(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】金属物品処理における粘性材料を除去するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B05C 11/10 20060101AFI20230220BHJP
B05D 3/12 20060101ALI20230220BHJP
B21B 1/00 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
B05C11/10
B05D3/12 E
B21B1/00 Z
(21)【出願番号】P 2020569018
(86)(22)【出願日】2019-06-13
(86)【国際出願番号】 US2019037036
(87)【国際公開番号】W WO2019241547
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2020-12-11
(32)【優先日】2018-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506110243
【氏名又は名称】ノベリス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NOVELIS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156085
【氏名又は名称】新免 勝利
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ・ワーナー・ベッカー
(72)【発明者】
【氏名】ルジャン・ルメイ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ジェイムズ・ホッビス
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・アンソニー・ゲーンズバウアー
【審査官】松浦 裕介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04915211(US,A)
【文献】仏国特許出願公開第03056419(FR,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1587739(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0255782(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC B05C 7/00 - 21/00
B05D 1/00 - 7/26
B05D 5/00 - 13/00
B21B 1/00 - 11/00
B21B 45/00 - 99/00
B41F 15/00 - 15/46
B65G 45/00 - 45/26
H05K 3/32 - 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料物品の表面から粘性材料を除去するためのシステムであって、前記システムは、
処理方向であって、前記システムが前記処理方向に移動する前記材料物品を受容するように構成される、処理方向と、
前記処理方向に対して横断して延在し、前記材料物品の幅に対応する横方向と、
前記横方向に延在している前記可撓性シールであって、前記可撓性シールが垂直方向および前記横方向に調整可能であって、
前記垂直方向は前記材料物品の表面に対して垂直な方向であり、前記可撓性シールが、前記横方向において前記表面に接触するように構成される、前記可撓性シールと、
前記可撓性シールが前記横方向において前記表面に適合できるように、前記可撓性シールの選択部分
に力を加えるように構成されるバイアス機構と、
を含む、前記システム。
【請求項2】
前記材料物品をさらに含み、前記材料物品
が金属物
品である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記可撓性シールが、第1の位置と複数の他の可変位置との間で移動可能である、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記バイアス機構が、静的バイアス機構または可動バイアス機構である、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
可動バイアス機構が、互いに独立して移動するか、または互いに協調して移動する複数の部分を含む、請求
項4に記載のシステム。
【請求項6】
静的バイアス機構が湾曲したバーを含み、前記湾曲したバーの凸側が前記可撓性シール用の取り付け部を含み、前記バイアス機構は、前記湾曲したバーを前記材料物品に隣接して位置決めすることによって、前記可撓性シールを前記材料物品に対して押圧するように構成される、請求
項4に記載のシステム。
【請求項7】
可動バイアス機構が、
複数のアクチュエータ、
複数のばね、または、
流体媒体で充填可能な充填可能なブラダー、
のうちの少なくとも1つを含む、請求
項4に記載のシステム。
【請求項8】
複数の取り付けデバイスをさらに含み、前記複数の取り付けデバイスの個々の取り付けデバイスが、複数のアクチュエータのうちの少なくとも1つのアクチュエータ、複数のばねのうちの少なくとも1つのばね、または充填可能なブラダーに取り付けられる、請求項1~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
複数のアクチュエータが、空気圧アクチュエータ、電気アクチュエータ、油圧アクチュエータ、機械アクチュエータ、磁気アクチュエータ、または熱アクチュエータのうちの少なくとも1つを含む、請求
項7に記載のシステム。
【請求項10】
複数の取り付けデバイスが、クランプ、クリップ、ピン、またはクラスプのうちの少なくとも1つを含む、請求
項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記バイアス機構が、前記可撓性シールの第1の部分が前記可撓性シールの第2の部分の高さとは異なる高さを有するように前記可撓性シールを位置決めするように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記可撓性シールが、前記材料物品の前記幅にわたって少なくとも部分的に横断するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記可撓性シールが、前記材料物品の前記幅にわたって完全に横断するように構成される、請求項1~12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記可撓性シールが、
本体、
接触エッジ、及び
取り付けエッジであって、前記取り付けエッジが、前記本体をわたって前記接触エッジに対向して配設される、前記取り付けエッジ、
をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
本体、接触エッジ、及び取り付けエッジが、線、長方形、正方形、三角形、円、楕円、ナイフの刃の形、またはギリシャ語の大文字のオメガの形、またはそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択される断面形状を画定する、請求
項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記可撓性シールが、接触エッジが処理中の前記材料物品の湾曲した断面形状及び前記材料物品の表面形状に適合するように構成されるような、ある程度の柔軟性を有する、請求
項14に記載のシステム。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載のシステムを採用して、材料物品から粘性材料を除去する方法であって、
バイアス機構にシールを取り付けることと、
前記シールの接触エッジが前記材料物品に接触するように、前記材料物品に隣接するバイアス機構に取り付けられた前記シールを配置することと、
前記シールが前記シールの幅にわたって前記材料物品との接触を維持するように、前記バイアス機構から圧力を加えることとを含む、前記方法。
【請求項18】
前記材料物品に隣接するバイアス機構に取り付けられた前記シールを配置することが、前記材料物品に塗布された粘性材料を有する前記材料物品上の領域に隣接するバイアス機構に取り付けられた前記シールを配置することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
バイアス機構に取り付けられた前記シールの上を前記材料物品を通過させ、前記材料物品に接触させることをさらに含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記バイアス機構を使用して、前記シールの第1の部分が前記シールの第2の部分の高さとは異なる高さを有するように前記シールを位置決めすることをさらに含む、請求項17~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記バイアス機構から圧力を加えることが、前記シールが前記材料物品の断面形状及び前記シールの前記幅にわたって前記材料物品の表面形状に適合することを可能にすることをさらに含む、請求項17~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記材料物品に塗布された前記粘性材料が、前記シールを通過することを防いでいる、請求項17~21のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年6月13日に出願された米国仮特許出願第62/684,446号の優先権及び出願利益を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に冶金学に関し、より詳細には金属製造に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書に別段の指示がない限り、本節に記載されている材料は、本出願の特許請求の範囲の先行技術ではなく、本節に含まれることによって先行技術であると認められない。
【0004】
既存の処理方法は、ワイパーを使用して、粘性材料の塗布を必要とする処理ステップ(例えば、洗浄、潤滑、冷却、前処理など、またはそれらの任意の組み合わせ)の実行中及び/または実行後に、圧延材料製品(例えば、金属物品)に塗布される粘性材料(例えば、液体洗浄剤、潤滑剤、冷却剤、前処理剤など、またはそれらの任意の組み合わせ)を収容することができる。いくつかの場合では、圧延材料製品は完全に平坦(すなわち、平面)ではなく、その幅及び/または長さに沿って湾曲した断面形状を有することができる。さらに、圧延材料製品は、突起、くぼみ、またはその他の非平面状の表面特性を含む表面の凹凸を有する可能性がある。したがって、例えば、金属物品の温度を制御するために液体冷却剤を塗布する場合、剛性シール及び/または非準拠シールを使用して液体冷却剤をその後に完全に除去することは、効果的でないか、または非実用的である。
【発明の概要】
【0005】
実施形態及び類似の用語は、本開示の主題のすべて及び以下の特許請求の範囲を広く指すことを意図している。これらの用語を含む記述は、本明細書に記載された主題を限定するものではなく、以下の特許請求の範囲の意味または範囲を限定するものではないと理解されるべきである。本明細書で網羅される本開示の実施形態は、この発明の概要ではなく、以下の特許請求の範囲によって定義される。この発明の概要は、開示の様々な態様の大まかな概要であり、以下の発明を実施するための形態の節でさらに説明される概念のいくつかを紹介する。この発明の概要は、特許請求される主題の重要なまたは本質的な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求される主題の範囲を決定するために単独で使用されることも意図していない。主題は、本開示の明細書全体、任意またはすべての図面、及び各請求項の適切な部分を参照することによって理解されるべきである。
【0006】
本明細書に開示されるのは、材料物品の表面から粘性材料を除去するシステムであって、第1の位置と少なくとも1つの第2の位置との間の可撓性シールの幅に沿って表面に実質的に垂直な方向に移動可能な可撓性シールであって、可撓性シールが、可撓性シールの幅に沿って表面に接触するように構成される、可撓性シールと、可撓性シールの選択部分を可撓性シールの幅に沿って移動させて、可撓性シールが表面の幅にわたって表面に適合するように構成されるバイアス機構と、を含む、システムである。いくつかの実施例では、システムは、材料物品をさらに含み、材料物品は、移動材料物品または金属物品の少なくとも1つである。さらに、可撓性シールは、第1の位置と複数の他の可変位置との間の可撓性シールの幅に沿って、材料物品に垂直な方向に移動可能であり得る。
【0007】
いくつかの実施例では、バイアス機構は、静的バイアス機構または可動バイアス機構であり、可動バイアス機構は、互いに独立して移動するか、または互いに協調して移動する複数の部分を含む。いくつかの態様では、静的バイアス機構は、湾曲したバーとすることができ、湾曲したバーの凸側は、シール用の取り付け部を含み、シールは、湾曲したバーを材料物品に隣接して位置決めすることによって材料物品に対して押圧され得る。いくつかの非限定的な実施例では、可動バイアス機構は、複数のアクチュエータ、複数のばね、または充填可能なブラダー(例えば、気体、液体、ゲル、または任意の適切な流体媒体、それらの任意の組み合わせ、または任意の適切なバイアス機構で充填可能なブラダー)を含む。いくつかの場合では、システムは、複数の取り付けデバイスをさらに含み、個々の取り付けデバイスを個々のバイアス機構(例えば、個々のアクチュエータまたは個々のばね)に取り付けることができる。任意選択で、複数の取り付けデバイスを充填可能なブラダーに取り付けることができる。いくつかの実施例では、複数のアクチュエータは、空気圧アクチュエータ、電気アクチュエータ、油圧アクチュエータ、機械アクチュエータ、磁気アクチュエータ、熱アクチュエータ、それらの任意の組み合わせ、または他の適切なアクチュエータとすることができる。いくつかの場合では、複数の取り付けデバイスは、クランプ、クリップ、ピン、クラスプ、それらの任意の組み合わせ、またはその他の適切な取り付けデバイスとすることができる。
