(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】基板の洗浄方法及び洗浄装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230220BHJP
【FI】
H01L21/304 643D
H01L21/304 643A
H01L21/304 648G
H01L21/304 647Z
(21)【出願番号】P 2020540564
(86)(22)【出願日】2018-01-23
(86)【国際出願番号】 CN2018073810
(87)【国際公開番号】W WO2019144273
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2021-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】510005650
【氏名又は名称】エーシーエム リサーチ (シャンハイ) インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】ワン フゥイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン シー
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン シャオイェン
(72)【発明者】
【氏名】チェン フーファ
(72)【発明者】
【氏名】チェン フーピン
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/183707(WO,A1)
【文献】特開2002-124502(JP,A)
【文献】特表2014-534610(JP,A)
【文献】国際公開第2017/096553(WO,A1)
【文献】特開2002-289565(JP,A)
【文献】特開平10-064870(JP,A)
【文献】特開平10-027771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパターン構造要素を有する基板の洗浄方法であって、
前記基板を回転させるように構成された基板ホルダに前記基板を配置する工程と、
前記基板上の気泡を引き込む欠陥を除去する前処理を行う工程と、
前記前処理を行う工程の後に、前記基板に洗浄液を供給する工程と、
トランスデューサにより洗浄液に音響エネルギーが供給されているときに、前記基板ホルダにより、前記基板を第1速度で回転させる工程と、
前記トランスデューサにより洗浄液に音響エネルギーが供給されていないときに、前記基板ホルダにより、前記基板を前記第1速度よりも速い第2速度で回転させる工程とを備えた、基板の洗浄方法。
【請求項2】
音響エネルギーが供給されているときに、前記基板を前記第1速度で回転させる工程と、音響エネルギーが供給されていないときに、前記基板を前記第2速度で回転させる工程と、を交互に複数サイクル行う、請求項1に記載の基板の洗浄方法。
【請求項3】
前記第1速度は、10~200回転/分の速度である、請求項1に記載の基板の洗浄方法。
【請求項4】
前記第2速度は、100~1500回転/分の速度である、請求項1に記載の基板の洗浄方法。
【請求項5】
音響エネルギーが供給されているときに前記第1速度で前記基板を回転させる工程は、
タイマーに基づいて、予め設定された第1期間、第1周波数で第1パワーレベルの音響エネルギーを洗浄液に供給するように、前記トランスデューサの電源を制御することと、
前記タイマーに基づいて、予め設定された第2期間、第2周波数で第2パワーレベルの音響エネルギーを洗浄液に供給するように、前記トランスデューサの電源を制御することとを含む、請求項1に記載の基板の洗浄方法。
【請求項6】
前記第1期間及び前記第2期間、前記第1パワーレベル及び前記第2パワーレベル、並びに、前記第1周波数及び前記第2周波数を、音響エネルギーを供給した結果として損傷したパターン構造要素の比率を、予め設定された閾値未満となるように決定する、請求項5に記載の基板の洗浄方法。
【請求項7】
前記基板のデバイス製造ノードが45nm以下である、請求項1に記載の基板の洗浄方法。
【請求項8】
パターン構造要素のライン幅が、60nm以下である、請求項1に記載の基板の洗浄方法。
【請求項9】
パターン構造要素の幅に対する深さのアスペクト比が3以上である、請求項1に記載の基板の洗浄方法。
【請求項10】
前記音響エネルギーが供給されているときに前記第1速度で前記基板を回転させた後、前記音響エネルギーが供給されていないときに前記第2速度で前記基板を回転させる前に、前記トランスデューサを前記洗浄液から離すように移動させる工程をさらに備えた、請求項1に記載の基板の洗浄方法。
【請求項11】
前記基板に前記洗浄液を供給する前に、前記洗浄液に、前記洗浄液内の気泡の少なくとも一部を除去する前処理を行う工程をさらに備えた、請求項1に記載の基板の洗浄方法。
【請求項12】
複数のパターン構造要素を有する基板の洗浄方法であって、
前記基板上の、気泡を引き込む欠陥を除去する前処理を行う工程と、
前記前処理を行う工程の後に、基板に洗浄液を供給する工程と、
タイマーに基づいて、予め設定された第1期間、第1周波数で第1パワーレベルの音響エネルギーを洗浄液に供給するようにトランスデューサの電源を制御する工程と、
前記タイマーに基づいて、予め設定された第2期間、第2周波数で第2パワーレベルの音響エネルギーを洗浄液に供給するようにトランスデューサの電源を制御する工程とを備えており、
前記第1期間と前記第2期間とを、交互に予め設定された複数サイクル行う、基板の洗浄方法。
【請求項13】
前記第1期間及び前記第2期間、前記第1パワーレベル及び第2パワーレベル、並びに、第1周波数及び第2周波数が、音響エネルギーの供給の結果としての損傷したパターン構造要素の比率を、あらかじめ設定された閾値未満となるように決定する、請求項12に記載の基板の洗浄方法。
【請求項14】
前記前処理が、前記基板へのプラズマエネルギーの供給を含む、請求項12に記載の基板の洗浄方法。
【請求項15】
前記前処理が、前記基板への1種類以上の前処理液の供給を含む、請求項12に記載の基板の洗浄方法。
【請求項16】
前記基板への前記1種類以上の前処理液の供給が、SC1液の供給を含む、請求項15に記載の基板の洗浄方法。
【請求項17】
前記基板への前記1種類以上の前処理液の供給が、
前記基板へのオゾン液の供給と、
前記基板への脱イオン水の供給と、
前記基板への希釈したフッ化水素の供給とを含む、請求項15に記載の基板の洗浄方法。
【請求項18】
複数のパターン構造要素を有する基板を洗浄する基板の洗浄装置であって、
前記基板を保持して回転させるように構成された基板ホルダと、
前記基板に洗浄液を供給するように構成された注入口と、
前記洗浄液に音響エネルギーを供給するように構成されたトランスデューサと、
1以上のコントローラと、を備え、前記1以上のコントローラは、
前記トランスデューサにより洗浄液に音響エネルギーが供給されているときに、前記基板を第1速度で回転させるように前記基板ホルダを制御し、
前記トランスデューサにより洗浄液に音響エネルギーが供給されていないときに、前記基板を、前記第1速度よりも速い第2速度で回転させるように前記基板ホルダを制御するように構成され、
基板に洗浄液を供給する前に、前記基板上の、気泡を引き込む欠陥を除去する前処理を行う装置、をさらに備える基板の洗浄装置。
【請求項19】
前記基板ホルダが、回転チャックを有する、請求項18に記載の基板の洗浄装置。
【請求項20】
前記注入口が、前記洗浄液を前記基板に噴射するように構成されたノズルを有する、請求項18に記載の基板の洗浄装置。
【請求項21】
前記1以上のコントローラは、音響エネルギーが供給されているときに、前記基板を前記第1速度で回転させる工程と、音響エネルギーが供給されていないときに、前記基板を前記第2速度で回転させる工程と、を交互に複数サイクル行うように構成された、請求項18に記載の基板の洗浄装置。
【請求項22】
前記第1速度は、10~200回転/分の速度である、請求項18に記載の基板の洗浄
装置。
【請求項23】
前記第2速度は、100~1500回転/分の速度である、請求項18に記載の基板の洗浄
装置。
【請求項24】
前記トランスデューサは、電源を備え、
前記1以上のコントローラは、タイマーを有し、
前記1以上のコントローラは、前記基板を第1速度で回転させるときに、
前記タイマーに基づいて、予め設定された第1期間、第1周波数及び第1パワーレベルで洗浄液に音響エネルギーを供給するように、トランスデューサの電源を制御し、
前記第1期間の後の予め設定された第2期間、前記タイマーに基づいて、予め設定された第2期間、第2周波数及び第2パワーレベルで洗浄液に音響エネルギーを供給するように、前記電源を制御するように構成された、請求項18に記載の基板の洗浄装置。
【請求項25】
前記基板のデバイス製造ノードが45nm以下である、請求項18に記載の基板の洗浄装置。
【請求項26】
パターン構造要素のライン幅が、60nm以下である、請求項18に記載の基板の洗浄装置。
【請求項27】
パターン構造要素の幅に対する深さのアスペクト比が3以上である、請求項18に記載の基板の洗浄装置。
【請求項28】
前記1以上のコントローラは、前記音響エネルギーが供給されているときに前記第1速度で前記基板を回転させた後、前記音響エネルギーが供給されていないときに前記第2速度で前記基板を回転させる前に、前記トランスデューサを前記洗浄液から離すように移動させるように構成された、請求項18に記載の基板の洗浄装置。
【請求項29】
前記前処理を行う装置は、前記基板に前記洗浄液を供給する前に、プラズマエネルギーを前記基板に供給するように構成されたプラズマ源を備えている、請求項18に記載の基板の洗浄装置。
【請求項30】
前記注入口は、さらに、前記基板に前記洗浄液を供給する前に、前記基板に1種類以上の前処理液を供給するように構成された、請求項18に記載の基板の洗浄装置。
【請求項31】
前記1種類以上の処理液が、SC1液を含む、請求項30に記載の解除基板の洗浄装置。
【請求項32】
前記1種類以上の前処理液が、オゾン液と、脱イオン水と、希釈したフッ化水素と、を含む、請求項30に記載の基板の洗浄装置。
【請求項33】
前記注入口と結合され、前記洗浄液中の気泡の少なくとも一部を除去するように構成された気泡除去器、を備えている、請求項18に記載の基板の洗浄装置。
【請求項34】
