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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】収納容器の上蓋の開閉構造
(51)【国際特許分類】
   B65D 90/62 20060101AFI20230220BHJP
   B65D 88/12 20060101ALI20230220BHJP
   B65D 43/24 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
B65D90/62 A
B65D88/12 C
B65D43/24 100
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021170744
(22)【出願日】2021-10-19
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】308014639
【氏名又は名称】真和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】豊浦 茂
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03208206(EP,A1)
【文献】実開昭56-175246(JP,U)
【文献】米国特許第02732972(US,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2014-0002337(KR,U)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0017635(KR,A)
【文献】実開昭57-147940(JP,U)
【文献】米国特許第1834989(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 6/00-13/02
B65D 35/44-35/54
B65D 39/00-55/16
B65D 88/00-90/66
B65F 1/00-1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納容器の上蓋の開閉構造であって、
前記収納容器は、上部の開口から内部に物品を収納可能な収納容器本体と、前記収納容器本体に対して第1ヒンジを介して前記開口を開閉可能な上蓋と、を備え、
前記収納容器本体または前記上蓋は、前記開口を開けた前記上蓋が略鉛直状態より後倒れすることを規制するストッパを備え、
前記上蓋は、第1上蓋体と、第2上蓋体と、を備え、
前記第1上蓋体と前記第2上蓋体は、前記第1上蓋体と前記第2上蓋体が重なり可能に前記第1ヒンジの軸方向に沿って第2ヒンジを介して連結されており、
前記第2上蓋体または前記第1上蓋体は、前記第2上蓋体自身または前記第1上蓋体自身に対してスライドまたは揺動可能なロック体を有するロック機構を備え、
前記ロック機構は、前記第1上蓋体と前記第2上蓋体が前記第2ヒンジを介して重なるように互いの表面または裏面を近づけた状態で前記第1上蓋体と前記第2上蓋体を前記第1ヒンジを介して前記開口が開くように前記略鉛直状態まで起こしていくと、前記ロック体が前記収納容器本体に対して非干渉状態から自重によって前記スライドまたは前記揺動することで前記収納容器本体に対して干渉状態に切り替わり前記起こした前記第2上蓋体または前記第1上蓋体の前倒れを規制し、
前記前倒れの規制は、前記収納容器本体における前記第1ヒンジの軸方向に沿って延設された縦壁の内面に対する前記ロック体の干渉によって行われる収納容器の上蓋の開閉構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納容器の上蓋の開閉構造に関し、詳しくは、上部の開口から内部に物品を収納可能な収納容器本体と、収納容器本体に対してヒンジを介して開口を開閉可能な上蓋とを備えた収納容器の上蓋の開閉構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場等で製造された製品(物品)を出荷する場合、製造された製品を収納容器の内部に収納した状態のまま荷台に積み込みトラック等で客先に搬送している。この種の収納容器は、上部の開口から内部に製品を収納可能な収納容器本体と、収納容器本体に対してヒンジを介して開口を開閉可能な上蓋を備えている。ここで、収納容器本体に支え棒を備えた収納容器が既に知られている。これにより、ヒンジを介して略鉛直状態(約90°)に起こされた上蓋に支え棒の先端を引っ掛けることで、この上蓋の起こし姿勢を保持できる。そのため、作業者が自身の手で上蓋を支えておくことなく、収納容器本体の開口の開き状態の保持を実施できる。