【0008】
いくつかの非限定的な実施例では、バイアス機構は、可撓性シールの少なくとも第1の部分を、可撓性シールの少なくとも第2の部分を越えて延在させることができる。可撓性シールは、材料物品の幅にわたって少なくとも部分的に横断するのに十分な幅を有することができ、いくつかの場合では、可撓性シールは、材料物品の幅にわたって完全に横断することができる。
【0009】
いくつかの非限定的な実施例では、シールは、接触エッジ、取り付けエッジ、及び本体をさらに含み、本体は、接触エッジと取り付けエッジとの間に位置決めされ、取り付けエッジは、接触エッジに対向して配置される。いくつかの場合では、本体、接触エッジ、及び取り付けエッジは、限定されないが、線、長方形、正方形、三角形、円、楕円、ナイフの刃の形、またはギリシャ語の大文字のオメガの形を含む、任意の適切な断面形状を有することができる。いくつかの態様では、シールは、接触エッジが材料物品の表面形状及び/または処理中に発生する可能性のある材料物品の任意の断面形状に適合するような、ある程度の柔軟性を有する可撓性シールである。
【0010】
また、本明細書に開示されるのは、バイアス機構に取り付けられたシールを提供するためにバイアス機構にシールを取り付けることと、シールの接触エッジが材料物品に接触する、材料物品に隣接するバイアス機構に取り付けられたシールを配置することと、シールが材料物品との接触を維持するように、バイアス機構から圧力を加えることと、を含む、材料物品から粘性材料を除去する方法である。いくつかの実施例では、シールは、材料物品に塗布された粘性材料を有し、材料物品がシールをわたって通過する領域に隣接して配置される。いくつかの場合では、バイアス機構により、シールを材料物品の断面形状及び/または金属物品の表面形状に適合させることができる。いくつかの場合では、材料物品に塗布された粘性材料がシールを通過できないことがある。
【0011】
本明細書は、以下の添付の図を参照しており、異なる図中での同様の参照番号の使用は、同様のまたは類似の構成要素を例示することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の特定の態様による、粘性材料除去システムの概略図である。
【
図2】本開示の特定の態様による、粘性材料除去システムの一部の拡大図の概略図である。
【
図3】本開示の特定の態様による、シールの概略断面図である。
【
図4】本開示の特定の態様による、材料物品に接触する
図3のシールの概略断面図である。
【
図5】本開示の特定の態様による、例示的なシールの概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の特定の態様及び特徴は、熱間圧延モード、冷間圧延モード、温間圧延モード、またはそれらの任意の組み合わせで金属物品を圧延するための圧延機に関する。本開示のさらなる態様及び特徴は、熱間圧延、冷間圧延、または温間圧延に関与する金属物品及び/または作業ロールを冷却するシステム及び方法に関する。本開示の別の態様は、金属物品の表面を損傷することなく、金属物品に塗布された粘性材料(例えば、冷却剤、洗浄剤、前処理剤、潤滑剤など、またはそれらの任意の組み合わせ)を除去するためのシステム及び方法に関する。
【0014】
本明細書で使用される「発明(invention)」、「本発明(the invention)」、「本発明(this invention)」及び「本発明(the present invention)」という用語は、本特許出願の主題のすべて及び以下の特許請求の範囲を広く指すことを意図している。これらの用語を含む明細書は、本明細書に記載された主題を限定したり、以下の特許請求の範囲の意味または範囲を限定したりするものではないと理解されるべきである。
【0015】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、または「the」の意味は、文脈が明確に別途指示しない限り、単数形及び複数形の言及を含む。
【0016】
本明細書で使用される場合、「室温」の意味は、約15℃~約30℃の温度、例えば、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、または約30℃を含むことができる。
【0017】
本明細書で使用される場合、「プレート」は、概して、約4ミリメートル(mm)~約100mmの厚さを有する。例えば、プレートは、約4mm、約5mm、約10mm、約15mm、約20mm、約25mm、約30mm、約35mm、約40mm、約45mm、約50mm、約55mm、約60mm、約65mm、約70mm、約75mm、約80mm、約85mm、約90mm、約95mm、または約100mmの厚さを有するアルミニウム製品を指し得る。
【0018】
本明細書で使用される場合、「シート」は、概して、約0.2mm~約4mm未満の厚さを有するアルミニウム製品を指す。例えば、シートは、4mm未満、3mm未満、2mm未満、1mm未満、0.5mm未満、0.3mm未満、または0.25mm未満の厚さを有し得る。
【0019】
本明細書で使用される場合、「箔」という用語は、最大約0.2mm(すなわち、200ミクロン(μm))の範囲の合金の厚さを示す。例えば、箔は、最大10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、110μm、120μm、130μm、140μm、150μm、160μm、170μm、180μm、190μm、または200μmの厚さを有し得る。
【0020】
いくつかの非限定的な実施例では、圧延機は少なくとも1つの作業スタンドを含むことができ、いくつかの実施例では、圧延機は複数のスタンドを含むことができる。例えば、圧延機は、2つのスタンド、3つのスタンド、4つのスタンド、5つのスタンド、6つのスタンド、または必要もしくは所望に応じて任意の他の数のスタンドを含み得る。各スタンドは、垂直に整列した1対の作業ロールを含むことができる。いくつかの場合では、各スタンドは、1対の作業ロールを支持する1対のバックアップロールを含む。いくつかの実施例では、各スタンドはまた、1対の中間ロールを含む。金属物品の圧延中に、金属物品は、作業ロール間に画定されたロールギャップを通過する。金属物品を圧延すると、金属物品の厚さが所望の厚さまで減少し、金属物品の組成に応じて金属物品に特定の特性が付与される。最終的な金属製品の所望の特性または他の考慮事項に応じて、圧延機は、熱間圧延モード、冷間圧延モード、温間圧延モード、またはそれらの任意の組み合わせで実行され得る。
