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<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】媒体切断構成および方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/68 20060101AFI20230220BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20230220BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20230220BHJP
   B26D 1/24 20060101ALI20230220BHJP
   B26D 1/20 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
B41J11/68
B41J2/01 305
B26D7/06 Z
B26D1/24 H
B26D1/24 J
B26D1/20 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020536523
(86)(22)【出願日】2018-01-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-25
(86)【国際出願番号】 US2018015885
(87)【国際公開番号】W WO2019151983
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット-パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】ウルティア・ネブレダ,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】オルマエチェア,ホセバ
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア・ブランコ,ハビエル
(72)【発明者】
【氏名】ジスタス・ペレス,アンヘル
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/188937(WO,A1)
【文献】国際公開第97/040988(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/176274(WO,A1)
【文献】特開2016-55378(JP,A)
【文献】特開2015-174255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/68-11/70
G03G 15/00
B26D 7/06
B26D 1/00-1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンター用のカッター構成であって、カッター構成は:
シャフト上に摺動可能に配置された第1のカッターモジュールを含み、シャフトはプリンターの媒体進行方向に垂直な方向に延在し;
第1のカッターモジュールは第1の可動式切断ブレードおよび第1の伝達群を含み、
第1の伝達群はシャフトの回転を第1の可動式切断ブレードに伝達して、第1の可動式切断ブレードはプリンターの媒体進行方向に沿った方向において印刷媒体を切断し、
第1の可動式切断ブレードは回転切断ブレードであり、そして
シャフト上に摺動可能に配置された第2のカッターモジュールを含み、
第2のカッターモジュールは第2の可動式切断ブレードおよび第2の伝達群を含み、
第2の伝達群はシャフトの回転を第2の可動式切断ブレードに伝達して、第2の可動式切断ブレードはプリンターの媒体進行方向に沿った方向において印刷媒体を切断し、
第2の可動式切断ブレードは回転切断ブレードであり、
第1の可動式切断ブレードおよび第2の可動式切断ブレードの周速度はプリンターの媒体進行方向に沿った方向における印刷媒体の進行速度よりも速く、第1の可動式切断ブレードおよび第2の可動式切断ブレードの回転が張力効果を生み出して印刷媒体を媒体進行方向に沿った方向に引っ張る、カッター構成。
【請求項2】
