面よりも約0.1mm下方に位置している。コンタクトパッド(65)と孔(64)の縁部との間には、1つの円に沿って位置する比較的小さな12個のろう接孔(66)が位置している。
【0021】
中空の接続ケーシング(30)内では、ケーブル端子(35)内で保持されるケーブル束の1つの芯線とリッツ線とが、とりわけろう接孔(66)を介してコンタクトパッド(65)に導電接続されている。
【0022】
図2による分解図では、接続モジュール(30)には変形モジュール(40)が続いている。両モジュール(30,40)の接続部は、第1のコンビインターフェース(39)である。
【0023】
変形モジュール(40)は、実質的に、ケーシング上部(41)と、ケーシング下部(44)と、これらの間に位置するエラストマ層(43)とから成る。エラストマ層(43)は、可撓性のケーシング壁を成す。
【0024】
変形モジュール(40)には、例えば、力・モーメントセンサがスポーク構造形式で取り付けられている。このセンサは、中央のプレート、ヘッドリング、および4つの四角形コラムを備えた、四角形スポークが設けられた脚部リングから成る。四角形コラムは、プレートをヘッドリングに接続する。各コラムおよび各スポークには、それぞれ1つのひずみゲージ対が配置されている。コラムおよび/またはスポークの弾性変形により、ひずみゲージの抵抗変動を介して、作用する力とモーメントとを座標軸に関して測定することができる。脚部リングはこの場合、ケーシング上部(41)に取り付けられていて、ヘッドリングはケーシング下部(44)に固定されている。6×8の行列ベクトル積を介して、センサから放出された信号は、力およびモーメントの値に変換される。このために変形モジュールは、固有の計算デバイスを有している。計算値は、アダプタシステムのモジュールのラインとコンタクト個所とを介して、グリッパのコンピュータおよびメモリユニットへと転送され、そこで計算値を、アダプタシステムの構造に応じて、変形モジュール(40)とグリッパアーム(89)との間に生じるレバー長さに適合させる。
【0025】
変形モジュール(40)は、ケーシング上部(41)内にポジ型のアダプタジオメトリ(42)を有していて、このポジ型のアダプタジオメトリは、変形モジュール(40)を支持するモジュールのネガ型のアダプタジオメトリに当接する。ケーシング下部(44)は、既に接続モジュール(30)に関して述べたようなネガ型のアダプタジオメトリ(48)を有している。ポジ型のアダプタジオメトリ(42)のコンタクトの大部分は、ネガ型のアダプタジオメトリ(48)のコンタクトパッドに接続されている。
【0026】
変形モジュール(40)には、
図2および
図4によれば、通信モジュール(50)が接続されている。モジュール(40,50)の互いに向き合うアダプタジオメトリ(48,55)は、第2のコンビインターフェース(49)を形成している。
【0027】
通信モジュール(50)は、円筒状の外壁を有した通信ケーシング(51)を有している。通信モジュール(50)の上面には平らなカバー(54)が同一平面を成すように挿入されている。カバー(54)の凹部(59)内には、深く装着されたピン支持プレート(56)が取り付けられている、
図3参照。実質的に円形の支持プレート(56)上には、16個のコンタクトピン(57)が装着されている。コンタクトピン(57)内には、最大1.5mmのコンタクトピン行程を可能にする小さいコイルばねが組み込まれている。コンタクトピン(57)の最高点は、無負荷状態で、カバー(54)の上面を約1mm越えて突出している。ピン支持プレート(56)上でのコンタクトピン(57)の分布は、パッド支持プレート(63)上でのコンタクトパッド(65)の分布に相当する。同じことはろう接孔(66)にも当てはまる。
【0028】
通信ケーシング(51)の上面は、カバー(54)とピン支持プレート(56)と共にポジ型アダプタジオメトリ(38)を形成している。
【0029】
アダプタジオメトリ(38)は、同様の構成形式で、変形モジュール(40)およびグリッパ(80)の上面の領域でも使用される。このモジュールでも、ポジ型のアダプタジオメトリ(55)の殆どのコンタクトピン(57)は、ネガ型のアダプタジオメトリ(62)のコンタクトパッド(65)に接続されている。したがってとりわけ、エネルギ供給も、上面から下面へと引き渡される。
【0030】