【0021】
熱間圧延は一般に、金属の再結晶温度を超える温度で行われる。例えば、金属物品がアルミニウムまたはアルミニウム合金であるいくつかの場合、熱間圧延は約250℃~約550℃などの約250℃を超える温度で行われ得る。他の実施例では、熱間圧延に他の様々な温度が使用され得る。
【0022】
熱間圧延とは対照的に、冷間圧延は一般に金属の再結晶温度より低い温度で行われる。例えば、金属物品がアルミニウムまたはアルミニウム合金であるいくつかの場合、冷間圧延は約20℃~約200℃などの約200℃未満の温度で行われ得る。他の実施例では、冷間圧延に他の様々な温度が使用され得る。
【0023】
いくつかの場合では、金属物品は、金属の再結晶温度よりは低いが冷間圧延温度よりは高い温度で行われる温間圧延処理を通して圧延され得る。例えば、金属物品がアルミニウムまたはアルミニウム合金であるいくつかの場合、温間圧延は約200℃~約250℃の温度で行われ得る。他の実施例では、温間圧延に他の様々な温度が使用され得る。
【0024】
いくつかの実施例では、圧延機は、金属物品の温度を制御するために、金属物品の外面に冷却剤を塗布するように構成される金属物品冷却システムを含む。いくつかの非限定的な実施例では、冷却剤は、水、油、ゲル、または任意の適切な熱伝達媒体である。いくつかの場合では、冷却剤は、有機熱伝達媒体、シリコーン流体熱伝達媒体、またはグリコールベースの熱伝達媒体(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、その他のポリアルキレングリコール、またはそれらの任意の組み合わせ)などである。本明細書は、液体冷却剤の文脈で提供されているが、本明細書に記載のシステム及び方法は、冷却剤、洗浄剤、前処理剤、潤滑剤(例えば、ゲル、ゾルゲル、及び特定のガラス)などを含む任意の粘性材料に使用できる。
【0025】
いくつかの実施例では、金属物品冷却システムは、処理中に金属物品の温度を下げるように構成される。様々な実施例では、金属物品冷却システムは、金属物品の温度を制御するために、金属物品の少なくとも1つの表面に冷却剤を塗布するように構成される金属物品冷却ヘッダーを含む。いくつかの実施例では、金属物品冷却システムはまた、冷却剤または他の粘性材料(例えば、前処理剤、洗浄剤、潤滑剤など)を金属物品の所望の領域から除去する(すなわち、金属物品を乾燥させる)ための、及び/または冷却剤または他の粘性材料を金属物品の所望の領域に収容するための粘性材料除去システムを含む。様々な実施例では、圧延機の構成に応じて、任意の数のロール冷却ヘッダー及び粘性材料除去システムを利用し得る。金属物品冷却システムは、垂直圧延機内の金属物品の下、金属物品の上、金属物品の横、それらの組み合わせなど、圧延機内の様々な場所に提供され得るか、または冷却が所望され、金属物品が後続の作業スタンドまたは他の処理機器に挿入される前に、冷却剤または他の粘性材料が除去される任意の適切な場所に提供され得る。いくつかの非限定的な実施例では、金属物品は、金属コイル、金属ストリップ、金属プレート、金属シート、金属箔、金属ビレット、金属インゴットなどとすることができる。
【0026】
いくつかのさらなる実施例では、圧延機は、金属物品に集まる可能性のある汚染物質を除去するために金属物品の外面に洗浄剤を塗布するように構成される洗浄システムを含む。いくつかの実施例では、洗浄システムは、溶媒、洗剤、界面活性剤、酸、塩基、その他の適切な表面洗浄剤、またはそれらの任意の組み合わせを、処理中に金属物品の少なくとも第1の表面に塗布するように構成される。様々な実施例では、金属物品洗浄システムは、金属物品の少なくとも1つの表面に洗浄剤を塗布して、金属物品の表面から油及び/またはデブリを除去するように構成される金属物品洗浄ヘッダーを含む。いくつかの実施例では、金属物品洗浄システムはまた、金属物品の所望の領域から洗浄剤及び/または汚染物質を除去する(すなわち、金属物品を乾燥させる及び/または拭き取る)ための、及び/または洗浄剤及び/または汚染物質を金属物品の所望の領域に収容するための洗浄剤及び/または汚染物質除去システムを含む。様々な実施例では、圧延機の構成に応じて、任意の数のロール洗浄ヘッダー及び洗浄剤及び/または汚染物質除去システムを利用し得る。金属物品洗浄システムは、垂直圧延機内の金属物品の下、金属物品の上、金属物品の横、それらの組み合わせなど、圧延機内の様々な場所に提供され得るか、または洗浄が所望され、金属物品が後続の作業スタンドまたは他の処理機器に挿入される前に、洗浄剤及び/または汚染物質が除去される任意の適切な場所に提供され得る。
【0027】
同様に、いくつかのさらなる実施例では、圧延機は、特定の下流処理用に金属物品の外面を整えるために、金属物品の外面に前処理剤を塗布するように構成される前処理システムを含む。いくつかの実施例では、前処理システムは、処理中に、接着促進剤、腐食防止剤、美的フィルム、または他の適切な表面前処理剤を金属物品の少なくとも第1の表面に塗布するように構成される。様々な実施例では、金属物品前処理システムは、金属物品の少なくとも1つの表面に前処理剤を塗布するように構成される金属物品前処理ヘッダーを含む。いくつかの実施例では、金属物品前処理システムは、金属物品の所望の領域から過剰な前処理剤を除去する(すなわち、金属物品を乾燥させる)ための、及び/または金属物品の所望の領域に前処理剤を収容するための除去システムも含む。様々な実施例では、圧延機の構成に応じて、任意の数のロール前処理ヘッダー及び過剰な前処理剤の除去システムを利用し得る。金属物品前処理システムは、垂直圧延機内の金属物品の下、金属物品の上、金属物品の横、それらの組み合わせなど、圧延機内の様々な場所に提供され得るか、または前処理が所望され、金属物品が後続の作業スタンドまたは他の処理機器に挿入される前に、過剰な前処理剤が除去される任意の適切な場所に提供され得る。
【0028】