第1の可動式切断ブレードは媒体進行方向に垂直な方向において第1の可動式切断ブレードおよび第2の可動式切断ブレードの間の切断ゾーンの外側に向かう第1の方向に整列され、この第1の方向は媒体進行方向に対して0.5°から5°の角度をなし、第2の可動式切断ブレードは媒体進行方向に垂直な方向において第1の可動式切断ブレードおよび第2の可動式切断ブレードの間の切断ゾーンの外側に向かう第2の方向に整列され、この第2の方向は第1の方向とは反対であり媒体進行方向に対して0.5°から5°の角度をなし、第1の可動式切断ブレードおよび第2の可動式切断ブレードの回転は、媒体進行方向に垂直な方向および媒体進行方向において、第1の可動式切断ブレードおよび第2の可動式切断ブレードの間の切断ゾーンの外側に向かう方向に印刷媒体を引っ張る、請求項のカッター構成。
【請求項3】
第1のカッターモジュールはシャフトの外周に係合する第1の伝達リングを介してシャフト上に摺動可能に配置されており、シャフトの回転は第1の伝達リングおよび第1の伝達群によって第1の可動式切断ブレードに伝達され、第2のカッターモジュールはシャフトの外周に係合する第2の伝達リングを介してシャフト上に摺動可能に配置されており、シャフトの回転は第2の伝達リングおよび第2の伝達群によって第2の可動式切断ブレードに伝達される、請求項またはのカッター構成。
【請求項4】
シャフトは多角形断面、非円形断面、楕円形断面または非対称形状の断面を備え、第1の伝達リングおよび第2の伝達リングはシャフトの外周に対して形状適合する仕方で係合する、請求項1または3のカッター構成。
【請求項5】
第1の伝達群は第1の伝達リングの表面に係合する第1の円筒形の本体を含み、シャフトおよび第1の伝達リングの回転を第1の伝達群の第1のギア列に伝達し、第2の伝達群は第2の伝達リングの表面に係合する第2の円筒形の本体を含み、シャフトおよび第2の伝達リングの回転を第2の伝達群の第1のギア列に伝達する、請求項またはのカッター構成。
【請求項6】
第1のカッターモジュールは、
第1の伝達リングにクランプする第1の上部モジュール半体および第1の下部モジュール半体、および
第1の上部モジュール半体および第1の下部モジュール半体のそれぞれに備えられた第1の上部延伸部および第1の下部延伸部を含み、
第1の上部延伸部および第1の下部延伸部を相互に押し付けて第1の上部モジュール半体および第1の下部モジュール半体を相互に相対的に枢動させると、第1の上部モジュール半体および第1の下部モジュール半体は第1の伝達リングから離脱され、第1のカッターモジュールは第1の伝達リングから取り外され、
第2のカッターモジュールは、
第2の伝達リングにクランプする第2の上部モジュール半体および第2の下部モジュール半体、および
第2の上部モジュール半体および第2の下部モジュール半体のそれぞれに備えられた第2の上部延伸部および第2の下部延伸部を含み、
第2の上部延伸部および第2の下部延伸部を相互に押し付けて第2の上部モジュール半体および第2の下部モジュール半体を相互に相対的に枢動させると、第2の上部モジュール半体および第2の下部モジュール半体は第2の伝達リングから離脱され、第2のカッターモジュールは第2の伝達リングから取り外される、請求項からのいずれか1のカッター構成。
【請求項7】
第1の可動式切断ブレードは第1の1次切断ブレードであり、第1のカッターモジュールは第1の2次切断ブレードをさらに含み、第1の1次切断ブレードおよび第1の2次切断ブレードは相互作用してそれらの間で印刷媒体を切断し、および
第2の可動式切断ブレードは第2の1次切断ブレードであり、第2のカッターモジュールは第2の2次切断ブレードをさらに含み、第2の1次切断ブレードおよび第2の2次切断ブレードは相互作用してそれらの間で印刷媒体を切断する、請求項からのいずれか1のカッター構成。
【請求項8】
第1の2次切断ブレードは、第1の1次切断ブレードと接触して駆動される回転切断ブレードであり、または第1の2次切断ブレードは、第1の1次切断ブレードと接触する固定の直線状切断ブレードであり、および
第2の2次切断ブレードは、第2の1次切断ブレードと接触して駆動される回転切断ブレードであり、または第2の2次切断ブレードは、第2の1次切断ブレードと接触する固定の直線状切断ブレードである、請求項のカッター構成。
【請求項9】
第1の可動式切断ブレードは第1の1次切断ブレードであり、第1のカッターモジュールは第1の2次切断表面をさらに含み、第1の1次切断ブレードおよび第1の2次切断表面は相互作用してそれらの間で印刷媒体を切断し、および
第2の可動式切断ブレードは第2の1次切断ブレードであり、第2のカッターモジュールは第2の2次切断表面をさらに含み、第2の1次切断ブレードおよび第2の2次切断表面は相互作用してそれらの間で印刷媒体を切断する、請求項からのいずれか1のカッター構成。