前記気泡除去器が、閾値よりも大きいサイズの気泡を除去するように構成されている、請求項33に記載の基板の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の洗浄方法及び洗浄装置に関する。より具体的には、洗浄処理において、超音波又は高周波超音波により発生された気泡キャビテーションを制御し、基板全体に、安定した、又は、制御されたキャビテーションを発生させることにより、高アスペクト比のビアホール、トレンチ、又は、凹部領域における微細粒子を効率的に除去することに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、複数の異なる処理工程を経てトランジスタ及び相互接続要素を製造することによって、半導体基板上に製造される又は加工される。近年トランジスタは、フィン電界効果トランジスタ及び3次元NANDメモリのように二次元から三次元に構築されるものがある。半導体基板に伴うトランジスタ端子同士を電気的に接続するために、半導体装置の一部として誘電材料に導電性(例えば金属)のトレンチ、ビアホール等が形成される。トレンチ及びビアホールは、トランジスタ間、及び、半導体デバイスの内部回路と半導体装置の外部回路との電気信号及びパワーを接続する。
【0003】
半導体基板上におけるFinFET及び相互接続要素の形成工程では、例えば、マスキング、エッチング、及び堆積工程を経て、所望の半導体装置の電子回路が形成されてよい。特に、複数のマスキングおよびプラズマエッチング工程を行うことによって、トランジスタのフィンおよび/または相互接続要素のトレンチやビアホールとして機能する半導体ウェハの誘電層に、finFET、3次元NANDフラッシュセルおよび/または陥凹領域のパターンを形成することができる。ポストエッチングまたはフォトレジストアッシングにおいて、フィン構造および/またはトレンチやビアホールにおける粒子および異物を除去するために、湿式洗浄工程が必要となる。特に装置製造ノードが14nmまたは16nm、或いは、それ以上移動する場合に、フィンおよび/またはトレンチおよびビアホールの側壁損失は、臨界寸法の維持に重要となる。側壁損失を低減または排除するには、適度に希釈された化学薬品、または、場合によっては脱イオン水のみを使用することが重要となる。しかし、通常、希釈された化学薬品や脱イオン水では、フィン構造、3次元NANDホールおよび/またはトレンチやビアホール内の粒子を効率的に除去できない。したがって、これらの粒子を効率的に除去するには、超音波または高周波超音波などの機械的な力が必要である。超音波または高周波超音波は、基板構造に機械的な力を加える気泡キャビテーションを発生させ、トランジットキャビテーションやマイクロ噴流などの激しいキャビテーションは、パターン構造を損傷させる。したがって、安定したまたは制御されたキャビテーションを維持することは、機械的な力を損傷限界内に制御すると同時に粒子の効率的な除去を行うために重要なパラメータとなる。3次元NAND孔の構造において、トランジットキャビテーションによって孔構造が損傷するとは限らないが、孔の内部の気泡キャビテーションが飽和することによって洗浄効果が低減する。
【0004】
米国特許第4326553号には、ノズルに結合されて半導体ウェハを洗浄する高周波超音波エネルギーが開示されている。流体は加圧され、高周波超音波トランスデューサによって高周波超音波エネルギーが流体に加えられる。ノズルは、超音波/高周波超音波の周波数で振動する洗浄用流体をリボン状に噴射させて表面に衝突させるための形状を有している。
【0005】
米国特許第6039059号には、音響エネルギーを流体に伝達する細長いプローブを振動させるエネルギー源が開示されている。一構成において、流体がウェハの両側に噴射される一方、プローブは上側近傍に配置されている。別の構成では、短いプローブの先端面が表面近傍に配置されており、ウェハが回転する際にその表面上をプローブが移動する。
【0006】
米国特許第6843257B2号には、ウェハ表面に平行な軸を中心に回転するロッドを振動させるエネルギー源が開示されている。ロッド表面に、エッチングにより螺旋溝などを形成する。
【0007】
洗浄工程において、超音波または高周波超音波装置(ultra or mega sonic device)によって生成される気泡キャビテーションを制御し、基板全体に安定した、または、制御されたキャビテーションを発生させることにより、高アスペクト比のビアホール、トレンチ、または、凹領域における微細粒子を効率的に除去するよりよい方法が必要である。
【発明の概要】
【0008】
本発明の1つの観点によると、複数のパターン構造要素(features of patterned structures)を有する基板を洗浄する基板洗浄方法であって、前記基板を回転させるように構成された基板ホルダに前記基板を配置する工程と、前記基板上の気泡を引き込む欠陥を除去する前処理を行う工程と、前記前処理を行う工程の後に、前記基板に洗浄液を供給する工程と、トランスデューサにより洗浄液に音響エネルギーが供給されているときに、前記基板ホルダにより、前記基板を第1速度で回転させる工程と、トランスデューサにより洗浄液に音響エネルギーが供給されていないときに、前記基板ホルダにより、前記基板を前記第1速度よりも速い第2速度で回転させる工程とを備えた、基板の洗浄方法が開示される。
【0009】
本発明の別の観点によると、複数のパターン構造要素を有する基板を洗浄する基板洗浄方法であって、気泡を引き込む基板上の欠陥を除去する前処理を実行する工程と、前記前処理を行う工程の後に、基板に洗浄液を供給する工程と、タイマーに基づいて、予め設定された第1期間、第1周波数で第1パワーレベルの音響エネルギーを洗浄液に供給するようにトランスデューサの電源を制御する工程と、前記タイマーに基づいて、予め設定された第2期間、第2周波数で第2パワーレベルの音響エネルギーを洗浄液に供給するようにトランスデューサの電源を制御する工程とを備えており、前記第1期間と前記第2期間とを、交互に予め設定された複数サイクル行う、基板の洗浄方法が開示される。
【0011】
本発明の別の観点によると、複数のパターン構造要素を有する基板を洗浄する基板洗浄装置であって、前記基板を保持して回転させるように構成された基板ホルダと、前記基板に洗浄液を供給するように構成された注入口と、前記洗浄液に音響エネルギーを供給するように構成されたトランスデューサと、1以上のコントローラと、を備え、前記1以上のコントローラは、前記トランスデューサにより洗浄液に音響エネルギーが供給されているときに、前記基板を第1速度で回転させるように前記基板ホルダを制御し、前記トランスデューサにより洗浄液に音響エネルギーが供給されていないときに、前記基板を、前記第1速度よりも速い第2速度で回転させるように前記基板ホルダを制御するように構成され、基板に洗浄液を供給する前に、前記基板上の、気泡を引き込む欠陥を除去する前処理を行う装置、をさらに備える基板の洗浄装置が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】超音波/高周波超音波装置を使用するウェハ洗浄装置の例を示す図である。
【
図1B】超音波/高周波超音波装置を使用するウェハ洗浄装置の例を示す図である。
【
図2A】超音波/高周波超音波トランスデューサの各種形状を示す図である。
【
図2B】超音波/高周波超音波トランスデューサの各種形状を示す図である。
【
図2C】超音波/高周波超音波トランスデューサの各種形状を示す図である。
【
図2D】超音波/高周波超音波トランスデューサの各種形状を示す図である。
【
図2E】超音波/高周波超音波トランスデューサの各種形状を示す図である。
【
図2F】超音波/高周波超音波トランスデューサの各種形状を示す図である。
【
図2G】超音波/高周波超音波トランスデューサの各種形状を示す図である。
【
図3】ウェハ洗浄工程における気泡キャビテーションを示す図である。
【
図4A】洗浄工程中のウェハ上のパターン構造に損傷を与えるトランジットキャビテーションを示す図である。
【
図4B】洗浄工程中のウェハ上のパターン構造に損傷を与えるトランジットキャビテーションを示す図である。
【
図5A】洗浄工程中の気泡内部の熱エネルギーの変化を示す図である。
【
図5B】洗浄工程中の気泡内部の熱エネルギーの変化を示す図である。
【
図5C】洗浄工程中の気泡内部の熱エネルギーの変化を示す図である。
【
図10A】ウェハ洗浄方法の別の例を示す図である。
【
図10B】ウェハ洗浄方法の別の例を示す図である。
【
図11A】ウェハ洗浄方法の別の例を示す図である。
【
図11B】ウェハ洗浄方法の別の例を示す図である。
【
図12A】ウェハ洗浄方法の別の例を示す図である。
【
図12B】ウェハ洗浄方法の別の例を示す図である。
【
図13A】ウェハ洗浄方法の別の例を示す図である。
【
図13B】ウェハ洗浄方法の別の例を示す図である。
【
図14A】ウェハ洗浄方法の別の例を示す図である。
【
図14B】ウェハ洗浄方法の別の例を示す図である。
【
図15A】洗浄工程中のウェハ上のパターン構造に損傷を与える安定キャビテーションを示す図である。
【
図15B】洗浄工程中のウェハ上のパターン構造に損傷を与える安定キャビテーションを示す図である。
【
図15C】洗浄工程中のウェハ上のパターン構造に損傷を与える安定キャビテーションを示す図である。
【
図16】超音波/高周波超音波装置を使用するウェハ洗浄装置の別の例を示す図である。
【
図17】超音波/高周波超音波装置を使用するウェハ洗浄装置の例を示す図である。
【
図18A】ウェハ洗浄方法の別の例を示す図である。
【
図18B】ウェハ洗浄方法の別の例を示す図である。
【
図18C】ウェハ洗浄方法の別の例を示す図である。
【
図20A】は、ビアホールまたはトレンチといったパターン構造要素において飽和点未満の状態にある気泡を示す図である。
【
図20B】は、ビアホールまたはトレンチといったパターン構造要素において飽和点未満の状態にある気泡を示す図である。
【
図20C】は、ビアホールまたはトレンチといったパターン構造要素において飽和点未満の状態にある気泡を示す図である。
【
図20D】は、ビアホールまたはトレンチといったパターン構造要素において飽和点未満の状態にある気泡を示す図である。
【
図20E】ビアホール、トレンチ、または、凹空間V
VTRに対する総気泡体積V
Bの比Rが飽和点に近似するまたはそれ以上の値となるように、超音波/高周波超音波装置によって拡張された気泡のサイズを示す図である。
【
図20F】ビアホール、トレンチ、または、凹空間V
VTRに対する総気泡体積V
Bの比Rが飽和点に近似するまたはそれ以上の値となるように、超音波/高周波超音波装置によって拡張された気泡のサイズを示す図である。
【
図20G】ビアホール、トレンチ、または、凹空間V