特定の態様では、金属物品は、概して平面状の金属物品とすることができる。しかし、高温で行われる特定の処理ステップ(例えば、熱間圧延、温間圧延、冷間圧延、溶体化、焼鈍、及び/または均質化)中に、金属物品または金属物品の一部が非平面状になる可能性がある。特定の実施例では、金属物品は、軟質金属を提供できる温度に加熱できる(例えば、金属物品の液相線温度に近い温度に加熱できる)。金属物品を加熱することにより、非平面状の断面形状(例えば、金属物品の幅に沿った湾曲した形状)を有する金属物品を提供できる。そのような非平面状の断面形状は、例えば、金属物品が第1の作業スタンドから第2の作業スタンドに移動するときに、金属物品の第1のエッジ及び/または第2のエッジに沿った方よりも、金属物品の中心に沿った方がより多くの張力を提供する処理ラインから生じる可能性がある。したがって、金属物品が実質的に水平に保持される処理ラインでは、金属物品の中心は、金属物品の第1のエッジ及び/または第2のエッジよりも垂直方向に高くできる。同様に、他のいくつかの実施例では、金属物品が第1の作業スタンドから第2の作業スタンドに移動するときに、金属物品の中心に沿った方よりも第1のエッジ及び/または第2のエッジに沿った方がより高い張力を提供する処理ラインでは、金属物品の中心が垂下して、金属物品の第1のエッジ及び/または第2のエッジよりも垂直方向に低くなる可能性がある。いくつかの場合では、処理ラインの張力は、金属物品が実質的に水平に保持され、金属物品の長さに沿った方向に移動する処理ラインで処理される金属物品の幅に沿って可変の垂直高さを提供するように変化させることができる。そのような変化する垂直高さは、金属物品の幅にわたる動的な水平プロファイルを提供できる。例えば、金属物品が水平処理ライン内を移動するとき、特定の処理点(例えば、冷却剤が塗布される点)での金属物品の幅のプロファイルは、絶えず変化させることができる。
【0029】
いくつかの場合では、金属物品の加熱を必要とする処理ステップの後に金属物品を冷却すると、冷却剤を塗布できる金属物品の少なくとも一部で非平面状の断面形状、及び/または表面の凹凸を提供し得る。表面の凹凸は、表面にわたる様々な高低差(例えば、隆起部及びくぼみ)からなる表面形状を提供し得る。非平面状の断面形状及び/または表面の凹凸は、金属物品から冷却剤を均一に除去する際に問題を引き起こす可能性がある。
【0030】
いくつかのさらなる実施例では、ロール冷却システムを少なくとも1つの作業スタンドに設けることができ、処理中のロールの温度を低下させるように構成できる。いくつかの実施例では、ロールは、作業ロール、バックアップロールなどとすることができる。いくつかの場合では、作業ロールはステンレス鋼、鋼、または任意の適切な材料で作ることができる。様々な実施例では、ロール冷却システムは、ロールの温度を制御するために、ロールの少なくとも1つの表面に冷却剤を塗布するように構成されるロール冷却ヘッダーを含む。いくつかの実施例では、ロール冷却システムはまた、所望の領域から冷却剤を除去するための、及び/またはロール上の所望の領域に冷却剤を収容するための粘性材料除去システムを含む。様々な実施例では、圧延機の構成に応じて、任意の数のロール冷却システムを利用し得る。ロール冷却システムは、作業スタンドで、第1の作業スタンドの前、最後の作業スタンドの後、作業スタンドの間など、圧延機内の様々な場所に設けられ得る。いくつかの非限定的な実施例では、金属物品冷却システム及びロール冷却システムは、個別のまたは組み合わされたシステムとすることができる。
【0031】
本明細書に記載されるように、金属物品及び/またはロールから液体冷却剤を除去するための粘性材料除去システムは、シール及びバイアス機構を含むことができる。いくつかの非限定的な実施例では、シールは可撓性シールとすることができる。例えば、シールはポリマーシールとすることができる。ポリマーシールで使用するための例示的なポリマーには、例えば、合成ゴム(スチレン-ブタジエン)、天然ゴム、エラストマー、セルロースなど、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。いくつかの実施例では、シールは、ポリシリコンシール、ファブリックシール、または金属物品及び/またはロールに接触したときに、金属物品及び/またはロールが損傷しない任意の適切な材料で作られたシールとすることができる。上述したように、シールが任意の非平面状の断面形状及び/または表面の凹凸(例えば、形状)に適合または概して適合できるように、シールは、十分な柔軟性を有することができる。いくつかの実施例では、シールを金属物品に向かって動かすために、少なくとも1つのバイアス機構を介して力を加えることによって、シールを任意の非平面状の断面形状及び/または表面の凹凸に適合させることができる。
【0032】
これらの例示的な実施例は、本明細書で論じられる一般的な主題を読者に紹介するために与えられており、開示された概念の範囲を限定することを意図するものではない。以下の節は、同様の数字が同様の要素を示す図面を参照して様々な追加の特徴及び実施例を説明しており、方向の説明は、例示的な実施形態を説明するために使用されているが、例示的な実施形態と同様に、本開示を限定するために使用されるべきではない。本明細書の図に含まれる要素は、縮尺通りに描写されていない場合がある。
【0033】
図1は、本明細書に記載の粘性材料除去システム100の概略図である。粘性材料除去システム100は、ロール処理された材料(例えば、金属物品、ポリマーフィルム、または粘性材料の塗布、任意の収容、及び除去を必要とする任意の適切なロール処理された材料)から粘性材料(例えば、冷却剤、洗浄剤、潤滑剤、前処理剤など)を除去するため、及び/または金属物品上の所望の領域に粘性材料を収容するために使用できる。いくつかの実施例では、金属物品は、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム系材料、チタン、チタン系材料、銅、銅系材料、鋼、鋼系材料、青銅、青銅系材料、真ちゅう、真ちゅう系材料、複合材料、複合材料に使用されるシート、またはその他の適切な金属または材料の組み合わせである。物品は、モノリシック材料、ならびにロールボンド材料、クラッド材料、複合材料(限定されないが、炭素繊維含有材料など)などの非モノリシック材料、または他の様々な材料を含み得る。いくつかの実施例では、金属物品は、金属コイル、金属ストリップ、金属プレート、金属シート、金属ビレット、金属インゴットなどである。いくつかの場合では、本明細書に記載のシステム及び方法は、非金属物品で使用できる。
図1に示すように、粘性材料除去システム100は、幅W及びバイアス機構を有する可撓性シール110を含む。バイアス機構は、
図1の実施例における複数のアクチュエータ120のような任意の所望のバイアス機構とすることができる。シール110は、限定されないが、クリップ、ピン、クラスプ、またはクランプ130を含む任意の適切な取り付けデバイスによって、複数のアクチュエータ120に取り付けることができる。他の実施例では、バイアス機構は、複数のばね、以下で説明するような充填可能なブラダー、以下に説明するような湾曲したバー、またはシールの垂直高さをシール110の幅Wに沿って高さ方向Hに変化させることを可能にする他のバイアス機構とすることができる。シール110には柔軟性があり得て、シール110が金属物品の任意の非平面状の断面形状及び/または表面の凹凸に適合することができるような、ある程度の柔軟性を有し得る。シール110は、任意の適切な材料で形成できる。例えば、シール110はポリマーシールとすることができる。ポリマーシールで使用するためのポリマーには、例えば、合成ゴム(スチレン-ブタジエン)、天然ゴム、エラストマー、セルロースなど、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。いくつかの実施例では、シールは、ポリシリコンシール、ファブリックシール、または(例えば、粘性材料除去システムが作業ロールから粘性材料を除去するために使用される特定の態様では)金属物品及び/または作業ロールを損傷しない任意の適切な材料で作られたシールとすることができる。