通信ケーシング(51)の内室には、例えば、複数の回路基板(72)上に構成された電子構成群(71)が組み込まれており、この電子構成群は、電流および信号を通す両インターフェースを介して、1つまたは複数の隣接するモジュールを介して、グリッパ(80)と、ハンドリング装置(1)を制御するSPSとに接続されている。グリッパ(80)は、ボードにIO-Linkインターフェースを有しているが、ロボットシステムは極めて様々なフィールドバスを使用しているので、この場合、組み込まれた「イーサネット・IO-Link」アダプタが必要である。電子構成群(71)は、例えば4つのIO-Linkチャネルのために用いられるIO-Linkマスターである。さらに電子構成群では、ファームウェアごとにできるだけ多数のイーサネット・フィールドバスプロトコルが調節可能である。電子構成群は、内部のエネルギ供給のために固有の電源部も有している。さらに、この場合、カメラ(74)を接続するためのイーサネットポートの内部コネクタも設けられている。
【0031】
図2および
図4では、通信ケーシング(51)は側方にカメラケーシングとして、少なくともほぼ直方体状の突出部(73)を有している。この突出部内にはカメラ(74)が取り付けられている。カメラレンズは、突出部(73)の下面に設けられた凹部の後方に配置されている。カメラレンズの光軸は、グリッパ(80)のグリッパアーム(89)間に延在する空間のほぼ中央に交差する。したがって、カメラ(74)の視野は、把持すべきワークピースとグリッパアーム(89)とを捕捉する。カメラレンズの周囲には、突出部(73)の下面に、延在空間を照明する例えば4つの照明発光ダイオード(75)が配置されている。
【0032】
図2によれば、通信モジュール(50)には、運動学的連鎖の最後のリンクとしてグリッパ(80)が接続されている。接続個所は、第3のコンビインターフェース(79)を形成している。
【0033】
図7には、グリッパ(80)が、通信モジュール(50)と共に縦断面図で示されている。これによると、グリッパ(80)は、電子部分と機械部分とから成っている。ベースケーシング(91)を介して、グリッパは通信モジュール(50)に取り付けられている。この場合、ポジ型のアダプタジオメトリ(42)および(54)に構造的に匹敵するポジ型のベースアダプタエレメント(92)が、通信モジュール(50)のネガ型のアダプタジオメトリ(62)に当接する。
【0034】
モジュール(30,40,50)とグリッパ(80)とを、確実、簡単、かつ迅速に互いに接続することができるように、
図7では、モジュール(50)とグリッパ(80)とがバヨネット接続を介して互いに機械的に連結されている。このために、各モジュールケーシング(31,41,51)とグリッパケーシング(81)とには、各ポジ型のアダプタジオメトリの縁部領域に、周囲にわたって分配された複数のバヨネット舌片(53)が配置されている、
図6参照。
【0035】
さらに、各モジュールケーシング(31,41,51)は、各ネガ型のアダプタジオメトリの縁部領域でケーシング外壁にカラー(76)を有しており、このカラーには微細なねじ山が設けられている。この微細なねじ山に、バヨネットリング(77)がねじ込まれている。バヨネットリング(77)は、その下面に周方向に延びるバヨネットウェブを有しており、このバヨネットウェブは、モジュールケーシング(31,41,51)が有するバヨネット舌片(53)と少なくとも同数の破断部を周囲に沿って有している。
【0036】
モジュールケーシング(31,41,51)を互いに接続するために、接続すべきモジュールのポジ型およびネガ型のアダプタジオメトリを互いに当接させ、この場合、バヨネット舌片(53)は、バヨネットリング(77)の破断部を、遊びをもって通過する。バヨネットリング(77)をねじ締めることにより、バヨネットウェブがバヨネット舌片(53)に半径方向で当接し、これにより、モジュールケーシング(31,41,51)は、微細なねじ山により、互いに引きつけられる。所定の保持力を設定するために、バヨネットリング(77)は回転ストッパを有していてもよい。
【0037】
バヨネットリング(77)の固定後、モジュール(30,40,50)とグリッパ(80)とは、工具を使用することなく、手動でねじり剛性的に互いに接続される。この場合、互いに接触するアダプタジオメトリの間に全ての電気的コンタクトが形成される。
【0038】
図6および
図7に示した連結では、モジュールは、ニューマチック的にも互いに接続される。このために、各ポジ型のアダプタジオメトリ内に取り付けられた供給管(60)が、センタリングされて、ネガ型のアダプタジオメトリの後方に配置された供給孔(67)内に挿入される、