VTRに対する総気泡体積V
Bの比Rが飽和点に近似するまたはそれ以上の値となるように、超音波/高周波超音波装置によって拡張された気泡のサイズを示す図である。
【
図20H】ビアホール、トレンチ、または、凹空間V
VTRに対する総気泡体積V
Bの比Rが飽和点に近似するまたはそれ以上の値となるように、超音波/高周波超音波装置によって拡張された気泡のサイズを示す図である。
【
図20I】ビアホール、トレンチ、または、凹空間V
VTRに対する総気泡体積V
Bの比Rが飽和点よりはるかに低くなるように、限定された範囲で、超音波/高周波超音波装置によって拡張された気泡のサイズを示す図である。
【
図20J】ビアホール、トレンチ、または、凹空間V
VTRに対する総気泡体積V
Bの比Rが飽和点よりはるかに低くなるように、限定された範囲で、超音波/高周波超音波装置によって拡張された気泡のサイズを示す図である。
【
図22A】基板の洗浄方法の別の一例を示す図である。
【
図22B】基板の洗浄方法の別の一例を示す図である。
【
図22C】基板の洗浄方法の別の一例を示す図である。
【
図22D】基板の洗浄方法の別の一例を示す図である。
【
図23A】基板の洗浄方法の別の一例を示す図である。
【
図23B】基板の洗浄方法の別の一例を示す図である。
【
図23C】基板の洗浄方法の別の一例を示す図である。
【
図24A】基板の洗浄方法の別の一例を示す図である。
【
図24B】基板の洗浄方法の別の一例を示す図である。
【
図24C】基板の洗浄方法の別の一例を示す図である。
【
図24D】基板の洗浄方法の別の一例を示す図である。
【
図24E】基板の洗浄方法の別の一例を示す図である。
【
図25】気泡の数と洗浄液の気体濃度との関係を示す図である。
【
図26】気泡除去器を含む、別の一実施形態による基板の洗浄装置を示す図である。
【
図27A】基板の洗浄方法の別の一例を示す図である。
【
図27B】基板の洗浄方法の別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1A、
図1Bに、超音波/高周波超音波装置を用いたウェハ洗浄装置を示す。ウェハ洗浄装置は、ウェハ1010と、回転駆動機構1016によって回転されるウェハチャック1014と、洗剤または脱イオン水1032を供給するノズル1012と、超音波/高周波超音波装置1003と、超音波/高周波超音波電源とを備えている。超音波/高周波超音波装置1003は、さらに、共振器1008に音響的に結合された圧電トランスデューサ1004を備えている。圧電トランスデューサ1004は、振動するように電気的に励起され、共振器1008は液体に高周波音響エネルギーを伝達する。超音波/高周波超音波エネルギーによって発生した気泡キャビテーションは、ウェハ1010上の粒子を振動させる。これにより異物はウェハ1010の表面から振動により隔離され、ノズル1012から供給される液体1032の流動によって前記表面から除去される。
【0015】
また、
図2A~
図2Gは、本発明による超音波/高周波超音波装置の上面図である。
図1に示した超音波/高周波超音波装置1003の代わりに、異なる形状の超音波/高周波超音波装置3003、すなわち、
図2Aに示す三角形または扇形状のもの、
図2Bに示す矩形のもの、
図2Cに示す八角形のもの、
図2Dに示すような楕円形のもの、
図2Eに示す半円形のもの、
図2Fに示す四分円形のもの、
図2Gに示す円形のものを使用してもよい。
【0016】
図3は、圧縮段階の気泡キャビテーションを示す。気泡は、その形状が球状Aからリンゴ状の形状Gへと徐々に圧縮され、最終的に内破状態Iに到達しマイクロ噴流を形成する。
図4Aおよび
図4Bに示すように、マイクロ噴流は非常に荒々しく(数千気圧および数千℃に達することもある)、特にパターン構造要素のサイズtが70nm以下に収縮すると、半導体ウェハ4010上の微細パターン構造4034に損傷を与えうる。
【0017】
図5A~
図5Cには、本発明による気泡キャビテーションの簡略モデルが示されている。音波正圧が気泡に作用するにつれて、気泡の体積が減少する。この体積が収縮する過程で、音波圧力P
Mが気泡に作用し、機械的作用が気泡内にて熱エネルギーに変換され、気泡内の気体および/または蒸気の温度が上昇する。
【0018】
理想的な気体の状態式は以下のように表すことが出来る。
【0019】
p0v0/T0=pv/T (1)
【0020】
ここで、p0は圧縮前の気泡内の圧力であり、v0は圧縮前の気泡の初期体積であり、T0は圧縮前の気泡内の気体温度であり、Pは圧縮時の気泡内の圧力であり、vは圧縮時の気泡の体積であり、Tは圧縮時の気泡内の気体温度である。
【0021】
計算を単純化するために、圧縮時に気体の温度が変化しない、または、圧縮が非常にゆっくりで、気泡周辺の液体によって温度上昇が相殺されると仮定する。この場合、一回の気泡圧縮(体積Nユニットから体積1ユニットまたは圧縮比=N)の、音波圧力PMによる機械的作用wmは以下のように表すことが出来る。
【0022】
【0023】
ここで、Sはシリンダ断面の面積、X0はシリンダの長さ、P0は圧縮前のシリンダ内部の気体圧力である。上記式(2)では、圧縮時の温度上昇の要因を考慮していないため、気泡内の圧力は実際には温度上昇により高くなる。したがって、音波圧力による実際の機械的作用は、式(2)によって計算されるものよりも大きくなる。
【0024】
音波圧力による全ての機械的作用が、部分的に気泡内部の高圧気体及び蒸気の熱エネルギーに変換され、部分的に気泡内部の高圧気体及び蒸気の機械的エネルギーに変換され、その熱エネルギーは気泡の温度上昇に完全に寄与する(気泡の周囲の液体分子にエネルギーが移らない)と仮定し、さらに、気泡内部の気体の質量が圧縮の前後で一定のままであると仮定すると、気泡の1回の圧縮を経ることによる温度上昇ΔTは、以下の式によって表すことができる。
【0025】
ΔT=Q/(mc)=βwm/(mc)=βSx0p0ln(x0)/(mc) (3)
【0026】
上記式で、Qは機械的作用から変換された熱エネルギーであり、βは音波圧力によるトータルの機械的作用に対する熱エネルギーの比であり、mは気泡内部の気体の質量であり、cは気体比熱係数である。β=0.65、S=1E-12m2、x0=1000μm=1E-3m(圧縮比N1=1000)、p0=1kg/cm2=1E4kg/m2、m=8.9E-17kg(水素ガスの場合)、c=9.9E3J/(kg℃)を上記式(3)に代入すると、ΔT=50.9℃となる。
【0027】
図5Bに示すように、気泡が最小サイズの1ミクロンに達したとき、最初の圧縮後の気泡内の気体温度T1は以下の通り計算される。
【0028】
T1=T0+ΔT=20℃+50.9℃=70.9℃ (4)
【0029】
このような高温下では、気泡周辺の液体分子には蒸発するものもある。その後、音波圧力が負になり、気泡サイズが拡大し始める。この逆の過程において、圧力P
Gを有する高温の気体および蒸気は、周囲の液体表面に作用する。同時に
図5Cに示すように、音波圧力P
Mが、気泡を膨張方向に引っ張るため、負の音波圧力P
Mも部分的に周囲の液体に作用する。これらの作用が恊働する結果、気泡内部の熱エネルギーが完全に放出されたり機械的エネルギーに変換されたりすることができないため、元の気体温度T
0または液体温度にまで気泡内部の気体の温度を冷却することができない。キャビテーションの第一サイクルが終了した後、
図6Bに示すように、気泡内の気体の温度T
2は、T
0とT
1の間になる。または、T
2を以下のように表すことができる。
【0030】
T2=T1-δT=T0+ΔT-δT (5)
【0031】
ここで、δTは気泡が一回膨張した後の温度低下であり、δTは、ΔTより低い。
【0032】
気泡キャビテーションの第二サイクルが最小気泡サイズに達すると、気泡内の気体および/または蒸気の温度T3は、以下の通りである。
【0033】
T3=T2+ΔT=T0+ΔT-δT+ΔT=T0+2ΔT-δT (6)
【0034】
気泡キャビテーションの第二サイクルが終了すると、気泡内の気体および/または蒸気の温度T4は、以下の通りである。
【0035】
T4=T3-δT=T0+2ΔT-δT-δT=T0+2ΔT-2δT (7)
【0036】
同様に、気泡キャビテーションのn番目サイクルが最小気泡サイズに達すると、気泡内の気体および/または蒸気の温度T2n-1は、以下の通りである。
【0037】
T2n-1=T0+nΔT-(n-1)δT (8)
【0038】
気泡キャビテーションのn番目サイクルが終了すると、気泡内の気体および/または蒸気の温度T2nは、
【0039】
T2n=T0+nΔT-nδT=T0+n(ΔT-δT) (9)
【0040】
気泡キャビテーションのサイクル数nが増加するにつれて、気体及び/又は蒸気の温度が上昇し、これにより、気泡表面のより多くの分子が気泡6082の内部に向かって蒸発し、
図6Cに示すように、気泡6082のサイズも大きくなる。最終的に、圧縮時の気泡内部の温度は、内破温度T
i(通常、T
iは数千℃と同等に高い)に達し、
図6Cに示すように、激しいマイクロ噴流6080が形成される。
【0041】
式(8)から、内破サイクル数niは以下のように表すことができる。
【0042】
ni=(Ti-T0-ΔT)/(ΔT-δT)+1 (10)
【0043】
式(10)から、内破時間τiは以下のように表すことができる。
【0044】
τi=nit1=t1((Ti-T0-ΔT)/(ΔT-δT)+1)
=ni/f1=((Ti-T0-ΔT)/(ΔT-δT)+1)/f1 (11)
【0045】
ここで、t1はサイクル周期であり、f1は超音波/高周波超音波の周波数である。
【0046】
式(10)および(11)により、内破サイクル数n
iおよび内破時間τ
iを計算することができる。T
i=3000℃、ΔT=50.9℃、T
0=20℃、f
1=500KHz、1MHz、2MHzと仮定したときにおける、内破サイクル数n
i、内破時間τ
i、及び、(ΔT-δT)の計算された関係を表1に示す。
【表1】
【0047】
ウェハ上のパターン構造に対する損傷を回避するために、安定したキャビテーションを維持しなければならず、気泡内破またはマイクロ噴流を回避しなければならない。
図7A~
図7Cには、本発明の、安定した気泡キャビテーションを維持させることによって、パターン構造を有するウェハが損傷することのない超音波/高周波超音波洗浄を可能とする方法が示されている。
図7Aは、電源出力の波形を示しており、
図7Bはキャビテーションの各サイクルに対応する温度曲線を示しており、
図7Cはキャビテーションの各サイクルにおける気泡サイズの拡大を示している。気泡内破を回避するための本発明による操作処理ステップは以下の通りである。