【0034】
複数のアクチュエータ120は、空気圧アクチュエータ、電気アクチュエータ、油圧アクチュエータ、機械アクチュエータ、磁気アクチュエータ、熱アクチュエータ、または他の適切なアクチュエータを含むことができる。いくつかの場合では、複数のアクチュエータ120は、複数の取り付けデバイス210(
図2を参照)を介することを含む任意の適切な方法でシール110に取り付けられ得る。いくつかの非限定的な実施例では、各取り付けデバイス210は、取り付けアーム215、ピボットベース220、ピボットピン230、及びクランプ130を含むことができる。いくつかの場合では、各取り付けデバイス210は、ピボットピン230によって取り付けアーム215に取り付けることができ、したがって、ピボットベース220がピボットピン230の周りを旋回することを可能にする。各取り付けデバイス210は、結紮ピン240によって連続する取り付けデバイス210に取り付けることができ、したがって、各取り付けデバイス210が、各連続する取り付けデバイス210に対して旋回することを可能にする。複数のアクチュエータ120に取り付けられた連続した取り付けデバイス210は、(i)金属物品に接触するための十分な圧力、及び(ii)処理中に金属物品に発生する非平面状の断面形状及び/または表面の凹凸に適合するための十分な柔軟性を提供できる。いくつかの態様では、十分な圧力は、シール110が金属物品に圧力を加えることができるように、複数のアクチュエータ120によって加えられる力である。例えば、複数のアクチュエータ120は、1平方インチ(psi)あたり約40ポンドから約120psiまでの範囲、または生産施設で利用可能な最大空気圧までの範囲の圧力を加えることができる。例えば、複数のアクチュエータ120は、約40psi、41psi、42psi、43psi、44psi、45psi、46psi、47psi、48psi、49psi、50psi、51psi、52psi、53psi、54psi、55psi、56psi、57psi、58psi、59psi、60psi、61psi、62psi、63psi、64psi、65psi、66psi、67psi、68psi、69psi、70psi、71psi、72psi、73psi、74psi、75psi、76psi、77psi、78psi、79psi、80psi、81psi、82psi、83psi、84psi、85psi、86psi、87psi、88psi、89psi、90psi、91psi、92psi、93psi、94psi、95psi、96psi、97psi、98psi、99psi、100psi、101psi、102psi、103psi、104psi、105psi、106psi、107psi、108psi、109psi、110psi、111psi、112psi、113psi、114psi、115psi、116psi、117psi、118psi、119psi、120psi、またはそれ以上、またはその間のいずれの圧力も加えることができる。
【0035】
いくつかの場合では、複数のアクチュエータ120に供給される空気圧は、シール110によって金属物品に加えられる作動圧力を提供できる。いくつかの実施例では、作動圧力は、シール110の幅Wのリニアインチ(lb/in)あたり約2ポンドの力から約50lb/inまでであり得る。例えば、作動圧力は、約2lb/in、4lb/in、6lb/in、8lb/in、10lb/in、12lb/in、14lb/in、16lb/in、18lb/in、20lb/in、22lb/in、24lb/in、26lb/in、28lb/in、30lb/in、32lb/in、34lb/in、36lb/in、38lb/in、40lb/in、42lb/in、44lb/in、46lb/in、48lb/in、50lb/in、50lb/inを超える、またはその間のいずれでもあり得る。いくつかの態様では、作動圧力を加えることにより、シール110は、シール110を座屈させる(例えば、高すぎる作動圧力を加えると、シール110が金属物品の中に押し込まれる可能性があり、したがって、シール110の形状が変形し、シール110が金属物品との接触を失い、粘性材料がシール110の下または周囲を通過する可能性がある領域を形成させる)ことなく、その幅Wにわたって金属物品との接触を維持できる。
【0036】
図3は、本明細書に記載のシール110の一例の概略図である。いくつかの場合では、シール110は、(必要ではないが)一方のエッジが接触エッジ310であり得て、他方のエッジが取り付けエッジ320であり得る三角形の形状を有することができる。例えば、取り付けエッジ320は、クランプ130(
図1を参照)によって保持できる。いくつかの場合では、クランプ130は、
図4の実施例のように、シール110がシール110の幅Wに沿って横方向Lに移動でき、同時に実質的に垂直方向にクランプ130から出ることを防止するように、シール110を保持できる(例えば、
図2を参照すると、シール110は、各クランプ130から垂直に出ることなく、各クランプ130内で横方向Lに左右にスライドできる)。いくつかの非限定的な実施例では、シール110は、シール110の断面中心に空隙330を含む中空とすることができる。いくつかの態様では、空隙330は、金属物品に接触するときにシール110を圧縮することを可能にする。シール110を圧縮させると、シール110の弾性がシール110を非圧縮状態に戻すように動くため、シール110が金属物品表面の凹凸及び欠損部に入る/適合することがさらに可能になり、接触エッジ310をさらに金属物品の表面に押し込むことになり得る。いくつかの場合では、シール110は中実であり、空隙を含まない。
【0037】