【請求項10】
第1のカッターモジュールおよび第2のカッターモジュールは、第1の可動式切断ブレードおよび第2の可動式切断ブレードのそれぞれに向けてその間へと印刷媒体を案内するギャップを含む、請求項からのいずれか1のカッター構成。
【請求項11】
第1のカッターモジュールの第1の伝達群は、シャフトが第1の方向に回転する場合にロックを解除してシャフトの回転を第1の可動式切断ブレードに伝達し、そしてシャフトが第1の方向と反対の第2の方向に回転する場合にロックして第1のカッターモジュールを切断位置からスタンバイ位置へと枢動させる第1のロックギアを含み、および
第2のカッターモジュールの第2の伝達群は、シャフトが第1の方向に回転する場合にロックを解除してシャフトの回転を第2の可動式切断ブレードに伝達し、そしてシャフトが第1の方向と反対の第2の方向に回転する場合にロックして第2のカッターモジュールを切断位置からスタンバイ位置へと枢動させる第2のロックギアを含む、請求項から10のいずれか1のカッター構成。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
幾つかのプリンターは切断デバイスを含んでおり、それは印刷媒体を印刷動作の前または後で切断することができる。切断デバイスは、印刷ゾーンを横断して移動するキャリッジ上に支持された、切断ブレードを含むことができる。印刷ゾーンを横断するキャリッジの移動により、および/または印刷ゾーンを通過する媒体進行経路に沿った印刷媒体の移動により、切断ブレードはX方向およびY方向といった1つまたは2つの線形方向において、切断を行ってよい。
【図面の簡単な説明】
【0002】
以下の説明は図面を参照しており、そこにおいて:
図1は例示による切断構成の斜視図を示しており;
図2は例示によりプリンター部品と組み合わせられた切断構成の斜視図を示しており;
図3は例示による切断構成の一部分の拡大斜視図を示しており;
図4は例示による切断構成の別の部分を部品を取り外して示す斜視図であり;
図5図4に示す切断構成の他の部分の異なる斜視図を示しており;
図6は例示による切断構成の右側カッターモジュールを部品を取り外して示す斜視図であり;
図7は例示による左側カッターモジュールを部品を取り外して反対側から見た類似の斜視図を示しており;
図8から図11は例示による切断構成のカッターモジュールを部品を取り外して示す異なる斜視図であり;
図12および図13は例示によるカッターモジュールの異なる斜視図を示しており;
図14は例示による媒体切断方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
図1図2、および図3は、例示による切断構成を説明する概略を提示する異なる斜視図である。
【0004】
図示の例において、切断構成は第1のカッターモジュール10および第2のカッターモジュール20を含んでいる。第1および第2のカッターモジュール10、20は、矢印Aによって示されているプリンターの媒体進行方向に対して垂直方向に延びるシャフト30上に配置されている。媒体進行方向AはまたY方向とも称され、そしてY方向に垂直なキャリッジ走査方向はまた、X方向とも称される。Y方向およびX方向の両者に垂直な重力方向は、Z方向として指定されてよい。第1のカッターモジュール10はまた、左側カッターモジュールとして指定されることができ、そして第2のカッターモジュール20はまた、右側カッターモジュールとして指定されることができるが、ここで左および右はこの例では媒体進行方向Aと反対方向の、プリンターの前面から見たカッターモジュールの位置を指定している。
【0005】
これら2つのカッターモジュール10、20はシャフト30上に、シャフト30の長さに沿って、例えば走査方向に沿って独立して摺動可能に配置されており、ここでカッターモジュール10、20の摺動運動は、第1および第2のカッターモジュール10、20に結合された第1および第2のプーリードライブ12、22のそれぞれによって生ずる。このことは、幅および位置が変化する異なる切断ゾーンとするため、2つのカッターモジュール10、20を、プリンターの印刷ゾーンの下流側にある切断ゾーンの右側端部および左側端部に選択的に位置決めすることを可能にする。図示の例において、最大幅Pmaxの切断ゾーンは、図2に例示された出力プラテン50の幅をほぼ横断して延在する。プーリードライブ12、22の各々は、プーリーベルト14、24およびプーリーホイール16、26、並びに各々のプーリードライブのプーリーホイール16、26の少なくとも1つを駆動するための駆動ユニット(図示せず)を含んでいる。駆動ユニットは例えば、電気モーターを含んでいてよい。