【0048】
ステップ1:超音波/高周波超音波装置を、チャックまたはタンクに設置されたウェハまたは基板の表面に隣接させる。
【0049】
ステップ2:ウェハと超音波/高周波超音波装置との間に薬液または気体(水素、窒素、酸素、または、CO2)でドープした水を充填する。
【0050】
ステップ3:チャックを回転させるか、ウェハを振動させる。
【0051】
ステップ4:電源を周波数f1とパワーP1に設定する。
【0052】
ステップ5:気泡内部の気体や蒸気の温度が内破温度Tiに達する前(τ1が、式(11)で計算された時間τiに達する前)に、電源出力をゼロワットに設定する。これにより、液体または水の温度が気泡内部の気体温度よりもはるかに低くなるため、気体温度が冷却し始める。
【0053】
ステップ6:気泡内の気体温度が室温T0まで低下する、または、時間(ゼロパワー時間)がτ2に達した後、再度電源を周波数f1およびパワーP1に設定する。
【0054】
ステップ7:ウェハが洗浄されるまで、ステップ1からステップ6を繰り返す。
【0055】
ステップ5では、気泡の内破を回避するために、時間τ1がτiよりも短くなければならず、τiは式(11)を使って算出することができる。
【0056】
ステップ6では、気泡内の気体温度を室温または液体温度まで下げる必要はなく、室温または液体温度より高い特定の温度であってもよいが、内破温度Tiより大幅に低い温度であることが好ましい。
【0057】
式(8)および(9)によれば、(ΔT-δT)がわかっていれば、τiを算出できる。しかし一般的に、(ΔTーδT)は直接算出または測定することが容易ではない。内破時間τiは以下の方法により実験的に決定することができる。
【0058】
ステップ1:表1に基づいて、実験計画(DOE)の条件として5つの異なる時間τ1を選択する。
【0059】
ステップ2:τ2として、τ1の少なくとも10倍、好ましくは一回目のスクリーンテストでτ1の100倍を選択する。
【0060】
ステップ3:パワーP0を一定値に固定して上記5つの条件で特定のパターン構造を有するウェハを別々に洗浄する。ここで、P0は連続モード(非パルスモード)で継続すると、ウェハ上のパターン構造が確実に損傷する出力である。
【0061】
ステップ4:SEMS、または、AMAT SEMヴィジョンや日立IS3000などのウェハパターン損傷検査器具を用いて上記5つのウェハの損傷状況を検査すれば、内破時間τiを一定の範囲内に設定することができる。
【0062】
内破時間τiの範囲を狭めるためにステップ1から4を再度行ってもよい。内破時間τiを把握した後、時間τ1を、安全マージンのために0.5τiより小さい値に設定してもよい。実験データの一例を以下に説明する。
【0063】
パターン構造は、55nmのポリシリコンゲート線である。超音波/高周波超音波の周波数は1MHzであり、ウェハ内の、および、ウェハからウェハのエネルギー量をより均一にするために、Prosys社製の超音波/高周波超音波装置をギャップ振動モード(PCT/CN2008/073471参照)で稼働させた。他の実験パラメータおよび最終的なパターン損傷データを以下の表2にまとめる。
【表2】
【0064】
τ1=2ms(または、2000サイクル数)では、加工寸法55nmのパターン構造に1216もの箇所に損傷をもたらしたが、τ1=0.1ms(または、100サイクル数)では、加工寸法55nmのパターン構造の損傷箇所がゼロ(0)箇所であった。したがって、τiは、0.1msと2msとの間の数字であり、この範囲を狭めるために更に詳細なテストが必要になる。超音波または高周波超音波出力密度および周波数に関連するサイクル数は、パワー密度が大きいほど、サイクル数が少なくなり、周波数が低いほどサイクル数が少なくなることは明らかである。以上の実験結果から、超音波または高周波超音波のパワー密度が0.1watts/cm2より大きく、超音波または高周波超音波の周波数が1MHz以下と仮定すると、損傷のないサイクル数が2000未満であると想定できる。周波数が1MHzより大きな範囲に上がるか、パワー密度が0.1watts/cm2未満になれば、サイクル数が上昇することが予想される。
【0065】
τ1がわかれば、上述と同様のDOE法に基づいて、時間τ2を短くすることができる。すなわち、時間τ1を固定し、時間τ2を短くしていきパターン構造に損傷が見られるまでDOEを継続させる。時間τ2が短くなると、気泡内の気体および/または蒸気の温度が充分に冷却されず、気泡内の気体および蒸気の平均温度が徐々に高くなり、最終的には気泡内破を引き起こす。この内破が引き起こされる時間を臨界冷却時間という。臨界冷却時間τcがわかった後、同様に、時間τ2を2τcより大きい値に設定することにより安全マージンを確保することができる。
【0066】
また、
図8A~
図8Dには、本発明による超音波/高周波超音波装置を用いたウェハの洗浄方法の別の実施形態が示されている。上記方法は、ステップ4において超音波/高周波超音波電源を周波数f
1に設定し、パワーの波形の振幅が変化するように設定する点を除いて、
図7Aに示す方法と同様である。
図8Aには、ステップ4において、超音波/高周波超音波電源を周波数f
1に設定し、パワーの波形の振幅が増加するように設定する別の洗浄方法が示されている。
図8Bには、ステップ4において、超音波/高周波超音波電源を周波数f
1に設定し、パワーの波形の振幅が縮小するように設定する別の洗浄方法が示されている。
図8Cには、ステップ4において、超音波/高周波超音波電源を周波数f
1に設定し、パワーの波形の振幅がまず縮小し、その後で増加するように設定する別の洗浄方法が示されている。
図8Dには、ステップ4において、超音波/高周波超音波電源を周波数f
1に設定し、パワーの波形の振幅がまず増加し、その後縮小するように設定するさらに別の洗浄方法が示されている。
【0067】
また、
図9A~
図9Dには、本発明による超音波/高周波超音波装置を用いたウェハの洗浄方法の別の実施形態が示されている。上記方法は、ステップ4において超音波/高周波超音波電源の周波数が変化するように設定する点を除いて、
図7Aに示す方法と同様である。
図9Aには、ステップ4において、超音波/高周波超音波電源をまず周波数f
3より高い周波数f
1に設定し、後に周波数f
3に設定する別の洗浄方法を示す。
図9Bには、ステップ4において、超音波/高周波超音波電源をまず周波数f
3に設定し、後に周波数f
3より高い周波数f
1に設定する別の洗浄方法を示す。
図9Cには、ステップ4において、超音波/高周波超音波電源をまず周波数f
3に設定し、その後周波数f3より高い周波数f
1に設定し、最後に周波数f
3に設定する別の洗浄方法を示す。
図9Dには、ステップ4において、超音波/高周波超音波電源をまず周波数f
3より高い周波数f
1に設定し、その後周波数f
3に設定し、最後に周波数f
1に設定する別の洗浄方法を示す。
【0068】
図9Cに示す方法と同様に、ステップ4において、超音波/高周波超音波電源をまず周波数f
1に設定し、その後周波数f
3に設定し、最後に周波数f
4に設定してもよく、ここで、f
4はf
3より小さく、f
3はf
1より小さい。
【0069】
また、
図9Cに示す方法と同様に、ステップ4において、超音波/高周波超音波電源をまず周波数f
4に設定し、その後周波数f
3に設定し、最後に周波数f
1に設定してもよく、ここで、f
4はf
3より小さく、f
3はf
1より小さい。
【0070】
また、
図9Cに示す方法と同様に、ステップ4において、超音波/高周波超音波電源をまず周波数f
1に設定し、その後周波数f
4に設定し、最後に周波数f
3に設定してもよく、ここで、f
4はf
3より小さく、f
3はf
1より小さい。
【0071】
また、
図9Cに示す方法と同様に、ステップ4において、超音波/高周波超音波電源をまず周波数f
3に設定し、その後周波数f
4に設定し、最後に周波数f
1に設定してもよく、ここで、f
4はf
3より小さく、f
3はf
1より小さい。
【0072】
また、
図9Cに示す方法と同様に、ステップ4において、超音波/高周波超音波電源をまず周波数f
3に設定し、その後周波数f
1に設定し、最後に周波数f
4に設定してもよく、ここで、f
4はf
3より小さく、f
3はf
1より小さい。
【0073】
また、
図9Cに示す方法と同様に、ステップ4において、超音波/高周波超音波電源をまず周波数f
4に設定し、その後周波数f
1に設定し、最後に周波数f
3に設定してもよく、ここで、f
4はf
3より小さく、f
3はf
1より小さい。
【0074】
図10A~
図10Bには、本発明の、安定した気泡キャビテーションを維持させることによって、パターン構造を有するウェハが損傷することのない超音波/高周波超音波洗浄を可能とする別の方法が示されている。
図10Aは、電源出力の波形を示しており、
図10Bはキャビテーションの各サイクルに対応する温度曲線を示している。本発明による操作処理ステップは以下の通りである。
【0075】
ステップ1:超音波/高周波超音波装置を、チャックまたはタンクに設置されたウェハまたは基板の表面に隣接させる。
【0076】
ステップ2:ウェハと超音波/高周波超音波装置との間に薬液または気体でドープした水を充填する。
【0077】
ステップ3:チャックを回転させるか、ウェハを振動させる。
【0078】
ステップ4:電源を周波数f1とパワーP1に設定する。
【0079】
ステップ5:気泡内部の気体と蒸気の温度が内破温度Tiに達する(合計期間τ1の経過する)前に、電源出力を周波数f1及び出力P2(P1より小さい)に設定する。これにより、液体または水の温度が気泡内部の気体温度よりもはるかに低くなるため、気体温度が冷却し始める。
【0080】
ステップ6:気泡内の気体温度が室温T0に近い特定の温度まで低下する、または、時間(ゼロパワー時間)がτ2に達した後、再度電源を周波数f1およびパワーP1に設定する。
【0081】
ステップ7:ウェハが洗浄されるまで、ステップ1からステップ6を繰り返す。
【0082】
ステップ6では、
図10Bに示すように、パワーP
2により気泡内部の気体の温度を室温まで冷却することができないため、後段階のτ
2タイムゾーンに温度差ΔT
2が生じるはずである。
【0083】
また、
図11A~
図11Bには、本発明による超音波/高周波超音波装置を用いたウェハの洗浄方法の別の実施形態が示されている。上記方法は、ステップ5において超音波/高周波超音波電源を周波数f
1より低いf
2に設定し、パワーをP
1より小さいP
2に設定する点を除いて、
図10Aに示す方法と同様である。f