図4の実施例の第1の位置にあるとき、シール110の接触エッジ310は、金属物品410に接触する。シール110、取り付けデバイス210及び取り付けアーム215は、金属物品410とシール110の先端面との間の角度420が約15°~約90°になるように位置決めされる。例えば、角度420は、約15°、16°、17°、18°、19°、20°、21°、22°、23°、24°、25°、26°、27°、28°、29°、30°、31°、32°、33°、34°、35°、36°、37°、38°、39°、40°、41°、42°、43°、44°、45°、46°、47°、48°、49°、50°、51°、52°、53°、54°、55°、56°、57°、58°、59°、60°、61°、62°、63°、64°、65°、66°、67°、68°、69°、70°、71°、72°、73°、74°、75°、76°、77°、78°、79°、80°、81°、82°、83°、84°、85°、86°、87°、88°、89°、90°、またはその間のいずれの角度ともすることができる。いくつかのさらなる実施例では、角度420は、シール110の形状に基づいて変化でき、当業者には明らかであり得る。例えば、ナイフの刃の形状を有するシール110は、約0°~約90°である角度420で金属物品410に接触できる(例えば、0°、1°、2°、3°、4°、5°、6°、7°、8°、9°、10°、11°、12°、13°、14°、15°、16°、17°、18°、19°、20°、21°、22°、23°、24°、25°、26°、27°、28°、29°、30°、31°、32°、33°、34°、35°、36°、37°、38°、39°、40°、41°、42°、43°、44°、45°、46°、47°、48°、49°、50°、51°、52°、53°、54°、55°、56°、57°、58°、59°、60°、61°、62°、63°、64°、65°、66°、67°、68°、69°、70°、71°、72°、73°、74°、75°、76°、77°、78°、79°、80°、81°、82°、83°、84°、85°、86°、87°、88°、89°、90°、またはその間のいずれでもよい)。さらに別の実施例では、円形の断面形状及び円形の接触エッジを有するシール110は、取り付けデバイス210が金属物品410に接触しないように、任意の適切な角度420で金属物品410に接触できる。
【0038】
いくつかの非限定的な実施例では、金属物品410は、上述したように、処理ステップ中に、方向415でシール110を通過できる。金属物品410が湾曲しているか、または凹凸を有する領域においても、シール110が金属物品410の幅にわたって金属物品410と常に接触し続けることができるように、複数のアクチュエータ120によって圧力を加えることができる。複数のアクチュエータ120は、シール110が複数の第2の位置に移動して(すなわち、個々のアクチュエータはそれぞれ、その個々のアクチュエータに取り付けられたシール110の一部を個々の第2の位置に移動させることができる。
図1を参照)、シール110が金属物品410の幅にわたって金属物品410の形状に適合することができるように、シール110の幅Wに沿って圧力を加えることができる。上述したように、各クランプ130は、シール110がシール110の幅Wに沿って横方向L(
図2を参照)に移動することを可能にする(例えば、各クランプ130は、シール110を十分に緩く把持して、シール110が各クランプ130から垂直に出ることなく左右にスライドできるようにする)ように構成される。シール110を横方向Lに移動させることにより、シール110の幅Wに沿ってシール110に応力を加えることなく、シール110が高さ方向Hに複数の第2の位置にさらに移動できる。このようにして、
図1の実施例のように、シール110の垂直位置は、シール110の幅Wにわたって変化し得る。いくつかの非限定的な実施例では、複数のアクチュエータ120は、シール110を、湾曲形状、凹形状、凸形状、正弦波形状、または金属物品410が処理中に想定し得る任意の適切な形状に適合させることができる。いくつかの実施例では、シール110を金属物品410の形状に適合させることにより、金属物品410に塗布された粘性材料430がシール110を通過することを防ぎ、したがって、金属物品410からの粘性材料430の除去を提供できる。
【0039】
いくつかの実施例では、複数のアクチュエータの代わりに、バイアス機構を充填可能なブラダーとすることできる。充填可能なブラダーは、任意の適切な流体媒体(例えば、水、空気、ゲルなど、またはそれらの任意の組み合わせ)で充填できる。シール110は、任意の適切な取り付けデバイスによって充填可能なブラダーに取り付けられ得る。充填可能なブラダーは、金属物品410の幅にわたって金属物品410の形状に適合することによって、シールが金属物品410と常に接触し続けることができるように圧力を加えるために充填され得る。いくつかの実施例では、充填可能なブラダーは、充填可能なブラダーの接触エッジを金属物品410に接触させることによってシールとして機能できる。いくつかの態様では、充填可能なブラダーは、金属物品410に接触するときに圧縮できる。充填可能なブラダーを圧縮させると、充填可能なブラダーの弾性が充填可能なブラダーを非圧縮状態に戻すように動くため、充填可能なブラダーが金属物品410表面の凹凸及び欠損部に入る/適合することがさらに可能になり、充填可能なブラダーの接触エッジをさらに金属物品410の表面に押し込むことになり得る。
【0040】
他の実施例では、バイアス機構は湾曲したバーとすることができる。シール110は、任意の適切な取り付けデバイスによって湾曲したバーに取り付けられ得る。湾曲したバーは、シール110が金属物品410に押し付けられ、処理中に金属物品410と常に接触し続けることができるように、金属物品410に隣接して配置できる。
【0041】
バイアス機構は、上述した例に限定されるものではなく、シールが非平面状の金属物品または金属物品の幅の少なくとも一部にわたって表面の凹凸を有する金属物品に適合することを可能にする任意の構造であり得る。
【0042】
シール110は、任意の適切な断面形状を有することがきる。
図5に示すように、シールの形状のいくつかの非限定的な例には、線500、長方形510、正方形520、三角形530、円540、楕円550、ナイフの刃の形560、またはギリシャ語の大文字のオメガの形570が含まれる。
【0043】
粘性材料除去システム100は、既存の冷却システム及び冷却剤収容システムと比較した場合、コンパクトなシステムであり得る。いくつかの非限定的な実施例では、粘性材料除去システム100は、冷却剤(または、例えば、ロール処理中に金属物品に塗布される任意の粘性材料)を除去できるように、金属物品に隣接する任意の所望の位置に位置し得る。いくつかの実施例では、粘性材料除去システム100は、圧延機内の任意のロールに隣接して位置し得るか、または圧延機内の任意のロールの前または後に位置してもよい。いくつかの態様では、粘性材料除去システム100は、液体冷却剤を使用して冷却を必要とする任意のロールに隣接して位置し得る。粘性材料除去システム100は、上部作業ロール、下部作業ロール、上部バックアップロール、下部バックアップロール、垂直圧延機の第1の作業ロール、垂直圧延機の第2の作業ロール、垂直圧延機の第1のバックアップロール、垂直圧延機の第2のバックアップロール、または液体冷却剤(または、例えば、ロールに必要となり得る任意の粘性材料の塗布)を使用した冷却を必要とするロールに隣接して配置できる。
【0044】