図7参照。供給孔(67)内にはシールリング(68)が配置されている。
【0039】
場合によっては、モジュール(30,40,50)とグリッパ(80)とは、嵌合ピン・嵌合穴組み合わせによって、中心線(16)を中心とした相互回動を阻止されている。
【0040】
モジュールを接続するための選択的な方法は、
図2および
図4に示されている。この場合、モジュールごとのポジ型のアダプタジオメトリからそれぞれ3つの舌片(45)が垂直に、中心線(16)に対して平行に突出しており、これらの舌片は、モジュールの接触の際に、各隣接するモジュールに設けられた対応する長孔状の舌片凹部(46)内に突入する。各舌片(45)はねじ山付き孔を有している。隣接するモジュールには、個々の舌片凹部(46)の領域にそれぞれ1つの半径方向の座ぐり穴(69)が位置している。モジュールの相互の固定のために、各座ぐり穴(69)にはねじ(47)が装着され、このねじは、個々の舌片(45)の各ねじ山付き孔に堅固にねじ込まれる。
【0041】
グリッパ(80)には、ベースケーシング(91)に続いてグリッパケーシング(81)が設けられており、このグリッパケーシングは、支持挿入部(82)を介してベースケーシング(91)内に取り付けられている。支持挿入部(82)は、グリッパケーシング(81)を後方からの係合により固定している。
【0042】
グリッパケーシング(81)内には、単なる例として、グリッパアーム(89)の調節駆動装置としてシリンダピストンユニット(83,84)が配置されている。シリンダピストンユニットのシリンダ(83)は、支持挿入部(82)の真ん中に取り付けられている。シリンダ(83)内でガイドされるピストン(84)のピストンロッドのための貫通孔を有するシリンダ(83)の底面には、互いに隣接して移動可能な2つのスライダ(87)をガイドするためのガイドレール(85)が配置されている。各スライダ(87)は1つのグリッパアーム(89)を支持している。
【0043】
ピストン(84)は、楔フック伝動装置(86)によりスライダ(87)を動かす。このためにピストンロッドには2つの楔フック(88)が取り付けられている。各楔フック(88)は、スライダ(87)に設けられた斜めに延在する溝内に係合する。ピストンロッドの各行程運動の際に、スライダ(87)は、ピストンロッドに対して横方向に強制的にガイドされて動かされる。少なくとも2つのセンサによって、ピストン(84)の終端位置は編集可能である。場合によっては、圧力センサが、ワークピースを保持する際にグリッパアーム(89)に加えられるクランプ力を、楔フック(88)で測定する。
【0044】
さらに、ベースケーシング(91)内には、シリンダ(83)の圧力室に電子制御しながら圧縮空気を供給する、またはシリンダの圧力室から圧縮空気を放出するために、少なくとも1つのニューマチック弁を配置することができる。
【0045】
図7に示したグリッパの代わりに、電子機械的な駆動装置を備えたグリッパがしばしば使用される、独国特許出願公開第102015012779号明細書の並列グリッパ参照。
【0046】
このようなグリッパのケーシングには、十分なサーボ制御装置もしくはサーボ軸制御装置が、それに所属のコンピュータおよびメモリモジュールと共に組み込まれている。サーボ制御装置は、エンドユーザもしくは機械オペレータが、グリッパ装置を、対応する把持対象物もしくはワークピースに合わせて調節するために特別な専門知識を必要としないように、工場側でプログラミングされる。この場合、把持対象物は、ねじり剛性的であっても弾性的であってもよい。
【0047】
例えば、把持行程や、弾性および把持幅に依存した把持行程追加分のような単純なパラメータのほか、所定の、例えば顧客特有の把持対象物のために特別に設定された把持レシピがコンピュータおよびメモリモジュールに記録されており、これを機械オペレータが、把持対象物番号に関して呼び出すことができる。このようにして、2つの異なる既知の把持対象物の間で迅速な切替が可能である。
【0048】
このために、サーボ制御装置およびそれに付随するコンピュータおよびメモリモジュールが、グリッパのケーシング内に直接装着されている。グリッパ装置特有の全ての値および制御装置の調節は、製造者側によって直接、グリッパ装置ソフトウェアにプログラミングされる。新規の把持対象物のための把持レシピは、顧客の機械オペレータによってマニュアルで入力され、装置側のコンピュータおよびメモリモジュール内で直接、かつ例えば新規の把持対象物番号と共に持続的に記憶される。新規の把持対象物番号としては、次の空いている番号が自動的に選択される、またはSPS入力キーボードを介して番号入力される。その他のセットアッププロセスまたは入力プロセスも、通常、このキーボードを使用して設定される。