【0006】
図示の例において、第2の、すなわち右側カッターモジュール20に関連するプーリードライブ22は切断ゾーンの右手側において、最大切断ゾーン幅Pmaxの約30%にわたって延在し、そして第1の、すなわち左側カッターモジュール10に関連するプーリードライブ12は切断ゾーンの左手側において、最大切断ゾーン幅Pmaxの約80-90%にわたって延在する。第1および第2のプーリードライブ12、22のベルト14、24は重複しており、そして例えば、関連するプリンターが印刷ゾーンにおいて印刷を行う印刷媒体の任意の左側マージンおよび右側マージンに、第1および第2のカッターモジュール10、20を位置決めできるように設計可能である。
【0007】
第1および第2のカッターモジュール10、20は、カッターモジュール10、20に取り付けられたアーム18、28のそれぞれによって、第1および第2のプーリーベルト12、24に着脱可能に結合されている。従って、ベルト14、24の何れか一方の移動は、関連するカッターモジュール10、20をシャフト30に沿って牽引し、カッターモジュール10、20を例えば、調節可能な切断ゾーンの2つの側に位置決めする。
【0008】
シャフト30は、幾つものギアを含む駆動ギア列42を介して駆動モーター40に結合されており、駆動モーター40の回転をシャフト30に伝達する。駆動モーター40は、BLDCモーターまたはステッピングモーターまたは別の電気モーターであってよい。駆動モーター40は例えば、プリンターのコントローラ(図示せず)に関連して作動するよう結合された供給/駆動ライン44を介して給電され、駆動されてよい。
【0009】
駆動モーター40を含むカッター構成は、幾つものブラケットおよびサポート32、34、36、38、44を介して、プリンターのシャシー(図示せず)に設けられてよい。
【0010】
図2は出力プラテン50を図示しており、これは媒体進行方向Aにおいてプリンターを通過し、印刷ゾーンから出るよう搬送される印刷媒体用の支持体として作用してよい。出力プラテン50はプーリードライブ12、22およびアーム18、28を覆って、印刷媒体を出力プラテン50の平滑な表面上で案内する。カッターモジュール10、20は、出力プラテンの上方に配置される。図2はさらに、幾つものガイドアーム52を示しているが、これらは印刷媒体が媒体進行方向Aに搬送される場合に、出力プラテン50上で平坦で均一なままで案内されるように備えられている。印刷媒体前進システム(図示せず)を提供して、媒体進行方向Aにおいて、印刷媒体を印刷ゾーンを通過し且つ出力プラテン50にわたって搬送するようにしてよい。さらに、出力プラテン50の上流側には、印刷ゾーンの上方にプリントヘッド(図示せず)を配置して、印刷ゾーン内で印刷媒体上に印刷流体を付着させるようにしてよい。シャフト30と平行に、媒体進行方向Aに対して垂直方向に延びるバーまたはシャフト(図示せず)に沿って摺動されてよいプリンターキャリッジによって、単一のプリントヘッドまたは幾つかのプリントヘッドを担持してよい。キャリッジは、印刷流体を含有するプリントヘッドのアレイ、例えば4色のMCYKインクのインクジェットプリントヘッドを担持していてよい。プリントヘッドから分配されてよい印刷流体は、インクジェットタイプのプリンターまたは他のインクジェットタイプの分配器によって分配可能な任意の流体であってよく、そして例えば、インク、ワニス、および/または後処理剤または前処理剤を含んでいてよい。キャリッジは印刷ゾーンにおいて印刷媒体を横断して走査し、同時にプリントヘッドは選択的に噴射されて、印刷された描画を生成する。
【0011】
図3は、引っ張りばね17、27およびプーリーベルト24の弾性部分25(プーリーベルト14にも個別の弾性部分が備えられてよいが、図面では示されていない)のような、プーリーベルト14、24の張架を可能にするための、プーリードライブ12、24のさらなる詳細を認識することを可能にする。プーリードライブ12、14は、例えばプリンターのコントローラ(図示せず)に関連して作動するよう結合された、供給/駆動ライン(図示せず)を介して給電され、駆動されてよい。
【0012】