【0003】
また、下記特許文献1には、収納容器本体と上蓋の間にガスダンパを介在させた収納容器が開示されている。これにより、ヒンジを介して略鉛直状態(約90°)に起こされた上蓋に支え棒の先端を引っ掛ける作業を必要とすることなく、この上蓋の起こし姿勢を保持できる。すなわち、この上蓋の起こし姿勢を簡便に保持できる。また、このように簡便に保持できるため、収納容器本体の開口の開き状態も簡便に保持できる。したがって、収納容器本体の内部に製品を出し入れする作業を効率よく実施できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-1597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した特許文献1の技術では、上蓋の起こし動作(収納容器本体の開口の開動作)を繰り返すと、ガスダンパからのガス漏れが生じることがあった。そのため、ガスダンパの定期的なメンテナンスが必要となっていた。そこで、定期的なメンテナンスを必要とすることなく、ヒンジを介して略鉛直状態に起こされた上蓋の起こし姿勢を簡便に保持できる収納容器の上蓋の開閉構造が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの特徴によると、収納容器の上蓋の開閉構造であって、収納容器は、上部の開口から内部に物品を収納可能な収納容器本体と、収納容器本体に対して第1ヒンジを介して開口を開閉可能な上蓋を備えている。収納容器本体または上蓋は、開口を開けた上蓋が略鉛直状態より後倒れすることを規制するストッパを備えている。上蓋は、第1上蓋体と、第2上蓋体を備えている。第1上蓋体と第2上蓋体は、第1上蓋体と第2上蓋体が重なり可能に第1ヒンジの軸方向に沿って第2ヒンジを介して連結されている。第2上蓋体または第1上蓋体は、第2上蓋体自身または第1上蓋体自身に対してスライドまたは揺動可能なロック体を有するロック機構を備えている。第1上蓋体と第2上蓋体が第2ヒンジを介して重なるように互いの表面または裏面を近づけた状態で第1上蓋体と第2上蓋体を第1ヒンジを介して開口が開くように略鉛直状態まで起こしていく。すると、ロック機構は、ロック体が収納容器本体に対して非干渉状態から自重によってスライドまたは揺動することで収納容器本体に対して干渉状態に切り替わり起こした第2上蓋体または第1上蓋体の前倒れを規制する。
【0007】
そのため、略鉛直状態に起こされた上蓋から作業者が手を放しても、この起こされた上蓋の前倒れおよび後倒れを規制できる。したがって、第1ヒンジを介して略鉛直状態に起こした上蓋の起こし姿勢を保持できる。また、上蓋の前倒れの規制は、作業者の手間を必要とすることなく自動(ロック体の自重)で行われる。そのため、この上蓋の起こし姿勢の保持を簡便に実施できる。また、収納容器にガスダンパを備えていないため、ガス漏れが生じることがない。そのため、定期的なメンテナンスを必要とすることがない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の収納容器の全体斜視図である。
図2図1の分解斜視図である。
図3図1の収納容器における収納容器本体の開口を開けた状態(上蓋を略鉛直状態に起こした姿勢)の主要部(ロック機構の周辺)の拡大図を示している。
図4】上蓋の起こし動作の手順を説明する図である。
図5図4の次の手順を説明する図である。
図6図5の状態における主要部(ロック機構の周辺)の縦断面図である。
図7図6の直前の状態における主要部(ロック機構の周辺)の縦断面図である。
図8】第2実施形態の収納容器の全体斜視図である。
図9】上蓋の起こし動作の手順を説明する図である。