【0049】
機械オペレータによって入力された把持対象物番号に依存するデータセットは、工作機械側のメモリプログラム可能な制御装置に介入する必要なく、変更または削除できる。
【0050】
グリッパ装置固有のコンピュータおよびメモリモジュール内には、オプションとしての測定および評価アルゴリズムがプログラミングされており、これにより、通常の把持機能の間に、ケーシング温度、ケーシング振動、固体伝播音等のような環境パラメータも測定し、記録することができる。これらのデータは摩耗統計データに変換され、これにより、次のメンテナンスまたは装置のオーバーホールの時点が算出され、この時点に到達したことは、例えばこの装置で、音声または表示により示される。環境パラメータおよび/またはその評価および解釈は、コンピュータおよびメモリモジュールから、グリッパ装置固有のデータインターフェース、すなわち通信モジュール(50)を介して、ハンドリング装置(1)もしくは設備のプログラマブルコントローラへと戻るように伝達することができる。
【0051】
グリッパケーシング(81)には、
図2によれば、それぞれFSRセンサ(96)の形態の2つの抵抗型力センサが配置されている。これらのセンサにより、グリッパ(80)を現場で、機械オペレータによって開閉することができる。
【0052】
図示した実施例の組み合わせが考えられる。
【符号の説明】
【0053】
1 ハンドリング装置、関節型ロボット、6軸ロボット
2 ベースプレート
3 A軸
4 回転テーブル、第1のリンク
5 B軸
6 フットレバー
7 C軸
8 エルボレバー
11 D軸
12 支持アーム
13 E軸
14 ハンドレバー
15 リンク、最後から2番目の;回転プレート
16 F軸、旋回軸、中心線
19 アダプタシステム(モジュールの全体)
20 機械モジュール、第1のシステムモジュール
21 ベースモジュールケーシング
22 四角形ピン
23 センタリング凹部
24 センタリングピン
25 貫通孔
29 機械インターフェース
30 接続モジュール、第2のシステムモジュール
31 接続ケーシング、モジュールケーシング
32 センタリングフランジ
33 嵌合ピン穴
34 縮小円錐台形
35 ケーブル端子
36 供給管、大きな直径
38 ネガ型のアダプタジオメトリ
39 第1のコンビインターフェース
40 変形モジュール、第4のモジュール
41 ケーシング上部、モジュールケーシング
42 ポジ型のアダプタジオメトリ
43 エラストマ層
44 ケーシング下部
45 舌片
46 舌片凹部、長孔状
47 ねじ
48 ネガ型のアダプタジオメトリ
49 第2のコンビインターフェース
50 通信モジュール、第3のモジュール
51 通信ケーシング、モジュールケーシング
52 ネガ型のアダプタジオメトリの領域における雄ねじ山
53 バヨネット舌片、バヨネット緊締システムの部分
54 カバー、上部
55 ポジ型のアダプタジオメトリ
56 ピン支持プレート
57 コンタクトピン、電気エネルギおよび電気信号のための伝達個所
58 ろう接孔
59 (51)における(56)のための凹部
60 供給管、圧縮空気またはガスのための伝達個所
61 カバー、下部
62 ネガ型のアダプタジオメトリ
63 パッド支持プレート
64 孔、中央
65 コンタクトパッド、電気エネルギおよび電気信号のための伝達個所
66 ろう接孔
67 供給孔、圧縮空気またはガスのための伝達個所
68 シールリング
69 (47)のための座ぐり穴
71 電子構成群、場合によっては交換可能
72 回路基板、実装
73 突出部;カメラケーシング、オプション
74 カメラ、オプション
75 照明発光ダイオード、オプション
76 微細なねじ山を有したカラー
77 バヨネットリング、外側に切り込みを入れられた、バヨネット緊締システムの部分
79 第3のコンビインターフェース、バヨネット緊締システムの部分
80 リンク、最後の;グリッパ
81 グリッパケーシング
82 支持挿入部
83 シリンダ
84 ピストン、ニューマチックピストン
85 ガイドレール
86 楔フック伝動装置
87 スライダ
88 楔フック
89 グリッパアーム
91 ベースケーシング
92 ベースアダプタエレメント、ポジ型
93 電子機器
94 コンピュータおよびメモリモジュール
96 FSRセンサ