図4および図5は、駆動モーター40をシャフト30に結合している駆動ギア列42のさらなる詳細を示しており、また駆動シャフト30と第1および第2のカッターモジュール10、20との間の結合機構のさらなる詳細を示している。図4図1に類似した角度からの斜視図であり、そして図5図4の反対側からの斜視図である。これまでの図面と同じ部品または対応する部品は、同じ参照番号によって示されている。
【0013】
図示の例において、駆動ギア列42は幾つもの平歯車を含んでおり、これらはこの例では3つの伝達段階を提供して、駆動モーター40の歯付き出力シャフト41の回転をシャフト30に伝達する。駆動ギア列42はシャフト30の回転速度を調節することを可能にし、そして出力シャフト41の回転を時計回りおよび反時計回りの両方において伝達する。
【0014】
図示の例において、シャフト30は6角形断面のような多角形断面を有しているが、ここでは円形または非円形、楕円形または非対称形状の断面を含む、他の断面を備えることができる。カッターモジュール10、20は、個別の伝達リング102、202によってシャフト30に結合されていてる。この例において伝達リング102、202は、シャフト30の外周に対して形状適合する仕方で係合しており、そこでは代替的にまたは付加的に、圧入またはネジ、ブラケット、接着剤またはその他といった追加の固定要素による係合が提供されてよい。
【0015】
図示の例において、カッターモジュール10、20のそれぞれは、上部モジュール半体104、204および下部モジュール半体106、206を含んでおり、これらは伝達リング102、202を個々にクランプする。図4および図5においては、把手状延伸部108、110、208、210が、上部および下部モジュール半体104、204に備えられているのが認識されてよい。これらの把手状延伸部は、把持され、相互に押し付けられると、上部および下部モジュール半体108、110、208、210を相互に相対的に枢動させることができ、モジュール半体を伝達リングから離脱させると共に、個々のカッターモジュール10、20を伝達リング102、202から取り外させる。従って、各々のカッターモジュール10、20は、把手状延伸部108、110、208、210を一緒に押さえ付け、カッターモジュール10、20を伝達リング102、202から取り外し、そして別のカッターモジュールを逆の動作によって挿入することにより、交換可能である。
【0016】
図示されている例においては、カッターモジュール10、20の各々は、上部回転ブレード112、212および下部回転ブレード114、214を含んでおり、これらは以下の図面においてより良く認識されうる。上部回転ブレード112、212は1次切断ブレードの例であり、そして下部回転ブレード114、214は2次切断ブレードの例である。上部回転ブレード112、212のそれぞれは可動式切断ブレードであり、それぞれのカッターモジュール10、20に備えられた個々の伝達群を介して、シャフト30の回転によって回転するよう駆動される。各々の伝達群は、調節可能な伝達比を有していてよい。この例では、下部回転ブレード114、214は、上部回転ブレード112、212と接触し、上部回転ブレードによって摩擦駆動されてよく、両者の間で印刷媒体を切断する。別の例においては、下部回転ブレードを設ける代わりに、ナイフ状の直線状ブレードのような下部固定ブレードを設けてよく、これが上部回転ブレード112、212と相互作用して、両者の間で印刷媒体を切断する。下部固定ブレードは、2次切断ブレードの別の例である。別の例においては、上部回転ブレード112、212は下部切断ブレードの代わりに対向表面と相互作用してよく、対向表面を横断して搬送される印刷媒体を切断する。
【0017】
これらの例においては、カッターモジュール10、20の各々は、関連する切断ブレード112、114、212、214に向けてその間へと印刷媒体を案内するギャップ116、216を含んでいる。
【0018】