図10図9の次の手順を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態を、図1~7を用いて説明する。なお、以下の説明にあたって、同じ部品番号は、同じ機能を有し、重複する説明を省略する。また、以下の説明に置いて、上、下、前、後、左、右の方向は、各図に示す、上、下、前、後、左、右の方向である。これらのことは、後述する第2実施形態においても同様である。
【0010】
図1~2に示すように、収納容器1は、上部の開口2aから内部2bに物品(図示しない、工場等で製造された製品)を収納可能な収納容器本体2と、開口2aを開閉可能な上蓋3を備えている。以下に、これら収納容器本体2と上蓋3を個別に説明する。
【0011】
はじめに、収納容器本体2を説明する。収納容器本体2は、鉄製の4本の支柱20(左前の第1支柱20a、左後の第2支柱20b、右前の第3支柱20c、右後の第4支柱20d)と、鉄製の複数の橋渡材21から構成されている。複数の橋渡材21は、主な橋渡材21として、9本の橋渡材21(第1橋渡材21a、第2橋渡材21b、第3橋渡材21c、第4橋渡材21d、第5橋渡材21e、第6橋渡材21f、第7橋渡材21g、第8橋渡材21h、第9橋渡材21i)から構成されている。
【0012】
第1橋渡材21aは、第1支柱20aの上寄り位置と第2支柱20bの上寄り位置を前後に橋渡すように接合されている。この接合は、例えば、溶接によって行われている。このことは、以下の全ての接合においても同様である。第2橋渡材21bは、第1支柱20aの中間位置と第2支柱20bの中間位置を前後に橋渡すように接合されている。第3橋渡材21cは、第1支柱20aの下寄り位置と第2支柱20bの下寄り位置を前後に橋渡すように接合されている。
【0013】
第4橋渡材21dは、第2支柱20bの上寄り位置と第4支柱20dの上寄り位置を左右に橋渡すように接合されている。第5橋渡材21eは、第2支柱20bの下寄り位置と第4支柱20dの下寄り位置を左右に橋渡すように接合されている。第6橋渡材21fは、第4橋渡材21dの中間位置より左寄り位置と第5橋渡材21eの中間位置より左寄り位置を上下に橋渡すように接合されている。第7橋渡材21gは、第4橋渡材21dの中間位置より右寄りの位置と第5橋渡材21eの中間位置より右寄り位置を上下に橋渡すように接合されている。
【0014】
第8橋渡材21hは、第3支柱20cの上寄り位置と第4支柱20dの上寄り位置を前後に橋渡すように接合されている。第9橋渡材21iは、第3支柱20cの下寄り位置と第4支柱20dの下寄り位置を前後に橋渡すように接合されている。
【0015】
これら9本の橋渡材21以外にも、図示するように、適宜に橋渡し材が接合されている。これら支柱20および橋渡材21が、収納容器本体2の骨格(フレーム)を形成している。第1支柱20a、第2支柱20b、第3支柱20cおよび第4支柱20dの各下端には、下方に突出するように支持脚22が取り付けられている。これにより、収納容器本体2を安定的に載置面(工場等の床面、トラック等の荷台の載置面等)に載せることができる。
【0016】
また、第2支柱20bおよび第4支柱20dの各上端には、対向するように突出するストッパ23が対を成すように接合されている。この両ストッパ23は、後述する第1ヒンジ5を介して上蓋3が略鉛直状態(約90°)に起こされると、この起こされた上蓋3が干渉するように形成されている。また、第4橋渡材21dには、左右方向(長手方向)に沿って適宜の位置に4個のヒンジ受部24が接合されている。このヒンジ受部24は、後述する円状のヒンジ軸35を挿し込み可能に円状に形成された挿込孔24aを有するように形成されている。
【0017】
また、収納容器本体2の左側面の骨格は、樹脂プレート25によって覆われている。これにより、収納容器本体2の左側面を塞ぐことができる。また、収納容器本体2の後面の骨格は、樹脂プレート26によって覆われている。これにより、収納容器本体2の後面を塞ぐことができる。また、収納容器本体2の底面(下面)の骨格は、鉄プレート27によって覆われている。これにより、収納容器本体2の底面を塞ぐことができる。なお、これら樹脂プレート25、26、鉄プレート27は、収納容器本体2の図示を見易くするために、図1においてのみ、想像線で記しており、図2以降において、不図示である。収納容器本体2は、このように構成されている。
【0018】