2はf
1よりも低いので、気泡内のガスまたは蒸気の温度はより速く上昇する。したがって、P
2はP
1よりも大幅に小さく設定するべきであり、気泡内のガスおよび/または蒸気の温度を下げるためには5倍または10倍小さいのが好ましい。
【0084】
また、
図12A~
図12Bには、本発明による超音波/高周波超音波装置を用いたウェハの洗浄方法の別の実施形態が示されている。上記方法は、ステップ5において超音波/高周波超音波電源を周波数f
1より高いf
2に設定し、パワーをP
1と同等のP
2に設定する点を除いて、
図10Aに示す方法と同様である。
【0085】
また、
図13A~
図13Bには、本発明による超音波/高周波超音波装置を用いたウェハの洗浄方法の別の実施形態が示されている。上記方法は、ステップ5において超音波/高周波超音波電源を周波数f
1より高いf
2に設定し、パワーをP
1より小さいP
2に設定する点を除いて、
図10Aに示す方法と同様である。
【0086】
また、
図14A~
図14Bには、本発明による超音波/高周波超音波装置を用いたウェハの洗浄方法の別の実施形態が示されている。上記方法は、ステップ5において超音波/高周波超音波電源を周波数f
1より高いf
2に設定し、パワーをP
1より高いP
2に設定する点を除いて、
図10Aに示す方法と同様である。f
2はf
1よりも高いので、気泡内のガスまたは蒸気の温度はゆっくりと上昇する。したがって、
図14Bに示すように、P
2はP
1より若干高くなることもあるが、気泡内のガスおよび蒸気の温度は、時間ゾーンτ
2で時間ゾーンτ
1より低くなるようにしなければならない。
【0087】
図4Aおよび
図4Bには、パターン構造が激しいマイクロ噴流によって損傷することが示されている。
図15Aおよび
図15Bは、安定したキャビテーションであってもウェハ上のパターン構造が損傷する可能性があることを示している。気泡キャビテーションが続くと、気泡内部の気体および蒸気の温度が上昇するため、
図15Aに示すように、気泡15046のサイズもまた増加する。
図15Bに示すように、気泡15048の大きさがパターン構造の空間Wの寸法よりも大きくなると、
図15Cに示すように、気泡キャビテーションの膨張力によって、パターン構造15034を損傷させる可能性がある。本発明による別の洗浄方法は、下記の通りである。
【0088】
ステップ1:超音波/高周波超音波装置を、チャックまたはタンクに設置されたウェハまたは基板の表面に隣接させる。
【0089】
ステップ2:ウェハと超音波/高周波超音波装置との間に薬液または気体でドープした水を充填する。
【0090】
ステップ3:チャックを回転させるか、ウェハを振動させる。
【0091】
ステップ4:電源を周波数f1とパワーP1に設定する。
【0092】
ステップ5:気泡のサイズがパターン構造の空間Wの寸法と同じになる(時間τ1カ゛経過する)前に、電源出力をゼロワットに設定する。これにより、液体または水の温度が気泡内部の気体温度よりもはるかに低くなるため、気体温度が冷却し始める。
【0093】
ステップ6:気泡内の気体温度が低下しつづけて室温T0まで下がる、または、時間(ゼロパワー時間)がτ2に達した後、再度電源を周波数f1およびパワーP1に設定する。
【0094】
ステップ7:ウェハが洗浄されるまで、ステップ1からステップ6を繰り返す。
【0095】
ステップ6では、気泡内の気体温度を室温まで下げる必要はなく、どの温度であってもよいが、内破温度Tiより大幅に低い温度であることが好ましい。ステップ5では、気泡の膨張力がパターン構造が破損または損傷しない限り、気泡の大きさをパターン構造の寸法より若干大きくすることができる。時間τ1は、以下の方法を用いて実験的に決定することができる。
【0096】
ステップ1:表1と同様に、実験計画(DOE)の条件として5つの異なる時間τ1を選択する。
【0097】
ステップ2:τ2として、τ1の少なくとも10倍、好ましくは一回目のスクリーンテストでτ1 の100倍を選択する。
【0098】
ステップ3:パワーP0を一定値に固定して上記5つの条件で特定のパターン構造を有するウェハを別々に洗浄する。ここで、P0は連続モード(非パルスモード)で継続すると、ウェハ上のパターン構造が確実に損傷する出力である。
【0099】
ステップ4:SEMS、または、AMAT SEMヴィジョンや日立IS3000などのウェハパターン損傷検査器具を用いて上記5つのウェハの損傷状況を検査すれば、損傷時間τiを一定の範囲内に設定することができる。
【0100】
損傷時間τdの範囲を狭めるためにステップ1から4を再度行ってもよい。損傷期間τdを把握した後、期間τ1を、安全マージンのために0.5τdより小さい値に設定してもよい。
【0101】
図7から
図14に記載された全ての洗浄方法は、
図15に記載の方法に適用または組み合わせてもよい。
【0102】
図16に、超音波/高周波超音波装置を用いたウェハ洗浄装置を示す。ウェハ洗浄装置は、ウェハ16010と、回転駆動機構16016によって回転されるウェハチャック16014と、洗剤または脱イオン水16060を供給するノズル16064と、ノズル16064に連結された超音波/高周波超音波装置16062と、超音波/高周波超音波電源とを備えている。超音波/高周波超音波装置16062によって生成された超音波/高周波超音波は、化学薬品または水の液柱16060を介してウェハに伝達される。
図7から
図15に記載された全ての洗浄方法は、
図16に記載の洗浄装置において使用されてもよい。
【0103】
図17に、超音波/高周波超音波装置を用いたウェハ洗浄装置を示す。ウェハ洗浄装置は、ウェハ17010と、洗浄タンク17074と、洗浄タンク17074に保持され、ウェハ17010を保持するウェハカセット17076と、洗剤17070と、洗浄タンク17074の外壁に取り付けられた超音波/高周波超音波装置17072と、超音波/高周波超音波電源とを備えている。少なくとも一つの注入口から、洗剤17070を洗浄タンク17074に充填し、ウェハ17010を浸漬する。
図7から
図15に記載された全ての洗浄方法は、
図17に記載の洗浄装置において使用されてもよい。
【0104】
また、
図18A~
図18Cには、本発明による超音波/高周波超音波装置を用いたウェハの洗浄方法の別の実施形態が示されている。上記方法は、ステップ5を除いて、
図7Aに示す方法と同様である。上記方法ではステップ5において、気泡内部の気体や蒸気の温度が内破温度T
iに達する前(時間τ
1が式(11)で計算されたτ
iに達する前)に、電源出力を正の値または負のDC値に設定して、超音波/高周波超音波装置の振動を維持または停止する。これにより、液体または水の温度が気泡内部の気体温度よりもはるかに低くなるため、気体温度が冷却し始める。前記正の値または負の値は、パワーP
1に等しくても小さくてもよい。
【0105】
また、
図19には、本発明による超音波/高周波超音波装置を用いたウェハの洗浄方法の別の実施形態が示されている。上記方法は、ステップ5を除いて、
図7Aに示す方法と同様である。上記方法ではステップ5において、気泡内部の気体や蒸気の温度が内破温度T
iに達する前(時間τ
1が式(11)で計算されたτ
iに達する前)に、電源出力をf
1と同じ周波数で、f
1と逆位相に設定する。これにより、気泡によるキャビテーションを迅速に停止する。これにより、液体または水の温度が気泡内部の気体温度よりもはるかに低くなるため、気体温度が冷却し始める。前記正の値または負の値は、パワーP
1に等しくても小さくてもよい。上記の動作中、気泡キャビテーションを迅速に停止させるために、電源出力を周波数f
1とは異なる周波数でf
1と逆位相に設定してもよい。
【0106】
図20A~
図20Dに示すように、気泡20012は、基板20010上のビアホール20034またはトレンチ20036のパターン構造要素において、飽和点未満の状態にあるので、これらビアホール20034またはトレンチ20036のパターン構造要素における気泡の気泡キャビテーションによる新鮮な薬液との入れ替わりが促進され、これらのパターン構造要素からの残留物や粒子等の不純物の除去が促進される。なお、飽和点R
Sは、ビアホール、トレンチ、または、凹領域の複数のパターン構造要素内における気泡の最大量によって定義される。飽和点を超えると、薬液がビアホールおよびトレンチのパターン構造要素内の気泡に閉塞され、これらパターン構造要素における底壁や側壁に到達しにくくなり、薬液の洗浄能力が影響を受けることとなる。飽和点未満の場合には、ビアホールまたはトレンチの複数のパターン構造要素において、薬液の実行性が十分に発揮されるとともに、良好な洗浄性能を得ることができる。
【0107】
飽和点未満では、ビアホール、トレンチ、または、凹空間の体積VVTRに対する総気泡体積VBの比Rは、以下の通りである。
R=VB/VVTR<Rs
【0108】
そして飽和点RS以上で、ビアホール、トレンチ、または、凹空間の体積VVTRに対する総気泡体積VBの比Rは、以下の通りである。
R=VB/VVTR=Rs
【0109】
ビアホール、トレンチ、または、凹空間の複数のパターン構造要素における気泡の総体積は以下の通りである。
VB=Nvb
【0110】
ここで、Nはパターン構造要素内での総気泡数であり、vbは単一の気泡の平均体積である。
【0111】
図20E~
図20Hに示すように、超音波/高周波超音波装置で膨張させた気泡20012は、その大きさが徐々に一定量に到達し、その結果、ビアホール、トレンチ、または、凹空間V
VTRに対する総気泡体積V
Bの比Rが飽和点R
S近くまたはこれ以上となる。膨張した気泡20012によって、薬液の入れ替えや不純物除去の経路となるビアホールまたはトレンチが閉塞されることになる。この場合、高周波出力が、ビアホールまたはトレンチ内に十分に伝達されて底壁や側壁に到達することができない。また、ビアホールまたはトレンチ内の粒子や残留物等の不純物20048を効率的に排出することができない。このような状況は臨界寸法W1が小さくなり、ビアホールおよびトレンチのパターン構造要素内の気泡が膨張することによって飽和状態になる場合に起こりうる。
【0112】
図20I~
図20Jに示すように、ビアホール、トレンチ、または、凹空間の体積V
VTRに対する総気泡体積V
Bの比Rが飽和点よりはるかに低くなるように、限定された範囲で、超音波/高周波超音波装置によって気泡20012のサイズが拡張される。ビアホールまたはトレンチ内では、気泡キャビテーションによって新鮮な薬液20047が自由に入れ替えられて洗浄性能を良好なものにする一方、残留物や粒子などの不純物20048がビアホール、トレンチ、および、凹空間のパターン構造要素から排出される。