図6および図7は、例示による右側カッターモジュール20および左側カッターモジュール10の反対側からの2つの異なる斜視図を示しており、シャフト30と上部回転ブレード112、212の間に伝達群118、218を図示するように部品が取り外されている。これまでの図面と同じかまたは対応する部品は、同じ参照番号によって示されている。図1から図5の上記の説明が参照される。第1のギア120、220は円筒形の本体(左側カッターモジュール10に関連して図8でさらに説明する)を含んでおり、これは伝達リング102、202の表面に係合して、シャフト30および伝達リング102、202の回転を第1のギア120、220に伝達する。第1のギア120、220は第2のギア122、222と噛み合い、第2のギアは次いで、第3のギア124、224と噛み合う。第3のギア124、224は共通の回転シャフト126、226に支持されており、これはまた上部回転ブレード112、212を担持している。従って、シャフト30の回転は伝達リング102、202およびギア列118、218によって、上部回転ブレード112、212へと伝達される。第1のギア、第2のギア、および第3のギア120、122、124;220、222、224は、所望とする伝達比を達成するように設計可能である。シャフト30の回転速度を制御し、そして伝達比を調節することによって、上部回転ブレード212は複数の所望とする個別の回転速度において、またはある回転速度範囲にわたって回転可能であり、印刷媒体を可変の速度で切断することができる。例えば、上部回転ブレード112、212の周速度は、印刷媒体が媒体進行方向Aに搬送される速度と同じか、またはより速くすることができる。さらにまた、上部回転ブレードの回転速度は、印刷媒体の厚さおよび/または硬さといった、印刷媒体の種類に応じて調節することができる。例えば、より厚いおよび/またはより硬い印刷媒体については、より薄いおよび/またはより軟らかい印刷媒体の場合よりも、速い切断速度を選択してよい。
【0019】
図示の例において、下部回転ブレード114、214は、下部モジュール半体106、206に支持された、関連する回転シャフト128、228によって支持されている。下部回転ブレード114、214は上部回転ブレード112、212により、2つのブレード112、114;212、214の間の摩擦接触によって駆動されていてよい。回転シャフト126、128;226、228、並びに第1および第2のギア120、122;220、222の個々のシャフトは、上部および下部モジュール半体104、106;204、206において個別の軸受けに支持されていてよいが、これについては別途説明しない。図7はさらに、上部モジュール半体104を伝達リング102と低摩擦係合で係合させるピンチローラー130を図示している。
【0020】
ギア列118、218は一方向に回転し、他の方向における回転は阻止するように設計されている。図6の斜視図に基づく図示の例においては、シャフト30が反時計回り方向に回転するとした場合、回転は伝達群218および第3のギア224によって伝達され、そして上部回転ブレード212は時計回り方向に回転するように駆動されて、ギャップ216に入る印刷媒体を切断する。しかしながら、シャフト30が時計回り方向に回転する場合には、ギア列218はロックして、シャフト30の回転はカッターモジュール20の全体を図6に示された切断位置から傾斜位置またはスタンバイ位置へと枢動し、そこではカッターモジュールは印刷媒体搬送平面から外れるように移動される。カッターモジュール20およびカッターモジュール10はシャフト30の周囲で、図示された切断位置からスタンバイ位置へと、例えば45°から180°の範囲で枢動されてよい。そのために、第1のギア、第2のギア、および第3のギア120、122、124;220、222、224の1つは、一方向の回転は許容するが他方向の回転は許容しない歯止め爪と相互作用するロックギアとして実施することができる。
【0021】
図8から図13は、左側カッターモジュール10の異なる斜視図を示しており、そこでは図8および図9においては部品が取り去られて、例示によって、シャフト(図8から図13には示されていない)と上部回転ブレード112との間の伝達群118が示されている。図8および図9は左側から見た図を示しており、図10および図11は右側から見た図を示しており、そして図12および図13図8および図9に類似の図を、部品を取り去ることなく示している。これまでの図面と同じ部品または対応する部品は、同じ参照番号または対応する参照番号によって示されている。「2」で始まる参照番号によって示されている右側モジュール20のすべての部品は、「1」で始まる対応する参照番号によって示されている左側モジュール10の部品に対応している。図1から図7の上記の説明が参照される。
【0022】