次に、上蓋3を説明する。上蓋3は、矩形状の第1枠体30と矩形状の第2枠体31から構成されている。この「第1枠体30」および「第2枠体31」が、特許請求の範囲に記載の「第1上蓋体」および「第2上蓋体」に相当する。第1枠体30の左右方向(長手方向)の中間位置には、前後方向(短手方向)に沿って橋渡材30aが接合されている。これにより、第1枠体30の強度を確保できる。
【0019】
第2枠体31の左右方向(長手方向)の中間位置には、前後方向(短手方向)に沿って橋渡材31aが接合されている。これにより、第2枠体31の強度を確保できる。これら第1枠体30および第2枠体31が、上蓋3の骨格(フレーム)を形成している。第1枠体30の上面の骨格は、樹脂プレート30bによって覆われている。第2枠体31の上面の骨格は、樹脂プレート31bによって覆われている。これらにより、収納容器本体2の上面を塞ぐことができる。
【0020】
第1枠体30と第2枠体31は、互いの左右方向に沿った隣接する部位が適宜の間隔で3個の丁番33を介して連結されている。この丁番33が、特許請求の範囲に記載の「第2ヒンジ」に相当する。この丁番33の軸方向は、図からも明らかなように、左右方向である。また、後述する第1ヒンジ5の軸方向も、左右方向である。そのため、この丁番33の軸方向は、第1ヒンジ5の軸方向に沿っている。
【0021】
これら丁番33により、第1枠体30と第2枠体31は、第2枠体31の上面に対して第1枠体30の上面が対向した状態で第1枠体30と第2枠体31を重ねることができる。第1枠体30の内面側には、左右一対の取手部30cが接合されている。これにより、この取手部30cを把持した状態で、上蓋3の起こし動作および上蓋3の倒し動作を実施できる。そのため、上蓋3の起こし動作および上蓋3の倒し動作を簡便に実施できる。
【0022】
また、第1枠体30の前縁には、透明カバー30dが取り付けられている。これにより、収納容器本体2の前面を覆うことができる。また、第2枠体31の後縁には、左右方向(長手方向)に沿って適宜の位置に円筒状の2個のヒンジ挿込部34が接合されている。このヒンジ挿込部34は、ヒンジ軸35を挿し込み可能に円状に形成された挿込孔34aを有する略円筒状に形成されている。
【0023】
図3に示すように、第2枠体31の内面(裏面)における第4支柱20d寄りの位置には、ロック機構4を備えている。ロック機構4は、第2枠体31の内面における第4支柱20d寄りの位置にベース40を介して接合された四角筒状の筒体41と、筒体41に形成されている挿込孔41aに挿し込まれた四角柱状のロック体42から構成されている。このロック体42は、筒体41に対してスライド可能となっている。
【0024】
また、ロック体42の一端には、前後方向に沿うように取手部42aが接合されている。これにより、この取手部42aを把持すると、筒体41に対してロック体42をスライドさせることができる。そのため、後述するロック体42を引き上げる作業を簡便に実施できる。また、ロック体42の他端には、左右方向に沿うように干渉部42bが接合されている。これら取手部42aおよび干渉部42bにより、ロック体42が筒体41から脱落することを防止できる。上蓋3は、このように構成されている。
【0025】
上述したように構成されている収納容器本体2のヒンジ受部24の各挿込孔24aおよび上蓋3のヒンジ挿込部34の各挿込孔34aにヒンジ軸35を挿し込むと、収納容器本体2に対して上蓋3が組み付けられる。これにより、収納容器1を組み立てることができる。
【0026】
続いて、図1、4~7を参照して、収納容器1の作用を説明する。まず、図1に示す状態から、作業者(図示しない)は、収納容器本体2の前面を覆っている透明カバー30dを上蓋3の上に捲りあげる作業を行う。次に、作業者は、丁番33を介して第1枠体30を約180°反転させる作業を行う(図4参照)。この反転させる作業とは、第1枠体30と第2枠体31の互いの表面が近づくように(第2枠体31の上面に対して第1枠体30の上面が対向した状態で第1枠体30と第2枠体31が重なるように)第1枠体30を起こす作業のことである。これにより、上蓋3を折り畳むことができる。
【0027】