【0113】
ビアホール、トレンチのパターン構造要素における気泡数及び気泡サイズは、これらのパターン構造要素内の全気泡量と関係があるため、キャビテーションによって膨張した気泡サイズの制御が、高アスペクト比のパターン構造要素内の洗浄工程において重要となる。
【0114】
図21A~
図21Dに示すように、第一サイクルのキャビテーションが終わった後、気泡に作用中の音波出力が正のときに、気泡内のガスの体積がV
0よりも小さい最小サイズV
1まで圧縮され、気泡に作用中の音波出力が負のときに、体積V
2まで戻される。しかしながら、
図21Bに示すように、体積がV
2の気泡の温度T
2は、V
0の体積での気泡内の温度T
0よりも高くなるので、気泡周辺の液体分子が高温下で蒸発することに伴い、V
2の体積がV
0の体積よりも大きくなる。そして、
図21Bに示すように、第二の圧縮による気泡のV
3の体積はV
1とV
2との間になる。V
1、V
2、V
3は以下の式で表すことができる。
V
1=V
0-ΔV (12)
V
2=V
1+ΔV (13)
V
3=V
2-ΔV=V
1+δV-ΔV=V
0-ΔV+δV-ΔV=V
0+δV-2ΔV (14)
【0115】
ここで、ΔVは、超音波/高周波超音波によって生成される正圧による1回の圧縮を経ることによる気泡の体積圧縮量であり、δVは、超音波/高周波超音波によって生成される負圧による1回の膨張を経ることによる気泡の体積増加量であり、(δV-ΔV)は、式(5)によって算出される1サイクルを経ることによる温度上昇(ΔT-δT)による体積増加量である。
【0116】
第二サイクルの気泡キャビテーションの後、温度が上昇し続ける間に気泡サイズがより大きなものとなり、気泡内部のガスおよび/または蒸気の体積V4は以下のようになる。
V4=V3+δV=V0+δV-2ΔV+δV=V0+2(δV-ΔV) (15)
【0117】
第三サイクルの気泡キャビテーションのときに、気泡内のガスおよび/または蒸気の体積はV5は、以下の通りとなる。
V5=V4-ΔV=V0+2(δV-ΔV)-ΔV=V0+2δV-3ΔV (16)
【0118】
同様に、第nサイクルの気泡キャビテーションが最小気泡サイズに達すると、気泡内部のガスおよび/または蒸気の体積V2n-1は、以下の通りとなる。
V2n-1=V0+(n-1)δV-nΔV=V0+(n-1)δV-nΔV (17)
【0119】
第nサイクルの気泡キャビテーションが終わると、気泡内のガスおよび/または蒸気の体積V2nは、以下の通りとなる。
V2n=V0+n(δV-ΔV) (18)
【0120】
ビアホール、トレンチ、凹領域のパターン構造要素内の薬液の入れ替わり経路を閉塞することなく、物理的な移動を可能とするサイズ、または、気泡がキャビテーションの飽和点または気泡密度より低い状態となる目標体積Viに気泡の体積を制限するための、サイクル数niは以下のように表すことができる。
ni=(Vi-V0-ΔV)/(δV-ΔV)+1 (19)
【0121】
式(19)から、Viを得るための目標時間τiは、以下のように表すことができる。
τi=nit1=t1((Vi-V0-ΔV)/(δV-ΔV)+1)
=ni/f1=((Vi-V0-ΔT)/(δV-ΔV)+1)/f1 (20)
【0122】
ここで、t1はサイクル周期であり、f1は超音波/高周波超音波の周波数である。
【0123】
式(19)及び(20)によれば、気泡サイズを制限するための目標サイクル数niと時間τiを算出することができる。
【0124】
なお、気泡キャビテーションのサイクル数nが多くなると、ガスおよび液体(水)蒸気の温度が高くなる。したがって、気泡表面の分子がより多く気泡内に蒸発するため、気泡21082のサイズがさらに大きくなり、式(18)によって算出される値よりも大きくなる。実際の運用では、後述する実験方法によって気泡サイズが決定されることになるため、温度上昇に伴う気泡内面における液体または水の蒸発によって影響される気泡サイズについて、本明細書では理論的な詳述は省略する。
図21Dに示すように、平均単一気泡体積の増加に伴って、ビアホール、トレンチ、または、凹空間の体積V
VTRに対する総気泡体積VBの比RがR
0から連続的に上昇する。
【0125】
気泡体積が増加するに伴い、気泡の直径は最終的に、
図20Eに示すビアホールまたは
図20Gに示すトレンチまたは凹領域等のパターン構造要素W1のサイズと同じか同程度のサイズになる。その後、特にアスペクト比(深さ/幅)が3倍以上の場合、ビアホールおよびトレンチ内の気泡によって、超音波/高周波超音波エネルギーがブロックされて、ビアホールおよびトレンチの底壁に届かなくなる。このため、このように深いビアホールまたはトレンチの底壁における不純物や粒子を効果的に除去することができない。
【0126】
気泡が、ビアホールまたはトレンチのパターン構造要素において薬液の入れ替わり経路を閉塞する臨界寸法まで成長することを避けるために、
図22A~
図22Dには、本発明による、サイズ制限された気泡キャビテーションを維持することによって、高アスペクト比のビアホールまたはトレンチのパターン構造要素を有する基板に対して効果的に超音波/高周波超音波洗浄を行う方法が開示されている。
図22Aは、電源出力の波形を示しており、
図22Bはキャビテーションの各サイクルに対応する気泡体積曲線を示しており、
図22Cはキャビテーションの各サイクルにおける気泡サイズの拡大を示している。
図22Dは、ビアホール、トレンチ、又は凹部空間の体積V
VTRに対する総気泡体積V
Bの比Rの曲線を示している。
【0127】
R=VB/VVTR=Nvb/VVTRによれば、ビアホール、トレンチ、または、凹空間の体積VVTRに対する総気泡体積VBの比Rは、R0からRnまで増加し、平均単一気泡の体積は、τ1の期間におけるサイクル数nの後に、音波キャビテーションによって膨張する。そして、Rnは、飽和点RS未満に制御されている。
Rn=VB/VVTR=Nvb/VVTR<RS
【0128】
そして、ビアホール、トレンチ、または、凹空間の体積VVTRに対する総気泡体積VBの比Rは、RnからR0まで減少し、平均単一気泡の体積は、τ2の期間における冷却工程によって元のサイズに戻る。
【0129】
気泡サイズの増加を回避するための本発明による操作処理ステップは以下に開示する通りである。
【0130】
ステップ1:超音波/高周波超音波装置を、チャックまたはタンクに設置された基板または基板の表面に隣接させる。
【0131】
ステップ2:基板と超音波/高周波超音波装置との間に薬液または気体(水素、窒素、酸素、または、CO2)でドープした水を充填する。
【0132】
ステップ3:チャックを回転させるか、基板を振動させる。
【0133】
ステップ4:電源を周波数f1とパワーP1に設定する。
【0134】
ステップ5:気泡の体積が一定の体積Vnまたは直径wまで膨張(または期間がτ1に到達)した後、電源出力をゼロワットに設定することにより、液体または水の温度がガスの温度を下げるため、気泡内のガスの体積が縮小し始める。
【0135】
ステップ6:気泡の体積が元の体積まで戻り、ガスの温度が室温T0まで低下する、または、時間(ゼロパワー時間)がτ2に達した後、再度電源を周波数f1およびパワーP1に設定する。
【0136】
ステップ7:基板が洗浄されるまで、ステップ1からステップ6を繰り返す。
【0137】
ステップ5において、膨張した気泡の体積Vnや径wは、ビアホールまたはトレンチといったパターン構造要素を閉塞する寸法Viやサイズw1よりも小さく制限される必要はない。Viよりある程度大きな体積であり得るが、最短の処理時間で効果的に洗浄を行うためには寸法Viよりも小さいことが望ましい。また、τ1もτiより小さく制限する必要はないが、式(20)で定義されるτiよりも小さいことが好ましい。
【0138】
ステップ6では、気泡の体積を元の体積まで縮小する必要はない。元の体積をある程度超える体積ではあるものの、ビアホール、トレンチ、または、凹領域等のパターン構造要素の底壁に対して超音波/高周波超音波電源の出力が伝達されるように気泡サイズを制限するには、Viよりも大幅に小さくする必要がある。
【0139】
図22Bには、超音波/高周波超音波電源が時間τ
1の間作動することによって、大体積V
nにまで膨張した気泡が示されている。この状態では、物質移動の経路が部分的に閉塞される。したがって、新鮮な薬液が、ビアホールまたはトレンチ内に十分に伝達されて底壁や側壁に到達することができない。また、ビアホールまたはトレンチ内の粒子や残留物等の不純物を効率的に排出することができない。しかし、
図22Aに示すように、超音波/高周波超音波電源をオフにして気泡を時間τ
2の間冷却すると、この状態は気泡が収縮する次の状態に移行する。この冷却状態では、新鮮な薬液をビアホールまたはトレンチに送り、これらの底壁や側壁を洗浄することが可能になる。次のサイクルにおいて、超音波/高周波超音波電源がオンにされたとき、気泡体積の増加によって発生する引っ張り力により、ビアホールまたはトレンチから粒子、残留物、その他の不純物が除去される。洗浄工程において二つの状態が交互に発生することにより、ビアホール、トレンチ、または、凹領域の高アスペクト比の複数のパターン構造要素を有する基板に対して、効果的に超音波/高周波超音波洗浄を行うことができる。
【0140】
期間τ2における冷却状態は、この洗浄工程において重要な役割を果たす。したがって正確に定義されるべきである。また気泡サイズを制限する時間はτ1<τiであることが望ましく、τiも定義されていることが望ましい。以下の方法では、実験によって、冷却状態において気泡が収縮する時間τ2と、気泡サイズが、気泡による閉塞が起こるサイズまで膨張することを制限する時間τ1とを決定することができる。上記実験では、薬液に接続された超音波/高周波超音波装置が用いられ、ビアホールおよびトレンチといった小さなパターン構造要素に、洗浄性能の評価を行うためにトレース可能な残留物が存在するパターン構造を有する基板を洗浄を行う。
【0141】
ステップ1:式(20)に基づいて、τiとして算出される、パターン構造要素を閉塞するのに充分なサイズのτ1を選択する。
【0142】
ステップ2:DOEを実行するための異なる時間τ2を選択する。時間τ2は、少なくとも第一スクリーン試験において、τ1の10倍、より好ましくはτ1の100倍以上の値となるように選択する。
【0143】
ステップ3:時間τ1および一定のパワーP0を固定して5つの条件で特定のパターン構造を有する基板を別々に洗浄する。ここで、P0は、連続モード(非パルスモード)で動作しているときに、基板上のビアホール又はトレンチといったパターン構造要素が確実に洗浄されないパワーである。