以下で使用されるように、一連の実施例へのいかなる言及も、それらの実施例のそれぞれに対する言及として選言的に理解されるべきである(例えば、「実施例1~4」は「実施例1、2、3、または4」として理解されるべきである)。
【0045】
実施例1は、材料物品の表面から粘性材料を除去するシステムであって、第1の位置と少なくとも1つの第2の位置との間の可撓性シールの幅に沿って前記表面に実質的に垂直な方向に移動可能な前記可撓性シールであって、前記可撓性シールは、前記可撓性シールの前記幅に沿って前記表面に接触するように構成される、前記可撓性シールと、前記可撓性シールの選択部分を前記可撓性シールの前記幅に沿って移動させて、前記可撓性シールが前記表面の幅にわたって前記表面に適合するように構成されるバイアス機構と、を含む、前記システムである。
【0046】
実施例2は、前記材料物品が移動材料物品または金属物品のうちの少なくとも1つである、前記材料物品をさらに含む、いずれかの先行または後続の実施例に記載のシステムである。
【0047】
実施例3は、前記可撓性シールが、前記第1の位置と複数の他の可変位置との間の前記可撓性シールの幅に沿って前記材料物品に垂直な方向に移動可能である、いずれかの先行または後続の実施例に記載のシステムである。
【0048】
実施例4は、前記バイアス機構が、静的バイアス機構または可動バイアス機構である、いずれかの先行または後続の実施例に記載のシステムである。
【0049】
実施例5は、前記可動バイアス機構が、互いに独立して移動するか、または互いに協調して移動する複数の部分を含む、いずれかの先行または後続の実施例に記載のシステムである。
【0050】
実施例6は、前記静的バイアス機構が湾曲したバーを含み、前記湾曲したバーの凸側が前記可撓性シール用の取り付け部を含み、前記湾曲したバーを前記材料物品に隣接して位置決めすることによって、前記可撓性シールが前記材料物品に対して押圧される、いずれかの先行または後続の実施例に記載のシステムである。
【0051】
実施例7は、前記可動バイアス機構が、複数のアクチュエータ、複数のばね、または流体媒体で充填可能な充填可能なブラダーのうちの少なくとも1つを含む、いずれかの先行または後続の実施例に記載のシステムである。
【0052】
実施例8は、複数の取り付けデバイスをさらに含み、前記複数の取り付けデバイスの個々の取り付けデバイスが、個々のアクチュエータまたは前記複数のアクチュエータのサブセットに取り付けられるか、または、個々の取り付けデバイスが、個々のばねまたは前記複数のばねのサブセットに取り付けられるか、または、前記複数の取り付けデバイスが、前記充填可能なブラダーに取り付けられている、いずれかの先行または後続の実施例に記載のシステムである。
【0053】
実施例9は、前記複数の取り付けデバイスが、クランプ、クリップ、ピン、またはクラスプのうちの少なくとも1つを含む、いずれかの先行または後続の実施例に記載のシステムである。
【0054】
実施例10は、前記複数のアクチュエータが、空気圧アクチュエータ、電気アクチュエータ、油圧アクチュエータ、機械アクチュエータ、磁気アクチュエータ、または熱アクチュエータのうちの少なくとも1つを含む、いずれかの先行または後続の実施例に記載のシステムである。
【0055】
実施例11は、前記バイアス機構が、前記可撓性シールの第1の部分が前記可撓性シールの第2の部分の高さとは異なる高さを有するように前記可撓性シールを位置決めするように構成される、いずれかの先行または後続の実施例に記載のシステムである。
【0056】
実施例12は、前記可撓性シールが、前記材料物品の前記幅にわたって少なくとも部分的に横断するように構成される、いずれかの先行または後続の実施例に記載のシステムである。
【0057】
実施例13は、前記可撓性シールが、前記材料物品の前記幅にわたって完全に横断するように構成される、いずれかの先行または後続の実施例に記載のシステムである。
【0058】
実施例14は、前記可撓性シールが、本体、接触エッジ、及び取り付けエッジをさらに含み、前記取り付けエッジが、前記本体をわたって前記接触エッジに対向して配設される、いずれかの先行または後続の実施例に記載のシステムである。
【0059】
実施例15は、前記本体、前記接触エッジ、及び前記取り付けエッジが、線、長方形、正方形、三角形、円、楕円、ナイフの刃の形、またはギリシャ語の大文字のオメガの形、またはそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択される断面形状を画定する、いずれかの先行または後続の実施例に記載のシステムである。
【0060】
実施例16は、前記可撓性シールが、前記接触エッジが前記材料物品の湾曲した断面形状、及び処理中の前記材料物品の表面形状に適合するような、ある程度の柔軟性を有する、いずれかの先行または後続の実施例に記載のシステムである。
【0061】
実施例17は、材料物品から粘性材料を除去する方法であって、バイアス機構にシールを取り付けることと、前記シールの接触エッジが前記材料物品に接触するように、前記材料物品に隣接するバイアス機構に取り付けられたシールを配置することと、前記シールが前記シールの幅にわたって前記材料物品との接触を維持するように、前記バイアス機構から圧力を加えることと、を含む、前記方法である。
【0062】
実施例18は、前記材料物品に隣接するバイアス機構に取り付けられた前記シールを配置することが、前記材料物品に塗布された粘性材料を有する前記材料物品上の領域に隣接するバイアス機構に取り付けられた前記シールを配置することをさらに含む、いずれかの先行または後続の実施例に記載の方法である。
【0063】
実施例19は、バイアス機構に取り付けられた前記シールの上を前記材料物品を通過させ、前記材料物品に接触させることをさらに含む、いずれかの先行または後続の実施例に記載の方法である。
【0064】
実施例20は、前記バイアス機構から圧力を加えることが、前記シールが前記材料物品の断面形状及び前記シールの前記幅にわたる前記材料物品の表面形状に適合することを可能にすることをさらに含む、いずれかの先行または後続の実施例に記載の方法である。
【0065】
実施例21は、前記バイアス機構を使用して、前記シールの第1の部分が前記シールの第2の部分の高さとは異なる高さを有するように前記シールを位置決めすることをさらに含む、いずれかの先行または後続の実施例に記載の方法である。
【0066】
実施例22は、前記材料物品に塗布された前記粘性材料が前記シールを通過するのを防いでいる、いずれかの先行の実施例の方法である。
【0067】
例示された実施形態を含む実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的のためにのみ提示されており、網羅的であること、または開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。多数の修正、適合、及びそれらの使用は、当業者には明らかであろう。