次に、作業者は、第1ヒンジ5を介して上蓋3(第1枠体30、第2枠体31)を略鉛直状態に起こす作業を行う(図5参照)。これにより、収納容器本体2の開口2aが開き状態となる。この上蓋3を略鉛直状態に起こす作業にともなって、この上蓋3に接合されているロック機構4も略鉛直状態に起こされる。すると、ロック機構4の干渉部42bが第4橋渡材21dに対する非干渉状態(図に示す状態)から自重によってロック体42がスライドすることで干渉部42bが第4橋渡材21dに対する干渉状態(図に示す状態)に切り替わる。

【0028】
すなわち、ロック機構4がロック解除状態からロック状態に自動(ロック体42の自重)で切り替わる。これにより、略鉛直状態に起こされた上蓋3から作業者が手を放すことで上蓋3が前倒れしようとしても、この略鉛直状態に起こされた上蓋3の前倒れを規制できる。また、既に説明したように、第2支柱20bおよび第4支柱20dの各上端には、対向するように突出するストッパ23が対を成すように接合されている。これにより、略鉛直状態に起こされた上蓋3から作業者が手を放すことで上蓋3が後倒れしようとしても、この後倒れしようとする上蓋3がストッパ23に干渉する。そのため、この略鉛直状態に起こされた上蓋3の後倒れを規制できる。
【0029】
上述した作業の説明から明らかなように、略鉛直状態に起こされた上蓋3から作業者が手を放しても、この起こされた上蓋3の前倒れおよび後倒れを規制できる。そのため、第1ヒンジ5を介して略鉛直状態に起こされた上蓋3の起こし姿勢を保持できる。また、上記した上蓋3の前倒れの規制は、作業者の手間を必要とすることなく自動(ロック体42の自重)で行われる。そのため、この上蓋3の起こし姿勢の保持を簡便に実施できる。
【0030】
次に、収納容器本体2の内部2bへの製品の収納が完了すると、作業者は、ロック機構4の取手部42aを把持してロック体42を引き上げる作業を行う。すると、ロック機構4の干渉部42bが第4橋渡材21dに対する干渉状態(図7に示す状態)からロック体42がスライドすることで干渉部42bが第4橋渡材21dに対する非干渉状態(図6に示す状態)に切り替わる(戻される)。すなわち、ロック機構4がロック状態からロック解除状態に切り替わる(戻される)。
【0031】
次に、図4に示すように、作業者は、収納容器本体2の開口2aを閉じるように上蓋3を倒す作業を行う(戻す作業を行う)。最後に、図1に示すように、作業者は、丁番33を介して第1枠体30の反転を戻す作業および捲り上げた透明カバー30dを戻す作業を行う。
【0032】
これら一連の作業により、第1ヒンジ5を介して略鉛直状態に起こされた上蓋3の起こし姿勢を簡便に保持できる。そのため、この起こし姿勢の簡便な保持にともない、収納容器本体2の開口2aの開き状態の保持も簡便に実施できる。そして、収納容器本体2の開いた開口2aから内部2bに製品を収納できる。また、収納容器1にガスダンパを備えていないため、ガス漏れが生じることがない。そのため、定期的なメンテナンスを必要とすることがない。また、丁番33を介して上蓋3を折り畳むことができるため、コンパクトにした状態で上蓋3を起こしたり倒したりできる。
【0033】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を、図8~10を用いて説明する。この第2実施形態の収納容器101は、既に説明した第1実施形態の収納容器1と比較すると、上蓋3の折り畳み方向が反対の形態である。そのため、図8に示すように、この収納容器101では、ロック機構4は、第2枠体31の外面(表面)における第3支柱20c寄りの位置に備えられている。
【0034】
続いて、図8~10を参照して、収納容器101の作用を説明する。まず、図8に示す状態から、作業者(図示しない)は、収納容器本体2の前面を覆っている透明カバー30dを上蓋3の上に捲りあげる作業を行う。次に、作業者は、丁番33が山折りとなるように第1ヒンジ5と丁番33を介して第1枠体30と第2枠体31を起こす作業を行う(図9参照)。この起こす作業とは、第1枠体30と第2枠体31の互いの裏面が近づくように(第2枠体31の下面に対して第1枠体30の下面が対向した状態で第1枠体30と第2枠体31が重なるように)第1枠体30と第2枠体31を起こす作業のことである。これにより、上蓋3を折り畳むことができる。
【0035】