【0144】
ステップ4:上記5つの基板のビアホールまたはトレンチのパターン構造要素におけるトレース可能な残留物の状態を、SEMS又はEDXのような元素分析ツールによって検査する。
【0145】
ステップ1~ステップ4を再度繰り返して、ビアホールまたはトレンチのパターン構造要素内のトレース可能な残留物が確認できるまで、時間τ2を徐々に短くしてもよい。時間τ2が短縮されることにより、気泡の体積を充分に縮小できないことから、これらパターン構造要素が徐々に閉塞され、洗浄能力に影響がでる。この期間を、臨界冷却期間τcと称する。臨界冷却時間τcがわかった後、期間τ2を2τcより大きい値に設定することにより安全マージンを確保することができる。
【0146】
以下により詳細な例を示す。
【0147】
ステップ1:表3と同様に、実験計画(DOE)の条件として、τ10、2τ10、4τ10、8τ10、16τ10、32τ10、64τ10、128τ10、256τ10、512τ10等のように、10個の異なる期間τ1を選択する。
【0148】
ステップ2:τ2として、表3と同様に、少なくとも512τ10の少なくとも10倍、好ましくは一回目のスクリーンテストで512τ10の20倍を選択する。
【0149】
ステップ3:パワーP
0を一定値に固定して上記10個の条件で特定のパターン構造を有する基板を別々に洗浄する。ここで、P
0は、連続モード(非パルスモード)で動作しているときに、基板上のビアホール又はトレンチといったパターン構造要素が確実に洗浄されないパワーである。
【表3】
【0150】
ステップ4:表3に示すような上記条件を使用して、ビアホールまたはトレンチといったパターン構造要素がポストプラスマエッチングされた10個の基板を処理する。なお、ポストプラズマエッチングされた基板を選択する理由としては、エッチング処理時に発生したポリマーがトレンチの側壁とビアホールの側壁に形成されているからである。ビアホールの底壁や側壁に形成されたポリマーは、従来の方法によって除去することが困難である。そこで10個の基板上のビアホールまたはトレンチといったパターン構造要素の洗浄状態を、基板断面に対するSEMSによって検査する。そのデータを表3に示す。表3から、τ1=32τ10において洗浄効果が6の最良点に達しているため、最適時間τ1は32τ10である。
【0151】
ピークが存在しない場合には、ステップ1~ステップ4を、τ
1の時間設定を広げて繰り返すことで、時間τ
1を求めることができる。初期τ
1を求めた後、τ
1に近似する時間設定でステップ1~ステップ4を再度繰り返すことにより時間τ
1の範囲を絞り込むことができる。時間τ
iを把握した後、時間τ
2を512τ
2から洗浄効果が減少する値まで減少させることによって、時間τ
2を最適化することができる。詳細な手順を以下の表4に開示する。
【表4】
【0152】
表4から、τ2=256τ10において洗浄効果が7の最良点に達しているため、最適時間τ2は256τ10である。
【0153】
また、
図23A~
図23Cには、本発明による超音波/高周波超音波装置を用いた基板の洗浄方法の別の実施形態が示されている。なお、上記方法はキャビテーションが飽和点R
Sに達しても、時間mτ
1の間電源がオンの状態であることを除いて
図22A~
図22Dと同様である。ここで、mは、ビアホールおよびトレンチ構造および薬液によって0.1~100、好ましくは2であり、
図22A~
図22Dの実施形態で説明した実験によって最適化する必要がある。
【0154】
【0155】
一般的に、本発明に開示する方法では、0.1MHz~10MHzの周波数の超音波/高周波超音波を適用してもよい。
【0156】
上述したように、ここに開示する本発明は、超音波/高周波超音波装置を用いて基板上のビアホール、トレンチ、または、凹領域を効果的に洗浄する方法であって、前記基板と前記超音波/高周波超音波装置との間の空間に液体を付与する工程と、前記超音波/高周波超音波電源を周波数f1とパワーP1に設定して、前記超音波/高周波超音波装置を駆動する工程と、前記基板のビアホール、トレンチ、または、凹領域内の体積に対する総気泡体積の比が第一の設定値まで増加した後、前記超音波/高周波超音波電源を周波数f2とパワーP2に設定して、前記超音波/高周波超音波装置を駆動する工程と、前記基板のビアホール、トレンチ、または、凹領域内の体積に対する総気泡体積の比が第二の設定値まで減少した後、前記超音波/高周波超音波電源を周波数f1とパワーP1に再度設定する工程と、前記基板が洗浄されるまで上記のステップを繰り返す工程とを備えている。
【0157】
第一の設定値は、キャビテーション飽和点未満の値となっている。第二の設定値は、キャビテーション飽和点よりもはるかに低い値となっている。気泡内の温度が下がることにより、ビアホール、トレンチ、または、凹領域内の体積に対する総気泡体積の比が第二の設定値まで減少する。気泡内の温度は前記液体の温度付近まで低下する。
【0158】
上記実施形態では、前記第一の設定値は、キャビテーション飽和点であり、前記基板のビアホール、トレンチ、または、凹領域内の体積に対する総気泡体積の比がキャビテーション飽和点に到達した後であっても、前記超音波/高周波超音波電源をmτ1の期間、周波数f1とパワーP1に再度設定する。ここで、τ1は、キャビテーション飽和点に到達する時間であり、mは、τ1の係数であり、0.1~100までの数、好ましくは2である。
【0159】
一実施形態に開示する本発明は、超音波/高周波超音波装置を用いて基板上のビアホール、トレンチ、または、凹領域を効果的に洗浄するための装置である。前記装置は、チャックと、超音波/高周波超音波装置と、少なくとも一つのノズルと、超音波/高周波超音波電源と、コントローラとを備えている。前記チャックは基板を保持する。前記超音波/高周波超音波装置は、前記基板に隣接して配置される。前記少なくとも一つのノズルは、前記基板と、前記基板と前記超音波/高周波超音波装置との間の隙間とに薬液を噴射する。前記コントローラは、前記超音波/高周波超音波電源を周波数f1およびパワーP1に設定し、前記超音波/高周波超音波装置を駆動し、前記基板のビアホール、トレンチ、または、凹領域内の体積に対する総気泡体積の比が第一の設定値まで増加した後、前記超音波/高周波超音波電源を周波数f2およびパワーP2に設定し、前記超音波/高周波超音波装置を駆動し、前記基板のビアホール、トレンチ、または、凹領域内の体積に対する総気泡体積の比が第二の設定値まで減少した後、前記超音波/高周波超音波電源を周波数f1とパワーP1に再度設定し、前記基板が洗浄されるまで上記のステップを繰り返す。
【0160】
別の実施形態に開示する本発明は、超音波/高周波超音波装置を用いて基板上のビアホール、トレンチ、または、凹領域を効果的に洗浄するための装置である。前記装置は、カセットと、タンクと、超音波/高周波超音波装置と、少なくとも一つの注入口と、超音波/高周波超音波電源と、コントローラとを備えている。前記カセットは少なくとも一つの基板を保持する。タンクはカセットを保持する。前記超音波/高周波超音波装置は、前記タンクの外壁に装着されている。前記少なくとも一つの注入口は、前記基板を浸漬するための前記タンク内に薬液を充填するために使用される。前記コントローラは、前記超音波/高周波超音波電源を周波数f1およびパワーP1に設定し、前記超音波/高周波超音波装置を駆動し、前記基板のビアホール、トレンチ、または、凹領域内の体積に対する総気泡体積の比が第一の設定値まで増加した後、前記超音波/高周波超音波電源を周波数f2およびパワーP2に設定し、前記超音波/高周波超音波装置を駆動し、前記基板のビアホール、トレンチ、または、凹領域内の体積に対する総気泡体積の比が第二の設定値まで減少した後、前記超音波/高周波超音波電源を周波数f1とパワーP1に再度設定し、前記基板が洗浄されるまで上記のステップを繰り返す。
【0161】
別の実施形態に開示する本発明は、超音波/高周波超音波装置を用いて基板上のビアホール、トレンチ、または、凹領域を効果的に洗浄するための装置である。前記装置は、チャックと、超音波/高周波超音波装置と、ノズルと、超音波/高周波超音波電源と、コントローラとを備えている。前記チャックは基板を保持する。前記超音波/高周波超音波装置は、前記ノズルと連結して前記基板に隣接して配置される。前記ノズルは、前記基板上に薬液を噴射する。前記コントローラは、前記超音波/高周波超音波電源を周波数f1およびパワーP1に設定し、前記超音波/高周波超音波装置を駆動し、前記基板のビアホール、トレンチ、または、凹領域内の体積に対する総気泡体積の比が第一の設定値まで増加した後、前記超音波/高周波超音波電源を周波数f2およびパワーP2に設定し、前記超音波/高周波超音波装置を駆動し、前記基板のビアホール、トレンチ、または、凹領域内の体積に対する総気泡体積の比が第二の設定値まで減少した後、前記超音波/高周波超音波電源を周波数f1とパワーP1に再度設定し、前記基板が洗浄されるまで上記のステップを繰り返す。
【0162】
図24A~
図24Eを参照して、本発明の、音響エネルギーを用いて、例えば粒子、残留物及びその他の不純物といった、半導体ウェハ24010上のパターン構造要素24034内の不純物24048を除去するためのプロセスの工程は、以下の通りである。以下の工程は、ステップ1~ステップ5の順序と異なる順序で行われてもよい。
【0163】
ステップ1:パターン構造要素20434を有する半導体ウェハ24010を、例えば回転チャックなどの基材にセットする。基材は、設定された速度で半導体ウェハ24010を回転させることができる。特徴部分のライン幅Wは、60nm以下である。
【0164】
ステップ2:例えば、薬液又は気体(水素、窒素、酸素、NH3又はCO2)がドープされた水のような洗浄液24032を、送出口から半導体ウェハ24010に供給する。この送出口は、半導体ウェハ24010上に洗浄液を注入又は噴射するノズルであってもよい。半導体ウェハ24010は、洗浄液24032が供給されるにつれて回転されてもよい。
【0165】
ステップ3:
図24Bに示すように、音響エネルギーが洗浄液24032に供給されているときに、半導体ウェハ24010を、例えば10RPM(revolutions per minute)~100又は200RPMの低い速度ω1で回転させる。例えば、音響エネルギーを供給するために、超音波又は高周波超音波装置が、半導体ウェハ24010の表面に隣接して配置され、上記低い回転速度と、超音波/高周波超音波装置の位置とにより、超音波/高周波超音波装置と半導体ウェハ24010との間に洗浄液24032が充填される。より厳密には、回転チャックの回転相度、半導体ウェハ24010と超音波/高周波超音波装置との間の隙間の距離、洗浄液の流量、及び、洗浄液24032の物理的特定を含むある設定の組み合わせで、洗浄液24032の表面張力により、半導体ウェハ24010と超音波/高周波超音波装置との間の隙間に洗浄液が充填される。超音波又は高周波超音波装置の電源がオンになると、気泡24046が発生し、音響エネルギーを用いた半導体ウェハ20401上の洗浄プロセスが開始される。