右側モジュール20および左側モジュール10は、相互に鏡像であってよく、または相違点を含んでいてよい。右側モジュール20と同様に、左側モジュール10は伝達リング(図8から図13には示されていない)の表面に係合する円筒形の本体121を有する第1のギア120を含み、伝達リングの回転、従ってシャフトの回転を第1のギア120に伝達する。第1のギア120は第2のギア122と噛み合い、これは次いで、第3のギア124と噛み合う。第3のギア124は共通の回転シャフト126上に配置されており、これはまた左側モジュール10の上部回転ブレード112を担持している。従って、シャフトの回転は伝達リング102およびギア列118によって、上部回転ブレード112へと伝達される。第1のギア、第2のギア、および第3のギア120、122、124は、所望とする伝達比を獲得するように設計可能である。シャフトの回転速度を制御し、そして伝達比を調節することによって、上部回転ブレード112は複数の所望とする個別の回転速度において、またはある回転速度範囲にわたって回転可能であり、印刷媒体を可変の速度で切断することができる。例えば、上部回転ブレード112の周速度は、印刷媒体が媒体進行方向Aに搬送される速度と同じか、またはより速くすることができる。さらにまた、上部回転ブレードの回転速度は、上記で説明したように、印刷媒体の種類に応じて調節することができる。
【0023】
図示の例において、下部回転ブレード114は、下部モジュール半体106に支持された、関連する回転シャフト128によって支持されている。下部回転ブレード114は上部回転ブレード112により、2つのブレード112、114の間の摩擦接触によって駆動されていてよい。回転シャフト126、128、並びに第1および第2のギア120、122の個々のシャフトは、上部および下部モジュール半体204、106において個別の軸受けに支持されていてよいが、これについては別途説明しない。図8および図9はさらに、上部モジュール半体104を伝達リングと低摩擦係合で係合させるピンチローラー130を図示している。
【0024】
ギア列118は一方向に回転し、他の方向における回転は阻止するように設計されている。図6の説明が参照される。この効果を得るために、第1のギア、第2のギア、および第3のギア120、122、124の1つは、一方向の回転は許容するが他方向の回転は許容しない歯止め爪と相互作用するロックギアとして実施することができる。
【0025】
図6から図13はさらに、左側モジュール10および右側モジュール20にある補強リブおよび他の補強構造を図示しているが、それらはここでは詳述しない。図12および図13は、図8および図9と類似した斜視図を示しており、カバープレート132が下部モジュール半体106の側に取り付けられている。
【0026】
図14は、例示による媒体切断プロセスの流れ図を示している。このプロセスは、2つのカッターモジュール10、20を有するカッター構成を含んでいる、インクジェットプリンターのようなプリンターにおいて実行されてよい。このプロセスは、ブロック60において、カッターモジュール10、20をシャフトに係合させ、そしてブロック62において、カッターモジュール10、20をシャフト30に沿って、印刷および切断ゾーンの両側にある所望の側方位置に移動させることを含んでいる。カッターモジュール10、20は、印刷媒体の切断幅に対応する距離で配置することができる。印刷媒体は次いで、ブロック64において、プリンターの印刷ゾーンに向けて前進され、印刷媒体の先端部が媒体進行方向Aにおいて印刷ゾーンを横切る。この印刷媒体(図面には示されていない)は、例えば、供給トレイ、ドロワー、またはロール紙から印刷ゾーンに送り込まれる、印刷媒体の枚葉紙または連続紙のような印刷媒体であることができる。この媒体は例えば、紙または箔であってよい。印刷媒体は、例えば、印刷ゾーンの下流および/または上流に配置された媒体送りローラー、単一のベルトまたは幾つものベルト、および/または印刷プラテンと一体化されたローラーによって、送り込まれることができる。
【0027】