第2枠体31が略鉛直状態(約90°)に起こされるまで、この起こし作業を行うと、第1枠体30も略鉛直状態に起こされるため、収納容器本体2の開口2aが開き状態となる(図10参照)。この第1枠体30の起こしにともなって、この第1枠体30に接合されているロック機構4も略鉛直状態に起こされる。すると、第1実施形態の収納容器1と同様に、ロック機構4の干渉部42bが第4橋渡材21dに対する非干渉状態から自重によってロック体42がスライドすることで干渉部42bが第4橋渡材21dに対する干渉状態に切り替わる。
【0036】
これにより、この略鉛直状態に起こされた上蓋3(第1枠体30と第2枠体31)の前倒れを規制できる。また、ストッパ23により、この略鉛直状態に起こされた上蓋3の後倒れを規制できる。すなわち、この収納容器101においても、第1実施形態の収納容器1と同様の作用効果を得ることができる。なお、第1実施形態の収納容器1と同様に、起こした上蓋3も逆の手順で戻すこともできる。
【0037】
第1実施形態~第2実施形態を上記構成を参照して説明したが、本発明の目的を逸脱せずに多くの交代、改良、変更が可能であることは当業者であれば明らかである。したがって実施形態は、添付された請求項の精神と目的を逸脱しない全ての交代、改良、変更を含み得る。例えば実施形態は、特別な構造に限定されず、下記のように変更が可能である。
【0038】
上記構成によると、4個の支持脚22を介して収納容器本体2を安定的に載置面に載せる形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、複数(例えば、4個)の車輪(図示しない)を介して収納容器本体2を安定的に載置面に載せる形態でも構わない。その場合、収納容器1が自走可能となるため、収納容器1の運搬を簡便に実施できる。
【0039】
上記構成によると、第2支柱20bおよび第4支柱20dの各上端にストッパ23が対を成すように接合されている形態を説明した。すなわち、収納容器本体2にストッパ23を設ける形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、上蓋3にストッパ23を設ける形態でも構わない。
【0040】
上記構成によると、上蓋3を約90°起こす作業にともなって、ロック機構4の干渉部42bが第4橋渡材21dに対する非干渉状態から自重によってロック体42がスライドすることで干渉部42bが第4橋渡材21dに対する干渉状態に切り替わる形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、ロック機構4の干渉部42bが第4橋渡材21dに対する非干渉状態から自重によってロック体42が揺動することで干渉部42bが第4橋渡材21dに対する干渉状態に切り替わる形態でも構わない。
【0041】
また、第1枠体30と第2枠体31の両面を重ねてから第1枠体30と第2枠体31を起こしてもよいし、第1枠体30と第2枠体31の両面を重ねることなく近づけた状態のまま第1枠体30と第2枠体31を起こしても構わない。
【0042】
また、樹脂プレート25、樹脂プレート26に変えて、金属製(例えば、鉄、アルミニウム等)のプレート、木製のプレート等でも構わない。もちろん、鉄プレート27に変えて、樹脂プレート、木製のプレート等でも構わない。
【符号の説明】
【0043】
1 収納容器
2 収納容器本体
2a 開口
2b 内部
3 上蓋
4 ロック機構
5 第1ヒンジ
23 ストッパ
42 ロック体
【要約】
【課題】定期的なメンテナンスを必要とすることなく、ヒンジを介して略鉛直状態に起こした上蓋の起こし姿勢を簡便に保持できる収納容器の上蓋の開閉構造を提供すること。
【解決手段】収納容器1は、上部の開口2aから内部に物品を収納可能な収納容器本体2と、収納容器本体2に対して第1ヒンジ5を介して開口2aを開閉可能な上蓋3を備えている。収納容器本体2または上蓋3は、開口2aを開けた上蓋3が略鉛直状態より後倒れすることを規制するストッパ23を備えている。上蓋3は、上蓋3自身に対してスライドまたは揺動可能なロック体42を有するロック機構4を備えている。ロック機構4は、開口2aが開くように上蓋3を略鉛直状態まで起こしていくと、ロック体42が収納容器本体2に対して非干渉状態から自重によってスライドまたは揺動することで収納容器本体2に対して干渉状態に切り替わり起こした上蓋3の前倒れを規制する。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10