図24Bに示すように、パターン構造要素24034内の不純物24048は、超音波/高周波超音波による音響エネルギーにより持ち上げられる。ステップ3の継続時間は、例えば、1秒から数分程度であってもよい。
【0166】
ステップ4:
図24Cに示すように、音響エネルギーが洗浄液24032に供給されていないときに、半導体ウェハ24010を、例えば、100RPM又は200RPM~1500RPMの高い速度ω2で回転させる。例えば、音響エネルギーの供給を止めるために、超音波又は高周波超音波装置の電源をオフにし、及び/又は、超音波又は高周波超音波装置を、半導体ウェハ24010に隣接する位置から、液面よりも上の高さまで、持ち上げてもよい。半導体ウェハ24010の表面の洗浄液24032が回転チャックとともに回転されるため、半導体ウェハ24010の回転速度を増加させるときに、半導体ウェハ24010の表面における洗浄液24032の接線速度が増加する。
図24Cに示すように、洗浄液24032の接線速度の増加が、ステップ3で持ち上げられた残留物24048の除去効率を高める。残留物24048は、半導体ウェハの縁に沿って横方向に移動し、最終的に、半導体ウェハ24010から離れる。ステップ4の持続時間は、例えば、1秒から数分程度であってもよい。このステップでは、音響エネルギーの供給が停止され、気泡24046が定常状態のままである。このステップでは、半導体ウェハを回転させるための基材の回転速度が高い速度ω2に増加する前に、超音波又は高周波超音波装置は、半導体ウェハに隣接する位置から持ち上げられることが好ましく、このことは、残留物24048の除去により貢献する。
【0167】
ステップ5:
図24D~
図24Eに示すように、パターン構造要素24010内に戻ってきた又は残留した残留物24048を除去するために、ステップ3とステップ4とを1以上のサイクル繰り返す。
図24B~
図24Cに示すように、残留物24048の一部がステップ3で持ち上げられて半導体ウェハ24010のパターン構造から離れる。この残留物24048の一部は、ステップ4において、半導体ウェハ24010の回転速度の増加に起因する外側に向かう液体の流れによって簡単に除去される。しかしながら、残留物24048の別の一部は、パターン構造又はパターン構造の近くに残ったままであり、音響エネルギーの供給が停止するため、パターン構造要素24034に戻り、パターン構造要素24034内に残ったままとなる。したがって、
図24D~
図24Eに示すように、ステップ3及びステップ4を1サイクル以上繰り返すことによって、残留物24048をより効果的に除去することができる。
【0168】
ステップ3において、
図7A~
図7C、又は、
図8A~
図14Bのいずれかに関連して、音響エネルギーを用いた洗浄プロセスは、ステップ4~ステップ6に沿って適用してもよい。このようにして、損傷を与える内破又はパターン構造の閉塞を回避するために、気泡は冷却される。
【0169】
音響エネルギーが供給され、液体薬品又は気体がドープされた水によるパターン構造の洗浄プロセスでは、気泡は、音響エネルギーによって膨張する。特に、アスペクト比(深さ/幅)が3以上であるときに、ビアホール、トレンチ及び/又は凹部領域といったパターン構造要素が、気泡によって塞がれる虞がある。したがって、新鮮な液体が効率よくビアホール、トレンチ、及び/又は凹部領域の底に到達せず、このような深いビアホール、トレンチ及び/又は凹部領域の粒子、不純物又はその他の残留物を、効率よく除去あるいは洗浄することができない。パターン構造要素内において、飽和点RSは、ビアホール、トレンチ、または、凹領域の複数のパターン構造要素内における気泡の最大量によって定義される。飽和点を超えると、薬液がビアホール、トレンチ又は凹部領域といったパターン構造要素内の気泡に閉塞され、これらパターン構造要素における底壁や側壁に到達しにくくなり、薬液の洗浄能力が影響を受けることとなる。飽和点未満の場合には、薬液が、ビアホール、トレンチ又は凹部領域といったパターン構造要素に十分に流れ、良好な洗浄性能を得ることができる。
【0170】
ビアホール、トレンチ又は凹部領域といったパターン構造要素における気泡の総体積は、ビアホール、トレンチ又は凹部領域といったパターン構造要素における気泡数及び気泡サイズの両方と関係があるため、気泡数及び気泡サイズの制御は、高アスペクト比のパターン構造要素内の洗浄工程における洗浄性能に重要となる。
図21A~
図21Dに示すように、1つの気泡の体積を制御する方法を開示したが、ここでは詳細な説明を省略する。
【0171】
図25は、気泡の数と洗浄液の気体濃度との関係を示す。洗浄液における気体濃度を制御するために、洗浄液にドープする気体の量をこの装置によって正確に制御する必要がある。超音波又は高周波超音波洗浄プロセスパラメータを最適にした後、適切な気体濃度を決定するために、気体のドープ量を変えて音響エネルギーを供給してビアホール、トレンチ又は凹部領域といった小さいパターン構造要素を含むパターン基板を洗浄する、検証実験を行う必要がある。最適な気体濃度は、実験によって得られる最適な洗浄性能に基づいて決定される。
【0172】
図26は、別の典型的な半導体ウェハ洗浄装置を示している。上記装置は、気泡除去器26084を備えている点を除いて、
図1Aに示すものと同様である。気泡除去器26084は、ノズル26012につながる経路上に設置されてもよい。洗浄液26032は、気泡除去器26084を通って流れ、ノズル26012に供給される。ノズル26012は、回転チャック26014上に配置され回転駆動機構26016によって回転される半導体ウェハ26010上に洗浄液26032を供給する。気泡除去器26084は、大きな気泡を遮断するが、小さい気泡は遮断しない、すなわち、小さい気泡は、洗浄液とともに気泡除去器26084を通過して流れることができるが、大きい気泡は、このように流れることができない。気泡除去器26084は、洗浄液がノズル26012に供給される前に、洗浄液中の大きい気泡を除去する。そして、このことが、音響エネルギーを供給した洗浄液によるパターン構造の洗浄のプロセスの間、損傷を与える内破、又は、半導体ウェハ16010上のパターン構造が塞がれるのを抑える助けとなる。
【0173】
図27Aは、例えばパターン構造要素27034内のクズやバリのような1以上の欠陥27050を有する半導体ウェハ27010を示しており、このような欠陥は、表面に残った混入物や異方性結晶エッチングに起因する表面特性のような、パターン構造要素の表面の滑らかさに影響を与える。音響エネルギーが供給され、化学液体又は気体がドープされた水のような洗浄液27032によるビアホール、トレンチ又は凹部領域といったパターン構造要素を洗浄するプロセスでは、気泡27046が欠陥27050の周辺に蓄積し、欠陥27050によるひずみ集中によって気泡27046が簡単に破裂する。気泡の破裂によるマイクロ噴流の機械的な力がパターン構造要素27034のさらなる損傷につながる。
【0174】
この問題を解決するために、
図27Bに示すような、欠陥27050を除去して、パターン構造の滑らかな表面を得るための前処理が必要である。
【0175】
一実施形態では、洗浄プロセスに先立って、高エネルギーのプラズマを用いて、パターン構造27034の表面のクズを除去して、パターン構造27034の滑らかな表面を形成する、クズ除去プロセスが実行される。それから、本発明の、
図24A~
図24Eに示すステップが実行される。
【0176】
別の一実施形態では、パターン構造の滑らかな表面を得るために、洗浄プロセスに先立って、高エネルギーのプラズマを使用して、パターン構造27034の表面のバリを除去又は滑らかにする。それから、本発明の、
図24A~
図24Eに示すステップが実行される。
【0177】
一実施形態では、パターン構造の表面のバリを除去するあるいは滑らかにする、以下のステップを含むウェット前処理が実行される。以下の工程は、ステップ1~ステップ3の順序と異なる順序で行われてもよい。
【0178】
ステップ1:複数のパターン構造要素を含む半導体ウェハを、例えば、回転チャックのような基材上に配置する。
【0179】
ステップ2:送出口から半導体ウェハ上に前処理液を供給する、又は、2以上の前処理液を順に供給して、パターン構造上のバリを除去する又は滑らかにする。この送出口は、前処理液を半導体ウェハ上に注入するあるいは噴射するノズルであってもよい。半導体ウェハは、1以上の前処理液が供給されるにつれて回転されてもよい。
【0180】
ステップ3:前処理液を洗い流すために脱イオン(DI)水を半導体ウェハ上に供給する。
【0181】
続いて、
図24A~
図24Eに示すステップ2~ステップ5を実行して、パターン構造を有する半導体ウェハを洗浄する。
【0182】
シリコン表面の前処理のための前処理液は、SC1液(H2O、H2O2及びNH4OHの混合液)であってもよい。複数の前処理液が下記のように供給されてもよい。すなわち、最初に、オゾン液(所定量のオゾンが溶解した水)を半導体ウェハの表面に供給して、シリコンの表面安定化処理のための凝縮された酸化膜を形成し、半導体ウェハ上に残った化学物質を洗い流すためにDI水を供給し、半導体ウェハの表面の酸化物をエッチングするために、希釈したフッ化水素(DHF)を半導体ウェハ上に供給して、粒子、残留物又はその他の不純物のアンダーカット効果を得る。これにより、後に続く洗浄ステップにおいて、粒子、残留物又はその他の不純物をより簡単に除去することができる。
【0183】
本開示のいくつかの態様では、基材の回転および音響エネルギーの供給が、一又は複数のコントローラ、例えば、機器のソフトウェアプログラマブル制御によって制御されてよい。一又は複数のコントローラは、回転および/またはエネルギー供給のタイミングを制御するための一又は複数のタイマーを備えていてよい。
【0184】
本発明は、45nm以下の半導体ウェハのデバイス製造ノード、及び、60nm以下のライン幅に適用してもよい。
【0185】
本発明は、3D NANDに適用してもよい。
【0186】
【0187】
本発明の具体的な実施形態、実施例、および、適用に関して説明したが、本発明から逸脱することなく種々の修正および変形例が可能であることは当業者には明らかであろう。