印刷媒体が印刷ゾーンに到着したならば、プリンターはブロック66において、インクのような印刷流体のスワス(帯状印刷)の印刷を開始し、そして印刷ゾーンを通過して媒体を前進させることができる。ブロック68においては、印刷媒体の先端部がカッターモジュールに到達したか否かがチェックされる。否であれば、ブロック66においてプリンターは印刷流体のスワスの印刷を継続し、印刷媒体を媒体進行方向に前進させる。印刷媒体の先端部がカッターモジュールに到達した場合には、ブロック70において、印刷媒体の先端部は印刷ゾーンの対向する2つの側において、カッターモジュール10、20によって係合可能であり、そしてブロック72において、印刷媒体を前進させながら、プロセスは印刷を継続し、印刷媒体を切断することができる。印刷媒体の先端部は、印刷媒体の側縁付近においてギャップ116、216に入ることができて、切断ブレード112、114、212、214と接触するようになり、プロセスのその時点において、切断ブレードは印刷媒体の切断を開始する。回転ブレード112、114、212、214の周速度が媒体進行速度よりも速い場合には、回転ブレード112、114、212、214の回転は張力効果を生み出すことができて、それが印刷媒体を媒体進行方向に引っ張り、かくして印刷媒体は平坦に緊張されて保持され、切断動作が改善される。切断動作64と同時に、印刷媒体上への印刷を行ってよい。
【0028】
切断ブレードは、媒体進行方向Aに平行または実質的に平行な方向に整列されていてよい。切断ブレードは代替的には、媒体進行方向Aに対して約0.5°から5°の角度のような、媒体進行方向Aに対して小さな角度をなす方向に整列されていてよい。従って、切断ブレードが回転する場合、その僅かに傾いた配置に起因して、それらは媒体を媒体進行方向Aに引っ張るだけでなく、走査方向Xにおける描画の外側に向かう小さな引っ張り成分を加えることになる。切断ブレードは、プリンターの正面から見て、左側カッターモジュール10が左へと引っ張り、そして右側カッターモジュール20が右へと引っ張るような仕方で配置される。これは切断される媒体に張力を与え、そして両方のカッターモジュールの間にある媒体から気泡を取り除く。
【0029】
印刷プロセスが完了しなければ、印刷動作および切断動作を繰り返しながら、印刷媒体は引き続いて媒体進行方向Aに進行される。印刷ゾーンにおける印刷媒体上への印刷と、そして媒体進行方向における印刷媒体の対向する2つの側縁の切断は、単一と見なしてよい動作において同時に実行することができる。それはまた、断続的に実行されることもできる。
【0030】
印刷ゾーンの左側および右側における印刷媒体の切断片は、下部モジュール半体106、206の案内表面134、234に沿って両側に向かって逸らすことが可能であり、ここで案内表面134は図10に最も良く示されている。
【0031】
ブロック74において、印刷が完了したか否かがチェックされる。完了していれば、ブロック76において、印刷媒体は媒体進行方向においてさらに移動させることができ、描画の終端部または後端部まで切断が完了される。印刷媒体は次いでブロック78において、逆方向に、すなわち印刷媒体進行方向Aと反対の方向へと、所定の距離だけ移動させることができ、そしてブロック80において、印刷媒体の後端部は媒体進行方向Aを横切る方向、例えば媒体進行方向Aに対して垂直な方向に切断されることができるが、この垂直方向はまた走査方向Xとも呼ばれる。横断方向における印刷媒体の切断は、別個のX方向切断デバイスによって実行されてよく、このデバイスは印刷ゾーンの入口側または出口側において、印刷媒体の先端部および/または後端部を切断するように配置可能である。
【0032】
この例では、カッターモジュール10、20は媒体進行方向Aで見て、X方向切断デバイスの下流側に配置されている。従って、媒体進行方向A、すなわちY方向において印刷および切断が完了した場合、印刷媒体の後端部は、X方向切断デバイスによって切断されるように逆向きに移動される。
【0033】
印刷媒体前進システム(図示せず)の駆動系、カッターモジュール10、20のシャフト30およびプーリードライブ12、22、並びにプリンターの他の構成要素および関連する切断装置は、コントローラ(図示せず)によって制御されてよい。コントローラは、マイクロコントローラ、ASIC、またはハードウェアに基づいて、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせに基づいて作動する制御装置を含む、他の制御装置であることができる。それは一体化されたメモリを含むことができ、または外部メモリと通信することができ、または両者であることができる。キャリッジの動作、媒体の前進および回転するアクチュエータを制御するために、同じコントローラまたは別個のコントローラを備えていてよい。コントローラの種々の異なる部品は、集中型または分散型の環境において、プリンターまたは別個の切断デバイスの内部または外部に配置されていてよい。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14